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新入生、初めての迷宮探索!〜温泉プールを添えて〜

#アルダワ魔法学園


「みんなって、温泉好きかな?」
 白い短髪の下で、柔らかな微笑を浮かべながら、紅・白夜は話を切り出した。
 温泉。
 日々、命を懸けた戦いに身を投じる猟兵たち。休息をしたとて、日々の戦いで蓄積した精神的な疲労までは完璧に回復することは、おそらく無い。
 その言葉を聞くと、白夜の話を聞きに集まった猟兵たちは、興味津々に耳を傾け始めていた。
「その様子じゃ、嫌いだって人はいなさそうだ。それじゃあ、今回の話をしていくよ」
 そう言うと、白夜は懐から一枚の髪を取りだし、猟兵たちの前に差し出す。
 それは、一枚の依頼書だった。
「今回は、アルダワ魔法学園からの正式な依頼だ。あそこでは、災魔……オブリビオンを地下迷宮に封じ込めたその上に、災魔を倒す人材を育成する学園を設立したって言うのは、みんな知っての通りだと思う。
ちょうど今くらいの時期になると、新入生が入ってくる……いわゆる新学期が始まる頃らしいんだよね。そこで、毎年恒例で、新歓コンパをしてるんだけど、伝統的な流れとして、パーティのあと、迷宮探索をすることになってるらしいんだ。
…………うん、察しのいい君たちなら多分気づいてくれたよね。君たち猟兵……転校生には、その新歓コンパ後の探索、その付き添いをお願いしたいんだ」
 災魔と戦うことの出来る生徒を受け入れ、訓練を行う学園。故に、新入生とて、戦う能力はそう低くはない。
 けれど、不慣れな場所での戦闘では、不慮の事故が起きる可能性も低くはない。その際の人的被害を減らしたい。それがこの依頼の目的のひとつのようだった。
「それに加えて、だ。君たちは他世界にも渡って経験を積んでいるスペシャリストだ。新入生に自分なりの考え方や技術をレクチャーしてもらいたい。
言っちゃえば、猟兵一人につき一人の新入生が割り当てられるって感じだね。マンツーマンで教えてあげることになる。
迷宮で現れたオブリビオンに関しても、そこまで強力な個体ではないから、新入生たちのアシストに回って、実戦経験を積ませてあげるのがいい」
 各地を飛び回って、現役で活躍する猟兵がレクチャーをしてくれる。
 それは新入生達にとって最大級の学びだろう、言葉の重みが違う。そう教師陣も考えてのことだろう。
「もちろん、迷宮探索にだけ参加しろって訳じゃないよ? 今回のコンパはアルダワの発達した蒸気機関による、温泉……水着をきる混浴らしいから、温水プールの方が正しいのかな? そこで遊んだり、新入生たちと交流を深めたり出来るって特典付きだ。ゆっくり温まってもいいし、何かしらのアトラクションがあれば、それで遊んでいくのもあり、思う存分楽しめるはずだよ。
水着は学園の方で各種取り揃えているらしいから、参加する人は早速向かうことにしよう」
 そう言って白夜は立ち上がり、アルダワ魔法学園に繋がるゲートを開く。
 通り抜ければその先では、新入生歓迎会の会場となる温水プールへと到着することだろう。


篠崎涼牙
 久方ぶりの二作同時進行、篠崎涼牙です。

 今回は、アルダワ魔法学園から、新歓コンパ後の迷宮探索の付き添い、加えて新入生に対してのレクチャーが依頼されました。
 猟兵の皆さんには、新入生一人を生徒として引き受けて貰います。
 新入生は戦う能力はありますが、まだまだ未熟です。オブリビオンとの戦闘になったら、アシストをして実戦に協力してあげましょう。

第一章は温水プール(温泉)での新入生との顔合わせ。
初対面で緊張している新入生に優しく接して、緊張を解してあげましょう。
こんな新入生がいい、とリクエストを言ってくださればお答えしますので、遠慮なくどうぞ。

第二章は探索、罠の仕掛けられた迷宮内部を踏破し、災魔のいる部屋まで辿り着きましょう。
新入生に対して、実演してあげたり、アドバイスしてあげたりして、罠突破の手助けをしてあげましょう。

第三章、集団戦です。
敵は猟兵にとっては取るに足りませんが、新入生達にとっては初の実践。
アドバイスやアシスト、援護をしてあげたりして、新入生に実戦経験を積ませてあげましょう。

まだ戦闘員としての蕾である新入生達を開花させられるかは猟兵であ(先輩であるアナタ次第!
プレイング、お待ちしております!
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第1章 日常 『アルダワ式・魔法蒸気温泉』

POW   :    熱い湯やサウナに長く漬かり疲労回復

SPD   :    たっぷりの泡で全身を洗ってピッカピカ

WIZ   :    魔力も込めたミストで身体の芯から疲れを追い出そう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
エウロペ・マリウス
誰かを教え導けるほど、何かを成したわけでもないけれど
初めての本格的な戦闘というものは大事だからね
変に、恐怖心や慢心を抱かないようにしてあげないとだね

行動 WIZ

温泉は好きだけれど、人に肌を晒すのは苦手だから
足湯を楽しもうかな
新入生も、同性であれば助かるよ
男性は苦手かな

ボクは口下手だし、人見知りだから
積極的に会話することは苦手だけれど

大丈夫
キミ達はキミ達らしく
失敗も成功も含めて、そう在ればいいよ

失敗は、しっかりフォローするし
成功は素直に喜んで貰えるように、精一杯頑張らせていただくよ



「……ふぅ……まさか、ボクが教鞭を執る側に回るなんてね」
 ワイワイと、賑やかな温水プール郡の中で比較的静かな一角。
 エウロペ・マリウス(揺り籠の氷姫・f11096)は、足湯を堪能しながら、改めて自分の現状を見つめ返していた。
 かつて、寵姫として捕らわれていた所を、『師匠』に救われてから、色んなものを見た。
 様々な世界に飛んで、多くのことを経験した。
 けれども、まだ誰かを教え導けるほど、何かを為したとは思っていない。そんな一抹の不安も感じていた。
「…………たしかそろそろ、新入生の子がくる頃合だと思うけど」
 チラリと、備え付けの時計を見やる。
 新入生達は、教師達からの事前説明や、誰に教えてもらうかなどの発表があり、在校生や猟兵達よりも、少しあとに到着する手筈になっていた。
「……あ、あの! エウロペ先輩ですか?」
 突然聞こえた声に、思わず少し固まる。
 軽く、辺りを見回すと、エウロペ以外に他の生徒はいないようだった。
 つまり、同名の別人が呼ばれた、という訳では無いらしい。
「うん、ボクがエウロペであってるよ。君が……ボクの担当する新入生、でいいのかな?」
「は、はい。ウィステリア・シープって言います……お、お願いします!」
 栗色のウェーブがかった髪の毛を揺らす、ウィステリアと名乗った少女は、緊張しているのか、少し声を上ずらせていて、表情も少し強ばっていた。
 新歓コンパとはいえ、この後に初めての実戦が待ち受けているという事実が、猟兵に教えを乞うという緊張に拍車をかけているらしかった。
「……ふふっ、大丈夫だよそんなに緊張しないでも。
初めての実戦だとしても、キミはキミらしく、やれることをやるといい。失敗をすれば、きちんとフォローしてあげる。
キミが頑張れるように、精一杯やらせてもらうよ」
 緊張していては、本来の実力は発揮できない。不足の事態に対応出来ないかもしれない。
 それでまだ開花前の蕾を潰してしまうのは惜しい。
 なら、緊張を解してやるのが、きっと一番いい。
「改めて、エウロペ・マリウス。キミのことを担当させてもらうよ。よろしくお願いするね」
 手を差し伸べて握手を求めると、ウィステリアは一瞬キョトンと固まり、すぐ笑みを浮かべてその手を握り返した。
「……はい! よろしくお願いします!!」
 滑り出しは上々。
 二人は共に足湯に入ると、探索までの間親交を深めるべく、会話を始めるのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
自分に向かないと言えばその通りではある
自分にどれほどのことが出来るかはわからんが
やるだけやってみよう

適当に他の邪魔にならぬ場で合流
得手不得手や戦闘スタイルなど聞いておく
後の迷宮踏破の参考に

時間が余りそうなので雑談も
学園での目標とか
尋ねられれば猟兵の仕事の話などもする

自分が硬いのは承知しているので、できるだけ話し難くならぬように
話は急がぬよう、丁寧に

※生徒は性別、性格、得手不得手、戦闘スタイルその他お任せ
本人は手持ち武器での戦闘はなく格闘と術戦、遠近どちらも可、です



「……歓迎会、やはり賑やかなものだな……」
 生徒や猟兵たちが楽しみ、盛り上がるプールから離れ、壁にもたれ掛かるようにして、アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は呟く。
 あまり、他人を教え導くのに向いていない、とは自分でも思っている。
 しかし、引き受けた以上は、やれることはやるつもりだ。
「…………貴方が、アルトリウスさん……で合ってますか」
 そんな思考を巡らせていると、声がかけられる。声の主は、短い黒髪と最低限の防具、腰に剣を携えた青年だった。
「あぁ、俺がアルトリウスだが……お前が俺の担当する新入生か」
「はい、ライアス・レオンブルグです」
 沈黙。
 若干の緊張が原因だろう。ライアスから見れば、戦場においての経験も上。雰囲気も落ち着いたものというのもあり、なかなか口の言葉を出すことが出来ていないらしかった。
「…………迷宮探索前に、聞いておきたいことがある」
「……っ、は、はい」
「……戦闘スタイルを教えてくれ。初めての共闘だ、仲間がどう動くのか、少しでも情報がなければ対応が間に合わないかもしれない。依頼だと言うのもあるが、それ以上に目覚めが悪い」
 いかに、その一時の関係であったとしても、自分の落ち度で仲間が傷ついたとあらば、あとあと思い返した時に、気分を害する。
 それは、好ましくない。
「分かりました、そういうことなら」
 そう言うと、ライアスは口を開いた。
 実家が、剣術と魔法の複合した、いわゆる魔法剣の様な戦闘スタイルを取っており、彼自身もそれを会得しているのだという。
 距離は近距離から中距離、攻守万能なオールラウンダー。状況に応じた切り替えこそ必要だが、十分に強力な技能であると言えた。
「……なるほど、わかった。なら、俺は後方から援護をしよう。切り替えが必要なら、敵と近くで戦うのが一番の勉強になる」
「分かりました」
「……あぁ、あと一つ」
「…………?」
 戦闘の指示を終え、その後に何が続くのだろうと、首を傾げるライアス。
「俺のことは、アルトリウスでいい。先輩とはいえ、ここに来てから長い、という訳でもないからな。
それに、戦いの中でかしこまられると戦いにくい」
「………わかった、気をつける」
 他人との距離の詰め方というのを、上手く心得ていないのもあって、少しぶっきらぼうな言い方になってしまったが、少し距離を縮めることは出来ただろう。
 プールの方に行くことは無かったが、ここから暫くはライアスからの質問攻め(主に猟兵の仕事について)が始まることを、アルトリウスは知る由もない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・スラクシナ
新入生か。まあ、なぜ温水プールかは気にしないでおこう。
私の担当は……気が弱そうな女子か。とりあえず話をしてみよう。
「なるほど……故郷の家族がそんなことに」
聞けば故郷の家族は貧しいから、ここへ来たと。
「お前が本気で戦士として開花させようとするならな。ただ、私はぬるい鍛え方はしない。味方や自身に危機を招くからな」
実戦とはそういう場所であり、何があるか分からない。
「だがこれだけは忘れるな。名声等を得ても誰が為かを忘れるな」
呑まれてしまえば崩壊へと続くことになるからな。



