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大正サスペンス劇場・猟兵連続殺人事件

#サクラミラージュ


●序
 サクラミラージュ、それは新たなに発見された新世界。
 そこでは数百年におよび”大正時代”が続いているという浪漫郷。
 そんな世界にある古びた洋館で『影朧による連続殺人事件』が起こると予知されたところから話は始まる。
 さっそく当日洋館に行くはずだった人々には「絶対に行くな」という指示が出されました。
 ……が、影朧を倒せる機会をわざわざ無視するのも問題があると判断し出した結論は至極簡単。
 猟兵達が『当日洋館に招待された犠牲者達に成り代わればいいのだと』

●グリモアベース
「みんなに殺人事件の招待状だよ♪」

 とてもいい笑顔で”蝋で封された便箋”を持ちグリモア猟兵のユウラ・キッペンベルグは集まってくれた猟兵達に話し始めた。

「サクラミラージュの帝都郊外に古びた洋館があってね、そこのオーナーさんが色々な一癖も二癖もありそうな人ばかりを招待してお宝の披露会を開こうってことになったらしいんだけど~」
 もちろんそれは連続殺人を目論む影朧の仕業ということは話の流れで容易に予想がついた。

「招待客が滞在する日の夜にまず食事会が催されて各々がバラバラに過ごすことになるんだよ、まずは招待客として潜入してそれはそれはお約束の犠牲者さんらしく自己アピールしてほしいんだよね」
 わざとらしいまでのミステリーの登場人物になりきれという事らしい。

「そのうち影朧が連続殺人を行うはずなので、それに至るまでの”死亡フラグ”ってやつをたっぷり立てておいてほしいんだ♪」
 定番はやはり理由をつけて一人になるとかそういった事になるだろう。

「えーっと、舞台となる洋館の説明をするね。建物は山奥にあり夜は嵐が来てるので屋敷から帰る事はできないよ。2階建てで一人ひとり個室が割り振られるよ」

 さらに建物内には人が一人ずつ減っていく歌が書かれた額縁や骨董品なども充実、まさに殺人事件を起こしてくれと言わんばかりのようだという。

「オーナーさんは姿を見せず、住み込みのメイドさんが給仕や説明を行うみたいだよ」
 蒸気機関が大まかな仕事をしてくれるようでそんな人数でこの洋館の維持は可能なようらしいという。

「一般人が巻き込まれる心配はないけれど、影朧救済機関だけで事件解決するには少々荷が重いらしいからね……みんな頑張ってね!」
 本当は自分で行きたいんだろうなこのちびっ子シスターはと全員が何となく察した事にも気付かず、ユウラは全員に招待状を渡して回るのだった。


轟天
 やることが……やることが多い!
 きっと犯人の影朧もそうブツブツ言いながら犯行を行っているはずです。

 第1章
 まず招待客として派手に自己アピールして、死亡フラグ山ほど立ててもらえればと思います。

 第2章
 実際に殺人トリックが行われ常人なら死にますが猟兵なら……まあ死にはしません。
 せいぜい派手に被害者役を演じてもらえればと思います。
 上手く連続殺人されてください!

 第3章
 少々不自然さがあっても殺人事件が上手くいけば、ノコノコ影朧が現われます。
 殺人の動機などを語り始めたりするので、そこを上手く説得したりしつつ倒してもらうと”転生”できるんじゃないかとおもいます。

 新世界での新たな事件を解決するのはあなたかもしれません。
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第1章 日常 『犯人はこの中にいない』

POW   :    こんな所にいられるか! 発狂して立て籠ったり、無謀な脱出を試みそうな役をやる。

SPD   :    きっと『あの時』の罰だ……怪しい行動言動で事件を混乱させそうな役をやる。

WIZ   :    犯人はあいつだったのか! 決定的な証拠を見つけて口封じされそうな役をやる。

👑11
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竹城・落葉
 【POWで判定】
 ここが新世界か。実に興味深いが、この世界を見学して回るのは後にしよう。まずは事件を解決せねばなるまいな。故郷たるサムライエンパイアの戦争が終わってから、初となる依頼だ。腕がなまっていなければいいのだが。
 ふむ、我はミステリー小説の登場人物になり切ればいいのだな。ならばお手本を見せてやろう。我は無表情かつクールに自己紹介(内容はお任せします)しよう。頃合いを見て、こんなところにいられるか、的なことを言って自室に籠城しよう。典型的な行動だが、悪くはあるまい。
 ……しかし、暇だな。仕方ない、クローズドサークル系の推理小説でも読んでいるか。
*アドリブ&共闘、歓迎です。




 桜舞い散る帝都の郊外にその洋館はひっそりと建てられていた。
 大正700年ともなると古来よりの家が手放され別の主に売り渡される事もしばしばある。
 『百櫻館』と呼ばれるその館は今のオーナーに変わってから内装などが大幅に改装されており、より蒸気機関などを仕込んだ物へと見違えるほどに生まれ変わっていた。
 その館前に一台の馬車が停車するところから物語は始まりを告げる。

「当館へようこそおいでくださいました」
 館住み込みのメイドが馬車から降りた着流しの女性へと頭を深々と垂れお荷物をお持ちしますと小さな鞄を手に取り館の中へと案内し始めた。
(ここが新世界か、実に興味深い)
 着流しの女性ことサムライエンパイア出身の竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)にとってはこれが別世界とはいえ自分の生まれ故郷の未来の形の一つだと聞くと何とも言えない気持ちになる。
 故郷での戦争が終結し一ヶ月、腕が鈍ってはいないか気になるところだがリハビリがてら新世界を見物するのも悪くは無い。
 だがその前にこの洋館で起こるであろう事件を解決するところからやるのが筋というものだろう。

 まず案内されたのは201号室、これが落葉に宛がわれた部屋である。
 モダンな雰囲気でありながら何処か変わった意匠の置物などが置かれており見て回るだけでも退屈などしないだろう。
 荷物を置き簡単な説明を終えたメイドが「晩餐の時間になりましたら食堂へとお越しください」とだけ言い残し部屋を立ち去っていく。

 一人になりようやく落葉はベッドに横になると天井を見上げ今回何をするべきかを思い返していた。
(ふむ、我はミステリー小説の登場人物になりきればよいのだな、クク……ならばお手本を見せてやろう)

 こうして食堂へと出向いた落葉は他の招待客と目を合わせ徐に仰々しく礼をしてみせる。
「おっと自己紹介がまだでしたな。私は竹城・落葉、先代当主がここのオーナーと懇意にさせていただいた縁で此度のお宝拝謁の栄誉に預かれたのです」
「ほぅ……なるほどなるほど、竹城様は中々の好事家とお見受けしますな」
 他の参加者からの合いの手で上手くそれなりの家柄の嫡子であると認識されたのではなかろうか。

●そして事件は開幕する
 晩餐は進み和やかな食事の時は終わりを迎えた、住み込みメイドが何やら仰々しい封筒を持ってきたのだ。
 それは差出人不明であり中に入っていたのは今回の参加者達の名前と何やら罪状が書かれた一枚の便箋。
 それによれば欲に塗れた者達のリストとあり、天罰が為されるであろうとの文面が恐怖を誘う。
 招待客達も全員がわざとらしいまでに慌て始めいつしか口喧嘩まで始まりそうな雰囲気だ。

(来ました……これが殺人予告、事件の開幕のベルですね!)
 ちょっと興奮が表に出そうだったので出来るだけ無表情でいこうと思ったがいや違うとミステリー小説を思い出しはっとする。
 今こそあれをやるときなのだ!!

「殺人犯がいるかもしれない、こんな所にいられるか!」
 バンとテーブルを叩き席を立つとツカツカと落葉は2階へと足音をたてつつ上がっていった。
 やれやれとばかりに残りの招待客達が話しているのを背に自室へと引き篭もった落葉は椅子に腰掛けると読みかけの小説を手に深々と体重をかける。
(……典型的だが悪くはあるまい、だが最初に人の輪から離れてしまうと少々暇だな)
 もう少しミステリーらしい喧嘩などしても良かったかなと思ってしまうがそれはそれで蛇足になるかもしれないと心を落ち着ける。
 こんな時はクローズドサークル系の推理小説を読むに限る。

 こうして惨劇の夜は始まりを告げた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

百目鬼・那由多
アドリブ可

ふむ、殺人事件ですか
状況は分かりました。この百目鬼那由多、完璧に役を演じてみせましょう

設定は骨董趣味のある若手起業家辺りで参りましょう
所謂ありがちな偉そうな成金男ってやつです
自己紹介は高笑いを交えて思い切り尊大に
殺人予告には
「殺人予告?バカバカしい!ただのイタズラだろう」
「殺せるものならぜひ殺してみせてほしいものだな、あっはっは!」
などと横柄な態度をとっておきます

その後はなるべく単独行動が好ましいですね
殺人予告されているにも関わらず自室に戻らず館内をうろうろしちゃったりなんかするかもしれないです



●館で笑う若旦那
 『百櫻館』に訪れた者の中には珍客と呼んで差し支えない者も混じっている。
 洋館のあちこちに置かれた芸術品や装飾を興味深そうに見て周り大声でそれを説明しようとする光景はこの日もう何回目の事かはわからないお約束の出来事となっていた。
 骨董趣味の若手事業家、それが百目鬼・那由多(妖幻・f11056)がこの館に来るにあたり用意した肩書き。
 事業に成功し成り上がったため知識自慢をするがそれは表面的なもので深みがない。
 そんな浅はかな男を演じ那由多は建物内の構造などや隠された仕掛けはないかなどを念入りにチェックしていたのだ。

「なっ!?」
 ふと窓から見える建物の他の窓が目に入りそこに信じれないものが通り過ぎるのを一瞬目撃してしまった。
 鉄仮面をつけたムキムキマッチョのビキニパンツ一丁の人影が見えたのだ。
(え、えぇと……僕、疲れてますかね……?)
 怪しすぎてツッコミが追いつかないが……きっと誰かの仕掛けなんだろう、というかなんですかアレ??
 よしっと那由多は今のは見なかったことにすると屋敷周辺の散策に行く事にした。

●晩餐会
 晩餐は進み和やかな食事の時は終わりを迎えた、住み込みメイドが何やら仰々しい封筒を持ってきたのだ。
 それは差出人不明であり中に入っていたのは今回の参加者達の名前と何やら罪状が書かれた一枚の便箋。
 それによれば欲に塗れた者達のリストとあり、天罰が為されるであろうとの文面が恐怖を誘う。
 招待客達も全員がわざとらしいまでに慌て始めいつしか口喧嘩まで始まりそうな雰囲気だ。

「殺人予告?バカバカしい!ただのイタズラだろう」
 尊大にそして大げさに手を広げて全員を見渡し注目を集めてみる。
 そして便箋を手に取りもう一度自分の目で流し読みすると「はぁ」と溜息をつきその後笑い始めた。
「あぁ、そうかわかりましたよ。これはあれですね、まだ姿を見せないオーナーが我々招待客へと施したサプライズってところですかな?」
 そう言いつつ住み込みメイドのほうを見るが首を横に振るだけで。
「わっ……私は何も存じません。」
 と言うばかり、さすがに重くなった空気を紛らわすべくあえて嫌な男を演じ切ろうと席を立った。
「殺せるものならぜひ殺してみせてほしいものだな、あっはっは!」
 笑いながら席を立ち扉のほうへ歩いていく那由多はふと思いついたようにメイドへと言葉を投げた。
「ところでオーナーはいつお見えになるのかな? ゲストを待たせて現われないのでは失礼というものではないかね?」
 そのトゲのある物言いにビクリとしつつメイドは頭を何度も下げるのみ。
「すみませんすみません。オーナーがお見えの予定を私ども知らされておりませんで……皆様のお世話のみを仰せつかっているのです」
「フムン……そうですか、では来られるまで屋敷のコレクションでも拝見して参りましょうか」
 わざと高笑いをし扉の外に消えると足音はどんどん遠ざかっているようだ。

(さて……仕込みは上場、今宵は自室へは戻らずうろうろするとしましょうか♪)
 
 そう思った直後、遠くで何か爆発音がした……どうやら物語は少しずつ動き始めたようだ。
 那由多はこの状況を楽しもうと食堂へ走り始めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

忍足・鈴女
SPD

サクラミラージュ
桜の幻想…か…
案外この景色も桜が見せてる幻想やったり
帝の不死にも桜が関係してて
その所為で成仏できへん魂がおびりびおん化してたりなあ…

しかし未練のある魂が…
これは情に溢れ、知的なウチ向けの世界やね(突っ込み処

べべん♬
「まあ皆落ち着きなはれ、『疚しい事』があれへんかったら
天罰なんて下らへんやろ…無ければ…なあ?」
と妖艶に微笑む

役柄は…
「何でここに招待されたか分からない
如何にも怪しげで
最終的に犯人役として自殺に見せかけて殺されそうな役」

さあ己の欲を叶え続けた結果、この場にいる皆々様…
果たして…この館を出る時まで…
『生きたい』っちゅう欲を叶える事ができるんやろか
楽しみやわあ…



●猫と桜と三味線と
 ベベンベンベンベベベベベベン。
 三味線の音色が響く。
 満開の桜が舞い散る館の庭で忍足・鈴女(最終猫型暗殺兵器・f03727)は庭石に腰掛、着の身着のままフリーダムに風情を楽しんでいた。
 新世界サクラミラージュ、桜の幻想……それが見せるのはこの世界そのものなのかそれとも。

 来たばかりの世界の真相への興味はつきない。
 帝は不死なのは桜が関係しているのだろうか、そのせいで成仏できない魂が”おぶりびおん化”してるとか?
「未練のある魂……ここは情に溢れ……知的なウチ向けの世界やね~♪」
「えぇと忍足様、どうかされましたか? お酒のお替りお持ちしましょうか?」
 背後からメイドの声がして鈴女は振り返ると「ええんよええんよ」と手で不必要だと追い払う。

 『百櫻館』に招待された客の中で何故ここに呼ばれたのか一切が不明な怪しげな珍客。
 それがこの忍足・鈴女と呼ばれる謎の酒飲みだった。
 一番に到着しずっと桜を愛でながら酒を飲み続けるただの酔っ払いともいえるのだが、あまりここのオーナーが交流をもつタイプの人間には見えないのでより一層違和感がある存在といえた。

 どうやら今回の招待客の中にはイロモノ役が何人も混じっているようで今夜が楽しみだと思えば酒も進んでしまい、また一献クイっと飲み干した。


●晩餐会
  晩餐は進み和やかな食事の時は終わりを迎えた、住み込みメイドが何やら仰々しい封筒を持ってきたのだ。
 それは差出人不明であり中に入っていたのは今回の参加者達の名前と何やら罪状が書かれた一枚の便箋。
 それによれば欲に塗れた者達のリストとあり、天罰が為されるであろうとの文面が恐怖を誘う。
 招待客達も全員がわざとらしいまでに慌て始めいつしか口喧嘩まで始まりそうな雰囲気だ。

 ベベン♪
 だがそこに響く三味線の音色。
「まあ皆落ち着きなはれ、『疚しい事』があれへんかったら
天罰なんて下らへんやろ…無ければ…なあ?」
 妖艶に笑えない声で語り掛ける鈴女に誰しも何か思うところがあるのかある者は言葉を失い、ある者は怒り怒鳴り散らかした。
(あぁ……皆はん、演技うまいどすなぁ♡)
 ここはもっともっとかき混ぜてあげないとと真犯人が動きやすくなるように仕込みをいくつかしてやろうと思案する。

「はてはて、もしも殺人が起こるとして♪ 果たしてこの場にいる皆々様♪ この館を出るまで……『生きたい』という欲を叶えれるんやろか♪」
 三味線と共に即興で曲を披露するが皆の反応が著しく悪く微妙な空気になる。
 各々が回りを見渡し誰もが犯人たりえると疑いの心で身始めた。
 
 誰かがもう帰るなどと言い出した瞬間、遠くで何か爆発音がした。
(あぁ♡ 何これ誰の仕業♡ これ絶対、橋とか爆破されるやつやろ♡)
 鼓動が昂ぶるのを自覚しつつ鈴女は頬を赤らめ、今の音がここから始まる惨劇()が始まる時報なのだと思い至り一人欲情を隠せない様子だった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

テラ・ウィンディア
いんてりじぇんすでないすなボデエを持つこのおれに相応しい役…そう!

…探偵だ!(ばばばーん!

今よりこの依頼のリプレイタイトルは「ウィンディア少女の事件簿~魔宝収集列館殺人事件~」だ!!(!?

きちんと挨拶していくぞ

おれはテラ・ウィンディア!名探偵ウィンディアの孫なんだぞ!

この招待状でおれも招待されたんだ

額縁についてた詩とかきちんと読んでいくぞ
そしておれの【戦闘知識】(!!)による名推理が展開されるのだ!

後は怪しい一文を発見するぞ!
これは…明らかな殺人予告だ…!(ちゃんとメモを取る

この屋敷…お宝の伝説…謎のメッセージ…これは…何か起こるとしか思えない

皆…ちゃんと鍵を閉めて気を付けるんだ…!



●迷探偵登場
 『百櫻館』でこれから起こる予定の仮称『『百櫻館連続殺人事件』を解決するべく探偵役が今ここに登場した。
 『ヴァン・ダインの二十則』ぐらいは読んでおくと探偵やるなら役にたっちゃうぞ☆
 まあ……いんてりじぇんす(のうきん)でないすなボデエ(つるぺたん)なテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)にはきっとお似合いの役割ではなかろうか……ってこらっそこっ槍で突っつかない。
 今日は武器持込禁止! ……って剣もですよ本当頼みます!

 ……ちょっとばかり不安要素しない子ですが探偵する人いなかったんで我慢したげてください。
 いや本当……心配になてきた……。
「あははは……おれは探偵だ! 今よりこの話を『ウィンディア少女の事件簿~魔宝収集列館殺人事件~』~だ!!」
 テラが門の前でポーズを極めながら高らかに宣言するのだが誰も聞いていなくて本当に良かった。
 あとそのタイトル「Why done it」をいい発音で言えないテラちゃんにはちょっと無理じゃないかなーって思いますよ。

 案内された202号室に荷物を放り出すとテラはさっそく探検……もとい調査のため館内をうろうろすることにし始めた。
 額縁や詩などを読んだテラの思考はピーンとそこに秘められた秘密を看破する。
 そう……戦いの知識によればこの木はいざという時に薪に使えるのでとても便利、そしてこちらの文字はあらゆるコード表を見比べても見た事の無い文字の羅列。
「よしっ……わからないぞ!」(えへん)
 でもまあ何かいわないと探偵らしくもないしテラはそれらをメモに取り続け屋敷中をうろうろする。
 途中、謎のブーメランパンツのマッチョに追いかけられたり、変な酔っ払いに絡まれたりともみくちゃにされつつ時間は過ぎていった。

●晩餐会
 晩餐は進み和やかな食事の時は終わりを迎えた、住み込みメイドが何やら仰々しい封筒を持ってきたのだ。
 それは差出人不明であり中に入っていたのは今回の参加者達の名前と何やら罪状が書かれた一枚の便箋。
 それによれば欲に塗れた者達のリストとあり、天罰が為されるであろうとの文面が恐怖を誘う。
 招待客達も全員がわざとらしいまでに慌て始めいつしか口喧嘩まで始まりそうな雰囲気だ。

 これはいいタイミングだとテラはすくっと椅子の上に立ち上がりポーズを決める。
「何を隠そう、おれはテラ・ウィンディア!名探偵ウィンディアの孫なんだぞ!」
 誰も聞いたことのない名だがとりあえずメイドさんだけがきっちり驚いてくれた。
 うん……リアクションがないと困るよね。
「その便箋もだが、昼間おれが調べたところ、屋敷中にちょっとした隠しメッセージをいくつも発見した。これはお宝へ導いてるのかもしれないし……明らかな殺人予告かもしれないぞ!」
 書き写されたメッセージの中には確かにたくさんある人形が一体ずつ減っていく描写の歌があったりと不吉さしかない内容のものがいくつも混じっていた。

「用心のために皆、部屋に帰ったらちゃんと鍵を閉めて気をつけるんだぞ!」
「それはつまりこの中に犯人がいるってことか?」
 テラの提案にさっそく噛みついてきた者がいる、だがそれもまた猟兵達の雰囲気作りの一環。
 本気でケンカをしているものなどいない、いるとすればそこにいる真犯人だけがその対象になるだろう。

 そうこうしているうちに何人かが館から出て帰ると言い出した、すると見計らったかのように遠くで爆発音がして遠くで何かが燃えるのが館から見えた。

 そうこれこそが館を陸の孤島とする事件の始まり……殺人事件の幕が今開かれたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

アラディア・スプリガン
【SPD】
洋館に着いたら誰にも見られない様、【選択UC】でヴィランのゴングを召還。
鉄仮面を付けさせ、館内を捕まらないように徘徊させ、他の客に【恐怖を与える】
そして客がその目撃談をしているのを聞いて私が、『まさか彼が?! 死んだはずなのに…』と心当たりがある様な言動で、事件を混乱させそうな役をするわ。

さて、食堂で目撃談に耳を傾けると…
『鉄仮面をつけた』
『ビキニパンツ一丁で』
『腰を振りながら追いかけて来る』
『ムキムキマッチョの変態』

……

作戦変更
目撃者に目撃場所を聞き、「そのバカは私が始末してくる」と暖炉の火かき棒を手に目撃場所へ向かい、別の形で事件を混乱させることにするわ。

※アドリブ・絡み歓迎。



●仮面の人物はお約束です
 木々に囲まれた『百櫻館』の裏手でアラディア・スプリガン(正義の守護妖精・f18520)は召喚の力で強靭な肉体をもつ”ヴィランのゴング”を呼び出していた。
「何の用だ俺は忙しい」
「うっさいわね、仕事よ……し・ご・と」
 荷物から鉄化面を取り出し自分よりも遥かに巨体の男にそれを手渡した。
「あなたでも出来る簡単な仕事よ、その鉄化面をして邸内をうろついて他の客を怖がらせてちょうだい。もちろん捕まっちゃダメよ?」
「ふむ、なら報酬はそうさな、これでどうだ」
 ゴングが指を5本立てる。
「ダメよこの程度で、命の危険無いじゃない」
 アラディアが負けじと指を一本立てる。
「しょうがない、まけといてやる」
「全然人の話聞いてないじゃない」
 互いに4本と2本を立て歩み寄りを見せるが合意には至らない。
「はぁ……しょうがないわね」
 アラディアが渋々指を3本立てるとそれで満足したのかゴングはニヤリと笑い鉄化面を被った。
「んじゃ、夜にお前の部屋行くから今晩は3回戦やるからな」
 クックックと含みのある笑いをするゴングを耳まで真っ赤になりつつ追い出しアラディアはちょっと高くついたかなとか思いつつ館内へと戻っていく。
(仕込みはこれでいいかしらね)

「何だか変な奴が邸内にいたんだ、本当なんだ!」
 さっそく鉄化面をしたゴングを見かけた誰かがわざとらしく騒いでくれている。
 これはちょうどいいとばかりにアラディアは持っていたカップを落として割り足元に紅茶の染みが広がった。
「まさか彼が?! 死んだはずなのに…」
 ガタガタと震えそしてガクリと崩れ落ちると誰かがソファーへと運んでくれたので快方される演技を続けつつぽつぽつと語り始めた。
 ……そう、この地で死んでしまったと思われていた一人の悲しい男の物語を。

 まあ問題は目撃談の内容がこれなので他の猟兵達が笑いを堪えるのに必至ぽいことなのだ。

『鉄仮面をつけた』
『ビキニパンツ一丁で』
『腰を振りながら追いかけて来る』
『ムキムキマッチョの変態』

 うん、これはひどい。

「ねえ……そいつどこにいたかしら?」
「えっ……最後に見たのは西棟の2階だったかな」
 それを聞いたアラディアはツカツカと暖炉へ近づくと手を伸ばし火かき棒を引っこ抜くとそれを持ち飛び出していった。
「そのバカは私が始末してくる!」
(ゴング、あんた報酬50%カットね……っ)


●晩餐会
 晩餐は進み和やかな食事の時は終わりを迎えた、住み込みメイドが何やら仰々しい封筒を持ってきたのだ。
 それは差出人不明であり中に入っていたのは今回の参加者達の名前と何やら罪状が書かれた一枚の便箋。
 それによれば欲に塗れた者達のリストとあり、天罰が為されるであろうとの文面が恐怖を誘う。
 招待客達も全員がわざとらしいまでに慌て始めいつしか口喧嘩まで始まりそうな雰囲気だ。

「フン!」
 そんなやり取りを不服そうに聞いていたアラディアは何も言わず席を立ち窓際へともたれかかった。
 まるで興味はありませんよとアピールしているかのようにも見える。
 だがその視線はそれだけのものではない、裏庭の樹に宙吊りにされている巨漢の男をドSな目で見ていたのだ。
(まったくもう……もうちょっと真面目にやってくれないとフォローする方が困るわ!)
 そんなゴングを見ていたアラディアだったが遥か遠く、森の奥だろうか?そちらのほうで何かが光ったのを目撃した。
 少し遅れてその方向から爆発音のようなものが響く。
「な、なに今のは!?」
「なんだなんだ」
 テーブルについていた者達も集まってきて窓から外を見ようと群がってくる。

(仕込みは中途半端かもしれないけれど、どうやら事件は動き始めたようね……)
 ふうと溜息をつくとアラディアは次はどう事件を引っ掻き回してやろうかしらと眼鏡の位置を軽く直すのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

夕月・那由多
面白そうじゃの
精巧な人形を予め入手し一部を組み立てることで「作った」ことにして、その創造物に生命を吹き込み『従者』として『どこぞの育ちの良いお嬢さん』設定で潜り込もうかの
世間知らず系マイナー貴族はだいたいうっかり現場を目撃してしまい、口封じに殺される感じじゃ思う
従者は人間以上にするのは寿命だけにしてあとは並の能力で、名前とか性格はお任せじゃ


わたくしの様な貴族の端くれにまでお声を頂けるだなんて…
お言葉に甘え、楽しませていただきます
と丁寧な挨拶で参加した矢先の事件
様々な不安から気分が悪くなり途中から自室へ
しかし完全に籠もるわけではなく物音が気になりフラフラ出歩いたりなど
アドリブアレンジ歓迎




 『百櫻館』に招待された賓客達が邸内を探索している中、貴賓室で優雅にティータイムを嗜む夕月・那由多(誰ソ彼の夕闇・f21742)は見知らぬケエキを口へと運びその甘味を味わうと紅茶を一口含みその香りを楽しんだ。
「ほぅ……なかなかいい茶葉を使っておるようじゃな」
「はいお嬢様、本日は良き品を提供いただきまして」
 那由多が座るソファーの横に立つメイド少女”ポーラ”がお替りがいるのだろうかと様子を伺うが今のはたんなる合図である事はポーラにはお見通しだ。
 那由多が人形より『戯レノ創造』にて作り出したこのメイド少女は、主が幼いなりに立ち振舞うのをフォローし続けている従者という設定で今は起動させてあるのだ。
 今のところ怪しまれた記憶はなく、ここでの立ち振る舞いを練習しておくにはもってこいの状況だ。
 今回”ポーラ”を創造するにあたり寿命のみを強化し他はそれなりの性能という風にしたのは事件に関わるに際しあまり派手に動かず犠牲者を増やす程度の意味でしかない。

 今は他の猟兵達も屋敷中を探索し仕込みを行っているはずだが、那由多はあえて何もせず世間知らずのお嬢様で押し通すつもりなのだ。
(とはいえ、見てはならない物を見て消される系というのを狙わねばじゃな)
 ゆっくりと席を立ち那由多は屋敷を見物に散歩に出かけ……ムキムキマッチョの変態のような者を目撃してしまい絶叫をあげるはめになるのだがその話はまた別の機会にということで時間は夕刻へと進む。


●晩餐会
 晩餐は進み和やかな食事の時は終わりを迎えた、住み込みメイドが何やら仰々しい封筒を持ってきたのだ。
 それは差出人不明であり中に入っていたのは今回の参加者達の名前と何やら罪状が書かれた一枚の便箋。
 それによれば欲に塗れた者達のリストとあり、天罰が為されるであろうとの文面が恐怖を誘う。
 招待客達も全員がわざとらしいまでに慌て始めいつしか口喧嘩まで始まりそうな雰囲気だ。

 那由多にして見れば誤算があった。
 せっかく那由多が「わたくしの様な貴族の端くれにまでお声を頂けるだなんて…お言葉に甘え、楽しませていただきます」
 ……などと真面目に話をしていたのにそれが全て水泡に帰した事。
 正直気分が悪い、せっかく迫真の演技力で頑張ったのに誰もまともに聞いてくれないのがさらに拍車をかけていた。

「何だかわらわ……気分が悪いのじゃ……」
「お嬢様いけません、ささ……こちらへ」
 メイド少女に連れられ廊下へ出て行くのを住み込みメイドが見送ってくれるがそれを断り自室へと入る事にする。
「ふう……肩がこるのぅ」
「夜に備えて少しお休みくださいませ」
 メイド少女にそう促され少しばかり仮眠をとることにする、そう……今夜はいつになく先が長いことになるに違いないのだ。
 
「って、何の音じゃー!?」
 突如聞こえた爆発音に飛び起きた那由多は窓際へと近づき外の明るい色をようく見つめてみるとどうやらそれは何処か遠くで何かが爆発そして炎上しているらしい。

 そして後に那由多は知る事になる。
 それこそが事件の開幕ベル、陸の孤島と化したこの屋敷からはそうそう逃げれないという事実に……。

 事件はようやくスタート地点といったところだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

彩波・いちご
アイさんとペアで

「殺人事件なんか起こさせたくないですしねぇ…頑張りましょう」
新婚旅行中のカップルの配役でいきます
あ、ちゃんと男装してますよ?

「ええ、素敵な洋館で、君と過ごす一夜が楽しみだよ」
にこっと彼女に微笑みかけ、傍から見ても鬱陶しいくらいラブラブな空気を…だせてるといいなぁ

そのまま見せつけるように一緒にいてイチャイチャしつつ
「何でしょう、この碑文。寄り添う二人を引き裂くとか不吉ですねぇ」
「まぁ、私たちのアイは誰にも引き離せませんけどね!」
私たちを示すような碑文を見つけつつもスルーするなどフラグ重ねて

そしてお風呂で別れます
「それじゃまた後で」
そして事件起こりそうになったところで別行動しますね


アイ・リスパー
いちごさんと一緒
いちごさんを意識しています

「影朧による連続殺人事件……
これは放置するわけにはいきませんっ!」

早速、いちごさんと一緒に洋館へと向かうことにします。
そうですね、私達は招待客の中の、この新婚カップルに成り代わりましょう。

「いちごさん、ちょっと山奥ですけど、立派な洋館ですね。
新婚旅行がてら招待を受けましたが、来て正解でしたね」

ふふふ、この配役を強引にゲットして正解でした。
これなら、いちごさんと合法的に夫婦です!

