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本と謎合となんやかんや

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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 魔導蒸気の世界の中心、アルダワ魔法学園。
 その地下迷宮の1つ。本棚に囲まれたダンジョンの通路に探索中の学生がいた。
「この先が3つ目のエリアか。願わくば、容易に攻略できますように」
 通路を抜けると上下方向に広い空間が現れた。多数の階段と本棚が複雑に交り合い立体的な迷路と化している。しかし、そのうちの3割ほどが水没していた。
「ここは先程までのとは僅かに趣が違うね。本に水はよろしくないと思うが。これは設計者の故意か不測の事態が起きたことによるものか。……ん?」
 何かの影が視界の隅を過ると同時、嫌な予感がして今来たばかりの通路に転がり込む。
 その一瞬後に響く、轟音と振動。
 大きな何かが高速で衝突したのだろう。衝撃で通路入り口が拉げていた。
「やばいのがいるね。アレが侵入できない程度に通路が狭くて助かったよ」
 学生は立ち上がると、踵を返し歩き始めた。
「これはとてもじゃないが私の手には負えない。戻って報告しよう」


「へいへいへーい!なんやかんやてきとーに集まって。依頼の説明を始めるよ!」
 タンバリンを高速で鳴らしながら赤星・緋色(バーチャルキャラクターのガジェッティア・f03675))は猟兵達に呼びかけた。
「ほいほいっと。じゃあ雑に説明するね。行先はアルダワ魔法学園!その学園に沢山ある学園迷宮の1つに、学園の生徒だけじゃ対応できないようなオブリビオンがいたみたい。だから今回はここを攻略するよ」
 置かれた鞄にタンバリンを勢いよく投げ込むと、仁王立ちで説明を始める緋色。
「トラップはないんだけど、迷路みたいに入り組んでて突破するのが大変な感じかな。普通の学園迷宮だと学園の生徒たちが攻略してるんだけど。さっきも言った感じで、今から行くのは学園の生徒じゃ命の危険が危ないっぽい感じにアレがソレしちゃうような敵がいるところ。でね、全部で3つの大きな部屋に分けれてるよ」
 そう言って鞄から端末を取り出し、3Dディスプレイに3つの四角と入り口、内容を書き込んでいく。
「一つ目は無駄に入り組んでる迷路エリア。二つ目は迷路にプラスしてパズルっぽいトリックを解かないと進めないエリア。三つめはオブリビオンっぽい何かが紛れ込んでる部屋っていう順番かな。うまく迷路とかパズル的な何かを抜けて、なんやかんやソレを見つけだして退治してね!」
 緋色は鞄を漁って中身を1つとりだすと、再び説明を始めた。
「じゃあ次の説明は1つ目の迷路のターン! 迷路なんだけど図書室とか図書館みたいな感じになってて、迷路の仕切りが全部本棚になってるところだよ。本棚は天井まで届く感じのおっきくて頑丈なやつ」
 ディスプレイに表示された1つ目の部屋に、本棚のコミカルなアイコンを並べていく。
「それでね、この迷路の部分って問題があって。入り口と出口がつながってないんだよ」
 それは迷路として成立しないのでは。
「うん。この本棚の本って表紙が全部同じに見えるんだけど、中にはアタリの本が混じってるんだ。そのアタリの本に書かれてるキーワードを言うと道が開けて通れるようになるよ。キーワードはアタリの本の中身を見ればすぐ分かるようになってるみたい」
 そう言うと役目を終えた手にしていた物を鞄に投げ込む。
「2つ目だけど、ここも本棚の迷路になってるよ。1つ目との違いは『アタリの本』を1つだけある空の本棚に『正しい順番』で『時間内に』全部揃えることかな。失敗すると初めからやり直しになるみたい。頑張ってね!」
 ディスプレイの表示を切り替え、説明を続ける緋色。
「3つ目はオブリビオン的ななんやかんやがいるって報告があったところだよ。他と一緒で本棚が沢山並んでるんだけど、階段とかもあって上にも広い感じ。あと、ここの本棚は色んなトリックが仕込んであってうまく使えば有利に戦えることがあるのかも?」
 何かのゲーム画面であろう映像が流れ、ボタンを押すと本棚がスライドするシーンや本棚が連続して倒れるシーンが流れる。
「私が予知で見た範囲でだし、もしかしたら他にも種類があるのかも」
 ディスプレイの表示をすべて消すと、道具をすべてカバンに押し込んだ。
「たぶんこんな感じ。説明おしまいっ」
 緋色の手にホログラムの芋のような形をしたグリモアが出現するが、一瞬考えた後に再びグリモアを仕舞った。
「うん。説明終わってなかった!今から行くこの学園迷宮なんだけど、今は立ち入り禁止になってて学園の生徒は入れない感じ。攻略に参加できるのは転校生……ってことになってる私たち猟兵だけかな。だから学園生徒の避難とか巻き込みとかは気にしなくていいよ」
 緋色の手に再びグリモアが現れる。そこからホログラムの蔦や葉が伸び、転送するための門を形成する。
「死なない程度に頑張って解決してきてね。それじゃー、しゅっぱーつ!」
 説明用の道具が入ったカバンを持ち上げると、無駄に元気に猟兵達を送り出した。


血染めの羊
 猟兵の皆様こんにちは。もしくはこんばんは。あるいはおはようございます。そしてほぼ漏れなく初めまして。
 こちらはアルダワ魔法学園を舞台にしたシナリオとなっております。

 1章:冒険。迷宮をなんやかんやで突破します。
 2章:冒険。パズル迷宮タイムアタックをなんやかんやで解決します。
 3章:ボス戦。なんやかんやで倒します。

 という構成で進みます。3つ目の部屋については「こんな仕掛けがあるはず」というのがあればプレイングに書いていただけると本当に存在するかもしれません。
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第1章 冒険 『連なる本の迷宮』

POW   :    迷宮をひた走り、行き止まりになったら手近な本棚を叩き壊して進む。

SPD   :    勘で一、二冊だけ目を通して、ハズレだったら次の棚に向かう。

WIZ   :    速読か、コンピュータ処理を駆使してものすごい速さで当たりの一冊を見つけて近道を繰り返す。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちが転送されたのは、図書館のエントランスホールのような場所。
 そこには無人の受付カウンター。
 整然と並べられた机、椅子。
 なぜか最新の新聞と雑誌が配置されたラック。
 そして奥には複雑に入り組んだ本棚の迷宮が見える。
 猟兵たちはダンジョンを攻略するべくエントランスを抜け歩みを進める。
パフィン・ネクロニア
なるほど、雑な説明のおかげでなんやかんや理解できた。
つまり本棚になんやかんやしていけばいいわけじゃな。

無駄に入り組んでいる迷宮とはいえ攻略法が分かれば簡単なものよ。
なんやかんやで出口がありそうな気がする方向にまっすぐ進んで、行き詰ったら魔法の呪文イフタフヤーシムシム!(剣刃一閃)で道を斬り開いて進んでいけば、なんやかんやでそのうち出口にいきつくはず。

うむ、完璧じゃな。
それではサクッと突破といくかのー。



「なるほど、グリモア猟兵の雑な説明のおかげでなんやかんや理解できた。つまり本棚になんやかんやしてダンジョン攻略すればいいわけじゃな」
 パフィン・ネクロニア(ダンジョン商人・f08423)はエントランスを抜け、書庫エリアへと侵入。
 いきなり分岐がいくつもあるが、なるようになるじゃろの心持で一つを選び、歩を進めていく。

 しかし数分進んだところで早速行き止まりにあたってしまった。別のルートを採るには一度エントランスまで戻らなければならない。
「ここから引き返すのも面倒じゃのぅ」
 パフィンは一瞬考えた後、行き止まりの本棚から本を引き抜き、傍らに積み上げていく。
 手の届く範囲で本を抜き終わるとパフィンは本棚から少し距離を取り、空になった本棚と向き合った。
「行き詰った時の魔法の呪文」
 腰を落として愛刀『曇天』の柄に触れると、
「イフタフヤーシムシム!」
 開けゴマ。Open Sesame。万国共通の扉を開ける魔法(物理)を唱えると共に銀の閃光が走り、一瞬遅れて本棚の一部が崩れ落ちた。
 しかし、本棚にしてはその手ごたえが固い。
「むむ?」
 崩れた本棚の先を調べると先ほどの疑問の答えが判明した。刻まれた本棚の先から岩肌が覗いていたのだ。
「あー、そういうことじゃな。完全に理解した」

 この面が岩壁になっているということは、この場所はダンジョンの端に位置しているということ。ならばこの面に対して垂直方向に進めばよい。更に、ここがエントランスに近いということはエントランスの反対方向に進めば出口があるということだ。

 そう推測するとパフィンは90度向き直り、再び魔法の言葉(物理)を唱える。本棚の一部が切り取られ、人ひとり分通ることのできる新たな通路が生まれた。
「うむ、完璧じゃな。それではサクッと突破といくかのー」

成功 🔵​🔵​🔴​

リリスフィア・スターライト
中々、面白そうな迷宮だね。
アタリの本を効率よく探すとしようかな。
本自体の特徴や隠し場所にもある程度は
パターンがありそうだし、それらを元に
電脳による情報検索をフル活用して
効率よく見つけ出していきたいかな。

中々、手に出しにくい場所だったり灯台下暗しといった
意外な場所にもありそうだし、子の迷宮の性格を見極めて
見つけだすようにしたいかな。

「ここの迷宮の主は引き籠り度が高そうだよね」
「わたしならこういう所に隠したくなるけれどね」


阿紫花・スミコ
「なんていうか、未知の不思議パワーで開くわけでなし、何か物理的な開閉機構があるはずよね。」
サーマルスキャナー(ゴーグル型ガジェット)で熱源などを確認しながら、おそらく蒸気機関で開閉するはずの、「扉」を探し出す。
見つかったら、からくり人形を取り出し、回転させ、超重量の連続回転攻撃により、撃破する。

ただし、他の猟兵がいる場合には、その作戦に協力する。



「中々、面白そうな迷宮だね」
何方を見ても視界に映るのは本、そして本。
本と本棚で構成されたダンジョン。
所々に可搬式梯子まで設置してあることを見るに、実際に図書館として使用されていたのでは、とリリスフィア・スターライト(多重人格者のマジックナイト・f02074)は想像を膨らませる。
「未知の不思議パワーで開くわけでなし、何か物理的な開閉機構があるはずよね」
 ゴーグル型ガジェットを首に下げた阿紫花・スミコ(人間の人形遣い・f02237)はアルダワ魔法学園所属。
彼女はアルダワのダンジョンは魔導蒸気で駆動するものが多いというのを知っている。

時は少し遡り、エントランスホールから少し進んだ先でのこと。
そこでは探索中のリリスフィア・スターライト(多重人格者のマジックナイト・f02074)と阿紫花・スミコ(人間の人形遣い・f02237)が鉢合わせしていた。
 袖振り合うも多生の縁。偶然同じルートを採った猟兵同士、折角だからと協力してダンジョン攻略することと相成ったのだ。

スミコが先行し、リリスフィアが情報検索しながら追従する。
リリスフィアの情報検索中は周囲への注意が低下するためにこのような隊列となった。
ここは湿度を嫌う本を扱うダンジョンということもあり、蒸気の配管はその数も控え目。
それでもゼロではない。
故に探索でやることは。
「まずはよく観察することさ」
そう言ってスミコはゴーグル型ガジェット、サーマルスキャナーのバンドを後頭部に回して固定し、怪しいところを探しながら進む。
他と異なる部分が見つかれば、恐らくそれが当たりだ。

暫くの後、一つの本棚に目が留まった。
その天井と床に接する部分のごく一部が他よりも温度が高くなっていることに気付いたからだ。
「この本棚が怪しいね」
 そう言うとスミコはからくり人形を取り出し、続けて起動させる。
「さて、邪魔な扉は破壊しますか」
 スミコの操作に従い、からくり人形『ダグザ』は高速回転を始めると、本棚に向かって巨大棍棒の回転攻撃を……
「待って」
 リリスフィアの制止の声に反応し、スミコはからくり人形を引き寄せた。
 からくり人形は停止できずにその場で高速回転を続けている。
「扉の近くには必ずアタリの本があるはず。破壊するより探したほうが早いかもしれない」
「それも一理あるね」

 回転を続けるからくり人形はそのままに、二人は手分けして検索を開始する。
「中々手を出しにくい場所だったり、灯台下暗しといった意外な場所に……っと、これは?」
 少し離れた位置から探し始めたリリスフィアは付箋のついた本が一つだけあることに気付く。
 付箋のついたページをめくると、マーキングされた一つの章題が目に入った。
「アルダワ郷土料理の歴史と由来および意味合いについての考察……?」
 リリスフィアが読み上げると同時。
 スミコが怪しいと言っていた本棚から魔導蒸気が控え目な音と共に漏れ出し、ゆっくりと上方にスライドしていった。
 上昇した本棚は何とか手の届くような高さで停止。
 二人は最初の成功を喜び、開いた通路を抜けていく。
 本棚の底にちらと目をやると、本棚と本の重量を支えるために裏側は分厚い金属板で補強されていた。
「これだと破壊するのは大変だったかもしれないね」
「うーん、そうみたいだね。からくり人形の消耗部品もタダじゃないし、次もアタリを探していくとしますか」

 スミコが隠蔽された扉を見つけ、リリスフィアがアタリの本を見つけ出す。
 そんなことを二度ほど繰り返したところでリリスフィアは今ある共通点をまとめた。
「ある程度のパターンは読めたよ」
「おお、さすが電脳魔術士だねー」
一つ目、アタリの本は全てアタリ扉から丁度5メートル離れた位置で見つかっている。
二つ目、距離5メートル以上の突当りに扉がある。
三つ目、アタリの本は下段側1段目か2段目に配置されている。
四つ目、いずれも料理に関する本ということ。
「同じようなところにアタリを配置するところを見るに、ここの迷宮の主は面倒くさがりな性格なのかもしれない」

 コツをつかんだスミコはアタリ扉の発見速度を加速させていく。
 情報が蓄積されると共にリリスフィアの検索精度が上がり、アタリ本の捜索時間が短縮されていく。
 それぞれ得意分野で役割分担することにより、迷宮は凄まじい速度で踏破されていった。
 仕掛け扉を通過すること更に数度。
 真鍮色のゲートが視界の端に映った。
ゲートを潜った先には更に地下へと進む螺旋階段が見える。
「お疲れ様―。これで第一エリアはクリアだね!」
「おかげで効率よく攻略できたよ。お疲れ様」
リリスフィアはスミコの手に控え目なハイタッチを返すと、次のエリアに向かうべく二人は螺旋階段を下って行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

城田・紗希
【spd】勘…というか、第六感でアタリを見つけるよ!
……あ、この本よさそう、あとで借りよう(料理のレシピ本を鞄に入れる)
……この本、宿題の答え載ってないかな?
…だ、脱線してないデスヨ、ちょっと中身の確認デスヨ。

た、高いところに本があったら、ハシゴの荒いレプリカ作ろうかな…
ケットシーとかちっちゃい人用に、ハシゴは残しっぱなしで……
あ、この隙間とか猫が好きそう。



 城田・紗希(人間の探索者・f01927)は一歩ダンジョンに踏み込んだものの、即時に回れ右してエントランスホールに戻ってきていた。
 エントランスホールに配置されたラックに何故か存在した最新の新聞と雑誌。
 その中に偶然あった料理のレシピ本らしきものを見かけたからだ。

「あった!やっぱり料理の本だ」
 紗希は無人のエントランスで誰かに釈明の料理雑誌を手に取った。
「だ、脱線してないデスヨ、ちょっと中身の確認デスヨ?」
 虚空を見つめながらひとり呟くと、付箋のついたページを何気なく開く。
「へぇ、『ビギナーでも簡単、スイーツ特集』かぁ。この本よさそう!借りていこう」
 雑誌のページを閉じ、鞄に入れようとしたその時。
 それとほぼ同時にエントランスカウンターの奥で高圧蒸気が漏れるような音が響いた。
 紗希がカウンターの奥をのぞき込むと、スライドした棚とその奥に削り出されたままの岩肌通路が確認できた。
 紗希には知る由もなかったが、このダンジョンの通路を開くアタリ本の共通点は『料理に関する本』である。
 そして、この雑誌もアタリの本に該当していた。
 通路は人が一人通るのがやっとの狭さで緩やかな上り坂。
(これって所謂『スタッフオンリー』な通路かな?)

 意を決し通路に狭い通路を進んでいくこと暫し。
 紗希は小部屋にたどり着いた。
 小部屋の中央には四角く切り抜かれた穴が開いており、下を覗くと螺旋状の階段が下方に向かって続いている。
 つまり、この通路はエントランスから次の階層の階段までショートカットしてできる秘密通路だったのだ。
 カンで選んだ料理雑誌が大当たりだったということ。
 --ナニソレ、第六感コワイ--
 惜しむべきは、ダンジョンショートカットにより成功率迷子の開錠技術や失敗と親友のトラップ解除の活躍の場はなくなってしまったことか。

 紗希はレプリカクラフトでハシゴを作り、螺旋階段の踊り場まで移動し、自分の幸運に感謝と畏怖の念を抱きながら先を急いだのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラスベルト・ロスローリエン
なんやかんや……うん。緩々として良い響きだ。
蔵書も沢山読めるようだしなんやかんや行ってなんやかんや片づけてこようか。

◇WIZ 自由描写歓迎◇
熟読する時間が無いのは残念だが今は鍵となる言葉を手早く見つけないとね。
“エゼルオール”を一振りして本棚から数冊ずつ宙に浮かせたまま纏めてページを捲っていく。
速読の合間に“四季の雫”で一息つけば頭が冴え【情報収集】も捗るだろう。

昔は良く故郷の大図書館に籠りいにしえの書物を耽読したものさ。
寝食も忘れ書物の山に埋もれ上古に思い馳せた日々が懐かしいよ。

なんやかんやで鍵となる言葉を見つけたら唱えてみる。
機会を見つけてこの迷宮に収められた叡智を心ゆくまで堪能したいな。



「機会を見つけてこの迷宮に収められた叡智を心ゆくまで堪能したいな」
 本の迷宮を往くはエルフ族のラスベルト・ロスローリエン(灰の魔法使い・f02822)。
 寝食も忘れ書物の山に埋もれ上古に思い馳せた日々を懐古しつつも目標地点を目指す。 

 グリモア猟兵が説明に使用した図解によれば、それなりの面積の迷宮であることが予想される。
 足を止め其々の書を読み込んでいては他の猟兵たちに大きく後れを取ってしまうだろう。
 ラスベルトは熟読する時間が無いのは残念だ、と心残りに思いながらも幾つもの書を割いた魔力で同時に捲り、高速で走査していった。

「ここら辺りで一旦は休憩としよう」
 ラスベルトはトネリコの魔法杖を傍らに置き、手近な可動式脚立に腰掛けた。
“四季の雫”で喉を潤し、一息つきながら思考を纏めていく。
 共通するのは何れも食に関する学術書。
 鍵となる言葉は章題に含まれる一つの単語。
 そして例外なく付けられていた付箋のこと。
 本は経年劣化により僅かに変色しているが、この付箋はまだ新しく埃も付着していない。
 遠くとも数週間以内に付けられた物だという事が判る。
 此れは先に迷宮攻略に挑戦したアルダワの学生によるものであろうと一先ずは結論付けると、ラスベルトは杖を手に取り立ち上がった。
「攻略法も解ってきたし、何やかんやと片付けていこうか。ここの蔵書達との離別は少しばかり寂しいけれどね」

成功 🔵​🔵​🔴​

氏神・鹿糸
本。たくさんの紙束で、ひとつの世界を構成しているのは素敵なことよね。
私が読んだことがあるものはあるかしら。
行動は【SPD】で行きましょう。

「表紙は同じでつまらないわね。…早々に飽きそう。」
お散歩気分で捜索。
飽きてきても、欠伸を堪えて。
目に付く本を手当り次第に確認していくわよ。

「こんにちは、私の隣人。本を探しているのだけど…面白そうなものがあったら教えてくれない?」
自力で見つけられない場合は、迷路内にいそうな精霊を呼んで[情報収集]。
精霊たちが気になる本を、また虱潰しに開いていくわ。


(アドリブ歓迎)



 本の森の中を往くは氏神・鹿糸(四季の檻・f00815)。
「本。たくさんの紙束で、ひとつの世界を構成しているのは素敵なことよね。
私が読んだことがあるものはあるかしら」
 お散歩気分で本の森を捜索開始。
 彼方此方と視線を巡らせれば、そこには綺麗に整列する茶色の背表紙たち。
「表紙はどれも同じでつまらないわね。……早々に飽きてしまいそう」
 沈みそうになる気持ちを呼び起こし。
「目に付く本を手当り次第に確認していくわよ」
 心持と一緒に重くなった足と手を前に送り出して手近な書棚の前へ。
 本を摘まんで取って開いて、閉じては元の場所へお帰りなさい。
 お目当ての一節はどこかしら、と。
 書籍を取り上げては頁を捲って、違ったみたいと元の位置へ。
 飽きてきても再び書を手の内へ、外れさんはお家にお帰りなさい。
 萎んでしまったお散歩気分。
 欠伸を堪えて隣の書架へ。
 繰り返し、繰り返し。
 ルーティンワークに疲れた心は今にも夢へ向かっていきそう。
 それならいっそのこと詳しそうな方に聞いてみましょうか。
「こんにちは、私の隣人。本を探しているのだけど…面白そうなものがあったら教えてくれない?」
 精霊達に呼びかけても、戸惑いの声が聞こえるばかり。
 代わりに人間の匂いが一番濃い紙の束を報せてくれた。
 精霊達にお礼を言うと、一つの書物を両の掌へ。
 その一節を読み上げれば、近くで響く蒸気の音。
 湯気を噴き出す本棚達が道を譲ってくれたみたい。
 瞼の重りが外れてくれて少しやる気が出てきたかも。
 僅かに軽くなった足取りで、鹿糸は本の森を抜けていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

楠瀬・亜夜
杜鬼・クロウ(f04599)さんに同行します

アルダワ魔法学園……前々から気になっていた世界だったんですよね
UDCアースとはまた違った謎と独特の文明、好奇心が疼きます……!
一体なにがあるんでしょうか……!

なるほど図書館型の迷宮……そこに隠されたキーワード……
これはあれですね、謎を解く必勝法があると見せかけて
実はないという高度な心理戦という訳ですね。
つまり私は行うべき行動は惑わされず【第六感】で
片っ端から本を探す……そういう事ですね。(【SPD】)


杜鬼・クロウ
アドリブ歓迎
依頼(砂噛み)で会った【偽実習生】組で迷宮攻略に挑む

「眼鏡かけたら閃きやアイディア沸いてくっかもしれねェと思って持ってきた。俺の気分の問題だがな。
今回、頭使うトコもあるらしいしなァ…暗記じゃねェだけマシか。
本棚の迷路というと浪漫があるが、こン中から当たり引くのはキツイぜオイ。出口マジで見つかンのかよ」

宵と亜夜に声掛けて迷宮探索
眼鏡着用
剣は持参
大量の本棚見上げ溜息
協力して迷宮進む
前へ進み、行き止まりになったら戻る
目についた本を片っ端から手に取り中身を見る

「亜夜の勘は頼りにしてるぜ。
宵、夢中になる気持ちも分かるが、寄り道してねェでここいらで本腰入れろや(宵の首根っこ掴んで本棚から離し」


逢坂・宵
【偽実習生】
依頼で知り合ったクロウ君と亜夜さんと一緒に

ここまで壮大な本棚の迷宮というのはとても心が躍りますね
この中に一冊二冊くらいは星属性の精霊術に関する秀逸な書物がありそうです
……いえ、ちゃんと当たりの本探しに努めますよ?
クロウ君、形から入るというのはとても重要で良いことと思います
亜夜さんの技能、たいへん頼りにさせていただきますね

【WIZ】
精霊にも手伝ってもらい、他の書物と違いなんらかの魔法的要素の気配のある本を探していきましょう
あの辺の本なんかが怪しそうですね
……おや、精霊術に関する本が……(そわそわ)
って、あっ……(クロウ君に引きずられてゆく)



 最後に図書館迷宮のエントランスに現れたのは楠瀬・亜夜(追憶の断片・f03907)、杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)、逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)の三人組。
 以前依頼で知り合ったというこの三人組は協力して迷宮を攻略すべく、一団となって進んで行った。
「アルダワ魔法学園……前々から気になっていた世界だったんですよね。UDCアースとはまた違った謎と独特の文明、好奇心が疼きます……!一体なにがあるんでしょうか……!」
 亜夜は冷静を装いつつも新しい世界への期待で一杯の様子。
「ここまで壮大な本棚の迷宮というのはとても心が躍りますね。この中に一冊二冊くらいは星属性の精霊術に関する秀逸な書物がありそうです。……いえ、ちゃんと当たりの本探しに努めますよ?」
 知的好奇心を刺激された宵は亜夜と同様に少し興奮気味。
 それとは対照に大量の本棚見上げて溜息をつくのはクロウ。
「今回、頭使うトコもあるらしいしなァ…暗記じゃねェだけマシか」
 以前の依頼で大量に暗記した時の記憶がフラッシュバックする。
 その記憶を掻き消す様に一つ頭を振ると、一つのアイテムを取り出した。
「眼鏡かけたら閃きやアイディア沸いてくっかもしれねェと思って持ってきた。俺の気分の問題だがな」
「クロウ君、形から入るというのはとても重要で良いことと思います」
 そう言って眼鏡を取り出すクロウと彼に称賛の言を送る宵。
 今回、頭使うトコもあるらしいしなァ、と呟きつつ眼鏡を装着すると、眼鏡を通して見えた世界は実際に普段と違っていた。
 視界が強烈に歪曲していき、歪んだ世界は眩暈にも似た感覚を呼び起こす。
 急激に変化した視覚情報により脳が混乱を起こし平衡感覚が揺らぐ。
(コレ、度入りのやつじゃねーかよォ!しかも全然あってねェ)
「あれ、クロウ君。眼鏡はやめてしまうのですか?」
「ああ。気分だけは十分に味わったからからなァ」
 極力冷静を装いながらクロウは眼鏡の蔓をポケットに引っ掛ける。
「そンなことより攻略を始めようぜ」
 出口を求め彷徨うこと一刻程、袋小路に入ってしまった。
 引き返しながらも別ルートを採り、ダンジョンの仕掛けを解くべく本を調べていく。
「本棚の迷路というと浪漫があるが、こン中から当たり引くのはキツイぜオイ。出口マジで見つかンのかよ」
 改めて見回すと、とても数か月、いや数年かかっても読み切れないような蔵書の数。
 亜夜もアタリを求めて捜索をするが、一向にそれらしきものは出て来ない。
 当然法則のようなものも見えなかった。
「なるほど図書館型の迷宮……そこに隠されたキーワード……これはあれですね、謎を解く必勝法があると見せかけて実はないという高度な心理戦という訳ですね」
 つまり、と亜夜は続ける。
「私が行うべき行動は惑わされず第六感で本を探す……そういう事ですね」
「亜夜の勘は頼りにしてるぜ」
「亜夜さんの技能、たいへん頼りにさせていただきますね」
 宵も  
 人より鋭い感を持つ亜夜は自らの六感というセンサーに引っかかる物だけを中心に探し始めた。
 それに倣い、宵は精霊呼び魔法的要素の気配のある本を探していく。
 すると、亜夜の第六感と精霊が感知した魔法的要素、いずれも合致する本が一つ見つかる。
 その本を手に取り、頁を捲る。
 目印のついた頁の章題を読み上げると、本棚のひとつが稼働し道が開けた。

 その後は亜夜の第六感と宵の精霊による感知を組み合わせ、双方一致した本を探していった。
 アタリの本には外から見える目印があることも判明する。
「これはあれですね、謎を解く必勝法がないと見せかけて実はあったという高度な心理戦という訳ですね。つまり私は行うべき行動は惑わされず対象の目印がある本のみを探す……そういう事ですね」
「最初と言ってること真逆になってンじゃねーか!」
 そして傍らを見るとふらふらと引き寄せられるように別の学術書へと向かう宵。
 ちらりと見た先の本棚の背表紙に、精霊の一文字が入っているタイトルを見つけてしまったのだ。
「宵も夢中になる気持ちも分かるが、逸れると迷子になるぞ」
 好奇心旺盛な二人の同行者。
 手綱を上手くコントロールしつつ探索を進めていく。
 一人では困難な迷宮攻略も、この三人なら間違いなく遂行することができるだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『探せ、地下迷宮!』

POW   :    体力の続く限り、手当たり次第に探し回る等

SPD   :    技巧を凝らし、地図を作って効率よく探す等

WIZ   :    感覚を研ぎ澄ませ、知恵を絞って推理する等

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達が螺旋階段を降りていくと、目下に蜘蛛の巣状に配置された多数の本棚が見えてきた。
 その一つの大きさは一般的なウォーマシンの背丈と同程度だろうか。
 螺旋階段の終着点は恐らくそのほぼ中心。
 猟兵たちがフロアに降り付くと、目前には横倒しになった書棚。
 それは丁度中央と思われる位置に座していた。
 不思議な素材でできた透明の板越しに中を覗き込むと、歯抜けになった本の並びに六冊分の隙間が確認できる。
 これらの抜けた分を埋め、巻数を揃えればいいのだろうか。
 透明な板は観音開きで開閉できるが、中の本は固定されており読むことはもちろん取り出すこともできない。
 
 一連のタイトルは、以下の通り。
 『塩味が海洋魚の味覚に与える影響の官能評価』
 『料理療法と自作料理の心身に与える影響』
 『酒と文化』
 『アルダワ地方とテーブルマナー』
 『楽しいお料理 -アルダワ地方編-』
 『』(背表紙が摩耗しており読み取ることができない)
阿紫花・スミコ
五十音順、アルファベット順、いろいろ本を入れてためしてみる。
その都度、サーマルスキャナーで流れをよく観察し、本の順番というよりは、本棚の仕組みを理解したい。
その上で、正しい組み合わせを探っていく。
私が開けることができなくても、この情報は他の猟兵たちの解読の手助けになってくれるだろう。
(学習力、視力、暗視、聞き耳、メカニック、情報収集)
ところで、制限時間があるそうだが、制限時間になったらどうなるんだろう。


城田・紗希
【wiz】と第六感…じゃなかった知恵で頑張るよ!

歯抜けは6つだから、さしすせそに従って…
酒、塩、酢、せんべい、ソーダ、を探せば良いのかな?
(6冊揃ってれば)せんべいとソーダ、じゃないっけ…?…赤飯?

本の厚さとか高さが違うはずだし、ちょうどいい歯抜けを探して入れてみようかな……


リリスフィア・スターライト
アドリブや他の人との絡みはOKだよ。

料理や食事に関する本ばかりのようかな。
抜けた分の本を探して埋めてみるよ。
読み取れない本も食事や料理に関する本である事が考えられそうだね。
タイトルに合致する本を探す中で、
そのどれでもないタイトルでで法則に
合致しそうな本があればいくつかピックアップして
他の判明しているタイトルの本を埋めた後で、
順に埋めて道が開けるか試してみるよ。
何となくだけれど、アルダワ地方で美味しそうな
食材の産地とかの特集が載っていそうな本が怪しいかな。
ここの主は料理をしたいのかもしくはして欲しいのかもしれないね。

「何だか少しお腹がすいてきたかな」



 最初に第二のエリアに降り立ったのは城田・紗希(人間の探索者・f01927)。
 先のエリアでは運良く大幅にショートカットできる通路を見つけることが出来たため、ほかの猟兵に先行して到着することができた。
 蜘蛛の巣状に配置された本棚と、その中央には横倒しになった書棚。
 とても怪しい。
「これがグリモア猟兵の言っていた本棚かな?空の部分は本の厚さとか高さが違うし、ちょうどいい歯抜けを探して入れてみようかな……」
 紗希は空になった6冊分の凡その寸法を測定すると、迷宮を攻略するため本棚群へと向かっていった。

 紗希がこのエリアの探索を開始してから暫くの後。
 螺旋階段を降りてきた阿紫花・スミコ(人間の人形遣い・f02237)とリリスフィア・スターライト(多重人格者のマジックナイト・f02074)が本棚の前に到着した。
 二人は本棚を軽く調べると、アタリ本の探索を開始した。
「料理や食事に関する本ばかりのようかな。抜けた分の本を探して埋めてみるよ。読み取れない本も食事や料理に関する本である事が考えられそうだね」
「アタリの本を本棚に正しい順番で時間内に揃える、だっけ。ボクは本の順番というよりは本棚の仕組みを理解したい。その上で、正しい組み合わせを探っていくよ」
 途中でそれぞれ分かれ、お互い思うところのある本を探しに出た。

 二人が本を持って戻ってくると、その反対側からは何冊もの本を抱えた紗希が向かってくるのが見える。
「追いつかれちゃったかー。でもやっぱり謎解きは協力したほうが楽だよね!」

 紗希が空き部分の寸法だけを基に探してきた6冊の本からは2冊が本棚の空き部分に収まった。
 他の4冊は僅かに大きさが合わず、どうやら外れのようだった。
 リリスフィアの選んだ本からは1冊が本棚の空きにピタリと収まった。
 試しに他の本に入れ替えてみようとするが、3冊の本は固定されてしまい取り出すことができなくなってしまっている。
 サイズの合わない本は残りの空に入れてみたが問題なく取り出すことができた。
 どうやら一度セットしてしまうとすべてをセットするか時間切れにならない限り取り外せない仕様のようである。
 この取り出せなくなった3冊はアタリと見てよさそうだ。

「歯抜けは6つだから、さしすせそに従って……酒、塩、酢、せんべい、ソーダ、を探せば良いのかな?せんべいとソーダ、じゃないっけ……?……赤飯?」
「料理のさしすはせそは砂糖、塩、酢、醤油、味噌の五つね。」
 紗希の疑問は料理に一日の長があるリリスフィアが答える。
「アルダワ学園にちなんで教科の国数理外車……あれ?写だっけ」
「最後は社会だね。それも五種類で一つ足りないし。ん?いや、ちょっとまてよ。もしかしたら」
 スミコは何かに気付きメモに書きこみ始めた。
「元からある物に加えて歯抜けになった部分合わせて12だよね。国語、地理、歴史、公民、数学、理科、芸術、体育、保健、家庭、情報、外国語の12教科を当てはめていくと」
「元からあるのがそれぞれ順番に理、保、歴、公、家ね」
 スミコが提案した内容をリリスフィアが当てはめ整理していく。
「アタリのタイトルは『輸入料理とアレンジによる独自進化』、『アルダワ料理用語大全集』、『魔導蒸気とガジェットによる自動調理システム構築』の三つだね!」
「アタリと分かった本を外、国、情に割り振ると足りないのは地、数、芸、体の中から三冊になるね」
 紗希がタイトルを読み上げるとリリスフィアが振り分けまとめる。
「こじつけみたい。でも、もし迷宮の製作者は自分だけ解ければいいって考えなら。自分さえ忘れずにいることができるヒントとして残したのなら。それでいいのかもね」

「ところで、制限時間があるそうだが、制限時間になったらどうなるんだろう」
 スミコはふと疑問を口にする。
 最初の本をセットしてから既にそれなりの時間が経つ。
 そんなことを考えていると高音が鳴り響いた。
 本棚の下から蒸気が噴出し透明な板が勢い良く閉まる。
 続いて本棚から聞こえる金属音。
「ロックが掛かった!?」
 何が起こるのだろうと様子を伺っていると、入れてあった3冊の本が奥側へ引っ込み消えていった。
 再び金属音が聞こえた後、透明板は開閉できるようになっていた。
「時間が経つと奥側の支えが消えて本が落ちていく仕組みだね。『サーマルスキャナー』で観察していたけど、奥のほうで蒸気の熱が移動しているところが見えたよ」
 本棚が直立した状態では追加された本が回収できない。
 だからこの本棚は横倒しになっていて、本棚群の棚は本を戻す機構を組み込むために本の厚さよりも大きく作られていたのかと納得する。

 アタリの本は3冊確定することができた。
 残るは3冊分。
 時間内に素早く往復するか他の猟兵達と協力しタイミングと順番を合わせて6冊分を順番通りにセットする。
 それができれば先のエリアに進めそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

杜鬼・クロウ
引き続き【偽実習生】と行動
アドリブ歓迎

「次はこの隙間に本並べるのか。正しい順番で且つ時間制限なけりゃァ楽勝なンだがな。手分けすっぞ。
先に行った猟兵達によれば法則はあるってよ(聞き耳でざっと把握)
中身読めねェのが惜しいぜ。背表紙が読めねェヤツが気になる。結局アレは何なンだよ」

本の高さと厚さを手で測る
体育関係の食に関する本がどの辺にあるか【第六感】働かせ効率よく探す
余裕あれば二人を手伝う
探す途中【情報収集】欠かさない
アタリの本を順番合わせてセット

「そういやお前らは料理とかすンのか?
魔法の箱?ンな便利なモンあンのかよ。今度紹介しろや。
カップラーメン…俺食ったコトねェから一度食ってみてェわ(興味津々」


逢坂・宵
【偽実習生】※アドリブ歓迎
なるほど、法則があるならば助かりますね。頭脳労働は得意です
本棚の隙間の寸法を改めて測っておいて、精霊にも手伝ってもらい、『第六感』を使用して見当をつけながら探していきましょう
数学と芸術に関する本を探してみましょう。数学はレシピの黄金比や美味しくなる分量の法則、芸術はいわゆる写真映えのような料理やアーティスティックな方向でしょうか
背表紙のない本はほら、自由な発想で……
僕はカレーが作れますよ。UDCアースには魔法の箱があって、自動で作ってくれるんです。(電子レンジ)
亜夜さんのラーメンミックスはとても興味を惹かれますね。ミックスラーメンとカレーのメニューはきっと最高でしょう


楠瀬・亜夜
【偽実習生】チームで行動します。//先行された方の情報のお陰で集めるべき本の法則性が分かりました……なるほど、つまりはそういう事ですね//では地理関係の本を探すとしましょう、この条件ならば……郷土料理に関する本を探すべきですね、多分。UCで影蝙蝠を召喚し本の探索を分担して貰いつつ【ダッシュ】で素早く行動しつつ【第六感】で目星をつけ探索に当たります。//ふむ、料理……ええ。カップラーメンという料理が得意ですね。今後機会があったら是非、必殺ラーメンミックスをご馳走しましょう……え?カレー?私も好きですね、ミックスラーメンと組み合わせてもいいかもしれません。



 先行した三人の猟兵達から遅れること僅か。
 三冊のアタリ本が確定し、残りはあと三冊というところで第一エリアを協力して攻略した、杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)、逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)、楠瀬・亜夜(追憶の断片・f03907)の三名の猟兵が合流した。

「なるほど、法則があるならば助かりますね。頭脳労働は得意です」
「先行した皆さんのお陰で集めるべき本の法則性が分かりました」
 再び知的好奇心を刺激された宵は少し楽しそうに首肯し、続いて亜夜がクールビューティ感を醸し出しながら頷く。
「正しい順番で且つ時間制限てのがなけりゃァ楽勝なンだがな。手分けすっぞ」
 先行組との情報共有が済んだ三人はクロウの合図と共に早速探索を開始した。

 三人には先行者のレプリカクラフトにより、三冊の其々の大まかな寸法のコピーが渡されていた。
 これを基に探せば寸法を測る時間が短縮できるだろう。

「中身読めねェのが惜しいぜ。背表紙が読めねェヤツが気になる。結局アレは何なンだよ」
 クロウは、アレの中身が分かれば絞りこめるんだがなァ、と呟きつつも体育関係の食に関する本を探す。
「寸法一致でソレっぽいのはこのあたりかァ?」
 『筋トレと有効な素材』等の計三冊を見繕い、クロウはエリア中央を目指して戻り始める。
 余裕があれば二人を手伝に回ろうとしていたクロウだったが、本の発見までに時間を要してしまったため、速やかに戻ることにした。
 クロウは探してきた本をふと眺めていると、その下側に付箋が付いていることに気付いた。
「そういやァ前のエリアのアタリ本にもこンなのあったなァ」

 宵は精霊にヘルプを出しつつ数学と芸術に関する本を探していた。
「数学はレシピの黄金比や美味しくなる分量の法則、芸術はいわゆる写真映えのような料理やアーティスティックな方向でしょうか」
 予想その物の通りで素材配合の黄金比や分量の法則を宵は見つけると、残りを探すために別の書棚へと向かう。
 しかし、精霊の助けを得ても最後まで目的のものは見つけることができなかった。
 探索開始から時間が経ってしまったため、途中見つけた精霊術の本に後ろ髪を引かれつつも戻ることを決意。
「料理関連で芸術に関する書籍は見つかりませんね。僕がいる側の書棚にはないのかもしれません。一度戻り、皆さんに合流しましょうか」

「では、私は地理関係の本を探すとしましょう。この条件ならば……郷土料理に関する本を探すべきですね、多分」
 亜夜は影蝙蝠を召喚し、本の探索を分担しながら進んで行くと、該当する本はすぐに三冊ほど見つかった。
 何れも寸法一致したのを確認すると、足早に中央の本棚を目指し戻っていく。
「意外と簡単に見つけることができましたね。さぁ、このエリアも一気に突破してしまいましょう」

 中央の本棚まで戻った猟兵達。
「前エリアのアタリ本にもこンな付箋が目印にあったよなァ。コレ重要なンじゃねェか?」
「あり得ますね。皆さん、ここにあるもので調べてみましょう」
クロウは途中で気付いたことを仲間達に告げると、仲間達は各々の持ってきた本を調べていく。
「前のものと比べて随分と見難い場所ではありますが、僕の持ってきた本の中にもありました。亜夜さんの集めた本の中にも該当が一つ、前出のアタリ確定本にも付いていました」
「もしそれが正しいとすれば、付箋を基に選別すれば残るはアタリ本のみ、という訳ですね」

 猟兵達は持ち寄った本を選別し、残ったものを順にセットしていった。
 何れの本もセットすると固定されて取り出せなくなった所をから、セットしたものは正解と思われる。
 しかし、何も起こる様子がない。
「何も起きませんね。これは私達に制限時間まで待てという事でしょうか」
「当たっても外れても待たなきゃなンねェのか。地味に面倒くせェ仕様だな」
「こればかりは仕方ありませんね。ダンジョンの仕掛けを作ったのは僕達ではありませんから」

「そういやお前らは料理とかすンのか?」
「ふむ、料理……ええ。カップラーメンという料理が得意ですね」
 待ち時間が手持ち無沙汰になった三人がこのダンジョンのテーマにもなっている料理の話題に移ったというのは必然だろう。
 クロウの問いに自信満々で返す亜夜。
 カップ麺が料理に入るのかという疑問も抱く猟兵諸氏もいるだろうが、料理の定義としては、食べる直前の出来上がりになったものを料理という。
 例えそれが別人によって途中まで調理した物であったり、工場で生産されたものであったりしてもだ。
 大丈夫だ、問題ない。
「カップラーメン……俺食ったコトねェから一度食ってみてェわ」
「今後機会があったら是非、必殺ラーメンミックスをご馳走しましょう」
 更に得意気に返す亜夜。
 ミックスは兎も角、食べ物で必殺とは一体。
「僕はカレーが作れますよ。UDCアースには魔法の箱があって、自動で作ってくれるんです」
「カレー?私も好きですね、ミックスラーメンと組み合わせてもいいかもしれません」
 UDCアース出身者には馴染みの深いであろう電子レンジ。
 カレーであれば時短カレーやレトルトカレーの温めに利用されているのは出身者であればご存知の通り。
「魔法の箱? ンな便利なモンあンのかよ」
「ええ、ありますよ。電子レンジと言って、中に入れた物の水分子をマイクロ波加熱で……」
 UDCアース出身者以外に原理から説明するには圧倒的に時間が足りないと気付き、説明を途中で切る宵。
 仕組みはよく分からないが、実在するらしい魔法の箱にクロウはとても興味を惹かれた。
「そのミックスラーメンとか言うのとカレーをその魔法の箱にまとめてぶち込むだけで食えるようになるンだろ? すげェな! 今度紹介しろや」
「いえ、カップラーメンという料理は先ず沸騰したお湯を……」

 などと会話をしているうちに時間が来たようだ。
 本棚の下から蒸気が噴出し、高音が鳴り響く。
 透明な板が勢い良く閉まり、続いて本棚から聞こえる金属音。
 猟兵達が見守る中、六冊の本は本棚の奥へと消えていった。
 待てどもそれ以外の変化は起きない。
 --ハズレ--猟兵達に広がる僅かな落胆と沈黙。
 それを破り、クロウは口を開く。
「あとは順番か。アタリの本と場所は全部分かったンだからな。」
「ええ、もう一度探しにいきましょう。皆さんが本を取得した場所については、僕が全て記録しました」
「次は順番とその法則に注意を払いましょう」
猟兵たちは再度挑戦すべく、アタリ本を確保するために各々散開していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パフィン・ネクロニア
むむ、ここからは魔法の呪文(物理)では進めそうにないようじゃの。

まるまるうまうま。
つまり地、数、芸、体っぽいのにこじつけられそうな残りのアタリ3冊を探せばいいんじゃな。
それっぽいのは郷土料理とか盛り付け、健康食の本?とかじゃろうか。


うむ。さっぱり解らんしアタリ探しは他の猟兵に任せて本をセットする方に注力しようかのぅ。


アニエス・エーラ
※アドリブ、協力歓迎
WIZ(オーラ防御、生命力吸収、祈り、第六感、武器受け)
第六感とWIZで先にいらした方達が分かった箇所を察します
寸法にあった料理系の本の、国語、地理、歴史、公民、数学、理科、芸術、体育、保健、家庭、情報、外国語の12教科と元からあるのが順に理、保、歴、公、家で…外、国、情と地、数、芸、体の中から三冊…ですか
「時間制限に気をつけて、一気に入れたいですね
時間に気を配りながら知恵を絞り推理と第六感で空間の大きさに合った本を選び、一気に入れましょう



「まるまるうまうま、わしが探す前にアタリは全て揃っていたんじゃな。探すのは他の猟兵に任せて本のセットに注力の予定だったんじゃがのぅ。それも不要とな。つまりはこういう事じゃな」

 --第二エリア攻略完了! --

「パフィンさん待ってください! 次のエリアに進むためには、本を正しい順番でセットするという作業がまだ残っています」
 到着早々、状況を把握するや否や終焉させようとするパフィン・ネクロニア(ダンジョン商人・f08423)に、遅れて到着したアニエス・エーラ(オラトリオの聖者・f13932)から突っ込みが入った。
「本の探索については、現状を把握している先行者の方々に任せたほうがよさそうですね。私達は皆さんが戻るまでの間に、本をセットする順番とその法則がないか考えましょう」
「ベネ(了解)」

「分かっているタイトルだけで十二冊あるわけじゃしなぁ」
 先行した猟兵達がまとめたメモを読み上げるパフィン。
「これらのタイトルから導かれる答えは……なるほどわからん」
「まずは他の情報もまとめましょう。アタリの本が全て揃っている状態なのに芸術に関する本が見つかりませんでした。背表紙のタイトルが読めない本は料理と芸術に関連するものだと思います」
「うむ。正しそうじゃな」
 十二の教科に対応する本が消去法で割り振られる。
 タイトルが攻略のヒントになりそうではあるが、残念ながら現状では読み取る方法がない。
「各エリアで付箋の目印がありました。これは最近付けられた物の様です。直前まで攻略に当たっていたアルダワ魔法学園所属の学生が貼り付けたものと考えるのが自然でしょうね」
「んむ。その筋で間違いなさそうじゃのぅ」
 自らの攻略のためか後続のためのヒントなのか。
 先人のお陰で攻略難易度は下がっていた。
「本の種類にも法則がありましたし、順番にも何かしらの法則があると思います」
「ほむ。ありそうな話じゃなぁ」
 アニエスは、それが分からない限りは全部試すしかないのですけれど、とも続ける。
「全部試すとなると……七百二十通りじゃな。先に試した分だけ減るが」
「待ち時間もありますから、長期戦になってしまいますね」
 普段から金にシビアなパフィンはさらりと計算の答えを出すと、かかる時間を考えてやや困った表情になるアニエス。
 なんやかんやと、まとめたり考えたりしているうちに捜索に当たっていた猟兵達によって再び全てのアタリ本を揃えられていた。
 何とか楽をして攻略したいパフィンはアタリ本の付箋を調べ始める。
 付箋までつけて痕跡を標した先行者が、順番に関するヒントを残さないはずがないと考えたからだ。
 付箋に文字等の手掛かりになる物は見られなかったが、橙、黄、緑、水色、青、紫の各六色が使用されていた。
 ふと何かを閃くパフィン。
「本の背表紙が赤じゃしな。橙色、黄、緑、水色、青、紫の順でセットしてみよう」

 本のセットが完了してしばらくすると、蒸気の高音が鳴り響き、本棚の仕掛けが作動した。
 セットした本は以前と同様に奥へと消えていく。
 しかし今回はどうだろう、続けて本棚と入口の螺旋階段を挟んで反対側で蒸気の高音が鳴り響く。
 驚いたアニエスはパフィンに問う。
「付箋の色に法則のヒントがあったのですか?」
「虹の七色の順番じゃのぅ。本の法則の謎は解けんかったが。結果的に進むことができればいいんじゃ」
 確認のために移動する猟兵達。
 一つの本棚が移動し下の階層へと続く螺旋状の階段が現れていた。
「この入口、ゆっくりと閉じていきおる」
「それは急がないといけませんね」
「攻略に使用したメモは置いていこう。わしらにはもう不要じゃからのぅ。それに後続がまだ来るかもしれんし」
 中央の本棚に攻略用のメモを残し、猟兵達は最後のエリアへと続く階段を進んで行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『骸の海のダンクルオルテウス』

POW   :    噛みつき
【噛みつき 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    尾撃
【尾っぽ 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    影化
【輪郭のぼやけた影 】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠秋冬・春子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達が螺旋階段を降り切ると、人が何とかすれ違えるかどうかという通路が続いていた。
 その薄暗く狭い通路を進むこと幾何か。
 通路の先から漏る光とその先に広がる空間。
 更に進み通路の終わりまで辿り着く。
 先の部屋と通路の境界には無残に折れ曲がった真鍮の門。
 その門を抜けると目下に広がる水没図書館。
 そして目前から天面まで構成するのは複雑に絡み合う書棚、階段、踊り場。
 猟兵達が門を抜けた先の踊り場に降り立つと、水中を高速で移動する"影"が現れた。
 "影"は水面から飛び出すと空中で巨大な魚型オブリビオンへと実体化し、そのまま猟兵達へと襲い掛かる。

 謎解きは終わり。
 戦闘の時間だ。
城田・紗希
オブリビオンって、迷宮と同じ性質じゃないの……?
本のダンジョンだから、もっとこう……本の形したオブリビオンって居たっけ?
(本の輪郭した迷路をイメージしてる)

と、とりあえず、不可視の攻撃で…というか、持ち込んだ暗器でなぐr…斬るよ!
まずは投擲で距離を稼いで攻撃、ダメそうなら…
……刃物の暗器ってどれだっけ(攻撃力重視に切り替える)

一応、倒し終わったら(もしくは隙きがあれば)、投擲は回収するつもり…
使い捨てにはもったいないし。



 水面から飛び出し奇襲を仕掛けてきた魚型オブリビオン『骸の海のダンクルオルテウス』の初撃を猟兵達は無事に回避した。
 ダンクルオルテウスの初撃を伏せて躱した城田・紗希(人間の探索者・f01927)はお返しとばかりに軌道とタイミングを読み暗器を連続投擲する。
 しかし何れもダンクルオルテウスの表皮に弾かれ、水中に落ちては消えた。
 派手に水飛沫を上げて着水するダンクルオルテウス。
 水中にて再び高速で動く影と化し、次の攻撃を仕掛けるべく、オブリビオンは旋回を始めた。
 一カ所に固まっていては危険だと感じた猟兵達は各々が散開を始める。

「オブリビオンって、迷宮と同じ性質じゃないの……? 本のダンジョンだから、もっとこう……」
 --オブリビオンは本の形状をしている--
 そんな紗希の想像は現実によって粉微塵に砕かれた。
 目の前を通過していったオブリビオンはどう見ても魚っぽいというか、むしろ紛れもない魚型である。
 再度水面から飛び出したダンクルオルテウスは、影状態のまま突進攻撃を仕掛けてきた。
 紗希はそれを避けようとしたものの、濡れた真鍮の床は彼女のローファーのソールが捉えることを許さず、回避動作が僅かに遅れた。
 --避けきれない--
 質量と速度の暴力による衝撃で視界が激しく揺さぶられ、同時に思考も僅か一瞬停止。
 視界と思考が回復すると、今度は全身に感じる浮遊感。
 一瞬遅れて肩に激痛が走った。
 視界には、宙を舞う水滴と千切れ飛ぶ服の切れ端。
 迫る水面と離れていくダンクルオルテウスの背後姿。
 目に映る世界は何だかいつもよりもゆっくり動いているように見えた。
 紗希は激痛を脇に押しやり反撃に移る。
(……刃物の暗器ってどれだっけ)
 思考が終わるよりも早く体が動いた。
 無事な方の手を使い、袖口から棒手裏剣を引き抜き、投擲。
 続けてスカートのホルダーからスローイングナイフを取り出し、投擲。
 思考の逡巡を余所に一連の動作を淀みなく一瞬で完了させる。
 棒状の刃は狙いを違わずダンクルオルテウスの表皮と胸鰭との境界に命中し、深く突き刺さった。
 硬い表皮も可動部だけは守り切れなかったのだ。
 続くナイフはその傷を更に抉り飛ばす。
 金属質の音が辺りに響く。
 支えを失ったダンクルオルテウスの鰭が宙を舞った。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

阿紫花・スミコ
「いよいよお出ましだね!」

嬉々として、スーツケースに手をかけるスミコ。革製の巨大なスーツケースからあらわれたのは、巨大な棍棒を持ったからくり人形。

「いくよ!ダグザ」

ダグザ棍棒の棍棒をふるいながら、ある程度の距離を保って牽制していく。敵の射程30cmにはなるべく入らないようにする。
他の猟兵たちとも連携しながら、攻撃のチャンスをうかがう。

「今だ!」

スミコが両手をあげるように操り糸を引き上げると、ダグザの腰部の歯車がきしみをあげて回転する。そのまま、上半身を回転させながら、その腕に持つ超重量の棍棒を振り回し、超高速の連続攻撃をしかける。

スピニング・スイーブ・・・これでもくらえ!


アニエス・エーラ
※アドリブ、協力歓迎
WIZ
こんな所に水没した図書館があるなんて!貴重な資料がないか、後で調査したいですね。
まずはこのオブリビオンをどうにかしないと、ですね…
さすが図書館の魚、空中も水中も行動可能な魚型とはビックリです!
水中に隠れられてしまったり空中から逃げられてしまうと厄介ですね…
敵の攻撃は武器化した守護精霊を素早く飛ばし、そちらに気を向けさせましょう。
表皮は硬いのですが、可動部は攻撃が通りそうですね。
オーラ防御し、視力と第六感と学習能力で回避しながら世界知識で探り可動部に弱点属性攻撃を全力魔法で行います。
怪我をした仲間は祈りで回復させ、私は生命力吸収で対応します。



 奇襲を仕掛けてきたダンクルオルテウス。
 初撃をバックステップで回避した阿紫花・スミコ(人間の人形遣い・f02237)はオブリビオンによる続く二度目の跳躍攻撃も鞄を抱えながらのサイドステップで回避した。
 直後、スミコの背後で大小二つの着水音と水飛沫が上がる。
 一つは、オブリビオンによるもの。
 もう一つは……。
 嫌な予感がして周りを見回すが、第二エリアを共に攻略してきた少女の姿が見えない。
 つまり、先程の二つ目の着水音と水飛沫は。
「早く助けないとだね」
 スミコはスーツケースに手をかけ、からくり人形を急ぎ取り出しながら少女が落ちたと思われる方向に駆け寄る。
 踊り場の端に着くと水面から縁を掴む手が見えた。
 それと同時。
 影化を解除したダンクルオルテウスが水面から飛び上がり、攻撃態勢に入るのが視界に入る。
 彼女を引き上げている時間はないだろう。
 もし再び落とされ、水中に引き摺り込まれて水中戦にでもなったら。
 仮に泳ぎが得意だったとしても不利だ。
「時間を稼ぐしかないね。いくよ!ダグザ」

 アニエス・エーラ(オラトリオの聖者・f13932)は踊り場から繋がる階段の一つを駆け上り、ダンクルオルテウスの奇襲攻撃から逃れていた。
(……こんな所に水没した図書館があるなんて!貴重な資料がないか、後で調査したいですね)
 そんな考えが一瞬浮かぶものの。
「まずはこのオブリビオンをどうにかしないと、ですね……」
 守護精霊の杖を構え、仲間の援護に入ろうとする。
 階段下では丁度、交戦中の猟兵による投擲武器がオブリビオンの表皮に弾かれたのが見えた。
 見た目上そうは見えないが、あのオブリビオンの表皮は相当に硬いのだろう。
 そして二度目のオブリビオンの跳躍。
「あっ……」
 一人の少女がオブリビオンの攻撃で弾き飛ばされた。
 上がる水飛沫。
 水飛沫に交じり、切断されたオブリビオンの鰭の一つが宙を舞い、乾いた音を立てて床に落ちた。
 すぐに仲間が落下した少女のカバーに入るのが見える。
 切り取られた鰭は攻撃を受けた少女の反撃によるものだろう。
 防御は固いが弱点がないわけではないようだ。
「表皮は硬いのですが、可動部は攻撃が通りそうですね」
 ユーベルコードにより鈴蘭の花びらと精霊の展開を終えた彼女は攻撃タイミングを伺いつつ移動を始めた。

「いくよ!ダグザ」
 上半身を高速回転させたからくり人形の棍棒がダンクルオルテウスの横っ面に直撃した。
 重量級の一撃はダンクルオルテウスの軌道を逸らしたものの、オブリビオンと自らの攻撃の反動が合わさり、ダグザも弾き飛ばされた。
 からくり人形は糸で操作され、その糸の先にはスミコが繋がっているわけで……。
 腕が持っていかれそうになる程の力が掛かり、急激な横Gにスミコは転倒しそうになる。
 何とか堪え転倒は避けたが、その時の踊り場の金属床は濡れて摩擦が極端に低下していた。
 ブーツはスキール音を立てながらもスミコを踊り場に繋ぎとめようとするものの、踊り場の端までの距離は見る見る縮まっていく。
「わー、と、とまれ!」
 --このままだと落ちる--
 その時、スミコの視界の先には本棚の天板が見えた。
 咄嗟に踊り場の角を蹴って跳躍。
 糸を引き寄せダグザを空中キャッチ、続けて本棚の天板に着地した。
 本棚は強固に固定されているらしく、着地の力が掛かっても揺らぎはしなかった。

 本棚の縁を蹴り、元の踊り場へ戻るスミコ。
「同じ場所で戦うのは危なそうだねー」
 三度の攻防によって濡れた床は最初よりも滑りやすくなっていた。
 視線を床から上げると、少女が水面から踊り場に這い上がってくる姿が見えた。
 もう一度の攻撃さえ逸れさせれば何とかなりそうだ。
 ダンクルオルテウスは続けて旋回からの四度目の跳躍攻撃を仕掛けてくる。
「今だ!」
 ダンクルオルテウスの尻尾攻撃を伏せて躱すと糸を操作、ダグザのアッパースイングで棍棒をダンクルオルテウスの喉に叩き込む。
 空中に弾き飛ばされ、もがくダンクルオルテウスへ鈴蘭の花びらの追撃が襲い掛かる。
 鰭の付け根を狙った攻撃は、多数の傷を刻んでいった。

 自分の攻撃に手ごたえを感じたアニエス。
「繰り返し攻撃すば、鰭を切り落として相手の機動力を落とせるかもしれませんね」
 近接よりも遠距離攻撃が得意な彼女は階段を登り、上の踊り場からの攻撃を選んでいた。
 戦闘しながらではあるが観察により彼女なりに分析して分かったことがある。
 一つ、敵は空中を移動できるがそれは影化を解除する一瞬のみ。
 二つ、喉と鰭の付け根の部分は攻撃が通る。
 三つ、目は表皮同様の硬い保護膜で守られている。
 そして、地形について分かったこと。
 踊り場はとても頑丈で安定している代わりに敵の攻撃のたびに濡れて滑りやすくなる。
 階段は頑丈だが攻撃の振動で激しくバネのように揺れ、手摺もないため落下の危険がある。
 本棚の上は滑らないが、その上で攻撃を受けると破壊される(結果、足場が減る)。

 スミコは固い敵を相手に決定打を放てずにいた。 
「胴体の、胸鰭があった部分を狙ってください!」
 アニエスの声が響く。
 それはナイフによって切り飛ばされた、胸鰭のあった場所。
 そこには内部を守る硬い表皮はない。
 スミコの目前に迫るダンクルオルテウス。
 オブリビオンが身を捩りしっぽを繰り出そうとしたその瞬間を狙う。
「今だ、スピニング・スイーブ……これでもくらえ!」
 狙い違わずフルスイングされたダグザの棍棒はダンクルオルテウスの胸部に深くめり込み弾き飛ばした。
 
 ダンクルオルテウスは本棚を薙ぎ倒し、二度三度と跳ねると、もがく様に身を捩り水中に落ちていった。
 思わぬ反撃を受けたからだろうか、ダンクルオルテウスは再び水面を移動する影と化すと猟兵達から離れていったのだ。

 アニエスは負傷した少女に近づき、癒しを施した。
 傷はそれほど深くなく、戦闘の続行に支障はなさそうだ。
「水中に隠れられてしまったり空中から逃げられてしまうと厄介ですが。……諦めたわけではなさそうですね」
 アニエスの眼には再びこちらに向かってくる影の姿が映っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

楠瀬・亜夜
【偽実習生//】ふむふむ……ふむふむふむ、水に没した図書館だなんてなかなかに趣があるじゃないですか……っと、敵襲!迎撃します!。//素早く動き回るのはとても厄介ですね……で、あるならば【knife vision】でナイフを生成し、その内の一本をコントロールしながら水上を猛スピードで走らせましょう、恐らくですがこれである程度なら誘い出せる筈、そしてその後は……ふふ、皆さん頼りにしてますよ?//なるほど、しかしこれが釣りという物ですか、なかなか面白いですねこれ。


逢坂・宵
【偽実習生】
ははは、実に面白そうな敵ではありませんか
これだからアルダワの世界は好きですよ
けれど今日はこのあと、カップラーメンとカレーのパーティーで
クロウ君のふぁっしょん講座があるのです
ということで……狩らせていただきましょう、お覚悟を

【影化】がかなり厄介なので
亜夜さんが敵を引きつけて
クロウ君が足止めをしてくださっている間
僕が敵の行動範囲をすべて網羅・その範囲ごと攻撃するという作戦
そう、釣りですね。大物一本釣り、行きますよ

『属性攻撃』『2回攻撃』『高速詠唱』『全力魔法』を用いて
『天撃アストロフィジックス』で攻撃します

逃がしませんよ
楽しいパーティーが待っていますからね


杜鬼・クロウ
【偽実習生】
アドリブ歓迎

「ようやく深層部に辿り着いたみてェだなァ。
水面に潜られると厄介だが、ようは地上に引き摺りだして仕留めりゃァいいンだろ?釣りだな。
パーティーと俺のファッション語りの為にも早々に沈んでもらうぜ!」

前衛
二人への信頼が厚い
玄夜叉を構える
【トリニティ・エンハンス】使用。状態異常力重視

亜夜のナイフで踊り場まで誘導してもらう
本棚のトリックが上手く使えるなら使う
【地形の利用】で最短距離で先回りし足止め(本棚スライドさせたり
敵が噛みつこうと口を開く瞬間【2回攻撃・属性攻撃】で水と自身の風の魔力の融合技で攻撃
敵の攻撃は【武器受け・カウンター】か【かばう】

「亜夜、ナイス!後は宵、任せたぜ!」



 猟兵達との交戦の後、オブリビオンは再び水面を泳ぎ離れていった。
 数度の交戦による確実にダメージを積み重ねている。
 猟兵達は後を追ったがそれでも尚追いつけず、途中で見失ってしまっていた。

 迷宮内の最深部、その一角にオブリビオンを追い探す三人組の猟兵達がいた。
 迷宮への侵入開始時から共に攻略を進めてきた三人だ。
 その一人、楠瀬・亜夜(追憶の断片・f03907)は改めて辺りを見回しながら呟く。
「ふむふむ……ふむふむふむ、水に没した図書館だなんてなかなかに趣があるじゃないですか……」
 踊り場から下を見下ろせば、最上段のみ露出した本棚が水面の下で静かに佇んでいる。
 上を見上げれば立体交差したブラスカラーの階段、踊り場、螺旋階段が奥へ奥へと延びていた。
 階段や踊り場は何れも手摺などはない、最低限のシンプルな構造だ。
 更に其の上へと目をやると宙に吊られた本棚達が留まっているのが見て取れた。
「オブリビオンの追跡中でなければ、もっとゆっくり眺めたり、書を楽しむことも出来たのですけどね」
 彼女の前方で振り向き待つのは逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)。
 亜夜は視線を戻し、少し遅れてしまった距離を小走りで詰め、仲間達の元へ。
 歩む度に三人分の靴底が立てる金属音を聞きながら、時には登りまた時には下りながら魚型オブリビオンの捜索を進めていった。

「っと、敵襲! 迎撃します!」
 本棚の陰から水面を往く影が現れ、視認できる位置まで近付いていた。
 亜夜はナイフを取り出し念力を込める。
 タクトのようにナイフを一振り二振りすると、その軌跡に四十を超えるナイフが出現。
 更に大きく一振りすると、ナイフは彼女の周囲に拡散配置され、従者の如く整列待機する。
「水面に潜られると厄介だが、ようは地上に引き摺りだして仕留めりゃァいいンだろ? 釣りだな」
 杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)は大剣玄夜叉を大きく一度振り回すとりすると、両手で柄を握り直した。
「パーティーと俺のファッション語りの為にも早々に沈んでもらうぜ!」
 口角を上げ宣言すると同時、大剣の刃を寝かせハンギングガードの構えで最前面へと進み出る。
「素早く動き回るのはとても厄介ですね……で、あるならば」
 亜夜の傍で待機していたナイフの内の一本が飛び出し、水上で止まった。
 続いて急加速したナイフは刃の輝きをオブリビオンへと見せつけるかのように捻りや旋回を加えながら水上を舞い飛んでいく。

 魚は光るものに引き寄せられる性質がある。
 フィッシングで使われるスプーンやメタルジグといったルアーと同じ発想だ。
(恐らくですがこれである程度なら誘い出せる筈、そしてその後は……ふふ、皆さん頼りにしてますよ?)

 ナイフを操り、オブリビオンを戦闘を行うのに十分な広さがある踊り場まで誘導しようとしたが……。
 --ガキンッ--
 金属音が響き渡る。
 急加速したダンクルオルテウスが亜夜の操るナイフに追いつき噛みついたのだ。
 噛み砕かれたナイフは光の粒子を放ちながら消滅。
 ダンクルオルテウスはターンしながら更に加速し、勢いはそのままに大きく飛び跳ねる。
 更に最前面に立つクロウを飛び越え、身を捩り空中での百八十度ターン。
 振り下ろす様に迫りくる尻尾による鋭い一撃が亜夜を襲う。
「甘ェなァ!」
 これを読んでいたクロウがカバーに入った。
 ダンクルオルテウスの尻尾は玄夜叉の刃の腹で受け、流され、火花を散らしながら後方へと抜けていく。
 突進力が加えられた重量級の衝撃に吹き飛ばされそうになるが、彼はトリニティ・エンハンスによる強化も合わせ何とか耐えきってみせる。
 彼は返す刃で切りかかるも、これはダンクルオルテウスの表皮に弾かれる。
 最後方に控えていた宵はダンクルオルテウスの動きに合わせ、杖から術式を展開していた。
「ははは、実に面白そうな敵ではありませんか。これだからアルダワの世界は好きですよ」
(まさか亜夜さんのナイフに追いつき、想定外の角度から攻撃までしてくるとは……)
 敵が予想の上を行く動きを見せたことに少し嬉しさを感じてしまう。
 世界は全てが予想通り想定通りとはいかない。
 だからこそ、楽しいのだ。
「けれど今日はこのあと、カップラーメンとカレーのパーティーでクロウ君のふぁっしょん講座があるのです」
 予定していた作戦から少々道筋が変わってしまったが、やることは同じだ。
 彼の杖から放たれた魔力の渦は枝分かれしながら分裂。
 光条と共に具現化した矢は流星群の如く軌跡を描きながら次々と加速、魔力の星の奔流はダンクルオルテウスを突き刺さし、踊り場の床へと叩きつける。
 そこへ更に亜夜の操るナイフが襲い掛かり追撃をかける。
 幾つかの傷を刻んだものの、ナイフの殆どは表皮で弾かれ、金属音を響かせ地面へと落ちていった。
「どうやら私のナイフは相性が悪いようですね」
 衝撃から回復したダンクルオルテウスは身を捩り、水面へと戻るべく跳ね飛ぶ。
 これを見たクロウは踊り場の隅を目指して駆けていった。

 時は少し遡る。
 それは探索の途中。
 クロウは踊り場の隅で見つけた横二列に並ぶバルブの存在が気になっていた。
「そういやァグリモア猟兵が本棚の仕掛けが何とかいってたなァ」
 試しに、とバルブの一つを捻る。バルブから擦過音がすると共に本棚の一つが水面から迫上がってきた。
 それは踊り場の横まで上昇すると停止。
 上一列のバルブは天井から吊るされた本棚を上下動させるもので、下一列の物は
床に着けられた本棚を上昇下降させるもののようだ。
 バルブの開度は一回転で人一人分の高さの移動距離に相当するようだ。
「なるほどなァ。コレは使えるかもしれねェ」

 クロウは踊り場の隅に設置された配管とバルブに駆け寄り、その一つを全力で回した。
 水面から本棚の一つがせり上がり、跳ねるダンクルオルテウスの進行方向を塞ぐ。
 本と本棚の破片を撒き散らしながら踊り場へと再び押し戻され、落下。
 宵は床に叩きつけられたダンクルオルテウスに杖を突き付け宣言する。
「……狩らせていただきましょう、お覚悟を」
 再び流星群の矢が降り注ぎ、ダンクルオルテウスを飲み込んだ。

 光が収まると、そこには何もいなかった。
 何もなかったというべきか。
 そこには穴の開いた踊り場の床。
 ギザギザの歯形がついていた。
 二度に渡る宵の天撃アストロフィジックスを受けて損耗した踊り場の床をダンクルオルテウスが噛み破ったのだ。
「逃がしてしまいましたね」
「また追いついて、倒せばいいンだよ」
「それほど遠くへは行っていないはずです。追いかけましょう」

 ダンクルオルテウスへ更なるダメージを与えることに成功した三人。
 計り知れない耐久力を誇る骸の海のダンクルオルテウスであったが、ついにその終わりが見えてきた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リリスフィア・スターライト
他の猟兵達との連携はOKだよ。

迷宮の主があのような魚とは意表を突かれたかな。
下手に近づくには危険な相手のようだし
天体破局で一気に大ダメージを与えるようにしたいかな。
向こうの隙を伺いチャンスがきたら巨大な雷を
発生させて直撃を狙うね。
仲間が感電したり巻き込まれたりしないよう
巻き込まないタイミングを見計らってだね。

「謎解きでないなら力押しでいかせてもらうね!」
「一気に畳みかけるよ!」


パフィン・ネクロニア
さて、なんやかんやでボスフロアに来たわけじゃが。
なんか思ってたより強そうなボスじゃのぅ。
どう戦ったものか…

そういえばここの本棚は色々と仕掛けが何とかと言うておったな。
適当にボタン押してみると水が引いたりとか
楽にあいつを倒せる攻略本っぽいのが出てきたりとか
何か都合のいい事が起きそうな気がするぞい。

そんなこんなのなんやかんやで隙ができたら剣刃一閃で三枚おろしにする感じで。



 何度か交戦し、また仲間の猟兵達の戦いを見てきたパフィン・ネクロニア(ダンジョン商人・f08423)は考え込んでいた。
(さて、なんやかんやでボスフロアに来たわけじゃが。なんか思ってたより強そうなボスじゃのぅ。どう戦ったものか……)
 生半可な攻撃では強固な表皮に弾かれてしまうし、高速で泳ぎ回る相手には命中させるのも容易ではなさそうだ。
 なんやかんやで倒せる相手ではなかったのか。
 グリモア猟兵から情報を聞き、それを基に想像していたよりもずっと強そうだった。
 具体的に言うなら、1.5倍くらい。

「そういえばここの本棚は色々と仕掛けが何とかと言うておったな。適当にボタン押してみると水が引いたりとか」
 見回すと踊り場には本棚と本棚に併設された配管と径が人の頭ほどもあるバルブ、二列に並んだ小さなバルブの二種類があることに彼女は気付く。
「ふむ。ならば、ここをこうじゃ!」
 --バキッ--
 大きな方のバルブに手をかけ力で回すと、頭の部分が取れてしまった。
 長年の月日により付け根が腐食していたのだろう。
 バルブが開かれ、何かにより大きな圧が掛かるようになったようだ。
 それと同時に冷やされた蒸気が水となり、激しく滴る。
 パフィンは気付いた。蒸気から漏れた水滴が長年に渡り溜まり続け、この無人となった水没図書館を作ったのではないか、と。
「そんな一銭のメリットにもならない情報はいいんじゃ。何か役立つものはないのか」
 このダンジョンを形成する真実の一つに辿り着くも、パフィン自らにより一瞬で記憶の底へと葬られた。
 続いて小さな方のバルブを、先程よりほんの少しだけ慎重に回していく。
 すると配管から高音の擦過音が響き、本棚が激しく水飛沫を上げながら存外な速度で上昇、そして停止。
 小さな方のバルブは天井から吊るされた本棚水中の本棚を上下動させるものと結論付ける。
「ふむ、これは中々使えそうじゃな」

 リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)は姿を消したダンクルオルテウスの捜索にあたっていた。
「迷宮の主があのような魚とは意表を突かれたかな」
 そう呟き、交戦時に見た高速で動き回る魚の姿を思い浮かべる。
 苦戦しながらもダメージを蓄積させていった相手にそろそろ引導を渡さなければならない。
 本棚を飛び越え、踊り場を駆け、階段を登り、そして降る。
 そんなことを何度も繰り返しながら奥へ進んで行くと先の踊り場付近の水面が揺れていることに気付いた。
 目を凝らすと、見たことのある巨大な魚影が確認できた。
 ついに泳ぎ移動をする影を発見したのだ。
「下手に近づくには危険な相手のようだし、ここは遠距離から……」
 仲間が感電したり巻き込まれたりしないようにと危惧していたが、今はその心配も必要ない。
 射程内にまで近付いたダンクルオルテウスに天体破局を全力で放つ。
 魔力によって発生した水流に飲まれ動きを止めたところに雷光が直撃。
 攻撃に晒され、こちらに気付いたダンクルオルテウスは影化し反撃の体当たりを仕掛けてきたが、リリスフィアは飛び退き回避。
 交錯時に見えたダンクルオルテウスの姿は強固だった表皮に幾つもの穴が開き、その姿は満身創痍という体だった。
 相手の動きは依然見た物より明らかに動きにキレがなくなっている。
 うまくやればここで倒せるかもしれない。
「サポートはわしにまかせろー!」
 その時、上の踊り場から声が響いた。
 姿はよく見えないが聞き覚えのあるその声は仲間の猟兵のものだろう。
 水面を突き破り、突然上昇してきた本棚に激突し一瞬だが動きを止めたダンクルオルテウス。
「唸れ雷光!」
 雷を纏った旋風を直撃させ、感電により動けなくなったところへ更に追撃を入れる。
 ダンクルオルテウスはリリスフィアを狙い何度も攻撃を仕掛けてくるが、その度に動く本棚に行動を妨害されていた。
 仲間のサポートにより出来た隙とチャンスを見逃さず、確実に攻撃を当てていくリリスフィア。
 何度もリリスフィアの天体破局の曝されたダンクルオルテウスは急速に動きが鈍ってきていた。

 本棚を操作し、戦闘サポートしていたパフィンは気付いた。
 もう近くで無事に残っている本棚は一つしかないと。
 最後の本棚を操りダンクルオルテウスを空中に跳ね飛ばすと、そこにリリスフィアの放つ雷光が直撃した。
「……遊びはここまでじゃ」
 彼女は踊り場の角からダンクルオルテウスめがけて跳躍。
「三枚に下ろしてくれる!」
 大上段から振り下ろされた刀の刀身がダンクルオルテウスの鰓に吸い込まれるように消え、反対側へと抜けた。
 パフィンの着地と同時、ダンクルオルテウスは地面に叩きつけられる。
 着地の衝撃でダンクルオルテウスの頭部と胴体が分離し、バウンドして跳ね上がる。
 そしてパフィンの納刀、踏み込みからの銀光二閃。
 ダンクルオルテウスの胴体は三分割され着水。
 それらは再び影化することもなく、水の底へと沈んでいった。
 辺りに静けさが戻る。


 オブリビオン『骸の海のダンクルオルテウス』、討伐完了!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月21日


挿絵イラスト