「…………なぜ温水プールなんだろうか」
 プールサイドにあるベンチに腰をかけて、煙を立たせるプールを眺めながら、アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)は疑問を吐露した。
 アルダワ魔法学園は魔法と蒸気機関の発達によって発展してきた世界である。ゆえに、蒸気を利用して温水を作る、という発想に至るのは当然ではある。
 なぜそれを、プールにしようと思ったのだろう、という密かな疑問だった。
「…………あ、あの……」
 そんなことを考えていると、か細い声が聞こえてくるのに気づいた。
 その声の主は、ビクビクと緊張しているのか、怯えているのかわかりにくく、その表情は俯いているのと、前髪が長いのもあって隠れて見えない。
「なんだ……もしかして、私が担当する新入生とやらか?」
「……っ、は、はい。フィール・ミディルと申します……、きょ、今日はその、よろしくお願いしますっ!」
 萎縮しきってしまっている。アリスにはフィールと名乗った女子がそう見えた。
 見る限りでは、武器のようなものはなく、この様子では近接職ではない。恐らくは、魔法を扱うタイプの生徒なのだろう。
「……あぁ、アリス・スラクシナだ。そう緊張する必要は無い、私も同じ生徒だからな」
 怯えている様子を少しでも和らげてやろうと、なるべく優しい声音でそう声をかけるが、様子は変わらず。
 どうしてこのような子が、戦闘要員としてここに来たのだろう、という疑問が脳裏を掠めた。
「…………まぁ、ここに座って少し落ち着け。そんなにビクビクしていても、本領は発揮できないぞ」
 ポンポンと、ベンチの空いている部分を叩き座るよう促すと、ペコペコとフィールは頭を下げて、ちょこんと腰をかけた。
「……さてと、何を話すか……。ここに来た理由、教えてもらってもいいか?」
 少なくとも、フィールは自ら戦いに身を投じる判断をするような性格には思えない。何かしら理由があるのだろうとの考えだった。
「…………わかりました、実は……」
 そして、フィールはポツポツと話し始めた。
 生まれた時から、家は貧しく、その日を暮らすのがやっとという毎日を送っていたらしい。
 それでも両親はフィールを見捨てず育て、その恩返しをするために、この学園に来たという。
 学園に入れば、災魔と戦う術を身につけ、そういった仕事に就くことが出来るだろうし、家族に経済的な負担をかけなくても済む。
 戦うことは怖いが、家族のために戦う。そんな決意を秘めているようだった。
「……なるほどな。わかった、お前が本気で戦士として開花しようと思うのなら、ぬるい鍛え方はしない。共に戦う仲間も、自分自身をも、危険に陥りかねないからな」
 厳しい発言だと言うのは分かっている。
 しかし、家族のためだけど怖いから、という理由で戦場で怖気づかれてしまったら、そちらの方が危険だ。
「ただ、強くなったからと言って慢心をするな。そして、名声を得たとしても、それが誰の為であるのか、それを絶対に忘れるな」
「…………? わ、わかりました」
 静かに、アリスの言葉を聞いていたフィールだったが、最後の言葉はまだ理解出来なかったようだった。
 しかし、まだ分からなくていい。
 身に余る名誉や地位を手に入れると、人間はそれに呑まれてしまう。やがて、それが崩壊へと繋がる。
 今はまだ分からなくとも、いつかそんな状況になった時、食い止める楔になれば、それでいい。
「……さて、難しい話は一度ここで終わりにして、軽い世間話でもしようか」
 軽く微笑み、アリスはそう告げる。
 短い間だが、共に戦う仲間だ。心理的な壁は、なるべくない方がいい。
 フィールもまた、小さく頷いた。
 まだ、少し怯えているようではあったが、最初ほどではなく、どこか落ち着いた様子にも見えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

藤宮・華澄
えーと、まずは緊張を解く事よね。私の担当は女子か。
まずはお互いに自己紹介からして、そこから少しづつ打ち解けていければ。
あとは雑談して打ち解けられたらいいかな?
いきなり戦闘の事を話したら緊張したりするからね。
好きな事とか将来とか話せればいいかな。

話してると結構、明るい感じで人見知りしないのね。



 藤宮・華澄(新米猟兵・f17614)は、自分の前に現れた、眼鏡をかけた地味な少女に声をかけられていた。
「初めまして、アエネ・ラスターです。よろしくお願いします」
「う、うん、よろしくね」
 いかにもな真面目女子なのだが、ガチガチに緊張しているらしく、言葉は堅苦しいものだった。
(こういう時って、まずは緊張を解してあげるのよね)
「ええっと、私は藤宮・華澄。医療者とカウンセラーの卵……みたいなものかな? えーっと、それじゃあとりあえず……」
 うーん、と少し考える素振り。
 まず最初に、戦いに関してのことを聞くと、より一層緊張させてしまうかもしれない。
 となれば聞くのは……
「…………うん、好きな食べ物って何かな?」
「…………た、食べ物、ですか?」
 拍子抜けと言わんばかりに、キョトンとするアエネ。
「これから一緒に行動するわけだから、少しでもお近付きになりたいなって」
「…………そう、ですね……。その……アイスクリーム……が好きです」
 すこし、恥ずかしいのか、頬を紅潮させながらフィールは答える。
「アイスかぁ、冷たくて運動した後とかに食べると美味しいんだよねぇ。……なんで照れてるの?」
「その、よくイメージと違うとか、意外と子供っぽい、とか言われるので……」
「あぁ、なんだそんなこと。いいじゃない、好きな物は好きだ、で。可愛らしいしね?」
「そ、そうですか……?」
「うん、そうだよ。で? アイスの何味が好きなの?」
「ええっと、バニラです。やっぱり、王道と言いますか、後味もしつこくなくて好きです」
 そうして、二人でアイス談義へと発展していくのだった。
 見た目に反して、アイスの話になると明るくなり、緊張もほぐれたようで、笑みも時折見えるようになった。
 これで、このあとの迷宮探索も問題は無いだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​


「…………さて、私と一緒になる子はどんな子かしらね……」
 エルーゼ・フーシェン(魔剣使い・f13445)は賑やかに笑っている生徒たちを眺めながら、自分の担当する生徒について考えていた。
 どんな戦い方をするのか、どんな性格なのか。
 なんにせよ、戦いの中で役に立たなければ意味は無いのだが。
「……す、すみません! 遅れました!!」
 少し遠方から声が届く。その方向から、慌てたように走ってきたのは、髪の毛がすこし乱れた、長身の青年だ。
「……あなたが、私の担当する?」
「は、はい! カイ・クリオラと言います、よろしくお願いします!!」
 中々に、熱心な青年のようで、遅れたことに反省しながらも、深々と頭を下げての挨拶だった。
「……まぁ、構わないわよ別に。戦う時になって、あれこれ考えないようにしてくれればね」
 戦いに集中してもらえなければ、痛い目を見るのは彼ら自身だ。
 一度それで反省するのもいいが、それがなくとも、気をつけてもらえるならばそれに越したことはない。
「……それで? 一応聞くけどなんで遅れたの?」
「あ、はい。その、同じ新入生の奴に、お前の担当姿変わってね? みたいなこと言われまして……」
「あぁ…………そういうこと……」
 確かに、以前から姿は魔具によって変わってはいるし、よくそれについて問われるから慣れている。なるほどと合点もいった。
「……色々あったってことにしておいて、気にすることでもないから。そんなことより、どんな戦い方をするのか、教えてくれない? サポートするにしたって、それが分からなきゃどうすることも出来ないから」
「あ、わかりました!」
 そう問いかけると、意気揚々とカイは口を開いた。
 主武装として槍を持ち、肉体を強化して行う白兵戦がメイン、との事だった。
「それなら、戦闘は基本的にあなたが前線にたちなさい。避けきれない攻撃があったりすれば、フォローしてあげるから」
 幸い、エルーゼは近接以外の攻撃を行うことも出来る。フォローに関しては申し分ない。
 カイも、了解しましたと、ハッキリと答えているようだった。
 それからの時間、カイの怒涛の世間話で時間が埋まることになるなど、知るよしもなかったが。
エルーゼ・フーシェン
さて、私と一緒になる子はどんなのかしらね。
なんにせよ、使い物にならなければ意味ないけど。
ま、余計な事やら考えない様にいっておかないとね。
「お互いの事は知っておかないといけないわね。元の見た目と違うとか色々言われるけど」
学生たちには銀髪だったとか言われるけど、気にしてられないわ。
「ここでお互いの事知っておかないと面倒ごとになるわよ」
近接から援護まで色々あるわけだし、聞いておけばどうするか方向性も見えるでしょ。



「…………さて、私と一緒になる子はどんな子かしらね……」
 エルーゼ・フーシェン(魔剣使い・f13445)は賑やかに笑っている生徒たちを眺めながら、自分の担当する生徒について考えていた。
 どんな戦い方をするのか、どんな性格なのか。
 なんにせよ、戦いの中で役に立たなければ意味は無いのだが。
「……す、すみません! 遅れました!!」
 少し遠方から声が届く。その方向から、慌てたように走ってきたのは、髪の毛がすこし乱れた、長身の青年だ。
「……あなたが、私の担当する?」
「は、はい! カイ・クリオラと言います、よろしくお願いします!!」
 中々に、熱心な青年のようで、遅れたことに反省しながらも、深々と頭を下げての挨拶だった。
「……まぁ、構わないわよ別に。戦う時になって、あれこれ考えないようにしてくれればね」
 戦いに集中してもらえなければ、痛い目を見るのは彼ら自身だ。
 一度それで反省するのもいいが、それがなくとも、気をつけてもらえるならばそれに越したことはない。
「……それで? 一応聞くけどなんで遅れたの?」
「あ、はい。その、同じ新入生の奴に、お前の担当姿変わってね? みたいなこと言われまして……」
「あぁ…………そういうこと……」
 確かに、以前から姿は魔具によって変わってはいるし、よくそれについて問われるから慣れている。なるほどと合点もいった。
「……色々あったってことにしておいて、気にすることでもないから。そんなことより、どんな戦い方をするのか、教えてくれない? サポートするにしたって、それが分からなきゃどうすることも出来ないから」
「あ、わかりました!」
 そう問いかけると、意気揚々とカイは口を開いた。
 主武装として槍を持ち、肉体を強化して行う白兵戦がメイン、との事だった。
「それなら、戦闘は基本的にあなたが前線にたちなさい。避けきれない攻撃があったりすれば、フォローしてあげるから」
 幸い、エルーゼは近接以外の攻撃を行うことも出来る。フォローに関しては申し分ない。
 カイも、了解しましたと、ハッキリと答えているようだった。
 それからの時間、カイの怒涛の世間話で時間が埋まることになるなど、知るよしもなかったが。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャルボン・フランヴェルジュ
アドリブ・絡み歓迎。

【服装】
裾が太ももまで伸びたパーカータイプのラッシュガード。

【行動】
緊張をほぐしながら、猟兵が相手でも変に萎縮する必要はないと伝える。

【言動】
ボクが君の担当のシャルボンだよ。
実はボク、誰かを教え導くのは初めてだから、初心者同士よろしくね。
なので、もし気になることがあればすぐに聞いて欲しい。
たとえ後で調べれば良いと思う内容であってもね、人の経験込みの情報はとても貴重だから。

それと武器は使われてこそ本望の消耗品だ。
ボクは剣のヤドリガミだけど、"武器は丁寧に扱え"とは言わないから気構えなく武器を振るってね。

それじゃ、今はこのプールを楽しもうか。



「いやぁ、温水プールってこんなにあったんだね」
 広大な敷地に並ぶ数々のプールを、歩きながら見て回るのはシャルボン・フランヴェルジュ(契約魔剣(ただしご主人募集中)・f22312)。
 プールサイドをチョロチョロと走り回りながら、数々のプールに目を輝かせていた。
「……ま、待ってくださ〜い!」
 しばらく、探検を繰り返していると、シャルボンを呼び止める声が後方から聞こえてくる。
 足を止め、振り向くとウェーブがかった長髪をボサボサにしながら、息を荒らげた少女の姿があった。
「…………えっと、あ、もしかして君が僕が担当する子?」
「は、はい……ようやく追いつけました……」
 どうやら、あちこちを歩き回っていたのもあって、見つけるのに時間がかかり、声をかけようとしてもすぐ見失ってしまい、ようやく追いつけた、ということだった。
「あー、そっかごめんね? 色んなプールがあって目移りしちゃって」
「い、いえ、確かにこれは気になっちゃいますよね……」
 仕方の無いことだ、これほどまでの温水プールもそう簡単に見れるものでもない。
 目移りしてしまうのも、仕方ない。
「そうだ、申し遅れました! マリア・ルージュといいます! 猟兵の方に教えていただくのは初めてなので、至らぬ点もあるかもしれませんが、よろしくお願いします!!」
 緊張もあるだろうが、そもそもの性格でガチガチの敬語。
「あぁ、そんなに畏まらなくていいよ。僕も教える側になるのは、初めてだからさ。初心者同士よろしくね。それじゃあ、簡単にお互いのことでも話そうか」
「わ、わかりました!」
 そうして話が始まると、マリアが短剣を扱う軽装備の戦士だということが分かった。
 前線に出て、すばやさで撹乱しながら的確に敵を仕留める、という立ち回りを得意としているらしい。
「……なるほど、じゃあ探索の時は最初前に出てもらって、危ないところはフォローする感じにしようか。経験に勝るものは無いからね」
「はい、分かりました!」
「それと、1つアドバイス」
「……?」
 改めて、そう言われるとなんだろうかと首を傾げるマリア。
「むずかしいことじゃないよ。というか、ひとつの心構えみたいなこと。
武器っていうのは使われることを本懐とする消耗品だ。壊さないように、丁寧に使え、なんて言わないから、遠慮なく振るってね」
「……わ、わかりました!」
 イマイチ、真意を掴みそこねているようで、理解していないようだが、心構えなんてそんなものだろう。
「それじゃあ、時間もあるし少しプールで遊んでこようか! 楽しまなきゃ損だしね」
「…………はい、わかりました!」
 そして、二人でプールの方へと繰り出していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御桜・八重
温泉、おんせーん♪
桜色のワンピースに身を包み、ウキウキとプールへ。
わたしの担当は男の子って聞いてるけど、どんな子かな?

