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夜天に咲く血潮の薔薇

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●赤い夜のはじまり
「さて、今宵の宴を始めようか」
 血の色をしたヴァンパイアの瞳が、檻の中を見渡す。おおよそ十代前半の年頃と思わしき少年少女達が、十名。皆揃って恐怖に怯え、絶望に顔を染めている。
「夜は我等の領分なれど、無為に過ごすには長い。そこで、だ」
 ヴァンパイアが嗤う。短剣のような牙が唇の端から覗いた。
「お前達に生き延びるチャンスをやろう。今からこの牢を開けてやる。今夜、月が沈むまでにこの城から逃げ出せたなら、お前達は自由だ」
 何人かが顔を上げる。夜闇よりなお暗い牢獄の中でも希望を捨てていなかった、一握りの者達の顔。それを見つけて、ヴァンパイアがにやりと唇を歪める。
「もちろん我輩も追っ手を差し向けるが……この城を一歩でも出たならば手出しはしない。我が血に賭けて約束しよう」
 ヴァンパイアが指を鳴らすと、牢屋の扉が音もなく開かれた。
「憐れな子らよ、走るがいい。我はこれから配下共にお前達を追うよう命じに行くから、今のうちに離れておくがいい。遊戯がすぐ終わってしまっては興醒めだからな」
 顔を上げていた数人が立ち上がり、走り出した。俯いていた者も立ち上がる。膝を抱えて動かなかった者も手を引かれ、やがて全員が牢を出ていった。
「……さて、楽しい宴の始まりだ。今回はどんな面白い顔が見られるかな?」
 その瞬間に彼らが見せる十人十色の恐怖と絶望を思い、ヴァンパイアは低く笑った。
 月が中天を過ぎた頃のことである。

●マローダーズガーデン
 グリモアベースに集った猟兵達の前に姿を現した神楽火・綺里枝(メイデン・オブ・シグナム・f01297)の瞳は怒りに燃えていた。
「今回皆様に向かって頂くのはダークセイヴァー。夜と闇に覆われた世界でございます」
 百年ほど前にオブリビオンに征服されてしまった世界だ。以降、この世界の人口は減少の一途を辿っている。
「ダークセイヴァーのオブリビオン――ヴァンパイアが、捕らえた子供達を使って『宴』と称する殺戮を始めようとしています」
 虜囚とした少年少女を一旦解放し、逃げ切れたら自由にしてやるという条件で走らせる。それを配下に追い立てさせて、追い詰められて恐怖に歪む表情や逃げられないと悟って絶望する様を楽しむのだという。
「ですが……こうしてわたくしのグリモアに探知されたのが運の尽き。この城に攻め入り、ヴァンパイアの『宴』をぶち壊して差しあげましょう」
 氷のように冷たい声音。その内に眠る激情を映してか、綺里枝の手の中でグリモアが明滅する。
「外道なりに筋を通すつもりはあるのか、ヴァンパイアの城の門は開かれております。まずはここから子供達を逃がしてください。追っ手は皆様であれば一蹴できる程度ですので、そちらの撃退に回るのも効果的でしょう」
 子供達を無事に逃がせたら、後は城に残ったヴァンパイアと配下との戦いになる。それらの敵の情報も予め伝えておくが、まずは救出に専念してほしいと綺里枝は言った。
「正直に申し上げますと、十人全員を救出できる可能性は高くありません。わたくしの予知でさえ覆すような、それこそ奇跡でも起こらなければ」
 だが、行動しなければ誰も救えない。猟兵達は立ち上がった。
「皆様の行動が奇跡を呼んでくれることを、心から祈っております」
 そんな彼らに向かって、綺里枝は深々と頭を下げるのだった。


中村一梟
 猟兵の皆様あけましておめでとうございます、中村一梟でございます。
 新年一発目の今回はシリアスでダークなほうのファンタジー世界、ダークセイヴァーのシナリオをお届けいたします。

 第1章は「子供達を城門から逃がす」ことが目的です。ひとつの方法に絞ってユーベルコードや技能で補強して頂くほうが有利な判定となりますのでご留意ください。
 10人の内何人を助けられるかは章終了時の赤丸の数で決まります。全員救出はかなり厳しめの条件となっておりますので、皆様奮ってご参加ください。

 第2章は集団戦、第3章はボス戦となっております。攻略のヒント等は幕間で描写します。

 それでは、今回も皆様とよい物語を作れることを楽しみにしております。
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第1章 冒険 『花散る饗宴』

POW   :    体力や力づくで追いかけっこを制する。

SPD   :    速さや技量で追いかけっこを制する。

WIZ   :    魔力や賢さで追いかけっこを制する。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ゾーク・ディナイアル
「ムカつくんだよなぁ、そういう上から目線な態度とか…弱い者イジメとかぁ!」

☆行動方針
SPD勝負
妖剣解放で速さと遠距離攻撃手段を確保して、先陣を切って突入する
ボクの目的は『追手の全滅』さ、1秒でも早く1人でも多く殺せばそれだけ子供達も安全だろ?
斬り込んで、追手を探して、見かけた端から斬っていくから
「見ぃつけた…」
怪力を発揮して妖剣から放たれる衝撃波なら追手くらい一刀両断、本当は嬲り殺しにしたいけど今日は子供達の為にサクサク殺っちゃうよ
「いつから自分達が追う側だと錯覚してた?
子供を追い詰めて、殺したり、もしかしてイケナイ事とかしちゃうつもりだった?
残念!殺られちゃうのはお前達だよぉ!キャハハ!」



永遠の夜空の下に聳えるヴァンパイアの城。重厚な石造りの門の内へと先陣を切って飛び込んだのはゾーク・ディナイアル(強化エルフ兵の出来損ない・f11288)である。
 渦を巻く妖刀の怨念をまとい、風のように駆けていく。一秒毎に命が食われていくが、彼女がそれを気にした様子はない。
(一秒でも早く一人でも多く殺せばそれだけ子供達も安全だろ?)
 覚悟を胸に回廊を駆け抜けたゾークは、ぞろぞろと階段を降りてきた兵士達に出くわした。
「さーて、城主様に一番気に入られる殺し方ができるのは誰かな?」
「前回はアレだよな。這って逃げるのに猟犬をけしかけてさ」
「あー、そうだったな。さすがに二番煎じはお気に召さないだろうな」
 彼らもオブリビオンなのだろう、殺戮を遊びとしか考えてない気楽な調子で喋っている。その様子に、ゾークの胸中で殺意が燃え上がった。
(ムカつくんだよなぁ、そういう上から目線な態度とか……弱い者イジメとかぁ!)
 禍々しい気をまとう妖剣を手に、ゾークは物陰から一歩踏み出した。
「見ぃつけた……」
 三日月を象った笑みを浮かべ、一閃。衝撃波が先頭の兵士を両断し、赤い花を咲かせる。
「いつから自分達が追う側だと錯覚してた? 子供を追い詰めて、殺したり、もしかしてイケナイ事とかしちゃうつもりだった? 残念! 殺られちゃうのはお前達だよぉ!キャハハ!」
 哄笑を上げて血刀を振るう銀髪の剣士。ものの数十秒で、物言わぬ骸の一団が通路に横たわる。
「本当は嬲り殺しにしたいんだけど、今日は特別だよ。時間が勿体ないからね」
 得物の返り血を拭い、ゾークは次の獲物を求めて駆け出した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガイ・レックウ
(POW)で判定
【クイックドロウ】で追っ手の足元を撃ち、足止め。
追っ手たちの前に仁王立ちすると『ここから先は通しはしないぜ!!』と大声で言うと【拠点防御】と【怪力】により足止めして、味方が逃がすのをサポートするぜ。
敵の動きを【見切り】で察知しつつ、クイックドロウによる早撃ちを叩き込むことで動きを鈍らせ、【炎龍一閃】で斬り捨てていくことで自分に注目を集めとにかく時間を稼ぐ。
【殺気】を放つことで相手の動きを封じ、追っ手を【串刺し】にしていくぜ



