アースクライシス2019②〜共に闘う者たち
●激戦
ロサンゼルスの海岸では、いままさに撃戦が繰り広げられていた。
アトランティスの洪水兵器を操る「オブリビオン軍」による洪水の兵器化は、ロサンゼルスのみならず世界をも滅ぼしかねない恐るべきものだ。
それに対抗するため、国連軍・ヒーロー・ヴィランからなる「ロサンゼルス防衛軍」は果敢にオブリビオン軍へと挑んでいた。
種族がなんだというのだろう。
思想がなんだというのだろう。
世界を守るため、アメリカ西海岸ロサンゼルスで結成されたロサンゼルス防衛軍は、手を取り合い、助け合いながら際どいところでオブリビオン軍の侵攻を受け止めているのだ。
ロサンゼルス防衛軍の軍備や戦力は、オブリビオン軍には到底敵わないものだというのに。
意思か、共闘によるものか。
ヒーローがヴィランを癒したり、ヴィランがヒーローを庇ったりと、滅多に見られないであろう光景は同じ戦場にいる者の士気を不思議と高揚させる。
そのようにして雑兵との戦いはどうにか捌いているロサンゼルス防衛軍であったが、彼らがどうにもできない存在がいた。
「――ぐわっ!?」
「おい、冗談はよせ! あの程度の平手打ちで……ぐうっ!?」
平手打ちされて吹き飛んだヴィランを、ヒーローが体を張って受け止めた。が、次の瞬間、ヒーローも平手打ちをされ、一瞬で数メートル吹き飛んだ。どちらも屈強な肉体を持つ者、だというのに。
一方の平手打ちをした者は、一見したところ、少女。少女は腰に手を当て、得意気に数メートル先で倒れる彼らを半目で見遣る。
「ふふん、あなたたちがいくら束になろうと、私の相手ではありません!」
オブリビオン軍を指揮する「ボス」を前に、ロサンゼルス防衛軍は手も足も出ないでいたのだった。
●グリモアベースにて
「猟兵さんたちの出番、なんだよ!」
佐伯・キリカ(陽気に元気・f00963)が、拳を掲げる。
「ロサンゼルス防衛軍が苦戦している、オブリビオン軍の対処に当たってほしいんだよ」
なんて一言で言っても、実際に行うことはそれだけではない、わけで。
戦場、すなわちアメリカ西海岸ロサンゼルスでは、無数の砲弾やユーベルコードが飛び交っている。無論、猟兵が相手にするのは、それらの「雑音」ではない。
「猟兵さんたちが相手にするのは、オブリビオン軍を指揮するボス! ボスだけを狙って、確実に撃破してほしいんだよ!」
雑兵なら、ロサンゼルス防衛軍がなんとか相手にできる。だが、ボスだけにはどうにもならないのだ。猟兵ならばボスへの対処が可能、というのならば、ここで動かない理由は無いというもの。
「武勇伝っていう土産話を楽しみにしてるんだよ! それじゃ、猟兵さんたち、気をつけて行ってらっしゃい!」
猟兵なら確実に成しえるだろうとどこか確信めいた思いを抱き、キリカは猟兵たちの転送を開始した。
雨音瑛
ヒーローズアース! 戦争!
そして今回は特殊なプレイングボーナスがありますので、以下を一読ください。
●プレイングボーナス
このシナリオでは「飛び交う砲弾やユーベルコード、雑兵の攻撃をかわす」プレイングがあると、プレイングボーナスが発生します。
※プレイングボーナスが発生した場合でも、必ずしもその箇所がリプレイで描写されるわけではないことご了承ください。
●ボス補足
特にこれといって有利になる情報なのか不明ですが、このボスは蛙が大好きです。
第1章 ボス戦
『創造物ブーゲンビリア』
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POW : 蛙さんが大好きです!
自身の身長の2倍の【大好きな蛙のぬいぐるみ】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD : こ、こっちに来ないでください!
【平手】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ : これでどうですかっ!
【手に刻まれた呪紋】を向けた対象に、【熱を帯びた光線】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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レイチェル・ノースロップ
・POW
あら、かわいい子デスね
でも、強烈な平手打ちにはゴヨージン
かわいくてもオブリビオンですもの
油断は大敵ね
銃弾を【残像】で躱しながら、迫る砲弾を【踏みつけ】、それを足場にして大【ジャンプ】!