目つき悪っ!
無愛想でまともに返事も返って来やしない。
え、見かけで判断するのは子供だって?
アンタ、わたしとそう変わらないじゃない!
もっと成長してから言え?(つるぺたーん)
…アッタマ来たーっ!

飛びかかった途端足を滑らせて大転倒!
派手に頭を打つと思いきや…
「あれ?」
わたしの下に彼がいる。
頭に大きなタンコブこさえて。

彼を介抱しながら聞けば、
とかくこの外見で損することが多く、
つい売り言葉に買い言葉になってしまうのだと。

クスリと笑って手を出して。
「ゴメンね。わたしは八重。改めてヨロシク!」



「温泉っ、温泉だ〜♪」
 フリフリの桜色のワンピースを身にまとい、御桜・八重(桜巫女・f23090)は浮かれた様子でプールへと足を運んでいた。
 温水プールで遊べる上に、自分が後輩に何かを教えるという立場になれることも相まって、高揚してしまっているらしい。
 担当する新入生というのは男の子らしいが。
「……一体どんな子が来るんだろう」

 待ち合わせ場所は、ちょうどプール脇にある通路の入口。
 少し待っていると、ふらりと青年がその場へと現れる―――
(目つき悪ッ!!)
 現れたのは、歳で言えばそう変わらないのだろうが、その身長は高く、八重を見下ろす形になっていた。
 鋭い三白眼と、その身長差で睨みつけているようにも見えていた。
「……あなたが、私の担当する子?」
「…………っす」
 返事は小さい。そして表情も柔らかくなく、どこか強ばっていて無愛想、どちらかと言えば強面のようにも見えた。
「むっ、無愛想だし! きちんと返事してよ!」
 少しムッとして、そう語調を強めて言うと青年は視線を逸らす。
「…………見た目で判断するのは、子供みたいっすよ」
「はぁ!? 私とあなた、そう対して変わらないじゃない!」
「……それならもっと、成長してから……」
 カチーンときた。
「もうっ! 頭きた!」
 一発痛い目見せてやる! と息巻いて踏み込んだのだが、誰もが知っていることをこのとき失念していたらしい。
 プールサイドは滑りやすい。
「あえ?」
 案の定、八重はツルンっと、大きく足を滑らせた。
 思わず目をぎゅっと瞑り、痛みに耐える準備をする……が、衝撃がやってくることはなかった。
「あ、あれ?」
 目を開けば、自分の下敷きになる青年の姿がそこにはあった。突然の事で反応しきれず、咄嗟に助けようとしたのか、プールサイドに膝を擦り、微かに流血していた。
「あァァ! ご、ごめん!」
「へ、へーきっす……」
 慌てて上から退けると、痛そうに体を起こす青年。
 ひとまず、医務室へと向かった。

「…………怖がらせたみたいで、すいません」
 軽く怪我の手当をしていると、青年からそう話しかけられた。
「俺、あまり人と話すの慣れてなくて……こんな見た目だから、誤解とかも多くて……」
「……なんだ、そんな事だったのか」
 威圧的に思えていた態度は、初対面の相手との邂逅による緊張から。
 挑発的に感じていた口調は、口下手なせいで言葉選びが適切でなかったから。
 蓋を開けてみれば、ただの人見知りだ。
「こちらこそ、急に怒ったりしてごめんね? もうそんなに緊張しないでいいから! ところで、お名前は?」
「……アルス・レグザルです」
「アルスくんか、分かった! 私は八重、改めてよろしくね!」
 挨拶とともに八重が手を差し出すと、アルスはその手を握り返した。
 第一印象最悪かのようにも思えた邂逅だったが、なんとか丸く納まったようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神坂・露
レーちゃん(f14377)とローちゃん(f22361)と参加。
水着は白と青のストライプオフショルダービキニよ♪
性別関係なく歓迎ね。どんな人が来るのかしらv
「どうも~v 今回はよろしくねー」
緊張を解せるように何時もみたいに挨拶するわ。
お互いに初めてだし。お話しから始めればいいかしら。
あ。学園の話してみるわ。制服とか学園生活のこととか。
学園ってハロウィンの時からだから聞き手になるけど…。
多分それでも楽しいと思うわv知らないことだらけだもの。
一方的だと相手が困るからあたしは自身のことを。
石のヤドリガミってこととか~v
それより。レーちゃんが心配だわ。
相手の人が引いちゃわないといいけ…あ。大丈夫みたい?


シビラ・レーヴェンス
●露(f19223)ロベルタ(f22361)と。
水着はフリル黒水着に紅色のパーカーを羽織る。
「シビラだ。よろしく頼む」
新入生の性別に指定はない。
露には『優しくね? 泣かしたらダメよ?』
と。しつこく何度も念を押されたが…困った。
猛吹雪に閉ざされた場所で常に独りだったからな。
こういうのは苦手だ。どう接していいかわからん。
…会話は問題ないが。教師のようになりそうだ…。
露のような子がありがたいのだと初めて理解した。
まあ。とりあえずは…だ。
「…共にミストに入らないか?」
新入生に温泉で推奨するところが無いか聞く。
少しでも新入生と言葉を交わした方が解れる…か?
……身につけたい技術や職業を聞こう…。(諦めた)


ロベルタ・ヴェルディアナ
シビラねー(f14377)と露ねー(f19223)。
水着?そうだね…じゃあ赤いビキニで!!
生徒はねーちゃんでもにーちゃんでも大丈夫だよ。
「僕、ロベルタってゆーの。よろしくねぃ?」
緊張してそうだから笑いながら手を握ってみるよ。
「堅くならなくても大丈夫だよ~v 遊ぼ遊ぼ?」
新入生さんの希望を聞いてから温泉へ突入するじぇ!
「うぇ~いぃーv 突撃ぃー…気持ちがいいね~♪」
新入生さんの周囲でウロウロちょこちょろしてる。
端でバランスとってみたり逆立ちしてみたり~。
でも話は真剣にちゃんと隣に座って聞くよ。
…なにか気になることある?困ってることとか。
「う? 危険? …ありがとねぃ~♪」
「今度あっちいこv」



「レーちゃん、大丈夫? 新入生には優しくね? 泣かせちゃダメよ?」
「わかってる! 露は私の母親か!?」
「あっはは! 親子みたーい!」
 生徒たちが賑やかな中、また別の意味合いで賑やかになっていたのは、神坂・露(ヤドリガミ仔犬娘・f19223)、シビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)、ロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)の三人組。
 三者三様の水着を身にまとい、少し無愛想なシビラに念を押すように露が声をかけ、それに少しだけ反発するように言い返すシビラを、ロベルタが面白そうにはやし立てていた。
姦しい、という表現が正しい状態だった。どちらかと言えばプラスの意味合いで。
「……まぁ、いいさ。心配はご最もだが、私とてそれくらいは理解している。やれるだけやってみるさ」
「そう? ローちゃんは…………大丈夫よね」
「もちろん、僕は大丈夫! どんな子が来るのか楽しみだなぁ〜!」
 その前向きな様子に、心配する必要もなさそうだと露は微笑む。
 ひとまずは、各々が担当する生徒たちとの合流が優先だ。生徒たちとの親睦を深めた後に、また合流しようと話し、三人は各々の待ち合わせ場所へと向かっていった。



「は、はじめまして! アルト・ラインハルクです!」
 ロベルタの元へと訪れたのは、身長の低い、年の差もわずかだろう程度の少年だった。
「うん、僕ロベルタってゆーの。よろしくねぃ!」
 少し緊張しているようだったアルトの手を握ると、少し照れたようにアルトの頬は少し赤くなった。
「まぁまぁ、そんな硬くならなくても大丈夫だよ〜。ささ、遊ぼ遊ぼ?」
 どこに行きたい? そう聞くと、流れるプールとアルトは答え、そちらの方へと向かっていく。

「そういえば、アルトにぃはどんなふうに戦うの?」
 流れるプールへと歩いていく道中、そんな質問をなげかけた。
 これからの迷宮探索で必要な情報だ、この合間の時間に聞いておくのは効果的である。
 当の本人は、気になったから聞いてみた、という感じなのだろうが。
「僕ですか? ええっと、剣術で戦います。昔から、かっこいいなぁと思って、練習してたんです」
 話によれば、父親がこの学園の卒業生らしく、そんな父親に憧れていて、教えをこい、こうしてこの学園に入学したのだと言うのだ。
「へぇ〜、お父さん強いの?」
「はい! 町で一番の剣術使いでした。僕の憧れで、目標です!」
「そっかァ……じゃあ頑張んないとだねぃ〜」
 そういうことならば、きちんとサポートしなくては。あるとの話を聞いて、改めてそんなふうに思うロベルタだった。

「うぇえい〜、突撃〜!」
 ザブゥン! と音を立ててプールに飛び込むロベルタ。
「あ、危ないですよ飛び込んじゃあ!」
 そしてそれを注意しながら、慌てて後を追いかけるアルト。
「危ない? 大丈夫だよ〜、でもありがとねぃ〜」
 どちらが後輩なのだろう、と誰かに聞けば十中八九事実とは逆の返答がされそうな光景だが、どうも相性は良さそうだ。
「あ! 今度はあっちに行こ!」
「だ、だから待ってくださいって〜!」
 少し、この人で大丈夫なんだろうかと、思ってしまうアルトだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『鏃(やじり)の道』

POW   :    防備を固め、負傷覚悟で通路を強行突破する

SPD   :    飛来する矢を躱しつつ、素早く先へ進む

WIZ   :    罠が起動しないよう細工をしつつ、慎重に先へ進む

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

⚫MSアナウンス
篠崎涼牙です。
こちらのコピーペーストミスで、3人分のリプレイが、一人分しか送れていませんでした。
申し訳ありませんが、こちらの方に改めて載せさせていただきます。
それまでは、プレイングはお待ちくださいませ。
「レーちゃん、大丈夫? 新入生には優しくね? 泣かせちゃダメよ?」
「わかってる! 露は私の母親か!?」
「あっはは! 親子みたーい!」
 生徒たちが賑やかな中、また別の意味合いで賑やかになっていたのは、神坂・露(ヤドリガミ仔犬娘・f19223)、シビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)、ロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)の三人組。
 三者三様の水着を身にまとい、少し無愛想なシビラに念を押すように露が声をかけ、それに少しだけ反発するように言い返すシビラを、ロベルタが面白そうにはやし立てていた。
姦しい、という表現が正しい状態だった。どちらかと言えばプラスの意味合いで。
「……まぁ、いいさ。心配はご最もだが、私とてそれくらいは理解している。やれるだけやってみるさ」
「そう? ローちゃんは…………大丈夫よね」
「もちろん、僕は大丈夫! どんな子が来るのか楽しみだなぁ〜!」
 その前向きな様子に、心配する必要もなさそうだと露は微笑む。
 ひとまずは、各々が担当する生徒たちとの合流が優先だ。生徒たちとの親睦を深めた後に、また合流しようと話し、三人は各々の待ち合わせ場所へと向かっていった。



「はじめまして! レア・カリオストロといいます!」
 露の元に訪れた新入生は、快活そうな笑みを浮かべると、まず簡単な自己紹介を行った。
「どうも〜、私は神坂・露、今回はよろしくね〜」
 それに答えるように、普段仲のいい友人にするように挨拶を返した。
 どうやら、担当するレアはあまり人見知りをしないタイプらしい。
「それじゃあ、レアちゃんはなんでこの学園に来たのか、教えてもらってもいい?」
 それならなによりと、話題を振る。
 純粋な興味はもちろん、互いのことをよく知っていた方が迷宮での探索で何かと好都合だと考えたからだった。
「入学した理由ですか? そうですね……小さい頃に、ここの学生さんに助けていただいたことがあって。その時にかっこいいな、と思ったんです。だから、私も誰かのためになれるようになりたいな、と思いまして。
あと、制服が可愛かったのもあります」
「あ、確かに〜、ここの制服可愛いわよね〜」
「ですよね!」
 可愛らしいものというのは、やはり女子であれば憧れるものだ。
 それは、ヤドリガミである露にとっても、新入生であるレアにとっても例外ではない。
「それじゃあ、親睦を深めるのも兼ねて、少しプールの方にも遊びに行きましょうか。気になるところはある?」
「いいんですか? 私流れるプールの方に行ってみたいです!」
 そう言うと、行きましょう! とばかりに早歩きで向かっていくレア。
「急がなくてもプールは逃げないわよ〜」
 元気な新入生ね、とどこか微笑ましくその背中を追いかけていく。
(……そういえば、レーちゃんの待ち合わせ場所ってここら辺よね)
 流れるプールに向かう道中、そう言えばと思い出し辺りを見回してみると、シビラの姿を見つけ……
(……………大丈夫そうね)
 何とかなりそうだと、確認するとレアのことを小走りに追いかけていくのだった。



「…………君が、私の担当する生徒か?」
「……スゥ-ッ、そうっ……すね。スズカゼ・ソウバ……って言います……よろしく……頼みます……」
 シビラの元へ訪れたのは、よく鍛えられた肉体とは裏腹に、緊張しすぎではないかと思えるほどにガチガチな青年だった。
「……そ、そうか、シビラだ。今日はよろしく頼む。
…………あと、そんなに緊張しないでも取って食ったりなんてしないから、少しは落ち着くといい」
 こんな時、なにか気の利いた言葉でもかけてやれたら良かったのだが、こういった経験が少ないせいで上手く言葉にできない。
 露のような子が有難いものなのだと、改めて感じていた。
「……すいません……、俺、あまり女の人と話すの……慣れてなくて……」
 そしてポツポツと、スズカゼは話を始めた。
 幼い頃に母親が亡くなって以来、父親が一人で育ててくれていたらしく、武術を叩き込まれていたらしい。
 厳しい訓練の中で、同性と手合わせをすることは多かったが、しかし女性と関わることが極端になかったことで、女性への免疫が出来なかったというのだった。
「……なるほど、そういう事だったのか」
 そうなれば、シビラも納得した。
 女性との関わりがなかったとあれば、ここまで緊張してしまうのも分かる。
 自分も似たような境遇であったから、よく理解できた。
「……なら、そうだな……」
 気の利いたことは言えないから、どうしたものかと、少し思考をめぐらせる。
 何かないかと、当たりを見回して……
「そうだ、共にミストに入らないか?」
 同じ体験をすれば、少しでも距離が縮まるだろうと、そう提案した。
 スズカゼも、それを了承して二人でミストのある方へとあるきはじめる。
 人付き合いに慣れないもの同士、相性は良さそうであった。



「は、はじめまして! アルト・ラインハルクです!」
 ロベルタの元へと訪れたのは、身長の低い、年の差もわずかだろう程度の少年だった。
「うん、僕ロベルタってゆーの。よろしくねぃ!」
 少し緊張しているようだったアルトの手を握ると、少し照れたようにアルトの頬は少し赤くなった。
「まぁまぁ、そんな硬くならなくても大丈夫だよ〜。ささ、遊ぼ遊ぼ?」
 どこに行きたい? そう聞くと、流れるプールとアルトは答え、そちらの方へと向かっていく。

「そういえば、アルトにぃはどんなふうに戦うの?」
 流れるプールへと歩いていく道中、そんな質問をなげかけた。
 これからの迷宮探索で必要な情報だ、この合間の時間に聞いておくのは効果的である。
 当の本人は、気になったから聞いてみた、という感じなのだろうが。
「僕ですか? ええっと、剣術で戦います。昔から、かっこいいなぁと思って、練習してたんです」
 話によれば、父親がこの学園の卒業生らしく、そんな父親に憧れていて、教えをこい、こうしてこの学園に入学したのだと言うのだ。
「へぇ〜、お父さん強いの?」
「はい! 町で一番の剣術使いでした。僕の憧れで、目標です!」
「そっかァ……じゃあ頑張んないとだねぃ〜」
 そういうことならば、きちんとサポートしなくては。あるとの話を聞いて、改めてそんなふうに思うロベルタだった。

「うぇえい〜、突撃〜!」
 ザブゥン! と音を立ててプールに飛び込むロベルタ。
「あ、危ないですよ飛び込んじゃあ!」
 そしてそれを注意しながら、慌てて後を追いかけるアルト。
「危ない? 大丈夫だよ〜、でもありがとねぃ〜」
 どちらが後輩なのだろう、と誰かに聞けば十中八九事実とは逆の返答がされそうな光景だが、どうも相性は良さそうだ。
「あ! 今度はあっちに行こ!」
「だ、だから待ってくださいって〜!」
 少し、この人で大丈夫なんだろうかと、思ってしまうアルトだった。
⚫新入生の戦い方一覧
現在リプレイに登場した新入生たちの戦い方です、ご参照ください。

ウィステリア・シープ
攻撃方法:魔法攻撃

ライアス・レオンブルグ
攻撃方法:剣術

フィール・ミディル
攻撃方法:弓術

アエネ・ラスター
攻撃方法:槍術

カイ・クリオラ
攻撃方法:大鎌術

マリア・ルージュ
攻撃方法:短剣術

アルス・レグザル
攻撃方法:大剣術

レア・カリオストロ
攻撃方法:錬金術

スズカゼ・ソウバ
攻撃方法:拳闘術

アルト・ラインハルク
攻撃方法:剣術
エウロペ・マリウス
さて
お次は探索だね

行動 WIZ

魔法使いは基本的に遠距離攻撃特化が多い
稀に、自己強化で殴り合うような人もいるけれど
戦闘中に、敵を近づけないようにする工夫や、
探索中には、罠に対する対策が必須だね
まずは手本として、ボクの対策を見せようかな?

「おいで。今日は、ここがキミ達の遊び場だよ……妖精達の悪戯遊戯(ニンフ・マレフィキウム)」

妖精達に、罠に対しての応援や助言をお願いするよ
【ハッキング】【鍵開け】【封印を解く】で、ウィステリアの補助もお願いするよ
ボクは、ボクが独りでは出来ないことがあるということを理解している
そして、それを補うための手段を講じる
戦闘においても、探索においても
それが重要だと思うよ



「…………矢の飛び出す通路か……さすがは地下迷宮、と言ったところかな」
 プールでの談話を終えてから、地下迷宮への探索に次々と生徒たちが向かう。
 エウロペとウィステリアも、その例に漏れず地下迷宮へと入っていた。
 序盤の通路には大した罠もなかったが、しかし中腹に当たるだろう箇所に差し掛かると、唐突に罠の数が激増していた。
 今回は、矢の飛び出す仕掛けが複数、至る所に仕掛けられているようだった。
「……やっぱり、こういう罠って色んなところにあるんですか?」
 エウロペの言葉に、首を傾げながら質問をなげかけるウィステリア。
「……よくある……わけでは無いけど。創作にも使われている、シンプルかつ簡易的な罠だ。数が多いとなかなかに厄介だよ」
「……私、ここを抜けられるでしょうか」
「なに、魔法を使うならやりようはあるさ。まずは、ボクが手本を見せるよ」
 そう告げると、前に出て力を集中させる。
「おいで。今日は、ここがキミ達の遊び場だよ……『妖精達の悪戯遊戯――ニンフ・マレフィキウム――』」
 その呼び掛けに答えたのは、小さな球体のようにも見える、無数の妖精達。
 ウフフ、とあちこちから笑い声が響き始める。
 そして、通路へと妖精たちが飛んでいき、罠の箇所が顕になると、その射出口が凍てつく。
 罠が発動し、矢が放たれても氷がその進行を阻む、といった寸法だ。
「こんなふうに、『罠の位置の把握』をしたり、『飛んでくる矢を阻んだり』する。
そして、一人で何とかしようとしない事だ。
一人で出来る事は限られてる、それを補う手段を持っていると、かなり安定するよ」
 こういうふうにね、と、飛び回る妖精たちをさして伝える。 
「…………た、大変そうですね……」
「君ならなんとかなるはずだよ。さぁ、次は実践だ」
 そうして、指を指すとその先はまだ手をつけていない、罠の仕掛けられた通路。
 緊張の面持ちで、ウィステリアは杖を握る。
「――――告げる。
我、紅蓮を司るものなり。希うは焼却の防壁。
歩みを阻む障害、一切合切を焼き払え!」
 詠唱。
 赤色の魔力が宙に浮かび、炎へと変化すると、盾の形を象る。
 そして、その大きさは肥大化した。
「あ、あれ?」
 困惑の表情を浮かべたのはウィステリア。
 自分の魔法がここまでの効力を発揮するとは思わなかったのだろう。
「……へぇ、やるね」
 小さく、その様子に感心するように頷くエウロペ。
 その実態は、エウロペが妖精を使ってウィステリアの術式に干渉、『ハッキング』し、効果を増幅させているのだった。
 自信を持たせるために程よく強化したつもりだったのだが、その効果は元が大きかったのもあり、巨大な盾を現出させたのだろう。
 罠の射線に踏み込み、矢が射出されるが、それは巨大な炎の盾が阻む。
「それじゃあ、この調子で行こうか」
 微笑み、足を進めるエウロペ。
 待ってください! と不安そうにあとを追いかけるが、その声はどこか自信に満ち溢れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
無闇に突っ込みはしないだろう
事故が起きないよう備えておくか

界離で全知の原理の端末召喚。淡青色の光の、二重螺旋の針金細工
「戦う」相手は迷宮
構造、仕掛け、状態など必要な情報を直に辿り把握しておく

自分はこれで良いが、真似しろとも言えん
罠への注意の仕方など話しつつ、見付けられるか実地で試して進む

概ね罠は意識の死角に仕掛けるもの
単調な道の途中に
先を確認したくなる曲がり角に
罠を越えた直後
心構えがあれば咄嗟にも動ける
床や壁の傷などに変化があれば怪しいだろう

或いは部屋を丸ごと使う吊り天井や落とし穴なども

解除、或いは作動させての回避なども
失敗したと見れば『刻真』で加速し即割り込む
どうせ己はそうそう死にはしない



「……罠とは、概ね人の死角に仕掛けられるものだ」
 アルトリウスは、迷宮の道を進みながら、後ろを歩くライアスへと、罠への心構えを伝授していた。
「人間はどれだけ気をつけていても、心にどこか油断が存在する。こうして気を張りつめていたとしても、完璧に油断のない状態になることは難しい。
罠は、その微かな油断をついてくる」
 当たり前といえば、当たり前の話。
 分かりやすい場所に罠が仕掛けられていては、それは罠の役割を果たさない。
 かと言って無作為にあそこだここだと、付けすぎても互いに干渉しあってしまう。
 故に、仕掛け所を考える。
 そして効果的なのが、人の死角だ。
「もっとも手っ取り早い対策としては、罠の位置の把握だ。『顕せ』」
 手をかざし、短く告げた言葉が具現化するようにして、現れたのは二重螺旋を象った、微かに輝きを放つ針金細工。
「……それは?」
「『界離』全知の端末。これを使えば、この迷宮の構造を、完全に把握することが出来る」
 少し困惑する様子のライアス。
 それも仕方あるまい、まさか突然現れたそれが、全てを理解するために必要な端末であるとは、誰が見破ることが出来ようか。
「俺はこれを使えば、対策は可能だ。だが、やってみろ、と言って出来るものでもないのは承知している。
だから一度、さっき俺が言ったことに気をつけて、先へ進んでみろ。何事も経験だ、いざとなれば助ける」
「……分かりました」
 少し自信なさげに答えると、ライアスは先へと進んだ。
 意識的な死角、油断しきれていない心の隙。
 そこに罠は仕掛けられているという。
 コツコツと、足音が通路に響く。
 緊張感に心臓が激しく脈打つ。いつどこから来るともしれない機械的な殺意に冷や汗がふきでる。
 そして、頭の中で何かがプツンと切れる音がして。
「…………シッ!」
 反射的に、剣を振り抜いていた。
 カツンと、何かが地面に落ちる音が響く。
 それは、剣に撃ち落とされたらしい、矢だった。
「……第六感か、上出来だ」
 罠の場所に関してのヒントを与え、極限状態を強いて、どうなるか。
 どこか博打じみた考えの元、先に進ませたが、これはなかなかの原石かもしれない。
「……はぁ……はぁ……」
 ただ、その一回でこれだけ消耗したのは、おそらく初の実戦だから、と言うだけではないだろう。
 これはフォローがまだまだ必要そうだと、通路の先へと足を進めて行くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御桜・八重
矢が飛んでくる通路かあ。
矢を射掛けられる稽古はしてるし、大丈夫!
少しはいいとこ見せないとね。
「それじゃよく見ててね…って何してるの?」
アルスくんは通路に開いた穴をじっと見つめて呟いている。
「もう、いっくよー!」

気が逸って忘れてたけど、相手は機械仕掛け。
前触れも無く放たれる矢は完全に反射神経で避けるしかない。
「ひゃっ、よっ、おぉっ!」
殺到する矢・矢・矢!

けど、アルスくんが盾の様に大剣を構えて防いでくれた。
彼は穴の配置から矢の狙いを読み取っていたんだ。
うう、穴が有ったら入りたい…

でも彼の手は震えていた。
彼はまだ新入生。実戦が怖くないわけがないんだ。

わたしもまだまだヒヨッコ猟兵。
一緒に頑張らないと!



 迷宮の中へと突入すると、八重は少し自慢げに道を進んでいた。
 話によると、今回の通路に仕掛けられている罠というのは、矢を放つ古典的な罠。矢を回避する訓練をしてきた八重にとっては、アルスにいいところを見せるチャンスだった。
 先ほど、ファーストコンタクトを失敗してしまった汚名を返上しなければ。
「よし、私が先に行って矢をよけるお手本を……って、なにしてるの?」
 いざ実践、そう思ってアルスのほうを見てみると、当のアルスは通路のほうをじっと見つめていた。
「…………いや、少し気に、なって……」
 すいません、そう謝罪の言葉を口にすると、手本を見せるという八重のほうへと視線を向けた。
「もう、しっかり見ててよね。行くよー!」
 しっかりと、アルスが自分のことを見ていることを確認すると、通路のほうへと躍り出た。
 ただ一つ、失念していたのは――――
「ひゃっ! よっ、おおっ!?」
 矢の回避訓練はあくまで人間が撃っていたもの、あくまで機械的に矢を放つ穴に対しては、まったくと言っていいほど慣れていなかった。
 矢の放たれる微かな音から位置を割り出し、あとは反射神経に任せての強引な回避だ。
 危なっかしいこと、この上ない。
「……あ、やばっ」
 そんな慣れないことをしていたせいか、いいところを見せようと変に緊張していたせいか。
 通路の微かな段差に足をつまずかせ、大きな隙が生まれる
 一切の容赦もなく、そこに矢が放たれる。
 しかし、いつまで経っても痛みは来ない、届いたのは何かを弾くような金属音だった。
「……大丈夫……っすか」
 八重をかばうようにして大剣を構えていたのは、アルスだった。
 八重がつまずいた瞬間に、矢の射出口を発見し、その軌道が八重に重なっていることに気づき、咄嗟に飛び出したようだった。
「ご、ごめん、どじった……」
「平気です、とにかく、進みましょう」
 八重が回避していくのを見て、おおかたの罠の位置を把握していたらしいアルスは、大剣を逐一動かして的確に矢を弾いている。
 本来守るはずの新入生にかばわれる、そんな自分に八重はふがいなさを感じていた。
 そして、自分をかばうアルスの背中を見て、かすかにふるえていることに気が付いた。
(……まだアルスくんも新入生、実戦が怖くないわけないんだ)
 まだまだひよっこである八重だが、それでも恐怖に耐えながら自分をかばうアルスに、これ以上かっこ悪いところを見せるわけにはいかない。
「……ありがとう、さっさとこんなところ突破しちゃおうか!」
今できるのは、不安にさせないように笑顔でこの状況を突破することを提案することだけだが、アルスが自分の意志で罠の只中に突入できたのは一つの成長だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・スラクシナ
エルーゼ(f13445)と華澄(f17614)と合流して動いたほうがいいだろう。

ここからは罠がある。近づいて作動するものか、足元にあるかは分らん。
まずはどこから飛んでくるか確認したいものだ。
姿勢を低くして移動できそうならそうしよう。
難しいなら罠を作動させて、その隙を突いて突破するしかない。
『イザナギの覚悟』を杖に形成して床を叩き、調べてみる。
フィールは弓で戦うなら、石を使って調べるしかないか。


藤宮・華澄
アリス(f21329)とエルーゼ(f13445)と共に動きましょう

アリスから提案されて合流して行動しましょう。
連携を重視して動かせれば、強敵との戦いでも有利にできるかも。
罠の突破も連携すればなんとかなると思う。
槍とか長柄なら罠を調べたりできるかも?
とにかく調べてみてからね。


エルーゼ・フーシェン
アリス(f21329)、華澄(f17614)と共に動く。

さて、合流して進むことになったけどどうするかよね。
矢が飛んでくる方向とか色々あるからね。
まあ壁から飛んでくるだろうし、どのくらいの高さまで飛んでくるかよね。
通れそうなら屈んで移動かしらね。
ここで観察力とか鍛えないと、結構大変な事になるからそのつもりで。



 各ペアが個別で迷宮に突入し、進んでいく中。
 アリスの提案から、華澄、エルーゼたちの三人は合流して迷宮に挑むことになっていた。
「……確かに、合流して挑んだ方が連携について考えられるし、強敵と出会った時の対策になるから、合理的だね」
「あぁ、実際一人ではどうしようもない場面もある。一人での対処も身につけておいて損は無いが、結果的に必要なのは仲間との連携だ」
「えぇ、確かに……とはいえ、新人三人に連携もへったくれもあるかしら」
 合流した三人は、罠の並べられている通路へたどり着くまでの間、そんな会話をしていた。
 新入生三人に学ばせるのはなんなのか、実戦もまだな三人で連携ができるだろうか。
 事実、実戦の経験が少ないのならば、どんな時にどんな行動をすればいいか、その判断が聞かないだろう。
「あぁ、そこは大丈夫。私の受け持った子が凄い、真面目だったし。それに、二人の受け持った子達も、何も分からないばかりじゃないでしょ?」
 華澄は、エルーゼの言葉に答えると、三人は先に進んでいく新入生のほうへと視線を向けた。

「仕掛けられた罠って、どうやって見抜けばいいんだろう……」
「壁から微かに見える穴か、あえて誤作動させて位置を割り出すか……でしょうか」
「えっと、私も一応、弓矢を使うので、なにか参考に出来るかもしれないです……」
 新入生組は、同期であるというのもあってある程度の顔見知りであったらしく、下手にオドオドする様子はなく、仕掛けられた罠がどんなものであるかが事前にわかるとなると、どうするかと対策の会話を開始していた。
 連携、というのは互いの成すべきことを各々が自覚し、それを生かし合う。
 そのためには、互いが何をできるか、ということの把握が先決だった。
 教えることも無く、それを開始している新入生たち、ずば抜けて優秀、という訳でもないのだろうが、それでも最低限必要な技能は身につけているらしかった。

「…………ね?」
「……この調子なら、私たち必要ないんじゃないか?」
「まさか、知識や技能があるだけじゃ戦場で生きていけないの、知ってるでしょう? 経験と知識、どちらが欠けても戦場じゃやっていけない。
その心構えを教えてやるのも、私たちの仕事よ」
「……それもそうか……っと、到着したか」
 前方を歩く新入生たちが足を止めたのに気づくと、とうとう罠の仕掛けられた通路に到着したのだと気づき、三人も足を止めた。
「……さて、作戦会議は終わったな、三人とも。
場所の分からない罠に対する対策か、もしくは突破方法は思いついたか?」
 アリスがそう問うと、新入生組は頷いた。
「……えっと、ま、まず罠の位置を割り出すために、弓で矢を通路の方に放ちます。迷宮の中に入るものを拒むなら、小さなものでも反応すると思ったので……」
「それから、罠の位置が割り出せたら一つ一つ罠を発動させて、再装填までの時間があるはずなので、その隙に少しずつ進んでいきます」
「その中で、再装填の時間が想定より早かったら、僕かアエネさんが、フィールちゃんに当たらないように矢を弾いていく……どうですかね?」
 話す方法は、最も思いつくものではあるが、確かなものだ。
 一人ではできないだろうことを、協力して互いの技能を合わせて考えている。
 仮に上手くいかなかったとしても、その考えならば死に至ることは無い。荒削りではあるが問題はなさそうだ。
 及第点……と言えるだろう。
「……まぁ、よしとしよう。
だが、考えが完璧だと驕り、油断だけはするな。
それでは、試しに行ってみろ。危なくなったなら、私たちが助けよう」
 仮に、失敗しても一大事に陥らせることは無い。
 ここで経験を積ませようと、そう告げ、新入生たちも頷く。
 結果的に、新入生たちは罠をかいくぐり突破することが出来た。
 自分たちでできることを考えること、そしてそれを油断しないように行う技術。
 それを会得することに成功していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャルボン・フランヴェルジュ
アドリブ可、絡み歓迎。

この手の狭い所で一番気を付けなきゃいけないのはトラップだね。
トラップに傷を付けられるだけで戦力が下がるし、士気も下がる。
特にトラップの刃に毒が塗ってあった日は最悪だ。
一瞬で行動不能にされてしまう。

さて、この通路は丁度そんな所らしいね。
麻痺毒とか石化毒とか塗られた鏃が飛んで来る……
マリアさん、自分なりの方法でこのトラップを突破してみて、できた傷なら回復UCで治すから。

大丈夫、大丈夫。慌てないで。
たぶん緊張し過ぎて対処法を忘れてると思うから、このトラップ対策の教本を読んでから落ち着いてやろう。
(緊張しがちなマリアのために、図書館である程度の教本を借りてきた)



「いかにも怪しいって通路だね」
「そ、そうですね……」
 シャルボンとマリアがそう評したのは、今まで一定の広さをしていたにもかかわらず、突然狭くなっていた通路だった。
 シャルボンは無論、経験が足りないマリアであっても、それはもうあからさまなものだった。
「……確か、今回の罠は矢が飛び出してくるタイプのやつらしいね……マリアさん、そこの石貸してもらえる?」
「え? あっ、はい!」
 通路の端に落ちていた石を拾い上げると、マリアはそれをシャルボンへと手渡す。
 そしてシャルボンはそれを、ポイッと狭い通路へと投げ入れた。
 風を切る音。
 その原因となったのは、壁から射出された矢だった。壁へと衝突すると、壁が蠢き、生き物のようにそれを吸収する。
 無限に矢を回収するひとつのシステムなのだろう。
「……情報通りか……うん。
マリアさん、今からここ突破してみて」
「分かりました。…………ってえ!?」
 思わず返事をしてしまったらしく、数瞬の間を開けて驚愕の声を漏らすマリア。
「む、むむむりですよ! 私まだ実戦はしたことないですし、こういうとこに来るのも初めてなので……」
 突然の実戦は無理だと、そういうマリア。
 確かに、心構えも準備もできていないのに飛び込ませるのはたしかに無謀だろう。
「……ってなると思って、準備してきました。
ここに来る前に少し図書室に寄ってね、使えそうなものを見繕ってきたんだ」
 そうして、シャルボンがバッグから取り出したのは数冊の教本だった。
 マリアはそれを受け取り、中を見ると内容はトラップへの対処法。
 心構えを作るには、必要だろうと事前に用意していたものだった。
「大丈夫、焦らなくていいよ。
怪我したとしても、僕はきちんと治してあげられるから」
「…………わ、わかりました!」
 そして、二人でこれはどうだ? あれはどうだ? と作戦会議や試行錯誤の応答を繰り返す。
 そして、心構えを作り終えると、マリアは落ち着いた様子で通路の方へと進んで行った。
 飛んでくる矢を音で察知し、短剣で1発1発を弾き落としていく。
 通路終盤では、数発同時の射出を身のこなしで防御と回避を並行して行い、無傷で突破した。
 心構えさえ作れば、突破することが出来るということを、マリアに気づかせることが出来たのは、大きな前進だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神坂・露
この長い通路を抜ければいいのね。
簡単に抜けられそうだけど罠ありそう。
レアさんの今の時点での可能なことを聞くわ。
困難を克服するための方法は多い方がいい。
…って。レーちゃんが言ってた。
錬金術?ごめんなさい聞いたことないわ。
…ッ!凄いわ。学者さんや先生みたいねv
錬金術で罠の解除や破壊ができるか二人で検討ね。
そうそうUCで危険予知してダンスで抜ける。
ってあたしの思いつきも言っておくわ。
でも。可能な限りレアさんの持つ技術や方法でする。
理由は彼女のやり方や考え方を知るためよ。
うん。失敗してもいいのvあたしに教えて♪
あたしの案は。ダンスの要領で危機回避。
呼吸と動きをレアさんに合せる。使用UCは【先見の瞳】。



