『まああああああああああああああああああああああああああああ』
『あああああああああああああ』
『まああああああああああ』
異形蠢くその空間は、人智を超えた地獄であったと言える。
赤子のように泣き喚く巨大な怪物の群れ。それを囲み、慰めるかのように異形の楽団が笛を吹き、鼓を叩く。子守唄と形容するにはあまりにも冒涜的で穢らわしいその音色は、しかして化生どもへと僅かな安寧を与えていた。
ここは、巨大な揺り籠であった。
「皆の者。決死の覚悟をせよ」
グリモア猟兵、ロア・メギドレクス(f00398)は声を張り上げる。
「既に話を聞いている者も多かろう。儀式魔術の成果により、完全体の神格級UDCを屠る任務が出ている」
ロアは猟兵たちの顔を見渡し、一人一人その表情を確かめる。
「これはきわめて危険な任務だ。物見遊山の気分で行けば生きては還れぬと心得よ」
続けて、ロアはモニターに情報を表示する。
「まず、余が察知した『鍵』だ。鍵とはすなわち、神格級UDCが潜む超空間……《超次元の渦》へと侵入するためのアクセスポイントである」
モニターに映し出されたのは、新宿の中心部。都庁の地下に位置する空間であった。
「ここは過去に狂信者が神格級UDCの降誕を目論んだ事件を起こした場所なのだ。その影響か、現在この地点に『鍵』があり、その扉を開くことが可能となっている。汝らはここに赴き、ここより侵入した先の《超次元の渦》にて神格級UDCを撃滅せよ」
しかし、敵も強大な神格級UDCである。一筋縄で屠れる相手ではない。
「敵の神格級UDCは、侵入した汝らを大勢で出迎える。……うむ。大勢だ。我々の襲撃を察知してのリスク分散のためか、敵は分裂して超空間内部に無数に存在しているのだ」
しかして、分裂しているといってもその全てが非常に強力な神格級の力を持っている。敵が多勢になるような状況に追い込まれてはたちまち打ち負かされてしまうだろう。一度に多くを相手にしないよう、立ち回りに工夫が必要だ。
「なるべく多くを倒せ。しばらく戦っていると、分裂した敵神格級UDCは寄り集まり1つの姿に合体する。……いわゆる第二形態であるな」
前段階で分裂体を多く倒しておくことができれば弱体化するため、最初が肝心だ。頑張ってくれ、とロアは言い添える。
「これにある程度のダメージを与えることができれば、敵はその真の姿を現わすであろう。……いわば第三形態。神格級UDCの真体だ。強いぞ。空間の支配権も握っておるからな。汝らがユーベルコードを使うより速く、何があろうと先手を取って仕掛けてくる。うむ。戦乱の首魁や将兵オブリビオンとやりあうときと同じ要領であるな。敵のユーベルコードに対策し、一撃を叩き込め」
対策が不十分であれば、猟兵たちはユーベルコードを起動する前に叩きのめされてしまうであろう。
「重ねて言うが、これは極めて危険な任務だ。……最悪の場合は撃滅を諦めて撤退せよ。汝らの身の安全に勝るものはない」
ここまで説明を終えると、ロアはもう一度頷く。
「では、概要は把握したな。……健闘を祈る。決して無理はするな」
そして、グリモアは輝いた。
無限宇宙人 カノー星人
ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
今回も侵略活動を進めさせていただきます。
この度もあなたがたとともに旅路をゆけることに感謝いたします。
それでは、よろしくおねがいいたします。
第1章 ボス戦
『赤の王』
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POW : 新生
いま戦っている対象に有効な【性質を持った新しい形状の人類】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
SPD : 創生
対象のユーベルコードを防御すると、それを【使用できる新しい形状の人類を召喚し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
WIZ : 可能性
【レベル×2の値の任意の技能をひとつ取得】【レベル×2の値の任意の技能をひとつ取得】【レベル×2の値の任意の技能をひとつ取得】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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グウェンドリン・グレンジャー
【WIZ】
……神格級UDC……怖い、嫌だ
私、の、中に埋まっている、もの、に、似てる
私も、いつかは、ああなる?
……今、考えるのは、やめとこう
【第六感】【狂気耐性】で心、ヘイキンテキ、保つ
ダメージ、与えておく、なら、今のうち、かな……神格には、神格、ぶつける
(青い光を放つランプ、Glim of Animaを掲げる)
飛んで、モリガン……!
顕れた、彼女の、攻撃に、合わせて
私も、赤の王、へ、腰……から、生やした、クランケヴァッフェ、Mórrígan、Black Tail……に【生命力吸収】や【属性攻撃】を、乗せて、援護
属性は虚数
それに、しても、何故、シンジュク……?
【アドリブ大歓迎】【血反吐】
睦沢・文音
「分裂する赤の王に、おぞましきもの・邪神を集めた超次元の渦ですか……」
かつて経験した激戦を思い返しつつ、今回の戦いへ気持ちを切り替えます。
「猟兵一人一人の力は小さくとも、戦友(フレンズ)が力を合わせれば!」
戦闘中、味方の支援に徹します。
ユーベルコード「殲術再生歌」を使うことで、
間違い傷つくことを厭わずに運命を否定する歌を【歌唱】し仲間を【鼓舞】します。
赤の王の「可能性(WIZ)」に対し、赤の王が呪縛等の代償を受けることを活かしてひたすら逃げ回り、包囲されることを回避します。
また、戦場を可能な限り俯瞰し、囲まれそうな味方がいたら【大声】で知らせます。
アドリブやタ参加者様との共同リプレイ歓迎です
御園・ゆず
【血反吐】
…初めての邪神退治
こんな強力な邪神をあてがうUDC組織のみなさん
…恨みますよ……!
泣き言を言ってても始まりませんね
無事に帰れますように…!
まずは隠密優先で、気付かれないように各個撃破を狙います
音が出ないように左袖に隠した鋼糸で拘束
のちに右袖から出したダガーで攻撃を
殺傷力が足りないと感じたら腰後ろにさしているFN Five-seveNを
音が出ますが仕方ありません
囲まれたらスコーピオンに持ち替え
弾をばら撒きます
いよいよ不味くなったら閃光手榴弾で目眩し、逃走を試みます
…何処に逃げれば?
逃げ場など
逃げた所でわたしに居場所なんてない
…死ぬのもいいかもね?
…嗚呼あたしはわたしを殺したくないんだ?
《まああああああああああまああああああああああ》
《まああああああああああ》
空間を満たすのは、甲高く唸る赤子の泣き声と、それを慰めるかのように、しかして悍ましく奇怪に喚き立てる異形の鼓笛が奏でる邪悪な旋律である。
「『赤の王』……それだけではなく、おぞましきものたちや邪神を集めた超次元の渦ですか……」
睦沢・文音(f16631)は息を呑む。文音はまだ年若い少女ながら既に幾多の戦場を渡り歩いた歴戦の経歴をもつ。かつての激戦が脳裏をよぎった。しかして、此度はそれ以上の戦いになるだろう。
「こんな強力な邪神をあてがうUDC組織のみなさん……恨みますよ……!」
御園・ゆず(f19168)は泣き言から始まった。神格級UDC。いわゆる『邪神』と対峙するのは彼女にとってはじめての経験となる。ハナから無数の異形蠢く死線に放り込まれるとは。
「神格級、UDC……。怖い、嫌だ」
グウェンドリン・グレンジャー(f00712)の口の端から溢れる言葉もまた怯えを含んでいた。
「私も、いつかは、ああなる?」
しかしてその恐怖は単に敵が強大であるということではない。彼女の身の裡でそこに埋め込まれたUDCの体組織がこの超空間に呼応するように鼓動するのを感じる。
「だいじょうぶ。大丈夫ですよ」
文音は2人へと笑顔を向けた。
「私たち……一人一人の力は小さくとも、戦友(フレンズ)が力を合わせれば!」
励ますように声をあげ、文音は戦場へと向き直る。
「……うん。悪いこと、考えるのは……今は、やめとこう」
「はい……そう、ですね。泣き言を言ってても始まりませんね……無事に帰れますように……!」
「うん!必ず勝って、みんなで無事に帰るよ!」
ここに集いしは少女猟兵。三者三様、視線を上げて邪悪へと立ち向かう!
《まああああああああああああ》
猟兵たちの侵入を気取り、『赤の王』たちが吠えた。
不定形とすら言えるほどに透き通り未完成な胎児めいた身体で、ずる、べしゃ、と湿った音をたてて這うように此方へとやってくる。
「ヘイキンテキ、を、保つ……」
グウェンはランプを掲げる。Glim of Anima。青い光が漏れ出し、その中からヒトに近い形をしたものが顕れた。
「私、の……側面、心の仮面……飛んで、モリガン!」
【側面顕現/アルターエゴ『モリガン』】。グウェンドリンによく似た悪魔は高らかに笑い声を響かせると、翼を広げ『赤の王』の群れへと飛んだ。
「すう……」
その一方でゆずは静かに息を吸い込み、自らの気配を殺す。飛翔するグウェンの『モリガン』は素早く機動しながら敵群へと襲いかかり先手を打って先頭の『赤の王』の頭部らしき箇所を裂いた。赤黒い体液が吹き出し、悍ましく悲鳴が響く。
向こうは派手にやっている。その分隠れながらの戦いはやりやすいだろう。ゆずは左袖に隠した鋼糸の感触を確かめながら、側面へ回り込んだ。敵はグウェンと『モリガン』に注目している。ゆずは敵群の死角に入り込むと、音もなく鋼糸を放った。
《みいいいいいいいいいいいいい》
拘束!『赤の王』のなかの一体をゆずは絡め取る。動きを止めたならば好機だ。更に右袖に隠した銀のダガーを手にとどめを刺そうと――
《あああああああああああああああああああああああ》
だが、それよりも早く邪神の躯体が膨れ上がった。瘤のように盛り上がった表皮を突き破り、1メートルほどの体長をもった細身の生物が出ずる。
『カカカカカカカカカカカカカカ!』
『カカカカカカカカカカカカ!』
【新生】。それは蜘蛛のような体格をしていながら、骨格と筋組織によって支えられた体を持ち、頭部と思しき箇所はヒトのそれによく似た口腔を備える悍ましき肉と骨の塊であった。這い出た新生生命は素早く鋼糸の隙間から飛び出すとゆずへ襲いかかる。それも一体や二体ではない。
『カカカカカカカカカカカカカカ!』
『カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ!』
「無茶苦茶な……!」
敵の反応速度は此方を上回る。白兵戦では押し切られると判断し、ゆずはVz61短機関銃スコーピオンを抜いた。即座にトリガーを引き、真っ先に襲いかかってきた新生生命の口腔めがけ弾丸を喰わせてやる。頭部を失い即死。だがすぐに次だ。これにもゆずは対応する。これも即死させた。続く三体目で弾切れ。マガジンチェンジの隙に新生生命の鋭い前肢が襲う。頬と胸元を浅く裂かれた。セーラー服のタイが千切れ飛ぶ。
『カカカカカカ!』
「だあっ!」
弾倉を装填したスコーピオンが再び火を噴く。これで仕留める。短く息を吸い。
「後ろです!」
文音の声が届いた。ゆずは咄嗟に振り向きながら手の中にナイフを握る。今まさに食らいつかんとしていた新生生命の頭部に刃を突き立て絶命させた。
「助かりました!」
「ほかの敵もゆずさんに気づいてるみたいですよ!」
「こうなると隠密活動はむずかしいですね……」
「敵、が……強い」
グウェンは『モリガン』を前線に立てつつ、生体融合型武装『Mórrígan』の翼で素早く駆け回りながら『赤の王』の群へと攻撃を仕掛けていた。しかして、敵は本来であればそれ一体さえ屠ればひとつの事件が解決するレベルの巨大な存在である。分割して弱体化しているのではない。たしかにグウェンと『モリガン』は『赤の王』たちに痛手を与えてこそいた。だが、押し切るには敵があまりに強大なのだ。
『カカカカカカカカカカカカカカ!』
『カカカカカカ!』
哄笑めいた音とともに、再び何体かの『赤の王』の身が蠢動する。そして、先の再現のように蜘蛛めいた骨格の新生生命が雲霞のごとく生まれ出た。
「わあ、また出た!」
「さっきの生き物ですね……!なんて数!」
「でも……やる、しかない」
『モリガン』は尚も前線で戦い続けている。グウェンは再び飛んだ。薙ぎ払うようにクランケヴァッフェの翼で新生生命たちを迎撃!
