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不思議の『社畜』のアリス?

#アリスラビリンス



 そこかしこでひっきりなしに鳴り止まぬ電話、アスファルトを煩く駆ける自動車の数々、速足で行き交う人の波。そんな不思議の国……とは言い難い、かなり現実的で現代的な高層ビルの室内にて。
「ひぃっ、す、すみません……!」
 草臥れたスーツに身を包むひとりの『アリス』は、震えながら床に額を接吻させていた。何を壊したわけでも汚したわけでもないのに、彼女はぶるぶると震えて謝罪を繰り返す。その目の前には、偉そうに足を組んでアリスを見下す中年女性が座っていた。
「君ねぇ、何回も何回も言ってるわよねぇ?まず、挨拶の声が小さい!お客様と話すときに笑顔が引き攣ってる!しかもその服は何だね、身だしなみもロクに整えられないの?」
 くどくどとアリスに説教を垂れているが、しかしその話には一切の生産性がない。アリスはただただこの女性を恐れて土下座をやめないし、この女性はただただアリスを叱りたいがために叱っているのだ。
「うぅ……もうこんな会社、こりごりよ……」
 ぼそりと呟くアリスのその声を聞き逃さず、偉そうな女は次の叱るタネを見つけて口元を緩ませる。
「何か言った?平社員風情が」



「……とまぁ、そんな感じなワケで」
 アリスラビリンスの中に捕らわれたひとりの若いアリスについて、ネルウェザ・イェルドットはにまにまと笑いながら猟兵達に語っていた。
「不思議の国って言えばメルヘンでファンタジックな世界でしょ。なのにあそこは馬鹿みたいに現実的で息苦しすぎて、あのアリスが探すべき自分の扉……その存在すら忘れそうになってるっぽくて」
 ネルウェザははぁーとため息をつきながらも笑みを絶やさない。童話のような可愛らしい風景に包まれるはずの不思議の国で、あたかも現代日本、もっと言えばブラック企業のような世界に捕らわれたアリスの存在。彼女はどうやらその物珍しさに、不謹慎にも心躍っているらしい。
「で、そのアリスを虐めてるのがオウガなんだよねぇ。単なるパワハラならわざわざ猟兵の出向く案件じゃないのかもしれないけど、人喰いのバケモノじゃぁ話は別。いや、オウガがパワハラ上司やってるってのも十分面白いんだけどさ」
 ひひ、と一際大きく笑みをこぼしたかと思えば、ネルウェザはぱんと手を叩いて顔を引き締める。流石に命掛かってるのに笑ってるんじゃ酷いよねぇ、などと今更な事を抜かして。そして、彼女はどこからかホワイトボードを引っ張り出した。
 きゅきゅきゅと甲高い音を立てながら描かれるそれは、人のような形になる。すると突然ネルウェザは人の形を突き破るように化け物を描き、バンとボードを叩いた。
「単純に最初から力を振りかざしたんじゃオウガも逃げてしまうからねぇ。ユーベルコードなんかを見たら怖気づいて身を隠してしまうかもしれない。だからまずは可哀想な社畜アリスちゃんを助けてあげてほしいんだ」
 虐められているアリスを庇う人やオウガの化ける上司に反論するような者がいれば、動揺を誘いオウガの化けの皮を剥がせるかもしれない、とネルウェザは続ける。どうやらアリスラビリンスに捕らわれているそのアリスの味方はほぼいないらしく、それ故にアリスは疲弊し心を病みかけているのだそうだ。
 それ故に、アリスの味方というイレギュラーを演じることが考えられる最善手のはず。ネルウェザはそこまで語って、ふわりと自身のグリモアを手に浮かべた。
「猟兵としての強さと同じくらい、演技も必要なこの作戦。まぁきっと大丈夫!無理な作戦なら私も頼みに来てないからねぇ。君たちを信じてのこのお願いだよ」
 再びにまっと笑みを浮かべ、彼女はグリモアを操り始める。
「手こずって終電が無くなるまで残業しないようにねぇ!」
 現代社会人であれば聞きたくないような、そんな言葉を残して。


みかろっと
 みなさま初めまして、みかろっとと申します。
 ブラック企業に立ち向かう猟兵!なんてのも一興……?現代社会の闇のようなアリスラビリンスが舞台となる任務です。
 不思議の国で社畜と化してしまったアリスの女性を助けてあげるのが今回の目標となります。その後集団戦、最後にボスをどうにかできれば達成です。
 皆様のプレイング、どしどしお待ちしております。よろしくお願いいたします!
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第1章 冒険 『嫌な現実の国』

POW   :    嫌な奴の嫌がらせに対して、「アリス」を正面から庇う

SPD   :    素早く細工や手回しを行い、嫌な奴の嫌がらせをわかりやすく妨害する

WIZ   :    親身になって「アリス」の話を聞き、慰めてあげる

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グロリア・グルッグ
WIZ行動
アリスさんの味方となり、話を聞いてあげましょう。
私も新兵時代、教官にクッソボロカス言われましたからね…今となってはいい思い出…思い…おも…思い出すと引き金が軽くなるので忘れました。

ともあれ蹲るアリスさんに寄り添って背中をさすりますよ。
単純なことですけど、経験上これが一番効くんですよねぇ。
オウガの言葉は聞き流し、アリスさんを慰めましょう。
「あなたはダメな人じゃありませんよ。よしんばダメな人でも、それでいいんです。部下を上手く使えない上司が悪いだけなんですから」
アリスさんを全面的に肯定しつつオウガをディスる路線で行きましょう。
心が疲れている時はひたすら甘やかすのが吉ですからね。