サンシタ達を一気に飛び越えてBOSSまで一気に距離を詰めマース
Oh…Bigfrog
ついつい頭に乗りたくなっちゃうけど、お姉さんが乗るには小さすぎるわね
跳びかかるカエル=サン達を【見切り】ながら躱してクナイダートで応戦しますが、やはりぬいぐるみだから痛みを感じないのかしら
なら…ザンテツブレードによる【ワザマエ・ギリ】で一刀両断していくわよ
すれ違い様に【カウンター】、伸びた舌を【武器落とし】してキリステするわ
銃弾を避ける一人のスーパーヒーローは、その姿と相まって忍術を――より具体的に言えば『分身の術』を――使用しているようにも見えた。けれどそれらは全て残像。彼女の額を、心臓を貫いたはずの弾丸はやがて推進力を失い、乾いた音を立てて地面へと転がった。
無傷のニンジャヒーローは、ひたすらにロサンゼルス西海岸を進む。
地面を蹴る足はしなやかに、飛び交う砲弾を踏みつけた次の跳躍は力強く。角度の変わった弾丸は地面に激突し、めり込む。
対して、跳躍したのはレイチェル・ノースロップ(ニンジャネーム「スワローテイル」・f16433)。
「サンシタに用は無いのデース!」
陽光を受けながら一気にボスまでの距離を詰めたレイチェルの着地地点は、目論見どおり『創造物ブーゲンビリア』の付近だ。
「――あら、かわいい子デスね。ユーがBOSSとは思えないデスよ」
「それは褒め言葉……と思っていいのでしょうか?」
少しばかり得意気に、ブーゲンビリアが微笑んだ。直後、双方は無言。間には不穏な空気が漂っている。
最初に動いたのは、ブーゲンビリアの方であった。
「埒があきませんね。では、私からいきますよ!」
少女が両手を前に突き出すと、紫色をした蛙のぬいぐるみが出現した。それがただのぬいぐるみならばレイチェルだって、
「Oh……Bigfrog」
などと呟かなかっただろう。
召喚された蛙のぬいぐるみの大きさは1mあるかないかのブーゲンビリアの身長の二倍。つまり、レイチェルより少し大きいくらいである。しかしブーゲンビリアは気にすることなく、その場で拳を突き出した。
「蛙さん、やっちゃってください!」
するとぬいぐるみの腕も伸び、同じようなパンチを繰り出す。僅かな風圧を感じてすぐに動きを見切ったレイチェルは、クナイを数本、ぬいぐるみに投擲した。
「So Cute! ついつい頭に乗りたくなっちゃうけど、お姉さんが乗るには小さすぎるわね……しかもぬいぐるみだからかしら、痛みを感じないようにも見えるわ」
それなら、とレイチェルの口角が上がる。クナイを収めて取り出したるはは「ザンテツブレード」という名の刀――と言い切るには少し悩んでしまうのは、刀身が超高速で振動しているからだったりする。
上体をやや前傾させ、レイチェルは正面から突撃した。ぬいぐるみの口が開き、舌が伸び始めるのを見て、自在に軌道を修正する。
「キ・リ・ス・テ、ソーリー」
閃きの色は一瞬で空中に消え、代わりにぬいぐるみの胴体を両断する。
レイチェルがぬいぐるみとブーゲンビリアの横を通り過ぎた後、ワザマエな一閃はぬいぐるみの舌をも切り落としたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アララギ・イチイ
可愛い子ねぇ
思わず食べてしまいたいけど(食欲的に)ぉ……大勢の視線もあるから止めておきましょうかぁ
【選択UC】使用よぉ
敵(襲来する弾丸、雑魚やボスも含めて)からの邪魔な攻撃類はこの自動防御システムの【早業・盾受け】に任せておきましょうかぁ
で、私は防御を上記に任せつつ、【武器改造】の砲身+砲機関部+動力炉を合体させて巨大砲を構築、遠距離(敵の接近戦UCを避ける為)から大口径ビーム(強化型)を照射して【なぎ払い】、ボスの周辺ごと【範囲攻撃】するわぁ
接近されそうになったら、改造ブーツのホバー移動で【ダッシュ】で距離を稼ぎ、それでも無理なら……ブーツのドリルキックで【カウンター】の【串刺し】攻撃よぉ
「さぁて」
戦場を一瞥したアララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)の周囲に、いくつもの盾が出現する。
「この防御システムを簡単に抜けるとは思わない事ねぇ」
歩み始めたアララギの付近では、当然、無数の弾丸や砲弾が飛び交う。しかし、それらは何ひとつとしてアララギを傷つけることは敵わない。
周囲に展開されたおよそ七十の盾が、彼女を傷つけるに至ると判断された攻撃をすぐさま弾くからだ。
弾ける攻撃の余波に白衣を翻らせ、アララギはいっそ優雅に戦場を進む。
そうして少し先にボス『創造物ブーゲンビリア』を視認できる状態になると、ぴたりと歩みを留めた。
「あらぁ、離れた所から見てもわかるくらい可愛い子ねぇ。思わず食べてしまいたいけどぉ……」
それは、比喩ではなく直接的な意味だ。他人の血肉を嗜好品扱いするアララギは、唇を舐める。
「大勢の視線もあるから止めておきましょうかぁ」
変わらず続く雑魚の攻撃や砲撃を盾に任せたまま、アララギは武器改造に勤しみ始めた。やがて完成したのは、巨大な砲。
何の躊躇も無く引き金を引けば、大口径のビーム砲がブーゲンビリアの周囲一帯を薙ぎ払う。
焦土となったエリアでは、たった一人だけ、のろのろと立ち上がった。
「ううっ……」
無論、ブーゲンビリアだ。
「攻撃は……あそこからですね。これでどうですかっ!」
アララギの方へと、呪紋の刻まれた手の甲を向けるブーゲンビリア。そこから放たれた熱光線は、当然のごとくアララギの周りに浮かぶ盾がはじき返す。
「っ! それなら……!」
と、ブーゲンビリアはアララギに向かって駆け出す。至近距離での攻撃を仕掛けるつもりなのだろう。
「あらぁ、怖いわねぇ」
不敵な笑みを浮かべ、アララギは改造ブーツを用いてホバー移動を開始する。ブーゲンビリアと距離を稼ぎ、ある程度の距離になったところで大口径ビームを放つ。それを繰り返し、アララギは無傷のままブーゲンビリアの体力を削ってゆくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ソラスティベル・グラスラン
あらまっ、かわいい女の子が
彼女がこの場の指揮官なのですね…ふふふ、見た目に反し強いようです!
防衛軍の皆さん、ここはわたしにお任せを
オブリビオンには、猟兵です!
【盾受け・オーラ防御】で身の守りを固め突撃
【見切り】で飛び交う砲弾をかわし、また【怪力】を籠めた盾で容易く弾きます
意識外からの攻撃は【第六感】で回避
【空中戦・ダッシュ】で駆け抜け只管に前進
彼女に大斧を叩きこむまで!
蛙さんはわたしも好きです!もっと小さいのですが!
ぬいぐるみの攻撃を【盾受け・怪力】でいなし…隙を見て【ダッシュ】!
彼女とぬいぐるみが一直線になり、わたしの姿が隠れるように
わたしを見失った瞬間、ぬいぐるみを飛び越え…大斧の一撃を!
砲撃、銃撃、その他他ユーベルコードによる攻撃が、止むこと無く戦場を覆っている。
「防衛軍の皆さん、ここはわたしにお任せを。オブリビオンには、猟兵です!」
「おう、頼んだぜ!」
「雑魚はアタシたちに任せて!」
ヒーローとヴィランの声援を受け、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は戦場を駆け抜ける。
「さあ、どこからでもどうぞ!」
胸に燃える勇気の炎は、今日も健在だ。
最初に見えたのは、真正面からの砲弾。怯まず盾で受け止め、ヒーローやヴィランもかくやという怪力で難なく弾く。
無意識に少し首を傾げたのは、スナイパーライフルらしきものから飛んできた銃弾をかわすため。
持てる能力を駆使し、ソラスティベルは紫色の少女『創造物ブーゲンビリア』を発見した。
「あらまっ、かわいい女の子ですね! なるほど、彼女がこの場の指揮官なのですね」
少し観察すると、防衛軍の攻撃がまるで通っていないのがわかる。
「……ふふふ、見た目に反し強いようです! 腕が鳴りますね!」
雑兵たちの攻撃を飛び越えて加速したソラスティベルは、蒼空色の巨大斧を構えた。
「まずはご挨拶、ですよ!」
「――むっ!」
気付いたブーベンビリアが、蛙のぬいぐるみを召喚する。ブーゲンビリアを守るような位置に立つぬいぐるみではあるが、ソラスティベルはそのまま大斧の一撃を叩き込み、笑んだ。
「わあ、蛙さんですか! 蛙さんはわたしも好きですよ! もっと小さいのですが!」
「ふふん、蛙さんが好きとはなかなか見どころがありますね。でも、残念ながらここでお別れですよ!」
ブーゲンビリアが両手を合わせて槌のように振り下ろすと、ぬいぐるみも同じようにしてソラスティベルへと拳を振り下ろす。
「重い、ですが――わたしなら対処可能ですっ!」
すかさず盾で受け、いなす。ぬいぐるみの拳が地面にめり込んだその隙に、ソラスティベルは駆け出した。すると、ブーゲンビリアは彼女の姿をしばし見失う。
「むっ、どこですか! もしや逃げ――」
「残念でした、わたしはここです! 逃げも隠れも……いや、ちょっとだけ隠れはしましたけど! ともかく! ――これぞ我が勇気の証明、至る戦火の最前線!今こそ応えて、蒼雷の竜よ!!」
ぬいぐるみとブーベンビリアが一直線になる位置を取っていたソラスティベルは、ぬいぐるみを蹴りつけて飛び越えた。そこからは重力に任せて降下、ブーゲンビリアとの距離が30cmを切ったところで、勇者の少女は力の限り蒼雷を纏う大斧を振り下ろす。
手応えは充分。ブーゲンビリアの呻き声を耳にしつつ数歩進んで振り返ると、一撃の余波を受けたのだろうか、蛙のぬいぐるみも弾け飛んでいたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
兎乃・零時
アドリブ絡み大歓迎
今更だけど、ヒーローアースの世界ってすげぇ広かったんだな―
UDCアースでも日本にしかいなかったし…ちょっとわくわくするかもだ!
いざ!ロサンゼルス!
ァ―――!?あぶ、あぶな―――!?
飛び交う砲弾やら攻撃は、全力で【ダッシュ・逃げ足】で避け切る…!
【気合い】入れりゃ大丈夫…!
え、え、平手打ち強くない!?
なんだその力!?
紙兎パルの【援護射撃】で上手い事雑兵を蹴散らしてもらいつつ、俺様自身は一点集中!
創造物ブーゲンビリアを狙い撃つ!!
か、カエルがでけー!?
平手打ちは【カウンター】…【捨て身の一撃】の【零距離射撃・全力魔法】なUCだ!
痛くても【激痛耐性】で我慢だ…!!
めっちゃ痛い…(泣
パウル・ブラフマン
どもー!御馴染み
エイリアンツアーズでっす☆
日頃Glanzの【運転】で
磨き上げたオレの動体視力じゃ
砲弾なんて止まってみえるよね♪
冷静に敵勢の攻撃を【見切り】つつ
壁面走行や【ジャンプ】などで躱しながらも魅せるよ!
ボスをKrakeの射程範囲に納めたら
かえるさんのゆるいイラスト&鳴き声付誘導弾を射出。
ボスに隙が生じたら
死角からサクっと全砲門【一斉発射】ァ!!
接近には【野生の勘】を活かして
敵射程内に入らぬよう、Glanzを繰って対抗。
アウトレンジ戦法を心がけるよ。
他猟兵さんや
現地ヒーロー・ヴィランのピンチには
車体ごと【スライディング】して
間に入り込み【かばう】ようにしたいな。
※絡み&同乗&アドリブ歓迎!
ヒーローズアースが想像以上に広いことに、兎乃・零時(そして少年は断崖を駆けあがる・f00283)は今さらながら感嘆の息を漏らした。
ちょっぴりのわくわくと此度の仕事に意識を巡らせ、少年は踏み出し――
「いざ! ロサンゼルス!」
た、のだが。
零時の目の前を掠めるのは、大きな砲弾。前髪を揺らすにとどめたそれは、数メートル先で着弾して派手な爆発を起こした。
「ァ―――!? あぶ、あぶな―――!? うわ次の来た!?」
このまま止まっていては恰好の標的になる。零時は慌てて駆け出した。
全力のダッシュと逃げ足を駆使し、もはや気合いと言って差し支えないレベルで弾丸砲弾その他の攻撃を回避し尽くす零時である。
「よし、あれがボス『創造物ブーゲンビリア』だな。パル、雑兵は任せ――」
紙兎パルに援護射撃を依頼する零時の頭上を、何やら白銀の宇宙バイクが飛び越えてゆく。戦闘機のエンジンを積んだバイクだ、その轟音はそこいらの攻撃の比ではない。
武骨なフォルムでありながら艶やかな蒼き光線を纏うその宇宙バイクは、陽気なキマイラの青年パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)を乗せていた。
「どもー! 御馴染みエイリアンツアーズでっす☆ ヒーローズアース戦場ツアー・ロサンゼルス縦断&銃弾コースの下見に来ました!」
「あっ、お仕事お疲れさまです」
思わずぺこりと頭を下げる零時と、営業スマイルを返すパウル。無傷の二人は同時に頷き、ブーゲンビリアへと体を向ける。
「オレはパウル、よろしくね♪ 今から隙つくるから、良いタイミングで攻撃頼める?」
「俺様は零時だ。あ、ああ、一点集中の予定だったから助かるぜ!」
「よし、目的合致! それはツアー下見再開としゃれこもうか☆」
触手に固定した砲台をブーゲンビリアの方へと向けたパウルは、瞬く間に誘導弾を射出した。
ゆるい蛙のイラストが描かれたその弾丸は、蛙の鳴き声を響かせながらブーゲンビリアの目の前を横切って行く。
「はっ! まだ見ぬ蛙さん!?」
「よっし、全砲門一斉発射ァ!!」
ブーゲンビリアの目が輝いたその一瞬、パウルは一斉砲撃を加えた。
一帯が爆煙に包まれた後、ブーゲンビリアの咳払い聞こえる。どうやらまだまだ少女の撃破には至らないらしい。
「うう……蛙さんを囮にするなんて許せません、ここはびしっとばしっと――お返しです!」
と、「ぱー」にした手を肩あたりでぴたりと止めるブーゲンビリア。そう、対象であるパウルはGlanzに乗って30cmどころか数メートル先にいたのだ。
「……む、遠いですね。じゃあこっちでいいのです!」
「じゃあってなに、こっちでいいってな――ッ
!?!?」
犠牲になったのは、そこそこ手近なところにいた零時であった。
激痛耐性を発動しても訪れる痛みに零時の目、その端から一滴の涙がこぼれ落ちる。
(「え、え、強くない!? 平手打ちでしょそれ!? なんだこの力!?」)
思考しつつも、零時は半ば無意識にカウンター行動を取っていた。
「避けれるもんなら…避けてみやがれ!!!」
ブーゲンビリアの首元に触れ、一気に魔力を放出する。それはブーゲンビリアと平手と同じ間合いを持つユーベルコードであるから、懐に潜り込めればむしろ好機とも言える。
「い――痛いのです!」
涙目のブーゲンビリアは、大きな――といっても、2メートルあるかないかではあるのだが――蛙のぬいぐるみを召喚した。
「か、カエルがでけー!?」
確かに蛙としては大きい。零時の危機を感じ取った紙兎が、ぬいぐるみへと援護射撃を開始する。
直後、ブーゲンビリアが「ぴょんっ」と飛んだ。するとぬいぐるみの方は「びょんっ」と飛んだ。
「や、やば――あばッ!?」
やけにゆっくり落ちてくる影におののく零時を、何かがひっつかんだ。
「はいはーい、集合時間でっす☆ 間に合いそうにない人は直接回収♪」
それは宇宙バイクの車体ごとスライディングして割り込んだ、パウルの触手であった。
そうしてパウルはブーゲンビリアとぬいぐるみとの距離を取るべく、エンジンを噴かす。
「た、助かったぜ……! にしても、ブーゲンビリア、だっけか。アイツ、かなり弱ってきたように見えるな。こっちを追いかける速度も大したことないし」
「ってことは、何とか倒せそうだね♪ さて零時くん、シートベルトは絞めた? ココから先はノーブレーキだぜ」
「えっシートベルトっていうか触手が絞まっ、ヴァッ――!?」
宇宙バイクをさらに加速させるパウルとシートベルト代わりの触手に締められた零時は、次々と到着する猟兵たちに後を託し――ひとまず戦場を後にしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フィランサ・ロセウス
砲弾や雑兵の攻撃はUCの他、建物の間を「ニンジャ・フックシューター」を使い三次元的に移動したり、
瓦礫を盾にするなど【地形を利用】して回避
その為に必要ならば周囲の建造物の破壊(【破壊工作】)も視野に入れる
ブーゲンビリアに近づくまではなるべく【目立たない】ように行動して、手下との戦闘を避ける
充分に近づいた所でクロックアップ・スピード発動し攻撃開始
自身も高速になれば平手打ちも幾らか避けやすくなるはず
チャンスがあれば手に刻まれた呪紋の【部位破壊】も狙う
「可愛らしいお嬢ちゃん、次は私と遊びましょ❤」
「私も蛙の鳴き声って“好き”よ?だから…あなたも蛙みたいに無様に鳴いてみせて❤」
異様な加速を見せるダークヒーローの少女の少女は、目にも留まらぬ速度で砲弾や雑兵の間を駆け抜ける。
「任務❤ 任務❤」
建物の前に到達するや否やニンジャ・フックシューターを使用、華奢な体が持ち上げられ、ビルの隙間を器用に移動する。
速度も相まって、敵軍の雑兵たちはフィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)の姿を視認できない。
赤い瞳にハートの瞳孔を輝かせるフィランサは、無傷のまま『創造物ブーゲンビリア』の眼前に着地した。
「可愛らしいお嬢ちゃん、見つけた❤」
ブーゲンビリアの周囲には、彼女に挑んで敗北したヒーローやヴィランの姿がある。フィランサはそれらを一瞥し、指を鳴らした。
「次は私と遊びましょ❤」
「あなたに、私と遊ぶ資格がありますか?」
再び、フィランサの移動速度が増大してゆく。
「もちろん。あなた、蛙が好きなんでしょ? ふふ、私も蛙の鳴き声って“好き”よ? だから……あなたも蛙みたいに無様に鳴いてみせて❤」
その言葉にか、見えぬ動きにか。ブーゲンビリアは震えて数歩下がり、手のひらを広げる。
「――ひ。こ、こっちに来ないでください!」
片方の手で蛙のぬいぐるみを強く抱きしめたブーゲンビリアの平手打ちは、ほとんど宙を切った。
どうやら、平手打ちはフィランサの頬をわずかにかすめるにとどまったらしい。頬に走る数ミリほどの赤い線を気にも留めず、フィランサは攻撃を繰り出す。
再びブーゲンビリアが平手打ちの構えを見せたその時。
フィランサの攻撃は、ブーゲンビリアの片手の呪紋を抉った。
「ひ、う――――あ――!」
「わぁ、いい鳴き声❤」
ブーゲンビリアの悲鳴をじっくりと味わうように、フィランサは両の手で頬をおさえ、歓喜の笑みを浮かべたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
★Venti Alaに風魔法を宿し
翼と合わせ【空中戦、空中浮遊】で低空飛行
Venti Alaは翼を狙われた時の保険
どちらかが無事な限り飛び続ける事が出来る
危ない時には障害物の影に避難し確実な接近を
【激痛耐性+オーラ防御】を纏い
砲弾は【聞き耳】で方角とタイミングを聞き分け対処
UCは常に周囲を注視し発動の前触れを【見切り】回避
雑兵の妨害を受けないよう柔軟に高度変化
回避が難しい流れ弾は★爪紅の【投擲】で相殺
ボス戦は…つまり距離さえ取れば無問題って事だよね?
空中歩行も駆使し常に一定の距離を保つようにうろちょろ
氷魔法の【高速詠唱、属性攻撃】で足>手の順に凍結、動き封じ
【指定UC】の【全力魔法】で攻撃
雑兵を倒したヴィランの横を、何か翼を持ったものが通り過ぎて行く。
「何だ、今のは。鳥か? にしても戦場に鳥なんて――」
「いや、違う。あれは猟兵だ!」
ヒーローが指差す先には、少女と見紛うオラトリオの少年、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が白い翼を広げて低空飛行していた。
「ヒーローさん、ヴィランさん、ここは僕たち猟兵に任せて。その代わり、雑兵の対応は頼んだよ!」
任せろ、という心強い声に砲撃の音が重なった。
「今のは……あっちからだね。それなら!」
僅かに高度を上げ、砲弾が眼下を行くのを見送る。雑兵のUCは、絶え間ない観察で発動の前触れを見切り、残らず回避する。
時には高度を思い切り上げ、ユーベルコードで狙われたのなら一気に降下して狙いを外すようにも仕向けて。
縦横無尽に飛ぶ中、移動した先で銃弾が命中してしまいそうになることもある。そんな時は、赤い花の髪飾り、そのおしべを引っ張って投擲する。
すると髪飾りは果実の形に返じ、対象物と衝突して爆発した。飛び散る破片を回避してたどり着いた先は――
「わ、思ったより早く到達できたみたいだね」
ボス、『創造物ブーゲンビリア』の付近だった。
「もう! なんなのです、次から、次へ、と――!」
何人もの猟兵を相手取ったブーゲンビリアの顔には、確実に疲労の色が滲んでいた。
それでも少女は頬を膨らませながら澪へと駆け寄ってくる。
「もしかして平手打ち? だったらこれでどうかな?」
地面を蹴って、軽やかに空中を歩み始める澪。風魔法を宿した靴「Venti Ala」のおかげだ。
「む! 空中なんてずるいです、降りてきなさい!!」
「悪いけど、それはできないよ」
澪を見上げてぴょんこぴょんこ跳ねるブーゲンビリアの手は、澪には届かない。それでも念のためにと一定の距離を取るべく、空中をうろちょろ歩く澪。と、必死の形相で澪を追いかけるブーゲンビリア。
「――そろそろいいかな?」
素早く氷魔法を詠唱した澪は、ブーゲンビリアの手足を凍らせる。そうして跳ねることも駆けるできなくなったブーゲンビリアへ、さらなる一撃を。
「全ての者に光あれ」
直後、澪の全身から放出される光は渾身の力が籠められたもの。魔を浄化する光は、ブーゲンビリアだけでなく付近で闘っていた雑兵もろとも餌食にしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ジャスティス・ボトムズ
★アドリブ歓迎 連携歓迎
女子供が相手でも敵とあらば手加減しないぜ
正義の心でボコボコに叩きつぶす
俺の正義を貫かせてもらうぜ
雑魚の攻撃が邪魔だな
ならまとめて俺のパンチで吹き飛ばすまでよ
敵のボスをぶん殴る衝撃の余波で雑魚どもも吹っ飛ばしてやるさ
怪力と鎧砕きをのせたフルパワーのパンチを真正面から食らわせるぜ
盾で雑魚の攻撃をはじきつつボスとの距離を一気につめるぜ
邪魔が入るより早くぶん殴ったもん勝ちだぜ
UCのパンチを連打して一気に畳み込む
正義を執行するのに手加減は不要だぜ
どんな相手だろうとボコボコに叩き潰してやる
これが俺の正義だ
ナギ・ヌドゥー
ふふ、まさかヒーローとヴィランが共闘するとは思いませんでしたよ。
まだこの世界も捨てたもんじゃないですね。
ここでぼく等猟兵が負ける訳にはいかない、な。
UC「闇舞鋼装」発動
光学迷彩によるステルス強化武装姿に変身し敵から身を隠し飛翔移動
【第六感・野生の勘】を駆使し砲弾・UCを避けながらボスの居所に向かう
【ドーピング】常時使用
【先制攻撃】【暗殺・だまし討ち】姿を隠したままボスに空襲を仕掛ける
上空から【誘導弾・制圧射撃】位置を変えながら爆撃し続ける
敵がUCで撃ち返して来たら
【殺気・呪詛】を込めた【呪殺弾】で【恐怖を与える】
直後に【オーラ防御】を纏い急降下特攻
そのまま接近戦で勝負を掛ける
+
クロト・ラトキエ
+
砲弾なれば、軌道は直線的。
つまり砲台の向きだけ気に留めつつ、
敵方の視線や手足の動き、大技の予備動作を見切り、回避して行けば、
ボスの元へ一気駆けも出来そうか、と。
ごきげんよう、お嬢さん。
けれど残念ながら、お別れです。
UCにて炎の魔力を攻撃力に。
敵UCが阻むなら其方を先に…
身長の、2倍…
(ボスを見る)
(蛙を見る)
…僕と大きさ、大差無くないです?
という事で予定変更!
敢えて挟み撃たれるかに見せ掛け両者の間に入り、基本は先と同様見切りを試み。
同様に動くというなら、カウンターよろしく同様の箇所へ鋼糸を放ち、締めて引き滑らし2回攻撃。
折角のドラマティックな共同ミッション。
邪魔する野暮は、ジ・エンドですよ?
ヒーローが、巨大な盾で後方のヴィランを守る。
鉤爪を装着したヴィランが、ヒーローの肩を足場に敵軍へと斬り込む。
そんな風景をしばし眺めて、ナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)は小さく笑んだ。
「まさかヒーローとヴィランが共闘するとは思いませんでしたよ」
この世界も、まだ捨てたものではないかもしれない。だとしたら、ここで猟兵が負けるわけにはいかないというもの。
「ああ、ヒーローもヴィランもいい目をしてやがる。俺も、俺の正義を貫かせてもらうぜ」
拳を鳴らすのは、自身もスーパーヒーローであるジャスティス・ボトムズ(正義の執行者・f22965)。
「そうですね、なかなか見ることのできない光景です。こうして見ているのも悪くはないのですが……猟兵としての努めを果たしに行きましょうか」
砲弾の軌道を観察していたクロト・ラトキエ(TTX・f00472)が、移動を開始する。
「ふむ。予想通り、砲弾の軌道は直線的ですね」
砲台の向きだけを気に留めながら、一気にボスの下へと駆けて行く。もちろん、雑兵の視線や手足の動きなどを見切って回避しながら。
一方のナギは、光学迷彩によるステルス強化武装姿へと自らを変じた。さらに飛翔で移動し、眼下の雑兵は一息に飛び越える。
とはいえ、戦場に銃弾や砲弾が飛び交っていることに変わりは無い。だから、ナギは第六感と野生の勘を駆使し、砲弾や雑兵のユーベルコードを回避してゆく。ドーピングを使用した肉体は、疲れを知らずひたすらに戦場を行くのだった。
「……邪魔だな」
とは、ジャスティスの呟き。視線の先には、数を数えるのすら面倒な雑兵たち。ジャスティスはすかさずパンチを繰り出し、数体をまとめて吹き飛ばしてゆく。
それでも合間を縫って飛んで来る攻撃は盾で受け、弾くジャスティスだ。
三者三様に戦場を突っ切る中、最初に『創造物ブーゲンビリア』へと到達したナギは有無を言わさず先制攻撃を仕掛けた。
といっても、ナギの姿はまだ見えぬまま。
上空からブーゲンビリアへと襲い掛かるのは、誘導弾と無数の弾丸だ。
「な、な、な!? なんなんです――!」
逃げるには突然すぎる。回避するには近すぎる。
「ええと、こうなったら……どなたか知りませんが、これでどうですかっ!」
放たれた光線は何かに当たることなく、ロサンゼルスの空へと消える。
そこから間もなく、ひとつの弾丸が放たれた。弾丸が直撃したブーゲンビリアは、ほどなくいわれのない恐怖に襲われる。蛙のぬいぐるみをきつく抱きしめ、震えるほどに。
「こ、これは……い、いったい……」
それは、殺気と呪詛を込めた呪殺弾に呼び起こされる恐怖だ。そのままナギは防備のためのオーラを全身に纏い、急降下の特攻を仕掛ける。
叩き込むは、歪な怨刃。ブーゲンビリアの肩が大きく抉れ、声にならない悲鳴が聞こえた。
膝を突きながらも持ちこたえるブーゲンビリアに、クロトが仰々しく頭を下げる。
「ごきげんよう、お嬢さん。けれど残念ながら、お別れです」
「わ、私は、まだ――」
ブーゲンビリアはきつく瞬きをし、両手を突き出す。少女の前に出現した蛙のぬいぐるみを見上げるべく、クロトは視線を上方に遣った。
情報によると、召喚される蛙のぬいぐるみはブーゲンビリアの身長の2倍。クロトはボスを、次いでぬいぐるみを見る。
「……僕と大きさ、大差無くないです?」
「う、うるさいです! 蛙さん、やっちゃってください!」
ブーゲンビリアが振り上げた拳が、下へと振り下ろされる。
「おっと、では予定変更! 先に蛙さんを片付けさせてもらいましょうか!」
ブーゲンビリアの動きをトレースした蛙の拳が、地面へとめり込む。そこから1人と1体が挟撃しやすい位置へと跳躍したクロトを見て、ブーゲンビリアはにやりと笑った。
「とっても良い場所です。蛙さん、いきますよ!」
繰り出された拳を見切ったクロトは、双方の手首に鋼糸を放つ。すかさず締めて引き、滑らせては攻撃。を、二回立て続けに。
「奇遇ですね、僕にとっても良い場所なんですよ」
「ひゃ!?」
炎の魔力で強化されたクロトの攻撃で、ブーゲンビリアの片腕は炎に包まれ、ぬいぐるみの片腕は燃え尽きる。
「折角のドラマティックな共同ミッション。邪魔する野暮は、ジ・エンドですよ?」
「そうだ、あんたはここで終わりだ。たとえ女子供が相手でも、俺は手加減しないぜ」
「っ……!」
ブーゲンビリアはよろめきながら拳を握り、パンチを繰り出した。度重なる攻撃を受けたブーゲンビリアは、既に虫の息だ。
とはいえ、そこで手加減をするジャスティスでは無い。それどころか、ジャスティスもまた正面からパンチを繰り出す。
「正義執行! ぶっ飛ばすぜ!」
更なる力と鎧を砕く力を乗せて何度も叩き込まれるパンチは、その余波で残存する雑兵をも吹き飛ばす。併せて、西海岸の一部は隕石でも落ちたかのように変じている。
ブーゲンビリアはといえば、雑兵のように派手に吹き飛ばされはしないが、ジャスティスの拳圧によって徐々に後退してゆく。
「うう、私が……やられるなんて……」
ついには体の力を失ったブーゲンビリアはぱたりと倒れ、光の粒子となって消えて行った。
「これが俺の正義だ」
突き出したままの拳を引き戻したジャスティスは、ロサンゼルスの空を見上げた。
大成功
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