『カカカカカカ!』
だが物量がそれを押し切る。翼を毟るように異形の顎がグウェンのクランケヴァッフェに噛り付いた。
「まずい……!」
ゆずはグウェンに取り付いた異形の頭部にナイフを突き立て絶命させると、尚も押し寄せる敵の群れに視線を戻す。
「態勢を立て直しましょう。La……」
【殲術再生歌】。文音は静かに口ずさむ。歌と旋律にユーベルコードの力を乗せ、この狂気の揺り籠を満たす鼓笛の狂詩に立ち向かった。歌声はかじり取られたグウェンの翼に再生の力を与える。
(それにしても、これだけの数の生命を生み出すには相応の代償がいるはず……)
歌声を響かせながら、文音は戦場を俯瞰した。……そこで気付く。新生生命の群れは此方へと向かってきているが、本体である『赤の王』たちは動きを止めているのだ。
ユーベルコード【可能性】の発露である。『赤の王』たちは周囲の空間に漂う瘴気を『生命力吸収』の能力を強化することで吸い込み、新生の力に充てていたのだ。しかし本来持たざる力を発揮するための代償に、彼らは自ら呪縛されて動けなくなっている。
「……なら、ここを突破できれば……仕留められる、かも」
「できるわけないじゃないですか……!これ以上は無理です。逃げなきゃ、わたし達みんなやられますよ!」
ゆずは既に現実的な選択肢として、撤退を検討していた。閃光手榴弾を手に、退路を確認している。扉はどちらの方向だったか。背後を振り返ったその一瞬だった。
「危ない!」
「え……」
『カカカカカカカカカカ!』
『カカカカカカ!』
甲殻類の爪先めいて鋭く尖った異形の前肢が、ゆずの肩口に突き立っていた。押し込まれる。激しい熱に似た感覚。1秒遅れて激痛。傷口が真っ赤に染まり、セーラー服を赤く塗り替えていくのが見える。やられた。そのまま押し倒される。目と鼻の先に異形の口腔が迫った。食われる。このままでは生きたまま齧られて食われてしまう。
「あ……」
逃げなきゃ。
――何処に逃げれば?
逃げ場など。どこにあるというのか。
逃げた所で、わたしに居場所なんてない。
――ああ、じゃあ、もう。
死ぬのも、いいかもね?
「まさか」
しかして、ゆずはその腕を動かした。
それは楽園へ至る道標。銀のナイフが化生を屠る。
「嫌よ『わたし』。みっともないこと言わないで頂戴」
【道化芝居】。御園・ゆずという猟兵のユーベルコードの発露である。ゆずは異形の死体を蹴り上げてどかしながら立ち上がった。
「はい。ごきげんよう?ここからは『あたし』の時間よ」
「……雰囲気、変わったね?」
「いーのいーの。……それよりさ。“やる”んでしょ」
「うん……やる」
「はい。目標の邪神は、あのへんな生き物を出すのに力を使っているせいか、今動けなくなってるみたいなんです」
「おっけーい。それじゃあハナシはシンプルだね。あたしが道を開くよ。カラスちゃん、仕留めちゃって」
「わかった……」
「マシュマロちゃんは援護と指示出しよろしくね。じゃ、いこっか!」
「マシュ……!?わ、わかりました!」
短く話し合いをまとめ、ゆずは飛び出した!此方へ向かう異形どもめがけ、スクールバッグから放り出した手榴弾を投擲!出し惜しみはナシだ。ひとつ、ふたつ、みっつ!派手に炸裂させながら更に前進!
「♪傷ついてもいい……」
文音の奏でる殲術再生歌が2人を支える。鼓舞を受けた身体は軽快に跳ねまわり、吠えるスコーピオンの銃口が更に異形どもを仕留めた。
「開いたよ!カラスちゃん!」
「うん……行く……!」
手薄になった箇所へと向かって、グウェンは『モリガン』と共に飛翔する!漆黒の尾が鞭のように跳ねて異形を打ち据え、更に翼が刃のように道を開いた!
「そちらから見て左側!それと、その隣!あれなら……」
文音の視点から見た先に、比較的疲弊した邪神の姿があった。先まで前線でグウェンと打ち合っていたものと、ゆずの鋼糸に縛られていたものである。
「モリガン……もう一度、飛んで!」
『Ye』
そして、翼が疾る。
《まあああああああああああああああああああああああああああああああああ》
《いいいいいいいいいいああああああああああああああ》
それは、断末魔であった。
無数に蠢く『赤の王』。そのうちの2体である。
それが、真二つに両断され、とうとう絶命した。
グウェンは即座に翼を翻し、2人のもとへと後退する。
「やっつけた、けど……」
「……このまま、戦闘を続けましょう!」
「いーじゃん。あたしは賛成だよ」
しかして、彼女たちの戦意はまだ尽きてはいない。敵はまだそれこそ無数に存在しているのだ。猟兵たちは視線を上げ、再び敵の群れへと向き直る。
超空間における神格級UDCとの戦いは、まだ始まったばかりだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ルカ・ウェンズ
誰かが言ったように逆に考えるわ。
【行動】
最初に昆虫戦車で【一斉発射】で攻撃してもらって、それからユーベルコードを防御されると、それを使用できる新しい形状の人類を召喚されるから絶望の福音を使って敵に囲まれないよに戦うわよ。
用心深く敵に囲まれないよに【残像】も使い動き回りながら、オーラ刀や仕事人の拷問具で切り裂いたり、それに私や江戸モンゴリアンデスワーム(幼体)で【怪力】まかせに攻撃して敵を叩き潰すわ。
【心情】
神格級なら、私が死ねまで寝てるか別のところで遊んでればいいのに。絶対他の世界にも攻めてくるでしょコレ!それと完全体の神格級だから、危険手当とかボーナスとかはどうなっているの‼
カタリナ・エスペランサ
今回はシンプル、数には数で対抗するとしようか
何よりこの領域はどうにも趣味が合わなくてね
UC【暁と共に歌う者】を発動
揺り籠を満たす音色に対抗するように《破魔+祈り+歌唱》を放って敵には《精神攻撃+誘惑+催眠術》の、味方には《鼓舞》の効果を与えるよ
同時にアタシも自前の翼で《空中戦》を展開しながらダガーに魔力を通して長剣の形に《武器改造》、《属性攻撃+範囲攻撃+早業+乱れ撃ち》で燃える斬撃を放っていこう
相手がUCを模倣してくるって言うなら先に不死鳥を適宜合体させといて敵の召喚と同時に《早業+先制攻撃》、態勢を整える前に叩き潰すよ
それ以外の攻撃は《第六感+戦闘知識+見切り》で察知して回避だね
「神格級UDCねえ……」
ルカ・ウェンズ(f03582)は狂気満ちる空間に立ち、眉根を寄せた。狂ったように響き続けるけたたましい鼓笛の音色がひどく不愉快に耳朶を揺さぶる。
「私が死ぬまで寝てるか別のところで遊んでればいいのに」
「同感だね。にしてもここはひどいや……。この領域はどうにも趣味が合わなくてね」
カタリナ・エスペランサ(f21100)は気分悪そうに嘔吐するようなジェスチャーをしてみせた。
「この領域……。ここ、ひょっとしてUDCアースの外じゃないかしら。絶対他の世界にも攻めてくるでしょコレ」
「その発想はなかったよ。でもここまで無茶苦茶する奴らならあり得るかな……」
「……面倒だけど、やらなくちゃだめよね」
大きなため息をひとつ吐き出した後、ルカとカタリナは走り出す。
《まああああああああああああ》
《ぎちぎちぎちぎちぎちぎちぎちぎちぎち》
「一斉発射ー!」
《ぎい》
口火を切ったのはルカの繰る昆虫戦車である。これは戦車と名付けられてはいるが実際は砲撃戦能力を持つ巨大昆虫なのだ。見た感じの恐ろしさであればUDCオブリビオンたちといい勝負だが、ルカの美意識的にはOK。割と可愛がっている。
《まあああああああああああああ》
着弾!『赤の王』たちを巻き込んで弾頭が炸裂する。
《まあああああああああああまああああああああああ》
「しぶといわね」
「一筋縄じゃーいかないね。強い上に数も多いし……」
煙を吹き上げる神格級UDCの群れは、しかして今の砲撃では絶命に至る個体は現れていない。もっと火力を叩き込んでやらなくては。
「今回はシンプルにいこう。数には数で対抗するとしようか」
す、と息を吸い込む。カタリナは歌うように詠唱を開始した。
「“我在る限り汝等に滅びは在らず、即ち我等が宿願に果ては無し――」
【暁と共に歌う者】。ユーベルコードが起動する。彼女の周りで、空気がにわかに熱を帯びた。
「来たれ我が眷属、焔の祝福受けし子等よ!”」
炎。虚空を裂いて超空間へと翼が躍り出る。緋色の鳥が高く鳴いた。
「さあ、歌おう!」
遊生夢死。カタリナは翼を開き、炎の鳥たちと共に飛ぶ。更に襟元に仕込んだスピーカーを起動し、歌声を奏で上げた。音圧!響く歌声が超空間を満たし、狂える鼓笛を圧倒する。
「向こうは派手にやるわね」
これで敵の注意は完全に上方、カタリナと彼女の眷属である鳥たちに集中した。ルカはこれを好機として静かに動き出す。
《ぎい》
「あなたは引き続き撃っててくれればいいわ。近づかれないように逃げながらね?」
《ぎ》
昆虫戦車に指令を出してから、疾駆。その手にオーラ刀と拷問具。それから江戸モンゴリアンデスワーム。……江戸モンゴリアンデスワーム?
《ぐもももも》
「はいはい。おなかが空いたのね?」
《ぐもももも》
「ええ、いいわ。ごはんの時間よ」
ルカは地の文の疑念をガン無視しながら当然のように江戸モンゴリアンデスワームを繰る。残像を残すまでの高速機動と共に赤の王の群れまで接敵すると、それを放った。
《ぐももももも》
《まああああああああああああああああ》
江戸モンゴリアンデスワームが『赤の王』に齧り付く。見たこともない生き物に喰われる恐怖か、悲鳴めいた叫びをあげた。
「は、ッ」
更に追撃。恐慌するオブリビオンへとルカは力任せに武具を叩きつける。オーラの刃が肉を裂き、拷問具がその傷を更に抉った。
《まああああああああああああああああ》
悍ましい赤色に満ちた巨大な瞳が、ルカを見る。群れを成す他の『赤の王』たちもその存在に気づいた。敵意と憎悪が向けられることに気付き、ルカは短く呼吸。【絶望の福音】。目を閉じる0.5秒で押し潰されて殺される10秒先の未来を視る。即座に退避し危機回避。
《まあああああああああああ》
「並じゃないわね、今回の仕事……危険手当とかボーナスとかはどうなっているの!」
「あるといいね!」
ルカが退避した直後、カタリナと共に空中に展開していた火の鳥が群れをなして羽ばたいた。翼は炎の刃となり、無数に生まれた灼熱がオブリビオンの群れに火の雨をもたらす。
「仕留めるよ!」
そして、カタリナは抜き放ったダガーに力を通す。魔力による強化。刀身が灼熱を纏う。炎の刃と化した剣を素早く振り抜き、燃ゆる斬撃を放つ。
《まあああああああああああああああああ》
《いいいいいいいいいいいいいいいい》
オブリビオンの群れは灼かれながら悲鳴を上げてのたうつ。その中の2体ほどが、身体のそこかしこを瘤のように隆起させ始めた。【創生】の力を使おうとしているのだ。しかしてそれは断末魔めいた末期の置き土産でもあった。
「出たね。行って、みんな!」
だがそれを予期していたカタリナは、その生命が生まれ出るその瞬間に鳥たちを向かわせる。灼熱の翼が再びはばたき、邪悪の落とし子を産まれる前に葬った。炎の翼はそれごと最後のトドメを刺し、邪神の命を刈り取り――
《ぐも》
江戸モンゴリアンデスワームが、もう一体を喰い殺した。
「はい。えらかったわね」
ルカは江戸モンゴリアンデスワームを回収し、一時後退。上手い立ち回りだったが、そろそろ体力の回復が必要だ。カタリナも合わせて後方へ下がってゆく。
しかして蠢くオブリビオンの群れはいまだ数多く残り、猟兵たちへ敵意を示し続ける。
超次元の渦における神格級UDCとの戦いは、まだ終わりには遠いのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
メルノ・ネッケル
数は多くて一体一体が強い……これはキッツい相手やな。
囲まれて袋叩きにされてもかなわへんし、ここは一体に的を絞る!
異空間なら単車も走らせやすい、「キツネビサイクル」に乗って戦うで。
何れは地の利で先手を取られるけど、今の内なら先に仕掛けられる!
『フォックスファイア』をキツネビサイクルに全投入。悪いな、無理させて……後は【騎乗】の腕前を見せたるだけ。
【先制攻撃】!生憎、"可能性"なら猟兵もたっぷり持っとるんや!
フルスロットルで邪神に突っ込み、集団の中の一体を吹っ飛ばして隔離や!更にダメ押しの【2回攻撃】。二丁拳銃の追撃も付ける!
深追いし過ぎればいずれ囲まれかねん、ここまでやったら一度離脱や!
黒川・闇慈
「超次元の渦……ですか。いやあ、どんな場所なのか興味深いですねえ。クックック」
【行動】
さて、邪神に囲まれると厄介ですね。ここは機動力で撹乱しつつ戦いましょう。
呪詛、高速詠唱の技能をもって呪詛高励起体に高速変身します。
超空中の渦内部を飛び回って的を絞らせないようにしましょう。包囲されないよう、飛行ルートには注意を払っておきます。
飛行しつつ全力魔法、範囲攻撃の技能で呪力砲撃を発射。邪神達を吹き飛ばして差し上げましょうか。
「邪神の第一の姿が赤子とはなんとも意味深ですねえ……クックック」
【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】
ナイ・デス
少しでも多く。それも、敵が合体を始めるまでに
……召喚されるのには、あまりかまって、いられない、ですね
狙うは、赤の王
超次元の渦
宇宙服から光と【念動力】を放って自身【吹き飛ばし、ダッシュ。空中戦】
【地形の利用】敵だらけ、足場代わりに蹴りつけて、攻撃避ければ別の敵へとささるだろうか
両目では全方位みられない【第六感】で感じとり【見切り】動く
【鎧無視攻撃】黒剣で、鎧染みた神秘や皮膚も切り裂いて
【2回攻撃、傷口を抉る】刃を刺して【生命力吸収】私は疲労を回復し、敵の生命は終わらせる
ずっと無傷ではいられない【覚悟、激痛耐性】戦闘続行不可能なまでに、それでも敵を、視認して
UC発動
【暗殺】
まだ、いけます
【血反吐】
「超次元の渦……ですか。いやあ、どんな場所なのか興味深いですねえ。クックック」
黒川・闇慈(f00672)は笑う。強がりや空元気などではなく、彼は心の底からこの地獄を楽しんでいた。
超空間を満たす狂える鼓笛の音色とて、彼の精神を揺らがせることはできない。
「南極のときもそうやったけど、黒川さんはほんま落ち着いとるなあ」
こんな場所だっていうのに。呆れと感心が入り混じったため息とともにメルノ・ネッケル(f09332)は横目で見る。
「むしろ、それくらいが、ちょうどいい……かも、しれません」
ナイ・デス(f05727)は、静かに息を吐き出す。
怯えや恐怖を感じているわけではない。しかして、僅かな緊張。悪夢めいて異形蠢くその先の光景を見据えた。
「ぎょうさんおるな……。数は多いのに、しかも一体一体が強い。キッツい相手や」
「ええ、囲まれると厄介ですね」
「少しでも多く。それも、敵が合体を始めるまでに」
猟兵たちは決意を固める。メルノは愛車キツネビサイクルをスタートさせた。いくぜ相棒。文字通りに火が入り、響くエンジンの鼓動が彼女を包む。
「機動力で撹乱しつつ戦いましょう。クックック……楽しみですね?」
【カース・ブースト】。闇慈は高速で術式を編む。
「我が内より湧き出るは漆黒の凶呪。漆黒を統べるは我が魂。ここに呪をもって力となさん」
収束する呪詛の力を纏い、その身は呪力高励起体。すなわち強烈な負の巫力を宿す姿へと変異した。漏れ出した呪力が翼のように広がり、闇慈の身体を宙へと誘う。
「楽しみ、かどうかは、微妙だけど……」
一方ナイは光を放つ。彼の纏うパイロットスーツを通して放射される燐光はそこに推力を生み出し、その体躯を飛行せしめているのだ。ナイは闇慈に続くように空中を疾った。
「とにかく、やろう」
「クックック……では、始めましょう」
18式怨念火砲!闇慈は全身に纏う呪力を砲身に注ぎ込み、蠢く『赤の王』の群れへと先制して砲撃を叩き込む!轟!怨!
《まあああああああああああああああああ》
肉片と体液が飛び散り、UDCの群れが悲鳴をあげる!しかしてただ受けるだけではない。ぎょろりと見開いた赤い眼球がぐるりと廻って猟兵たちを視た。
《まあああああああああああああ》
『赤の王』たちの骨格と肉体がみしみしと音をたて急激にカタチを変えて行く。反撃の構えか。【可能性】の発露だ。赤子の成長を早回しの映像で見るように、異形たちはその躯体を歪めていく。
《まあああああああああああ》
「おや……これはこれは」
追撃の呪力砲撃が邪神の群れに着弾するより早い位置で爆ぜる。プリズムめいた奇怪な光が散った。【オーラ防御】だ!
「成長……した?」
「赤子なら、成長もする……ということですか。しかし、邪神の第一の姿が赤子とはなんとも意味深ですねえ……クックック」
だが、闇慈は更に追撃を加えてゆく。急ごしらえであれば無尽蔵の出力ではあるまい。砕けるまで叩く所存だ。“遊び道具”は丈夫な方が楽しめる。
「……こちら、は」
ナイは虚空を蹴って飛んだ。急降下。加速しながら群の中へと飛び込んだ。同時に彼は刃を抜き放つ。
「この距離、から!」
瞬間!黒剣が閃いた。オーラ防御の壁を展開する間も与えぬ速度で『赤の王』に刃を突き立てる。悲鳴!返り血を浴びるより速くナイは異形の肉体を蹴立て素早く離れる。もう一体!黒剣が更に跳ね上がった。
《まああああああああああああああああああああ》
「うあ……!」
しかし、その身体が突如見えざる手に押さえつけられるように落下する!不可視の圧力に骨格が軋んだ。【可能性】により赤の王たちが発現させた【念動力】による反撃だ!
《まああああああああああああああ》
《あああああああああああ》
《まああああああああああああああ》
咆哮。
『赤の王』の群れはウォークライめいて叫ぶ。ナイは凄まじい圧力に全身の骨格を砕かれる感覚をおぼえた。更に、異形は贄を求めるように唸りながらナイの身体へと手を伸ばす。
「それ以上……っ!やらせへん!」
しかし、それを遮るバイクのエンジン音!フルスロットルでメルノはキツネビサイクルを加速させた。加速と共に【フォックスファイア】の火を更に燃え上がらせる!
「悪いな、無理させて……」
過熱する機体を軽く撫ぜてから、メルノはまっすぐに前を見た。迷わない。今はただ、進むだけだ。
「いッ、けえ!」
十分に加速のついたバイクの機体を、異形の巨体へと叩きつける!激突ッ!反動で宙を舞うキツネビサイクルの機体をメルノは曲芸めいて操り、素早くターンしながら態勢を立て直す。疲弊したナイを引き上げ一時後退。退がるメルノを援護するように上方から闇慈の砲撃が蠢く異形どもへと降り注ぐ。
「こんなやられてもうて……!」
「大丈夫、……大丈夫、です」
タンデムするようにキツネビサイクルに乗せられたナイは虚ろな目でうわごとのように呟く。
「どう見ても大丈夫ちゃうやんか!」
「だい、じょうぶ……。まだ、いけます」
消えゆくような声を共に、ナイは目を閉じた。それと同時に、その身体が砂のように崩れ去る。だが、それだけではない。驚愕に目を開いたメルノの眼前に、更に驚くべき光景が広がった。
「私は、」
黒剣が、閃く。
「死ねない」
――今、崩れ去ったはずのナイである!
【今はあなたの後ろにいる/フェイタルムーブ】!ヤドリガミの仮初めの身体であるからこそできる芸当だ。瀕死に追い込まれた身体を放棄し、いずこかにあるナイの真体が新たな身体を構築して再誕したのである。
「とどめ」
ざ、ッ!肉を薙ぐ音。死角から襲い来る刃に対応できず、急所を突かれた『赤の王』が絶命する。
《まああああああああああああああ》
「なんやもう!驚いたやんか!」
タイミングを合わせてメルノが飛び込んだ。R&B、アサルトリボルバー!同時にホルスターから抜き放った二挺の銃が唸りをあげる!『赤の王』たちの透き通る表皮の上で、熱線と弾丸が爆ぜた。
《まあああああああああああああ》
「すみません。私、ヤドリガミですから……先に、言っておけば、よかった、ですね」
銃火に悲鳴をあげる異形の群れの中でナイは刃を振るう。返り血を躱しながらナイは空中を機動し、異形どもの傷口を抉った。
「クックック……死んでも生き返るとは。面白いではありませんか。あとで私にもやり方を教えていただけませんか?」
トドメとばかりに追撃の呪力砲撃。黒く爆ぜる負の験力がオーラ防御の光を遂に貫き、更にもう一体の異形を絶命せしめた。
「これだけやれば十分やろ。深追いし過ぎればいずれ囲まれかねん……一旦離脱するで!」
仕留めたのは2体。敵の強大さを考えれば上々の戦果だ。メルノは慎重に判断し、キツネビサイクルの機体をターンさせながら後退を進言。
「ナイくんはもうちょっと命を大切にし!」
「あ、はい」
更にナイの手を引いてバイクの後部にタンデムさせる。敵が更なる反撃に移るよりも速く機体を走らせ、敵の追撃を逃れた。闇慈も呪力の翼を羽ばたかせ、同時に後退を開始する。
《まああああああああああああああああ》
《あああああああああああ》
《ああああああいいいいいいいいいいいいいいいいぎいいいい》
しかして、猟兵たちの戦力によって痛手を受けた蠢く異形の群れは、存在を脅かされる危機と恐怖を理解し、その存在を新たな段階へと変異させつつあった。
ここに至るまでの戦いにおいて、猟兵たちが屠った『赤の王』は合わせて6体。
1体あたりの強さを考えれば、十分すぎる戦果だ。敵にとっては無視できない大きな欠落である。
しかし――それでも、ここに在るのは紛れもなく神性だ。それだけの欠損を抱えても尚、強大な力で猟兵たちを襲うであろう。
重なり合う『赤の王』の群れは醜く蠢動しながら1つに集まり、悍ましくも冒涜的な肉塊と化す。それはまるで血肉の繭である。鼓動するように震える塊は、僅かな時間を置いて――開く。
それを祝福するかのように、あるいは、その神性を讃えるかのように。異形の楽団の鳴らす鼓笛の音がゆりかごを満たした。
成功
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第2章 ボス戦
『かみさま』
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POW : ここにいようよ
全身を【対象にとって最も傷つけたくないものの姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : やくそくしよう
【指切りげんまん。絡める小指】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
WIZ : きみがだいすきだ
【対象が望む『理想のかみさま』の姿と思想を】【己に投影する。対象が神に望むあらゆる感情】【を受信し、敵愾心を失わせる数多の言葉】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
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ずるり。
影が這い出る。
「あ。あ。あ」
それは、神性の表出であった。
血肉の繭を脱ぎ捨てた影は、ゆっくりと立ち上がる。血に塗れた赤い姿は、しかしてすぐに黒へと変じた。
異形の楽団は鼓笛を奏で、名状しがたき冒涜的な旋律でその生誕を祝福する。
「そこに」「いるんだね」
「ごきげんよう」「よくきたね」
「あいたかった」
「おいで」「もうどこにもいかなくてもいいんだよ」
「わたしはゆるそう」「きみをゆるそう」
「ここにいていいのだよ」
「わたしはきみをあいしている」
暖かく、柔らかな声。
それはあまねく知性体にとって心地良く甘く心を蕩かす幻惑の力を込めた言霊であり、ここに顕現せし神格級UDCの権能でもある精神干渉である。
それは愛という名で扮飾した支配に他ならない。
抗わなければ、ならない。
カタリナ・エスペランサ
五月蝿いな。私が会いたいのは貴方じゃないの
……と、いけない。こんな甘言マトモに取り合ってる場合じゃないね
精神干渉は《呪詛耐性+狂気耐性+オーラ防御+気合い》で跳ね除けるよ
敵が指切りしに来るなら初動を《見切り》、《早業》の《目立たない+迷彩》で瞬間的に《存在感》を消して《忍び足+ダッシュ》。
アタシの方から間合いを詰めて《だまし討ち+暗殺》の要領でUC【閃紅散華】を発動しよう
生憎キミみたいな邪神に未来を委ねるほど落ちぶれちゃいないんだ
骸の海に還るといい、オブリビオン
《早業+破魔+怪力+生命力吸収》を発揮、敵の抵抗は《先制攻撃+武器落とし》で潰しつつ斬撃と蹴撃、羽弾の《零距離射撃》を叩き込もう
睦沢・文音
「一対一では到底勝ち目のない相手でしょうが……こちらには数の利があります!」
ユーベルコード「シンフォニック・キュア」を使うことで、新時代を築く力強き楽曲を【歌唱】し疲弊した仲間の心を【慰め】ます
「きみがだいすきだ(WIZ)」に対し、「ただそこにあり、顔向けできないようなことをしないように思うお天道様」という理想を投影し、敵愾心を削られても仲間を癒し続けます
複数人の理想を投影することで矛盾した言葉を放ったらそれを指摘します
「傷ついた仲間を捨て置いては、信じるかみさまに顔向けできません!」
「異議あり!その発言は先程の言葉とムジュンしています!」
アドリブ・他参加者様との共同リプレイなど歓迎です
ルカ・ウェンズ
宇宙昆虫、昆虫戦車、モンゴリアンデスワーム、(´・ω・`)私といっしょ逃げ回りながら戦うのよ。
【行動】
宇宙昆虫は【空中戦】で昆虫戦車は【一斉発射】モンゴリアンデスワーム【怪力】で敵を攻撃!かってに動き回、ショボーン(´・ω・`)ぬいぐるは・・・【残像】が見えるぐらい速く動いて【指切りげんまん。絡める小指】これを邪魔して、私は残像を使い逃げ回りながら虫の本で呼び出した昆虫型機械生命体の群れを敵に食い付かせるわ。
敵の攻撃に当たったら宇宙昆虫達は、出来れば攻撃、無理ならルールを守って敵に嫌がらせをしてね。私は何も(金目の物)をくれないのに精神干渉してくるから、邪神【暗殺】拳で殴れるだけ殴るわ!