「……この長い通路を抜ければ目的の場所なのね……でも、罠がありそう」
「多分ありますよこれ、あちこちにこれみよがしに穴空いてますもん」
 罠の仕掛けられた通路へと到達すると、露とレアは二人で怪しげな通路を観察していた。
「パッと見た限り、簡単に抜けられそうだけどそうもいかないわよね……きっと」
 罠が仕掛けられていても、シンプルなものなら抜けるのはそう難しくもない。
 ただ、今回の問題はその数だろう。正確な数の把握が出来ないのなら、不用意な行動は命取りだ。
「……そうだ、レアさん。今あなたができること、教えて貰ってもいい?
困難を克服するための方法は多い方がいいから……って、知り合いの受け売りだけど」
 けれど、それも定石だろう。
 対策を考えるならば、その過程で利用出来るものが多い方がいい。
「私ですか? 私は錬金術が得意です……って、錬金術分かりますか?」
「……申し訳ないけど、分からないわね」
「うーん、なんて言えばいいんだろうな……簡単に言えば、特殊な薬を作ったり、素材を別のものに変換したり……みたいなものですかね……?」
 錬金術、現代科学の基礎であり、卑金属から貴金属を生み出そうとするものなのだが、それを魔法的な解釈をしたものだった。
 性能は悪いが即席の武装を作れたり、物質の構造を理解したり、特殊な薬を作ったりもできる。
「……っ! 凄いわ! そんな学者さんみたいなことが出来るのね! それで、罠を解除とか出来たりはしないの?」
「あー、難しいですね……使えると言っても、まだまだ未熟者なので。出来ても時間をかけて、物の構造を知ることだけですかね……」
 現状、可能なのはそれだけ。
 物質の変換などに関しては、まだ不可能なレベル。その過程へ至ると、物質を爆発させてしまうようだった。
「それだけでも凄いことよ、それじゃあ、どうやって突破するか考えましょうか」
 それからは、話し合い。
 不完全な錬金術を用いたとしても、それはかえって危険を招くばかり。
 露の提案では、ダンスの要領で回避をする、というものだが、ダンスをした事の無いレアにとってはそれは危険なものだった。
 あーだこーだ、あれじゃないこれじゃないと、話し合いを続けること数分。
 話し合いの結果、錬金術で、通路の構造と罠の位置を把握し、それをダンスで回避する、というものになった。
 ダンスは、露がレアをリードする社交ダンスの要領で、回避していくというものだ。
 その目論見は成功し、レアは錬金術への自信を持つことが出来た。
 錬金術が次のステップに到達するのも、そう遠くないかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シビラ・レーヴェンス
狭い通路か。となると罠の可能性が高い。
電脳ゴーグルで通路を慎重に調査。
横壁の石部分と床部分を重点的に調べる。
抜け道の可能性も考慮して探してみる。
壁の具合から罠の位置や発動箇所の判断の為だ。
電脳からの介入が可能なら可能な限り罠を破壊。
【影手】で物理的でも罠破壊を試みる。
(情報収集、ハッキング、失せ物探し、野生の勘、破壊工作使用)
「スズカゼ。君の取得技能を聞いてもいいか?」
調査しながらスズカゼの会得技術の情報も得ておく。
罠の位置把握とスズカゼの技能を使って正面突破。
私は彼のサポートだ。彼に怪我をさせないよう配慮。
身体に【オーラ防御】を施しておこう。
飛び道具迎撃の為に【念動力】を。勿論【影手】も。



「狭い通路か……となると、罠の可能性が高いな」
「……うっす」
 シビラとスズカゼは、突然狭くなった通路に到達すると、警戒するように互いに言葉を交わした。
 電脳ゴーグルを装着すると、シビラは通路を念入りに調査する。
 罠の配置や数、射線やその装弾数などを理解すれば、対策が可能だと考えたからだろう。
「……そういえば、スズカゼ。君の所得技能を教えてくれないか?」
 問題の対策は多くても困らない、今回の主役はスズカゼ、自分はサポートに回るつもりだ。
 そのためにも、どんなことが出来るのかの把握は先決だった。
「……俺は……そっすね……、武術……の中でも、縮地……っていう技と、あと勘が鋭い……ってぇ言われます……」
 縮地と第六感。
 それが現状スズカゼの会得している主な技能だ。
 試合形式の対戦が多かったおかげか、そうした実戦向けの技能はあるが、しかしワンパターンになってしまうこともあり、その二つが扱えるのみになったのだろう。
「なるほど……スズカゼ。私が罠の場所を教えたら、この道、突破できるか?」
「…………いけます」
 端的な問いに対して、単純な返答。
 矢の雨をかいくぐり、この道を突破できるという言葉。
「わかった、なら私が援護する。ここを突破してみろ」
 そう告げると、スズカゼの体に不可視の装甲が展開された。
 オーラ防御と念動力の応用だった、重さのない装甲、そしてもしものためにUCの準備も怠らない。
「それじゃあ、罠の配置を教える」
 罠の位置は非常に趣味の悪いものだった。
 回避することが出来ても、その先を的確に射抜いてくるような配置。
 しかし、それを聞いてもスズカゼは顔色ひとつ変えず、把握すると通路へと躍り出た。
 射線を上手く交わすように立ち回りながら、避けきれないものは拳で撃ち落とし、背後から狙ってくるものは首を傾けることで回避する。
 経験が事前に積んであったこともあったのだろう、通路の突破は難しくなかった。
 結果、無傷での突破が成功。
 スズカゼも立ち回りに自信がついたようで、さらに技が磨かれることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロベルタ・ヴェルディアナ
う。(ゴーグル装着)
ちょちょいと誤作動起こさせて罠を壊しちゃえ~。
難しかったら罠の起動部分を調べて抜けようかな。
「あろはうぇ~い♪」(両腕をくねらせる)
(パフォーマンス、ハッキング、学習力、利用)
一通り罠を壊したらアルトにぃーと一緒に抜ける。
僕も剣を。アルトにーと一緒に進みたいからね。
基本。フェンシングみたいに扱って矢を弾くよ。
あとは状況次第で自由気ままに思い付きで扱う。
アルトにーの剣術のサポートができたらいいな。
アルトにーと連携協力しながら突き進むじぇ!
剣の間合いより離れてる時の援護は銃で。
UC【特化した術】使用のリボルバーで撃ち落とす!
(早業、視力、第六感、クイックドロウ利用)



「あろはうぇ〜い♪」
 通路に到着したロベルタとアルトだったが、そんな声と共にゴーグルを装着したロベルタが、何かを解析するような仕草に、アルトは完全に置いてけぼりにされていた。
 何してるんだろう? と首を傾げる形になっていた。
「…………むぅ、難しいじぇ……」
 しかし、ロベルタはしばらくするとそんな声と共にゴーグルを外した。
 罠の破壊を試みたのだが、やはり迷宮の罠がそんな簡単に破壊することができる訳がなく、断念するしか無かったらしい。
「…………だ、大丈夫ですか?」
「んぅ? 平気平気〜、それじゃあアルトにー、こんなとこ、さっさと突破しちゃおう」
「わ、分かりました……って、剣使えるんですか?」
「うん、サポートするから背中は任せて?」
「わ、分かりました……」
 大丈夫だろうか、そんな心配をしながらも、アルトは通路へと突入する。
 飛んでくる矢は、本数は捌ききれないほどではないがそれでも狙いが的確で、軌道を逸らすのがやっと。
 そして、思わず捌ききれない矢が出てくるが……
「でえい!」
 短い刀身ながら、それをロベルタが代わりに弾いてくれる。きちんとサポートをこなしてくれるおかげで、アルトに矢が到達することは無かった。
 それからも、しばらくは危なくなることも無く、罠の少なくなり、簡易的な安全地帯のような場所へと到達。
 終わりかな……とアルトが気を抜いたタイミングでのことだった。
 通路の先、ゴール地点の場所。
 そこから、静かに矢が放たれた。そして気の抜いたばかりのアルトに無慈悲にも飛翔する。
 やばい、と思うことも無く、あと数十メートルとなったタイミング。
 バンッと、乾いた破裂音が響く。
 突然のその音にアルトは驚き、尻もちを着くと、その音の出処はロベルタの手に握られた一丁のリボルバーだった。
「……こういう所で気は抜いたら危ないぜぃ?」
 にししと、笑うようにそう言うロベルタに、アルトは小さく謝罪した。
 それから先は、気を引き締めたのだろうアルトも失敗することなく、無傷で罠のある通路を突破することが出来た。
 こんな人で大丈夫か、そう心配していたアルトもその考えを改め、ロベルタをしっかりとした先輩であると認識したようだった。
 そして、どんなに安全に思えても気を抜いてはならないことを、肝に銘じたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『ニキシーゴーレム』

POW   :    タイムループ
自身の【体に表示された999999の数字】が輝く間、【拳】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    タイムワープ
【敵の視界に数字の残光のみを残す】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。
WIZ   :    タイムキープ
【立ち止まって数字を高速シャッフルさせる】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
エウロペ・マリウス
最後は戦闘だね

行動 WIZ

罠は時間をかけて慎重に対応しても大丈夫だったけれど
戦闘ではそうはいかない
けれど、ボクなりの戦闘方法を教えたり、指南するにも余裕が必要だね
そのためにも……

「おいで、ボクの騎士達。今一度、ボクに力を貸して欲しい。勇敢なる騎士の凱旋(フォルティス・リッター・トリウンプス)」

騎士達にウィステリアの護衛を頼み、まずはボクがお見本
ボクの戦闘は、相手と距離を置いての遠距離攻撃主体
氷の“属性攻撃”と“誘導弾”で攻撃するよ

終われば彼女の番
危険な攻撃は、騎士達に護らせるよ
ただ、必要以上に過保護にならないように
今のうちに、戦闘中の怖さとかは知っておいておかないとね

終了後はしっかりと褒めるよ



 通路を抜けると、奇怪な紋様の扉だった。
 人の身長を優に超え、そびえ立つその扉の奥からはひしひしと、さっきのようなものが感じられた。
 猟兵であるエウロペには、慣れた感覚。事前に聞いていた通り、猟兵たちにとっては大した相手ではなくも思える。
 しかし、実戦がはじめてであるウィステリアにとっては、やはり慣れないもので、少し気後れしているように腰が引けていた。
「……不安かい?」
 そんな様子を、心配したようにエウロペは声をかける。
「…………少しだけ。授業でやったことはきちんと覚えてるはずで、練習もしましたけど……」
 初の実戦。
 猟兵が近くにいるとしても、戦場の恐怖を直に体感してはその安心も気休めにもならない。
「……なら、少しだけお手本を見せよう。
おいで、ボクの騎士達。今一度、ボクに力を貸して欲しい。勇敢なる騎士の凱旋(フォルティス・リッター・トリウンプス)」
 詠唱。
 白色の魔力がエウロペの足元に集まったかと思うと、そこから巨大な氷塊が現れ、騎士の形を象り、ウィステリアを庇うようにして現れた。
 そしてゆっくりと扉を開くと、部屋の奥に群がっていたのは機械的な災魔の群れだった。
 どこか時計的なその姿に反して、手足の着いたボディがエウロペを睨みつける。
 が、臆することなくエウロペは魔力を練り上げると氷の礫を作り出し、射出する。
 一連の攻撃は洗練され、無数に存在するとも思える敵を一体、また一体と倒していく。
 近づこうとすると、その礫は勢いをまして優先的に打ち倒していく。
「……僕達のような遠距離火力を扱うときに必要なのは、敵に攻め込まれないようにすること。接近された時の対策がなければ、ほとんど成すすべがないからね」
 パチンッ、指を鳴らすと災魔の群れとエウロペたちの間に薄氷の壁が作り出される。
 そう長くは持たないが、少しの時間を稼ぐには十分だ。
「……次は君の番だよ、ウィステリア。
さっき、矢の罠のところでやったように、いつも通りで問題ない。君がやってきたことは、しっかりと身についているはずだからね」
 そんな激励を送ると、ピシリッと壁に亀裂が走る。もうあまり時間はない。
「……わかりました!」
 前に出て、魔法を撃ち込むエウロペの姿とその言葉に、覚悟を決めたのだろう。
 前に出ると、手をかざして魔力を集中させた。
「…………」
 無言で練り上げられる紅の魔力。
 それが増幅すると共に、氷壁の亀裂は大きくなっていき、数秒もしないうちに崩れ去った。
 群れは目の前に現れたウィステリアを視認すると、襲いかかろうと走り出す。
「…………焼き払え! 『紅蓮咆哮(ブレイジングブラスト)』!!」
 練り上げられた膨大な魔力は収縮し、かざした手の前に複数の魔法陣が展開される。その術式は増幅。通った術式効果を文字通り増幅させるもの。
 そして、放たれた紅蓮の魔力弾はその魔法陣を通り過ぎると、巨大な業火となり、災魔たちへと襲いかかる。
 そう長続きしないが、局所的な瞬間火力は非常に高いその術式は、機械たちの体を焼却していった。
 息を荒らげながら、掲げた手を下ろすウィステリア。
 覚悟を決め、大量の災魔を一網打尽にする魔法を展開したとはいえ、初の実戦、そして多大な魔力を消費したことになる。疲労が蓄積されるのも致し方ない。
「……一番最初に大技を出すと、そんなふうにバテてしまうからあまりおすすめはしない。敵との力量差を考えるのが大切だ。
でも、いい魔法だった。君は十分もう戦えるよ」
「……そ、それは……良かったです……」
 エウロペの言葉に、疲れながらも笑みを浮かべるウィステリア。
 ウィステリアの中でそのエウロペの言葉は大きな自信となっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御桜・八重
【POW】

わたしを守ってくれるアルスくん。
仄かな思いが芽生えていたのだけど…
大切にしている写真を見ちゃった。
彼女さん、だよね…

って、落ち込んでるヒマは無いっ。
ゴーレムが襲撃中なんだから!

敵は手数が多くてアルスくんの剣技では捌き切れない。
「下がって! わたしが突破口を開くっ」
桜色のオーラで護りを固めて耐える。
策は無いけど、とにかくここを支えなきゃ。
絶対、ずえぇったい、あきらめない!
拳が止まったらすかさず【スクワッド・パレヱド】!
敵に組み付いてそのまま突進。
「アルスくんっ」
彼の突き出す剣先に弾き飛ばす!

「アルスくん、色々ありがと。お幸せにね!」
最後は笑ってお別れ、だよ!
(写真はお姉さんだそうです)



「…………はぁ」
 矢の飛び交う通路を抜け、最後の部屋へと向かう道中、八重はどことなく落ち込んだ様子でため息をついた。
 時間は少し遡り、罠の通路を抜けた安全地帯での休憩中。もっと親睦を深めようと、なにか話題でも振ろうかと考えている中、見てしまったのだ。
 アルスがかけていたロケットペンダントに入った、一人の女性の写真を。
 それは、この短時間の中で育まれた、八重の中の淡い想いが砕けるには十分なものだった。
(……きっと、彼女さん……だよね)
 迷宮で命懸けの時でも、肌身離さず持っているのなら、それ相応に大切なものなのだろう。
 ならば、そう考えるのが自然だった。
「……どうか……しましたか?」
「えっ!? な、なんでもないよ!!」
 心配そうに、声をかけてきたアルスに、思わず驚き、あたふたと返事をする。
 いけないと、自分の頬をパンッと叩いて、気合を入れる。
(こんな所で落ち込んでなんて居られない、この先に災魔がいるんだから)
 まずは、目先の問題を解決するのが先だ。
 そう自分に言い聞かせて、そして、その部屋へとたどり着いた。

 扉を開けば、そこには大量のゴーレムの姿があった。
 しかし、これはあくまでも新入生への洗礼だ。ゴーレムを倒すこと自体は、そう難しくない。実戦に慣れさせるのが目的なのだから。
「……よし、行こうかアルスくん! サポートするよ!!」
「……了解っす」
 そう互いに声を掛け合うと、アルスは前線へと走り出した。
 大剣というのは、その巨大な質量をぶつけることで敵をなぎ倒す、そういう武器だ。
 前線で戦うことに関しては、スペシャリストだ。
 だがそれも、もちろん使い手による。
 勢いに任せて、大剣を振るえばゴーレムの部品は砕け、薙ぎ払えば何体も巻き込んで破壊を撒き散らす。
 しかし、多勢に無勢という言葉があるように、やはり数の暴力に対しては、慣れない実戦において不利になるのは当然のこと。
 途中から適応されたのか、まるで『時空が歪んだように』攻撃が躱され続ける。
 疲労からの焦りで杜撰になる大剣術で、さらに大剣は躱され続ける、完全に悪循環。
「…………アルスくん!!」
 しかしそれは、一人で戦っていればの話だ。
 ゴーレムの集団の最後列に、密かに回り込んでいた八重は、その後列から呼びかける。
 彼女の仕事は、『アルスのサポート』
 仲間の協力が必要である技を持つ彼女にとって、それはひとつのメリットでもあった。
 体を、桜色のオーラが纏い、地を蹴る。
 たとえ多勢に無勢だとしても、それをひっくり返すまで諦めないという、確固たる意思が彼女の中にはあるのだから。
 最後尾のゴーレムへと突進すると、そのまま足を動かし続ける。
 敵の背後から、不意打ちの如く放たれたタックルは止まることを知らずドンドンと突き進み、そしてアルスの大剣の切っ先は、そのゴーレムの集団へと向けられていた。
「…………穿て、『剛牙烈刃』!!」
 大剣を両手に、そして力任せに突き出されたその切先はゴーレムたちを穿ち、砕き、破壊する。
 それが決定打となり、敵の連携は瓦解、残る敵は二人での各個撃破により、破壊することに成功したのだった。
「……ふぅ、お疲れ様アルスくん!!」
「お疲れ様っす……助かりました」
 二人、疲労に肩で息をしながらも、笑みを浮かべてハイタッチを交わす。
 同じ戦場を共にしたのならば、それだけの信頼関係が結ばれてもおかしくはない。
 そして、二人部屋をあとにするべく、歩き出すのだった。
(……お幸せにね、アルスくん)
 そんなことを念じながら、八重は帰路を急いだ。
 しかし八重は知らない。あのロケットペンダントの写真に写った女性が、アルスの実の姉であり、アルス自身はその口下手故に彼女なんてできたことは無いのだと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
数を捌くことも経験しておくべきだろうな

敵へは顕理輝光で対処
攻撃へは『絶理』『刻真』で異なる時間に自身を起き影響を回避
全行動は『刻真』で無限加速し隙を作らず
攻撃分含め必要な魔力は『超克』で“外”より汲み上げる

ライアスの支援を主に
魔眼・封絶で拘束
『天光』で捉える全個体を同時に
行動と能力発露を封じる魔眼故、捕らえればユーベルコードも霧散する
何をしていても消え失せるだろう

確実に仕留められる筈
少しアドバイスなども
前で戦う時に仕留める相手は、味方にとって危険な個体からが望ましいだろう
今なら近い個体
場合によって遠隔の攻撃手段がある個体

不測の事態に備える意味で、敵勢は常時視界に収めておくよう務めると良い



 ただ静かに、通路に靴音を響かせる。
 アルトリウスとライアスは、道中での雑談が他のペアと比べていささか少なかった。
 互いに真面目、互いにあまりコミュニケーションを得手としないというのもあって、するのは戦闘でのアドバイスを思いついたら、というものだった。
 しかし、ライアスはそれを不快には思わなかった。真摯に戦闘に向き合っているから、と言えば他の新入生も同じだが、純粋に自分の行っていることへの知識を欲していて、それを実戦に取り入れようとする、そんな挑戦的な青年であった。
「…………さて、覚悟は出来ているかライアス」
 部屋の前へと到達し、後ろを着いてきていたライアスへと問いかける。
「勿論です、ここまで来て逃げ出したりなんてしませんよ」
「……なら、今日最後の授業だ」
 呟き、部屋の中へと突入する。
 部屋の奥には、無数の機械、ゴーレムが蠢き、侵入者に気づくと動き出す――――
「『淀め』」
 ことはなく、まるで何かに縛りつけられたかのように、ピタリと動かなくなった。
 それがアルトリウスの能力であることをこの場で疑うものはいない。
「前線で戦う時、まず撃破すべき敵はなんだと思う」
 まずは問答。
「…………危険な相手から?」
「その通り、脅威となるべき対象から、今回の場合は一番近いあのゴーレムだ。
そして、場合によっては遠距離攻撃を行ってくる敵を襲撃した方がいい。仲間がいるなら対処も用意だが、一人では立ち回りに支障が出る」
 きっと、ライアスも一人で戦うことだけが全てでないことは分かっているはずだ、そう考えてのアドバイス。
「どんな場合でも、不測の事態というのは起こり得る。必ず、とは言わないが、なるべく敵勢は視界内に収めておくことが望ましい」
 どんな場面においても言える、普遍的なアドバイスだが、それは必然的に重要になってくる。
 例えどんな状況、仮にそれがスポーツだったとしても、視野を広く持つことは重要だ。
「今言ったことに気をつけて、実戦だ」
 その言葉で、一度魔眼の効果は消える。
 困惑しながらも、ゴーレムたちは再度自由を得た体を動かし、ライアスたちの元へと動き出す。
「…………それじゃあ、行きます」
 抜剣し、地を蹴った。
 教えの通り、狙いは最前列。
 勢い強く、剣を叩きつければゴーレムの部品は破壊され、液晶が砕け散る。
 時空の歪みが生じ、まるで時系列が書き換えられるような現象が起きようとも、第六感が働き、その一手先を読むようにして剣戟を放つ。
 集中し、神経が研ぎ澄まされていくことで段々と視野が狭まり、敵の攻撃が見えなくなっていく。
 その度に、アルトリウスが檄を飛ばして注意し、危険なタイミングでは援護を飛ばす。
 そして、徐々に教えが身についていくのを感じながら、ライアスは剣を構える。
 第六感を駆使し、最善の行動を取り、時系列変動をも無効にする。
「――――時穿ち!!」
 集団戦により、その試行回数は重なり、ゴーレムが全滅する頃には第六感をも使いこなせるほどに熟練していた。
「…………はあ、はぁ」
 疲弊で肩を息をするライアスの肩に、アルトリウスは手を置く。
「よくやった、だが俺が言ったことをそのまま受け入れて続けても意味は無い。お前の経験を元にアレンジして、自分のモノにしていけ」
 それが最後のアドバイス。
 教師と生徒と言うより、師弟関係に似た関係だったが、確かな信頼関係がそこに育まれたのは確かだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・スラクシナ
エルーゼ(f13445)と華澄(f17614)と共に行動

相手は時間を操作するタイプの敵か。
下手に固めると危険だろうね。散らばって応戦するのがいいかもしれない。
【残像】で空振り誘い、『イザナギの覚悟』を刀に形成して手や脚を狙って攻撃する。
動き回って翻弄し、気を引きつける。

アドリブOK


エルーゼ・フーシェン
アリス(f21329)、華澄(f17614)と共に動く

さて、相手は面倒な能力持ちなようね。新人には荷が重い……どこまでアシストできるかね。
『死を齎すもの』は紅い光刃の双剣にしておく。
【野生の勘】で動きを読みながら回避、攻撃の隙を突くスタイルで数字の部分を狙ってみる。
動きを読むことも大事。必ず隙があるはずだから狙うのもありよね。

アドリブOK


藤宮・華澄
アリス(f21329)とエルーゼ(f13445)と共に行動

後方支援に回るわね。
新入生たちに危険が及ばない様に注意しつつ、『ヴァナディース』で【援護射撃】するわね。
相手の動きが読みにくいと思うから、気をつけないと。
負傷してもすぐに対処できるように教えたほうがいいかも。
応急処置覚えてくれたら万が一の時でも大丈夫だからね。

アドリブOK



 鏃の通路。
 最初こそ不安が残ったが、しかしフィール、アエネ、カイの新入生三人組は自らその突破方法を考案し、自分たちなりの連携をして、無事罠をやり過ごし突破することに成功していた。
 アリス、エルーゼ、華澄の猟兵三人組は無論、罠の位置を把握すれば手こずることも無く、熟練した連携でその通路を駆け抜けた。
 そして、災魔の待つ最後の部屋のある扉前まで歩く道中に、各新入生に対して、アドバイスをしていく。
 例えば、必要となる技能。
 怪我をした時の手当の仕方や、敵と戦う時の心構えはもちろん、自らが経験してきた戦闘などでの体験談。
 フィール、カイにとってそれは憧れてきた猟兵の英雄譚を語られているようなもので興味津々に聞き入り、知識に不足はないアエネにとっては、実戦経験における考え方と言うのはとても身になるものだった。

「……さて、災魔の待つ部屋にたどり着いたは良いが……なかなかに厄介な敵らしい」
 部屋の扉を開き、視界に映るゴーレムの姿に嫌な予感を感じながら、アリスは口を開いた。
 数は圧倒的、六人に対して計測不能。
 そのうえ姿を見てから、甘く見てはいけないと、経験からの直感が告げていた。
 片手に刀を形作り、構えをとる。
「これを新入生に相手させるのは、いささか酷じゃないかしら。学園も何を考えてるんだか」
 エルーゼは紅の双刃を生み出し構える。
 本来の主役は新入生たち、だがこれを三人に任せるには些か酷だと判断したのだろう、戦闘準備を整える。
「……そういうことなら、私は支援に回ろうかな。
遠距離からの支援についても、教えなくちゃならないだろうからね?」
 華澄は静かに告げると、取り出したのはヴァナディースと呼ばれる魔力式ライフル。
 弾種切替を可能としたライフルを、そっと構えた。
「新入生組、罠の通路を突破する時に話し合っただろうから、もう互いの役割は理解しているな。
今まで私たちが教えたことをフル動員してやってみろ。危険になれば支援する、だから怯えず、存分に」
 そう喝を入れると、新入生たちも自らの武装を取り出した。
「……では、行きましょうか二人とも」
「うん、僕達だってやれるんだって証明しようか」
「は、はい! 援護は任せてください!」
 三人も覚悟を決め、アエネとカイが地を蹴った。
 槍を構えたアエネはまず、先頭にいたゴーレムに穂先を向けると、勢いよく突き出し、その胴体を勢いよく貫き、横に薙ぎ払うようにして槍を引き戻すと別の個体めがけて振り下ろした。
 先手を取ったが、大振りな攻撃をしたアエネに対してゴーレムが腕を振るい始める。
「残念、アエネさんには手は出させないよ!」
 その腕を、カイの鎌が両断する。
 弧を描くように回転しながら、カイの鎌はゴーレムを切り刻んでいく。
 数体倒すと、ゴーレムたちの挙動に変化が起こる。胴体部分の液晶にうつる数字が、高速でのシャッフルを始めた。
 ゴーレムたちにとっては、戦士が構えを取る行為と似ているそれが始まると、しかしそれは降り注ぐ矢がそれを妨害する。
「さ、させませんよ!」
 矢筒から矢を引き抜き、絶え間なく放ち続けるフィール。
 それでも、相手どれている個体は全体の2割程度。残り八割は完全にフリーとなっているが。
「……最後に大変な仕事を残してくれたな、全く」
「でも、この程度なら私たちの相手ではないでしょう?」
「だね、怪我したって手当はしてあげるから安心して!」
 エルーゼが速度にのり、ゴーレムたちの注意を引き付け、その隙をアリスが刀を握り、ゴーレムの四肢を切り刻む。撹乱されることの無い個体は、華澄の的確な狙撃によって動きを止められ、アリスによって破壊される。
 新入生たちの付け焼き刃でありながらも、ある程度の熟練度に達している連携と、アリスたちの洗練された連携、またその技術によってそう時間を待たずして、ゴーレムたちの殲滅は完了することとなった。

「…………な、何とかなったね……」
「えぇ……私たちでも戦えます……」
「み、皆さんが無事でよかったです……」
 疲弊するように、肩で息をしながら互いの戦果を確かめ合う新入生組。
 そんな三人を眺めながら、少し離れたところでアリスたちは息を落ち着かせながら、新入生たちの成長を確かめていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シビラ・レーヴェンス
スズカゼと共闘。
戦闘は前回聞いたスズカゼの技能を軸に行う。
彼の勘と歩法を駆使し私はそのサポートだ。
対複数戦は不慣れだろうがすぐ慣れる…気がする。
スズカゼの傍らに居て魔術と声掛けて補佐。
UCを弾幕や囮に利用したり追撃対策に行使しよう。
(早業、高速詠唱、全力魔法、範囲攻撃、二回攻撃、使用)
スズカゼの動きを阻害せず自由に動いてもらう。
彼はその方が力を発揮するだろう。
そうそう。指導も仕事内容にはいっていたな。
彼は言葉で説明するより体験や実践の方がよいだろう。
相手や周囲の観察。連携や協力…参考になるよう行動。
僅かでも記憶に留めてくれるよう努めよう。
(見切り、第六感、野生の勘、オーラ防御、使用)



「…………ッスー、多いっ…………すね」
「そうだな……新入生への洗礼と思って、甘く見ていた」
 スズカゼとシビラの二人は、通路を抜けた先の災魔のまつ部屋へとたどり着くと、その圧倒的物量に思わず息を飲んだ。
 およそ二人で戦うには、いささかそれは多すぎる気もする。熟練した猟兵が二人もいればまた話は別だが、こちらは新入生が一人、ある意味ハンデを背負っているとも言えた。
 だが、悲観することは無かった。
「……スズカゼ、やれるか?」
「…………援護……頼みます」
 シビラの質問にそれだけ告げると、スズカゼは地面を蹴り走り出した。
 半ば瞬間移動に近い速度での突進には、さしものゴーレムも反応しきれなかったのだろう。
 握りしめられた拳が、その胴体に鋭く突き刺さると、液晶に映る数字が消え、絶命を示す。
 伊達に人間相手とはいえ、試合をこなしてきていた訳では無いのだろう、その動きはやはり洗練されている。
 しかし、問題はある。
 基本的に武術での試合は、乱戦になることは無い。一対一、タイマンであることがもっぱらだ。
 ゆえに、対複数戦闘にはまだ適応しきれていない。
 不意打ちのように放たれるゴーレムの拳を、既のところで察知し躱してはいるが、それもやはり限界がある。
「…………スズカゼ、頭を横にずらせ!」
 後方からの叫び声に、慌てて頭をそらすとその場所を蒼い槍が通過し、不意を打とうと飛び出したゴーレムを貫き、頭を逸らした勢いのまま、別個体のゴーレムにその足を振り回し、薙ぎ払う。
 スズカゼは徐々に敵と距離を取り、向かってきたゴーレムに対してカウンターを放つ戦法へと切り替えた。
 複数の敵を相手取り、強引に一対一を作りだす、武術特化のスズカゼの立ち回りとしては、ある意味最適解が導き出されていた。
 そして、スズカゼの邪魔にならないように、後方からの弾幕を張り、不用意な敵の接近を許さない。
 武術家とウィザードの連携が、そこにはあった。

「………ぜぇ……ぜぇ」
 山のように積まれたゴーレムの残骸を前にして、スズカゼは膝をつき、荒くなった息を落ち着かせようとしていた。
「……お疲れ様、よくやったな」
「…………ッス」
 シビラが労いの言葉をかけると、少し照れくさそうに微笑み、小さく頷く。
 初めこそ、互いにコミュニケーションになんがあるかのように思えた二人だったが、戦場の中で仲間意識が芽生え、そしてスズカゼも災魔を相手取る覚悟と技術を会得したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロベルタ・ヴェルディアナ
アルトにーと二人で撃破するじぇ!
今回も愛剣使ってアルトにーのサポート。
【軍神の剣術】ってUC利用するね。
基本はアルトにーの戦い方にあわせる感じで。
僕は前に出過ぎないようにしよーかな。
「大丈夫。一人じゃないじぇv」
ちまいとどうしても力押しとかできないよね。
だから戦い方は相手の力の利用が大切になるよ。
具体的にいうと例えば…今回のゴーレムだとね。
力を絡め取って別の方向に流す感じで弾いたり。
一点集中の突きで装甲が貫けるか試してみたり。
足を使って攪乱ってゆーことも効果的だよね。
それから前回の罠突破の時みたく連携と協力。
背の低さを利用して死角から攻撃も有効だよ。
…大きい身体の陰に隠れさせて貰って…とかね。



 沈黙に包まれた一つの広間。
 そこに広がるのは、無数のゴーレムが整然と並ぶ奇妙な光景だった。
 物音一つならず、かすかに何かが動くことも無い。まるでそこだけ時間が止まってしまったかのような空間が――――
「突撃だじぇー!!!!」
「よ、よいしょー!」
 ハイテンションなロベルタと、少し恥ずかしげにそれにならうアルトという二人の掛け声と共に蹴り開けられた扉によって、ぶち壊された。
 突然の出来事に挙動不審になるゴーレムたち、不覚にも敵の不意をつくことに成功していたようだった。
 アルトは何が起きたのか分かっていないようだったが。
「ドッキリ大成功……だね」
「それは大成功なんですか……?」
 疑念の混ざったツッコミがアルトから放たれるが、それに関してはノータッチでスルーしていくロベルタ。
 そんな雑談も程々に、二人は自らの得物を抜剣した。
 それにより、ようやくそれらが侵入者であり、外敵であるとゴーレムは認識したようだった。
 臨戦態勢を取り、無機質な存在にもかかわらず、殺気を放つとアルトは萎縮したように、どこか腰が引けていた。
「……大丈夫、一人じゃないじぇ」
 そんなアルトの背中をバシンッ!と叩くロベルタ。
 その喝に、アルトは恐怖をねじふせ、目の前のゴーレムを直視する。
 一人ではない、最初こそ頼りないと思っていたが、その腕前と明るさが取り柄の、先輩がいる。
 それは、戦う覚悟へと繋がる。
「それじゃあ、行きます!!」
 アルトは地面を蹴りつけ、ゴーレムの元へと疾駆する。
 ロベルタも、つかず離れずの距離をとり、走り出した。
 アルトの速度は、戦闘になれているものにとってはそう早いものでは無い。
 故に対応には大した技術も能力も必要は無い。勢いよく振りかぶったゴーレムの拳が、アルトへと振り下ろされる。
『……ちまいと、どうしても力押しとか出来ないよね』
 思い出すのは、道中聞いたアドバイス。
 小柄だから力に自信が無いと、少し弱音を吐いた時の事だった。
『力がないなら、相手の力を利用しちゃうのが大切だよ』
 武道でいえば、合気道と通ずるものがある。
 相手の力を受け入れ、別の方向へ受け流す、それによって相手を転倒させたり、自分よりもガタイのいい相手を投げることもできる。
 それと同じだ。
「…………ここだ!」
 振り下ろされた拳目掛けて、突き出したのは剣の切っ先。
 アルト一人の力では浅く傷つけることしか出来ないだろうが、しかしそこに相手自身の膂力も含めるとするならば、話は別だ。
 突き出された切っ先は、ゴーレムの装甲を貫き、破壊し、そしてそのまま片腕を丸々粉砕してのけた。
 敵の動きや力を利用して放つカウンター、純粋なパワー勝負での戦い方しか知らなかったアルトにとって、それは躍進だった。
「…………さすがはアルトにーだじぇ」
 教えたことを実戦するのは、やはり練習を重ねなければならない。
 それをぶっつけ本番でやってのけるとなると、相当な技術が必要だ。
 力がないなりに、努力してきたことが伝わってくる。
「……それなら、私はアシストだじぇ!」
 多数の注目を引き付け、小柄さを生かしたスピードで撹乱する。
 怪しい動きをする個体を発見したならば、その発生源となっているであろう胴体の液晶を破壊し発動を阻止、そのまま装甲を砕き破壊する。
 二人の小柄な戦士によって、その部屋のゴーレムは全て、スクラップとなるのだった。

「アルトにー、お疲れ様!」
「……お、お疲れ様です……ありがとうございました……」
 ロベルタが労いの言葉をかけると、疲弊した笑みを浮かべながら、地面に座り込んだままアルトはロベルタを見上げた。
 初の実戦、初めての技術、それを同時にやってのけたのだから、疲弊もするだろう。
 少し休息をとると、学園へと帰りながらどんな技術があるのかなどを話し合うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年12月10日


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#アルダワ魔法学園


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

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