アースクライシス2019⑧~Tri Cerat!
●パンゲア大空洞
モニュメントバレーの更に向こう側、深い洞窟の奥。
其処はパンゲア大空洞と呼ばれる場所。様々な植物に覆われた恐竜が住まう地底だ。
篠懸の樹に白木蓮、映日果。
巨大化した植物が生い茂る其処には、角を持つ恐竜達が闊歩していた。
トリケラトプスにスティラコサウルス。
ディアブロケラトプスやモノクロニウス。
その区域一体は角竜と呼ばれるケラトプス科が多く生息しているようだ。揺れる篠懸の葉の下で寝転ぶもの、家族らしい一団で水辺で休むもの。地面に生えている植物を食べ続けているものまで見え、とても平和だ。
更にこの辺りには浮遊する巨大な岩が多くある。
それらは定期的に、ゆっくりと上下や左右に動いているので恐竜たちの移動手段にもなっているらしい。
高い樹々の上まで浮遊する岩に乗って、上空の草を食みに向かうトリケラトプス。
暫し待っていれば橋のように並ぶ浮遊岩を悠々と渡るモノクロニウス。ネドケラトプスやエイニオサウルスなどの巨体にも揺らがない程の巨岩の数々。
そのような不思議な空間が形成されているのには理由がある。
それは――パンゲア大陸内に隠された鍵の石板が齎す魔力のおかげだということ。
●角竜達の楽園
「そんなわけでみんな、恐竜の世界に行こう!」
メグメル・チェスナット(渡り兎鳥・f21572)はヒーローズアースの戦況を語り、次の局面に進むにはパンゲア大空洞の探索が必要だと話した。
探しものはセンターオブジアースに繋がるという『鍵の石版』だ。
石版によって道が開かれると言われているのだが、そのためには恐竜が闊歩する中に向かわなければいけない。
「みんなを送る場所は角竜族が多いところみたいなんだ。代表種はトリケラトプスって言えば伝わりやすいかな? そいつらは草食だしオブリビオンじゃないから危険度は低いんだけど、ちょっと縄張り意識が強いらしいんだ」
角竜達は基本的に温厚だが、テリトリーに入ってきた異物を好ましく思わない。
しかし、敵意や武器を向けなければ次第に慣れてくれる。
ただ普通に暮らしているものたちなので出来る限り攻撃を行わないで欲しいとメグメルは願う。友好的な雰囲気で向かえば向こうも無理に襲ってくることはないので、寧ろ仲良くなれるはずだ。
「恐竜たちは十メートルくらいあるからかなり大きい。でも、必要以上に怖がったら向こうも怖がって逃げてくから気をつけて!」
大切なのは普通に接する心だとしてメグメルは念を押す。
辺りは巨大植物と浮遊岩石で入り組んでいる。
しかし、恐竜たちの行動範囲内に石版があることが予測された。
恐竜たちと触れ合って自然に案内して貰うか、もしくはその後ろをそっとついていくかなどで周辺を探索すれば件の石版も見つかるだろう。
「それじゃあみんな、いってらっしゃい! 恐竜との触れ合いと探索、頑張ってな!」
皆に任せればきっと鍵は見つかる。
そう信じた少年は大きく手を振り、猟兵達の背を見送った。
犬塚ひなこ
今回の世界は『ヒーローズアース』
このシナリオは一フラグメントで完結する戦争シナリオとなります。
こちらはご相談期間などを考慮して【2019年11月17日 8:30以降】よりプレイングを募集致します。それ以前に送って頂いても採用はできませんのでご注意ください。
描写は先着順ではありませんが、多くのご参加を頂いた場合は早期にプレイング受付を締め切ることがあります。ご了承頂けると幸いです。
●プレイングボーナス
『恐竜を無力化する/仲間にする』
●楽しみ方
恐竜と触れ合い、不思議な世界を探索する冒険気分でどうぞ!
基本的に猟兵さんたちが武器や敵意を向けなければ戦闘は発生しません。
背に乗ったり、戯れたりなど、恐竜と遊んでいるうちに石版が見つかるかもしれないので探索に力を入れすぎなくても大丈夫です。イベントシナリオの雰囲気です。
もちろん、探索に全力を振って頂いても構いません。
(最近の検証等で実在が定かではない角竜種もいるかもしれませんが、今回は存在するものとして扱います。細かいことはどうかお気になさらず!)
また、石版を見つけるのは一組様だけとなります。
発見判定はプレイング+ダイスで決定し、リプレイのラストに個別シーンを追加します。残念ながら発見できなかった方の石版シーンは描写できかねますので、どうかご了承ください。
第1章 冒険
『パンゲア大空洞の大冒険』
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POW : 探索の妨害となる恐竜を力づくで排除しつつ、正面から探索する
SPD : 見つからないように移動するなどして恐竜に邪魔させず、周囲の状況を良く確認し、探索を有利に進める
WIZ : 知恵を駆使して恐竜を懐柔あるいは排除し、探索の為の作戦を考案する
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
栗花落・澪
ふふ、平和だねぇ
この厳しい情勢で、少しでもこんな環境が残ってるのは嬉しい事だよね
それを活かさない手はないんじゃない?
風魔法を★Venti Alaに宿し
翼の飛行力、空中歩行、ジャンプ力で【指定UC】
楽しげな【歌唱】を響かせ笑顔の【誘惑】を振りまきながら
足場の動きをしっかり注視、【見切り】
【ダンス】の要領で軽やかにステップ、時にはジャンプ
流石に恐竜さんは危ないからリズム誘導はしないけど
振りの合間に★Candy popを【投擲】でお口にプレゼント
楽しくて幸せな雰囲気、友好的な想いを伝えられたら
探しものがあるんだ!こういう形の石版!
そのために色んな所に移動しなきゃなんだけど…
皆、手伝ってくれないかな?
●翔ける歌と大空洞の冒険
辺り一面の緑。
揺れる樹々、浮遊する岩々。その中を悠々と闊歩する恐竜達。
広大で巨大な世界が広がる場所――此処は、パンゲア大空洞。
「ふふ、平和だねぇ」
澪は大空洞の景色を見渡しながら穏やかに翼をはためかせる。
浮遊するちいさな岩場に降り立った澪は笑みを浮かべ、眼下の光景を見つめた。
自然に口許が緩む。今は戦争の最中だが、この厳しい情勢で少しでもこんな環境が残っているのはとても嬉しいことだから。きっと、それを活かさない手はないはず。
見れば、すぐ近くにトリケラトプスの親子らしき影があった。
「よーしっ!」
爪先で岩場を軽く蹴った澪は靴に風の魔力を乗せる。それと同時に彼の背にある羽根にも似た翼が靴に生えた。
そのまま空中に踏み出した澪は両手を大きく左右に広げてゆく。
「――僕の舞台へようこそ! さあ、歌うよ!」
空から地上に向けて、澪が響かせていくのは伸びやかな歌声だ。楽しげに、そして明るく紡がれる歌は周囲に広がっていった。
宙を翔けるようにステップを踏めば、琥珀色の髪が印象的に揺れる。
その声に気付いたトリケラトプス達は何事かと頭上を見上げた。だが、すぐに澪に敵意がないことを判断して暫し彼の歌に耳を傾けていく。
こんにちは、と告げるように手を振った澪は更に歌を続けていった。
「――♪」
自由に、高らかに響かせる音は心地よさを周囲に宿していく。
空中で舞い踊り、歌う澪。
華麗かつ可憐なステップで以て浮遊岩に飛び移り、時にはくるりとジャンプをしてみせる澪の姿はこの景色の中で輝いている。
そして、澪は地上の恐竜達に向けて魔力の込められた飴玉を散らしてゆく。
「ほら、プレゼントだよ。召し上がれ!」
可愛らしいキャンディがきらきらと光を散らしながら落ちていく中、澪に興味を持ったトリケラトプスの子供達が寄ってきた。
ふふ、と嬉しそうに笑んだ澪は歌を終え、ふわりと其方に着地する。
手を伸ばすと恐竜は何の警戒もなく澪の手を受け入れた。子供といってもちいさな澪と比べると大きい。かっこいいね、とその前足を撫でた澪は彼らに告げてゆく。
「聞いて、探しものがあるんだ! こういう形の石板!」
腕で円形の長方形めいた形を示した澪はぴょんぴょんと飛び、トリケラトプス達に石の板を探しているのだと伝えた。
「そのために色んな所に移動しなきゃなんだけど……皆、手伝ってくれないかな?」
すると、そのうち一体がおいでというように歩き出す。
それが澪と遊びたいが故なのか、案内をしてくれる意図なのかはわからないが、協力してくれる意志は感じられる。
「ありがとう!」
澪は朗らかに笑み、恐竜達が示す先へ一緒に進んでいった。
明るい未来を懸命に目指す少年。その冒険が今、此処から更に巡っていく。
大成功
🔵🔵🔵
秋月・信子
・WIZ
は、はわわ…きょ、恐竜です
本物の恐竜の世界です
(本でしかの存在が目の前に居る気持ちは分かるけど、今はロストワールドに興奮してる暇はないわ。ナビゲートするからさっさと石板を捜すのよ?)
そう頭の中に語りかけるのは【影の助言者】、私の影で『姉さん』と呼んでいるドッペルゲンガー
でも、恐竜に遭遇する度に詳しい解説するだなんて、姉さんも本当は…
(お黙りなさい…あら、群れからはぐれた子かしら?)
そこに居たのは足を怪我したトリケラトプスの子供でした
大変、この子怪我をしてる…大丈夫、怖がらないで
今、治してあげるから
怯える子を安心させるように頭を撫で、メディカルポーチの医薬品で【応急処置】を試してみます
●優しき出会い
「は、はわわ……きょ、恐竜です」
眼前に広がっている巨大で広大な世界を見つめ、信子は幾度も瞼を瞬く。
それは本物の恐竜の世界。
信子はパンゲア大空洞の景色を信じられないといった様子で眺める。
すると彼女の頭の中に声が響いた。
(本でしか見たことのない存在が目の前に居るものね。驚く気持ちは分かるけど、今はロストワールドに興奮してる暇はないわ)
「は、はい。姉さん……」
はたとした信子は影の助言者たる姉さんの声に頷き、気を取り直す。巨大な植物の先を示すように影は更に告げていく。
(ナビゲートするからさっさと石板を捜すのよ?)
「わかりました。あの先に進んでみますね」
おそるおそる歩き出した信子は行く先にトリケラトプスを見つけた。すると姉さんがその特性を解説していく。
(トリケラトプスは三本の角を持つ顔という意味の植物食恐竜の一属ね)
なるほどです、と頷く信子は説明を聞いていった。
進む内にトリケラトプスは何処かに移動してしまったが、代わりに行く先に違う恐竜の姿が見えた。
「姉さん、あれは……?」
(プシッタコサウルスかしら。名前の由来はオウムとトカゲね。オウムみたいな嘴が特徴だからそういった名前みたい)
先程のトリケラトプスのように角やフリルはないが、角竜下目に分類される種類だ。そんな風に恐竜の姿を見かける度に姉さんが解説をしてくれるものだから、信子は何となくピンと来てしまった。
「でも、恐竜に遭遇する度に詳しい解説するだなんて、姉さんも本当は……」
(お黙りなさい)
「はわわ……はい」
実は楽しんでいるのかと聞こうとした瞬間、ぴしゃりと告げられた言葉に信子はこくこくと頷くしかなかった。すると不意に影が前方を示す。
(……あら、群れからはぐれた子かしら?)
そこに居たのは足を怪我したトリケラトプスの子供だった。
はっとした信子はそっと歩み寄る。
「大変、この子怪我をしてる……大丈夫、怖がらないで。今、治してあげるから」
怯えた様子の恐竜の子を安心させるように頭を撫で、メディカルポーチをひらいた信子は自分が持っている医薬品で応急処置を施す。
――暫し後。
信子は今、元気を取り戻したトリケラトプスの子と共に歩いていた。
(まさかすっかり懐いちゃうなんてね)
「ここを抜けるまでは一緒についてくるみたいですね」
少し不思議な気分だが悪い気はしない。
そうして暫く、信子達とトリケラトプスの大空洞散歩が続いていった。
大成功
🔵🔵🔵
闇之雲・夜太狼
ライアーヒーロー「クライウルフ」参上!
俺が来たからにはお遊びはここからだよ!
この辺りの恐竜とは仲良くなれるの!?
背中に乗ったりしたかったのに、この空洞のどのエリアでも基本的に攻撃してくるから
ちょっと諦めかけてた所だったんだよ~
肉食だったらお肉を用意しなくちゃいけなかったけど、
草食ならまわりにたくさん食べ物があるよね!
近付く前にちょっと観察して【情報収集】、好きそうな植物が分かったら
【念動力】でかき集めて、お近付きの印にプレゼント!
撫でたりくっついたりで少しずつ距離を縮めて、
大丈夫そうなら背中に乗せてもらおう!
俺の超能力……テレパス?
で探し物を手伝ってほしいって伝えたいけどなぁ(【動物と話す】)
●ちいさな交流
「ライアーヒーロー『クライウルフ』参上!」
パンゲア大空洞内、巨大な浮遊岩石の天辺。高らかな名乗りが聞こえたかと思うと、その声の主――夜太狼が岩を蹴り上げて跳躍した。
「俺が来たからにはお遊びはここからだよ!」
華麗に空中で回転を決め、着地した夜太狼は華麗なポーズを取る。
揺蕩う黒髪が風に揺れる中、夜太狼は前方を見つめた。其処には様々な角竜種が自由に過ごしている光景がある。
この辺りの恐竜とは仲良くなれる可能性があるという。
これまで通ってきた場所は危険な場所が多かった為、夜太狼はこの状況にわくわくした気持ちを覚えていた。
「背中に乗ったりしたかったのに、この空洞のどのエリアでも基本的に攻撃してくるからちょっと諦めかけてた所だったんだよ~」
でも良かった、と笑んだ夜太狼は辺りを見渡す。
草食恐竜であるならばいきなり襲われるようなことはないだろう。恐竜とて動物。仲良くなるにはおいしいご飯をあげるのが一番だ。
「肉食だったらお肉を用意しなくちゃいけなかったけど、草食ならまわりにたくさん食べ物があるよね!」
まずはじっと観察して、どの種がどの植物が好きなのかを見極めることが大切。
トリケラトプスを見つめる夜太狼は草食恐竜達によってもしゃもしゃと食べられていく樹をしっかりと確かめていった。
「なるほど、あの子はあの樹の葉っぱが好きなのかな」
他のところでも様々な種類の恐竜が、それぞれに好きなものを食べているようだ。そうして、敢えて暫し恐竜には近付かず過ごしていた夜太狼は近くにいる子達の好みを大体把握していった。
「あの子、お腹が空いてるみたいだ。これをこうして、っと!」
夜太狼は念動力で植物をかき集め、餌を探している様子のトリケラトプスに近付いていった。一瞬、怯えのような感情が恐竜から感じられる。
しかし、夜太狼が美味しそうな草を持っていることに気付いた恐竜は興味を示した。
「大丈夫、何にもしないよ。お近付きの印にプレゼント!」
どうぞ、と草を差し出した夜太狼。
徐々に距離を縮めてきたトリケラトプスは暫し後、夜太狼の手からご飯を受け取った。そうして、撫でたりくっついたりして少しずつ距離を縮めた夜太狼は、背中に乗せて貰えるまでにトリケラトプスと仲良くなっていた。
その背を撫でながら、夜太狼は石板を探しているのだと告げる。
「探し物を手伝ってほしいんだけど、どうかなぁ?」
するとトリケラトプスは分かったというように、夜太狼を乗せたまま歩き出した。石板が見つかるかどうかはこの子次第。
それでもこれまでの大空洞の探索よりも穏やかになりそうだ。
そう感じながら、夜太狼はあたらしい友達と共に探索に踏み出した。
大成功
🔵🔵🔵
セト・ボールドウィン
WIZ
恐竜!!