「さあ」
その声は、蕩かすように広がった。声と同時に闇の色が伸び、猟兵たちを包む。
「わたしは」「きみにあうために」「きたんだよ」
カタリナ・エスペランサ(f21100)の頭蓋へと染み入るように、その声は響いた。
「違うよ」
しかして、カタリナは振り払う。
「おいで」「わたしは」「きみといたいんだよ」
「五月蝿いな」
闇を裂くように、カタリナはダガーを抜き放った。その刃に光が纏う。
彼女の想いと願いは、こんな紛い物の愛などには囚われない。
「私が会いたいのは貴方じゃないの」
閃く刃先が、帳を裂いた。
「おおおお」「どうして」
「生憎キミみたいな邪神に未来を委ねるほど落ちぶれちゃいないんだ」
カタリナは闇を振り払い、超次元の渦の中へと復帰する。視線を巡らせれば、他の猟兵たちもオブリビオンの広げた闇の帳に覆われつつ、その侵蝕に抗っていた。
「飲み込まれると面倒よ!逃げ回りながら戦うの!」
《ぎい》《ぎちぎち》《ぶうううん》《ぐもももも》
ルカ・ウェンズ(f03582)は共に戦う虫たちを叱咤。覆い尽くさんばかりに広がる闇から逃れつつ立ち向かう。
「戦車ちゃん、撃って撃って!もっと!」
《ぎい》
ぼん。黒く揺らぐ闇との境界で、火砲が爆ぜた。
「いいとも」「うけいれよう」「さあ」「おいで」
「そっちは躱して適宜反撃!」
《ぶうん》
宇宙昆虫は空中を飛び回り、追い縋る闇から逃れる。しかして虫たちの攻撃は闇の帳を押し返すには至らない。
「物質的な……実体がないのかしら……?」
ルカは細く長く触手のように伸びる影を躱して跳んだ。闇へと向けて閃光手榴弾を放り投げる。炸裂。閃光。闇色の触手が途切れ、しかしすぐさま再生しルカへと伸びた。
「面倒ね」
囮がわりにぬいぐるみが前に立つ。絡め取られないように邪神の腕から逃れつつ、反撃の機会を伺った。
「とんでもない相手ですね……!」
睦沢・文音(f16631)もまた、広がる闇より距離を取りながら、しかして視線を向けた。
「一対一では到底勝ち目のない相手でしょうが……しかし、こちらには数の利があります!」
「いいとも」「どれだけいようとも」「わたしのもとへくるといい」
誘うような声とともに、黒い腕が文音を掴んだ。
ぐるり。
彼女の腕を掴むとともに、その目の前に無機質な顔が姿を見せる。
「さあ」「こころをひらいて」「わたしは、【きみがだいすきだ】」
「……っ、」
ぎゅる。
その頭部がミキサーにかけられたように渦巻き、そのカタチを変える。
「いいこだ」
そこに白く輝く笑顔のマスクが浮かんだ。陽光めいた光と微笑みが甘く囁く。
「きみはよくやっている」「りっぱだ」「きみはすばらしい」「いままでよくがんばったね」
邪神の声は優しく労うように文音の精神を揺らした。
「いいえ」
だが、文音は踏み止まり、振り払う。
「……仲間を捨て置いては、信じるかみさまに顔向けできません!」
「おうえんしているとも」「きみがだいじなんだよ」「じゅうぶんじゃないか」「やすんでもいいんだよ」「よくやったからね」「もうやすんでもいいんだよ」
「私だけが、足を止めるわけにはいきません……!あなたは、私の神さまじゃない!」
「いいこと言うわね」
瞬間。風を裂くように凄まじい速さでそこに飛びこんだのはルカだ。【虫の本】。ユーベルコードにより召喚された機械昆虫が群れを成して『かみさま』へと殺到し、その隙に文音を引き上げ離脱する。
「どう取り繕ったってあんなの神様なんかじゃないわ」
「――そうさ」
【閃紅散華】!膨れ上がる闇を切り開き、無尽に閃く刃の軌跡とともにカタリナは飛び出した。
「こんなまがいものの甘言、マトモに取り合ってる場合じゃないね」
ざ、っ。足場を踏みしめてカタリナは2人に合流。あらためて『かみさま』の影へと向かい合う。
「そうね。口先だけで私たちを好きにできると思ってるなら、そうじゃないってことをわからせてやらないと」
ルカは振った手の中でオーラ刀の刀身を輝かせた。『自分を強いと思っている悪党には必ず痛い目を見せてやる』のが彼女のモットーだ。尚も襲い来る闇の触手を、ルカの剣は斬り伏せる。既に反撃に打って出る準備はできていた。
「私、歌います。……もし、邪神の狂気に呑まれそうになったら、この歌を頼ってください」
文音が息を吸い込んだ。癒しの力を音に乗せる、【シンフォニック・キュア】の音色だ。それは行軍歌めいて力強い新時代を築く未来のうたである。デバイスを通して広がる声とメロディが、超空間に満ちる鼓笛の音をかき消した。
「いいんだよ」「もうきずつくことはない」「すべてわたしにゆだねて」
しかして、それでも闇は猟兵たちを飲み込もうとして広がり続ける。《かみさま》は揺らめきながら猟兵たちの前に顔を覗かせ、その手を伸ばした。
「何もくれないのに人の心の中に入ってこようなんて、そんなのお断りよ」
《ぎい》
火砲!昆虫戦車の砲撃が唸る。轟音とともに闇が爆ぜた。ルカは素早く身を躱しながら声を響かせる邪神の本体へと拳を叩き込む!
「ああああ」「やめよう」
闇が形作る邪神の身体は末端より霧散するが、しかしすぐさま再構成される。
「骸の海に還るといい、オブリビオン」
カタリナは更に追撃する。赤く弾ける電光。ダガーに纏わせた光の刃が邪神を裂く。
「おおおおおおお」「やめなさい」「やめなさい」
断ち切られた身体を再構成しながら、闇の躯体はゆっくりと後退する。
「叩いたり斬ったりはそんなに効かないみたいね」
「こっちは手ごたえがあったよ。影なだけに、光に弱いのかも」
「このまま追撃しましょう。引き続き支援しますよ」
猟兵たちは態勢を立て直し、邪神を討つべく更なる攻撃を仕掛けにゆく。
敵は非常に強大だ。決着まではまだ遠い。しかし、猟兵の攻め手は一歩ずつ着実に棋譜を進めている。
戦いは、続く。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
黒川・闇慈
「おやおや、これはどうもごきげんよう。まああなたに許しを乞うた覚えはないのですけどね、クックック」
【行動】
wizで対抗です。
相手はこちらの望む神の姿になるようです。私は魔術の徒であり、神に縋ることなど魔術師の矜持に反するのだ、と覚悟の技能をもって心に刻んでおきましょう。これで相手のUCに少しでも対抗できるでしょう。
属性攻撃、高速詠唱、全力魔法の技能をもって失墜の一撃を使用します。
相手がこちらに言葉を放とうと意識を向けた隙を突いて、頭上から奇襲気味に一撃くれてやりましょうか。
「別に無神論者を気取る気はありませんが……神に与えられるものに興味はないのですよ。クックック」
【アドリブ歓迎】
メルノ・ネッケル
「どこにもいかなくてもいいんだよ」か……甘い言葉やな。けれど、そんなのはアンタの独りよがり、呪いやろ?
猟兵の力が要る世界、どんだけあると思っとるねん。
うちは故郷を……エンパイアを守ってもらった。だから、この世界も他の世界も守ってやりたい。だからここには居られない、居たくない!
「必要なのはアンタの力なんかやない。うちら自身の力なんや!!」
叫び、心に入り込む甘い言葉を跳ね返す!
さっきは燃料に使ったけど、こっちが本命の使い方!
言葉の海に飲まれて力を封じられる前に、奴を火の海に沈める……【先制攻撃】や!
『フォックスファイア』!五十一の狐火、全部纏めて一つの炎。
全力の炎、その身に受けてみぃやっ!!
ナイ・デス
……。もっと命を……身体を大事に……ですか
確かに……使うこと前提の、捨て身は、ですよね
と。第二形態、ですね
これは……?ソラ……?
私にとって、最も傷つけたくないものは、傷ついてほしくないのは、パートナーのソラ
そのソラが、ここにいましょうと、声を……いいえ
【第六感】で感じるまでもなく。わかります。これは、偽者
どれ程に姿を真似ても、言霊に力を込めても
それで惑うほど、私達の絆は、弱くない、です……!
『勇者理論』を唱え、状態異常力耐性重視
幻惑に抗い跳ねのけて、【勇気】のパンチ!
勇者は、勇気を胸に、冒険する者。ここに長居しましょうと、いいはしない、です!
もう一撃。殴打は効かずとも
触れての【生命力吸収】で!
「さあ」「ゆだねるといい」「わたしは、きみをゆるそう」
黒川・闇慈(f00672)を包んだ闇の帳は、暖かく緩やかに彼を締め付け、その脳髄の内側へと忍び込むべく寄り添う。
「おやおや、これはどうもごきげんよう」
しかし、闇慈は闇と呪詛を繰る魔術の行使者だ。当然、易々と呑み込まれはしない。その手の中で術式が編まれる。
「まああなたに許しを乞うた覚えはないのですけどね、クックック」
「それでも」「いいのだよ」
「クク。……愚かなことをおっしゃる」
黒川・闇慈は、魔術の徒だ。神に縋り、神の奇跡に救われるなど、どれほど屈辱的で不名誉なことか。嘲るように闇慈は口の端を歪めた。
「神に縋るなど、私の矜持に反することですから」
闇慈は、神になど縋らない。神になど頼らない。
故に、望む神の姿をとって対象の精神に干渉を行う邪神のユーベルコードは攻めあぐねていた。神としてのカタチを望まれぬ以上、それが取れるのはゆらゆらと揺らめく不定形のみだ。
「クックック……。では、茶番は終わりにしましょうか?」
彼の手の中で、闇の帳よりも尚深い漆黒の魔力が収束し、激しく渦巻いた。
「どこにもいかなくていいんだよ」「いままでたいへんだっただろう」「むりせずとも、いいんだよ」
「やすみなさい」「ねむりなさい」「いいんだよ」
「……」
メルノ・ネッケル(f09332)は、闇の中で銃把の感触を確かめる。蕩かすようなやわらかな声音が耳朶を揺さぶり、鼓膜を通して脳髄へと侵入しようとしているのがわかる。メルノは強く歯を噛み締めた。
「甘い言葉やな」
彼女は、その暖かさを否定する。
「猟兵の力が要る世界、どんだけあると思っとるねん」
その胸の内に思い起こされるのは、これまで彼女が猟兵として通ってきた道筋だ。
故郷サムライエンパイアの人々も。スペースシップワールドで帝国に抗った反乱軍の仲間たちも。ヒーローズアースで出逢った正義の戦士も。このUDCアースに生きる人々も。
多くのオブリビオンに脅かされる世界があり、虐げられる人々がいた。それでも抗い続け、勝つために、生きるために、猟兵たちの助けを欲する人々がいた。
「うちは故郷を……エンパイアを守ってもらった。だから、この世界も。他の世界も守ってやりたい」
手の中で二挺の銃が音を鳴らす。その意志を徹すための、彼女の牙は確かにここにある。
決意の証は闇の中でも鈍く輝き、決意と覚悟の強さを示すようにかちりと音を鳴らした。
「必要なのはアンタの力なんかやない。あんたのその救いなんか、ぜんぶうそっぱちや……必要なのは、うちら自身の力なんや!!」
メルノは、トリガーを引く。
「ナイくん」
「……ソラ?」
ナイ・デス(f05727)が闇の中で対峙したのは、彼の友の姿である。
彼女は、彼の友であるとともに、唯一無二のパートナーであり――それ以上に、彼に名を与え、『ナイ・デス』という猟兵の存在を形作った、誰よりも大切な存在であった。
『名』とは、それそのものの存在の根幹を成す概念である。名付け親を指してゴッドファーザー、あるいはゴッドマザーと言われる。名とは、最も原初のまじないであり神聖な儀式なのだ。
故に、彼に名を与えた“彼女”の存在は、ナイの存在の核に刻まれていると言える。
「おいで、ナイくん」
「……」
彼女は手を差し伸べた。
「もう、傷つかなくていいんですよ。痛いのも、辛いのも、もういいんです。わたしと一緒にいてください。……ここに、いましょう?」
晴れの日の青空のように、煌めく笑顔と共に。
しかし。
「いいえ」
ナイは、首を横に振る。
「どれ程に姿を真似ても、言霊に力を込めても……」
そして、視線を上げた。
「それで惑うほど、私達の絆は、弱くない、です……!」
力強く宣言し、ナイは幻を振り払う。
「どうして」「どうして」「どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして」
偶像が歪む。幻影が揺らめく。それを喝破するように、ナイは力強く叫ぶ!
「勇者は、勇気を胸に、冒険する者。ここに長居しましょうと、いいはしない、です!」
【勇者理論】は前を向く。止まらぬ冒険心と勇気をもって、どこまでも飛んで行ける心の翼は、闇になど決して囚われはしない。
そして、広がる闇の中で光が三つ爆ぜた。
「おおお」
対消滅するように闇が弾ける。卵めいて球状に闇慈を包んでいた漆黒が破裂し、その中から闇慈は飛び出した。
「ああああああおおおおおおお」「わあああたしいいはああああ」「おおおお」「きみをおおおおお」
闇慈を追うようにまろび出た邪神のかたちは揺らめきながら腕を伸ばす。
「お生憎様や!」
「おおおおおおお」「おおおおおおお」
それを遮るように迸る炎が、ちいさな太陽のように燃え上がった。メルノの周囲に浮かぶ【フォックスファイア】の狐火である!揺れる炎が闇を照らし、灼き尽くさんばかりに燃え上がる!
「うちらはな、そんな甘ったるい言葉なんかで止められるほどヤワな気持ちで戦ってるんやないで!」
光条!R&Bの銃口が放つ熱線が、光の剣のように闇を貫いた!
「どおおおおおおおおおおおおしいいいいいてえええええええええ」「わあああああたあああしいいいはああああああああ」
「クックック……言ったはずですよ」
歪む邪神の輪郭。その頭上に、術式により魔力が収束する。禍々しくも力強くそこに渦巻く呪力がかたちづくるのは、【失墜の一撃/フォールン・スマイト】の魔力塊である!
「私は、あなたに縋るつもりはありませんし……別に無神論者を気取る気はありませんが……神に与えられるものに興味はないのですよ。クックック」
闇慈の口の端が歪む。指揮棒を振り下ろすような仕草とともに、暗黒球体は鉄槌めいて邪神に叩きつけられた。
「やあああああめええええええええええろおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「勇気で攻め、気合で守り、根性で進む……!」
揺らめく邪神の躯体へと、更に接敵するのはナイである。拳には勇気を宿す。作られたまがい物のそれではない、彼の信頼するパートナーの姿を心に映し、ナイは拳に勇気を宿す!
「これぞ、我が……勇気の、証明、ッ!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
果たして強い決意と共に振り抜かれるその拳は、邪神の霊核を捉えた。揺れる。歪む。ノイズが走るようにその姿はブレる。しかして、未だに滅びには至らない。邪神は歪んだままのカタチで腕を伸ばし、ナイを再び絡め取ろうとし――
「いのちだいじに、やで!」
ヴォ、ッ!
キツネビサイクルのエンジン音!そこへ乱入したメルノが、数分前と同じようにナイの手を引き、バイクと共に後退する。
「……。もっと命を……身体を大事に……ですか」
「せやで。さっき言うたん覚えててくれた?」
「……はい」
「ククク……。それより、一旦下がりますよ」
尚も追い縋ろうとする神の姿へと、もう一撃漆黒の魔力塊が振り落ろされた。闇慈の追撃である。悲鳴のような異音が空間を満たした。この隙に3人は一時距離を取る。次の交錯に備えて、態勢を整えるのだ。
邪神が歪む。影が揺れる。局面は次第に詰め手へと向けて動き出している。
戦いは次第に佳境へと向かいつつあった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
御園・ゆず
【血反吐】
ごきげんよう、ごきげんよう
こんにちは、そしてさようなら
ごきげんよう、ごきげんよう
わたしはかみさまが居ないことを知っている
もしも居たら、こんな理不尽を起こさない
わたしに、穏やかな『日常』をくれるはずだから
甘言に惑わされそうになったら、ナイフで太腿を抉ろう
差し出される小指を銀のナイフで切り落としてやる
何処かが破裂しても、血を吐けど
そんな事知った事ではない
FN Five-seveNの弾倉の底で横に殴り付け、そのままくるりと回る
勢いそのままに回し蹴りを
ありったけの鉛玉をプレゼント
殴って
撃って
縛って
嗚呼、これも全て
かみさまのお気に召すまま
血で汚れた紺色のセーラー服の裾を摘んで一礼
ごきげんよう
グウェンドリン・グレンジャー
(青い光のランプを揺らし、光を見つめて異形の黒翼――生体内蔵式のクランケヴァッフェを広げる)
私に、傷つけたくないもの、なんて、ない
だって……ヒトは、食べたい、対象、だから
好きに、なれば、なるほど、食べたくなる
……そう、その姿。銀河帝国、の、戦争で、一緒にクローン兵を、殲滅したひと
私が、信頼するひと
……私が、グールドライバー、でなければ
死の女神……の、似姿にされて、いなければ、かみさまも、私に、勝てた、のにね
無敵といえど、生命力まで、防御……できない、でしょ?
【生命力吸収】と【属性攻撃】を乗せた、Raven's Roarで、胴の真ん中、狙う
属性は、神殺し
接触、さえ、できれば、生命力を、食い尽くす
「おおおおおおおおおおおおお」「おおおおおおおおおおおお」
『かみさま』は、唸る。
身体を構成する影の何割かを失いながら、しかしてそれはいまだにその身体を広げていた。
「ごきげんよう」
「ごきげんよう、ごきげんよう」
御園・ゆず(f19168)は闇の中で対峙する。
「こんにちは」「ようこそ」「ようこそそそそそ」
「こんにちは、そしてさようなら」
ゆずの手元で銀が光った。
「やめたまえ」「だいじょうぶ」「こわがらないで」「おそれないで」
蕩かすように。呑み込むように。その声がゆずの内的宇宙を犯すべくして緩やかに侵蝕する。
「あなたは」
「わたしは」「きみのかみさまだよ」「きみをゆるすためにきたんだよ」「つらいことがたくさんあったね」「もういいんだよ」
甘言だ。
甘い音は染み渡るようにゆずへとまとわりつき、こころを縛りつけようとする。
だけど。
「わたしは、かみさまが居ないことを知っている」
「いるとも」「わたしだよ」「きみをすくいにきたんだよ」
「うそだ」
瞳が揺れる。瞳孔を細める。神を名乗るものを否定する。
「ほんとうに神さまなんかがいるのなら、こんな理不尽を起こさない」
そんなに慈悲深い神様がいるのなら、世界はもっと平和で、やさしいはずだ。
わたしに、穏やかな『日常』をくれるはずだ。
「うたがうな」「わたしをしんじて」「かんがえるな」「きみはしあわせになれるのだ」「わたしが」「わたしを」「わたしに」「うけいれろ」
まとわりつく虫の声にも似たその甘い声色が、侵蝕を強める。
「黙って」
銀色の光。それは楽園へ至る道標。ナイフの刃先で、ゆずは自らの太腿を抉った。
つぷと音をたてて筋繊維を断ち血管に切り込む刃から、冷たく、しかし熱い痛みが鋭く脳天に走り抜ける。傷と痛みは赤い警告の色と共に、ゆずに向かって『目を覚ませ』と叫んだ。
「……」
暖かく揺蕩うような闇の中で、グウェンドリン・グレンジャー(f00712)は青白くランプに火を灯す。
「ゆだねて」「ゆるそう」「いいとも」「きみがだいすきだ」「かみさまは、きみをあいする」
「……」
グウェンは目を細めながら、異形の翼を開く。クランケヴァッフェ。人外の証明。
「ここにいよう」
その前に現れた影は、ゆっくりと姿を歪めて形を成す。
精神干渉から読み取った、彼女のもっとも傷つけたくない者の姿を模倣するユーベルコードである。
「私に、傷つけたくないもの、なんて、ない」
「そうかい」
そこにいたのは、グウェンと共に戦ったこともある、仲間の猟兵の1人のカタチをしていた。
男の姿をした影は、緩やかに微笑む。
グウェンは、短く息を吐き出してから口を開く。
「だって……ヒトは、食べたい、対象、だから」
その声が、微かに震えた。
「そうかい」
「好きに、なれば、なるほど、食べたくなる」
そして、グウェンドリン・グレンジャーは、
「……だから、」
その似姿へと、襲いかかる。
闇の帳が弾け飛ぶ。猟兵たちとの交錯により、その闇の衣はもはや殆どが破壊されていた。
しかして猟兵たちの前で揺れる邪神の影は渦巻くように蠢きながらその腕を伸ばす。
「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ」
捩じくれた躯体が枯れ枝のように歪みながら伸び、ゆずへと摑みかかった。
「ごきげんよう、ごきげんよう」
銀閃。伸ばされたその腕を、指先を、銀のナイフが斬りとばす。
「おおおおおおおおおおお」「やああああああめえええええええろおおおおおおおおおおお」
しかし切り口から新たな腕が生える。文字通りに枝分かれし、千手観音像めいて増えながら伸びるその腕の群れは、その手は枝葉のように無数に増えながら更にゆずへと迫った。ゆずは退魔銀のナイフで応戦する。だが数が多い。一歩足を踏み出す。太腿の傷口が痛みを叫び血を吐いた。知ったことか。これを滅ぼす方が先だ。
「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆびゆびゆびゆびユビをゆびをゆゆゆゆ指ユびびびびび」「受け入れろ受け入れろ受け入れろ受け入れろううううううう受け受け受け受け受け入れれれれれろろろろろろろろおおおおおお」
しかして、傷と痛みは体捌きを鈍らせる。万全の状態とは異なるが故に生じる誤差は、致命的な隙へと繋がった。伸びた異形の腕が、触れる。
「ぁ」
その指先が彼女の喉元にかかった。ぎゅ、と気道を塞ぐ圧力が頚椎を圧し折ろうとするように圧迫。呼吸が止められる。次は腕を掴まれる。肩を掴まれる。指を掴まれる。このまま絞め殺すつもりだろうか。捻じ切るつもりだろうか。まだ死ねないんだけどな、と思いながらゆずは目を細めた。
「おおおおおおおおおお」
「……だめ」
しかしてその刹那。異形の影がくぐもった悲鳴をあげる。捕食態化したグウェンの翼が邪神の躯体に噛り付いていた。
【Raven's Roar】。翼はぱきぱきと音をたてながら神殺しを為すべく異形を喰らう。
「……ぁ、っは」
開いた気道から開通した肺腑へ空気を通しながら、ゆずは態勢を立て直す。そして銃を抜いた。くるりと手の中で回し、銃身を握って銃把を構え、振り抜く。苦悶する『かみさま』へと叩きつける。
「ああああああああああああああああ」「やめやめやめやねやめめめめめめろろろろろろおおおおおおおおお」「おおおおおおおおおおおお」
FN Five-seveN。滑らかなプラスチックの外殻で包まれた鉄がその内で唸る。打擲の音。ゆずは痛みを噛み殺しながら衝突の反動を利用し回転。爪先を跳ね上げ蹴り足を叩き込む。たしかな手応え。闇が形作る不確かな身体が実体を持ちつつあることを感じた。
「あああああああああ」
ゆずはグリップを持ち替えて銃口を向ける。光のない無感情な双眸が彼女の視線と交錯した。
「どうぞ、ありったけ」
トリガーを引く。マズルフラッシュ。5.7ミリ弾頭が爆ぜ、邪神の頭部に鉛玉を叩き込む。二度三度四度。薬莢がからからと音をたて次々に落ちた。空にした弾倉を放り捨てマガジンチェンジ。更に追撃。【お気に召すまま/アズユーライク】。予め決められていたかのような機動と体捌きで、ゆずは手持ちの弾丸を惜しみなく捧げた。
「嗚呼、これも全て――かみさまの、お気に召すまま」
「あああああああああああ」「どうして」「どおおおおうううううしてえええええええ」
「それじゃ、……さよなら」
そして、クランケヴァッフェの翼が闇を喰らう。
「ごきげんよう」
崩壊した蜂の巣めいて崩れ落ちる邪神の影へと向き直り、ゆずは血に塗れたスカートの裾を行儀よくつまむ。舞台の幕引きめいたカーテシー。そして闇が霧散した。
「……これで、終わっ……た?」
グウェンは短く息を吐き出しながら視線を巡らせる。超次元の渦においては、異形の楽団が未だ狂気に満ちた鼓笛の音を響かせている。
「そうだと楽でいいんですが……」
しかしてゆずは視界の端に“それ”を捉えた。
それは、亀裂であった。
虚空に浮かぶ傷痕のような、掃き出し窓のおおきなガラスに入ったひびのような。その向こうにまた更なる空間の存在を予感させる『門』のように見えた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『『暗黒面客将』ナイ・アルアー・ト・テフ』
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POW : 『無貌の神(フェイスレス・ゴッド)』
自身の身体部位ひとつを【顔のない黒いスフィンクス】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD : 『輝く多面体(シャイニング・トラペゾヘドロン)』
【負】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【無数の死した宇宙の遺骸で出来た多次元牢獄】から、高命中力の【牢獄へ引きずりこもうとする邪神の触手】を飛ばす。
WIZ : 『闇に囁くもの(ウィスパ-・イン・ダークネス)』
戦闘中に食べた【他者の負の感情】の量と質に応じて【『白痴の魔王』の力を借り受け】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
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そして、割れる。
「みていたよ。みていたよ。みていたよみていたよみていたよみていたよ」
超空間に開いた虚空の傷口をこじ開けて、闇と炎が現出した。
生温い風とともに現れたのは、一般的な成人男性の三倍ほどの躯体を持つ異形である。宙に浮かぶ、悍ましき触手を備えた怪奇かつ冒涜的なフォルム。燃ゆる三眼。漆黒の無貌。
知るものであれば、“それ”をこう呼ぶであろう。
『吼えるもの』『黒き王』『千貌』『無貌』『嘲笑う終焉』。
それこそが、神格級UDC。■イ・■・ア■■ー・■・■フ。ここに顕現せしは、その化身のひとつである。
『にいいいるううううしぅうううたああああああんんんん』
『にいいるうううううがぁあしゃぁああなあああ』
讃えるように、鼓笛を鳴らす異形の群れが唱和する声が響く。この空間の真なる主人の帰還を祝っているのだ。
「とてもとてもとてもとても愉快だった」
「はかなきものたちが足掻くさまはほんとうにおもしろい」
「きみたちに、たのしませてくれたお礼をしたい」
「きみたちの血と肉と骨を、この地のいしずえにしよう」
「ここは新たな『白痴のゆりかご』になるのだよ」
「『王』もおよろこびになるだろう。……くく。あれは寝てばかりだがね」
そうして。
燃ゆる三眼が、猟兵たちを見下ろした。
カタリナ・エスペランサ
ようやく出てきたね
実は神サマを名乗るような手合いは昔から好きじゃないんだ
さて、アタシも切り札を幾つか切るとしようか!
自分を中心に《念動力》の力場を展開。領域内を直接知覚する事で《第六感+戦闘知識+見切り》の精度を高めると同時、把握した敵の動きを縛って《時間稼ぎ》するよ
更に《咄嗟の一撃+破魔+衝撃波+カウンター+先制攻撃+吹き飛ばし》を翼から触手に放った反動で後退して敵の先制に対処、態勢を立て直そう
反撃はUC【神狩りし簒奪者】を発動。
まずは消える事の無い黒炎の《範囲攻撃+属性攻撃》で敵を触手ごと焼き払い、炎の作った影から縛鎖を編んで本体を捕まえるよ
後は白雷槍の《乱れ撃ち》で蜂の巣にして仕上げかな
黒川・闇慈
「燃える三眼ですか……随分な大物が出張ってきましたねえ。クックック」
【行動】
wizで対抗です。
負の感情を抱くと相手の思うツボですねえ。ここは覚悟と狂気耐性の技能で相手への憎悪・嫌悪などの感情を抑え、あくまで研究対象として対峙しましょう。
ブラックシェードとホワイトカーテンの防御魔術を起動し、激痛耐性、呪詛耐性の技能で時間を稼ぎます。
高速詠唱、属性攻撃、全力魔法、範囲攻撃の技能をもって炎獄砲軍を使用します。相手は不定形のようですので、広範囲を焼き尽くした方が効果的でしょう。
「いちいち邪神を恐れて魔術の研究などできませんよ。魔術の徒があなたの信奉者ばかりと思わぬことです。クックック」
【アドリブ歓迎】
「さあ」「はじめよう」
燃ゆる三眼が触手を伸ばす。異形の鼓笛がゆりかごに満ちた。
「ようやく出てきたね」
「ええ。しかし『燃える三眼』ですか……随分な大物が出張ってきましたねえ。クックック」
カタリナ・エスペランサ(f21100)。そして黒川・闇慈(f00672)は対峙する。眼前に広がる闇に。押し寄せる邪悪の意思に。
「実は神サマを名乗るような手合いは昔から好きじゃないんだ」
「クックック……奇遇ですね。私もですよ」
カタリナは精神を集中する。念動力の力場を展開。限定空間内を自身の知覚領域として掌握に努める。
「はは」「ははははは」
ぱちり、ぱちり。瞬くように光が走った。閃光と共に虚空に現れたのは奇怪に歪曲した不可思議な多面体である。【輝く多面体/シャイニング・トラペゾヘドロン】。異界たる奈落の牢獄へと誘う空間接続魔術の発露だ。
「ほう。これは興味深い」
輝く歪曲多面体は魔術の追求者としては研究対象として垂唾の一品だ。闇慈は興味を示したがるが、今はそのような時間ではない。
「興味はあとで!」
「クックック……わかっていますとも」
言葉を交わす合間にも、多面体により開かれた奈落の扉より闇が溢れ出る。そこより出ずる邪神の腕はおぞましく音をたてながら無数に伸びて猟兵たちへと迫る!
「はははははははは」「さあさあ」「遠慮することはないよ」
「まさか!」
戦意。敵意。敵へと向ける害意――即ち負の感情。それを鋭敏に感じ取った邪悪の腕はカタリナに目掛けて殺到する。
「きますよ」
「やらせないよ……!」
だがカタリナは展開した知覚領域における敵の動作を第六感的に感知している。集中した精神で触手の軌道を見切り、更に予測を重ねながらカタリナは破魔の強念を込めた念動衝撃波を放つ。
「ははは」「お上手お上手」
いくつかの触手が弾かれた。しかして、全て止め切るには出力不足だ。半数ほどが尚もカタリナへと追い縋る!
「クックック……油断されましたね?」
だがここで光が広がった。術符・ホワイトカーテン。闇慈の術具だ。闇慈はカタリナの前に割り込み、魔力障壁を展開する。光の壁が押し寄せる触手の群れをとどめた。
「おや」「おやおや」「これはこれは」
「あなたが負の念を喰らう性質をもつことは存じ上げていますからね」
対峙する闇慈は口の端を歪める。対峙者の負の感情を喰らって力を得る【闇に囁くもの/ウィスパー・イン・ダークネス】の力を用いようとしていた邪神であったが、ここにいる闇慈は純然たる興味と研究心を向けているのだ。喰らうべき感情がないのだ。
「私が時間を作りますから、そちらも作戦を」
「ごめん、助かった!少しだけ待ってて」
その隙にカタリナは僅かに後退。術式を練り上げる。一方で前に出た闇慈はユーベルコードを起動。【炎獄砲軍/インフェルノ・アーティラリ】。高速で展開した術式が炎を呼ぶ。
「おおおおお」「おそれぬとは」「おもしろいにんげんだ」
「クックック……いちいち邪神を恐れて魔術の研究などできませんよ」
しかして闇慈はこのユーベルコードに全力を注いだ。燃え上がる業火が強大に燃え上がり、『ゆりかご』ごと灼き尽くさんばかりに降りそそぐ!
「はははははは」
漆黒の表皮と触手を巻き込んで炎が爆ぜる。ひとつ、ふたつ、みっつ!それ以上!広がる爆轟!
「魔術の徒があなたの信奉者ばかりと思わぬことです。クックック……」
「整ったよ!」
一拍遅れてカタリナが前線へと出た。その手の中に光を宿しながら、影と炎を繰る!【神狩りし簒奪者/プレデター・セイクリッド】!
「仕込みは上々、この戦場はもうアタシの掌の上さ!」
「ほう」「では、ためそうか」「どれほどのものか」
虚空より蠢き立つ触手の群れはいくらかを闇慈に灼かれながらも、炎の中から尚も伸びカタリナへと迫る!
「アタシも切り札を幾つか切るとしよう!甘く見てると痛い目見るよ!」
広がる黒炎!邪神の触手を押しとどめ、そして影より縛鎖を伸ばす。かくて牢獄より伸ばされる腕は扉の内へ押し込められ封じられた。更にカタリナは手の中の光を白雷の槍へと変じて燃える三眼めがけ投射する!
「これで……仕上げッ!」
「わるくはないね」「よいうでだ」
かくして光は邪神を穿つ。白雷槍はその本体へと突き立った。爆ぜる光がその躯体に傷口を開いた。どす黒い体液が溢れる。
「及第点をあげよう」
しかし、致命傷というには、まだ遠い。欠損した箇所に闇の色は満ちて肉塊が蠢動。瞬く間に傷を塞いだ。
「しかし、しかし」「まだまだ」「おたのしみはこれからだろう?」
「しぶといなー!」
「ククク……ですが、決して無傷ではないはずです。このまま、滅ぶまで焼いてしまいましょう」
猟兵たちは対峙する。満ち溢れる狂気の前に一歩も引かず、立ち続ける。
異形うごめく超次元の渦の中において、猟兵たちの戦いは続く!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ルカ・ウェンズ
うるさい、拠点を焼くぞ。
【行動】
先手を取られるなら【残像】を使って敵の攻撃を躱せないか試してみて失敗した時のために【オーラ防御】で身を守っておくわ。これなら噛み殺されなければ、体を噛みちぎられても【真の姿になって】完全回復!そして(耐性があっても痛いし、嫌なもの嫌だから)黒風鎧装を使ってやり返す!!
まず【怪力】まかせに武器で攻撃、殴ったり、大きくなったこの手で敵の体を引きちぎったり、握り潰すのもやらないと。それと私の知ってる神とは違うかも知れないけど、今回の戦いでは見せてない幻影を見せる虫で、生ける炎の姿をとる神?の幻影を見せて【恐怖を与える】ことができないかもダメもとでやってみるわ。
睦沢・文音
「なにもかも、貴方が書いた筋書きだったわけですね……」
暗黒面客将に対して負の感情を得ます。
『輝く多面体』に対し、
多次元牢獄にひきずりこまれた後も穏やかな子守歌を【祈り】を込めて【歌唱】し続け、
ジョブ設定に書いてあることだからできるはずと強弁して
シンフォニアの歌で世界を従わせ、次元を越えて歌を届けるという天変地異を起こします。
ユーベルコード「子守歌」を使うことで、
生物無機物問わず、根源を揺さぶるサウンドソルジャーの歌で暗黒面客将の心を【慰め】、戦意を減衰させます。
「あなたに対する負の感情は消えません。
それでも、かつて滅んだ貴方が再度死を迎える際には、せめて安らかな眠りを」
アドリブ・連携歓迎です。
「ははははははは」
「うるさい、拠点を焼くぞ」
ルカ・ウェンズ(f03582)はオーラ刀と拷問具を手に、邪神へと対峙する。
「……ひょっとして、この超次元の渦そのものが私たちを誘い込むための罠だったんでしょうか」
睦沢・文音(f16631)は、宙に浮かぶ炎の三眼を見上げた。
「そうとも言えるかもしれない」「きみたち猟兵はね、とてもつよいからね」「血も肉も骨もちからにみちているからね」「おいしそうだな、とおもったんだ」
「なにもかも、貴方が書いた筋書きだったわけですね……」
文音は睨みつけた。静かに怒りが燃える。倒さねばなるまい、という敵意が満ちる。
「ははは」「はははははは」
歪曲多面体が宙に舞う。【輝く多面体/シャイニング・トラペゾヘドロン】が虚空を砕き、滅びに満ちる多次元牢獄より邪神の腕を伸ばす。
「ふざけてるわね、まったく」
「そうとも」「児戯にひとしい」「たのしませてくれ」
それと同時に、邪神の躯体から触手が伸びた。その先端は肉腫のように盛り上がり蠢き、かたちを変える。【無貌の神/フェイスレス・ゴッド】!その腕は無貌の獅子をかたどって変貌し、更に割れた。その内部には無数の牙が覗く。
「速いわね……!」
凄まじい速度で獅子の牙が迫る。ルカは素早く身を躱す。残像を残す加速度。がち!牙が虚空を噛む!
「なるほど」「はやいね」「でもだめだ」「にがすものか」
しかし、異界より繋がる多次元牢獄から伸びる無数の腕が死角からルカへと迫った!挟撃!回避機動にもいずれ限界がくる!
「そうは、いきません!」
そこへ文音が割り込んだ!触手の群れへと彼女は自ら飛び込み、そして囚われる。獲物を得た邪神の腕は彼女をすぐさま異界へと引きずった!
「まずい……!」
「私は大丈夫です……!そちらはそのまま!」
文音はそのまま牢獄へと閉ざされる。ルカは僅かな動揺から牙の喰いつきに捉えられるも、咄嗟に展開したオーラ防御により致命傷を免れる。舌打ち。ルカは身を翻し牙の間合いから離脱した。
「はははははは」「おもしろい」「つぎのてはなんだい」
「こいつ……!」
ルカはぎりと歯噛みしながら目を開く。土手っ腹に開けられた傷口が疼く。だが、これで終われるものか。その皮膚が硬質化し始め、甲殻を形成する。外殻が傷口を塞ぎ、昆虫と人間のハイブリッドめいた姿へとルカは変生した。【黒風鎧装】!ルカはその背に透き通る二対の翅を広げる。ぶうん。細かく振動するように羽ばたき、ルカは宙を舞う。羽ばたきは風を起こし、その身体は黒く風を纏った!
「おやおや」「ははは」「こわいこわい」
「やり返させてもらうわ!」
神速!高速の空中機動。ルカは幾何学模様を描くような軌道で邪神の触手を躱しながら本体へと迫る!その手に握った剣を振りかざし――
「やってみるといい」「できるものなら」
障壁!ルカの武具が弾かれる!凄まじい邪悪な強念だ。剣を阻まれルカは反動で後ろに飛び、すぐさまターン。再び追い縋る獅子の牙を躱しながら態勢を整える。
「ははははは」「ははははははは」
嘲笑うように、邪神は声を響かせた。
「く、……ッ」
多次元牢獄の内部はあまねく生命を苛む狂気と死が満ちる空間だ。尋常の生命であれば押し込まれたその瞬間に存在の核まで狂気に犯され瞬く間に異形の存在へと成り果てるであろう。引きずりこまれた文音が自我を保っていられるのは、猟兵としての戦いの経験が、ここに至るまでに培われた意志がその精神を支えているが故である。
「うた、わなきゃ……」
まとわりつく虫の声。まとわりつく虫の声。まとわりつく虫の声。まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつくまとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の声まとわりつく虫の
「Ah、……」
死が苛む。異形が苛む。狂気が苛む。多次元牢獄はじわじわと文音を削りつつあった。しかして、彼女は立ち向かう。
「Lullaby……」
【子守歌/ララバイ】。
サウンドソルジャーとしての。シンフォニアとしての力を文音はここにすべて賭し、彼女は歌を口ずさむ。
この多次元牢獄は邪神の領域であり、逆にその懐でもある。自ら死地に飛び込んだかのように見えた文音であったが、ここならば。ここからならば、その歌声を邪神の霊核に近い場所から響かせることができると考えていたのだ。
「私は、貴方に怒ります。貴方を、憎みます」
文音は、その心を口にする。
「それでも、」
短い呼吸。肺腑に流れ込む瘴気に灼かれるような感覚をおぼえる。しかし、それでも。
「貴方にも、せめて、安らかな眠りを」
文音は、歌う。
「む」「これは」「やめろ」「みみざわりな」
子守唄が聞こえる。
邪神は響くその歌声を煩うように不快感を口にした。安らかに眠り給え。聞こえるのは戦意を削り奪い取ろうとする歌だ。安らぎという毒がこの身を苛もうとしている!集中の乱れ。念動障壁が揺らぐ。
「ここ……殺った、ッ!」
勝機。その一瞬を致命的な隙であると見出したルカは全霊の力を込めて障壁を突破する。突ッ!三眼のうちのひとつへと、ルカは遂に刃を届けた!
「おおおおおおおお」「おおおおおおおおお」「とどけたか」「すばらしい」「ゆるさない」「ほめてやろう」「ころしてやる」「おまえもいらぬ」
「く、っ……!」
念動!ルカが刃を突き立てた瞬間に咆哮めいた思念波が放たれる。反撃するように凄まじい衝撃がルカに襲いかかり、その身体が宙に舞った。そこへ向けて、吐き捨てるように虚空から何かが放り出される。多次元牢獄にて狂気に晒され続けた満身創痍の文音である。
「すみ、ません……!」
「いえ、よく戻ったわ」
ルカは空中で翅を動かし、姿勢制御しながらその身体を受け止める。ひどく傷つけられた文音を支えながら、彼女は後退に移った。
ダメージを与えることには成功している。しかしこちらが受けた被害も少なくはない。言ってしまえば痛み分けであった。
しかして、それでも戦いは決着へと向けて進んでいる。
邪神との死闘は、まもなく佳境へ入ろうとしていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ソラスティベル・グラスラン
ナイくん(f05727)と
彼の勇気が、彼との絆が
世界を超えて感じ取れました
ナイくんは死なせません
共にここを出て、一緒に新たな冒険に行くんです
立ち塞がるなら【勇気】を胸に、例え敵が神であろうとも!
これがわたしの【勇者理論】!!
ナイくんが皆を守るなら、そのナイくんを守る役目はわたしだけのもの!
ナイくんを【かばい】、【怪力】で攻撃を受けきる
先制攻撃は【見切り】、【盾受け・オーラ防御】で防ぎつつも受け流し
或いは持ち前の【怪力】で、その大口を打ち砕く!
わたしの『勇者』の在り方は、貴方から見ればさぞ滑稽でしょう
ですがこんな直情お馬鹿だからこそ出来ることもあります
負など無い純粋な【勇気】、この一撃に!
ナイ・デス
ソラ(f05892)と
もっと、命を大事に
命を、大切に
……私達の、命。この地の、礎には、させない、です……!
他者の、負の感情を喰らい力を得るなら
これ以上、負の感情を、食べられないように
皆が、少しでも負の感情を、抱かずにいられるように
『生まれながらの光』
私が、皆を癒し、守り、【勇気】を、与えます……!
先制で戦闘力が増加した邪神の攻撃
【第六感】で【見切り】回避して
手足犠牲に【かばい】受け【覚悟、激痛耐性】耐えて、再生して
疲労した分、補うように思い切り
『生命力吸収光』をひろげて【範囲攻撃】
光をあてて【生命力吸収】して、邪神、消滅です……!
「おおおおおおお」「はかなきもの」「はかなきいのち」「抵抗をやめろ」「ゆだねろ」「血と肉と骨を」「ささげろ」「ささげろ」「ささげろ」「しね」「死ね」
暴圧。膨れ上がる闇と邪悪の意思が暴風めいて吹き荒れ、ゆりかごを満たす。三眼は邪悪に燃え続ける。
「……嫌、です」
もっと、命を大事に。
命を、大切に。
瘴気とともに荒れる漆黒に耐え、ナイ・デス(f05727)は、立ち向かう。
「ささげろ」「しね」「しね」「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」「すべてを手放せ」「楽になれ」
「……私達の、命。この地の、礎には、させない、です……!」
ナイはその胸に光を宿す。
「きさま」「人形が」「模造品が」「ニンゲンのにせものが」「よくも」
【闇に囁くもの/ウィスパー・イン・ダークネス】。邪神は他者の負の感情を喰らい、真なる白痴の揺り籠より父神の力を借り受けようとする。しかして、この戦場において対峙する者たちがその心に宿すのは、その多くが前へと向かうための光だ。宿すべき邪悪を引き出すためのネガティヴの感情を引き出すことができぬ故に、そのユーベルコードは機能不全に陥っていた。
「おおおおおおお」「おおおおおお」
しかして、邪神の力は強大だ。ユーベルコードの威力を用いずしてもその出力は猟兵を屠るに余りある。邪神は触手を伸ばした。蠢く先端が肉腫のように膨れ上がり獅子の牙を形作る。ナイはその軌道を見極めようとするが、それはあまりにも速い。黒き獣の牙が迫る!
しかし、その瞬間である。
「ナイくんは……死なせません!」
草原を渡る風のように。雲間から差す光のように。一陣。吹き抜ける!
ソラスティベル・グラスラン(f05892)である!青く輝く大戦斧を振り抜き、ソラは【無貌の神/フェイスレス・ゴッド】と打ち合う!
「……ソラ!どうして、ここに!」
「ナイくん。あなたの声、聞こえました!」
「にんげん」「はははは」「はかなきもの」「よわきもの」「ひとりふえたところで」「にえがふえただけに過ぎない」「あはははは」
しかして邪神は容赦なくソラとナイを攻め立てる。獣の牙がソラの戦斧に打ち合いながら、更に伸ばされた漆黒の触手が鞭のようにしなり襲う!バックラーでは受け切れない。碧の布地を裂いて伸びる魔手がソラを打ち据えた。
「ソラ!」
その傷口をナイが輝きで満たす。【生まれながらの光】がソラを包んだ。痛みを黙らせ、傷を癒し、その身体に活力を与える。
「ナイくんの勇気が、あなたとの絆が。世界を超えて感じ取れました。だから、わたしはここに来たんです!」
「さかしいな」「おろかな」「ははは」「うつくしい」「穢したい」「はかなきもの」
しかして邪神は2人を見下ろし、そして嘲笑う。再び獅子の牙が開き、触手の群れとともに殺到した!
「わたしたちは、負けません。共にここを出て、一緒に新たな冒険に行くんです」
轟!両腕で力強く振り抜くサンダラー!光を纏い大戦斧が獅子の頭を断ち砕く!そのまま回転!brandish!旋風とともに纏わる触手の群れを薙ぐ!
「おろかだ」「みずから死地に飛び込んだ」「死ににきたのだ」「はははははは」「ささげろ」「ささげろ」「血と肉と骨をささげろ」
「たとえ相手が神だとしても、立ち塞がるなら打ち砕く!いこう、ナイくん!」
「はい。私が、癒し、守り、勇気を、与えます……!」
ナイはその身に宿す光をもう一度捧ぐ。
「これで勇気は2人分!」
そして、ソラは駆けた。
「ははは」「はははははは」「愚かだ」「矮小だ」「思い上がりだ」「『勇気』などで」「笑わせる」「勝てると思っているのか」「はははははは」
「勝てますよ!」
その嘲笑を笑い飛ばす。ソラはまっすぐに走る――しかし、障壁!邪神の御業。強烈な思念による念動力だ。だが、ソラは立ち向かう!
「わたしの『勇者』の在り方は、貴方から見ればさぞ滑稽でしょう」
その腕に力を込める。その瞳に光を灯す。振り返れば友がいる。
「ですが、こんな直情お馬鹿だからこそ出来ることもあります」
「そう、です……いってください、ソラ!」
「なんだと」「押されている?」「おろかな」「『勇気』などで」「わたしが」
その時。
邪神は、自らの構築した防壁の砕ける音を聞いた。
「これが、わたしの――」
踏み込む。
「いいえ……わたしたちの、勇者理論!!」
詰める。
そして、振りかざす。蒼く輝く大戦斧。暗雲を割って現れる青空のように、邪神の躯体めがけて蒼く閃光が走る!
「おおおおおおお」「おおおおおお」「これが」「『勇気』だと」「こん、な、ことが」
かくして、刃は邪神を断つ!
「おおおおおおおおおおお!」「おおおおおおおおおお!」「おおおおおおああああああああああああ!」
それは、悲鳴であった。
幾合かの交錯を経て、遂に猟兵たちのユーベルコードが邪神の核へと届いたのである。
「おろかな」「下劣な」「低能な」「脆弱な」「蒙昧な」「はかなきものどもめが」
「く……っ!」
悪罵!同時に強烈な憤怒に満ちた思念が凄まじい衝撃となってソラを叩く!反動に吹き飛ばされた身体を、ナイが渾身の力で受け止めた。
「おおおおおおおお」「おおおお!」
戦斧によって殆ど真っ二つの分かたれた漆黒の躯体は、唸るような音で咆哮しながら再生する。離れた体組織同士が伸びて混ざり合い、再び元の姿へと戻ろうとしてゆく。
しかし、亀裂が残った。――致命的、とまでいえるダメージを負った証左である。
「ゆゆゆゆゆゆゆゆるささささぬぬぬぬぬぬぬ」「おおおおおおおおわわわわああありいいいいいいだ」「ししししししししししねねねねねねねねね」
再生しきれぬ傷口よりどす黒い液体と瘴気を吹き出しながら、いまだ蠢動する邪神の躯体は三眼を燃やし猟兵たちを見下ろした。
「ナイくん。まだいけますね!」
「でも、慎重に、いきましょう……命を、大事に……です」
2人は並び立ち、再び漆黒の異形を見上げた。
――そして、戦いは終局へと向かう!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
メルノ・ネッケル
折角のお礼やけど、それは受け取れへん。
……見てたんなら知っとるやろ?
うちには、助けたい世界がまだ沢山あるんやっ!!