 窓から橙の光が差し始める頃。人々が仕事を終え、我が家を目指してその足を動かしたりする中、アリスは静まり返ったオフィスの中で仕事を続けていた。
「うぅ。こんな仕事も終わらないなんてやっぱり私は……」
 ふと、ぽんぽんと疲れた肩を叩く優しい手。
「あなたはダメな人じゃありませんよ」
 アリスがはっとして振り返ると、声の主グロリア・グルッグは微笑んで隣の椅子に座り、小さな菓子を手渡した。アリスは戸惑いながらも、小さく礼を言って桃色の髪の女性を涙目で見つめる。疲れすぎて女神の幻覚でも見ているのだろうか、などと目をこすりながら。
「よしんばダメな人でも、それでいいんです。部下を上手く使えない上司が悪いだけなんですから」
 慰めながらグロリアは後方をちらりと見やる。離れたデスクで携帯をこれ見よがしに弄っていた中年の女性は、グロリアを睨みつけて低く声を発した。
「使えない部下の言い訳よね。こっちはそのバックアップで大変だってのに、ね?」
 上司の苛立ちを感じる声にアリスがびくりと体を震わせるが、グロリアはアリスの背を撫でながら彼女を慰めるように、なおかつ上司に聞こえる声量で言葉を紡いだ。
「あなたの頑張りはこんな膨大なデータ量を見ればすぐに分かりますよ。それにしても、最近は携帯で何でも出来てしまうんですね?あなたがこんなに頑張ってまとめている会計データを、あんな小さな画面で楽しい音楽と共に処理できるんですか?」
 グロリアは上司の方をまたちらりと見た。その手に握られている携帯からはポップで可愛い音楽とカラフルな光が放たれ、どう見ても仕事をしている画面ではないことが明らかである。言い返せなくなったのか、上司は舌打ちをして携帯を仕舞った。
「私もこういう時期がありましたから……あぁ、いえ、今のは忘れてください。とりあえず少しお話ししながら今日の分を頑張りましょう。差し入れにお菓子も持って来ましたから」
 甘いお菓子が詰まった小さな箱を机の端に置くと、グロリアは優しくそっとアリスの手を握る。アリスはついに糸が切れたようにぽろぽろと涙を流し始め、日々の辛い事を吐き出し始めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

伊坂・和良
アドリブ、連携OK。SPD行動です。
「ブラック企業、パワハラ。思い出したくない言葉でござる......」
元窓際リーマン伊坂和良の心を抉るような世界だが猟兵だから行くしかない。
仕事の手伝いをしたいがダメダメリーマンだったかっら逆に迷惑になる。
ならパワハラをする上司達に「大変忙しそうでござるな。お茶をお持ちしたでござる」と言って近づき転んだふりしてお茶を掛けて怒らせてわしに怒りを集中させる、そうすればアリスさんへ嫌がらせする事を忘れるでござるな(わざと怒らせるのじゃがわしにパワハラが集中するから胃に穴が開きそうでござる......)



 不思議の国にしては現実的なそのオフィスと、アリスが受けるパワハラを見て伊坂は何とも言えない表情になる。サラリーマンをしていた経験のある彼からすれば、この光景はかなり心を抉るものであった。
 アリスを手助けしたいが、何かミスをして彼女にさらに負担を掛けるわけにはいかない、と伊坂は上司の方へと目を付ける。仕事が出来なくたって、やれることはある筈だ。
「全く。どうしてこんな単純な間違いばかりするの?本当にダメな部下を持つと疲れるわねぇ!」
 書類をばしばし机に叩きつけながらアリスを責める上司。嘲るようににやにやと笑う表情とは反して威圧的な低い声で長ったらしい説教を垂れるそれを見て、伊坂ははっと思いついたように給湯室へ向かった。
 あからさまにため息をつく上司にアリスは何度も謝罪する。許されることはない、というより、許す許さないの問題ではないこの無意味な叱責。周りの社員たちも助けに入ることは無く、見ないふりをして黙々と自分の仕事をこなす。アリスが長時間の苦痛を覚悟したとき、不意に上司の後ろからちゃぷちゃぷと水音がした。
「大変忙しそうでござるな。お茶をお持ちしたでござる」
 上司が振り向くと、そこには伊坂がこなれた営業スマイルで茶の乗った盆を構えていた。あら気が利くじゃない、などと上司がそれに手を伸ばすと、伊坂は突然よろりとふらつく。
「おっと失礼」
 そして熱々の茶が上司に降り注ぐ。それは上司の全身を濡らしながらもアリスには全く水滴のかからない絶妙な角度であった。
「な、ななな、何するのよっ!?」
 突然の出来事に戸惑いながらも、上司は伊坂の胸に目を移す。そこには潜入用にあらかじめ用意された偽の社員証がぶら下がっていた。見慣れない顔だが社員となれば話が早い、と彼女の矛先はすんなり伊坂へと向く。
「あなた、お茶汲みもまともにできないの!?そもそも私はお茶なんて頼んでないし、このスーツもどうしてくれるのよ!それに……」
 マシンガンのように放たれる言葉に、伊坂は慣れた顔でぺこぺこ頭を下げる。
 一方アリスは床にこぼれた茶を拭きとりながら、自分が苦痛から解放されたことにほっと安堵した。が、次は彼が標的になってしまった……とおそるおそる心配そうに、そして申し訳なさそうに伊坂のほうを見る。
 しかし伊坂はアリスにしか見えない角度で、ぐっと親指を立てていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

有栖河・鏡
うーわ…異世界に飛ばされてまでまだ社畜やってるアリスなんかいんのかよ。
飛ばされる前ですら法律も守らなかった俺には信じられねぇな…。

●俺の服装
タートルネックセーターに赤チェックのミニスカ、下着はボクサーブリーフ。

●行動
「よう可愛いアリスちゃん、くだらねー仕事なんか止めて俺と向こうで遊ばない?」
《見切り》で上司の隙を突きアリスに声をかける、もちろん返事は聞かずにどっかの部屋に拉致って鍵をかちゃり、だ。
「怯えなくてイイぜ、確かに今すぐアンタを可愛がってやりたいがそいつは色々不味いからな」
緊張をほぐしてやったらたわい無い雑談で時間を過ごさせ、サボりの味を楽しませてやるぜ。

