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影に潜りし優しい狙撃手

#UDCアース #【Q】 #UDC-P


●魔弾は人を狙わない
 何時からだろうか、群れから孤立していると気づいたのは。何時からだろうか、異貌の身でありながらも、人の温もりがもう一度感じたいと思ったのは。
 いや、そもそもあれは人の温もりなのだろうか。微かに記憶の片隅にある程度で、思い出すのは顔がない女性。優しく諸官を抱き締めてくれていたような気がする。暖かい感じがした気もしていたのだ。
 だが、いつの間にかこの鉄の体となり、影に棲み、こうして群れと共に【狩り】を続けてきた。続けていたが、諸官はどうしても人を撃てなかった。
 何が原因だったのだろうか。こんな思いを抱くはめになったのも、群れから孤立したのも、人を撃てないのもその原因のせいなのに、原因を思い出せずにいた。
 だが、こんな悩み、今はどうでもいいのだ。今夜も【狩り】が始まる。諸官は今度こそ人を撃たなければならないのだ。撃てなければ、群れから自身が撃たれることになるのだから。

●影に潜りし優しい狙撃手
「ようお前ら、予知が出たぜ……珍しく私がな」
 集まった猟兵たちの前でそう言うのはクロウ・ファンタズマ。オブリビオンを撲滅するため研究している存在として一部の人間に知られているが、彼女もまたグリモア猟兵。しかし滅多に予知をしないことでも有名でもあった。
「もしかしたら、オブリビオンの研究関連の予知だからかもな……内容を説明するぜ」
 そうして話し出すファンタズマ。予知された世界はUDCアース。そのとある国のネオン街。綺羅びやかなネオン輝くその町を、今晩オブリビオンの軍団が襲撃するという。
 もちろん娯楽に発展したネオン街は不夜城。事件が発生する深夜帯でも人は大勢いる。このまま放置すれば明日の三面記事にデカデカと惨事の様子が乗ってしまうだろう。是非止めて欲しいと言うことであった。
 しかしこれで終わらないのが今回の依頼である。むしろここからが本題といった風に、ファンタズマが一つ咳を付いて続きを話す。
「その襲ってくるオブリビオンの中にな、UDC-Pがいることが分かってるんだ」
 UDC-P、それはオブリビオンでありながら破壊衝動と悪意に目覚めることがなかった存在。言わばオブリビオン側の異端である。
「元々人を攻撃しない様子からへんな奴として見られていたようだが、今回の襲撃で今度こそ人を襲わないと、そのUDC-Pは完全に異端とされ、他のオブリビオンどもに殺されちまうそうだ。まあ、予知では殺せないで他オブリビオンに袋叩きにされて死んじまったんだけどな」
 そう言った後、懐から取り出したペットボトルの蓋を開け、真っ赤な液体を一気飲みした後、捲し立てるように言葉を放った。
「町を守る、UDC-Pも守る、オブリビオンどもは皆殺しにする……三つともやらなくちゃならねぇのが猟兵の辛いところだな。今回はUDC-Pも他オブリビオンどもも向こうからやってくる。町を守る準備を最初は整え、戦闘開始前に逃げ出すUDC-P保護後は、他のオブリビオンを好きなように料理しな。それが終わったら、UDC-Pのマニュアル作成だ。当然全て終わる頃には太陽が顔出してるだろうし、出撃前にしっかり睡眠を取っておけよ」
 最後にファンタズマは告げる。今回のオブリビオンは影に潜航し、影から狙撃を行ってくる潜水艦型オブリビオンだということを。
 本体は影の中に潜み、潜望鏡だけが露出している。何か影から引きずり出す方法が有れば、効率的に殲滅できるだろうと話した。
「予知したことがバレて回避される可能性を考えて、開始は黄昏時。全員テレポートで現場に送ってやる。時刻になったら起こしてやるから安心して寝ておけ。以上だ、成果をしているぜ」
 そういって、ファンタズマはダンピールらしい鋭利な歯を見せながら、不適に笑った。


しじる
 初めましての方は初めまして。そうでない方はお世話になっております。しじると申すものです。
 戦争がもうじき終わりそうなので、戦争前に出す予定で結局出せなかったこのシナリオを出させてもらいました。
 集団戦時は『影に潜ったオブリビオンを引きずり出す方法』を記載してたりすると、プレイングボーナスで大成功になりやすくなります。無くても苦戦や失敗は無いので安心してください。
 また最後のマニュアル作成時は、呼ばれればファンタズマも現場に登場します。

 それでは皆様の素敵なプレイング、お待ちしております!
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第1章 冒険 『敵影/夜襲』

POW   :    堅固な防衛ラインを築く

SPD   :    斥候として敵の情報を探る

WIZ   :    警察等と協力して避難誘導を行う

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シャルロット・クリスティア
SPD

オブリビオン側の事情は知りませんが……まぁ、考えることは後でゆっくりやれます。
時間は有限です。今しかやれないことをやるとしましょう。

敵が影に潜むとなると、光源や遮蔽の位置関係が重要になってきます。
敵襲時間の前にあらかじめ現場を偵察しておきましょう。
ネオンや建物、後は人通りの比率ですかね。実際に目で見て頭に叩き込み、出現地点や移動経路……そこから射線が通る危険地帯を割り出しておきます。
避難にしろこちらから攻めるにしろ、前情報は整えるだけ整えておく方がいい。
まぁ、人通りは多そうですから、怪しまれないように自然体の散歩くらいに装ってはおきましょうか。



 オブリビオン側の事情はよく知らない。だが考えることは後でもできるし、なんならUDC-P本人にそのあたりを聞くのもいいだろう。【シャルロット・クリスティア】はそう考えながら迎撃準備を整えていた。時間は有限、無駄なく効率よく行動すべきと。
「敵が影に潜むとなると、光源や遮蔽の位置関係が重要になってくるでしょうね……」
 テレポート時から直ぐに行動を開始したクリスティアは、人々に不審に思われないように散歩を装いながら街を観察する。時間は帰宅ラッシュ丁度。大勢の人たちが行きかっている。夜の仕事をする者たちにとっては通勤ラッシュとでも言えるだろう。既にネオンも点灯が始まっており、煌びやかな装いを見せている。
 だが、明かりの下には影ができる。今回の敵はその影に潜航するのだから、影の位置はしっかりと覚えていたかった。また、時間が変われば多少は変動するだろうが、どこにどれだけの人々が行きかっているかも覚える。
「避難にしろこちらから攻めるにしろ、前情報は整えるだけ整えておく方がいいでしょう」
 いったいどこから奴らが出現するのか。移動経路はどこか。射線の通る危険地帯はどこか。避難経路はどうすればいいか。クリスティアは時間を無駄にすることなく、確実にそれらの情報を収集するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

六代目・松座衛門
「人間に危害を加えないUDC…、確実に保護しよう!」
珍しい個体に興味を持ち、参戦する。

「UDC-Pも、他の敵と同様に影に潜みながら逃走するはず。」
敵よりも早くUDC-Pを見つけるため、UC「即席人形劇」を発動。ネオン街のゴミから「ガラクタ人形」を作り出し、他の猟兵、UDC職員からの情報を基に主要な場所の監視をさせるため、放つ。

「街の監視カメラではわからない変化も、これで大丈夫だ。」
ガラクタ人形の視覚を共有することで、今回のUDC専用の監視網を構築する。必要に応じて、猟兵、UDC職員へ連絡を取り、対応してもらおう。

アドリブ・連携歓迎



 UDCの中でもかなり珍しいと言っても過言ではないUDC-Pという存在。それに興味を持つものは多い。【六代目・松座衛門】もまたそういう類いであった。
「人間に危害を加えないUDC…、確実に保護しよう!」
 そう言い出すと六代目は辺りを見渡し、路地裏にあったゴミ箱を見つける。それを確認すると同時に、ユーベルコード【鬼猟流 裏芸「即席人形劇」(キリョウリュウ・ウラゲイ・ソクセキニンギョウゲキ)】を発動させた。
「人形操術を応用すれば、こんなことだって!」
 ゴミから次々と即席ガラクタ人形が生み出されていく。それらは極めて発見され難く、六代目と五感を共有している。つまりこいつらをあたりに配置すれば、情報は六代目に直通する。
「UDC-Pも、他の敵と同様に影に潜みながら逃走するはず。だが街の監視カメラではわからない変化も、これで大丈夫だ」
 あらかじめUDC職員との連絡も取りあっている。この街の構造は全て頭の中に納まっていた。故にどこに影が生まれやすいかも知っている。そこから街や人を襲うのに向いている場所は一握りであった。
「さて、あとは避難誘導組だな」
 そういって街の中央へと視線を向けた。少々賑やかになっている。その原因を知っている六代目は、始まったことを知り安堵した。願わくば、この騒ぎがさらなる騒ぎにならないことを祈るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

緑川・小夜
[WIZ]

オブリビオン側のはぐれ者か…そうよね、向こうも集団なのだから、そういう存在が出てくるのかもしれないわね。

わたくしは避難誘導のお手伝いをしましょう。こういう避難誘導のときは、必ず焦って興奮する方が出てくるので、鈴を鳴らして【催眠術】を皆様にかける。ただし、意識を奪う程強くかけるのではなく、興奮を静めて冷静にさせるのと、わたくしみたいな子供が避難誘導をしていることを不自然に思わなくなる。この二つを意識に埋め込むわ

「皆様、落ち着いて行動ください!焦って行動すれば大変なことになりますわ!」

呼び掛けはこんな感じでいいかしら?とにかくきちんと誘導しないと【コミュ力】

[アドリブ連携歓迎です]


徳川・家光
繁華街の眩い光は、ひとつひとつが人の営み。UDC-Pの保護は大切ですが、まずは人命優先です。
なので僕は、この街からなるべく人を減らすように動きます。

大変恐縮ですが、警察の皆様と連動して、繁華街の中央に位置するビルに「爆弾物騒ぎ」を捏造していただきます。それにより、酔客だけでなく周辺の店舗にも避難を促せますし、「爆弾」という言葉はインパクトがあるので、SNSにもすぐ広まり、新しく来る人も減るでしょう。明日の三面記事を賑わせるのは、こちらの記事だけであって欲しいものです。

なお、それでも居座る人々は「胡蝶酔月」で眠らせ連れ出します。盛り場に眠る酔いどれはつきもの、比較的自然に演出できる筈です。



「オブリビオン側のはぐれ者か…そうよね、向こうも集団なのだから、そういう存在が出てくるのかもしれないわね」
 そう呟くのは【緑川・小夜】。そう、オブリビオンもまた集団であり種。人間一人一人の考えが違うように、オブリビオンもきっとそうであるはずなのだ。
「繁華街の眩い光は、ひとつひとつが人の営み。UDC-Pの保護は大切ですが、まずは人命優先です」
 そういって、UDCアースの警察から借りた無線機片手に緑川に声をかけるのは【徳川・家光】だ。確かに保護も大切だが、それで繁華街の人たちが傷つくのはいけないこと。だからこそ二人は避難活動に専念するのである。
「よし、それじゃあ始めてください」
 無線を起動して、徳川が向こう側にいる人物に伝える。それはこの世界の警察とUDC職員だ。それを聞いた彼らは繁華街中央にある最も大きなビルの根元で、一斉にフラッシュバンを爆発させた。閃光と爆音が繁華街に響き、人々がなんだとざわめきだす。
「皆さん、たった今あのビルに爆弾が仕掛けられ、それが次々と爆発しています!僕たちと警察の皆さんの指示を聞いて、落ち着いて避難してください!」
 声を上げる徳川。それに合わせて彼の背後から出てくる警察の爆弾処理班。爆弾物騒ぎ、これは徳川提案のUDC職員&警察隊協力の下生み出されたデマである。先ほどのフラッシュバンではビルにかすり傷一つ付けられないため、ビル倒壊の危険性もない。
 このようなデマを作って、下手すればパニックになりかねないようにする理由は単純。街のこのエリアから人を追い出すため。ここが危険エリアと認識させるためだ。
 実際に爆弾(正確には派手に音と閃光をまき散らすだけのもの)が爆発して、警察の爆弾処理班まで出動しているのであれば、このデマは真相を知らぬ人間には真実に聞こえる。
 しかしいくら警察が避難誘導してくれるとはいえ爆弾という言葉のインパクトは強い。しかも今も爆発しているとなるとSNS上にも拡散して、パニックにいつなってもおかしくなかった……が、そこは緑川の出番である。
 彼女は催眠術を得意としていた。オブリビオンにはそこまで効かないものではあったが、普通の人間相手なら絶大な効果を与えた。
 鈴がリンと厳かに鳴れば、慌ただしかった人々が落ち着いていく。興奮を静めて冷静にさせる効果、自分のような子供と警察でもない若い男が避難誘導をしていることを不自然に思わなくなる効果。二つをかけられた一般人は、落ち着きつつも二人に疑問を持つことなく、警察と二人の避難誘導に従って避難しだす。
「皆様、落ち着いて行動ください!焦って行動すれば大変なことになりますわ!」
 彼女の言葉に従って、多くの人々が避難していく。だが酒が回って催眠があまりかからず、それどころか意地になって避難しない人間もいた。困ったと緑川が考えていると、徳川がユーベルコード【胡蝶酔月(バタフライエフェクト)】を発動させた。
 微かな刃鳴りが響き、泥酔していた者たちが安らかに眠り始めた。寝てる間にアルコールが抜けるおまけ付きだ。眠った者たちは警察と一緒に運搬し、今度こそこのエリアからは人がいなくなるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉
影に潜る潜水艦とは…ロマンがありますね!
さてと…避難誘導に偵察、監視は終わってるのか。……んじゃ簡単に罠でも作っときますか。逃げられないようにね。
影を泳ぐってのは逆にいえば影がないと泳げないってことですから…作戦エリアの外にから中に向けてライトでも光源でも置いておけばなんかいい感じになるでしょう。多分。流石にまあ、全体にってなると時間が足りなさそうですけどそこからは逃げれないとか袋小路化出来りゃ後が楽になりますし。
遠隔操作で光るのものにしとけば予知と違うってのこともないでしょう。地形の利用をしつつ第六感で置いて周りましょう。…UDC組織に領収書持ってたら落ちねぇかなこれ。
(アドリブ絡み歓迎)



 影に潜る潜水艦とは、実にロマンがあると考えているのは【波狼・拓哉】だ。周囲をじっくりと観察し、状況をUDC職員らに聞いた波狼は、既に偵察と監視それと避難誘導が終わっていることを知った。
「……んじゃ簡単に罠でも作っときますか。逃げられないようにね」
 例えUDC-Pを保護し、街を守り抜いたとしても、元凶のUDCに逃げられては意味がない。逃げたUDCはまた別の街を襲撃するだろう。それを防ぐためにもここで殲滅すべきだ。判断を下した波狼は早速UDC職員と行動を開始する。
 敵は影を潜航し、影を泳ぐ。ならば影を消せばそれを防げるのではないか。流石に街全体となると時間も足りない上、予知と状況が変わってしまう危険性があるためやれない。しかしそれでも作戦エリアに脱出不可能の袋小路を幾つか作られるのは強みである。
 そこで用意するのは業務用大型スポットライト。作戦エリア外からも十分光が届き、影を消すには光量も十分。点灯もUDC職員に合図を送れば即座に可能。
「…UDC組織に領収書持ってたら落ちねぇかなこれ」
 なお、大型故値段もそれ相応。幸い波狼の心配は杞憂に終わり、領収書があるなら組織が負担するようであった。
 準備はそれぞれ整った。後は深夜になるのを待つだけである。影が街を完全に包むその時を。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『群狼型潜影艦』

POW   :    イェーガーウォッチング
予め【影の中から潜望鏡を上げて索敵行動を行う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    シャドウ・ゼーフント
【影の中を移動・潜航しつつ、同様の機能を持】【つ、小型潜影艇をレベル×5体を放出する。】【小型潜影艇はホーミング魚雷(小型)】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    影面下に潜む恐怖の魚影
【影の中を移動・潜航しつつ、艦首】を向けた対象に、【発射した、高威力高命中のホーミング魚雷】でダメージを与える。命中率が高い。
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 日が完全に沈み、ほとんどの人間が寝静まる深夜。それでもネオン街は賑やかだ。避難活動の際に作った爆弾デマに誘われた野次馬も少々おり、完全に静かではない。故にUDCたちは何の疑問も持たずに街へと侵入する。
(……妙だ、この時間帯ならもっと人間が騒めいているはず)
 しかしUDC-P、彼は賢かった。聞いていた話よりも少し静かな街に違和感を覚える。だが自分の意見など、他のUDCが聞いてはくれないことは理解していた。自分はただ従えばいい。ただでさえ人を撃てない異端なのだから、妙なことはこれ以上する必要はない。
 そんな時、彼の目に映るもの。それは一人の若い女性だった。残業帰りなのだろうか、疲れ果てた様子でネオン街から離れていく。その女性の顔が、どこか懐かしく感じた。
 あれはそう、戦場へ逝く前のこと。自分を優しく抱きしめてくれた女性が、あんな顔だったような。自分の名前を涙ながらに呼んで、元気でいろと言葉にしてくれたような。
 その女性へと、UDCが艦首を向けた。それが何を意味するのか、十分にUDC-Pは知っていた。そこからは無意識だった。そのUDCへと体当たりを繰り出し、強引に射線を捻じ曲げ魚雷を外させる。
 外れた魚雷はあらぬ方向へ飛んでいき、ついにはネオン看板を打ち抜いた。爆発と閃光により、自分たちの位置が割れる。人間たちが一斉に逃げ出す。それはこの作戦の継続困難を示した。
「諸官には撃てません! 撃ちたくありません!! どうして……敵でもない民間人を撃たねばならぬのでしょうか!」
 他のUDCから敵意の視線が突き刺さる。それでもと彼は叫んだ。向こうが間違えている、昔から思っていながらも言葉にできなかった思いをぶちまけた。それへの返答は、艦首を向けられることだった。
 無数の魚雷が飛んでくる。それを必死で躱して逃げ出す。あるはずもない記憶が敵前逃亡は銃殺刑と叫んでいる。だがもう逃げるしかない。戦いに関しては向こうのほうが自身より遥かに上なのだから。
 それに自分が逃げれば街の人はターゲットから外れるはず。少しの時間稼ぎでしかないだろうが、やらないよりましなはずだ。そう考えた彼は、ひたすら逃げるのであった。
 幸か不幸か、その逃げる先に猟兵たちがいることを、彼はまだ知らない。
六代目・松座衛門
事前にUC「即席人形劇」で構築した監視網からUCD-Pの場所、移動経路を予想し、両手に大型銃「玲瓏」と連弩「狂惑」を持った人形「暁闇」と共にUC「黒雨」を使って現場へ急行する!
兎に角、敵の意識を自分に向けさせることで、UDC-Pを【かばう】。

戦闘中、常に影からの攻撃を意識し、建物や地面から距離を置き、縦横無尽に移動することで、狙いを付けさせない!
放たれたホーミング魚雷に対しては、【フェイント】を駆使して誘導を振り切るか、戦輪「断裁輪」を放ち、【武器受け】する!

反撃として、人形の両手に持ち、UCで強化された射撃武器の弾幕を影に向けて放つ!

アドリブ、連携歓迎



 UDC-Pが群れから逃げ出すことは予知で既に分かっていたこと。【六代目・松座衛門】は、起動していたユーベルコード【鬼猟流 裏芸「即席人形劇」(キリョウリュウ・ウラゲイ・ソクセキニンギョウゲキ)】が感知した場所へと急行する。
 ユーベルコード【鬼猟流 演目其ノ二「黒雨」(キリョウリュウ・エンモクノソイニ・コクウ)】を発動させ、ビルやネオン飾る店を飛び越え向かう。時速290キロ、スポーツカー並みの速度である。現地へ一直線にその速度で向かえば、当然逃げながら攻撃しながらのUDCとUDC-Pには追いつける。
「こっちだ、こっちに逃げこめUDC-P!」
 彼らを先回りし、猟兵の多い方へとUDC-Pを誘導する。なぜ自分を猟兵が助けるのか訳の分からないUDC-Pであったが、ともかくUDC-Pというのが自分のことだということと、ここは猟兵に従うべきだということは、言葉ではなく心で理解できた。オブリビオンには本来ない心で、嘘偽りない六代目の心を感じることで。
「感謝する!」
 一言告げて、指定された道へと飛び込むUDC-P。残るはUDCのみ。強襲形態と変化した鬼猟流・戦闘用人形【暁闇】が、その手に持った大型銃【玲瓏】と連弩【狂惑】を構える。
 対するUDCは艦首を向け魚雷を一斉射する。本来なら向けられる前にどうにかしたかったが、UDC-Pを逃がすために体を晒した時間が少々長かった。だがこの程度、捌けないことはない。
 フェイントをかけて着弾をずらしたり、随伴型戦輪【断裁輪】を投擲して防ぐ。魚雷は一発も六代目に当たることはなく、そして次弾も撃てない。撃とうと艦首を向けようにも建物や地面から距離を置き、縦横無尽に移動されているので、狙いが正確に定められない。
「魚雷のお返しだ!」
 反撃、六代目の強化された暁闇が銃と弩を構え、影に向かって乱れ撃った。影に潜航することが出来るこのUDCだが、弱点が明確にある。それは、同じ影に相手が入っているなら潜航したまま撃てるが、影の外なら身を乗り出さねば当てられないということだ。
 影の中は自在に動けても、影の外はただの地中。陸上の兵器や基地を魚雷で攻撃できないように、影から出た瞬間、土に激突し魚雷が爆散してしまう。故に領域外の獲物は、身を乗り出さないといけない。それは自身の身を危険に曝すのと同じ。急速潜航にも数十秒の時間がいる。反撃は、避けられない。
 金属が擦れ合うような甲高い悲鳴に似た音と共に、いくつかのUDCが大破炎上した。正面切っての戦いは苦手、それはUDCも理解している。だからこそこれに反撃せず、追撃を受ける前に影へと潜航して逃走した。
 だが裏切り者の異端、あれだけは絶対に破壊すると決意していたUDCは、戦闘から逃げはするが戦場からは逃げなかった。確実にUDC-Pを破壊するため、数を減らされながらも影から影へと移動しつつ、猟兵のいる方向へ逃げたUDC-Pを追うのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

波狼・拓哉
飛んで火にいる夏の虫…いや虫では無いですか。
じゃ、仕掛けた罠使いますか!仕掛けて使わないと勿体無いですし。

一般人を装って変装&演技。見てはいけないもの見て取り乱した感じで袋小路化するポイントまで逃げ足発揮して誘導しましょう。
追い詰められたら演技、変装を解いて本性を。まあ、あんまり変わらんのですが一時の恐怖を与え隙を作れるでしょう。そのタイミングでUDC職員に合図、ついでに唯一の出口となる場所にミミックを投げ込む。…さあ、蹂躙の時を始めましょう。化け狂いなミミック。
自分は端で目立たないように攻撃避けときましょう。UDC-Pがいるなら一緒にね。…いやあれ動くモノ無差別だから…
(アドリブ絡み歓迎)



 UDC-Pの逃げた先、そこは【波狼・拓哉】が事前に罠を仕掛けていた場所であった。勿論彼を追って、例のUDCも猛スピードでやってくる。それを見た波狼はほくそ笑む。
「飛んで火にいる夏の虫…いや虫では無いですか。じゃ、仕掛けた罠使いますか!」
 使わないとせっかく仕掛けたのにもったいないしと、心の中で思いつつ現場に向かう。そうしてたどり着いたのなら早速UDC-Pに合流。しかし猟兵としてでなく、一般人としてだ。
「うひぃ! ば、化け物!!」
 彼の変装と演技は見事であった。波狼と知っている者以外では、彼が猟兵だと気づくことはできないほど精巧だった。これはいけない、一般人だとUDC-Pが巻き込まないように移動する。しかし今回のUDCの襲撃目的が一般人への殺戮なので、UDC-Pは後でも始末できると考えたのか、波狼へと向かっていく。
「不味い! 逃げろ!」
 UDC-Pの言葉に反応して、波狼が情けない姿で逃亡する演技をする。釣られたUDCが一斉に向かう。その先に罠が待ち受けていると知らず。
 ついに路地裏の袋小路に追い詰められる波狼。絶体絶命、もう助からない。UDCが船首を一斉に向ける。間もなく魚雷が発射されるだろう。UDCが嘲笑った気がした。
「はい、きれいに引っかかってくれましたね」
 その瞬間、今までの怯えようは何だったのか。ケロッとした様子になる波狼。その異様な光景に、UDCはまさかと最悪なパターンを想定した。それは見事に当たっていて、逃げ出すUDCより早く波狼の指が鳴らされた。
 瞬間路地裏を眩く照らす無数の光。UDC職員たちが一斉にライトを点灯したからだ。かろうじて何体かはライトより早く脱出できたが、それ以外は残されてしまった。
「さあ、化け狂いなミミック…! 笑い話だ。狂気ルールなんてねぇよ!」
 即座にユーベルコード【偽正・命無月光(ゲシュペンテスト・ビースト)】が発動する。ミミックが顔の無い二足歩行の獣に変身し、動くものを無差別に攻撃し始める。
 影に潜って逃げようにもUDC職員がライトで照らして影を消すので、無理やり地上に引き出され無防備にされる。そうなった奴らができることなどなかった。ただただ蹂躙されて、その亡骸ひとかけらも残さず消滅するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラティナ・ドラッケンリット(サポート)
先祖代々ビキニアーマー姿で相手より速く長柄武器を叩き込めば勝てるを信条にしてきた冒険者一族の末裔
鎧で動きを鈍らせてまで身を守るより熟練の戦士が攻撃に専念した方が合理的だと信じてやまない
猟兵として覚醒したことでその身体能力は銃火器や魔法等の遠距離攻撃にすら反応することができる
得意技は愛用のバトルアックスから繰り出されるグラウンドクラッシャー
相手を倒せれば使う武器にこだわらないのでレンジによって装備したドラゴンランス、鉄塊剣、シールドオブガーディアン、魔法の豆の木を状況に応じて使い分ける
グラウンドクラッシャーの発動もバトルアックスにこだわらない
依頼を達成し人々を助けることを第一に考える



 UDC-Pを追って、UDCが数を減らしながらでも苛烈に追う。猟犬のごとく鋭く執拗に。だがそれをさせないのが今回の猟兵の仕事。当然待ったをかけるため、新たな猟兵が姿を現す。
「やってきたな」
 呟くのは【ラティナ・ドラッケンリット】。少し遅れて現場にたどり着いたが、状況は既にグリモア猟兵に説明されている。ならば己がどのように行動すればいいかも把握済みである。
 早速U猟兵として覚醒した身体能力が、ネオン街のビル群を飛び越えさせてUDC-Pの場所へ向かい、UDC-PとUDCの間に割るように飛び込む。着地に合わせてユーベルコード【グラウンドクラッシャー】が放たれ、戦斧しゅとれんが地形をUDCが住まう影ごと破壊する。しかしUDCは別の影に逃れ直撃を避ける。
「今のうちのに距離を取るんだ!」
 ドラッケンリットの叫び、それを聞いてUDC-Pはすまないと一言残し、すぐにその場から逃げ出す。追撃がしたいUDCたちは、ドラッケンリットを無視してUDC-Pを追おうとした。物理的な攻撃は影に潜っている間は通用しない。だからこそ、武器による攻撃をしてきた彼女は脅威でないと判断した。それは間違いだったのだが。
「影の中なら無敵かもしれないが、引きずり出してしまえば無力だ。浜辺に打ち上げられた魚みたいに動くことはできなくなる。なら!」
 即座にドラッケンリットは再度、グラウンドクラッシャーを放つ。しかしそれはUDCにではなく隣の建物。何を考えているのだ、理解できなかったUDCは、そのままドラッケンリットを追い抜こうとした瞬間だった。
 影か急に消えたのだ。水が蒸発して跡形もなくなるように、影が消えたのだ。勿論UDCたちは地上に引きずり出され実体化する。ここでUDCたちは気づく。影が消えたのは、影を作っていた建物が倒れたから。ドラッケンリットによって倒壊させられたから。そう、ドラッケンリットは影を消すため、隣の建物を攻撃したのだ。
「これで、もう影には潜れないだろう!」
 もう外さない、三発目のグラウンドクラッシャーは、たしかにUDCたちを粉砕した。これにより、多くのUDCたちが倒された。残りは少しだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

星群・ヒカル(サポート)
おれは星群ヒカル!
弱きを助け、悪はシメる。それが宇宙を超える番長、即ち超宇宙番長である、このおれの使命だ。
仲間を大切にするのは勿論だが、依頼の中で関わった一般市民(NPC)もおれにとっては舎弟みたいなもんだな。

どんな敵にも勇んで啖呵を切り、番長らしく存在感をもって堂々と振る舞うぞ。
宇宙バイク『銀翼号』に乗ってのスピード勝負は勿論のこと、超宇宙牽引ワイヤーでの近接戦闘や、超宇宙望遠鏡『ガントバス』の力で手に入れた魔眼『星の目』の能力を生かしたUCを使って臨機応変に戦うぜ。

また、その『星の目』は探索にももってこいだ。
研ぎ澄ました視力と第六感で、敵のシケた企みを暴くのはおれの十八番だッ!



 UDCも大分数を減らしてきた。いつ全滅してもおかしくない。だがそれでもUDC-Pを追うことを止めない。裏切り者は消して許さないとでもいうような、猛烈な執念。
「その執念は認めるが、悪事は許しはしないぜ!」
 そういってUDC-PとUDCの間に、宇宙バイク【銀翼号】で割って入るのは【星群・ヒカル】。弱きを助け、悪はシメる。それが宇宙を超える番長、即ち超宇宙番長である自身の使命だと信じ、UDC-Pを救うためやってきたのだ。
「ここは超宇宙番長であるおれに任せて逃げな!」
 その言葉に、強い意志を感じ取ることが出来たUDC-Pは、すまないと一言残して去っていく。追うため、妨害する星群へと攻撃をしようとするUDC。影の中へ小型潜水艇を出すため、さらに深く潜ろうとした時だった。
「望遠鏡でもよお、レンズの反射【光】は起こせるんだぜ!」
 星群の合図に合わせて、UDC職員らがスポットライトをUDCの退路と超宇宙望遠鏡【ガントバス】に照射した。ガントバスのレンズに当たった光は、小さくも影にはっきりとした光を当てる。そうすれば潜伏しているUDCの一部だけ引きずり出される。攻撃したとしても有効打にならないほど少しの部位だが、それで構わない。
「おれにはこれがあるからなぁ!」
 超宇宙牽引ワイヤー。フックの付いたこれを投擲し、その一部へ突き刺す。魚がたまに、釣り針がヒレや体に引っかかった状態で釣れる時があるだろう。あれの要領でUDCを豪快に吊り上げるのだ。気合を入れて、一気に引き上げる。
「おれは超宇宙番長、これぐらい……釣り上げられるぜぇ!!」
 一体づつ確実に、釣り上げ即座にユーベルコード【超宇宙・真正面墜星拳(チョウウチュウ・タイマンメテオラッシュ)】をぶち込んでいく。宙へと釣り上げられたUDCは回避方法を持たない。銀翼号が左右に分割され、ブースターのついた巨大な2つの鋼鉄の籠手となったため、その速度と重さ威力共に凄まじい。
「銀翼号、喧嘩形態起動!この超宇宙番長の拳、骨の髄まで食らいやがれッ!」
 詠唱と宣言、数の減ったUDCへと追い打ちの猛攻を繰り出すのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

虚偽・うつろぎ
アドリブ連携等ご自由にどぞー

影潜りとかカッコイーね
潜航して発射とか浪漫じゃないか
なら僕も対抗して見えないとこからいきなり自爆しちゃえ
これこそ見えない攻撃さ

相変わらず登場即自爆
速攻で自爆
自爆しかしない自爆生物
台詞は自爆
行動は自爆
作戦は自爆
全ては自爆
自爆することだけに全力を注ぐ

影ごと吹き飛ばせば良いんじゃね?っていう自爆脳
どうやって引きずり出すか?
自爆すればどうにかなるさ、自爆万能説

技能:捨て身の一撃を用いてのオウサツモードによる広範囲自爆
対象は範囲内の敵全て
強化は攻撃力重視

射程範囲内に敵が1体でも入っていれば
その時点で速攻で自爆するよ

捨て身の一撃なので自爆は1回のみ
自爆後は消し炭になって退場かな



 広めた爆弾テロデマ。これにより存分に力を発揮できる猟兵がいた。【虚偽・うつろぎ】である。彼は自爆による強力な攻撃を行うのだが、如何せん生み出される爆音はどうにもならない。敵にのみに当たる不思議な爆発であるが、それを知らない存在からすれば危険極まりない攻撃に見える。さらに爆発音はネオン街ではマズイ。大パニックを引き起こす可能性があったからだ。
 だがその心配は不要となった。爆弾テロデマによって住民は大半避難済みかつ、爆弾テロが起こっているなら爆発音の一つ二つはあってもおかしくない。建物の倒壊やその音もだ。ゆえに、何一つ考慮する必要などないのだ。
 だからこそ虚偽は、高硬度からテレポートするようにグリモア猟兵に頼んだ。落下速度によって、自爆の威力を増やすため。なおかつUDCの死角から攻撃するため。
「鏖殺領域展開  一爆鏖殺執行」
 ユーベルコード【ウツロギ(オウサツモード)】攻撃力重視強化モード。高速で落下しつつ、UDCを目撃したのなら軌道を変える。射程に入ったならそのまま有無も言わさず自爆する。
 カッと辺りが光に満たされ、UDCが強引に影から引きずり出された次の刹那、耳を劈く大爆音と共に世界がホワイトアウト。残っていたUDCは何にやられたのかすら分からず全滅した。
「い、今の光は……」
 そしてUDC-Pも、何に助けられたのか分からなかった。
 それもそうだ、自爆したのだから跡形もない。しかし彼は猟兵。原理はわからないがあれでも生きている。それは確かなのだ。文字通り灰の一かけらも残さず、虚偽はクールにその場を去るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『UDC-P対処マニュアル』

POW   :    UDC-Pの危険な難点に体力や気合、ユーベルコードで耐えながら対処法のヒントを探す

SPD   :    超高速演算や鋭い観察眼によって、UDC-Pへの特性を導き出す

WIZ   :    UDC-Pと出来得る限りのコミュニケーションを図り、情報を集積する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

 UDCが殲滅され、UDC-Pが回収された。時刻は既に深夜二時、眠くなってくる猟兵もいるだろう。しかしここからがある意味本番なのだ。
「諸官を助けていただき、誠に感謝する。諸官は【鳳凰院・将宗(ほうおういん・まさむね)】。して、諸官はこれからどうなるのでありますか?」
 UDC-Pこと、鳳凰院のマニュアル作成が始まる。

 鳳凰院は比較的協力的だ。無茶なこと以外は基本するようだが、それでもオブリビオンであることに変わりはない。何をすると危険なのか、またどういう環境にしてあげるのが一番彼にいいのか、UDC職員の証言や鳳凰院との接触を元にマニュアルを作成しよう。

※UDC職員から出た証言。
・女性と男性で応対の反応が違う気がする。
・真っ暗にすると潜航できなかった。
・許可なく背後を絶対に取らせようとしない。
波狼・拓哉
…軍人さん?あ、さっきは騙してごめんね?なんつーか…UDCとは思えないくらい真っ当ですね。
ふむ…人格的能力的に問題になるとこはあんまりないのかな。それじゃ、おにーさんのコミュ力発揮してお話といきましょうか。
潜航してるのがいいのか別にしなくともいいのか…その点がちょっと気になるかな。ああ、個人的な好みで大丈夫ですよ。潜航してるほうがいいなら明暗発揮した環境にするってだけですし。
後はー…まあ、正直に聞きますけどやられたらいやな事、やりたくない事とかあります?明言化しといて貰えると色々行き違いも無くなるんで。…知られたくないことあれば上手く誤魔化しますよ?そういうの得意なんで。
(アドリブ絡み歓迎)



 最初に部屋に入った猟兵は【波狼・拓哉】であった。気さくな雰囲気を持ち、鳳凰院を警戒させることなく声をかける。
「…軍人さん? あ、さっきは騙してごめんね?」
「諸官が過去の存在が物質化した存在という話は聞いた。軍人だったかはわからないが……ああ、先ほどのことは気にしていない。おかげで命を拾えた、むしろ感謝している。ありがとう」
 なんつーか…UDCとは思えないくらい真っ当ですね。それが波狼の抱いた印象だった。狂気をもとに生まれることが多いUDC型オブリビオン。その点を考慮に入れるほど、鳳凰院が他のUDCとは明確に違うといえるだろう。だからこそ、調べる必要があるのだ。
 卓越した話術と優し気な雰囲気。それは話しやすい空間を生み出し、UDC職員たちには話さなかったことも、鳳凰院はすらすらと話してくれた。
 先ず、自身は潜航するしない関わらず、影がなければ動くことが出来ず攻撃も不可になること。あくまで闇ではなく影である必要があるため、暗闇でも動けないこと。その為できれば部屋は影ができる物体を置いた状態で、24時間明かりを点けていてくれると助かるそうである。
「後はー…まあ、正直に聞きますけどやられたらいやな事、やりたくない事とかあります? 明言化しといて貰えると色々行き違いも無くなるんで」 
「背後に立たれるのは嫌であります。信頼できると分かっていても、もしかしたら撃たれるんじゃないかと思えてしまって……とても不快になる。あと、非武装の民間人は死んでも撃ちたくないであります。正当な理由があっても嫌であります」
 2つの事実と確たる意思を言う鳳凰院。しかし次に波狼の言葉に固まる。
「…知られたくないことあれば上手く誤魔化しますよ?」
 沈黙、しかししばらくして小声で告げた。
「男女差別のようで自分に腹が立つのだが……女性のほうが落ち着く。何故かはわからない……ただ、頭を何かがよぎって……女性のほうが、安心できる」
 できればこれは黙っていてほしいという鳳凰院。それに波狼はもちろんと頷いた。
「約束はしっかり守りますよ。それに、そういうの得意なんで」
 そういう彼の言葉を信じて、鳳凰院は影へと一旦潜航するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

松苗・知子(サポート)
『メリハリつけていかないとね!』
妖狐の陰陽師 × スターライダー
年齢 20歳 女
外見 153.8cm 灰色の瞳 黒髪 色黒の肌
特徴 ポニーテール お調子者 アクティブ カフェ好き 実はロマン主義者
口調 はすっぱ(あたし、あなた、呼び捨て、なの、よ、なのね、なのよね?)
死を覚悟した時は 無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)

口も足癖も悪いが義理人情には弱い。伸縮自在の特殊警棒と宇宙ビックスクーターで暴れまわり、時々クレバーに妖術も使ってみるスペースヤンキーもとい陰陽師
実は常識的
※セリフイメージ

「けったくそわるいわね」
「ぶちのめすわよ!」
「あ、あたしよりよほどやばい奴なのよ……」



 続いて入ってきたのは【松苗・知子】。口は悪くともその心は義理人情に厚い。UDC職員らを手助けるため、遅ればせながら手伝いに来たのだ。
「さて、それじゃあいろいろ話を聞かせてもらうわよ!」
「ああ、よろしく頼む」
 早速松苗は、UDC職員らの言っていた、女性と男性でなぜ反応が違うのかを聞くことにした。
「で、どうしてなのよ?」
 彼女の質問に、鳳凰院は歯切れ悪く、自分でも分からないと告げる。しかしわからないことを知るためのこの問診である。
「じゃあ、こうすれば何かわかる?」
「なっ、何を!?」
 すっと近づき、異形である彼の頭を撫で始める。そもそも彼とUDCが決定的に決裂した理由は、一般人女性を撃とうとしたのを止めたからだ。それを聞いていた松苗は、鳳凰院は女性に関して何か思い出のようなものがあるのではないかと睨んだのだ。
 その直感は当たっていた。最初は拒絶の素振りを見せた鳳凰院は、次第に落ち着いていき、やがて安らぎを得ていた。そして、この温かさを知っている気がしていた。そう、戦地に行く前に、あの人がそうしてくれたような気が……。
「……母上?」
「はい?」
「い、いや失敬……なぜか、そう思ったのだ。そう思えたのだ」
 自分でも不意を突いて出た母上という言葉に鳳凰院は困惑する。しかし、それでも恥ずかしながらと、あることを彼は頼むのであった。
「また、こうして撫でてもらえないだろうか……とても、落ち着く」

 こうして、UDC-Pの鳳凰院将宗のマニュアルは完成した。【影を24時間作ること】【背後はいかなる理由があっても取らないこと】【民間人を襲わせるようなことを強要しないこと】【女性職員限定で、面会することがあれば撫でてあげること】。
 計四点をまとめたマニュアルは、数時間もすれば全職員に配布されるだろう。これで今度こそこの依頼は完了である。時刻は既に朝の4時。眠気が襲ってきているものもいるだろう。
 猟兵たちはマニュアルが出来たことが確認でき次第、すぐに現場を離れ、各々の就寝地点へと赴くのであった。
 皆様、夜勤お疲れ様でした。UDC職員らのそんな言葉が聞こえた気がした。
【END】

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年01月29日


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

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 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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挿絵イラスト