「ああ……退屈だ……。退屈凌ぎに村を一つ焼いてやろうか……」
玉座代わりに処刑台へと腰掛けるヴァンパイア伯爵は、一組の夫婦を拷問にかけながら気怠そうに呟く。
「しかし、今までと同じ遊び方ではつまらぬな。……いいことを思いついた、ラヴェントを呼べ」
伯爵の言いつけにより、一人の騎士が目の前に現れ跪く。
「お呼びか、我が主」
冷ややかな笑顔を浮かべた伯爵は騎士に命令を与える。それは配下を率いて、適当な村を一つ焼いてこいということだった。命令された騎士は少し渋い顔をする。その程度のことで呼び出されるとは……。
「感情が顔に出ているぞ、ラヴェント。まあいい、今回はいつもと違う趣向を懲らそうと思う。最近、猟兵とやら呼ばれる有象無象が我らに反抗していると聞く。それと少し遊んで来い」
伯爵の凝らした趣向とはラヴェント率いる軍勢で村を一つ焼き、猟兵達を誘き出して片付けてやろうというものだ。あわよくば真祖の覚えも良くしようという思惑もある。
「以前にお前は俺のオモチャを逃がしたことがあったなあ? その代わりではないが、猟兵とやらが来れば良し、捕えて俺の前へ引っ立てて来い。新しいオモチャとして可愛がってやる。来なければそれはそれで良い。猟兵になど期待するなと触れ回ってやれ」
左様のことであれば……と騎士は渋々と拝命する。
「イエス、マイ・ロード」
「ごめんなさい、私がもっと早く予知出来ていれば……」
リンネ・ロートは悔しげに唇を噛む。すでに村は焼かれ始め、殺戮は止むことを知らず、おそらく住人は一人として助からない。リンネは予知の内容を感情を押し殺しながら話す。
この事件は自分たち猟兵を誘き出して倒すことを目的に行われている。『半魔半人の騎士・ラヴェント』を名乗るオブリビオンは軍勢を率いて村を焼き、住人達を皆殺しにしようとしている。猟兵達が現れるまで続けられることは想像に難くない。そして、猟兵達が現れれば問答無用で襲いかかってくるだろう。
ラヴェントを退けた後はヴァンパイア伯爵の指示で大軍が送り込まれ、猟兵を包囲殲滅する準備があることを付け加える。何とかして切り抜けなければならない。
包囲殲滅を免れれば、気まぐれに見物へ来たヴァンパイア伯爵が現れる。逃さぬように討ち取らなければ。
「みなさんにこのような役目を押し付けてしまって、ごめんなさい……」
篁佐登花
こんにちは、篁佐登花です。佐登花が下の名前です。
一月以上ぶりの公開となりましたが、OPをご覧頂きありがとうございます。
シナリオについて少しだけ補足を。
第一章は『半魔半人の騎士・ラヴェント』を倒してください。ラヴェントは軍勢を率いていますが、ラヴェントの撃破だけ考えて頂ければ結構です。
第二章は集団戦です。女性騎士達の骸が焼かれた村を包囲しています。全員を返り討ちにしてもいいのですが、まずは包囲の突破を図って下さい。
第三章はヴァンパイア伯爵『逃した赤子を追い求める者』との戦いです。突破を図った先で出くわすと思われます。特にこれといったギミックはありません。
よろしくお願い申し上げます。
第1章 ボス戦
『半魔半人の魔導騎士『ラヴェント』』
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POW : 秘術・命喰らう強魔
対象の攻撃を軽減する【魔導鎧の効力全開状態 】に変身しつつ、【剣や指先から高密度の魔力の塊を放つこと】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 魔を宿す剣
【強化魔術を施した剣 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : 騒めく魔の波紋
【召喚したレベル×1個の魔方陣から衝撃波 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
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「早く来い、猟兵。俺はこんなつまらないことの為に来たんじゃない」
『半魔半人の魔導騎士・ラヴェント』は忌々しげに独り言を呟く。呟きつつも、火を放たれた家から飛び出してくる村人を一人一人、頭から切り下げ、首を刎ね、心臓を貫いていく。
そして、炎と煙の燻る村の中心で、来るかどうかも分からぬ猟兵を待ち続けた。
カタリナ・エスペランサ
――遅くなってごめんなさい
お詫びには到底足りないけれど、貴方達を虐げた連中は纏めて骸の海に叩き返すから
犠牲になった人々にはせめて死後の安息を願う《祈り》を捧げさせて。
さて、堕ちた騎士……そう呼ぶにも値しない悪鬼の走狗
八つ当たりに付き合って貰いましょうか
《念動力》で拘束し《ダッシュ》で肉薄、UC【閃紅散華】を発動
紅雷の刃による《属性攻撃+鎧無視攻撃+マヒ攻撃》で防御を貫いて斬り裂き感電させ
《怪力+鎧砕き+破魔》の蹴りで強化魔術ごと肉体を砕き
羽弾の《零距離射撃+乱れ撃ち》で弾幕を叩きつける
敵の反撃は《見切り+早業+武器落とし》で潰しましょう
最後は渾身の一撃で軍勢ごと《薙ぎ払い、吹き飛ばし》てあげる
「遅くなってごめんなさい、お詫びには到底足りないけれど――」
そう誰かに語り掛けるように現れたカタリナ・エスペランサ。
「本当に遅かったな猟兵。待ち続けた詫びとしては、一人二人では割に合わんぞ?」
わざとなのか、素なのか分からない様子でカタリナに反応するラヴェント。
「貴方に言ったんじゃないのよ、ラヴェント! 貴方が手を掛けた人々に代わって骸の海に叩き返すから!」
そう言ってカタリナは羽弾を乱れ撃ち、弾幕として叩き付ける。ラヴェントは強化魔術を施した剣で羽弾を切り払い、カタリナに迫る。交錯するダガーと騎士剣は切り結ぶこと数合。
「ラヴェント、堕ちた騎士……そう呼ぶにも値しない悪鬼の走狗ね」
「ほざけ猟兵!」
鍔迫り合いからの蹴りを素早く見切って躱すカタリナ。
(手数の多さは厄介……でも一撃はそこまで重くない。それなら私も……)
「その目を以て焼き付けよ、その身を以て刻みつけよ。此処に披露仕るは無双の演武――」
「お祈りなら別の場所でするがいい!」
ラヴェントの鋭い突きがカタリナを襲う。
「――要するに、後悔しても遅いってコト!」
「なっ……!」
カタリナの手にしたダガーから伸びた紅雷の刃が輝くと、無数の斬撃がラヴェントを切り刻む。帯電した斬撃で動きが鈍ったところへ、さらに鎧を砕く勢いの蹴撃を浴びたラヴェントは吹き飛ばされる。
カタリナの死後の安息を願う祈りは犠牲になった人々へ届いただろうか……。
成功
🔵🔵🔴
木常野・都月
退屈…そんな理由で村を、村人を、焼き討ちにしたのか。
予知によれば…もう村人は助からないという話だった。
それでも、微力ながら最善を尽くしたい。
可能な範囲で速やかにオブリビオンを倒すようにしたい。
UC【狐火】を使用、最大火力で焼いていきたい。
相手からの攻撃は[カウンター]を火の精霊様の助力で[属性攻撃]を[範囲攻撃]で使用、相殺を狙いたい。
相殺しきれない場合は、野生の狐時代に培った[野生の勘、第六感]を駆使して[逃げ足、オーラ防御]で対処したい。
「退屈……? そんな理由で村を、村人を、焼き討ちにしたのか」
立ち上がり、改めて剣を構え直すラヴェントに対し木常野・都月は問いかける。
「……閣下のご下命だからな」
都月からの問いかけに対し、ラヴェントは冷たく答える。これを聞いた都月の顔つきが次第に変わっていく。わずかだが目と眉は吊り上がり、歯を剥く。明らかに怒りを露わにしている。
「命令なら何をしても許されるというのか!?」
これにはもうラヴェントは答えず、そのまま剣を都月に向けるとラヴェントを覆い隠すほどの魔方陣が召喚され、衝撃波を都月へ放つ。
対して都月はエレメンタルロッドを構えて走り出す。野生の狐時代に培った勘と第六感によって衝撃波のほとんどを躱すが、いくつかは火の精霊の助力を得たオーラと相殺されていく。
その間に都月は五十を超える狐火を合体させ、全力でラヴェントへ向けて放つ。剣で弾き返そうとするラヴェントだが、強化された狐火を弾き返せるはずもなくその身は炎に包まれる。
その姿を見ながら都月はいくつかのことを思い出していた。村人はもう助からないだろうことを。それでも微力ながら最善を尽くし、可能な限り速やかにオブリビオンを倒す……そう思ってここまで来たことを。
都月の右目には、一筋の涙が乾いた跡が残っていた。
成功
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数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
騎士サマ……いや、騎士崩れって奴かい?
どちらにせよ、あまり本位じゃないようだねぇ。
仕える相手を間違ったんじゃないのかい、アンタ?
……ま、今さら言っても始まらないやな。
だからさっさと骸の海に帰っとけ!
戦場をカブに『騎乗』して、ラヴェントと軍勢を分断するように
巧みに『操縦』しながら、周囲の軍勢を牽制するように
サイキックの電撃で『属性攻撃』の『範囲攻撃』をばら撒く。
もちろんラヴェントへも放っておくよ。
そうして1対1に持ち込めたなら、
後はチャージよろしくカブで突っ込む
……ように見せかけ、交錯の瞬間を『見切り』、すり抜ける。
虚を突いた隙に【黄泉送る檻】で閉じ込めてやるよ!
……時間は少し遡る。急いで駆けつけた数宮・多喜が目にしたのは、すでに殺戮が終わった後の光景だった。
手勢を引き連れたラヴェントを確認する。多喜は牽制する様に軍勢へ向けてサイキックの電撃を放つ。分断された格好になった軍勢は手を出せずにいた。
「コイツは騎士サマ……いや、騎士崩れって奴かい? どちらにせよ、あまり本位じゃないようだねぇ」
「御者如きに何が分かる?」
「仕える相手を間違ったんじゃないのかい、アンタ?」
「……騎士は仕える相手を選べぬ」
やれやれ……といった様子の多喜。
なんとか炎を振り払ったラヴェントは電撃が自分の周囲にもバラ撒かれていることに気付く。
「小癪な……」
一瞬ムッとするが、落ち着いて剣に強化魔術を施し力を込める。そこへ宇宙カブを駆る多喜がチャージを仕掛ける。
乗騎ごと両断しようと身構えるラヴェントに対し、多喜は巧みな騎乗・操縦で宇宙カブを操る。敵の目前で急ブレーキを掛けたかと思えば、その反動を利用し、後輪でラヴェントの剣を弾こうとする。が、受け止めた剣と回転する車輪の間に激しい火花が散る。
多喜はチッと一つ舌打ちすると聖句を唱え始める。
「ashes to ashes,dust to dust,past to past……」
「さっきも言ったが、お祈りなら……」
言い終わらないうちに、サイキックブラストの檻へ閉じ込められるラヴェント。
「さっさと骸の海に帰っとけ!」
『檻』は狭まり、激しい爆発を起こしてラヴェントに膝を突かせる。
成功
🔵🔵🔴
チェリカ・ロンド
※アドリブ歓迎!
……あんたの事情を知るつもりはないわ。罪のない人を斬ったその剣で、騎士を名乗れると思わないでよね。
安心しなさい。聖女の名にかけて、あんたの後にご主人様もちゃんと浄化するわ。
まずは敵の軍勢に【チェリカ砲】をぶち込むわ。ちょっとは静かになるでしょ。
雑魚で囲むのは無駄だと分からせた上で、ラヴェントに挑むわよ。
衝撃波を出す魔法陣が出たら、【チェリカ砲】で消し飛ばしつつ接近。
もし衝撃波が来たら、聖剣(でかい)で防ぐわ。
近づけたら、聖剣で接近戦よ。とはいえ剣ではきっと勝てないでしょうから、油断を誘う。
敵が私を倒せると思って大振りをした瞬間、その真面目そうな顔面にチェリカ砲】をくれてやるわ!
突如として青白い聖なる光が戦場を貫く。それは猟兵達とラヴェントの戦闘に手を出せずにいた、ラヴェントの手勢を消滅させる。
「ちょっとは静かになったでしょ」
そう言いつつ、得意満面の笑みを浮かべているのはチェリカ・ロンド。彼女の両掌から放たれた『チェリカ砲(チェリカキャノン)』は燃え盛る家も吹き飛ばし、戦場の地形も変えた。
これには普段は冷静なラヴェントも動揺を隠せない。その様子を見て取ったチェリカは畳みかけるように言葉を放つ。
「……あんたの事情を知るつもりはないわ。罪のない人を斬っておいて、騎士を名乗れると思わないでよね」
「罪のない者などいるものか!」
言い返しながらチェリカへとラヴェントは剣の切っ先を向け、魔方陣を展開する。その間にもチェリカは両掌をラヴェントへ向けつつ接近する。そして、もう一度『チェリカ砲(チェリカキャノン)』を放ち、衝撃波ごと魔方陣を消し飛ばす。
チェリカはラヴェントの間合いに入ると、自分の背丈はある大きさの『光聖剣バルムンク』を手にラヴェントへ挑む。しかし幾度か剣を交えるうち、チェリカの動きが鈍くなる。
勝機を見出したラヴェントは再び魔方陣を展開するが、その瞬間にチェリカはバルムンクを手放し、両掌をラヴェントの顔面に向けていた。
「チェ、リ、カ、砲ぅぅぅぅッ!」
全力で放たれた『チェリカ砲(チェリカキャノン)』と衝撃波がぶつかり合い、ラヴェントが押し負ける。
「安心しなさい。聖女の名にかけて私、チェリカ・ロンドがあんたと共にご主人様もちゃんと浄化するわ」
大成功
🔵🔵🔵
アネモネ・ネモローサ
※アドリブ連携大歓迎
助けられる村人はいないとのことだったが、それでも助けられる者がいないか、村全体を回りたい。
……きっと予想以上に酷い有り様なのだろうな。
ラヴェント、君には半分人間の血が入っていると聞いている。なのに、どうしてこのようなことができるのだ。何も、感じないものなのか?
──ならば、意地でも理解らせよう。
UC【くねくねの銀鏡】を使用。
周囲の軍勢、そしてラヴェントに[恐怖を与える][精神攻撃]。
彼らが今まで殺してきた村人達が死の間際に感じた、恐怖、怒り、悲しみ。無数に渦巻くそれらの感情を、私を通して感じてもらおう。
相手からの攻撃がくるようであれば、白いヴェールを硬くして[盾受け]をする。
助けられる村人が残っていないか駆け回る一人の猟兵、アネモネ・ネモローサ。彼女は燃え盛る炎と黒く上がる煙の中、村全体を見て回る。
「誰か、誰か生きている者はいないのか!」
そう叫んでも返事をする者は一人としていない。
(予想以上に酷い有り様だな……)
後ろ髪を引かれながらも、アネモネは非道な実行者の下へ向かう。
攻撃を食らいながらも、他の猟兵達相手に持ち堪えていたラヴェントに向かってアネモネは言葉を投げかける。
「ラヴェント、君には半分人間の血が入っていると聞いている。なのに、どうしてこのようなことができるのだ」
「それがどうした? もう半分は吸血鬼の血……こちら側にいる道理にはなると思うが? そして俺の受けた命は、貴様ら猟兵を殺してでも閣下へ引き出すだけだ」
落ち着いた様子でラヴェントは答える。アネモネはさらに続ける。
「何も……感じないものなのか?」
剣に強化魔術を施すことで意思を表示するラヴェント。
「──ならば、意地でも理解らせよう。私の髪を見ろ、ラヴェント」
アネモネが見事な白髪を揺らめかせると、それを見たラヴェントの様子が一変する。剣を取り落とし、表情が歪む。
「──理解ったな? 君が殺してきた者達の無数に渦巻く感情が」
膝を突き、頭や顔を掻き毟るラヴェント。終いには地面の上で悶え苦しみ、ピクリともしなくなった。最期の表情はとても見られたものではなく、髪はアネモネと同じ白髪となっていた。
成功
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第2章 集団戦
『女騎士の躯』
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POW : おぞましき呪い
【凄まじき苦痛を伴う呪いを流し込まれ狂戦士】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 死して尚衰えぬ技の冴え
【錆びて穢れた騎士剣による渾身の斬撃】が命中した対象を切断する。
WIZ : 不撓不屈の闘志の顕現
自身に【死して尚潰えぬ闘志が可視化したオーラ】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
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『半魔半人の騎士・ラヴェント』を退けた猟兵達。そこへさらに伯爵からの軍勢が送り込まれていた。
『女騎士の躯』達は徐々に包囲を狭めており、その壁も厚い。仮に全てを倒すとしても、次から次へと湧いてくる。
まずは殲滅を免れるために包囲の突破を図り、その後の方策を練る方が良さそうだ。伯爵に呼び出されたものなら、伯爵を倒すことで消滅するだろう。
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
なーるほどな、ラヴェントが忠誠を誓ってたのは
こうなりたくないから、なのかねぇ。
まったく……こういう悪趣味なのは、何度見ても反吐が出らぁ。
とっとと飛び越えて、伯爵とやらを一発ぶん殴って差し上げたいもんだよ!
カブを変形させ、【人機一体・天】で全身に纏う。
アタシの最高飛行速度はマッハを超えるからね。
そうして低空を高速で飛行しながら、超音速の『衝撃波』で
『範囲攻撃』の様に骸どもを吹き飛ばす!
ついでにこの高速ぶりさ、ほとんど理性が残ってない奴らなら
アタシを狙って追いかけてくるだろ。
そうなりゃ好都合、アタシはそのまま囮として骸共を安全圏へ
『おびき寄せ』る。
他の皆、暴れてくんな!
「はーん、なーるほどな。ラヴェントが伯爵に忠誠を誓っていたのも頷ける。まったく……伯爵ってーのは悪趣味な野郎だ」
反吐が出らぁ、とは多喜。女騎士の躯を見て思う所があったのだろう。
『人機一体・天(チャージアップバディ・ジェットドライブ)』によって宇宙カブをパワードアーマーに変形させその身に纏うと、女騎士の躯達へ向かって飛翔する。
「行くぜ相棒……こいつらをとっとと飛び越えて、伯爵とやらを一発ぶん殴って差し上げるよ!」
低空を高速飛行する多喜に対し、女騎士の躯達は狂戦士と化して飛び掛かろうとする。しかし、最高速度でマッハ4を優に超える物体に追いつけるはずもなく、飛び掛かった者も逆に粉砕されるか、超音速の衝撃波に翻弄される。
そして多喜の思惑通り、おぞましき呪いで狂った女騎士の躯の軍勢の一部は、操られるようにして多喜におびき寄せられる。
女騎士の躯の軍勢がいなくなり、ぽっかりと空いた空間に他の猟兵達は移動を開始。そのまま包囲を突破しようとそれぞれ暴れ始める。
成功
🔵🔵🔴
木常野・都月
包囲網を突破しないと、360度から攻撃を受けるからな…
速やかな一点突破が確かに妥当だと思うけれど…
包囲の壁が厚いのか。
暴走が多いと聞いてるから、まだ1回も使った事がないんだけれど…守るものもないし、今が使い所かもしれない。
UC【エレメンタル・ファンタジア】を使用、火と風の精霊様の助力で、[範囲攻撃]を付与した、炎の竜巻を発生させて、包囲網の一角を[ふきとばし]たい。
吹き飛ばせたら、[オーラ防御]をかけつつ[ダッシュ]で突破を図りたい。
敵からの攻撃は、野生で培った[野生の感、第六感]と[逃げ足、武器受け]で対処をしたい。
包囲網突破後、余裕があれば[属性攻撃]で追撃したいけど、状況次第かな。
先行してくれた猟兵のお陰で、多少薄くなった方角へ包囲の壁を突破しようと進む猟兵の中に木常野・都月はいた。全方向からの攻撃を受けるくらいなら、速やかに一点突破を図るのが妥当だと思っていた。
都月は走りながらエレメンタルロッドを構えると、火と風の精霊に呼び掛ける。
「火と風の精霊様、俺に力を貸して欲しい」
都月の呼びかけに応え火と風の精霊が現れると、猛火と暴風を発生させる力が与えられる。すると、彼は迷いなく『エレメンタル・ファンタジア』を放つ。
暴走しやすいと聞いて、一度も使用したことがないユーベルコードだったが、守るものもない今が使い所だと判断した。
都月によって強化され、全力で放たれた炎の竜巻は女騎士の躯の軍勢を巻き上げ、焼き尽くして消滅させていく。
不規則に動く炎の竜巻は、次々と女騎士の躯の軍勢を蹴散らしていく。しかしそれを見た都月は、歩を進めるのを少し躊躇する。だが、意を決して火と風の精霊の加護を得たオーラを身に纏う。野生で培った勘と第六感で炎の竜巻の動きを予測しつつ、他の猟兵達を庇うようにして先頭を進むことにした。
成功
🔵🔵🔴
カタリナ・エスペランサ
……見るに堪えないわね
叶うなら全員ここで眠らせてあげたいものだけれど
伯爵とやらを討てば貴女たちも解放されるのかしら
翼で舞い上がり間合いの外から《空中戦》を展開しつつ突破しましょう
地上からでも届くような攻撃は《視力+聞き耳+第六感》で警戒して《見切り》、《破魔+祈り+属性攻撃》による聖なる光の《吹き飛ばし+衝撃波+制圧射撃》で相手集団を攻撃するわ
並行してUCは【暁と共に歌う者】を使用
浄化の炎を放つ不死鳥たちと共に《歌唱+精神攻撃+催眠術+誘惑》の鎮魂歌を捧げ、せめてもの安息がある事を祈りながら葬りましょう
派手にやった分だけ伯爵を《おびき寄せ》る効果も高まる筈
一刻も早く決着をつけてあげる……!
女騎士の躯の軍勢を、見るに堪えない……といった様子で翼で舞い上がり見下ろすカタリナ。
「叶うなら全員ここで安らかに眠らせてあげたいものだけれど。本当に伯爵とやらを討てば貴女たちも解放されるのかしら?」
希望と疑念を口にしつつ、飛び掛かってくる女騎士の躯達が放つ騎士剣による渾身の斬撃を易々と躱していく。死して尚衰えぬ技の冴えを見せてはいるが、注意深く女騎士の躯の動きを警戒していたカタリナには既に見切られていた。
カタリナは謎のペンダント『一期一会 ― unknown ―』を取り出すと、聖なる光を衝撃波として放ち躯の軍勢を吹き飛ばしていく。
と、同時に【暁と共に歌う者】により不死鳥達を呼び出し、鎮魂歌を捧げる。その歌声は躯達に向けてせめてもの安息がある事を祈るとともに、浄化の炎となって躯達を葬り去っていく。
一刻も早く決着させようと派手に動き回るカタリナの姿は遠方からでも見えたらしく、伯爵は興味をそそられているようだったという。
大成功
🔵🔵🔵
チヒローズ・イッシー(サポート)
自由都市を故郷に持ち、本人も自由を愛する女性です。
戦闘では指定したユーベルコードを状況に応じて使い、人々の自由を取り戻す為に皆さんと力を合わせて戦います。
オラトリオの聖者×プリンセスということで、もしよければキラキラっとした華やかな戦闘演出を描写していただけると嬉しいです。
口調はステータスシートの通り、「なの、よ、なのね、なのよね?」という感じの優しく人当たりのいい女の子といった感じの喋り方です。
一人称は「私」、二人称は基本的に年齢や男女を問わず「さん」付けの呼び方です。
あとはマスターさんにお任せします。よろしくお願いします!
戦場にはおよそ縁遠いような格好でチヒローズ・イッシーはそこにいた。
チヒローズは人々の自由を取り戻す願いを心に秘め、他の猟兵と歩を共にしていた。なぜなら彼女は自由都市を故郷に持つ自由人。この世界にも自由をもたらしたい、自由の喜びを分かちあいたいと思っていたからだ。
チヒローズの周りはオラトリオヴェールでキラキラと輝き、彼女の鼓動に合わせ空飛ぶハートが舞う。
だが、それが女騎士の躯達を呼び寄せてしまう。死して尚潰えぬ闘志を纏い、迫る。
しかしチヒローズは慌てることなく、祈りを捧げる。するとチヒローズの聖痕から光が溢れ、鈴蘭の花弁に変わる。
「苦しかったのよね、悲しかったのよね。でも、もういいのよ」
女騎士の躯達は鈴蘭の嵐に包まれると、癒されるように消滅していく。一瞬、チヒローズは痛みに顔を歪めそうになるが、彼女は笑顔を湛え彼女達を見守る。
チヒローズは彼女達の想いを受け止めて涙を流しながら、包囲の突破を計った。
成功
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シシィ・オクトニーア(サポート)
『のんびり、ゆるりとまいりましょう』
クリスタリアンのフードファイター×聖者、17歳の女です。
普段の口調は「のんびり(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)」、リラックス中は「箱入り少女(私、あなた、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
周りの猟兵が必死に包囲の突破を計っている中、彼女だけは特に異色を放っていた。
「いただきます」
と丁寧に言葉を放ち、のんびりとお気に入りの干し肉を咀嚼している彼女はシシィ・オクトニーア。
シシィの咀嚼している干し肉は様々で、牛肉に塩で味付けしたシンプルなものから胡椒やハーブで香り付けされたもの・干す前に燻されたもの・柔らかな食感のもの・カチカチに固いもの・豚・鶏・馬・羊、果てにはイカや鮭・鯨・ドラゴンまでとバリエーションに事欠かない。
「ご馳走様でした」
と食事後の挨拶も丁寧に済ませる。するとシシィの全身の細胞が活性化し始め、準備が整ったようだ。
シシィは自身の身長ほどもあるお気に入りのカトラリーを取り出すと、ナイフやフォークといった様々な食器に変化させて女騎士の躯達を倒していく。こうなったシシィにとっては『所向無敵』といった有り様だ。
シシィが女騎士の躯達を相手取っている間に戦闘の猟兵達は突破口を開いていた。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『逃した赤子を追い求める者』
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POW : さあ僕たち、ディナーの時間です
無敵の【意思を持つ醜悪な拷問具】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD : 貴方に答えが出せますか
対象への質問と共に、【魔方陣】から【意思を持つ様々なタイプの拷問具】を召喚する。満足な答えを得るまで、意思を持つ様々なタイプの拷問具は対象を【拘束し、どす黒く血に濡れた吸血刃】で攻撃する。
WIZ : 貴方はオレには敵わない
【完璧な会釈】を披露した指定の全対象に【洗脳波を浴びせ、決して敵わないという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
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女騎士の躯達の包囲から逃れた猟兵達は一先ず安全な場所へと移動する。その後は伯爵を倒すべく居館を目指した。
しかし、居館を目指す必要はなくなった。なぜなら伯爵と途中で出くわしたからだ。
少数の供回りを連れただけの伯爵は猟兵を目にすると
「停まれ、下ろせ」
とだけ輿の担ぎ手に命令する。伯爵の姿は異様そのもの。屋根があるだけの輿に処刑台とともに乗っていたからだ。
「ここに猟兵どもがいるということはラヴェントは失敗したか、使えぬ奴だ。なまあいい俺が直々に遊んでやろう、お前たちは下がっているがいろ。手を出したところで、どうせ下種相手でも役には立つまい」
退屈凌ぎという理由だけで、村を焼き払って楽しんでいた伯爵を許しておくことはできない。放っておけば、これからも他の村を焼き続けるだろうことは想像に難くない。
ヤーリ・ハンナル(サポート)
こんな見た目ですが立派な中年です。食堂のオバチャン。肝っ玉母ちゃん風です。
料理と食材にはこだわり、美味しい物と珍しい食材には興味津々です。
愛用の武器はお玉と弓矢。弓矢と力技と遠近使いこなす感じです。
巨人も良く呼び出しますが、元が小さいので巨人もこぢんまり。
オバチャンなので、子供や若者は庇いたくなるし、世話をやきたくなります。
サポート行動オイシイです。
連携・アドリブ・ネタ大歓迎、自由に動かしてやってください。
「戦いの前には、まず腹ごしらえ……と思ったけどそんな暇はなさそうだね」
ドワーフメイルの上に割烹着という出で立ちのヤーリ・ハンナル。伯爵の居館を目指す猟兵達へ自慢の料理を戦いの前に振舞おうと思っていたが、その機会は失われる。
そんなヤーリを目にした伯爵『逃した赤子を追い求める者』は嘲笑を浴びせかける。
「なんだ、そこの小さき者は。オレのオモチャとしては話にならんな」
それを受けたヤーリ。
「他者に対してオモチャ扱い? 失礼にも程があるってもんだよ! それに退屈凌ぎに村一つ焼き払うなんて、お仕置き程度で済むと思うんじゃないよ!」
ヤーリの言葉を受けてさらに伯爵は続ける。
「オレの領地にあるものは、全てオレのオモチャだ。オレのものをどうしようと勝手だろう、そんなことも分からんのか?」
伯爵の質問と共にヤーリへ向けて、魔方陣から黒い棺のようなものが放たれる。棺のようなものは意思があるかのようにヤーリを拘束しようと動き出す。拘束した後はドス黒く血に濡れた吸血刃を突き立てて遊んでやろうという伯爵の意図が見て取れる。
ヤーリは自らの背丈はある大きな『おたま』を手にすると、集中しつつ棺のようなものと吸血刃を次々と叩き落として破壊する。
全てを叩き落としたヤーリはロングボウを取り出すと、伯爵の肩へ矢を突き立てた。
「アンタの言い分なんて死ぬまで分かんないね! ワガママな子供以下だよ! 十分に反省しな!」
ヤーリは伯爵に対して一喝した。
成功
🔵🔵🔴
月隠・望月(サポート)
※他の猟兵に迷惑をかける行為、および公序良俗に反する行動はしません。
『戦うのは、得意。わたしにまかせて』
『強者なら周りの者を守る、のが、当然』
『オブリビオンは世界の敵。倒す。全て』
サムライエンパイア出身の忍者です。無感情無表情な羅刹ですが、責任感は強く『強者は周囲の者を守るために戦うのが当然』という信念を持っています。
戦闘に関しては、何でもこなすオールラウンダーです。敵の動きを観察しつつ、剣術・陰陽術・射撃術などを組み合わせて戦います。
反面、炊事・洗濯などは壊滅的に苦手としています。羅刹という種族柄、力仕事は得意です。
一人称は『わたし』。少したどたどしい口調で話します。
よろしくお願いします。
伯爵『逃した赤子を追い求める者』に対して恨みは、ない。焼き払われた村に愛着も、ない。当然、村人と接点があったわけでも、ない。
ただ持ち得ていたのは「オブリビオンは世界の敵、倒す、全て」という感情。それが月隠・望月の在り方。そのためには「強者は周囲の者を守るために戦うのが当然」という考えの持ち主であり、弱者をいたぶる伯爵を見過ごすことは出来なかった。
「伯爵は、倒す、必ず」
淡々と望月は言うと、無銘刀を構える。
「お前が? オレを? つまらん冗談はよせ、遊ぶ前に殺してしまうぞ?」
望月の言葉に余裕を見せる伯爵は、処刑台から立ち上がると完璧な会釈を披露する。しかしそれは決して望月を侮っての行動ではなく、洗脳波を浴びせ、自分には決して敵わないという感情を与えることを目的としていた。
洗脳波を浴び、クラっとする望月。だが、それも一瞬のことで『反術相殺(リバース・コラプス)』によって相殺している。むしろ、正反対の事象を引き起こす術によって戦意が高揚している様子の望月。無銘刀を構えたまま、どこからか取り出した暗器を投擲しつつ接近する。
投擲した暗器は伯爵に躱され、望月は上段から切り込むも受刑者に嵌めるであろう足枷の鎖に受け止められる。
膠着するかに見えたが、伯爵の身体に小さく穴が開く。望月の霊力が弾丸となって貫いたのだ。
「なっ……!」
伯爵が怯んだ隙に後ろへ飛び退り構え直す。
「わたしは、言った、伯爵は、倒す、必ず、と」
成功
🔵🔵🔴
木常野・都月
元野生の狐だった俺とって、命のやり取りは当たり前だった。
でもそれは、互いの命の尊重があるから。
なのに、この男は命を弄んで…自分の部下の命も使い捨てか。
自然界に生きる狐として、この男を認める事は絶対に出来ない。
全力でこの男を倒したい。
微力な狐だが、微力だからそこ、出し惜しみはしない。
UC【狐火】を最大火力で使用、この男が死ぬまで狐火を消す気はないぞ。
加えて[全力魔法、火の属性攻撃]で追撃を加えたい。
更に属性攻撃を打った後、爆風に紛れて[ダッシュ]で接敵、途中で杖からダガーに持ち替えて[怪力]で攻撃したい。
敵のUCは[呪詛体制]で、それ以外は[野生の感、第六感、見切り、武器受け]対処したい
元野生の狐だった木常野・都月にとって『逃した赤子を追い求める者』は相容れない存在として強く認識されていた。
生きるために命のやり取りは当然のことだが、それは互いの命への尊重があるからだ。しかし伯爵は違う、他者の命を弄び、自分の部下さえ使い捨てにする。
自然界に生きる狐として、そのような存在を認める事は都月には絶対に出来ないことだった。
都月も伯爵の洗脳波を浴びていたが、全力で伯爵を倒す、微力な狐だが微力だからこそ、力の出し惜しみはしないという強い意志が呪詛耐性としてそれを上回っていた。
都月がエレメンタルロッドに全力を込めると五十を超える狐火が発生し、次々と合成され一つの大きな火球となる。火球は伯爵目がけて放たれ、輿や処刑台とともに炎に包む。
炎に包まれ大きな呻き声を上げる伯爵に対し、伯爵が消滅するまで炎を消す気のない都月。
都月は伯爵がもがく間に駆け寄り、その手にダガーを握り締める。ようやく炎を振り払った伯爵はすでに再生を始めているが、そこへ都月はダガーを突き立て、伯爵にさらに大きな呻き声を上げさせる。
伯爵が次の行動に移るころには、都月はすでに動きを察知して距離を取っていた。
都月の表情はなおも威嚇する様に、目と眉はハッキリと吊り上がり、歯を剥いている。
成功
🔵🔵🔴
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
これはこれは伯爵殿、ご機嫌麗しゅう。
……なんて言うとでも思ったかい?
趣味が悪いにも程があるんだよ!
だもんでおあいにく、そこまで付き合う気はないんでね。
問答無用でキメに行かせてもらうよ!
襲い来る拷問道具は『念動力』で動きを抑え、
『衝撃波』で吹き飛ばして伯爵への道を開ける。
一つや二つの拘束を受けても、そこは
『覚悟』をもって『激痛耐性』でこらえるよ。
アンタの遊びに巻き込まれた村の連中の苦しみは、
こんなもんじゃなかったろうからね!
そうして輿の真ん前まで辿り着いたら、チェックメイトさ。
研ぎ澄ましたサイキックエナジーを全開で、
【暁を拓く脚】をアンタに届かせてみせるよ!
「これはこれは伯爵閣下、ご機嫌麗しゅう……。趣味の悪い処刑台が片付いて、少しは男前が上がったんじゃないのかい?」
数宮・多喜のこの言葉に伯爵『逃した赤子を追い求める者』はキッと睨みつける。今までとは雰囲気が明らかに違う。
そんな伯爵の視線も意に介さず、付き合う気はないと言わんばかりの多喜。
「おのれ、猟兵如き下種が……。オレをオモチャにしてもいいとでも!?」
多喜に向かって、怒りで我を忘れた伯爵は衝動的に黒い包帯を放つ。伯爵の腕から伸びるそれは、伯爵の怒りのままに多喜へ真っすぐ向かう。落ち着いた状態で放たれていれば、それは変則的な動きで対象を拘束することもできただろう。だが、まっすぐに伸びたそれは多喜の念動力に抑え込まれてしまう。
触れれば絡まる黒い包帯を避けながら、多喜は伯爵へ迫る。問答無用でキメに行こうとの腹だ。それを見た伯爵はニヤリと笑う。その瞬間に何本かの先の尖った細い管が多喜へ突き立つ。
細い管からは多喜の血が吹き出すように流れる。しかし多喜は気丈にも激痛に耐える。
「ッ! この程度の痛みなんてどうってことはないさ! アンタの遊びに巻き込まれた村の連中の苦しみは、こんなもんじゃなかったろうからね!」
伯爵を間合いに入れた多喜はサイキックエナジーを纏った後ろ回し蹴りを叩き込む。
吹き飛ばされはしなかったものの、再生しかかっていた身体にダメージが重なる。
「チェック。アタシの一撃、アンタに届いた」
成功
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カタリナ・エスペランサ
ようやくお出ましね
この期に及んで問答する気も無いわ、叩き潰してあげる
真の姿に近づいて4枚に増えた翼を広げつつ、UCは【失楽の呪姫】を発動。
魔神の魂から引き出す権能で《恐怖を与える+威厳+催眠術+念動力+ハッキング》技能を強化、敵が召喚する拷問具の意思に干渉して動きを阻害するわ
可能なら支配権を奪って逆に伯爵を捕らえさせてしまいたいところね
敵の攻撃には《早業+先制攻撃+破魔+属性攻撃+範囲攻撃》で先んじて劫火の渦を放ち《薙ぎ払い+吹き飛ばし+武器落とし》で対処。
伯爵本体は《全力魔法+マヒ攻撃+鎧無視攻撃+スナイパー》、黒雷の槍で貫きましょう
貴方には改心も贖罪も望まない
骸の海の底の底まで沈みなさい!
普段は二枚の翼が四枚になったカタリナ・エスペランサ。これは彼女の真の姿に近いものだろう。
この期に及んで問答する気も無いカタリナは『失楽の呪姫』を発動させる。【主神に叛き追放された魔神の魂】【あらゆる守護を貫く黒雷】【終焉を招く劫火の欠片】を宿した彼女は『逃した赤子を追い求める者』が対応する暇も与えず肉薄する。
慌てた伯爵はカタリナの動きを止めようと、ありとあらゆる拘束具を放つ。手枷・足枷・首枷……それらは全て伯爵を拘束してしまう。
「ンッ! ンンーッ!」
まともに声を上げることさえ出来なくなってしまった伯爵に対し、劫火の渦を放ちカタリナは語りかける。
「こうなってしまっては哀れなものね……。でも貴方には改心も贖罪も望まない、骸の海の底の底まで沈みなさい!」
伯爵にとっては死刑宣告のようなものだ、今までは自分がする側であったというのに。
カタリナは眼から涙のように血を流し、その腕を黒雷の槍と化す。身動きが取れないまま劫火に苦しむ伯爵を一突きすると、不死であるはずの身体は灰のように風と共に去ってゆく。伯爵の従えていた供回りと軍勢も姿を消し、居館に囚われていた人々も解放された。
だが解放されたところで帰る場所を持たない人の心を想うと、カタリナを含めた猟兵達はやるせない気持ちを抱かざるを得なかった。
大成功
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