●アドリブ歓迎



 アリスは相も変わらず、一人で抱えるには多すぎる仕事に追われていた。キーボードを叩き、書類に判を押し、電話を取り、客に茶を出し……そして、ただでさえ少ない時間を上司の説教に奪われる。やっと自分の分の仕事が終わったと体を伸ばすと、後ろからいつもの低い声が響く。
「あなたが無能だから休む暇もないんじゃない?ついでに私の分もやらせてあげるから経験を積みなさい」
 どさっとアリスの机に書類が足され、彼女の顔は絶望に染まる。上司はご満悦といった様子で笑い、自分の机に戻ろうとした――その時。
「よう可愛いアリスちゃん、くだらねー仕事なんか止めて俺と向こうで遊ばない?」
 ふわっと漆黒の髪を揺らすひとりの猟兵、有栖河がアリスの前に現れる。赤い瞳とよく似た色のミニスカートから女性かと見紛うが、よくよく見ればどうやら男性のようだ。その誘いにアリスよりも早く反応した上司はキッと表情を変えて踵を返す。
「何言ってるの、この子はまだ仕事が……!」
 上司が振り向くも、既にそこには誰もいない。有栖河は飄々とアリスの手を引き、いつの間にかオフィスの隅にある客室へと移動していた。
「ま、待ちなさい!」
 呼び止める声に耳も貸さず、有栖河とアリスは部屋の中に消える。ついでにかちゃりと鍵の閉まる音が響き、上司はぽかんと呆れたような、それでいて苛立ちの抑えられない表情をしていた。
「あ、あの……」
 突然客室に連れ去られたアリスは戸惑いながらも有栖河を見つめる。
「怯えなくてイイぜ、確かに今すぐアンタを可愛がってやりたいがそいつは色々不味いからな」
 そう、にやりと笑う有栖河。そんな冗談めいた発言と、仕事から切り離された密室という状況のおかげか、アリスは力が抜けたようにぺたんと床に座り込んだ。
「さ、疲れてんだろ。たまにはサボりを満喫させてやるぜ」
 アリスと同じく床に腰を下ろし、有栖河は客室の窓に目を移した。よく晴れてるじゃん、とぽつり呟くと、アリスも窓を見て顔を綻ばせる。
 静かにゆっくりと、他愛ない話をして時間が過ぎるのなんていつぶりだろうか――アリスがそんなことを考えながら話していれば、いつの間にか終業の鐘が鳴っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルルティア・サーゲイト
「はい先輩」
 びしっとリクルートスーツを着こなし新人社員と言う感じで行くぞ。
「このきいぼうどとやらはどう使えばよいのじゃ?」
 まー、実際には普通にネットもパソコンも使えるのでこの機械音痴ぶりは完全な演技な訳じゃが。
「へー、そうなんじゃなー。すごいすごい」
 と、全く興味が無さそうに話を聞き流し、
「あ、時間じゃな。それじゃあおつかれさまー」
 お前明日から二度と来るなと言う態度じゃが別段ここに勤めているでもなし。ともかく怒りの矛先は完全にこっちを向くじゃろう。
「あれ、暴力しちゃう?」
 最終的に物理的暴力に出るなら狙い通り。
「先に手を出したのはそっちじゃよなぁ?」
 軽く捻ってやろう、文字通りな。



 アリスが社員として日々働くオフィスにひとりの新入社員が加わった。リクルートスーツに身を包み若々しくも荘厳な雰囲気を持つ彼女は、何を隠そうひとりの猟兵、ルルティア・サーゲイトである。
「あなたが今日から入る子?よろしくね」
「はい先輩。よろしくじゃ」
 爽やかな笑顔で一礼するルルティアに、上司はフンと鼻を鳴らしてちらりとアリスの方を見た。
「まぁ、あの子よりはまともに働いてくれるわよね。あの子よりは」
 嫌味ったらしく、アリスに聞こえる声量でそう告げる。ルルティアはそれを見て、救うべき人間と妨害するべき存在をしっかりと認識した。
「デスクはあの子の隣よ。やることはここにまとめてあるから読んで頂戴」
 ルルティアは上司からメモ紙を受け取り、指さされたデスクへと足を運ぶ。道すがら、忙しそうなアリスにお主もよろしくじゃ、と軽く会釈をして。
 デスクに着くと早速ルルティアはパソコンからキーボードを取り外し、おもむろに掲げたり振り回したりし始めた。突然の行動に上司も血相を変えてルルティアの元に早足で駆け寄る。
「な、何をしてるの!?」
「このきいぼうどとやらはどう使えばよいのじゃ?」
 その言葉に上司は目を丸くし言葉を失う。勿論ルルティアにもパソコンの起動や操作などの心得はあるが、彼女は機械なんてこれっぽちも分からないといった顔で、上司を自分のデスクに縛り付けるように一から説明させた。
「このソフトはここで使うの。それで計算を――」
 面倒だけどこれでアリスに待遇の違いを見せつけ、尚且つ有能な上司をアピールできる、と言い聞かせるように心の中で繰り返しながら上司は手と口を動かす。しかしルルティアはそれに尊敬の眼差しどころか全く興味がなさそうに適当な相槌を繰り返した。
「へー、そうなんじゃなー。すごいすごい」
 隣に座るアリスはいつもの説教がないおかげか仕事が進んでるし、新しい子はわざわざ一からパソコンの使い方を教えてやっているのにこの態度。そんな事を思いながら上司がふつふつと苛立ちを抑える中、ふと終業の鐘が鳴った。
「あ、時間じゃな。それじゃあおつかれさまー」
 ルルティアは上司が説明を続けているにもかかわらず、自分の鞄に手を伸ばして立ち上がった。勿論上司は再び驚愕した顔でルルティアを怒鳴る。
「あなたいい加減にしなさいよ!パソコンも使えない上に先輩も敬わないなんて!」
 そしてついに堪忍袋の緒が切れたのか、上司は同じく立ち上がってルルティアの右頬を音高く殴った。
「あれ、暴力しちゃう?」
 赤みを帯びた頬に手を添えながら、ルルティアはにやりと口元を緩める。
「先に手を出したのはそっちじゃよなぁ?」
 隣のデスクでアリスが泡を吹きそうになりながら見つめる中、ルルティアは上司の右頬へと勢いよく拳を放った。

成功 🔵​🔵​🔴​

久遠・翔
アドリブ・絡み歓迎

…冒険者の中堅者とかにいる威張る系の人と同じっすね
それじゃ、その対応しますか…残業なんて嫌ですし
びしっとスーツを着て社員証を首から下げて戦闘(仕事)開始っす

手早く自分の仕事を終わらせた後、アリスの仕事を一部受け持ち片づけたのを見つかり上司に怒られますが無視して作業続行(時間がかかるのはUCを応用し完了済みに概念を変更し、終わらせる)
散々言われた後「で?」と冷たく言い放ち

貴女は今3分6秒説教紛いの事言ってましたがその間に俺はこの仕事を1/3ぶん片づけました
口を動かす前に手ぇ動かせっす

暴力振るわれたらそのまま受け、隠れてた使役獣にその瞬間を録画してもらいます
さて、言い逃れします?



 スーツに身を包み社員証を下げた猟兵、久遠・翔はアリスと同じ会社員として潜入していた。彼女は自分の分の仕事を終わらせ、早速アリスの元へと向かう。
「大変っすよね、アリスさん。俺も何か手伝うんで分けてください」
 アリスのデスクには資料や未処理の伝票が積み上がり、どう見ても今日一日で終わりそうな量ではない。幸い上司は離れた自分のデスクで携帯を弄っており、こちらを見てはいないようだった。申し訳なさそうにぺこぺこと頭を下げ感謝を述べるアリスをよそに、久遠は書類の山を七割ほど持ち上げて自分のデスクへと運ぶ。
「それじゃ、取り掛かりますか」
 久遠は紙束を少しずつ捲り、処理しやすそうなものから次々にパソコンへと打ち込んでいく。すると、デスクにいたはずの上司がカツカツとハイヒールを鳴らして久遠の方に迫っていた。
「あなた……何あの子の仕事なんか手伝ってるの?やることがないなら私の仕事を手伝いなさいよ。それともあの子を庇う気?」
 しかし久遠はそれに耳も貸さず打ち込みを続ける。地味で長い作業が要りそうな実績入力などは『万能の指』で誤魔化しながら、上司の話を素知らぬ顔で聞き流しアリスの仕事を消化し続けた。
 少しして、書類の山をひとつ消した久遠はくるりと振り向く。
「……で?」
 突然言い放たれたその一文字に上司の説教が一瞬止まる。すると久遠はすかさず立ち上がり上司に向き直り、パソコンの端に設けられている時計を指さした。
「貴女は今3分6秒説教紛いの事言ってましたが、その間に俺はこの仕事を1/3ぶん片づけました。口を動かす前に手ぇ動かせっす」
 ずばりとはっきり久遠が口にすれば、上司はぱくぱくと言葉に詰まったように口を開閉してから小じわの刻まれた顔を更に歪めた。
「……な、何よ、あなた、ただの平社員でしょ!?先輩の私に向かって――」
「俺がこれだけ会社に貢献したこの3分で何も生み出せてないあなたが俺より上?笑わせるっすね」
 煽るように久遠が鼻で笑うと、上司は何か言い返す前にその手を動かし久遠の襟元を掴んだ。ギリギリと歯ぎしりをしながらそのまま久遠を持ち上げ、睨みつける。
「ははっ、口より手ぇ動かした結果がこれっすか?」
 怖気づくことなく嘲笑する久遠。上司が舌打ちをして床に投げつけるように彼女を放すと、上司のすぐ後ろの戸棚からカタカタ、と音がした。驚いて上司が振り向くと、そこにはカメラを構えた久遠の使役獣が姿を現す。
「今のはバッチリ録画させてもらったっすよ。さて、言い逃れします?」
 上司はついに手も口も動かすことなく、がくりと床に崩れ落ちた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『うさうさトランプ兵』

POW   :    落雷II
無敵の【空飛ぶイボイノシシ型の対地攻撃機】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    そう、我々はやればできる!
自身の【ゴーグル】が輝く間、【軽量自動小銃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    バーガータイム
【ハンバーガーとフライドチキン】を給仕している間、戦場にいるハンバーガーとフライドチキンを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
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 猟兵達が潜入してからは、彼等がアリスを慰め、上司に反撃する日々が続いた。少しずつアリスは希望を見出し、自分のやるべきこと――つまり、自分の扉の存在を思い出し始める。
 一方アリスを疲弊させ、絶望に陥れて喰らうはずだった上司はそれを邪魔する猟兵達を恨み、一刻も早く排除せねばと焦りだす。彼女を援護するため現れたのは、うさ耳を付けた兵隊のような敵の群れだった。
「そう、我々はやればできる!」
 オウガを鼓舞するようにそう叫びながらオフィスを襲う『うさうさトランプ兵』は、アリスを再び絶望させるために猟兵を駆逐しようと動き始めた。
グロリア・グルッグ
おおっと、ついに尻尾を出しましたね!
ですが勝負は焦ったほうが負けるもの。
つまり、耐え抜いた我々とアリスさんの勝利は近い…!

うさ耳とかちょっと可愛い兵隊さんに、本物の騎兵の速さってやつを教えてあげましょう。
敵のゴーグルが輝くのと同時に、こちらも電脳ゴーグルを使い電脳空間を展開します。
私の得意フィールドは足場も何も無い宇宙空間ですけど、平衡感覚をなくして銃口を間違えないようにしてくださいね?

ユーベルコードを発動し、敵へと突撃します。
高速詠唱で雷の属性攻撃の威力を高めつつ、それを全身にまとうことで破壊力をさらにアップ。
高速で突っ込む雷の人間砲弾と化して敵を蹂躙しますよ。



 疲弊するアリスの味方となり、心を癒していたグロリア・グルッグ。彼女が再びアリスに声を掛けようとした瞬間、突如それは現れた。
 アリスとグロリアの間に割って入るように強引に、特殊部隊のような恰好にうさ耳を付けた兵が五人立ち塞がる。
「この人間は我らがボスの獲物!貴様のような障害は即刻排除する!……そう、我々はやればできる!ボスのお役に立つのだ!」
 そう宣戦布告するうさ耳の兵隊のゴーグルが光り出し、彼等の懐からは物騒な小銃が顔を出した。グロリアは兵隊の後ろで怯えるアリスを安心させるように頷き、自らもその本領を発揮する。
「ついに尻尾を出しましたわね!」
 兵が小銃を構えるよりも早くグロリアは電脳ゴーグルに手を伸ばした。
 一瞬で展開された電脳空間はグロリアとうさ耳兵を呑み込みその姿を変える。宇宙空間のようなその場所で、兵たちは戸惑いながらも小銃をグロリアに向けようとするが、重力の概念を失って浮遊する仲間への誤射を気にしてか躊躇いを見せた。
「ボスに仕える者が犠牲も惜しまないなんて笑わせますね。本物の騎兵の速さってやつを教えてあげましょうか!」
 そして、猟兵の力――ユーベルコード『電子踏破』は発動する。
「電子の海さえも超えてみせる」
 その身は激しく光を放つ雷を纏う。彼女の方向を向くのも困難な兵たちはそれを確認する間もなく、その光に焦ってそれぞれ小銃の引き金を引いた。
「う、撃て!撃てーッ!!!」
 無闇な発砲音、飛び交う銃弾。しかしそれらもグロリアには止まって見えるようだった。縫うように空間を駆け抜ける閃光と化した彼女は、次々に兵たちにタックルを叩き込み、それが衝撃を生むたびに速さを増していく。
 案の定仲間内で撃ち込まれる銃弾の数々に猟兵の連撃を受けたうさ耳兵達。そして、最高速度に達したグロリアは彼等へと重い一撃を放った。

 ふっと電脳空間は解け、猟兵の目にはオフィスの風景が映る。蓄積したダメージと突然の重力に床へ倒れ込むうさ耳の兵をひょいと飛び越えて、グロリアはアリスに小さなお菓子を差し出した。
「さ、こんな物騒な人たちは置いといてお仕事です。今日もお話聞きますよ」
 突然現れた兵が一瞬にして倒れた光景に戸惑うアリスだったが、いつものように優しい笑顔を浮かべるグロリアに安堵してそれを受け取る。出会った頃の辛そうな顔は緩み、朗らかに微笑む彼女は、グロリアに近くの美味しいスイーツ店の話をしながら仕事を進め始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

有栖河・鏡
ハッ、ようやくお出ましかアリスラビリンスの雑魚どもが!
テメェらは俺に殺られる為にいるんだよ、本来ならバラして掘ってヤりてぇが時間もねぇ…一気にイくぜぇ!

●全力戦闘
「アリスちゃんは下がってな、こっからはマジだ」
うさ耳どもの攻撃を《見切り》で躱し《咄嗟の一撃》で斬り払い無効化してからUC【颯】を繰り出す。
「一撃で死ねたらラッキーだぜ、キャハ!」
一刀両断や《部位破壊》で手脚を落とすなど、ランダムに弄ぶように次々と兵士達を斬獲して殲滅してやるぜ。
「キャハハハハハ!やべぇ、興奮し過ぎて●ってきちまったぜ!」

●アドリブ歓迎NG無し



 アリスが仕事に戻り、ようやく一日が終わりかけていた頃。残業を強いる為上司が彼女の元へ寄ろうとしたが、それは再び有栖河によって阻止されようとしていた。
「アリスちゃんを独り占めしようったって無駄だぜ。この後俺と遊ぶ約束があるんだ。なぁ?」
 アリスはえっ、と声を裏返しながらも、話を合わせて小さく頷く。上司が苛立ちを露わに歯ぎしりをした瞬間、オフィスの入口の扉が突き破られた。
「今度こそボスの為!全力を尽くしてー!」
 騒がしく入ってきたのは武装し、頭にうさ耳を付けた兵隊。明らかに敵意を向けるその群れを見て、有栖河は目を爛々と輝かせ自ら群れへと向かっていく。
「ハッ、ようやくお出ましかアリスラビリンスの雑魚どもが!」
 期待と興奮に踊るように有栖河が前へ駆ければ、兵達は不意を突かれたように一瞬立ち止まる。彼はその艶やかな黒髪を揺らして刃を両手に携え、挨拶代わりに一番前の兵の耳を一つ切り落とした。それを掴んで後方へと飛び、何食わぬ顔で耳を上司の顔に投げつけてからアリスの方を見る。
「アリスちゃんは下がってな、こっからはマジだ」
 言われた通りデスクの陰へと身を隠すアリス。一方上司は素っ頓狂な悲鳴を上げて兵隊の後ろへと隠れていく。
 耳を切り落とされた兵は激昂し、大声で何か合図を出す。すると周りのうさ耳兵は四人揃って小銃を取り出し、その発射口を有栖河に向けた。
 一斉射撃。身を隠したアリスに当たることは無いと確信し、有栖河はそのまま前進する。闇雲に放たれる銃弾を避けながら進むが、片耳の兵はすかさずナイフで有栖河に斬りかかった。
 しかし、その不意打ちを咄嗟に刃で跳ね返され、兵の体は大きくよろめく。
「見えないだろ、この太刀筋は!」
 有栖河の声と同時に放たれたユーベルコード、【颯】は片耳の兵の右半身を大きく切り裂いた。一拍遅れて大きく血が噴き出し、射撃も一時的にぴたりと停止する。
 血塗られた視界が晴れたころには、片耳の兵の無残な亡骸が転がるのみだった。
「一撃で死ねたらラッキーだぜ、キャハ!」
 狂喜に笑う高い声に兵が振り向く間もなく、次々に四肢を切り裂く。吹雪のように鮮血が飛び散り、武器を掴んだままの手が宙に舞う。
 アリスが震えてデスクの裏に隠れているのが幸いだった。
「キャハハハハハ!やべぇ、興奮し過ぎて●ってきちまったぜ!」
 兵隊の後ろにいた上司が泡を吹いて命乞いする中、白いオフィスはみるみる赤黒く染まり、斬撃の音と猟兵の笑い声だけが響いていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『恋スルうさぎ『リオン』』

POW   :    恋は戦争。戦争は、やっぱり数だよね!
自身が【恋愛感情や依存心】を感じると、レベル×1体の【自分自身の分身】が召喚される。自分自身の分身は恋愛感情や依存心を与えた対象を追跡し、攻撃する。
SPD   :    ボクは、ちっちゃくないよ!
【なんか失礼な視線を感じた】から【抱きついて、甘噛み】を放ち、【ペロペロ舐めること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    あなたに決めた! ボクのモノになって♥️
自身の【恋する瞳】が輝く間、【甘えたり誘惑したり籠絡するため】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
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 アリスを絶望させられず、応援のうさ耳兵も無駄に終わった。無様な姿を晒してしまった屈辱に、上司はわなわなと手を震わせる。
「くそっ、くそっ!何なのよ人間の分際で!さっさと絶望して私に食べられなさいよ!」
 遂に上司――もといオウガはその顔を人とは思えないほどに歪ませ、アリスと猟兵達への敵意を露わにした。すると、どこからともなくうさ耳を生やした小さな子供がオウガの前に躍り出る。
「ボクはおねーさんに惚れてずっとずーっとお手伝いしてあげたのに、どうして人間なんかに手こずってるのかな?」
 布の一枚も纏っていないその子供は、オウガに詰め寄って無邪気な笑顔で問う。言い返せずにオウガが黙り込んでいると、裸の子供はにやにや笑ってさらに顔を近づけた。
「おねーさんのことは大好きだよ?だから最後まで手伝ってあげる。でも、もしボクが殺されちゃうときは……おねーさんも一緒ね」
 そしてその子供、リオンは自身の瞳をオウガの目にこれでもかと近づけた。
「約束だよ」
 リオンのその言葉と瞳の光に、オウガはもしあのアリスが食えずリオンが死んだときは自害を強制されるのだと悟る。怒りの震えは恐怖へと変わり、一刻も早くあのアリスを喰わねばならないと肝に銘じた。
「それじゃあ、ボクはあのジャマな奴らを倒してあげる。その隙におねーさんはあの人間を美味しく食べちゃってね?」
有栖河・鏡
おいおいなんだあの裸ん坊はよ、誘ってんのかぁ?
クハ、なら俺がお相手してやるぜ!

●戦闘
「アリス!俺はあの妙なガキをヤる、テメェはあのオウガをぶっ潰せ!
見た感じ奴はそんなに強くねぇ、テメェも俺と同じアリスの端くれならヤれるはずだ。
それによ、そろそろ一発カマさねぇとテメェも気が済まねぇだろ!」
アリスに檄を飛ばしたら俺はリオンとやらに突っ込む。
分身を《見切って》《咄嗟の一撃》で切り捨て、狙うは本体だ。
「そんな格好で俺の前に出たお前が悪いんだぜ」
本体に肉迫したら組みついてUC【鬼崩し】を腹に何発も入れて、そのまま俺の愛刀を挿れて《串刺し》にしてやる。
「キャハハハ!イクぞおらぁ!」

●アドリブ歓迎NG無し



 オウガと共に姿を現した、一糸もまとわぬうさ耳の子供。有栖河は兵隊の返り血を振り払って隠れていたアリスに大きな声で呼びかける。
「アリス!俺はあの妙なガキをヤる、テメェはあのオウガをぶっ潰せ!」
 有栖河の言葉にアリスは戸惑いながらもデスクから這い出るが、肉片と血液でグロテスクに染まったオフィスに驚き口を押さえて震えだした。
「わ、私も、戦うんですか……?」
 青ざめるアリスを見て有栖河はため息をつき、血溜まりの中から兵隊のナイフを取り上げる。これを使え、とアリスの足下にそれを転がして笑みを浮かべる。
「見た感じ奴はそんなに強くねぇ、テメェも俺と同じアリスの端くれならヤれるはずだ!」
 そして猟兵は続ける。
「それによ、そろそろ一発カマさねぇとテメェも気が済まねぇだろ!」
 アリスはその言葉に突き動かされるようにナイフに手を伸ばす。そうだ、今まで散々自分を馬鹿にして、虐めて、助けてくれた人まで殴った上司を許すことなんてできない。彼女は獲物を手に取った瞬間、豹変した上司もといオウガの方を睨んだ。
 有栖河は悪くねぇ、と呟いて自らの刃『無明』をしっかり握る。視線の先の子供、リオンは堂々と有栖河に向き直った。
「大好きなおねーさんの為に、ボクも負けらないから……ね!」
 その瞬間リオンの姿は二つ、三つと数を増やしていく。
「分身か?下らねぇ!」
 有栖河はその幻覚に、視える世界に全神経を注ぐ。リオンが一斉に飛び掛かろうとしたその時、有栖河の目がその中の一つを捉えた。
「なっ!?」
 本体を見切られ、驚いたリオンは体制を崩し分身を失う。
「そんな格好で俺の前に出たお前が悪いんだぜ」
 攻撃を焦り手を動かすが、有栖河はリオンの耳を乱暴に掴みそのまま組み付いた。間髪入れずに繰り出されるユーベルコード、鬼崩し。防御の薄いその腹に拳が叩き込まれ、リオンは耐えきれずに嘔吐する。
「キャハハハ!イクぞおらぁ!」
 有栖河の笑い声に混じりズブリ、と音がして、『無明』はリオンを貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

伊坂・和良
連携、アドリブ歓迎
伊坂はオブリビオンの出現を確認すると天狗の面を着けて天狗の人格に変わる(伊坂自身には戦闘能力無い)。
アイテム【多種多様面】から邪悪な念を放つ面達を取り出してその力を体に取り込み強化する(副作用は毒です)
風の【属性攻撃】で攻撃しながらが「ガッハッハ!!こんな小さいやつは一捻りじゃ」と言ってしまって敵のUCが発動し甘噛みや舐める攻撃を受けてしまう。
敵の術中に嵌ってしまうが自身のUCの副作用の毒の成分が天狗に触れることで敵にも移り難を逃れます。



 オウガとリオンが姿を現したのを見て、伊坂は邪悪な念を放つ面を幾つも取り出す。目の前の敵に立ち向かうため、彼は毒を浴びながらもその力を体へと取り込んだ。
「悪しき念を束ねてみるかのう」
 天狗を模した面を着けた瞬間、伊坂の雰囲気も天狗らしい面妖なものへと移り変わる。
 様々な感情と毒が体を蝕みながらも、ユーベルコードによって力を宿した強靭な身体。その変化に警戒し構えるリオンの方へ、伊坂は腕を大きく振り強風を起こした。
「いざ、参る!」
 小さく軽い体はそれに耐えきれず吹き飛び、近くのデスクへと叩きつけられる。
「こん、のぉ……!」
 睨まれた伊坂は優位を確信してか、面の下で口元を緩ませる。
「ガッハッハ!!こんな小さいやつは一捻りじゃ」
「な、なにーっ!?ボクはちっちゃくないよ!」
 リオンはそれがコンプレックスだったようで、怒りを露わにしてその身を起こした。素早く伊坂に近づき抱きついて、小さな口で腕に噛みつく。
「こら、何をする!?」
 腕を舐め始めたリオンを振り払おうとするが、その力は幼子の姿にしては強く、伊坂の身に引っ付いて離れない。これではただのじゃれつきのように見えるが、伊坂はリオンがにやりと悪い笑みを浮かべたのに気づき、これも敵の術なのだと察する。
「ボクを馬鹿にしたお返しだよっ!」
 慌てて伊坂が体を大きく回そうとした時、突然リオンはびくりと体を震わせる。
 ――毒だ。伊坂が力を得る代償として浴びる毒を、リオンはその身に取り込んでしまったらしい。そのままリオンはその手を緩め、伊坂から離れた。
 伊坂はそれを見て一瞬何が起きたのかと困惑するが、敵を鎮静化できたことを察して納得する。毒はリオンへとほぼ移ったようで、伊坂の身にはメリット、つまりユーベルコードによる強靭な肉体だけを得ることに成功していた。
「嵌められただけでは格好悪いでござろう?一発、仕置きでござる」
 そう豪快に笑って伊坂はリオンの前に立つ。幼子の見た目だとしても中身がその通りでないことは既に分かっている。
 そして無防備な顔に、容赦なく張り手が叩き込まれた。

成功 🔵​🔵​🔴​


 腹と頬に深い傷を負ったリオンは猟兵達を涙目で睨みながらオウガの戦況を確認しようと視線を動かす。そこでは武器を得たアリスがオウガに立ち向かっていた。
「せ、やぁぁっ!」
 迫力のない掛け声で斬りかかるアリスだが、オウガはどうやら苦戦しているようだった。これでは、自分の援護につかせることも叶わないだろう。
「使えない、オウガめ……」
 体を大きく上下させて息をしながら、リオンはオウガをぎろりと睨んでいた。
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
グロ描写NG
POW

いや~ん、なんて可愛い子なの!?(目がハートに)
お姉さんと遊びましょ❤

『欲望解放』で一糸纏わぬ女神の姿に。
愛欲に比例して戦闘力増強!
リオンが分身すればするほど
私の愛欲も昂り、強化されるの❤

裸の可愛い子ちゃんに囲まれて幸せ……♪
身も心も蕩けるまで愛し合いましょ❤

【誘惑・催眠術】で魅了して
ボディタッチや濃厚なキスで【生命力吸収】
物量で押さえ込まれそうな時は
全身から【属性攻撃】の雷を放って感電させ
敏感な所を【早業】で激しく攻め、絶頂に導いてあげる❤

生命力吸収で、私の体力は常に満タン。
快楽の絶頂に導かれても【気合い】で復活!
百人相手だろうと、みぃ~んな美味しく食べちゃうから❤



 傷を負いながらも幼く可愛らしい姿を曝すリオンに、猟兵、ドゥルール・ブラッドティアーズは目にハートが浮かんで見えるほど悦びに身を捩らせた。
「いや~ん、なんて可愛い子なの!?ねぇ、お姉さんと遊びましょ?」
 可愛いと褒められたことに少し心弾ませ、リオンはドゥルールを見つめる。それを『軽い一目惚れ』と心の中で置き換えリオンは自らの力の糧とした。
「……そう。そうだよね、お姉さんはボクの事が好き。じゃあ、ボクもお姉さんを愛するよ!」
 狂気を滲ませる笑みとともに、うさ耳の子供の姿は数を増していく。しかしドゥルールはそれに驚くことも怖気づくこともせず、突如その身を包む布を取り払った。
「嬉しいわ!それなら、『ありのままの私を見せてあげる!』」
 リオンと同じく一糸纏わぬ姿となったドゥルール。困惑しながら分身を増やすリオンだったが、それが一つ二つと数を増す度猟兵の体が小さく揺れる。
「裸の可愛い子ちゃんがひとり、ふたり……ふふふ、何て幸せなの!」
 最早、彼女の目に宿る感情は敵意ではない。幼い姿のリオンへの愛と興奮がドゥルールのユーベルコードを育み、その姿が増えるのに比例して強化されていく。
「身も心も蕩けるまで愛し合いましょ!」
 顔を赤らめ、その力と欲を最高潮に高めたドゥルールは触れることのできない分身を手当たり次第に抱擁し、次を、次をと風のように飛び回った。
 それはリオンが分身を作るより何倍も速く、あっという間に本体のリオンだけが残る。ついにリオンに触れたドゥルールはハァハァと艶めいた吐息を漏らしながら、その柔肌に手を滑らせ幼子を誘惑した。
「ひッ……!?」
 リオンは慣れない感触に鳥肌を立ててドゥルールを振りほどこうとする。子供らしい小さな体に反してその力は強く抵抗を見せたが、その瞬間猟兵の体から激しい電撃が放たれた。
「暴れちゃ危ないわよ?」
 痺れに動きを鈍らせたリオンに容赦なくその手を這わせる。自身の欲を満たすだけでなく敵対するものとしてリオンの生命力も奪いながら、ドゥルールはその束の間の快楽を愉しむのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルルティア・サーゲイト
 出たな、全裸幼痴女! 何という奴じゃ! けしからん、全く持ってけしからん! 罰として妾にそのぷにぷにつるつるの肌を堪能させよ!
「ふぉぉぉ……おお、これはこれで良いかも。いやぁ、妾も見た目の幼さを武器にしてはいるが」
 徐に、ぺりっと下着を剥がす。
「ふふふ、堪能したからにはお代は払わねば。妾は安くないが、十分な対価を払うならやぶさかでも無い」
 正真正銘の危険な状態でも躊躇なくドロップキックと見せかけた挟み込み!
「ほれ、今度は妾を堪能せよ。ただの幼女とは一味違うじゃろう?」
 ちょっとねっとり気味に脚で首に絡み付き、
「はい、おしまい!」
 無慈悲に投げる!
「ま、別に倒さんとは言ってない」



「出たな、全裸幼痴女!」
 ルルティアは宣戦布告と言った様子で戦場へと飛び出す。しかしその目は敵意や殺意で満ちてはおらず、彼女はふふふと何か企てるような笑みを浮かべながら敵に近寄った。
「な、なんなんだよーっ!」
 傷を受け、肉体を弄ばれたリオンは怯えながらも、体の痺れと痛みで上手く動くことが出来ない。ルルティアは手をわしゃわしゃと動かしてリオンの柔肌に触れた。
「ふぉぉぉ……おお、これはこれで良いかも。いやぁ、妾も見た目の幼さを武器にしてはいるが」
 ルルティアの手はぷにぷにと顔や腕、さらには尻を揉みしだき堪能する。しばらくして満足したのかその手を放すと、徐に下着を剥がして。
「ふふふ、堪能したからにはお代は払わねば。妾は安くないが、十分な対価を払うならやぶさかでも無い」
「い、要らないよーっ!」
 ばっ、とリオンは起き上がって逃げ出そうとする。鈍い足にルルティアが追い付かないわけもなく、猟兵はその肌を露わにした下半身でドロップキック……ではなく、脚で抱擁するようにしてリオンを包み込んだ。
「ほれ、今度は妾を堪能せよ。ただの幼女とは一味違うじゃろう?」
 艶めかしく首を這う少女の脚。息を止めるほど強くもないが、満身創痍のリオンの腕ではどうにも解くことができない。どうじゃ、と囁くようにルルティアがリオンの長い耳に息を掛けると、幼子は体をぶるりと震わせる。
「はい、おしまい!」
 突然ルルティアが地面に手をつき、そのままリオンの体を宙へと放った。
「ぐぇっ」
 デスクに積みあがっていた書類に頭から突っ込んだリオンが情けない悲鳴を上げる。
「ま、別に倒さんとは言ってない」
 ルルティアはにこっと笑って、埃を払うようにぱんぱんと手を叩いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

久遠・翔
服着ろー!?

全裸の幼女がオフィスにいるって何の冗談っすかー!?
…って、なんかすでにもうだいぶ疲弊してないっすか?(汗)

ただ…幼女といえど裸を直視できないので顔だけ見て…あれ?なんか目が潤んでない?(誘惑50)
ボクのモノになってって、ちょっ!?(抱き着かれ色々弄ばれてしまう)
散々弄られた後UCの言葉を発してしまい相手を使役獣化して行動を止めます

使役獣化したら…即座に早業+早着替えでリオンに下着も服も着せた後正座させてお説教します
そして最後に抱きしめて優しく頭を撫でて良い子良い子としてあげます

君の為を思ってお説教もしますが、それだけじゃいけないんっすよ
人は誰しも認められたいって想いがあるんっすよ?


ドゥルール・ブラッドティアーズ
【グロ描写NG・WIZ】
真の姿で背中から黒炎の翼が生え
リオンの元に舞い降りる

また会ったわね、可愛い子ちゃん♪
次は貴女から気持ちイイ事してくれたら
私達、仲良くなれると思うのだけど❤

満身創痍のリオンが助かる道は
好意的に接する私を
回数9倍の誘惑で味方につけるのみ

あぁんっ❤ うふふ、上手だったわ。
約束通り、仲良くしましょ♪

これでお姉さんはボクのモノ?
あら、貴女が私のモノになるのよ

裸体を撫で回し【生命力吸収】
拒絶すれば『歪愛・救済の華』が発動。
52体の女性が相手の強化を解除する触手で
幼い体の奥深くまで快楽に染める

死霊術は不変不朽の美。
貴女も永遠に愛してあげる❤

あ、どうせ死ぬなら
貴女(上司)も一緒にどう?



 フラフラのリオンに立ち向かう久遠・翔。しかし、子供の姿といえど裸体を曝け出した敵になかなか視点が定まらない。
「全裸の幼女がオフィスにいるって何の冗談っすかー!?……って、なんかすでにもうだいぶ疲弊してないっすか?」
 そう考えてみればかなり異様な光景である。いまこのオフィス内はそこら中が赤黒く汚れ、鉄臭い異臭を放ち、敵味方含めて裸もしくは服を脱ぎ捨てた者がぽつぽつと見受けられるのだ。そんな状況に巻き込まれ、当然女性に免疫のない久遠は目のやり場に困る。せめてリオンの顔だけを見ようと目を動かせば、かなりのダメージを受けて疲弊しているのか大きな瞳が涙に潤んでいた。
「……あなたに決めた!ボクのモノになって?そしてジャマな奴らを一緒に倒そうよ」
 気づいた時にはもう遅い。久遠が潤む瞳の妖しい光にはっとした瞬間、リオンは残った力を振り絞るように駆けだした。
「捕まえたっ!」
 リオンがぎゅっと久遠の腕に擦り寄ったり、軽く甘噛みしたりと誘惑する。鼻血を出しそうになりながらも久遠が振り払おうとするが、素早く何度も抱き着いてくるリオンに焦るばかりだ。
「う、うわぁぁっ!やめるっすよ、お、お願いだからもう落ち着くっすよー!?」
 その言葉は、彼女のユーベルコードの引き金だった。しかし久遠はそれを狙ったわけではないようで、自分から突如放たれるオーラに気づかず体を忙しく動かす。
「……あれっ?」
 いつの間にかリオンの姿はさらに小さく縮み、その動きをぴたっと止める。久遠は一瞬きょとんとしながらも、裸のリオンに何か着せようと周りを見た。近くの椅子に掛けられていたカーディガンを手に取り、時折目を逸らしながらリオンの肩にかける。
「とりあえずそこに座るっす」
 リオンが素直に正座すると久遠は小さな体を優しく抱いて顔を近づける。
「君の為を思ってお説教もしますが、それだけじゃいけないんっすよ。人は誰しも認められたいって想いがあるんっすよ?パワハラなんてもってのほかっす」
 リオンは悔しそうにぷるぷると震えながらもこくりと頷いた。久遠は良い子、と頭を撫でてリオンを解放する。
 ……が、その呪縛が解けた瞬間リオンは血相を変えて後ろへ跳び下がった。
「お、お前なんかのお説教なんて聞くもんか!ボクはボクがやりたいことするんだよ!」
 べろべろばー、と久遠に舌を出して嘲るリオン。
「素直じゃない子っすね……!」
 反抗期のわがままのように聞く耳を持たない子供に、久遠は眉をひそめて呆れていた。


 
 そこへ、ひとりの猟兵が再び姿を現す。
「また会ったわね、可愛い子ちゃん♪」
 ドゥルール・ブラッドティアーズ。彼女はその背から黒炎の翼を生やし、ふわりとリオンの目の前に舞い降りた。
「次は貴女から気持ちイイ事してくれたら……私達、仲良くなれると思うのだけど」
 そんな言葉に、体力が限界を迎えるリオンは縋るように瞳を向ける。せめて、少しでも戦力が増えれば。少しでも時間が稼げれば。リオンの目的はオウガが人間を喰うことであり、それを達成できればあとはどうだっていいのだ。
「じゃあ、ボクのものになって!」
 ふっと瞳が再び妖しい光を帯び、リオンはドゥルールの体に自らの柔肌を押し付ける。幼子が自分の体を這い回る感触にドゥルールは体を震わせ、上手よと艶めかしくリオンを褒めた。
「これでボクのもの!ほらお姉さん、一緒にあいつらを……」
「そうね、約束通り仲良くしましょ。でも、貴女が私のモノになるのよ」
 ふふ、と笑い、されるがままだったドゥルールはリオンの裸体へと手を伸ばす。ぞわぞわとした感触と共に自分の体力がどんどん奪われていくのに気づいたリオンは慌ててドゥルールから離れようとした。
 しかし、その行為はユーベルコードを発動させる鍵となる。
「さあ、楽園へ参りましょう」
 ――そしてオフィスの床からぞぶり、ぞぶりと這い出るように女性の体が現れる。
 狭いオフィスの中を埋め尽くすように出現したその数は、五十二体。その一つ一つが纏う衣服の隙間には触手が蠢いており、リオンが気づいた瞬間それは一斉に飛び出して幼子の体に巻き付いた。
「嫌ぁぁぁぁ!!」
 ついにぼろぼろと泣き出すリオンだったが、ドゥルールがそれを制止するはずもなく。満身創痍であの触手の大群に呑み込まれたリオンの行く末など、最早想像は容易であった。
 そして猟兵の目は、オウガの方に向けられる。
 会社員らしかった姿を恐ろしく変えたオウガは、自分が虐めていたアリスに追い詰められ、壁に背を預けていた。
 アリスは猟兵に託されたナイフを握ってオウガに向ける。
「今までの、お返しです」
 アリスがナイフを振りかぶった瞬間、最後の力を振り絞るオウガの拳がアリスに……
 ――届くことはなかった。
「どうせ死ぬなら、貴女も一緒にどう?」
 オフィスを埋め尽くしていた触手がオウガを襲う。猟兵、ドゥルールは愉しそうに笑いながら、断末魔を上げるオウガを触手の海へと沈めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年09月23日


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 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はチャペル・フォレストパレスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト