●刈り取る者
「…………儂は死ぬのか」
───あぁ。
「……この光無き世界……道半ばで逝くのは口惜しい」
───流行病だ、それは人の身で抵抗出来るものでは無い。
「……生命は巡る……儂は……次へ繋ぐ事が出来たのだろうか……」
───さぁな、それはアタシには分かり得ぬ事。だが貴様の生命を刈れば、それだけ若き人間が生き繋ぐ事はできる。資源は……有限なのだからな。
夢、残滓、かつての記憶が掘り起こされる。だが今の彼女に其れを認識する術は無い。本能の底……命を剪定する者としての想いだけが彼女を突き動かしていた。還る事も出来ず、ただ、斬り動くだけの怪物として。
「やらねば……やらねば……アタシが……やらねバ……無為に……カりトられル……生命……剪テイシャとして……巡らせねバ
!!!!!」
●グリモアベース
「やぁ皆さん、集まってくれてありがとう」
赤いパーカー、顔を隠した男……芦屋・宗玄は集合した猟兵達を見渡し軽く頷く。
「今回視えた世界はダークセイヴァー……ここの屋敷の領主であるオブリビオンに動きが見られた」
既に近隣の村は制圧されており、村人達には相当なプレッシャーが掛けられているとの事。屋敷も配下のオブリビオンを含め厳重な体制で守護されているらしい。
「……ここまでなら何時もと同じく君達にオブリビオンの討伐を……とお願いしていたのだけれど、話はここからなんだ」
宗玄が視た予知に寄ると、猟兵達が屋敷内へ侵入……戦闘が始まったと同時に猟兵とは違う襲撃が起こると言う。フードを被り、うわ言の様に何かを呟きながら大鎌でオブリビオンを襲うその姿……。
「人型ではあり、標的はオブリビオンではあったけど、僕が思うに彼の者もまたオブリビオンなのだと見ている。決して味方と思わない事だ、安易に此方から仕掛ければ標的に我等も加わってしまうだけと言っておくよ」
鎌を持ったをここで襲撃者としておく。襲撃者の狙いはあくまで屋敷内のオブリビオン……積極的に猟兵を狙う訳では無いが邪魔となれば当然此方も標的とされるだろう。
「三つ巴での戦いとなるけど配下と元凶であるオブリビオン、此方の撃破を優先して欲しい。襲撃者の狙いは屋敷内の同族みたいだしね、精々撹乱してもらおう」
領主は愛の神を名乗るオブリビオン、村人を連れ去り実験道具として好き放題しているようだ。
「そして最後……難しい事を言っているのは理解しているが頼みがある、この襲撃者の撃破を依頼しよう。オブリビオンはオブリビオン、このまま野ざらしにしておく訳にはいかない。強大ではあるけれど、狙いが配下や領主に向かっている間に動きを見ておく……等の対策を取るのも良いかもね。さて……」
ゲートを開き猟兵達へと振り向く。
「屋敷前の転移準備は完了している。三つ巴状態での戦闘……難題ではあるが君達なら問題無いだろう。宜しく頼むよ」
猟兵達を見送った宗玄はいつの間にかその場から消えていた。
グラサンマン
連続でダークセイヴァーです。今回は集団戦、ボス(屋敷)、ボス(襲撃者)の戦闘依頼なのですが何時もと違う三つ巴という環境となります。では章説明をば。
一章「集団戦」
オブリビオンに操られた魔術師のオブリビオンです、もう死んでます。断章挟みますが、襲撃者も混ざり大乱闘状態となります。あくまで襲撃者の狙いはオブリビオン、同士討ちで疲弊させて叩いちゃいましょう。勿論一緒に突撃しても構いません。ここで襲撃者の動きを見ていると後々良い事になるかなと。
二章「ボス戦」
OPでちらっと出しましたが愛大好きな神です。こちらも襲撃者との三つ巴環境となります。隙を見て先ずは此方のボスを倒しましょう。一章の時と同じく襲撃者の方にも観察していくと良い事あるかも?
三章「ボス戦」
VS襲撃者です。これまでの戦闘により疲弊しているがそれでも強大には変わりません。ここからはいつも通りの戦闘、全力で倒しにいきましょう。
それぞれ断章を挟んだ後、プレイング募集となります。サポートプレイングの採用も内容次第にはなりますが採用させて頂く事もあると思いますので宜しく御願い致します。
それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております!
第1章 集団戦
『魔術師の亡骸』
|
POW : 炸裂魔弾
単純で重い【爆発性の魔術弾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 事象転回
対象のユーベルコードに対し【事象の流れを巻き戻す魔術】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
WIZ : 邪刻禁呪
自身に【想像を絶する苦痛と引き換えに力を齎す障気】をまとい、高速移動と【命中した対象を崩壊させる暗号魔力の渦】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
館の中、対峙する猟兵達と亡骸の群……先に動いたのはどちらか、武器と血塗られた杖が交差した瞬間……猟兵の目の前に居た魔術師の首だけが跳ね飛ばされた。
ごとん、と床に落ちて灰となる亡骸の首と身体。二階に上がる階段の向こう、大鎌を構えながら手摺に乗っている外套姿の人型が見えるだろう。目深に被られたフードから覗く狂気の光は真っ直ぐとオブリビオン達へと向けられる。
───刈り取る……刈り取ル……生命の流レを正しキ物に……正し……物ニ
眼中に無いのか、こちらには見向きもせずに魔術師へと襲いかかる。そして魔術師達は侵入者……この場で一番の異物であろう猟兵達を狙い襲いかかってくるのだ。三つ巴の集団戦が今此処に始まる。利用出来る物全て使い、オブリビオンの群を殲滅せよ。
☆──────────────────☆
二階建の洋館。戦闘するには充分な広さがあり、内装は一般的に想像出来る物を想定していれば問題無いだろう。
今までの連れ去られた被害者も混じっているのか相当な数の亡者が蠢いている。そしてそれを刈り取る襲撃者の存在。
襲撃者をどう扱うかはプレイング次第で変わりますが下手に攻撃を仕掛けると手痛い反撃を食らうでしょう。様子を見る方法にはご注意を!
プレイング募集中となります!
☆──────────────────☆
黒天・夜久
本当に此方のことは眼中にないのですね…。まあ、触らぬ神に祟りなし、とも言いますし、できる限り邪魔はしないようにしましょう。
UCで「杖剣ハロエリス」以外を花びらに変え、「脈動する毒腺」の麻痺毒を花びらに付着させたうえで『魔術師の亡骸』に攻撃。【マヒ攻撃】
動きが鈍ったら【属性攻撃】(風)で風刃を放って首を落とします。
どうやら、亡骸とはいえ首を断たれれば斃れるようですし、一人ずつ片付けていきましょうね。
───輪廻よリ外れシ者ヨ……者ヨ……!
猟兵達には見向きもせずひたすらに魔術師の群へ大鎌を振るう襲撃者。刻み、切り裂き、刎ね飛ばす。緩慢な手付きで行われる迎撃は襲撃者の動きを補足する事は叶わずに避けられる一方。
「此方の事が眼中に無いと言うのは本当なのですね……」
──まぁ触らぬ神に祟りなし、と言います。できる限り邪魔はせずに行きましょう。
黒天・夜久(ふらり漂う黒海月・f16951)はゆらりと歩みながら襲撃者と亡者の群を観察する。その手に握られている純金の杖剣「ハロエリス」の先端を亡霊に向けながら。
(あちらには当てたらこちらも標的とされかねませんね……ならば……)
「咲け」
影ノ刃が。
「散れ」
グェスティアが。
「悉く微塵に裂き散らせ」
夜久の持つ武器が花弁へと変化、彼が以前取り込んだ器官、脈動する毒腺から流される麻痺毒が花弁に付着されながら宙を舞う。
彼岸の獄。
花の牢獄は亡者を囲み閉じ込める。毒が拡散され更に鈍重な動きとなる魔術師達。襲撃者も現象は把握しているのだろうが自身への被害が無い以上妨害する事もしない。ただ、ただずっと鎌を振り続けているだけだ。
「やはり獄には近寄りませんか……好都合です、その調子で狩り続けて頂きましょうか」
ハロエリスを振るい放たれる風の刃、敢えて単体で一体ずつその首を落としていく。
『巡レ……巡レ!いマを生きル者達のタめに!!』
魔術師達は自らに施した呪印が仇となり、ある者は早くなった素早さのまま突撃し花弁の獄へ自ら嵌り、ある者は為す術もなく襲撃者に狩られて行く。
反撃をしようにも、渦を放とうとすれば首を狩られ接近しようにも花弁が邪魔なのだ。
「……亡骸とは言え首を断てばその動きは止まる。討ち漏らしを処理する形でいきますか」
刻み、切り裂き、刎ね飛ばす。
襲撃者との擬似的な連携が魔術師達に何かさせる余裕も与えず圧死させていく。
亡者達の反撃も許さないまま、戦況は次の視点へと移る……
大成功
🔵🔵🔵
ルパート・ブラックスミス
何もかも喪い、なお遺るモノに衝き動かされて、か。
…同族意識を抱いても仕方ない。行くぞ。
POW【理異ならす凍炎】起動。
凍る鉛を大剣に纏わせ、斬撃に乗せて氷壁の形成。
【物を隠す】要領で敵の攻撃から味方を【かばう】盾にする。
攻撃は大剣で貫くように氷壁を変形、氷柱の刃に【武器改造】し壁の向こうから【串刺し】だ。
今は襲撃者にこちらを敵視されても困る。
流れ弾にならないよう遠距離攻撃は避け、館の中を【ダッシュ】しての近接戦に徹しよう。
襲撃者には基本的に干渉せず、されど常に遠巻きに様子を窺う。
奴の手の内、心の内。何かしら【情報収集】できればいいが。
【共闘・アドリブ歓迎】
胡・佳莉
虐げられている人たちを解放するために戦う、のはいいのですが襲撃者というオブリビオンは目的は同じでもその意図は違うかもしれません。
まずは襲撃者の情報を得るために動くことにします。
襲撃者の近くで魔術師たちと【剣刃一閃】を使って戦いながら、襲撃者の戦いぶりを近くで見ようとします。もし戦闘中に襲撃者が何か喋っているようなら、それに注意深く耳を傾けます。いったい何者で、どうしてオブリビオンなのに同じオブリビオンと戦うのかを知ることが出来るといいのですが。
「意図がわかりかねるといささか戦いにくいですね…邪魔しない程度に、かつ動きが見える程度の距離を取る。これも難しいですが」
───ソの身を正しキ流レにッ!!
「何もかも喪い、なお遺るモノに衝き動かされて、か……」
ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は今や自意識も朦朧としているであろう大鎌の少女を見る。それは肉体と記憶を失って尚自身の中で残る騎士という誇りと在り方に従い歩む彼に、何処か通ずる物を感じていた。
「しかし彼女はオブリビオンなのです、今は同じ敵に当たっていますが何れはどうなるかわかりません」
横に立つのは肉体を失いサイボーグとなった少女、胡・佳莉(サイボーグの妖剣士・f21829)。妖刀を携え襲撃者を見る瞳には何の感情も映してはいない。
「わかっている。行くか」
「はい、手筈通りに」
ルパートと佳莉が同時に走り出す、襲撃者が暴れ回っている以上此方に攻撃を当てる訳にもいかない、自ずと選ばれる戦法は接近戦となるのだが亡者の数が多く圧殺される可能性もゼロではない。
『アァァァァァァァ!!!』
ひたすらに狩り続ける襲撃者、手、足、首、死ぬも死なぬも関係無く斬り裂いていく姿に理性は感じられず。
「我が血はもはや栄光なく……されど、未だ歩みは冷厳に……」
ルパートが一歩先に踏み出し鎧の合間から出る青い炎を氷気へと変えて大剣に纏わせる。
「押し通る!胡殿は背後を頼む!!」
剣閃が魔術師の首を刎ね、剣に纏った凍気が氷壁としてルパートの眼前に現れる。
「了解しました。襲撃者は中央付近ですか……もう少し近くへ寄らなければなりませんね」
彼の側面を守る様に佳莉が周囲を警戒。
「では合図と共に……3……」
両者は強くその持ち手を握り。
「2……」
腰を深く下ろし。
「1……」
亡者の魔術弾が氷壁を揺らし。
「0
……!!」
僅かな静寂の後、二人は一斉に前面へと進む。氷壁の盾で魔術師達を押し込んでいく。亡者故に耐える力という物が存在しない、なされるがままに壁に押さえ付けられていき。
「……今っ!!」
ルパートとは対の面……氷壁に武器改造を施し、杭が突き出されていく。
「よし……大分近くなりました。声も少しですが聞こえてきますね、辺りを一掃します」
串刺しにされるオブリビオンはそのままルパートに任せ、当てきれなかった魔術師を相手取る佳莉。彼女等の狙いは魔術師の殲滅もあるが同時に襲撃者の情報もなのだ。魔術弾を避けながらそちらにも注意を向ける。
『循環に抗ウな……抗ウな……こノ世界にハ足りなイものガ多すギる』
「循環……世界には足りないってまるでその為に戦っているみたいですね。しかしこうも多いと中々骨が折れますね……ん……?」
腕を裂いて腹を蹴り抜く、吹き飛ぶ亡者が襲撃者の視界に入ると、その動きに反応したのか襲撃者は眼前の魔術師を無視してトドメを刺していた。
「視界に入り、且つ死にかけの者に反応しているのか……?」
「単なるに“目に付いた”からかもしれません、兎に角私達でトドメを刺すよりは彼女の周囲まで吹き飛ばした方が此方の消耗も抑えられるかと」
「そうだな……襲撃者の身体に当てぬ事だけ注意して行こう」
「了解しました」
理性を失い只破壊するだけの存在、ルパートと佳莉は魔術師の攻撃を捌きながら引き続きソレの呻きと行動パターンを収集するのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
夜見・佐久良
正しき命の流れ……
亡きものは、黄泉路へと送りましょう。
いずれは、キミも。
まずは、共闘といきます。
亡骸のオブリビオンが私たちを狙うのなら。
フードのオブリビオンが亡骸のオブリビオンの首を刈り取るのなら。
黄泉路へ送るのはフードのオブリビオンに任せ、刈り取りやすいように立ち回りましょう。
基本は絶葬華での受け流し、場合によっては指定UCで【桜】の花びらへと変えて亡骸のオブリビオンを攻撃して妨害を。
少しでも他の方やフードのオブリビオンが亡骸のオブリビオンを屠れるように立ち回ります。
黄泉路で苦痛に苛まれぬよう、送るのが、私の役目だから。
在るべき場所へ、流れる命の先へ。
キミ達は、此処に留まってはいけない。
───無イに刈りトるは!世界ヘノボウ涜ッッ!!
「……正しき命の流れ……えぇその通りです、亡きものは黄泉路へと送りましょう。いずれは、キミも……」
夜空色の髪を靡かせながら紅き瞳で亡者達を見据えていく夜見・佐久良(オラトリオのシンフォニア・f20410)
「では束の間の共闘といきましょう」
『アァァァァァ─────!!!』
まるで呼応したかのような反応を見せた襲撃者は佐久良の方など見向きもしないまま亡者の群と斬り結んでいた。それで良い、共闘とは言ってもそれは仮初であり利害から来るやり取りでしかないのだから。
「(狂い往く意識……ただ刈り取る事しかしないのであれば……)」
亡者が佐久良の肩を掴もうとその手を伸ばせば黄泉送りの刀・絶葬華で巻き取る様に流し斬り、そのまま舞うようにくるりと足を運び、別の個体を斬りあげる。当たらぬ攻撃に業を煮やし暗黒の渦を放ちしも、夜桜の嵐となった絶葬華がそれを阻む。ただ一つ、佐久良は止めを刺さずに動きを阻害、何処か誘導するかのように群の中を舞い進むのであった。
「この後も送らねばならない者が居ます。その時私が動けぬという事態は避けねばなりません……だから」
これだけの数全てを相手どっては消費が激しいだけだ、ならばやる事は……
「束の間の共働き……宜しく御願いしますね?」
吼える、吼える吼える吼える。
高らかな叫びと共に鈍重となった魔術師の胴体を一閃するフードの少女。その紅く濁り光る瞳に写るのは既に自意識も無くなった蠢く亡骸、自身もまた理性の消えた獣の身である事をまだ彼女は知らない。
『か……み……カミたる……ワたシに抗っテみせロォォォォ!!!』
「まぁ、元は神様だったのね。全て荒らされ残った本能の残滓……それだけがキミをここまで突き動かしている……もう少しの辛抱よ、私が……私達がキミを送ってあげるから」
オラトリオの少女が切り結び、堕ちた神であった少女が断つ。残り僅かとなった亡者達、この戦闘にも終わりが見え始めていた。
成功
🔵🔵🔴
リーヴァルディ・カーライル
…ん。たとえ相手がどのような存在であれ、
私の為すべき事は、何も変わりはしない。
…私は私の誓いを果たす。それだけよ。
事前に自身の存在感を消す“隠れ身の呪詛”を付与
周囲の第六感に干渉して目立たないように気配を遮断
襲撃者の行動は常に警戒するが手出しはせず、
殺気や気合いを暗視して攻撃を見切り【血の魔線】を発動
…まずは操られている哀れな死者を解放する。
剪定者の相手はその後よ…。
生命力を吸収する魔糸で敵を拘束して生命力を溜め、
片手に繋いた魔糸で敵を怪力任せに引き寄せた後、
カウンターの要領で大鎌をなぎ払う2回攻撃を行う
戦闘が終われば心の中で魔術師達に祈りを捧げるわ
…ごめんなさい。葬送は全て終わったら必ず…。
───キエロ……モドレ……ッ!!!!
既に首の無い死体の腕を、足を刻む。既に動かぬ骸となったソレは抵抗する事も無くただ斬られていくだけ。
「…ん。たとえ相手がどのような存在であれ、私の為すべき事は、何も変わりはしない…私は私の誓いを果たす」
それだけよ、と残り僅かとなった亡者と襲撃者を、フード姿の少女、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が見つめる。
(先ずは傀儡となっている哀れな死者を解放する、剪定者は後ね……)
じっとオブリビオン達の動きを観察しているリーヴァルディ、それに気づいた様子も無く彼女を無視する様に動き回る魔術師。リーヴァルディの隠れ身の呪詛により自身の存在感を殺した結果である。
(限定解放……ブラッドワイアード)
指先から現れるは紅き魔力の糸、吸血鬼の魔力を顕現させた力。自らの存在感は消したままに糸で亡者を巻き取り力ずくで引き寄せる。
(今はまだ剪定者を刺激するのは得策では無いわね……この館の主も健在な以上こちらに火の粉を向かわせる訳にもいかない)
なされるがままに寄せられてきた亡者をリーヴァルディのグリムリーパー……大鎌が襲う。ここに来て漸くオブリビオン達も彼女の存在に気づくが既に遅い。首を狩られ地に落ちる首、その瞳は濁った光さえも消えていく。一体の魔術師が炸裂魔弾を放つも、残った胴体を盾に回避。忘れてはいけなかったのだ、亡者達にはもう一人の敵が居ることを。
『…………』
魔弾の反動で後方に傾いた所を斬られる亡者。リーヴァルディと襲撃者、ここで初めて視線が交差する。
(……来ないわよね)
先に逸らしたのは襲撃者、既にここに彼女の居る理由は無い。奥へ進む扉を大鎌で一閃し走り去っていく。
(貴女の標的はまだ私達ではないのだから……)
その背を見送り血の魔糸を消す。ゆっくりと扉の方へ歩み……
───アァァァ……
「…ごめんなさい。葬送は全て終わったら必ず…」
進みながら大鎌を一振り、手を伸ばし最早自力で立ち上がる事も叶わない魔術師の娘……その骸の首を両断する。食い散らかされた魂が、身体が灰となって空を舞う。
「剪定者……貴女もまた、あるべき流れに戻らないといけないのよ」
何者も居なくなったエントランス、猟兵達は壊れた扉の先へと向かう。
やがて聞こえてくるだろう、鋼と鋼がぶつかり合う音が───
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『『三欲天使』ラブ・ラビット』
|
POW : コンバットDV
戦闘中に食べた【敵対者の暴力的な愛(という名の攻撃行為)】の量と質に応じて【愛の炎が燃え上がり、肉体の負傷が回復し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 【耐性型UC】エゴイズムメイデン
【このUCは妨害系UCの効果を無効化する。】【今まで愛してきた人間達の愛を集める事で、】【肉体の負傷が回復し、同時に身体強化する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ : ラブトリシュナー
【今まで愛してきた人間達】の霊を召喚する。これは【愛する者を守る為に幾度も立ち上がる能力】や【死してなお燃え続ける愛の炎(超高熱)】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
最奥……少し開かれた大きな扉の先から風切り音と声が聴こえてくる……
『ちょっとぉ、なぁにアンタァ。アタシと同類じゃないのよぉ。何がどうしてこっちを襲うのよバカじゃないのぉ?もう意識も無いじゃないのぉ 』
鎌を振るうのは先の戦闘でも見えた襲撃者、もう片方、その攻撃を徒手空拳で捌くのは天使のような翼と兎の耳を生やした少女、この館を根城としているオブリビオンだ。
『ハァ……ハァ……生ヲ……ぼうトくするモノに……』
『ハッ!アンタこそアタシ達の輪廻から抜け出そうとして狂ってんじゃないのよぉ。わかるぅ?アタシ達ってーのはこういう存在なの!侵略してっ!我欲に塗れっ!己の存在を知らしめるっ!!我々の護るべき欲に世界という言葉は無いっ!!』
『裁きヲぉ
!!!!!!!!!』
捌かれていた大鎌を力任せに振り下ろす。これまでの亡者にはそれで充分であった、しかし……
『……ナメてんじゃないわよ』
『…………アァ……?』
素手で掴まれた鎌はピクリとも動かない、館の主、ラブ・ラビットはそのまま刃ごと引き寄せてバランスの崩した襲撃者の腹を蹴り抜く。猟兵達が覗く扉の横、壁に全身を打ち付け膝立ちとなる襲撃者を睨め付け。
『良いわ、実験の材料位にはしてあげようと思ったけれど予定変更。そこで覗いてる猟兵共々ここで消し炭にしてあげるわぁ』
何らかの力か、扉が勢い良く開かれ猟兵達とラビットの視線が交差する。
『かかってきなさい三下共、このラブ・ラビット……愛の天使がアンタ等を打ち砕いてあげる』
☆────────────────☆
ホールの壁には人間の身体が浸かった巨大な培養槽並んでおり、中身の人間は既に死体の様だ。
培養槽はラビットの奥にある装置、ここに繋がっており、人間の愛というエネルギーを具現化させてラビットに力として送っている様だ。
ラブ・ラビットの身体能力の高さはこの装置の効果による模様。
襲撃者はこちらから攻撃しない限りラブ・ラビット本体を狙い続けます。
(あくまでギミックの一つとなりますので、これに触らなかったから判定が不利になるということはありません!)
☆────────────────☆
ルパート・ブラックスミス
(襲撃者に)
どうした、立て。堕ちてでも見過ごせぬのだろう。
凍結解除。ニクス(爆槍フェニックス)を装備、UC【夜鷹の不知火纏う騎身】発動。
飛翔(【空中戦】【ダッシュ】)し、敵本体より培養槽の装置の破壊を優先。
破壊できれば弱体化、加えて敵がこちらに意識を割けば襲撃者が攻撃する隙になるやもしれん。
敵の攻撃は軌道を【見切り】、【残像】も駆使しギリギリまで【おびき寄せ】た上で、装置に誤射するように回避。
着弾分は【武器受け】と【火炎耐性】で凌ぐ。
装置破壊後は敵本体にヒット&アウェイ戦法で攻撃し【挑発】、引き続き他の者が攻撃する隙を誘おう。
【共闘・アドリブ歓迎】
リーヴァルディ・カーライル
…ん。昔の私なら戯言をって聞き流していたけど…。
今は違う。お前のような者が愛を語らないで。
両眼に魔力を溜め愛(生命力)を吸収する力の流れを見切り、
培養槽に繋がれた目立たない霊魂の存在感を残像として暗視
心の中で彼らに祈りを捧げ【血の煉獄】を発動
…私は声無き声、音無き嘆きを聞き届けるもの。
いまだ魂が鎮まらないならば、我が声に応えよ。
第六感が殺気を感じたら離脱するように心がけ、
空中戦を行う敵から同族殺しを援護するように立ち回る
召喚した“闇の精霊”を纏う大鎌をなぎ払い、
心の傷口を抉る呪詛を飛ばす闇属性の精神攻撃を行う
…肉体の傷より、此方の方がお前には効くでしょう?
…誰もお前を愛さない。残念だったわね。
胡・佳莉
殺した後も利用するなんて酷すぎる。このような非道を見過ごせません。
他の人が培養層につながった装置を破壊するまで足止めします。UCによる自己強化を行わせないために自分から積極的に攻撃を行わず、【時翔】を用いていなしつつ襲撃者と共に装置を破壊しに行く人の方に行かせないように行動。
装置が破壊されたらラブ・ラビットに【剣刃一閃】などの他のUCも用いて積極的に攻撃を仕掛け倒しに行きます。
「生を冒涜するものに裁きを、ですか。貴女はオブリビオンで、それがどういった物から出ているのかはわかりませんが・・・そこは同意します!」
───どうした、立て。堕ちてでも見過ごせぬのだろう。
鎧を纏った鉄の騎士が此方を見下ろしてくる。煩い、煩い、煩い煩い煩い、私に指図をするな。
『ァァァ……ガァァ……』
痛くない、痛くない、痛くない、痛い、痛くない、痛くない、痛くない。
既に痛覚などその身には無い。だからこそ自身の変調を気にかける事も無く立ち上がり鎌を構える。使命を果たさねば、生命の循環を正しきものに……タダシキものに……
───
──
─
『さぁ来なさい三下共、纏めて塵芥に変えてあげるわぁ。アタシの愛、受け取りなさぁい?』
その声と同時、ラビットの頭上に大鎌が振り下ろされる。音を置き去りにする一閃は片手で払われ、その腹にカウンターの拳がめり込む……
『あらぁ……?やるじゃないの。アタシの愛を避けるなんて酷い子ねぇ』
「ん…昔なら戯言と聞き流していたけれど。今は違う。お前の様な者が愛を語らないで」
リーヴァルディは貰った一撃の衝撃を殺す為に回転しながら着地する。冷徹な瞳の中に静かな怒りを灯しながら。
『語るのは自由じゃない、アンタにはアンタの、アタシにはアタシの愛の形がある。それだけの事なのよぉ』
「佳莉殿」
「えぇ、行きましょう」
ルパートと佳莉はリーヴァルディとラビットの交戦が始まるのを確認すると素早くその場から移動する。目的はラビットの背後にある装置、尋常ではないあの身体能力の源……それを破壊しなければ人数で勝っていても勝利は難しいと踏んだからだ。
「頼むぞ……ニクス……っ!」
爆槍フェニックスとの融合により得た飛翔能力で交戦中のリーヴァルディ達の頭上を飛び進んで行く。
『やらせないわよぉ、堕ちなさい!!ラブトリシュナー!!』
「やらせはしない」
『アァァァァァァァァァァァァ
!!!!』
無論それに気づかないラビットではない。かつて愛した【実験動物】者の霊を喚び……
「させないわ」
リーヴァルディの目が鋭く眼前を睨みつけて言葉を紡ぐ。
「……限定解放。穢されし哀れな魂よ……これは傷つき苦しむ者に捧げる鎮魂歌……響け、血の煉獄!」
『あん?霊達が……?』
培養層から出てくる筈であった下僕達が出てこない。血の煉獄の効果、魂に干渉する力がラビットのラブトリシュナーの喚び声と拮抗し阻んでいるのだ。
『チッ……余計な事を……するんじゃわよぉ!!』
「……ぐっ
……!?」
ラビットの手刀がリーヴァルディの喉目掛けて突こうとすれば大鎌で受け止める。身体強化もなされている其れはリーヴァルディの防御をも貫き煉獄から解き放たれる。
「……強いですね、そして想定よりこちらへの対応が早い」
ルパートから離れ、その身を視界に入れない様に進んでいた佳莉は自身の存在も隠しきれない事を悟っていた。
「……敵は越した、このまま絡繰の元を破壊したいが、そう上手くはいかんか……!」
『ちょこざいな!くらいなさぁい!』
召喚された霊の弾丸がルパートの背に向かって放たれる。
「させません」
「佳莉殿……!」
霊弾を蹴り落としたのは佳莉、このままではルパートも自分も撃ち落とされる。辿り着かせる為には自身もラビットの足止をしなければならないと判断。時翔の速度をそのまま威力に変換してその腹を蹴り抜こうと。
『おらぁぁぁ
!!!!!アタシの愛を止めるにはまだ力が足りないわぁ!!』
「……っ!」
奇襲狙いの全力の蹴りも受け止められる……否、正確には効いてはいる。掌からは骨の軋み砕ける感覚が佳莉の足は感じとっていたのだから。
「佳莉……!」
「大丈夫です、それよりラビットの手が壊れた今がチャンスですよ」
リーヴァルディが跳び、闇の精霊を纏わせた大鎌を振るう。
「…肉体の傷より、此方の方がお前には効くでしょう?」
『……っ!これは呪われた言霊……っ!?』
物理が効かぬのならその内側から破壊してやれば良い。込められた呪いの一撃を次々と叩きつける。
この時ラビットは数瞬、ほんの数瞬思考の外へ追いやっていたのだ。此方へ絶え間無く攻めの姿勢を変えない二人と操作盤へ向かう鎧騎士、操作盤を壊させてはいけないと、ルパートを力押しで這いずり落とそうと振り向いた
その時。
『ソの生命、その生命は貴サマが使って良イ者でハないのだァァァ
!!!!』
フードが風に揺らめき外れる。瞳孔が開き赤く充血しきったその瞳……襲撃者は大鎌を横薙ぎに払い首を刎ねようとする。咄嗟の防御対応を強いられたラビットは何とか受け止めるも、体勢が追い付かずジリジリと圧されていく。
『くっそがぁ……っ!』
佳莉に貰った蹴りの一撃が効いており先程までの力は出せず、回復しようにもリーヴァルディの煉獄が完全に抜けきれて居ない。そして……
「いくぞニクスっ……!」
この間、数分も経っていない。ルパートが槍の尖端を機材の方へと差し向けて突撃。貫き、燃ゆる焔が操作盤内部を焦がし尽くす。
繋がっていた培養層から光と機械音が途絶える。それは吸い上げられていた力の供給が止まった合図でもある。
「行けるわ、アレから感じていた力の放出が収まっている」
「仕切り直しですね、このまま攻めましょう」
力が弱まり襲撃者の猛攻を捌きれずに居るラビットを見やる二人、そしてその横へ合流するルパート。
「……速攻を仕掛け終わらせねばなるまい。恐らくこの後、もうひと仕事しなければならないのだからな」
培養層の機能停止によりラブ・ラビットの持つ力は半減された。だが襲撃者は健在であり、ラビットも未だ致命傷には至っておらず、油断出来ぬ戦場は続く……
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
仇死原・アンナ(サポート)
ダークセイヴァー出身の女処刑人です。
年齢30歳。身長172㎝。
特徴 ぼんやりしている ミステリアス ぼさぼさの髪 奇抜な服装 実は胸が大きい
普段はぼんやりミステリアスなお姉さんですが敵前では地獄の炎を操る処刑執行人と化します。
鉄の処女を模した鉄塊剣『錆色の乙女』,妖刀『アサエモン・サーベル』、戦闘用処刑道具『赤錆びた拷問器具』、棘の生えた鉄球が先端に付いている『鎖の鞭』を使います。
UCは指定した物をどれでも使います。
普段の口調はぼんやり(私、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、なの?)
戦闘中は炎獄の執行人(ワタシ、アンタ、言い捨て)
その他細かいことはお任せします。
ディー・ジェイ
「真打は遅れて登場するもの、ジャパンの偉大な古事記にもそうある」
・初手は奇襲から
敵味方のどちらからも姿を隠してきたが、ようやっと出てきた本命のウサギちゃんに向けて不意打ちの狙撃をかます。無理に致命を狙う必要はない、胴体でも不意に当てれば修復にかける負担をデカくできるはずだ。
姿と位置がバレた段階で飛び出し、声高々とウサギちゃんに挑発しながら培養槽を銃の乱射で次々に破壊していく。
怒りに任せてこちらに攻撃を向けてきたなら、蜘蛛男よろしくlogから射出したワイヤーを相手の身体のどこかに引っ掛けて動きを阻害。邪魔になれば必ずこれを斬ろうとするだろう。
その隙をそこの襲撃者さんが見逃すかね?
※アドリブ大歓迎
ここに来てラブ・ラビットは焦り始める。自身の損傷はそこまででも無い。だが現在に至るまで支えられて来た増幅機構は破壊され猟兵達は健在、今は捌けているが襲撃者の存在も厄介な邪魔者として此方に刃を向けてくる。
一対多、不利な戦盤面は確実に猟兵達へと傾いている、それでも彼女は神であり強大な力を持つオブリビオンなのだ。
『……三人と一匹……これぐらいなら素のアタシでも対処できるわァ、アンタら……楽に死ねると思わない事ね』
装置は人間を攫い、また蓄えれば良い。これも全ては人類の愛の為なのだから。
●戦場の終
猟兵達と対峙するラブ・ラビット。傷は浅く、戦闘行動に支障は無い。背後にある装置は半壊状態であり、その機能は半減している……
戦闘方法は近接打撃、自らの実験により手に入れた“愛”と呼ばれていたエネルギーによる身体強化と炎弾。
「(さて、どう攻めたものかね)」
壊れた機材を背もたれにして様子を伺っている者が居た。ディー・ジェイ(Mr.Silence・f01341)……ガスマスクを着けた男、通称「DJ」は先の猟兵達の活躍、装置破壊の轟音の隙を縫って広間への侵入を果たした。
「(ここまでは予定通り、しかし問題はここからだ。どう狙ったもんかって所だが、頼んだぜアンタら……あのだらしない腹を狙わせてくれよ?)」
ここまで敵味方共からも気づかれてはいない。しかしこのアドバンテージも一発のみだ。効果的にダメージを入れるというのなら最上のシチュエーションは欲しい所。ここからは暫く我慢との戦いかと思考したその時、DJは開いたドアの方から駆ける女性と目が合った気がした。
「(……とんだ女神がきたもんだ、最高のタイミングじゃないか)」
仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)、彼女の到来がこの戦場に終わりを告げる。
『新手ぇ?ほんっとアンタらって一匹見たら三十匹は居るんじゃないのぉ?エゴイズムメイデン!!』
「……終わりだ、アンタも、もう一方もワタシ達が狩り尽くす」
アンナの剣撃による奇襲はラビットの視線を集中させるには充分過ぎる一手となった。彼女も又、襲撃のタイミングを図っていた所にDJの姿が見えたのだ。この状況でより多くのダメージを出せるのは彼の方と判断したアンナは躊躇い無く突撃を行った。
「どうした、先程迄の勢いが無いな」
勿論、ただ気を逸らすだけの為では無い。錆色の乙女、必殺の刃は常にオブリビオンの首を狙っている。
『サイアク!群がられる鬱陶しさを知りなぁい!』
今まで愛【コワ】してきた者達の愛で身体強化をするエゴイズムメイデン、通常通りの効果しか発揮出来なくてもその力は侮ってはいけない。猟兵達の猛攻を捌き、攻撃へ転じる……
「隠れ鬼は俺の勝ちだな。真打は遅れて登場するもの、ジャパンの偉大な古事記にもそうある」
また新手か、そちらに反応を向けた時にはもう遅い。
『く、くそがァ……っ!』
脇腹からとめどなく流れていく赤黒い流れに気を使う余裕は無い。傷を癒そうと力を使えばアンナの一閃を捌ききれなくなる、残る力も僅か。ならば残骸近くの空に散っている愛の力を吸い取るしか無い、だが。
「オイオイオイ、バニーガールにしてはクソみたいな臭いがキツすぎて目も向けられないじゃないか!大丈夫か?シャワーちゃんと浴びてる?獣臭さはちゃんと落とさないとな」
それさえも読まれている。AR-MS05による弾丸の雨を培養層にバラ撒いていく。同時にSilence,S2-log、ワイヤーをラビットの腕へ放つ。無意識に傷を押さえていた腕に絡む鋼の糸。当たり前の様にそれを取り除こうとするが。
「良いのか?」
その言葉に気づく、アンナの一撃を喰らえば終わりだ。何のつもりか知らないがその言葉でアンナの姿を捉えようと顔を上げる。
「いや、違うね」
───え?
「何故意識から外してしまったのか。仇死原が奇襲を仕掛けている前も、先程までもあんなに打ち合っていたのに」
視線が低く、猟兵達が高くなって……
「さて、次は襲撃者……アンタの番だな」
違う、これは……
「さぁて、奇襲もお構い無しなのは少しばかり面倒だなぁ」
これは───
アタシの首が落ちているから……
ラブ・ラビットの首を落とした大鎌、その血を拭いDJを見る。
ここにきて襲撃者……生命の剪定者は初めて猟兵達と視線を交差させたのだ。
戦場は、次のステージへと進む。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『『命の剪定者』モイライ』
|
POW : ―滅殺の神鎚―アトグオリー・オンス
単純で重い【神すら屠る力を秘めた青銅製の棍棒】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : ―無常のエキス―テュポーン・エリクサー
【食べる事はおろかその果汁に触れただけでも】【一時的に大きく力を失う果実『無常の果実』】【その果肉入りエキスが入った試験管複数本】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : ―運命剪定の鎌―パルカエ
【生命力を糸へ変換する力を秘めた鎌の斬撃】が命中した対象を爆破し、更に互いを【相手の心臓と鎌先端を相手の生命力で紡ぐ糸】で繋ぐ。
|
その瞳には最早理性の光は無く
大鎌は所々欠けて赤い錆が見える
フードを纏った身体は治らない傷痕
剪定者としての面影は既に消え
世界の敵と成り果てる
心より求めるのは何か
今はもう語る者も、知る者も居ない
瞼から零れ落ちる赤い涙を拭う事もせず
「モイライ」であった者は大鎌を構える
☆─────────────────────────☆
命の剪定者、モイライであった物との決戦となります。
一章、二章の結果により、大きな傷はありませんが体力の消耗、血液の付着による大鎌の斬れ味の鈍りに成功しております。
ここまで此方から攻撃を当てていない為、モイライの初手は様子を伺うになります。
説得は不可能ではありませんが、戦闘自体は避けられないでしょう。
此方の有利は覆りません、全力のプレイングをお待ちしております。
☆─────────────────────────☆
ルパート・ブラックスミス
いいだろう、来い。
今を生きる者達をその鎌が無為に刈り取る、その前に。
堕ちた神よ。生命の循環に、他ならぬお前を戻そう。
それが、ここまで抗い続けたお前に巡り会った我らの務めだ。
UC【夜鷹の不知火纏う騎身】継続。
敵の攻撃から味方を【かばう】為、【空中戦】に【挑発】的な機動を混ぜて交戦。
自身は致命打だけを【見切り】【武器受け】、それ以外はこの身で受ける。
心臓など無いこの鎧ならば他の猟兵よりはあの鎌の効果も薄い。
加えて先の戦いでの「視界に入り、且つ死にかけの者に反応」する見立てが正しければ巧く【おびき寄せ】られるはず。
敵が追撃を仕掛けたならば【カウンター】の【ランスチャージ】だ。
【共闘・アドリブ歓迎】
ディー・ジェイ
「死神が死に時を見失ってるなんざぁ笑えねえな」
生前にどんな考えを持っていたかなんざ俺には知らん
今のあんたは只の依頼対象、それだけだ
・他猟兵を全面バックアップ
アンプルを注入して早速覚醒。悪いが俺には禁断の果実なんぞよりもこっちのが性に合う。
動きが軽やかになったところで他の猟兵のサポートを開始。
仲間に誤射しないよう斜め後方の位置をキープしつつ、モイライが銃弾にも対応しなければならない状況を常に作り出す。敵の意識を阻害し続けりゃ、少しは隙も作れるってもんだ。
斬撃を向けられた場合は跳び魚で変則的な回避を試しながら銃撃は止めず、接近してlogを絡める。あんたはウサギと違ってどう対処する?
※アドリブ大歓迎
胡・佳莉
誇りは妄執となり果て、ただ死を撒き散らすだけの存在になってしまったのですか?どれほどの事があったのか、私にはわかりませんが……涙を流す貴女に私がしてあげられることは、おそらくこれだけなのでしょう。
これまでと同じく他の人と協力して当たり、私は戦闘能力を下げることに徹します。
【封荒】を使用して相手の攻撃力を削ぎ、モイライに呼びかける人がいればその手助けに。大鎌の切れ味が鈍っているのなら致死はないでしょうから、場合によってはいっそ受けて封じてしまうのもいいでしょう。
「私、過去に瀕死の重傷を負って身体を機械で補ってるんですよね。左腕や左目とか左側の部位は特に。だからもうないんですよ、心臓」
剪定者だった者は視る。愛の神をその手に掛けた鎌、付着した血を拭う事もせずにただ目の前の猟兵逹をじっと見続け……咆哮する。
『たヲさネバ、このセ……かイの』
コロセ
『いブ……つ……ワ……レのシめイ……はたス……』
コロセ!コロセ!!
『アァァァァ……う、うるサイ!!うるさい!!ガァァァァァァァァァ
!!!!!!!』
コロセ!コロセ!!コロセ!!!
コロセ!コロセ!!コロセ!!!
コロセ!コロセ!!コロセ!!!
●剪定者・モイライ
「死神が死に時を見失ってるなんざぁ笑えねえな」
ディー・ジェイ、通称「DJ」が首を軽く鳴らしながらぽつりと零す。ガスマスクに阻まれた顔、その表情を知るのは本人のみだ。
「誇りは妄執となり果て、ただ死を撒き散らすだけの存在になってしまったのですか?」
「そうだ、既に自身の意思という物は呑まれてしまっているのだろう。最早正気を戻すという段階は越えている」
狂気の咆哮を上げてはいるがその姿は酷く弱々しいものであった。大鎌は刃が欠け、肩で息するように体力も魔力も底が近い様に見える。
「どれほどの事があったのか、私にはわかりませんが……やれることは一つしかないのでしょう」
「あぁ、今を生きる者達をその鎌が無為に刈り取る。その前に……堕ちた神よ。生命の循環に、他ならぬお前を戻そう。それが、ここまで抗い続けたお前に巡り会った……我等の務めだ」
蒼炎の黒騎士、ルパートと妖刀を繰るサイボーグの少女、佳莉が続いて武器を構える。
「(やれやれ……)」
DJにとってモイライが生前にどんな考えを持っていたか、どんな想いであったのか彼には知らないし知ろうとも思わない。今の彼女は彼にとって只の依頼対象、それだけだなのだ。しかしルパート達の考えが違うとも思ってはいないのも確か。これは彼等の猟兵としての、戦場に立つ者としての在り方が異なっているだけなのだ。
「向こうさんは体力消費も激しいのかここまでのドンパチと違って様子見なんて事してやがる。何時までも睨めっこなんてしててもこっちにゃ得は無いな、先手、貰うがどっちか続いてくれると助かる」
DJは取り出したアンプルを自身に注入。即効性で強力なそれは決して身体への負担も軽くは無い。だが必要とあれば躊躇う必要もまた、無いのだ。
「自分が続こう」
AR-MS05の照準がモイライに合わされる。トリガーが引かれ銃音が鳴った時、硬直した場が漸く動きを見せたのだ。
ルパートは先の戦闘から夜鷹の不知火纏う騎身を継続、鉛の翼を発現させ接近を試みる。敵意は見せた、本能でしか動けぬ者ならば狙うは一番近い標的だろうと。
『アァァァァァァッッッ!!!』
「いいぞ……来いっ!」
鋼がぶつかり合う、火花が飛び散り金属音が鳴り響く中、モイライが刃を押し込もうとするタイミングでルパートの脇から銃弾がそれを妨害する。嫌なタイミングだ。防御な回れば目の前の黒騎士に押し切られそうになり、打開しようと攻勢に出れば銃弾が阻んでくる。
「…………優勢は此方、ですがこれは……」
攻め手が欠けている。大鎌の一撃もそうだが
ここまで使ってこなかった青銅製の棍棒、ルパートもDJも気づいている、あれに手を掛けて足を踏み出そうとしている様を。DJの妨害により未だ棍棒が抜かれてはいない。だが此方の体力も無尽蔵では無いのだ。ここまでの消耗を考えると短期で終わらせねばならない。
「どうする……どうすれば……」
佳莉は考える、この場での最上とは何か。攻撃か、妨害か、状況を此方に傾かせる一手は……
「……やるしかないか、一か八かってのはプロフェッショナルとして好きでは無いが……!」
このまま押し勝てる……優勢ではあれど、そう言いきれない現状、こちら側の焦りも出てくるのは少しばかり頂けないと、少々強引ではあるがDJはトリガーの手を止め、ライターに火を灯す。火喰蛇、蛇の様な動きを見せる炎はライモイの視界の先を這い回っていく。
「(今……っ!)」
機を逃す訳にはいかない。ルパートはランスを持ち直しその場から急降下、突撃を仕掛ける。
『アァァァァァァッッッ!!!』
「なっ!?」
先程より更に鈍い衝突音。
「……チッ……!遅かったか!」
ルパートは弾かれた槍の重心を保つ為、空中へ旋回しながら後退する。DJはその援護。弾丸をばら撒き距離を取る。
「助かったディー殿……」
「礼は良い!来るぞ……っ!」
瞳から赤い雫を流しながら咆哮をあげる。彼女の持つ力も底を尽きかけている。このまま消耗を待つというのが最善。鎌を振りかぶり突撃してくるモイライにルパートが再度囮となる為に前に出ようとしたその時……横から飛び出してくる影が見えた。
「……私、過去に瀕死の重傷を負って身体を機械で補ってるんですよね」
佳莉が剣を構えながらモイライを自分の身ごと押し込んで行く。
「左腕や左目とか左側の部位は特に」
───だからもうないんですよ、心臓
そう呟きながらもその顔には痛覚が浮かんでいた。左肩に突き刺さるはモイライの大鎌、刃こぼれした刃でも、否、だからこそ削るように機械部と生身の部分の接触部が軋んでいく。
「佳莉殿……っ!」
「……あれは……」
そしてモイライの腹にもまた、佳莉の剣が刺さっている。
「はぁ……はぁ……涙を流す貴女に私がしてあげられることは……これだけ……」
それは肉体を斬る技に非ず、荒ぶる精神を断つ剣、封荒。
大鎌を持つ手が緩む。残された少ない回路、他を害するという本能が斬られ、身体が言う事を聞かなくなっているのだ。
「終わらせよう」
DJがlogを飛ばしモイライの腕に引っ掛ける。抵抗しようと身動ぎするも力が入らず振り解けない。ワイヤーを引っ張り体勢を崩させたと同時、駆け抜けて佳莉の身体を担いで回収する。
「ディーさん……ありがとうございます……」
「お疲れさん嬢ちゃん。今は寝ておきな、後は、騎士様が終わらせてくれるさ」
どうして……
どうしてこうなった……
役目を、神としての、この世界の役目を果たす為に私は……
「終わりだ、剪定者」
狂っていた……
狂っていたとは言え私は役目に背き生命を屠った……
最期の最期で酷い事だ。
せめて……神としての矜恃を……否……私を討滅する者逹にこの威を……
「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」
火の粉を撒き散らしながらルパートはランスを、彼女の心臓に突き刺す。仄かな光が溢れ、やがて蒼い炎となって燃えていく。
『我はモイライ……命の剪定者……』
三人は最後、炎に呑まれていくその瞳に理性光を見た。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