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アースクライシス2019⑦~ダーティデリバリー!

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #ダストブロンクス


●汚染された高カロリー食
「ニューヨークの騒動も収まって、ようやくダストブロンクスへ攻め込めるようになったみたいね。肥溜めの王のいる地下迷宮とか、あんまり空気の良さそうな場所じゃないんだけど……」
 だが、それでも敵の居城を攻め落とす機会を、指を咥えて見ているわけにも行かない。そして、『肥溜めの王』スカムキングは己の配下であるオブリビオンを上層に配置し、徹底抗戦の構えを取っているのだと、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)は猟兵達に告げた。
「スカムキングの配下は、汚れた下水を浴びて回復するっていう機能を持っているわ。これを何とかしない限り、まず勝機はないわね」
 敵もそれを解っているのか、汚染水が定期的に噴出する場所を熟知しており、そこに陣取って戦おうとする。この場所から敵を引き離せない限り、こちらの勝率は大きく低下してしまう。
「今回、あなた達に向かって欲しい場所には、カロリーデリバリー『ファット・ボーイ』っていうオブリビオンが待ち構えているの。天井や壁に、入り組んだパイプが這うようにして配置された場所で、パイプの一部には脆くなっている個所もあるみたい」
 恐らく、そこから噴き出す汚染水を浴びて、ファット・ボーイは体力を回復させるのだろう。
 ちなみに、ファット・ボーイは高カロリー食品を無理やり相手に食べさせるという攻撃を得意とし、今回は特に大量のピザを用意している。これを投げたり、あるいは自分で食べたりすることが、彼の得意技である。
「こいつの投げてくるピザなんて、正直、絶対食べたくないんだけど! だって、下水の汚染水を浴びてるかもしれないのよ!? どんなヤバいものが混ざってるか分からないし、油抜きにしたってキモ過ぎね」
 こんなものを食べさせられたら最後、身体にどんな悪い影響が出るか分からない。ふざけた外見をした相手だが、決して油断せずに叩きのめし、ダストブロンクス下層への道を繋いで欲しい。
 最後に、それだけ言って、パトリシアは猟兵達を下水道の迷宮へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 このシナリオは戦争シナリオです。
 1章だけで完結する、特殊なシナリオとなります。
 敵を汚染水から引き離すことで、プレイングボーナスが得られます。

 出現する敵はカロリーデリバリー『ファット・ボーイ』です。
 彼はピザを武器とし、汚染水を浴びると体力を回復してしまいます。
 汚染水は毎ターン、戦場のどこかで噴出しますので、注意してください。

●プレイング採用基準
 基本的に、『大成功』を優先して採用いたします。
 シナリオ成功に必要な🔵が溜まった場合、その時点で『大成功』に値するプレイングが残っていなかった場合は、それらを採用せずにお返しすることがあります。
 今回の戦争の性質上、1回の依頼でより多くの🔵を得られた方が良いと思われるため、採用されなかったからといって、必ずしもプレイングが悪かった(苦戦・失敗だった)とは限りません。
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第1章 ボス戦 『カロリーデリバリー『ファット・ボーイ』』

POW   :    カロリーマスター
【カロリー消費モード】に変形し、自身の【コレステロール】を代償に、自身の【攻撃力と早食い・調理速度】を強化する。
SPD   :    注文から30分以内にお届けします!
全身を【黄金のオーラ】で覆い、自身の【誓約を守る為の使命感】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    さあ!高コレステロール食を食べるんだ!
【領収書(レシート)】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
ミルケン・ピーチ
WIZで行きます

事前に大量のハンバーガーを買い込んでいきます
ヒーローズアースなら特産品と言ってもいいでしょう

戦闘では立ち位置に注意
直接下水のかからない場所を探し、攻撃を避けつつ【挑発】しそちらへ誘導します

その場についたら【スペシャルピーチドロップ】を使い、相手を抑え込みます
そのまま【グラップル】で組みついて、その場から動けず回復には行けないようにします

密着状態なので相手のレシートも簡単に張られてしまうでしょう
ですが、そうしたら持参したハンバーガーを食べます
片手でハンバーガーを食べもう片手で殴る、変則【2回攻撃】です!
食べてますよ、高コレステロール食!

ううう、こんな戦い絶対人には見せられません…



●ハンバーガーでフルボッコ!?
 腐敗した匂いの漂う下水道。無数に張り巡らされたパイプが天井や壁を這う場所を、ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)は鼻をつまみながら歩いていた。
(「うぅ……嫌な感じの場所です。気が滅入りますね……」)
 こんな場所を好むのは、ネズミとゴキブリくらいだろう。衛生的には、最悪の極み。しかし、その奥で待っている敵のオブリビオンは、よりにもよって食品を扱うというので、やってられない。
「HAHAHA! 来たな、猟兵! ここから先は、このファット・ボーイが相手になるぜ!」
 どうやら、早速お出ましのようである。赤い全身タイツの肥満体に、両手に持った特大サイズのピザ。こんな場所でなければピザを堪能したいところだが、しかし場所が場所だけに、ピザソースの香りと下水の匂いがミックスされて、最悪な臭気を漂わせていた。
「うぷっ……! な、なんですか、その臭い物体は……ち、近寄らないでください!」
 露骨に口元を抑え、ミルケンはあからさまにファットボーイの持っているピザをディスりまくった。当然、そんなことをすれば、高カロリーフードを愛するファットボーイはブチ切れる。
「な、なんだとぉ! 俺様のピザを馬鹿にするやつは許さねぇ!!」
 完全に怒り心頭のファットボーイが、大量のピザをミルケン目掛けて投げつけて来た。ピザを愛すると言いながら、一番食べ物を無駄にしているのはコイツのような気もするが、それはそれ。
「ひゃぁっ! や、やめてくださ~い!!」
 一方的にやられているよう演じつつ、ミルケンは排水管の多い場所から、ファットボーイを引き離すべく逃げて行く。それを追うファットボーイは、よもや騙されているとも知らず、ミルケンの狙い通りに開けた場所へ出てしまい。
「HAHAHA! どうした、猟兵? 逃げるだけか……ハッ!?」
 気が付いた時には、既に遅し。反撃の体制に入ったミルケンは、下水の天井に届かんばかりに跳躍すると、そのまま勢いに任せてファットボーイに強烈なヒップドロップを炸裂させたのだ。
「必殺、スペシャルピーチドロップ! どっかーん!」
「ぐぇっ! お、重い……」
 さすがのファットボーイも、ある意味では自分以上に大質量なミルケンの豊満ボディを受け止めることはできず、そのまま敢え無く下敷きに。だが、それでもファットボーイは諦めず、ついに切り札のレシートを取り出した。
「くそっ、こうなったら……」
 次に何かをされる前に、ファットボーイはミルケンの脚に、取り出したレシートを貼り付け、叫ぶ。
「HAHAHA! かかったな、猟兵! さあ、高コレステロール食を食べるんだ!」
 ミルケンの尻に敷かれながらも、勝ち誇ったようにして笑うファットボーイ。彼の繰り出すレシートを貼られた者は、彼の指定したルールに従わなかった場合、大ダメージを受けてしまうのだ。
 高コレステロール食を食べること。それが、ファットボーイの課したルールだった。そして、こんな場所に高コレステロール食などあるはずもなく、相手は必然的にファットボーイの繰り出すピザを食べざるを得なくなる。そうやって、汚染水まみれのピザを食べさせることで、相手を再起不能にするのがファットボーイの狙い……だったのだが。
「え? おわっ!? ちょっ……や、やめ……ぶべらっ!?」
 なんと、ミルケンは何のダメージを受けることもなく、マウントポジションのままファットボーイをボコボコに殴り出したではないか!
「く、くそぅ! なんで、俺のレシートが通用しないんだ!?」
「え……? だって、食べてますよ、高コレステロール食!」
 にっこり笑って、ミルケンは告げた。そんな彼女の片手には、いつの間にかハンバーガーが握られている。ここに来る前、ファットボーイのレシート攻撃に対抗すべく、近くの店で買い込んでいたものだ。
(「ううう、こんな戦い絶対人には見せられません……」)
 はっきり言って、ミルケンからすれば、こんな形でハンバーガーなど食べたくなかった。ただでさえ酷い匂いのする場所で、ハンバーガーを食べながらピザデブなヴィランのオブリビオンを殴りまくるとか、何も知らない者からすれば間抜けの極みだ。
「な、なんだってぇっ!? そ、そんな馬鹿な……ぎゃぁっ!?」
 ハンバーガー片手に、ミルケンの拳が再びファットボーイの顔面に炸裂した。そのまま、下水道の中にえげつない打撃音が響き渡る。ユーベルコードを封じられたファットボーイには、ミルケンの攻撃は効果覿面!
「ひぃ……ひぃ……か、勘弁してくれぇ……」
 なんとか、ミルケンが次のハンバーガーを取り出そうとした隙に逃げ出したファットボーイだったが、その顔面は見るも無残な程に、ボコボコに殴られてしまっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

野椎・珀
無理やり食べさせて攻撃だなんて、異世界には色々な人(?)がいるんですね
それにしても汚染水を浴びた食べ物を食べるなんて…… 気持ち悪くなりそうです ぅぅ……

【属性魔法】で水の精霊にお願いして水を生み出して槍のようにしてうちだしたりして攻撃します
相手が攻撃を掻い潜ってレシート貼ってきたとしても結局は紙ですよね?
水で濡れれば直ぐにボロボロになって剥がれるだろうしインクも滲んでだめになるはず

ダメージを負って汚染水を浴びて回復しようとしたらUCの出番です
「氷」の「氷柱」を生み出して攻撃します
氷の元となる水は自分が生み出した他にも汚染水も使用します
凍らせてしまえば浴びて回復もできないか、少しだけのはず



●汚物は冷凍だ!?
 敵に汚染された高コレステロール食を食べさせて、健康を害することでダメージを与える謎のヴィラン。その、あまりにブッ飛んだ戦い方に、野椎・珀(箱入り子狐・f22487)は色々な意味で困惑していた。
「無理やり食べさせて攻撃だなんて、異世界には色々な人(?)がいるんですね」
 珀からすれば、果たしてそれは攻撃と言えるのかさえ疑問な行動。だが、彼が知っているかどうかは分からないが、世の中には酒瓶で敵の頭をカチ割るだけの行為をスーパーパワーと言い張ったり、犬の死骸を武器にしたりするヒーローもいるらしいので、敵味方共に、ヒーローもヴィランも様々なのだろう。
「それにしても、汚染水を浴びた食べ物を食べるなんて……気持ち悪くなりそうです……ぅぅ……」
 周囲に漂う腐敗臭に、珀は思わず顔を顰めた。こんな場所で、しかも汚染水を浴びたジャンクフードを食べるなど、はっきり言って狂気の極み! きっと、これも敵の仕組んだ、高度な精神攻撃の一種なのだろう……たぶん。
「HAHAHA! 待ってたぜ、猟兵! ……ん、なんだぁ? 今度の相手はガキじゃないか!」
 突然、謎の高笑いが響き渡り、珀の前に赤い全身タイツの太った男が現れた。もっとも、口では強がっているものの、その顔面は何故かボコボコに殴られた跡が残っており、威厳の欠片も感じられなかった。
「あなたがファットボーイさんですね。子どもだからと思って油断していると、痛い目に遭いますよ?」
「へぇ、言うじゃないか。だったら……この俺様のレシート攻撃が避けられるかな?」
 その見た目から、珀のことを大したことのない相手だと判断し、ファットボーイは大量のレシートを投げ付けて来た。が、珀は何ら慌てずに水の精霊を呼び出すと、水の塊を矢のように発射してレシート攻撃を相殺した。
「残念でしたね。そんな紙切れじゃ、水に当たっただけで溶けてしまいますよ?」
 そればかりか、レシートを貫通した水の矢や槍は、次々にファットボーイへと殺到し、彼の身体を貫いて行く。単なる水も、水圧を極限まで高めることで、場合によってはレンガやコンクリートさえ切断できるというのは有名な話だ。
「ぎゃぁっ! い、痛ぇっ!! くそっ……ここは、一時撤退だぁ!!」
 切り札を早々に破られて、ファットボーイは逃げ出した。パイプから噴出する汚染水を浴びて、体力を回復させるつもりなのだろう。だが……。
「させませんよ」
 相手の逃げる方向から汚染水が噴出するであろう場所を予測し、珀は『属性』と『自然現象』を合成した一撃を放つ。氷の属性を付与した、水の噴水という形で。
「よ、よし! これでダメージを回復して……って、なにぃぃぃっ!?」
 驚いたのは、ファットボーイだ。なんと、パイプから噴出した汚染水が瞬く間に凍り付き、氷の柱と化して噴出を抑える栓になってしまったのだから。
「ま、待ってくれ! ここは穏便に話し合おう……。そ、そうだ! 俺の特製ピザをタダでやるから、それで許して……」
「いえ、結構です。汚染された食べ物なんて要りませんよ」
 ファットボーイの命乞いにも全く動ぜず、珀は追い討ちの氷弾を一斉に叩き込む。何かが砕けるような音がして、下水道にファットボーイの悲鳴が響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クトゥルティア・ドラグノフ
※アドリブ共闘大歓迎

私、キマイラフューチャー生まれだから、こういうジャンクフード食べ慣れてるし好きだしできれば食べたいけどさ……
汚染水浸けは流石に嫌かなぁ

何にしても倒さないとね!
初めは普通に剣で戦うよ!
【戦闘知識】と【怪力】を活かして、敵の攻撃を【見切り】【カウンター】を与えたりもするよ!

回復に向かうつもりなら【野生の勘】で向かうだろう場所を察知。
そこに行かせる前にサイコキネシスでこちらに無理矢理引っ張って来るよ!
そのまま月光華を発動、動けないようにした状態で光刃を直撃させてあげるよ!

食べ物を食べれなくする人はこうだ!


石守・舞花
いつもなら、本体ごと美味しくいただいてしまうことも吝かではないのですが
さすがに汚染水まみれのものを口にするのは絶対イヤです

なのでマスクをつけて戦場に行きます
無理やり剥ごうとするなら、その隙をつくまでです

クロックアップスピード発動
戦場を駆け回ってパイプの脆くなってる部分を把握し、そこに近づかせないように追い立てます
薙刀のリーチを活かし、脆いパイプには近付かせません
汚染水に向かって飛翔していくようなら、前に立ちはだかってその突進を受け止めるように食い止めます
【激痛耐性】には自信があるので、気合いで耐えてふんばります
ピザを食べさせられそうになったら、懐から包丁を出してピザを【部位破壊】です


オスカー・ローレスト
【アドリブ連携歓迎】

うっ……凄く……ま、混ざっちゃいけない匂いが混ざってる気が、する……ぴゃえぇ……(自身が少食であるとかそれ以前の問題で食欲など失せる、そんな匂いにうえってなる小雀であった

えっと……お、俺は、攻撃よりも、敵の行動の妨害を優先してう、動こうと思、う。
め、メインの攻撃は、他の猟兵に、ま、任せたい、かな……

も、持ち前の【視力】で敵の動きをよく観察する、よ。
敵が汚水に向かいそうになったら、その進行方向に向けて、【暴風纏いし矢羽の乱舞】を弾幕みたいに【一斉発射】して、妨害しようと思う。
れ、レシート……は……た、ただの紙なら当たる前にこれもUCの羽で破いて撃ち落とすとか、出来る、はず……



●ズタボロデリバリー
 下水に蔓延する、腐臭と油の混ざった酷い臭い。食品への冒涜と言っても過言でない臭気に、オスカー・ローレスト(小さくとも奮う者・f19434)は泣きたかった。
「っ……凄く……ま、混ざっちゃいけない匂いが混ざってる気が、する……ぴゃえぇ……」
 自分が小食であることを抜きにしても、この臭いは酷い。酷過ぎる。餓死寸前にまで追い込まれでもしなかったら、まず間違いなく食欲は完全に喪失だ。
「私、キマイラフューチャー生まれだから、こういうジャンクフード食べ慣れてるし好きだしできれば食べたいけどさ……」
「いつもなら、本体ごと美味しくいただいてしまうことも吝かではないのですが……」
 クトゥルティア・ドラグノフ(無垢なる月光・f14438)や石守・舞花(神石の巫女・f17791)も、さすがに、この臭気にはドン引きである。食品を武器にするのは百歩譲って許せても、とりあえず場所を選べと言いたいわけで。
「HAHAHA! 出たな、猟兵! ここから先は、このファットボーイが通さないぜ!」
 文句の一つでも言ってやろうと思った矢先、下水道の奥から赤い全身タイツのピザデブが現れた。もっとも、その姿は既に色々とボロボロで、随分と情けない格好になっていたが。
「どうやら、現れたようですね」
「うん……。なんか、随分やられてるみたいだけど」
 武器を構える舞花の横で、クトゥルティアはファットボーイの姿に呆れていた。
 恐らく、先に他の猟兵と戦ってやられたのだろうが、これだけやられても諦めていないとか、随分と往生際の悪い相手である。
 だが、それもここまでだ。食べ物の尊厳を破壊し、汚染された武器に変える悪党には、この辺で御退場願うとしよう。

●食べ物で遊んではいけません!
 汚染されたピザを食べさせることで、相手にダメージを与えるオブリビオン。
 はっきり言って、どう考えても色物である。だが、存在自体がギャグのような相手にも関わらず、ファットボーイの底力は凄まじかった。
「HAHAHA! この俺様に、本気を出させるとはいい度胸だなぁ!」
「くっ……! なんなの、こいつ!? 急にパワーが……」
 高速でピザを調理しながら戦うファットボーイのパワーに、クトゥルティアは互角の勝負へ持ち込むので精一杯。ピザを食べれば食べるだけパワーアップする上に、そのピザを超高速の神技調理にて戦闘中に補充してくるため、実質、敵のパワーソースは無尽蔵。
「HEY! お前には、これをくれてやるぜ!」
 続けて、ファットボーイはオスカー目掛け、大量のレシートを飛ばして来た。あれに触れたが最後、ファットボーイの汚染ピザを食べなければ大ダメージ。できることなら、そんな事態にはなりたくない。
「ち、小さい羽だって、こうすれば……!」
 風を纏った羽の連射が、カマイタチを呼んでレシートの雨を相殺して行く。その隙に、クトゥルティアが剣を大きく引くと、ファットボーイの腹に突き刺した。
「ぎゃぁぁぁっ! 痛ぇぇぇぇっ!!」
 厚い脂肪に覆われたファットボーイ。その腹は打撃や斬撃に強いのかもしれないが、しかし刺突に対しては耐性が低い。
「うぐぐ……こんなはずでは……。こ、こうなったら……」
 汚染水で体力を回復させるべく、ファットボーイが駆け出した。デブのくせに、なかなか機敏な動きだ。が、それを見越していた舞花は、軽く指を鳴らして高速戦闘モードへ移行すると、素早く回り込んでファットボーイの進路を塞いだ。
「さあ、ここからは一歩も通しませんよ」
「邪魔だぁぁぁっ! 退けぇぇぇぇっ!!」
 もっとも、ファットボーイとて自分の命が懸かっているのだから必死である。全身を黄金のオーラで覆い、制限時間内にピザを届けねばならないという使命感を燃やすことで、自らの肉体を強化して飛翔した。
「くっ……」
 その身を以てファットボーイの突進を受け止める舞花だったが、残念ながら細身の彼女では質量が違い過ぎる。案の定、徐々に汚染水の方へと押されて行ってしまうものの、他の二人が、それを見逃すはずもない。
「い、いかせ、ない、よ……」
「なにっ!? あぎゃぁぁぁっ!!」
 まずはオスカーが羽を飛ばし、それらがファットボーイの全身に突き刺さって行く。それだけでなく、今度はクトゥルティアが念力で縛り上げ、ファットボーイを徐々に自分の方へと引き寄せ始めた。
「んぐぐぐ……な、なんだ、これは……」
 汚染水に向かうどころか、むしろ引き離されていることで、ファットボーイはようやく自分が大ピンチであることを察したようだ。ならば、念力の元を断ってしまおうとクトゥルティアにピザを投げ付けるが、それは舞花がさせはしない。
「そんなものが、いつまでも通用すると思っているのですか?」
 飛んで来たピザを、舞花が凄まじいスピードで割り込み、包丁の連撃でバラバラにした。一瞬にして8枚カットにされたピザは、勢いを失って情けなく下水の床に落ち。
「これで終わりです! 月明かりに咲く華のように、可憐に咲き誇れ!」
 拘束弾を叩き込んだクトゥルティアが、極大の光刃を生成して叩きつける。もはや、避けることも逃げることもできず、ファットボーイは背後から、バッサリと斬り捨てられてしまった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイシス・リデル
かわばんがー? ぶやかしゃー?
(意味はよくわかってない顔)
ピザ、おいしそうだけど……
普通の人が食べたら、太るよりもお腹壊しちゃいそう、だね

まずは汚染水が噴き出るところを探す、ね
見つけたら全部、不浄の器の力で、わたしの中に汚れを取り込んで
敵が回復に使えないように、きれいな水にお【掃除】しちゃうから
わたしには【毒耐性】があるから大丈夫、だよ

そうやって取り込んだ……「食べた」汚染水の毒で
【暴食者】を使って、わたしのからだをおっきく、つよくして戦うね
この身体には、それぐらいの攻撃やピザじゃ足りない、よ
攻撃してきたところを、捕まえて
敵ごと、わたしの中に呑み込んじゃう、から


白斑・物九郎
●SPD



下水道でピザをお届けだァ?
近くにカメのNINJAでも居るんスか?


・接敵時、風景に溶け込む【迷彩】を施したサーチドローン「茶斑の三毛」を敵視界に入らぬよう背後から周辺探査に送り出す
・【撮影】情報を手中に潜めた「L95式スマートフォン」に受け取り確認(情報収集)、【野生の勘】も併せ汚水噴出箇所を類推

・魔鍵を鈍器として扱い交戦開始
・投擲されるピザは【武器受け+なぎ払い】で捌いて【ダッシュ】で接近、手に持つピザを打ち落とさん(武器落とし)
・魔鍵による【串刺し/気絶攻撃】で攻勢

・敵が負傷回復を図ろうとする素振りを見たら【野生の勘】で移動先を看破
・直前のタイミングで【開門】で先回りざまブチのめす



●Cowabunga!
 下水道に漂う、腐臭とジャンクフードの香りが入り混じった臭い。下水にピザという話を聞いて、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は、以前に読んだコミックに出て来た、カメのヒーローを思い出していた。
「下水道でピザをお届けだァ? 近くにカメのNINJAでも居るんスか?」
 そういえば、あいつらもピザが好きだった。もっとも、味覚が人間とは異なっているため、かなりゲテモノなトッピングを好んでいた気もするのだが。
「かわばんがー? ぶやかしゃー?」
 そんな物九郎の言葉に反応しているのは、アイシス・リデル(下水の国の・f00300)だ。もっとも、彼女自身、何故にそのような単語が出て来たのかまでは、まったく分かっていないのだが。
「くっ……ま、また猟兵か! だが、こんな場所でくたばるファットボーイじゃないぜ!」
 二人の姿を発見し、ファットボーイが露骨に強がる様子を見せていたが……その姿は既に満身創痍と呼べる程にボロボロであり、後数発も攻撃を受ければ、漏れなく骸の海へお帰り間違いなしの状態であった。
「ピザ、おいしそうだけど……普通の人が食べたら、太るよりもお腹壊しちゃいそう、だね?」
「そうなる前に、速攻で倒すっすよ」
 アイシスが液状の身体を広げて行く中、物九郎は探査用のドローンを、ステルスモードで展開して行く。パイプの中でも特に脆い場所を探し、汚染水の噴出するタイミングを掴み易くするためだ。
「速攻で倒すだぁ? それは俺様の台詞だぜ!」
 もはや、形振り構わなくなったのか、ファットボーイは手にしたピザを出鱈目に投げ付け始めた。
 下水道でのフードバトル。食への冒涜とも呼べる戦いも、そろそろ終わりにする時が来たようだ。

●Booyakasha!
 下水といえばネズミ……というわけではないが、窮鼠猫を噛むという諺がある。
 追い詰められたファットボーイは、最初からスピードを全開にして、凄まじい速さで汚染ピザを投げまくって来た。
「HAHAHA! どうだ、猟兵ども! これが俺様の本気だぜぇ!!」
 そのスピードは音速を軽く超え、さすがの物九郎も飛んで来るピザを払うので精一杯。今のところ、攻撃を食らってはいないものの、スピードの差は如何ともし難い。
 もっとも、膠着状態を続けているだけで勝てないのは、ファットボーイも同じだった。なにしろ、先程までの戦いで、散々に痛めつけられたダメージが残っているのだ。これを回復しないことには、全力を出すには程遠い。
 相手が防戦一方なら、回復チャンスもあるだろう。汚染水が噴き出すタイミングを図り、時間を稼ぐファットボーイ。そして、いよいよパイプから汚染された水が噴出しようとした瞬間、ファットボーイは攻撃を止め、一目散にパイプの場所まで向かったのだが。
「……今っすね。塔を扉に……」
「なっ!? ぶげぇぇぇっ!?」
 なんと、いつの間にか脇に回り込んだ物九郎が、ファットボーイの腹に魔鍵を深々と突き刺したのだ。
「そ、そんな馬鹿な! スピードでは、俺様の方が上だったはずなのに……」
 音速を超えるスピードに、単なるダッシュで追い付けるはずがない。確かに、それはそうなのだが……今の一撃は、物九郎のユーベルコードによる瞬間移動。速さも距離も無視して移動できる彼にとっては、高速移動など児戯に等しい。
「く、くそっ! だ、だが、それでも汚染水さえ浴びれば……」
 性懲りもなく、ファットボーイはパイプへ手を伸ばす。が、そこに彼の求めていた汚染水はなく、代わりに鎮座していたのは肥大化したアイシスの身体だった。
「いっぱい食べて、いっぱいおっきくつよくなる、よ。あの人みたいに」
「な、なにぃぃぃっ! まさか、お前も汚染水を吸収できるのか!?」
 これには、ファットボーイも驚愕する他になかった。なにしろ、自分を回復させるはずの汚染水をアイシスが吸収し、そのまま力に変えてしまったのだから。
 猛毒に対する耐性を持つアイシスだが、それ以上に恐ろしいのは、彼女が戦闘中に吸収した毒素を自らの力に変えられるということ。質量、パワー、どちらを取っても今のアイシスはファットボーイを上回っている。このまま戦っても勝ち目はないと悟ってか、ファットボーイは残りのピザを、自ら平らげてパワーアップすることにした。
「HEY、これで互角だぜ! さあ、俺様の必殺技、デリバリー・パンチを受けてみな!」
 なんとも微妙な名前の技を繰り出し、アイシスを吹っ飛ばそうとするファットボーイ。だが、彼は完全に忘れていた。アイシスの肉体は液状であり、硬度や形状も、ある程度は変えられるということを。
「……げっ!? な、なんだ、こりゃ!?」
「あはは♪ この身体には、それぐらいの攻撃やピザじゃ足りない、よ」
 無邪気に笑うアイシスだったが、その間にもファットボーイの身体はアイシスの身体の中へと吸収されて行く。長年に渡り、ヘドロやゴミの吸収と浄化を繰り返してきた、蠱毒壺とも呼べる体内へと。
「ちょっ……ま、待ってくれ! このままじゃ溺れ……がぼっ!?」
 もはや、ファットボーイはアイシスにとって完全な獲物であり、抵抗することはおろか、ピザを新しく作ったり、それを食べてパワーアップしたりすることさえできなかった。
「あば……がほっ!? ってか、これ臭っ! めっちゃ臭っ!!」
 最後は泣きながらアイシスの身体へと吸収され、そのまま溺れて行くファットボーイ。高コレステロール食を強引に食べさせようとするオブリビオンは、最後は自らが食事として、すっかり食べられてしまったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月16日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はピオニー・アルムガルトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト