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嘆き満ちる嗜虐姫の館

#ダークセイヴァー #シリアス #歌や演奏

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#ダークセイヴァー
#シリアス
#歌や演奏


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●希望の生まれぬ地で
 暗い暗い空の下、ときおり姿を見せるうっすらとした光に感謝しながら、わたし達は何とか生きている。
 一番上のお兄ちゃんは、レジスタンスに参加するといって出ていった。もうずぅっと前のことだから、小さかったわたしには意味がわからなかったけれど、お父さんとお母さんが必死で止めていたのは覚えている。
 しばらくして、村の人達はわたしたち家族をいじめるようになった。
『お前のところのバカ息子が領主様に逆らおうとするから、村にもとばっちりが――』
 そんなことを言われた気がする。
 次は、二番目のお兄ちゃんが領主様の館に行った。帰ってこなかった。
 一番上のお姉ちゃんも領主様の館に行った。帰ってこなかった。
 向かいの家のお兄ちゃんも領主様の館に行った。帰ってこなかった。
 ニ番目のお姉ちゃんも領主様の館に行った。帰ってこなかった。
 幼馴染のルッツも領主様の館に行った。帰ってこなかった。
 帰ってこなかった。帰ってこなかった。帰ってこなかった。帰ってこなかった。帰ってこなかった……。

 領主様の館に行ったが最後、誰も帰ってこないってわかってる。でも、領主様からお召しがあれば逆らえない。
 逆らおうなんて誰も、考えなかったって大人たちはいってた。
 私達きょうだいも、子どもの頃から言い聞かされてきた。
 でも、ずっと前に、一番上のお兄ちゃんのせいで、村は制裁を受けたから、その後はもう誰も、決して逆らおうなんてしない。
 お召しに従い、若者たちを、きちんと差し出してきた。
 次、お召しがあった時、それは、わたしの番――。

●嗜虐の姫の館へ
 グリモアベースに立つ彼女の背後に揺らぐのは、ダークセイヴァーの風景か。
「……あの……」
 茶色い髪の彼女の背には白い翼。髪に咲く赤い蔦薔薇を見れば、オラトリオだと知れた。
「……あの」
 集まった猟兵達に懸命に話しかけている彼女。だがいかんせん、声が小さい。猟兵達の話し声に紛れてしまっている。
 グリモア猟兵だろう彼女に気がついている者もいるようだが……泣き出してしまうのでは――彼らがそんな心配を始めた時。
「聞いてっ……ダークセイヴァーの事件を、予知、したのっ……!」
 彼女にとっての『精一杯振り絞った大声』なのだろうか。それを聞き取った近くの猟兵が別の猟兵に示し、程なく注目が集まったことで、彼女はほっと息をついた。
「ダークセイヴァーの、とある吸血鬼の館が、手薄になるのが見えたの。多数の配下が、出払う珍しい時間。だから、この機にヴァンパイア――オブリビオンの館を強襲してほしいの」
 10代半ばの少女に見える彼女は、コルネリア・メーヴィス(闇に咲いた光・f08982)と名乗って続ける。
「あなたたちも知っている通り、ダークセイヴァーに住む人々は、オブリビオンに支配されて暮らしているよ。今回わたしが予知した領主も、いくつかの村を領地としているオブリビオンなの」
 コルネリアによれば、多数の配下が出払っているとはいえ、警備が全くいなくなっているというわけではないらしい。
「館には、多数の『残影』が残っていて……オブリビオンに殺害された者達の集合である彼らは数はたくさんいるけど、様々な感情が混ざり合ってしまったために、敵味方無く傷つけてしまう……一見、警備には向かないように見えるよね。でもね」

 ――それでいいのよ。

 領主はあえて、彼らを残すことを選んだようだ、と困ったようにコルネリアは告げる。
「あのね、ここの領主は、その……相手をなぶることが大好きで……たびたび領地の村から若い男女を召し上げて、なぶっていたみたいなの。でもね、人間をなぶることが好きだけど、自分に敵対心を持つような気骨のある相手をなぶるのはもっと大好きで……」
 つまり――抵抗せず怯えるだけの人間をなぶるのも楽しいけれど、もしも館に乗り込んでくるような者がいたら、それはそれでぞくぞくするわ。私が相手になって、力の差を見せつけて、なぶって楽しむのよ――という考えの元に、あえて警備に向かなそうに見える彼らを残したらしい。
「たぶんね、館まで乗り込んでくるような者などいないっていう自信と、もし来たら自分が相手をしてあげるから楽しませて、っていう、これも自信かな……そういう気持ちだと思うの。予知されている事を察しているってわけじゃなくて、どうせ乗り込んでくるような人はいないし、いても自分が愉しくなるだけだから大丈夫、そんな感じだよ」

 領主館まではコルネリアが猟兵達を導く。不気味なほど警備のいない外観だが、館の扉を開ければ広い玄関からすでに『残影』達がうろついているので、領主の元までたどり着くには彼らを倒さなくてはならない。
「まずは敵を倒しながら、領主のいるところを目指して。みんなが頑張ってくれることで、救われる人達がいるからね」
 コルネリアは小さく笑んだのち、忘れていたとばかりに付け加える。
「あ、この館の主は、『嗜虐の吸血姫・カルマリア』と呼ばれているよ」
 小さく拳を握り、がんばれ、とコルネリアは頷いてみせた。


篁みゆ
 こんにちは、篁みゆ(たかむら・ー)と申します。
 はじめましての方も、サイキックハーツでお世話になった方も、どうぞよろしくお願いいたします。

 このシナリオの最大の目的は、「領主・嗜虐の吸血姫・カルマリアの討伐」です。

 第一章では、領主館内にいる『残影』と戦い、領主の元への道をひらくかたちになります。広い玄関からすでに『残影』たちはおります。

 第二章では、『嗜虐の吸血姫・カルマリア』との直接対決となります。

 第三章では、第二章が成功していることが前提となりますが、冒頭の村でキャンドルを灯した慰労会を行う予定です。

 ご参加はどの章からでも、何度でも歓迎いたします。

 現地まではグリモア猟兵のコルネリアがテレポートしたのち、猟兵のみなさまをお喚びする形となります。

 コルネリアは怪我をしたり撤退する猟兵のみなさまを送り帰したりと、後方で活動しており、冒険自体には参加いたしません。
 お誘いがあった場合のみ、慰労会に顔をだすことが可能です。

●お願い
 単独ではなく一緒に描写をして欲しい相手がいる場合は、お互いにIDやグループ名など識別できるようなものをプレイングの最初にご記入ください。
 また、ご希望されていない方も、他の方と一緒に描写される場合もございます。

 皆様の行動がどのようなお話へと化学変化するのか、プレイングを楽しみにお待ちしております。
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第1章 集団戦 『残影』

POW   :    怨恨の炎
レベル×1個の【復讐に燃える炎の魂】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD   :    同化への意思
【憐憫】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【異形の肉塊】から、高命中力の【絡みつく傷だらけの手】を飛ばす。
WIZ   :    潰えた希望の果て
【悲観に満ちた絶叫】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ジャガーノート・ジャック
*ロク・ザイオン(f01377)とタッグ

(ザザッ)
――加虐者根絶は本機の目標の一つ。
ミッション受諾――これより攻略を開始する。

(ザザッ)
SPD使用、ロクの『援護射撃』をしつつ、速やかな侵攻を試みる。
使用UC:『Summon: Arms』。
召喚兵装は『ネットランチャー』。
『スナイパー』『範囲攻撃』『二回攻撃』併用。
複数の敵性個体へ捕縛網を発射、絡め取る。

立ちはだかるのなら、それを焼き払うのは森番に任せる。

――それは本機の真似か?
親近感を抱く事だ、気にする事はない。
オーヴァ。(ザザッ)

――憐憫?これは、違う。
これを為した者への『憤怒』であり、『殺意』だ。

――作戦指針は以上、オーヴァ。(ザザッ)


ロク・ザイオン
(ジャガーノート・ジャック(f02381)に同行する)

(かつて人であったとしても)
(これはもう、病葉だ)
(病葉は摘まれ、焼かれなければならない)
(道を塞ぐならば「烙禍」で焼き、斬り払い、館の奥を目指す。
声(潰えた希望の果て)の気配は【野生の勘】で察知。逃れられないなら、こちらも「惨喝」を上げ身構える)

……………声。うるさかったらすまない。
以上。
おーば。



……おまえたちも。
きれいなうたを、うたうのか。
(うたを聴くのはとても好きだ。きっとこんな自分でも、何をしていても、祝福してくれる声だから。
だから、思いっきり刀を振るえる)

(※女の悲鳴を全て、「とても綺麗な声・歌」と認識する)



●館に満ちる嘆き
 領主館の扉を開けると、広いエントランスに残影の姿が見える。そこに満ちる残響は、嘆きか悲哀か憤怒なのか――混じり合いすぎていて判別はつかない。

(「かつて人であったとしても」)
 時に、自分たちと同じ存在すら傷つける残影達を視界におさめ、長い赤毛の鬣を編んだロク・ザイオン(疾走する閃光・f01377)は理解する。
(「これはもう、病葉だ」)
 森を守り、森を喰らうものを焼く彼女が出す結論は、ひとつ。
(「病葉は摘まれ、焼かれなければならない」)
 ザザッ――ロクの隣に立つ、黒豹型の機械鎧を身に着けた異形の戦士は、ノイズ混じりに言葉を紡ぐ。
「――加虐者根絶は本機の目標の一つ。ミッション受諾――これより攻略を開始する」
 それを合図として、ロクが床を蹴る。戦士――ジャガーノート・ジャック(OVERKILL・f02381)は彼女を援護するように熱線銃を放った。それを避けようとして、あるいは直撃して体勢を崩した残影が、ロクの前に躍り出る。
「燃え、落ちろ」
 彼女の『烙禍』は、残影だけでなくその床をも焼き、炭化させた。
「オプションパーツ召喚――本機との接続、完了。これより攻撃を開始する」
 ジャガーノートが『Summon: Arms』によって追加兵装として召喚したのは、ネットランチャー。放たれた網に絡め取られた残影達は、悲痛な叫びを上げる。
「――ああァアアア!!」
 だが、それに対抗すべく、ロクもまた『惨喝』による咆哮で身を固めた。
「……声。うるさかったらすまない。以上。おーば」
「――それは本機の真似か? 親近感を抱く事だ、気にする事はない。オーヴァ」
 ザザッ――ノイズ混じりの言葉をかわし、ジャガーノートは再びネットランチャーにて残影達を捉える。
 ロクの立つ床は、先ほど炭化させた部分。その上に立つことで高まった力で、纏められた残影達を焼き払う!
 消えゆく残影達の上げる『声』に満ちるのは、終始複雑な感情。近い言葉ひとつで表すとすれば、何だろうか。そしてこれを聞く者達は、何を思うのだろうか。
(「――憐憫? これは、違う。これを為した者への『憤怒』であり、『殺意』だ」)
 それは自身の感情か、残影達の叫びのいだく感情か。あるいは一部、同じものなのかもしれない――思いつつも、ジャガーノートは屋敷の奥へと歩みを進める。
「……おまえたちも」
 消えゆく残影の叫び。とりわけ女性のそれは。
「きれいなうたを、うたうのか」
 ロクにはとても綺麗な声で紡がれる歌に聞こえる。
(「うたを聴くのはとても好きだ。きっとこんな自分でも、何をしていても、祝福してくれる声だから」)
 ――だから、思いっきり刀を振るえる。
 ふたりは玄関の残影を掃討し、奥への道を開いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フローリエ・オミネ
残影とは、なんて悲しきものなのかしら
あなた方には未来があって
やりたいことがあって
そして、まだ生きたくて。

分かるの、痛いほどに
けれど……ごめんね。
その想いは、来世で叶えて。

幻影の殲滅を目的とする

ウィザード・ミサイルで効率的にダメージを与える
もしもパワー不足ならば、バトル・インテリジェンスも使用

トドメを刺せそうな敵には、矢を集中的に浴びせる

敵の攻撃も、ユーベルコードによって弾けたら弾きます
ここで体力を消費してはいられないもの。

あなた方の想いは受け止めるわ
こんなところにいたら、やりたいこともやれないまま
だから、引導を渡してあげる。

さあ、道を開けて頂戴。


緋月・透乃
私も街をひとつオブリビオンから解放したし、他の猟兵達もいくつも解放しているとは思うけれど、ダークセイヴァーにはまだまだオブリビオンに苦しめられている人が一杯いるね。思った以上に支配が強いみたいだね。
でも、それくらいのほうが張り合いはあるよね。

私としては『残影』みたいなのよりも、殺意をまっすぐぶつけてくるような奴のほうが好きだけれど、それはボス戦のお楽しみにとっておけってことか。ささっと『残影』を倒して領主のもとへ行こう!

・戦闘
闘争心全開で近い敵に接近してグラウンドクラッシャーでの一撃必殺を狙い、攻撃後も一旦退いたりせずに、すぐ次の敵へ突撃するよ!
やられる前にやる、ってことだね。


赭嶺・澪
あたしは銃の利点を生かすために距離を取って回避を優先しつつ、技能『2回攻撃』『スナイパー』と、攻撃回数重視のUC『アサルトブラスター』で対応。
場合によっては技能『援護射撃』で味方のフォローもしましょう。

もし距離を詰められた場合は、技能『零距離射撃』『2回攻撃』、攻撃力重視にしたUC『アサルトブラスター』を叩き込んでやるわ。


一駒・丈一
さて、仕事を始めよう。


残影に情けを掛けても、何も始まらんし、何も終わらん。
ならば、いち早くこの地獄から解き放つのが、かの者達にとっての救いになるだろう。

SPD重視で立ち回る。
妖刀『介錯刀』を抜き放ち、『早業』を以て活路を拓く。
素早い剣戟だけが取り柄でね、
相手との間合いを気にしつつ、1体ずつ着実に相手取れば遅れはとらんさ。

味方と連携し、仲間に隙が生ずれば、この剣戟をもって助け船を出し助太刀しよう。


さて、地獄を終わらせよう。



●この世の地獄を彷徨う者達へ
(「私も街をひとつオブリビオンから解放したし、他の猟兵達もいくつも解放しているとは思うけれど、ダークセイヴァーにはまだまだオブリビオンに苦しめられている人が一杯いるね」)
 これまですでに色々な世界を旅してきた緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)だが、それでもこの世界でのオブリビオンの支配が思ったよりも強く深いことを感じずにはいられない。
(「でも、それくらいのほうが張り合いはあるよね」)
 前方を見れば、調度品の並ぶ廊下に残影達がうろついている。ふかふかの絨毯は足を捉えるほどではないけれど、彼らを倒さぬことには先には進めぬ。
(「私としては『残影』みたいなのよりも、殺意をまっすぐぶつけてくるような奴のほうが好きだけれど、それはボス戦のお楽しみにとっておけってことか」)
 のんびりとしている? 否。『重戦斧【緋月】』を握った透乃の闘争心は全開だ。
「ささっと『残影』を倒して領主の元へ行こう!」
 告げて一番近い敵へと迫る透乃。大斧から繰り出す『グラウンドクラッシャー』は単純な攻撃ではあるが、その分重い。
 ガッシャーン!
 ギャァァァァァ!
 調度品の壊れた音、残影の悲鳴、それらに構わず透乃は次の残影へと走る。
 それよりも早く彼女の横を駆け抜けたのは、一駒・丈一(金眼の・f01005)だった。妖刀『介錯刀』による素早い剣戟が、残影を滅する。
(「残影に情けを掛けても、何も始まらんし、何も終わらん。ならば、いち早くこの地獄から解き放つのが、かの者達にとっての救いになるだろう」)
 透乃が別の残影を狙うのを視界の端で捉えて、丈一もまた、別の残影に接敵して素早く刀を振るった。
 廊下の奥から放たれた炎が、透乃を熱する。だが、彼女は怯むことなく斧を振り下ろす。目の前の敵を放置して炎を放った残影に迫るわけにはいかない。
「モードチェンジ」
 だが、透乃や丈一の後方から放たれた弾丸が、炎を放った残影を正確に撃ち抜いた。赭嶺・澪(バレットレイヴン・f03071)が『Mvf20』より放った複数の弾丸が、仲間でも他の残影でもなく、的確に炎を放った残影へと向かったのだ。
「今のうちに!」
 澪の声に振り返りはせぬが、目の前の残影を斬ることで応える透乃と丈一。
(「残影とは、なんて悲しきものなのかしら」)
 散りゆく残影の断末魔、もしくはすべてを傷つける悲観に満ちた絶叫――それを耳にして、フローリエ・オミネ(魔女・f00047)は呟く。
「あなた方には未来があって、やりたいことがあって。そして、まだ生きたくて」
 同情か、憐憫か。紡ぎながら宙空に編み出すのは無数の炎の矢。
「分かるの、痛いほどに。けれど……ごめんね。その想いは、来世で叶えて」
 無数の炎の矢が、前をゆく透乃と丈一よりも奥にいる残影に刺さる。炎が残影に集中するそれは、まるで篝火のよう。
 その間にも、澪の放つ弾丸は奥の残影の身体に沈み、動きを鈍らせる。
 広めの廊下での戦いではあるが、後方から澪やフローリエが奥の残影を牽制してくれていることで、1体1体対応してゆくことが可能になっていた。
 それでもやはり、残影はその性質を変えず、敵味方問わずに――思いのやりどころをなくした子どものように、手当たり次第に傷をつけてゆく。
「あなた方の想いは受け止めるわ。こんなところにいたら、やりたいこともやれないまま……だから、引導を渡してあげる」
 その悲しみを終わらせるために――フローリエはバトル・インテリジェンスで力を高めた上で、無数の炎の矢を喚び出した。
「さあ、道を開けて頂戴」
 これは彼らが囚われている悲しみの鎖を断ち切るための戦い。炎の矢が1体の残影を飲み込み、舐めたあとにはその姿はない。
 澪の高い技術で放たれた正確な弾丸たちが、的確に残影を穿つ。弾丸を受けた目の前の残影を斬り捨てて、丈一は別の残影に接近するが早いか、刀を一閃させる。
「さて、地獄を終わらせよう」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ソフィーヤ・ユリエヴァ
囚われ死後も利用される悲しき魂……憐れむなというのが難しい話ですの
けれど私達はただ憐れむだけではありませんわ

その絶望に、福音をもたらしましょう
ユーベルコードで未来を見通し、攻撃を回避しますの
そして読んだ相手の動きを元にからくり人形を手繰り、攻撃へと転じますわ

避けきれず少女の霊の手に絡み付かれたとしても、そっと手を添えてその傷を悼みます
さぞや痛かった……いいえ、今なお痛むのでしょうね
私の身に負う傷よりも、この心がとても痛い……
大丈夫、もう苦しまなくていいのです。私が貴女の魂に安らぎあれと、祈りましょう
ええ、だって私は聖者ですもの
救われぬ者に救いあれ

※アドリブ、連携描写歓迎、


真馳・ちぎり
許しがたい愚行です
神の御名において、かのモノへ粛清という祝福を

敵は一体ずつ確実に撃破するようにしましょう
後衛に位置し、視野を広く取り戦場の【情報収集】を欠かさずに、
得た情報から相手の一手を予測して的確に動きます
攻撃よりも距離感を保つことを重視して、
近づいてこられた場合は距離を取りましょう
攻撃は【冤罪符】を使用します
標的は最も負傷している相手、または味方が狙っている相手とします
【2回攻撃】が可能なら【第零玄義】で相手の行動を阻害しましょう

このような悲劇を繰り返さぬよう
あなたがたに神の救いがありますように


アルバ・ファルチェ
こんな酷いことをする悪い娘にはおしおきしなきゃね。

そのためにはまず『残影』を抜けなきゃ、か。


騎士としても、クレリックとしても憐れな犠牲者をどうにかしてあげなきゃと思う。
だから、その黒幕を倒すためにただ憐れに思うことはしない。
復讐の炎を向けるなら真っ向から受けてたつ。
【火炎耐性】【呪詛耐性】【激痛耐性】で耐えられないかな?
耐えることが出来たなら【覚悟】と【祈り】を込めてこの炎と共に黒幕の元へ向かうから君たちは静かに眠れない?
残影相手に【コミュ力】や【礼儀作法】は効かないかなぁ…。

効かないなら…仕方ない、攻撃は得手じゃないけど、進む為に散らさせて貰うしか…ないよね。


アンナ・フランツウェイ
殺されても従わされるか。彼らの尊厳を守る為、残影たちを倒して救おう。安らかなる眠りは死者の特権、それを守るのも処刑人の役目だから。

残影達の攻撃は見切りで回避しつつ、彼らに接近したい。接近に成功、もしくは接近されたら拒絶式・呪詛黒百合を鮮血の鋼鉄処女を起点に発動。周囲の影をまとめて攻撃する。

倒したら残影達に祈りを捧げ、吸血姫を断罪する事を誓おう。処刑人である私にはこれくらいしか出来ない。
「あなた達の仇は討つ。だから安らかに眠って」



●光あれ
 廊下を抜けた先、大広間の扉を開けるとそこにも残影達がひしめいていた。部屋の奥に見える玉座じみた椅子には誰の姿もない。
「殺されても従わされるか」
「囚われ死後も利用される悲しき魂……憐れむなというのが難しい話ですの」
 アンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)の呟きに、金色の瞳を揺らしてソフィーヤ・ユリエヴァ(人間の聖者・f10512)が応える。
「許しがたい愚行です。神の御名において、かのモノへ粛清という祝福を」
「こんな酷いことをする悪い娘にはおしおきしなきゃね」
 真馳・ちぎり(ミセリコルデ・f03887)の表情からは窺えぬが、その言葉には許されざる者への怒りと、目の前でうごめく悲しき存在への慈悲の心が溢れている。隣に立つアルバ・ファルチェ(紫蒼の盾・f03401)は、言葉こそ軽く聞こえるが、その心中は表に出したものとは違う。
 騎士としてもクレリックとしても、憐れな犠牲者である残影達をどうにかしてあげないとと強く思う。だからこそ。
(「その黒幕を倒すために、ただ憐れに思うことはしない――」)
「けれど私達はただ憐れむだけではありませんわ」
「ああ。彼らの尊厳を守る為、残影たちを倒して救おう」
 ソフィーヤがは『絶望の福音』により見えた予測を利用して、残影の召喚した傷だらけの手を避ける。そして流れるように糸を繰り、人形により残影を傷つける。アンナは放たれた炎を避けることには成功したが、どの方向にいる残影へと迫るか決めあぐねていた。その時。
「アンナ様、左手奥、11時の方向へ押し込みます」
 後方から戦場の状況を確りと見据えていたちぎりが告げる。続けて始めたのは、詠唱。
「我は正義を執行する者。我を汝を蔑する者なり」
 偽りの罪状を向けられた残影が、三本の木釘を打ち込まれた衝撃で、奥へと押し込まれた。
 ちぎりの声掛けですでに移動を開始していたアンナは、押し込まれた残影を追うようにして距離を詰める。1体が押し込まれたことで、複数の残影たちが至近距離に集まる形となっていた。
(「安らかなる眠りは死者の特権、それを守るのも処刑人の役目だから」)
「我が怨念は全てを包む」
 残影達に半ば囲まれる位置に飛び込んだアンナは、『鮮血の鋼鉄処女』を起点に『拒絶式・呪詛黒百合』を発動させた。『鮮血の鋼鉄処女』が無数のクロユリの花びらと化し、周囲の残影達を襲う――!
 花びらに襲われた残影達は、悲痛な叫びを上げて身を捩り、後退する。だが残影達もまた、無抵抗ではない。反射的なものもあるのだろうか、復讐の炎の塊を生み出して一斉にアンナを狙った。
 しかし。
(「復讐の炎を向けるなら、真向から受けて立つ」)
 その思いと共にアンナの前へと走り出たアルバが、その炎をすべて受け止めた。炎や他の耐性を持っている彼だが、さすがに無傷ではない。でも。
「この炎と共に黒幕の元へ向かうから、君たちは静かに眠れない?」
 祈りを込めて、覚悟を示すアルバ。
「ヴヴヴ……アァァ……」
 残影達が呻き声を上げている。様々な感情の混ざりあった彼らには、恨みを、悲しみをぶつけて傷つけるしか手段はないのだ。
「……仕方ない、攻撃は得手じゃないけど、進む為に散らさせて貰うしかないよね」
 炎を受け止めたことで上昇した身体能力。それを存分に発揮して今、楽に――アルバは剣を振るう。
 アンナも共に前線を維持し、後方からちぎりが放つ木釘は、弱っている残影を確実に狙う。
 ――と。
「偽りの第零玄義。我は偽りの祝福を希わん」
 ちぎりがとっさに放った『第零玄義』は、ソフィーヤを狙った残影の動きを止めた。だが、ソフィーヤの腕にはすでに、傷だらけの手がひとつ、絡みついていて。
「さぞや痛かった……いいえ、今なお痛むのでしょうね」
 けれどもソフィーヤは、その手の傷にそっと自分の手を重ねた。
(「私の身に負う傷よりも、この心がとても痛い……」)
「大丈夫、もう苦しまなくていいのです」
 紡ぐ言葉は、声色は優しく大広間を満たすように。
「私が貴女の魂に安らぎあれと、祈りましょう」
 ――ええ、だって私は聖者ですもの。
「救われぬ者に、救いあれ」
 重ねてはいない方の手の指を動かし、ソフィーヤは人形を繰る。ちぎりにより動きを封じられた残影が、人形によって散らされてゆく。

 程なく、広間は静寂で満ちた。猟兵達の間にも静寂は広がり、祈りを捧げる者を急かしたり咎めたりする者はいない。
「あなた達の仇は討つ。だから安らかに眠って」
 処刑人である自分にできることを、アンナは誓う。
「このような悲劇を繰り返さぬよう、あなたがたに神の救いがありますように」
 ちぎりの祈りは、同じ思いをいだく猟兵達の心を抱いて、雲の上の天空(そら)へと――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『嗜虐の吸血姫カルマリア』

POW   :    跪きなさい!
【蹴り倒し、踏みつけて足蹴にする事 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    斬り刻んでペットにしてあげる
【何もない空中から無数の紅き刃 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    アナタも私の下僕に加えてあげよっか?
レベル×1体の、【胸 】に1と刻印された戦闘用【に改造されたレジスタンス達のゾンビ】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はヴェスター・アーベントです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●吸血姫・カルマリア
 件の吸血鬼はどこにいるのか、いかにもなこの大広間ではなかったのか――猟兵達が声を上げそうになったその時、ガゴリ、玉座じみた椅子の更に奥から鈍い音がした。
「あらぁ~? あいつらだけにしては随分と騒々しいと思ったら、侵入者じゃないの!!」
 椅子の奥には隠し扉か隠し階段でもあったのだろうか。姿を見せたのは、銀色の長い髪を揺らした少女。黒で纏めた服の覆っていない部分に咲く赤は、まさに血液と思しきもの。
「何年ぶりかしら? 私そういうの大好き! 嫌だわ、久々に昂ぶってきたわ!!」
 ヒュッ……! 彼女が何か放って来た。猟兵達と彼女の間に落ちたそれは、まさに剥がされたばかりのヒトの皮と思しきもの。
「ああ、そうそう、名前を教えないとね。私の名前はカルマリア。降参したくなったら、様付けで呼ぶのよ」
 たとえ降参するべく彼女の要求に従っても、解放されぬことは明らかだ。むしろ彼女を悦ばせるだけ――これはそういう手合いだと、誰にでもわかる。
「じゃ、始めよっか?」
 軽く言い放ち、カルマリアは自らの唇を舐めた。
アルバ・ファルチェ
やぁ、初めましてお嬢さん。
基本的に僕は女の子には優しいんだけどね、悪い娘にはそうもいかないかな。

…いっそ清々しいまでに外道だな。
僕は憐れな魂達の無念を晴らしに来た。
だから消えて貰う。

戦闘は…ごめん、攻撃は任せた。
代わりに【盾受け】【武器受け】【見切り】【かばう】…技能を駆使して守ってみせるよ。
隙があれば【カウンター】も狙ってみるけど攻撃は不得手なんだ…。

あと、怪我をしたら直ぐにユーベルコードで癒しを。
誰か…特に女性が怪我するのは本意じゃないからね。

憐れな犠牲者を含めて誰も外道のペットなんかじゃない。
膝をついて許しを請うのは僕らじゃない。
痛みを、苦しみを…思い知ればいい。
そして…独りで消えろ。


ロク・ザイオン
※ジャガーノート・ジャック(f02381)に同行

……怒ってるのか。
なら、おれは。

(ジャックが攻撃しやすいように、敵の動きを鈍らせよう)
(赤い猫に似た真の姿を解き放つ。【先制攻撃】、相手の動きを【野生の勘】で読みながら「咎力封じ」で枷を)

病葉の源。
おまえは病だ。

(弾丸の嵐が始まれば、巻き込まれないようジャックの後ろへ。その体に傷があるなら「生まれながらの光」を)

(……なにも聞こえないかも知れないけれど、)
病。
おまえも、うたうのか?


ジャガーノート・ジャック
*ロク・ザイオン(f01377)とタッグ

(ザザッ)――討伐対象視認。
可及的速やかに駆除する。(ザ、ザ)

(ザザッ)
SPD選択。
――対象の捕縛はロクに一任。
必要なら捕縛までは『援護射撃』でサポートする。

捕縛完了後、『Full-Arm Storm』発動。
『スナイパー』『一斉発射』『誘導弾』使用。

更に真の力解放。

左右36対、計72。古き悪魔達と同数の砲門を展開。
獣の如く唸り狂うそれを以て、敵を狙う。

(ザザッ)
本機は兵士である事を志すが
お前の様な者には、その限りではない。
獣の様に
暴力装置の様に
怪物の様に
過ぎたる力を以て
お前を"殺す以上に殺し尽す"。

本機の行動指針は以上、実行に移る。
オーヴァ。(ザザッ)


真馳・ちぎり
あなたに神の祝福があらんことを
あなたに神の慈悲を授けましょう

後衛から【冤罪符】を放つことをメインに
距離が近づき過ぎた場合は、攻撃よりも距離を保つことを優先します
攻撃の折に隙を見て相手の攻撃に合わせて【三本の釘】も使用して
戦況の【情報収集】も忘れずに、味方の援護・サポートを中心に立ち回ります

さぁ、さぁ
懺悔するのです
あなたの罪は、私によって裁かれる


緋月・透乃
やる気満々って感じだけれど、『何年ぶり』って言った?体鈍ってたりしないよね~?
戦いがいのない奴倒してここまで来たのだから、ちゃんと強さを見せ付けて楽しませてね、カルマリアちゃん。
(肉を食べながらこのような感じで挑発します)

接近しすぎても危ないけれど、接近しないと攻撃できないねぇ。
できるだけカルマリアから4歩くらいの間合いを保つようにしておこう。
そこから一気に接近して罷迅滅追昇をぶっぱしたらまた4歩くらいまで離れる、こんな感じのヒット&アウェイの繰り返しでいくよ。
敵が怯んでいたり他の味方に意識がいっていた場合は、少し力溜めしてから捨て身の攻撃をするよ。


一駒・丈一
お前の様な手合いはよく知っている。
個性的な自己紹介をありがとう。お陰様で容赦無く断罪を遂行できる。

SPD重視。
会敵早々は、相手との間合いが広いことが想定される。
故に、装備の杭である『贖罪への道標』を相手に【投擲』し攻撃。不意を付ければ重畳だが…

その後は間合いを詰め、装備の『介錯刀』を抜き放ち、『早業』と『2回攻撃』を以って、手数にて相手を翻弄しよう。
一撃毎は決定打にはならんだろうが…それが積み重なればどうだろう。

そして、隙が出来れば、UC『罪業罰下』を放ちて、
己に元から課せらた『何も成せない呪い』の因果を一時的に逆転させ、敵に一閃を食らわせる。

味方との連携も重視して立ち回ろう。



●嗜虐の色満ちて
「やぁ、初めましてお嬢さん。基本的に僕は女の子には優しいんだけどね、悪い娘にはそうもいかないかな」
「悪い娘? いい響きだわ! 優しくなんてしてもらわなくてよくてよ。アナタ達にはそんな余裕無いでしょうから、せいぜい私を楽しませて頂戴!!」
 アルバ・ファルチェ(紫蒼の盾・f03401)の言葉に、カルマリアは至極楽しそうに嘲笑った。アルバは無意識に、紫の瞳を嫌悪感で歪める。
「……いっそ清々しいまでに外道だな」
 心中を包み隠さず、言葉にして吐き捨てた。
「やる気満々って感じだけれど、『何年ぶり』って言った? 体鈍ってたりしないよね~?」
 もぐもぐもぐ。肉を頬張りながら告げるのは緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)。
「鈍ってるか、ですって?」
「戦いがいのない奴倒してここまで来たのだから、ちゃんと強さを見せ付けて楽しませてね、カルマリアちゃん」
「安心しなさい。この館の奥まで辿り着いたオモチャの相手をするのが何年ぶりってだけよ。だぁって、みぃんな、ココロもカラダも弱くて、私に逆らおうなんてしないんだもの。好き放題させてくれるオモチャももちろんスキだけど、たまには遊び甲斐のあるオモチャで遊びたいってモノじゃない?」
 透乃の挑発に、カルマリアは猟兵の心情を逆撫でするような事を言う。けれどもたとえ、その言葉で苛立ちや嫌悪を覚えたとしても、逆上するような猟兵はいない。
「お前の様な手合いはよく知っている」
 小さく息をついて、吐き出すように告げたのは一駒・丈一(金眼の・f01005)。
「個性的な自己紹介をありがとう。お陰様で容赦無く断罪を遂行できる」
「その鋭い瞳が恐怖で歪んで命乞いするのを想像すると、高まるわぁ」
 丈一はため息をつく。話の通じる手合いではないのは分かっていたが、こうも自信満々に告げられると呆れのほうが先立った。
「――討伐対象視認。本機は兵士である事を志すが、お前の様な者には、その限りではない」
 ザザッ……ノイズ混じりのその声はジャガーノート・ジャック(OVERKILL・f02381)のもの。
「――獣の様に、暴力装置の様に、怪物の様に、過ぎたる力を以て、お前を『殺す以上に殺し尽す』」
 ノイズの他にその言葉に混ざっているものは何なのだろうか――隣に立つロク・ザイオン(疾走する閃光・f01377)はしばし考え、そして。
「……怒ってるのか」
 辿り着いた結論。
「――可及的速やかに駆除する。本機の行動指針は以上、実行に移る。オーヴァ」
「なら、おれは」
 ジャックノートのノイズから読み取れた混ざりモノ。その正体がロクの考えたもので正しいのならば――素早く動いた彼女は赤く、疾く。赤い猫のようなその姿は彼女の真の姿。放った拘束具のうち命中したのは手枷と拘束ロープのみなれど、それで十分とばかりにジャックノートは動いた。
「――全兵装展開――、殲滅、開始――Gurrrrrrrrrrh――Gaaaaaaahhhhhhhhhhhh!!!!!」
 解放した真の姿で左右36対、計72……古き悪魔達と同数の砲門を展開してカルマリアを狙う。獣の如く唸り狂うそれは、動きの鈍ったカルマリアに文字通り集中砲火を浴びせる。
 その集中砲火の中、丈一は『贖罪の道標』を投擲し、集中砲火が止んだ頃にはすでに彼女の前で『介錯刀』を抜き放っていた。そして持ち前の素早い斬撃の繰り返しでカルマリアをじわじわと追い立てていく。一撃では決定打にはならずとも、積み重なればなにがしかの効果が得られるはずだと信じて。
「あっはーっ! 楽しい楽しい楽しいっ! アナタ達、最っ高っ!!」
 避けられた、あるいは防がれた攻撃もあるだろう。だが全てがそうではないはずだ。なのにカルマリアは耳障りな甲高い声で、とても愉しそうに嗤う。
「斬り刻んでペットにしてあげる!!」
 突如宙空から湧いた無数の紅き刃が、場にいる全員を容赦なく傷つける。ロクが『生まれながらの光』でジャガーノートと自身の傷を癒やし、アルバは『Amour Gratuit』で他の猟兵達を癒やす。
「病葉の源。お前は病だ」
「『病』とは、言い得て妙ですね」
 ロクの言葉を拾った真馳・ちぎり(ミセリコルデ・f03887)は、その手に三本の木釘を持ち。
「あなたに神の祝福があらんことを。あなたに神の慈悲を授けましょう」
 歌うように紡いで放つは『冤罪符』。
「我は正義を執行する者。我を汝を蔑する者なり」
 カルマリアへ向かう木釘を追うように、透乃は一気に距離を詰めて。
「くたばれ、消え去れ、あの世の果てまで飛んでいけー! 罷迅滅追昇!!」
 放った『罷迅滅追昇』。すぐにカルマリアから距離を取ろうとしたものの、カルマリアの方が早く動いた。
「跪きなさい!」
「っ!」
 強烈な蹴撃により、透乃は蹴り倒される。だが――カルマリアが足を踏み下ろすよりも早く。
「ごめん、攻撃は任せた」
 勘が働いたのだろうか。透乃が接敵するとほぼ同時に動いていたアルバが、間一髪のところでカルマリアが振り上げた足の下に滑り込み、『Scudo di Orgoglio』によってその踏みつけを受け止めたのだ!
 ガッ!!
 白銀の盾に受け止められたブーツの底。あら、と僅かだが驚いたようにカルマリアの意識がそちらにのみ向いた。
「皆様!」
 それに気づいたちぎりの声が早いか、猟兵達が一度に動く。
「汝一切の咎を報うべし。其は十字架の苦難なり」
 ちぎりの放った三本の釘はニ本のみ命中。だが、ジャガーノートの熱線が、ロクの刃が、丈一の刀が、カルマリアを同時に狙う。
「余罪は地獄にて禊がれよ」
「きゃぁぁぁぁぁっ!?」
 丈一の、彼に課せられた『何も成せない呪い』の因果を一時的に逆転させたその一閃が、カルマリアの悲鳴を導いた。
「病。おまえもうたうんだな」
 不思議そうに、けれども納得したかのように、ロクが呟く。
「やられたままでいるつもりはないんだよ」
 その隙に体勢を立て直した透乃が『重戦斧【緋月】』を振り下ろし。
「さぁ、さぁ、懺悔するのです」
 再び『冤罪符』を放つちぎり。
「あなたの罪は、私によって裁かれる」
 追い立てられたカルマリアの肩は、震えている。それは如何ような感情から出たものか。
「憐れな犠牲者を含めて誰も外道のペットなんかじゃない。膝をついて許しを請うのは僕らじゃない」
 立ち上がったアルバは、盾を構えて毅然と言い放つ。
「痛みを、苦しみを……思い知ればいい」
 仲間たちにどんな攻撃が放たれようとも、防いでみせる、守ってみせる――その意思は固い。
「そして……独りで消えろ」
 全員がカルマリアの挙動に注視している。すると彼女は、いっそう肩を震わせて。そして。
「あはっ、あはははははははははっ!! 予想以上に私を愉しませてくれるのね、アナタ達っ……じゃあ、もっともっと遊んで行きなさいよっ!!」
 そう告げた彼女の周囲に喚び出されたのは、胸に『1』と刻印されたゾンビたち。どうやら戦闘用に改造されたそれは、元はレジスタンスのメンバーだったようだ。
 ここにきてもまた、彼女はヒトの魂を、肉体を弄ぶのか――猟兵達の胸には、静かな怒りが湧き上がっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フローリエ・オミネ
カルマリア。誰があなたを様付けで呼ぶもんですか。
元凶を経って、無念のまま散っていった命の弔いをしましょう

バトル・インテリジェンスで能力値を向上させ、戦闘に耐えうる体へと
こうすれば、気配で察知できて敵がどの方向から攻撃してくるか分かるの

ウィザード・ミサイルはカルマリア只一体に集中砲火
上からも、下からも、横からも。死角なんて与えないわ

基本は近寄らず、遠距離攻撃と主とする
皆さまの攻撃の援護をする形になるのかしら
敵の攻撃は、同じくウィザード・ミサイルで弾き落とせば良いの
全部落としきれなくても、ダメージは軽減されるでしょう?

さあ、安らかな死を差し上げるわ
様付けするなら許してあげても良くてよ、ああさよなら


アンナ・フランツウェイ
処刑人とは犯した罪を処刑する事で赦す者。だがアンタの罪…残影達の命を弄んだ罪と、村人達の希望を奪った罪は処刑でも赦しきれない。だからアンタを地獄に叩き落とす。覚悟しろ、外道。

吸血姫のPOWに対処する。超高速かつ大威力と言っても対策は出来る。

ユーべルコードが来たら、見切りで攻撃の軌道を見切り回避。間に合わないなら武器受けで鮮血の鋼鉄処女を盾にしガードしよう。

攻撃に対処出来たらカウンターでユーべルコード、断罪式・薊ノ花で切り付ける。命中したら傷口をえぐるで追撃、逆に跪かせてやる。


ソフィーヤ・ユリエヴァ
許すとか許せないとか貴女にとってはどうでもよいことでしょうね
精々愉しんでくださいまし。私達はその慢心を突くだけですの(柔和な顔立ちと穏やかな語気ながら強い反骨の眼差しで

・聖者の光を放ち、癒し手である事を示し引き付け
切り刻まれ血を流し、踏みにじられ地を這おうとも
聖痕から溢れ出る【生まれながらの光】で自らの傷も癒し、決して屈せず見据えますの
痛みであげそうになる悲鳴は声を殺し、悦ばせませんわ
※無自覚にSっ気を刺激しより屈服させたくなるよう

満身創痍となろうとも、指先だけでも動けば人形は手繰れますわ
人形遣いの業の冴え、お見せ致しますの
吸血姫。貴女に祈りはいりませんの
裁かれぬ者に、裁きを

アドリブ&連携歓迎



●断罪の時、来たれり
「処刑人とは犯した罪を処刑する事で赦す者。だがアンタの罪……残影達の命を弄んだ罪と、村人達の希望を奪った罪、それにレジスタンスの人たちの遺体を冒涜した罪は、処刑でも赦しきれない」
 アンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)は、迫り来るゾンビたちを、剣で捌きながらカルマリアを睨みつける。倒すことが、ゾンビの元の身体の持ち主への救いとなることを祈って。
「だからアンタを地獄に叩き落とす。覚悟しろ、外道」
「できるものならいくらでもどうぞ~」
 ゾンビたちの奥で吸血姫は愉しそうに嗤った。
「カルマリア。誰があなたを様付けで呼ぶもんですか」
 柔らかな雰囲気から発せられる強い拒絶はフローリエ・オミネ(魔女・f00047)のもの。
「元凶を断って、無念のまま散っていった命の弔いをしましょう」
 その言葉に、アンナもソフィーヤ・ユリエヴァ(人間の聖者・f10512)も頷く。目指すところは同じだ。
 あらかじめ『バトル・インテリジェンス』で高めた力で放つフローリエの炎の矢は、すべてカルマリアを狙う。大量の炎の矢のすべてが命中したわけではないが、半分以上は当たったようだ。腕で顔を庇うようにしていたカルマリアは、矢が止むとお返しとばかりに無数の紅き刃で猟兵達を襲う。
「許すとか許せないとか、貴女にとってはどうでもよいことでしょうね」
 柔和な顔立ちと穏やかな語気で紡がれたソフィーヤの言葉。しかしその眼差しには、強い反骨心が宿っている。
「精々愉しんでくださいまし。私達はその慢心を突くだけですの」
 ソフィーヤの操る聖なる光は、自分だけでなく仲間たちをも癒やしてゆく。その光は癒し手であることの誇示でもあった。
 癒やしても癒やしても、カルマリアは紅き刃を喚び出し、猟兵達を執拗に傷つけ続ける。複数同時の高速治療は、ソフィーヤの疲労を蓄積させていく。
「……っ……!!」
 だが、痛みであげそうになる悲鳴は声を殺してけっして外には出さず、強き意志を宿した瞳でカルマリアを見つめ続ける。
 どれくらいその状況が続いたか、正確なところは誰にもわからない。けれども、フローリエが紅の刃を炎の矢で弾く数は増えていったことに、そしてアンナがその間にゾンビを掃討していたことに、カルマリアは気づいていない――いや、気づいたのが遅かった。
 しびれを切らしたのだろう、鞭を取り出したカルマリアは、それが届く距離まで間合いを詰め、振るう――だが、鞭が打ったのはソフィーヤではなくアンナの『鮮血の鋼鉄処女』だった。
「なっ……!?」
 彼女は、その時はじめてゾンビたちが一体も残されていないことに気がついたようだ。
「吸血姫。貴女に祈りはいりませんの」
 満身創痍となろうとも、疲労が蓄積しようとも、指先だけでも動けば人形は手繰れる――ソフィーヤの人形が、カルマリアへと向かう。
「裁かれぬ者に、裁きを」
「さあ、安らかな死を差し上げるわ」
 フローリエの放つ炎の矢もまた、カルマリアへと向かって。
「慢心が油断を招いたな」
 接近したアンナが繰り出したのは、『断罪式・薊ノ花』。血で錆びた処刑用の鋸で切りつけ、傷口を抉るように深く、深く。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
 
 狂ったような悲鳴が大広間を満たしてゆく。鋸と人形に攻め立てられて力が抜けたか、床に膝をついたカルマリアに大量の炎の矢が降り注いで――。
「様付けするなら許してあげても良くてよ、ああさようなら」
 応えなどいらぬとばかりに流れるようにフローリエが別れの言葉を紡げば、炎の消えた跡、そこには灰のひとかけらすら残っていなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『キャンドルナイトで慰労会』

POW   :    会場の設営などの力仕事、周辺の不安要素の排除、大規模なパフォーマンスなど。

SPD   :    食事の用意、会場の飾りつけ、人々が集まれるよう呼びかけるなど、場を和ませる工夫を。

WIZ   :    悩み相談を受けたり、安心できる言葉をかけたり、唄や踊りの披露をしたり。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●平和の光
 吸血姫・カルマリアを討伐した猟兵達は、彼女の領地のひとつであった村へと向かっていた。
 カルマリアはオブリビオンゆえにいつかまた蘇らないともいえぬが、今しばらくは平和を噛みしめることができよう。
 平和の光、鎮魂の光となるろうそくの炎を灯し、村人達の心を癒やし、苦しめられた魂を鎮めるのがいいだろう。
 暖かい場所、温かい食事、そして暖かく優しいろうそくの光で、一時の幸せを実感してもらうのだ。
 彼らはもう、十分に苦しんできたのだから。

 もちろん、猟兵達それぞれが共に楽しむのも、物思いに耽るのもいいだろう。なにか他にやってみたいことがあれば、実行に移すのも良い。ただし、ろうそくの光の作る静謐な雰囲気を壊さなければ、だが。

 さあ、村はもうすぐそこだ。
真馳・ちぎり
討伐完了、何よりです
これも神の救い、そう、思し召しでしょう

村に戻りましたら、村人のもとへ参ります
傷ついた心が少しでも癒えるよう、話し相手となりましょう
簡易なテントを張って、そこでひとりずつお話を拝聴します
キャンドルの灯火に心を揺らし、丁寧に祈りを捧げましょう

嗚呼、嗚呼
大丈夫、恐れることはありません
すべては終わったのです
あなたにも、神の祝福がありますよう


ロク・ザイオン
※ジャガーノート・ジャック(f02381)と

(声がみにくいので、歓談の輪には混じらない。
ひとが減ってしまった村だ。今宵ばかりは安心して皆が楽しめばよい。
森番は、村の外で村番をすることにする)
(ついでに無口な戦友も引き摺っていく。鎧相手に喋るのは、ひとよりも気が楽)

…ジャックはあの病をとりわけ嫌ったようだけれど。
何故か。

(奇妙な連想。一切合切の容赦無く、無慈悲に病を引き裂こうという姿。キミの、真の姿は、)

おれのととさまに似ていたよ。

(恐ろしかったか。問われれば喉の奥でざり、と笑う)
まさか。
……偉大で。雄々しき背中でいらっしゃった。


ジャガーノート・ジャック
*ロク・ザイオン(f01377)と

村の外にて村番をする。
電脳体のこの身体では食事を摂ることは叶わない。
何より、この姿は只の人と過ごすには向かない。
怖がる者もいるだろう。

同じように砂嵐じみた声。
此方としても多少気安く喋る気にもなる。

「――加虐者だった」
「弱いものから毟り取る事を生業とする」
「微塵も優しさのないもの」
「本機が最も蔑む存在だ。」
「――――大嫌いだ」

最後の一言だけ、子供じみた呟きだったかもしれないものを
ノイズで誤魔化しながら。

「――それほどに恐ろしい姿だったのか、そのととさまは」

お世辞にも、本機とて微塵も優しいと言えない姿であったろうに、と
脳裏で自分の姿を思い描きつつ問う。


アルバ・ファルチェ
セラ(f03368)とユエちゃん(f05601)に絡みに行く。

【コミュ力】【礼儀作法】【救助活動】【医術】【誘惑】辺りを使って心身のケアに務められたらいいな。
怪我人なんかが居ればユーベルコードも使用した方がいいのかな?

活動中に歌が聞こえてきたら向かってみよう。
キャンドルの明かりが見える、あそこかな?

『やぁ、美人なお嬢さん。素敵な歌だね。
…ひょっとして伴奏が必要だったりするかな?
僕で良ければお手伝いするよ』
なんてウインクを投げてみたりして。
こう見えて【楽器演奏】の特技も一応あるからね、少しは役に立つんじゃないかな?

セラも見てないで、一緒にどう?
僕に出来るんだからセラにも出来るさと引っ張り出そう。


セラータ・ファルチェ
アル(f03368)とユエ(f05601)と一緒に

【礼儀作法】【コミュ力】使って村人がとりあえず安心出来るように会話しよう。
素敵な歌を聴きながらな。
この時はただのキャンドルだけじゃなくてラベンダーの香る物に灯りを灯してみるか。

後はそうだな…子ども向けに絵の描けるキャンドルとペンとかを用意しておけば、子どもも一緒に参加出来そうだな。

アルとユエの演奏・歌唱中、俺は観客に。
…は?俺は歌わな……セラ…
なるつもりだったが、なんやかんやで参加。
ユエの声を邪魔しない程度にコーラスをすることにしよう。


月守・ユエ
ファルチェ兄弟(f03368/f03401)と一緒に
アドリブ大歓迎

慰労会…蝋燭を楽しむ前に、何かできる事ないかな?
【歌唱】で少しでも誰かの心に平穏の灯を送れたらいいなって!
そ鎮魂歌のように静かに儚く、されど優しい歌を紡ぐ
キャンドルを片手に、辺りを照らし
――翳りを帯びる心に安らぎの歌を
みんなの心に平穏を
僕は祈り、贈りたい
月ように柔らかな歌を響かせる

アルバくんに声をかけられるときょとん
「美人…?僕が?
わ、伴奏をしてくれるの?嬉しいっ
一緒に音楽だ♪」
嬉しそうに微笑
誰かと歌ったり演奏すれば、より皆が楽しめる
僕は誰かの為に音楽活動もしてるから嬉しいお誘い!

お、1人増えるの?いいね♪
一緒に歌おうよ!


アンナ・フランツウェイ
私は参加はするけどあまり目立たない様にしよう。処刑する以外取柄があまり無いし。だけど祈りを捧げる事でキャンドルナイトには貢献しよう。

犠牲者達の事で落ち込んでいる村人が居るなら話くらいは聞こう。
ある程度話を聞いたら私が聞いた事のある言葉、「生者の幸福を願えるのは死者の権利」「未来を生きる事が出来るのは生者の権利」を伝える。
その上であなたが未来を生きる事が、死んでいった者達への最大の救いになると伝えよう。これで少しは元気を取り戻してくれると良いけど…。


ソフィーヤ・ユリエヴァ
WIZ
村人達へ聖者として希望を説きますわ
コルネリア様にも拝聴頂ければ光栄ですの

希望とは、正しくこのキャンドルの火のようなものですの
余りに小さく、儚く、掴もうとすればその手を焼き、火も消えてしまう…
けれどどうか、希望の火に手を伸ばした者を、愚かと蔑むのはおやめくださいまし(義勇軍の兄を持つ少女を暗に示し
この儚き火は、手を伸ばさねばその温もりを伝えられません
けれど小さな灯とて、数多集えばこうして闇夜を眩く照らし出しますわ

このキャンドルを皆様の手に一つ一つ持ち続けてくださいまし
そしてその火を誰かの消えたキャンドルにも分けてくださいまし
私達猟兵はその希望の灯火を導の灯台として、必ずや駆けつけますわ



●救いの光が末永く広まりますように
「ほ、本当に領主様を……?」
 村に到着した猟兵達がカルマリア討伐を伝えると、村人達はにわかには信じがたいようで、何度も何度も確認をしてくる。無理も無いだろう、今まで誰もそんな事はできなかったのだから。考えることすら、放棄してきたのだから。
「これも神の救い、そう、思し召しでしょう」
 真馳・ちぎり(ミセリコルデ・f03887)の穏やかな、けれども深く確信をいだいたその言葉に崩れ落ち、涙する村人達。年長者ほど理不尽な領主のやり方に耐えてきた上に、帰ってこぬと分かっていて送り出した若者も多いことだろう。
「私でよろしければ、皆様のお話をお聞きしましょう。いくらでも」
 ちぎりが涙する村人達をテントへと導く。その間に他の猟兵達はそれぞれ準備へと動いた。
(「慰労会……キャンドルを楽しむ前に、何かできる事ないかな?」)
 村内を見渡した月守・ユエ(月ノ歌葬曲・f05601)が辿り着いた答えは、歌。それは歌を愛する彼女にとって至極当然の答えで、同時に彼女が最も得意とするものでもあった。ユエは燭台代わりの木片に乗せた蝋燭に火を燈し、それを片手に歩み始める。
「――闇の隙間から覗く光、遮られても人はそれを忘れることなどできない」
 言葉を旋律に乗せて紡ぐ。
(「少しでも誰かの心に平穏の灯を贈れたらいいなって!」)
 紡ぐ旋律とその声は、レクイエムのように静かに儚く。されど優しい。
「――いくら手を伸ばそうとも、光には届かぬ。諦めず、命を繋ぎ失う、それしかできぬ日々。けれど」
 翳りを帯びる心に安らぎの歌を、みんなの心に平穏を、祈り、贈りたい――その気持を込めて。
「――信じる心、繋いだ命、いつか訪れる光は、必ず平穏を連れてくる」
 月のように柔らかな歌声は、ユエが村のどこを歩いていても、不思議と村中に響き渡っていった。

 素敵な歌が響く中、アルバ・ファルチェ(紫蒼の盾・f03401)は持ち前の技術や人柄を活かして、主に女性たちの対応をしていた。かつて子どもを領主館へ送り出した婦人たち、これから生まれる子どもも、いつか送り出さなければならないのだろうかと不安だった若奥さんたち、領主館に送り出される順番が近づいていることを察して怯えていた少女たち――。
「もう安心して。泣かないでっていうのは無茶なお願いだよね。好きなだけ泣いていいよ」
 優しく告げて、ひとりひとりの手に触れることでぬくもりという『安心』を与えながら蝋燭を渡してゆく。
「これはこう使うんだ」
 対して、アルバの双子の兄であるセラータ・ファルチェ(蒼蒼の盾・f03368)は、机代わりの木箱の上にさまざまな蝋燭とペンを並べて。傍らに灯したラベンダー香る蝋燭の香りに惹かれてきた、不思議そうにしている子どもたちに、火の付いていない蝋燭に簡単な絵を描いてみせた。
「わぁっ!!」
「いいの?」
「すきなのかいていいの?」
 子どもたちは敏感だ。生まれた時から村が纏う暗い雰囲気を、大人たちの発する諦めの空気を、難しいことはわからずとも感じていたはずだ。だからこそ今、それまで無意識に押さえつけられていた子どもらしい感情を爆発させて、セラータの周りに駆け寄った。
「慌てなくても人数分あるからな」
「みてみてー、あたし上手?
「ぼくのもぼくのも!」
 全員に行き渡るように蝋燭とペンを渡すセラータに、早速かきあげた子どもたちが蝋燭を見せてくる。一般的にみればそれはお世辞にも上手とはいえぬもので、何を描いたのかわからないものもあったけれど。
「ああ、とても上手だ」
 初めて偽りではない平穏に触れた子どもたちが描いたものだ。何よりも尊く、そして美しいものに見えた。

「やぁ、美人なお嬢さん。素敵な歌だね」
 自分の近くに集まった女性たちに蝋燭を渡し終えたアルバは、先ほどから気になっていた歌声の方へと向かった。そこで美しい歌を紡いでいるのは、黒髪に金の瞳が印象的な女性――ユエだ。ウインクを投げてみる。
「美人……? 僕が?」
「うん……ひょっとして伴奏が必要だったりするかな?」
「わ、伴奏をしてくれるの? 嬉しいっ。一緒に音楽だ♪」
 一瞬きょとんとした表情を見せたユエは、アルバが続けた言葉に笑顔になる。
「即興でいいかな……合わせるよ」
 村にあったリュートに似た古びた楽器の弦を弾くアルバ。ユエは頷いて再び歌い始める。弦の音が歌声に沿うように、綺麗なハーモニーを作り出してゆく。
「キャンドルに火をつける時は、大人と一緒にな」
 最後の子どもにも、注意を添えて蝋燭を渡したセラータは、ユエとアルバの紡ぐ旋律の観客となっていた。いつのまにか蝋燭を灯した村人達が、ふたりを囲むようにして音楽に聞き入っている。その表情は酷く穏やかで、祈りと願いに満ちて見えた。
「セラも見てないで、一緒にどう?」
「……は? 俺は歌わな……」
 と、突如アルバに腕を引かれて。
「僕にも出来るんだから、セラにもきっと出来るさ」
 軽く言い放つ弟。固辞するつもりだったセラータだが。
「お、1人増えるの? いいね♪ 名前は? 一緒に歌おうよ!」
 ユエにそう言われて招かれてしまった。村人達も期待の声やら拍手やらを送ってくる。こうなってはここで辞退するのも無粋かと判断して。
「……セラータ」
 名を告げて腹をくくる。
 ユエの歌声に沿うアルバの伴奏、そして彼女の声を邪魔しないセラータのコーラス。村中に広がるその旋律は、平和の象徴のようだ。

 歌の聞こえる位置に張った簡易テントの中で、ちぎりは村人達の話を聞いていた。傷ついた心が癒えるよう、ひとりずつの話に丁寧に耳を傾ける。いくつか灯した蝋燭の灯りは、テントの中を優しく照らす。
「私は、領主様に怯えるあまり、自分の子どもを3人、見送りました……もちろん、誰一人として帰ってきていません……」
 白髪の混じり始めた男性は、拳をギュッと握りしめて、紡ぐ。ちぎりのテントを訪れるのは、この男性のように自分の家族を領主館へと送り出した経験のある、歳を重ねた村人が多かった。
「もし、生きていれば……今日という日をあの子達も迎えられたかと思うと……」
 生き延びるためには仕方がないことだった――だが、後悔をしなかった者などいるだろうか。
 今まではそれを口にだすことさえも憚られて、胸にためることしかできなかったかもしれない。けれども今は、もう……。
「……自分の家族ではなく、他の家の者が送られると知って、安堵したことすらある……私は、なんと、最低な……!!」
 それまで『当然』で『皆同じ』だからと自らを納得させていた罪悪感や悲しみが、村人達を襲い始めている。だんだんと、彼らは気づくだろう。己のしてきたことを、己が感じたことを。そして恐れるだろう。自分がそう感じていたことを、他の者達が知ったらどう思うか、と。
「嗚呼、嗚呼……大丈夫、恐れることはありません。すべては終わったのです」
 ちぎりは祈るように手を組み、そして男性へと真っ青な瞳を向けて。
「あなたにも、神の祝福がありますよう――」
 ひとりひとりに丁寧に接するちぎりのテントの列は、夜半まで途切れることはなかった。

 処刑する以外取り柄があまりないから目立たないようにしよう、と村の隅で蝋燭の光に祈りを捧げていたアンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)は、自分のように村の隅から村人達と蝋燭の灯りを見つめている老人に気がついた。
「失礼。話を聞かせてもらえないだろうか」
 その老人の瞳に喜びの色よりも別のものを強く見出したアンナは、蝋燭片手に老人へと近づいて声をかけた。声をかけねば、今にも消えてしまいそうに見えたからだ。
「この度は、本当にありがとうございます……」
 深く深く頭を下げた老人は、この村の村長だと名乗った。
「私は村長として、今までの村長がしてきたように、領主様の館へと送り出す者を決めてきました。もちろん、村の主だった者達との議論の上です。ですが、決定権は村長たる私に有りました」
「……、……」
 彼の話を聞くごとに、アンナは彼の考えていることがなんとなく感じ取れた。
「候補が何名か上がった場合は、私が誰にするか決断をくださねばならなかった。もちろん、自分の親類とて例外ではなく。村長の家系であるからして、跡継ぎのみは別でしたが……」
 この男は誰よりも罪悪感に押しつぶされそうになっているのだろう。それがアンナにもわかる。
「送り出す者を選ばなくて良くなったことで、人々は気づくでしょう。怒りと悲しみをぶつける先にふさわしいのが、私であることに。皆がそれで納得するなら、私の命などいくらでも捧げましょう」
「それで本当に、村人達は救われると?」
「……」
 アンナの問いに、帰ってきたのは沈黙。恐らく村長自身も気づいているのだろう。それが、新たな苦しみと罪悪感しか産まぬ自己満足であるということに。
「こんな言葉を聞いたことがある。『生者の幸福を願えるのは死者の権利』そして『未来を生きる事が出来るのは生者の権利』。この言葉を聞いて、あなたは何を思う?」
 沈黙を続ける村長の肩が微かに震え、蝋燭を持つ手からは今にも力が抜けそうだ。
「あなたが未来を生きる事が、死んでいった者達への最大の救いになる」
 キャンドルは預かろう――告げて受け取った蝋燭を手に、アンナは村長の隣に立ち続ける。ふたつの灯火で、村長を照らし続ける。
 これで少しは元気を取り戻してくれれば、生きることを放棄しないでくれればいい、アンナは祈った。

 村の中からは歌声と音楽が聞こえる。だがジャガーノート・ジャック(OVERKILL・f02381)とロク・ザイオン(疾走する閃光・f01377)はその中に加わらず、村の外で村番を引き受けていた。
 ジャガーノートは電脳体である己は、そして黒豹型の機械鎧を纏った異形の姿は人と過ごすのに向かないと判断して。怖がる者もいないとは限らないから、と。
 ロクは声がみにくいので、歓談の輪には混ざらないと決めて、無口なジャガーノートと共に。
(「ひとが減ってしまった村だ。今宵ばかりは安心して皆が楽しめばよい」)
 それに、と隣りにいるジャガーノートに視線を向ける。
(「鎧相手に喋るのは、ひとよりも気が楽」)
 焚き火に照らし出されたふたり。
「……ジャックはあの病をとりわけ嫌ったようだけど。何故か」
 病とはカルマリアのことだ。同じように砂嵐じみた声に問われ、多少気安く喋る気になったジャックノートはぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。
「――加虐者だった」
 相変わらずノイズ混じりの声で。
「弱いものから毟り取る事を生業とする」
 音楽が、とても遠く聞こえる。
「微塵も優しさのないもの」
 パチリ、焚き火が弾ける音がした。
「本機が最も蔑む存在だ」
 風が炎を揺らし、ふたりの影が大きく揺れて。
「――大嫌いだ」
 最後の一言だけ、それまでと違って子どもじみたものが滲み出たけれど、それをノイズで誤魔化して。
「……、……」
 黙ってその言葉に耳を傾けていたロクの思考に走る、奇妙な連想。
(「一切合切の容赦無く、無慈悲に病を引き裂こうという姿。キミの、真の姿は……」)
「おれのととさまに似ていたよ」
 知らない者が聞けば、脈略の無いやりとりに聞こえるだろう。だが、ジャガーノートにはロクの言葉の指すものがわかったから。
「――それほどに恐ろしい姿だったのか、そのととさまは」
 脳裏で自分の真の姿を思い描きつつ、問う。お世辞にも、本機とて微塵も優しいと言えない姿であったろうに、と付け加えれば、ロクは喉の奥でざり、と笑った。
「まさか」
 ああ、遠ざかっていた音楽が戻ってきた。
「……偉大で。雄々しき背中でいらっしゃった」
 それ以上、ふたりしも何も言わなかった。
 静寂の中に響く旋律。薪の爆ぜる音。ふたりで過ごす空間は、不思議と心地よい――。

 はしゃぎ疲れて子どもたちが眠りに落ちたあと、ソフィーヤ・ユリエヴァ(黒百合の聖者・f10512)は大人たちを集め、蝋燭を手に言葉を紡ぎ始める。
「希望とは、正しくこのキャンドルの火のようなものですの」
 そこには、村の大人たちだけではなくソフィーヤに声をかけられたコルネリア・メーヴィス(闇に咲いた光・f08982)の姿もあった。彼女も蝋燭を片手に、村人達と共にソフィーヤの言葉に耳を傾けている。
「余りに小さく、儚く、掴もうとすればその手を焼き、火も消えてしまう……」
 ソフィーヤが自身の蝋燭の火へと手を伸ばす。けれどもその手を直前で止めて。
「けれどどうか、希望の火に手を伸ばした者を、愚かと蔑むのはおやめくださいまし」
 その言葉が暗に指すのは、レジスタンスへ参加した兄を持つ少女の一家のことだ。
「この儚き火は、手を伸ばさねばその温もりを伝えられません」
 ソフィーヤが炎に手をかざすと、村人達も真似るように自身の炎へと手を伸ばす。
「暖かい……」
 小さな呟き、すすり泣きが聞こえ始めて。それはソフィーヤの言葉が、思いが村人達に届いた事を表している。
「けれど小さな灯とて、数多集えばこうして闇夜を眩く照らし出しますわ」
 その言葉に、ソフィーヤに近づいたコルネリアが、彼女の蝋燭へ自分の蝋燭を近づけた。寄り添う蝋燭が照らし出す範囲は、当然のごとく広くなる。けれどもこの村の人々は、それすら知らずに生きてきたのだ。
「このキャンドルを皆様の手に一つ一つ持ち続けてくださいまし」
 幾人かの村人の蝋燭が燃え尽きて消えてしまった。コルネリアが新しい蝋燭を配る中、ソフィーアは続ける。
「そしてその火を誰かの消えたキャンドルにも分けてくださいまし」
 ひとりが、新しい蝋燭を受け取った隣の人へ、自分の蝋燭を差し出して。意図を察した相手は、新しい蝋燭に火をもらい、灯りは広がる。
「私達猟兵はその希望の灯火を導の灯台として、必ずや駆けつけますわ」
 まだ火の付いていない蝋燭を手にした人々に、ソフィーヤ自身が火を分けて歩く。
 これからの村人達へ、祈りと願いを心にいだきながら――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月16日
宿敵 『嗜虐の吸血姫カルマリア』 を撃破!


挿絵イラスト