ガイ・レックウ(流浪の剣士・f01997)もまた、ヴァンパイアが差し向けた追っ手の前に立ちはだかった猟兵の一人であった。
「ここから先は通しはしないぜ!!」
 兵士達の足元に銃弾を撃ち込み、大声で宣うガイに、隊長格と思わしき兵士が怒気を向ける。
「貴様、自分が何を言っているのかわかっているのか?」
「当然承知の上だ!」
 再び発砲。悪態を吐く隊長の懐に飛び込んで、ユーベルコード「炎龍一閃」を放つ。
「さて、一手……仕掛けるか!!」
 抜き放った刀身が紅蓮の炎を吹き上げる。兵士が鎧ごと紙のように切断され、焼き尽くされ灰となる。
「おい、応援を呼べ!」
 促され、一人の兵士が走っていく。その背をあえて見逃して、ガイは残りの兵士達に向き直った。
 自分に注目を集め、子供達を救出するための時間を稼ぐ。彼の目論見は成功しつつあった。
「覚悟しろよ、全員串刺しにしてやるぜ!」
 小竜が変じた槍を手に、ガイは吠える。燃えるような殺気を前に兵士達は一瞬たじろいだが、逃げ出せば城主の不興を買うのは必至。武器を構え直し、赤い瞳の剣士に挑みかかっていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイジア・ピグマリオ
【SPD】
悪趣味な宴はぶち壊すものと相場が決まっている。
出来得る限り子供たちを助け、せいぜい宴の主の顔に泥を塗って差し上げないとな。

まずは子供を見つけることを最優先として【暗視】を使いながら城内を駆け回る。場合によっては【鍵開け】を使って扉等を開けることもあるだろう。
子供を見つけたら助けに来た、自分は味方だ、の旨説得を試み、護衛しながら城門へと向かう。もし子供が狂乱状態等にある場合は、傷はつけないように人形で抱えて移動することも辞さない。
追っ手と遭遇したのなら人形の爪もしくは自分のナイフで始末する。

あくまで優先順位は子供>追っ手であり、迅速により多くの子供を発見・保護することを第一と考える。



暗闇の中にうずくまる少女をレイジア・ピグマリオ(廃都より出でしドールメイカー・f09676)が見つけられたのは、なぜか暗闇でもものがよく見える黒縁眼鏡のおかげだった。
「助けに来た、俺は味方だ」
 そう呼びかけると、少女は顔を上げて訝しげな目を向けてきた。それもそうだろう。このダークセイヴァーでヴァンパイアに逆らうということは正気の沙汰ではない。
 それでも根気よく言葉を重ね、ようやく少女は彼のことを信用したようだった。覚束ない足取りが、彼女達がどのような扱いを受けてきたのかを嫌でも想像させる。
「ひっ……!」
 城門まで後僅かという所で、少女が小さく悲鳴を上げて足を止めた。鎧兜の兵士が一人。こちらには気づいていないが、迂回するには場所が悪い。
「キュクロプス!」
 レイジアが鋭く命じると、彼に付き従っていた人形が矢のように飛んだ。振り向いた兵士の喉を爪で掻き切り、声を上げさせずに倒す。
「あ……あ……」
 闇の中でも鮮やかな血の赤色に怯え、歩き出せない少女を戻ってきた人形が抱え上げる。そのまま城門まで運んでいき、待っていた綺里枝に少女を預けて踵を返す――と、レイジアの服の裾を少女が掴んで引き止めた。
「……ありがとう」
 掠れた声でそういう少女の頭を一度撫でて、レイジアは今度こそ城内へと舞い戻る。
(悪趣味な宴はぶち壊すものと相場が決まっている。出来得る限り子供たちを助け、せいぜい宴の主の顔に泥を塗って差し上げないとな)
 捕われていた子供達は、後九人。三つ巴の追いかけっこはまだ長く続きそうだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルベナ・ラウンドディー
【SPD】
他猟兵と重複しない方角からバイクで捜索
単独行動
これが私なりの協力方法だ


ユーベルコードは常時発動
子供の【追跡】を行う
経路中【救助活動】の技術で【地形の利用】が出来ないもんか
走行中にジャンプが出来そうなものでもあれば利用して高所からの俯瞰を臨んだり…
或いは、安全確保済みの経路は目印を作りつつ行動範囲を広げ、発見に努める
オーバースピード?【見切れ】ば問題ない


子供は捜索対象と同時に情報源だ
身柄を確保しても焦って引き返さず他の子の手掛かりも聞き出したい
それこそ【恫喝】【殺気】…聞き出すためなら鬼にもなってやるさ
近場なら引き連れてでも、連れて行けるだけ捜索を続行だ


…亡骸は数えたくないですからね



ユーベルコードで変形させた宇宙バイクを駆り、ベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンの剣豪・f07708)は城内を捜索していた。
 見つけた子供の足取りを追っていくが、バイクに乗ったままでは階段や扉に阻まれて思うようにスピードが出せず、追跡は難航している。
 それでもなんとか一人の少女を見つけたベルベナは他の子の居場所を知らないかと彼女に問い掛けるが……。
「知らないよ! みんなバラバラになっちゃったもん!」
 そこで食い下がり、恫喝混じりの言葉を口にしてしまったのがいけなかった。亡骸を数えたくない、助けるためなら鬼にでもなってやると気負いすぎていたのかもしれない。
「知らないって言ってるでしょ!? ……あんた、あいつの手下ね!?」
 ベルベナを拒絶し、走り出す少女。こうなっては仕方ないと、ベルベナはバイクを走らせて少女に追いつき、追い抜きざまに抱き上げる。
「助けにきたなんてやっぱり嘘だったんだ! 放せ、放せ!」
 もはや誤解を解くには行動で示すしかない。ベルベナは暴れる少女を押さえつけ、城門へと向かった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

緋縅・善蔵
今回の依頼は速度が命。
影の追跡者で追跡できる数だけ子供を追跡。自身は1人の子供を追跡して、驚異が迫ったら即座に屠龍で叩き潰す。ユーベルコードで追跡してる中で、脅威が迫った子供の元に直ちに向かい、同じように脅威を潰す。影の追跡者で追跡できるのが1人だけでも、2人は救いたい。



二方向に別れた二つの足跡を見つけた緋縅・善蔵(893顔特別国家公務員・f06737)は、ユーベルコードによって呼び出した影の追跡者に片方の追跡を命じると、もう片方の足跡を追って走り出した。
(今回の依頼は速度が命だ)
 戦場傭兵としての経験を活かし、素早く城内を進んでいく。共有した感覚を通じて影の追跡者の様子をうかがうも、その足取りは鈍い。見つからないよう追跡するのは得意でも、見つけるために追跡するのは不得手なようだ。
 不安は拭えないが、引き返して合流している暇はない。善蔵は己が追う足跡に意識を集中させることにした。
 怯えて迷っているのか、不安定な間隔の足跡を辿っていく。やがて、子供の足跡が走り出し、それを追うように走る大人の足跡……そして、曲がり角の向こうから声。
 善蔵も走り出した。角を曲がり、暴れる少女の腕を掴んで引きずる兵士に竜殺しの鉄塊剣を叩き込む。驚いた顔の少女に意外と気さくな笑みを向けて、善蔵は右手を差し出した。
「お願い、弟がいるの! 一緒にいたんだけどはぐれちゃって……どこにいるのかわからなくって!」
 おそらく、それが影の追跡者に追わせた足跡の主だろう。追跡者の視界に意識を移すと、際ほどの姉と同じように引きずられていく少年の姿。
 一刻を争う状況だが、少女を置いていくわけにもいかない。細い体を抱え上げ、善蔵は駆け出した。
(間に合うか……!?)

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ジロー・フォルスター
WIZ
気楽な様子で城門を潜る

世界知識と地形利用で館構造に当たりをつけ子供の逃走ルートを予測
1人でも探し当てる
得意な猟兵がいたら協力したい

コミュ力、優しさ、傷の回復、聖者の本質で屈んで話しかけ落ち着かせる
「なあ、頼みがあるんだ。皆を助けよう」


子供に悲鳴をあげて貰う
すぐに子供を隠し、かばえる場所かつ目立つ位置に移動(地形を利用で調査)

悲鳴は追っ手を『おびき寄せ』、他の子供は離れるサインになる

「来たな。そろそろ鬼、交代しようぜ」

攻撃は見切って武器受け・敵を盾にして受け鎧砕き付カウンターで仕留める
あえて背を見せ誘い『銀の骨翼』の零距離射撃・串刺し
血は武器から吸血・生命力回復

終われば隠した子供と退散だな



ジロー・フォルスター(現実主義者の聖者・f02140)の予想は当たった。一人の少女が息を切らせ、走ってくる。ジローは少女を捕まえると、屈んで視線を合わせ、彼女に話しかけた。
「なあ、頼みがあるんだ。皆を助けよう」
 サングラスの向こうの瞳に宿る優しさを受け入れて、少女が頷く。そうして二人は、より多くを助けるための作戦を実行した。
「きゃあああああ!!!」
 絹を裂くような悲鳴を少女が上げる。それを聞き付け、何人かの兵士が足音を立ててやって来た。
「捕まえたのか? よーし、それじゃあ中庭に連れていけ。城主様がお待ちだぞ」
「来たな。そろそろ鬼、交代しようぜ」
「お前、侵入者の仲間か!?」
 兵士が一斉に抜剣するが、遅い。銀鎖で刃を絡め、突き飛ばす。そうしてジローはおもむろに背を向けて、
「俺の血を吸おうってんなら、高くつくぜ」
 ユーベルコード「銀の骨翼」を発動。服の背を破って突き出た銀の杭が狙い違わず兵士達の心臓を串刺しにし、青白い炎を上げて焼き尽くす。
「……すごい」
 物陰から顔を覗かせた少女が目を丸くする。そんな彼女の手を引いて、ジローは城門へ向かって歩き出した。
(城主は中庭、か。一度退散したら次はそこだな)

成功 🔵​🔵​🔴​

セリオス・アリス
【マリアドール・シュシュさんと一緒】

「俺もヴァンパイアの悪趣味を潰したいと思ってたところだ、ちょうどいい」
マリアの言葉に口の端をあげ
が…逃げる子供を一人ずつ助けるんじゃ全員は難しそうだ
よーし、一ヶ所に集めるか

敵を倒しながら屋敷の奥へ
「まだ屋敷にいるヤツはこっちへ来い!」
言って力強く『歌唱』
歌声に『鼓舞・誘惑』を乗せてまだ屋敷にいる子供たちを誘う

集まったら敵を倒しながら入り口向かうだけだ
子供達を背に守りながら
『第六感』で敵の気配を探りつつ見つけ次第『先制攻撃』
力特化の【青星の盟約】で雷の『属性攻撃』を叩き込み『2回攻撃』
討ち漏らしは気にせず前方の敵に集中
「後ろは頼んだぞ…!」

★アドリブ歓迎


マリアドール・シュシュ
「子供達を玩具のように弄ぶ卑劣な行為、許せないのだわ。
マリアはみんなの笑顔を護る猟兵。
だからお願い。あなたの歌の力も貸して下さらないかしら?
後ろは任せて頂戴」

偶然出会った黒い鳥さん(セリオス・アリス)と協力

腰に華水晶の灯籠
一か所へ集める為に子供達を猟兵側へ【おびき寄せ】
竪琴奏でてセリオスの歌に寄添い【歌唱・パフォーマンス】
希望の道標を示す

【華水晶の宴】で16体の一角獣召喚
敵の足止め用に10体を四方八方から一斉攻撃
力負けしたら5体を合体後、再度攻撃
逃げ遅れた子(怪我した子は優先的に)を一角獣の背に乗せて出来る限り逃がす