まずは向こうの先手……噛みつきを凌がん限り、うちに勝ち目はない。
何しら噛まん限り、攻めが途切れる瞬間は来ない……ならば、うちの代わりに何かを噛ませなあかん。
……酷使するんはほんまに辛いし、申し訳ないんやけどな……!
その噛みつきを【見切り】、身体代わりに「ハゴロモコート」を放り込む!
とはいえ、いつまでもコート食べられっぱなしでも困る。今度はこっちの番や!
解き放つは真の姿……『狐の灯火』行くで!
強化された身体を信じ、スフィンクスに肉薄!
お返しの【零距離射撃】、全弾余さず持っていけっ!!
グウェンドリン・グレンジャー
……お前、この案件の、ボス?
わるい、やつだってのは、分かる
気を抜いたら、骨まで、喰われそう
私は、ここで、斃れる……つもりは、ない
お願い、HEAVEN'S DRIVE……ヒトのもの、でない、私の心臓
完全起動……力を、頂戴!
(真の姿――虚数の羽根纏う妖鳥の姿に変化し)
【空中戦】で、飛翔、制御
壊れそうな、くらいの……スピード、で、私自身、を、質量兵器……に、する
【生命力吸収】と【属性攻撃】……炎属性、纏って、真っ直ぐ、突っ込む
顔のない、スフィンクスの、攻撃は、【激痛耐性】で我慢、噛み付きでの、接触部分から、逆に【生命力吸収】
こいつ、と、話すと、ろくなこと、なさそう
【狂気耐性】で、バジトーフーする
御園・ゆず
【血反吐】
はかなきものに、蹂躙される気分はいかがでしょうか?
嗚呼、言葉は発さなくとも結構です
今のあなたを見ていれば、気持ちは痛いほどわかりますので
どんなことが起きても大丈夫。
わたしには誕生日を祝ってくれた人がいる
その事実を、心の支えにして。
いつまでも、永遠に離れない
そんなお守りをくださったから
わたしは帰らなくちゃ
楽園へと至る道標を握り直して、挑もう
わたしの身体の一部なんてくれてやりますよ
…噛みつきましたね?
ほら、もう離れられない
To be or not to be
悩んでいた時期がありました
でも、わたしは…生きます。
あなたをいしずえに、血肉にして
わたしは、歩み続ける
「おおおおおおおおおおお」「ああああああああああああ」「はははははははかななななななききききもものののののののどもももも」
傷ついた三眼を更に強く燃え上がらせながら邪神は呻き、叫ぶ。
「さああああああさああああああげええええええろおおおおおおおお」
「お断りや」
メルノ・ネッケル(f09332)は銃把を握る。
「あんたの餌にはなってやれへん。『いしずえ』とやらにもならん。……見てたんなら知っとるやろ?うちには、助けたい世界がまだ沢山あるんやっ!!」
そして、構えた。
「だまれ」「だまれ」「抵抗をやめろ」「やめろ」「やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ」「おおおろろおおおおおおおろかおろかおろかなもの」「はかなきものども」「おおおおおおおお」
「その、はかなきものに、蹂躙される気分はいかがでしょうか?」
御園・ゆず(f19168)は皮肉げに囁いた。
手の中で破魔の銀が光る。
「嗚呼、言葉は発さなくとも結構です」
「おおおおおおおおおおおおお」「おおおおおおおおおお」
「今のあなたを見ていれば、気持ちは痛いほどわかりますので」
「ここここ後悔後悔後悔後悔すすすすするぞ」「わわわわたたたたたししししににににここここれほどどどどどどどまでのののののくくく屈辱屈辱屈辱屈辱をおおおおお」
膨れ上がる。暴圧。熱を帯びた闇と瘴気が満たす。
「にいいいるううううがああしゃあああんんんんああああああああ」「にいいいあああああああるうううううううしぃいいいいいうううううたあああああああんんん」
「……あれが、ここの、支配者」
グウェンドリン・グレンジャー(f00712)は、呪詛を吐き出しながら蠢くその躯体を見上げた。
「……気を抜いたら、骨まで、喰われそう」
「そうされんようにしっかり抵抗してやらな、な!」
「いきましょう。……あれがどんな喜劇を考えていたのか知りませんが。台無しにして幕引きです」
猟兵たちは、走る。
「さああああああさあああああげろおおおおおおおおお」「血を肉を骨血を肉を骨を血を肉を骨を血を肉を骨を血を肉を骨を血を肉を骨を命を命を命を命を命を命を命を命を」「にいいいいいるううううううう」
しかして闇は広がる。三眼を更に激しく燃え上がらせながら、邪神の躯体から魔手が伸びる。【無貌の神/フェイスレス・ゴッド】。猟兵たちへと伸ばされる触手の群れ。しかしてそれは獅子の頭をもつ。先端が肉腫めいて膨れ上がり、開いた。不揃いな牙が無秩序に並ぶ口腔を晒し、3つの頭が表記不可能な咆哮をあげながら猟兵たちを襲う!
「私は、ここで、斃れる……つもりは、ない」
HEAVEN'S DRIVE。グウェンの胸で拍動する心臓は、抗えと叫ぶ。しかして迫る無貌の牙はグウェンに喰らい付く!
「ぐ、っ……!」
「……!」
「ささげろ」「ささげろ」「ささげろささげろささげろささげろささげろ」「血いいいいいいいいい」
その横で更にゆずもその牙を受ける。噛り付いた獅子頭はデスロールめいて回転し、2人を振り回しながら血肉を抉る!
「まずい……!」
救援に向かうべきだが、こちらも対処で手一杯だ。メルノは自身に迫る無貌の顎門をかわしながら、更に追い縋る牙へと銃弾を叩き込む。僅かに怯むも、すぐさまに態勢を立て直し再度の襲撃!
「しぶとい、上に……しつっこい!」
何かしらに噛みつくまで追い続けるつもりか!刹那の思案と逡巡。しかして命には変えられぬ。愛用のハゴロモコート。幾多の戦場を共に駆け抜けた一張羅。メルノはそれを脱ぎ捨て、無貌の牙へと放り込む!
「申し訳ないんやけどな……!」
コートへと噛り付いた獅子の顎に生じた隙を逃さず、メルノは牙を躱しながらその上に飛び乗る。更に追いかけて殺到する触手を躱しながら、メルノは息を吐き出した。呼吸をひとつ。メルノの纏う空気が熱を帯びる。まばたきひとつ。熱は青白い灯火へと変わり、そして九尾がふわりと広がる。【狐の松明/フォクシーズ・フレアマリス】。真なる九尾としての姿を晒したメルノの力が解放され、その霊格が高められる。
「邪神悪神なんぼのもんや!こっちだってお狐様やで!」
「まああああやああああああかしいいいいいがあああああああああ」
メルノは炎を巡らせる。青く光る狐火が渦を巻き、触手の群れを灼いた。続けて銃弾と光条!引き金と共に弾頭がグウェンとゆずに喰らいつく獅子の頭を叩く!
「う……あ……」
噛まれた接触部分から逆流させるように生命を吸い取る異形の能力を用いてかろうじて持ち堪えていたグウェンであったが、メルノの援護射によって緩んだ顎門から遂に脱出する。腹の筋組織を何割か持っていかれた。傷は臓腑まで届いている。しかして、まだ死んではいない。
まだ、立てる。
「わた、しの……心臓。ちからを、……頂戴」
この心臓は、未だ動いている。故に、死を受け入れるわけにはいかない。閉じかけた目を開き、グウェンはその瞳孔に光を宿した。
【HEAVEN'S DRIVE / awaken】。
翼が広がる。半身を異形と化しながら、グウェンは地を蹴り宙を舞った。真の姿の発露である。妖鳥めいた異貌が邪神を見下ろした。
一方、ゆずは血を吐いた。
食らいついた牙が胸郭を貫き胃壁まで達していたのだ。
生きていた、という意味では幸いに。これほどの痛苦が続くにもかかわらず死ねなかった、という意味では不幸にも。致命傷には届いていない。
「は。……は」
手の中でゆずはちいさなお守りを握る。
《beieinand' für alle Zeit und Ewigkeit》。オペラの一節を引用する言葉は、永遠に離れはしないというメッセージ。
傷と痛みが死を警告する。神経系が焼き切れるほどに。思考がかき乱されるほどに痛覚で満たされる。
それでもゆずは口の端に笑みを乗せた。
――どんなことが起きても大丈夫。
手の中で、お守りの感触を確かめる。
御園・ゆずは何処にでもいる女子中学生だ。ちょっと内気で、人見知りで。背中を丸め、申し訳なさそうに歩く地味な女の子。本人がそれを“演じている”と規定していても。だからこそ。
誕生日を祝ってくれた人がいる。それだけで。すごくうれしかった、たったひとつのその事実だけで。血反吐を吐き捨てながら口の端を吊り上げ、地獄に生を見出すことさえできる。
それは紛れもなく純粋な情動であり、それを宿す彼女はきっと、“ふつうのおんなのこ”だった。
「くれて……、やりますよ。血も、肉も」
一言一言をこぼす度に牙が食い込み、傷口から血が溢れた。だが、ゆずはその手の中に銀の光を宿す。
「でも、ぜんぶは……あげま、せん」
振り上げる。
「噛み、ついたのは、失策……、ですよ」
そして、閃く。
「ほら……、もう、離れられない」
悲鳴めいた唸り声とともに、獅子の頭が崩れ落ちた。
「この……ちから、を」
グウェンは飛ぶ。そして開いた翼より滅びをもたらす。虚の羽は闇と瘴気を切り裂いて広がりながら飛び、邪神の伸ばした触手の群れを次々に断った。
「ぶつける……!」
そして翼は青黒く燃える炎を纏う。
「2人とも、無理はあかんで。……帰り待っとる人も、おるんやろ」
その下には青く狐火が揺れた。なおもしぶとく迫る触手の群れを焼き捨てながら、メルノは邪神の躯体へと迫る。
「だから、いく、んです……」
塞がらぬ傷口に痛む身体を引きずって。ゆずは笑う。
「To be or not to be」
「……シェイクスピア。ハムレット」
「生きるべきか、死ぬべきか……やったっけ。……わかった。生きるために、やる、っちゅうことやな」
短い肯定とともに、ゆずは更に一歩を踏み出す。
「なら、時間はかけられへん!……決着をつけるで!」
「うん」
「わかって、います」
「おおおおおおおおおお」「ああああああありいいいいえええええええぬうううううううう」「こここここのくくく躯体ががががかかかかけかけかけかけらのひひひひとととつつにににすすす過ぎぬととととといえどどどどどどど」「はははははかかかかかはかなきもの」「はかなきにに肉体いいい」「はかなき魂」「はかなきいのちが」
「……それでも」
翼が、宙に広がった。
力強く羽撃く羽が炎を纏い、グウェンは滑るように空をゆく。
「私は、……いきたい」
不死の霊鳥めいて燃え上がる翼が、漆黒の躯体を穿つ。激突。衝撃に頭頂部の数割が爆ぜ、三眼のうちひとつが消し飛んだ。
「おおおおおおおおおおおおああああああああ」
そして、躯体は地へと墜つ。
「いくで!フィナーレ飾ろやないか!」
「はい。……幕を、引きましょう」
メルノとゆずがそれに向けて駆けた。燃ゆる邪神の双眸。左右へ分かれた2人はそれぞれに武具を構える。
「悩んでいた時期がありました」
ゆずは口の端からこぼす。
「でも、わたしは……生きます。あなたをいしずえに、血肉にして」
「うちは――あんたを倒して、世界を守る!」
「やめろ」「やめろ」「やめろ」「やめろ」「やああああああああめええええろおおおおおおおぉおおおおおおおおお」
「わたしは、歩み続ける」
「これで終いや!全弾余さず持っていけっ!!」
刃が閃き、銃口が吼える。トリガーと共に幕を引く!
「ああああああああああああああああああああああああああああごぶっ」
かくして、神は死んだ。
「……これ、崩れる、パターン?」
もはや立つ力すら残らぬゆずを抱えながら、グウェンは首を傾ぐ。
ゆりかごは揺らいでいた。主人を失った異形の鼓笛も自らを支えることができなくなりカケラも残さず爆ぜ散り、そして超次元の渦は振動を始める。
「あかんな……シュシュっとずらかるで!」
崩れるパターンだ。察知したメルノはこの戦いの中で傷つきながらも健気にエンジン音を叫ぶ愛車キツネビサイクルに搭乗、一度振り返り仲間たちの様子を見遣ってからすぐさま出口を目指す。
「とりあえず……私たちの、かち」
グウェンは密かにブイサインしながら、そして速度を上げた。
こうして、「揺り籠」における邪神との戦いは猟兵たちの勝利に終わった。
しかし、UDCアースに残る暗雲は未だ晴れることなく世界を覆い続けている。
猟兵たちの戦いは、終わらない。
苦戦
🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
最終結果:成功
完成日:2019年10月31日
宿敵
『かみさま』
を撃破!
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