すげーでかいな、かっこいいな!
仲良くなれたら良いな
あまりの大きさに、ちょっと圧倒されちゃうかもだけど
ゆっくり距離を縮めて行こう
たぶん。こっちの姿が見えてた方が、警戒されないんじゃないかな?
こいつらにとっては、俺らのほうが小動物みたいなものだから
だいじょーぶ。友達になれるって思う
すぐそばまで近づけたら
体に触りたいし、背中にも乗ってみたい
どんな景色が見えるんだろう
高いとこからのほうが、石板も見つけやすいかも
言葉は通じるか判らないけど、恐竜達にも尋ねてみるか
なあ。石板っての探してるんだけど…知ってる?
帰るときは、一緒に遊んだ恐竜にありがとなって声掛けて
親しみを込めてその頭を撫でるんだ
●君と一緒に
生い茂る緑の樹々、その最中を闊歩する恐竜達。
巨大な世界の景色を岩場の上から眺めるセトは高揚する気持ちを隠せずにいた。
「恐竜!! すげーでかいな、かっこいいな!」
幼体であっても、自分の背丈などゆうに超える恐竜。
彼らと仲良くなれたら良いと考え、セトは自然豊かなフィールドに踏み出していく。
先ず感じたのは、ずしんと響く足音と少しの振動。
此方に気付かぬまますぐ近くを歩いていったケラシノプスに思わず圧倒されながらも、セトは慎重に歩を進めていく。
きっと、向こうにとって自分は小動物のようなもの。
姿を見せながらゆっくり距離を縮めていけば警戒はされないはず。
(……だいじょーぶ。友達になれるはず)
少しの緊張を抱き、セトは数体のプレノケラトプスの群れへと近付いていった。此方を見つけた恐竜達は警戒した様子を見せる。
此処で敵意でも見せれば草食恐竜とて襲ってくるのだろう。
しかしセトにはそんな感情は欠片も宿っていない。そして、セトは彼らに声を掛けた。
「んーと、えっと……葉っぱ、食べる?」
何と話しかけようか迷っていたセトはさっき見つけた不思議なかたちのシダ植物を手にして、呼びかけていた。
じっと此方を見つめてくるプレノケラトプス達。
鮮やかな緑の体躯が綺麗だと感じながらセトは葉を差し出し続けた。すると、不意に警戒を解いたらしき一体が近付いてくる。
のしのしと歩いてきたプレノケラトプスはセトが持つ葉を食みはじめた。それに合わせて他の個体も近寄ってきてくれる。
「わ、待て待て。これがもっと欲しいって言ってるのかな」
セトは差し出していた葉があっという間に食べられていく様に嬉しさを覚えた。
そうして暫し、恐竜達とセトの交流がはじまる。セトは先程の植物のある場所に案内すると、彼らは嬉しそうに食事を開始した。
セトはそんな彼らの体にそっと触れ、ざらざらとした感触を確かめる。
いつしかプレノケラトプス達は背中にも乗せてくれるようになり、セトはその上からの景色を堪能した。
視点が高いという感覚は不思議だったが、何だかとても心地好い。そうしてセトはふと、プレノケラトプスに問いかけてみる。
「なあ。石板っての探してるんだけど……知ってる?」
言葉が完全に通じているわけではないのだろうが、恐竜は何となく察したのかぶんぶんと首を振った。そっかぁ、と答えたセトが軽く肩を落とす。するとプレノケラトプスはセトを背に乗せたまま歩き出した。
「どうしたんだ? もしかして一緒に探してくれるってこと?」
セトが聞くと恐竜は一声鳴いた。
きっと、セトの力になろうとしているのだろう。ありがとな、と嬉しげに笑んだセトはその頭を親しみを込めて撫でた。
そして――此処から、少年と恐竜達のちいさな冒険が始まっていく。
大成功
🔵🔵🔵
アレク・アドレーヌ
【選択:SPD】
恐竜を従えて石板を探すのが一番楽なのであろうが…まぁ懐柔するのは至難の技なので…恐竜の後を付けて縄張りに入りつつその周囲を漁るのが無難であろう
UCを使い【迷彩】【目立たない】【闇に紛れる】【野生の勘】をフル活用。UC的に『森の中が一番ステルス性を高い状態にできる』ので森の中を普通に歩きます。
いくら恐竜といえ敵意を持って進めば襲ってくるだろうがそもそもが背景レベルで目立たなければそれこそそこに何かあっても気にすらとどめないであろう。
問題は逆に目立たなさすぎて恐竜がいることに気づかずにぶつかって来たりするかもしれないが…そこは【見切り】で回避する
●恐竜との出会い
アレクは今、浮遊する岩の上に立っていた。
其処で見つめていたのは巨大な植物が風になびいて揺れる様子。そして、その間を様々な恐竜達が闊歩していく雄大な光景だ。
「恐竜か……」
アレクは静かに呟き、眼下を歩いてるトリケラトプスを見下ろす。
本当は彼らを従えて石板を探すのが一番の近道だろう。しかし、アレクは懐柔するのは至難の技であろうと判断した。
それゆえに彼が取る作戦は恐竜の後を付けていくという方法だ。
「さて、始めるか」
アレクは己に宿る力を発動させていく。
――アビリティシフト・モデル:ジャガー。
勇猛にして優美、されど脅威。かの地に伝わるジャガーの戦士の力を身に纏ったアレクはトリケラトプスの群れの行動範囲に当たりをつけた。
そして、一気に岩場から跳躍する。
されど目立たず、木々の間に身を隠してその影に紛れる。更には勘を働かせて、トリケラトプス達に気付かれぬよう縄張りに入った。
アレクの完璧な追跡を察する恐竜はいない。このまま周囲を漁ろうと決め、アレクは森の中を慎重に歩いていく。
いくら草食恐竜といえ、敵意を持って進めば襲ってくるだろう。
だが、今のアレクのようにそもそも景色と一体化するレベルで目立たなければ、恐竜も普段と同じ行動をする。
アレクは順調に周囲を確かめていった。
この広大なフィールドの中、たったひとつの石板に辿り着くのも至難だろう。だが、まずは何もないところを調べていけばいつかは見つかる。
途方も無いかもしれないが、アレクは一人ではない。行動を別にしてはいるが他の猟兵達とて仲間なのだ。
自分の一手も全体を通しての力になると考え、アレクは周辺を探り続ける。
しかし、ある時。
あまりにもアレクの元にトリケラトプスの大群が訪れた。あわやぶつかりそうになるも、見切って避けたアレク。
だが、いつしか彼は四方をトリケラトプスに囲まれていた。
流石にこの状態では隠れることもできず、気付かれている状態だ。しかし、トリケラトプス達は怯えや敵意を持っていない。
「参ったな、よく分からないが気に入られたか……?」
アレクは恐竜達が自分に構って欲しくて囲んでいるのだと気付いてしまった。
さて、どうするべきか。
暫し考え始めたアレクの周りで恐竜達は興味津々な瞳を彼に向けていた。
何らかの形で構うか、また姿を隠すか。それからどういった選択を行ったのかは、彼のみぞ知ることだ。
大成功
🔵🔵🔵
亜儀流野・珠
密林、恐竜。この突飛な光景にも慣れてきたな!
だが巨大岩がふわふわ浮かび、恐竜達がそれを当たり前の様に使っている……これは流石に不思議だな!
俺が恐竜たちの領域に入り込んでる訳だし、まずすべきは話し合いだな!恐竜と出会ったら大声上げて会話だ!聞こえなさそうなら「風渡り」で顔付近へ移動だ!
俺達はこの世界の破滅を防ぐ為に石板を探している!それを持っていったら岩の足場が使えなくなるかもしれんが……お前達を含むこの世界を救う為だ。心当たり等有ったら教えてくれ!
恐竜達に話聞きつつ、許可貰えれば大型な奴の頭に乗せて貰ったり、ついでに雑談とかもしながら調査だ!
異変の色濃い所、異変の中心辺りが怪しいんじゃないか?
●平和を目指して
密林、恐竜。
巨大で広大な大空洞のフィールド。それらを見渡し、珠は双眸を細める。
「この突飛な光景にも慣れてきたな!」
しかし、これまでと少し違うのは巨大な岩がふわふわと浮かんでおり、恐竜達がそれを当たり前のように使っていること。
「おお、あそこの岩の上にもトリケラトプスが……これは流石に不思議だな!」
珠はわくわくした気持ちを覚える。
同じ大空洞内であっても此処まで広大だとエリアごとに特色も違うのだろう。今度はどんな出会いや出来事があるのかと考えながら、珠は進んでいく。
そして、暫し後――。
「見つけたぞ!」
珠が遭遇したのは一匹のトリケラトプスだった。
かなり大きな個体だ。きっと珠が足元にいても気付かれないだろう。
それなら、と地面を蹴った珠は風渡りの力を使う。宙を蹴りあげてトリケラトプスの顔の辺りまで跳んだ彼女は笑顔を見せる。
「こんにちはー! どうだ、聞こえるか?」
彼の耳に届くように大きな声を出した珠はひらひらと手を振った。
一瞬はびくりと体を震わせたトリケラトプスだが、珠に敵意はない。寧ろ明るい雰囲気が感じられ、恐竜は首を傾げるような仕草を見せた。
これで掴みは上々。
トリケラトプスの周囲をぴょんぴょんと跳ねて飛びながら、珠は更に話しかけていく。
「俺達はこの世界の破滅を防ぐ為に石板を探している!」
相手は、それでどうかしたかね、というような視線を向けている。トリケラトプスが此方の言葉に耳を傾けてくれているのだと察し、珠は両手を大きく広げながら石板のことを示す。
「こんな形でな、心当たりはないか? お前達を含むこの世界を救う為だ。心当たり等有ったら教えてくれ!」
するとトリケラトプスは頭に乗って欲しい、と示す形で珠に背を向けた。それが承諾の意志だと気付いた珠はそっと角のあたりに着地する。
角に跨るように座るとトリケラトプスが歩き出した。そうして暫し、珠は恐竜と軽い雑談を交わしていく。
「そうか、お前達にとってこの景色は異変ではないのだな」
浮遊する岩は此処に生きている彼らにとってごく普通のもの。それゆえに異変と言われれても心当たりはないらしい。だが、どうやらトリケラトプスは暫し一緒に探してくれる心算のようだ。
「それなら、お前が知っているところを全部案内してくれ!」
珠は恐竜の上から眺める景色を見渡した。
生い茂る鮮やかな緑と浮かぶ岩の数々。悠々と歩く恐竜達。
石板の在処はまだ分からないが、珠の胸には確かな意志があった。
それは先程に告げた通り。この世界を守りたいという、揺るぎない思いだ。
大成功
🔵🔵🔵
水橋・佳奈
「恐竜さんとだって、きっと仲良くなれるはずです」
恐竜さんと仲良くなれるように頑張ります。
巨大植物の陰に隠れて、一番体の小さい子供恐竜さんを探します。
見つけたら、技能【動物と話す】を使い話しかけてみます。
「恐竜さんは普段何をして遊んでいるのですか?」
子供恐竜さんと遊んだりして仲良くなります。
「色々な恐竜さんとお友達になりたいです」
仲良くなれたら、子供恐竜さんに他の恐竜さん達を紹介してもらって、どんどん恐竜さんのお友達を作ります。
石板は恐竜さん達と遊んでいる間に見つかればいいかなくらいの気持ちで、恐竜さん達の交流を楽しみます。
●恐竜のお友達
巨大な植物と様々な恐竜。
不思議な古代の光景を前に、佳奈は此処に住まうもの達に思いを馳せていた。
「恐竜さんとだって、きっと仲良くなれるはずです」
そのために頑張ろうと決めた佳奈は密林の最中に踏み出す。
そして、まずは植物の陰に隠れて行き交う恐竜の様子を窺っていった。
あまりにも相手が巨大であると佳奈自身も不安になってしまう。無駄に怯えたくはないと考えた彼女はちいさい恐竜を探すことを決めていた。
そんな中で見つけたのはリャオケラトプスの群れだ。
リャオケラトプスは他の角竜達と比べると比較的ちいさく、尾の毛がふっさりとしていて少し可愛い。
群れの端っこで単独行動をしていた子供に近付き、佳奈はそっと話しかける。
「こんにちは」
「!」
急に出てきた佳奈に驚いたらしいリャオケラトプスはぴょこんと飛び上がった。
だが、まだまだ相手は子供。警戒心や恐怖よりも好奇心が勝ったらしく、興味深そうに近付いてくる。
言葉もちゃんと通じていると察した佳奈は更に声を掛けた。
「恐竜さんは普段何をして遊んでいるのですか?」
「ぎゃう!」
するとリャオケラトプスの子供は、いつもはこうして走り回っているのだと示して佳奈の周りを駆ける。佳奈もその後に続いて軽く駆け、恐竜の子と遊んでいく。
そうして互いに打ち解けた頃、佳奈はお願いを告げた。
「色々な恐竜さんとお友達になりたいです」
だから他の子を紹介してもらいたいと佳奈が話すと、リャオケラトプスは「こっちにおいでよ!」と言うように先導していった。
佳奈が案内されたのはリャオケラトプスの群れの中だ。
「なるほど。この子のお友達となると、同じ種類になるんですね」
中には大人の恐竜もおり、佳奈を怪訝に見下ろしている。
しかし、ぴょんぴょこ跳ねた子供が佳奈を皆に紹介してくれているらしい。やがて大人達の警戒は解かれ、佳奈は快く群れに迎え入れられることとなった。
「恐竜さんたち、何をして遊びますか?」
「がうう!」
「ぎゃお!」
気付けば佳奈の周りにはたくさんの子供達が集まってきていた。問いかけに皆がそれぞれに反応し、佳奈はふわりと笑む。
「それじゃあ、それを全部して遊んじゃいましょう」
そうして佳奈は思うままに恐竜達とじゃれあい、大いに楽しんでいった。
響く鳴き声と笑い声。
心地好い声が木霊するひとときはもう暫し、続いていくようだ。
大成功
🔵🔵🔵
ジュジュ・ブランロジエ
【白兎】
わー、植物が大きいね!
こんな森、初めて見たよ!
あっ、恐竜さん発見!
お友達になれるかな?
ふふ、常盤さん、楽しそうだね
わかるよ、その気持ち!恐竜は浪漫だよね!
常盤さんが声をかけたのと同種の恐竜に
絡繰人形のメボンゴと共にゆっくり近付く
『可愛いおめめの恐竜さん、こんにちは~』(裏声でメボンゴの台詞)
あなたは優しい目をしているね
触れてもいいかな?
言葉は通じなくても心は通じるはず
頭を撫でたりして仲良くなってから背に乗せてもらう
わーい!ありがとう!
常盤さんが乗ってる恐竜さんも良い子だね
行き先はこの子達の気分任せ
どこに辿り着くのかわくわくしちゃうよね!
『楽しいね、トッキー!』(手を振るメボンゴ)
神埜・常盤
【白兎】
まさか、恐竜と会える日が来るとはねェ
見るもの全てが大きくて、小人にでも成った気分だ
ふふ、少年心を擽られるなァ、愉しみだ!
プロトケラトプスとかに会えたら嬉しいなァ
恐竜と遭遇したら、先ずは交友を深めよう
動物会話と催眠術で言葉が届きやすいように工夫を
ご機嫌よう、君達
ちょっと一緒に遊ばないかね
ほら、もふもふも居るよ、とバディペットを跳ねさせて
警戒を解けたら背に乗せて貰いたいなァ
ジュジュ君、メボンゴ君と並んでツーリングと行こうか
ふふ、君達も良い子に出会えたようで何よりだ
恐竜たちが向かう先には、果たして何があるのだろう
トッキー? あァ、僕のことかね
はは……うん、愉しいとも、とてもね(手を振り返し)
●恐竜散歩
草木を掻き分け、進む大空洞内部。
「わー、植物が大きいね! こんな森、初めて見たよ!」
ジュジュは歩きながら辺りを見渡し、くるりと回って全周囲を確かめていく。彼女の楽しげな声を聞きながら、常盤はその後をゆっくりと付いていった。
「まさか、恐竜と会える日が来るとはねェ」
行く先からは様々な気配がする。まだ植物に遮られてはいるが、きっとすぐに此処に住まうもの達と対面できるだろう。
見るもの全てが大きく小人にでも成った気分だと常盤が零せば、ジュジュも頷く。
そして、二人は開けた場所に出た。
見れば少し離れたところに草食恐竜達の群れが見える。
「あっ、恐竜さん発見! お友達になれるかな?」
「少年心を擽られるなァ、愉しみだ!」
ジュジュが指差した先を常盤も眺め、あれはプロトケラトプスだと告げた。
それらは角竜としては小型の恐竜だ。トリケラトプスと比べて角は目立たないが、代わりに特徴的な頭のフリルが目印。
常盤の眼差しがプロトケラトプスに注がれていると気付き、ジュジュはそっと笑む。
「ふふ、常盤さん、楽しそうだね。わかるよ、その気持ち! 恐竜は浪漫だよね!」
「ああ、浪漫だとも」
視線を交わしあった二人は恐竜達に近付いていく。
ジュジュは淑女人形のメボンゴと一緒に。常盤は穏やかな視線を向け、プロトケラトプスへと声をかける。
『可愛いおめめの恐竜さん、こんにちは~』
「ご機嫌よう、君達。ちょっと一緒に遊ばないかね」
ジュジュの裏声で掛けられるメボンゴの声に合わせ、常盤はふわふわもふもふとした綿毛めいたバディペットと共に歩み寄った。
「ほら、もふもふも居るよ」
もふっと跳ねる仔が先んじて恐竜達の傍に向かう。
一瞬は警戒を見せたプロトケラトプス達だが、此方に悪意や敵意がないことを察したらしい。じっと見つめてくる恐竜に手を伸ばし、ジュジュとメボンゴは語りかける。
「あなたは優しい目をしているね。触れてもいいかな?」
『お友達になりたいな~』
するとプロトケラトプスもゆっくりと二人に近付いてきた。ジュジュが伸ばした手に鼻先を近付けた恐竜はもう警戒などしていないようだ。
「よしよし、良い子だね」
常盤ももう一体のプロトケラトプスに触れ、肌のざらざらとした質感を確かめるように掌を動かした。
言葉は通じなくても心は通じた。
そんな気がして、ジュジュは嬉しげな笑みを浮かべる。そうしてプロトケラトプスの頭をやさしく撫でていったジュジュと常盤は彼らに願った。
「背に乗せて貰いたいんだけど、どうかなァ」
「嫌だったら無理しなくても……って、わあ!」
対するプロトケラトプスはジュジュが言い終わる前に背を向けて尻尾をジュジュにぺしぺしと当てる。どうやら乗れと言っているらしいと常盤が翻訳した。
「わーい! ありがとう!」
「ジュジュ君、メボンゴ君と並んでツーリングと行こうか」
すっかり恐竜と仲良くなった二人はそのまま背に乗せて貰い、プロトケラトプスと共に大空洞の散歩に繰り出していく。
白亜紀の羊と例えられるプロトケラトプスはのんびりと先に進んでいく。
のしのしと揺れる心地にジュジュはわくわくした気持ちを覚え、常盤も恐竜の背に触れながら不思議な感覚を抱く。
ジュジュが乗る子は元気で、時折その場でくるくると回った。対する常盤が乗る子は穏やかだが食いしん坊らしく、たまに止まっては草を食んでいる。
「ふふ、君達も良い子に出会えたようで何よりだ」
「常盤さんが乗ってる恐竜さんも可愛い子だね」
行き先は彼らの気分任せ。
恐竜達が向かう先には果たして何があるのか。それを想像して思いを馳せるのもまた、この恐竜散歩の醍醐味に思えた。
「どこに辿り着くのかわくわくしちゃうよね!」
『楽しいね、トッキー!』
ジュジュの声に合わせて手を振るメボンゴ。その言葉が気になった常盤は首を傾げ、あァ、と合点した。
「トッキー? 成程、僕のことかね」
『そうだよ、トッキー。みんな一緒だと嬉しいね!』
「はは……うん、愉しいとも、とてもね」
ジュジュの笑顔と共にメボンゴがまた喋り、ぴょんぴょんと軽く跳ねる。その光景もまた穏やかで楽しい時間を作るものだと感じ、常盤は手を振り返した。
そして、二人の大空洞道中は和やかに巡っていく。
この先に何が待っているのか。
それはまだ誰も知らないけれど――きっと、この楽しさは変わらないはずだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
樽石・ねみぃ
草食の恐竜さんがいっぱいいるんですねー。
それなら私のおやつでも仲良くなれそうですよー。
恐竜時代の食べ物は持ってないですが、
どんぐり、ヒマワリの種、くるみ、ほうれんそうを風呂敷で包んでたくさん持っていきましょー。
ちょっと重いかしら?
大丈夫、おやつは軽食なので軽いものですー。
あとは、図鑑で調べた恐竜のご飯になりそうなものを現地で探してみてー。
そんなこんなで餌になりそうなものを集めて恐竜の餌付けを試みます。
仲良くなれたら撫でたり乗せたりしてみたいところ。
いざとなったら眠くなる実を投げつけてすたこらサッサですよー。
●おやつタイム
広大な大空洞の内部。
ねみぃは巨大な植物の影から辺りの景色を眺めていた。
「草食の恐竜さんがいっぱいいるんですねー」
視線の先、様々な草食恐竜達がのんびりと歩いていく光景に淡く微笑むねみぃ。そっと眼鏡を掛け直した彼女はふんわりと双眸を細める。
「それなら私のおやつでも仲良くなれそうですよー」
ねみぃが背負っているのはたくさんの食料が入った風呂敷。
恐竜時代の食べ物は持っていないが、自分が考えうる限りのおいしそうなものを持参してきたのだ。
どんぐりにヒマワリの種。
くるみやほうれんそう、それからその他の野菜。
「ちょっと重いかしら?」
背負った風呂敷を軽く見遣ったねみぃは垂れた耳をぱたんと動かす。
けれども大丈夫。おやつは軽食なので軽い。そんなことを思いながらねみぃは進んでいく。とはいっても恐竜は巨大。おやつをこれだけで済ますつもりはなく、事前に図鑑で調べてきた恐竜のご飯になりそうなものを集めて行くつもりだ。
被子植物が恐竜の栄養になっていたと図鑑には書いてあった。
シソ科らしい巨大な葉を手にとったねみぃは、風呂敷の隙間にそれらを詰め込んでいく。そうして風呂敷がいっぱいになった時、彼女の前に幾つかの影が現れた。
「わあ、恐竜さんがいっぱいですー」
それらは紅山のトカゲという意味を持つホンシャノサウルス達だ。どうやら彼らはねみぃが持つ荷物に興味を示しているらしい。
どうぞ、とねみぃが風呂敷を広げると恐竜達は中身を確かめはじめる。そして、それぞれ気になったものを口に咥えて咀嚼していった。
「気に入ってくれましたか?」
警戒を忘れてしまったかのようにほうれんそうを食べるホンシャノサウルス。
その様子を眺め、そっと手を伸ばしたねみぃは恐竜を撫でてみる。爬虫類特有の手触りが何だか不思議に思え、ねみぃは笑みを浮かべた。
これならば緊急用に持っていた眠くなる実を使う必要もなさそうだ。
「美味しそうに食べてくれて嬉しいです。平和ですねー」
穏やかなねみぃの声にホンシャノサウルスが楽しげな鳴き声を返していく。
そうして暫し、ねみぃと恐竜達の和やかな時間が流れていった。
大成功
🔵🔵🔵
日向・史奈
恐竜なんてそんなにお目にかかれるものではないとは思いますが…攻撃はしないことをしっかり念頭に置いて接しなければ
あくまでUCは何かあった時の最終手段ということで
怖がらない、怖がらない…よし、大丈夫です
【動物と話す】力で戦うつもりがないこと、石版のありかを探していることを伝えて、協力を仰ぎます
私だけの力ではこの地形の中で探すのは難しそうなので、あなたの力が必要なんです
警戒を解くために触れあったりもしてみたいところです
こういう場所を一人で探索するのは石にぶつかったりとかして難しそうでしょうから…助かりました。さて、石版が見つかるといいのですが…
ここまでついてきてくれてありがとうございますね、恐竜さん
●恐竜と共に
「怖がらない、怖がらない……よし、大丈夫です」
史奈は自分に言い聞かせ、気を引き締める。
彼女が現在立っているのは巨大な植物が生い茂るパンゲア空洞内の一角。
浮遊する巨岩。闊歩する恐竜達。
のしのしと歩いていく草食恐竜は実に優雅で穏やかに思えた。
「あれが恐竜……」
そんなもの普段はお目にかかれるものではない。あまりの大きさについつい驚いてしまうが、この区域の恐竜は攻撃さえしなければ襲ってくることはない。
決して攻撃しないことをしっかり念頭に置くのだと心に決め、史奈は意気込む。
そして、史奈はトリケラトプスへと近付いていった。
「あの、こんにちは」
史奈は敵意がないことを示すために挨拶の言葉をかける。
しかしトリケラトプスはそのまま歩いていってしまいそうになった。はっとした史奈は気付く。きっと巨大過ぎる相手に声が届いていないのだ、と。
「……こんにちは!」
意を決して大きな声で告げると、トリケラトプスがやっと振り向いた。
そうして史奈は動物と話す力を用い、自分が戦うつもりがないこと、石版のありかを探していることを伝えて協力を仰いだ。
『……?』
対するトリケラトプスは不思議そうに首を傾げるような仕草をした。
石板とは何なのか、と問うているようだ。
どうやら彼は在処について直接何かを知っているわけではないらしい。それでも史奈は更にお願いを告げていく。
「私の力ではこの地形の中で探すのは難しそうなので、あなたの力が必要なんです」
周囲はすべて巨大植物。
一人で歩くだけでは辿り着けず、見えない場所も多いだろう。
するとトリケラトプスは、乗れ、と告げるように首を史奈の方に下げた。
「ありがとうございますね、恐竜さん」
頭に触れ、礼を告げた史奈はトリケラトプスの背に乗る。
それから一人と一匹の大空洞探索が始まった。
「こういう場所を一人で探索するのは石にぶつかったりとかして難しそうでしょうから……助かりました。さて、石版が見つかるといいのですが……」
この先に何があるかは分からない。
それでも彼と一緒なら心強いと感じ、史奈は真っ直ぐ前を見据えた。
大成功
🔵🔵🔵
零井戸・寂
▽ロクと
(生の恐竜)
(オタクと呼ばれる生命体としては割と実物を見てみたいものランキングの中で高位にあるものだ)
お、おぉぉ……すごい……
リアルで見るとこんな感じなのか恐竜って……わぁぁ
(目はキラキラしつつも腰は引け気味で森番の後ろにぴったりつきつつ恐竜ウォッチ。)
えっ何であっちの姿じゃないのって
いやほら折角だし生で触ってみたいなって……
ガチの竜ほど危険でもないし……
所で葉っぱとか上げたら食べるかな?
(その辺にあった草をあげてみんとした折)
へ??
(すとん。)
(相棒に乗せられる)
?????
あの
ロク???
(いきなりのダイレクト接触に泡を食う眼鏡。
でも折角だから恐竜ライドを楽しむ)
わぁぁ結構ザラザラ……
ロク・ザイオン
◎零井戸・寂(ジャック)と
(長く森に生きてきた森番も
この未知の大密林には)
…ジャック。
すごい。
かっけー。
(静かに大興奮)
(森の中でひとを導くのは森番の仕事だ。
【野性の勘】で歩きやすい道を選びながら、恐竜を探そう)
…ジャック。
触りたいから、鎧着ないのか。
そう。
(キミは随分楽しみにしているようだから。
草を食むものは大抵甘い新芽を好む。途中目ぼしいものを採取しておこう)
(餌でうまく懐かせられたら、相棒を恐竜に乗せてしまおう。
森を長時間歩くのには慣れがいるものだし、)
ジャック。
触りたいって言ったし。
…体力ないから。
(相棒が街育ちのモヤシっ子であることを
森番はよくよく解っているのだ)
●エンシェント・ライドウォッチ
生きている恐竜。
其処に暮らしている生き物。つまりは生。
「お、おぉぉ……すごい……」
「すごい。かっけー」
寂とロクは今、静かな感動を覚えていた。
オタクと呼ばれる生命体、寂。彼にとって恐竜とは実物を見てみたいものランキングの中で高位にあるものだ。
そしてロク。長く森に生きてきた森番も、この広大な未知の大密林に圧倒されっぱなしだった。あれほどに巨大な生物が目の前を闊歩しているのだから無理もない。
「……ジャック。あれ、大きいな」
言葉少なながらも興奮している様子のロクが前方を示す。
「あれはマグニロストリスとクラスペドドン、かな。リアルで見るとこんな感じなのか恐竜って……わぁぁ」
ロクが指した方向に目を向けた寂は図鑑でみたことのある恐竜達に目を輝かせていた。瞳はキラキラしているが、腰は引け気味。ロクの後ろにぴったりついているのが彼らしい所だが、しっかりと恐竜ウォッチを楽しんでいるようだ。
行こう、と告げたロクに頷いた寂は歩き出す。
巨大な植物を掻き分けながら進む様は冒険の最中という雰囲気だ。
森の中でひとを導くのは森番の仕事。
ロクは後ろの寂が歩きやすい道を選びながら更に恐竜を探していく。そんな中、ふとロクは彼に問いかけた。
「……ジャック。触りたいから、鎧着ないのか」
ロクが云うのは黒豹型の機械鎧姿のこと。その指摘が図星だったのか、寂は首を横に振りながらも弁明をしていく。
「いやほら折角だし生で触ってみたいなって……ガチの竜ほど危険でもないし……」
「そう」
そんな言葉を紡ぐ彼の様子に、ロクはそっと頷く。
彼は随分と恐竜との対面を楽しみにしているようだ。その心を大切にしてやりたいと思ったので、ロクはそれ以上を問うことはしなかった。
「ところで葉っぱとかあげたら食べるかな?」
「それなら、こっち」
その辺にあった草を手にした寂にロクは違う葉を指さした。
草を食むものは大抵において甘い新芽を好む。森番としての智識を披露して、目ぼしいものを採取していくロクは実に頼もしかった。
そして、二人は近くに居たトリケラトプスへと近付いていく。
「……これ、食べる?」
「ほら、遠慮しないでいい」
寂とロクが差し出した大きな葉を見遣った恐竜は、暫し様子を探っていた。しかしすぐに此方に敵意がないと察したのか、新芽の葉をもしゃもしゃと食べ始める。
おぉ、と寂が感動を覚える中、ロクは巨大な恐竜の足に触れてみた。
トリケラトプスは嫌がらず全て許容してくれているようだ。そうして二人は恐竜に葉をたっぷりとあげた。
やがて、彼が自分達に慣れてくれたと察したロクは行動に移る。
「ジャック」
「へ??」
名を呼ばれたかと思うと、不意に抱えられる身体。
すとん。
気付けば寂は相棒によって恐竜の背に乗せられていた。いきなりのことに理解が追いつかない彼に対し、ロクは何のこともないように告げる。
「触りたいって言ったし」
「あの、ロク???」
「……ジャック、体力ないから」
要約すると、ここからはトリケラトプスに乗って探索をしようということだ。森を長時間歩くのには慣れがいるものだ。それに相棒が街育ちのモヤシっ子であることをロクはよくよく解っていた。
「わ、わかったよ……」
トリケラトプスも既に歩き出してしまったゆえ、今更下りることは出来ない。
頷いた寂は折角なので恐竜ライドを楽しむことに決め、ロクも彼の隣に腰を下ろして周囲を見渡した。
「やっぱり、すごい……」
「わぁぁ結構ザラザラ……」
ロクはすべてが大きすぎる景色に、寂は直に触れた恐竜の手触りに。それぞれに思うままに感じて楽しむ不思議な時間。
ゆっくりと歩いていくトリケラトプスの背の上。
二人のひとときは穏やかな心地を宿しながら、もう暫し続いてゆくようだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
古峨・小鉄
ユキちゃん(らいおん)に乗って近づき、恐竜と一緒に遊ぶじゃ!
「きょうりゅうずかん」で見たまんま(虎尻尾ふり、きゃっほ
恐竜、一緒に遊ぼうじゃ♪(眼きらきら
巨岩乗り越えテリトリーに入れて貰う為に俺必死に礼儀は護ろ
ユキちゃんも優しい顔で大人しいんじゃよ
敵意ないない(両手ぱたぱた
言葉通じひんかなあ
でっかい口ん中、どれだけ牙が並んどるじゃ?(覗き込んでがおがお
デカイ角は羽根みたいでカッコええじゃ♪(ぺた
痒いトコは掻いてあげるじゃ♪
ユキちゃんと背中乗せて欲しいじゃ
お昼寝中は静かにするじゃ(しー
石版見つけるだけでええの?
持ち出して、この地に影響するんなら嫌じゃなあ…
アドリブ連携歓迎
恐竜名・字数節約の為割愛
●みんなでお昼寝
揺れる尻尾は楽しげに、小鉄とユキは大空洞を進む。
巨大な植物は大きく振り仰いで見てもなお高く伸びており、そよぐ風が葉を撫でていく様も何だかスケールが大きい。
それに何よりも――。
「きょうりゅうずかんで見たまんまじゃ!」
目の前を通っていく恐竜達を眺め、小鉄は瞳を輝かせていた。
ライオンのユキも小鉄に倣って恐竜を見つめている。それらは獅子よりも更に巨大で、小鉄など小動物のように思われるほどだ。
しかし少年には怯えや不安などはまったくない。興味と好奇心、そしてわくわくした気持ちを抱いて相棒に呼び掛ける。
「ユキちゃん、あの子らと遊ぶじゃ! あれは……ウェンディケラトプスかの?」
そうして小鉄はある恐竜を見つめた。
ウェンディケラトプスは全長約六メートルほどのトリケラトプスに似た角竜種だ。名を呼ぶにも丁度良いと感じた小鉄はユキと共に其方に駆けていく。
ちょうど浮遊する巨岩に乗った一体を追いかけ、ユキがぴょんと華麗に飛ぶ。
小鉄は大きな恐竜に気付いてもらおうとして両手を広げた。
「ウェンディ、一緒に遊ぼうじゃ♪」
『……?』
ぱたぱたと手を振ることで向こうも此方に気付いたようだ。敵意がないと示す小鉄に加えてユキも穏やかな視線を恐竜に向けている。
一瞬は警戒したウェンディケラトプスだが、すぐに肩の力を抜いたように見えた。
「そうじゃ、こんにちはじゃ!」
礼儀を欠くまいとして小鉄はぺこりとお辞儀をしてみせる。
すると偶然か、恐竜も立派な角を見せるように頭を下げた。それは小鉄達に気を許してくれた証拠だろう。
おおー、と目を更に輝かせた小鉄は手を伸ばす。
口元に触れた少年は興味のままにウェンディケラトプスを観察していった。
「でっかい口ん中、どれだけ牙が並んどるじゃ?」
『……』
口を覗き込んでがおがおとはしゃぐ小鉄に恐竜はされるがまま。
「ウェンディのデカイ角は羽根みたいでカッコええじゃ♪」
『……♪』
ぺたぺたと触られるのが気持ちよくなってきたのか、恐竜はゆっくりと岩場の上に座り込んだ。いつしかその巨岩はふわふわと浮き、移動しはじめる。
まるで空中散歩のようだと感じながら小鉄はユキと一緒に背によじ登る。
「乗せてもらうだけもなんじゃし、痒いトコは掻いてあげるじゃ♪」
小鉄は背を優しく撫で、周囲に広がる雄大な景色を眺めていく。のんびりとした動きの中、いつの間にか恐竜は目を閉じて寝息を立てていた。
次の地点に移動しきるまでは睡眠の時間なのだろう。小鉄とユキもウェンディの背の上で休憩することにした。
「ユキちゃん、静かにするじゃ」
しー、と指先を口許に当てて告げるとユキも座り込む。小鉄もまた獅子の毛並みに寄りかかり、とても心地よさそうに目を閉じた。
いつしか響く寝息は三つに増える。
こうして暫し、パンゲアでのお昼寝タイムが穏やかに過ぎてゆく。
大成功
🔵🔵🔵
アルフレッド・モトロ
トリケラトプスってのんびりしてるよな
これだけ沢山いるってことは
危ない肉食動物はいないのか
そんな角竜達の楽園を脅かすわけにはいかねーな!
恐竜と仲良くなって平和的に石版を探そう!
【野生の勘】をフルに使って
彼等を刺激しないようにしよう
体を低くし
ゆっっっくり動いて
俺達猟兵が味方である事を伝えよう!
仲良くなれたら……【騎乗】!
恐竜に乗れるなんてよぉ!
夢みたいじゃねぇか!
楽しすぎてずっと遊んでいたいくらいだ!
でも石版を探さなきゃな
今乗ってる角竜さんに
「このくらいの大きさの石の板知らないか?」
と尋ねてみよう!
言葉は通じないだろうが心は通じるはず!
(連携アドリブ歓迎です)
●楽園のひととき
ゆったりとした足取りで緑の中を恐竜達が歩いていく。
生い茂る樹々の向こう側に進んでいく背を見送り、アルフレッドは薄く笑う。
「トリケラトプスってのんびりしてるよな」
緩めた口許から覗く牙めいた歯。その笑みはこの光景に抱く快さを映しているかのようだ。辺りを見渡したアルフレッドは考える。
これだけ沢山の草食恐竜がいる事実は、この区域に危ない肉食動物や恐竜は生息していないということを示している。
だが、もし今の戦争においてこの世界の均衡が崩れてしまったらどうなるか。
「角竜達の楽園を脅かすわけにはいかねーな!」
拳を握ったアルフレッドは前を見据え、様々な恐竜が住む光景を瞳に映した。
そして、彼は進む。
手近な場所でもしゃもしゃと草を食む恐竜を見つけたアルフレッドは身体を低くしてその様子を窺った。
一体でのんびりしているそれはユタケラトプスだ。
相手を刺激しないように、ゆっくりと近付いていくアルフレッド。彼の存在に気付いた恐竜はじっと見つめてくる。
対するアルフレッドは慎重に、そして穏やかに語りかけた。
「よお、元気か?」
まるで友人に挨拶をするように片手を上げて笑顔を見せる。対するユタケラトプスはその言葉に応えるように首を縦に動かした。
掴みは上々。そのまま近付いていっても恐竜は逃げず、アルフレッドに興味を示すように鼻先を向けた。
そうして暫く――。
「おお、恐竜に乗れるなんてよぉ! 夢みたいじゃねぇか!」
すっかりユタケラトプスと仲良くなり、打ち解けたアルフレッドはその大きな背に乗っていた。植物を掻き分けながら案内するように進む恐竜の乗り心地は最高だ。
「はは、楽しすぎてずっと遊んでいたいくらいだ!」
アルフレッドが笑うと、ユタケラトプスも楽しげに唸るような声をあげた。
一人と一体の相性は抜群。
それからアルフレッドは恐竜散歩を楽しんだ後、ユタケラトプスに問いかけた。
「そういや、このくらいの大きさの石の板知らないか?」
尋ねてみると恐竜はきょとんとした様子を見せる。言葉は通じていないようだが、アルフレッドの仕草を察しているようだ。
しかし、どうやらユタケラトプスには心当たりが無いらしい。
「そうかぁ、けど良いぜ。良かったらもう少しこの辺を案内してくれ!」
けれども構わないとしてアルフレッドは呼び掛ける。するとユタケラトプスは良かったと言うように更に歩を進めた。
進む度に変わりゆく景色を眺め、アルフレッドは心地好さを覚える。
気持ちが、心が通じている。
恐竜との間に不思議な縁を感じながら、彼はもう暫し探索を続けようと決めた。
大成功
🔵🔵🔵
ユヴェン・ポシェット
噂には聞いていたが、いざ目の前にすると迫力あるな。
小さい者達でもロワと同じくらいか。しかし(ネドケラトプスやトリケラトプスを見て)…ミヌレ、お前の何倍の大きさになるのだろうな。
暫く何もせず様子を見守るが、恐竜達の緊張が和らいできたら、こちらから歩み寄る。
小さな獣奏器ruutuで彼らに心温まる曲を贈り、対話をはかる。
体の大きな彼らに届くように演奏にも気合いが要るかもしれないが
どのような生活をしているのか、好むもの、好まないもの沢山教えて欲しいんだ。
俺はアンタ達と友になれたら嬉しい。
可能であれば、身体に触れたり背中に乗ったり。沢山遊べたら幸い。全力で彼らと向き合いたい。こういう体の張り方は幸せだ。
●大きな背に乗って
低く重く響く鳴き声。
巨大な植物の合間から見える恐竜達の姿にユヴェンは圧倒されていた。
「噂には聞いていたが、いざ目の前にすると迫力があるな」
古代の生き物、恐竜。
それらは太古のスケールを示すように巨大だ。
「小さい者達でもロワと同じくらいか」
見据える先を歩き、走っていく恐竜達の姿は様々。獅子とトリケラトプス達を見比べたユヴェンはちいさく笑む。
そうしてネドケラトプスが通り過ぎていった後、ユヴェンはミヌレを見下ろした。
「しかし……ミヌレ、お前の何倍の大きさになるのだろうな」
とてもちいさな槍竜とおおきな角竜。
その対比は何だか不思議だ。
ミヌレは不思議そうにユヴェンを見上げた後、これくらい! と示すように傍でぴょこぴょこと跳ねた。
その姿を愛らしく感じつつユヴェンは暫し何もせずに恐竜達の様子を見守る。
そうして暫く。
ユヴェンは其処に居て当たり前の存在として彼らに認識されたようだ。ネドケラトプス達の緊張も消えてなくなったと感じ、ユヴェンは其方に歩み寄る。
其処から響かせていくのは獣奏器で奏でる曲。
心温まる曲を彼らに贈る中、ミヌレが興味津々に恐竜達に近付いた。
するとネドケラトプス達は「おいで」とミヌレを誘うように動く。自分達が認めて貰ったのだと察し、ユヴェンもミヌレの傍に向かった。
ミヌレはさっそくネドケラトプスの角の間に乗せてもらっている。ユヴェンは恐竜達から様々な話を聞きたいとして、語りかけてゆく。
「お前達は、どのような生活をしているんだ? それから好むもの、好まないものを沢山教えて欲しいんだ」
――俺はアンタ達と友になれたら嬉しい。
そんな思いを込めて話すと、ネドケラトプス達は快く応えてくれた。
近頃はあのシダ植物がお気に入りだとか、浮遊する岩の移動ルートが少しずつ変わっているだとか、聞けたことは色々だ。
そうして過ごす内、ユヴェンは彼らから背に乗るように誘われた。
「近くを案内してくれるのか?」
問いかけるとネドケラトプスはその通りだと示す。それならば、と遠慮なく背に跨ったユヴェンは進んでいく恐竜の乗り心地を確かめる。
巨体ゆえに歩く度に大きく揺れたが、それもまた不思議と心地好い。
「ミヌレも楽しいのか。こういう体の張り方は幸せだな」
穏やかな視線を相棒竜に向け、ユヴェンは恐竜が進む先を見つめた。
緑が鮮やかな樹々に、ふわふわと浮かぶ岩々。
此処から更なる冒険が始まっていくかのような、楽しい心地が彼の裡に巡っていた。
大成功
🔵🔵🔵
無銘・サカガミ
【逆星】
色々と巨大化しているこの世界。探すのは骨が折れそうだが…
『俺をお探し、きゃはっ、あんだも好きだねえ?』
噴き出す呪いがそっくりの俺を作り出す。姿は瓜二つでも、まるで正反対の性格で――――
「はいはい、じゃあ見回りよろしく。」
ひたすらに言葉責めしてくる「奴」をよそに、マリスと手を繋ぎ探索。
「………大きい。」
初めて見つけた恐竜は、俺にとってはあまりにも大きすぎた。
マリスが説得した後恐竜に乗る。
「ふわ……」
遥か高い所から見える世界は地上のそれとは大きく異なり。思わず目を奪われてしまう。
…と、とにかく。上からは俺たち、下は分身の俺に任せて探索しようか。
マリス・ステラ
【逆星】
「主よ、憐れみたまえ」
『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯り、星枢に宿れば青のペンデュラムが揺れ始めた
「星の導きのままに」
はぐれないようサカガミの手をとり進みます
彼が呼ぶ影の鳥が恐竜達を見つけ出す
「サカガミ、怖がらせてはいけません」
と言いながら恐竜の大きさに瞠目
素直に感動がありました
彼らに協力して貰えたら良いのですが……
恐竜の中に手傷を負っているものがいれば【不思議な星】
「もう大丈夫です。痛かったでしょう」
そっと撫でて仲良くなれたら背に乗ります
サカガミの呪いは『呪詛耐性』を広げて恐竜を保護
「彼らなら心配いりません。せっかくの機会を楽しみましょう」
サカガミと共に恐竜とお散歩
良い風ですね
●大きな世界
揺れる緑。天を覆うほどに伸びた草木。
遠くから聞こえる恐竜達の足音。それらに耳を澄ませるマリスとサカガミは、雄大な空間が広がる景色を瞳に映していた。
「色々と巨大化しているこの世界。探すのは骨が折れそうだが……」
「ええ、心配はありません。――主よ、憐れみたまえ」
サカガミが周囲を見渡す中、マリスが普段通りに祈りを捧げる。
すると星辰の片目に煌めく光が灯り、その輝きが星枢に宿った。其処から青のペンデュラムが揺れて先を示す。それと同時にサカガミも呪いで型どられたもう一人の自分を呼び出していった。
『俺をお探し? きゃはっ、あんたも好きだねえ?』
噴き出す呪い。その姿は瓜二つでも、サカガミとはまるで正反対の性格だ。くすくすと笑うもう一人の自分をよそにサカガミは別の方向を向く。
「はいはい、じゃあ見回りよろしく」
そんな彼らを見遣った後、マリスはペンデュラムが示す方角に目を向けた。
「星の導きのままに」
そして、はぐれないようサカガミの手を取る。
彼もマリスの手を握り返し、石板探しの探索が始まってゆく。草木を掻き分けて進むだけでも苦労するが、確かに繋いだ手が心強さを宿してくれた。
そうして、二人はひらけた場所に出る。
「…………大きい」
サカガミの視線の先にあったのは巨大な影。トリケラトプスだ。
話には聞いていたが、はじめて見つけた恐竜は少年にとって予想以上のものだった。大きすぎる、ともう一度口にした彼の前に立ち、マリスはそっと告げる。
「サカガミ、怖がらせてはいけません」
そう言いながらマリスも瞠目した。
トリケラトプスは全長約十メートルほど。人間と比べればかなり巨大である。
「凄いですね……」
素直に感嘆の言葉を零したマリスは暫しその姿を見つめていた。そんな中でサカガミが違和に気付く。奥にあった岩場付近から動かず、もぞもぞと巨体を揺らしている個体が居たのだ。
「マリス、あれは……?」
「岩に挟まってしまっているのでしょうか。怪我をしているようですね」
行きましょう、とサカガミの手を引いたマリスは不自然な動きをしているトリケラトプスへと歩み寄った。
予想通り、その恐竜は片足を怪我している。
マリスは両手を重ね、星の輝きによる力で恐竜の傷を塞いでいった。サカガミは岩場の引っかかっているところを呪によって削り、脱出しやすいようにしてやる。
するとトリケラトプスはすぐに其処から抜け出し、二人に頭を垂れた。感謝の念を覚えているらしき恐竜はマリスに擦り寄るように歩いてくる。
「もう大丈夫です。痛かったでしょう」
その鼻先に手を伸ばしたマリスは穏やかに微笑んだ。
そうして、二人はすっかり懐いた様子の恐竜の背に乗せてもらうことにした。
「ふわ……」
サカガミは思わず声をあげる。
あまりの雄大な自然に目を奪われてしまったらしい。
遥か高い所から見える世界。それは地上から見ていたものとは異なっていた。
マリスは少年らしい反応を見せる彼に微笑ましさを覚えながら、トリケラトプスの背をやさしく撫でる。
同時に呪詛耐性を広げて恐竜を保護しつつ、サカガミに笑いかけた。
「彼らなら心配いりません。せっかくの機会を楽しみましょう」
その言葉から、先程の感嘆の声が聞かれていたと気付いたサカガミは軽く咳払いをして誤魔化す。しかしそれもまた可愛い。
くすりと笑むマリスの傍、サカガミは前方を示す。
「……と、とにかく。上からは俺たち、下は分身の俺に任せて探索しようか」
彼の声に頷き、マリスもトリケラトプスが連れて行ってくれる先を見つめた。その際にふわりとした風が髪を撫でていった。
「良い風ですね」
「ああ、心地良いな」
緑の香りを運ぶ風と、広大な景色。穏やかに揺れる恐竜の背。
視線を交わした二人は裡に不思議な心地が巡っていくことを感じ、恐竜と共に進む世界を大いに楽しんでいった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月舘・夜彦
【華禱】
恐竜という生物はサムライエンパイアに居りませんので興味深いですね
ヘビやトカゲのようでありながら大きく、皮膚も丈夫そうです
何よりも立派な角が生えてるみたいですね
倫太郎殿、早速観察……ではなく石版探しに行きましょう
彼等は力で解決するよりも交渉が良いのではないかと
草食動物との事ですし、交渉材料として道中に集めた草を差し上げて
コミュ力と動物と話す技能にて石版探しのお手伝いをお願いしましょう
協力して頂けたのなら背中に乗せて貰って移動しましょう
大きい恐竜ですから倫太郎殿と二人乗りも出来そうです
馬に乗る時と同じようなものかと思いましたが、骨格も異なるので違いますね
篝・倫太郎
【華禱】
確かに、爬虫類や両生類に似てるけ、ど……
あーぁ、もう好奇心刺激されちまって……
夜彦、観察してもいいんだぜ?
こっちが手を出さなきゃ、向こうもしてこねぇって話だし
じっくり慣れて貰えりゃいーだろ
まぁ、交渉に関しては夜彦に任せっぱなしになっから
交渉材料の草を入手するのは頑張る
好んで食べる草なんかも
向こうが慣れるまでの間に把握出来るだろうし
ただ、相手に『食料を奪いに来た奴ら』と思わせないように
注意しながら……になっけど
交渉成功したら
背中に乗せて貰おう
はは、馬とは随分違うんじゃね?
寧ろ、駱駝に似てるかもしれねぇなぁ……
交渉した恐竜以外の奴も
HoldaとLoreleiで記録しとこう
夜彦が喜びそうだし
●共に緩やかな時間を
巨大な世界に住まう、これまた大きな生き物達。
恐竜という存在を思い、夜彦は周囲に広がる景色をじっと眺めていた。恐竜はサムライエンパイアにはおらず未知なるものだ。
「成程……ヘビやトカゲのようでありながら大きく、皮膚も丈夫そうです」
「確かに、爬虫類や両生類に似てるけ、ど……」
闊歩する恐竜の姿を興味深く見つめる夜彦の隣、倫太郎は頷く。
「何よりも立派な角が生えてるみたいですね」
「あーぁ、もう好奇心刺激されちまって……」
落ち着いてはいても彼が子供のような瞳をしていることに気付き、倫太郎は思わず口許を緩める。すると夜彦が振り向き、手招きした。
「倫太郎殿、早速観察……ではなく石版探しに行きましょう」
思わず本音を口にしそうになった夜彦は軽く咳払いをして、石板の探索に出ようと告げる。しかしそんな彼も可愛らしく思えてしまった。
「夜彦、観察してもいいんだぜ?」
「そうですか。ではお言葉に甘えて……」
倫太郎の快い言葉に夜彦は淡く笑み、双眸をそっと細める。そして二人は手近な場所にいたトリケラトプスへと歩み寄っていった。
何をするにもまずは彼らに敵ではないと理解してもらわなければならない。
「彼等は力で解決するよりも交渉が良いのでしょうね」
「そーだな。こっちが手を出さなきゃ、向こうもしてこねぇって話だし。じっくり慣れて貰えりゃいーだろ」
「では、これの出番ですね」
相手は草食恐竜。此方を得物として狙ってくることもない。
夜彦は道中に集めてきた草を示す。
ここまでの道すがら、恐竜を観察してきた彼らは好んで食べられている草を把握してきた。倫太郎は相手に食料を奪いに来た奴らだと思われないか心配していたが、これほど広大なフィールドの中、どこもかしこも草だらけ。誰が何に触れようとも、恐竜達は何も気にしなかった。
そうして、夜彦はトリケラトプスに向けて草を掲げてみる。するとトリケラトプスはゆっくりと首を下ろし、夜彦が持つ草の匂いをかぐような仕草を見せた。
うお、と思わず倫太郎が声をあげる。
相手は九メートルほどもある巨体だ。その顔がのっしりと近付いてくるだけで迫力があったのだ。
しかしそれは怯えというよりも驚きに近い感情だ。
すげー、と感心する倫太郎の傍ら、夜彦はじっと恐竜を見つめていた。
不意に重なる視線。頷く夜彦。
そして、トリケラトプスはゆっくりと草を食みはじめた。どうやら此方に気を許してくれたようだ。
「どうでしょうか、石板探しのお手伝いをお願いできませんか?」
夜彦が交渉すると、トリケラトプスは不思議そうな様子を見せた。石板と言われても何か分からないのだろう。
しかし、何かを探しているのならば手伝うといってくれた。
「倫太郎殿、乗せてくれるようですよ」
「おお、じゃあ背中に乗って探索するか」
二人は同じトリケラトプスの背に乗り、案内を願うことにした。ゆったりと、けれどもその巨体を活かしてしっかりと進む恐竜。乗り心地は良い感じだ。
「馬に乗る時と同じようなものかと思いましたが、骨格も異なるので違いますね」
「はは、馬とは随分違うんじゃね?寧ろ、駱駝に似てるかもしれねぇなぁ……」
「駱駝、ですか?」
「そうそう、砂漠の……サムライエンパイアにはいなかったか?」
倫太郎と夜彦はそんな遣り取りを交わしながら、恐竜が案内してくれるままに進んでいった。その最中、倫太郎は違う恐竜の姿も記録しておく。
後で見せたらきっと夜彦が喜ぶだろう。
探索を終えた後の楽しみも残そうと考え、倫太郎は楽しげに笑んだ。
そうして、二人の恐竜散歩のひとときは穏やかに流れていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミフェット・マザーグース
恐竜と秘境!
すごくきれいな濃いみどり、すてきな世界!
戦争中じゃなかったら、ゆっくり冒険したいのに
ティエル(f01244)と一緒に行動するよ!
髪の毛を触手にかえて、「ロープワーク」と「クライミング」を使って、木や岩山につかまりながらどんどん秘境を進んでいくよ
恐竜さんを見つけたらティエルの希望通り話しかけるためにそっと近づくよ
もし怪我したり怯えてる恐竜さんがいたら、UCを使うね
UC【田園を照らす暖かな陽の光の歌】
歌の詩は通じなくても、柔らかくて落ち着く声の色で「歌唱」、いっしょにリュートで「楽器演奏」してメロディを聞かせれば通じるかも? 通じるように、がんばって演奏するね
石版の場所、知ってるかな?
ティエル・ティエリエル
ミフェット(f09867)と一緒
今日はどんな恐竜さんとお友達になれるかなー♪ミフェット、楽しみだね♪
ミフェットの頭の上に飛び乗って森の中を探索していくね♪
【フェアリーランド】の中に太陽をいっぱい浴びたオレンジを入れてきたから恐竜さんに出会ったらおすそ分けだよ♪
オレンジを上げて仲良くなったら「動物と話す」技能で石板のこと聞いてみるよ!
心当たりの場所を聞いたら連れて行ってもらえないかな?
ボクは角竜さんの自慢の角に抱き着いて乗っていくよ☆
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
●更なる冒険へ
秘境に生い茂る草木。
その中を悠々と闊歩する恐竜。
此処は見れば見るほどに浪漫を感じる場所だ。ミフェットとティエルは広大な大空洞内部を眺め、それぞれにはしゃぐ。
「すごくきれいな濃いみどり、すてきな世界!」
「今日はどんな恐竜さんとお友達になれるかなー♪ ミフェット、楽しみだね♪」
はぐれないようにティエルはミフェットの頭の上に乗り、ミフェットもティエルがちゃんといるか気にしながら歩いていった。
「戦争中じゃなかったら、ゆっくり冒険できるのにね」
「平和になったらまた遊びにこれるかな?」
少女達は楽しげに、けれど猟兵としての使命もしっかりと持ったまま進んでいく。
密林は巨大な植物ばかり。
しかし、髪を触手に変えたミフェットは樹や岩に掴まり、どんどん先を目指す。
「ティエル、何か見える?」
「うーんとね、あっち! 向こうに恐竜さんがいるみたい!」
周囲の探索役として辺りを見渡すティエル。ミフェットが問うと、向こうだよ、という声と共に岩場の影が示された。
あっちだね、と方向を変えたミフェットは木の上に着地する。
その眼下にいたのはアルカエオケラトプスという種類だ。それらは一メートル程の比較的ちいさな恐竜であり、群れを成している。
がさっという音が響いたことで彼らは驚き、辺りを見渡した。
驚かせてはいけないと察したミフェットはティエルと一緒にそっと近付いていく。
「よーし、ちょっと待っててね」
そしてティエルはフェアリーランドに潜り込み、あるものを取りにいった。それは太陽の光をいっぱいに浴びたオレンジだ。
ひょこりと戻ってきたティエルはミフェットに幾つかオレンジを渡す。
「これで仲良くなれるかな?」
「やってみよう。はい、おすそ分けだよ♪」
ミフェットは数個、ティエルは一個を大きく掲げてアルカエオケラトプスに差し出した。警戒した様子の彼らだが、オレンジの香りにつられてゆっくりと歩み寄ってくる。
そして――。
「やった、食べてくれたよ!」
「恐竜さん、おいしい?」
二人が手にしていたオレンジは気に入られたらしい。アルカエオケラトプスはもっと欲しいというような鳴き声をあげ、少女達のまわりを回った。しかし、そんな中に近付いてこないものもいた。
「ミフェット、あの子! 怪我してるみたいだよ!」
「たいへん。治してあげなくちゃね」
ティエルが示した恐竜は足を負傷しているらしかった。
すぐにミフェットはリュートを手にして、そっと歌を紡いでいく。
目を閉じて ほんの少しだけ 思い出して
胸のそこにしずんでる 暖かいばしょ
その陽の光は いつでもみんなを照らしてる
それは暖かな陽の光の歌。
柔らかくて落ち着いた声とリュートの音色。歌の詩は通じなくとも、その音楽は恐竜の傷を癒やして心を通わせてゆく。
そうして怪我は治され、恐竜達はミフェットとティエルにすっかり懐いた。
二人は今こそ彼らに問うときだと感じて、捜し物について聞く。
「石版の場所、知ってるかな?」
「心当たりの場所があったら連れて行ってもらえないかな?」
アルカエオケラトプスは賑やかに鳴くと、ついてきて、というように歩き出した。彼らが言葉を理解しているかはわからないが、二人を受け入れていることは確かだ。
ついていけば何かがある。そう感じた少女達は彼らの後に続いていった。
「待って待って!」
「わ、背に乗せてくれるの?」
ひらひらと飛んだティエルはその頭にぎゅっと抱きつき、ミフェットも恐竜の背に乗せて貰うことが出来た。
「えへへ、何が待ってるか楽しみだね☆」
「これも冒険なのかな。うん、楽しみ!」
そして、少女達はこの先に巡る道中に思いを馳せてゆく。
石板が見つかるのか、それとも全く別のものか。何にしてもきっと楽しくなるのだということだけは分かり、二人は明るい笑みを咲かせた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
三咲・織愛
ムーくん(f09868)と
わぁー! 恐竜ですよ、恐竜! 生恐竜に会えるだなんてすごいすごい!
これは是非とも仲良くなって遊ばなければいけません(ぐっ)
という訳でがんばりましょうね、ムーくん!
所謂探検家っぽい服装でばっちりきめっきめで向かいます!
勿論ムーくんも同じ格好です
ここにいる子達はみんな草食なんですよね
ご飯(草)をたくさんあげたら仲良くなれないでしょうか?
手当たり次第にそこらの草を搔き集めてドッサァァと前に置いてみますね!
仲良くしましょー!
私、トリケラトプスの背に乗ってみたかったんです
という訳で乗りましょう!
ぐぐいと手を引き背に乗ります
たかーい! 振り落とされないように気を付けてくださいね!
ムルヘルベル・アーキロギア
同行:織愛/f01585
……いやおかしくないか?
この環境ではなくワガハイの格好の話なのだが???
なんでワガハイ勝手にペアルックにされておるのだ!?
(因果律改変系のユーベルコードかなんかかな?)
まあ織愛相手に常識を疑っても致し方あるまい……探索をしよう
よいか織愛よ、目的はあくまで石版探しであってうん聞いておらんな
恐竜と触れ合うのが目的になっておるな! わかってたー!!
ワガハイ周辺探索しておるから満足したら帰って来
えっ背中? ワガハイも? ナンデ?
ぎゃあああああ高いぃいいいい怖ぃいいいい
いやこわくないがぁああぎゃあああああ!!!!
(無理やり恐竜の背に乗らされてピーピー泣きわめく賢者であった)
●わくわく探検隊の冒険
「わぁー!」
雄大な自然が広がるパンゲア大空洞内に、明るい声が響き渡った。
その声の主は織愛だ。
カーキ色のサファリジャケット、いわゆる探検家服に身を包んだ彼女は大きなリュックを背負っている。ばっちりしっかりキメキメだ。
「恐竜ですよ、恐竜! 生恐竜に会えるだなんてすごいすごい!」
かなり重量のあるリュックもものともせず、織愛はぴょんぴょんとその場で跳ねる。そんな彼女の傍。其処には項垂れたムルヘルベルが居た。
「……いやおかしくないか?」
この台詞を紡ぐのもこれまでで何度目になるだろうか。彼がその感情を向ける先はこのパンゲア大空洞についてではなく、今の自分の格好だ。
サファリジャケットとハーフパンツ姿の織愛とほぼお揃いの服装で此処に立っている。その事実が妙に認められないでいた。
「なんでワガハイ勝手にペアルックにされておるのだ!?」
「似合ってますよ、ムーくん!」
笑顔で答える織愛。
彼女が誘いに来て、服を着せられて、此処まで来た記憶は確かにある。だが、どうしていつもいつも自分は気付けば乗せられているのか。謎だ。謎だが事実だ。
(因果律改変系のユーベルコードかなんかかな?)
半ば諦めの心境になりながらも、ムルヘルベルは織愛の方を見遣る。
彼女の気持ちは既に、近くを歩いていく恐竜の方に向けられていた。のしのしと進むトリケラトプスの背を見送った織愛はぐっと拳を握る。
「これは是非とも仲良くなって遊ばなければいけません」
「これもまたいつも通りであるな……」
「という訳でがんばりましょうね、ムーくん!」
こうして彼女が意気込む流れまでがここ最近のセットである。ムルヘルベルはこくこくと頷くしか出来ず、織愛に引き摺られていった。
そして、二人は手始めにどうすれば恐竜と仲良くなれるかを考えていく。
「ここにいる子達はみんな草食なんですよね。ご飯の草をたくさんあげたら仲良くなれないでしょうか?」
「餌付けは対動物に有効な手なのは確かだな」
織愛が首を傾げると、ムルヘルベルはそれが手っ取り早いと答える。
それなら、と瞳と輝かせた織愛はご飯集めをはじめていく。しかしその手法は彼女らしく実にワイルドだった。
――バリバリバリ!
――ドッサァァ!
そんな効果音が相応しい勢いで、近くに居たトリケラトプスの前にシダ植物がそれはもう山盛りに置かれた。
「仲良くしましょー!」
掛ける言葉も素直で率直で無邪気。
ムルヘルベルは織愛にそれではいけないと語りかけようとしたが――。
「よいか織愛よ、目的はあくまで石板探しであって……うん聞いておらんな。恐竜と触れ合うのが目的になっておるな! わかってたー!!」
途中で説明も注意も止めて自分で自分にツッコミを入れた。
織愛に付き合う以上、常識を求めてはいけない。そのことを如実に示すように織愛はもうすっかりトリケラトプスと仲良くなっていた。あんなに大雑把な歩み寄り方法だったというのに、だ。
織愛は恐竜の顔をそっと撫でた後、ムルヘルベルの方に振り返る。
「私、トリケラトプスの背に乗ってみたかったんです。という訳で乗りましょう!」
「えっ背中? ワガハイも? ナンデ? ワガハイ周辺探索しておるから満足したら帰って来――」
ムルヘルベルが思わず疑問を浮かべるも、織愛は聞いちゃいない。分かっていたことだが無情である。ぐぐいと手を引かれたムルヘルベルはあれよという内に背に乗っていた。台詞さえ最後まで言わせて貰えない勢いだ。
「たかーい!」
「ぎゃあああああ高いぃいいいい怖ぃいいいい」
「ムーくんも楽しそうで良かったです! さあ、発進です!!」
はしゃぐ織愛が前方を示すとトリケラトプスが歩き出した。何で言うことを聞くのか。そもそも何処に行こうというのか。
それを問うことも出来ず、ムルヘルベルは縮こまる。
「いやこわくないがぁああぎゃあああああ!!!! 落ちるうううう!!??」
「振り落とされないように気を付けてくださいね!」
叫び声と明るい声。
ピーピーと泣きわめく賢者と楽しげに微笑む少女。
対照的な声が響いていく中でトリケラトプスはのっしのしと先に進んでいく。こうしてパンゲア大空洞内での二人の冒険は、もう暫し続いていくようだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
都槻・綾
【梟】
巨大な植物は気候の所為か
或いは魔力の所為か
空を
下草を
左右をきょろきょろ、興味津々
帳面に記し乍ら散策
つい夢中になったところで
大きな背に、こつり
ロカジさんかと詫びてみれば
トリケラトプスのこどもと目が合い、きょとん
動物と話すことが可能なら改めてご挨拶
そっと撫でる温かな体表はいのちの証
上空に渡ってみたいけれど
未だ怖いのだ、との素振りの仔竜に
一緒に登りましょう、と柔らに笑んで
やぁ
誠に浮いていますねぇ
魔力の源を紐解いてみたいものです
かよさんの後に続いて
浮遊岩石に瞳を輝かせつつ乗ってみせ
仔竜もおいでと促したなら
樹々の高みを目指しましょ
映日果の稔りをひともぎして
皆で味わうひと時
眺める空の広さはきっと格別
ロカジ・ミナイ
【梟】
本当に、珍しい草木やお花ちゃんがたくさんで目移りしちゃうなぁ
浮き足立つってのはこういうのを言うんだろうね
…ん?どしたい、綾
と、素っ頓狂な方向から返事をした
君がぶつかったのは、
あれまぁかわいらしい仔竜だこと!
へぇ、何やら勇気が欲しいんだって?
よしよし、一肌脱ごうか
がんばる良い子には親切なのよ、僕
同じく花世さんに続いてヒョイと浮遊岩へ
飛び跳ねて見せたりして
ホラ、怖い事はひとつもないよ、おいで
まだダメなら
背中に手を添えてエスコートさ
一緒に踏み出そうじゃないの
登り切ったらバンザイをしようか
お手手挙げらんない?
ハハ!君には掲げるのにピッタリないい角があるじゃないの
境・花世
【梟】
雄大な天に聳え立つ樹々のなか、
わたしたちはまるでちっぽけないきもの
わくわくと進むうちに出逢った仔は
ちいさくて温かで、――おんなじいのちだね
懸命に鳴く仔に相対するふたりは、
まるで兄貴分みたいにやさしくて
見守りながら緩む頬を抑えきれず
それじゃあ、わたしがお手本を見せてあげよう
かろやかに駆けて跳ねて、
浮遊岩石にふんわりと飛び乗ってみせるよ
すこしも恐れずに揺るがずにできたなら、
かわいい仔、きみへ勇気をあげられる?
偉大なる一歩を見届けたなら破顔して、
がんばったねとちいさな背をそっと撫でる
ほら、これできみも探検隊の一員だよ
あの空の高いところまで辿り着けたなら
限りなく広がる世界を、一緒に見よう
●洞の果ての空
未知に満ちた世界、パンゲア大空洞。
其処は恐竜が住まう太古の風景が広がる場所。
巨大な植物は気候の所為か。或いは石板の魔力の所為か。綾は広大な景色を見上げ、興味深く目を細めた。
綾の傍ら、ロカジと花世も頭上を振り仰ぐ。
雄大な天に聳え立つ樹々の中にいると思うことがある。自分達はまるでちっぽけないきものなのだ、と――。
「本当に、珍しい草木やお花ちゃんがたくさんで目移りしちゃうなぁ」
きっと浮き足立つというのはこういったことを言うのだろう。ロカジが見つけたのは篠懸の樹。太古の時代からこの形であったという樹々だ。
関心を抱くロカジに、木々の間から射す光に手を伸ばす花世。
皆がそれぞれに景色を楽しむ中で綾も周囲を帳面に記しながら散策していく。
空を、下草を、左右を。きょろきょろと興味津々に、つい夢中になったところで不意に綾は大きな背にぶつかる。
「ロカジさん? すみませ――」
「……ん? どしたい、綾」
綾が自分を呼んだと思えば、途中で言葉が止まった。振り返ったロカジが見たのはトリケラトプスのこどもと見つめ合い、きょとんとした様子の綾だ。
「あれまぁかわいらしい仔竜だこと!」
「ふふ。ちいさくて温かで、――おんなじいのちだね」
花世もその声に気が付き、見つめ合う綾とトリケラトプスの姿にくすりと笑む。
少しばかり驚いた綾だったが気を取り直して、こんにちは、と挨拶をしてみる。すると妙に不安げだった仔竜が軽く頭を下げた。
きゅうきゅうと鳴くトリケラトプスの仔にロカジも歩み寄る。
どうやら仔竜は此方に何か訴えているようだ。
「何だって、綾」
「ええ、聞いてみますね」
トリケラトプスの子が懸命に鳴く様に相対する二人。
彼らがまるで兄貴分みたいにやさしく思え、見守る花世の頬も自然に緩む。
綾は仔竜を撫でながら彼が訴え続けることを聞いている。その温かな体表はいのちの証のように思え、綾もそっと笑んだ。
「上空に渡ってみたいけれど未だ怖いのだそうです」
綾が通訳をしながら樹々の向こう側を示す。ロカジと花世が其方に目を向けると、ふわふわと上下する浮遊岩石があった。
「へぇ、つまりは勇気が欲しいんだって? よしよし、一肌脱ごうか」
がんばる良い子には親切なのだと胸を張ったロカジは手伝う気満々だ。綾も柔らに仔竜に呼び掛け、花世も頷く。
「でしたら、一緒に登りましょう」
「それじゃあ、わたしがお手本を見せてあげよう」
そうして花世は岩場へと軽やかに駆けていき、見ててね、とトリケラトプスに声を掛けた。仔竜が見守る中で花世は跳ね、浮遊岩石にふんわりと飛び移った。
その姿からは怖れなど少しも感じられない。
花世の後に続いた綾も浮遊岩石に瞳を輝かせつつ乗ってみせる。
「やぁ、誠に浮いていますねぇ」
魔力の源を紐解いてみたいものだと感じながら、綾はトリケラトプスを呼ぶ。しかしまだ仔竜は踏ん切りがつかない様子。
同じく浮遊岩に乗って飛び跳ねて見せたロカジも声を掛けてみる。
「ホラ、怖い事はひとつもないよ、おいで」
『…………』
だが、やはり仔竜はじっとしたまま。その間に浮遊岩は上へ上へと登ってしまう。それなら、とロカジは一度岩場から飛び降りた。
そして、綾と花世が居る岩をトリケラトプスと共に見上げる。
「かわいい仔、勇気を持って」
「おいで、此処で待っていますから」
二人が手招く岩場がゆっくりと下りてくる様を仔竜と共に待つロカジ。そして彼はぽん、とトリケラトプスの背を叩く。
「一緒に踏み出そうじゃないの」
そのまま背中に手を添えたロカジはエスコートするように踏み出した。次の瞬間、トリケラトプスが見事に岩場に飛び移る。
それは偉大なる一歩。
「がんばったね。ほら、これできみも探検隊の一員だよ」
破顔した花世がちいさな背をそっと撫でれば、綾もぱちぱちと拍手を送る。
ロカジもよくやったと仔竜を褒めてやった。
そこから浮遊岩石はもう一度上に登っていく。高く伸びる樹々の横を浮かんでいけば、次の岩場に飛び移るポイントがある。
そうすれば樹々の上に出ることができるだろう。
ねえ、と仔竜に呼びかけた花世はもう一度飛ぼうといざなう。
「あの空の高いところまで辿り着けたなら――」
限りなく広がる世界を、一緒に見よう。
そのように告げた花世の傍ら、綾も映日果の稔りをひともぎしておく。ロカジは先程と同じようにトリケラトプスの背を撫で、次も出来ると励ました。
「登り切ったらバンザイをしようか」
『……!』
「手があげられないと言っていますねえ」
ロカジの言葉に仔竜が答え、綾が通訳をしていく。するとロカジが明るく笑う。
「挙げらんない? ハハ! 君には掲げるのにピッタリないい角があるじゃないの」
「そうだね、それで皆で万歳しよう」
『……!!』
ロカジが告げると花世も頷き、仔竜も俄然やる気になっていった。
そして――。
次の岩場に皆で飛び、至った場所。
其処は大空洞を見渡せるほどの高さまで登る浮遊岩だった。
「やったね、ここが頂点かな」
「そら、バンザーイ!」
「皆さん、これをどうぞ」
花世とロカジは両手を上げ、トリケラトプスも角を大きく掲げて誇ってゆく。綾は映日果を皆に渡し、ゆるりと微笑む。
此処は他でもない皆で一緒に辿り付けた特別なところ。
眺める景色は格別に思え、三人と一匹は穏やかな笑みと視線を交わしあった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
砂羽風・きよ
綾華(f01194)と
うおぉ。恐竜カッケー!
間近で見ると更に迫力が増すな。
見ろよ綾華。やべーぞ。お前も恐竜好きか?
背中乗ってみたくね?
よし、まずは友好的に接しないとな。
そーいう時はメシで釣るのが一番だろ。
屋台を取り出して肉を焼き始める
おら、食え食え。
なんか、めっちゃ恐竜来てね!?
おいおい嘘だろ。メシの効果抜群じゃん!
あ、おい!ちゃんと順番守れ!
つーか、さりげなく俺の頭食うな!
食いもんじゃねぇ!
さんきゅ。
ってマジか。ちょっと待ってろ。
恐竜が何か言いたそうに見つめてくる
お、背中乗せてくれんの?
綾華を先に乗せて
俺も乗るわ!
くそ、先に行きやがって!俺の脚力なめんな!
全速力で追い掛けてしっぽにしがみつく
浮世・綾華
きよ(f21482)と
かっこいい、絶対背中に乗りてぇ
と、内心テンションは上がるが
彼の言葉にどきり
…ふつーに好きでしょ
よし、行くぞ
お、じゃあ任せよ
どさくさに紛れて一緒に飯を食う
え?いや、食わないと俺ものろのろになるんかと思って
…ええ、血ぃ出てるじゃん
大丈夫か?と慈鍵で回復
血だらけのお前と行動したくねーし
でもこれで疲れちゃったから俺もう恐竜に乗んねーと歩けない(大嘘
うおー、でっけー!最高の眺めだな!
え、俺専用じゃないの?
ほら、早く乗れよ――って、あっ
冗談半分だったがうだうだしていたら動き出す恐竜
あーあ…
あははっ
きーよーし!ちゃんとついてこいよー
何て言いつつ恐竜を撫で
――恐竜くん、きよも乗せてやって
●追いかけっこ道中
雄大で広大、更には巨大。
恐竜が闊歩する、ただただ大きいとしか言い様がない世界。
そんな景色を前に、きよと綾華は興奮を覚えていた。いわゆる男児的な感情だ。
「うおぉ。恐竜カッケー!」
「かっこいい、絶対背中に乗りてぇ」
生い茂る草木の中を悠々と進んでいく草食恐竜達。のしのしと歩いていく様を見つめるきよは間近で感じる迫力に圧倒されていた。
「見ろよ綾華。やべーぞ。お前も恐竜好きか?」
男子としての純粋な感動を隠さないきよ。彼の言葉を聞き、綾華はどきりとする。きよのように声をあげて喜ぶのも良いが、綾華はクールに装う。
「……ふつーに好きでしょ。よし、行くぞ」
「何だよ、嬉しい癖に」
きよはおかしそうに笑み、先に進んだ綾華の後を追った。
そして、此処から二人による恐竜の背中に乗るぞ作戦がはじまっていく。
「よし、まずは友好的に接しないとな。そーいう時はメシで釣るのが一番だろ!」
「お、じゃあ任せよ」
少し進んだひらけた場所にて、きよは屋台を取り出していく。
バラックスクラップをてきぱきと組み立てていく彼の様子を眺め、綾華は手近な石の上に座った。そうしてきよは肉を焼き始める。
漂う湯気。
じゅうじゅうと響く快い音。
しかし暫くしても何も近付いてこない。きよの見立てでは匂いに釣られた恐竜達がわんさか訪れるはずだったのだが、焼き上がった肉を食べているのは綾華のみ。
「あれ、何でこねぇんだ?」
あ、これ美味いと、呟いて味わっていく綾華は十分に肉を食した後にきよを呼ぶ。
「……なあ、きよ」
「何だよ綾華」
「この辺りに居るのって草食恐竜ばっかりじゃねぇ?」
「あっ!!??」
そこでようやく何故に恐竜が寄ってこないかの理由に気付いたきよ。綾華は当初から気が付いていたのだが、肉が食べたかったので暫し黙っていたのだ。
「くそっ……盲点だった……」
「自信満々にやるのがきよらしーよな」
「そりゃ肉は美味いからな。はあ……それじゃ、あの草でも焼くか?」
きよは苦し紛れに近くにあったシダ植物を炙ってみる。するとこれまでの状況が嘘のようにゼノケラトプスが現れはじめた。
「おら、食え食え。……ってなんか、めっちゃ恐竜来てね!?」
「おー、草効果すげーな」
「おいおい嘘だろ。メシの効果抜群じゃん! あ、おい! ちゃんと順番守れ! つーか、さりげなく俺の頭食うな! 食いもんじゃねぇ!」
あっという間にきよは囲まれてしまい、恐竜にもみくちゃにされてしまう。
彼らは警戒より何よりも草を食むことに夢中。そしてどうやら美味しい草をくれたきよに懐きはじめたようだ。
そんな中、きよはやっと恐竜の中心から這い出てきた。
様子を見守っていた綾華が、おつかれさま、と声をかけようとした時。頭を齧られたらしいきよが軽い怪我をしていることに気付いた。
「……ええ、血ぃ出てるじゃん。大丈夫か?」
「ほんとだ。気付かなかったな。さんきゅ」
痛みがない程の傷らしいが、綾華は慈鍵の力を使ってそれを癒やす。
「血だらけのお前と行動したくねーしな。でもこれで疲れちゃったから俺もう恐竜に乗んねーと歩けない」
きよから礼が告げられる中、綾華は力を使ったことで疲弊したのだと言った。勿論それはちょっとした嘘なのだが率直に受け取ったきよは慌てる。
「マジか。ちょっと待ってろ!」
(真面目だよなぁ、ほんと……)
何か休める所は、と探すきよの背を見つめる綾華。するとさっきまできよに懐いていたゼノケラトプスがじっと見つめてきていた。
「お、背中乗せてくれんの? じゃあ綾華を先に乗せてやってくれ」
こっちこっち、と呼ぶきよ。
そして綾華は見事にゼノケラトプスの背に乗ることに成功した。先程のクールさや疲弊も何処へやら、綾華は少年のようにはしゃぐ。
「うおー、でっけー! 最高の眺めだな!」
「俺も乗るわ!」
「え、俺専用じゃないの?」
「いやいや、二人くらい余裕で乗れるだろ!」
「あはは。ほら、早く乗れよ――って、あっ」
冗談を交わしながら地上と背の上で会話していると、不意に恐竜が動き出した。
「うお、待て。待てって!」
「きーよーし! ちゃんとついてこいよー」
「くそ、先に行きやがって! 俺の脚力なめんな! あときよしじゃねぇ!」
進む綾華と恐竜。全速力で追い掛けていくきよ。暫し追いかけっこのような光景が繰り広げられた。
「恐竜くん、きよも乗せてやって」
「よっしゃ、掴んだ!」
ゼノケラトプスを撫でた綾華が声をかけると同時に、きよが尻尾にしがみつく。
しかし、驚いた恐竜が尻尾をぶんっと大きく振り――。
「うおお!?」
「あーあ……」
樹々の向こうに飛ばされるきよを見送った綾華。いってぇ! と割と元気な声が聞こえたことで彼の無事は確かめられた。
これはもう一度癒やしがいるかも、なんてことを思いながら綾華は肩を竦める。
けれどもこんな騒動もまた、楽しい記憶のひとつになる。そんな気がした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
クラウン・メリー
【檸檬】
わぁ、恐竜さんだぁ!
クールクール、小っちゃい恐竜さんもおっきい恐竜もかっこいいね!
クールはこういう竜は平気?
あはは、角がでっかいの首が長いのがいて凄いなっ!
あ、確かに恐竜さんの名前なんだろ?
触ってもいいですかー!と、恐竜に話しかけてみて
大丈夫そうなら、なでなで
ほらほら、クールもなでなでしよ!
何か食べ物とかあげたら喜ぶかな?
あ!俺何か集めてくるね!
高い木になっている実は飛んだりして
沢山集める
はい、どーぞっ!木の実を恐竜さんにあーん
わわ、クールみてみて!俺の手も一緒に食べられちゃった!
うん、大丈夫!痛くないよ!
わぁ、後ろに乗てくれるの?クールも乗ろっ!
よーし、このまま石板探しにレッツゴー!
クールナイフ・ギルクルス
【檸檬】
敵意がねえから平気
なんか、角竜ってやつは全部同じに見える……
角の形と本数が違うのか
刺激しないようにゆっくり近づき
警戒するようなら無理せず
許してくれるなら触れない程度にそっと手を伸ばす
要領は動物に近づくときと同じ
触れさせてくれるなら、サンキューとゆっくり撫でて
だな、きっと喜ぶんじゃね
クラウンが食い物取りに行ってる間、もう少し触れて静かに話しかける
鍵の石版って言うのを探してるんだが見つからなくて困ってる
どんな形なのかもわからなくてな
石でできた板みたいなの、知ってたら教えてくんね?
食われた手に焦って大丈夫かと引き抜くため手を伸ばす
ったく、ビビるだろうが!
ラウ以外の背に乗るの、なんか新鮮だわ
●恐竜大冒険
パンゲア大空洞。
其処は巨大な緑が生い茂り、古代の生物達が闊歩する不思議な世界。
「わぁ、恐竜さんだぁ!」
降り立った岩場の上、クラウンは遠くに見える恐竜達の姿にはしゃいでいた。草を食み、悠々と歩く恐竜はこの雄大な空間に相応しい存在に思える。
クラウンは、すごいねと笑みながら隣に立つクールナイフを呼んだ。
「クールクール、小っちゃい恐竜さんもおっきい恐竜もかっこいいね! クールはこういう竜は平気?」
「敵意がねえから平気。なんか、おっとりしてて可愛いよな」
彼からの問いかけにクールナイフは穏やかに頷く。
のしのしと自由気ままに歩いていく恐竜は確かに大きいが、問答無用で襲ってくるような種類ではないらしい。
「良かった! あはは、角がでっかいのや首が長いのがいて凄いなっ!」
「なんか、角竜ってやつは全部同じに見える……角の形と本数が違うのか?」
「あ、確かに恐竜さんの名前なんだろ? とにかく行ってみよう!」
そんな遣り取りを交わし、二人は進む。
岩場を下りて入った密林内、その先に待っていたのはトリケラトプスの群れ。
彼らは二人に害意がないことを察したのか、特に驚いたり慌てたりすることなくのんびりと草をもしゃもしゃと食んでいた。
そして、クラウンはその巨体に向けて両手を大きく振った。
「触ってもいいですかー!」
対するトリケラトプスは一度だけゆっくり彼の方に振り向くと、構わないよ、といった様子で食事に戻っていった。
やった、と喜ぶクラウンはさっそくトリケラトプスの足に触れてみる。ざらりとした感触にわくわくした気持ちを覚える彼の傍で、クールナイフは感心していた。
「あんなにあっさりで良いのか……言ってみるもんだな」
「ほらほら、クールもなでなでしよ!」
「それじゃあ少しだけ。サンキューな」
クラウンに促され、クールナイフもそっとトリケラトプスに触れてみた。巨大だというだけで彼らも動物と変わらぬ気がして、クールナイフは口許を薄く緩める。
そんな中でクラウンはふと、触らせてくれたお礼をしたいと思い立った。
「何か食べ物とかあげたら喜ぶかな?」
「だな、きっと喜ぶんじゃね」
「あの高いところにある実なんか良さそう! 集めてくるね!」
「行って来い、無理はするなよ」
言うやいなやすぐに飛んで樹々の方に向かったクラウンを見送り、クールナイフはトリケラトプスを撫で続けた。
そうして、そっと語りかけてみる。
「鍵の石板っていうのを探してるんだが見つからなくて困ってる」
『……?』
「まだそれがどんな形なのかもわからなくてな。石でできた板みたいなの、知ってたら教えてくんね?」
『……!』
するとトリケラトプスはクールナイフに上を見ろ、と伝えた。
其処には不思議な力で浮いている岩石がいくつもあった。クールナイフ達からすれば板ではないのだが、巨大な彼らからすると板のようなものなのだろう。
「ああ、浮遊する岩じゃなくてな。そうか、あれ以外は知らないのか」
ありがとうな、と告げた彼は再びトリケラトプスを撫でた。それから暫し、クールナイフとトリケラトプスは他愛ない会話を交わす。
そうしているうちにクラウンが大きな実を抱えて戻ってきた。
「クール、何話してたの?」
「ちょっと世間話をな。あの草は好きじゃないとか……そうそう、その実が好物だが高いところにあって取り辛いから、こいつらにとっては貴重らしい」
「ほんと? じゃあちょうど良かった!」
「ん、早く欲しいって言ってるみたいだ」
クールナイフの言葉を聞いて嬉しそうに微笑んだクラウンは少し飛び上がって実を掲げる。トリケラトプスは口を開けて待っており、彼は其処に実を入れてやった。
「はい、どーぞっ!」
『……♪』
もぐもぐと咀嚼する恐竜が可愛く思え、クラウンの笑みも更に深まる。そうしているうちに彼が持つもうひとつの実にトリケラトプスの口元が近付けられ――。
「わわ、クールみてみて! 俺の手も一緒に食べられちゃった!」
「う、うわ。腕、腕……千切れてないか!?」
慌てて手を伸ばして助けようするクールナイフだが、クラウンは平気だといってくすりと笑う。どうやら手は甘噛みされているだけのようだ。
「うん、大丈夫! 痛くないよ!」
「ったく、ビビるだろうが!」
肝が冷えたと零しながらも安堵を覚えるクールナイフ。
彼が心配してくれたことが嬉しくて、クラウンはあたたかな気持ちを覚える。そんなこんなで食事が終わった後、二人はトリケラトプスから背に乗らないかと誘われた。
「わぁ、後ろに乗せてくれるの? クールも乗ろっ!」
「こいつの好意に甘えさせて貰うか。ラウ以外の背に乗るの、なんか新鮮だわ」
すっかり仲良くなった恐竜の背に移動した二人は、高い視線で見渡せるパンゲア大空洞の景色を眺めた。
「よーし、このまま石板探しにレッツゴー!」
「ああ、のんびり探すか。よろしくな」
歩き始めたトリケラトプスの上でクラウンは片手を上げ、クールナイフもその背を撫でながら前方を見つめる。
この先に待っているであろう冒険の数々。
きっと、それも二人で過ごす思い出の一頁になってゆくはずだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
泉宮・瑠碧
巨大化していても植物が元気なのは嬉しい
恐竜を見るのは二度目だが…また違うみたいだ
この子達は少しサイに似ている気がする
僕は篠懸の樹の傍に居る子に近付こう
動物と話すで通じるだろうか
通じなくても初めましてと縄張りに踏み入る謝罪を
そして少しの間傍に居させて欲しい事も伝えて頭を下げる
休んでいる子達へは断ってからそっと撫でて
眠る子には子守唄を
散歩する子へはついて行こう
…石板が無いと巨岩はどうなるのだろう
魔力の供給が途切れる様なら
岩に乗る子達は降りて貰わないと危ないよな
周りの様子も見て、時に撫でつつ恐竜と一緒に散策
…やはり植物があると落ち着く
もし石板が無い不便が出たとしても
彼らが上手く生活していけると良いな
●緑と平穏の為に
密林と呼ぶに相応しい巨大植物の世界。
パンゲア大空洞に訪れた瑠碧は頭上に高く伸びる樹々を振り仰ぎ、双眸を緩める。
「植物が元気なのは嬉しいな」
巨大化していてもすくすくと育っているらしい緑を眺め、瑠碧は心地良さそうに大きく伸びをした。まるで自然の力を貰っているかのように思えたからだ。
そして、瑠碧は樹々の奥に目を向ける。
揺れる篠懸の樹。
その向こう側には悠々と歩く草食恐竜達の姿が見えた。
「恐竜を見るのは二度目だが……また違うみたいだ。おっとりしているな」
あの子達は少しサイに似ている気がすると感じた瑠碧は淡く笑む。そして彼女はゆっくりと、彼らを驚かせないように近付いていった。
「……こんにちは」
瑠碧が声を掛けたのは何体かのアウロラケラトプスだ。
聞き慣れぬ音に最初は驚いていた彼らだが、瑠碧から敵意は感じられない。暫し興味深そうにじっと此方を見た後、ゆっくりと歩み寄ってきた。
「勝手に縄張りに入ってすまない。ああ、怒っていないのなら良かった」
アウロラケラトプスはそれほど巨大ではなく、声も届きやすい。瑠碧の言葉もちゃんと理解しているらしく話も通じているようだ。
「少しの間、傍に居させて欲しい。……いいかな?」
恐竜とはいえ動物相手となると瑠碧の言葉も幾分か柔らかくなる。アウロラケラトプス達に瑠碧がそっと頭を下げると、そんなことしなくていいよ、というような明るい鳴き声が返ってきた。
そうして暫し、瑠碧は彼らの仲間に入れて貰うこととなる。
休んでいる子達をそっと撫で、ざらざらとした皮膚の質感を確かめる。爬虫類めいた手触りは少し不思議で瑠碧の笑みも深まってゆく。
それから恐竜達は随分と瑠碧に慣れ、警戒なく傍で眠りはじめた。
瑠碧はそんな子達に子守唄を歌ってやる。
――眠れ、眠れ、穏やかに。
ゆるりと響く声は緑の樹々の合間に吹く風と共に、やさしく流れてゆく。
束の間の平穏が満ちていた。
瑠碧は自分まで眠ってしまいそうな穏やかさを覚えながら、石板について考える。
(確か、後はあれを解析するだけでいいのだったか)
そうすれば戦局に少しの光明が射す。
もしこの世界でカタストロフが始まれば、この空間もどうなっていくかわからない。そのためにも勝利しなければならないと改めて思う。
それでも、今は少しだけ休息を。
「やはり植物があると落ち着くな。この子達も同じ、か……」
此処にはちいさな平和がある。
ならばこれを守るのが自分達の役目だとして、瑠碧は静かに決意を固めた。
大成功
🔵🔵🔵
憂世・長閑
巴(f02927)と
わあ――ともえっ、すごいよっ
本当に恐竜がいるっ!
大きいな、かっこいいなぁ
そういえば巴は動物さんとお話できるんだよな
きっと恐竜さんともお話しできるよ
なんて言ってる?
オレも恐竜さんとお友達になりたい、って伝えてほしいな
ありがとうっ
こういうの、なんていうんだっけ――
通訳さん!巴、かっこいい
恐竜さんの背中、高いっ
近くで見る角はもっとかっこよくって
巴にもみてみてって指さして笑う
不思議!浮遊する岩に乗っていくんだね
落ちないように気をつけなきゃ
恐竜さんたちが進みやすいように
大きくした白錠盾をUCで操って足場を広げてみる
巴が落ちそうになってもちゃんと守るからね
巴と冒険できてオレも楽しい
五条・巴
長閑(f01347)と
長閑!
凄い、凄いね、本当にいるよ
恐竜!
ビーストマスターではあるけど、通じるかな
頑張ってみるね
自分がこの場に敵意を持っていないことを示すために武器は腰元に
挨拶と自己紹介、それから、石板を知ってる?
僕と長閑は君と仲良くなりたいと、気持ちを沢山乗せて。
ふふ、通訳さん、ちゃんと出来てるかな?
長閑の言葉もちゃんと伝えるね
長閑の指さす方へ目を向ける、かっこいい…目が輝いてしまうのも浮き足たってしまうのも仕方ない
力強さ感じる角、間近でみるととってもかっこいいんだから
浮いてる岩を足場に進む、危険な冒険だ…。
足場をありがとう長閑、恐竜も怖がらずに進めるね
あはは、本当に凄いや、楽しいね、長閑
●恐竜と冒険譚
「わあ――ともえっ、すごいよっ! 本当に恐竜がいるっ!」
「長閑! 凄い、凄いね、本当にいるよ、恐竜!」
互いの名を呼び、目の前の光景を見つめる長閑と巴。彼らは今、緑豊かな大空洞の景色を堪能していた。
二人が語った通り、その眼差しの先にはのんびりと歩いていく恐竜達がいる。
「大きいな、かっこいいなぁ」
長閑は双眸を細め、様々な角竜達が行き交う様を眺めていく。
砂色と黒の縞模様が愛らしいジュディケラトプス。
一本角が雄々しいモノクロニウス。角竜の代表的存在であるトリケラトプスなど、たくさんの草食恐竜が闊歩している。
「ね、大きい。手を伸ばしても、届かないくらいかも」
巴も長閑の声に頷き、行こう、といざなった。このまま進んでいけばトリケラトプス達が集まっている場所に出られそうだ。
うん、と答えた長閑も踏み出し、恐竜達の元へ向かっていく。
「そういえば巴は動物さんとお話できるんだよな」
「そうだけど、あの子達はどうだろう。頑張ってみるね」
二人はゆっくりと、彼らを驚かせないように近付いていった。きっと恐竜さんともお話できるよ、と後押しする長閑はぐっと両手を握って応援する。
そして、まずは巴が恐竜達へと歩み寄った。
「僕は巴。こっちは長閑。君と仲良くなりたいんだけど――」
親愛の気持ちを沢山乗せた言葉に対し、トリケラトプスは低く短く鳴いた。
「なんて言ってる?」
「こんにちは、かな。挨拶してくれたみたい」
「ふふ、こんにちは! オレも恐竜さんとお友達になりたい、って伝えてほしいな」
長閑が問うと、巴は聞き取れた意味を伝えていく。
そして長閑からの願いも聞き入れ、もう一度恐竜にその旨を伝えていく。
「構わない、らしいよ」
「やった、ありがとうっ」
巴は長閑とトリケラトプスの会話の橋渡しをするように言葉を交わしていった。石板の事を尋ねると、それらしい物を知っているということも聞けた。そんな中で長閑はふと、巴と恐竜を交互に見遣る。
「こういうの、なんていうんだっけ――そう、通訳さん!」
「通訳さん、ちゃんと出来てるかな?」
「できてるよ。巴、かっこいいね」
「そうかな、ふふ」
彼から褒められたことで巴の口許に笑みが宿った。長閑もふわりと微笑み、恐竜も穏やかな視線を向けてくれている。
和やかな雰囲気の中、トリケラトプスはすっかり二人に気を許したようだ。
背に乗れ、と示すように振り向いた恐竜。
どうやら彼は案内ついでにこの辺りから違う場所に移動したいらしく、よければ一緒においでと誘ってくれている。
「巴、どうする?」
「勿論、一緒に行こう。石板のこともあるから」
きっとトリケラトプスが心当たりのある場所まで連れて行ってくれることだろう。巴と長閑はそっと、けれども期待を抱いて恐竜の背に登らせて貰った。
「やった、恐竜さんの背中だ。わぁ、高いっ」
「流石に大きいね」
視点が高くなったこともそうだが、これまでは見上げていた大きく雄々しい角を近くで見られるとなると気持ちも浮き立つ。
「巴もみてみてっ」
「かっこいい……」
角を指さして笑う彼に笑みを向け返し、巴も目を輝かせた。子供のように興味津々になってしまうのも仕方ない。力強さを感じる角を間近で見ることができるのは、とても光栄で素晴らしいことなのだから。
そうしてトリケラトプスは二人を乗せ、のっしりと進んでいく。
「不思議! 浮遊する岩に乗っていくんだね」
「浮いてる岩を足場に進む、危険な冒険だ……」
恐竜が向かう先は浮遊する岩場。恐竜にとっては慣れたものなのかもしれないが、長閑達にとっては未知の道。
「落ちないように気をつけなきゃ……そうだ!」
恐竜達が進みやすいように、と長閑は己の力で大きくした白錠盾を操り、足場を広げていった。そうすれば心許ない道もしっかりとしたものになっていく。
「ありがとう長閑、これで安心して進めるね」
「巴が落ちそうになってもちゃんと守るからね」
彼からの言葉に、どういたしまして、と双眸を細めた長閑は軽く胸を張った。
そうしてトリケラトプスと共に進むこと暫く――。
「見て、巴! あの上、誰かいるよっ」
「本当だ。もしかしてそのすぐ側にあるのって……」
「石板だっ。見つかって良かったね」
長閑が示した先には別の浮遊岩があり、猟兵らしき人影が見えた。残念ながら巴達の乗る岩場からは行けない場所のようだが、誰かが其処にいるとなれば安心できる。
ゆっくりと動く浮遊岩場から眺める景色は壮観だった。
後はこの光景を楽しむだけだと感じて、二人は笑みを交わしあう。
「あはは、本当に凄いや、楽しいね、長閑」
「オレも巴と冒険できて嬉しい」
願わくは、この景色が変わらずいつまでも続くように――。
そう思いながら、彼らは恐竜と一緒に過ごすひとときを楽しんでゆく。
●石板発見!
浮遊する岩場を幾つも越え、上空から大空洞の一帯が見渡せる場所。
其処に最初に辿り着いたのはセトだった。
「すげー!」
プレノケラトプスの背に乗り、連れられてきた岩場の上はとても高い。雄大な景色に感動する彼はこれまで辿ってきた道のりを思う。
「棘の実が落ちてきた時はどうしようかと思ったよな。崩れる岩場も危なかったっけ。でも、お前らが助けてくれた」
プレノケラトプスの頭を撫でたセトはちいさな冒険を思い返して薄く笑む。
そして今、その翠の双眸が映すのは――。
「さて、これが石板か」
目の前にある平たい石に触れ、セトは指先でそれをなぞってみた。これを解析すれば戦いは新たな局面に至ることができる。
「……よし!」
セトは顔を上げ、眼下に広がるパンゲア大空洞を眺めた。
古代の景色が広がるこの場所を。そしてヒーロー達が活躍するこの世界を救け、守るために――きっと、この一歩が力になる。
そう信じて見つめる緑の光景は、新たな路を示してくれているように思えた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