「絶対に、十人全員助けるのよ。
いやよ。マリアはいやよ!一人も欠けては駄目!」



「子供達を玩具のように弄ぶ卑劣な行為、許せないのだわ。マリアはみんなの笑顔を護る猟兵。だからお願い。あなたの歌の力も貸して下さらないかしら?」
 輝く髪を靡かせて、マリアドール・シュシュ(クリスタリアンのサウンドソルジャー・f03102)は言った。
「俺もヴァンパイアの悪趣味を潰したいと思ってたところだ、ちょうどいい」
 頷いて、セリオス・アリス(ダンピールのシンフォニア・f09573)が口の端に笑みを刻む。
「逃げる子供を一人ずつ助けるんじゃ全員は難しそうだ。よーし、一ヶ所に集めるか」
 セリオスが言って、二人は屋敷の奥へ。出くわした兵士達をなぎ倒しつつ、彼は大きな声で呼ばわる。
「まだ屋敷にいるヤツはこっちへ来い!」
 そうして、彼の唇が力強い歌声を紡ぎ出す。マリアドールの奏でる竪琴の希望の旋律に彩られ、二人の歌は城内に広がっていく。
 歌声に導かれて、子供達が集まってくる。だが、ここで計算違いが起こっていた。マリアドールとセリオスの所に辿り着く前に捕まってしまった子供がいたのだ。だが、目の届かない場所でそれが起こっていたため、二人はそれに気付かない。
「星に願い、鳥は囀ずる。――さあ歌声に応えろ、力を貸せ!」
「可愛い可愛い一角獣さん、いらっしゃい──さぁ、マリアに見せて頂戴? 合わさりし時に目覚める真の力を」
「青星の盟約(オース・オブ・ディーヴァ)」と「華水晶の宴(ベリルフラワー・パルティータ)」、二人のユーベルコードが響き渡る。セリオスのそれは彼自身に強い力を。マリアドールのそれは宝石の体の一角獣を召喚する。
「後ろは頼んだぞ……!」
「ええ、任せて頂戴」
 紫電を宿した剣を振るい、セリオスが向かって来る兵士達と切り結ぶ。彼の手が届かない場所から攻めてきた敵にはマリアドールが十体のユニコーンを向かわせて迎撃。
 さらに、マリアドールは戦闘に参加していない一角獣に子供達を乗せて、城門へと走らせた。
「絶対に、十人全員助けるのよ。いやよ。マリアはいやよ! 一人も欠けては駄目!」
 子供を乗せた最後のユニコーンがその場を離れたことを確認すると、二人もまた追っ手を降り切って城門へと向かった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『闘奴牢看守』

POW   :    ボディで悶絶させてからボッコボコにしてやるぜ!
【鉄製棍棒どてっ腹フルスイング 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【鉄製棍棒による滅多打ち】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    チェーンデスマッチたこのやろう!
【フックと爆弾付きの鎖 】が命中した対象を爆破し、更に互いを【鎖についてるフックを肉に食い込ませること】で繋ぐ。
WIZ   :    嗜虐衝動暴走
【えげつない嗜虐衝動 】に覚醒して【『暴走(バイオレンス)』の化身】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ヴァイオレント・スレイブ
「……それで、鼠に獲物をさらわれたと。使えない犬どもめ」
 怒気を孕んだ双眸で、ヴァンパイアは平伏した兵士達を見つめていた。
「三人だけとはな。楽しむための遊戯でこの結果は、面白くない」
 グラスを傾ける。深紅の液体が吸血鬼の喉に吸い込まれていった。
「残った獲物は三人……いや、二人か」
 鎖に繋がれた少年と少女は沈黙を保って、地面を見つめている。ヴァンパイアは苛だたしげに肘掛けをコツコツ、と叩いた。
「全く、人間というのは度し難い生物だ。ただの家畜として生きていれば良いものを、何を思ったかご主人様に逆らうような真似をする」
 オブリビオンは立ち上がり、傍に控えていた執事に言葉を投げた。
「闘奴牢看守を呼べ。こうなれば何がなんでも宴を始めねば気が済まん。足りない分の獲物は役立たずの猟犬で賄うとしよう」

 闘奴牢看守達は例外なく筋骨隆々とした大男達だった。彼らは地下牢の看守であり、時には拷問吏であり、また時には闘奴として主を楽しませる玩具であった。
 無骨な金属の棍棒と鉄鎖で武装して、殺戮を快楽とする彼らはオブリビオンに魂を売った眷属であり、人の皮を被った獣であると言える。
「ぐるるる……」
 もはや理性のない唸り声を上げることしかない彼らに、ヴァンパイアは一言命じた。
「苦しめて殺せ」
 ヴァンパイアの残酷な宴の幕が、今まさに切って落とされようとしている。だが、それこそが綺里枝の予知した最後のチャンスだった。
 オブリビオンとその配下を倒し、救出できなかった子供達を今度こそ助ける。それらを一度にこなせる唯一のチャンスだ。
 猟兵達は武器を携え、殺戮の宴が始まらんとする中庭へと突入した。
ガイ・レックウ
【POW】で判定
「そんな宴は…中止だぜ!!」

【見切り】と【武器受け】で的確に攻撃をかわしていくながらドラゴンランスで【串刺し】にしたり、炎刀『鬼刃丸』による【2回攻撃】で追撃して確実に数を減らしていく。
時折【フェイント】を交えつつ、ランスを振り回し【範囲攻撃】の技能で蹴散らす。
【鎧無視攻撃】の技能で防御を抜きつつ、敵を斬り捨てていくぜ!!
遠距離の相手には【クイックドロウ】による銃撃を叩き込む
相手を蹴散らしつつ、ユーベルコード【炎龍一閃】を起動させ、炎を、纏った武器で敵を斬り捨てていくぜ!
「てめぇらをぶっ飛ばして、残りを救うぜ!!」
全力全開でぶっ飛ばす!!



炎の疾風となって、ガイは敵の只中へと飛び込んだ。
「そんな宴は……中止だぜ!!」
 手にした刀創を振るい、巨漢達を容赦なく串刺しにし、二連撃で倒していく。
「うるぅぁああ!!」
 足を止めたガイに向かって、一人の闘奴牢看守が鉄の棍棒を振りかぶる。だが、叩きつけた先に赤い瞳の剣士の姿は、ない。
 動きを止めたように見せて、攻撃を誘ったのだ。空振りして無防備な巨漢をドラゴンランスがなぎ払い、何人かを巻き込んで吹き飛ばす。
 身を翻し、ガイは素早く抜いた銃を撃ち放って向かって来る敵を牽制。真っ直ぐに突進するや、鬼刃丸が深紅の炎をまとう。
 炎龍一閃。灼熱の刃が簡素な鎧ごと闘奴牢看守を両断した。燃え上がる亡骸に、さしもの狂戦士達もたじろぐ。
「てめぇらをぶっ飛ばして、残りを救うぜ!!」
 闘志を燃やし、ガイは剣尖を突きつけて宣言した。捕らえられた二人が顔を上げ、煌々と輝く炎を瞳に映す。
 出し惜しみなどしない。ガイは持てる力の全てを奮い、次々とヴァンパイアの下僕達を斬り倒していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ゾーク・ディナイアル
「いたいたぁ…ガチムチダルマが子供相手にエゲツない棒を振りかざしてぇ!」

☆戦術
SPD勝負
「勤勉だねぇ、それともこういう仕事で気持ち良くなっちゃうタイプ?」
先陣切って突撃、見切りで攻撃を躱しながら敵中深くまで入って、怪力をモリモリ発揮したら強化兵戦技《高速剣》で大暴れ!
ヒラリヒラリと躱しながら斬獲していくけど、もし鎖に捕まっちゃったら、ボクを捕まえたヤツは嬲り殺しだよ、キャハ♪
「ボクと遊びたいの?いーよ、じゃあオモチャにしてあげるね!」
怪力で鎖を引っ張り、引き寄せて妖剣を腹にズブリと刺してそのままぐちゃぐちゃになるまで傷口をえぐりながら死ぬまで怪力を込めた拳で殴打しちゃう。
「キャハハハハハ!」



「いたいたぁ……ガチムチダルマが子供相手にエゲツない棒を振りかざしてぇ!」
 冷たい殺意の嵐が吹き荒れる。ゾークの妖剣が縦横無尽に閃いて、闘奴牢看守達を斬り刻み肉塊へと変えていった。
「あんまり真面目にやってると……馬鹿見ちゃうよ!」
 ゾークを中心とした十四メートルの赤い円が庭園に描かれた。血の海に佇む銀髪の剣士に向けて、数人の巨漢が一斉に鎖を投げつける。
 炸裂。赤い飛沫が舞うも、全ての軌道を刹那に見切ったゾークはひらりと殺傷圏外へと逃れていた。
「勤勉だねぇ、それともこういう仕事で気持ち良くなっちゃうタイプ?」
 跳んだ先で刃を奮い、さらに巨漢を斬り伏せる。再び投擲される鎖の群れ。その中の一本が、ついにゾークを捕らえた。
 仕掛けられた爆薬が爆発し、鉄鈎がゾークの柔肌を裂いて食い込む。
「ボクと遊びたいの? いーよ、じゃあオモチャにしてあげるね!」
 痛みなど眼中にないかのように彼女は鎖を掴み、引いた。細い腕からは想像もできないような怪力で、巨漢はゾークの元へと引き寄せられていく。
 妖剣で一突き。傷口に拳を叩き込む。飛び散る鮮血に全身を赤く染め、ゾークは哄笑した。
「キャハハハハハ!」

成功 🔵​🔵​🔴​

緋縅・善蔵
看守や拷問吏がヒトの姿をしたオブリの手下というだけなら殺さない。オブリに魂を売った鬼畜なら死んでもらおうか。
この任務が速度が命なのは変わらない。真の姿を解放し、屠龍にて即闘奴共の首を刎ねて即殺。
ヴァンパイアの姿があれば、その勢いのままユーベルコード【マジ殴り】で首を跳ばす。
無論、回避にも気を配り、回避を目指す。敵の【チェーンデスマッチたこのやろう】に当たるかも知れないが、逆にタコ殴りするチャンス。
しかし【たこのやろう】って一体?
さて置き、目標は闘奴牢看守の殲滅。ヴァンパイアは難しいか?
失敗は許されない。ヴァンパイアには「狩られる側」だという恐怖をじっくり味わって貰わないと住民の復讐心が晴れぬ。



真の姿を解放した善蔵が大剣を横に薙いだ。「竜を屠るもの」と名づけられた刃が闘奴牢看守の肉と骨を断ち、頭と体に永遠の別れを告げさせた。
「ヒトの姿をした手下というだけなら殺さないが……オブリビオンに魂を売った鬼畜なら死んでもらおうか」
 歴戦の男は瞳に剣呑な輝きを宿し、吸血鬼の配下に向けて拳を振るう。超高速の一撃は兵器に等しい凶器。直撃を受けた闘奴牢看守の肋骨が砕ける音が響いた。
 善蔵の視線が巡り、庭園に設えた玉座に悠然と座するヴァンパイアの姿を捉えた。宴を妨害した猟兵達に苛立ってはいるものの、その余裕はまだ崩れてはいない。
(見てろ、お前は拳骨じゃ済まさねぇぞ)
 心中で宣戦布告し、善蔵は眼前の戦いに集中する。腹部を狙った攻撃を軽やかなフットワークで避け、銃弾を叩きこむ。鉄棍棒の振り下ろしは大剣で受け流し、返す刀で首を落とす。
(ヴァンパイアには自分が『狩られる側』だという恐怖をじっくり味わって貰う。でなければ住民の復讐心が晴れん)
 暗黒の世界の支配者への義憤を力に変えて、善蔵は戦場を駆け抜けていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セリオス・アリス
★アドリブ歓迎
【マリアドール・シュシュと一緒】

ヴァンパイアに魂を売って理性すら無くしたか
哀れだな
侮蔑の表情を浮かべ
今用があるのはお前らじゃねえ
早いとこけりをつけようか

ハープの音色に合わせて
【青星の盟約】を歌いあげ攻撃力重視で自身を強化
マリアが与えたダメージに追い討ちをかけるように
身を屈めて『ダッシュ』からの『ジャンプ』で勢いをつけ『先制攻撃』
『鎧砕き』の一撃を叩き込む
着地と同時に剣を振り上げ『2回攻撃』
腕狙いで『武器落とし』を企てる
自分に対する敵の攻撃は『見切り』『カウンター』
マリアが狙われてもかばいにいかない
用意された好機を逃すほど愚かじゃないんでな!
敵の背に炎の『属性攻撃』をぶちこんでやる


マリアドール・シュシュ
アドリブ多め歓迎
黒い鳥さん(セリオス・アリス)と協力

「人数が…逃げ遅れた子がまだ中にいるのかしら…どこにいるの?
そう、次はあなた達がわたし達の邪魔をするのね。同じひととは思えないですのよ。
吸血鬼の掌で踊らされている哀れな操り人形…血塗られた赤い華はわたしの音色で摘んであげるのだわ」

腰に華水晶の灯籠掲げ城門へ
敵見据えて目細め薄笑う
【高速詠唱】で【透白色の奏】使用

仲間と連携意識
攻撃が届く範囲で距離取る
後衛の支援寄り
竪琴を奏でて攻撃
セリオスが攻撃しやすい様に隙を作る
【おびき寄せ】で注意を惹きつける様に綺麗で蠱惑的な音で演奏
己の意図を汲んだセリオスに微笑む
敵の攻撃は回避
回避不可なら演奏で攻撃し相殺狙い



「そう、次はあなた達がわたし達の邪魔をするのね。同じひととは思えないですのよ」
「ヴァンパイアに魂を売って理性すら無くしたか。哀れだな」
 嗜虐衝動に目を血走らせた闘奴牢看守達を、セリオスとマリアドールは冷ややかな視線で見つめていた。
「今用があるのはお前らじゃねえ。早いとこけりをつけようか」
「吸血鬼の掌で踊らされている哀れな操り人形……血塗られた赤い華はわたしの音色で摘んであげるのだわ」
 侮蔑の色を隠そうともせず吐き捨てるセリオスに、黄金律の竪琴を携えたマリアドールが応じる。
「煌き放つ音ノ葉を戦場へと降り注ぎましょう──さぁ、マリアに見せて頂戴? 玲瓏たる世界を」
 淡い笑みを湛えた瞳を巨漢達に向け、マリアドールが弦を爪弾く。ユーベルコード「透白色の奏(リスタ・エメラルム・カノン)」の蠱惑的な旋律が、血に酔った闘奴牢看守の精神にナイフの如く突き刺さった。
「ぅぶるるるあぁぁっ!」
 奇声を上げ、『暴走』の化身と化した闘奴牢看守がマリアドールに向かって来る。血管の浮いた腕がクリスタリアンの繊細な体躯を鷲掴みにする寸前、純白の剣を掲げたセリオスが割って入る。
「星に願い、鳥は囀ずる。――さあ歌声に応えろ、力を貸せ!」
 根源の魔力を呼び起こす「青星の盟約(オース・オブ・ディーヴァ)」の旋律で自身を強化し、疾走と跳躍の勢いを乗せた断ち砕く一撃。間髪を入れずに二撃目。巨漢の手首を斬って棍棒を取り落とさせる。
 そんなセリオスの横をすり抜け、闘奴牢看守がマリアドールを狙う。よほど彼女の音が耳障りであるらしい。
 振り返ったセリオスの目に、マリアドールの微笑みが映る。わかってる、と口の中で答え、彼は巨漢の背に炎の属性を宿した刃を突き入れた。
「用意された好機を逃すほど愚かじゃないんでな!」
 剣を引き抜き、襲いかかってきた闘奴牢看守の棍棒をかわしてカウンター気味に一閃。マリアドールの旋律はまだ健在だ。ならば、彼女が与えてくれた隙を最大限に活用する。
 セリオスとマリアドールの連携は猛威を奮い、闘奴牢看守達を駆逐していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジロー・フォルスター
「ああ、子供たちのせめて百分の一は苦しんで貰わねえとなあ!」

ヴァンパイアに答えて一気に行くぜ

・行動
隙を見て人質に使われないよう子供達を助ける
ジャマダハルの鎧砕きで鎖を切るか、得意な奴に頼む
優しく安心させるよう背中に触れ『静寂の廃聖堂』の中に一時的に退避して貰うぜ

「よし、よく頑張ったな。いい子だ。少しこの中で待っててくれ」


看守は戦闘能力の代わりに失った物もあるようだな
元々理性なんて吹っ飛んでやがったが、拍車がかかってる

そういう動きは見切り易い
おびき寄せで突進を誘い
銀の鞭をロープワークで操り、看守と別の看守の足同士を繋ぐ

「くく…鎖遣いとしては負けてられねえな」

行動を阻害し仲間の攻撃チャンスを作るぜ



「あいつら、戦闘能力の代わりに失った物もあるようだな。元々理性なんて吹っ飛んでやがったが、拍車がかかってる」
 猛獣の如くに唸る闘奴牢看守達を前に、ジローはやれやれと首を振った。
 一見無防備なその姿を与しやすいと見たのか、巨漢達が突進してくる。
「そういう動きは見切り易い」
 白手袋をはめた手が翻る。銀鎖の鞭が踊り、闘奴牢看守二人の足を絡めて引き倒す。
「くく……鎖遣いとしては負けてられねえんだよ」
 短刀が弧を描く。的確に急所を斬り裂かれた二人は血飛沫を上げ、動かなくなった。
(今なら)
 ジローは駆け出した。乱戦をすり抜け、囚われた少年と少女の元に向かう。猟兵達に大部分の闘奴牢看守が倒されたため、その動きを妨害しようとする者はいない。
 鎖を砕き、彼は少年達の背中を優しく叩いた。
「よし、よく頑張ったな。いい子だ。少しこの中で待っててくれ。中は安全だぜ。誰もいないけどな」
 ジローの指輪が輝き、頷いた二人を吸い込む。同意した対象を隔離する、ユーベルコード「静寂の廃聖堂」の効果である。
「健気なことだな。とはいえなぜそこまでするのか、理解に苦しむ」
 言葉が投げられた。振り向けば、立ち上がったヴァンパイアが嘲るような顔を向けている。
「ガキが泣く世界は嫌いでね」
「……やはり、人間の考えることは理解できぬな」
 オブリビオンはひとつ息を吐いた。次の瞬間、瞳が暗い炎を宿して燃える。
「我が宴に無粋な横槍を入れたことを後悔させてやろう」

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『ヴァンパイア』

POW   :    クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●レイジ・オブ・ダークネス
 全ての配下を失ってなお、ヴァンパイアの表情は揺るがなかった。
「猟兵といったか。のぼせ上がった人間め」
 傍らに立てかけていた剣を取り、鞘を払う。豪奢な装飾が星のように煌めいた。
 予知によれば、この剣を魔力で複製して操り、襲いかからせる攻撃がこのオブリビオンの主力だという。また、血で書いた誓約書の内容を遵守させる呪詛も得意とするらしい。ダメージは大きくはないため無視して行動することもできるが、条件と状況が噛み合えば相当の被害をもたらすだろう。
「家畜は家畜らしく、飼い主の意志に従っていればいいのだ。どうせお前達は、我等の庇護の下でしか生きていけないのだから」
 だが、退くわけにはいかない。ここで倒さなければ、こいつは何度でも同じ宴を繰り返す。
 惨劇のループを食い止め、明日に向かって踏み出すためにはこのオブリビオンを討たなければならない。猟兵達は決意も新たにヴァンパイアと対峙した。
ガイ・レックウ
【SPD】で判定
『貴様はのぼせ上った人間といったな?人の可能性…底力をなめんじゃねぇぞ!!』
ユーベルコード【獄炎解放『爆心』】を起動し、大声で叫ぶぜ!1
【勇気】を奮い立たせ、【クイックドロウ】で弾丸を撃ち込みつつ接近。
【残像】の技能をつかいつつ、【フェイント】を交えて、ランスでの【串刺し】を狙いつつ、刀で【鎧無視攻撃】と【2回攻撃】を仕掛けていくぜ!!
相手の攻撃は【見切り】で見極めてかわしたり、【武器受け】でランスで受けたりするぜ
闇に支配されたこの地に希望をもたらすために、負けるわけにはいかないぜ!!


ゾーク・ディナイアル
「家畜は家畜らしくぅ…?
またボクの事をそうやって馬鹿にしてぇ…!
勝手に上に乗っかったのはお前だろぉ!?
お前が拐わなきゃ、支配しなきゃ幸せに暮らせたのにぃぃ!
ボクらを家畜に…出来損ないにしたのはお前らだろぉぉぉ!」

☆行動
SPD勝負
昔ボクを改造していいようにしたヤツらと被るこの吸血鬼をぐちゃぐちゃにしてやる
妖剣解放、怪力を盛り盛り発揮して二回攻撃で妖剣を振るいながら衝撃波を浴びせまくる
「ガディス!ボクの魂を吸ってぇ!」
脚は止めずに見切りと高速移動で縦横無尽に回避しながら衝撃波で斬り刻む
敵が怯んだら一気に接近して傷口に拷問具の梨を突っ込み、梨を開きながらグリグリと傷口を抉る
「お前に裁きをぉぉぉ!」


緋縅・善蔵
【POW】にて行動。
我が世界の物語にはヴァンパイアハンターという者がある。ヴァンパイアを食うために狩るという話は聞かないから、害獣の如き存在なのだろう。
「つまり、お前は獣畜にも劣るということだ。解るか?」
初手はアサルトウェポンで牽制を掛けた二回攻撃。
回避にも気を配り、味方の攻撃を見極めながらエレメンタルロッドの全力魔法で敵の体力を削る。
当面は上記の2戦法を繰り返す。
敵が接近戦を仕掛けて来たたら、屠龍で薙ぎ払い、鎧も骨も砕く。
戦場の亡霊を使うことになったら真の姿を解放。
屠龍で原型を留めぬほど斬り刻み、押し潰す。
「こうなったヴァンパイアを見ても、やはり食欲は湧かないな」


ジロー・フォルスター
「違うな。俺も半分吸血鬼だ」

俺もまた純血の心が知りたい
嫌でも自分の中に流れる血だ

「理解できないのも当然だ。矛盾を抱えてるのは俺の方だからな。人の中で吸血衝動を抑えて何とかやってる」

・戦闘
子供を匿った狼紋の指輪(所持アイテム)を守り抜く
誓約書と刀剣は見切り・武器受けで回避

影の蝙蝠が襲ってきた気配があれば地形を利用しておびき寄せる

「信じねえだろうが、その人間に救われることもあるんだぜ」

全力魔法・高速詠唱・零距離射撃・カウンターを使った『カタストロフ』で火災旋風を起こし、影の蝙蝠を焼き払う
五感を共有した敵にも触覚…つまり痛覚がある筈だ

暴走は『指輪を守る意志』で食い止める
この鎖と指輪が引き止めてくれる



「強く尊き我等こそ、世界の統治者に相応しい。脆く儚いお前達の蒙を啓いてやろう、人間」
「違うな。俺も半分吸血鬼だ」
 せせら笑うヴァンパイアを、ジローはサングラス越しに緋色の瞳で見返した。彼の肉体を流れる血の半分はヴァンパイアのもの。それはどれだけ嫌おうが変わらない現実だ。だからこそジローは目前の存在に言葉を投げる。ルーツたる存在の心を知り、自らの生の意味を見出だすために。
「理解できないのも当然だ。矛盾を抱えてるのは俺の方だからな。人の中で吸血衝動を抑えて何とかやってる」
「それはそれは、ご苦労なことだ。それで、食わねば生きていけないものを食って何が悪い? 自分の命よりも家畜共が大事だと言うのなら、お前はそのように生きれば良い。汚れた血の半端者らしくな」
 傲然とヴァンパイアは言い放つ。埋めようのない断絶がそこにはあった。
 その言動が、ゾークの闘志に火をつけた。
「家畜は家畜らしくぅ……? またボクの事をそうやって馬鹿にしてぇ……! 勝手に上に乗っかったのはお前だろぉ!? お前が拐わなきゃ、支配しなきゃ幸せに暮らせたのにぃぃ! ボクらを家畜に……出来損ないにしたのはお前らだろぉぉぉ!」
 自らの運命を歪められた怨嗟がわななく唇から吐き出され、それに導かれたかのように白刃が怨念を噴き上げる。
「ガディス! ボクの魂を吸ってぇ!」
 憎悪の嵐をまとい、ゾークが妖剣を奮った。二筋の衝撃波が飛ぶ。吸血鬼が作り出した複製の剣を数本まとめて叩き折り、右の翼を切断した。
「あああぁぁぁっ!!」
 放たれた矢のように向かっていくゾーク。迎撃のために放たれた剣を、善蔵の銃撃が粉砕。続けて牽制の銃弾を撃ちこむ。
「ヴァンパイアハンターの物語はいくつか知っているが、ヴァンパイアを食うために狩るという話は聞かないな。つまり、お前は獣畜にも劣るということだ。解るか?」
「虚しい夢物語だな。現実を理解していないのはお前のほうだ」
 突撃していく仲間達を横目に、善蔵はエレメンタルロッドから全力の魔法を放つ。吸血鬼が放とうとした血の誓約書を貫通、着弾。
「我が刀に封じられし、炎よ!! わが身を包み、すべてを焼き尽くせ!!」
 爆風を突き抜けて、呪詛の炎をまとったガイが肉薄。妖刀と竜槍を振るって念力で操られた剣と切り結び、フェイントと残像を駆使して刃の合間を潜り抜ける。
「貴様はのぼせ上った人間といったな? 人の可能性……底力をなめんじゃねぇぞ!!」
 槍の切っ先がヴァンパイアの肩を貫いた。煉獄の炎に焼かれ、吸血鬼の顔が歪む。
「可能性だと? 愚かなお前達の底力などが高が知れる!」
 吸血鬼が鋭く指笛を吹いた。彼の足元から無数の影の蝙蝠が現れ、猟兵達を黒煙のように取り囲む。
「……っ!?」
 蝙蝠の群れに紛れて飛来した剣が、善蔵の腹に深々と刺さっていた。屈強な傭兵は口から鮮血を溢れさせ、片膝をつく。素人目にもわかる重傷。だが、善蔵はニヤリと笑みを浮かべてみせた。
「ここからが……本番だ!」
 命の危機を引き金に、ユーベルコードが発動。召喚された戦場の亡霊が弾丸をばらまく中、真の姿となった善蔵が巨剣を掲げ、蝙蝠と剣をなぎ払う。
「暴れ狂え……!」
 タイミングを見計らっていたジローの魔術が発動。火と旋風が合わさった紅蓮の嵐が、影の蝙蝠を呑みこみ焼き尽くす。
「信じねえだろうが、その人間に救われることもあるんだぜ」
 気を抜けば暴走しそうな火災旋風を、子供達を匿った指輪を守り抜くという強い意志で制御する。かつて自分を救ってくれた英雄であれば、きっとそうするだろうから。
「……っがぁっ!」
 感覚を共有していた蝙蝠をまとめて焼かれたことで、ヴァンパイアに膨大な苦痛が逆流した。己の体が灰になる忌まわしい感触に念力が途切れ、制御を失った剣が一斉に落下する。
「お前に裁きをぉぉぉ!」
 目にも止まらぬ速度で接近したゾークが、吸血鬼の肩に刻まれた傷に拷問具を叩き込んだ。肉が裂け、骨が砕ける音が響く。
「闇に支配されたこの地に希望をもたらすために、負けるわけにはいかないぜ!!」
 ガイの放った衝撃波がオブリビオンを吹き飛ばした。さらに善蔵の追撃。鎧を砕き、人間であれば致命的になりうる傷を負わせる。
「調子に乗るなよ、家畜ごときが……!!」
 だが、ヴァンパイアはまだ死なない。自ら肩を抉って取り出した洋梨の形をした拷問具を投げ捨て、吸血鬼は再び剣を構えた。
「人の命が、未来が何だというのだ! そんなもの我等には屑程の価値もない!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ガイ・レックウ
【SPD】で判定するぜ
「希望と未来に価値がない?ふざけんじゃねぇぞ!!てめぇらの暴虐によって奪われてきた人々の無念も乗せて……てめぇをぶっ潰す!!」
【殺気】を乗せて叫ぶとともにユーベルコード【竜騎召喚術『ドラグライド』】を発動。双角の黒き砂漠を統べる竜を召喚し、騎乗するとランスを構えて突進!【鎧砕き】の技能と合わせて相手を【串刺し】にしてやるぜ!!
防御は【オーラ防御】で固め、【怪力】でたたきつけたりもするぜ
アサルトウェポンによる【2回攻撃】とランスによる【範囲攻撃】で相手の攻撃に対処しつつ、竜にのったまま弾幕を張るぜ
『てめぇらオブリビオンに未来と希望を奪わせはしない!!』


緋縅・善蔵
総じて(POW)で行動。
「所詮害獣。語る舌を持たぬ」
戦闘再開早々、マザーウィルの一斉射撃。敵の動きを良く見て各砲で攻撃を仕掛ける。
半死にとは言えヴァンパイア相手、一寸の隙も見せずに立ち回る。
味方が接近戦を仕掛ける場合はフレンドリーファイア防止の為に、自分も屠龍と格闘戦にて戦闘。
戦闘中は常に敵UCに注意して、素振りを見せたら退くなり防御行動。
敵が隙を見せたらUC「マジ殴り」で殴り倒す。
マザーウィルの攻撃で吹き飛ばしたら追撃の制圧射撃も忘れない。


ジロー・フォルスター
「くく、汚れた血か…面白い。邪悪だの、穢れただの…お前も人間も同じ事を言うぜ。言葉を交わしてくれる分、優しい対応だな」

俺に言わせりゃ人間も吸血鬼も似た者同士
残酷で、弱く、時に傲慢で、生きる為に何かを踏みつける事もある
それが個か集なのかの違いだ

今は無理だがいつかは。
この願いは仲間から怒られっかな
その気持ちを込め引導を渡す

『血統覚醒』で力を開放
誓約書を投じる瞬間を見切り銀の鞭で絡め、ロープワークで引き寄せる
聖者の光の力を込めたジャマダハルで心臓を狙う(鎧砕き・傷口を抉る・属性攻撃・串刺し・カウンター・医術)

全て終われば子供のこれからを考えたい
変わり者の吸血鬼もいたと記憶の片隅に残してくれれば嬉しい



「くく、汚れた血か…面白い。邪悪だの、穢れただの……お前も人間も同じ事を言うぜ。言葉を交わしてくれる分、優しい対応だな」
 唇を歪め、ジローが皮肉めかしたた口調で言った。人間でもなく、ヴァンパイアでもない彼に言わせれば、どちらも似た者同士だ。
「残酷で、弱く、時に傲慢で、生きる為に何かを踏みつける事もある。……それが個か集なのかの違いだ」
 呟いて、ダンピールの聖者はサングラスを外した。吸血鬼を射抜く視線の色は、先程までよりも赤い真紅。己の寿命と引き換えに忌むべき敵と同じ力を得て、オブリビオンに引導を渡すべくジローが戦場を駆けていく。

 とどめの一撃を放とうとする猟兵がもうひとり。殺気を炎の如く滾らせ、彼はヴァンパイアの傲慢に怒りの叫びをぶつける。
「希望と未来に価値がない? ふざけんじゃねぇぞ!!」
 ガイの槍が閃き、空中に複雑な紋を描いた。それは時空を越える門となり、彼方から一頭のドラゴンを呼び寄せる。
「我に従え! 砂漠の王者よ!! 我とともに大地を疾走せよ!!」
 耳をつんざく咆哮と共に、捻れた双角が夜空に掲げられた。体長は四メートルに届かない程だが、長く伸びた角のためそれよりも大きく見える。
「てめぇらの暴虐によって奪われてきた人々の無念も乗せて……てめぇをぶっ潰す!!」」
 砂漠を統べる暴君に飛び乗り、ガイはドラゴンランスを構えた。

 仲間達のユーベルコードが発動したのを確認して、善蔵はアームドフォート「マザーウィル」を砲撃態勢に移行させた。
「所詮害獣。語る舌を持たぬ」
 アタッチメントに接続された火砲が火を噴いた。宇宙空間での運用を想定した装備のためその火力の全てを発揮することは適わないが、出鼻を挫くには十分。
「拳骨じゃ済まさねぇ、って言ったよな!」
 続けて、手にした小銃の引き金を引く。だが、半死半生とは言え敵はヴァンパイア。傷の状態からは想像もできない素早さで銃弾を避けていく。
 だが、そうやって回避させることが猟兵達の目的だった。ヴァンパイアが移動し、遮る物が無くなった瞬間。灰色髪の剣士を背に乗せたドラゴンが突進する!
「おらあああぁぁぁっ!!」
 ガイのランスと竜の双角、三本の槍が吸血鬼を貫き、石造りの壁に叩きつけた。さしものヴァンパイアも黒角竜の体重を押し返すことはできない。
「誓約せよ!」
 いつの間に用意していたのか、血の誓約書をヴァンパイアが手にしていた。紙面に書かれたルールは「前以外を向いてはならない」。簡単だが戦場で遵守し続けるのは難しい制約だ。
 ヴァンパイアがその誓約書を眼前の敵に投げ放つ。ドラゴンの背にまたがったガイに向かってまっすぐ飛んでいく誓約書。その軌道上に、ジローの振るった銀の鞭が割り込んだ。巧みな操作で誓約書を絡め取り引き寄せる。
 反撃が失敗したと悟ったオブリビオンが次の行動を起こす前に、ガイのドラゴンランスが、善蔵の拳が、ジローのジャマダハルがヴァンパイアの体に吸い込まれていく。
「……馬……鹿……な……」
 心臓を破壊されたヴァンパイアが灰となり、骸の海へと消えていく。その様を見届けて、猟兵達は武器を収めたのだった。


●たとえ朝が来なくとも
「ありがとう」
「ありがとう!」
「ありがとう!!」
 見事にオブリビオンを倒した猟兵達に、救出された子供達の感謝の言葉が降り注ぐ。生きてヴァンパイアの魔の手から逃れられたとは言え、彼らがこの先歩いていく道は平坦なものではないだろう。ジローは子供達の今後に想いを巡らせるが、神ならぬ身には全員を救うことはできない。生き延びた子供が十人ではないように。
 だが、それでも。
 もしもこの先、今回と同じか、あるいはもっと辛いことがあった時に。
 記憶の片隅に刻まれた、変わり者の吸血鬼や暗黒に立ち向かう勇者達の姿が助けにならんことを。
 昼か夜かも定かではない黒い空を仰いで、彼はそう祈らずにはいられなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月13日


挿絵イラスト