腕を組んだりして、人目も憚らずにイチャイチャオーラを出しましょう!(死亡フラグ

「それでは、いちごさん、お夕食までお風呂に入って来ますね。
また後で会いましょうね」(死亡フラグ




 『百櫻館』へと向かう森の中を一台の馬車がゴトゴトと走っている。
 中には新婚ほやほやに見える二人の男女、燕尾服で男装し華麗なる貴公子風の雰囲気すら醸し出す彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)、そしてモダンなドレスに身を包み一人前の淑女(レディ)のようにしつつも顔が微妙ににやけ気味のアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)の誰がどう見てもベストカップルという対比の二人。
 だがこの二人は猟兵である身分を隠し館へ潜入するため新婚カップルに成り代わっているのだが……?
「影朧による連続殺人事件……これは放置するわけにはいきませんっ!」
「殺人事件なんか起こさせたくないですしねぇ…頑張りましょう」
 御者に聞かれないように顔を近付けヒソヒソ話に興じる二人、アイにもしも尻尾があれば今ごろブンブン振り回していたのではというぐらい顔がニヤけつつ”演技のために”二人はキスを交わしてイチャついて見せる。
(キャー、役得です♪ ふふふ、この配役を強引にゲットして正解でした。これなら、いちごさんと合法的に夫婦です!)
(アイさん、とっても演技がお上手です……私も見習わないと)
「大好きですマイハニー」
「私もですダーリン♪」
 甘すぎて砂糖を吐きそうなやり取りが耳に入っているだろうに御者は馬車を運転しつつ無視を決め込んでいる。
 だがそれも演技かもしれない、静かに中の様子を背中で感じとっているようなので犯人サイドの可能性も考えて演技に念には念を入れてみたのだが……まあきっとそれもまた言い訳の一つかもしれないが。

 屋敷に到着した二人は荷物を住み込みメイドに運ばせつつもイチャつくのを見せつけるように館中をうろついていた。
 他の招待客からもこれは熱い熱すぎるとばかりにからかわれても気にもしない。
「いちごさん、ちょっと山奥ですけど、立派な洋館ですね。新婚旅行がてら招待を受けましたが、来て正解でしたね」
「ええ、素敵な洋館で、君と過ごす一夜が楽しみだよ」  
 二人は腕を組み熱愛を見せつけ続けるので一部からはもうあっち行ってくれとか言われるほどのバカップルそのもの。
 演技……にしては腕を組み胸を押し付けるアイの”今夜は初夜ですよ!”オーラがすごくて誰も間に割り込めないバカップルぶり。
 これは殺人事件で引き裂かれ泣き叫ぶ定番の役にハマリそうだと……周囲の者もわかってはいるのだが何ていうか、あっち行ってほしい。

「何でしょう、この碑文。寄り添う二人を引き裂くとか不吉ですねぇ」
「きゃあ、私怖いわいちごさん♡」
 怯えるように抱きつくアイ(ちなみにこの1時間で10回目だ)をぎゅっと抱き締めいちごが囁く。
「まぁ、私たちのアイは誰にも引き離せませんけどね!」
「はい!」
 ラブラブ空間を作り出す二人は先ほどから邸内にしつこいぐらいに用意されているカップルが引き裂かれる系のフラグを全無視。
 これはひどい……これは絶対引き裂かれる犠牲者確定デスネ。

 時間は夕刻に迫り晩餐会に汗をかいたままで赴きたくないとアイが言い出し二人は一度別れて行動することにした。

「それじゃまた後で……」
「それでは、いちごさん、お夕食までお風呂に入って来ますね。
また後で会いましょうね♡」
 二人は軽くキスをして別行動をとりアイだけがその場から消えることとなる。

●晩餐会
 晩餐は進み和やかな食事の時は終わりを迎えた、住み込みメイドが何やら仰々しい封筒を持ってきたのだ。
 それは差出人不明であり中に入っていたのは今回の参加者達の名前と何やら罪状が書かれた一枚の便箋。
 それによれば欲に塗れた者達のリストとあり、天罰が為されるであろうとの文面が恐怖を誘う。
 招待客達も全員がわざとらしいまでに慌て始めいつしか口喧嘩まで始まりそうな雰囲気だ。

(アイさん遅いですね、もう晩餐会も終わりに近づいたというのにまだ戻ってこないなんて……)
 いちごは周りの言い争いの中、戻らぬ妻を心配する夫役を見事にこなしイライラした様子でいたのだがさすがに限界とばかりアイを探しに食堂を出ようとした。

 ドーン
 どこか遠くで爆発音がして全員が一斉に窓にかけつけ大騒ぎになる。
 事件はどうやら動き出したようだ……。
(アイさーん、本当にどこ行ったんですか~~~~っ)
 なんだろう……色々やらかしてくれてそうな気がプンプンして思わずいちごは天を仰ぐのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アオイ・ニューフィールド
※アドリブ、絡み歓迎
※面白い展開が思いついたならプレ遵守しなくて構いません

POW

「お宝と聞いて来てあげたのに……全く、つまらないわ」

行動指針
・普段のぶっきらぼうな喋り方を自重し、洋装のドレスに身を包んだ子供のフリをする
・つまらないから帰る、などと言い出し外へ駆け出しその道すがら、「破壊工作」による爆破工作で洋館に至る道を潰す。陸の孤島に仕上げる
・夕食後は、不自然すぎる状況に怒りを表し、一人、もしくは信用出来る誰かと部屋にこもると宣言

七面倒な依頼だな全く
影朧とやらがどれほどの策を弄するのかしらんが、まあお膳立ての手伝いくらいはしてやろう
ほうら、よりどりみどりだ。好きなものから殺して見せるが良い



●橋の前にて
 その日『百櫻館』に招待された客の中に小さな令嬢の姿が混じっていた。
「お宝と聞いて来てあげたのに……全く、つまらないわ」
「あっ、お待ちくださいお嬢様!」
 割り当てられた206号室に荷物を置いた後、邸内を探検するかのように歩き回っていたのだがどうやらお気に召さなかったらしい。
 可憐なドレスに身を包んだアオイ・ニューフィールド(象打ちサイボーグ・f00274)は”招待客のわがままお嬢様”を見事に演じ周囲に違和感など何も感じさせずに過ごしていた。
 普段のアオイの言動を知っているものからすれば、猫の皮を何枚被ればこうなるかというぐらい別人そのもの。
 もしも普段のアオイを知る者が茶化そうものならば象撃ち銃で手痛いツッコミを食らうことになるだろう。
 もちろん後悔するのはあの世であることも想像に難くない。

 館を飛び出した我侭お嬢様ことアオイを庭先まで住み込みメイドが追いかけてくるが子供の割りにその足は意外と速い。
 屋敷への一本道をしばらく戻るとそこにあるのは深い峡谷と一本の吊り橋、そこが『百櫻館』への唯一の道なのだ。

「おっ、お嬢様……やっと追いつきました。危ないですからお屋敷へ帰りましょう」
「あら、わたくしこの程度の森で迷子になんてなりませんわ♪」
 追いついてきたくるりと金髪を靡かせ振り返り茶目っ気たっぷりにアオイが振り返る。
(あー、やれやれだ。ちょっとキャラを作りすぎてしまったか……いや、うむむ難しいものだな)
 さすがに普段と違いすぎる言動を続けボロが出ていないか心配なところだが今の所はそんな心配は杞憂に終わっているようだ。
 アオイはこの場でさっそく行った仕掛けに気付かれないように注意を逸らそうと誘導を始める。
 追いかけているメイドが想像するよりも遥かに速くここまで駆けてきていたアオイは、すでにこの橋に多重の仕掛けを施し終え後は違和感なく館に帰れば下準備は完璧なものとなる。
(あんなちゃちな仕掛けでは完璧な破壊など無理だろうに素人が!)
 おそらくは真犯人が仕掛けたであろう手製の仕掛けのあまりの杜撰さに普段から爆発物の取り扱いに長けたアオイは不満たらたらである。
 あれがもしも部下や教え子が行った施工したものであれば腕立て300回の後に1時間は説教してやりたいところだ。

「わたくし喉が渇きましたの。屋敷に帰って何か頂きたいわ」
「はいっお嬢様。最高級の茶葉とパティシエが腕によりをかけた菓子をお出しいたしますね」
 踵(きびす)を返し屋敷へとスキップしながら帰り始めたアオイをメイドがくすくすと笑いを堪えながらその後を追いかけた。

●晩餐会にて
 時は夕刻、招待客達は一同にディナーを終え食後のデザートと飲み物を楽しんでいた。
 そこへ住み込みメイドがこんな物が先ほど届いておりましてと仰々しい封筒を運んでくる。
 館のオーナーは不在だがその宛名が”招待客ご一同様へ”になっていたために一人が開けてみようと言い出し開封してみたのだ。
 それは差出人不明であり中に入っていたのは今回の参加者達の名前と何やら罪状が書かれた一枚の便箋。
 それによれば欲に塗れた者達のリストとあり、天罰が為されるであろうとの文面が恐怖を誘う。

「いったい何なのよ全く! 今日はオーナー秘蔵のお宝を拝見できるとわざわざ足を伸ばしたというのに全く失礼な話だわ!」
 バンとテーブルを叩きアオイが立ち上がった、そしてそのままツカツカとメイドの制止を振りきり扉へと歩き始め。
「わたくし、こんな場所には一刻たりともいたくありませんわ。お先にお暇させていただきますわ、ほらっそこのメイド速く馬車の用意をなさいな」
「はっ、はい! ニューフィールド様」 
 そうメイドが答えた時、遠くで何か爆発音のようなものがした。
「何だ何だ」
 一斉に窓のほうへと集まる招待客、窓の外を見てみると遥か遠く橋のある方向で何かが燃え煙が上がっているようだった。
(時間通り……パーフェクトだ私!)
 アオイは顔に出さず内心キャッキャと飛び跳ねたい気分だったかもしれない。

●陸の孤島
 その後全員で橋に向かってみればそこには焼け焦げ落下してしまい吊り橋はもうそこには存在していなかった。
 道はここにしかなくこのままでは帰る事はできない、一向は屋敷へ戻るとどうしたものかと相談を始めようとしたが。

「何なのよこれは! わたくし達これでは帰れないじゃないの!」
 アオイは屋敷に戻るなり自室へと一人で篭ると宣言し誰も入ってこないようにと全員を疑う目で見ると扉を閉じた。

 独りきりになった部屋のベッドに大の字になったアオイはやるだけはやったと声を出さずに笑っていた。
(さぁ、お膳立ては整えてやったぞ影朧。どれほどの策を弄するか知らんが……)
 さっきの橋に仕掛けてがあまりにお粗末だったのでちょっと心配な気もするのだが。
(そうれ……よりどりみどりだ、好きな者から殺してみせるがいい!)

●???の部屋
 『百櫻館』に集った者達に静かに何かが進行する夜が更けていく中……真犯人は部屋で怪しい笑みを浮かべていた。

???「クックック……どうやら上手く陸の孤島が誕生したわ……正直あんなに橋が燃えるとは思わなかったけど、さすがね私」
 
 うん……アオイちゃんがちゃんと爆破してくれなかったらたぶん失敗してたゾ☆

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『ぼくらは猟兵探偵団』

POW   :    自称探偵に直接接触し、足止めする

SPD   :    自称探偵の行動を読み、行きそうかつ危険そうな場所へ先行する

WIZ   :    明晰な頭脳で推理を行い、自称探偵より先に真相を導く

👑11
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●夜が更けて
 陸の孤島となった『百櫻館』
 集った者達に静かに何かが迫り来る夜が更けていく中……真犯人はいよいよ行動を開始し連続殺人事件の幕は開かれる。
 ありとあらゆる場所にトリックは仕掛けられていた、それは部屋にも廊下にも大広間にも……そして庭にも外の森にもだ。

 それを逆手にとり猟兵達は無事に”殺される”事ができるだろうか。
 数々のトリックを解き明かしそれでは物足りないなら自分達でさらなる味付けが必要だ。

 橋の爆破にしても猟兵の一人が仕掛けなおさなかったら中途半端に作動して普通に逃げ帰れていたかもしれない杜撰さ。
 この犯人たる影朧はけっこう抜けているというかツメが甘い気がしてならない。
 一応は本気で殺しにきてるはずなので……上手く死んであげないと……けっこう恥ずかしいことになってしまうだろう。
 猟兵達が相手する犯人はどこまでもドジっ子……そう考えて行動するぐらいでちょうどいいのかもしれない。

 2階建ての『百櫻館』には正面ホール、大広間、食堂、風呂、トイレ、遊戯室、客間、書庫、オーナーの部屋、立ち入り禁止の地下室などがありどこが殺人現場になるのかは各猟兵達が探し出す必要がある。
 すでに時刻は夜中にさしかかろうとしている、事件はどこから始まるのだろうか。
 全ての殺人を終えた時……犯人は姿を現すのだ……。 
テラ・ウィンディア
これは…!橋が壊されてる!
(仕掛けを確認して)

…(仕掛け確認)こいつは…(【戦闘知識】で看破!)
かなり高度な仕掛けが仕掛けられている…
なぁメイドさん…一応解っているが確認の為だが…此処を通ったのはおれ達だけだよな?

…恐らくは…犯人はこの中に居る
あの仕掛けは内側から仕掛けられたもの
そして…あの橋からしか此処は通れない
通ったのは(多分)おれが最後だ

そしてこの罪状…
こいつは復讐だろう
復讐ってのは相手に己の怒りと無念をぶつける行為とも言える

(なんて語ってるうちに悲鳴)
こいつはなんだ!(駆けつけるぞ!

こ、これは…!(起きた事件の状態と人と周辺状況を調べるぞ!探偵っぽく!


あ、生き延びていたらまた登場するぞ



●颯爽と探偵参上
「これは……! 橋が壊されてる!」
 黒煙がもうもうとあがる峡谷へと辿り着いたテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)が目の前の惨状を見て思わず叫んでしまっていた。
 そう……館から外部へと続く唯一の道が今塞がれてしまったのだ、これでは外部に助けを求めたとしていつ救助が来ることになるのだろうか……。
(まあ、おれ飛べるのは内緒にしておこう)
 一緒に辿り着いてた者もそれを見て動揺を隠せない様子だった……つまりこの場を仕切るに相応しいのはやはり。
「危ないからお前達はちょっと待ってろ」
 探偵役のテラにとってはここはまず最初の見せ場、橋の根元へと近づきそして破片などを手に取り検分を始めた。
「……こいつは、かなり高度な仕掛けが施されていたようだ……」
 燃え方、砕け方そして見事なまでに瓦解させる技術、これは建築爆破で崩れ落ちる方向すら計算しきった見事な爆破術の賜物だろう。

 くるりと振り返り同行してきていた住み込みメイドへと顔を向ける。
「なぁメイドさん……一応解っているが確認の為だが…此処を通ったのはおれ達だけだよな?」
「は、はい! 皆様方以外はお通りになっていないはずです」
 おどおどしながら答えを聞くが気のせいか思っている以上にショックを受けていそうなメイドの様子にはあえて触れないことにした。

 その代わりに立ち上がるとその場を行ったり来たりしながら唐突に語り始める。
「…恐らくは…犯人はこの中に居る。あの仕掛けは内側から仕掛けられたもの。そして…あの橋からしか此処は通れない」
 ゴクリと生唾を飲む音がする。
「通ったのは(多分)おれが最後だ」
 それはつまり仕掛けを出来た者は館にいる者に限られるではないか。
「そしてこの罪状…こいつは復讐だろう。復讐ってのは相手に己の怒りと無念をぶつける行為とも言え……」

「きゃああああああああ!!」
 森の静けさを切り裂くかのような悲鳴が響き鳥が木々から一斉に飛び立った。

「何だ、何が起こった!」
 テラは慌てて駆け始める、そう新たな事件現場に。

 こうして事件最初の被害者の元へと迷探偵ウインディアは向かうのだった。



???「あ、あれ……何だか上手く爆破できちゃいましたけど、こここ……こんなに綺麗に吹き飛ぶなんて」

 正体不明の人物の独白は続く。

???「ま、まぁ……まず最初に誰かが仕掛けに引っかかってくれるはず……」
 微妙に自信無さげな謎の声が意味するところは、事件はこれから始まるということなのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

夕月・那由多
誰かやるじゃろとは思ってたが、いやあちゃんと壊されたようで良かったのう
ところで爆破された橋がよく見えるこの崖、夜は嵐で少しは見えにくいがこうも露骨にロープが張ってあっては引っかかるのは余程の粗忽者くらいじゃろ…
そうじゃ、これでちと一芝居打つかの
ポーラにも、もうしばらく働いてもらうかえ

死体の演技という意味で無敵な自分を想像から創造して、敵を騙す心理戦の戦闘に利用
というわけで、もうひとりのわらわを崖から突き落としてわらわ自身はポーラに持たせた【異空間収納的な便利なアレ】の空間の中に隠れつつ【ナユタの瞳】を通して様子をうかがったりして、ポーラにはお嬢様の死を嘆いてもらうのじゃ
アドリブアレンジ歓迎



●第一の殺人
「誰かやるじゃろとは思ってたが、いやあちゃんと壊されたようで良かったのう」
「本当その通りですねお嬢様」
 可愛いドレスに身を包み令嬢に扮する夕月・那由多(誰ソ彼の夕闇・f21742)は今回自分のフォローをさせるために作り出したお供のメイド”ポーラ”と共に爆破された崖がよく見える崖へと下調べに来ていたのだ。
 橋以外に脱出できる場所がないか調べようと通りかかったり、誰かに呼び出されでもしなければ誰も近づかないような場所なのだが。

「ありますね」
「やはりというか罠じゃな」
 二人は崖に近づく途中で足元に!露骨に”張られたロープに気付き溜息混じりに二人で苦笑する。
「これで引っかかるの無理ありませんか?」
「うむ……夜は嵐で少しは見えにくいじゃろうが露骨すぎるというか、これじゃ立ち入り禁止のロープにしか見えんのぅ……たるみすぎじゃし」
 あまりにも杜撰すぎる仕掛けを見えにくい高さに、そしてピンと張り直し見えにくいような物と交換をする。

 さてどうしたものかと策を考え何か思いついたのかポーラの耳元に何かを囁き那由多は術式の起動を開始した。
 鏡写しのようにキラキラ輝くカリスマとすらっとした手足、本人よりも育ちの良さそうな胸の膨らみ……那由多の理想とするような自分自身が現われ可憐に会釈する。
「わらわが二人居れば、これはもう無敵じゃな!」
「一人でも最高なのに二人だと無敵と無敵が合わさりなんとやらじゃ」
「お嬢様、とても素敵です♡」
 二人並んだ美少女っぷりにポーラが鼻血でも出すんじゃないかというレベルで大興奮。
 
「では後は頼んだのじゃ」
 本物の那由多がポーラに持たせたアイテム『異空間収納的な便利なアレ』の中にある空間へ収納されその場から姿を消した。
 中からでも『ナユタの瞳』ごしに外界の様子は伺えるようなので現状把握するには十分なはずだ。

「ではわらわもさっそく行ってくるのじゃ」
 (作り出された方の)ナユタが崖へと近づいていき張りなおしたロープにわざと躓いた。
「きゃぁぁぁっ」
 悲鳴を聞き橋の傍で調査をしていた者達にもナユタが落ちていく様子が見えているようで慌てて駆けつけてくるのが遠くに見えた。
 これで転落死したということが皆にも伝わっ……。

「!?」
 ポーラが覗き込んだ崖下で一本生えている木の枝にナユタのスカートが引っかかりまだ落下しきっていないようだ。
「お嬢様……パンツ、パンツ見えてますから早く隠して……じゃなかった、速く落ちないと誰かもう到着しちゃいますよ~っ」
「わわわ、わかっておるのじゃ~」
 お嬢様スタイル優先で可愛いワンピースを着たのが失敗だったのだろうか……逆さまに引っかかりスカートが重力に負けるともちろん下着が丸見えという恥ずかしい姿になってしまう。
 しかももうすぐ目撃者達がやってきてしまうのでこのままでは皆に丸見えという絶望コース。
(こらー、もう一人のわらわーちゃんとやらぬかー!)

「くう……ちょっと恥ずかしいけどしょうがないのじゃ」
 ビリ、ビリリリ……。
 無理やりワンピースを裂く事でようやく枝が外れナユタは今度こそ目撃者が到着した目の前で深い崖下へと落ちていく……パンツ丸見えで。

「お”嬢”様”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っ!!」
 色々な想いの混じったポーラの絶叫が静かな森の静寂を破ってしまっていた。


●???

???(本当は夜に誰かを落とすはずだった崖でさっそく罠にかかってくれるなんて、やはり私……才能あるかもですね むふふ)

「あんな、あんなの……お嬢様可哀相すぎますぅ」

???(お供のメイドさんが取り乱してということは最初の一人目はあの那由多ってお子様っと、小さい子はさすがに直接殺すのも忍びなかったんで結果オーライ、さっすが私!)
 
 ポーラというメイドが取り乱し泣き喚いている。
 その足元には仕掛けられたロープがあり、一同が一斉にそれを調べ始め口論が始まった。

???(ロープはばっちりでした……あれ? なんか仕掛けた場所が違うような……むむむ、気のせいですね)

 微妙に違和感があると思いつつ同行していた真犯人は次のトリックがいつ発動するのかをわくわくしながら待つのであった。




■事件ファイル
犠牲者:夕月・那由多 享年*9歳 崖下に転落死

成功 🔵​🔵​🔴​

竹城・落葉
 【POWで判定】
 ん?何やら爆発音が聞こえた気がするな……。もしや、吊り橋が爆破されたりしたのだろうか。となると、犯人の次なる行動は、我々を殺害することだろう。なら、我が先にトリックを見抜いた上で、殺されたフリをしておくとするか。
 我は手始めにトイレを探索しよう。ん、どうやら内側のドアノブに針が仕掛けられているようだな。トイレから出る時に作動する仕組みか。しかし、毒は塗られていないようだ。……仕方ない、毒が塗られていることを前提にして、死んだフリをしよう。悲鳴を上げた後、トイレの中で死んだフリをしておくぞ。
 しかし、死んだフリを継続するのも、中々に大変だな……。
*アドリブ&共闘、歓迎です


アラディア・スプリガン
私が見つけた殺人トリックは、自室の浴室。
湯船に入って重さが加わると、電気が流れて感電死する装置が付いていた。
尤も、装置の電源プラグが、コンセントから抜けてたけど…
死なない程度の電力に調整し、プラグを挿して準備完了。
皆さんお待ちかね。
今から読者サービス的な、感電死前の私のシャワーシーンが始まります。
どうぞご堪能下さい。

……

…の前にちょっとトイレに行ってたら、その隙に拘束解いたヴィランのゴングが部屋に侵入し、図々しくもシャワーを浴びてた。
やがて浴室から響き渡る、断末魔の絶叫。
まぁターゲットではなく、別の人間が犠牲になるのはミステリー作品でもよくある事。
気にしない気にしない。



●第二の殺人
「ん、何やら爆発音が聞こえた気がするな……」
 部屋に篭りミステリー小説を読んでいた竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)は栞を挟むとパタンと文庫本を閉じ立ち上がる。
 窓から外を覗けば遥か遠くの空に何かが燃えているのか明るく光っている部分がある。
(もしや定番中の定番である吊り橋が爆破されたりしたのだろうか)
 だとすればこれは犯人が動き始めた証拠、次なる行動は我々を殺害することだろう……。
 となればもはや篭城している場合ではない……行動に打って出る時期になったということだ。

「さて、我が先にトリックを見破ってやらねばな」
 クローズドな状態で殺されるための数々の仕掛けはおそらくは為されているはず、窓からは外へと出かけていく一団が見える。
 あれはきっと爆破されたであろう橋を確認に行ったのだろう、ならば帰ってくるまでに殺されたフリをしておくとするか……と。

 落葉は部屋を出て何処から探したものかと考え、誰もが必ずといって近づくとすればトイレではないかと考え2Fの奥へと廊下を歩く。
 調度品の数々もよく見れば崩れやすく物が挟んであったりと仕掛けられていたが逆にバランス良くなって倒れそうにもないとかどんなギャグだろう……。
(この犯人、まさか罠の仕掛け方が下手なのでは?)
 そんな落葉の不安はトイレに到着し的中してしまった。

「フムン、これは……毒針だな」
 慎重に調べるも何も内側のノブに針のような物が仕掛けられており、それを握るとチクリと毒物が指に刺さり即死するという予定なのだろう……だが。

「ノブの内側に五寸釘とか大きすぎだろうが……しかも毒を塗り忘れだと???」
 これはひどい……さすがにこれは下手なんてもんじゃない。
(全く……我に手間をかけさせすぎだ……)
 落葉は溜息をつきつつ五寸釘を取り外し代わりに手ごろな画鋲の先をノブに取り付けし直す作業に取り掛かった。

●第三の殺人
「やれやれ、こんなことだろうと思ったわ」
 爆発音を聞きそれを確認しに探偵と共に幾人かも者が館から出て行くのを確認するとアラディア・スプリガン(正義の守護妖精・f18520)はそれらとは別行動を起こし自室へと帰ってきていた。

「フン、あんた達で勝手にやってなさい」
 昼間の時点で火かき棒を持って出て行くぐらいには性格のきつい女性の印象を与えてあるはず。
 だからこそここで別行動を取る際もこれぐらい言っておいてちょうどだと判断し吐き捨てるように言い残したのでだいた準備はいいのではないかと思う。

 そうして自室に戻り部屋のチェックをしたのだが、扉の隙間に挟んであった紙片が廊下の足元に落ちている。
 つまりは侵入者があったということ、おそらくはベッドメイクの時にでも何かを仕掛けに来たのだろう。
 部屋内を探し回って見ると湯船に何か細工があるのを発見していた。

(湯船に浸かって重さが加わると電気が流れて感電死するように二重底の中にドライヤーが仕掛けてあるわけね……むむ?)

 コードが露骨に底まで続いているのが丸見えな上に引っ張りすぎてコンセントが抜けてしまっている。
 これはバレバレなうえに電源すら入っていないのでは死にようがない杜撰さだ。
 これは才能がない……小学生でも気付くレベル。
 仕方なく見えにくいように配線を引き直し死なない程度に電力を調整すると最後にプラグ挿して準備完了。

 それでは皆さんお待ちかね、今から読者サービス的な感電死前のシャワシーンをご堪能ください!
 誰に話しかけているのかカメラ目線でウィンクすると、やれやれという様子で服に手をかけた所でブルリと震え着替えをやめた。

(死体になるとしばらく行けなくなるしお花摘みに行っておきましょ)
 ……というわけでアラディアは先にトイレを済ましておくことにした。

●そして訪れる断末魔
「うっ」
 落葉は廊下から誰かの気配を感じ落葉はわざと針付のドアノブを握り指の腹に小さな刺し傷を作り廊下側へと転がった。
 ドアを開け放ったままにしておくことでドアノブの血が付着した針にも気付くことだろう。
 死体としてしばらく動けないのは我慢するしかなく、近づいてきた足音がきっと気付き悲鳴の一つでもあげてくれると思ったのだが……。
  
「あっ、ちょっと通りまーす」
(いや、そこは悲鳴をあげるところでしょうが?)
 アラディアが落葉を踏まないようにトイレへと駆け込み、数分後して手を洗ってから廊下へと戻ると改めて深呼吸し。

「きゃああ、誰か死んでる~!」

(今、ですか!?)
 ツッコミを……ツッコミを入れたい、さっきの我の悲鳴付演技総スルーで今頃悲鳴とか酷すぎだろうがっと。
「誰か……誰か~」
 足音が遠ざかっていくのを聞きながら落葉は思った。
(しかし、死んだフリを継続するのも、中々に大変だな……)


「今のは中々いい悲鳴あげれたわ上々ね」
 アラディアが自画自賛しつつ部屋に戻ると今度は室内から野太い絶叫が響き渡る。
「GYAAAAAAAA」
「今度は何よ!?」
 慌てて部屋に入り声の主を探す。
 浴室に入りようやくその声の持ち主に辿り着いた。
 そこには拘束を解いて抜け出してきたヴィランの”ゴング”が部屋に勝手に入り図々しくもシャワーを浴びていたらしい。
 さらに湯船に使った瞬間、例の仕掛けが発動し感電したようだ。

「はぁ……そういえば夜に部屋に来るとか言ってたわね」
 顔を抑え溜息をつくアラディア。
 計算は狂ってしまったがしょうがない、ミステリー作品でも別の犠牲者が出るのはよくあるってことで。
「気にしない♪ 気にしない♪」
 2人もの死体の第一発見者などというポジションになった事にもう笑うしかないかななどと思いつつ、アラディアは皆が帰ってくるのを待ってから改めて大きな悲鳴をあげるのだった。


■事件ファイル
犠牲者:竹城・落葉 享年22歳 ドアノブの仕掛けで毒死
   :ゴング   享年不明  浴室内で感電死

第一発見者:アラディア・スプリガン 生存

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

テラ・ウィンディア
事件現場に到着する探偵少女

【戦闘知識】
で仕掛けられた物は「全て」看破
…これは…那由多…だったな
なんて事だ…このロープの罠が…
しかし…あり得ないぞ!
こんな明るい中でロープに気づかず転んで堕ちる等ありえるのか…

そうか…解ったぞ!

那由多は恐らく追いかけられていたんだ…この館には何度か影が存在した
そう…おれも見たあの怪人…パンツと鉄仮面の男だ!
…誰かの呟きでは死んだはずと言ってた
…まさに亡霊…ムキムキマッチョの亡霊…!
之は怪人…ファントム・マッチョによる殺人舞台…!

おのれ怪人ファントムマッチョ…だが…この事件…おれが解決する

ねっちゃん(シル)の名にかけて!(!?

今後仕掛けにどう引っかかったか推理するぞ



●迷探偵、推理を披露する
 那由多が転落死した崖周辺を調べていた迷探偵テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)には全ての謎が見えていた。
 現場を一瞥し必要な情報もすでに獲得済なのである。
「…これは…那由多…だったな。なんて事だ…このロープの罠が…しかし…あり得ないぞ!」
 足元で(那由多が直したとしても)丸見えなロープを指差しテラははっきりと断言した。
「こんな明るい中でロープに気づかず転んで堕ちる等ありえるのか…!」
 まあ普通ならありえないだろう、そもそもこんな場所には普通近づかないし。

「で……ではどうしてなのでしょう?」
 住み込みメイドがテラの話に耳を傾け推理の続きが聞いたいと話を促した。

「そうか……解ったぞ!」

 はっと気付いたようにテラは一気にまくし立てる。
「那由多は恐らく追いかけられていたんだ…この館には何度か影が存在した」
「え”」

「そう…おれも見たあの怪人…パンツと鉄仮面の男だ! …誰かの呟きでは死んだはずと言ってた」
「え”え”」

「…まさに亡霊…ムキムキマッチョの亡霊…! 之は怪人…ファントム・マッチョによる殺人舞台…!」
「え”え”え”……」

 なぜか推理を一つ語るたびに住み込みメイドの驚きの声が重なりどんどんありえないわという顔になってしまっている。
 だがここまでくると迷探偵テラはもう止まれない。
 暴走機関車、進み出したら止まれない、猪突猛進お元気娘……あまりにわかりやすいその性格、諦めるしかない……。
「おのれ怪人ファントムマッチョ…だが…この事件…おれが解決する」「あ……あの、ですから……それはきっと事件のノイズで……」


「ねっちゃん(シル)の名にかけて!」(!?


 双子のおねーちゃんの名前そこで出してあげないで!
 推理外れた時におねーちゃん可哀相だから!

「うぅ……たぶんマッチョは関係ないですよう」
 なぜか泣きそうな住み込みメイドに連れられ一行は屋敷へと戻る。
 そこに待っていたのはアラディアの屋敷中に響き渡る大きな悲鳴……そしてそこには……ムキムキマッチョが浴槽で感電死しているのが発見されたのだ。

 迷探偵テラの推理はこうして10分ぐらいで覆されてしまったのだ……事件は混迷を深めていく……。

●???

???(いやいやいやいや、探偵さん! 犯人私ですから!? 誰ですかそのムキムキマッチョって! そんな亡霊嫌過ぎますよ? というかパンツと仮面って何ですか!)
 思わず心の中で叫ぶしかない真犯人。

???(ファントム・マッチョなんて名前で新聞に載るの嫌ですよう~~ )

 まあ……気持ちはわからなくもない。
 こうして迷探偵はこれが連続殺人事件だと断定するとさらなる調査を開始するのだった。


■事件ファイル
探偵役:テラ・ウィンディア 11歳  生存

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アオイ・ニューフィールド
※アドリブ、絡み歓迎
※プレ遵守しなくて構いません

行動指針
・籠もる訳にはいかない、人に見つからない様注意しつつ屋敷の構造と罠の在り処を確認。民間人への被害を考慮し、正常な罠については殺傷性能を落とす仕掛けを施す
・騒ぎに乗じて部屋を出て、減っている猟兵や屋敷内の罠痕などの指摘して恐怖を煽る
・恐怖して外に飛び出し、何かしらの罠に引っかかって死ぬのも良い

不安だ
橋落としの工作を見る限り、現実的な罠を仕掛けたこと等無いのだろう
まともに動作しないならともかく、中途半端に動作してこの屋敷が炎上されてしまえば民間人の救助という面倒な作業が舞い込む事になる
くそ、何故こんなことを(罠の点検)しなければならんのだ……



●第4の殺人
(これは篭っている場合じゃないぞ)
 部屋で大の字に寝ているたがどうにも不安が残ってしまう。
 動きやすく普段の衣装に身を包みなおしたアオイ・ニューフィールド(象打ちサイボーグ・f00274)が邸内という邸内、それこそ天井裏や床下までを埃にまみれつつも匍匐で移動し隠された罠の数々を発見していた。

 建物の構造、隠し扉やその奥に設置された”杜撰な”罠の数々を整備し直しまともに動作するように仕掛け直す。
 糸に連動して矢が放たれる仕組みの罠のうち半分が矢の装填を忘れられ、そもそも弦が張られておらず、トドメとばかりに糸と罠自体が連動できておらずこれでは動くわけがない。
 落とし穴などの蝶番も油切れで錆びさせており全然動かず、電気系の罠に関してはコンセントに挿していないなど当たり前。

(腕立て100回の後にグラウンドをいいというまで走らせ再教育の必要があるぞこれ……私の生徒であれば落第決定だな)
 ここまででも疲れたというのに地下室で発見した物にはもう頭痛しかしない。
「だからだな……危険物の管理が杜撰すぎて高温多湿の場所に開封したまま燃料や火薬を置きっぱなしにするとか……”教育”せねば気がすまん」
 気化すると危険な燃料類などが充満してしまっていたものを換気し、封をし直し管理用の帳簿にもまともな数字を書きこんでいく。

(不安だ……橋落としの工作の稚拙さから予想はしていたが、現実的な罠など仕掛けた事が無いのだろうが。まともに動作しないのならばまだいいが、中途半端に爆発などされたら目も当てられん)
  
 一通り作業を終え軽くシャワーを浴び直しお嬢様らしい可愛いドレスに着替えると鏡を前にして頬を手でパンパンと叩く。
 口元を横に指で引っ張り笑顔が自然になるように確認すると、心のスイッチを切り替え軍属からお嬢様へと華麗に転進する。

 屋敷のどこかで悲鳴があがり見に行けばそこにはトイレ前で毒殺された落葉が倒れアラディアがうろたえ取り乱している。
(うぅむ、あれぐらいやらねばならんか……)
「きゃああああ!? 何なのよこれ、ひっ人が死んでいますわっ!!」
 我ながらいい演技じゃなかろうか、これは後で何か奢ってもらわねばならん出来だぞ?
 そう自画自賛しつつお嬢様として泣き叫んで見せた。
「部屋にも変な仕掛けありましたし、このお屋敷になんていたくありませんわぁぁぁっ」
 わざとらしく泣きながら周りの静止を振り切り廊下を駆け出すアオイ。
(さて何かしらの罠に引っかかってそろそろ退場死んで……くっ!?)
「えっ?」
 階段前まで来た瞬間、急に足がとられつるりと滑り小さな身体が階段へと投げ出された。
 アオイのスローモーションのように回転する視界の片隅に今まさにモップを持って床にワックス掛けをしている住み込みメイドの姿が。
(殺人が起こった直後に床掃除とか、何を考えているんだお前はぁぁぁぁっ!!)
 ……そして視界が暗転した。

●???

???(橋も爆破できましたし、さっそく2名ほど毒針と感電装置で殺す事が出来ました♪ あぁ気分がいいですねー、今の内にやりかけのお掃除でもやっておきましょ~♪ あぁそういえばアオイちゃんってお嬢さん警戒して部屋に篭ってるかもしれないし後でお菓子でも持って行ってあげようかな~♪)
 真犯人は鼻歌交じりに上機嫌でモップで床を磨き始める、機嫌がいいので水ではなくワックスまでタップリ塗りこんでゴシゴシ磨く。
 あぁ綺麗になっていくお屋敷は最高ですね~とばかりに念入りにだ。

「……いたくありませんわぁぁぁっ」
???「え?」
 目の前をアオイというお嬢様が通り過ぎツルリと足を滑らせ、この世のものとは思えない恐ろしい形相でこちらを見たかと思うとそのまま階段をグキゴキバキっと嫌過ぎる音をたて転がり落ちていく。

???「あ、ニューフィールド様ぁぁぁぁぁぁっ!?  ……ってキャアア!?」
 真犯人は素で慌てふためき一階へと階段へと……転がり落ちていった。

 ムギュ
 真犯人の豊かな胸にアオイの顔が埋まってしまいたぶんこれがトドメになったのだろうか……他の招待客が駆けつける中アオイの死亡が確認された。

■事件ファイル
犠牲者:アオイ・ニューフィールド 享年10歳(推定) 階段よりの転落死 

苦戦 🔵​🔴​🔴​

彩波・いちご
引き続きアイさんと

事件が起こり始めて、先程から姿の見えないアイさんが心配に
「まさか…お風呂場で何かあったんじゃ…?」

お風呂場に突入すると、全裸のまま湯船にぷかーっと浮かぶ彼女発見
「アイさん?!」
慌てて駆け寄りつつ状況を確認
「これは…感電させる仕掛け?まさかこれで…?」
仕掛けをよく見ると、回線が外れてて発動はしないようですけどね…
とりあえず仕掛けはちゃんと発動するように修理しつつ、あとはアイさん回収して帰ろうかと立ち上がったところで、なぜか下にあった石鹸で足を滑らせて湯船にどぼーん
(あ、アイさんのホントの死因これですね…)
なんて思いつつ、彼女の股間に顔をうずめるようにして、私も感電するのでした


アイ・リスパー
いちごさんと一緒
いちごさんは旦那様です

時は遡り晩餐会の前

「今晩はいちごさんとの初夜ですから、念入りにお肌を磨いておかないといけませんねっ!」

晩餐会までの時間でお風呂に入って、全身を入念に磨いていきます。

「ふふふ、夫婦役で既成事実さえ作ってしまえば、きっといちごさんも私のことを意識してくれるはずですっ」

脳内に広がるのは晩餐会後、私の部屋を訪れたいちごさんが迫ってくる姿。

「やっ、いちごさんっ、いくら初夜だからって、もっと手順がっ」

などと妄想に耽っていたため、私は気付かなかったのでした。

足元に転がっている石鹸の存在に!

転んで気絶した私は、そのまま死体として発見され、いちごさんとトラブルするのでした。



●第5の殺人
 時は遡り晩餐会の前となる。

「ふんふんふん~♪」
 2階にあるお風呂から可愛い音色の歌声が聞こえてくる。 
 新婚ホヤホヤ今宵は初夜をここで迎える予定の可愛い新婦ことアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)は愛するダーリンこと彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)とここでヤル気まんまん。
 何というかそろそろ依頼の事も思い出してくださいねーとばかりに現状を楽しんでいるのだ。
 本当、2度洗い後にさらに香油を使い肌に素敵な香りをつけていく、これなら大抵の男はいちころという素敵な代物である。

「今晩はいちごさんとの初夜ですから、念入りにお肌を磨いておかないといけませんねっ!」
 誰も聞いていないのにわざわざ声に出している辺り気合の入り方が他の参加者達とは全然違うと言うか本当その気合普通の方向向いてくださいお願いします。
 お湯を被り泡を流せばそこに現われるのは水の滴る可憐な乙女……握り拳に力をこめ姿見の自分に向かってガッツポーズ。
「ふふふ、夫婦役で既成事実さえ作ってしまえば、きっといちごさんも私のことを意識してくれるはずですっ!!!」
 脳内で繰り広げられる砂糖でも吐きそうなメイプルストーリーに一人芝居はまだまだ続き身体をくねらせ声色を変えていちごの物真似まで入れての大熱演。
「やっ、いちごさんっ、いくら初夜だからって、もっと手順がっ」
 くねくねと身を捩った足元にはお約束のように石鹸が落ちている……これを踏まなきゃアイじゃない。
(むふふふ……これは妄想が止まりません、未来予知まで使っちゃいますか♡)
 そこに映るのはいちごと全裸で絡みつつ……死んでいる自分。
「え?」
 我に返った瞬間、ツルリと石鹸を踏みゴヅンという重い音が別室にも響いたのだった。

●第六の殺人
「んー、遅いですねアイさん」
 部屋のベッドの上であれこれと今回の事件の事を調べていたいちごは、先ほどから風呂に入ったまま出てこないアイがさすがに心配になってきてしまっていた。
 何か鈍い音がした気がするがきっと気のせいだろう。
 わざと殺人事件の犠牲者にならないといけないとはいえ……万が一ということもある。
「まさか…お風呂場で何かあったんじゃ…?」
 嫌な予感がする、ただでさえ危ない館だというのに単独行動させてしまうなんて(注:入浴です)私としたことが失敗でしたと気負う心。
 
「アイさん!アイさん!」
 激しく扉をノックしてみるが中から返事がない、何かチクリと掌に刺さったのも気にせず思い切り体当たりし中へと壊れた扉ごと飛び込むと、目の前には浴槽にもたれ掛かり死んで(倒れて)いるアイの姿が目に入りいちごは慌てて駆け寄り抱き起こした。
 
 全裸で水滴が肌に光るのは正直まぶしい具合で小さな膨らみはまだわずかに上下し生きている事はすぐに確認できた。
「アイさん?!」
 湯船にぷかーと浮くアイに外傷は……大きなたんこぶぐらいだ。
 すぐ横に湯船の中に沈む電気コードを引き上げてみればそれは古いドライヤー、おそらくはこれで感電……いや、よく見ればコンセントが抜けている
 これじゃ感電しませんよねとコンセントを挿し直しておいてあげた……。
 いちごが足元を再チェックするとそこには転がった石鹸が一つ。
 大宇宙の真理と灰色の脳細胞、そして大自然の叡智がいちごに語り掛ける……いやそこまで考えなくてもわかることがある。
「あ、アイさんのホントの死因これですね…」
 危ない危ないと横に避けておき、倒れているアイをお姫様抱っこすると部屋に戻してあげようと振り返る。
 そして第一歩を踏み出したその足が石鹸に乗りツルリと盛大に滑ってしまった。

「もがもがもは……」
「あばば……ばば……」
 二人は濡れた床、それもドライヤーから漏電しまくっている水に触れビクンビクンと海老のように跳ねまくった。
 しかもいちごの顔はアイの股間に埋まってしまいギュウギュウと締め付けられたままでだ。
 それはまるで二人の激しい初夜を祝福するかのようにいつもの数倍の電気を流し続けた……。

 
 二人が発見されたのは他の殺人が行われた後……なかなか戻ってこない二人を呼びに来た、住み込みメイドにより発見されその遺体は検視までそのままにしておこうとお風呂の中に放置されたままである。
「「くちゅん」」
 ……誰もいなくて良かった、かくして偽装殺人はこうして上手く仕上がったのだ。

●???

???「こちらのお風呂も感電の罠が上手くいったようですが、なんでしょう……新婚さんとはいえハ、ハレンチでした ごほんごほん」
 自室に戻った真犯人は高鳴る胸の鼓動が収まるまでしばし時間をおくことにした。
 これでかなりの招待客を罠で殺して見せた……後はラストスパートといったところか。
???「はぁ……それにしても上手くいきすぎて怖いですね、才能が怖いです私」
 ……ちょっぴり自分に自信がもてたのか鏡の中の自分に鼓舞をし真犯人は仕事へと戻っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

忍足・鈴女
ウチも転生させる人は選ぶ権利があると思うんよ
そない変態マッチョ転生させても犯罪者が増えるだ…え、デマ?

【情報収集】で出た多数の犯人情報は
【催眠術】で無かった事にしました
ドジっ子…ェ

最後に犯人役として殺される為に
【おびき寄せ】自室前に「最後の人はココ☚」と看板を設置
【楽器演奏】等で在室をアピール

酒に毒でも仕込んであるんやろ…うーんテイスティ♬
ってあかんやろ!【耐性】で弾いたら
もっとこういう強い奴をなあ(ぐび)…ごはっ…

『どうも背後霊です、後はやっとくから部屋から出た出た』
『邪魔(#^ーωー^)』(プラカードでべしぃ)
密室化、証拠消しは
UCで召喚しただいごろーが
犯人を押しのけて全てやってくれました



●そして誰もいなくなっ(てない)
 人影の無くなった館の中をブラリブラリと忍足・鈴女(最終猫型暗殺兵器・f03727)は歩き回る。
 大量に起こった殺人事件、次々と減っていく招待客兼容疑者。
 もはや残っているのはほんの僅かな人数のみ、わざと泣き真似をしたりと人の死まで酒の肴にしている風の鈴女。

(ウチも転生させる人は選ぶ権利があると思うんよ。そない変態マッチョ転生させても犯罪者が増えるだ…)
「え、デマ?」
「そうなのよ、そいつなら風呂場で感電死してるのが発見されたわ」
 筋肉ムキムキマッチョマンは第三の殺人ですでに故人となっているようなのだ。
(事前に聞いていた猟兵リストで聞かない名前だけど飛び入りかいな?)
 まあ……一般人ということはないだろうから心配はないだろう。
 とりあえず自分が犯人らしくなるために片っ端から怪しげな行動をとったりし周囲の招待客をイライラさせてきた鈴女だ、裏方として色々とフォローしないとこの犯人ときたら脇が甘すぎてすぐに正体がバレるのだ。

(まあここからやろな)
 鈴女が真犯人と睨む人物の部屋にこっそりと侵入する。
 鍵をかけ忘れているのか簡単に入れてしまいついでに中に入り鈴女は絶望した。
「アカン……証拠物件ゴロゴロ散かしたままやんこの子……」
 毒薬や爆薬の瓶やどこに何を仕掛けたか書かれたメモ、さらには作りかけの身分証明書まで……。
 罠にはめられた被害者でもここまで露骨には証拠が整っていないものなのだが……。

「ってこれ、正体現した時用のレオタードに燕尾服にシルクハットにマントって……」
 なんかもう皺よってたり毛玉がついてたりこれを着て登場はちょっと可哀相かもしれない。
(世話やける子やなぁ……はぁ……)
 衣装は全て毛玉を取りアイロンまでかけて衣装棚へとちゃんと直す。

 その他の出しっぱなしの証拠類も隠し扉などを発見しそこへと順番に収納しておいた。
「ドジっ子……ェ」
 うっかりこの部屋に踏み込んだ子もいたがとっさに催眠術でそれを忘れさせこの部屋から追い出していく。

 もう良いだろうと部屋を出てさらに残っていた者に鈴女が犯人だと言わんばかりに怪しい言動を繰り返し念押しすると自室へと帰り扉を閉める。
 扉には『最後の人はココ☚』と看板まで取りつけ念押ししていいたのでそのうちきっと現われるだろう。

 三味線を弾きながら部屋に置かれていた酒へと手を伸ばしフフンと鼻を鳴らす。
 部屋を出る前と銘柄が違う、これは恐らくは毒入りの酒に違いない……どれぐらいの毒が味わってみたるでとさっそく一献飲んでみた。

「…うーんテイスティ♬」
 口に広がる甘みとそして優しい舌触り、そして年月が尖った部分をまろやかさに変えたこれはまさに絶品。
(……ってアカンやろ、耐性で弾いてもうたら!?)

 いくら猛毒でも毒に耐性があるのでは効果は希薄である、それを見かねたのか新たな毒が追加で鈴女に送り込まれることになった。 
 扉がノックされ住み込みメイドが特別製らしい酒瓶を鈴女の前へと運んできてくれる。
「こちらのお酒もなかなかイケるらしいですが忍足様いかがですか?」
「ほな、貰ろとくわ♪」
 注がれた酒を一気に煽ると鈴女の顔色が一気に真っ赤に変わる、それはまるで身体中の血管を駆け巡るかのような衝撃。
 舌や五感から感じるこの感動は……。
 鈴女は涙を流しその美酒を飲み込むと感動に撃ち震える。
「お替りや!」
「はい、どうぞ♪」
 飲みやすい口当たり……そしていくらでも飲みたくなるこの常習性……お替りお替りお替りお替り……。
「っと、こういう強い奴をなあ(ぐび)…ごはっ…」
 急に回り出す視界、そして遠のく意識……腹の底からこみ上げるその感覚の正体は。
「うぷっ」
「ちょっ!? 忍足様! 離して、離してください!」
 どう考えても限界寸前リバースしそうな鈴女にがっちりホールドされた住み込みメイドはもはや絶体絶命。
 このままではリバースをもろに浴びてしまい……色々な意味でアウトな未来が待っている。
「いやあああああ!?」

 ゴンッ!

 鈍い音と共に鈴女が(リバースしながら)崩れ落ちていく……。
 そして重い酒瓶を持ちゼーゼーと荒い息を吐く住み込みメイド。
「あぁ……どうしましょう、私どうしたら……」
 うろたえるその肩を何かがポンポンと叩く。

『どうも背後霊です、後はやっとくから部屋から出た出た』
 プラカードを持った鈴女の巨大描霊「だいごろー」がメイドを邪魔だ邪魔だと追い出しにかかり勢いに押され部屋の外へとポイっと捨てられた。

「あっ、あの、私!」

『邪魔(#^ーωー^)』
 プラカードでダメ出しされた住み込みメイドは廊下でぺたんと座ったまま呆然としそしてふらふらと歩き出す。


●そして現われた真犯人
 これでこの館で死ぬはずだった招待客は全員死んだ(はずだ)。
 そう目的は達せられたのだ……ならば今こそ正体を現し颯爽と登場するべきだ。
 そう考えた住み込みメイドはメイド服に手をかけ一気にそれを脱ぎ捨てた!

「って、しまった~コスチュームは洗濯するつもりで部屋に置いてたんでした~~っ」
 反泣きで下着姿の真犯人こと住み込みメイドは自室へと駆け込んでいく、その情けない後姿に猫霊だいごろーは溜息をつきやれやれとポーズまで取る始末。

 こうして(鈴女がアイロン掛けした)コスチュームに身を包んだ真犯人は、生き残った者に種明かしをしてやろうと颯爽と大広間へ向かい思い切り扉を開けるのだった。

 その先に待っているアレな結末を予想することもできずに……。

■事件ファイル
犠牲者:忍足・鈴女 享年23歳  放送不可能なのでモザイク処理

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『劇場型犯罪者』

POW   :    夜闇に包む(ダアクナイト・クレイドル)
【翻したマントの内側】が命中した対象に対し、高威力高命中の【強固なワイヤーロープでの束縛】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    絢爛分身(アメイジング・イリュウジョン)
【レベル×5体の、自身と同じ姿の偽物】の霊を召喚する。これは【マントの中に隠された閃光弾】や【電流を流す非殺傷の光線銃】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    劇場型犯罪(シアトリカル・クライム)
【人々の注目を集めるド派手な大犯罪】を披露した指定の全対象に【大犯罪の引き立て役になりたいと言う】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

●そして真犯人は姿を現す
 生き残った人々は大広間へと集まりそして(表向き)恐怖に震え絶望にくれていた。
 助けはこない、逃げ場は無い、次は自分の番だろうと嘆きそして言い争い喧嘩する。
 そう……これこそが真犯人が見たかった光景。

 部屋の照明が突如消えてしまい、扉が開くとスポットライトが扉の少し横を照らし出す。
「紳士淑女諸君、ごきげんよう! って照明ズレてるし!」
 照明に照らされた壁へとシルクハットにマントが特徴的な謎の人物(笑)が現われる。
 その姿はまさに稀代の怪盗にして劇場型の犯罪をこよなく愛する極悪人……のはずだ。

「ふっふっふ、時は満ちました! この館に集った招待客をいかにこの私が一人ずつあの世へと芸術的に送って差し上げたのか……今こそ教えてさしあげる時がきました!」
 ばさっとマントを翻しポーズをキメル、数々の凶悪(笑)な犯罪をこなしここまで人々を恐れさせた怪盗は自らが全ての犯行を行った真犯人だと名乗り出る。

「イヤー、マサカキミガ ハンニンダッタナンテ」
 生き残った招待客も恐怖のあまり発音が棒読みになっているが気にしてはいけない。
 全てはあまりに華麗、あまりにパーフェクトに芸術的な犯罪をやってのけた彼女のカリスマ性(自称)のせいなのだから。

「私の名はそうですね……怪盗ピテントゥ・インコン……。呼びにくいでしょうし『怪盗ピティ』とでも呼んでもらいましょうか!」
 シルクハットの角度をキメてかっこいいつもりなのだろう、いい笑顔でニヤリと笑う。

(この子は本当にわかって名乗ってるんだろうか……怪盗インコンピテントゥとはつまり”無能な怪盗”って意味なんだけど)
 一部の者はそれに気付いたが話の腰を折ると逃げそうなので黙っておくことにした。

「さぁ……それでは回答編といきましょうか♡」

「「「待った!」」」
 そう自信満々に宣言した直後、別の扉がバーンと開き次々と誰かが大広間へと入ってきた。

 そこに入ってきた者達の正体とはいったい誰なのか……それは!
 (もちろん死んだはずの猟兵の皆さんです)
テラ・ウィンディア
色々と死体現場を見分中(なんかもう死体は無いけど回収されたのかな?

よし…謎は全て溶けた…!

今こそ回答編だ!

皆!集まってくれ!謎は全てとけ……た?(え?もう三章?

…え…既にメイドさん自らの正体を連続殺人鬼…怪人「ファントムマッチョ」ってばらした…後…?(ビキビキビキ

お前っ…お前ぇぇぇぇ!!!(ユベコ発動

おれが謎を解いて追いつめるシーンは!?

なんでお前自らネタバレシして名乗ってるの!?(うるうるってしながら胸倉掴んでゆっさゆっさゆっさ

馬鹿ーーーっ!(ポカポカっ…

はぁはぁ…と、取りあえず…決戦なんだな

なら戦う(戦闘技能を駆使して戦闘

後…怪盗は物を盗む犯罪者で殺人鬼じゃないんじゃないか?(鬼突っ込み



●迷探偵・推理ヲ披露スル
「よし……謎は全て解けた!」
 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)の元気な声が暗闇に響きそしてスポットライトの当たる壁際へとゆっくり歩いていく。
 あまりに堂々と入ってくるものだから『怪盗ピティ』もちょっと横に避けて二人でスポットライトを浴びる位置に並び立つ。

 グラマラスな怪盗とぺたんこな少女探偵が並ぶと身長差があるのでミカン箱が足元に置かれ見栄えがちょっぴりマシになる。
「皆!集まってくれ!謎は全てとけ……た?」
「えぇっと、あの……」
 嬉しそうに謎を発表しようとしたテラに、ものすごーく申し訳なさそうに怪盗ピティが何か耳打ちする。

「……え、既に正体がメイドさんていうのもバラした後!?」
「ま……まずかったでしょうか……っ」
 涙目で頬を膨らませるテラの形相に怪盗ピティはどんどん姿勢が低く。
「その正体が連続殺人鬼ファントムマッチョってことも言っちゃったんだろ……はぁ……自分で言いたかった」
「それ、絶対、無関係ですから! 見ての通りマッチョじゃないですから!」
 勘違いに勘違いを重ねた推理を怪盗ピティに否定されるもそんなものは耳に入ってはいない。
 ミシッっと音がしてスポットライトの当たっている空間の重力が重く二人に圧し掛かる。

「お前っ……お前ぇぇぇぇ!!! おれが謎を解いて追い詰めるシーンは!?」
「えっ、えっ?」
 テラの作り出した重力場に身動きができず逃げれないまま胸倉を掴まれてしまう。

「なんでお前自らネタバレシして名乗ってるの!!」
 激しく胸元を揺さぶり怪盗ピティの豊満な胸がゆっさゆっさとテラの顔に当たりちょっと気持ち良かった。
 だがなぜだろうその豊満さを味わう内……気のせいか余計にテラのツッコミが激しくなっていく。

「馬鹿ーーーっ!」
「人の話を聞いてくださあああい!?」
 有無を言わさずポカポカ叩かれてあっという間にグロッキー、これはまずい1人目ですでに終わりそうなんですがこの戦闘(?)

「はぁはぁ……だがおれにも言いたい事がどうしてもあるんだ」
「うぅ……私の話は聞いてくれないくせにぃ……しくしく」
 もうなんか可哀相になってきたが迷探偵テラの言ってはならないツッコミがその心を引き裂いていく。

「後…怪盗は物を盗む犯罪者で、殺人鬼じゃないんじゃないか?」
「え? 怪盗と殺人鬼って違う……んですか???」

 何か心の中で大事な物が壊れた気がする怪盗ピティが目を回しながらその場に崩れ落ちた。

 ……ってまだ始まったばかりだから!
 容赦無さ過ぎだよこの迷探偵。

大成功 🔵​🔵​🔵​

平岡・威
「貴様の三文芝居はここで終わりだ。そんなものでエクスタシィを生み出せると思うなよ!」
戦闘開始と同時にUC「其の答えを識るまで、僕は死ぬ事もままならぬ」を発動。情念の獣を召喚して『恐怖を与える』。問いは『貴様にとってのエクスタシィ』とはなんだ」で、満足する回答は「あなたの著作を読んで感動することです」となっている。
攻撃しつつ小説家の視点からトリックやネーミングセンス、行動、言動など目についた粗をネチネチと攻め上げる『精神攻撃』を行う。最終的に周囲の注目を自分に集めることで「お前のトリックより俺の存在のほうが上等だよね」という意味合いの煽りを行い冷静さを奪うことで他の猟兵からの攻撃を受けやすくする



●文豪ガ物申ス
 『怪盗ピティ』が迷探偵に色々きついツッコミを受けていた騒ぎを背にずっと大広間のソファーに座り本を読み続けていた書生風の男が立ち上がった。
 その男、文豪にしてエッセイストである平岡・威(PN『満島有機王』・f22466)その人である。
 威は手に持つ文庫本(官能小説)をパタンと閉じ机の上に静かに置く、その一連の動作を流れるようにこなすとドンと机を叩いた事で一同の視線が一度に集めてみせた。
 視線が自分に注がれた事に気付くとボサボサの髪を指でかきわけ鋭い視線を怪盗へと向けた。

「貴様の三文芝居はここで終わりだ。そんなものでエクスタシィを生み出せると思うなよ!」
「え……エクスタシィですか?」
 唐突なエクスタシィ語りに一同は彼が何を言い出すのかをじっと注目することにしたらしい。

「さて、怪盗ピティとか言ったか? お前に聞きたいことがある」
「ふっ……ふふっ、この怪盗に何を聞くつもりですかな物書きのお兄さん」
 威の質問に怪盗が答えた、ただそれだけに見えるこの光景……実はすでに威の術中にあったりする。
『其の答えを識るまで、僕は死ぬ事もままならぬ』
 これこそが威の切り札……質問に答えれねば威の著作から現われた情念の獣に齧られるという極悪なもので……。
「貴様にとってはだ、エクスタシィとは何だ!」
 それはただ相手の嗜好を聞いているように見えてそうではない、威が求める答えに辿り着かねばずっと噛みつき続けられるという極悪な能力でありもちろん答えれなかった怪盗ピティはといえば。

「痛い痛い痛い……お尻噛まないで~~!?」
 先ほど置いた本から獣が飛び出し怪盗がもう涙目で逃げ回っている、だが完全に噛みつかれ逃れることなどできはしない。
「だいたいだな、なんだトリックにもなってないトリック!密室ですらない! わかってるのか、ええ?」
「ひぃ……今はそんな事言われても~」
 さらに牙が刺さったのかもう完全に半泣き状態でもはや苛めに近いかもしれない。
「お前の名前……インコンピテントゥが無能って意味だとわかってるんだろうな?」
「えぇ……嘘っ、ご主人様がそう呼んでたからそう名乗ったのにぃ~」
(あぁそういえば表の顔は住み込みメイドだったか、さすがにそれはちょっと同情してやるか……)

「だとしてもだ、調べもせずに名乗るからそうなるっ」
「うっ……」
 威の言葉責めはそれはもおうネチネチと多岐に渡り、なんかもう人生終わりみたいに体育座りし始めた怪盗ピティに同情の視線すら届くほどで。
 そのあまりに冷静沈着な物言いは、周囲の視線も注目を怪盗よりも一身に集めてしまいそれは何よりも怪盗ピティの存在意義にダメージを与えたようだ。
 
(そろそろ頃合か)
 威は語り始めた時間や空気の流れからここで手痛い一撃を加えておこうとニヤリと笑う。
「おい怪盗……つまりはだ、お前のトリックより俺の存在のほうが上等だよねと言う事だ!」
「そ、そんな酷いっ……準備に1年も時間かけたのに!」
 涙目で言い返す怪盗ピティに溜息をつきつつ威は静かに口を開く。
「それって一年ごしの準備より、俺の方が優れてるって事だよな?」
「うぇぇぇぇん」

 ……お尻が噛まれて痛いのか、心がズキズキ痛いのか怪盗ピティは部屋の片隅でシクシク泣き出してしまうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夕月・那由多
ふふ…残念じゃったのう。これは事件物ではなく怪異譚じゃ

と妖しげに笑いながら、真の姿の夕闇状態と共に、周囲を薄暗くしながら現れゆっくり実体をだすのじゃ
さらに大鎌でも取り出せば雰囲気も出そうじゃのう

「死体の演技」で無敵なもうひとりのわらわとポーラと三人で連携じゃ、いくぞ!
…え?戦闘向きじゃない?ポーラはともかくもうひとりのわらわはいけるじゃろ、わらわ万能じゃし
ポーラ、そんなにもうひとりのわらわを危険に合わせたくないのかえ?
…ん?今何て言った?胸も同じくらいじゃろ?ほらわらわと同…じ…えっ

…二人は戦力にならんな!さあいくぞ怪盗!

見た目によらず【怪力】なので一発当たれば大変なことに

アドリブアレンジ歓迎



●これは怪異譚にて候

「ふふ…残念じゃったのう。これは事件物ではなく怪異譚じゃ」
 大広間にメソメソとした怪盗ピティのすすり泣きが聞こえる中、ゆらりと夕闇から溶け出すように大きな鎌が現われ邪悪な気配を纏った妖狐こと夕月・那由多(誰ソ彼の夕闇・f21742)が姿を現した。
 真の姿を現した那由多の周囲は薄暗くなり見る者に畏怖と恐怖を植えつけるのが普通なのだが……。

「しくしくしく……」
 後ろ向いて泣かれていては那由多渾身のビビらせ登場もある意味無意味。
 ……これはちょっぴり切ない。
 そして那由多の後ろから”無敵なもう一人のナユタ”が”ポーラ”というこの日の為に創り出したメイドに支えられ出現するとそれぞれが目の前の状況を察し微妙な表情を浮かべてしまう。
 だが影朧であるこの怪盗を放置するわけにはいかない、世界の安寧のためにも倒さねばならない敵なのだ。

「3人で連携じゃ、いくぞ!」
「無理じゃ」
「ダメです! お嬢様!」
 那由多の号令は創り出した分身と、生み出したメイドの二人に即断で断られ思わずつんのめってしまう。

「私、寿命以外は人並み以下なものでして……」
 メイドのポーラは仕方がない、そう作ったのだから。
「でももう一人のわらわはいけるじゃろ? わらわ万能じゃし」
「ダメです! ナユタ様は那由多様と違いまして先ほど崖から落ちてお疲れなんですよ!」
 なぜか力説するポーラ。
 なぜだろう、気のせいかな?なんだか本当の主人である那由多を差し置いて大事にしてるというか何というか……。
(ポーラよ、そ……そんなにもう一人のわらわを危険な目に合わせたくないのかえ?)

「わらわもそやつも同じなんじゃから大丈夫じゃ」
「何を言ってるんですか那由多様、ナユタ様にはこの通り那由多様にはない大事なものがついておられます!」
 ナユタの後ろから”本物よりも育った”胸を持ち上げるとゆさゆさと揺らして見せてくる。
 なんだろう……ポーラの性格設定もしかしてミスかなわらわ……そう思わないでもない那由多だった。

「うぐぐぐぐ、こうなったらわらわ一人でやるしかないようじゃ」
「え、ええと……しばらく乳繰り合っていただけたほうが私は嬉しいんですが……」」
 3人がいがみ合っている内にようやく復活した怪盗ピティは那由多に詰め寄られ壁際に追い詰められていく。
「誰が乳繰り合ってじゃ! このっ! でかけりゃいいってもんじゃあるまいぞ!」
 バチン
 いい尾路がして那由多のビンタが怪盗ピティの豊満な胸に強烈なビンタを食らわせたそれも2発3発と連発でだ。
「痛い痛い痛い……八つ当たりはやめてくださいよー!?」
「えぇい、うるさーい! それというのもおぬしが手間をかけさせるからじゃー!」

 那由多は見た目に反して怪力の持ち主……見た目はギャグみたいだがダメージは相当なもの。
 マントの内側から慌てて出したワイヤーロープで那由多をようやく止めたがしばらくは那由多の怒りは収まりそうにないようだった……。

 ……主に主人を差し置いてイチャラブを展開し始めたナユタとポーラのせいで。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

カシム・ディーン
ん?1章2章で登場していない?
知りませんよヴァン・ダインの20則なんて
プラモデルですか(?

いや…素敵なお胸の怪盗が現れたなら盗賊が来てもいいでしょう!

取りあえずお前!今迄のトラップ見てましたが…(其処で間をおいて
…ハニートラップは?(理不尽!

安心なさい
お前のお胸が放つハニートラップは数多の罠を上回る物と保証しましょう

という訳でぎゅーしなさい!その間は攻撃しませんから!(ぇええええ!

(してくれたら幸せそうにふかふかしてる

でもなんでこんな事したんですか?
(動機を聞いて事情を確認してアドバイスすれば転生の道も開けましょう

否定せずにきちんと聞き

大変ですね

でも芸術で人を怖がらせては駄目ですよ?

あ、撫でて




 推理物の小説にはいくつものお約束があるのだが、そのうちの一つに重要人物や犯人は最初から登場しておけみたいな項目がありその意味ではこの男のように犯人でも探偵でもないのだから気にしなくていいかもなーとか思いつつこっそり紛れ込んでいる人物も今回は登場するわけである。
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)はそんなお約束を全無視で登場しあまつさえ言い放った言葉はそれはもうひどいもので。
「ヴァン・ダインの20則なんて知りませんよ、プラモデルですか?」
 などと言ってるのであまり気にしないチョイ役として今回は頑張ってもらおうと思うわけですよ。

(いや…素敵なお胸の怪盗が現れたなら盗賊が来てもいいでしょう!)
 もう好きにしてくださいね!

「取りあえずお前!今迄のトラップ見てましたが…」
「な……んですか?」
 カシムが詰め寄り怪盗ピティはもう打ちのめされていた心にまたトドメを挿しに来たのだとうともはや精神的グロッキー状態。
 だがカシムはそんな事はあまり気にせず言葉を続けた。
「…ハニートラップは?」
「え?」
 あまりのエアーリード能力欠如に一同の目が点になってしまう。
「安心なさい、お前のお胸が放つハニートラップは数多の罠を上回る物と保証しましょう」
「え……ええと」
 唐突な話の変化に怪盗の頭の回転力では追いつかないというか誰にも追いつけない。
「という訳でぎゅーしなさい!その間は攻撃しませんから!」
「え……ええと、こうですか?」
 カシムの顔が怪盗ピティの豊満な胸元に埋まり幸せそうな声が胸の谷間から漏れ出してくる。
 あまりにも助兵衛根性出しすぎなその行動に一同からは溜息しか聞こえてこない。
 だが幸せそうにふかふかしながらも一応は話をしようとするあたりは根は真面目じゃないかと思われた。
「芸術で人を怖がらせては駄目ですよ? ……なんでこんなことしたのです……?」
 カシムの質問に悩み困った風な表情をしたあとようやく怪盗が語り出そうとした時、周囲の物が胸元を指差し見るように促した。
「え……あれ?」
 そこにはあまりの至福にちゃんとした説得をするはずだったカシムが鼻血を出しすでに昇天してしまった後だった。

「あ……あの、これもカウントされちゃんですか?」
 おろおろする怪盗に一同は首を縦に振り……諦めろという言葉を投げかけてくる。

「こ……これだけはノーカウントでお願いしますう!?」
 怪盗が血まみれのカシムをゆさゆさ揺すり悲しい叫びが館に響くのだった。


■事件ファイル
招待客:カシム・ディーン 享年13歳 胸の谷間で鼻血による出血死

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アラディア・スプリガン
「劇場型犯罪者…私の世界のヴィランにも、似たような奴が多いわね。因みにこれが彼らの犯行の数々よ」
と言って、怪盗ピティにスマホで捜査資料用の、猟奇殺人の現場写真を見せるわ。
それはどれも、トラウマになるレベルのグロ画像…

…あっ、泣き出した。
充分【恐怖を与える】と、更に追い撃ち。
「今日はそのヴィランの一人を連れて来たわ。彼に猟奇殺人鬼の心得を教えてもらいなさい」

扉がバーンと開き、やってきたのは連続殺人鬼ファントムマッチョ(ヴィランのゴング)
『フオォーーーォッ!!」』と叫び、腰を振りながらピティを追い掛け回し、恐怖のどん底に叩き落すわ。

※アドリブ・絡み歓迎。
※因みにゴングの悪事に、猟奇殺人は無い




 ちょっとばかりイザコザがあったがようやく怪盗ピティとの対決にアラディア・スプリガン(正義の守護妖精・f18520)は腰に手を当てポーズを決めて登場する。
 これもまたヒーローの身体に染み付いた習性のようなもの。
 胸元をごそごそと弄りそしてスマホを取り出すが怪盗ピティはそれが何なのかをわかっていない。
 そういえばこの世界にはスマホとか端末機器って無かったわねとか思いつつも今更直すわけにもいかずそこに映し出された映像を数々を大画面で見せえつけて見る。
「え……なんなの……ってひい!?」
 何だろうと画面を覗きこむなりピティはその場へへたりこみブルブルと震え始めた。

「劇場型犯罪者…私の世界のヴィランにも、似たような奴が多いわね。因みにこれが彼らの犯行の数々よ」 
 アラディアが次々と見せる画像はあまりにも、そうあまりにもサイコでホラーでそれでいてブラッディな凶行である猟奇殺人の現場写真だったのだ。
 それを少し見ただけでこの怪盗はひきつけを起こしたかのような悲鳴を漏らしながら首をふるふると振りとうとう大粒の涙までもが頬を伝い始める。

(……あっ、泣き出した)
 脅しは十分に効果を発揮したようだ、予想通りこの怪盗……実際問題殺人事件を起こすには気が優しすぎるというか実際問題犯罪にすら向いていないのかもしれない。
 だからこそ今回悪い事をした分については反省をさせないといけない……その手はすでに用意してあるのだ。

「今日はそのヴィランの一人を連れて来たわ。彼に猟奇殺人鬼の心得を教えてもらいなさい」
 その合図と共に扉を突き破り入ってきたのは巨漢のマッチョ、連続殺人鬼ファントムマッチョであると認識した瞬間にまた怪盗ピティは驚きで壁際まで恐怖で下がってしまう。
「う、うそっ……風呂場で感電死したはずじゃ!?」
「フォーーッ!!」
 腰をカクカクと振りながら追いかけてくるファントムマッチョこと”ヴィランのゴング”を見れば大抵の者は逃げ出すこと請け合い。
 もちろん怪盗ピティのメンタルでは……。

「いや~~~~っ」
「フォーーーーーーーッ!」
 部屋中を泣きながら逃げ回る怪盗に全員がちょっと同情したのはここだけの話である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アオイ・ニューフィールド
やっと現れたかこの唐変木が、怪盗を名乗り殺人まで犯そうという人間……影朧か、とにかくそんな輩がクソ以下の罠を仕掛けてしたり顔するんじゃない、おい座れ、早く。椅子じゃない、地べただ、早く。早く!舐めているのか、考える頭は持っているのか、理論を理解するだけの脳みそは持っているのか。貴様がやりたい10の事象の内、1でもやり通すだけの論理構築は出来ていたのか。まて反論は聞いていない。貴様に胡桃大の脳みそが入っていると信じて言うぞ。貴様の様な輩が只行動を起こすと敵味方にどれだけの被害が及ぶと思っている!それも無駄な!只無駄なだけの糞の様な結果が飛び込んでくる!尻拭いをする人間が存在が居るなど考えも文字数




「ぜぇぜぇ……やっと振りきれた、何だったのあれ……はぁはぁ」
 怪盗ピティが息も絶え絶えにようやく怪しい筋肉ムキムキマッチョから逃げ延び元の場所へと戻ってきた瞬間、次なる地獄が待っているとは夢にも思わなかっただろう。
「やっと現われたかこの唐変木が!」
 先ほどまでの可愛いドレスではなく愛用の青いコートを身に纏ったアオイ・ニューフィールド(象打ちサイボーグ・f00274)が怒り全開鬼教官モードになって待ちうけてるなど誰に想像できようか。

「えっ、あっ? アオイちゃん生きてた……ん……」
「人の話を聞けぇ! 盗を名乗り殺人まで犯そうという人間……影朧か、とにかくそんな輩がクソ以下の罠を仕掛けてしたり顔するんじゃない、おい座れ、早く!」

 ピシャリと怪盗ピティの一言をぶった切りガミガミとお怒りモードになってしまっている、もはやお嬢様の扮装をする必要もなくいつもの調子に戻りそれはそれはもう地団駄まで踏んで早くしろと促した。
 渋々椅子に座ろうとすればその椅子を蹴飛ばし怪盗ピティは床に尻餅をつく。

「椅子じゃない、地べただ、早く。早く!舐めているのか、考える頭は持っているのか、理論を理解するだけの脳みそは持っているのか。貴様がやりたい10の事象の内、1でもやり通すだけの論理構築は出来ていたのか!」

「えっ、あの……その……」
 何から言えばいいのか生きてて良かったとかアレな事を口に仕掛けそうなのを察したのか単にぶち切れてるだけなのかアオイのマシンガントークは留まる事を知らない暴走ぶりでその勢いは完全に周囲の者すらその雰囲気に飲まれ何も口を挟むことができなくなっていた。

「まて反論は聞いていない。貴様に胡桃大の脳みそが入っていると信じて言うぞ。貴様の様な輩が只行動を起こすと敵味方にどれだけの被害が及ぶと思っている!それも無駄な!只無駄なだけの糞の様な結果が飛び込んでくる!」

 すぅと息を吸い込むと怪盗ピティの耳を摘み耳元で大声でさらに声のトーンを上げていく。

「尻拭いをする人間が存在が居るなど考えもしないだろうお前は! なんだあの罠にも満たない子供の工作は、え? 全部動くようにすうるのに8時間もかかったのだぞ? えっ? 一つぐらいまともに動くものすら無かったのだぞこのこのっ!」
「アオイちゃん耳痛い痛いーっ」
 思わず悲鳴をあげる怪盗にチョークスリーパーで首を絞めつつアオイの説教はまだ止まりそうにない。

「だいたい殺人事件の真っ最中に床掃除をいきなり唐突に始めるな、不審すぎるわっ! しかも自分まで転んでくるとかどんなうっかりぶりだこの無能者めっ、さらには人様をその無駄な贅肉で窒息死させかけておいて何が死因『階段からの転落死』だ。 死因は窒息死だ! この無駄に育った駄肉メイドめがー!」
「ギブッギブッ……ごめんなさあぁぁい」
 床を何度もバンバン叩いて降参している怪盗ピティにアオイの責めは緩む様子もない。


「えぇと皆様、終わるまでお茶でもいかがです?」
 他の猟兵の呼び出したメイドが怪盗ピティよりも上手にお茶を淹れつつ出番待ちの招待客達に紅茶と菓子を出し始めた。

「あぁっ、それは私が棚の奥に隠していたお菓子……っ」
「こら、貴様はお菓子の心配している場合かーっ!」
 下手な事を口にしたせいでどうやらアオイの説教と教育はもうしばらく続きそうだ……。

 なんというか……他人事だと思ってしまえば姉妹喧嘩でドジな姉がしっかり者の妹に怒られているようにしか見えないだが、そんな事を口にすれば矛先が自分に向くのがわかっているので全員最後まで静かにお茶を愉しんでいるのだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

忍足・鈴女
ゲロイン誕生は後始末、清掃、洗濯含め
やってくれたのでなかったことになりました~(=^ーω-^)ノ☆

ふむ…縛る攻撃、ウチもそういうん得意やで
(【罠使い】【ロープワーク】で仕込んだ罠であられもない姿に縛り上げる
序にどっかのシナリオ2話で完成した素直になれるオクスリ(肌浸透Ver)を縛り糸に塗り込んで…自分は直接触れない様手袋を着けて取扱厳重注意)

ま…まあ…仮に怪盗と殺人鬼を間違うてたとしよか…
んじゃ何で連続殺人したかったん?
と質問に対する回答を即す(UC発動)
あ、勿体ぶるのええから
答えんでもええけど癖になっても知らへんえ

序に2章で部屋で有った事を口外しないをUC発動条件に追加
口軽そうやからな…




 それはギリギリ間に合ったにすぎないそんな大惨事の一歩手前だったあの光景。
  もう少しで色々と描写不可能なゲロインになりそうだった忍足・鈴女(最終猫型暗殺兵器・f03727)は後始末を任せた猫霊達のおかげでこの場へと立つことを許されていたのだった。
 後始末、清掃、洗濯など大慌てで片づけなければとても世間様にお見せできる状態ではなかったのだ。
 まあこの酔っ払い猫娘が反省の一つもするはずがなく、事件は犯人たる怪盗ピティにさらなる尋問を開始しようとしていた。
 直前までスタミナの限界まで説教を食らっていた怪盗にはそれを止める術はなく、荒縄でギュウギュウに縛り上げると少しばかりエッチにしか見えない姿の出来上がりだった。
 自らは手袋をし“素直になる薬”という危険物を持ち込んだ鈴女にとってこれは結果の見えた作業に過ぎないのだ。
「ま……まあ、怪盗と殺人鬼を間違えるんは100歩譲ってしゃあないとして、なんで連続殺人したかったん?」
「はぁ…♥ らって…謎のお屋敷で連続殺人って劇場型のドッキリを生き残った人に見せつけれりゅりゃないれすかぁ♥」
 あっという間に答えたにも関わらず鈴女の尋問はしばらく続きあれやこれや、聞いているだけで恥ずかしい乙女の秘密まで話させるという外道っぷりを発揮。
 そのうえトドメとばかりに強力な『女王様の絶対命令権』まで使い先までの鈴女の痴態を口にしないよう強制するなどやりたい放題。
(口軽そうやしな、この子…用心しとかんと)
「勿体ぶらんとさっさと本当の事言えばええんやで?」
「もう……お話できる事ないですってばぁぁ……」
 逃げ場のない怪盗の艶やかな悲鳴が断続的に漏れ出し、鈴女はここぞとばかり口封じをしようと怪しく微笑んでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

彩波・いちご
アイさんと一緒

「さて、あれが犯人ですか……」
と、戦闘態勢に入ろうとしたらアイさんが……
「いえまぁ、仕掛けはバレバレなうえに作動しなかったりしてましたけどねぇ……」
だからといってその結論はどうなんでしょう?
「え、ちょっと、だからといって、この共犯者っていうか下っ端を放置しておくのもどうかと思うんですよぅ」
これ以上後に続きませんから、ここでちゃんと決着つけないといけませんから、一応アイさんの推理を否定しない程度にこれと戦う用意はしませんと

というわけでいつもの触手召喚して敵を襲わせた……ところでアイさんに別の部屋に連れ込まれてしまい…

…あ、犯人の悲鳴が聞こえる
触手はちゃんと仕事してるみたいですね…?


アイ・リスパー
いちごさんと一緒

「状況分析完了です。
電脳の天使である私の目は誤魔化せません!」

犯人を前にして推理を披露します。

「本来、この洋館で連続殺人が起こるという予知が依頼の発端。
ですが、起こったのは放置しても誰も死なない稚拙なトリックだけ」

これでは連続殺人になるはずありません。

「すなわち、この事件にはあなた以外の黒幕――真犯人がいるのです!」

びしっと影朧に指を突きつけ……

「そうとなったら、真犯人をおびき出すための演技を続けないといけませんね、いちごさん。
さ、一緒に朝まで部屋に籠もりましょう♪」

え、初めからそれが目的の推理?
なんのことでしょう?(目逸らし

もう三章ですけどきっと続編に続くに違いありません。




「さて、あれが犯人ですか……」
 彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)はそろそろ終わられてあげるのが優しさじゃないかとトドメを刺そうとするがそこに割り込む声があった。
 大広間でもう洗いざらい色々自白させられもはや息も絶え絶えの怪盗ピティ。
 もはや解明されるべき謎など無いかに思えたのだが、アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)がキリリと気合全開で推理を発表すると言われてはその場を離れるわけにいかず全員が耳を傾けている。
「状況分析完了です。電脳の天使である私の目は誤魔化せません!」
「おぉーさすがアイさん、情報のプロですね!」
 いちごが羨望の眼差しを送ってくれることに気を良くしたアイは意気揚々と推理の発表を続けることにした。
「本来、この洋館で連続殺人が起こるという予知が依頼の発端。
ですが、起こったのは放置しても誰も死なない稚拙なトリックだけ」
「うぐ……罠はちゃんと作用してましたよう!」
(それはアオイさんが半日近くかかって整備してくれたからですよー)
「いえまぁ、仕掛けはバレバレなうえに作動しなかったりしてましたけどねぇ……」
 いちごはアイの推理に穴がありまくると思いつつちょっと首をひねってしまう。

 だがアイの推理の要点はこうだ、これでは“連続殺人事件”にならないではないかと。
「ですから何で私の仕掛けた罠が動かない前提で喋ってるんですかー!!」
 怪盗ピティからの苦情がガン無視で目を輝かせたアイの迷推理は止まらない。
「すなわち、この事件にはあなた以外の黒幕――真犯人がいるのです!」
「えっ、真犯人いるんですか!?」
 目を丸くして驚く怪盗の姿に猟兵達はいやお前が驚いてどーするよともはやツッコミしか出てこない。
 しかもアイの勢いはまだ止まらない、指をビシっと怪盗へと向けると高らかに宣言するのだ己の願望を。
「そうとなったら、真犯人をおびき出すための演技を続けないといけませんね、いちごさん。
さ、一緒に朝まで部屋に籠もりましょう♪」
「え、ちょっと、だからといって、この共犯者っていうか下っ端を放置しておくのもどうかと思うんですよぅ」
 とうとう真犯人を共犯の下っ端とか言い出したよこの二人。
 アイに個室へと連れ込まれながらいちごは適当に召喚した触手に命令を与えると二人の姿は二階の個室へと消えていき、艶やかな嬌声が聞こえ始めたがもはや誰もツッコミをいれるものはいなかった。
 この日二人が燃え上がる夜を過ごした事はここだけの秘密ということで。
一方……残された触手が怪盗に襲い掛かりいくら何でも可哀そうすぎる光景に一同はただただ涙するしかなかった。
「もうちゃんと正直に自白したのにいやぁぁぁぁっ」
 怪盗ピティ……その日、ありえない経験を色々と積んでしまいすでにグロッキーな彼女。
 だれかもう引導渡してあげてくださいな……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

竹城・落葉
 【POWで判定】
 なるほど、貴様が犯人だったのだな。しかし、犯人にしてはトリックの仕掛け方が杜撰だったぞ。次からはトリックの仕掛け方に気を付けることだな。……いや、流石に何度も殺人を行わせるのも忍びないから、ここでケリを付けてやるが。
 我は『支柱一閃』を発動。名物竹城を手に、オブリビオンを切り伏せるぞ。死体のフリをするために、長時間も同じ姿勢を取っていたから、体がガタガタだ。けれど、腕がなまっていなければ、このくらいのことは問題ないだろう。
 この戦いが終わったら、他の推理小説も買いに行こうか……。そんなことを思いつつ、敵を倒していこう。
*アドリブ&共闘、歓迎です


テラ・ウィンディア
ふーんだ
もうおれの華麗な推理の出番無くなっちゃったし探偵は不要だろ(しょぼん

…ん?…いや…まだ…やるべき事があった!

探偵は…おれはまだ追及しなくてはならない事がある!(ミカン箱の上に立ち
何故お前はこんな事をしたのか
そう!ほわいだにゃっ(噛んだ

そもそもお前は回答編の後
皆を殺すつもりだったのか?
…うん、違うよな

つまり…お前は名を知らしめたかったんだ
怪盗として
自らの名を上げたかったんだな
奇怪な連続殺人とか芸術的犯罪は確かに有名になれるもんな

唯…それすると後ろ指ささせるだけだぞ?

まぁ大丈夫
誰も死んでない
お前は誰も殺してない

だからまぁ…やり直せるさ
それに
人殺しよりお前は皆を笑顔にする事の方が似合ってるよ




 怪盗ピティはもう疲弊しきり床に転がされていた。
 もう戦うまでもなく今にも消滅してしまいそうなほどの弱りように涙を誘うほどである。
 だがこんな見た目でも彼女は影朧……世界に害為す存在、倒さねばならない存在であることに違いはない。
 迷偵ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499は、ほぼその出番を終えしょぼんとしながら追い詰められていく怪盗を見ているしかなかった。
(ふーんだ、もうおれの華麗な推理の出番無くなっちゃったし探偵は不要だろ)
 さすがに解決編ともなると全員が探偵のようなもの、テラの出番がなくなるのはもはや避けられないことなのだったのだが。
 
(あまり死に際を長引かせるのも可哀そうなもの、介錯してやらねばな)
 ようやく長い死体役から解放され実は生きていた証人達状態の竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)の登場に怪盗は驚きを隠せない。
 最後の一人である落葉が現れた事ではっきりしたのは、今回の連続殺人事件での被害者が0でありすべてが殺人未遂で終わってしまったということだ。
「なるほど,貴様が犯人だったのだな」
「えっ、嘘……殺したはずの全員が生きてた…の……?」
 なるほど彼女にしてみれば1年がかりで準備していたトリックは全て水泡に帰し、誰一人として殺せずピンピンっしているのだ。これでは同じ捕まっているといっても情けなく思い落胆する以外にできることはもう無いかに見えた。
 そんな達成感すらも奪われおとなしく座り込んだ怪盗へとミカン箱に乗りながらビシっと指を突き付けた迷探偵テラ。
「何故お前はこんな事をしたのか……そう!ほわいだにゃっ」
 慣れない英語を言おうとして舌を噛んだお子様探偵に怪盗ピティは乾いた笑いでポツポツ答えだす。
「私は……」
「そもそもお前は回答編の後皆を殺すつもりだったのか?…うん、違うよな?」
 首をふり否定しようとする怪盗。
「私はただ目撃者がいなければ事件の概要が世間に伝わりませんし……」
「ふむ、確かに殺しては意味が無かろうしな」
 落葉も顎に手をあて首をひねりつつ片目を閉じる。
 そう生粋の殺人鬼ではなくただただ劇場型に派手に演出したかった、つまりはそういうことなのだ。
「…お前は名を知らしめたかったんだ。怪盗として自らの名を上げたかったんだな。奇怪な連続殺人とか芸術的犯罪は確かに有名になれるもんな」
 テラは怪盗の肩に手を置き目を見ながらこれだけは言わないといけないという強い意志を持って想いをぶつけることにした
「唯……それすると後ろ指刺されるだけだぞ?」

 子供であるテラにまでそう言われてしまえば怪盗はもはや肩の力を落とし何もかもを諦めたかのように腰に刃(のようなバール)を持つ落葉へと視線を向けた。
「ちと犯人にしてはトリックが杜撰だったからな、次からは仕掛け方にももっと注意をしたほうがいい……まあ最も”次”は殺人など起こさずともよい道を選んでほしいのだがな……」
「まぁ大丈夫。誰も死んでない。お前は誰も殺してない」
 二人にそう言われ怪盗ピティは立ち上がると二人にお辞儀しポーズをとってみせる
「えぇ…私も次こそはっもっと皆様に笑顔と驚愕をお届けする犯罪を犯してみせますから……お願いできますか? そこの方」
 落葉に向けた視線の意味を理解し名物竹城を構えると居合の構えから一瞬、手元が早すぎて見えなくなってしまう。
「――。」
 支柱一閃、痛みを感じる間もなく通り過ぎた死を与える一閃に、怪盗ピティの身体が桜の花びらへと変化しながら崩れ落ちていく。
「それでは怪盗ピティ、次の生ではもっと可憐に皆様を沸かせて見せますね……」
 最後にそう言い残すとその場には床に散らばる桜の花びらだけが残された。

「……やり直せるさ、お前は皆を笑顔にする事のほうが似合ってる」
「何、道を外れれば我がまた介錯してやるのみよ」
 チンと何が鳴ったのかわからないが名物竹城を腰に直し落葉は手を合わせ転生を祈る。

 そうこのサクラミラージュでは影朧は転生し次なる生をまた始めるはずなのだ。
 他の世界ではともかくここに置いてそれは救いなのかそれとも……。

 すべてが終わり一人、また一人と転送され帰っていく中、落葉はあえて街までゆっくり帰ってみようかと思い始めていた。
(せっかくだ、他の推理小説でも買って行こうか……)
 桜舞い散る道をゆっくりと歩きながら思いつつ空を見上げるのだった……。

 こうして百櫻館での一連の事件は無事に解決し一件落着と相成ったのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年10月08日


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🔒
#サクラミラージュ


30




種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鏡繰・くるるです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト