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海底で呼ぶ星

#アックス&ウィザーズ


●海底で呼ぶ星
 穏やかな海辺の村があった。
 遠浅の海は滅多に荒れることもなく、豊かな恵みをもたらしてくれる。
 新月には村中に星のランプを灯し、かつての英雄を讃える祭りが開かれる。
 その時には詩人も村を訪れ歌い、美味しい酒や料理で夜通し騒ぐ、楽しい夜だ。

 けれどその海にオブリビオンが棲みついた。
 海に近づく者を襲う水馬を率いるのは、海の底から星を求める少女の骸。
 ひとりきりは寂しいから。
 ひとりきりは寂しいだろうから。
 たくさんの人を集めて、寂しくないように。
 あの星が来たときに、寂しくないように。

 深淵の怪物は、星灯りの村を海底から羨望の眼差しで見つめていた。


「人々を海へと引きずり込む、オブリビオンの居場所がわかったのでー……倒す、お手伝い願えません、かー……」
 寧宮・澪(澪標・f04690)がグリモアベースで猟兵に声をかける。
 海辺に現れて海へと人々を攫っていくオブリビオンがいる。
 海の中から現れ、呪いや魔法で襲ってくる水棲馬。
 それらを統べて、自分の元へと死体を集める深淵の怪物。
 これらオブリビオンは、海の中の島を今は根城としているという。
「ただ、その島はー……新月の日にだけ、海の上に現れるん、ですよー」
 そこを狙って戦えば足場もある。
 たとえ水中に引きずり込まれても、島の上に泳いで上がることもできるはずだ。
「終わったら、そばの村の、お祭りに行きましょー……」
 星灯りを宿したランプを飾って楽しむ村の風景は、きっと美しいだろう。
 食べて飲んで楽しむも、満天の星空を楽しむも、誰かと語り合うも自由だ。
「……寂しいから、と、誰かを求めるのは、わからなくはないですがー……決して、見逃せない、んですよねー」
 どうぞ、よろしくお願いします、と頭を下げて。
 澪は海辺への道を紡ぐのだった。


霧野
 海に写った星灯りもきれいだと思います。
 よろしくお願いします。霧野です。

●シナリオについて
 海の底に招くオブリビオンを、新月に現れる島の上で戦って倒し、星灯りのランプのお祭りを楽しむ。
 そんなシナリオです。

 一章:激浪せし水棲馬の群れを倒してください。
 集団戦です。
 二章:深淵の怪物を倒してください。
 海底に引きずり込まれても、泳いだり浮き上がって島の上に戻ってくることが可能です。
 ボス戦です。
 三章:星灯祭の夜を楽しんでください。
 日常です。

●複数人で参加される方へ
 どなたかとご一緒に参加される場合、プレイングに「お相手の呼び名(ID)」を。
 グループ参加を希望の場合は【グループ名】を最初に参加した章にご記入いただけると、助かります。

●アドリブ・絡みの有無について
 割とアドリブ入れることがあります。
 以下の記号を文頭に入れていただければ、絡まなかったり、アドリブ入れなかったりさせていただきます。
 △ アドリブ歓迎・絡みNG。
 × アドリブNG・絡みNG。
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第1章 集団戦 『激浪せし水棲馬』

POW   :    血染めの魔角
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
SPD   :    貪り喰らうもの
戦闘中に食べた【人肉】の量と質に応じて【魔力を増幅させ】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    欲深き者共へ
【欲深き人間達に対する怨嗟の呪い】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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 新月の夜、海の中の小島が潮の干きに伴い現れた。
 ゴツゴツとした岩と湿った砂の周りには、水に棲み、人に恨みを抱いた幻獣の馬達。
 深海の怪物の参加となって海辺の人を襲い、引きずり込む水の妖。
 何匹も島の周りを陣どって、猟兵を引きずり込もうと待ち構えていた。
アイリス・ファル
「ごめんなさい…。あなた達の願いを見過ごすわけにはいかないんです。」

竜魂召喚によって巨大なドラゴンを召喚し、炎のブレスによる攻撃を主軸とした(範囲攻撃)を行います。私は竜の後方で放たれた攻撃に対する対処や攻撃する対象を決めるなどの指示を出しながら、攻撃を放とうとする個体や近づいてきた個体がいればイピリアを使った火炎弾で狙撃します(スナイパー)。攻撃が放たれてしまった場合には召喚した竜の巨体と防御力で防いでもらいます。




 月のない夜の海、魚の尾が海面を叩く。蹄が水を蹴る。
 かつて人間に追い立てられた幻獣の馬達は、自身の恨みと統率者の命に従い、近くの人間を襲う。
 そう、この場に現れた猟兵も対象として。
 水棲馬の怨嗟の念を、淀んだ瞳を向けられたアイリス・ファル(竜の巫女・f04666)は両の手を胸の前で祈りの形に結んだ。
「ごめんなさい……。あなた達の願いを見過ごすわけにはいかないんです」
 寂しいから、憎いから。人を招いて殺す。そしてずっとそばにいてもらう。
 その願いを見過ごすことはアイリスにはできない。
 彼女は人を愛しているから。世界を愛しているからこそ、守りたいと思うのだ。
 一度青い目を閉じた彼女の祈りに応えるように現れたのは、巨大な竜の霊。
 アイリスを守るように、水棲馬の前にその体躯で立ちふさがり、口内に青い炎を抱く。
 突如現れた竜に対し、水棲馬達は動揺する様子も見せず、アイリスへと向かってくる。
 海へと引きずり込んで、殺すために。
 その身に宿る怨嗟に突き動かされるままに。
「竜よ、あちらの群れを」
 自身に向かってくる群れをアイリスは示し、竜の霊は応じて炎を吐きかける。
 風を巻き込む呼吸音と共に轟々と吐き出された炎のブレスは、こちらへと向かってくる水棲馬の群れを包みこんだ。
 直撃を受けた個体はすぐに消えていく。 僅かに残った個体も直に燃え尽きる。
 膨大な熱量の炎に巻かれた水棲馬達は嘶きを上げて燃やされていく。
 ほんの僅か、炎から逸れた馬は怨嗟を呪いに変えてアイリスを、竜を、同胞を呪う──はずだった。
 アイリスが構えたマスケット銃、魔法銃<イピリア>が赤い火線を夜に弾く。
 呪いを放つ前に水棲馬も、同胞と同じく炎に包まれたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルコ・アーラ
■心情
寂しいから、人々を海に引きずり込む、ねぇ……?
確かに気持ちはわからなくもないけれど、だからと言って放っておく訳にもいかないのよね

■戦闘
天が導くは光陰の矢鏃で攻撃するわ
なるべく距離を取って攻撃するようにして、他の猟兵が居るようなら【援護射撃】もしていくわね
さて……どれだけ出てくるかしらね?

■その他
アドリブ等は大歓迎よ




 新月の夜に現れた島から離れた海辺で、アルコ・アーラ(空渡り・f21945)は弓を構えた。
 青の視線の先に蠢くのは、亡霊のようなような水棲馬達。
 怨嗟を写すその目は、水に濡れて重く絡まる鬣は、アルコの苦手なおばけを連想させて少し身震いさせられる。
(うーん、あんまり長く見たくはないなぁ)
 けれど不気味だから、と相手しないわけにもいかない。
 苦手な思いをを振り払うように首を振って、アルコは矢をつがえる。
 意識を一点に絞り、10を数える間集中すれば、アルコの目に映る世界は近くなる。
 遠くまで見通し、確実に矢が届くかのように。
 遠くに見える馬がこちらに気づいて動き出すのが見えた。
 水を蹴立て、尾で泳いでこちらにやってくる。
 アルコが弓引いて手を離せば、先頭を走る一頭の目に矢が突き刺さる。
 嘶きを上げて倒れる一頭を避けて泳ぐ後続の一頭の目にも、また一本。
 矢を放てば放っただけ、正確に群れの馬達の目を射抜いていく。
(さて……どれだけ出てくるかしらね?)
 まるで天が導くかのように、泳ぐ馬という変則的な動きの水棲馬を射止めていく。
 距離を詰められれば離れ、離れ過ぎれば近づき、距離を保って水棲馬を海の藻屑へ変えていく。
 その最中、ふと思うのだ。
「寂しいから、人々を海に引きずり込む、ねぇ……?」
 ひとりきりは寂しいから。
 だから海へと引きずり込んで留める。
 今回相手にするオブリビオンはそんな理由で人を襲うのだという。
(確かに気持ちはわからなくもないけれど……だからと言って放っておく訳にもいかないのよね)
 だからまずは水棲馬の群れを倒す。
 他の猟兵の援護も行いながら、アルコはできるだけ距離を維持しつつ、矢を射ち込んでいくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マリア・フォルトゥナーテ
アドリブ、連携歓迎

「海は、この私です!私の許可なく好き勝手する怪物など退治しなければ!」

他の猟兵の方々は海辺で動くでしょう。ならば、私は海底も潜航可能な幽霊船フライングダッチマン号とペットのクラーケンで海中の水棲馬を撃退します。

私は舵取りで動けないので、水棲馬は船の砲撃で倒しつつ、私を狙う敵は10本の剛腕を持つクラーケンに守ってもらいます。

もし海辺の猟兵さん達が苦戦しているようならば、海面に浮上して、援護砲撃も行いますし、船の乗組員である悪霊達を海辺に差し向け、サーベルやピストルなどで支援もしましょう。

「海で死んだ者をあの世に送るのが私の仕事。この船の役割。少女の霊は私が導いてあげなければ」




 海に因んだ名を持つマリア・フォルトゥナーテ(何かを包んだ聖躯・f18077)は、海辺で呼び寄せた船に乗り込み、舵を握る。
「海は、この私です! 私の許可なく好き勝手する怪物など退治しなければ!」
 気合を入れた言葉を出向の合図とし、幽霊船フライングダッチマン号が出港する。
 海辺は他の猟兵に任せてマリアは幽霊船よ海を征く。ペットのクラーケンも側を泳いで一緒に進んでいく。
 遠浅の海は船体すべてを海に隠せはしないけれど、船底ギリギリまで海底に近づけた。
 普通の船ならば進むのも難しい遠くまで浅い海を、幽霊船は悠々と進んでいく。
 新月に浮かび上がる島の周囲には、既に水棲馬の群れが集っているのが見える。
 それらを視認したマリアは、幽霊の船員に指示を出した。
「砲撃用意です」
 すぐに悪霊の船員達は船の側面に設置された艦砲に弾を込め、着火。
 確実に狙い、海中で自在に泳ぐ水棲馬に砲撃を浴びせてゆく。
 上から降り注ぐ砲弾に倒れる水棲馬。
 今まで海中に現れてなぎ倒す敵がいなかった馬達は一瞬気圧されるが、すぐに群れ成して船へと押し寄せる。
 怨嗟を呪いに変えて、同じ群れが傷つくのも構わずに呪いを幽霊船へと向けていく。
「クラーケン!」
 けれどもその怨嗟は届かない。
 彼女の忠実な海の魔物が、自身の十の剛腕を呪いの前に並べ、怨嗟を受け止める。
 剛腕は揺るがず受け止め、多少の傷はすぐに塞がった。
「海で死んだ者をあの世に送るのが私の仕事。この船の役割。犠牲者の霊は私が導いてあげなければ」
 強い使命感と共にマリアは舵を強く握る。この怨嗟に塗れた幻想の馬の群れを、まずは一掃するのだと。
 主の意を受けた船と悪霊達は、水棲馬の群れをどんどん屠っていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒鵺・瑞樹
△戦闘連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

寂しさも求める気持ちもわかるけど…。
しかしこの馬、どういう風に水中で動くんだろうな。

【存在感】を消し【目立たない】様に死角に回り、可能な限り【奇襲】【暗殺】を乗せたUC五月雨で攻撃。
同時に投げられるだけの飛刀も投擲、なるべく多数へダメージを与えるようにする。
確殺できなくとも動きの制限狙いで【マヒ攻撃】をし、かつ【傷口をえぐる】でよりダメージ増を狙う。

基本相手の攻撃は【第六感】で感知、【見切り】で回避。
回避しきれないものは黒鵺で【武器受け】して受け流し、胡で【カウンター】を叩き込む。
それでも喰らってしまうものは【激痛耐性】【オーラ防御】で耐える。




 黒鵺・瑞樹(界渡の宿り神・f17491)は右手に打刀の胡、左手にナイフの黒鵺を携えて、新月の夜、浮かんだ島へ降り立った。
 気配を殺し、近くの水棲馬の群れの死角へと潜み進みゆく。
(孤独の寂しさも、誰かを求める気持ちもわかるけど……)
 姿勢を低くし静かに、広い馬の視野を避けて進む最中、此度のオブリビオンについてふと思う。
 ひとりきりは寂しいから、他の魂を求める。
 ひとりきりは寂しいから、他の骸を求める。
 孤独を厭う気持ちはわからなくはない。
 目覚めた己がひとりきりだったら、と考えてしまえば納得できるのだ。
 けれど、それを理由として生者を害するのを見過ごせる訳がない。
 そんな気持ちを抱いて島の沿岸まで潜んでやってきた。
(しかしこの馬、どういう風に水中で動くんだろうな)
 少し観察すれば、魚の尾で水をかき、蹄で水を蹴ってかなりのスピードで泳いでいる。
 普通の馬でも魚でもない、水中を自在に動き回る不思議な動きはかなり変則的だ。
 そんな近くの群れに瑞樹は自身である黒鵺を五十五本生み出し、バラバラに動かして水棲馬の死角から首を切っていく。
 間髪入れず投擲ナイフの飛刀も掴めるだけ掴んで投げつけ、皮を切っていく。
 うまく首を切り裂けた個体は消滅し、消滅せずとも傷つけられた個体は麻痺させられて動きが鈍っていく。
 住処に積もった骸を食わせるつもりもない。
 ただひたすらに馬達を屠り、海へと還していく。
 先程観察した動きを元に、幾つも自在に飛び回る黒鵺達は水棲馬の首を抉り、瑞樹が掴んで投げる飛刀は目や関節に刺さって動きを鈍らせる。
 飛びかかって来た水棲馬の噛みつきは左の手に持つ黒鵺本体で受け流し、逆の胡で首を切り落とす。
 この場の群れを殲滅するまで、黒鵺の舞が止むことはないのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ステラ・アルゲン
カガリ(f04556)と

私は海が苦手だ
過去が原因で近づくのが怖かった
いや、貴女に出会ってしまいそうで……だから海を避けていた
呼び声が聞こえる
今度のはきっと幻聴じゃない
私を呼ぶのは貴女か?

……また出会いましたね
あの水棲馬と再び出会うとは
何度も出てくるなら何度でも倒して導きましょう
その怨嗟と未練を断ち切るように

守りはカガリに任せるが【オーラ防御】で手伝いはする
【高速詠唱】で【力溜め】をし【流星撃】を
技の衝撃で大波も作り敵を巻き込もうか

この衝撃はきっとあの子にも届いているはず
気が付いてくれるだろうか

あの子の元に行かないといけない
もう避けてはいけない。あの子を……止めないと
カガリ、付いて来てくれるか?


出水宮・カガリ
ステラ(f04503)と

新月の日にだけ現れる島、とは
何とも不思議な…
いや、それより。その、水底のものは、もしや

その前にまずは、馬の方だな
【籠絡の鉄柵】を大型化して、カガリとステラを囲うぞ
大波程度では、この壁は流されないからな
そのまま【駕砲城壁】で引き摺り込もうとする水流を受け止めて、光弾で反撃しよう
追撃とトドメはステラに任せる

この馬もまた、ひとへの強い恨みを持つのか
ひとへ害為すなら、カガリはやはり退けるのみだが…

ステラ、ステラ
どうした、何か感じるのか
あの子、とは…(海を見て、ステラの手を両手で取り)
ん。行こう、ステラ。カガリが一緒だ。
大丈夫。怖くない、ぞ。




ステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)と出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)は、新月に浮かび上がった島に二人並んで降り立つ。
「新月の日にだけ現れる島、とは。何とも不思議な……」
 黒い岩に濡れた砂、所々に海藻が生えており、海底に沈んでいたときは小魚や貝もいただろう。
 カガリの隣のステラは海を見つめて、手を握りしめる。
 ステラは、海が苦手だ。
 流星剣の形を作る前、隕石であった頃。叶えた願いが災厄をかたどってしまった過去。
『しにたくない。たすけて。ひとりぼっちになりたくない』
 切なる願いを叶え、少女の魂を留め、少女と同じ存在が乗る船を沈め、死者を留めた。
 そんな災厄の記憶が怖かった。
(それに、貴女に出会ってしまいそうで……だから海を避けていた)
 ステラの耳に呼び声が聞こえる。
 深海から星を呼ぶ声が聞こえる。
『──あいたいの』
 今まで海に近づく度、聞こえる気がしていた声。けれど今聞こえる声はきっと幻聴ではない。
「私を呼ぶのは貴女か?」
『あいたいの、あの星に。ねがいをかなえてくれた星に。ひとりきりはさびしいだろうから』
 声に応えるように、少女の声が聞こえる。
『ねがいをかなえてくれた星。あなたもさびしくないように、いっぱい、いっぱいあつめたの。ねえ。あいたいの、いっしょにいよう──』
 深海から誰かを呼ぶ声が聞こえる。
 海の底に揺蕩う影が浮かび上がる。
「その、水底のものは、もしや」
 カガリの声を遮るように水音が激しくなった。
 深海からの声に、浮かぶ影に命じられたかのように、水棲馬達がステラとカガリに襲いかかってきたのだ。
「……また出会いましたね」
「この馬もまた、ひとへの強い恨みを持つのか。ひとへ害為すなら、カガリはやはり退けるのみだが……」
 かつて水と花の街のほど近い、森の湖でも出会った水棲馬。
 此度は海の中から水を尾でかき、蹄で蹴って、人間に虐げられたことへの怨嗟を込めた目で睨んできた。
 赤い魔角をひとふりすれば、風をはらんだ津波が二人を飲み込もうと立ち上がる。
「守りは、任せろ」
「手伝う」
 カガリは籠絡の鉄柵を巨大化させ、波で二人が引きずり込まれぬよう固定する。
 ステラも柵へとオーラを纏わせ、防御を強化した。
「大波程度では、この壁は流されないからな」
 そのまま押し寄せる波を、受け止めた。
 カガリの柵に体に、触れた波と風は光弾となって水棲馬へ跳ね返り、水棲馬を焼いていく。
 怒りに嘶く水棲馬の群れにステラは静かに剣を向けた。
「ステラ、追撃とトドメ、任せた」
「ああ。何度も出てくるなら何度でも倒して導きましょう」
 柵を飛び越え、水棲馬の頭上で今まで溜めた力を剣に乗せて振り下ろす。
 その怨嗟と未練を断ち切るように
 流星が落ちたような衝撃が水棲馬の群れに襲いかかる。次いで生じた大波は群れを飲み込み、海へと還していった。
(この衝撃はきっとあの子にも届いているはず)
 海の底に揺らめく影を見つめる。気が付いてくれるだろうか──。
『──みいつけた』
 少女の声が響く。探していた星に気がついたのだ。
 ステラは島へと降り立ち、海を見つめる。
「あの子の元に行かないといけない。もう避けてはいけない。あの子を……止めないと」
「ステラ、ステラ。どうした、何か感じるのか。あの子、とは……」
 呟くステラの手を、海を同じように見つめたカガリは両手で握る。
 ここにカガリがいる、ステラはひとりではないと教えるように、温めるように。
 握られた手を追うように顔が動き、、ステラの瞳が心配そうなカガリの瞳を見つめる。
「カガリ、私は彼女に会いに行かなくてはならない。付いて来てくれるか?」
「ん。行こう、ステラ。カガリが一緒だ。
大丈夫。怖くない、ぞ」
 ステラの宿敵、星に願いを叶えてもらった少女、深海の怪物に会いに行くため。
 ステラとカガリは先に進む。
 繋いだ手がひとりではないと教えてくれていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

小宮・あき
アドリブ、連携、歓迎します。
距離を十分に取って、海と向かい合いましょう。

UC【神罰】

祈りの力によってレベルm半径の光の柱で攻撃するUC。
強力なスポットライトのようなもの。物質は透過します。
半径「53」m、直径106mの柱は、光属性の〔属性攻撃〕の〔全体攻撃〕〔範囲攻撃〕。
現役聖職者である私の〔祈り〕は常に神に注がれています。〔先制攻撃〕〔高速詠唱〕

〔視力〕〔聞き耳〕〔第六感〕〔野生の感〕で気を配る。

光の柱を抜けてくる敵にはマスケット銃から遠距離攻撃。
〔スナイパー〕で確実に仕留めていきましょう。

独りは寂しい…かあ。
私は常に周りから愛されていましたし、愛していましたから、あまりよく判らないわ。




 小宮・あき(人間の聖者・f03848)は、淡いピンクの髪をなびかせて、少し離れた浜辺で海と向き合う。
 彼女が真摯に神に祈りをささげれば、3km弱距離を取った島がしっかりと見えた。黒い岩と濡れた砂、海藻、そしてその周りには、怨嗟に瞳を濁らせた水棲馬の群れ。
 人への怨みを、怒りを嘶き、魚の尾で水をかき、馬の蹄で水を蹴り、島に上陸した猟兵達へと襲いかかっている。
 島から少し離れた位置からも、水棲馬の群れが現れていた。
 それらを視認し、あきは愛用のマスケット銃を構えず携えたまま、そっと呟く。
「神罰を与えましょう」
 敬虔な信者であるあきの祈りは彼女の神に届く。常に捧げられている彼女の祈りに、すぐに神は応えた。
 直径100mを超える光の柱が島から少し離れた位置にいる水棲馬の群れを包み込む。
 あきが見つめる中、強力な光の力は見える限りの水棲馬を焼き尽くし、浄化していく。怨嗟を込めた呪いも、存在も、悲しみも全て。
 海の中にいた水棲馬も、海面に現れてあきが視認すれば対象だ。
 けれど光の柱の範囲から離れてあきから向かってくる個体がいるかもしれない、
 一応マスケット銃を構えて、聞き耳を立てて警戒するあき。
 じっと水棲馬の群れを確認し、警戒している彼女は、一つ、呟きをもらした。
「独りは寂しい……かあ」
 事件を起こしたオブリビオンの動機について、あきはふと考える。
 独りが寂しいというから、こんな風に無理矢理人を集めるというのはどういった気持ちなのだろうと。
(私は常に周りから愛されていましたし、愛していましたから、あまりよく判らないわ)
 常に誰かがそばにいてくれる、そばにいる誰かを愛しているから。
 今回のオブリビオンの気持ちを判じることは、あきにはうまくできなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

落浜・語

【ヤド箱】四人で
あー…うん。多少同情はするけど。
だからって、オブリビオンになって被害出すなら、放っては置けないからな。

UC『人形行列』を使用。
いつもなら爆破するだけなんだが、ちょっと今回は小細工も弄してみようか。
あらかじめ、周囲には近づかないように注意喚起を。
人形の爆破でもってダメージを与えるとともに、仔龍に協力してもらって、巻き上がった海水へ雷【属性攻撃】を。
威力は大したことないが、それでも【範囲攻撃】かつ感電でダメージにはなるだろうし、ならなくとも一瞬ぐらいは隙が作れればいいなと。

こちらへの攻撃はある程度【見切り】躱せたら。


ペイン・フィン
◎【ヤド箱】

……人を喰らう馬、か
来歴は、正直悲しいものだし
同情もしているよ
……でも、だからといって、罪無き人に手をかけるのは、ね
だからせめて、貴方たちの苦しみを、終わらせよう

コードを使用
複製するのは、スタンガン“ニコラ・ライト”と毒湯“煉獄夜叉”
複製した”夜叉”を海水に混ぜて、迷彩、目立たない、ものを隠すで目立たなくしておく
“ニコラ”のほうはむしろ存在感を出しながら、気絶、マヒを乗せた電撃属性攻撃
そしてちょうど良いタイミングで、雷を受けた海水ごと“夜叉”を操作して、暗殺とだまし討ち
雷が、より多くの敵を巻き込むように、そして、仲間には向かわないように、念動で操作

せめて、仲間の元へ、行けると良いね


吉備・狐珀
【ヤド箱】ファン殿、ペイン殿、語殿と参加です ◎

元々は人懐っこい優しい子達だったそうですが、魔具を作るために乱獲されてしまったと聞きました…。
なので、人を恨むのも仕方がないのでしょうが、だからといって見過ごすわけにはいきませんね。

UC【稲荷大神秘文】使用。
(祈り)をこめて祝詞を唱え仲間を(鼓舞)し、(属性攻撃)の強化と無差別攻撃に対して(激痛耐性)の(オーラ)を纏わせ防御面の強化をします。

月代、あなたも雷を起こして手伝ってくれますか?
敵が海面から出てきたり、仔竜が雷を起こすのを邪魔するようなら人形を操り炎を飛ばして、(援護射撃)します


ファン・ティンタン
【SPD】射て突く、綺羅星の如く
【ヤド箱】4名

気になる相手が居るんだけれど…
まずは、邪魔な雑魚を片付けようか
…ん、馬魚だったかな?

【天羽々斬】で【天華】を複製
思えば、もう55本も作れるようになったんだ、感慨深いね
敵の餌になりかねない人が付近にいるか確認
その上で【念動力】で複製の射出操作しつつ敵の行動を阻害、同時に【串刺し】て攻撃しようか

…ん
語が海へ【範囲攻撃】をするようだし、水からは離れておこう
私も帯電する【歓喜の細剣】を海へ投げ込ん…だら流石に扱いが雑過ぎるね
人様からの物は大事に、だよ
じゃ、素直に海へ大放電、雷【属性攻撃】増し増しで
敵が海面から出るようであれば、心置きなく複製刀で撃ち落そうか




 ヤドリガミの箱庭の一行は新月の夜に浮かび上がった島に降り立った。
 島の周りには既に水棲馬が集まり、他の場所では戦っている猟兵もいるようだ。
 落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)、吉備・狐珀(神様の眷属・f17210)、ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)、ファン・ティンタン(天津華・f07547)も早速水棲馬の群れの一つに相対する。
 怨嗟に満ちた目に、肉を喰おうと歯を剥き出しで威嚇し、水の中を魚とも馬ともつかぬ動きで駆け巡る。
「うわぁ……話に聞いていたが、かなり怨みを抱いてる感じだな」
「……人を喰らう馬、か」
「随分とやんちゃだね」
「元々は人懐っこい優しい子達だったそうですが、魔具を作るために乱獲されてしまったと聞きました……」
 人に追われ、その身を削がれ、奪われ、追いやられた怨みを抱いて蘇ってきた水棲馬達。
「なので、人を恨むのも仕方がないのでしょうが、だからといって見過ごすわけにはいきませんね」
「あー……うん。多少同情はするけど。だからって、オブリビオンになって被害出すなら、放っては置けないからな」
「うん。……罪無き人に手をかけるのは、ね」
 水棲馬のその来歴に同情する点も多いし、皆悲しみも抱いている。
 だからといって世界に、人々に害をなすのならば放っておくことなどできないのだ。
「はい。せめて安らかに」
 狐珀はしゃん、と携えた神楽鈴を鳴らして場を清め、朗々と祝詞を唱え始めた。
「掛巻も畏き天狐地狐空狐赤狐白狐 稲荷の八霊五狐の神の光の玉なれば 浮世照らせし猛者達を守護し給う 禍事一切を祓い給う清め給うと 慎み恐み申す」
 この場を清め猟兵を守護したまえ、と稲荷大神へと申し上げる祝詞が鈴の音の清浄な調べに乗せられ、辺り一帯に響き渡る。
 呪いや怨嗟はこの中なら弱まるだろう。それが水棲馬は不快なのか、嘶きを上げて一行へと近寄る動きを見せた。
 同時にオーラが仲間を包み込み、痛みに耐える力をもたらす。
 祝詞で強化される中、語の側の文楽人形の見頃から、小さな人形達が躍り出た。
 常ならば爆破して終わりだが、此度は海の中の相手。少々小細工も使ってみることにする。
「ちょっとこっちに寄らないようにな」
「……ん」
 語の注意を聞いて水辺から離れた一行。
 近づく水棲馬を狐珀の人形が炎で牽制している間にファンとペインは肩を並べ、突破するための器物を複製する。
「気になる相手が居るんだけれど……まずは、邪魔な雑魚を片付けようか」
 ファンが気になるのは、水棲馬を統べて人を攫う怪物だ。それに会うためにも、まずは目の前で群れている水棲馬を突破しなくてはならないのだ。
「……ん、馬魚だったかな?」
「どっちかといえば、そうかも?」
 二人でいればそんな軽口を言う余裕さえあった。
 凍てつく綺羅星の如く、新月の夜に天華が舞う。ひらりくるりと舞う白の刃はその数五十五、一つ残らずファンの意のままに舞い踊る。
 雷光が見えるほどに強い出力のスタンガンに、ただの水と見えるほどの毒薬が揺らめく。ペインの意思に応えた複製は、片や荒ぶる雷を起こして威嚇し、片や隠れるように海水へと紛れゆく。
(思えば、もう55本も作れるようになったんだ、感慨深いね)
 最初は十を作るのがやっとだった頃に比べれば大きな進歩だ。
「行くよ」
 ファンは戦う生者も海に沈んだ死者も食われぬよう、複製を幾つも射て、突いて水棲馬を貫いていく。
「せめて、貴方たちの苦しみを、終わらせよう」
 ペインは警棒型のニコラ・ライトを大きく動かして水棲馬にぶち当て麻痺させながら気を引く。海の中から出てくるなと言うように。
 その傍らで列をなした小さな人形達が海へと飛び込み、水を自在に駆け回る水棲馬へと近づいていく。
 うざったく思ったのか、一匹の水棲馬が蹄で人形を蹴り飛ばす。
 即座に人形は爆発、側の別の人形と連鎖してさらに爆発を巻き起こす。
 蹴りつけた水棲馬は爆破にまともに巻き込まれて消え、周りの水棲馬は海水と一緒に巻き上げられた。
「仔龍、手伝ってくれ」
「月代、あなたも雷を起こして手伝ってくれますか?」
 襟元にはまった鈍色と、よく似た姿の月白色が呼ばれ、雷を起こして痺れさせていく。
 海中から引きずり出され、傷つけられた水棲馬の怨嗟の呪いは、狐珀の祝詞に清められ語に届くことはない。
 ひとがたをなしたヤドリガミ達の肉を、海中の屍の肉を食らうことも出来はしない。
 たっぷり雷を浴びたあと、それでも生きている水棲馬は海中へと戻り、自身に有利な環境で戦おうとした。
 けれどそんな余裕は与えられない。
 先程の語に便乗して、雷の魔力を放つ歓喜の細剣をそのまま海に放り込もうかと思ったが──。
「流石に扱いが雑過ぎるね」
 人様から頂いたものだ、もう少し大事に扱うべきだろうと片手に握る。どことなく安堵した気配が細剣から伝わる気がした。
 素直に海へと細剣を向け、存分に雷を大放電してみせる。
 慌てて逃れようとする水棲馬達に海水が絡みついた。
「逃げられない、よ。せめて、仲間の元へ、行けると良いね」
 ペインが先程海に混ぜた煉獄夜叉を意のままに操って、帯電した海水で包んでいく。仲間の方に雷が行かないように。より多くの水棲馬を巻き込めるように。
 水に縛られ、雷に焼かれ、海の上に出ようとすれば、炎や人形、剣や警棒で沈められて、水棲馬の群れは消滅していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『深淵の怪物』

POW   :    いっしょに、おちて
【荒れ狂う津波】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を深海の底に変化させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    みんな、しずんで
自身からレベルm半径内の無機物を【深海に沈ませ引き込む大渦】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
WIZ   :    わたしといっしょに、ずっといてくれるよね?
自身が【孤独や寂しさ】を感じると、レベル×1体の【深淵へ誘う亡霊】が召喚される。深淵へ誘う亡霊は孤独や寂しさを与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
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 新月の夜の中、少女の声が聞こえる。
「──ひとりきりはさびしいの」
 星明りの下蠢く影は、異形の姿。
 打輪を抱えた骸骨を、無数の骸をそばに留め、魂を縛り付けた怪物の声。
「──そばにいてくれるよね」
 浮かび上がり、島に降り立った場所は深海の様相に変わり少女の力を増していく。
「──あいたかった」
 あなたたちも、いっしょにいきましょう、と手を差し伸べて。
 宿縁の星を、猟兵達を海底へと招き寄せる。
アルコ・アーラ
■心情
こんな形で出会わなければ、また違った運命もあったかもね……オブリビオンになっている時点でそれこそ今更な話かしら
背後の骸骨はちょっと怖いけど、そうも言ってられないわよね!
ーーせめてもの手向けとして、この流星の矢と共に沈みなさい


■戦闘
基本的には足場がある場所から技能:援護射撃で他の猟兵を援護しつつ攻撃するわ
敵の攻撃で足場が大渦に変えられたら、ブーツに籠められた魔力で空中を蹴って(技能:空中戦)、次の足場に移動するかそのまま空中から矢を放つわ
隙ができたら、ユーベルコードで敵を射つわね

■その他
アドリブ等は大歓迎よ




 さびしいと、そばにいて欲しいと願う少女のなれのはてを見て、アルコは哀れに思う。
「こんな形で出会わなければ、また違った運命もあったかもね……オブリビオンになっている時点でそれこそ今更な話かしら」
 せめて違う形で、少女が過去へと変わる前に出会えていれば、寄り添うこともできたのかもしれない。
「──?」
 たとえそう言われても、今の少女にはアルコを深海に留めようという意思を変えることはない。
 骸の海から蘇った時点で、彼女は怪物へと変わり果てたのだから。
 深海の怪物が動き出す。
「──しずんで、いっしょにいきましょう」
 少女が自分の周囲の岩や地面を大渦に変えていく。
 アルコは島の上を弓を構えたまま、深海の怪物から距離を取る。
 彼女の獲物はロングボウ。もちろん離れたほうが有利だ。
 他の猟兵の援護に時折素早く骸骨や少女の動作を牽制するように矢を射ち込んで、ひらりひらりと服とまとめた紫の髪を翻し、岩から岩へと軽々と飛び移って行く。
 そうやって飛び回っているうちに、深海の怪物が生み出した大渦は、一度岩の上に降り立ったアルコの足元にも迫る。
 足元の岩が消えてすべてを深海に引きずり込む渦に変わる瞬間、空中を強く蹴って、空を渡る。
 アルコは渦の範囲から逃れた上空から視界に怪物を捉えて狙いを定め。
(背後の骸骨はちょっと怖いけど、そうも言ってられないわよね!)
 少女の後ろから、虚ろに開いた眼窩を向けてくるおどろおどろしい骸骨の群れは不気味である。
 けれどその恐怖を乗り越えて、しっかり見据えて魔力を矢に溜めていった。
「──せめてもの手向けとして、この流星の矢と共に沈みなさい」
 怖さを飲み込んで、少女への哀悼を込めて放った輝く流星の矢は、少女の背後の骸骨の半分を消し飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒鵺・瑞樹
アドリブ戦闘連携OK
真の姿解放で金目に。

一人が寂しいのなら、自分の元にとどめるんじゃだめだ。
自分から寄り添わないときっとどこかで破綻する。
君が縛り付けてるものが温かみのない骸である事が、物言わぬ魂なのがその証拠だろう。
それとも俺と一緒に来るか?

右手に胡、左手に黒鵺の二刀流
UC鳴神で攻撃力強化。
連携するなら【存在感】を消し【目立たない】様に死角に回り、可能な限り【奇襲】【暗殺】【マヒ攻撃】を乗せた攻撃。

敵の攻撃は【第六感】で感知、【見切り】で回避。
回避しきれないものは黒鵺で【武器受け】して受け流し、【カウンター】を叩き込む。
それでも喰らってしまうものは【激痛耐性】【オーラ防御】で耐える。




「──さびしいの」
 失った骸骨を深海の底から引きずりあげた新たな骸で僅かに埋め直す。ダメージを回復したわけではなく、ただ少女が寂しさで埋めただけのようである。
 けれどその姿を見て、瑞樹は一度目を閉じた。
 再び開いたその目は月光の金。
「一人が寂しいのなら、自分の元にとどめるんじゃだめだ。自分から寄り添わないときっとどこかで破綻する」
 右に胡を、左に黒鵺を携えて距離を詰めながら、瑞樹は頑是ない子供に言い聞かすように言う。
 立ち止まった自分のそばに縛り付けていても、それが相手の望みだとは限らない。
 その意に沿わなければ歪な関係にしかならず、いつかは軛を外して、関係を壊して離れるだけだ。
「君が縛り付けてるものが温かみのない骸である事が、物言わぬ魂なのがその証拠だろう」
 抱きしめる腕も、ぬくもりも与えられないのだから。そんな骸と一緒にあることが幸せではないだろう。
「それとも俺と一緒に来るか?」
 もしも縛られずに、一緒に行くなら、と優しく声をかけてみるが。
「──いっしょ。いっしょに、おちて」
 既にオブリビオンと成り果てた少女には、月の眷属と一緒に行くのではなく、自分のもとに堕ちて欲しいと、津波を呼び起こした。
 何もかも飲み込んで引きずり込もうとする大きな津波が瑞樹へと襲いかかる。
「そうか」
 波に飲み込まれる前に、それを感知していた瑞樹は動き出す。
 自身の存在感を殺し、世界に溶け込んでから十分に波を避けて大きく回り込み、少女の見えぬ背後へと立ち回る。
 上から一閃、斜めから一閃。物言わぬ冷たい骸の群れへと月光色の二筋の光が走った。
 世界を渡る力に、月の神と龍の力を身に宿し威力を高めた瑞樹の打刀と短剣の斬撃は、少女の足の鎖と、背後の骸骨の四分の一を削ぎ落とした。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイリス・ファル
「あなたの孤独は癒してあげたいです。でも、それで悲しむ人もいるから…あなたの手は取れません。」

[真の姿解放]右腕に刻まれている竜紋が赤く発光し、頬まで広がります。

身体に天竜の加護を宿し、肉体を超強化して、ドラゴンランスによる接近戦を仕掛けます。加護が強すぎて、身体から流血しますが、それは無視します。【衝撃波】を放って現れた亡霊や骸骨を振り払い、本体に【串刺し】をします。

海底に引きずり込まれた場合は強化された脚力を利用して、無理やり海から跳び出た後に、イピリアに天竜の加護によるエネルギーを全て込めて『深淵の怪物』に向けて撃ちます。

教団にいたままだったら、私もこんな風になっていたのでしょうか…?




「──いっしょにいてくれないの?」
 これまでの普通の人間と違って、たやすく海に沈んでくれない猟兵達に不思議なように首を傾げる深海の怪物。
 今までは簡単にそばにいてくれていたのに。
 そんな少女にアイリスは穏やかに拒絶を告げる。
「あなたの孤独は癒してあげたいです。でも、それで悲しむ人もいるから……あなたの手は取れません」
 ひとりきりは寂しいのは、アイリスも知っている。
 竜達の霊は側にいたけれど、肉体はない。教団で祀られていたけれど、親愛のこもった触れ合いは多くなかったのだろう。
 だからといって、この少女の孤独を癒やすために人を海に連れ去らせ、世界を壊させるわけには行かないのだ。
 連れ去られた人の大切な人が、世界に暮らす人々が悲しむのだから。
「──おちて、いっしょにいよう」
 告げられた拒絶など聞こえなかったかのように、深海の怪物は津波を招く。
 ただただ、ひとりになりたくないという願いのためだけに。
(教団にいたままだったら、私もこんな風になっていたのでしょうか……?)
 寂しさから貪欲に自身のそばに、竜や誰かを縛り付けようとする怪物に。
 自分のあったかもしれない未来を見据えるアイリスの右腕に刻まれた竜紋が赤く光り、侵食するかのように右頬まで広がっていく。
 あまりに強き天竜の加護をその身に宿したことで、弱い肉体のあちこちが裂けた。
 じわりと赤い色を青いローブに滲ませて、アイリスはドラゴンランスを握る。
 勢い良く振り払えば、竜の羽ばたきの如き衝撃波が生じた。
 その進路にいた亡霊や骸骨をたやすく振り払い、少女までの道が開かれる。
 引きずり込もうと到達した津波を掻い潜り、接近してランスを振りかぶる。
 赤い涙を流すアイリスのランスが、深海に変わった島に立つ少女の左足を貫いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

小宮・あき
なんだか、憐れ、ですね。
“ひとりは寂しい”とか“みんな沈んで”とか。
あなた結局、自分が可愛いだけじゃないですか。
相手の事を一切考えず、自分だけ、自分が、自分自分自分。
あなたは心から、誰かを愛した事も、愛された事も、ないのね。 

UC【ひとめぼれ】
私の愛する夫のイニシャルを刻んだマスケット銃。
【クイックドロウ】【早業】も乗せてレベル分の1秒(53分の1秒)で発射。
【スナイパー】【遠距離射撃】で少女の頭部や腹部を狙うわ。

無機物も確認出来たら打ち抜いて距離を遠くにしておきたいな。

【視力】【聞き耳】【第六感】【野生の感】で気を配る。
【回避】は脚武器の【ダッシュ】と併せて確実に。
万が一の【水泳】も。




 桃色の髪が夜風になびく。
 皆に家族に愛された娘は、愛されずに怪物になった少女に囁いた。
「なんだか、憐れ、ですね」
「──?」
 不思議そうに首を傾げる少女の姿をした怪物に、あきは彼女の感じたままを告げる。
「“ひとりは寂しい”とか“みんな沈んで”とか。あなた結局、自分が可愛いだけじゃないですか」
 あまりに独りよがりな要求を押し付けて、ただ与えられることを望むだけの怪物。
 そこに相手への思いなんて少しも乗っていない。
「相手の事を一切考えず、自分だけ、自分が、自分自分自分。誰かの愛が欲しいなら、あなたも愛さなきゃ」
「──あい、ってなぁに?」
 怪物になるその前、人間だった少女は愛されなかった。愛を知らなかった。
 知らないものを新しく知ることは、過去に沈んだ少女には出来なかった。
「──いつも、ひとりきり。さびしいの」
「そう。……あなたは心から、誰かを愛した事も、愛された事も、ないのね」
 同情をにじませてあきは呟く。
 愛されなかった故に愛し方なんて知らない。だからひとりになりたくない、という思いだけで自分と同じ存在を求めるのだ。
「──しずんで、そばに」
 少女が愛されている娘も深海に連れて行こうと、あきの立つ場所を再び大渦へと変えていく。
 しかし地面が渦へ変わる前にあきは飛び退り、少女から距離を取る。
 最初から気を配っていたから、大渦に足を取られることもなく十分に離れることができた。
 イニシャルの刻まれたマスケット銃に少しだけ、愛しい夫を思い浮かべて頬ずりして。
「愛は、あなたを導くわ」
 構え直して、ほんの一瞬。
 53分の1秒で発射された弾丸が少女の腹部に吸い込まれた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ステラ・アルゲン
【ヤド箱】
久しぶり。貴女と合うのは実に百年ぶりかもしれない
私が剣となる以前に。隕石の頃に貴女と出会ったから

私も貴女も孤独だったね
…私も寂しかったから死にゆく貴女の魂を隕石の私に縛った
それから貴女と一緒に沢山、沢山人を沈ませて
別れは突然だった。私だけ引き上げられて貴女は深淵の中に消えた
こんな形で再会するとは思わなかったけど

【希望の星】で真の姿となる(白銀の女神・瞳孔は白色)

迎えに来たよ、ルーシー
貴女の名を呼んで手を繋いで他の霊と一緒に深淵から引き上げる
私が貴女達を深淵に縛り付けた願いの呪いを断ち斬るように

ごめんね
もう一緒には居られないんだ
だけどまた何処かで再び巡り会おう
願いの代わりに再会の約束を


出水宮・カガリ
【ヤド箱】
※アドリブ可
(これまでにステラが変身した姿で少女を見た事あり)

これが、お前の本来の姿か
お前の事はステラから聞いているとも、『灰色の』

広い広い海は、余計に寂しく感じてしまうから
カガリは、お前を閉じてしまおうと思う
痛みも寒さも暗さも、苦しい事は何も無い
程々の広さ、というものにしてやるだけだ

真の姿で【泉門変生】、少女を壁の内に閉じ込める
【内なる大神<オオカミ>】の神力で光る石壁となるぞ
津波は霊力で耐える(拠点防御、オーラ防御、全力魔法)
お前の領域は、ここまで、だ
境界であるカガリが、そのように建っているゆえ

ステラ、ステラ
あの少女と、向き合ってやるといい
お前のためにこそ、門を開こう


吉備・狐珀
【ヤド箱】で参加です

ステラ殿達も来られていたのですか。
それに先ほどの海馬と同様、あの少女もステラ殿と縁があるようですね。
なら私は私のできることをするのみです。

真の姿を開放。半狐面を被った姿に。
ステラ殿が少女を救いたいという願いが叶うように祈りをこめて全力でUC【三種の神器の祓い】を使用。
二人が話しをするのを邪魔する無粋な亡霊や津波、大渦を封じます。
仲間がUCを使うのを阻害されないように人形の炎を操り援護にまわり、相手の攻撃はオーラを纏って防ぎます。

ステラ殿の穢れのない想いは必ず届きます。
少女の呪が断ち切れますように。


ペイン・フィン
【ヤド箱】

ステラ達も来てたなんて、ね
それに、かなり、縁のある存在みたい?
……なら、やることは1つ
皆の手伝いをするよ

真の姿を解放
数歳程度幼くなって、血霧のようなモノを纏う
そして、早速出番だね
靴で中空を踏みしめて、空中浮遊、ジャンプ、ダッシュ辺りを使って、接近し、コードを使用
扱う拷問具は、毒湯“煉獄夜叉”
予め周囲の水に混ざり、迷彩し、隠しながら
ちょうど良いタイミングで、不意を打つよ

……今回の毒は、動きを鈍らせる毒
1度、2度と当たる度、動きも力も封じられるものだよ
……きっとこの方が、話もしやすい、よね


落浜・語
【ヤド箱】6人で、

アルゲンさん、出水宮さんも来てたのか。
縁があるなら、余計な手出しはしない方が良さそうだな。
サポートするよ、納得いく結果になるように。

『誰の為の活劇譚』で援護を。
「暗く冷たい海の底。其処に縛られた魂を救おうと、手を伸ばしますは、白銀の星。此度語られますは、かつての呪縛を断ちきるための、物語にございます」
引きずられない為の助けになれば良いけどな。

呼び出される亡霊の攻撃なんかは【見切り】、奏剣で対応。
オチ間近なんだから、邪魔すんじゃねえよ。

アドリブ、連携歓迎


ファン・ティンタン
【WIZ】母なる海より、星は空へと
【ヤド箱】

ん…いたね、ステラ
コレらを引き上げるのは骨が折れるだろうけれど…
それが望みなら、あい承ったよ

孤独に泥む亡者達、か
語り合うなら、その為の前準備が必要だね
少々、無茶をするから【真の姿】の片鱗を(姿を白無垢へ)
【精霊使役術】発動
大海と歌の怪、セイレーン、私の言うことを聞け、報酬はたんまりとくれてやる
その歌声に乗せ、荒ぶる海に凪を、寂しき亡者達の心に和ぎ(にぎ)を

あなた達の綺羅星は、今ここに在る
あなた達と、その【手をつなぐ】ために
手を引いて、まるごと引き上げるに足りる力を得て
あなた達をこうしてすくうために、あなた達のもとへと戻ってきた

あとは、あなた達の心次第




 深海の怪物が穿たれた腹部を撫でつつ、辺りを見渡せば。
「──みつけた」
 少女は白銀の麗人を見つけた。
 ぞろり、背後の骸骨達が、亡霊が蠢き出す。
「──さびしくないように、いっぱいいっしょにいるの。あなたも、いっしょに」
 寂しがってた星も、海の底でも寂しくないように、と。
 亡者の動きが、大渦の寄せ方が変化した。ひたすらに、白銀の星を求めて動き出す。

 亡者の群れが押し寄せる動きを見ていたファンとペインが、その先にステラとカガリがいるのを見つけた。
「ん……いたね、ステラ」
「ん、ステラ達だね」
 大渦の迫る方向を見た語と狐珀も、ステラとカガリを見つけ出した。
「アルゲンさん、出水宮さんも来てたのか」
「ステラ殿達も来られていたのですか」
 深海の怪物とステラの間の並々ならぬ縁を感じる4人。
 深海の怪物はひたすらにステラを狙っているのがよくわかる。求めていたいつかの星を引きずり込もうと喜んでいる。
 寄せる波や渦、亡霊を弾きながら【ヤドリガミの箱庭】の一行は合流した。
「皆、来てたのか」
「先ほどの海馬と同様、あの少女もステラ殿と縁があるようですね」
「かなり、縁のある存在みたい?」
 宿縁で結ばれた深海の怪物と白銀の星。
「ステラ、ステラ。どうしたい?」
 カガリは、仲間は、ステラがどうしたいか問いかける。
「ああ、私は──彼女を救いたい」
 寂しかった彼女を、かつて深海に縛り付けていた願いを解いて救いたい。
 ステラの想いを受けて、彼らは頷いた。
「サポートするよ、納得いく結果になるように」
 語は滔々と語りだす。
「暗く冷たい海の底。其処に縛られ、幾度も死を呼び寄せた魂を救おうと、手を伸ばしますは、白銀の星」
 少し早口で、しかし情を込めたその語りは仲間に力を与えていく。
「かつての因果を断ち切るため、未来へと悲しい魂を導くため。此度語られますは、かつての呪縛を断ちきるための、物語にございます」
 姉とも言えるステラが納得し、魂に引きずられない為の助けとなるように。
 ステラに縁のある深海の怪物も、救われるように。
 終わりは幸せな噺になればよい、と語の口は滑らかに続いていった。
「……やることは1つ」
 仲間をサポートするため、真の姿をとるペインの背が縮む。数歳幼くなり、自身の周囲には血の霧のようなものを纏い、力を増す。
 そのままRegenbogenfarbene Schwalbeで中空を踏みしめて、小さな体が跳び上がる。
 空を駆けて深海の怪物へ近づいて、毒湯“煉獄夜叉”を海に注いで混ぜこんだ。
 その間にも他の仲間が動いている。
「私は私のできることをするのみです」
 蒼い炎が狐珀を包み込んだ。一瞬燃え上がったあとには、半狐面の巫女が立つ。
 清らな狐の巫女はステラの願いが叶うように、と祈りながら祝詞を唱える。
「為す所の願いとして、成就せずということなし」
 しゃん、と神楽鈴を鳴らせば、中空から剣、勾玉、鏡の三種の神器が現れる。
「とほかみえみため、吐普加美依身多女、祓い給い清め給え」
 しゃん、しゃん、と鈴の音に合わせ、三種の神宝がふわりと深淵の怪物へと飛んでゆく。
 話し合うのに無粋な波も渦も、亡霊も止めてしまおう。
 その祈りに応えて、剣は亡霊を切り裂き弱め、呼ばれた津波を鏡が抑えて、勾玉が大渦を打ち消していく。
「コレらを引き上げるのは骨が折れるだろうけれど……それが望みなら、あい承ったよ」
 白の花が舞った後、そこから白無垢の
ファンが現れる。
「孤独に泥む亡者達、か。語り合うなら、その為の前準備が必要だね」
 そして海に響けと謳うのだ。
「大海と歌の怪、セイレーン、私の言うことを聞け、報酬はたんまりとくれてやる」
 彼女の霊力を海に流して、ファンは精霊を招く。
「その歌声に乗せ、荒ぶる海に凪を、寂しき亡者達の心に和ぎを」
 荒ぶりを沈め、安らぎを、幸いを齎せと。
 ファンの言葉に答えて、遍く海にいるというセイレーンの歌が新月の夜に響きわたる。それは鎮魂歌のような、子守唄のような優しい響き。
 寂しさを訴える亡者の群れが、緩やかに大人しくなっていく。
「あなた達の綺羅星は、今ここに在る。あなた達と、その手をつなぐために。手を引いて、まるごと引き上げるに足りる力を得て、あなた達をこうしてすくうために、あなた達のもとへと戻ってきた」
 救って、掬って。
 深淵の海から、安らかな場所へ、すくうために。
「あとは、あなた達の心次第」
 おとなしくなった亡霊めがけて海水が包み込むように浮き上がる。
 ペインの煉獄夜叉だ。
 何度も浴びるたびに、動きが緩慢になっていく骸たち。
 1度、2度と当たる度、動きも力も封じられる毒を浴びせられ、骸骨達は動きを止めて崩れていく。
「……きっとこの方が、話もしやすい、よね」
 残った亡霊の攻撃は語の懐剣や、狐珀の操る人形に弾かれ、届くことはない。
「オチ間近なんだから、邪魔すんじゃねえよ」
「ステラ殿の穢れのない想いは必ず届きます。少女の呪が断ち切れますように」
 援護を受けつつ、ステラを庇って立つカガリは深海の怪物を見る。
「これが、お前の本来の姿か」
 骸は剥がされ、たった一人残った鎖に繋がれた少女の姿。かつてステラが見せてくれた姿と同じでありながら、禍々しい虚ろな魂を背負った怪物の姿。
「お前の事はステラから聞いているとも、『灰色の』」
「──いっしょに、おちて」
 灰色の記憶は腕を振り上げて、津波を呼ぼうとする。けれど毒湯で弱まった津波は、鏡が再び弾いていく。
「広い広い海は、余計に寂しく感じてしまうから、カガリは、お前を閉じてしまおうと思う」
 どこまでも広い場所では孤独感を感じてしまうから。
 寂しくないように、守るように。
「痛みも寒さも暗さも、苦しい事は何も無い。程々の広さ、というものにしてやるだけだ」
 カガリの人の姿が揺らいだと思えばそこに聳えるのは黄金の城壁。大きな傷を負った門。柘榴の赤に染まった瞳。
 ぐるりと輝く光の壁が少女を壁の内側に閉じ決めるように囲んでいく。守るように、閉じていく。
「──いっしょに、しずんで」
 抗うように地を大渦に変えようとも、三種の神器で、毒湯で封じられているから呼べず。
 亡霊達も海の妖の歌と剣で払われた。
 津波を呼べども傷つき弱まった力では、援護を受けた光の壁を突破できもしない。
「お前の領域は、ここまで、だ。境界であるカガリが、そのように建っているゆえ」
 深淵の怪物は、自身の立つ深海の領域分のみで、大神の光の壁に守るように閉ざされた。
「ステラ、ステラ。あの少女と、向き合ってやるといい。お前のためにこそ、門を開こう」
「ああ、開いてくれカガリ」
 そして隔絶の錠前は開かれた。
 カガリの内に囲われた、深淵の少女の領域にステラは沈んでいく。

 骸骨は崩され、亡霊は薄められ。少女のみが残された。
 ひとりきりになった少女の元に、天から白銀の星が降りてくる。
「久しぶり。貴女と合うのは実に百年ぶりかもしれない」
「──あいたかった」
 少女はどこまでも純粋に、喜び微笑む。やっといつかの星に再び出会えたから。
 少女とステラの出会いはステラが剣になる前。空から海へと沈んだ隕石の頃。
「私も貴女も孤独だったね。……私も寂しかったから死にゆく貴女の魂を隕石の私に縛った」
「──そう、さびしいの」
 愛されずに海に沈められた少女。
 たったひとり宇宙を漂い海に沈んだ隕石。
 さびしいふたりが出会って、ひとりきりはいやだ、寂しいのは嫌だと、お互いが願い、隕石は死にゆく少女の魂を自身に縛りつけた。
 それは少女の願いだったし、自我を持たない隕石の願いだった。
「それから貴女と一緒に沢山、沢山人を沈ませてしまった。さびしくないように、と」
 船を沈め、人の魂を、亡骸を縛りつけた。少女と同じものがあれば寂しくないだろうから。
「でも、別れは突然だった。私だけ引き上げられて貴女は深淵の中に消えた。こんな形で再会するとは思わなかったけど」
 白銀の星の姿が揺らぐ。
 柔らかな光を放つ、白銀の女神が現れる。
 白い瞳で少女を見つめ、女神は微笑んだ。
「迎えに来たよ、ルーシー」
 白銀の女神は少女の──ルーシーの名を呼んだ。
 ルーシーは目を見開いて女神を見つめる。もうずっと呼ばれなかった自分の名を呼んだ人を。
「さあ、おいで」
 ステラは深淵に沈むルーシーと手を繋ぐ。
 彼女を深海から引き上げるために。
 手を繋いだルーシーはひとりになりたくない、とステラ問いかけた。
「わたしといっしょに、ずっといてくれるよね?」
 それは切なる少女の願い。
 けれどそれは叶えられない願い。
「ごめんね。もう一緒には居られないんだ」
 ステラは剣となり、ヤドリガミになり、猟兵となった。過去に沈んだルーシーの魂とずっと一緒にいることはできない。
「だけどまた何処かで再び巡り会おう。約束だ」
「やくそく」
「そう。願いじゃなくて、お互いに叶え合う約束」
 願いはときに対価や代償を必要とし、聞き届けてほしい、叶ってほしいと望むものだ。過去の亡霊の一緒にいてほしい、という願いは叶わない。叶えられない。
 けれど再会の約束なら、ステラが、巡ったルーシーがいつか互いに再会したいと思っているなら叶えられる。
「だから、一度お別れだ」
 ルーシーの側にいた魂達がすぅっと消えていく。かつての少女の願い、深海に縛り付けていた願いは断ち切られた。
「もう、さびしくない? おほしさまも、さびしくない?」
「ああ。私も、大丈夫」
 仲間が、恋人がいるから。今は寂しくなんてない。
「さあ、ゆっくり眠るといい。またね、ルーシー」
「うん。またね、おほしさま」
 白銀の女神が、悲しい少女の魂を海の上へと引き上げる。
 結ばれてしまった悲しい霊達も引き上げていく。
 少女に繋がった鎖は砕け、迷うものをすべて導く希望の星に導かれて、星々のあふれる空へと昇っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『星灯祭の夜に』

POW   :    飲んで食べて祭りを楽しむ

SPD   :    満天の夜空を見上げてみる

WIZ   :    誰かと語らい夜を過ごす

👑5
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小宮・あき
アドリブ歓迎

POW、祭りを楽しむ。

新月の夜に、星のランプをともして、かつての英雄を讃える。
なんて素敵な祭りなのでしょう…!

星灯りを宿したランプって、どんなものかしら。
手に取って色々観察したいなぁ。
私の住まい、UDCアースでも再現可能かしら?

英雄を讃える、というのも気になるの。
少し前まで、帝竜に挑んだ勇者に関する伝承を探す予見が多かったですよね。
現在この世界は天空城が多く出現していますが…、
この村の“英雄”も、竜に関係あるのかしら?

ふふ、綺麗な夜空。
夜空の端に、ちょっとだけ、アクセントを添えても良いかしら?
UC【カミサマ候補生】で光属性のオーロラを作成。
光のヴェールで、キラキラを倍増、です♪




 新月の夜に星のランプを灯して、かつての英雄を讃える。
 穏やかな海辺の村の月一度のお祭り。
「なんて素敵な祭りなのでしょう……!」
 あきは薄桃の髪を明かりに透かせ、ランプに照らされる村を歩く。
(星灯りを宿したランプって、どんなものかしら)
 新月の星明りの下、淡い輝きを持ったランプが村のあちこちに灯されている。
 赤に青、白に黄色に緑。
 夜空の星々の色をうつしたような明かりが村のそこかしこに散りばめられていた。
「お嬢さん、お一ついかがかね?」
「わあ、綺麗。これはどうやって作るんですか?」
 道の途中でいくつも手作りのランプを売り出している老婆に聞けば、これらは海や砂浜に落ちてくる星の欠片で作るのだという。
 空から落ちてくるときに運良く燃え尽きず、海の中で磨かれ流れ着いた星の欠片を拾って。
 大きなものは薄く削いで、ランプの飾りやガラスへ。
 小さなものは魔力を込めて、星の放っていた色を写した明かりへ。
「まあ……」
 UDCアースで再現できるかはわからないが、魔力を込めれば何度も明かりを灯すランプ達。
 あきはいくつか見比べて、気に入りの一つを買い求めた。

 柔らかな明かりのランプを手に、あきはまた村を練り歩く。
 次に求めるのはこの村の英雄について。
 少し前まで、帝竜に挑んだ勇者に関する伝承を探す予知が多かった。
 それらを集めていったら、群竜大陸に繋がる天空城が現れたが、この村の英雄も竜に関係するのか、疑問に思ったのだ。
 広場で歌う吟遊詩人の詩に耳を傾ける。
 柔らかな竪琴の音とともに、よく通る声で詩人は語る。
 星に導かれ、竜と戦った少女の話。
 常にその傍らにあった星のランプの話。

 かつてこの村には少女がいた
 彼女は星の欠片と共に旅立った
 夜を優しく照らす星の明かり
 闇を清らに払う星の明かり

 幾度も夜を超え 幾度も苦難を超え
 少女は星に導かれて竜と対峙する
 苛烈な戦い 挫けそうな心
 けれど星は常に彼女の側にあった
 星の明かりは変わらぬ光を放っていた

 戦いの末 竜は倒れた
 村に帰ってきた英雄の手に光るランプ
 星の明かりは変わらぬ輝きを放っていた
 まるで今日の星空のように

 詩人が歌い上げ、手をかざす。
 その手を追って空を見上げれば満天の星空。
「ふふ、綺麗な夜空」
 話を聞けば、より輝いたような夜空を見上げて、あきはほんの少し、英雄の話に光を加える。
 空の端に滑らかに現れる光の帯。
(光のヴェールで、キラキラを倍増、です♪)
 村に上がる歓声。
 カミサマ候補生は、星祭りを祝うオーロラを生み出したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルコ・アーラ
■心情
あんまり、オブリビオンに感情移入するってのはつらくなるたけだからやりたくないんだけど……今回は、しょうがないかな?
ただの自己満足だけれど、あのオブリビオンがもし生まれ変わったら……一人きりじゃなく、たくさんの縁に結ばれることを祈りましょう

■行動
祭りの雰囲気を楽しんだ後は、ユーベルコードで空中を蹴りながら満点の夜空を楽しむわ
下を見れば、きっと村に飾られているランプの光も相まって天も地も、そして光が反射して海も見渡す限りが、夜空のように煌めいているのかしらね?
そして、夜空を眺めながら祈りを捧げるわ
村がこのまま平和にいられますように
そして、オブリビオンのあの子に

■その他
アドリブ等は大歓迎よ




 星明りのランプに照らされて、村は賑わっていた。
 祭りのときに食べる星型のパイ、暖かなスープ、魚を藻塩を振って焼いたもの、星が弾けるような特別なエールやミード。
「お嬢さん、焼き魚はいかがかね」
「こっちは貝のスープもあるよ」
 村人は旅人に見えるアルコにお祝いの料理を勧めてくる。
「ランプはいかがかね、星の明かりを灯すランプじゃよ」
 道端にはこの村で灯るランプを売る老婆。
「おかーさ、おとーさ、しじんさん! ききにいこ!」
「待って、ちゃんと手を繋がなきゃ」
 家族連れが手を繋いで、村の広場に訪れている詩人へ向かう姿。
 吟遊詩人が昔この村を訪れた英雄の詩を語る。
 一方では楽器が鳴らされ、歌う人も踊る人もいる。
 村の中には優しい賑わいや笑顔が溢れていた。
 隣人が、家族が、海に招かれた哀しみを癒やすように。
 今ここにあることを、祝うように
 そんな祭りの中をアルコは気ままにうろついていった。

 祭りを心ゆくまで楽しんでから、アルコは海辺まで足を伸ばす。
 ゆっくりと歩いて、人気もなく、祭りのにぎわいも微かになった砂浜にたどり着いた。
 海は先程までの荒れ狂った姿は為りを潜め、静かに凪いだ姿で空を映している。
 そして彼女は砂浜をとん、と蹴って跳び上がる。
 見上げるその先は満天の星が煌めいている。
 とん、とん、と宙を蹴って駆け上がれば、足元にもランプの星明り。
 今は静かに凪いだ海も星を映して、世界全て星空になったよう。
 空、地、海、見渡す限りどこまでも広がる星の夜。
 その中でアルコは結わえた髪を、くるりと裾を、すらりとした手足を翻し、どこまでも身軽に飛んでいく。
 そうして星の夜を楽しみながら思うのだ。
(あんまり、オブリビオンに感情移入するってのはつらくなるたけだからやりたくないんだけど……今回は、しょうがないかな?)
 哀れな少女がひとりきりは寂しいから、と人を海に招いていた今回の事件。
 少女の心を思えば切ない思いに囚われる。
(きっととても寂しかったんだろうな……)
 無事に収まったからこそアルコは、今回のことを振り返り、祈る。
 それはただの自己満足かもしれない。
 けれどアルコは宙を駆けながら、星々に祈る。
 この海辺の村が永く平和であるように。
 そして。
(あの少女がもし生まれ変わったら……一人きりじゃなく、たくさんの縁に結ばれることを祈りましょう)
 けれどこれは真実、心からの祈り。
 きっと良い縁が繋がるように。
 いずれ幸せに星空の下で笑えるように。
 空を駈けるエルフは祈るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
飲み食いは今は控えて。
ランプの灯りは消して、消せないならなるべく光量を絞って。すべての星を眺められる、できれば小高い場所へ。
星を眺めながら昔をつらつら思い出し。

本当、最近は主の事を、心を持たなかった頃を思い出す。
主には軽口叩く相手もいたし、唯一の人もいた。
でもその唯一の人にだって主が心の内をさらしたのはだいぶたってからの様だった。
ちゃんと人として生きてきた主でも難しかった事が、俺なんかに出来るんだろうか。
生きるだけなら一人でも出来るけど。
時々思ってしまう。心なんて生まれなければよかったって。
そうすればここまで苦しむ事もなかった。人として生きるのはとても難しい。

帰りたい。でも昔には戻れない。




 瑞樹は村を背にして、少し離れた丘を登る。
 彼は明かりも持たずに新月の闇を静かに進んで、丘の頂上、星を見渡せる場所へと辿り着いた。
 そこから見える景色に地に明かりはなく、空を遮るものもなく。晴れ渡った空の星を余すことなく見渡せる。
 そこに瑞樹は腰を下ろした。今にも流れて降ってきそうな星の下、彼は一人昔のことを思い起こす。
(本当、最近は主の事を、心を持たなかった頃を思い出す)
 青の眼を眇めて深くその考えに沈んでいく。
 自我はあっても心を持たなかった、ただのナイフであった頃のこと。
 彼の主の姿、言葉、感情。
 そして取り巻く人々のこと。
(主には軽口を叩く相手もいたし、唯一の人もいた)
 楽しげに冗談を言ったり、他愛もない話をしたり、気軽に言葉を交わす相手がいた。
 愛し心を寄り添わす、ただ一人の大切な人もいた。
(でもその人にだって、主が心の内をさらしたのはだいぶたってからの様だった)
 無論、大切だからとすぐに全ての想いを吐き出せることもなく。
 抱いた想いを互いに伝え、支え合えるようになったのはともに過ごした時間を積み重ねてからだった。
(ちゃんと人として生きてきた主でも難しかった事が、俺なんかに出来るんだろうか)
 ただ何も思わず、感じず、時を過ごすことを生きるとするならば、瑞樹一人でも出来る。
 けれど、心を持って、誰かと共にに生きていくこと。その心を伝えていくこと。
 それはとても難しい。
 だから瑞樹は時々思ってしまうのだ──心なんて生まれなければよかった、と。
 そうすればここまで苦しむ事もなかった。人として生きるのはとても難しい。
 本音を言えるならば、いつだって瑞樹は自分自身を含めて何かも消してしまいたいと思ってる。
 そうしたらきっととても楽になるのかもしれない、こんな苦しみから開放されるかもしれない。
 けれどそんなことは不可能だ。
(帰りたい。でも昔には戻れない)
 一人苦しい闇の中、瑞樹はただ星を見上げていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイリス・ファル
「犠牲になった人も、あの子もきっと救われたんですよね?」

少女が消えていった満点の夜空
を見上げながら、お祭りで配られている飲み物を飲みます。その後、誤ってお酒を飲んでしまい、眠ってしまいます。

心情:
やったことは見過ごせることではないですが、寂しい気持ちはきっと当然のものだったんでしょう。それを倒すことでしか止められないなんて、戦う覚悟をしていてもやっぱり悲しいです。




 アイリスは祭りの中をうきうきと歩いていた。
 星の優しい明かりのランプに照らされた夜の風景は非日常。わきたつ雰囲気に釣られて楽しくなっていく。
「素敵な夜ね!」
 エリザと一緒に祭りの村を見て回るアイリスの前にぬっと陶器のジョッキが差し出された。
「お嬢ちゃん、これをどうぞ」
「いい香り! ありがとうございます」
 差し出されたジョッキには、星型に切られた果物が入った葡萄ジュース。仄かに香辛料を入れて温めてある。
 ありがたく受け取ったアイリスは、湯気立つ陶器のジョッキを抱えて、広場の隅に置かれた椅子に座って星を見上げる。
 ここは少しだけ祭りの喧騒から離れていて、ゆっくり星を眺めるにはいい場所だった。
 オブリビオンになった少女が消えていった、見渡す限り満天の星空。
 ふうふうとジュースに息を吹きかけ、ゆっくりと飲みながらアイリスは思う。
 寂しいと嘆いた少女のことを。
(やったことは見過ごせることではないですが、寂しい気持ちはきっと当然のものだったんでしょう)
 深い深い海の中、過去に沈んだ少女。
 ひとりきりはさびしいと、誰かにそばにいてほしいと願い、それを叶えようとした。
(それを倒すことでしか止められないなんて、戦う覚悟をしていてもやっぱり悲しいです)
 でも、止めたことできっと。
「犠牲になった人も、あの子もきっと救われたんですよね?」
 そうなら、悲しいけれど悪くはないと思える気がした。
「お嬢ちゃん、こっちもいいぞ」
 葡萄ジュースを飲み終え、ぼんやりしているアイリスへ別のジョッキが渡される。
 こちらは柑橘を浸けたはちみつのお湯割り。
「ありがとうございます」
 村人達の笑顔や優しさは、アイリスの悲しみを少し癒やしてくれるだろう。
 少し顔を緩めて、アイリスは涼しい星の夜をゆっくりと過ごしていく。

 しばらくすると、星明りのランプに照らされた赤い髪がゆらゆら揺れる。
 常にはない祭りの風情にはしゃいだアイリス。
 先程の強き竜を宿した疲れも相まって、温かい飲み物で温まってこっくりこっくり。
 側にいるエリザも眠たげだ。
 村人達は少し声を潜めて、少女にブランケットをかける。
 そして他の猟兵が迎えに来るまで、眠りを見守るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペイン・フィン
ファン(f07547)と

他のヤド箱メンバーとは離れて、ファンと二人きりですごそう
……そういえば、ファン、冷えてない?
夏終わって、涼しくなって来たところで、海だったから
何だったら、村はずれで、焚き火でもしようか?

ファンを、頭に乗せながら、焚き火にあたる
そういえば、今回の敵
ステラと、昔、縁があったみたいだね
……自分は、猟兵になってからは、あまり、人と会わないようにしていたけど
それでも、知り合った人が、いてね
猟兵ではない、薬師見習いのエルフ、だったかな
偶然出会って、治療を受けたり、一緒に薬草探したり
今も偶に、会いに行くけども……
ふと思い出したよ。今度また、会いに行こうかな
その時は、ファンも一緒に、ね


ファン・ティンタン
【SPD】星降る夜に
ペイン(f04450)と
※先の魔力消費が激しく、省エネ雪見大福モード、言葉少なめ

ペインの赤髪に埋もれるようにして、静かに過ごす
我が身にぬくもりは不要なれども
この温かさは、言葉に表せない安心をもたらしてくれる

髪(?)をぱたりぱたりさせて適当に相槌を打ちながらペインの話を聞く
私が猟兵以外で交流している仲は、UDCアースの猫達くらいかな
そう思うと、私の世界は今、ヤドリガミの箱庭に偏って集約されているように思えた
箱庭、ヤドリガミの……

……ん
ペインの知り合いなら、いずれ、会いに行こうか
ぱたりと髪(?)でペインを一撫でして、無言の内に同意する


待ってくれている誰か、それは羨ましいモノだね




 ぱちり、ぱちりと木がはぜる。
 ペインは村はずれで焚き火をしていた。
 満天の星空の下、明かりは焚き火の炎だけ。遠くからは潮騒の音が聞こえてくる。
 温かい火の側に人型はひとり。
 けれどその場にはふたりいる。
 火に照らされて暖かな赤の髪の中、半球型の大福のような、省エネモードのファンがいる。先程の戦いで魔力を激しく消費したため、あまり力を使わない形に姿を変えているのだった。
 夏も終わり、日に日に涼しくなる日々、夜は冷える。海の波も浴びたのだから冷えているかもしれない、とファンを温めるため、ペインは火を焚いたのだ。
 普段ならばぬくもりなど必要ない、刀そのものであるファンだけれど、今はただペインの心の、体のぬくもりが心地よい。言葉にならない安らぎを与えてくれる。
 そうやって二人きりで星を眺め、火にあたり。
 ぽつり、揺れる火を見ながらペインが呟いた。
「そういえば、今回の敵」
 寄せる波の音を聞きながら、ファンはぱたりと尻尾のように髪を揺らめかせ、相槌を打つ。
「ステラと、昔、縁があったみたいだね」
 人に追われ、人を恨む水棲馬。
 海に沈み、寂しいと嘆いていた少女。
どちらもペインとファンの友人に縁のあるオブリビオンだった。
 ぱたり。
 白黒の髪がもたらす無言の相槌は重くなく、ペインには心地よい。
 ぱちり、とペインの白い仮面を暖かな赤に染める焚き火が音を立てる。
「……自分は、猟兵になってからは、あまり、人と会わないようにしていたけど。それでも、知り合った人が、いてね」
 過去からの縁、というモノに、ペインも未だに縁がある、過去に出会ったエルフを思い出す。
 ひとり薬草を探していたエルフのことを。
「猟兵ではない、薬師見習いのエルフ、だったかな」
 人に会わないようにしていたのに、出会った縁。怪我をしたペインを気遣い、治療してくれたエルフ。
「偶然出会って、治療を受けたり、一緒に薬草探したり。今も偶に、会いに行くけども……」
 治療が終わり、ペインが去ったその時点で縁が切れてもおかしくなかったのに、不思議と今も続いている。
 枯れ枝を焚き火にくべて、そんな過去から今に続く縁を語るペイン。
 ぱたり、ぱたり。
 髪で無言のまま相槌を打ちながら、ペインの話を聞いているファン。自分はどうなのか、とふと考える。
(私が猟兵以外で交流している仲は、UDCアースの猫達くらいかな)
 あとは皆、猟兵。待つ人も会いに行く人もいない。
 記憶を薄れさせないためにUDCアースを彷徨くことはあれど、それは何かに会うためではない。
 そう思うと、今のファンの世界は彼女の所属する旅団、ヤドリガミの箱庭に偏って集約されているように思えた。
 彼女の今の縁は全てそこに繋がってしまう。
(箱庭、ヤドリガミの……)
 閉ざされた世界、箱の中の世界。
 開かれているはずのそこにファンは閉じこもっているような、そんな心地になる。
 少し薄ら寒いような心地のファンに、ペインの温かな声が届く。
「ふと思い出したよ。今度また、会いに行こうかな。その時は、ファンも一緒に、ね」
(……ん。ペインの知り合いなら、いずれ、会いに行こうか)
ぱたりと髪でペインを一撫でして、無言の内に同意する
 けれど、とファンは少し思うのだ。
(待ってくれている誰か、それは羨ましいモノだね)
 ファンには、猟兵以外ではいないモノだから。
 そっと必ず迎えに来るであろう緋色の髪に埋もれて、少し冷えた心を慰める。
 静かに寄り添う二人を、満天の星空が見守っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ステラ・アルゲン
カガリ(f04556)と

星灯りのランプに照らされながらカガリと星空を見ようかな
私はあの空から墜ちてきた
ずっと独りで彷徨って深海に沈んであの子に出会った
……あの子も同じだったんだ私と
独りぼっちで海を彷徨って私に出会った
あの子の願いは私の願いでもあったんだと思う

今は寂しくないよ
仲間がいるし、なによりカガリがいる
だから余計に思うんだ
あの子がもし再びこの世界に生まれ落ちるなら
再会する時が来るなら、一人で寂しくないことを、幸せであることを願いたいよ

うん、そうだね
その時はカガリも一緒に会いに行こう(身を寄せて微笑み返して)


出水宮・カガリ
ステラ(f04503)と

ステラと静かに、星空を見上げようか

ステラには…前にも言ったが
当てもなくあの空を彷徨っていた星が、他のどの場所でも無く、この星の海に落ちて
更に、ステラの主に拾われて、色々あったが、主亡き後も百年残って
途方も無い奇跡が重なって、カガリと出会って
こうして手を取り合って、この先をも約束する事ができた
あの娘は、ああなってしまった以上、ずっと一緒に…とはいかないが
生きて一緒にいられる、という事は、それだけで得難い事なのだと思う

もし、今度は未来に生きるひととして、生まれる事があらば
その時は友人として出会ってみたい
ステラと共に、な
独りは、寂しいものなぁ…(労うように肩を抱き、頭を撫で)




 優しい星明りのランプに照らされながら、カガリとステラは星を見上げていた。
 村の祭りの中心部からは少し離れた空き地は、静かに星を見ながら会話するのにちょうどいい。
 つい、とステラの白い指先が満天の星空を指差す。
「私はあの空から墜ちてきた」
 かつてのステラは、今輝く星々の仲間であった。大地から遠く離れた場所にあった星の一つだった。
「ずっと独りで彷徨って深海に沈んであの子に出会った」
 ずっとひとりきり、遠く離れた空を彷徨い、何かのきっかけで、地に引かれ、海に墜ちて。彷徨うこともできず、海の底でもひとりきり。
 人としての心を持った今、抱えるにはあまりに大きい孤独の記憶。
 そんなときにルーシーが隕石の元に沈んできた。
「……あの子も同じだったんだ私と」
 愛されなかった少女は海を独りぼっちで彷徨って、ステラに出会った。
 そして願った。
『しにたくない。たすけて。ひとりぼっちになりたくない』
「あの子の願いは私の願いでもあったんだと思う」
 こんな寂しい思いを抱えたままで、死にたくない。助けて。一人にしないで。
 こんな寂しい思いを抱えたままで、沈んで見つけられず。ひとりきりでずっといるなんて。
 灰色の星と少女の願いが重なって、寂しい同士が互いを縛っていた。
 けれど、と隣のカガリの手を握りステラは微笑む。
「今は寂しくないよ。仲間がいるし、なによりカガリがいる」
 時に励まし、時に笑い合える大切な仲間がいる。
 何よりも大切な大好きなカガリがいる。寂しいときはそばにいて抱きしめてくれるから。
 もうステラは灰色の孤独な星ではないから、寂しくない、と。
「だから余計に思うんだ。あの子がもし再びこの世界に生まれ落ちるなら、再会する時が来るなら、一人で寂しくないことを、幸せであることを願いたいよ」
 今のステラが幸せであるのと同じくらい、灰色の少女も幸せであってくれたらいいと、願うのだ。
「ステラには……前にも言ったが」
 握った手の温もりを感じながら、共に星を見上げてステラの言葉を聞いていたカガリが口を開く。
「当てもなくあの空を彷徨っていた星が、他のどの場所でも無く、この星の海に落ちて。更に、ステラの主に拾われて、色々あったが、主亡き後も百年残って。
途方も無い奇跡が重なって、カガリと出会って。こうして手を取り合って、この先をも約束する事ができた」
 これらすべての条件を満たすなど、確率にしたらとんでもなく小さな数字になるだろう。どれか一つでも欠ければ成り立たなかった今と未来。
 そんな奇跡の賜物を大事に握りながら。
「あの娘は、ああなってしまった以上、ずっと一緒に……とはいかないが。生きて一緒にいられる、という事は、それだけで得難い事なのだと思う」
 極論を言えば、この次の瞬間にカガリもステラも消えてしまうことだってありうるのだ。
 そうならず、隣にあれるというのはとても得難く、幸せなのだとカガリは言う。
「もし、今度は未来に生きるひととして、生まれる事があらば、その時は友人として出会ってみたい。ステラと共に、な」
「うん、そうだね。その時はカガリも一緒に会いに行こう」
 その優しい言葉に、ステラは身を寄せて微笑み返す。
 約束が果たされる未来を願ってくれる、共にしてくれる人がいる。そんな幸せを受け止めながら。
 ステラを労うように肩を抱き、優しく頭を撫でながら、カガリは言う。
「独りは、寂しいものなぁ……」
「ああ。寂しいな……」
 二人、身を寄せ合って、奇跡を抱きしめて。
 孤独を知っている二人を、星は静かに見守っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

落浜・語
吉備さん(f17210)と一緒に

無事に終わってよかったな。
オチが幸せなのはいいことだよ。

二人で、街中を散策。
本当に街の中にも星があるみたいできれいだな。
こうやってのんびりできると、依頼とか頑張りがいがあるなぁって思うよ。
あぁ、あそこ。星のランプ、小さいやつ売ってるな。買っていこうか。記念に。

街を抜けたら、星がよく見えるところへ。
街の中もきれいだったけれど、本当の星空はある意味別格だよな。
確かに、落ち着いて見れるのも久しぶりだな。

前に、月が綺麗だって言ったけどさ。今日も月が綺麗ですね。
これからも、一緒にずっと月を見ていたいな。

アドリブ歓迎


吉備・狐珀
落浜・語(f03558)殿と

ステラ殿のルーシー殿を救いたいという願いが叶って良かったですね。
ルーシー殿を縛っていた鎖も砕けて本当に良かった。

お祭りの賑わいや詩人の歌を楽しみながら二人で街を散策します。
星のランプすごくきれいですね。それにとても幻想的です。
こうやって楽しめるのも無事に依頼が解決できたからですね。
あのランプってお土産用で売られたりはしてないのでしょうか?

そのまま街を抜けて星がよく見える場所へ。
これは見事な星空ですね。
戦争もあったし、こうやって星を見上げたの久しぶりかも…。

…語殿、今日は新月ですよ?
でもあなたと見る月だからどんな月でもとてもきれいに見えますね。




 祭りの料理を味わい、楽しげに笑う村人の声、楽器の演奏、踊る足音、詩人の歌。
 そんな祭りのにぎわいを楽しみながら、語と狐珀は二人並んで村の中を散策していた。
 村中に灯された星の明かりを宿したランプは、柔らかい光で祭りの様子を照らしている。
「星のランプすごくきれいですね。それにとても幻想的です」
 やわらかな明かりは夜空に輝く星と同じく色とりどり。火や電灯とはどこか違う明かりは、照らし出すものすべてを幻想的に見せてくれる。
「こうやってのんびりできると、依頼とか頑張りがいがあるなぁって思うよ」
「ええ、楽しめるのも無事に依頼が解決できたからですね」
「無事に終わってよかったな。オチが幸せなのはいいことだよ」
「ステラ殿のルーシー殿を救いたいという願いが叶って良かったですね。ルーシー殿を縛っていた鎖も砕けて本当に良かった」
 縛られた少女は彼女の星に導かれ、星の空へと帰っていった。友人の願いも、縛られた魂も開放されて本当に良かった、と。
 そんな風に穏やかに依頼のことを話しながら、二人肩を並べて村を巡っていく。
 一番賑わっていた中央の広場を離れ、
「本当に村の中にも星があるみたいできれいだな」
「あのランプってお土産用で売られたりはしてないのでしょうか?」
 少し辺りを見渡せば、小さなランプをいくつも並べ、売っている老婆の姿があった。
「あぁ、あそこ。星のランプ、小さいやつ売ってるな。買っていこうか。記念に」
「はい」
 二人で手に取り、選ぶ時間もまた楽しい。
 語は淡い緑の、狐珀は青白の光を放つランプを買い求めた。
 そのランプを携えてまた足を進めれば、村を抜けて広い草原に出る。
 村の中と違って明かりは彼らの手元だけ。背の低い草しか生えていない草原は視界を遮らず、涼しく澄んだ空気はどこまでも星を見渡せる。
 見上げた先には、村の中よりもなお見事な、金銀に宝石の粒を散らばしたような星の海。
「これは見事な星空ですね」
「村の中もきれいだったけれど、本当の星空はある意味別格だよな」
「戦争もあったし、こうやって星を見上げたの久しぶりかも……」
「確かに、落ち着いて見れるのも久しぶりだな」
 サムライエンパイアでの戦争もあり、ゆっくりと、穏やかな気持ちで空を見上げるのは久しぶりで。
 少し冷たい風の吹く草原で、二人仲良く肩を並べて星を眺める。
「前に、月が綺麗だって言ったけどさ」
 それは語と狐珀が、互いを大切と定めたときの言葉。
「今日も、月が綺麗ですね」
「……語殿、今日は新月ですよ?」
 くすりと笑った狐珀が言うように、今日は新月。空には存在しているけれど、その姿は地に隠れて見えない。
 無論、その言葉通りの意味ではないのだ。だから狐珀はうれしげに頬を染めている。
「でもあなたと見る月だからどんな月でもとてもきれいに見えますね」
「これからも、一緒にずっと月を見ていたいな」
 二人は付かず離れずしていた距離をちょっとだけ近づいて、ランプを持たない手を差し伸べて。
 そっと互いに手を握る。
 そのまま言葉はなくても心地よい風情を味わいながら、温もりを分け合って語と狐珀は星空を眺めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルノルト・クラヴリー
ザハ(f01401)と

賑わう村中、酒場でも、祭りの出店でも構わないが
一角に腰を落ち着けて

「いけるクチか、ザハ。何よりだ」
地の物だろうか、辛口の物をと頼んだ酒だが、
容易く飲み下す友人に、冗談めかして笑う

「今後は色々付き合って貰えるな」

何しろ、俺に付き合える酒豪が中々いないんだ
言いながら、次いで届いた骨付き肉を受け取ると、熱い内に齧り付く

目を丸くするザハに、声を零して笑って

「はは、品を求められる場面ならばそうするがな」
「こういうのは、齧り付いて食うから旨いものだろう? 郷に入っては郷に従え、だ」

傍らのフィー(槍竜)にも軽く冷ました肉を分けながら
夜はまだ長い
村の祭りの味を、今日は十二分に楽しもう


ザハ・ブリッツ
アルノルト(f12400)と

祭の賑わいに少し圧倒されつつも、渡された酒を飲乾す
「…酒は好きだよ。故郷で鍛えられた」

冗談めかした言葉に軽く首を傾げ、理由を聞けば…成る程
張り合うつもりはないけど、面白そうだと
「あぁ、君が満足するまで付き合おう。とことんね」

アルノーが大食漢なのは知っていたけれど、酒豪だったとは
それに、目の前で豪快に齧りついている姿を見て驚いた
「もっと上品に食べる人だと思っていたけど」
以前に、育った家柄を聞いていたから

「…確かに。君の言う通りだよ」
自分も熱い内にガブリと齧る
祭りの料理に品は必要無い
熱々の、旨い内に食べるのが何よりだね

次は何を食べようか
祭の夜は、まだまだ楽しくなりそうだ




 楽しげな話し声や笑い声、詩人の歌に、踊りの掛け声に足音、楽器の演奏。
 一月に一度、新月の夜に行われる祭りの夜に星明りのランプに照らされた村中が賑わっている。
 そんな村の小さな酒場に、アルノルト・クラヴリー(華烈・f12400)とザハ・ブリッツ(氷淵・f01401)が腰を落ち着けていた。
 普段は村の男達が飲みに来るだけの小さな店は、この時ばかりは旅人も迎え入れて溢れかえる。
 酔客の喧騒に混じった二人の前にはひとまずのツマミとして小さな貝を焼いたものが並ぶ。
 さらに目の前にどん、と置かれたのはジョッキにはなみなみと注がれた酒。
 アルノルトが辛口の酒を、と頼んで運ばれてきたきた酒だ。
「乾杯」
「ああ」
 アルノルトは意気揚々と、ザハは祭りの喧騒に圧倒されながらもジョッキを手に取り、軽く同じくらいに持ち上げた。
 そのままぐいっとジョッキを飲み干す。口の中に爽やかな酸味を残す酒は、かなり酒精も強く、心地よく喉を焼いていく。
「いけるクチか、ザハ。何よりだ」
 さらっと先程の酒を飲み下せる友人に冗談めかして笑いながら、追加の酒を頼むアルノルト。
「……酒は好きだよ。故郷で鍛えられた」
 北の地では体を温めるため、酒精を嗜むことも多い。ザハの故郷も雪と氷に覆われた地だからこそ、味わう機会も多かったのだろう。
「今後は色々付き合って貰えるな」
「色々?」
 ザハが冗談めかした言葉に首を軽くかしげれば、目の前の友人は追加の酒を飲みながら理由を語る。
「ああ。何しろ、俺に付き合える酒豪が中々いないんだ」
 アルノルトは笑いながら追加の酒も飲み干す。かなり度数のある酒をまるで水のように飲み干していくその姿に、成る程、とザハは頷く。
(アルノーが大食漢なのは知っていたけれど、酒豪だったとは)
 この調子で飲んでいくならばかなりの酒豪でなければ早々に潰れるだろう。
 けれど、面白そうだとも思う──張り合うつもりはないけれど。
「あぁ、君が満足するまで付き合おう。とことんね」
 酒を楽しみ、貝も食べ終わった二人に次いで届けられたのは香ばしい香りを漂わせる骨付き肉。
 豪快にぶつ切りにされた肉を炙ったもで、じっくりと火を通されたばかりの肉は、夜に良い香りの湯気を漂わせている。
 アルノルトは手に取り、そのまま口に運んで熱い内に齧り付く。
 ぱりっと焼けた皮に溢れてくる肉汁が旨味を伝えてくる。
 味を楽しんで、先程の辛口の酒で流し込むのもたまらない。
 ザハはそんなアルノルトの姿に驚き、目を丸くしている。
 確かこの友人は、領主の嫡子として厳しく育てられ、マナーもきちんと教えこまれたのではなかったか、と。
「もっと上品に食べる人だと思っていたけど」
「はは、品を求められる場面ならばそうするがな」
 ナプキンをし、ナイフとフォークで骨から肉を外し、上品に口に運ぶことも無論できるが、今この場に沿ったマナーはそれではないだろうと笑ってみせる。
「こういうのは、齧り付いて食うから旨いものだろう? 郷に入っては郷に従え、だ」
 幼いドラゴンのフィーが食べやすい大きさに少し解して冷ました肉を与えながら、ザハにも熱いうちに食べろと勧めるアルノルト。
「……確かに。君の言う通りだよ」
 ザハも冷めぬうちに、と骨についた肉をそのままガブリと囓って味わう。
 しっかり弾力のある肉から滴る油もまたうまい。
 アルノルトの言うとおり、祭りの料理に品は必要無い。
「熱々の、旨い内に食べるのが何よりだね」
「ああ」
 そんな友人にアルノルトは酒を飲み干して頷く。
「次は何を食べようか」
 隣のテーブルの魚や貝の煮込みも良い香りだし、油で煮ているエビもにんにくの香りが堪らない。
 ザハは迷いながら何を頼むか考えて。
「夜はまだ長い。村の祭りの味を、今日は十二分に楽しもう」
 アルノルトはまた別の酒を頼んで、ぐいっと飲み干す。フィーも先程の肉をちまちまと食べては満足そうな声を上げていた。
 そんな二人を迎えた祭の夜は、まだまだ続くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

檀・三喜エ門
(絡みの可否お任せ)
「澪ちゃんをお誘い…したいのだけど」
お祭り料理を頬張るのに忙しい様なら、出直してくるよ
あんまり美味しそうに食べてるから、遮っちゃ悪いかなって…

手頃な場所があれば寝転んで、
月明かりの無い夜空を見上げる
眼前いっぱいの星空は、どの世界も綺麗だな~

明るい星、暗い星
青いの赤いの黄色いの
猟兵になるまで、星に温度があるなんて知らなかった
星と星を繋いで形取って、名前も付いているんだよね?
ちょうこ…彫刻室座…?奥が深い…

虫の鳴き声に混じり、自分の腹の虫も鳴いて
「はは、何だかお腹が空いてきちゃった。何か食べに行こうか」
足元に気を付けてね。と手を引く素振りをすれば、
柄にも無いって笑われちゃうかな




 祭りで賑わう村の中、檀・三喜エ門(落日・f13003)はちょっぴり及び腰であった。
 声をかけようと見にきたら、料理を頬張る澪が幸せそうで少し躊躇われる。
 出直そうかと思っていたら、顔を上げた澪と目があった。
「おやー……ミキヲさん、楽しんでます、かー?」
「やあ、澪ちゃん。うん、それなりに」
 近くによれば、首を傾げて三喜エ門を見る澪。
「あの、澪ちゃんを星見にお誘い……したいのだけど」
「はい、喜んでー……」
「いいの?」
「ええ、もちろんー」
「あんまり美味しそうに食べてるから、遮っちゃ悪いかなって……」
「だいじょぶですよー……ありがとうございます」
 それで、どちらに、と問う澪に三喜エ門は村の外れを指差して。
「あっちに、静かな空き地があったから、そこがいいかなって」
 二人で向かった村から少し離れた草地は、明かりもなく人もいない。
 三喜エ門が草地に寝転んでみれば、短い草が柔らかく体を受け止めてくれた。
 澪も手近にころりと転がる。
「眼前いっぱいの星空は、どの世界も綺麗だな~」
「ですねー……満天の、星空ー」
 三喜エ門と澪の見上げる空には、月明かりのない夜空に大小明暗、色も様々な星々が煌めいている。
 潮騒の音は聞こえないが、かわりに微かに虫の音が聞こえてきた。
「アルダワでも、星を見ましたねー……」
「ああ、箒星を飛ばしたね〜」
 あの時は室内に再現された星空を飛んで見たが、今は地上から寝転んで見上げている。
 そんな他愛ない話をしながら三喜エ門が夜空を指で辿る。
「明るい星、暗い星、青いの赤いの黄色いの。こういう違いって、温度なんだってね。猟兵になるまで、星に温度があるなんて知らなかった」
 三喜エ門の皹のような金色、目のような鬼灯色、澪の羽にあるような小さな白の集まり、といった星達。
 そんな彼らの色の違いは大きさや温度だったなんて、猟兵になるまで知る由もなかった。
「星と星を繋いで形取って、名前も付いているんだよね?」
「はい、星座ですねー……昔の人が、見立てた、星の形ー」
 澪も指を伸ばして繋いでみる。
「神話で有名なのもあればー……美術道具の、彫刻具座、彫刻室座……なんてのも、ありますねー」
「ちょうこ……彫刻室座……?奥が深い……」
「ねー……面白い、ですよねー」
 話す言葉が少し途切れたその時に、虫の鳴き声に混じり、三喜エ門の腹の虫も鳴きだした。
「はは、何だかお腹が空いてきちゃった。何か食べに行こうか」
 照れくさそうに笑って起き上がり、澪に手を差し出して。
 澪も手を握りかえして、立ち上がる。
「足元に気を付けてね」
「はーい……」
 導くように手を引かれながら、珍しく唇を緩ませて、澪が笑う。
「柄にも無い、かな?」
「いいえー……いけめん、だなー、と」
「あ、うん……ありがとう」
 照れ笑いに、微かな笑い。
 笑顔の二人は手を繋いだまま、祭りの賑わいに戻っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年09月29日
宿敵 『深淵の怪物』 を撃破!


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#アックス&ウィザーズ


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はステラ・アルゲンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト