37
星の海に魂の帆をかけた男

#スペースシップワールド #【Q】 #クエーサービースト #小夜鳴鳥(ナイチンゲール)号 #グレイテスト号の"色男"

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#スペースシップワールド
🔒
#【Q】
🔒
#クエーサービースト
#小夜鳴鳥(ナイチンゲール)号
#グレイテスト号の"色男"


0




●スペースシップワールド
 かつて、小夜鳴鳥(ナイチンゲール)号という船があった。
 古馴染みに愛されたその船は、ある日忽然とその消息を絶った。
 狡猾なオブリビオンによって船内に不和が起こり、船員は全滅してしまったのだ。

 長き時を経て、邪悪の存在を察知した猟兵たちにより、船に巣食う獣は払われた。
 程なくして新世代の若者たちが、この船の新たな乗員となった。
 あの銀河帝国攻略戦を生き延びた若者たちが、いま目的とすることは一つ。
「誰も見たことのない宇宙を探索したいんです。どうか、力を貸してください!」
「ん? ああ、うむ! おっほん、もちろん俺……私に任せてもらえば完璧だとも!」
 若き艦長は頭を上げると、安堵した様子で息を吐いた。
 一方、妙に派手な格好……それこそサーカスの座長めいた……の"色男"は、
 内心(これもしかしてヤバいことに足突っ込んでんじゃねえか?)とか思っていた。
(まあなんとかなるだろ。なにせあいつらが……猟兵がいてくれるんだし、な!)
 ……その楽観思考は、程なくして粉砕されることになるのだが。

●グリモアベース
「てなわけで、そのナイチンゲール号が例の"未踏宙域"探索に名乗りを上げたのよ。
 もしかしたらまだ情報を仕入れてない人もいるかもだから、一応説明しとくわね」
 グリモア猟兵、白鐘・耀は、今回のミッションに関する重要な情報をおさらいした。
 儀式魔術【Q】を成功させたことで、未知の宙域の存在が発見されたこと。
 そこは、あの銀河帝国ですら、"ある理由"によって手出し出来なかったこと。
 その理由こそが、今回のミッションにおけるもっとも危険な存在であることを。

 クエーサービースト。
 小惑星級という規格外のサイズを有する、意思疎通不可能な謎の天体種族。
 目的、不明。
 生態、不明。
 戦力、不明。
 文献の発見に先駆けて目撃された個体も、その種族の尖兵にしか過ぎないらしい。
「……ロボットアニメの敵キャラかなんかかしらね?」
 などと冗談めかすが、耀は深刻な面持ちをして嘆息し、頭を振った。
「とか笑ってらんないのよね。だってあの銀河帝国がろくに手出しできなかった相手よ?
 もちろん、あの世界の人たちじゃどうにもならない。だから、私たちの出番ってわけ」
 猟兵の任務。それは、未踏宙域探索に乗り出した宇宙船に乗船し、護衛することだ。
 無論、後続のために、航路を探索し宙域の解像度を高めていくことも目的となる。

「話は戻るけど、今回みんなが乗り込むのはさっき触れた『ナイチンゲール号』よ。
 別に隠すことじゃないけど、前に私が予知した案件に絡んでるのよね、この船」
 時代を越えて受け継がれた小夜啼鳥号。それに乗り込むのは勇敢な若者たち。
 銀河帝国攻略戦を生き抜いたとはいえ、彼らの練度はまだまだ発展途上だ。
「世界を救った英雄サマが同乗してくれるなら、士気も高まるんじゃないかしら?
 なんでも探索に備えて、"歴戦のエキスパート"も招聘してるらしいんだけど……」
 なぜかわからないが、そこが微妙に不安だと話す耀。女の勘らしい。
 ともあれ、実際にオブリビオンと遭遇した時、これを排除するのは猟兵の仕事だ。

「クエーサービースト以外にも、銀河帝国の外宇宙船団の生き残り……っていうより、
 まあゾンビみたいな連中が襲いかかってくると思うわ。一応、そっちにも注意して」
 オブリビオン化した『銀河帝国外宇宙船団』の成れの果ての撃滅。
 未踏宙域の探索、および後続船団のための航路開拓。
 そして、謎めいたクエーサービーストとの交戦、撃破。
 これら三つを完遂し、既知宙域に無事に帰還することでミッションは完了となる。
「世界を救ったからには、その先の未来もお世話するのが"伝説の戦士"てなもんよね。
 英雄だなんだと言われるのはこそばゆいかもだけど、うまいことやってきて頂戴」
 そして耀は、何の変哲もない火打ち石を取り出す。
「せっかく羽ばたいた小鳥が、また力尽きちゃったんじゃ悲しいものね」
 カッカッ、と小気味いい音が鳴る。
 それが、転移の合図となった。


唐揚げ
 光子魚雷です。儀式魔術Qの成功、おめでとうございます!
 そんなわけでシナリオを出すことにしました。
 以下はシナリオのまとめです。

●目的
 "未踏宙域"を探索し、新たな宇宙航路を開拓する。

●各章の概要
 1章:オブリビオン化した『銀河帝国外宇宙船団』戦力の排除(集団戦)
 2章:"未踏宙域"での『宇宙航路開拓作戦』(冒険)
 3章:クエーサービーストの尖兵との交戦(ボス戦)

●敵戦力
『要人・式典護衛用銀河帝国製ウォーマシン』
 1章で登場。"未踏宙域"で撃沈した『銀河帝国外宇宙船団』の成れの果て。
 オブリビオン化しており、探索に乗り出す宇宙船を無差別に攻撃する。
『クェーサービースト・キエリビウムJOX』
 3章で登場。詳細不明の小宇宙級巨大天体種族『クエーサービースト』の尖兵。
 意思疎通は完全に不可能。交戦は確実なため、猟兵が排除せねばならない。

●OPで登場した用語やNPCについて
『ナイチンゲール号』
 今回の探索に名乗りを上げた宇宙船。かつて戦いの舞台となった。
 現在は新世代の若者たちが乗り込み、戦争を経て宇宙探索に乗り出している。
(関連シナリオ:『誰が小夜啼鳥を殺したか?』)
『若き船長』
 本名は『パトリック・スチュワート』全乗員の後押しで船長に就任した。
 普段は頼りない雰囲気の青年だが、鉄火場においてはリーダーシップを発揮する。
(関連シナリオ:『銀河帝国攻略戦⑤~リブート、ナイチンゲール』ほか)
『歴戦のエキスパート』
 探索に先駆けて、ナイチンゲール号に招聘された人物。自称・猟兵の顔なじみ。
 とあるオンボロサーカス宇宙船の座長らしい。借金総額は現在も記録更新中。
(関連シナリオ:『あるいは借金で一杯の船』ほか)

●備考
 過去シナリオのNPCが登場しますが、前提知識は必須ではありません。
 当然、戦闘で役立つこともありません(一応、交流は可能)

 こんな感じです。色々ネタを入れてるのでだいぶ長くなってしまいました。
 なお、プレイングの受付期間などの諸連絡は、その都度断章にて告知いたします。
 期間外のプレイングはお返しする可能性もありますので、ご了承ください。

 では、前置きはこのあたりにして。
 皆さん、宇宙の頂点(トップ)を狙っていきましょう!
534




第1章 集団戦 『要人・式典護衛用銀河帝国製ウォーマシン』

POW   :    非情なる機械騎士
【剣と盾による近接攻撃を仕掛ける際に頭部】を向けた対象に、【頭部の格納銃器による至近距離からの発砲】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    学習型電子頭脳搭載・護衛用ウォーマシン
【戦闘経験を際限なく蓄積し向上する戦闘技術】【機械の怪力で振るう剣と盾を活かした防御術】【熱、振動を始めとした各種センサーでの索敵】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    暗殺者泣かせ
【熱、音、振動用の各種センサーによる索敵】から【追加装備(通常は腕部銃器)による攻撃】を放ち、【牽制の攻撃と急所を狙った精密攻撃】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●業務連絡
 プレイング受付期間は、
 【09/01 08:31】
 から、
 【09/02 19:00】
 までの予定です。
 参考となる情景描写用の断章も、受付開始までに追加いたします。
●業務連絡:追加
 プレイング受付期間を、
 【09/02 08:31】
 から、
 【09/03 23:59】
 に変更いたします。ご迷惑をおかけいたします。
●ナイチンゲール号にて
 転移した猟兵たちを、乗員たちが総出で出迎えた。
 その列から進み出たのは、若き艦長パトリックである。
「ようこそ、皆さん! といっても今回は危険な外宇宙探査ですが……。
 それでもまたこうして、猟兵の皆さんと肩を並べられることを誇りに思います!」
 言葉通り誇らしげに、そして猟兵たちへの憧れを目にたたえて、青年は語る。
「実は今回は、僕たちの他にもうひとりメンバーがいるんです。
 皆さんと共同ミッションをするのに慣れた、エキスパートの方なんですよ!」

 さあどうぞ、と言われて出てきたのは、サーカスの座長めいた格好の男。
 シルクハットは壊滅的に似合っておらず、30の半ばを過ぎたであろう顔からは、
 あきらかにろくでもない輩な気配がプンプンしていた。
 この男、ジャックと云う。自称する二つ名は"色男(ヒューマン)"であるが、
 その素性を知る輩からは"ろくでなし"だの"借金まみれの"などと揶揄される。
「あー、おほん! まあ私は、あくまで諸君……あいや皆さんのサポート役なので!
 こう、危ないこととか任せるからよ! ひとつ頼む……いや頼めます!?」
 おい全然話違うぞって感じの乗員たちの視線が、ジャックに集まる。
「……いやだって、仕方ねえだろ!? 未踏宙域には儲け話があるって酒場で聞」

 ――KA-BOOOOOOM!! 突然の爆発音と船を揺らす衝撃!

「どうした! 何が起きてる!?」
「て、敵襲だ! 数は100……いや、数え切れない!」
 メインモニターに船外の状況が表示される。
 見よ、そこにはいびつに朽ちた母艦と、その周囲を取り巻く無数のウォーマシン。
 一体一体の全高は約3メートル。外宇宙船団の成れの果てだ!
 おまけに一部のウォーマシンは、さらに二回り近く巨大な強化外骨格や、
 ミサイル・レーザーキャノン・ガトリングなどの大型船外戦闘用兵装、
 大型実体剣や宇宙船の外装破壊用ハンマーを装備した個体までいる!
「あれが例の……ジャックさん、こういう時は」
「た、たたたた助けてくれぇ! 助けてくれるよな!? 猟兵だもんな!!」
「…………」
 半べそかきながら猟兵たちに泣きついているろくでなしを、
 めちゃめちゃ冷たい目で見たあと、パトリックは頭を下げた。
「お願いします。どうかこの船と乗員のみんなを守ってください!」
「えっ俺は?」
「頼みます。この船で探査に行かねばならない理由があるんです!」
「あの、外部要員の俺は? ねえ!?」
 コントはさておき、状況は一秒を争う。
 残骸と成り果てた亡霊たちを、その力で打ち払うときだ!
●特殊ルール
『朽ちた敵母艦』は、なんかこう大型艦相手に戦いたいなという方向けのフレーバー敵です。
 そちらをご希望の場合は、『対象:敵母艦』などというふうにご記入ください。

 また、ウォーマシン群との戦闘は、
『1.船外で大量のウォーマシン群を薙ぎ払う』
『2.船内に侵入した(しようとしている)少数個体を倒す』
 の2パターンの描写が可能です。
 特に希望がなければスルーしても構いません(こちらでアレンジします)
 希望がある方は、上述の対母艦と同じく『戦場:1』などというふうにご記入ください。
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
【戦場:2】

私達にはこっちの方が性に合ってるよね
船外で大方食い止められてるとは思うけど……どこに潜んでるかな
あ、派手な音じゃなくても大丈夫
私って聴力には揺るがぬ自信があるんだ
でも索敵にはヨハンの闇の方が万能かな?

了解!と、彼の指示には敬礼も交えて
捕縛が解かれる前に急いで薙ぎ払っちゃおう
頭部にも武器を隠し持ってるみたい……
万一発射されても【見切り】に成功するように、気は抜かないでおくよ

えっ、何か言った?
うっかり進み過ぎていることにも気付かない
けれど微かな金属音をこの耳が捉え
ヨハンを手招きして声を潜める
いるよ……あっちみたい
さっきみたいに引きずり出してくれる?
とどめは任せて


ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
【戦場:2】

大立ち回りは他の方々にお任せしましょう。俺達には向きませんからね
侵入者を見付け次第排除する。さっさと終わらせよう

派手に音でも立ててくれれば分かりやすいですが
こそこそと隠れるような者がいれば面倒ですね
索敵していきましょう

30m四方程度に闇を這わせながら索敵して船内を進みます
オルハさん、少し距離をとっておきましょう
敵を見付けたら引きずり出す。狭い船内は俺には好都合だな
敵の攻撃は<全力魔法>で相殺
<呪詛>で縛り付けている間にトドメは任せます

交代で囮をしながら進み
……とはいえ進み過ぎないように
うっかり屋なので心配なんですよね……

さくさく引きずり出していきましょう



●慣れた様子の共同作業
 爆発音がした。ということは、当然すでに船体にダメージが出ている。
 であれば船外の敵を迎撃するだけでは足りない――と、ふたりは考えた。
 そもそも、あんなバカでかい母艦だの、大仰な対艦兵器だのを装備した連中と、
 大立ち回りをするなんてのはふたりのスタイルではない。
 ……ということから、オルハ・オランシュとヨハン・グレインの二名は、
 船内に侵入し息を潜めているであろう斥候を叩くこととしたのだ。

「いくら一度は滅ぼされているとはいえ、相手は銀河帝国の精鋭部隊です。
 あの大げさな大部隊は、隠密部隊を侵入させるための陽動なのではないかと」
 自身の周囲30m四方に"闇"を這わせたヨハンが、感覚を研ぎ澄ませながら言った。
 もしも範囲内に彼が認識していない異物が入り込んだならば、
 "闇"はさながら超音波ソナーめいて、その存在や大きさ、敵対の意思を知らせる。
「オブリビオン化しても、連携行動を取る知能は失ってない、ってことだね。
 私も聴力には自信があるけど、この様子ならヨハンに任せたほうが楽そうかな」
 ウェイカトリアイナを握るオルハは、リラックスした様子でそう言う。
 仮に自分たちの気づかぬ存在が不意打ちを仕掛けてきたとしても、
 これまでの戦いを乗り越えたふたりなら、即座に反応できるだろう。
「……船員さんたちの被害が出ない前に、やっつけないとね」
 だがそれは、あくまで"ふたりがそれぞれの身を守る"ぶんでの話である。
 ナイチンゲール号の乗船員があのウォーマシン部隊と船内で遭遇してしまったら、
 待っているのは血みどろの殺戮だ。それだけは阻止せねばならない。
「……さっさと排除して、終わらせてしまいましょう。所詮は前哨戦です。
 こんなところで手をこまねいていたら、後の目的が霞んでしまいますし」
 口にする言葉はつっけんどんで無愛想なものだが、ヨハンもおおよそ意思は同じ。
 無用の被害が出ることをよしとするほど、彼も冷血漢なわけではない。
「了解であります、隊長!」
「……それ、今度は何のごっこ遊びですか」
 敬礼するオルハと呆れるヨハンのツッコミは、だいぶいつもどおりだが。

 そうして索敵を開始して5分もしないうち、"闇"がほのかにわだかまった。
 ヨハンはぴくりと片眉を吊り上げ、そちらの方向に意識を集中させる。
 そのすぐあと、どうやらオルハの動物敵直感も敵の気配を察知したようだ。
(数は一体か。けど、暴れられると面倒だな……)
 冷静に考えたヨハンは、ちらりとオルハのほうを見やった。
 その一瞥で彼の意図を察したオルハは、一瞬だけ逡巡したのち、こくりと頷く。
 そしてヨハンは……なんと、気配がしたほうへ無造作に踏み出したのだ!
『敵性体、確認。排除開始』
 隠れ潜んでいたウォーマシンが姿を表す! だが、予期された不意打ちだ!
 ヨハンは周囲に展開していた闇を即座に凝縮し、敵の足元へ殺到させる。
 脚部バーニアが全力噴射される前に、その噴射口を"闇"で塞いでしまうと、
 さながら海原から魚を釣り上げるかのように引きずり出したのである!
 屋内での戦闘はヨハンの独壇場だ。身動きを封じられたウォーマシンは、
 悪あがきに実体剣を振り回す――が、これも"闇"が絡め取ってしまう。
「おとなしくやられてよね、危ないでしょっ!」
 そこへオルハの刺突。相手が機械であろうが生き物であろうが急所は変わらない。
 胸部中央の動力炉と、頭部をほぼ同時に串刺しにされたウォーマシンは、
 バチバチと火花をあげながら痙攣し、やがてがくりと停止した。
「……ふう、なんとかなった。ねえヨハン、アイコンタクトはいいけど」
「"君が囮だなんてハラハラしちゃう"とかですか? なら交代でやりますか」
 言おうとしたことを先んじられ、オルハはむう、と頬を膨らませた。
 ……お互いに相手のことを心配して、俺が私がと無茶をしていては、
 結局何の意味もない。ヨハンはそう言いたいのだろう。
(それでも、心配なのはたしかだし)
 なんていじらしい言葉は、おとなしく心にしまっておくオルハだった。

 ……しかし実際、ヨハンの言わんとしていることは少々違った。
「俺が心配しているのは、あなたのうっかりしているところなんですよ……」
「え? なにか言った?」
「いいえ、何も」
 本当に聞こえていないのか、皮肉のつもりなのか、オルハは首を傾げている。
 今だってヨハンがぽつりと言わなければ、きっと前に出すぎていただろう。
 そういうところが心配で――いや、相手が心配という意味では自分も同じか。
「それよりヨハン、あの通路の奥。何体か足音が聞こえるよ」
「……そうですね。仕事を済ませるとしましょうか」
 脳裏に思索を打ち切り、いまなすべきことに集中するヨハンであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

マリークロード・バトルゥール
アラン(f19285)を伴に
2.船内に侵入した個体を退治しましょ
招かれざる客は追い払わねばならないものです
ついでに船内の探索もしたいわ。――ね、いいでしょう?

まあ、ウォーマシンというのはわたくしの騎士よりずっと大きいのね
初めて見る機械兵に目を丸くする
物陰から出たらすぐに蜂の巣になってしまいそうね
アラン、彼らの気を一瞬だけ引く事は出来て?

騎士の作った時間の隙にマントを翻し、礼儀正しくスカート摘んでご挨拶
ごきげんよう、はじめまして
意識だけでも此方に向けばわたくしは微笑むだけ
無数の刃が一斉に生じ害するすべてを切り落とすでしょう
銃を、足を、腕を、そして――
さあ、わたくしにもっと魅入って頂戴な


アラン・サリュドュロワ
マリークロード(f19286)と2.船内
後半が本音だな、だが俺も見てみたい
星空を飛ぶ船には興味がある
かしこまりました殿下、お供致しましょう

斧槍ジゼルを手に、主に付き添い
接敵とあらば彼をマントを広げて庇う
あれらより大きかったら俺は巨人です
──やるだけやってみましょう

通路の真ん中に陣取り、勢いよく槍の石突きを打ち付け大音声で気を引く
見よ、貴様達の敵はここにいるぞ
戦士であるなら無睾の民に手を欠けようなど恥を知れ
攻撃が来ようと動じず、城塞とした身で受けきる
頭部の銃にはちょっと驚いた
……頭の中まで絡繰とはな
その獣以下の頭にもっとマシなものをくれてやる
主の討ち漏らしに刃を振るい、ガラクタへと変えていく



●姫と騎士、はじめての星の海
 スペースシップワールド。帰るべき星を失った無限の宇宙と、星の海を征く船。
 数多ある世界の中でも、この世界はその環境的にも技術的にも特異な場所だ。
 最初に戦乱が終結したこともあり、いわばこの世界は一種の"小康状態"にある。
 であるからして、マリークロード・バトルゥールとアラン・サリュドュロワは、
 今回の新航路開拓が、実質的に初めての"宇宙旅行"というわけだ。
「海と船。言葉にすれば同じだけれど、その在りようはわたくしが知るものと、
 何もかも違うのね。ああ、不思議だわ。そして素敵だこと。ね、アラン?」
 マリークロードの足取りとその声は、この非常事態にはやや不謹慎であった。
『船内の敵を見つけ出して叩く』などと言えば聞こえはいいが、実質それは、
 物珍しいスペースシップを探検したい、というのが本当のところだろう。
 清廉な騎士であれば、姫の奔放をたしなめて使命に引きずり戻すところ……だが。
「まったく、本音と建前の使い方ばかり上手くなって……」
「なにか言ったかしら、アラン?」
「いいえ、"殿下"。何も申し上げておりませんとも」
 ふたりして"姫と騎士"という仮面を被り、にこにこと皮肉をぶつけあう。
 星空を征く船。それがどんなものか、アランも気になっていたのは正直なところ。
 あのガラス一枚隔てた先は、呼吸すらも不可能な死の世界だというのだ。
 なのにそこでしか生きられないはずの人々は、ああも目を輝かせている。
 不思議だ。この世界も、そこで暮らす人々も何もかも――。

 ……などと、終わりなき星の海の暗黒に思いを巡らせる船内探険が、
 この非常事態の最中に穏便に終わるはずもなく。
「お下がりを、殿下」
 敵の気配を察知したアランは、素早くマントを翻しマリークロードの前に立つ。
 そして通路の向こう側、曲がり角から現れたのは……3メートル近い巨躯である。
「まあ! ウォーマシンというのは、わたくしの騎士よりずっと大きいのね!」
 猟兵の中にもウォーマシン種族の者はいる。が、それとこれとは話が別だ。
 そもそも『ほんとにウォーマシンか?』と疑ってしまうような外見の者も多く、
 だからこそ、いかにも機械兵らしい見た目をした敵は、却って彼を驚かせた。
「あれらより大きかったら、俺は巨人です。さてどうしたものか……」
 敵のカメラアイがアランを捉える。……皮膚感覚でわかる。濃密な殺意。
 当然だ。なにせ相手はかつて滅びた過去の残骸――すなわち、オブリビオン。
 誰も知らぬ死の世界で滅びた兵士ならば、なおのこと生者への妄執は激しかろう。
 世界が変わろうと、宇宙だろうと地上だろうと、その関係は不変なのだ。
(アランの陰から出たら、すぐに蜂の巣になってしまいそうね?)
(わかっているならじっとして――いや)
 ガシュン、ガシュン……曲がり角の向こうからさらに2、いや3体の増援。
 一触即発の気配である。アランのこめかみを冷や汗が伝う。
(アラン。一瞬だけでいいわ、あれらの気を引くことは出来て?)
 背後からマリークロードの囁き声。背に腹は代えられまいか。
(――やるだけやってみましょう)
 アランは覚悟を決め、あえてウォーマシン部隊のほうへ一歩踏み出す。
 そして己が持つ斧槍ジゼルの石突を、力強く通路の床に打ち付けた!
「見よ機械の兵ども! 貴様らの敵はここにいるぞ!!」
 割れんばかりの大音声。通路に設えられた強化ガラスがビリビリと揺れた。
「仮にも戦士であるならば、無辜の民に手をかけようなどと恥を知れ。
 それでもなお暴威を振るわんとするならば、騎士として私が相手になろう!!」
 あるいは在りし日のウォーマシンたちならば、その挑戦を受けたやもしれぬ。
 だが、ここにあるのはオブリビオン。しかして騎士の言葉は勇猛苛烈であった。
 ウォーマシン部隊は、身構えるアランめがけ一斉に襲いかかった!

 ……しかし!
『『『!!!!』』』
 実体剣で、あるいは頭部バルカンで攻撃を加えたウォーマシン隊は驚愕した。
 通じないのだ。生身であるはずの人間ひとりに、剣も銃も何一つ!
「……ッ」
 一方のアランは、無敵城塞による守りを維持しながらも少なからず驚嘆した。
 ウォーマシン。その存在は理解していたものの、よもや頭部まで機械仕掛けとは。
 だが所詮は虚仮威しだ。騎士の守りに豆鉄砲など通じるものか!
「――ごきげんよう、はじめまして」
 その時、ウォーマシン隊の背後から、瀟洒な声が聞こえた。
 振り返った瞬間、そこには礼儀正しくカーテシーをする姫の姿。
 そして……意識を向けてしまったときには、もはや遅いのだ。
『敵性体を視認、攻撃――ガガガガガッ!?』
 刃だ! 死角から飛来した無数の影の刃が、ウォーマシン隊を穿いたのだ!
 生き残った個体も、無造作に踏み込んだアランの斧槍に薙ぎ払われ真っ二つ!
「噫、残念。もっと魅入ってほしかったのに――」
「獣以下の頭に見せてやる末期の風景としては、十分では?」
 心にもないことを言いながら、アランはウォーマシン隊の絶命を確認する。
 それを見守る少年の唇には、どこか妖艶な笑みが浮かぶのみ――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

遠呂智・景明
・ウォーマシンとの戦闘
・船内に侵入して来た少数個体の撃破

相手は機械人形。ワラワラと湧かれたら面倒だが、少数なら船内でもぶったぎれるだろう。
まずはそうだな、その盾邪魔だし削りとろうか。
狭い通路に誘導。
風林火陰山雷番外 雷・火
狙うのはうぉーましんどもの装備。

邪魔なものはなくなったな。
存分に斬り結ぼうか

あの頭が厄介なのは理解した。
まずは敵の剣は黒鉄で受け止めるのではなく受け流し、返す刀、大蛇切でその首を落とす。
次、狙うのは両肩。腕を切り落としその勢いのまま首。
次、片手で敵の剣を受止め、懐刀で思い切り口を殴る。
次、次、次……。

さあ、どんどん来い。
数の分だけ手段はあるぞ。
その全てで、てめぇらを斬ってやる



●雷火、鋼を断ちて悪を斬る
 艦橋に繋がる通路を、3メートル近い巨躯が整然と行進する。
 銀河帝国・外宇宙探査部隊の生き残り……いや、滅ぼされたその成れの果て。
 本来要人警護用に開発されたウォーマシン隊は、過酷な外宇宙探査に耐えるため、
 全身の装甲を強化され、仮想敵を殲滅するための十分な火力を与えられていた。
 実体剣と頭部バルカンの標準装備だけではんく、実弾ライフルや熱線銃。
 果ては対生物を考慮した危険な生体兵器、火炎放射器、溶解弾。枚挙に暇はない。
「他愛もねえ」
 それを、分厚い鋼鉄の大盾もろとも、両断せしめる凄まじい剣豪がいた。
 遠呂智・景明。人ならぬ刀の化身。ヤドリガミにして凄腕の剣客。
 見えず捉えられず、そして防げずの三不の剣は、鋼鉄の盾などバターも同然。
 艦橋へ繋がる通路のひとつに仁王立ちし、真っ向から敵を叩き斬っているのだ!
『障害を確認。排除を開始する』
「排除ぉ? 排除されんのは――」
 ヒュカッ! 高精度カメラアイですら視認不可能の、絶無の神速斬撃!
 正中線に当たる部位を両断されたウォーマシン残骸が、斃れ伏せて爆発する!
「……てめぇらのほうだ。そら、次はどいつだ?」
『排除開始』
『同時攻撃を推奨。近接戦モードへ移行』
『背部バーニア点火。敵を殲滅する』
 ゴウッ!! 艦内の大気を焦がし、背部バーニアが蒼い噴射炎を撒き散らす!
 F1カーじみた速度で突っ込んでくる敵は、衝角のように実体剣を構えているのだ!
 危険だ! 速度と質量が一体になった攻撃は、それ自体が生半な反撃を弾く!
 斬撃など言わずもがな、どれほど疾かろうが押し負けて圧殺されてしまう!

 ……だがそれは、"尋常の剣術ならば"の話だ。
「風林火陰山雷、番外――」
 景明は尋常の剣士ではない。その手が振るう剣もまた尋常に非ず。
 これなるは剣の範疇に収まらぬ技法。間合いなど、景明の手にかかれば消失する!
「雷・火! 最大火力を見せてやるよぉッ!」
 直後! ぶわぉっ、と大気を吹き飛ばし、刃の壁が……そう、壁が生まれた!
 一縷ほどの隙間もなき刃嵐斬撃、まったく同時に繰り出されたそれはまさに壁だ!
 一撃ならば速度で押し返せてよう、
 居合ならば質量で跳ね除けられよう、
 だが速度と威力を伴い、精密な技量を重ねた剣の壁をどう突き進むというのだ!?
『ガガガガガガッ!?』
「てめぇも! てめぇもだ! そらそらそらそらそらぁ!」
 ヒュカカカカカッ! 火炎放射器、あるいは大型盾を構えて吶喊した敵を、
 まずはその装備を雷火が断つ。そして爆炎の上からさらなる多重斬撃!
『敵性体脅威レベルをA++へ上昇。捕縛し自爆攻撃を――』
「遅いんだよッ!」
 爆炎に紛れ、背後を取ろうとしたウォーマシンの頸部を両断滅殺。
 さらに腕部をドリルに置換した個体の両腕をすさまじい速度で斬撃破壊し、
 その亡骸ごと押し潰そうと降ってきた剣をがんっ!! と受け止め、懐刀で斬る。
 進めぬ。敵は数十を越えていよう、だが景明ひとりを越えられぬ!
「さあ、どんどん来い。こちとら数のぶんだけ手段はあるぞ」
 馬鹿げたほどの斬撃でありながら、艦体へのダメージは皆無。
「そのすべてで、てめぇらを斬ってやる」
 これこそが、尋常を超えた非凡なる剣士の業なのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

神酒坂・恭二郎
【連携改変歓迎】

前人未到!!
良い響きだねとても良い。
以前からこのスペースはどうにも狭いって思ってた。この試みは多いに有りだ。
帝国の凋落や変質も、世界を広げるって覇気が折れたのも一因だって俺は睨んでたしね。
頼むぜ船長さん。誰も見た事のない所に連れて行ってくれよ。

って訳で、目の前の機械騎士達とは戦い慣れている。
あれは命中しやすいが射程が短い。
星白鮫に乗って相対距離を詰め、至近距離の直前で【覚悟、見切り】から【残像、フェイント、見切り】の弧を描く背面跳び。頭部の正面から外れてみせる。
同時に伸ばした手拭いでその頭部を捥ぎに行く。
射程の短さと頭部の可動域が奴の弱点だ。
QEDなら守護明神の出番だね。


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
【戦場:1】

………ちょっと。
あのオッサン、勝手に引っ込むだろうけどどっかに閉じ込めとけ?
ちょいと久々の宙間戦闘やってくっからよ。
終わった後にしゃしゃり出てきても面倒そうだしさ。

この船に乗るのは初めてなんで、艦内戦闘は遠慮しとくよ。
他に構造を把握してる面子が何とかやってくれるだろ。
アタシは遊撃兼、範囲攻撃狙いだね。
そもそもアタシのカブは宇宙カブ、
宇宙空間こそ真価を発揮する!
『騎乗』しながら『操縦』テクを駆使して
電撃の『マヒ攻撃』を『範囲攻撃』の様に
ばら撒きながら戦場を駆け巡る。
相乗りしたい奴ぁ乗っとくれ!

周囲の帯電がいい感じになったら
ダメ押しの【黄泉送る檻】ぶっぱさ!


ミニステリアリス・グレイグース
…私、何だかんだ帝国との本格的な戦闘は初めてでした
ふ、船の墓場の時のあれはなしですっ

思う所はありますが…所詮これは前哨戦
未知の領域への希望の船出、今更あなた達なんかに邪魔はさせません

【堕ちた創星・心】を発動
[範囲攻撃]の応用で戦闘宙域にナノマシン散布
更にナノマシン全てから[オーラ防御]展開
敵の行動・攻撃を著しく阻害するフィールドを形成

同時に
ナノマシン一つ一つが放つ[念動力]
これを絶え間なく共鳴させて念動波を際限なく増幅し([コミュ力])
『アニムス』による広域殲滅射撃を行います

天の光は全て星
戦場に散ったナノマシン全てがこの術式の砲門です
そのご自慢の電子頭脳、活かす間もなく消し飛ばしてやりましょう


エドゥアルト・ルーデル
初めは戦場全体に【UAV】を放ち戦域全体の情報収集ですぞ
ふふっ中々いい眺めだぜ…

味方が戦闘を始めたらUCのテレポートで各所の味方の元へひとっ飛びでござる
【ロード】を一回挟むんで敵には突然ポップしたようにしか見えない…奇襲にはもってこいですぞ
所謂卑劣斬り戦術でござるよ

到着したら即攻撃!
宇宙空間ならこのヌカッとしたランチャーも撃ち放題でござるね!
そして奇襲性が大事なんであって撃破したかはどうでもよろしい
ブッパしたら即別の現場へひとっ飛びですぞ

経験値を積もうがセンサーの索敵があろうが突然の奇襲には対処が難しいでござるよ
そして例え学習しようが奇襲があるかも思わせるだけで動き辛かろう
戦場を荒らしますぞ


ルエリラ・ルエラ
【アドリブ改変・連携歓迎】
ま、今更この程度じゃ驚かないけどとんだハプニングだね
邪魔する敵はどんどん始末していこう。

なんだか色々強化されて硬くなったりするみたいだけど。まぁ関係ないよね。
私の【アインス】はどんなに硬かろうが貫けるんだし。『援護射撃』しつつ一体一体確実に仕留めていこう。
余裕ができ始めたら敵母艦に近づいて、一発だけアインスを撃ち込みたいね。エンジン部分を狙って動けなくして後は味方にお任せコース。欲張りすぎかな?
なんにせよウォーマシンは確実に仕留めていければいいか。余裕ができるかわからないし。
皆を助けるためにがんばろー



●芋煮の民、久方ぶりの宇宙を大暴れ!
「……あのおっさん、どっかに閉じ込めといたほうがいいんじゃないかい?」
 宇宙カブにまたがる数宮・多喜は、呆れ果てた表情でそう呟いた。
 誰であろう、エキスパートを自称……というか詐称してたあのバカのことだ。
「あっはっは! まあいいじゃないか、前人未到の大探索の前じゃ小さな話だろ?」
「終わったあとにしゃしゃり出てきても面倒そうなんだけどねぇ……」
 かっかと豪放磊落に笑う神酒坂・恭二郎の様子に、多喜はまた呆れた顔をする。
「そんな暇ないんじゃないかな。まあ暴れるならこうガッとやればいいし、ガッと」
「な、なんでそんなバイオレンスな解決をしようとするんですかっ!?
 まだまだ前哨戦なんですよ? こんなところで仲違いしてたら後が大変ですよっ」
 冗談だよ冗談、と悪びれもせずルエリラ・ルエラを、ミニステリアリス・グレイグースはジト目で睨んだ。
 この女……やると言ったら本当にやりそうな"スゴ味"があるのだ……!!
『拙者としてはなんとなーく親近感湧くので、優しくしてほしいでござるな!
 そう、拙者相手もどうかお手柔らかに! 電気消してお願い、恥ずかしいの……』
「まあエドゥアルトのことはさておくとして」
「そうですね、エドゥアルトさんのことはさておきましょう!」
『はいセメントー!! しかし拙者はそれはそれでご褒美なのでした!!!!』
 ぎゃあぎゃあとやかましいUAV……操縦者はエドゥアルト・ルーデルだ……を、
 完全にシカトする女性陣。そこで、恭二郎がにやりと笑って一同を見渡した。
「ま、なにはともあれ、俺もあの戦争以来の宇宙戦だからねぇ。腕が鳴るよ」
「たしかに。残敵掃討戦を含めたって、ざっと半年ぶりってとこだよ」
 だからといって、多喜が久方ぶりの宙間戦闘を不安がっている様子はない。
 当然だ。友から託された宇宙カブを、今までだって何度も乗りこなしてきたのだ。
 ましてやあの銀河帝国攻略戦……忘れたくても忘れられようか。
「……実は私、あの戦争ではほとんど本格的な戦闘には参加しなかったんですよね。
 例のドクターオロチの謎解き機械はいくつも挑戦したんですけど……」
 そう呟いたミニステリアリスの脳裏に、いつかの残敵掃討戦の光景が去来する。
 そして頭を振って脳裏から光景を振り払う。あれは、"なし"だ。
 もっとも、いろいろな意味で得難い経験であったのはたしかだが……。
「気楽に行こう。大丈夫、わたしたちならうまくやれるよ」
 メカシャーク号に乗るルエリラの言葉は、不思議とミニステリアリスを落ち着かせた。
『んじゃハッチ開くでござるよ~、発艦アナウンスとかしちゃうでござる???』
 ゴウンゴウンゴウン……エドゥアルトの台詞に応じて目の前のハッチが開く。
 すでに戦端は拓かれている。宇宙空間に浮かぶいくつもの爆炎の華……!
『周辺宙域調査完了、発艦準備OK、進路オールグリーンでござる!
 ……キャッ☆アニオタ憧れの発艦アナウンスしちゃった☆ンギモヂィイ~☆』
 なんかめちゃめちゃ気持ち悪い声を出しているUAV(エドゥアルト)は無視する。
 実際、エドゥアルトが戦場全体に放ったUAVがなければ、敵の攻撃の隙は読めないからだ。
「未知の領域への希望の船出、いまさら銀河帝国の残骸になんか邪魔させません!」
「艦内戦闘はせずに済んだからねぇ、そのぶん暴れさせてもらおうか!」
「邪魔する敵はどんどん始末していこう。さくさくっとさ」
「芋煮挺メンバーの出撃だ――さあ、行こうとしようかねぇ!」
 恭二郎が星白鮫を召喚、騎乗したのを合図に、一同は一斉にカタパルトを点火!
 そして――戦乱渦巻く宇宙へと、四人の戦士が繰り出した!

 ……Now Loading…………。
『しっとりしている袋ドーナツは冷凍するとサクサクになるぞ』
(ゲームのローディング中によくあるTIPS的なアレ)
 ……Now Loading…………。

「…………ん!? なんだい今の!?」
「えっ、何がでござる?(カチッKA-BOOOOOOOOOOOOOM!!)」
「「「テレポートしてきてるー!?」」」
 これが怪人エドゥアルトの不可思議なユーベルコード、ファストトラベルである!
 かっこいい出撃シーンも台無しだ! ヌカっとしたランチャー発射、爆発!!
「ええい、いまいち格好つかないね! しかもアイツもう消えてるし!」
 卑劣な忍術めいてシュバッと消えたエドゥアルトのノリに辟易しつつ、
 多喜はスロットルを全開にする。宇宙カブのエンジンが唸りを上げて噴射する!
「わあ、わっ、わ! た、多喜さん、乗せてください!」
「あいよ、しっかり捕まってなよ! 今日は安全運転たぁ行かないからねぇ!」
 ミニステリアリスをタンデムさせ、多喜は丁々発止で敵砲撃を回避!
 さらに両手のひらにサイキックエナジーを集中させ、無数の電撃を放つのだ!
「これなるは"夢"の成れ果て――かつて星を侵し、想いを繋ぎ束ねた力っ!」
 ミニステリアリスもぐわんぐわんと揺らされているばかりではない。
 目に見えないナノマシンをあたり一面に散布し、以てオーラの障壁を展開。
 敵の攻撃から味方を守り、ナイチンゲール号への接近を阻む壁となすのだ。
『敵性体を複数確認。排除する』
『了解。宙間機動戦闘プログラム、起動』
「おっと、さっそく団体さんのご到着かい? 歓迎は嬉しいが無粋だな」
 獰猛な星白鮫をサーフィンめいて軽々と乗りこなす恭二郎、敵に先駆け急接近。
 それを待ち構えていたウォーマシン部隊による、実体剣の時間差三段攻撃!
「あらよっと! ――悪いね、こちとら"戦い慣れてる"のさ」
 一瞬にして攻撃を見切った恭二郎は、鮫の背中を蹴って弧を描く背面跳び!
 追撃の頭部バルカンすらも軽やかに躱して鮫の背中に着地すると、
 風桜子をありったけ込めた手ぬぐいを、居合のようにスパァン! と振るった。
 KBAMKBAMKBAM!! 不意打ちもむなしく、ウォーマシン三機は頭部破壊、撃墜!
「あっちもこっちも色んな武装を用意して、ずいぶん大掛かりなことだね。
 まあ、銀河帝国もそれだけ、外宇宙探査に力を入れていた、ということかな」
 一方、メカシャーク号を駆るルエリラは、沈着冷静に敵の配置を分析。
 魔力で生み出した矢をつがえ、敵の砲撃を躱しながら丁寧に射掛ける。KA-BOOM!!
 センサーで探知しようがプログラムが学習しようが無意味な行為でしかない。
 ルエリラの放つ魔力の矢(アインス)は、貫けると思ったものはなんでも貫く。
 どこへ逃げようが必ず追い詰めて、当てる。それが彼女の必殺必中の矢なのだ!

 ……Now Loading…………。
『ダーク・ルーデルは敵を卑劣に奇襲したいという心をコントロールできない……』
(ゲームのローディング中によくあるTIPS的なアレ)
 ……Now Loading…………。

「でも拙者は、実際これが一番早いと思うでござるよ!(エドゥアルト氏)」
 カチッ、シュパパパ……KRA-TOOOOOOM!!
 いちいち妙なロード画面(的ななんか幻影とかそういうやつ)を敵に見せ、
 油断したところでテレポート、そして核な感じのランチャーをドカン。
 さながらどこぞの核兵器搭載ロボットめいて一撃離脱戦法、卑劣だが効果は確かだ!
「ええい、いちいちあの画面……画面が出るのはキャンセル出来ないのかい!?」
「っていうかなんなんでしょうかあれ、どうして私たちまで……」
「慣れるとボタン連打で飛ばせるから楽だよ」
「ボタン、ボタンってなんだ……?」
 戦場を縦横無尽に駆け巡る四人の反応は、呆れてたり慣れてたり様々であった。
 ともあれそうして、敵の一部分がミニステリアリスの領域内に集められていく!
「よぉし、こんなとこかい? サイキネティック・プリズン、展開するよ!」
 多喜のサイキックエナジーが炸裂! 百を超えるウォーマシンを宙域ごと、
 バリバリと電撃めいたサイキックエナジーの檻で閉じ込め、拘束する!
「そうすると当然向こうは、檻を破ろうと一点集中して攻撃してくるわけだ。
 その射程の短さ、ついでに言えばプログラムの未熟さがお前さんたちの弱点だねぇ」
『『『!?!?』』』
 恭二郎の指摘――それによる達人の智慧が、ウォーマシン部隊の悪足掻きを封殺!
「もちろん、そこで船への攻撃なんてさせやしないよ」
 メカシャーク号を駆って母艦に近づいたルエリラが、アインスを接射。
 半壊した主砲による、ナイチンゲール号への長距離砲撃は見事に相殺されてしまう!
「ふふっ、なかなかいい眺めだぜ……跪け! 命乞いをしろ!! でござる!!」
「あんた暴れまわっただけで対してなんもしてないだろ!?」
「と、とにかく――アニムス、起動します。念動波増幅、ナノマシン同調開始……!」
 ミニステリアリスの瞳孔が淡く輝き、風なき風がその髪を揺らす。
「天の光はすべて星――そのご自慢の電子頭脳、活かす間もなく消し飛ばしますっ!!」
 ――KRA-TOOOOOOOOOOOOOOM!!
 逃れられないサイキックエナジーの檻の中、音叉めいて増幅した念動波を受け、
 ウォーマシン部隊百機は爆発四散! 盛大な爆炎が戦場を赤々と照らし出す!
「さあ、鉄火場は俺たちが受け持った。だから頼むぜ、船長さん――」
 恭二郎は、背後に浮かぶナイチンゲール号を振り返る。
 既知宇宙を超えた大冒険。ああ、いい響きだ。心震えずしては男が廃る。
 銀河帝国に成し得なかった大偉業、勝ち抜いた自分たちがなしてこそ意味がある。
「――誰も見たことのないところへ、俺たちを連れて行ってくれよ」
 男の目には、いつも希望の光が揺らいでいた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

神元・眞白
【SPD/割と自由に/戦場:2】
……そう、お爺ちゃん達がいなくてよかった。
話を聞いたらいるのかと思って心配だったけどそれはそれで。
あんな状態でここにいるという事は…ジャックさんは船を売ったのでしょうか?

乗員は全員この場にいる?それならこれから船内にいるのは全員倒すって事でいいと。
飛威、こっちから船内モニターでサポートするから遊撃を。
もしかしたらここにいない乗員がいるかも。だから魅医も連れて行って。
ただ、船内にいるって事はどこかに入口ができているという事。
入口がそのままだと大変だし戸締りはちゃんとしておいて。物理的に。

探査の旅は長いから壊れた所の修繕も考えないと。放流するのも嫌だし。


秋山・軍犬
未踏宙域の探索! 無限に広がる未知への挑戦!
それすなわち、未知の食材、新たな美味との
無限の出会いの可能性!

そうそう! 猟兵の、フードファイターの仕事は
こーゆーので良いんすよ、こーゆーので!

といっても未踏宙域の探索事業は始まったばかり
料理で言えば下拵えより更に前の段階

何で今は、自分の目的の為にも、真面目にお仕事
ナイチンゲール号の人達に恩と顔を売っておくっす!

作戦
人は宝、未踏宙域に乗り出す程の乗員ともなれば
言わずもがななので、自分は戦場:2で乗員&船のガード

指定UCによって巨大な黄金のまな板を適時、作り出し
乗員や船を守りつつ強化された戦闘力で
敵を撃破していく(オーラ防御+かばう+グラップル+怪力)


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎・戦場:2希望

皇帝ブッ飛ばして平和になったと思ってたのに…なんかまたよくわかんないのが出てきたわねぇ。
調査のためにも、まずは邪魔な有象無象を片しちゃいましょ。

…とは言うものの、あたし大火力な範囲攻撃とかできるワケじゃないし。
迎撃の対空砲火抜けてきたのを潰してきましょうか。
動体○視力と〇第六感活用して攻撃の起こりを〇見切って、〇先制攻撃で●的殺を差し込むわぁ。関節部に徹甲弾なんかの貫通○属性攻撃で○鎧無視攻撃撃ちこめば、多少は効くでしょ。
電撃系の弾丸にイサ(凍結)・ソーン(障害)にニイド(束縛)のルーンを合わせれば、いい○援護射撃になりそうよねぇ。



●船内での戦い:ある猟兵たちのケース
 この世界のオブリビオンフォーミュラ……恐るべき銀河皇帝は斃れた。
 しかし、銀河帝国の残敵は、この広い既知宇宙のそこかしこに身を潜めている。
 ましてや宇宙は広大だ。人類が知り制覇しているのはそのほんの一部。
 宇宙の深淵にはまだまだ未知の存在が眠っている……だからこそ、
 そこに挑み、新たな航路を切り拓く行為は、危険だがリターンも大きい。
「クエーサービースト、だっけぇ? わけわかんない相手だけどぉ……」
「そう、未知の存在! 言い換えればつまり味も未知ってことっす!!」
「……はい?」
 敵襲に備えて銃のチェックをしていたティオレンシア・シーディアは、
 なにやら息巻くキマイラの男を見て、きょとんとした顔で首を傾げた。
「だって宇宙生命体っすよ!? 生命体! 機械じゃなくて生命体っす!
 つまり……まあなんかバカでかいみたいっすけど……食えるってことっすよ!」
 これがフードファイターの仕事なんすよ! などと、秋山・軍犬は力説する。
 ……小惑星規模の大きさのクリーチャーを相手に、まず食い気を見せるとは、
 なかなか豪胆な男だ。まあ、だからこそフードファイターなのだろう。
「これは料理で言えば、下ごしらえよりもさらに前の段階……!
 つまり今は、真面目にお仕事して船員さんたちに恩と顔を売るチャンスっす!」
「あー、まあ仕事熱心なのはいいことじゃないかしらねぇ。
 あたしとしても、取引先は増やしておきたいしぃ? 悪くないわぁ」
 フィクサーであり同時にバーの店主でもあるティオレンシア、商売の気配にうふふと悪い笑み。
 と、そんなふたりがそれぞれの企みに思いを馳せていると……KA-BOOOOM!!
「っと! さっそく第二波っすね! しかし一体どこっすかね!?」
「乗組員にナビゲートを任せるわけにもいかないわよねぇ……」
『なら、私がサポートする』
 ビュイン、とふたりの目の前に、空間投影されたモニターが出現した。
 そこに映っているのは、何やら慌てた様子のオペレーター……を押しのけ、
 キリッとした無表情でオペレーターっぽくポーズを取る神元・眞白である。
『ちょっと猟兵さん、困りますよ! ここ自分の席』
『船内のナビゲーションは私がやるから。そっちは実働をお願い』
『あの猟兵さん、聞いてます!? ここ自分の』
『私の戦術器……飛威と魅医も同行させるから、よろしく』
 ビュイン。モニターが消失すると、そこにはメイド服姿のからくり人形が二体。
 ティオレンシアと軍犬は、顔を見合わせて肩をすくめた。
「……まあ、闇雲に動くよりはマシかしらねぇ」
「明らかに乗組員の人の仕事パクってたっすけどね、あれ!」
 かくして、ふたりと二体は、眞白の(だいぶ強引な)ナビゲートのもと、共同戦線を張ることとなった。

 ……ややあと、船内居住区第3ブロック!
「も、もうこのブロックはダメだ! 退避! 退避ーっ!」
「くそっ、せっかく修復した俺たちの船が……!」
 迫りくるウォーマシン部隊を迎撃していた船のスタッフがバリケードを放棄!
 直後、飛来した実体弾により、即席のバリケードは……KRA-TOOOOM!! 破壊!
「こいつはまずいっす! 人は宝、人的消耗は避けないとっすよ!!」
 軍犬は駆け出しながら、自身のユーベルコード"黄金の厨房"を即座に発動。
 ゴゴゴゴゴ……と身にまとったオーラから、巨大な黄金のまな板を生成した!
 BRATATATATATATATATA!! 間一髪、船員を狙ったマシンガンを防御成功だ!
「こんな船の中でどんぱちやらかすなんて、いい度胸してるわねぇ?
 あたしの前で、そんなヘナチョコ射撃した報いを受けさせてあげるわぁ」
 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!! カバーリングしたティオレンシアの神速射撃!
 前に出すぎたウォーマシン部隊は、関節駆動部を撃ち抜かれスパークし爆散した!
『飛威、支援をよろしく。魅医は乗組員さんの退避を手伝ってあげて』
 それぞれ近接攻撃と治癒に特化した二体は、眞白の支持に従い迅速に行動。
 被弾した乗組員を手早く救助し、ティオレンシアと軍犬を援護攻撃でサポートする。
「前衛は任せられるかしらぁ? あたし、範囲攻撃とか苦手なのよぉ」
「任せてくださいっす! 全員平らげてやるっすよ!!」
『……お腹壊しそう』
「比喩っすよ比喩! とにかく、うおおおおおーっ!!」
 黄金のオーラを纏い自身を強化した軍犬が、まな板をライオットシールドめいて構え、まるで猛牛のような勢いでウォーマシン部隊へ吶喊する!
 実体剣による反撃は、ティオレンシアと飛威の援護攻撃により封殺されるのだ。
「死にぞこないの分際で生意気よぉ、さっさと散りなさぁい」
 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!! ティオレンシアの精密射撃が敵の動きを封じ、
 接近した飛威と軍犬の攻撃が完全破壊する。徐々に趨勢は逆転していく!
『……このブロックは大丈夫そう。お爺ちゃんたちがここにいなくて、よかった』
「おじいちゃん??」
『ものすごく無理をするおじいちゃんたちが、別の船に乗ってて……』
「その話はあとよぉ、次はどこへ行けばいいのかしらぁ?」
 リロードを終えたティオレンシアは、髪をかきあげながら眞白を催促した。
 敵の猛攻はまだまだ終わらない。だが、猟兵たちの防衛は功を奏している!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ユナ・アンダーソン
戦場:2
キリエ・ニールと参加

安心してください
艦内に侵入した敵は私達が殲滅しますから
だからまずは落ち着いて、ね?
コミュ力と優しさを用いた笑顔で乗員とジャックを鼓舞しつつ
安全な場所に避難させる
さて、お仕事、始めましょうか
行こう、キリエ
皆を守らなきゃ

戦闘
狭い艦内戦闘用に武器改造で取り回ししやすい大きさに大鎌を調整
かばうでキリエをカバーしつつ
UCを用いて敵をなぎ払い両断します
敵の攻撃はオーラ防御、第六感を用いて急所への攻撃は防御しつつ
牽制攻撃やダメージは激痛耐性で無視しながら戦闘を行なう
私がカバーするからキリエは好きに動いて
そんな攻撃で私を止められると思わない事ね!
アドリブで他の方との絡み歓迎


キリエ・ニール
ユナ・アンダーソンとタッグで参加
アドリブ・絡み歓迎
僕はPOWで挑戦
戦場:2

ふぁ…あ、先生お願いしますってタイミング?
若い子は下がってようねぇ
非常な機械にゃ異常な僕がお相手しようかー。
…お前も若いって?ははは、気になさんな~。

侵入した個体を第六感で察知し出現
コードを使用
攻撃回数を強化。

僕の守りはユナに託す
切り捨て任された!
無数の【数打】から切れ味の鋭い刀を選んで召喚、二刀流
此方に頭部を向けた相手にジャンプ

念動力で剣を逸らし
衝撃波で盾と腕を吹き飛ばし
二回攻撃捨て身の一撃鎧無視攻撃
両手の刃で首を挟んで断ち斬り落とす
頭、剣、盾、腕
武器を無力化メッタ斬り
切り捨ててはダッシュ、次の首を感じ取り狩りに走る



●切り裂くもの、奪うもの
 ズズズズズズ……KA-BOOOOM……ズズズズン……。
「ふ、船は、船は大丈夫なのか!?」
「最終防衛ライン突破戦でもここまでの被弾はなかったのに……!」
「通してくれ、怪我人だ! 救護室まで運びたい!」
 ブリッジは、蜂の巣をつついたような大騒ぎに見舞われていた。
 突然の襲撃を逃れた避難者、全力で艦内状況をオペレートする乗組員、
 そして船外の状況をナビゲートし、対空砲火を維持するスタッフ……。
 あの地獄じみた銀河帝国攻略戦を生き抜いたとはいえ、若者たちはまだ成長途上。
 予想を超える敵の猛攻撃を前に、あの戦いのトラウマがフラッシュバックし、
 すでに戦意を喪失しかけている者すらいた。これが、戦場なのだ。
「安心してください!」
 そこで、ユナ・アンダーソンは高らかに大きく声を上げた。
 慌てふためいていた乗組員たちの視線が、金髪の少女ひとりに集まる。
「すでに、艦内に侵入した敵は、別働隊の猟兵たちによって駆逐されつつあります。
 もちろん残っている敵も、船の内外を問わずわたしたちが、すべて殲滅します」
 だからどうか、落ち着いて対処を。
 聖者に相応しい、落ち着きと慈愛をたたえた言葉に、船員はパニックを脱する。
「それに船長さん……と、ジャックさんも、どうか気負わないで。
 このブリッジは必ず死守します。わたしと――」
「ふぁ~あ……んん? あ、僕? うん、まあ任せといてよ~」
 ユナの視線を受け、のんきにあくびしていたキリエ・ニールがへらりと笑った。
「こう、なんていうの? センセイオネガイシマスッ! みたいな。
 あ、もしかして通じない? 一応時代劇ってこの世界でも文化生きてるよね」
「……この、キリエで。ですから、あなたたちはあなたたちのお仕事を頼みます」
 緊張感のない振る舞いは、ともすれば危機感の欠如と受け取られよう。
 しかし船長であるパトリックと、情けなく這いつくばっていたジャックは、
 決してキリエの振る舞いを咎めるようなことはなかった。
 ……彼らは知っているのだ。猟兵、伝説の戦士たちがいかなる強者かと。
「わかりました。船内のことは、僕らが、乗組員として必ず!」
「お、俺もまあ乗りかかった船だからな! やるやる、やったるってんだ!」
 パトリックは沈着冷静に、ジャックはやや頼りにならない感じに頷いた。
 もうこれで、ブリッジについては気負う必要はないだろう。
 ユナはのんびりしているキリエを一瞥し、頷く。
「行こう、キリエ」
「はいはい。非常な機械にゃ異常な僕にお相手おまかせってねぇ」
 そして通路に向けて歩き出し、ふとパトリックの方を振り向き、笑った。
「だからさ、若い子は下がってなよ。オーケー?」
 そしてユナの後を追う。
 ……ふたりがいなくなったあと、船長とろくでなしは顔を見合わせた。
「若い子、だとさ」
「僕のほうが年上に見えたんですが……」
「ま、そういうもんさ。猟兵はな。さ、俺たちも俺たちの仕事といこう!」
 かくして、戦いはふたりの手に委ねられる。

 ……一方、ナイチンゲール号第三格納庫!
 ハッチが外側から爆散し、次々とウォーマシン部隊が侵入する。
 彼奴らは朽ち果てた過去の残骸、その目的は生命の一切根絶。
『生命反応を多数探知……全反応の消去を開始する』
『プログラム・ジェノサイドを起動。全生命体、抹殺』
『全生命体、抹殺』
『抹殺!!』
 ビュイン、とツインアイを赤く明滅させるさまは、まさに死神の群れだ。
 ……だがその背後! はじめからそこにいたかのようにひとりの少年の姿!
「あーあ、やだなぁ揃いも揃ってガラクタがさぁ。おとなしく壊れときなよ」
 SLASH!! 敵が振り向く暇もなく、神速の斬撃がウォーマシン三体を斬撃破壊!
 キリエだ。周囲にはかすかなイオンの匂い――ワームホールの出現証明である!
「油断しないで、キリエ! 次が来るよ!」
 ユナは鋭く叫び、少年の脇を滑り抜けてギロチンめいた大鎌を振るう。
 KBAM!! キリエに銃口を向けていたウォーマシンが両断され爆発四散した!
 BOOOOOOM……だがその爆炎の向こう、船体に取り付いた敵部隊の一斉射撃だ!
「そんな攻撃で、私を止められると思わないことね。時代遅れの残骸が!」
 ズズズズズズズ……! 大鎌を中心に、黒い凶星が空間に生まれ、広がる。
 超圧縮小規模化されたマイクロブラックホールによる斥力防御だ!
 弾丸は宇宙の彼方へ軌道をへし曲げられ、がら空きの敵部隊を鎌が惨殺する!
「おっと、あっちからも新手のご登場だ。いやー盛大だねー」
「敵の攻撃は全部私が受け持つ。だからキリエ、存分に斬り裂いて」
 ユナの言葉に、キリエはふふん、と不敵な笑みを深めた。
「おっけー。守りは任せた。切り捨ては任されるよっ!!」
 そして跳ぶ! 自身を狙う斬撃はショートワープにより空間飛翔回避!
 専用のケースに無造作に手を突っ込み、そして引き抜く。ずるりと銘刀出現!
「ガラクタにはもったいない死に様だよねぇ、僕に乱れ斬りされるなんてさぁ!」
 疾い。空間跳躍を交えた変則的なジャンプ動作で一瞬にして間合いを詰め、斬撃。
 頭部、実体剣、さらに鋼鉄の防壁じみた盾すらも、銘刀はめった斬りにする!
「甘い甘い甘い! こちとら殴り込みなら別世界でやってきたばっかりでさぁ!
 今回はこっちはホーム、なら敗けるわけないじゃん! 考えが浅いんだよねぇ!」
 まさに斬撃舞踏。かの弥助アレキサンダーをも打ち破った腕前は宇宙でも健在だ。
 無謀に見えるその乱舞も、死角を埋めるユナがいれば無敵の殺劇と化す!
 鎌が、剣が、銃火をかき分け飛び交い、掻い潜りながら鉄を切り裂き乱舞する。
 かの銀河皇帝すらも滅ぼしたふたりのコンビネーション、残骸に破れるはずもなし!
「まだまだ来るよ、キリエ!」
「全部ぶった斬るだけさ、ユナ」
 背中合わせに佇むふたりは、信頼の笑みを交わしあい、弾かれたように跳んだ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メイスン・ドットハック
【SPD】
伊達男は相変わらずじゃのー
そんなに頼られたいのなら、僕と一緒に出撃するかのー?

1:or敵母艦
UC「星の海を制覇せし船」を発動、大型宇宙戦艦「暁」に乗り込む
ナイチンゲール号に近づこうとするウォーマシンを、ビーム機銃やレーザー砲の【一斉放射】の弾幕で撃ち落とす
回避する敵は破壊ミサイル【誘導弾】で的確に狙っていく
集団を見つけたら広域破壊ミサイルで一網打尽にする
ナイチンゲール号に肉薄する敵は、【罠使い】【地形の利用】【破壊工作】で設置した電脳機雷で対応

余力があれば敵母艦に対し、集中運用したレーザー砲を撃ち込んでみる

伊達男も少しは役に立てばいいのー

アドリブ絡みOK


ズゥ・ジィ
zzz……むにゃ……?
おやおや、なんだろ、此処はどこだろうねぇ……ふぁぁあっ
それになんだか騒がしいようなー、騒がしくないようなー?
ふわふわ、ゆらゆらー?
うーん……でもまぁ、いいかぁー……
おやすみさーい……zzz

眠りに落ちたら出てくるのは愉快で楽し気な夢の国の住人たち
宇宙といったらタコのような宇宙人だったり、宙の海を泳ぐ魚たちだったりするかもしれない
この世界で生まれ育ったウォーマシンじゃあ経験したことのないような姿形の住人たちが彼らに一斉に攻撃さー
センサーとかにも引っかかるのかなー? かかるのかもしれないし、かからないかもしれませんー

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】


ゼン・ランドー
【戦場:1】
未踏宙域の開拓!いやはや実に利権(ロマン)を感じる響きですねえ!
是非とも協力したいところです。


帳合万商大決算にて範囲内の敵と敵母艦の壁などを区別なく花幣へ変換
敵の攻撃に対し早業で花幣の一部をユーベルコードを解除し
元に戻す際に壁や盾へ作り変えて利用します。

自分の安全と敵に統制を取らせないことを優先し
大型個体に囲まれたりアウトレンジから集中砲火を受けそうになるなどで
危なくなったら逃げ足を活かして移動し撹乱します。

勝負も商売も引き際が肝心ですよ。
ところでナイチンゲール号の外壁修理など如何ですか船長?



●暁、夢多き宇宙を切り裂いて
 ゴウンゴウンゴウンゴウン……。
 見よ。ナイチンゲール号を護るように砲火を受け止める巨大な船影を。
 あれこそは大型宇宙戦艦"暁"。電脳魔術によって現実に生み出された星海船!
 なんの代価も、質量も、準備をも必要とせずに大型宇宙戦艦を召喚する。
 これこそまさに、あらゆる法則を凌駕するユーベルコードの面目躍如だ!
「いやはやこれは盛大ですねぇ、ですがおかげでやりやすい!」
 その船体に着地した金髪の妖狐、ゼン・ランドーはニコニコと笑みを崩さない。
 ゼンは、正面切って切った張ったをするようなタイプの猟兵ではない。
 大きな動きの影に隠れ、敵を叩き潰し自分の懐を暖める……。
 そんな抜け目ないやり口こそ、儲け話に目のない行商人のスタイルだ。
 するとゼンの期待通り……BEEEEEAAAAAAAAMMMMM!! 暁の主砲が火を噴いた!
 レーザー砲、ビーム機銃、さらに広域破壊ミサイル! 弾薬費など厭わぬ砲火!
 視界いっぱいを覆わんばかりに展開していた大部隊が、次々炎に飲まれていく!
『見ろ、敵軍がゴミのようじゃー! 狙いをつけんでいいのは楽じゃのー』
 暁の艦橋に座るクリスタリアンの少女、メイスン・ドットハックは不敵に笑う。
 一流の電脳魔術士である彼女は、すでに周辺宙域のスキャンも半ば完了。
 近づこうとする小隊をミサイルで順次迎撃し、ビーム機銃で対空弾幕を強化。
 それでも接近してくる敵は、散布された電脳機雷の餌食というわけである。
「いやはや、派手ですねぇ。これは私の支援はいらなさそうでしょうか?」
『そうもいかなさそうじゃのー、めんどくさいのー』
 メイスンからの短距離通信。ゼンは一笑に付しかけ……やれやれと嘆息した。
「どうやらそのようで。いやはや、まったくこれだから銀河帝国の連中は。
 ……そして、これだけの戦力をつぎ込んで、なお探査は失敗した……と」
 母艦がさらに一隻、二隻……さらに雲霞の如き敵影が宇宙の黒を埋め尽くす。
 いかに暁が規格外の宇宙戦艦とはいえ、この数を単騎で掃討するのは……!

 ……一方その頃、ナイチンゲール号のとある一室。
 丸くなって眠っていた一体の時計ウサギが、もぞもぞと起き上がった。
「……むにゃ……? おやおや、なんだろ、なんだか騒がしいようなー……?」
 あくびまじりに伸びをする彼の名は、ズゥ・ジィ。
 ズズン……と断続的に揺れる船の騒ぎもどこ吹く風である。
 むしろその揺れと、遠雷のように聞こえてくる爆発音は、彼を眠りに誘う。
 決して呑気なわけではない。彼が眠りを愛するのには理由がある……。
「うーん……なんだか大変そうだけどぉ、でもまぁ、いいかぁ~……」
 おやすみなさーい、と誰にともなく言うと、ズゥはそのまま丸くなってしまう。
 だがその眠りこそが、ズゥが持つユーベルコードの起動トリガーなのだ……。

 ……船外、暁周辺宙域!
「おや? なんでしょうかね、これは?」
『敵……ではないのー、ユーベルコードの反応は感じるのじゃがー』
 敵大部隊からの猛攻撃に備えていたゼンとメイスンは、目の前で起きた奇妙な現象に顔をしかめた。
 突如として、レトロフューチャーめいたタコ型宇宙人や、宇宙の海を泳ぐ魚、
 はたまた巨大なクジラや、アダムスキー型の未確認飛行物体が出現。
 それらは迫りくるウォーマシンの大部隊に、体当たりや不思議な光線で攻撃をしかけ始めたのだ!
「ふーむ、何が何やらさっぱりですが、少なくとも敵ではないようですねぇ。
 ではそろそろ、私も働くとしましょうか。幸い、材料には事欠きませんしね!」
 ゼンはにこりと笑い、暁の船体を蹴り宇宙服の噴射剤を燃焼させた。
 そしてパチン、と指を鳴らした瞬間、周囲に浮かぶ敵味方の残骸が……おお!
 無数の"花幣"――ゼン自身が変化させ干渉可能な、貨幣めいた造花――に変化し、
 それらを念動力により一気に制御、直径数十メートルの巨大な花の塊を形成。
「宇宙空間でも妖狐の幻術は健在ですよ? さあ、どうぞお返しいたしましょう。
 なに、少々"付加価値"もおつけしておきましたから、遠慮なくお受け取りください」
 斥力を受けた花の塊が、ぐんぐんと加速して敵陣の中央へ推進していく。
 そして再びのフィンガースナップ――变化は解除され、無数のスクラップに!
 さらに内部の一部を爆薬に変化させたのか、敵の中央で鉄塊は爆裂した!
『とんだ"利息"じゃのー、そんなら僕も盛大にぶっ放してやるけー!』
 BRATATATATATATATATA! ZAPZAPZAPZAP! BEEEEEEEEAAAAAAAAAAAMMMMMMM!!
 突然のスクラップ爆弾により瓦解した敵戦線を、暁の主砲が薙ぎ払っていく!
 押し込まれかけた戦線は、物理法則を無視した大質量攻撃により、
 あっという間に押し返され、敵影はまたたく間にその数を減らしつつあった!
『す、すごい! さすがは猟兵のみなさんです、おみそれしました!』
 ゼンとメイスンのもとへ、感銘した様子の船長パトリックの通信が割り込む。
『めんどーはごめんじゃからのー。それよりあの伊達男はどうしとるかのー?』
「おや? あの役に立たなそうな……失礼、個性的な御仁とお知り合いなので?」
『んー、まああの船ものー、色々めんどーじゃったんがのー』
 然り。メイスンはこのナイチンゲール号、そしてあのろくでなしことジャック、
 その双方と面識がある猟兵だ。彼女なりに思うところもあるのだろう。
『へへへへ、お、俺も頑張ってるぜ? そりゃもう大働きよ!』
「さっぱり役に立っている気がしませんけどねぇ」
『いっそ前線に引っ張り出すかの~』
 ぴぃ! とか通信の向こうから情けない悲鳴が聞こえた気がするがふたりはスルーする。
「それよりも船長さん、船の外壁修理などいかがですか? お安くしますよ」
『こいつもこいつで抜け目ない奴じゃの~……』
 戦闘のさなかに商談を始めようとするゼンに、艦橋で呆れるメイスンであった。
 そんな中、暗闇の中、時計ウサギはすやすやと眠り続ける。
 その眠りの壁の彼方から、珍妙な夢の住人たちを現世へと生み出しながら……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ヘスティア・イクテュス
ふぅ…かの有名な小夜鳴鳥号に乗って
未踏宙域探索とわくわくしていたら…

歴戦のエキスパート…ねぇ………
まぁいいわ。ヘスティア・イクテュス出るわよ!


わたしは船外のウォーマシン群を相手させてもらおうかしら?
それにしてもこの姿…やりにくいわね…

ティターニアで移動しつつミスティルテインによる射撃によるヒット&アウェイ
そして展開したフェアリーズで主に鎧の隙間を狙い攻撃

弾幕で船へと向かうのの足止め&迎撃で侵入するウォーマシン達の数を減らさせてもらうわよ

アベルはフェアリーズの操作補助、そしてタロスの操作お願いするわ


ビードット・ワイワイ
連携アドリブアレンジ歓迎
見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり
守るべき要人既に無く式典行う祖国無く
見栄えだけの機械騎士、その行いに誇り無く
繰り広げるは己の力。思いを無くした騎士に道なし
ここが汝の破滅なり

UCは船内で戦うには使えぬものゆえ
外に居るのを蹂躙せり。召喚するは宇宙闘獣ブルガ
その牛の如き姿にてあらゆる障害を吹き飛ばせ
鋭き角は装甲を見上げる巨体は邪魔するものを薙ぎ払う
例え避けられることがあろうとも動きを乱すことはできようぞ
その身を捧げて放つ必殺技、突壊猛侵ブルズウルトラ
素早く力強い突進は最早目で捉えることは叶わなず
ただ結果のみが訪れよう

さて、こやつより巨大なりし敵は一体如何様なものであるか


黒川・闇慈
「やれやれ、銀河帝国が静かになったと思えば今度は宇宙怪獣ですか。この世界は相変わらず映画じみていますねえ。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
さて、私は船外でウォーマシンを迎撃するとしましょうか。
とにかく数が多いので、多数の相手に対応できるUCを用いましょう。
高速詠唱、全力魔法、範囲攻撃の技能を活用しUCを使用します。攻撃対象は勿論敵ウォーマシン群です。全て切り刻んで差し上げましょう。

「装甲を持った相手にどの程度通用するか、新しい術式の試運転には丁度よい相手でしたねえ。クックック」

【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】



●イッツ・ケイム・ザ・フロム・レイト・レイト・ショウ
 ナイチンゲール号の存在は、スペースノイドの間では有名な話だ。
 ある日突如として姿を消し、そして再び蘇った不死鳥のような船。
 かつての古強者としての数々の逸話も、戦争を駆け抜けた華々しき戦績も、
 多くの船乗りの語り草であり、一種の羨望を抱く者もいる。
「そんな船に乗って、未踏宙域探索とわくわくしていたら……」
 その例に漏れず、ヘスティア・イクテュスも名前を聞いたことはあるらしい。
 だが彼女の顔色は浮かない。なにせ今は……船の中も外も戦場だ!
「…………歴戦のエキスパート、ねぇ」
 いや、呆れポイントはそこじゃなかったらしい。あのろくでなし男のことだ。
 あんなどう考えても鉄火場に慣れていそうな男を招聘してしまうあたり、
 なるほど今のナイチンゲール号の乗組員たちは、青二才の集まりなのだろう。
 この宇宙探査、うまくいくのだろうか? ヘスティアが不安がるのも無理はない。
「まあいいわ。ヘスティア・イクテュス、ティターニア! 出るわよ!」
 背負ったジェットパックが、七色に輝き煌めく噴射剤を燃焼する。
 直後、電磁カタパルトが火花を散らし、少女を混迷の宇宙へと送り出した。
 立ちはだかる無数のウォーマシン……銀河帝国のかつての残骸たち。
 もともと要人警護用に開発された敵性体は、どれも儀典用の装飾を施されている。
 ヘスティアはそのきらびやかな……しかしゾンビめいて無機質な……敵を見、
 嫌悪感に顔を顰めた。いかに相手がオブリビオンとわかっていても、あれは……。
「……やりにくいわね、まったく!」
 BRATATATATATATATATATATATA!!
 無数の砲火を踊るように潜り抜け、星の乙女は宇宙(そら)に舞う!

 かくしてヘスティアが光の軌跡を描くたび、遅れて爆炎が宇宙を照らす。
 まるで花々のように散っては咲き誇る炎を見て、黒づくめの男が陰気に笑った。
「やれやれ、銀河帝国が静亜kになったと思えば、今度は宇宙怪獣ですか。
 おまけにそれを阻むのは、かつて滅んだ船の亡霊。まるでホラー映画ですねぇ」
 クックック、と笑う黒魔術師……黒川・闇慈の黒髪を、爆炎が照らし出す。
 たしかに二昔前のレトロフューチャーSF映画には、実にありそうな状況だ。
 ならばああして敵陣を掻い潜り蹂躙する乙女の姿は、SFアクション映画だろうか?
「この手のシチュエーションでは、他の怪獣も出てくるのがお約束ですが……おや」
 はたしてその言霊が招いたか、あるいはわかっていて言ったか。
 突如として敵軍とナイチンゲール号の間に現れた巨大な質量とそのフォルムに、
 闇慈はまたクックックと陰気に笑う。……いよいよ映画じみてきたからだ……!

 そして、突然前触れもなく戦場宙域に現れた、60mを超える巨大なフォルム!
 頭部から生えた歪曲した一対の角、獰猛な顔つきはまるで猛牛のよう。
 短い前脚で虚空をひっかきながら、その巨大なフォルム……紛うことなき怪獣は、
 宇宙空間そのものを震わせるすさまじい咆哮で敵味方を問わず威圧する!
「見たり見たり見たり。汝の破滅を見たり」
 その怪獣……正式名称は"宇宙闘獣ブルガ"なる巨躯、召喚したのは無論、
 物理法則をも凌駕する奇跡の力……つまり、ユーベルコードである。
 そして召喚者は、奇怪な見た目をしたウォーマシン、ビードット・ワイワイ!
「守るべき要人既に無く、式典行う祖国無く。
 見栄えだけの機械騎士、その行いに誇り無く。
 繰り広げるは己の力、思いを無くした騎士に道はなし――」
 ぎょろり、といくつものカメラアイが、怪獣に蹂躙される敵兵を睨む。
「すなわち、ここが汝の破滅なり」
 かつてありし破滅を、世界の根源から汲み上げて再現するビードットの術式。
 それは存在しかどうかも定かならぬ宇宙の怪獣を、まさに現実としたのだ!
 その巨躯、そして質量、さらに暴虐無尽なまでの獰猛な敵意!
 たかが3メートルにも満たないウォーマシンが何体徒党を組もうが無駄である。
 迫りくる猛攻をその強固な外皮と角で跳ね返し、宇宙怪獣は戦場を蹂躙する。
「今こそその身を捧げて必殺技を放つべし。突壊猛侵ブルズウルトラなり」
 GGGRROOOOOWWWWWWLLLL……真空の宇宙空間をも揺らし歪ませる怪獣の咆哮。
 号令を受けたブルガは、バッファローめいて角を突き出すと、
 敵母艦めがけてまっすぐに推力を得て突進。何もかもを薙ぎ払ってしまう!

「ってぇ! なによこれ! 怪獣映画じゃないのよぉ!?」
 その突撃進路上で戦っていたヘスティアにはとんでもない迷惑であった!
 ミスティルテインで追従する敵兵器を迎撃し、ティターニアを反転噴射。
 巨躯が迫る……だが、噫! その避難経路を妨害する敵機の群れが壁に!
「なるほど。あそこを吹き飛ばすとしましょうか――」
 ヘスティアの窮地を視認した闇慈は、にたりと三日月めいた笑みを浮かべる。
 その足元に魔法陣が展開され、ぐるぐると大量の魔力が渦を巻いた。
 魔術杖"メイガスアンプリファイア"が、その魔力の焦点具として駆動する――!
「咲き誇れ致死の花、血風に踊れ銀の花――全てを刻む、滅びの宴をここに」
 おお、見よ。強壮な増幅魔杖はどろりと溶け崩れ、やがて液体銀に変じる。
 まるで意思を持つかのように煮え立つそれは、物理法則を無視して膨大!
「――"銀嶺に舞え斬翔の花弁(シルヴァリー・デシメーション)"!!」
 そして解き放たれた水銀の花びらは、渦を巻いて戦場を蹂躙する!
 宇宙怪獣の突進を逃れようと急加速した敵を、ヘスティアを妨害する敵機を!
 液体ゆえにどんな装甲でも防げぬ流体斬撃で切り裂きながら爆散せしめるのだ!
「! ありがとう、あとはこっちで対処するわ!」
 ヘスティアは莞爾と笑って頷く。直後……KKKKRA-TOOOOOOOMMMMMM!!
 大質量突撃を受けた敵軍中央、破砕した敵部隊が無数の爆炎の花を咲かせる!
「来なさい、フェアリーズ! アベル、タロス! 派手に行くわよ!」
 およそ250基の妖精型ビーム攻撃ドローンを召喚・展開したヘスティアは、
 破滅から逃れようとするウォーマシンを追尾迎撃、自ら母艦の壁となる!
「ここは通さないわ――あなたたちはだれひとりとして、絶対にね!」
 水銀の花びらとともに重なり妖精たちが舞うさまは、まさに宇宙の妖精郷。
「では、映画らしく雑魚にはご退場願うとしましょう、クックック」
 魔人と乙女が戦場を蹂躙するさまを、破滅の機械は無機質に見上げる。
「見たり見たり見たり。汝の破滅を見たり……」
 その不穏な唱句、向けられる先は敵か、はたまた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ユーフィ・バウム
対象:敵母艦

蛮人らしく力で砕きましょう
無数のウォーマシンを【なぎ払い】、【吹き飛ばし】て
母艦までの道を作り、星の海を【ダッシュ】にて
駆けていきます
敵の妨害や攻撃は、【見切り】致命を避けた上で
【オーラ防御】で耐え凌ぎます
このくらいでは、蛮族の戦士は止まりませんよ!

母艦までたどり着いたら
オーラ変換、電撃の【属性攻撃】を宿す【衝撃波】の一撃を
叩き込みます

動きを止めたら、距離を詰めて攻撃
【力溜め】た【怪力】から繰り出す【鎧砕き】の攻撃は、
鉄の塊だって砕いていきますよ!
味方の攻撃に合わせてもめいっぱい打ち込む!

弱ってきたなら、さぁ止めの《トランスクラッシュ》!
オーラをめいっぱい集めた体の一撃で潰しますっ


露木・鬼燈
『戦場:1』
外宇宙探査とか、ロマンだよね。
せっかくなのでロマンを思う存分たのしみたい。
だから敵は骸の海に沈めないとね。
化身機装<火廣鐵>を発動。
創造した火廣鐵と一体化して船外へ出撃。
この状態なら強化外骨格を装備した個体を狙うべきかな?
ブースターを全開、騎士盾を構えて敵集団に突撃!
シールドバッシュからの近接戦闘。
魔剣を素早く連結刃に変形し、周囲を薙ぎ払う。
その後は一体ずつ確実に仕留めていこう。
敵の武装に合わせて魔剣を変形させるっぽい!
おっと、流石に一対一でやらせてくれるほど甘くないか。
楽しくなってきたね!
ブースターとスタスター、これを巧みに操り高速機動戦闘。
地上とは違った戦闘が楽しめるのです。


フランチェスカ・ヴァレンタイン
対象:敵母艦(戦場:1)

星の海での荒事でしたら、ええ。わたしの専門分野でしてよ?
出力制限なしのフルスペック仕様でお相手させていただきます…!

独壇場さながらに星の海を高速機動で複雑な軌道の残光を牽きながら翔け回り、他の世界では到底撃てない出力の砲撃でウォーマシン群の迎撃を
近接攻撃には旋回機動で発砲を躱しつつ斧槍を叩き込んだり、ブレードヒールの回し蹴りをお見舞いしたりと

母艦を捉えましたら、【九天に舞い 灼き穿つもの】のミサイルめいた光焔をばら撒きながら砲撃を浴びせる対艦戦闘へ
迎撃を縫うようにすり抜けて砲座を黙らせましたら機関部をロックオン、選択UCで盛大に撃ち抜いて差し上げましょう…!



●星の海征く戦士たち
 ――ズドドドドドドウッ!!
 すさまじい速度で"何か"が駆け抜けたあとに、爆炎の華が咲き誇る。
 ナイチンゲール号から見ればそれは、まるで一瞬の流れ星のように見えるだろう。
 では、その正体は何か――答えは、たったひとりの幼い少女であった。
「邪魔邪魔、邪魔ですっ! 立ちふさがるなら力で砕くまでですよ!」
 この宇宙空間に似つかわしからぬ、バーバリアンらしい原始的衣装の少女戦士、
 すなわちユーフィ・バウムは、しかして宇宙空間とは思えぬほどに力強く、
 そして軽やかに跳ぶ。ウォーマシンを足場とし、飛び石を渡って進むが如く。
 見た目にそぐわぬ強靭な怪力は、間合いに捉えた機動兵器に死をもたらすのだ。
 ただの素拳の一撃が、堅強極まるウォーマシンの装甲を叩いて砕くのである!
 そこへ敵機接近! 大型の実体剣による痛烈な近接攻撃を……KRAAAAASH!!
「どうしました? わたしを倒したいなら、このくらいでは足りませんよっ!」
 まさに蛮族の戦士。ユーフィはクロスガードで実体剣を受け止めている!
 両手で掴んだそれをめきめきとへし折ると、残骸を振り回して敵を牽制。
 包囲網がほどけた瞬間、投げ捨てた残骸そのものを足場として跳躍することで、
 弾丸のような速度でウォーマシン部隊に接近し、その胴体を殴り抜ける!
 致命的攻撃は、その動物じみた本能と直感によって感知し鋭く回避する。
 よしんば命中したとしても、練り上げたオーラ防御が敵の攻撃を寄せ付けない。
 まさに蹂躙だ。だが、それでも敵部隊は無数……ユーフィは歯噛みする。
「なかなか包囲網を突破できませんね……あと少しなのに!」
 目的とする母艦は、近いようでしかし地平線よりなお遠いのだ。

 一方、同宙域外縁!
 ナイチンゲール号のカタパルトを飛び出したのは、燃えるような騎士である。
 いや、正しくは、魔剣と騎士盾をそれぞれの手に携えた機械の神であった。
 その名も化身機装〈火廣鐵(ヒヒイロカネ)〉。宇宙を駆ける魔炎の化身!
 全高8メートルのそれを纏うのは、屠龍の忍者と仇名される男、露木・鬼燈だ。
「未知の外宇宙探査、まさにロマンっぽーい! せっかくなら楽しみたーい!
 けどお前ら、邪魔っぽい! 朽ち果てたならそのまま消えてくれないかなぁ?」
 周りを包囲するウォーマシン部隊を索敵し、鬼燈はつまらなそうに口を尖らせた。
 敵はそのすさまじい数でナイチンゲール号を包囲し、波状攻撃を仕掛けている。
 いかに猟兵が多数いようと、またユーベルコードが超常の法則術式であろうと、
 数の利を覆すのは難しい。ましてやここは、敵にとってのホームグラウンド。
 まんまと巣に踏み込んだ獲物を、敵はハイエナめいて圧殺しようというわけか。
(となれば、叩くべきは武装強化されたヤツ……特に、うん、あれだ!)
 鬼燈が目をつけたのは、強化外骨格によって二周り近く巨体化したウォーマシン。
 その腕には、宇宙船の外壁を破壊するためのマニピュレーターが装備されている!
「これ以上穴を開けられるわけにはいかないっぽーい!」
 ゴシュウ! 化身機装が、呪われた炎を噴射剤として背中から噴き出す!
 非現実的な速度で加速した鬼燈は、敵の迎撃射撃を騎士盾で防御しさらに加速。
 ゴオオオオオオウ……ドガァッ!! 強烈なシールドバッシュを叩き込んだ!
 この強襲により、まず周辺に展開していたウォーマシン三機が爆発四散。
 だが強化外骨格個体は健在! マニピュレーターで機装を圧殺しようとする!
 鬼燈は即座に魔剣を連結刃に変形させ、バーニア回転で360度を攻撃。
 巨体なマニピュレーターによる圧殺を拒みながら、さらに敵機体を四機破壊だ!
「へえ、これでもまだ健在っぽい? 受けて立ってやりますか!」
 質量差は鬼燈の機装が上。だが、装甲の分厚さにかけてはあちらが上か。
 魔剣を分厚い鉄塊剣めいた大型実体剣に変形させた鬼燈は、敵機体と向き合い、
 やがて呪炎を噴かせながら超高速のドッグファイトへと突入した……!

 ……同時刻、敵母艦周辺宙域!
 そこに流れ星が輝いていた。否、もはやそれは、光輪のように繋がっている。
 あまりの高速機動により、宇宙空間に刻まれた残影が星のようにその場で煌き、
 撃墜された敵機の爆炎が、とめどなく繋がることでリングと化しているのだ。
「ふふふっ、大気圏内用のリミッターなしのフルスペック仕様ですわ!
 星の海でこのわたしに喧嘩を売った意味、たっぷり思い知ってくださいませ!」
 その光を描くのは、宇宙空間をスケートリンクのように華麗に飛翔する戦乙女、
 すなわちフランチェスカ・ヴァレンタインにほかならない。
 他の世界では、その特性上、彼女の用いる鎧装モジュールは出力を制限され、
 周辺区域(場合によっては猟兵や非戦闘員)への被害を考慮せねばならない。
 ソニックブームでも起こそうものなら、たちまち大災害が起きるからである。
 だが宇宙空間ならば話は別。鎧装騎兵の独壇場というものだ!
「所詮は旧型のウォーマシンですわ。改良を重ねたこの兵装に追いつけるとでも?」
 フランチェスカは猛追する敵機群の努力を嘲笑い、いとも簡単に尽き放つ。
 そして殺人的Gと急制動による天地上下の三半規管への影響を欠片も見せず、
 一瞬にして敵の背後を取ると、リミッターなしの全力砲撃。光が鋼を飲み込んだ!
「……とはいえ、数が数ですわね。銀河帝国も本腰を入れていたのでしょうか。
 なんにせよ、とっくに壊れたガラクタに、道を阻まれる筋合いはありませんわ!」
 ギュンッ!! 敵機による四方からの同時射撃を超加速で回避し、接近。
 斧槍をこともなげに振るい、ウォーマシンの積層装甲を一撃で両断破壊、爆散。
 背後に迫る実体剣を蹴って弧を描き、不埒者の脳天をブレードヒールで粉砕する!
 雑魚をいくら倒しても埒が明かない。落とすべきは、あの朽ちた母艦だ。
 フランチェスカは鋭角的なジグザグ軌道を描き、目標艦へ猛接近する……!

 スパパパパパパ……ドウドウドウドウドウ!!
「艦船そのものまでオブリビオン化しているのかしら……不気味ですわね」
 己を撃墜しようとする対空砲火をユーベルコードの光焔によって相殺し、
 フランチェスカは顔を顰めた。反応速度が明らかに人間のそれを超えているのだ。
 これほどの高密度な武装をもってしても、外宇宙探査は失敗したというのか。
 ……だが、在りし日の帝国艦隊について、思いを馳せている暇はない。
 フランチェスカはさらにバーニアを噴射して加速すると、次々に砲座を射撃破壊!
「! やりました、これで防空網を突破できます!」
 立ち往生していたユーフィは、フランチェスカが生んだ間隙を目ざとく察知し、
 その後を追うようにして跳ぶ。当然、追跡する敵機は例外なく撃墜した上で。
 一方その対岸、まさに今強化外骨格個体を斬撃滅殺したのは鬼燈である!
「敵将、討ち取ったりぃー……っととととと!」
 BRATATATATATA! BRATATATATATATATA!! ウォーマシン部隊の猛烈な射撃!
 さらに戦闘がもつれこんだ結果、母艦の制空権内に入ってしまったことで、
 鬼燈もまたふたりと同じように、執拗な敵の射撃を回避せねばならなくなる。
「楽しくなってきたっぽい! 僕に追いつけるかな~?」
 しかして忍者の口元には笑み。呪焔が全身の駆動部から噴き出す。
 無機物でありながら、どこか有機的な舞うような軌道で敵の火線を潜り抜け、
 連結刃を縦横無尽に振り回す。刃が通り抜けたあと、遅れて爆炎の波!
「けれど、現状がどうであれ……ここをぶち抜けば同じことですわ!」
「合わせますっ! どれだけ大きな鉄の塊だろうと、砕いていきますよー!!」
 フランチェスカは、敵母艦機関部に主砲をマウント。そしてファイア!
 対艦砲撃級重力子砲が、宇宙の闇よりもなお昏き暗黒が、母艦を劈いた!
 まったく同じ瞬間、ユーフィは艦橋部に強烈なボディアタックをかけて粉砕。
 致命的ポイントを二箇所同時に破壊された母艦は……KRA-TOOOOOOOOM!!
 盛大な爆炎をあげ、ウォーマシン部隊を巻き込んで墜落していく……!

 しかして、艦隊は一隻にあらず。三人はそれぞれの次なる目標を見据えた。
 戦いは終わらない。これはまだ、前哨戦に過ぎないのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アーノルド・ステイサム
f00088/ギドと

こんなもん使うのいつぶりかね…
乗り心地は期待するなよ
言いつつも慣れた手つきで宇宙バイクを操作
船外へ発進

地上とは感覚が違うからな
そういうのを楽しむんなら他所の世界だろうよ

いいけど、酔わないように注意はしとけよ

来やがったな
まあ適当にやるか
サイドカーをパージ、マシンを一人用にして乗り回す

デュー、ナビ頼んだ
ギドの魔弾には巻き込まれないように連携
あっちはあっちでよろしくやるだろ
こっちも斧ブン回して好きにやるさ
油断する気は無いが、さて性能は如何程のものかね

それで限界か?
練度が足りねぇな、“元”ご同胞

お前の馬鹿火力も中々のもんだがね
笑う顔は無いが声に感情を滲ませる

……あ。


ギド・スプートニク
f01961/アーノルドと

アーノルドの駆る宇宙バイクのサイドカーに座り船外へ
ゴーグルだけ付け涼しい顔

風は感じぬ故、あまり気持ちが良いとも言えぬな
店主よ
遠慮せずもっとスピードを出しても構わんぞ

談笑するのも束の間
こちらに向けて放たれた弾丸は魔眼の力により触れる前に停める

さて、ガラクタどもの掃除と征くか

サイドカーからふわりと飛んで、紡ぐのは炎の魔術
対象は視界内のウォーマシン群
朱色の魔弾が軌跡を描いてそれぞれの敵へと突き刺さる

弾幕を抜けた機械兵が居れば
おや、存外しぶといな
など零しつつ、完膚なきまでに破壊


ふ、相変わらずの脳筋振りだ
皮肉を混ぜながらも賛辞

ところで店主よ
私の座席は何処に行った?



●苦虫のお味
 ドルン、ドルルン……と、苦しげに喘ぐようなエンジン音。
 使い古したサイドカーのような見た目をした宇宙バイクは、
 その外見にそぐわぬほどの骨董品(ガラクタ)である。
 修理に出したら、そのまま博物館に寄贈されそうなレベルの古ぼけた品だ。
『こんなもん使うのはいつぶりかね……』
 やはりこれもまた古めかしい鎧騎士めいた、無骨なウォーマシンの男が云う。
 彼……アーノルド・ステイサムにとっては、運転すら久方ぶりである。
「メンテナンスはしていたのだろう?」
『そりゃもちろん最低限はな。ただギアとかはいじってねえから』
「違う。こちらだ、店主よ。"こちらの腕"は、油ぐらいは注していたのだろう」
 見せつけるように手の付け根あたりを叩きながら、ギド・スプートニクが言った。
 マシンのことはいい。その運転のテクニックが"錆びついて"ないか、という話だ。
『どうだかね……オイルを注せばいいってもんじゃあないんだぜ』
「たしかに。どれだけ注油しても脳筋は直らなそうだしな」
『運転中に振り落とされるのがご希望か? なら自慢じゃねえが得意だぜ』
「その時は、私ひとりで楽しむのももったいない。店主も引きずり込むとしよう」
 減らず口を叩き合いながら、男ふたりがガラクタみたいなマシンをいじる。
 やがてようやく機嫌の良くしたエンジンが、ドルルルル……と唸り始めた。
 それに合わせて、ゴウウウン……と、重苦しく格納庫のハッチが開かれる。
『そら、行くぞ。乗り心地は期待するなよ』
「問題ない。初めから慮外だ」
 アーノルドが運転席に。ギドはそれらしいゴーグルを着けてサイドカーへ。
 見据える先には爆炎渦巻く戦闘宙域。だがふたりに緊張はない。
 昔とった杵柄は健在と見え、アーノルドの手つきは慣れた様子である。
 男ふたりを乗せたマシンは、えづきながらも混迷の宙域へと滑り出したのだ。

「しかし、あれだな店主よ」
『なんだ、どうした』
「さすがに宇宙空間では、風を感じるもなにもないな」
『当たり前だろ。地上とは感覚が違うんだ、そういうのはよその世界だろうよ』
 母艦が攻撃を受けている最中とは思えぬ、リラックスした会話である。
 それこそ、炎天下に晒された長い長い荒野のロードをだらだら走っていそうな、
 そういう雰囲気があった。しかし、ここは戦場である。
「店主よ、遠慮せずにもっとスピードを出しても構わんぞ」
 呑気に言うギドが、砲口を向けたウォーマシンを一瞥する。弾丸が静止する。
『俺はいいが、お前が酔ってゲロぶちまけたりしないだろうな?』
 アーノルドが、片腕で無造作に斧を振るう。ガギン! 弾丸が弾かれた。
 BRATATATATATA……BRATATATATATA! BRATATATATATATATA!!
『チッ、一機来たと思ったらこれだ。ゴキブリかよ』
「仕方あるまい。生殖しないぶんゴキブリよりマシだろう」
 弾丸は静止する。さもなければ弾かれる。マシンも男たちも、害することはない。
『ま、適当にやるか』
「ああ、ガラクタどもの掃除と征こう」
 ギドはふわりとサイドカーから飛び出した。アーノルドはスロットルを開いた。
 直後、一人乗りとなったマシンは轟音を上げながら流星となって駆け、
 魔眼に睨みつけられたガラクタどもは、火花を上げて爆ぜて消えていく。
 戦闘(そうじ)が、始まったのだ。

 ギドの魔眼は、空間そのものを支配する強力な妖精眼(グラムサイト)である。
 ぎろりと一瞥しただけで、視界内のすべてはギドの意思の下に制圧される。
 弾丸はすべて、見えないなにかに遮られたかのように虚空に浮かび上がり、
 代わりにギドの振るう焔の矢……否、それはもはや朱色の魔弾だ……が、
 箒星のように宇宙の闇を灼き、延びて、翔んで、それぞれの敵へ突き刺さる。
 避けることは出来ない。敵の機動は魔眼に支配されている。
 防ぐことなど出来ない。"高貴なる赤"は斯様な悪足掻きを許容しない。
 つまりこれは処刑だ。
 ウォーマシン――否、最期を認めぬ過去の残骸どもへの、
 "汝ら滅びし者なり。しからば滅びるべくして滅ぶべし"という、処刑である。
「……おや」
 しかし王にも、どうやら手違いのひとつやふたつはあるらしい。
 燃え盛る魔弾の雨を抜けて、ごうごうと迫りくる鋼の影ひとつ。
「存外しぶといな。――よかろう、来るがいい」
 王は傲岸不遜にそれを赦した。ガラクタはぶん、と大剣を振るう。
 するとどうだ。肉厚の刀身ががしゃんと音を立てて展開し、射出される。
 中からは二回り以上も小さなビームブレード。なるほど、二段構えの仕込み剣か。
 実体剣の刀身を射出し、一種のミサイルのように敵を牽制して接近。
 命中しようとすまいと、高速で近づいてビームブレードで抹殺する、と。
「大した技術力だ。私が相手でなければ、だが」
 ギドが剣杖を振るう。それはあまりにも疾く滑らかなあまり、水銀めいた速度だ。
 ずるり――10メートル以上は離れているはずのウォーマシン本体と、
 射出された刀身が、どちらもまったく同時に両断され、そして爆砕した。
 ギドが一瞥をくれることはない。代わりに彼は、"店主"の方を見やる。

 もともと、アーノルドはスターライダーでも、鎧装騎兵でもない。
 マシンに特別思い入れはないし、ドライブテクにも長じてはいない。
 戦場で活用できる便利な道具の一つとして、使い方を心得ているまでの話だ。
 しかし達人は木の枝で石をも叩き斬る、などという与太話のように、
 真の遣い手は得物を選ばない。いわんや、それが乗り物だろうと同じこと。
 とっくに全盛期を過ぎたオンボロマシンを手足のように操って、
 最小の軌道を、最低限の出力で走り抜け、最大の破壊を周囲にもたらす。
 爆炎に乗じて上方アドバンテージを取り、ウォーマシンを轢殺破壊。
 爆散した機体の残骸を礫めいてスピンし弾き、周辺を包囲する敵性体を押しのく。
 生まれた間隙に矢のように駆け込んで、風車のように斧を一振り。
 KA-BOOOOM……爆炎が二つ。さらに斧をやおら投擲。KBAM、KBAM。さらに二つ。
 丸腰だと思い込んだ敵が攻め込んできた瞬間、アーノルドのカメラアイが輝いた。
『デュー、バリア展開だ』
 BRATATATA……バギギギン、と不可視障壁が弾丸を弾き、火花に変えた。
 電脳妖精の最適経路を思考速度で受け取ったアーノルドは、スロットルを開く。
 バリアを展開しながらの、機体も乗り手も厭わぬ乱暴な突撃(チャージ)。
 KRA-TOOOM……あとにいくつもの爆炎が咲き誇り、アーノルドはターンした。
 ぬっと手を差し出すと、ちょうどそこへ回転する斧が戻り、これをキャッチする。
 反動を膂力で殺し、さらに一閃。背後に迫っていた敵性体が両断され破壊。
『油断する気はねえし、こっちもそっちも大概骨董品みたいなもんだがよ。
 なあ、そんなもんか。それで限界か? 練度が足りねえよ、"元"ご同胞』
 電子音声に寂寥感はない。哀切も、懐旧も、ましてや憤懣も慚愧もない。
 すでに棄てた過去。すでに超えた過去。もうすべて終わった幼年期。
 同種族であろうがなんだろうが、かつての残骸を破壊することに感慨はない。
 ただ、強靭な戦士としての、残骸どもに対する呆れと落胆があった。

「相変わらずの脳筋ぶりだな、店主よ。業務にはさっぱり役に立ってないが」
『そっちこそ大したバカ火力だ。身体のどっかにアルコール袋でもあんのか?』
 男ふたり、合流してもやはり減らず口を叩きあう。
 けれどもふたりとも――アーノルドに表情はないが――リラックスしていた。
 気のおけない友人、というのは、きっとこういうのを言うのだろう。
『まあいい。さあ、次に行こうぜギド』
「ああ、それはいい。いいのだが、店主よ――私の席は、どうした?」
『……………………あ』
「私の座席は、何処へ行った?」
 アーノルドは顔をそむける。そこで彼は初めて知った。
 苦虫とは、なるほどこういう味がするのか――などと、益体もないことを。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユーノ・ディエール
■PW
母艦攻撃

先の戦争で大破しましたが――クルセイダーは甦りました
タイプR、今度はそう簡単には抜かせません!

パルさん、コース指示を。戦術データリンク
ミハエラさん、合わせます――タイマーセット
フィーナさん、火の手を上げたら突入します!
アリシアさん、入り口は一気にブチ開けますよ――!
グッドラック――ユーノ・ディエール、行きます!

クルセイダーに騎乗しリミッター解除、突入開始
仲間の攻撃に合わせて迷彩で戦線をすり抜け
母艦直上で迷彩解除、全武装を範囲攻撃で一斉発射
弾幕を広げて迎撃する暇など与えませんよ
その隙に早業で武装切替、2回攻撃でデトネイター展開
敵艦の装甲に念動最大解放で大穴を開けて爆砕してやります!


パル・オールドシェル
■PW

未知の生存領域への手掛かり……それを掴むためにも、この戦い負けるわけにはいきません。
ナイチンゲール号を守るように艦隊を展開、帝国部隊の迎撃を開始します!

僕は全体の戦況を確認しつつ、艦隊運用に全力を傾けましょう。
迎撃型母艦の艦載レーザー砲で敵艦を牽制しつつ、艦載機は接近する敵機のうち対艦装備の物を優先で迎撃して艦隊を護衛。
友軍による突破回廊形成を確認次第、全艦隊で敵艦に突撃を敢行。
母艦ごと体当たりも辞さぬ強行突破で敵を撃滅します。

敵艦は大型なれど単独、数的優位は我が方にあります。
それに……こちらはまだ見ぬ惑星系に新たな故郷と輝かしい未来を願うもの。
諦め朽ちた残骸に敗れる道理はありません!


フィーナ・ステラガーデン
■PW
1船外で大量ウォーマシン群をなぎ払う
杖にアイテム「魔力の篭ったルビー」をはめ込んで
杖に乗りながら【空中戦】で戦うわ!

またいっぱいきたわね!纏めてぶっとばしてやるわ!
そうねえ。ユーノが敵を分断させるみたいだし
ミハエラとは反対側の分断された敵群の相手をしようかしら!
その最中に敵母艦に何人か攻め入るみたいだし
仲間に近寄る敵がいれば【属性攻撃】で火球とか飛ばしてフォローしようかしら!
ここは任せるといいわ!しっかり決めてくるのよ!

ウォーマシン群には【高速詠唱、全力魔法】のUCを叩き込んでやるわ!
発生させる場所は出来るかぎり群れてる場所のがいいわね!
(アレンジ、アドリブ大歓迎!)


アリシア・マクリントック
■PW
外は皆さんにおまかせして私達は船内に侵入した敵を排除しましょう。
まずは私の剣で相手をします。いくら鎧で身体を包もうと、動くためには隙間が必要です。そこを突いていけば無力化できるはず。それにあの重装備、うまく転倒させられればそれだけでダメージになりそうですね。力比べでは不利ですからそういった搦手も使っていきましょう。

ある程度戦ったらマリアと交代です。……変身!
マジカルハンマーでの直接攻撃、風の魔法での対実弾防御。この姿での戦いにはなれていないでしょうが、十分なポテンシャルはあるはずです。マリアが変身している間は私が周囲を警戒しましょう。余裕があればマリアへのアドバイスもできるといいですね。


ミハエラ・ジェシンスカ
■PWで参加
戦場:1

ふん? こいつらが配備されていたという事はこの船団
銀河帝国にとってもそれなりに権威あるものだったようだな
それがこの様か

幸いにして同型機との戦闘は経験済み
こちらは引き受ける。母艦は任せたぞ
フォースレーダーによる【情報収集】で敵の動きを把握しつつ
ドローン2基と連携して敵母艦を追うユーノを追わせないように立ち回る
気を付けろよ。こいつら騎士然としているが私と同程度に「性格が悪い」
近接攻撃は【武器受け】で捌き
以前の戦闘データを参考に銃器による攻撃を【見切り】【念動力】で逸らす事で回避する
隠し武器はその存在が知られていては意味がない
お互い苦労するな、ご同類?
隠し腕を展開し【カウンター】



●惑星(ほし)を視るひと
 かつて、この世界には母なる惑星が存在した――はず、だった。
 だが悪しき銀河帝国によって、母なる惑星は宇宙の塵と化し、人々は散った。
 長き放浪。宇宙の闇を渡るための技術すらも銀河帝国は奪い取り、
 そしていま、巨悪が陥ちた今こそ、人類は再興に向けて一歩を踏み出した。
「その第一歩を阻もうとする敵に、もうこれ以上僕たちが敗けられません。
 こちらパル・オールドシェル。友軍と協力し、帝国残存部隊迎撃を開始します!」
 ナイチンゲール号甲板上、桃色の髪をエーテルの風にたなびかせる女がひとり。
 さながら天使の翼めいて両手を大きく広げると、その指先から電子の光が迸った。
「あまねく星々に光あれ。私たちはそれを注ぐもの、それを以て命の光を護る者!」
 見よ。幾何学的な軌跡を描く光は、やがて大きな艦隊のフォルムを虚空に刻む。
 あれこそは、かつて在りし惑星を守護せし人造の天使たち。楽園の守護者たち!
 滅びを拒むその輝きを、今を生きる人々のいのちもろとも飲み込んでしまおうと、 深淵の闇に挑みそして朽ち果てた過去の残骸たちが包囲網を広げる!

 ……だがその時! KA-BOOOOM!!
 左右両翼から高速で飛来した何かが敵陣を駆け抜け、そして爆炎が舞った。
 あれはなんだ? ウォーマシン部隊のセンサーすら欺く高速飛翔体!
「どれほど高精度なセンサーであろうと、時代遅れの旧型では無駄な足掻きです。
 蘇ったこのクルセイダー-タイプRを捉えることなど、絶対に出来ません!」
 左翼! 敵陣を風のように――いいや、光のように飛び交うのは金髪の戦乙女!
 エンパイアウォーの死闘の果てに大破したディアブロクルセイダーを新生させ、
 この馴染み深くも旧く新しき戦場に舞い戻った鎧装騎兵、ユーノ・ディエールだ!
「雑魚が何体来ようがまとめてぶっとばしてやるだけよ! 大したことないわね!」
 一方、右翼! 紅玉を輝かせ宇宙の虚空を滑るように翔ぶのは魔女の杖。
 それに乗り破滅的魔力を解き放つのは、フィーナ・ステラガーデンである。
 スピードと機動力ではエキスパートであるユーノに見劣りするものの、
 広域殲滅力に関しては同等……否、ともすればフィーナのほうが上ですらある。
 まるで波濤のように荒れ狂う焔は、有象無象無別なく敵を飲み込み焼殺するのだ!
「フィーナさん、まずは敵の防衛網を突破します。いけますか!」
「ええ、任せておいて――と言いたいところだけど、手が足りないわね!
 こいつら、ふっとばしてもふっとばしてもぞろぞろ出てくるじゃないの、もう!」
 然り。ふたりの乙女はいかなる弾丸も刃も届かせることなく宇宙を飛び回るが、
 ウォーマシン部隊は壊滅させてもそのたびに戦力を補充し、再び前線を構築する。
 ユーノ、そしてこの状況を見守るパルの脳裏に、かつての戦争の記憶が蘇る。
 ナイチンゲール号とともに駆け抜けた、最終防衛網突破戦の記憶が……!

『ふん? こいつら――なるほど。要人警護用の特別機か。随分な数を揃えたな』
 ヒュカカッ、と、ウォーマシン部隊のあちこちに赤黒い光の亀裂が走った。
 するとどうだ。堅牢極まりない鋼の装甲はバターのようにあっさりと切り裂かれ、
 爆炎の中から女めいたフォルムのウォーマシンのシルエットがうっそりと現れる。
『これだけの数が配備されていたということは、この船団……おそらく、
 かつては銀河帝国にとっても、それなりに権威あるものだったらしい。
 それこそ一隻二隻ではなく……一方面宙域を支配する艦隊規模の軍勢だろう』
 恐ろしい剣気を纏うフォースナイト、ミハエラ・ジェシンスカは淡々と言った。
 大悪たれと定義されたその心(プログラム)には、未だ銀河帝国への忠義あり。
 忠義非ずして叛逆はならず。その反骨は、翻って悪逆の騎士の凄烈を示すのだ。
 しかして今、滅び去った残骸どもの忠義に思いを馳せているような暇はない。
 ゴウンゴウンゴウン……新たな母艦がまた一隻、戦闘宙域へと出現したからだ!
 ミハエラは見た。朽ち果てた戦艦。そしてその内部から出現する"同類"たちを。
 おお、銀河帝国よ、栄光あれ。幾百年経ちてなお駆動する忠義の配下たち!
 おお、銀河帝国よ、哀れなり。汝ら、滅びを受け入れず未だ生者を阻むとは。
 矛盾したふたつの感情がミハエラの脳裏(メモリー)を駆け巡る。嘆息。
『……フィーナ、ユーノ。この場は任された。お前たちはあの母艦を叩け』
「そんな! ミハエラさんおひとりで!?」
 慮る様子で声を上げたユーノに対し、ぎらりと赤いカメラアイが睨み返した。
『私を誰だと思っている。幸いにして、同型機との戦闘は経験したばかりだ。
 もっとも、経験がなかったとしても、私が残骸ごときに遅れを取るはずもない」
 傲慢不遜に聞こえる言葉だが、それに足る技量と練度をユーノは知っている。
 勇みきれぬユーノの迷いを見透かしたように、フィーナがくすりと笑った。
「ならミハエラ、私とアンタで競争をしてみるってのはどうかしら!」
『競争だと……?』
「そうよ。どっちがより速く、より多くの敵を撃墜できるか! 試しましょうよ!」
 気高きフォースナイトは、ふん、と鼻を鳴らした。だが異議を唱える様子はない。
 フィーナはユーノのほうを見やり、ぱちりとウィンク。ユーノは得心し、頷いた。
「さあ、それじゃあ母艦のほうは任せたわよ、ユーノ!」
「わかりました。――クルセイダー、アサルトモードに移行。ブースタ点火!」
 雲霞の如き敵を見据え、戦乙女は一条の矢となるため自らを弓弦に掛ける――!

 一方その頃、ナイチンゲール号船内!
「これ以上先には行かせません! はぁああっ!!」
 裂帛の気合を以て愛剣を振るい、アリシア・マクリントックが敵機を両断する。
 火花を散らし爆炎とともに四散したウォーマシン、その痕跡を彼女は睨む。
「私たちが展開するまでの間に、もうこれほどの数が船内に……!
 皆さん、外はお任せします。侵入済みの敵性体は私とマリアで殲滅しますから!」
『了解(ログ)。船外での迎撃は私たちにお任せください、アリシアさん』
 通信機から聞こえてきたパルの落ち着いた声に、アリシアはふっと微笑んだ。
 疲れ果てたこの体に、仲間の声が、その戦意が、闘う勇気と力を与えてくれる。
「はい。協力してこの船を守り抜きましょう。……ユーノさん達は大丈夫。
 あの方々なら、どれほど敵が立ちはだかろうと、一瞬で貫いてみせるはず……!」
 大群を相手に戦っているであろう三人の姿を思い描き、アリシアは頭を振った。
 今は仲間の死闘に感慨にふけっている場合ではない。自らも為すべきを為すのだ。
 そこへ新たな敵影。BRATATATATATATA! 腕部マシンガンの一斉掃射だ!
 相棒にして半身と呼ぶべき狼、マリアが吠える。アリシアは微笑んで頷いた。
「大丈夫、まだ私がやれるから手を貸して。行きますよ、マリア!」
 降り注ぐ弾丸を切り払い、乙女と狼は風となって船内を駆け抜けた!

『"星歌隊"、現実宙域への復元完了。全艦一斉展開、防衛ラインを構築。
 8-61、楽園の守り手にして星々の歌い手よ。さあ、戦場に凱歌を唄いましょう!』
 ナイチンゲール甲板上。およそ40隻以上の無人迎撃母艦および自律兵器が展開。
 全方向から襲い来る敵部隊を迎撃し、圧されあった防衛線をパルが押し返す!
『ユーノ、突撃ラインのナビゲートを行います。戦術データリンクを要請』
「了解! ミハエラさん、そしてフィーナさんの攻撃にタイマーをセット……!」
 クルセイダー-タイプRのセンサー類とパルの電脳がシンクロし、情報が流れ込む。
 友軍の位置取り、狙い、周辺に展開した敵の数。すべてがストリームと化す。
 膨大な情報量を冷静に判断、分析、取捨選択し、パルは神の如く戦場を俯瞰した。
「ここは任せるといいわ! しっかり決めてくるのよ!」
『フィーナ、応援はいいが気をつけろ。こいつらは私と同じぐらいに"性格が悪い"』
 ソードドローンを巧みに操り敵を惹きつける囮となるミハエラと、
 その敵群を一気に殲滅するフィーナ。ふたりのコンビネーションは一流だ!
《ユーノさん、ご武運を祈ります! その虹の輝きで道を切り拓いてください!》
 船内からの通信――アリシアの激励! ユーノは莞爾と微笑んだ。
「グッドラック。ユーノ・ディエール、クルセイダー-R! 行きますッ!!」
 ドウ――ッ!!
 宇宙空間をたわませるほどの極大バーニア噴射、そして虹の輝きが宇宙を貫く!
 一瞬だけ開かれた敵部隊の間隙を貫き、ジグザグの軌道でユーノは奔る。
 まだだ。速く、もっと疾く! 何者をも追いつけぬ嵐のように、もっと!
 敵母艦が対空砲火でユーノを撃墜しようとする。弾丸が機体をかすめる。まだだ!
「皆さんの想いを背負った私を、クルセイダーを! そんな攻撃で堕とせると!」
 BRATATATATATATATATA!! 曲芸的飛行を追う火線、スピードはさらに高まる!
「――思わないことね、全武装、一斉発射(フルファイア)ッ!!」
 光芒が宇宙を照らし出す。360度余すことなく貫く強烈なオールレンジ攻撃!
「捩じ切れなさい! 壊れて爆ぜて、キレイな花火になっちゃえばいいわ!」
『隠し武器に頼らねばこのとおりだ。お互い苦労するな、ご同類?』
 フィーナの火球が、ユーノの攻撃を逃れたウォーマシン部隊を焼殺滅却。
 迫りくる無数の白兵戦特化機体を、ミハエラの魔剣が次々に切り裂く!
『突破回廊形成を確認。"星歌隊"、全艦突撃陣形へ。直接攻撃を仕掛けます!』
 さらにユーノがこじ開けた風穴を、星の守り手たちが鏃となってあとに続く。
 目指す先は、言わずもがな敵母艦。自らを弾丸と化した強行突破である!

 そして船内!
「マリア! 私のすべて、あなたに託します! 選手交代ですよ――変身っ!」
 ダンスを踊るかのようにアリシアがステップを踏み、マリアと入れ替わる。
 跳躍した狼の体は虹色に輝き、光は風を纏ううら若き少女の姿に変じた!
『わんわん、わんっ!!』
「大丈夫、大丈夫よマリア。あなたならその力を使いこなせるはず!」
 人型状態に未だ慣れぬマリアを小さな妖精と化したアリシアが静かになだめる。
 主にして朋友たる淑女の言葉に、幼き相貌の狼少女はこくりと頷き、視線を前へ。
 BRATATATATATATA……弾丸を風の障壁で受け流し、たっと地を蹴って滑空する!
「そう! いい子ね、マリア! そして、風の速度と力を借りて――!」
 矢のように鋭い鋭角斬撃、ひとつ、ふたつ! とどめに魔法の鉄槌が叩き込まれた!
 いかに鋼の守りがあろうと、ふたりの絆と風の力が合わさったならばひとたまりもない。
 またたく間に敵を蹴散らし、船内の安全領域を取り戻す魔法少女の勇姿!
 そして戦闘の最中、アリシアとマリアは見た。ガラス窓越しの風景――。

「行くわよ、クルセイダー――念動最大解放!!」
 インペリアルデトネイター展開、虹の輝きそのものと化したユーノが艦を貫く!
『私たちは新たな故郷と輝かしき未来を願うもの。闇に光をもたらすもの!
 諦め朽ちた残骸よ、退きなさい。ここから先は僕/私たちの航路(みち)です!』
 星の歌を紡ぐ舟たちが、幾条もの光の鏃となって母艦を貫く!
「さあ、逃れられるものなら逃れてごらんなさい! 私の焔の渦から!」
『――そして、派手な焔に愚か者ほど目がくらむ。それを隙というのだ』
 大きな焔の嵐を生み出すフィーナ、それにたじろいだ敵を切り裂くミハエラ。
 四人の乙女たちの力が――朽ち果てた敵の母艦をまた一隻、滅びへと叩き込む。
 広大なる未知宇宙の闇を、幾百年を閲した残骸どもの滅びが照らし出した――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

龍之・彌冶久
1

はは、宙を漂うのも悪くない!
俺の知る宇宙とは些か違うとは言えな。

では、爺らしくぶらり散歩と――ついでの仕事と行こう。

満ちに満ちたり、星光の"天脈"から刃を一紡ぎ。(属性攻撃:光)
そして――

"恒河沙"。

紡いだ刃を宙に翳し、ほんの少し"脈"に刃を入れてやれば。
この宙に溢れる天脈の流れに乗って
敵の身元へひとっ飛び、とな。

何やら目なり鼻なりが効くらしいが
瞬きの間に距離を詰めればそれもあまり意味もあるまいよ。

さて、では。揺蕩う脈々を伝うていざ行かん。

――呵々、鋼機の剣士とその剣筋も悪くはない!が、些か動きが固いなぁ!
さぁさぁ次だ、まだまだ斬るぞ!
老い耄れの道楽に付き合ってくれよ!



●無限の宇宙すらも斬る漢
 戦乱渦巻く混迷の宙域を、ぶらりぶらりと散歩めいてたゆたう男がひとり。
 龍之・彌冶久。浮世離れした剽げた男の泰然自若は、どうやら星の海でも不変か。
 当然その姿をウォーマシン部隊が捉え、殲滅しようとする――が。
『……? 敵性体をロスト。しかし反応は依然――』
「此処だよ、此処。目鼻に頼りすぎでないか?」
『!!』
 背後。声に振り向こうとして……噫、両断の憂き目。そして爆散する。
「呵々。なるほどお前たちは、たいそう宙(そら)を飛び回れるようだが――」
 彌冶久は刀を握っていない。ただ、虚空を指でちょいとなぞるだけ。
 するとどうだ。那由多の彼方に輝く星の光が、指先に"掬い取られた"。
 神に至りしその身には、近くも遠くも然程変わらぬとでも云うのだろうか。
 はたしてそれは"天脈"より紡がれし一振りの刃と変わる。光そのものの刃である。
 光そのものであるからして、そもそも刃として薄いも厚いもない。
 ならば鋼であろうが、なんであろうが、斬れぬ道理はない。
 そも、道理も何もねじ伏せて、"斬った"という結果をもたらすのがこの男。
 ゆえにこそ神なのだ。精密なセンサーですら捉えきれぬ刹那の一瞬に、
 どれほどの距離であろうが一跨ぎ。これぞ――"恒河沙"である。

「やれやれ。しかし、死んだというのにあいも変わらず忙しない連中よ。
 生きる者がそんなに憎いか、恨めしいか。まったく、陰気臭いことだ」
 ぞろぞろと雁首揃えて集まった残骸どもを見て、やれやれと嘆息し頭を振る。
 どうやら自由気ままなぶらり宇宙旅行と行くには、もう一仕事必要らしい。
 四方……否、宇宙においては八方をも塞がれてしまう。上下左右前後を積んで尚。
 同期により全く同時に、かつ一切の回避先なく振るわれた刃の檻を、
 彌冶久はあっけなくも、そしてふらりと飄然たる面持ちで潜り抜けてしまう。
 瞬間移動したのではない。分身だの幻を見せたわけでもない。
 ただ、空間そのもの――いやさ、時空を流れる"脈"にスイと刃を差し込んで、
 星の光またたく天脈に身を委ね、その背後を取ったまでだ。
「鋼機の剣士。その剣筋、狙い、悪くない。悪くないが……うむ、動きが固いな」
 文字通りの撫で斬り。音もなく、熱もなく光(やいば)は全てを切り裂く。
 ひとつ、ふたつ、みっつ。爆炎が華のように咲いて彌冶久のかんばせを照らした。
「さぁさぁ次だ。揺蕩う脈々伝うて、いざいざ征かん星の海、てなあ。
 こちとら老いぼれだ、所詮は道楽よ。どうか付き合ってくれよ、呵呵々!」
 剣の道を突き詰めれば、やがて魔道へ墜ちて鬼になるという。
 神たるその身の剣筋は、鬼すら裸足で逃げ出す天道のそれである。
 ならば、宇を上に宙を下に、星の海にて剣が鈍るはずもなし。

成功 🔵​🔵​🔴​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と
戦場:2

宵と共に乗組員に被害が及ばぬ様船内にて敵を迎撃しよう
何処から侵入してくるか解らぬ故
『聞き耳』を立て金属音が擦れるような音等が聞こえた場合は宵に知らせ其方へ
宵の攻撃を皮切りに前衛に出、宵の攻撃にて動きが封じられた敵に『怪力』を乗せたメイスの攻撃を繰り出そう
宵がくれた攻撃の機を逃す訳がなかろう?
その後は敵へ同じく麻痺毒を乗せた【罪告げの黒霧】を放ちつつ
メイスで『なぎ払』いながら止めを刺して行こう
…二人分の麻痺からは逃げられんだろう?

又敵は急所を狙うと在る故、敵が攻撃の兆候を見せると共に宵の頭や胸などの急所を『かば』いながら『盾受』にて攻撃を逸らすよう動ければとそう思う


逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と
戦場:2

乗組員および船にに被害が及ばぬよう注意しつつ
さぁ、ザッフィーロ君。まいりましょうか

「視力」で敵個体を視認し次第可能な限り「先制攻撃」を狙い
「高速詠唱」で「衝撃波」で「吹き飛ばし」ましょう
敵が体勢を崩したところを、【ハイ・グラビティ】で動きを封じましょう
あとはザッフィーロ君、頼みましたよ

僕の最も得意とする星降りを貴方がたにお見せできないのは残念ですが
その後は「鎧無視攻撃」「属性攻撃」「マヒ攻撃」をのせた「衝撃波」を「一斉発射」して敵の動きを阻んでいきましょう

攻撃を受けそうになったなら「オーラ防御」で防ぎつつ「カウンター」で反撃しましょう



●燦然たる星の在処
 ――ふたり揃って、いくつもの星空を見上げてきた。
 世界も、刻も、場所も、輝きも、何もかも異なる星空を、何度も見上げてきた。
 もちろんこの星の海を征く船々でも、潮騒の音を聞きながら星空を観たものだ。
 勇ましいことに、この世界の人々はさらなる星を追いかけ闇に挑むという。
 たくましいことだ。いや、だからこそあの戦いを勝ち抜けたのかもしれない。
 ザッフィーロ・アドラツィオーネは、そして逢坂・宵は心からそう思う。
 誰も識らぬ宇宙(そら)。誰も識らぬ星々の地図。それはとても素敵なものだ。
 傍らに在ってくれるひととそれを目の当たりに出来たならば、なおいいだろうと。

「……宵」
 やや先を行っていたザッフィーロが、ひそやかな声で警戒を示した。
 宵がそれを問うことはない。おそらくは敵の気配……物音を察知したのだろう。
 彼が耳で、己が眼だ。この船の中には、すでにいくつもの敵が入り込んでいる。
「先手は僕におまかせを。そのあとは――頼みましたよ? ザッフィーロ君」
 言われるまでもない、と言いたげな男の視線に、宵はくすりと微笑む。
 皮肉や嘲笑などではない。頼もしいし、その表情を善いものだと思ったからだ。
 そして通路の向こう側から、隠密仕様に特化したウォーマシンが四……いや、五。
 その名の通り、宵の空の色と星の意匠が凝らされた"宵帝の杖"を、宵が振るう。
 軌跡にちらちらと光が雪のように舞い、散――らない。それらは瞬き、輝く。
「――行きなさい」
 小さな声。それに応じ、生まれたばかりの星々は魔弾となって光条を描いた。
 ウォーマシン部隊の眼前に飛来したそれは、万華鏡のようにくるくる渦を巻き、
 やがてまばゆいほどの輝きを伴い……パァン! と、盛大に弾け飛ぶ。
『『『!!!!』』』
 強烈な光、さらに熱膨張による衝撃波。そう、星の輝きは燃え盛る熱である。
 ならば星に属する魔法が、鋼すらも吹き飛ばす光熱を伴うのは当然のことだろう。
 敵が蹈鞴を踏んだ瞬間、宵はくるくるとステッキを振るように杖を手繰り、
 こつん――と石突で床を叩いた。するとどうだ、先端部が煌々と光り輝く。
「この船を傷つけるわけにはいきません。ですので、少々動かないよう……」
 ずん、と、見えない鎖に縛られたかのように、ウォーマシン部隊がたじろいだ。
 かろうじて屹立しているものの、鋼の駆動部からみしみしと異音が響く。
 星の自転が生み出す重力波……それもまた、宵の魔法の得手とするところである。

 いまや、ウォーマシン部隊は上下から同時に圧迫する重力波の虜だ。
 そもそも、地上の数百倍の重力を浴びてなお、原型を留めているだけでも見事。
 とはいえ――ザッフィーロに、敵を褒め称えるような酔狂な趣味はない。
 宵の魔法が炸裂した瞬間、白を主とした祭服を外套めいて翻し、男は駆けている。
「戒めに縛られる程度で済むと思ったか? ――ならば思い上がりというものだ」
 片割れたる術士がもたらした好機を、むざむざ逃すような戦士ではない。
 緩やかで、しかし強烈な踏み込みを以て間合いへ。膂力を鉄槌に込め、降ろす。
 ぐしゃんっ!! と、堅固なウォーマシン二機が紙細工のようにひしゃげて潰れ、
 そして爆散した。残る三機、動きを取り戻すより先に黒い濃霧に呑まれる。
「滅びたはずのその身は、もはやただ在るだけでも罪深く裁くべき存在だ。
 ましてや、生者の道を阻むなど――あいにく、俺はそんな連中を見逃さん」
 ぐしゃり。さらにひとつ。体重をかけ、さらに一度、メイスを薙ぎ払う。
 ガラクタ同然に破砕したウォーマシン三機は、あっけなく爆発四散した。
「……宵、次が来るぞ。今度は俺が隙を作ろう」
 ちらりと背後を見やれば、術士は肩をすくめて頷いた。
 冷静なその双眸、星を散らしたような輝きに、戦闘中だというのに魅入りかかる。
 ザッフィーロは怠けた思考を頭を振って追い払い、再び黒き毒の霧を見舞った。
 新たに出現した敵は三。濃霧に呑まれたところへ、さらに宵の星魔法が降り注ぐ。
「僕のもっとも得意な星降りをお見せできないのは、残念なのですがね……」
「無茶を云うな。この船がどれだけ頑丈だろうと無事では済まないぞ」
 ザッフィーロは宵の軽口に呆れた様子で応えつつ、さらにメイスを二度、三度。
 苦し紛れに振るわれた剣をソードブレイカーで抑え、頭部をメイスで砕く。
「おや。今のはひょっとすると、僕をかばってくれたのでしょうか」
「……そういうことは、わかってても黙っておけ。どう返せばいいかわからん」
 くすくすと笑う宵に、ザッフィーロはなんとも言えない表情を浮かべた。
 嬉しそうな、呆れたような、やれやれといった様子の、しかし緩んだ笑みのような。
 かつて人々に使われ、やがて百年を閲し化身を得たヤドリガミのふたりである。
 それぞれの経緯があり、それぞれの信念があり、それぞれの存在理由がある。
 だが、いまは互いを求め、相手のために己の存在を捧げたいと思う。
 ……それはおそらく、あまねく神の愛(アガペー)を届ける身には相応しくない。
 呪いにも似たアイデンティティに、ザッフィーロはふう、と短く息を吐いた。
 その肩に、微笑む宵の細い指が乗せられる。……戦いはまだ終わっていないのだ。
「行きましょう、ザッフィーロ君。仕事の続きです」
「ああ。せいぜい、残骸どもを叩き潰すとしよう」
 傍らのひとと伴にあれば、どのような闇も征ける気がした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

荒・烏鵠
【万嶺殿】
@WIZ 戦場:2
いやーセンソー終わった途端に色々メッチャ始まるじゃん?忙しねーよナ、ニンゲン
さーてサテ、今回は有能な弟共が外で暴れるッてンでオレサマは中で
ふむフム?センサーによる索敵ねーへーへーほーん
オッケーそーゆーのガン無視の方向で行くわ
『九羽狐』で天井も壁も床もドアもゼーンブ トラップにしてやンよ
ドアと思ったら壁だったり、トゲトゲが生えたりトラバサミになったりするかもなァ!
オット、オレサマも変化するぜ……空気にな!
これでも功夫積んだ古狐だ、炎に変化したコトもある。風にだってなれらァ
さすがに索敵しようがねーダロ?全員ステキトラップで撃退してやるぜ
ニンゲンじゃねーし、容赦はナシだ


イリーツァ・ウーツェ
【万嶺殿】
戦場:1
皆で集まるのは、いつも楽しい
皆を見るのも、戦うのも好きだ
人の身は窮屈だから、開放感があって好ましい
烏鵠は中、我々は外
行くぞ、アルバート
壊滅だ

アルバートに一発貰ってから散開
力が弱いな、あいつ
UCを使い、『竜宮』を鞭状に変化させる
偶には近接以外もしなくては鈍る
敵を絡め取り、怪力で振り回して他の敵へとぶつける
ボウリングを思い出すな 遊んだ事は無いが
相手の銃撃は見切って翼で受ける
人の鋼では我が身は穿てない
近付いた敵は、戦鎚に変えた竜宮で潰す
力には自信があるからな

言ったな? 戦事では決して負けんぞ!


アルバート・クィリスハール
【万嶺殿】
戦場:1
兄弟でどっか行くの久しぶりじゃない? 少し楽しいな。
エンパイアからSSWって、発展具合の差に風邪ひきそうだね。
じゃあ僕はイルと一緒に外回り行ってきまーす!

さーて、イル。ぶっ殺そうか。
【紅天朱月】を使うけど…宇宙で夜も何もない気がするなあ。
まあでも僕自身が実体を失くすってのは大きいよね。
影なんて索敵しようがないし。
一応、イルを一発殴ってから敵の殲滅に向かうよ。

どんなに頑丈でも無駄だよ。機械なんて内側は影だらけだ。
内側の重力を操って、中身ぐちゃぐちゃにしてあげるよ!
あははっ! ねえイル、スコアアタックでもしようか?



●三兄弟、星の海にて大暴れするのこと
 猟兵には休みがない。なんていうのは、はたして誰が言った台詞だろうか。
 いかにも。オブリビオンどもが間断なく世界のあちこちに現れて蔓延るように、
 それを討つべき生命の祝福者にも休みはない。この戦いの終わりは全く見えない。
 世界を賭けた大いくさが終わっても、それは道標(マイルストーン)に過ぎぬ。
 むしろ、規模で言えば、戦争以前よりも激しくなっているような……。
「そったら今度は宇宙探査ねェ、いやー忙しねーよナ、ニンゲンって」
 戦闘の余波を受けてチカチカと明滅する『火気厳禁』のマークを見ないふりして、
 荒・烏鵠は優雅に紫煙を吐く。こういう環境で呑むからこそ、ヤニは美味いのだ。
「荒さんがのんびりしすぎなんだって。僕もイルも結構派手に暴れたんだよ?」
「だが、やはり皆で集まり、戦うのが一番楽しい。人の身は窮屈なのでな」
 アルバート・クィリスハールの言葉に、イリーツァ・ウーツェはそう応えた。
 ふたりはつい先ごろ、エンパイアウォーでの戦の大一番に参加したばかりである。
 中世的な日本世界から、星の海を征く船の中。科学技術の差がとてつもない。
「ちなみにふたりって、此処で戦うのって何度目だっけ? 僕二度目」
「四度目だ」
「オレサマが一番多いンかナ? ジャ、弟分にケーケン積ませねーとナ」
 はたして本気か否か、烏鵠の言葉はいつでも測り難い。
 しかし彼が指図するより先に、アルバートとイリーツァは船の外を一瞥した。
「おっけー、じゃあ僕はイルと一緒に外回り行ってきまーす!」
「烏鵠は中だな。任せよう」
 まるでスキップでもするような気軽で楽しげなステップでふたりは征く。
 烏鵠も、その背中を呑気に手を振って見送る。会話の間にもいくつかの爆発音。
 戦闘中らしい緊張感がまるでない。が、彼らは"そういうもの"である。
「さーてサテ、外の有象無象は有能な弟どもに任せましてーッとォ……」
 烏鵠はタバコを片手に歩き出す。その肩の上に、ふわりとシナトの姿が現れた。
 きゅう、きゅうきゅう。余人にはただの鳴き声にしか聞こえぬそれに、
 烏鵠はふんふんと耳を貸す。爆音、そして振動。歩みが揺らぐことはない。
「ふむフム? センサーに隠し武器、へーへー、ほーん。オッケーワカッた!」
 先行偵察の報告を聞いた烏鵠は、ニカッと明るく笑った。
「――そーゆーの、ガン無視の方向で行くかァ!」
 まさにその時、ウォーマシン部隊が烏鵠のもとへと出現したのだ!

 ……一方、ナイチンゲール号船外!
「いッたい!!」
 と、場違いで素っ頓狂な声。じんじんする拳を振っているのはアルバートである。
 何をしたのか? ……殴ったのだ。拳を握って、イリーツァの顔面を全力で。
 そして、殴った側であるアルバートのほうが、あいたたと手をぶんぶんしている。
「イルさ、硬すぎ!」
「お前の力が弱いだけだ」
「はいはい、僕はパワータイプじゃないんだよそもそも。どちらかっていうと――」
 一瞬だけ、アルバートの瞳が赤く輝いた。やがて戦場を照らす煌々たる"月"。
 然り、月である。この世界に惑星はない。だがその紅月はたしかに浮かんでいる。
 近いようで、しかしどれほど近づこうとも届かぬ月が、戦場を照らしている。
「"こういうの"が向いてるんだよね」
「そうだな。私とお前ではタイプが違う。だからこそ好ましい」
 影そのものへと変じつつあるアルバートを前に、イリーツァは真正直に頷く。
 その手に掲げた魔杖が、すさまじい量の魔力に応じ、鞭めいた形態に変じた。
「行くぞ、アルバート。壊滅だ」
「そうだね、ぶっ殺そうか」
 瞬間、影が消えた。いや、そもそも影は"そこに在る"と云うべきなのだろうか?
 紅月が、天に瞬く無数の星星が戦場を照らす。爆炎が鋼を赤く染め上げる。
 影などそこら中にある。外にも中にも、そして一瞬で消え去ってしまう。
 "それ"そのものと化した暴威を、たかが躯体で止められるのだろうか?
 ましてやそれは水銀のように疾く、そして死神のように無慈悲である。
『あっははははは! とっくの昔にぶっ壊れたガラクタがさぁ、いまさらさぁ!
 墓場から這いずり回って出てきて、邪魔すんなよ! 邪魔なんだよ! 死ねよ!』
 影が哄笑する。重力そのものを捻じ曲げ、哀れな過去の残骸どもをへし曲げる。
 まるで子供が無邪気にいたぶった虫のように、どれもこれも砕けて爆ぜて消える。
 "ぐちゃぐちゃ"だ。鋼そのものも、混迷の宙域も、何もかも"ぐちゃぐちゃ"だ。
 ならばと、悠然と屹立するイリーツァを見咎めた敵影が、いくつも竜へ迫る。
 実体剣を構え――遅い。鞭が濡れた絹のように絡みつき、腕ごと剣をもぎ取った。
 正しくは、振り回そうとしたら、あまりの怪力に引きちぎれたというのが正しい。
「脆いな」
 イリーツァはただ端的にそれだけ呟き、残骸をショットガンめいて撒き散らす。
 同胞の破片で貫かれた敵の悉くは、当然のように爆発して四散した。例外はない。
 かろうじて破片を逃れたとしても、そこに竜の尾のように鞭が降ってくるのだ。
 絡め取り、引きちぎり、残骸を振り回して投げ飛ばす。また爆炎の塊が生まれる。
「やったことはないが、ボウリングを思い出すな。こういう感じなのだろうか」
 BRATATATATATATA……銃撃の雨を、イリーツァは回避したりはしない。
 ただばさりと翼膜を広げ、無造作に打ち振るい、鋼より強固な翼で吹き飛ばす。
 余波がまた爆炎を生む。逃げ場などない。もはやここは竜と影の遊び場だ。
『あははっ、ボウリングか! ならイル、スコアアタックでもしようか?』
「ほう? 何を競う。壊した数か。それとも速度か」
『制限時間つきで、どっちが多く殺せるか! それじゃあ早速スタートだよ!』
 影が戦闘宙域をかき混ぜる。そう、撹拌する――敵をひとまとめにしてしまう。
 ひしゃげて潰れて砕けたそれらは、塊となってそして焔に呑まれて消えていく。
「……言ったな。戦事では決して敗けんぞ! 吠え面をかくなよ!」
 イリーツァは鞭を振るい、それでは足りぬと見るや魔杖を戦槌に変えた。
 エーテルの風を翼で打ち、鋼を砕き、潰し、吹き飛ばす。薙ぎ払う。
 嵐だ。影と力の嵐が、鋼の群れを次々に滅ぼしていくのだ。

 同時刻、ナイチンゲール号船内。
 通路には焼け焦げた痕……そこにいたはずの烏鵠の姿はない。
 よもや古狐は、こんな鋼どもにしてやられたというのか? ……無論、否。
 KBAM!! 曲がり角の向こうから爆音。ブービートラップに引っかかったのだ。
 先遣隊が爆発したのを確認した後続部隊が、冷静に通路を横断しようとする。
 だが無駄だ。この宇宙世界には場違いな、棘付き吊り天井が鋼どもを押し潰す。
『そういやムカシ、こンなゲームあった気がすンなァ! なんつッたっけ?』
 けらけらと愉快そうな笑い声とともに、どこかから烏鵠の声がする。
 その出元を探そうと、ウォーマシン部隊は陣形を組む。その中心に亀裂が走った。
 落とし穴だ。ただし、続いているのは船の底ではなく異次元の陥穽である。
『ムダムダァ! 索敵しよーがネーヨ! だってハナから見えてンだしナ!』
 そう――烏鵠はいま、この船に充満する人工の大気そのものと一体化している。
 どれほどの修行を積めば、形なく淀みなき風そのものに变化できるのか。
 よしんば変化出来たとして、普通ならばあっというまに"かたち"を失うだろう。
 物理的な問題ではない。精神としての"かたち"だ。ようは自我、クオリア。
 一流の術士ですら即座に霧消させてしまうそれを、烏鵠はあっさり維持している。
 当然だ。なにせ彼は"古狐"。得体の知れぬ千変万化の化外である。
『ニンゲンじゃねーし生きてもねーし、全員ステキトラップにご案内だぜ!
 ――そのつもりで来たんダロ? だったらまとめて、面白おかしく消えちまえ!』
 形なき変化の哄笑が響き渡る。過去の残骸には為す術もない。
 人の進む先を阻むことを、ヒトを愛でる化外は決して赦しはしないのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

サルファ・トクスホリック
2.

……へっ。初仕事が宇宙ねぇ、御大層な。
まぁメシのタネだ。憂さ晴らしにも丁度良い……
が、"ご褒美"ァ欲しいな。

おいそこの坊主。
なんか甘いモン寄越せ。お守りしてやっからよ。
おう、上等だ。それでいいぜ。

"本来の姿"――琥珀色の飴スライムが人型になったみてぇなバケモン――に変身する。
銃撃はそのまま受けるか不味けりゃ形状操作でどぉにかするさ。

んでこっちに剣でもぶっ刺してくれりゃ後はこっちのモン。
剣伝いに飴を這わさて機械内に侵入。
――飴如きに何ができるかって?
じゃァご賞味あれ。
飴の毒性を超強酸性に変化、中からドロドロに溶かしてやる。

は、とろり蕩けちまったなァ。
"CANDYMAN"を舐めたツケだぜ。



●Sweet sweet nightmare
「はあっ、はあ、はぁっ……!」
 スペースシップワールドにおいて、人々が依って立つべき惑星(ほし)はない。
 全ての人々は船の中で生まれ、船の中で育ち、船の中で死んでいくのだ。
 いかなるスペースシップもすべて――コアマシンによって――自給自足が可能。
 若き新世代の船であるこのナイチンゲール号も、もちろん例外ではない。
 つまり――いま通路を全力疾走するこの少年のように、幼き者もいる。
「あうっ!」
 年頃は10……いや、もう幾許か上か。
 おそらく普段は、非戦闘要員として見習いの立場に就いているのだろう。
 あどけなさを脱しきれぬ顔立ちは、恐怖と緊張にこわばっていた。
 背後。爆音とともに、ウォーマシンが来る。ひとつ、ふたつ、みっつ。
 少年の心に渦巻くのは、恐怖と怒りだ。力が足りない自分への苛立ちである。
 もっと立派なら。技術や力があれば。この船を護ることが出来るのに!
 畜生、畜生、畜生――畜生!

「なァ」
 涙をこらえるようにぎゅっと両目を瞑った少年に、聞き慣れない声が降ってきた。
「おい、そこの坊主。お前だよ、おーまーえ。おい、眼ェ開けろや」
 少年は恐る恐る眼を開けて、眼前にしゃがみこんだ男の凶相に悲鳴を漏らした。
 なにせ美形な顔立ちも、これだけ不機嫌そうに顰められていては恐ろしい。
 片目を前髪で隠したその男は、もっと機嫌悪そうに吊り目を尖らせ、舌打ちした。
「ビビッてねェでよ。なァ坊主、死にたくねェんだろ?」
「ひ……っ」
「死にたくねェんだよな? ん?」
 少年は震えながらこくこく頷く。これ以上機嫌を損ねるのはヤバい気がした。
「だったらよ、アレだ。寄越せ」
 ん、と差し出された手を見て、男の眼を見て、少年は震えながら声を絞り出す。
「お、お金なんて……な、ないよ、ないです!」
「ばァか、違ェーよ。"ご褒美"は甘いモンって決まってんだろが、ア?」
 その凶悪な眦に似合わぬ要求に、少年は邪気を削がれてぽかんとした。
 ん! と男が手を揺らして催促すると、少年は我に返り慌てて懐を探る。
 たしか……たしか食堂からくすねた成形甘味料が……あった!
「うわ、この世界こんなモンばっかかよ。ま、甘けりゃどォでもいいか」
 真空パッケージされたそれを見て、男は呆れた様子で言いつつ、袋を開ける。
 チョコレートめいた見た目のそれをぱくりと口に含み、咀嚼。にやりと笑った。
 ……そこで少年は気づいた。あのウォーマシンどもはどうしたのかと。
「おう、上等だ。それでいいぜ。じゃァ仕事するとすっか」
 男は少年の肩を掴み、ぐいっと立たせる。……大きい。背丈は180cmはあるか。
「お守りしてやるからよ、離れんじゃねェぞ」
 首だけ振り向いて笑う男の肩越し、溶け崩れた鋼の残骸が堆積している。
 それを踏みしめて、また新たな敵が通路から現れた。

 少年は男の陰に咄嗟に隠れ、そしてぐにゃりとした手触りに思わず飛び退く。
「触らねェほうがいいぞ。俺はよォ――"一味違う"んでな」
 どろりと、男が融けて崩れる。甘ったるい匂いが少年の鼻孔をくすぐった。
 まるでそれは、溶けた飴で出来たスライムだ。人型にこねたような異形である。
 三回り近く巨大化したそれを見上げ、少年はしかし悲鳴を漏らさなかった。
 BRATATATATATA……飛来する弾丸の尽くを、化け物は受け止めていたからだ。
『そら、さっさとかかってこいよ。コッチからかかるのはメンドーなんでな』
 飴人間の挑発に乗ったかはさておき、敵はまんまと接近し剣を突き刺した。
 まるで矢衾だ。少年は今度こそ悲鳴を上げかけ……しかし、息すら呑み込んだ。
『なァお前ら、飴は好きかよ? 甘い甘ァい飴はよ――』
 どろどろと、剣を絡め取ったスライムは、刃を伝って鋼の内部に染み込む。
 するとどうだ。ウォーマシンどもは痙攣し、火花をあげて、やがて溶けて崩れる。
 がしゃがしゃと堆積した残骸すらも、じゅうじゅう音と煙をあげて融けていく。
 酸だ。すさまじく強力な酸が流し込まれたのだ。どうやって?
『堪能したか? 死ぬほど甘くて美味い飴(おれ)をよ』
 ……この男が、酸そのものに変じたのだ。

 やがて再び片目隠れの男の姿を取り、猟兵が振り返る。
「は、とろり蕩けちまったなァ。おい坊主、お前――あ?」
 男……サルファ・トクスホリックは、訝しげに片眉を吊り上げた。
 猟兵が、その異形でその世界の人間を恐れさせることはない。例外はない。
 されど男の凶相に怯えていたはずの少年は、もう一つ菓子を差し出しているのだ。
「……なんだよ、"ご褒美"ならもう」
「お、お礼」
 少年は言った。
「助けてもらった、から。お礼、です。……あ、ありがとう」
「――チッ」
 舌打ち。飴男(キャンディマン)はひったくるように菓子を受け取り歩き出す。
 舌で転がした甘い甘いお菓子は、同じはずなのにさっきと違って感じられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

狭筵・桜人
『戦場:2』

お元気そうで何よりですねえ、サーカス座長。
外はつよーい猟兵方に任せて私は人命最優先でやらせて貰います。

てわけで船内のお掃除です。一機でも中に入れたら人死にが出ますから。
彼ら、普通にハッチを開けて入ってくると思います?
……いや、ないな。ナイナイ。爆発音がした方向に出向きます。

エレクトロレギオンを展開。
レギオンの一部を【ハッキング】。
過剰負荷をかけて熱暴走させ撹乱・自爆を繰り返し
索敵センサーへの陽動とします。

陽動の機体がオーバーヒートして自滅する前に残機で砲撃【一斉発射】。
お仲間がいたら攻撃を任せるので全機体を動員して囮になりますよ。

ああそうだ、乗ってる船を壊さないように気をつけます。


穂結・神楽耶
…あの武器も、本来は未踏宙域の危険と戦うための物だったのでしょうか。
だとしたら、終わらせて差し上げるのが慈悲になりますかね。
過去に朽ちたあなたがたを葬れずして。
未来を…未踏宙域を拓くなんて言えませんもの。

とは言ったものの…宇宙での戦闘に慣れていなくて。
此度は固定砲台に徹しますか。
【神遊銀朱】――複製太刀による制圧射撃、精密射撃、それから援護射撃。
戦場と味方によって射ち方を使い分けるのは機械だけではございません。

猟兵という、機械の演算を上回るでしょう超常の担い手たち。
目まぐるしく状況の変わるこの戦場で、どこまで計算が追い付きますか?
過負荷で潰れるか、戦場で散るか。
せめて、選ばせて差し上げますよ。


ニド・オーダイン
初仕事でこの大騒ぎか……。
船を風通し良くされる訳にも行かない、招かれざる客には御退出願おう

複合センサー相手では隠れての暗殺は難しいから、敢えて正面から仕掛けよう。

「百戦錬磨の戦闘機械らしいが。蜘蛛と戦った経験はあるかな」

襤褸の外套を纏って急所の位置を《目立たない》ようにしつつ、通路の各所へ紐状にして伸ばした刻印による《ロープワーク》で不規則に軌道を変えて一気に接近する。
運よく狙い通りに急所を逸らせたにしても、ある程度の傷は負うだろうから
ダメージに応じて自身が強化される《ダーク・ヴェンジャンス(WIZ)》でより強力な反撃を食らわせよう。



●"お掃除"
 現状で、乗組員にはまだひとりも死者が出ていない。
 奇跡と言っていいだろう――なにせ、すでに敵が山ほど侵入しているのだ。
「もっと言うと、この船が墜ちてないだけでももうだいぶ頑張ってますよね~。
 っていうわけなんで、私帰っていいです? いやほら、もう人手十ぶぐええ」
「ダメですよ狭筵様。こうして転移されたということは戦うおつもりなのでしょう?
 さ、きびきび働いてくださいませ。わたくし、こう見えて宇宙は不得手なのです」
 早速べらべら理屈を並べてサボタージュしようとした狭筵・桜人の首根っこを、
 満面の笑みを浮かべた穂結・神楽耶が捕まえて引っ張り、ブリッジを後にする。
「これ仲間に対する扱いです? ねえおかしくないですか???」
「狭筵様が妙なことをおっしゃられるのがいけないのではないですか?」
「ですよねー! あーあ座長さんが羨ましいなあ! あのポジションいいなあ!」
「あのろくでな……もとい、個性的な方をご存知なんですね。なるほど同類……あ」
 ウィーン。と両開きの自動ドアが開いた瞬間、神楽耶は桜人を手放した。
 ウォーマシン! 隠密仕様の斥候部隊が三機! 神楽耶は即座に太刀を複製する!
 ZANK、ZANKZANK――刃そのものの射撃で貫かれた敵個体は爆発四散した!
「わーさすがのお点前ー、やっぱり私帰っていいです?」
「狭筵様も戦ってください! 非常事態でございますよ!」
「はいはい、わかってますよー。ていうかもうやってますからねぇ」
 KA-BOOOM!! 通路の向こう、曲がり角の先から爆煙が噴出し、船が揺れた。
「……うんまあ、ちょっと手違いしましたけど。いやホント仕事してるんですよ?」
 この一瞬の間に、桜人はエレクトロレギオンを召喚、後続部隊を察知し使役。
 過剰負荷によって熱暴走させた一部個体で自爆による撹乱を行い、
 敵の足並みを乱した上で一斉砲撃を加え、視界に入る前に殲滅せしめたのだ。
「でもこの通り、船のボディのこと考えるとやりづらいんですよ、私。
 ここからは囮になりますから、攻撃はお任せできませんかね?」
 ……神楽耶はジト目で桜人を睨んだあと、はぁ、とため息をついた。
「わかりました。わたくしも不得手ではありますけれど――」
 KBAM!! 曲がり角の向こうでさらなる爆音!
「……言ってる場合ではございませんね。急ぎましょう!」
 駆け出した神楽耶の背中を、桜人はやれやれと嘆息して見、後に続く。
 ……この船が浮かんでいるだけでも奇跡だ。なにせ相手は狂ったウォーマシン。
 ハッチをいちいち開けて、敷居をまたいでご入場など利口な真似はすまい。
 船の壁をあたら破壊して乗り込む。つまりこの船のすべてが急所なのだから!

 その頃、爆心地――すなわち、エレクトロレギオンが四散した地点!
 ウォーマシン三機を相手に、ボロボロの外套を纏った女がひとり、宙を舞う。
 擬似重力は効いている。その変幻自在の軌道の正体は、張り巡らされた"刻印"だ。
 紐状に伸ばされたそれを伝い、ニド・オーダインはウォーマシンの頭上を跳んだ。
 遅れて弾丸が迸る。BRATATATATATATA!! 外套を翻し急所の被弾を回避!
 少なからぬダメージは、動きに合わせて飛び散る血の飛沫が知らせている。
 だが、これも覚悟した上での被弾である。ニドの瞳はするどく敵を睨んでいる。
「百戦錬磨の戦闘機械らしいな。だが、蜘蛛と戦った経験はないと見える」
 どろり。しなやかなその身体が、光を一切通さぬ漆黒の粘液で包まれた。
 途端にニドの動きは、生物的でありながら非物質的な不気味なものに変わり、
 まさに蜘蛛の如く天井を壁を這い回り、敵の死角を取るのだ。
 ぞわりと腕部の粘液が鎌首をもたげ、やがて螺旋を描き武器のかたちを取った。
 大鎌。敵が振り向いた瞬間、股下から頭上を抉り抜ける強烈な一閃!
「――招かれざる客はご退出願いたい。君たちは全員お断りだ」
 無機質な声音が響く。猟兵としての初陣であろうと、ニドの仕事は変わらない。
 ただ殺す。破壊する。変幻自在のUDCに比べればこいつらのなんと正直なこと。
 斬れば死ぬ。壊せば死ぬ。実にいい。人間でも生物でもないのがなおさら楽だ。
 最期の一体をぞぶりと薙ぎ払った瞬間、ニドは駆けつけたふたりに気づいた。
「オーダイン様でしたか! ご無事でなによりでございます!」
「……君か」
 見知った顔――神楽耶の姿に、ニドの眉がぴくりと動いた。
 傍らのやや胡散臭そうな桃色の青年(つまり桜人)を一瞥し、ニドは云う。
「この先に別働隊がいる。協力して仕留めよう」
「もちろんでございます。……ね、狭筵様?」
「そりゃもう仕事はしますよ、しますします。……いやしますよ!?」
 疑われるのも面倒なのか、桜人は即座に無人ドローンを召喚し通路の先へ。
 駆け出した仲間たちの背中を見ながら、神楽耶はふと思索を巡らせた。

 この残骸たちは、銀河帝国がその版図を広げようとした野望の礎なのだろう。
 役目を果たすことも出来ず、さりとて永遠の眠りに就くこともできず。
 ただ生者だけを呪い、憎み、立ちはだかる。なんと哀れなことか。
(あなたがたを葬れずして、未来を――この宇宙を拓くなんて、言えませんね)
 神楽耶は思索を打ち切る。エレクトロレギオンに混乱する敵影を視認!
「参ります。オーダイン様、いまのうちに直接攻撃を!」
 複製太刀を射出、敵の四肢を串刺しにして動きを制限する。
 滑るような速度で接敵した二度は、再び漆黒の大鎌を乱暴に振るった。
 ひとつ、ふたつ! いかに計算しようと、索敵しようと、敵はされるがままだ!
「計算してから動くなど後手も後手。遅きに失したな」
 爆発炎上を避けるため、駆動部のみを斬り裂いたニドが、うっそりと云う。
 散らばる残骸は、ただ火花を散らすのみ。もはや何も云うことはない。
 そのさまは、滅びた帝国の栄枯盛衰を見せているかのようだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ハロ・シエラ
戦場:2
銀河帝国。
あの戦争の頃、私はまだ駆け出しの猟兵でした。
今ならきっと、あの時より世界の力になれるはず。

まぁ未だに剣で斬る事しか出来ませんが、その分船にさほど被害を出さない様に戦えるでしょう。
まずは【空中戦】の心得と【空中浮遊】で無重力下を移動し、接近戦を仕掛けましょう。
銃撃、特に頭部からの物は【第六感】で察知出来る様に集中しておかなければ。
相手は私より大きいのでなるべく近付いて【鎧無視攻撃】で倒したいですね。
突く場所によっては【マヒ攻撃】も出来るかも知れません。
厄介なのは盾の存在です。
ですがユーベルコードであればそれごと斬り裂く事も出来るはず。
どこまでやれるか試して見ましょう。


ユエイン・リュンコイス
連携アドリブ歓迎
戦場:2

この船に乗るのも、これで三度目か。新しい艦長と腰を据えて話をしたり、座長にあの後の興行についても聞きたいいけれど…今はまず残敵の掃討だね。

さて、同じ機械人形同士、真っ向勝負と行こうか。機人を前に出しての格闘戦。【グラップル、カウンター、フェイント】で渡り合おう。ボクは『観月』による【援護射撃】を狙うけれども、相手は防御特化型。これは本式の銃じゃないから、装甲を抜くのは難しいかな?
必要なら『月墜』の砲弾へ【破壊工作、武器改造】後に投擲、それを観月による【スナイパー】で撃ち抜いて爆発させようか。

機を見てUCを起動。相手の動きを封じ、その隙をついて機人の一撃で破壊しよう。


ゼイル・パックルード
あの座長?そんな頼りになるヤツだったか……?むしろ猟兵たちに頼ってた印象が……人間成長するし何とも言えないか。そういやあの燻ってたガキは上手くやってんのかね。まあ、いいや。

近接を挑むときに、手以外から攻撃するってのは厄介だよねぇ。
とはいえ頭向けなきゃいけないなんて勿体ない。撃ちますって教えてくれるようなもんだ、見切りするのも難しくないだろう

鉄塊剣と刀を持ち、剣と盾を防ぎながら!頭を向けてきたら敵に向かってダッシュしながら鉄塊剣で武器受け。相手の銃器の反動も利用して敵を押し込んでバランスを崩す。
相手数や陣形にもよるが、後ろにいる敵を巻き込めたりしたら御の字。態勢の崩れたヤツからUCで仕留めてく


ステラ・リデル
【SPD】『戦場:2(船内)』
未踏宙域、銀河帝国さえ手が出せなかったクエーサービースト。
面白い土産話が出来そうですね。
最初は銀河帝国の残党……とも言えない成れの果てですか。
排除します。

オド(オーラ防御×怪力)を活性化して戦闘態勢へ。
敵と対峙した場合は『魔眼』を活用。
敵の攻撃を見切ってカウンターを入れる「後の先」
(見切り×カウンター)
敵の行動の初動を挫いて制する「先の先」
(見切り×先制攻撃)
が渾然一体となった剣術でオーラセイバーを振るって戦います。
数が多い時は雷(属性攻撃:雷×範囲攻撃×全力魔法)を放って削ります。


無明・緤
戦場:2

もちろん助けるとも
猫は人間を愛するものさ

絡繰人形を連れてウォーマシン狩りへ
【ハッキング】で船内監視カメラ覗き、敵の居場所へ急行
時間を与えたら厄介だ。素早さ(SPD)勝負でいく

…でかい盾と、天使(ヒト)が持つようなでかい剣。
護衛用機体か。ならばその習性を逆手に取る
人形を【操縦】し、捨て身じみた【フェイント】攻撃をかけ
相手が盾を出してきた所を狙っておれの鋼糸で武具ごと拘束
銃口が煌くより早く、人形の鋼の拳で脳を粉砕して黙らせよう

小夜鳴鳥の目(カメラ)を通し船内状況にも気を配る
乗員の危機にはUC【猫をこころに、ニャンと唱えよ】!
おれの味方、猫の友、即ち人たる乗員の元へ出現して
彼を守り敵を倒そう



●ナイチンゲール号の死闘
 人形を操る人形少女、ユエイン・リュンコイスとこの船の因縁は、深い。
 そもそも、このナイチンゲール号がオブリビオンから解放された一件……、
 そこに関わっていた猟兵のひとりこそが、誰であろうユエインなのである。
 もちろん銀河戦争攻略戦においても、彼女は何度となくこの船に関わった。
 それは、彼女自身が、あの恐るべき悪夢の機械を脱する一助にすらなったのだ。
「ぜひともあの新艦長と腰を据えてお話したいところだ。それと、座長ともね!」
「知り合いか。あの座長、そんな頼りになるヤツとは思えなかったんだがね……」
 相棒・黒鉄機人を手繰るユエインの言葉に、ゼイル・パックルードが反応した。
 何を隠そう、ゼイルはあのろくでなし……もとい、いまいち締まりのない男、
 もといエキスパート(自称)……もとい、サーカス団の座長、ジャックを知る。
 本来あの"色男"が船長を務める船に乗り、帝国の残敵を駆逐した経緯があるのだ。
 ゆえにゼイルは知っている。あの男が割とどうしようもないろくでなしなことを。
 一瞬その脳裏に、気まぐれで世話をしてやったサーカスの団員のことがよぎるが、
 ゼイルはその思索を地獄の焔に焚べた。戦場には不要、己の愉しみにも不要だ。
「まあいいか――まったく、雑魚ばかりだから余計なことを考えちまうな」
 BRATATATATATATA!! 飛来する弾丸のことごとくを鉄塊剣で盾めいて弾き、
 ゼイルは一気に間合いを詰める。そして地獄の焔を纏わせ、邪なる一閃。
 機械であろうが人であろうが、同じカタチをしているならばやり方は簡単だ。
 何処を狙い、どう斬るべきか。いかにして押し込み、バランスを崩すか。
 すべてわかる。ならばそうする。そして壊(ころ)そ。それがこの男だ。
「――っと、いけない。黒鉄機人! こちらも真っ向勝負といこうか!」
 地獄の炎を陽炎めいて揺らめかすゼイルの後ろ姿。
 それを見つめていたユエインは、我に返ると相棒に呼びかけた。
 ゴシュウ――蒸気を吹き出し、機人が前に出る。BRATATATATA。弾丸を全身防御。
 ユエインはその影から銃口を覗かせ、BLAMN! 機人の砲弾を撃ち抜いた!
 KA-BOOOOM!! 爆炎が敵味方を遮り、その隙に機人が前へと飛び込む。
 かつて滅びた人々――銀河帝国の被害者たち――の想念が鎖の如く敵を縛れば、
 降ってくるのは黒鉄の鉄槌。KRAAASH……ウォーマシンは破砕し爆散する。
「これでこの区画は全部か? 次はもう少しマシな相手だといいがね」
「……急ごうか。船を沈められたら何もかも無意味になる」
 死闘を求めて昏く笑うゼイルの横顔を、ユエインは不安げに一瞥した。
 男の裡に滾る闘争心は、ミレナリィドールをして胸騒ぐほどに苛烈に感じられる。
 そしておそらく、少女が思ったよりも――男は、死地に飢えているのだ。

 ……一方、ナイチンゲール号居住区第五ブロック!
 乗組員たちが構築した即席のバリケードを破壊し、敵ウォーマシンが出現!
「もうここまで押し込まれましたか……外ではあれほど戦いが続いているのに」
 その場に駆けつけた黒尽くめの少女、ハロ・シエラは忌々しげに吐き捨てた。
 燃える宇宙船。その焔を踏みしめて来たる、慈悲も容赦もなき鋼の躯体の群れ。
 かつてこの宇宙世界が戦争の舞台となったとき、ハロはまだ新米の猟兵だった。
 戦争の勝利にどれほど貢献できたか、彼女自身は相当に低く見積もっている。
 実際がどうであれ、己の未熟を未だに悔いていることは確かなのだ。
 だが、今は違う。二度の戦争、強敵との戦い。いくつもの死闘――。
 駆け抜けた戦場は枚挙に暇がなく、斬り捨てた強敵は山と積み上がるほど。
 世界を巡り、人々を守り、救い、そして同じぐらいに、それ以上に敵を滅ぼした。
 理路整然と整列するシステムの群れに対し、ハロはふわりと跳んだ。
 強襲により擬似重力の失われつつあるこの区画は、無重力になりかけている。
 つまり、いかに己の体を動かすか――それを理解し、実践できた者が勝つ。
 これまでの戦いから最適な戦術を思案・選択し、ハロが選んだのは空中戦。
 その軌道を追って、ウォーマシン部隊は腕部マシンガンを構える。BRATATATATA!!
「遅いですね。狙いも見え見え。その程度、当たりはしません」
 ガギギギギギッ! 神速の斬撃が、こともなげに弾丸を切り払った!
 特筆すべきは、跳弾が船体を傷つけぬよう計算されて払われていることだろう。
 着地したハロは、ライオットシールドを構えた敵めがけ焔のレイピアを振るう。

 キン――!

 清廉で澄み渡った斬撃音。やや遅れて、ずるりと盾ごと両断された躯体が沈む。
 手応えに短く吐息を漏らす。残心を終えた上で、ハロは再び飛翔した。
(やれる。いまの私なら、いまの腕なら――もう、遅れを取ることはない)
 負けられない。負けてはならないのだ。この世界はもう平和になったのだから。
 過去の残骸ごときが、未来に進む人を阻んでいいはずがないのだ――!

 同時刻、第五ブロックに隣接した第六ブロックでは。
 友軍の破壊工作に乗じ、対空砲火を潜り抜けた隠密部隊が三機。
 ステルス迷彩を纏ったウォーマシンたちは、抜かりなくセンサーを張り巡らす。
 生体反応、なし。だが三機は、即座にシステムを同期させ身構えた。
 何かが来る。戦闘コンピューターの合理的判断ではない、直感だ。
 そして、それは正しい。強大な魔力を揺らめかせ、ただ一人現れた女あり。
「気付かれましたか。まあいいでしょう――どのみち変わりません」
 己の魔力そのものを光の刃として形成し、青髪の女……ステラ・リデルが歩く。
 それはまるで、大都会を颯爽と行く、自信に満ち溢れたスターのように堂々と。
 ウォーマシン部隊はその戦闘能力を測ろうとし……中断した。
 即座に仕掛けねばならないと、やはり機械兵器たちの直感が囁いたのだ。
 接近されれば終わり。その非合理的判断に従い、隠密躯体は三方から仕掛ける。
 左右、さらに上方。疑似重力下のこの空間では死角のない攻撃である。
 だがステラは、まるでそれが最初から予知できていたかのように、するりと躱した。
『『『!?!?』』』
「あいにくと、すべて"視えて"います。それでは返礼をひとつ――」
 斬撃。まるで関節部に、するりとメスを差し込むような精密な太刀筋。
 火花すら散らさずにウォーマシンはバラバラに分解され、まず一体が撃破。
 二体目。空振りした刃を引き戻そうとしたところへ、ざくりと刃が叩き込まれる。
 三体目――ステラの背後から襲いかかろうとしたウォーマシンは、しかし!
「そうはいかないな。おれの目が届く場所で、狼藉は働かせない!」
 ステラは振り向いた。その直前、一声猫の鳴き声が聞こえたように思えた。
 そしてそれは錯覚ではない。ウォーマシンを押さえつけていたのは人形であり、
 それを使役するのは、黒猫のケットシー! 無明・緤である!
「その狂った頭を砕いてやろう。おとなしく骸の海へ還るのだ!」
 ぐしゃん!! と、戦闘傀儡"法性(ほっしょう)"の拳が頭部を砕いた。
 ウォーマシンはへなへなと脱力するかのように膝を突き、その場に崩折れる。
「……失礼、余計なお世話だったかな。きっとこれも"視えて"いたのだろう?」
 可愛らしい見た目にそぐわぬケットシーの言葉に、ステラは曖昧に微笑んだ。
「ええ、けれど助けていただいたのは事実です。ありがとうございます」
「もちろん助けるとも! 猫は人を愛するものさ」
 気取った様子で緤は言い、くっ、と学帽をシルクハットめいてずらしてみせる。
「幸い、この区画はいまので最後だ。船内のカメラをハッキングしていてね。
 他の猟兵も近くの居住区で迎撃に当たっている。おれたちも急ぐとしよう」
「いいでしょう。この状況は、そうですね――」
「猫の手も借りたいほど、だろう? さあ行くぞ!」
 若きケットシーは縁起がかった様子で笑い、可愛らしい猫の鳴き声をひとつ。
 瞬間、緤とステラは、そのユーベルコードの力によって転移した――。

 ナイチンゲール号、居住区第三ブロック。
 次々に侵入してくるウォーマシンの群れを、黒鉄機人の拳が粉砕する。
 だが、数が多い。ユエインは顔を顰めた。そこへ猫の鳴き声ひとつ!
「えっ、猫?」
「ニャン! 増援だ! こういう時は"待たせたな"が最適だろ?」
 ふわりと着地した緤は、ユエインにそう言ってにやりと笑ってみせた。
 一方、ステラは即座に己の魔力(オド)を練り上げ、オーラの刃を投擲する。
 空中でそれらは散弾めいて砕け、新手のウォーマシンに突き刺さり足止めした!
「手間が省けて助かるね。とどめは頂こうか」
 機を伺っていたゼイルは、この隙に疾走。野火の如くに間合いを詰める。
 そして無造作な斬撃。疾く、そして鋭い! 盾ごと切り裂く強烈な一撃だ!
「……すみません。少し横取りしてしまいました」
 暗がりから――別のウォーマシンを両断し――現れたハロの言葉に、
 ゼイルは薄く笑いながら肩をすくめる。雑魚の首など数を誇っても意味はない。
 かくして五人。集まった彼らを取り囲むように、さらなる爆音と敵の気配。
「……この船を沈めさせはしない。この航海も、邪魔させはしないさ!」
 ユエインは吠えた。目的・信条・信念・理由……何もかもも違えど。
 猟兵たちは肩を並べて戦う。これはまだ、前哨戦でしかない……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
やることはいつも通りで良いのだな
(戦場:1 又は対象:敵母艦)

破天で掃討
『超克』で汲み上げた魔力を用い、高速詠唱の手順を『再帰』で循環させ途切れなく叩き付ける
『解放』で全力の魔力を注いだ、爆ぜる魔弾の嵐で蹂躙する面制圧飽和攻撃

『天光』で距離を正確に見切って魔弾を爆ぜさせ回避の余地を奪い、攻撃の密度速度で攻撃の機を奪う
無理矢理向けられる攻撃は纏めて飲み込んで押し潰す

母艦に届くと見れば叩く
通常通りに放つ他、主要な武装や動力部などへは魔弾を統合した光束を放ち確実に破壊

宇宙空間での移動は必要に応じて回廊を使用
通常の機動では『絶理』により物理法則の縛りを脱して妨げられないように


※アドリブ歓迎


非在・究子
戦場:1
こ、今回は、雑魚散らしで、スコアを、稼がせて、もらうと、するか。
か、甲板に、上がって、UCを、使って、重火器満載の、ぶ、武装外骨格を、呼び出して、搭乗する、ぞ。
りょ、両手の、高加速レールガン。
は、背部バックパック直結の、2門の大型ビームランチャー。
きゃ、脚部の多連装マルチロックミサイルランチャー。
そ、その他諸々、火力、増し増しの、面制圧火力を、見せて、やる。
あ、相手は、学習型電子頭脳とやらで、強くなる、みたいだけど……いい、カモ、だ。
は、【ハッキング】で、学習内容を、改竄して、回避パターン、防御パターンに、隙を、作る。

そ、それじゃあ、れ、レッツ、パーリィと、いくと、するか。


フェルト・フィルファーデン
ふふっ、折角平和を勝ち取ったというのに、困ったものね?……新天地を目指す、皆の未来を邪魔するのなら、容赦しないわ。


数が多いのなら、纏めて一網打尽にしましょうか。
敵陣の真っ只中に飛び込み【フェイント、第六感、野生の勘】を併用して攻撃を誘い躱しつつ余裕を見せ、更に隙を見て矢を放ち【援護射撃】を行い牽制して【挑発】、敵を誘き寄せて一箇所に集めるわ。

充分な数が釣れて周囲に誰もいないのを確認したらUCを使用。全て凍りつかせてあげる。さあ、砕け散って?


……消えなさい、過去の亡霊よ。アナタ達の居場所は、どこにも無いの。


霑国・永一
『戦場:1』

金は金でも欲しくない金はなーんだ。借金。なに、死ぬ時まで踏み倒し続ければ勝ちさぁ
さて、未踏の宙域にはまだ見ぬお宝とかあるかなぁ?値打ち付かないかもだけどねぇ

さてさて、外には沢山の敵。宇宙空間で戦うとか難しそうだから、彼ら同士で手本を見せて貰おうかなぁ。
そんな訳で敵が集まってる所に狂気の爆弾を投げ込んでおくよ。その毒で仲間同士潰し合ってくれ。
ふぅーむ成程、宇宙での動きに慣れてる感じだなぁ。感心するよ。
それじゃ、今度は君たちの番だ、そちらでも殺し合ってくれ。……よし、右側の個体が勝つのに1万円賭けよう
いいね、毒による同士討ちでも戦闘技術の向上を感じるよ。剣や盾の扱いも素晴らしい……!



●ナイチンゲール号の死闘:船外
 ゴウンゴウンゴウン……また一隻、新たな母艦が戦場に姿を現した。
 どうやらこの朽ちた探査艦隊は、銀河帝国にとっても大規模なものだったらしい。
 それほどの戦力を以てすら、この既知宇宙の外縁部で息絶えたというのだろうか。
「いやぁ、怖い怖い。たいそう金を掛けた軍隊だろうに、勿体ないねぇ」
 そんな混迷の宙域に浮かぶナイチンゲール号の甲板に、怪しげな男がひとり。
 この男、名を霑国・永一と云う。眠り、喰らい、楽しむように盗む生粋の泥棒だ。
 もちろん、鎧装騎兵のように、宇宙を飛び回り戦うようなテクニックはない。
 今回乗り合わせた理由を問われれば、おそらく永一はへらへらと笑い、
『未踏の宙域なんだろう? まだ見ぬお宝とかありそうな気がしてさぁ』
 などと答えるだろう。多分、あのろくでなしの"色男"は同調する。
 ……とはいえ、この男が本気でそんなことを言うはずはない。
 狂気にまみれた盗人の心理は、おそらく誰にも見通せはしないだろう。
「俺は危ない橋は渡りたくないからねぇ。ひとつ手本を見せてもらおうかなぁ」
 ナイチンゲール号に強襲を仕掛けようと接近するウォーマシン部隊を見据え、
 永一は何かを投げた。……どうやら、爆薬の一種らしい。
 しかし、生身で(宇宙服があるとは言え)投擲できる爆薬などたかが知れる。
 敵部隊の中心で炸裂したそれは、ウォーマシンに大した被害をもたらさない。
「さ、それじゃあ"手本"を見せてくれよ。仲間同士で、たっぷりと――ね」
 盗人は三日月めいた笑みを浮かべる。そして、戦場を狂気が支配した。

「……同時討ちか?」
 最初のその状況を知覚したのは、アルトリウス・セレスタイトであった。
 淡く輝く蒼い光を纏うその姿は、ともすれば超然として見えるだろう。
 色を失ったような髪と肌、唯一藍色に染まった瞳も、しかしどこか無機質だ。
 彼はその智慧と才気ゆえに、世界の規矩――つまり"根源"に触れ、多くを得た。
 そして、喪った。代価は余りにも大きい。されどその力は彼に味方する。
 因果をも超克する輝きから魔力を汲み上げ、アルトリウスは状況を俯瞰する。
 五感ではなく意識そのもので世界に触れ、見、そして感じるのだ。
 その感覚が伝えていた。敵部隊の一部が、突如として同時討ちを始めたと。
「――ユーベルコードか。悪趣味なものだな」
 空間そのものに焼き付いた強烈な狂気の気配に、アルトリウスは呟いた。
 そこへ、永一の毒爆弾を逃れたウォーマシンが飛来。砲口を青年に向ける!
 背後である。だがアルトリウスは振り返ることもなく、滑るように動いた。
 BRATATATATATATA……弾丸は虚しく空をつんざく。アルトリウスには当たらない。
 当然だ。敵の接近も、殺意も、無論その狙いと軌道もすべて知覚している。
 アルトリウスは振り返りざま、指先に蒼光を収束させ解き放った。
 ふわりと光輪を描いたそれは、たちまち無数の魔弾と変わり宙域を染め上げる。
 存在の根源に直に叩き込まれ、滅びの運命を刻み込む滅殺の魔弾。
 天をも砕く解放の飽和攻撃。過去の残骸だけを無に帰する、恐るべき魔力の雨。
「……埒が明かないな。母艦を叩くか」
 視界内の敵を一掃したアルトリウスは、新たな船影を見据え、呟いた。
 伝搬していく狂気も、そのために利用できるはずだ――。

 爆炎が燃える。滅びたはずの過去の残骸が、未来への道を阻もうとしている。
 再び終わりを与えられた残骸たちが燃えて消えていく風景を、少女はただ眺める。
 感慨はない。朽ちてなお生者に執着するガラクタどもへの憐憫など皆無。
 彼女は――フェアリーの亡国姫、フェルト・フィルファーデンはオブリビオンを憎む。
 その存在を。その所業を。何もかもを唾棄し、憎み、憤る。
 ことに、人々の未来と希望を摘み取ろうとする敵は、彼女の逆鱗に触れる。
「ふふっ、いいざまね。でも当然の末路だわ。だってもう滅んでいるのだもの。
 ――一度滅びたものは、もう人々の邪魔をしてはいけないのよ。ええ、絶対に」
 黒き陥穽に呑まれた国を取り戻そうとする寵姫の言葉は、言い聞かせるようだ。
 憂いを帯びた瞳を瞬かせ、フェルトは己の指に繋がる傀儡糸を手繰った。
 かつて在りしフィルファーデンの騎士たち――それを模した人形――が、
 立ち上がり、盾を構え、華々しき姫を守ろうと円陣を組む。
「まとめて一網打尽にしてしまいましょう。さあ、わたしの騎士たちよ!」
 傀儡の騎士たちは盾を打ち鳴らし、槍を剣を掲げ、我先にと敵陣へ突っ込んだ。
 電脳魔術で推力を得たフェルトは、燐光を散らしながら昏き宇宙をはばたき進む。
 四方八方を取り囲む鋼の残骸。それをかいくぐり躱すフェルトの口元には笑み。
「あら、どうしたの? アナタたち、ひょっとしてわたしをダンスに誘いたいの?
 あいにくだけれど、そんな下手なステップではお相手出来ないわ。ふふふっ!」
 余裕の笑みで敵を嘲り、さらに敵の中央へ。己を省みることなく進む。進む。
 たしかにそれは、爆炎を背景に、宇宙に踊る一輪の花のようである。

 狂気、蒼光、そして舞踏。
 三者三様、敵への慈悲もなく容赦もなき宇宙を舞台にした死闘。
 そんな戦場を知ったことかとつんざくのは、分厚い光の帯――いや、弾道だ!
『ぐ、ぐひひ。つ、つよいぞー! かっこいいぞー! じ、蹂躙だぁ!』
 やや汚い笑みを漏らしながら、3メートルほどの武装外骨格が駆動する。
 両手に構えたレールガンこそが、戦場を幾条も貫く光芒の正体であり、
 さらには背部に巨大なビームランチャー。脚部には多連装ミサイルランチャー!
 まさに歩く火薬庫とでも言うべきこの機体、操縦しているのは幼い少女だ!
『こ、こいつなら、へ、変身口上とかないから、な! ザコ相手にもってこい、だ!
 ……な、なんで、魔砲少女のときだけ、へ、変身キャンセル出来ないのかな……』
 トリガーハッピーも一瞬で醒める。だいぶ陰キャな少女の名は非在・究子。
 ゲームの世界から現れたバーチャルキャラクターらしく、ユーベルコードで召喚したのは堂々たるS.S.R(スーパー・シークレット・レア)衣装である。
 名付けて武装少女(アームドガール)! 多分フィギュアも出ている!
『や、やっぱ、す、スコア稼ぎは、シューティングの華だよ、な!
 う、宇宙空間を飛び交いながら、リアルブンドド、サ、サイコーだぞ!』
 BRATATATATATATATA!!! パスパスパス……KRA-TOOOOOM!!
 まさに過剰火力(オーバーキル)。弾薬切れをいちいち心配する必要もない。
 敵がコンピュータで学習し動きに対応しようとしても、究子はそれを許さない。
『も、もうちょい、マシなファイアーウォール、し、仕入れとけ!
 ……あ、あれ? ていうか、これ、そもそもセキュリティ働いてない、ぞ?』
 あまりにもあっさり電子頭脳へのハッキングがいったので、究子は訝しんだ。
 すると発着したばかりの甲板上、おやおやと肩をすくめる永一の姿。
「多分それは俺だねぇ! いやぁ、せっかく賭けてたんだけど台無しだなぁ。
 でも大したもんじゃないか? あいつら、同時討ちでも学習してたからねぇ」
『も、Mob殺し合わせて賭博とか、は、廃人すぎる、だろ……』
「俺には君みたいにロボットを動かす腕前もないもんでね。仕方ないさぁ」
 けらけら笑いながら、永一はあっちへこっちへ毒爆弾を投擲する。
 混迷が生まれつつある。敵の撹乱という意味では待ったなしの状況だ!

 究子はナイチンゲール号から飛翔し、敵陣中央に飛び込みフルファイアした!
 BRATATATATATA!! KBAMKBAM、KRA-TOOOOOM!!
「あらあら! なんだか派手な方ね。おかげで手間が省けたわ!」
 敵を一箇所に集中しようとしていたフェルトは、究子の大立ち回りに破顔する。
 砲火を逃れようと一点に集まった敵の群塊にすっと細い指を向け――。
「さあ、跡形もなく消えなさい。凍りついて、砕け散って、骸の海の底へ」
 パキ、パキ、パキキキキ――バギンッ!!
 絶対零度の電子の糸に絡め取られた鋼の群れは、いともたやすく砕け散る。
 いちいち味方を巻き込みやしないかと、頭を悩ませる必要もない。
 伝搬する狂気が、そして好き勝手に飛び交うあの武装少女が敵陣を乱すからだ。
 ……そう、過去の残骸に居場所などない。未来へ進む旅路には。
 フェルトはそのかんばせに憂いを垣間見せ、振り払うように先へと跳んだ。
 一方、そんな少女のはるか先を、思考速度で推進する蒼い光がひとつ。
「お前たちはとうに滅んだ残骸だ。この道行きを邪魔する資格など――ない」
 アルトリウス。解き放たれた魔力が、星の海をも埋め尽くす魔弾に変わる。
 連鎖し循環する詠唱そのものが次の魔弾を、その次の次の魔弾を生み出すのだ。
 無限めいて降り注ぐ滅びの光。いくら銃座があろうが、巨大であろうが、
 存在そのものを砕く光の前では無力なものである。
「――尽く滅しろ。お前らは俺たちの目当てですらない」
 藍色の瞳が、ひときわ盛大な爆炎に照らされて束の間輝いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トゥール・ビヨン
アドリブ歓迎
パンデュールに搭乗し操縦して戦うよ

未踏宙域への航行か、一体この先に何が待っているんだろう
何だかちょっとわくわくするね

その前に先ずは襲ってくる敵を片付けなくちゃだね

いくよ、パンデュール
ボク達の力を見せよう!

ボクは船内に侵入してきたウォーマシンを迎え撃つよ
ナイチンゲール号の乗員の人が狙われるかも知れないから、気にかけてかばうや武器受けで守りながら避難するように促す

敵と相対したらフェイントやカウンター、2回攻撃などで翻弄しながら仲間と協力して倒していこう

強敵や複数個体に絡まれたりピンチの場合はクロックアップ・パンデュールで一時的に強化して敵をなぎ払おう

これがパンデュールの力だ!



●超常鎧装、悪を断つ
 こんな緊急事態に不謹慎な話だが――正直なところ。
『どうしようパンデュール、ボクちょっとわくわくしちゃってるんだ!』
 相棒である鎧装"パンデュール"を駆りながら、トゥール・ビヨンは言った。
 楽しげですらある。無理もない。人類未踏の宙域。謎めいた宇宙生物!
 その巨大さは想像するに余りあるが、まさにロマンの塊というやつだ!
《敵機ノ熱源反応ヲ確認。交戦ニ入リマス》
『うん、まずはこいつらを蹴散らすとしようか! ボクたちの力を見せつけよう!』
《了解シマシタ》
 全高およそ220m。対峙するウォーマシンと、妖精が駆る鎧装はこちらが劣る。
 だがそのぶん、トゥールには卓越した操作技術と機転、そして相棒がいるのだ!
 BRATATATATATATA!! 軌道に追いすがる弾丸をかろやかに躱し、撹乱する。
 幸い、トゥールが交戦状態に入ったブロックは、避難が済んでいるらしい。
『これなら思い切りやれそうだ、船を壊さない程度にいこう、パンデュール!』
《イエス。敵動力部、分析完了。駆動部ノ破壊デノ制圧ヲ推奨シマス》
『りょーかいっ!』
 ガギッ、ガギッギャギンッ! 実体剣と双刃"ドゥ・エギール"が火花を散らす!
 トゥールは敵を爆散させないように立ち回らねばならない。だが敵は違う。
 当然、彼を――否、正しくは"彼ら"――全力で撃墜しようとしてくるのだ。
 容赦なき刃の渦を、文字通り掻い潜るように躱し、高度なフェイントを織り交ぜる。
 斬撃布石に引っかかって間合いに飛び込めば――ZZAANNKK! ご覧の通り膾斬りだ!
 首、そして腰部。致命的駆動部をばっさりとほぼ同時に断たれた敵機体は、
 カメラアイの光を明滅させながら崩れ落ちる。やがて熱源反応は消失。
 ひとつ、ふたつ。パンデュールが光の帯めいて高速で飛翔しターンするたび、
 ナイチンゲール号を脅かす過去の残骸が正真正銘のガラクタに戻っていく!
《新タナ熱源反応ヲ探知。包囲ノ危険》
『ボクとパンデュールを捕まえようって? 甘い甘い、砂糖みたいに甘いねっ!』
 鋼の鎧装が、つかの間見目鮮やかな光の羽を纏い、飛翔した。
 するとどうだ。亜音速を越えて光の一歩手前に到達したパンデュールは、
 ウォーマシン五機の包囲を一瞬にして抜ける。直後、無数の斬撃余波が乱舞!
 ミキサーじみた超高速の刃の雨に、敵は為すすべもなくバラバラとなった!
『技術は進歩するもの。あいにくキミたちが生きてた頃とは時代が違うのさっ!
 覚えておくがいいよ――これが、ボクとパンデュールのチカラだってね!』
 次なる敵を求め、光の羽を纏う鎧装は船を舞う。戦乱を治めるために!

成功 🔵​🔵​🔴​

七篠・コガネ
『戦場:1』
この世界の人々に本物の大地と空を見せてあげたいから
居住惑星を荒らすに荒らした帝国の一員だった以上
1%の可能性を秘めているなら未踏宙域へ僕は行きましょう!
どんな危険が待っていようとも…

あれは…帝国の同胞?いえ、元・同胞ですね
宇宙空間なら任して下さい!十八番ですよ
敵の認識する至近距離内に入らないように注意したいところ
背後に回られてしまわないよう動きます
UCを敵の頭部一点に集中し【一斉発射】!
同じ帝国製ウォーマシンでも僕は殲滅用に造られましたからね

距離を詰められたら発砲攻撃を出される前に【早業】を用いて
『Heartless Left』をお見舞いしてやるです
余計な事してる暇はないですよ!


ステラ・アルゲン
宇宙に来るといつも懐かしい思いを抱くのは私が元々が隕石だからでしょうか?
この世界の宇宙を飛んでいたわけでもない……はずですが
とにかく広大な宇宙の先、未踏宙域での調査の為にもあの敵を倒しましょうか

風【属性攻撃】で動きの補助を行い、素早い動きによる【ダッシュ】や【2回攻撃】を可能としておく
近接攻撃を【武器受け】し敵の銃器を発砲タイミングを【情報収集】し最低限の動きで回避する
そのまま敵の懐に飛び込んで【流星一閃】をしようか
一体倒したところでまだ敵はいる
【高速詠唱】で次の攻撃を行えるようにすぐに準備し他の敵を狙う
かつて宇宙を翔けた流星のようにこの戦場を翔け抜けようか!


トリテレイア・ゼロナイン


(味方からの誤射防止の為●防具改造で「Jaeger」と大きく盾や装甲にペイント・同型機達とは交戦経験複数アリ)
未踏領域の探査には私の同型機達も投入されていたようですね
志半ばで倒れた無念は理解できますが、それが未来を阻むことは許されません。ナイチンゲール号への手出しは「誰かの為の騎士」として阻ませて頂きます

機械馬に●騎乗し、高速戦闘
狙うのは大型船外戦闘用兵装を装備した個体
相手の攻撃は私も良く使いますので●見切るのは容易いです
銃弾を●盾受け防御●怪力で振るうランスで破壊し、対艦兵装を奪取

同型機である以上互換性がある筈
セキュリティを●ハッキングで突破し●スナイパーや●なぎ払いで敵集団に撃ち込みます



●銀河帝国が遺したもの
 ……トリテレイア・ゼロナインは、この無数の躯体たちを識っている。
 そうとも、よく識っている。"まるで己のことのように"何もかもを識っている。
 この艦隊に配備されたモノたちと、直接の面識があるわけではない。
 だが、そういう問題ではない。なにせこれら――いいや、彼らは、同じなのだ。
『……志半ばで斃れた無念、理解は出来ます。ですが――』
 そう、"同じ"。……そもそも、ウォーマシンは"若き"種族である。
 忌まわしき銀河帝国の戦闘殺戮機械という起源を持つ彼らは、つまり兵器だった。
 "だった"。自我の萌芽、それこそが彼らを奴隷の立場から解放したもの。
 しかし、すべてのウォーマシンが、その希望の光を感受できたわけではない。
 ほとんどの躯体たちは、プログラムされたアイデンティティに縛られ続けた。
 帝国に従い、殺戮し、そして滅びた。……このウォーマシンたちと同じように。
『いかなる由(よし)があれど、それが未来を阻むことは決して許されません。
 騎士としての誇りを、それを模倣することすら忘れた、私の同型機たちよ――』
 トリテレイアは見上げる。星々の輝く宇宙。それを覆うほどの敵の群れを。
 かつての己と同じかたち、同じ頭脳、しかし違う意志を宿す兄弟たちを。
『この船への手出し、この航海の妨害。私はあなたたちをこそ阻ませて頂きます。
 これまで幾度もそうしたように、此度もまた、"誰かのための騎士"として――』
 盾と装甲にペイントされた"Jaeger"の文字。
 それは、己が同型機と誤認されないための、哀しき識別信号であった。

 航宙用大型機械白馬に跨り、トリテレイアは戦乱宙域を横断する。
 一騎でも多く、同型機を撃墜するために。母艦ははじめから慮外に追いやった。
 認められぬのだ。己と同じ姿をした、同じはずのモノたちの残骸を。
 その残骸がもたらす未来を摘み取る行為を。滅びを。殺戮を!
 慈悲深い、と言えば聞こえはいい。その実、結局は慚愧に由来した自己満足だ。
 骸の海から来たるオブリビオンは、たとえどれほど滅ぼそうと消えはしない。
 たかが叛逆個体が一機、いまさら暴れたところで何ができる?
 何十、何百と同胞を堕としてきた。それでもご覧の有様だ。
 この宇宙にあとどれほど仲間がいる。もはやこの世界に生じることなくとも。
(この未開宙域にすら、私の同型機は挑み、滅んだのであれば――)
 戦いはいつ終わる。この虚しく、悲しい戦いは、いつ……!!
「トリテレイア殿、失礼いたしますっ!」
『!!』
 ふと聞き覚えのある女の声に、トリテレイアは我に返った。
 直後――ガギン!! すぐ後ろで刃が鳴り合う音、そして振動!
 振り返らずともわかる。白い髪をなびかせ、流星のように剣を振るう麗人の姿。
 不意打ちを仕掛けた愚劣な騎士型ウォーマシンは、その刃に断たれて四散した。
「……緊急事態でしたので、不躾な真似をしました。どうかお許しを」
 騎士然とした麗人――ステラ・アルゲンは、申し訳無さそうに言った。
 彼女はトリテレイアを知る。無論、トリテレイアも彼女をよく識っている。
 模倣ではない本物の騎士。ヤドリガミとして剣(おのれ)を振るう怜悧な騎士。
 颯爽たる姿、その信念、剣技。トリテレイアにとっては一種の憧憬対象だ。
「……トリテレイア殿? やはり何か失礼を……?」
『いえ、助かりました。誤認しなかったばかりか、助太刀を頂くとは』
 かしこまったトリテレイアの言葉に、今度はステラが頭を振る番だ。
「当然のことです。それに誤認などと……いえ、たしかに似てはいますが」
「そうです! いくら似ていても間違えるはずはありませんよ!」
 横合いから割り込んできた若い男の声に、ふたりは揃って顔を向けた。
 するとそこには、フードを目深にかぶった少年――ただし下半身は剥き出しの躯体である――がひとり。
「あっ。ご、ごめんなさい! ええと、僕は七篠・コガネと言って――」
 ふたりの視線を、割り込んだことへの非難と受け取った少年はたじろいだ。
「そ、その。あなたの戦いぶりを見ていたんです。それで……違うなと」
 コガネははじめ、トリテレイアを危うく誤認しかけた。
 幸い、彼が装備に施した文字から同じ猟兵であることを理解したのだが、
 その勇猛な戦いぶりを見ているうちに、誤解したことを恥じ入ったのだという。
「……あれは銀河帝国の元・同胞。僕はまったく別の系列機体ですが……」
 ひとつ、ふたつ。新たなウォーマシンが三人の前に姿を表す。
 それを見上げ、睨みつけ、コガネは言葉を選ぶようにしながら続ける。
「たとえ見た目が同じでも、あなたとあれらは違います。……絶対に違います。
 だからなんというか……その、倒しましょう! 僕たちで、力を合わせて!」
 コガネは"幼い"少年である。無機物たる己の在り様を嫌うほどに。
 だからこそ生きとしいけるものを愛する。誇り高き人に敬意を払おうとする。
 背伸びした子供と言えばその通り。だからこそ――その言葉は、まっすぐだ。
「この世界の人々に、いつか本物の第一と空を見せてあげたいから。だから……」
「わかりました」
 それ以上はいい、とステラは微笑み、頷く。トリテレイアを見やった。
「私も正直、うずうずして仕方ないのです。懐かしい、というべきでしょうか。
 疾く流星のように駆け抜けて、敵を一網打尽に斬ってしまいたいと!」
 ……トリテレイアは一瞬だけ沈黙を挟んだ後、敵を見やった。
『是非もありません。ここで彼らを滅殺します!』
 見据える先、ひときわ大きなシルエットが三人の前に立ちはだかる!

「あれがこの部隊のリーダーでしょうか……私が突破口を開きます!」
「僕も行きます! 宇宙空間なら十八番です、任せてくださいよ!」
 コガネ、そしてステラは並ぶように飛翔し、敵陣への先駆けとなった。
 先んじたのはステラだ。エーテルの風を纏い、幾重にも己を加速させる。
 敵が銃器を構え――遅い! 流星のような速度で滑り込んでの斬撃、一閃!
「我が身は流星より鍛えられし刃。ならば私の剣は願いさえも斬り捨てましょう!
 さあ、次の敵は誰だ。どんな分厚い盾であろうとも、私の剣は止められないぞ!」
 宣言通り、数十センチはあろう鋼鉄の大盾ごと二体目の敵を両断するステラ!
 踊るような鋭い舞闘が敵陣をこじ開け……そこに、コガネが一撃を放つ!
 ばさばさと古めかしい帝国軍服が、纏っている外套が出力にひるがえった。
 その背中からせり出したのは、まるで翼のように広がる巨大な砲塔である!
「ここを……通してください。余計なことをしている暇はないんですよ!」
 揺らめく髪が、身体の各部が淡く輝く。コアマシン最大出力による瞬光だ。
 直後――ZAAAAAAAAP!! 戦場を貫く、太く長い無数の光芒。超熱のプラズマ砲!
 包囲しようとしていた敵機体のことごとくが、直撃を受け爆散する!
(殲滅用に設計されたこの身体で、道を切り拓くことができるなら……!)
 各部がバチバチと過負荷に喘ぐのもいとわず、コガネは光の咆哮を解き放つ。
 未来を切り拓くために。そのための第一歩を、いのちを護るために!
『――感謝します!』
 トリテレイアは宇宙を奔った。向かう先はひときわ巨大な敵躯体である!
 トリテレイアと比してもなお二倍以上巨大なフォルム。もはや鎧装に等しい。
 戦艦すらも叩き斬るであろう超大型実体剣を、トリテレイアは容易く躱した!
 そうだ。識っている。彼らはどう動くのか。どう破壊しようとするのか。
 これまでの戦いが、己の根源が教えてくれる。BRATATATATATA……弾丸の雨!
『せめてもの慈悲です。その兵装、私たちのために生かしましょう!』
 ガギギギギギ! 突撃槍を振るい、弾丸を無造作に薙ぎ払うトリテレイア。
 接敵した瞬間、速度を乗せた突撃(チャージ)で敵のコアを貫き、爆散せしめる!
 そして超大型実体剣をつかみ取り……おお、見よ!
 一瞬にしてセキュリティプログラムを改竄し乗っ取ると、その質量を!
『さあ――道を開けてください!』
 立ちはだかる敵群へ投擲――KRA-TOOOOOOM!!
 過去を振り払うような一撃が、いくつもの爆炎の花々を咲かせた……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナミル・タグイール
対象:敵母艦
未踏の場所探索なんて楽しそうにゃ!ナミルも行くにゃ!
金ぴか惑星とかお宝惑星みつけてナミルのものにしちゃうデスにゃー!
邪魔するやつは全部どっかーんにゃ!

ただでマシーン相手にするだけじゃつまらないにゃ。
相手の船に乗り込んで金ぴかないか探しちゃうにゃー!
おじさんたちのことはきっと他の人が守ってくれるにゃ(邪魔するやつ以外は無視して船に直行する猫)
作戦なんてないにゃ!【捨て身】で突撃デスにゃ
船にくっつけたらUCでドッカーンして侵入デスにゃ!
一応【呪詛】纏ってドカーンするけどバグったりしてくれるかにゃー。
最深部にお宝部屋があると信じてUCで全て壊してくにゃ!
お宝どこデスにゃー!


ナイ・デス
『戦場:1』
ソラ(f05892)と一緒です

……調査のエキスパートなのか、どうかはともかく
猟兵でないなら、あまり無茶はさせられない、ですからね
……宇宙にあまり慣れてないソラは、後衛を
私が、前にでます……!

【オーラ防御】纏いソラを【かばう】ように前へ【空中戦ダッシュ】
【第六感で見切り、念動力で自身吹き飛ばし】急加速しての短距離移動で回避
受けても【覚悟、激痛耐性】そのうち再生するので、気にせず
短剣【投擲】や黒剣使った【鎧無視攻撃】からの【生命力吸収】でしばらく戦い

集まってきたところで【範囲攻撃】『生命力吸収光』をひろげ
光に触れた敵の動きを、まとめて止めます

ソラ、このあたりで、思い切り、どうぞ……!


ソラスティベル・グラスラン
戦場:1
ナイくんと一緒(f05727)

あはは…ジャックさんは、きっと調査のエキスパートさんなのですね
心配は要りませんっ、すぐに片付けてきますので!
いきますよナイくん!戦場が宇宙でもいつも通り、【勇気】を信じて!!

【盾受け・オーラ防御】で守りつつナイくんを【かばう】
常に共に行動し、攻守で連携を!
えへへ、宇宙はあんまり経験なくて…後ろは任せてください!

ナイくんが敵の動きを止め、わたしが!
遠距離から『竜の見えざる巨腕』で砕き、爪で切り裂き
時に盾にし、わたしたちの守りに!

周囲に大きなデブリや岩があれば掴み、【怪力】を籠め振り回す!
竜の暴虐は時に災害と例えられます、その力は場所を選びません!【範囲攻撃】


白斑・物九郎
『戦場:2』
●POW


スペワ戦争時の宇宙服装備で、ナイチンゲール号の外、ルーフ上にでも立ってまさ
突っ込んで来るヤツは片ッ端から相手してやるんですわ

ヘイ、飛んでワイルドハントの狩場に入るウォーマシン
帝国謹製のスペック、見せて貰おうじゃニャーですか

狩猟本能(野生の勘)に対する理性の【封印を解く】
デッドリーナイン・ナンバーエイト――オーバードライブ!


・敵捕捉次第、打ち掛かられる寸前に「数秒間」の指定でコード発動
・敵の剣も盾も照準に巡る頸部も全てを【怪力】で【なぎ払い】撃滅する魔人と化す

・コードが切れたらすかさず周辺状況観察、再度秒刻みオーバードライブ発動
・この暴威のコードを、同士討ちせぬよう駆りこなす


舞塚・バサラ
【SPD】戦場:2

…ま、こういうの(ジャック)を見捨てては猟兵の名折れに御座る
……なぜだか妙に親近感もあるで御座るし
さっさと下がるで御座るよ

さて、では某も流儀に則って
__いざ、ワイルドハントを始めるで御座る

敵は機械の体
なら、可動域、そして急所は人のそれとは違う筈故警戒を(学習力、見切り、第六感、武器受け)

そして同様に関節部は複雑な稼働をさせる為にどうしても脆くなる故、そこを狙って攻撃するで御座る(部位破壊、暗殺、鎧砕き、武器落とし、属性攻撃)

そして“拙者”のUCは影と炎より編み上げる物
盾に
足場に
破壊する武器に
加えて、突然現れた熱源無数に、その二本と頭部の銃口でどこまで対応が効くので御座るかね



●嵐の軍勢、未踏の宙域を横断す
「ひゃっほーう! さっすが猟兵だぜ、こうでなきゃあなぁ!」
 誰もが右往左往する艦橋、戦いを見守っていた"色男"ジャックが快哉を上げた。
 なおこの男、言うまでもないがあんまり役に立っていない。
 乗組員、およびブリッジの警護に回った猟兵から一斉に視線で刺されると、
 冷や汗をかきながらわたわたと慌て、おっほん! と大仰に咳払いする。
「い、いや俺……私はだね? こう、少しでも場を和ませようとだなぁ!」
 苦し紛れの言い訳。だがしかし、ぷふっと吹き出してしまった少女がひとり。
「ふふ……あははっ。ジャックさんはムードメーカーさんなんですね。
 きっと調査のエキスパートでもあるのでしょう。期待していますよ!」
 などというソラスティベル・グラスランの言葉に、ろくでなしは呻いた。
「……調査のエキスパートなのか、どうかはともかく」
 そんなソラスティベルの傍らに立つ、幼げな少年がぽつりと言う。
「猟兵でないなら、あまり無茶はさせられない、です。ここで待機して、ください」
「ええ、そうです! 心配は要りませんよジャックさん、乗組員の皆さんっ!」
 少年――ナイ・デスをちらりと見て、どこか幸せそうに微笑みながら、
 ソラスティベルが言った。常通り勇ましく、どこかほわほわした声音で。
「わたしとナイくんで、立ちはだかる障害はすぐに片付けてきますので!」
 ねっ! と水を向けられたナイは、しかし頷くのではなく首を横に振る。
「……ううん。私とソラと、でもそれだけじゃない、です」
「! ……もしかして、それって!」
 なにかに気づいた様子のソラスティベルの顔を見つめ、ナイは今度こそ頷いた。
「にゃ。……"ワイルドハント"が、始まります……!」
 謎めいた、しかしどこか不吉で胸騒がせられる言葉に船員たちはどよめく。
 そして彼らは知ることになる――嵐の軍勢のその力を!

 ……ナイチンゲール号、甲板上!
 銀河帝国攻略戦における、ある意味最大の戦果というべき特殊宇宙服。
 他の多くの猟兵の例に漏れず、これを装着した少年がひとり、屹立していた。
 見据える先には無数のウォーマシン。死闘を経てなおその数は大量だ。
 さらに新たな母艦も出現している。だが、少年が焦り慄くことはない。
「ンー、次から次へとまァ出てくるモンですわな。まるでゴキブリみたいですわ」
 なんたる不敵な台詞か。だが彼を知る者ならばむしろ納得するだろう。
 髪色、黒。肌色、黒。炯々と輝く双眸、それだけが不釣り合いな金色である。
 いかな世界、いかな戦場、いかな相手でも不遜に立つ彼こそは、そう――。
「俺めが居て、オマケに猟団(ウチ)のモンも居るトコにノコノコ来ますたァ、
 飛んでワイルドハントの狩場に入るウォーマシン、ってトコですわな」
 ごき、ごきり。首を左右に曲げて鳴らし、ぎろりと頭上の敵を睨めつける。
「帝国謹製のスペック、見せてもらおうじゃニャーですか。片ッ端から来まさ!」
 少年の名は白斑・物九郎。誰であろう、嵐の軍勢の"猟団長"!
 宇宙の虚空すら飲み込むような狩猟本能が、いまその理性を解き放つ!
「デッドリーナイン、ナンバーエイト――『オーバードライブ』!!」
 まるでモノクロのように、真白の呪紋がその表皮に浮かび上がる。
 魔人、降臨。直後、その姿はかき消え、遅れて爆炎の華が咲き誇った!

 ……同時刻、ナイチンゲール号船内!
「ふむ。猟団長殿はさっそく"始められた"で御座るか」
 無慈悲で容赦なき、そして不気味なまでに整然とした足音を響かせて、
 燃え盛る居住区を踏みしめ、何体ものウォーマシンが行進する。
 その前に立つのは、ひとり――然り、たった一人の男である。
 不可思議なことに、その貌(かお)は覆いもないのに黒く染め上がり、
 ただまんまるに見開かれた双眸だけが、白く円を描いて存在を主張している。
「……ま、ああいうのを見捨てては猟兵の名折れ。ましてや一大事で御座る。
 これ以上先には進ませないで御座るよ。ああ、後ろにも退かせぬで御座るが――」
 ズズズ……と男から放たれた視えない威圧感に、ウォーマシンは立ち止まった。
 この者、相貌明らかならず、その意も不可思議なる化身の忍者。
 かつて業深き"罰裁羅"の一員にして、その過去を濯ぐため戦う風流自在の男。
「然らば、某(それがし)も流儀に則って――いざ」
 腰を落とし、身をたわませる。途端に、すさまじい殺気が張り詰めた。
「ワイルドハントを、始めるで御座る」
 化身忍者、舞塚・バサラ、その身、黒き影となりて音より疾く疾走す!
 疾い! 敵のセンサーがいかに高精度であれどこの高速接近は察知しきれぬ!
 身構えるより先に、この場に不釣り合いな大剣が突き刺さり燃え上がった!
『『『!?!?!?』』』
「やはり関節は脆いで御座るな。善き哉、善き哉」
 予兆などない。そも、これは尋常に鍛えられし刃などではないのだ。
 燃え盛る焔、そこに揺らめく影から編み上げられし超常の大剣。
 床から、天井から、壁から盾から剣から破片から、場所を問わず類を問わず!
 突如として"現れる"魔剣。振るうも貫くも必要なき必殺必滅の陰術!
「――"拙者"は言おう。その悪逆、"以津真天(いつまで)"続けるのかと」
 声がした。振り向こうとしたウォーマシンは胴体を両断され四散した。
 影を捉えることは出来ぬ。影を照らし出すことなど出来ぬ。
 その身は黒き影。水銀よりも疾く、闇の中をも駆け抜ける黒き影。
 弾丸が乱舞する。刃が振るわれる。応報の魔剣がこれらをことごとく滅殺する。
 おお、まさにその殺戮、嵐なり。これこそ罰裁羅の業か――!

 ややあと、ナイチンゲール号周辺宙域!
「やっぱり猟団のみなさんが来ていたのですね! なんて頼もしい!」
「……うん。でもソラ、もう少し下がって。慣れてる私が前に出ます、から」
 船を出て宙域戦闘に臨んだソラスティベル、そしてナイの両雄。
 宇宙戦闘経験に乏しい(といってもソラスティベルは相当の強者だ)彼女を庇い、
 ナイは果敢に前線に飛び出した。BRATATATATATA!! 飛来する無数の弾丸!
 ナイの赤い双眸が睨みつければ、それはぴたりと静止して砕け散る!
 よしんば食らったところで、ナイが被弾を恐れ考慮することはない。
 死の運命から解き放たれた、と言っても過言ではないほどの非現実的自己再生。
 それこそがナイの力であり、パートナーを護るための武器なのだから!
 敵が集まる。まるでそれはナイが照らす光に群がる羽虫のように。
 ……だが敵が次々に道を開けているのは、実はもうひとつ理由があった!
「にゃーにゃにゃー! お宝金ぴかげっとデスにゃー!!」
「にゃっ!?」
「え……っ、あ、あれは、ナミルさん!?」
 さすがのふたりも驚いた。敵陣をまっすぐ横断する見知った人……いや、猫影に! ナミル・タグイール! 愛用の斧を振り回し、嵐のごとくに敵を蹴散らす!
「にゃ? これは奇遇にゃ! けど金ぴかは渡さないにゃー!!」
 会話が通じない。なにせ呪いをバカみたいに帯びるほどの強欲娘である!
 "あのなんかダンジョンっぽい母艦には、金目のものがあるはず"。
 どこで勘違いしたんだか、はたまたどこぞのろくでなしに吹き込まれたか、
 並み居る敵を薙ぎ払い! 切り裂き! 吹き飛ばし! 母艦めがけてまっしぐら!
「ジャマジャマジャマにゃー! ナミルのジャマは許さないデスにゃー!!」
 KBAM! KBAM! KRA-TOOOOOM!! ……きらりーん。
「……あれも、ワイルドハントの、ひとつですか?」
「……そ、そういうことにしておきましょう! あれも勇気です!!」
 ふたりは気を取り直すことにした。

 そして見よ! ナイを包囲する無数のウォーマシン部隊の存在を!
 だがナイは臆することなく、その身に宿した光を解き放つ。聖者の輝き……!
 おお、だがその輝きがもたらすのは治癒ではない。暖かな光ではない。
 存在そのもの、その根源たる"力"を簒奪吸収せしめる無慈悲なる白光!
 ウォーマシンどもはバチバチと火花を散らし、痙攣しながら動きを止めた!
「ソラ、このあたりで……おもいきり、どうぞ……!」
「はいっ! いきますよナイくん! 我が気質は骨に!」
 ぐわっと大きく両手を広げたソラスティベルから、膨大なオーラが溢れた。
 それは竜の血脈たる少女、その魂に宿された大いなる力。
 見るものが見れば、そこにあるはずのない竜の巨腕を描いたことだろう!
「練気は爪に!」
 甲板上……いいや、ナイチンゲールの周辺をモノクロの風が薙ぎ払う。
「――オケ。ドイツもコイツも好き勝手、ウマくやってますわな」
 たった数秒。物九郎はたった数秒だけ魔人と化しその理性を解き放つ。
 そして同じく数秒、ユーベルコードを解除し周囲を一瞥し状況を把握する。
 まるでストップウォッチを連打するような、心身に異常負荷を掛ける行動だ。
 だがその暴威を、あっさりと乗りこなすからこそ彼は猟団の長足り得るのだ。
 意識が覚醒する。暴威に堕ちる。また覚醒する。視界すらもモノクロに。
 その視界の端に見える。鋭敏化された皮膚感覚が、船内のバサラの戦いを感じる。
 ……めちゃめちゃ特攻して母艦の壁ぶち抜いてる猫は見なかったことにしよう。
「どんどん突っ込んで来なさ。俺めが――ワイルドハントが狩り尽くすンで!」
 そしてソラスティベル!
「――気合が! 拳となるのですッ!!」
 練り上げたオーラが視えざる竜の腕となり、集まった有象無象を薙ぎ払う!
 KKKKRRRRAAAAAA-TOOOOOOOM!!! ZZZZZZTTTTTT……!!
 連鎖爆発は雷鳴を呼ばい、伝搬した衝撃波は朽ちた母艦を揺らした!
「お宝金ぴかどこにゃー! どーこー! デス! にゃー!!!!」
 KRASH!! KRASH!! KRA……KA-BOOOOOOOOM!!
 動力部を貫いたナミルの一撃が、宇宙に盛大な花火を上げた――!

 ……本人は大丈夫なのかって?
 そこはまあ、多分大丈夫だろう! 呪いのおかげで!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リンタロウ・ホネハミ
戦場:2

派手に大砲ぶっ放して正面から乗り込んで来たのなら……
そいつは陽動、他のとこからもこっそり奇襲部隊を忍び込ませるっすよね
そう、あんたらみたいにね!

敵の侵入経路を先読みして待ち伏せ、奇襲をかまそうとしたヤツらを逆に奇襲してやりまさぁ!(『暗殺』)
サイの骨を食って【〇六三番之城砕士】を発動!
いくら命中率が高くても
撃つ場所が分かったんなら『見切り』は出来る!
さらに敵のど真ん中に立ちゃあ迂闊に撃つことも出来やしないっしょ!(『敵を盾にする』)

しかしまぁ……こんなデカブツを相手にするのも特になんも思わなくなったあたり
オレっちも猟兵稼業に慣れてきたっすかね?


虹結・廿
『戦場:2』
了解、任務を遂行します。

廿は船内の護衛に徹し、新しい戦術のお披露目をしましょう。【已む無き犠牲】

戦闘は出来なくても逃げ惑って誘導と撹乱ぐらいは可能です。
早速一機釣れた様です。
無慈悲、効率的。故に、非戦闘員だろうと容赦なく追い詰めてしまう。

後は、待ち伏せた【分隊編成】で囲んで叩いてお終いです。
暗殺者泣かせも各個撃破で人数不利だと形無しですね。

……ああ、心配はありません。これらすべて廿の義体ですから。
巻き込んでしまって構いません。この非戦闘個体らはリンクも薄いし、既に破損体なので。

ええ、何も問題ありません。命乞いも悲鳴も全部"演技"ですから。

どうですか?上手でしょう?



●ナイチンゲール号:船内にて
 リンタロウ・ホネハミは傭兵である。
 掲げる紋章なき黒騎士として、いくつもの戦場を渡り歩いた。
 それゆえに――もちろん他世界の戦場傭兵とは色々異なるが――彼なりに、
 "戦場"という場所がどういう場所であるかを識っている。
 生き延びるために、何が必要かを識っている。
「だからま、あんたらみたいな奇襲部隊の動きも解るんすよ!」
 然り。陽動部隊の派手な動きは、奇襲のための囮である。
 リンタロウの読み通り、まんまと待ち伏せされた敵が身構える――が。

『た、助けて! 助けてくださいっ!』
「……あぁ?」
 突然のことであった。ひとりの少女が両者の間に飛び出してきたのだ。
 年頃は9か10か。少女は泣きじゃくりながら、猟兵であるリンタロウを見――。
『助けてくださッ』
 ぞぶり。リンタロウが見ている目の前で、両断されてどさりと斃れた。
 ……リンタロウは戦場を識っている。どう生き延びるべきかを識っている。
 生き延びるためには手段を選んでられないからこそ、違えてはならない領分がある。
「……テメェら」
 戦う力のない女子供を殺すなど、その"越えてはならない一線"の最たるもの!
 ばきり。リンタロウは凄絶なる凝視とともに、銜えていた骨を噛み砕いた。
 全身にすさまじい膂力が満ちる。敵はこちらに銃口を向け……BRATATATATA!!
「っとぉ!?」
 だが不可解な出来事は再び起きた。響き渡った銃声は敵のものではないのだ!
 四方八方、隠れ潜んでいた"誰か"が一斉に敵部隊に砲火を浴びせたのである。
 リンタロウは訝しんだ。この区画の退避はとっくに完了していたはずだ。
 なにせ自分が乗組員に進言したのだから間違いない。奇襲のための布石である。
 あえて己の身を晒すことで不意を打ち、一網打尽にせしめる手はずであった。
 何が起きている? ……考えるまでもない。これは好機である!
「胸糞悪ィっすねぇ!!」
 斃れた少女のことを脳裏から追いやり、リンタロウは獣の膂力で地を蹴った。
 燃え盛る床を越え、銃雨――当然のように火線はリンタロウを躱した――を進み、
 誰を、何を狙うべきかを決めあぐねたウォーマシンの頭部を叩き潰す!
 KRAAASH!! ――KA-BOOOM!!
「おらぁ、一体目ぇ!!」
 無造作に骨剣を振るう! 真横に居た二体目が両断され爆発四散!
 BRATATATATATA……その隙に逃れようとした三体目に一斉砲火が集中!
 過剰にすら思える同時射撃をまともに喰らい、三体目も哀れ爆炎に消える!

 ……かくして、戦場には静寂が戻った。
 リンタロウは斃れた少女を一瞥し、大きく嘆息し、そして言った。
「で、誰っすか? こんな悪趣味な作戦企てたのは」
 ……ややあと、物陰から"斃れた少女"が何人も現れた。
 同じ見た目、同じ装備。リンタロウは片眉を釣り上げる。
「巻き込んでしまって申し訳ありません。私が……廿が、やったことです」
 おそらくは"オリジナル"に当たる少女……虹結・廿が、一歩歩み出て言う。
 リンタロウは誰何した。僅かな駆動音から見てサイボーグか。
「……あんま感心しないっすよ。一瞬マジかと思ってビビッたっすからねぇ」
「ですがこの個体は、リンクを解除した非戦闘個体ですので、問題ありません」
 無機質な廿の言葉に、リンタロウはやれやれと頭を振る。
 そういう話ではない。だが、説いたところでこの少女には通じまい。
「ご迷惑をおかけしてしまいましたが、そのぶん"演技"は十分だったかと思います。
 ……どうでしょうか。上手かったでしょうか。廿は――」
「ああ、わかったわかった。わかったっす」
 リンタロウは言葉を制した。
 ……戦場において、それは、忘れてはならぬものであるゆえに。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

マレーク・グランシャール
戦場:1 【壁槍】

居住可能な星の発見はこの世界の人の悲願
当時は未熟で銀河帝国戦には参加出来なかったが、今なら十分渡り合えよう
俺は友のカガリ(f04556)と共に船の中に入ろうとする敵を阻もう

搭乗口のカガリが壁となり敵の侵入を防いでくれる
敵の頭部が向かぬよう迷彩効果で紛れたら、搭乗口に意識が向いているところ、駕砲城塞の反撃に体勢を崩したところを不意打つ
【流星蒼槍】を発動して槍を当てたら双頭竜で一人ずつ討ち取ろう

他の個体から攻撃されそうになれば【泉照焔】で見切り【金月藤門】のフェイントと残像で回避
すかさず【白檀手套】のカウンターを返してまた【流星蒼槍】を見舞うぞ

俺は未来へは進めぬ
俺の分も進むがいい


出水宮・カガリ
戦場:1
【壁槍】まる(f09171)と

先の戦争でも、帝国製のウォーマシンと戦う機会はあったが
…あの色、形、何となく見覚えが…あるような…?
(どこか面影の似ている知人を思い)

ともあれ、門が守る前での侵入は許さんぞ
亡霊の如きものとは言え、まるとこうして、帝国勢を相手に戦えるのは嬉しいな

搭乗口に【籠絡の鉄柵】を限界まで大型化したものを張り巡らせ防衛線とする
カガリはここで【駕砲城壁】を張り、不動の城壁として建つぞ
剣でも銃でもかかってくるがいい(おびき寄せ・挑発)
例え攻城兵器でも陥ちてやらんがな!(【不落の傷跡】)
反射の光弾で落ちぬ個体はまるが仕留めてくれよう、頼んだぞ

まる、まる
まるも、未来に進もう



●不断の門、不屈の竜
 BRATATATATATA! BRATATATATATATA!!
 ナイチンゲール号の格納庫ハッチめがけ、四方から大型弾丸が飛来する。
 戦艦の隔壁ですら爆発突破してしまうであろう猛攻……だが、しかし!
「このカガリを相手に、そんな豆鉄砲で押し通ろうとは見くびられたものだな!」
 門の化身、出水宮・カガリが展開した大型の鉄柵が、物理的に搭乗口を防御する。
 バルカン砲の弾丸はかすり傷ひとつ付けることが出来ず、八方に弾かれるのだ。
 無論、それだけでは終わらない。カガリのユーベルコードは攻防を一体とする。
 襲い来る敵の害意、そして威力を、そのまま無数の光弾として反射するのだ。
 それこそが駕砲城壁(ロアードウォール)。応報の光弾が宇宙にばらまかれた!
『『『!!!!』』』
 ZZZZTTTTT……KA-BOOOM!!
 よもやこのような形で反撃されると思っていなかったウォーマシン部隊は、
 回避も防御も出来ずにまともに反撃を喰らい、次々に爆散する!

 しかし、敵の勢力は無数。第一波が破れたとしてまた次の攻勢がやってくる。
 弾丸ではこの壁を突破できないと判断したウォーマシン部隊は、
 大型の実体剣による攻撃を一点に集中させ、カガリの鉄柵を突破しようとする。
 無論、その攻撃には駕砲城壁による光弾の反撃がある。第二波も撃滅するだろう。
 だがすでに滅びた過去の残骸どもが、いまさら自滅を躊躇することはない。
 味方が撃墜されることを悲しむことも、悔やむことも当然ない。
 第二波でダメなら第三波が、それでもダメなら第四、第五の軍勢が……。
 いずれ来る破砕の時まで、レミングスに囚われた渡り鳥の群れの如く、
 ウォーマシン部隊は無謀な吶喊を繰り返すだろう。なんたる破滅的攻勢だろうか!
「お前たちごときに、カガリの城壁を突破できるとは思えないが――」
 その時、どこからか、静かで苛烈な男の声がした。
 センサーが感知した気配に、ウォーマシン部隊は素早く周囲を見渡す。
 だが遅い。その男は……すでに敵の死角を取り、攻撃動作に移っているのだから!
「わざわざカガリが傷つけられる瞬間を、見過ごすつもりもない。死ね」
 べぎょんっ!! と、一体のウォーマシンがくの字にひしゃげで爆散した。
 何が起きた? 足並みを乱した残存個体めがけ、爆炎の中から襲いかかるのは、
 蒼い稲妻を纏う碧眼の双頭竜。宇宙の虚空を震わせる咆哮とともに、竜が暴れる!
 一体。また一体。城壁に意識を割いていた隙を突かれ、第二波は壊滅した!

『まる、そっちは無事か? 大事ないか?』
「問題ない。一体ずつ確実に処理していく」
 特殊宇宙服の通信機越しに届いたカガリの声に、マレーク・グランシャールは、
 相も変わらぬ無骨な声で応えた。その姿が、じんわりと宇宙の闇に溶け込む。
 第三波。敵はやはり同じように城壁に挑み、光弾の反撃を受けて瓦解する。
「……そちらこそ大丈夫か、カガリ」
『もちろんだ。剣でも銃でも、たとえ攻城兵器でも陥ちてはやらないとも』
 頼もしげなカガリの言葉に、マレークが表情豊かなら微笑んでいたことだろう。
 反撃の光弾を逃れた敵を確実に仕留め、マレーク自身への攻撃も的確に躱す。
 半年以上前……この世界を舞台とした大戦争では、彼は参戦出来なかった。
 せめてその分だけでも、この世界の人々のために力を振るおうと彼は考える。
『まる。カガリはな、まるとともに銀河帝国と戦えて、少し嬉しいんだ』
「そうか。俺もカガリとともに戦えるのは、いつだって嬉しいとも」
 マレークは思う。この世界の人々は、戦いを乗り越えて未来へ進もうとしている。
 きっとこの旅は、これから先さらなる困難に見舞われることだろう。
 自分にはそれをはねのける力がある。半身たる城門を護る力が。ならば。
「……俺は未来に進めない。だからそのぶん、人々を未来へ送り出したいと思う。
 そのための戦いに、カガリ。お前とともに参戦できるのは――」
『まる』
 カガリは言った。
『まるも、未来に進もう』
「…………」
 龍は応えない。代わりに、目の前の敵を槍で薙ぎ払い、爆散させた。
『まる――』
「……聞こえている、カガリ」
 その言葉に応えることは出来なかった。
 ただいまは、降り注ぐ火の粉を、無我夢中で払い、滅ぼすことだけを考えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

コルチェ・ウーパニャン
よーし、封じる対決だっ!
ピカリブラスターをキュルルーンでざぷざぷざっぷ!だよ!
ピカリブラスターから光の速度で割引シールを一斉発射&ペタペタペッターン!
狙いは敵の武器、割り引くのは……、銃弾のサイズ!
えへへぇ、銃弾さんには口径に対してちいさーくなってもらいまーす!
ジャムるのはまちがいないよねえ! 暴発してドッカーンしちゃうよねえ!精密射撃、できないよねえ!
えへへ、今日のコルチェ、冴えてる!かも!!

向こうの動きがピカブラより速いなんてことはないよ!
たぶん!きっとないよ!ないんじゃないかな!
えっ……まさかピカブラはともかくコルチェより……速かったら……えっ…
…が、がんばってよけるよ!!!


冴木・蜜
戦場:2

先が思いやられるような
台詞が聞こえた気がするのですが

いえ、その
気のせい、でしょう
たぶん

私は船を護ることを優先しましょう

注射器を取り出し『偽薬』を使用
己の死毒を強化し濃縮
体を液状化し目立たなさを活かし潜伏
ウォーマシンの挙動を観察しておく

他の猟兵や船員に襲い掛かるウォーマシンがいれば
間に身を捻じ込み庇います

物理攻撃ならば体を液状化し
衝撃を殺せますし
何より至近距離で射撃されれば
必ず血が飛び散るでしょう

攻撃を受けた瞬間
すかさず融けた毒腕で触れ
飛び散った血さえも利用して
その黒鉄の体を融かし落とします

私の毒蜜は触れるものを全て融かす
それが鎧であろうと
全て融かしてみせましょう

私はただ触れるだけで良い



●ナイチンゲール号の決斗
 ……ビュウウウ……。
 と、擬似重力と人工大気が充満した宇宙船の船内に、空っ風が吹いた。
 度重なる戦闘により荒廃した無人のブロックで、真正面から対峙する影ふたつ。
「……むむむむ!」
 十数メートルの距離を挟み、ウォーマシンを睨むコルチェ・ウーパニャン。
 サイバーチックな衣装を纏うミレナリィドールの、少々間の抜けた少女である。
 コルチェの腰には、これまたレトロフューチャーなポワワ銃が提がっている。
 そう、あのポワワワって感じにリップルレーザーを撃ち出す、レトロな未来銃だ。
 その名も『ピカリブラスター』。割とオーバーテクノロジーの未来兵器であった。
 腰をわずかに落として身構えるさまは、まるで西部劇のガンマンのようである。
 奇しくも、目の前のウォーマシンもまた、大型の拳銃を腰にマウントしていた。
 一触即発の気配……だが、コルチェには秘策があったのだ。
(このピカリブラスターで、キュルルーンって割引シールをペタペターンすれば!)
 ……なんのこっちゃと思われるかもしれない。
 だがそれこそが、コルチェのユーベルコード『シールトリック』なのだ。
 貼り付けられた『割引シール』は、対象の能力そのものを"値引いて"しまう。
 これで敵の銃器を"割引"し、小さくすることで射撃を封じてしまうというわけだ。
(えへへ、今日のコルチェ、冴えてる! かも!!)
 むふふ、とまだ勝負が決まってもいないのにニヤニヤ笑うコルチェ。
 だがそこでふと、彼女は思った。
(……あれ? でもコルチェより先に撃たれたらどうしよう?)
 いやいや。いくらなんでもそんな……いやでも敵は帝国のウォーマシン……。
 なんか装飾が豪華だし、あれっもしかして割と早撃ち勝負敗けるのでは?
(いや、いける! コルチェにふかのーはないのです! 頑張ろう!!)
 その時、天井から剥がれかけの瓦礫ががしゃん、と床に落下した。
 それを合図に両者は同時に銃を構える。
(あっダメだ全然速い!! えっあっコルチェ死ぬ!?)
 コルチェのクイックドロウ技能は1! なぜ早撃ちで勝てると思ったのか!
 ピカリブラスターのトリガーを引くより先に、敵の大型銃器が――BLAMN!!

「……あれれ?」
 思わず目を閉じていたコルチェは、自分が銃で撃たれていないことに気づいた。
 それどころか、疾さで先んじたはずのウォーマシンが、がしゃんと斃れた音。
 恐る恐る目を開くと……そこには、黒ずんだ粘液の壁が蠢いていた!
「ひょえっ!!」
『すみません。突然のことでしたので割って入りました。お邪魔でしたか?』
 黒い粘液はごぼごぼとした声音でそう言うと、人間の姿を形作った。
 血色の悪い肌に、クマの浮かんだ両目。そしてボサボサの黒い髪。不健康そうだ。
「ですが、あの通りモロに撃たれそうだったので……大丈夫、でしたよね」
 ブラックタールの猟兵……冴木・蜜は、ややためらいがちにそう言った。
「反射的に敵も倒してしまったのですが……何か問題があったのであれば」
「すごーい!!」
「えっ」
 コルチェは、目と髪(彼女の髪は光ファイバーだ)をキラキラさせながら、
 蜜をじっと見つめる。動揺した蜜はコフっと吐血めいてタールを吐き出した。
「ごふっ。す、すいません。そう見つめられると、その、少々……」
 手や足の先がぐにゃぐにゃタールに戻っていた。視線が苦手らしい。
 一方コルチェはごめんなさい! と言いつつ、やはり目を輝かせている。
「どろどろびたーん、ででろでろどーん? すごい! かっこいい!!」
「……? ああ、あれのことですか……」
 倒れ伏したウォーマシンは、そのボディをどろどろに融かされて破壊されていた。
 蜜の身体は強力な死毒でもあり、鋼すら融かす強酸にもなりえるのだ。
「とりあえず、ご迷惑でなかったようならなによりです。まだ敵はいますから――」
 蜜がそう言いかけた時、ガシャンガシャン、といくつもの足音が響いてきた。
 コルチェはキラリと目を輝かせ、今度こそガンマンめいて早撃ち! ZAPZAPZAP!
『『『!?!?』』』
 実体剣を、そして銃器を強制的に"値引き"させられたウォーマシンは混乱した!
「えへへぇ、お安くなっておりまーす! やったー命中ー!」
「……なるほど。あれは便利ですね」
 蜜はおもむろに注射器を取り出し、さらに大量の"偽薬"を己に注射した。
 ごぼごぼと音を立て、四肢がタール化。そして混乱する敵に触腕を伸ばす。
 ぐばっ、と四散したそれに絡め取られ、ウォーマシンどもは融解していく!
「この調子で、敵を殲滅しましょう。船を守る必要がありますから」
「はぁーい! ざっぷざっぷざーっぷしちゃうよー!」
 ノリノリのコルチェの明るさに微妙に気圧されつつ、蜜はぼんやり思った。
(……この調子で、探索はうまくいくんでしょうか……)
 脳裏によぎったのは、あのとんでもなく頼りないエキスパート(笑)の姿。
 ……まあなんとかなるだろう。とりあえず敵を斃さねば。いまはそう思うことにした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

斬崎・霞架
【POW】
戦場:お任せ

まさか自分が宇宙に出る事になるとは、思ってもみませんでした。
どこか神秘的なものだ、と漠然と思っていましたが、
正直「そう言った物がある」程度の認識でしたね。
ともあれ、こういった戦いの経験も力になるでしょう。

大きく頑丈、数も多い。
人とは動きの異なる部分もあるかも知れませんね。
相手の動きを観察して【見切り】攻撃を捌き【カウンター】を入れましょう。
なるべく違う武装の相手をしたいですね。
この経験、糧にさせて貰いましょう。

…ああ、そうでした。動きを十分に見た相手に用はありません。
“死んで”ください。
(【オーラ防御】【激痛耐性】で近づき機械だろうと【何れ訪れる終焉】で呪い“殺す”)


千桜・エリシャ
戦争が終わっても
まだまだ戦えるだなんて夢のあるお話
強敵がいるならば、どこへなりと私は参りますわ

あらあら
勝手に上がり込むだなんて
無粋な方々には相応の歓迎をさせていただきますわ
敵が大勢いる中心へ躍り出て

お花見はいかがかしら?
きっとあなた達は地上の花など見たことがないでしょうから
今宵の宴
たっぷりご奉仕させていただきますわね
最期まで楽しんでくださいまし

お花見に興じていらっしゃる方の御首をいただきましょう
きっと夢を見ている間に終わりますわ
夢の涯でおやすみ

お気に召していただけなかった方々は残念ですわ
ゆっくりと近付いて
夢のうちに逝けたら楽でしたのに
御首をいただきますわね

――宴もたけなわ
鬼の宴はこれにてお開き


パーム・アンテルシオ
まだ知らない場所。探検って、わくわくするけど。
なんだか、ちょっと怪しい感じがするね…
こんなになっちゃった世界でも、儲け話。お金。
どこの世界でも、人って、あまり変わらないね。ふふ。

なんて、言ってる場合でもないかな。
怪しいおじさんはともかく。船の皆は守らないと、ね。

それじゃあ。ユーベルコード…極楽鳥火。
この子たちなら、中でも外でも、自由に動ける。
炎の熱も、羽音も、動きもある。
あなた達は…この子たちを捉えられる?
それとも…捉えてしまう、かな?ふふふ。

…人にとっては新天地で、人にとっては驚異でも…
相手にとっては、そこが故郷で。私たちが…
ふふふ、なんてね。相手の事情なんて、知らない方が、きっと楽だよね。



●星の海に桜花散る
 見るも鮮やかな桜の木が、星々の海を背景にいくつも咲き誇っていた。
 風ならぬ風に桜花が舞い、黒々とした闇にひらひら踊るさまはいかにも美しい。
 聞けば、都市部で見られる星空というのは、実は"眩しすぎる"のだという。
 人々の営みが生み出す灯りが、見えるはずの星の輝きを遮っているのだと。
 だとすればこの宇宙、誰も足を踏み入れたことのない宙域で見える星空は、
 きっと人類の叡智(あかり)が届かぬ、まさに"手つかず"の輝きなのだろう。
 それをバックに、この世ならぬ常夜のごとき桜が咲き誇る。
 なんとも、いかにも――幻惑的で、そして妖しく、だからこそ不気味であった。

「これはこれは、盛大なものですね」
 そんな桜花が舞い散る中に、斬崎・霞架がひとり佇んでいた。
 霞架にとっては――戦場になる、という意味では――初めての宇宙。
 それがこうして、よく知った桜の風景に包まれると、逆に違和感を覚えてしまう。
 このこの世ならぬ光景が、本当に彼岸のものなのではないかと錯覚しそうになる。
 だが違う。自分は生きているし、ここはやはり戦場で、しかも真っ只中だ。
 だが、霞架が慌てることはない。ただこの風景を、漂う陽気を"楽しむ"。
「……誰もまだ知らない場所。探険って聞いて、わくわくしていたけれど。
 ふふ。幻とはいえこんな風景に包まれると、なんだか不思議な気分だね」
 同じように幻に呑まれた――然り、これは幻だ――パーム・アンテルシオが、
 あるかなしかの笑みを浮かべながら、ささやくようにひとりごちた。
 ふたりはそれぞれ、この幻の風景を、漂うかすかな酒精を"楽しんでいる"。
 でなければ、こうして安穏と桜を見上げていることなど不可能だ。
 彼女らは、この幻を生み出したのが誰なのか――そう、よく知っている。
 とても、よく、知っている。

「あらあら。霞架さんにパームさんまでいらっしゃったなんて、ごきげんよう?
 ――お花見はいかが? 見飽きているかもしれませんが、"楽しい"でしょう?」
 幻を生み出した当人――千桜・エリシャが、ふわりとその場に現れた。
 ここは桜が咲くリゾート船でも、ましてや彼女らの"宿"でもない。
 もちろんナイチンゲール号にこんな区画はない。そもそもこの世のものではない。
 見るがいい。漂う酒気に呑まれ、酩酊するようにぼんやり佇む鋼たちを。
 あるいはその妖気を拒み、結果としてろくに動けなくなったウォーマシンたちを。
「銀河帝国の殺戮機械すら飲み込む桜の幻。なるほど、あなたらしい」
「……美しいものに心を奪われるのは、オブリビオンでも同じ、なのかな」
 霞架は、そしてパームは言った。エリシャはにこりと妖しく微笑むのみ。
 大江山桜(オウガズ・バンケット)。宵の涯の幻に催される、豪盛な花見の酒宴。 囚われてしまった者は、夢見心地のままに酩酊し、常世を謳歌し、
 そうでない者は、ああして桜の魔性に取り憑かれて動きの精彩を欠いてしまう。
「宴が催されれば、呑んで騒いで愉しむのが礼儀でしょう?
 ならば、それをもてなすのが私のお仕事。ふふ、そう、最期まで――」
 エリシャは言い、舞うようにふらり、そろりと敵の群れへ。
 しゃらん、と鈴が鳴るような音ひとつ。
 ごとり。鋼の首が落ちて転がり、息絶える。
 しゃらん、ごとり。しゃらん、ごとり。しゃらん、ごとり。
 夢見たならば、見たこともない地上の花々に抱かれて最期のひとときを。
 拒んだならば、夢のうちに逝けぬことを儚みながら、せめてもの慈悲を。
 どうあれ囚われたならば死ぬ。それがこの、鬼の宴のたけなわである。

 ……だがその幻を愉しみながら、しかして背を向ける男がいた。霞架だ。
「せっかくの宴に、水を差すわけにもいきませんので――」
 薄く笑って彼は言い、すっと花見の幻から姿を消す。現世に帰還する。
 幻が作用した範囲の外、その境界を外から破ろうとする正気の鋼の群れに相対す。
「ああ、よかった。酔いにほだされていない方がいないと、僕の糧になりません。
 だからどうか、あなたたちの持つ力を見せてください。――そう、最期まで」
 ウォーマシンどもは殺意で応えた。ブースターを噴射し最速で踏み込む。
 大型実体剣の薙ぎ払い。躱す。踏み込んだところへ頭部バルカンによる不意打ち。
「なるほど、二段構え……と」
 漆黒の手甲がこれを防いだ。弾丸を弾いたその手甲は漆黒の呪詛に包まれる。
 強烈なアッパーカット。胴体を貫かれたウォーマシンは、痙攣して倒れ込む。
 はたしてそれは爆発せず、まるで病に呑まれるかのように黒ずんで塵に変わる。
 死をもたらす呪い。相手が鋼であろうと、過去の残骸であろうと変わりはしない。
「さあ、次はどなたですか? どんな武器で、どんな戦い方を私に見せてくれます。
 どんどん来てください――全員余さず、僕の手で"死なせて"あげますから。さあ」
 華やかな宴など、己の身には必要ない。
 甘やかな酩酊など、この身には必要ない。
 強く。強く。いかなる敵をも倒すほどの強さを。ただそれだけを求める。
「さあ――」
 その先が終焉であろうと。どのみちそれは、いずれ来るものゆえに。

「相変わらず、忙しないひとだこと」
 そんな霞架の背中を見送ったエリシャは、しかし笑みを崩してはいない。
 一体、また一体と、みずみずしい花を手折り永遠とするかのように。
 あるいは、美しい動物を、虫を、永遠の剥製や標本に変えるかのように。
 淡々と、喜々として、謳い踊るように、刃を奔らせ首を落としていく。
「本当は、私ももっとこの宴を楽しみたいところだけれど、うん。
 ……あなたたちは、この船にいる人たちを、殺そうとしてくるんだよね」
 まだ首を落とされていないウォーマシンを、パームは静かに見つめた。
 彼奴らのその行動に意味はあるまい。"そういうもの"だから、そうするのだ。
 ひらりと掌に舞い落ちた桜の花びらを、ふうっと吐息で宙へと踊らせる。
 ふわり――花びらは燃え上がり、やがて無数の燃え上がる極楽鳥へと変じた。
「故郷に還れず、進むことも出来ず、その途中で滅びてしまったあなたたち。
 ……私が、それを終わらせてあげるね。そうすることしか、出来ないから」
 ありし日の彼らは、どんなことを考えてこの領域に挑んだのだろうか。
 名誉か。勇敢か。恐怖か、忠誠か。
 もはやわからぬ。思い描いたところで意味はない。ただここには暗黒がある。
 ならばせめて、夢のうちに。極楽のような焔に包んで終わらせよう。
「――私たちは、夢を求めて先へ進みますわ。さあどうぞ、夢のように逝きなさい」
 エリシャが言って、刃を振るった。そのあとを鳥火たちが舞い、焦がしていく。
 何もかも、蕩けたままに、滅びた者たちを再び滅ぼすために。
 宴の終わりは、鋼のすべてが朽ちて尽きることで、ようやく終わるのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

トルメンタ・アンゲルス
……あの人(座長)、本当に普通の人なんですか?
ここまで厄介毎に絡むなんて、何か憑いてるんじゃないです?

……まあ、乗り掛かった船です。
新天地に到達したいのもありますし、助けましょう!
行くぞ相棒!
変身!アクセルユニゾン!
『MaximumEngine――Mode:HotHatch』

相棒を防御力重視の装甲として変身合体!
星の海へ出ましょう!

さぁ、超スピードのダッシュで一気に極超音速まで加速!
第六感と見切りを生かし、残像を残すほどの早業で奴らを撹乱しましょう!

連撃からの不意打ちだろうと、こっちがそれより速ければ無意味!
奮撃のブリッツガストで、武器や防具ごと蹴り穿つ!
ハンマーでも剣でも銃弾でも、全て砕く!


ヌル・リリファ
アドリブ連携歓迎です

宇宙の涯にはなにがあるんだろう?
きっとそれはこの世界の出身じゃないマスターもしらないことだよね。
それをみることができたら。いつかおはなししたいなあ。
マスターは、こういうあたらしいことをしるのもすきだったはずだから。
とてもたのしみ。

……だから、それを邪魔するなら容赦しない。オブリビオンは、敵だしね。

さすがっていうべきかかたそうな装甲だけど。それなら、一旦われやすくするだけだよ。
相手の攻撃は【見切り】【盾受け】で対処しつつ接近、ルーンソードがふれる瞬間にUCを起動、その場所を構成する物質を変換、くだいていく。
けんやたてでふせごうとしてもそれ自体を粉々にするだけだから、関係ない。


三咲・織愛
戦場:1

うわぁー、すごいすごい
ここが宇宙なのですね! 初めてきました!
外に出ちゃったら息が出来ないのかしら? 肺活量には自信がありますけれど……

ともあれ、
敵は蹴散らさなければなりませんね!
機械の敵と戦うのに、ノクティスを頑張らせるのも可哀想ですし……
殴っていきましょう!

最小限の動きで敵の攻撃を見切り、回避を試みながら接近します
頭部からの銃器の発砲は厄介ですね
であれば狙うは頭部。ガッと頭部を掴んでお仲間のウォーマシンに叩きつけましょう
叩き付け用のウォーマシンが無くなったらそのあたりからまたガッと掴んで

敵の攻撃の盾にしながら叩きつけて進んでいきますね
宇宙ってすごい!



●宇宙を裂く流星
 戦乱渦巻くナイチンゲール号、発着用のカタパルトにて。
 前人未到の外宇宙探査。
 スペースシップワールドで生まれ育った身として、思うところは数多い。
 銀河帝国ですら近寄れなかった闇。そこに待つという恐るべき天体宇宙生物。
 だが彼女が――トルメンタ・アンゲルスが、その恐怖に怯むことはない。
 あの銀河帝国攻略戦の最中、垣間見た悪夢を乗り越えた。
 戦いのあと、己を捕らえようとする幸せな幻影すらも踏み込めた。
 誰よりも疾くあろうとする戦乙女を、風を止めることは誰にも出来ないのだ。
「さあ、行くぞ相棒! 変身! アクセルユニゾ」
「ええっ!? 息を止めてるだけじゃ宇宙空間では耐えられないんですか!?」
「うん。わたしみたいな人形はだいじょうぶだけど、人間はたえられないよ」
「……でも案外いけたりしないですかね。肺活量には自信があるんですよ!」
「それなら、わりとなんとかなることもある……のかな?」
「なんとかなるわけないでしょう!?!?」
 せっかくの変身シーンが台無しになったという。

「……まあ、あの戦いに参加していなかったなら、
 この宇宙服のことを知らなくても無理はないですね……」
 ややあと。トルメンタは、腕を組みながらやれやれと嘆息していた。
 一方、生身で宇宙に出ようとしていたチャレンジすぎる少女……三咲・織愛は、
 与えられた特殊宇宙服を着込み、えへへと申し訳無さそうに笑っていた。
「こんな不思議な宇宙服があっただなんて知りませんでした! 便利ですね!」
 透明な宇宙服はほぼ生身と同等の活動が出来、しかも推力を得ることができる。
 おまけに超空間的な通信によって、視界内の相手と会話可能というすぐれものだ。
「ねんのため、わたしもきこんでおいたから、もんだいなく会話できるよ。
 あたらしいものをしろうとすることを邪魔する敵は、いますぐたおさなきゃね」  幼気だがミレナリィドールらしく無機質なヌル・リリファの言葉。
 だが、オブリビオンに対する慈悲など、トルメンタや織愛も持ち合わせていない。
「では改めて――変身ッ、アクセルユニゾン!!」
 気を取り直したトルメンタが叫ぶと、マシンベルトから機械音声が響いた。
《MaximumEngine――Mode:HotHatch》
 傍らでアイドリングしていた愛機・NoChacerが装甲形態に変形し、合体。
 トルメンタは、宇宙の闇を貫く一条の流星――風の戦乙女になったのだ。
『それじゃあひと足お先に。失礼!』
 ドウッ!! 一瞬にして音速到達したトルメンタがあっという間に見えなくなる!
「わたしたちもいこう、織愛さん」
「はい! ご迷惑をおかけしてしまったぶん、がんばります!」
 顔見知りである織愛とヌルは声をかけあい、宇宙服の推力で船外へと出る。
 そしてふたりを出迎えたのは――いまなお続く、死闘の爆炎と敵の群れであった!

 宇宙。
 それは、もう慣れ親しんだヌルにとっても、初めてやってきた織愛にとっても、
 いまだ未知の場所であり、しかも今回はさらに奥……いや、外側へ行くという。
 一体何があるのだろうか。
 予知されている強大な敵を……その本丸をいつか、踏破したとして。
 異なる文明があるのか。はたまた、失われたはずの惑星があるのだろうか。
 どんな星空が広がっていて、どんな旅が待っているのか。
 ヌルの造物主(マスター)も、さすがにそんなことまでは知らないだろう。
(それをみることができたら――いつか、おはなししたいなあ)
 ヌルは思う。子供のように無邪気に。けれど戦いの手は止めることなく。
 BRATATATATATA……飛来する弾丸を光の盾で弾き、いなし、慣れた様子で泳ぐ。
 きらきらと銀色の髪が舞い踊り、爆炎の輝きを浴びて星のように輝いた。
 この世界から失われた惑星の、その空のように青々とした瞳に敵の姿が映る。
 実体剣による斬撃。完全に見切っていたヌルは、これも躱し懐へ飛び込む。
「そのからだ、かたそうだね。けど――」
 ルーンソードを突き出す。その一撃で装甲を貫くことは出来ないだろう。
 彼女自身の演算機能もそう結論づけている。だから、"脆くするのだ。
 "脆化崩砕"。まるでガラスのように、触れたものを変化させ破砕する超常の力。
 鋒が触れた腹部装甲が紙細工のように崩れ、砕け、そして剣は易易と装甲を貫く。
 盾で防ごうが、剣で防ごうが、結果的には同じことだ。
 BRATATATATATA……伏兵による射撃を、貫いた敵のボディを盾として防ぐ。
「わたし、このさきになにがあるのか、とてもたのしみなんだ。
 だから、邪魔をするなら、容赦しないよ。オブリビオンは、敵だから」
 慈悲も容赦もないウォーマシンですら、少女の形をした兵器は止められない。

「なるほど……砕いてしまえばいいんですね!」
 そんな戦いぶりを見ていた織愛は、剣呑なことを言いながら敵と対峙する。
 まだ宇宙での戦いには慣れないが、天性の才能が彼女の動きを助けた。
 ヌルのそれを真似るように弾丸を躱し、実体剣が振るわれるより先に突っ込む。
 一瞬でもスピードを落とせば、カウンターの斬撃が胴体を両断するだろう。
 恐れない、という点において、覚悟を決めた織愛は誰にも負けない胆力がある。
 そしてやおらウォーマシンの頭部をアイアンクロー(!)し、振り回した!
「もげないでくださいね! ノクティスは頑張らせたくないですから!」
 はちゃめちゃなことを言いながら、暴れるウォーマシンを振り回す。振り回す!
 BRATATATATA……銃撃もものともせず、別個体にそのボディを叩きつけた!
 KRAAASH!! KA-BOOOM!!
 爆炎を切り裂き、ぬうっと細い手が突き出され、哀れな別の敵を鷲掴みにする。
 そして振り回す。宇宙だろうが地上だろうがやることは同じである!
「すごい! あんなに硬そうで図体が大きいのにさっぱり重くないです!
 これが宇宙なんですね! よーし、頑張ってものすごく痛くしますね!!」
 鬼神の如き戦いぶりであった。見た目の可憐さに一切そぐわぬストロングさだ。
 そんな様を見ていたヌルは、なるほどそうすればいいのかみたいな顔をしていた。
 だが真似してはいけない。すさまじい腕力があってなせる技なのだから……!

『――あの座長さんもそうですが、集まった猟兵も妙な人ばかりですね!』
 スピードの世界でその戦いぶりを垣間見たトルメンタは、呆れた声で言った。
 だがまあ、敵を倒すのはいいことだ。強い仲間は頼りがいがある。なにより!
『たとえどれほどパワフルだろうと、スピードでは俺がダントツですよ!
 さあ――死にぞこないのガラクタども! 全員蹴り穿ち叩き返してやるッ!』
 強化装甲と大型ハンマーを装備した重装ウォーマシンが――KRAAASH!!
 背後にいたウォーマシン三機もろとも、トルメンタは正面から蹴りぬいた!
 光にも到達しかねぬほどの超スピード。それを以てただまっすぐに蹴り砕く。
 それがトルメンタの戦い方であり、信念であり、研ぎ澄ませた力!
『捉えられますか? この俺をッ!』
 BRATATATATATA!! 飛来する弾丸を鋭角的ジグザグ軌道で次々に回避!
 迂闊にも固まった敵陣めがけ、鏃のように鋭く迸る!
『蹴り抜く! 奮撃のォ――ブリッツガストッッ!!』
 KRA-TOOOOM……!!
 一条の流星が輝き、その軌跡に無数の爆炎の帯が生まれた。
 敵も味方も、誰も――トルメンタには、決して追いつけないのだ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リア・ファル
戦場:1

匡(f01612)さんと

匡さん、一緒に来て!なんて
ボクのお願い引き受けてくれてサンキュ

未踏宙域の探索
ボクにとっては、本来の任務と言って差し支えのないモノだ
今だ現実復帰ならぬ戦艦の身だけどやってやる

「久々の制宙戦闘だ! 本領を発揮しようイルダーナ!」

「情報収集」で対象の機能を把握
イルダーナを「操縦」し「空中戦」だ

「ハッキング」ウイルス弾による「毒使い」「マヒ攻撃」で
センサーとAIの無力化を狙いつつ「援護射撃」

彼が合わせやすいよう、幻影の疾走を思い出しつつ
UC【五光の神速疾走】

高機動とグラビティアンカーで十二分に動きを固めたら、
お仕事は完了

「ボクにも分かってきた。多分その隙は――視えてる」


鳴宮・匡
◆戦場:1
◆リア(f04685)と

未踏地域探索、ねえ
ちなみにリアはどういう目的で作られたの

……ふーん、そっか
そういうことなら、少しばかり気合入れていくか
え? ……なんでもないよ

ある程度安定して狙撃ができる位置に体を固定
リアが攪乱して、浮いた駒から殺っていく
但し、あいつの死角に敵がいるようならそちらを最優先
こっちを信頼して危ない役割を買って出てくれたんだ
怪我させるわけにはいかない

貫通できそうならコアや動力部を一撃で
難しければ駆動部など装甲の脆い部位を狙って無力化
数が多いからな、無駄なくやっていこう

自分が生きるためじゃない
誰かの未来のための戦い、か

……「そういう」自分を
今日だけは、許してもいいかな


ネグル・ギュネス
色男は自分で色男とは言わぬぞ
ともあれ、仕事か

オーダー、承った
敵が近い場所から伝達をくれ、全部切り潰してきてやる


戦場:1
久方ぶりの宇宙だ
ファントム、慣らしながら行くぞ

【幻影疾走・速型】起動
【迷彩】及び【残像】で、宇宙空間に溶け込むように撹乱しながら、敵個体を轢き潰し、時にはデブリ空間に飛び移りながら、三次元機動とばかりに駆け回り、黒刀で斬り倒す

敵が躊躇うような瓦礫の空間でも、【騎乗】スキルがあれば何のその
空を駆ける星の如く、敵を殲滅する!


残党風情が、勝てると思ったか
いや、そんな感情すら────嫌になるな、全く

自分もああはなりたくないな、と思いながら、船に敵の殲滅を伝えよう
心の痣に苦い顔をしながら


ヴィクティム・ウィンターミュート
対象:敵母艦

さて…復帰からいきなり色男に会えるとは
まったく奇妙な縁だ
お前も変わらねえな…俺もだけど
さて、感動の再開に浸ってる場合じゃない
状況開始だ

なんだか懐かしいねぇ…前もこうして戦艦を相手取ったっけ
…拡張開始、セット──『Wintermute』
【ハッキング】でシステムに侵入…完了
さてどうしてくれようか…手始めにシステムを掌握して、俺の支配下にしよう
この艦、武装あるのかね?あるならそいつでウォーマシンどもを減らす
無いなら──母艦のシステムを借りて…そうだな
ウォーマシンどもにウィルスをばら撒くなんてどうよ?最高にチルだろ?

悪いけど、俺も成長するんだ
俺を相手にテクノロジーで勝負するなんざ、万年速い


ロク・ザイオン
※ジャック、ミコトメモリと

逃げて隠れるの得意だな、団長のジャック。
だから。皆を、任せた。
(何度船を戦場にされてもどっこい生き延びたキミに、森番これでも信頼を寄せている)
おれは、ひとを守る森番だから。

…船。
ごめん。ちょっと燃やす。

――ああァアアア!!!
(「轟赫」47本広域展開
【殺気】を載せた全力咆哮
熱と音を読む目に、巨大な脅威がいると知らしめる
延焼させた炎も【地形利用】、急所狙いの一撃は【野生の勘】で回避しながら引き付けて、ジャックの罠に誘い込み【ダッシュ】で離脱)

直してくれるから。
大きいジャックと小さい国の長が。

…小さい、かわいいのに。
(しょんぼり)
(ジャックが笑った)
(凄くびっくりする)


ジャガーノート・ジャック
2
◆ロク、ミコトメモリと

(ザザッ)
色男のジャックは相変わらずだな。逆に安心する。

ナイチンゲール号の艦長も。面と向かって話すのは初か。
また君達と戦線を共にできて嬉しく思う。
それと、その色男は見た目よりずっとクルー想いだ。信頼すると良い。

――侵入者撃破は此方に任せろ。

(ザザッ)
では掃討だ。
"Craft: Bomb"。
爆弾を生成、船内で敵をまとめて処理しやすい区画に設置。
起爆と同時に船の外壁を破壊、敵を爆風と共に外に放り出す。(罠作成+破壊工作)
敵の誘導はロク、修復はミコトメモリに任せよう。

身長を気にするのは可愛げがあると思っただけだ。――フフ。
偶に笑うくらいの"人"らしさ位あるとも。
(ザザッ)


ミコトメモリ・メイクメモリア
◆ロク、ジャックと
「始めまして、ナイチンゲールの船長さん。この艦が再びこうして動いていることを、嬉しく思う」
皆で取り戻した艦だもの、きっとかつての船長も、喜んで居るはずさ
そして、もう二度と、危険な目に合わせたりはしない――うん、そう思って来たんだけれど。

「…………いやいやいや、火を付けちゃ駄目だよ! 何してるの!」
「あと小さいって言ったな!? 聞こえてたからな! ボクの身長を語るときは王冠まで入れておくれよ! ――今笑わなかったかいジャガーノート・ジャック!」

《かつてを想う記憶の欠片》
ジャックが空けた壁の穴や、ロクが付けた火を、ナイチンゲールが正常な形をしていた「過去」を想起して塞ごう。



●奇縁、因縁、腐れ縁
 ところで、さっそく無様な醜態を晒した"色男"ジャックは、嘘は言っていない。
 一応あれでも、銀河帝国攻略戦を最初から最後まで駆け抜けた船である。
 その前後にも、これまた多くの猟兵に世話になった妙な立場の男なのだ。
「とはいえ……まさか、復帰戦からいきなり見知った顔に会えるとはな。
 まったく奇妙な縁もあるもんだ。なあ、お前らもそう思うだろ? チューマ」
 などと、病院から出てきたばかりのヴィクティム・ウィンターミュートが言う。
 そんな彼の言葉に、同じく"色男"と面識のある戦友、ネグル・ギュネスが頷いた。
「だが以前から思っていた。そもそも、本当の色男は自分から名乗りはしないと」
「そ、そこはほっといてくれよ!? ほらこう、芸名っつーかなんつーか……」
 ブリッジで艦長の補佐や怪我人の手当をしていた"ろくでなし"のジャックは、
 ネグルの痛烈な言葉に痛いところを突かれた様子で弁明している。
「相変わらず変わらねえな、お前も。ま、俺もだけどな」
「ほんとだよ。……むしろ生まれ変わったような顔されても、不気味だけどな」
 一方、ヴィクティムに対して皮肉交じりに言ってみせたのは、鳴宮・匡である。
 先の戦争……エンパイアウォーでの彼(と、その隣りにいるネグル)の無茶に、
 匡はたいそう腹を立てて……いや、心を砕いていた、というべきだろうか。
 どうやら三人の間でわだかまりは解けているようだが、それはそれ、これはこれ。
 自分を棚に上げたような発言にはきっちりツッコミを入れる。それが匡である。
「あははは……まあまあ、いまは戦闘中なんだし、ほら、置いといて置いといて!」
「ん。言いたいことはおおよそ言ってあるしな。お前らもそうだろ?」
 うぐ、とばつの悪そうな顔をしていたヴィクティムもネグルも、同じく頷いた。
 そんな三人の様子に、匡をこの戦場に連れてきたリア・ファルは破顔する。
 彼らのチームワークとその信頼は、彼女もよく知るところ。
 転移してから偶然の顔合わせではあったが、アサルトのノリは健在ということか。

「……団長のジャックは、悪いやつじゃない。逃げて隠れるのが得意だ」
 と、そこへ、新たに転移されてきたロク・ザイオンが口を挟んできた。
「よぉお嬢ちゃん、久しぶりだなあ! ってそれフォロー? フォローなの?」
《――どう考えてもフォローだろう、"色男"。本機は逆に安心している》
 その傍らには、相棒であるジャガーノート・ジャック。
 ともに、この"色男"を名乗るろくでなしとは、非常に縁が深いふたりである。
 名前が被っているということもあって、あちらは彼を兄弟などと呼んでいる、が。
「ん? え!? あれ、兄弟ずいぶん見た目変わったなぁ!?」
《――色々と"経験"したのでな。そちらは相変わらずのようだが》
 こころなしか、感情を覚えさせないはずのジャガーノートの声も、柔らかい。
 そんなやりとりを見て、ロクはにこにこしていた。はたして何が嬉しいのやら。
 ともあれ、ジャガーノートは先の四人を見渡し、一応のフォローを入れた。
《――その"色男"は、見た目よりずっとクルー想いだ。信頼するといい。
 ……初対面ではあるが本機が保証しよう、ナイチンゲール号の新たな艦長よ》
 ジャガーノートの視線が最後に辿り着いたのは、艦長・パトリックであった。
 よもやここで水を向けられると思わなかった青年は、思わず驚く。
「えっ? いえ、もちろん疑ってはいませんが……"新たな艦長"とは、まさか」
 ジャガーノートは頷いた。その言葉を継いだのは、影から現れた幼い少女。
「そのとおり。ついでになってしまったけれど、はじめまして新しい艦長さん。
 この艦が、再びこうして動いていることを、ボクは嬉しく思うよ」
 その姿を見たアサルトの三人は、それぞれに少なからぬ驚きを見せた。
「! 姫様がここにいるとは」
「しかもこの船と縁をお持ちたぁね。事実は小説よりも、ってか?」
「……そういうこともあるんだろうさ、きっとな」
 そんな彼らの言葉と、やや不思議そうなリアの視線に、
 幼い少女……ミコトメモリ・メイクメモリアは、ふふんと胸を張った。
「ボクとジャガーノート、それに皆で取り戻した艦だからね。思い入れもあるさ。
 きっとかつての船長も、この旅路を喜んでくれているんじゃないかな?」

 そんなミコトメモリの何気ない言葉に、パトリックは、はっと顔を上げた。
「前の船長をご存知なんですか!?」
「ん? ああ、もちろん。あの事件を解決できたのは彼のおかげで――」
 BOOOM!! その時、爆音とともに船がひときわ大きく揺れた!
「……話してる暇は、なさそう」
《――本機も同意する。艦長、それに"色男"よ。積もる話はあとにしよう》
 ロクとジャガーノートは素早く状況判断し、ミコトメモリも真剣に頷いた。
 一方残る四人は、互いに顔を見合わせ、こう言ったのだ。
「なら、ボクたちが外の連中を蹴散らしてくるよ。中のほうはよろしく!
 匡さんたちも、外のほうが派手にやれるでしょ? あの防衛線の時みたいに!」
 リアの言葉に三人は頷く。そうなれば、異論を挟むものは誰もいなかった。
「改めてのお願いになりますが……どうか、頼みます!」
「お嬢ちゃんに兄弟、それに猟兵の旦那がた! 俺からも頼むぜ!」
 パトリック、そしてジャックの言葉を背中に受け、七人の猟兵が繰り出す。
 敵の最後の攻勢を凌ぎ、ナイチンゲールを未知宙域へ送り出すために――!

●ナイチンゲール号の死闘:船外
 爆炎がいくつも花を咲かせる。それは敵が死物狂いである証左だ。
 すでに滅んで朽ちた残骸に"死物狂い"という表現はやや不適格かもしれないが、
 生あるものを憎む鋼の死人たちは、なんとしてでもこの船を落とそうとしていた。
 ひときわ巨大な母艦が一隻。おそらくは、あれがこの艦隊の最期の戦力だろう。
『なんだか懐かしいねぇ。あの戦争でもこうやって四人で組んだっけかぁ?』
「そうそう、あれは派手だったよねぇ。それに比べたらイージーミッションだよ!」
 通信機から聞こえてきたヴィクティムの声に、リアが明るく笑う。
 そんな彼女の駆るイルダーナの後部座席には、敵の配置を冷静に分析する匡の姿。
 そして高速飛翔するリアたちには、ネグルと愛機SRファントムが並走する!
「久方ぶりの宇宙だ。慣らしながら行くとしよう」
「いまさらああだこうだは言わないさ。お前らのサポートはきちんとする」
 匡の言葉に、ネグルはふっと笑ってスピードを上げた。無謀な突進ではない。
 信頼する相棒と、仲間とともに協調して戦う。それこそが彼らの力なのだ。
「……ところで、リアはさ。どういう目的で作られたの?」
「え? あーと、ボクは――まさに"このため"に作られた、っていうのかなあ」
 何気ない匡の問いかけに、リアは言った。己とその母艦の建造目的を。
 まだ見ぬ外宇宙の探査。そして新天地の発見。それはこの世界の人々の悲願だ。
 未だリアの依代である戦艦は、この現実領域に戻ることは叶わねども――。
「だからやってやるさ! ボクだって立派な猟兵なんだからね!」
「……そういうことなら、少しばかり気合い入れていくか」
 え? と聞き返そうとしたリアが振り向くより先に、匡は座席を蹴った。
「なんでもないよ――大丈夫、皆のことはちゃんと視てるさ」
 向かう先は、戦闘によって生まれたスペースデブリの影。身を潜めるために。
 流星が遠のいていく。そして、匡の双眸に蒼がゆらめき、戦場を俯瞰した。

 ――ゴォオオオオウッ!!
 黒いマシンが唸りを上げ、闇よりも昏き漆黒の刃がウォーマシンを切り裂く。
『ネグル! 8時方向距離250、敵三機だ。遠距離戦用のチューンをしてやがるぜ』
「了解(ログ)。問題ない――幻影を捉えることは奴らには出来ないさッ!」
 ヴィクティムのナビゲートをもとに、ネグルは戦場を全力疾走し敵を切り裂く。
 その一方、ナイチンゲール号の甲板に立つヴィクティムは、意識を電脳に没入。
 現実と電脳、ふたつの世界の視界が折り重なり、グングンと母艦にフォーカス。
 所詮は朽ちた屍。もとより、ヴィクティムのハッキングスキルの敵ではない。
 だがオブリビオン化により、生物的な不気味な構造となった攻性防壁が、
 その意識体をフラットラインさせようと論理の触手を伸ばす!
『悪いな。昔の俺なら、多少は慌てたかもしれねぇが――』
 一瞬。たった一瞬で、論理の触手はすべて凍りつき、そして砕け散った。
 残るのは冬の静寂。半年前よりもそのスキルはすさまじく高まっている。
『……俺は"成長"するんだよ。Arsene相手にテクノロジー勝負なんざ、万年速い』
 膨大な情報量が流れ込む。ヴィクティムは鼻歌交じりに全武装を支配下に。
 母艦の動力部に過負荷をかけオーバーロードさせると、
 さながらそれを時限爆弾のカウントめいて計測しながら、敵を捕捉。
『さあ、どうしてほしい? 電脳ウィルスで何も知らないままに"凍らされる"か、
 それともこの大砲で根こそぎフューミゲイションしちまうか。楽しいねぇ!』
 実にいい。遥かにいい! この静寂こそが端役の戦場だ!
 ドウドウドウドウ――!! 母艦の全銃座が火を噴いた!

「さっすがヴィクティムさんだね! よし、ならボクも――行くよ、イルダーナ!」
 遥か彼方を疾走する幻影の速度を見、リアはそれを模倣しようとする。
 "五光の神速疾走(ブリューナク)"。より鋭角的フォルムにイルダーナが変形!
 弾丸をもあとに置くほどの速度で駆け抜け、グラビティアンカーを連射!
「――そこだな」
 それを鋭敏感覚で捉えた匡は、動きを止めたウォーマシンの動力部をスナイプ。
 BLAM、BLAMN! ――KBAM! KA-BOOOM!!
 精密な射撃は次々に爆炎を生む。ウォーマシンに逃げ場などない。
 よしんば動きが止まっていなくとも、無力化程度はわけないだろう。
(あいつはこっちを信頼して、囮なんて危ない役割を買って出てくれたんだ――)
 リアを怪我させるなどもってのほか。もちろん、あのバカどももだ。
 自分が見える場所で、もう誰かが傷つくところなど見たくはない。
 ……ああ、そうだ。繋いだ縁を、もう、失いたくはない。
「自分が生きるためじゃない、誰かの未来のための戦い、か――」
 ふと通信機から、疾走するネグルの声が聞こえた。
「過去の残骸ごときが、私たちに勝てると思ったか? 退くがいい!
 此処から先は、私たちが――この世界の人々が進むべき、未来への道だ!」
 その声から感じられる、物言わぬ鋼たちへの同族嫌悪めいた感情。
 匡は弾丸を放ちながら少しだけ静寂に身を浸し、そして言った。
「……"そういう"自分を、今日だけは、許してもいいかな」
 それこそが、未来を拓く鍵になると信じて。

●ナイチンゲール号の死闘:船内
 ……一方、ナイチンゲール号船内!
「…………いやいやいや! ちょっと、ロク、ジャック! 何してるの!?」
 ミコトメモリは慌てていた。思わず素でツッコミを入れていた。
 船の外では、頼りがいのある男たちと少女がかっこよく戦っているというのに!
「なんで! こんな船の中で! 火をつけちゃってるのさ!?!?」
 ……なぜかロクが、バリバリ放火の真っ最中だったのである!!

「だいじょうぶ。直してくれる」
《――それは本機の能力を頼ってのことだろうか。まあ可能だが》
「うんさりげなくボクも頼りにされてるね!? まったくしょうがないなあ!」
 ジャガーノートとミコトメモリの言葉に、ロクはにこりと淡く微笑んだ。
 そして獣の如き凶相で敵を――新たに来たる鋼の病どもを睨みつける!
「――ああァアアア!!!」
 咆哮! ごうごうと燃え盛る轟赫(ごうか)のたてがみが四十と七つ荒れ狂う!
 そして焔。めらめらと燃え上がるそれは、ウォーマシンの目にどう映る?
『熱源反応、および咆哮を確認。大型の動物生命体と推測』
『対大型生物用プログラム、ロード。システム、同期開始』
『陣形プログラム、AD-20333を選択。散開せよ。散開せよ』
 鋭敏なセンサーが仇となった。敵はそこに居もしない獣を幻視したのだ。
 それだけの大型敵性体を相手にするには、当然相応の規模の三階が必要となる。
 それこそが狙いだ。すでにジャガーノートの布石は済んでいる!
《――侵入者の撃破を開始。3、2、1――起爆》
 KA-BOOOOM!! KRA-TOOOOM!!!
『『『『!?!?!?』』』』
 爆弾だ! 各所に設置された爆弾が同時に起爆し、船の外壁を破壊した!
 疑似大気と人工重力が一瞬にして無効化され、ごうごうと空気が呑まれていく!
 爆風に煽られたウォーマシンどもは、そのまま外へと排出されてしまうのだ。
 遅れて、外からKBAM! KBAM!! といういくつかの爆発音。
 おそらく匡か、さもなければリアによる攻撃だろう。大した腕前である。
「ってまたふっとばしたな!? もうちょっとスマートなやりかたはないのかい!」
 しかしミコトメモリからすると気が気ではない。
 ぶつくさ文句を言いつつ、髪を抑えながら宇宙服の推力で飛翔。
 穿たれた穴の縁に、そして燃え盛る焔の端に触れ、目を閉じて想起する。
 あの事件――邪悪なるAIによって支配された、ナイチンゲール号の暗闇。
 そこでの戦い。命を賭して船員を救った、勇敢な船長の幻影。
 忌まわしき姿に変えられたかつての人々。その人々が愛したこの船の姿――。
「さあ、小夜啼鳥。キミを愛した人々がくれた姿を、この記憶の欠片で取り戻せ」
 まるで逆回し映像のように、破壊された船体が、延焼した地点が修復されていく。
 それはこの区画だけではない。この死闘によって破壊された船そのものをも、
 "正しく"あった過去へと巻き戻す。それがミコトメモリの能力なのだから。

《――どうやらこの区画はこれで十分のようだ。次の区画へ移ろう》
「了解。……って、結局船体を修復したのボクだけじゃないかな、これ」
「小さな国の長なら、そのぐらいできる」
 なぜかぐっと握り拳を見せながらいうロクの言葉に、ミコトメモリはむっとした。
「いま小さいって言ったな!? ちゃんと聞こえてたんだぞ!
 いいかい、ボクの身長を語る時は、王冠まで入れておくれよ!!」
 どうやら気にしているらしい。ロクはしょんぼりと耳を伏せさせた。
「……ちいさい、かわいいのに」
「そ、それは、まあそれなら……い、いややっぱりダメ、ダメだからね!」
 などと言っているふたりは、ふっと聞こえた"声"にそちらを見た。
 鋼の豹――ジャガーノートが、かすかに肩を揺らしていたのだ。
「……ジャック、わらってるのか?」
《――ああ。身長を気にするのは可愛げがあると思ったのでな――フフ》
 ロクはびっくりした。ハイパーびっくり顔で宇宙を背負った。
「キミねぇ、ボクのことを笑うなよ! まったくもう、ふたりしてっ!」
《――本機とて、たまに笑うくらいの"人"らしさはあるとも》
 その言葉に、ロクは大きく目を見開き……笑った。
《――ところでミコトメモリ、ひとつ指摘しておきたいことがある》
「なにさ! まだボクの身長のことを言うならただじゃ」
《――おそらく、ヴィクティムはこの通信も傍受しているだろう》
 ぴたり。ミコトメモリの動きが止まった。
 各々の宇宙服に、悪童の押し漏らした笑い声。おそらく他の面々のものも。
 唯一ため息をついているのは、おそらく仕事をようやく終えた匡だろう。
「……こっ、こ、こらーーーーーーー!!!」
 船中に、幼き姫の声が響き渡ったという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『宇宙航路開拓作戦』

POW   :    探索や転移の障害となるデブリなどを取り除く

SPD   :    周辺の警戒を行い、敵襲に備える

WIZ   :    宙域の地図データを作成する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●この船に託されたもの
 ウォーマシン船団の襲撃を凌ぎ、乗組員の手当と船体の修復が始まった頃。
 艦長・パトリックは、猟兵一同をブリッジに集め、こう語った。
「このナイチンゲール号には、僕たちが乗り込む前に住んでいる人々がいました。
 その方たちは、銀河帝国の配下の手で殺されてしまったのですが……」
 言いながらパトリックが見せたのは、この世界にそぐわぬ古めかしい日記帳。
「これは、当時の船長が亡くなる前に船外に射出した……と、思しきものです。
 つい先ごろ、小惑星帯を漂っているのを発見されたとかで……早速読んでみました」
 そしてこの本によれば、かつての船長は"ある夢"を抱いていたのだという。
 ――他でもない、新天地。すなわち生存可能な惑星の発見という、未曾有の夢を。

 言うまでもなく、それは子供が思い描くようなありふれた夢である。
 かつての艦長も、『いつか叶えばいい』程度にしか夢想していなかったのだろう。
「けれど、この船は長い時間をかけて僕たちの手に渡り、いまこの日を迎えました。
 そしてこの世界も同じように……皆さんのおかげで、チャンスを掴んだんです」
 この未踏宙域に惑星があるかどうか、それもまた未知数である。
 生存可能な領域など、どこにもないかもしれない。
 むしろ、既知宇宙よりも過酷な環境であることは間違いないだろう。
 クエーサービースト。その総体すらも明らかにならない天体生物がいる限り。
「……でも、僕はこの船に乗れたことを、そしてこの日記を取り戻せたことを、
 単なる偶然だとは思いたくない。今日この日は、皆で掴んだ未来なんですから!」
 青年は言う。
「だから、この先に何があるとしても、僕らはどうしてもこの船で征きたいんです。
 もっといい船はあるかもしれない。もっといいクルーもいるかもしれない、でも」

 その言葉を、腕組して聞いていた"色男"ジャックが、肩を叩いて遮った。
「……ま、旅は始まったばかりだ。例のクエ……なんとかもお目見えしてないだろ?
 そう肩肘を張ったって、なあ? それに働くのは猟兵である旦那がただしな!」
 ワハハ! とかひとりで笑うが、誰も笑わないのでろくでなしは縮こまった。
「と、とにかくですね? 気負わずに、まあそこそこ緊張しながらいきたいなーと!
 俺は思うんだけど!? ダメ!? ねえ緊張感ほぐすのダメ!? ねえ!?」
 相変わらずな様子に、やがてナイチンゲール号の船員たちが吹き出し、笑う。
 張り詰めていた様子のパトリックも、幾分リラックスした様子で頷いた。
「……そうですね。猟兵の皆さん、まだまだ多くの仕事をお願いしてしまいますが」

 船の修復。
 怪我人の治療。
 若者たちの訓練。
 そして何より、周辺宙域の探索や、デブリの排除。
 場合によっては、先のような探査艦隊の成れの果てとの交戦もありうる。
 いつ来るかも知れぬクエーサービーストへの警戒と備えも重要だろう。

 だが、いまは。
 仲間同士、あるいはこの船に乗る人々(と、なんか余計な男)と交流を深め、
 来たる戦いに思いを馳せる時間ぐらいはあるはずだ。
 先は長い。この航海は何日もかかることだろう。
「ようし、んじゃ俺らも働くとすっか! な!」
「はい! 改めてよろしくおねがいします、皆さん!」
 かくして、未知なる宙域を進む旅路が、本格的に始まることになる。

●特殊ルール:未知宙域の航海
 このパートはPSWの例示に限らず、自由度高く考えれ貰えれば。
『デブリの排除』
『周辺宙域の哨戒』
『星図データの作成』
『NPCとの交流(パトリックやジャック以外の船員でももちろんOK)』
『NPCになんらかのトレーニングや講習などを行う』
『食堂やリラクゼーション施設でのリラックスした一時』
 などなど。もちろん示し合わせた方と語らうような暇もあるでしょう。
 この未知の宙域では、どんなことでも航海の役に立つはずです。
(暗中模索の旅路ですからね!)
 半ば日常フラグメントみたいなおつもりで考えていただいても構いませんので、
 皆さんのご参加をお待ちしております!

●プレイング受付
『2019/09/07 08:31』
 から、
『2019/09/09 12:00前後』
 までとします。
 時間外のプレイングは採用優先度が下がります。ご了承ください。
リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ歓迎

旅行に来たわけじゃないけども、初めて受けるえすて、は心地よかった
なるほど、これは櫻が気に入るわけだね
星空を見つめながらゆったりゆっくり

つるつるだ
櫻ももっともっと綺麗でかっこよくて可愛くなったよ
ふふ、僕も心地よい
眠くなってくるよ
ヨルはなんかぐるぐる巻きだけど楽しそうだ
そうだ、機械が襲ってきてたんだって
君は機械を斬るのも好きなの?
……そ、そう……
愛は、僕のがあればいいだろ…

戦ってないのにいいのかな
次頑張ればいいよね
なんて甘くなるのは君のせい
新しい星ってどんな所なんだろう
皆が笑顔で過ごせるような星だといいな
僕も見てみたい
そう
櫻となら

夢見心地で鼻歌を
ふわふわ幸せな時間だ


誘名・櫻宵
🌸リル/f10762
アドリブ歓迎

はーー
宇宙旅行もいいものね
宇宙エステも極楽だわ
戦い疲れも癒されるわぁ
戦ってないけど

リィと一緒にエステを受けながらリラックス
なんて心地いいのかしらと夢心地
星空を眺めながらのエステでお肌も心もツルツル
リィも更に可愛いくなってどうしましょ
どう?初めてのエステは
ヨルもマダムみたいになっちゃって…
うふふ
あたしは鋼より肉を斬ったほうが楽しいのよう
何より愛を感じるじゃない?

いいの
こうして身体を休めて
来る何とかっていうやつに備えるの!
新天地の惑星?あたしも見てみたいわ
どんな所なんでしょうね
リィと一緒ならどんな星も素敵な場所よ
リルの楽しげな鼻歌
マッサージは心地よいし
宙もいい所ね



●航海初日のとあるカップルの話
 かくして、前人未到の外宇宙を探査する過酷な旅が始まった……。
 と言っても、いきなり艱難辛苦が、全ての人々にのしかかってくるわけではない。
 ナイチンゲール号の船員や、働くと決めた猟兵たちならばともかく、
 バリバリリゾート満喫気分で船に転移してきた猟兵もいることにはいるのだ。
 新たに転移してきたふたり……誘名・櫻宵とリル・ルリはその好例と言えよう。
 怪我人の治療や船体の修復で慌ただしい中、ふたりが何をしていたかと言うと!

「は~~~、宇宙旅行もいいものね~、極楽だわ~」
「ん~~~、たしかに……悪くないね、えすて……」
 エステをしていた。
 ただのエステではない、スペースシップワールドで味わえる宇宙エステだ!
 宇宙な所以? 宇宙船でやるから宇宙エステなんだよ!
「ってだらけすぎだろッ!!」
 びしぃ! と、自称エキスパート、ろくでなしのジャックがツッコミを入れた。
「え~? だってせっかくリラクゼーション施設があるなら使わないとじゃない?」
「そもそも僕たち、まだ戦ってないし……状況、あんまりわからないから……」
 悪びれる様子もない(むしろ安楽椅子に座ってほんわかのんびりしている)二人。
 さしものジャックも色々言いたいことが湧いたが、飲み込むことにした。
「……まあ、こっちはあんたたち猟兵に仕事を頼んでる立場だ。
 それにいつ戦闘が起きるかもわからない、今のうちにリラックスしてもらうのも」
「うふふ、リィのお肌ツルツルね! 見ていると心までツルツルになっちゃうわ!」
「櫻も、もっともっと綺麗でかっこよく可愛くなっちゃったね。ふふふ」
「……いややっぱだらけすぎじゃねえ!?」
 完全にふたりの世界に入っていた! でも仕方ないよね!

 ……とはいえ、櫻宵とリルの行動は、決して咎められるようなことではない。
 ジャックが言ったとおり、猟兵の仕事は多い。なぜか人数もハチャメチャに多い。
 この何が起きるかわからない船旅では、いかにリラックスするかも重要。
 しかも未知の天体生物との戦闘が確定している以上、変に肩肘を張るよりは、
 こうして戦いに備えてゆったりと英気を養うのも大事な"待機任務"なのである。
「あたしは鋼より、肉を斬るほうが楽しいし? 趣味じゃないのよからくりって」
「ふうん、そういうものなんだ?」
「やっぱり生きてる誰かの首を斬ったほうが、愛を感じるっていうか」
「……そ、そう……。いや、愛は僕のがあればそれでいいでしょ!」
 などとイチャイチャしているが、それも大事な大事な仕事なのだ!
 伝説の戦士の再来、猟兵たちがしかめっ面をしていては、船員も休まらない。
 ……と、ふたりがそこまで考えているかはさておき。
「私たちリラクゼーション施設の職員も、こうして働いているほうが気が紛れます。
 どうか気負わずに、いまぬうちに安心できる時間をご堪能くださいませね」
 にこやかな施設のスタッフの言葉に、リルもそっか、と素直に頷いた。
「それにしても新天地の惑星を探す……ねぇ。あるかどうかもわからないのに」
「でも、探さなきゃ見つけようがないよね。こんな危険な場所でも、さ」
 海の中で過ごす人魚であるリルにとって、暗中模索の恐ろしさはよくわかる。
 日差しすら差し込まない深い海、手がかりもなしに泳ぐのは自殺行為だ。
 ……そう、暗闇を進むのは、とてもとても勇気のいる恐ろしいことである。
 櫻宵という灯火を手に入れたリルだからこそ、その怖さはよく理解できるだろう。
「どうしたの、リィ?」
 こちらを見返す愛するひとのかんばせを見て、リルは思考を打ち切った。
「ううん。この探索がうまくいくといいなって」
「そうねぇ。新しい何かを探すのは、とてもいいことだもの」
「――君と一緒にそれを手伝えるなら、僕にとってもいいことだね」
 そんな人魚の言葉に、櫻宵はやだわもう、と赤面して照れ隠しをした。
 夢見心地の、鼻歌交じりの安らかな時間。思わず眠ってしまいそうになる。
 櫻宵も、リルも、いまこのときの休息をたっぷりと堪能していた。

 おそらく、彼らもいっぱしの戦士として、第六感めいて知覚していたのだろう。
 この船旅は、けっして易くはない難行。敵は文字通りに"巨大"で"強大"であると。
 だからいまは、命を預け合うひとと、つかの間の一時を過ごそう。
 そんなふたりを見て、猟兵の様子を見に来たジャックも、肩をすくめた。
「……ま、皆に迷惑をかけない程度にな」
 という"色男"の声は、見つめ合うふたりにはたして届いていたのやら。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

霑国・永一
【花の涯】
せっかくの宇宙だ、外に出てデブリ排除する方が楽しめそうだなぁ。無重力なんてのも中々体験できるものじゃないしねぇ。
それじゃ、女将さん、どちらが多くのデブリを排除できるか勝負しようか

狂気の銃創で邪魔なデブリに打ち込んで砕いていくよ
せっかくの無重力、無駄に逆さに浮いたりして遊びながら排除していこうかなぁ
おや、女将さんもやるじゃあないか

一頻り排除終わったら腹も減ったことだし、女将さんを呼び戻して飯でも食べに行こう
とりあえず女将さんの手を引いて…おや、バランスが?
なんだか抱き合う形になったけどもう面倒だからいいや、女将さんを抱いたまま連れてこう
なんか顔赤くしてるの面白いから逆に抱き寄せてやるか


千桜・エリシャ
【花の涯】

でぶり、とは宇宙のごみのことですのね
確かに楽しそうですし
珍しく意見が合いましたわね
ふふ、お掃除でしたら負けませんわ!
その勝負、受けて立ちますの

無重力空間でふわふわ
これだけでも楽しいですわね
永一さんの真似をしてくるくるしながら
鬼火で塵一つ残さず燃やしていきますの

鬱憤をこれでもかと発散できた気がしますわ
ええ、そろそろお腹も空きましたし
と、永一さんの手を取れば
勢い余ってその胸に飛び込んでしまって
…!?ちょっ!?これは事故ですからね!?
って、なんでそのまま移動し始めてますの!?
離してくださいまし!
ぽかぽか叩くも諦めてされるがまま
あなた、楽しんでいるでしょう?
その眼鏡、いつか叩き割ってやる…



●航海初日、とある泥棒と羅刹の話
 未知宇宙領域とはいえ、完全な無が広がっている、というわけではない。
 先の艦隊のような、かつて銀河帝国が送り出した大規模船団の残骸。
 あるいは既知宇宙から長い時をかけて漂着したなんらかの物体……つまりデブリ。
 人工物の残骸にせよ、小惑星の欠片といった自然の物体であるにせよ、
 宇宙空間においてのそれらは、見た目以上の恐ろしい危険度を有している。
「宇宙のごみ、とは言いますけれど。そんなに目くじらを立てるものかしら」
 千桜・エリシャの言葉は、いかにも見当のつかない若者めいたものである。
 そもそも彼女はサムライエンパイアで生まれ育った生粋の羅刹であろうし、
 猟兵としてスペースシップワールドに来たことも片手の指で数えられる程度。
 ましてや航宙的な知識となれば、門外漢であって何の不思議もない。
「ふうむ……女将さんにわかりやすく説明するにはどういえばいいかねえ」
 そんな彼女と並んで発着ゲートに向かう霑国・永一は、やや思案したあと、
「……ああ、そうだ。女将さん、桜の花びらを思い描いてごらんよ」
 と言った。
「花びら、ですの?」
「そうさぁ。桜の花びらが、水の表面に浮かんでいるのを想像してみるといい」
 言われたとおり、エリシャは水面に桜の花びらが浮かぶ様子を思い描く。
「まあ、笹船でもなんでもいいがね。水に浮かぶものは、押したら流れるだろう?」
「当然ですわね。花びらは軽いですし、沈みもしませんし……」
「そう。宇宙空間じゃ、物の重さってのは存在しないようなもんなのさぁ。
 しかも、風がないから、物の速さが落ちたりもしない、ってわけだねぇ」
 そう言われたエリシャは、ややあってはっ、と何かを理解した。
「……それじゃあ、小石程度の小さなものでも、とんでもない速度になりますわね」
「その"とんでもない速度の小石"がぶつかったら、この船の壁も簡単に壊れるさぁ。
 どうだい? たかが小石でも、宇宙空間じゃ放っておけない危険なゴミなんだよ」
 もちろん色々語弊はあるしかいつまんでもいる。が、永一とてただの泥棒だ。
 彼なりに言葉を選んだ説明だが、エリシャはデブリの危険性を漠然と理解した。
「そう考えると、宇宙のお掃除もなんだかやる気が湧いてきますわね!」
「じゃあ女将さん、俺とどっちが多くデブリを掃除できるか勝負するかい?」
 永一の挑戦的な笑みに、エリシャは年相応のあどけない顔で見返した。
「その勝負、受けて立ちますの。お掃除でしたら、宇宙でも負けませんわ!」
 かくして、ふたりは船の外でデブリ掃除をすることに相成ったのだ。

 特殊宇宙服を纏ったふたりは、軽く無重力空間での身のこなしを練習したあと、
 進路上に確認されたデブリの堆積地帯へと先行した。
「俺はあの戦争に参加してたからねぇ、少し見本でも見せておこうか」
 などと言うと、永一は、漆黒のトカレフ銃を器用に操りデブリ撃墜をこなす。
 宇宙服の推力で銃の反動を殺す手際も、あえて反動を受けて遊泳するさまも、
 なかなか様になっている。この男、こういうことはそつなくこなせるらしい。
「そのぐらい私だって出来ますわっ。こうすればいいのでしょう?」
 さすがはエリシャ、一瞬で遊泳のコツを掴み、次々と鬼火でデブリを燃やす。
 はるか遠くの星々を背景に、漆黒の宇宙に桜色の羅刹が踊り鬼火を手繰るさまは、
 まるで一枚の絵のように幻想的であり、あっという間にデブリは数を減らした。
「おや、女将さんもやるじゃあないか。負けられないねぇ」
「当然ですわ。うかうかしていると圧勝してしまいますわよ?」
 時折、弾丸が鬼火が、ふたりのすぐそばを掠める。無論、わざとである。
 むしろ、ふたりして互いに、各々の得物にぶつかりに行くような振る舞いもする。
 さながら、卓越した剣技の遣い手が、死の舞踏を踊るような。
 泥棒と羅刹は、ふたりして薄く微笑みながら、危険な火遊びにしばし興じた。

 ……ややあって、デブリ除去を終えたふたりはナイチンゲール号に戻っていた。
 時刻はちょうど昼。ほとんどの乗組員も手を休めて昼休みを摂っている。
 他の世界と異なり時計でしか時間が判別できないこの宇宙世界では、
 規則正しく行動することが、結果として心身の健康と維持に繋がるからだ。
「食堂へ行こうか女将さん、エスコートするよ」
 疑似重力下に降り立った永一が、ふわりと浮かぶエリシャに手を差し伸べる。
「ありがとうございま――って、あ、わ、わ……っ」
 その手を取ろうとしたエリシャ、しかし急に重力に囚われてバランスを崩したか、
 勢いそのままにつんのめり、永一のほうにどてんっと倒れ込んでしまったのだ。
「おっと? ははは、こりゃまいったねぇ」
「……!? ちょ、ち、ちが、こ、これは事故ですからね!?」
「わかってる、わかってるさぁ。じゃ、行こうか」
「って、なんでこのまま移動してますの!? 永一さん、こら!」
 すっくと立ち上がった永一は、腕の中に倒れてきたエリシャを両手で抱え上げ、
 いわゆるお姫様だっこの状態ですたすた歩き始めた。エリシャは赤面している。
「離してくださいまし、もぉー!」
「いやぁ、これなら色々面倒がないしねぇ」
「あなた、楽しんでいるでしょう!? ……その眼鏡、いつか叩き割りますわ……」
「おお、こわいこわい。怖いからもう少ししっかり抱き寄せておこう」
 へらへら笑いながら調子づく永一に、エリシャの生娘じみた叫びが木霊する。
 そんな様子を、宿の面々が目の当たりにしたかは、また別の話である。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

サルファ・トクスホリック
【方針: NPCとの交流→助けた少年】

おうおう、悪ィな食堂に連れてきてもらってよォ。
やっぱあれだけじゃ足らなくてな、ハハ。
身体が身体なもんで甘いものくわねーとチカラが上手く出ねぇんだわ。
食う量多いけど必要経費と思って諦めてくれよ?(大食い)
宇宙の甘味も悪かァねーなァ!ハハハ!
(甘いものを食べてるので上機嫌)

ああ、そォいやお前。
名前なんつうんだ?
俺?"サルファ"。サルファマスタード所縁の名前だぜ、ハハ。カッコよすぎて痺れるだろォ?
知らねェ?はは、そりゃそォだ。いやぁ知らなくていいぜ!

ああ、そうだ。
量はともかく不思議となァ。
お前がくれた奴は美味かった。……隠し味何使ったんだ?



●公開初日:食堂での一幕
 スペースシップワールドに、人々が住むべき惑星は存在しない。
 つまり――無論船によってそれらを再現できるが――自然はなく、四季もなく、
 結果として昼も夜もありはしない。時計の時刻を見て判断するしかない。
 だからこそ、スペースシップワールドの人々は時間を、季節を、正確に把握する。
 春であれば船内の環境を暖かく整え、
 夏であればリゾート船に行き、
 秋ならばリラクゼーション時間を増やし、
 冬はあえて船内の空調を冬のそれに近くする。
 そうしなければ、人間らしさまで失ってしまうと彼らは信じている。
 ゆえに――他の世界からするとさもしいが――食事は大事な安らぎの時間だ。
 多くの人々が賑わう食堂に、またひとり新たな猟兵が現れた。
 鋭い目でじろりと食堂を見渡し、空いている席にどっかと腰掛ける。
 そこでふと、立ったままの少年に気づき、サルファ・トクスホリックは言った。
「おうおう、お前も飯喰ってくんだろ? 一緒に喰おうじゃねェか」
「えっ」
「喰うよな?」
「は、はい……」
 少年乗組員は、言われるがまま対面の席に座る。ふたりの手にはトレイ。
 少年のそれは若者向けにやや量を多くした、この世界では一般的な船内食。
 対するサルファは……原色的な甘味料ですべての皿が構成されていた。
 ジェラートなのかマッシュポテトなのか、よくわからない青みがかったモノが、
 昔話に出てくる山盛りの茶碗飯めいて、こんもりと高く積み上がっている。
「しかし悪ィな食堂まで連れてきてもらったうえ、注文までしてもらってよォ。
 やっぱあれだけじゃ足らなくてな、ハハ――あン、どうした。顔についてっか?」
「えっ。い、いえ! ただすごい量だなって……」
 しかもすべて菓子類だ。おまけに昼時。他に頼んでいる乗組員はいない。
 サルファはジェラート的何かをスプーンで掬い、さっそくもさもさ食べている。
「身体が身体なモンでよ、甘いもの食わねーとチカラが上手く出ねェんだよ。
 運動のあとは腹いっぱい食わねェとだろ? 必要経費と思って諦めてくれよ」
「……あれっ、ボクが支払うんですか!?」
「宇宙の甘味も悪かァねーなァ! ハハハ!」
 聞いちゃいないサルファに唖然とした少年、やがてがっくり肩を落とすのだった。

 量も量ならペースもペース、サルファはもりもりと甘味を食らう。
 見ているだけで胸焼けしそうな光景に、だいぶ辟易していた少年乗組員。
 すると突然、食事に集中していたサルファが、ぎょろっと彼を見返した。
「ああ、そォいやお前――」
「さ、さすがにもうお菓子はないよ!?」
「違ェーよ。名前だよ、名前。お前、なんつゥんだ?」
 予想外の質問に、少年はきょとんとしたあと、おずおずと答えた。
「……レヴァン」
「ほォ、フツーだな!」
「そ、そういうアンタ……じゃない、あなたは?」
 ややむっとした様子の少年……レヴァンに、サルファは答えた。
「サルファ。サルファマスタードゆかりの名前だぜ。カッコよすぎてシビれっか?」
「……???」
「知らねェか。はは、そりゃそォだ。いやァ、知らなくていいぜ!」
 なぜか上機嫌な様子のサルファに、首を傾げるレヴァン少年。
 そんなきょとんとした少年に、サルファは続けてこう言った。
「なァレヴァンよ、こうして名前も知り合ったんだ、隠し事はナシにしようぜ?」
「へっ?」
「だからよォ……なァ、わかるだろ?」
 身を乗り出したサルファは、レヴァンに耳を貸すようちょいちょいと指を曲げた。
 そしてぐいっと少年の肩を引っ張り寄せると、周囲を見つつこう囁く。
「あの妙に美味ェ菓子、ドコにあんだよ? 隠しメニューか?」
「……??? ふ、普通の配給菓子だけど……」
「ウソつけ! お前がくれたのと食堂の菓子じゃ味全然違ェぞ? 隠し味か???」
「そ、そんなの入れてない……」
「言わねェと追加注文すっぞ?」
「い、言わなくてもするつもりでしょ!? もぉ、知らないよぉ!」
 少年は嘘をついていない。あれはとっておきのへそくりのようなものだったのだ。
 サルファは考える。だったらどうしてあれは、妙に美味かったのかと。
 ……どれだけ騒いで言い争っても、答えは出そうにない。
 彼がその答えを知るのも、おそらくはまだまだ先のことだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

不慣れなことをするよりは、今は疲労をとるべきかな
見て見て、ちょうど窓際の席が空いてる!
あそこで一休みしようよ

炭酸飲料を手にその席へと

広いねー
見えないだけで、新天地が本当にありそうな気がするぐらい
ふふ。連れ出されるの、今は嫌じゃないよね?
行きたいところ……正直、ヨハンと一緒ならどこでもいいんだ
気付いてくれてる?
これまでだって、君が隣にいてくれたから楽しかったんだよ
贅沢を言うなら闇と槍が要らない場所でのんびりしたいな
過去に訪れた場所で思い出話するのも素敵
でも、そう
尽きないんだよ

……だからね、たっぷり時間をかけて楽しみたいな
この先何年、何十年、この幸せを共有してくれますか?


ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

宇宙空間なんてそう来るものでも無いですし
下手に手を出すよりは出来る人に任せておきましょう

少し疲れてもいるので、どこかで一度腰を落ち着けたいですね
適当に食堂あたりを歩いて、座る場所を見付けましょう

飲み物くらいはあるだろう
珈琲を手にぼんやりと窓の外の星海を見ながら

……それにしても本当に、色々な場所に行きましたよね
まぁ殆どあなたに連れ出された訳ですけど
……どこか行きたい場所などありますか?
依頼じゃなく、どこか行ってみましょうよ
尽きないでしょう、きっと。同じ場所でも季節が巡れば違う景色が見れる
今日と明日でも見える物が違うかもしれない

明日もその先も、あなたと色々な物が見たいよ



●航海初日:食後の一時
 あれだけ満員になっていた食堂が、徐々に人が掃けて静かになっていく。
 ナイチンゲール号の船内規律は、そこまで厳しいものではない。
 もちろん持ち場の作業を――この状況下ではなおさら――サボるのは厳禁だが、
 時間を厳密に守らずとも、そこまで口うるさく注意されることはない。
 宇宙の船旅は、同じ船に住む仲間たちとの信頼がものを言う。海原と同じだ。
 新たな世代の若き少年少女たちは、それを幼い頃から味わってきた。
 鉄の規律がなくとも、彼らはお互いに尊重し助け合うことができるのである。

 ……そんな人がまばらになってきた食堂に、少年と少女がふたり。
 年頃でいえば、船の乗組員たちと同じか、少し下といったところか。
 オルハ・オランシュとヨハン・グレインは、飲料を嚥下して一息ついた。
「さすがにキマイラフューチャーやUDCアースの飲み物より、ちょっと味気ないね」
「コアマシン……でしたか、あれを使ってそのものを精製しているからでしょう」
 いかにコアマシンが万物を創造できる超機械だとしても、物資の制限はある。
 願った瞬間に願った量がそのままポンっと出てくるわけではないのだ。
 必然、この世界の食料や飲料は、他の世界よりも無機質なものが多い。
 そこをあえて手間暇をこめている船もない(この船にもそういう施設はある)が、
 食堂で手に入るものは、あくまで『風味を楽しめる代替物』程度のものである。
「……生命の存在を許されない宇宙を旅するには、必要な制限ですよ」
 コーヒー飲料を手に、ヨハンは窓の外を見やった。
 星見に詳しくないヨハンでも、ガラス一枚隔てた向こうの世界が、
 人類の識らぬ宙(そら)であることははっきりとわかる。
 まったく異なる星の配置。輝き。データがなければ航路すら見失いかねない。
 星図なき宇宙に挑むというのは、つまりはそういうレベルの話なのだ。
「UDCアースには、いくつもの大陸を発見した偉大な航海者がいたそうですが」
 炭酸飲料をごくごくと飲みながら、オルハはヨハンの言葉に耳を傾ける。
「数ヶ月単位の航海も、基本的には既知の大陸の外縁をなぞりながら進むそうです。
 一切手がかりのない宇宙に挑むのは、まさに大海原に漕ぎ出すようなものかと」
「……行く道は当然、来た道すらもわからなくなりそうな旅路、か」
 オルハも、ヨハンの視線を追って窓の外を見た。
「怖いね。こんな広い広い何もない場所に、みんな挑戦してるんだ」
「いまとなっては俺たちも、ですけどね」
「ふふ、そうだね」
 そして、会話が途切れる。

 少しの沈黙のあと、オルハは言った。
「けどそれって、もしかしたら本当に"新天地"があるかもしれないってことだよね」
「どうでしょうか。その手がかりを探すための航海ですからね」
「うん。けど私は、本当にありそうな気がするよ。この広い宇宙を見てると」
 ヨハンはコーヒーを啜り、しばしオルハの言葉を脳内で反芻した。
「……俺たちも、本当にいろいろな場所に行きましたよね」
「そうだね。世界も、場所も、景色も、目的も全部全部違う場所ばかり」
「まぁ、ほとんどあなたに連れ出されたわけですけど……」
 仏頂面のヨハンを、オルハはいたずらっぽい笑みを浮かべて見上げた。
「ふふ。でももういまは、連れ出されるのはイヤじゃないでしょ?」
 ヨハンは答えない。わざとらしくコーヒーを嚥下して、話題を切り替えた。
「…………オルハさんは、どこか行きたい場所などはありますか?」
「もう。ごまさないで――」
「依頼じゃなくて」
 ヨハンは、オルハの目をまっすぐと見ながら言った。
「オルハさんの行きたい場所に、どこでもいいです。……行ってみましょうよ」
 しばし言葉を失ったオルハは、彼の言葉に、ふっと微笑んで首を振った。
「正直ね。私、ヨハンと一緒ならどこだっていいんだ」
「……柄にもないことを言った甲斐がないですね」
「あはは、ごめんごめん。けど、私の気持ちはほんとだよ」
 気づいてくれてる? と、オルハはじっとヨハンの目を見つめた。
 ヨハンは――目をそらそうとして、やめた。カップを置き、まっすぐ見返し、
 少しだけ逡巡したような間をおいて……彼女の言葉に、こくんと頷いた。
「あなたは、俺が隣にいる時間を楽しんでくれている」
「…………」
「……俺も、ですよ」
 オルハは少し驚いた顔をしたあと、わずかに紅潮して微笑む。
 てっきり彼はいつもみたいに黙って、こちらから"ヨハンは?"なんて、
 水を向けてやらないと答えてくれない、そんな気がしていたからだ。
「ああ、でも、贅沢を言うなら、闇とか槍が要らない場所でのんびりしたいな」
「それはまあ、もちろんです」
 苦笑めいて肩をすくめながら、ヨハンは言った。
「行ったことのある場所でもいい。同じ場所でも季節が変われば、景色は変わる。
 今日と明日でも、一日違えばそれだけで――見えるものも違うかもしれない」
「うん。見たことない場所を旅するのも、行った場所で思い出話するのも、
 どっちも楽しそう。……君が一緒にいてくれれば、ね。だから、尽きないよ」
 ヨハンは頷く。
「……俺は」
 オルハはじっと彼を見つめた。
「俺は――」
 ただ見つめる。
 少年は……深呼吸して、言った。
「明日も、その先も、あなたと色々なものが見たい。これから、ずっと」
「――何年でも?」
「何十年でも、です」
 言葉は尽きた。ふたりは見つめあい、幸せを共有するかのように顔を近づけ――。

「おお、こんなとこにいたかおふたりさん! あのよぉちょっと仕事を頼みたくて」
「「!?!?」」
 ばたーん! と食堂に乗り込んできたろくでなしのジャックの声に、
 ふたりはびくぅっ! と大げさなぐらい驚いて、ささっと体を離した。
 さりげなくふたりの様子を盗み見ていた人々が、ギロリと"色男"を睨みつける。
「……えっ!? お、俺なんでこんな睨まれてんの!? なんでぇ!?」
「し、知らないっ! 行こ、ヨハンっ」
「え、ええ……行きましょうか」
 ふたりは互いの顔も見れないままにどたどたと食堂を飛び出す。
 ただ――ふたりして、赤面しているだろうなということは、なんとなくわかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

星図データ…空に浮かぶ星々の在り様を示した地図の様な物だろうか
ならば宵が既にその星図データ…という物の様なものかもしれんなと僅かに口元を緩めながら宵の手伝いをしようと思う
俺は余り星には詳しくはないが…モニタに映された星々を『視力』を使い捉えながら宵と顔を突き合わせつつ星域データの作成の補助をして行こうか
敵がこの位置から現れたならば此方の方が良いのではないか?と同じく『戦闘知識』を使いつつ意見を交わしながら―も
楽しそうに星図を作り上げてゆく宵を眺めればついぞ口元が緩んでしまうやもしれん
ああ、本当に。未知なる空白を埋め一つの物を宵と造り上げてゆくという事はとても心躍るものだな


逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と

星図データの作成ですか
僕は星の術師ですから、何かしらお役に立てることがあるでしょう
ザッフィーロ君の視線にはにこと嬉し気に笑みを返して
いただいた宙域マップと航行データ
そしてモニタに映し出された船の外の視覚情報をもとに
星の精霊とザッフィーロ君と協力して「地形の利用」を行い星域データをつくりあげていきましょう

星の精霊と己の持つ星の知識を総動員させられる機会はなかなかありませんから
「戦闘知識」で未知なる敵の遭遇に備えた船の理想的な位置のことも考えていきましょう

こういうのもとてもわくわくしますね
知らないことに挑戦し、新しいことを開拓するというのも、とても心が躍るものです



●航海初日:星の地図作成
 土地を問わず文明を問わず、太古の旅人は、星を頼りに旅をしたという。
 砂漠で、凍土で、密林で、草原で、無論海でも地上でも、星は道標となる。
 ならば、宇宙を旅する船々が、星の地図を頼りにさすらうことは当然であろう。
 宇宙には天地上下もない。ゆえに、星の場所と"近さ"が頼りとなる。
 スペースシップでの旅には、星系図はなくてはならない大事な手がかりなのだ。

「……なるほど。おおよそ、どういったものかは理解できた」
 ブリッジに集められた面々で、初めにザッフィーロ・アドラツィオーネが言った。
 他の世界で、しかもヤドリガミとして生じたザッフィーロは、
 当然のことながら宇宙の航海に関しては素人同然である。
 敵が来るならばただ打ちのめせばよい。どこが舞台であろうとあまり変わるまい。
 しかし、こと旅路のこととなると、聖職者めいた男は門外漢となってしまうのだ。
「といっても、俺はあまり星には詳しくない。だが、星に聡い者は知っている」
 ザッフィーロが一瞥をくれた先には、彼の片割れである逢坂・宵がいた。
 乗組員たちの視線を受けた宵は、にこりと人当たりのいい柔和な笑みを浮かべる。
「あいにくと、僕もこの世界の技術体系について詳しいわけではないのですが……。
 僕が用いるのは星の魔術。であれば、星読みにおいてもお役に立てるでしょう」
 さすがは猟兵。戦いだけでなくそんなことまで解決してしまうとは。
 ……と、少なからぬ乗組員が、その言葉の自信ぶりにどよめき、感嘆した。
(これでいいですか、ザッフィーロ君?)
 などと言いたげな顔をして、水を向けてきた片割れに笑みを返す。
「……しかし、そうなると俺は何をすればいい、宵?」
「そうですね……」
 顎に手をおいて思案したのち、宵はザッフィーロに言った。
「いくらこの世界の技術が優れているとはいえ、星を読むのは人の仕事。
 であれば、ザッフィーロ君には、僕の"眼"となってもらいましょうか」
「あの傀儡どもと戦ったときと、逆のポジションになるわけだな」
 そうです、と頷き、宵はこつん、と星海めいた杖で床を叩く。
 石突の鳴らした音が姿形を得たかのように、きらきらと光が舞い踊った。

 ……宵の生み出した光は、彼がその魔術によって使役する"星の精霊"たちである。
 天空から地上を照らす、星の光そのものに生じた、人ならざる魔力の生命体。
 心なしか精霊たちも、他の世界で活動するよりも生気に溢れているように見える。
「こちらのモニターに、調査結果の映像や写真を表示してもらえますか?」
 宵の言葉に、オペレーターが頷き、彼らの周囲にいくつもの立体映像を投影した。
 猟兵や船に備え付けられた各種映像機器によって撮影された、周辺の映像だ。
 ザッフィーロはしばしそれを睨み、立体映像に手を伸ばすと、
 一見するとまったく代わり映えのないそれらを、並び替え始めた。
「……いまの船の針路を北とすると、これは南南西に当たるな……こちらは北東だ」
 現在地点のリアルタイムの映像と、撮影されたものを緻密に見比べて、
 それらの星々が航路上どの地点に当たるのか、一瞥しただけでわかったらしい。
 まるでジグソーパズルを組み上げるかのように、いくつものウィンドウが接合し、
 やがてふたりを中心に、全天球プラネタリウムめいた映像を作り出した。
「……さすがはザッフィーロ君ですね。あなたの"眼"は頼りになります」
「見たものを見た通りに並べるだけのことだ。自慢するほどではない」
 言いつつも、ザッフィーロはいくつかの映像をしばし睨み、押し黙った。
「……たしか敵はこちらの方角から現れていたな。念のため調査をしたほうが、
 銀河帝国の調査部隊が残したデータを入手できるのではないだろうか」
「なるほど。近くに小惑星帯があるようですからね、安全なルートは――」
 ちらちらと宵の周囲に星の精霊たちが瞬き、人ならぬ言葉で術師に囁く。
 無論、そのすべてが真実とは限らない。精霊とは気まぐれで曖昧なものだからだ。
 はたしてどれが正しく、どれが航海に役立つものなのか。
 耳をそば立て、思考を巡らせ、取捨選択を行うのが、宵の仕事なのである。

 もちろん、ふたりが少し手伝った程度で、作業が完全に終わるわけはない。
 星図の作成は、今後この航路を調査する後続の船団に向けたものである。
 より効率的に、より安全に、そしてより精密な調査が出来るように、
 少しずつ 少しずつ、薄皮を重ねるように、この暗い星の海を解き明かすのだ。
 さながらそれは、未知の言語で書かれた書物を、一ページずつ解読するかの如く。
「……どうしました? ザッフィーロ君。そんなに頬を緩ませて」
「笑っていたか? いや、宵が楽しそうなのを見ているとつい、な」
 ザッフィーロがそう言うと、宵は一瞬だけきょとんとしてから吹き出した。
「失礼。年甲斐もなくわくわくしてしまったもので。つい」
「いやいいさ。――未知なる空白を埋め、一つのものを宵と創り上げてゆく。
 そう考えてみれば、俺も……この作業は苦ではない。いや……楽しい、な」
 宵は薄く微笑んだ。ふたりの周囲を星の精霊たちがきらきらと舞い踊る。
「ええ。僕もですよ」
 それは冒険心に溢れた少年同士の語らいのようでもあり、
 大切な人との一時を愛でる、大人同士のロマンチックな言葉でもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アラン・サリュドュロワ
マリークロード(f19286)と
成程、殿下は頭がよろしいですね
まあ籠るのは性に合わないな

『宇宙』という常夜の海は己の知る海とも違う
バランスを崩しかけた彼を支える
動作にコツが要りそうですが、すぐ慣れるかと
それとも、手でも繋ぎますか

哨戒というより散歩をしながら歩く
君は暗闇を怖れないのだな
この光景は美しいが、俺は陽の光がすでに恋しい
スーツ越しに握る手は小さい
さて、我々の世界なら神が光あれと示されるが
此処では祈りが届くのやら
果てしなく自由だが、探さなければ何も手に入れられない
……手が届くというのは、幸いなことだな
手の先へ面白そうに笑いかけた
それはそれは、君に誰かが触れられないよう大事にしておかないとな


マリークロード・バトルゥール
アラン(f19286)を伴に
外敵が来たという事は哨戒が必要だと思うわ
籠るのはおしまい。わたくしたちは外に出てみましょ

外界探索用装備に着替え、未知なる真暗き海へ一歩
まあ、これは……慣れる迄に時間が掛りそう
儘ならぬ中の良案に対し手を差し出して約束を
良いこと、わたくしから離れぬようにね?

水中とも空中とも違う浮遊感
幽か瞬く光を頼りに船の周囲をゆっくり漂い歩く
気を抜いたら宙に溺れてしまいそう
でも船から眺めている時より心躍るわ

暗闇は悪いばかりではないわ
全てに等しく訪れ光の有難さを教えてくれるものよ
神が居ずとも闇の中でも根気よく手探ればきっと大切は見つかる筈
ああ、でも
触れた品が本物かどうかは確かめないとね?



●航海初日:哨戒任務の最中にて
 言うまでもないことだが、この未知宙域ではいつ敵が襲撃してもおかしくない。
 グリモア猟兵の予知によって、クエーサービーストの接敵は確定しているものの、
 それ以外の勢力――つまり銀河帝国の成れの果て――がもう居ない……とは、
 誰も確約できないのだ。ゆえにこそ、この探査航海は非常に危険なのである。

 そんな旅の危険性を、マリークロード・バトルゥールはよく理解していた。
 宇宙であろうが海であろうが地上であろうが、外敵に備えるのは長旅の大前提。
 しかもこの宇宙では、虚空に漂う塵ひとつですら油断ならない障害となる……。
「……と、勇んではいましたけれど。いざ宙(そと)に出ると、これは中々……」
 先の銀河帝国攻略戦で猟兵たちが手に入れた、特殊宇宙服。
 無色透明、かつ生身となんら遜色なく活動できるほどに肉体に馴染み、
 視界内の相手と無制限に会話を可能とし、燃料なくして推力を発生させる超技術。
 古代文明のオーバーテクノロジーが、マリークロードの体を覆っていた。
「なるほど、殿下は頭はよろしい――ですが、まだ宇宙は不慣れなようで」
 バランスを崩しかけたマリークロードを、アラン・サリュドュロワが支えた。
 彼らはいま、甲板上で無重力下の移動方法を予行練習しているというわけだ。
 常に騎士として体幹を意識して踏ん張るスタイルが幸いしたか、
 飲み込みに関してはアランのほうが一歩先を行っているらしい。
「まあ、失礼だこと。でもそうね、慣れるまで少し時間がかかりそうかしら……」
「もう少し練習しますか。それとも――私と手でも繋ぎますか?」
 アランの冗談に対し、マリークロードは怒る……かと、思いきや。
「名案ね、さすがはわたくしの騎士だわ。では決して、わたくしから離れぬように」
 などと"姫君らしく"微笑んで手を差し出す彼を見て、アランは嘆息したという。

 ……とはいえ、あれだけの襲撃があった直後だ。
 銀河帝国の成れの果てが(この付近に)残存している可能性はほぼ皆無である。
 ましてや、噂のクエーサービーストが、こんな既知宙域の外縁に居るはずもない。
 つまりふたりは、今後の哨戒任務に備えて――というのは実質ほとんど名目で、
 一種の散歩のような軽い気持ちで、船の外に出た、というわけである。
 求められた通りにマリークロードの手を握りつつ、アランは宇宙を見つめた。
 見たことのない星々。それは、慣れ親しんだ世界で見上げる夜空とも、
 まだ慣れない異世界で見上げる星空とも違う。星と自分の間に何もない場所。
 足元をしっかりと支える大地がないこともあって、まるで波にさらわれるような、
 心地よくそしてぞっとするほど不気味な――不思議な心地が彼を包む。
「……この常夜の海に、陽の光が昇ることはないのだな」
「"昇る"という表現自体、きっと正しくないのでしょうね」
 アランはその言葉に、マリークロードのほうを見た。弾む声音のほうを。
「……君は、暗闇を恐れないんだな」
「あら? 当然でしょう? 暗いところはわたくしにとって都合のいい領域だもの。
 それにこの、かすかに瞬く光――船の窓から眺めているより、心が躍るわ」
 その言葉は、はたして"彼"が装う淑女としての言葉なのだろうか。
 あるいは、王女の皮を被り、誰にも打ち明けられない密命に従う"彼"のものか。
 読めない。読めるはずもない。それはこの宇宙の暗闇よりも昏く不可解だ。
 アランは決して手を離すまいとしつつも、この小さな手の持ち主を、その心を、
 ほんの少しだけ恐れた。きっと、慣れない暗闇が騎士に弱気を齎したのだろう。

「けれどね、アラン。暗闇は、悪いことばかりではないわ」
 陽の光を恋しく思う騎士に対し、マリークロードは静かに言う。
「暗闇は、却って光を引き立てる。すべてに等しく訪れる光のありがたさを、ね」
「光、か。さて、我々の世界なら、全能たる神が"光あれ"と示されるが――」
 はたしてこの異世界で、誰も知らない暗闇で、神とやらに祈りを捧げたとして。
 己のそれは、届くのだろうか。届いたとして――応える光は、あるのだろうか?
「神がおらずとも、人にできることはあるわ」
 エルフの少年は言った。
「たとえどんな暗闇の中でも、根気強く手探れば、きっと何かを見つけられる。
 その人にとって大切な――何ものにも代えがたい、大切なものだって、ね」
「……この世界の人々にとっての、新天地のように?」
「ええ」
 頷く姫のかんばせをしばし眺めたのち、騎士は言った。
「はてしなく自由だが、探さなければ何も手に入らない……か。
 なにかに手が届く、というのは……思ってみれば、とても幸いなことだな」
 青年らしからぬ素直な微笑に、マリークロードは小悪魔めいて瞳を細めた。
「けれど伸ばした手の先にあるものが、本物かどうかは保証できないわよ?」
「それは怖い。なら、この手にあるものはきちんと離さないようにしなくては」
 星々の海に、しばし――仮面舞踏会のように、光と影を背負うふたりが舞い踊る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神元・眞白
【SPD/割と自由に】
暫くゆっくりできるなら今のうちに色々やってみよう。
最近違う世界で動き続けてたし皆にも休んでもらわないと。

飛威や符雨には休んでもらって……私はどうしよう。うーん。
そうだ、何回か来たことはあるけど中を回った事があまりないし
この機会に中を見学させてもらおう。面白い発見があるかもしれない。
知らない場所のお散歩に。これも観光?

暇な人もいれば合わせて動いてみて……1人よりも2人。2人よりもたくさん。
回って行けばナビゲートの時も実地想定できるし……もう1回ぐらいやらせてもらえるかも。


三咲・織愛
眞白さん(f00949)と
船内探索しまーす!

あっ、今回も前回のあらすじが見れたりするのかしら?
見られる場合は座って見せてもらいましょうっ

ともあれ宇宙船の中ってなんだか不思議ですねぇ
普段見ている星空がこんなに近いです

あ、眞白さん待って待ってー

何か面白いものはないかしら
すばばばーーんとビームを打てちゃう砲台とか
無重力を体験できるお部屋とか
なんだか船内が複雑で疲れてきちゃいました
ここはどこなんでしょう

えいっ(扉をたたき割る)
この下は何かしら?(ばきっ)
眞白さんは面白いもの見付けましたかー?(べきゃっ)

よくわからないですけど怒られてしまいました



●航海初日:自由すぎるふたり
「…………僕らは、猟兵の皆さんのことを尊敬しています」
 船長パトリックが、ものすごく言葉を選ぶような沈黙を挟んでそう言った。
「もちろん感謝だってしています。この船がこうして航海に出られたことは、
 何から何まで猟兵の皆さんのおかげです。どれほど感謝してもしきれません」
「それほどでもない」
「そこまで言われると照れちゃいますよ~」
「ですが!!」
 くわわっ。青年は、なぜか照れている神元・眞白と三咲・織愛を指差した!
「やっていいことと! 悪いことが! ありますよね!?!?!」
「「…………」」
 ふたりは顔を見合わせる。そしてパトリックのほうを見て言った。
「「はい」」
(絶対わかってない返事だこれ……!!)
 頭を抱えるパトリック。
 はたして何があったのか、それを知るには時間軸を遡る必要がある……。

 ナイチンゲール号、船内!
 乗組員も(一部を除いた)猟兵たちも、初日から慌ただしく活動している。
 なにせこの航海は、これから先の長い長い探査の重要な道しるべとなるのだ。
 少しでも多くの情報を無事に手に入れられるように、決して気の抜けない旅だ。
 ……なのにふたりは、なぜかのんきに船内を探検していた!
「眞白さん眞白さん、あれはやらないんですか? あれは!」
「……前回までのあらすじ?」
「それです、それ! 私、あれ地味に楽しみなんですっ」
 眞白は頭を振った。
「ふたり(飛威と符雨のこと)はいま、エステでお休みしてるから」
「ええっ!? じゃあ今回はあらすじなしなんですか!?」
「ごめんなさい。残念だけれど……」
「仕方ないですねぇ、じゃあそのぶん頑張って船の中を探検しましょう!」
 えいえいおー、と笑顔(と無表情)で腕を振り上げるふたり。おい仕事どうした。
 まああえて仕事をせずに、いつ来るかわからない戦いに備える猟兵は他にも居る。
 居るには、居る。だが、このふたりのノリはあまりにも修学旅行めいていた!
「眞白さんはこのナイチンゲール号に乗ったことがあるんですよね?」
「うん。銀河帝国との戦争で何度か。でもゆっくり見る時間はなかった」
 なるほどー、と感心した様子で頷く織愛。彼女にとっては見るものすべて珍しい。
「窓の外の星空はこーんなにも近いですし、船とは思えないくらいおっきいです!
 皆さんここで暮らしてるんですよね、お日様の光を浴びなくていいんでしょうか」
「……紫外線を気にする必要がないから、むしろ得かも」
「なるほど! それは盲点でしたね!」
 盲点でしたね! ではない。
 ふたりは思いつくまま気の向くまま、居住区で乗組員らに挨拶をしたり、
 リラクゼーション施設でリラックスした一時を過ごしたり、
 食堂に行ってスペースシップワールドのやや味気ない食事を楽しんだり、
 はたまた戦闘用の砲座や乗組員の運動用ジムでとんでもない数字を打ち出したり、
 完全に観光気分でうろついていた。いや、だから仕事はどうした。

 しかし、この世界の宇宙船はUDCアースの豪華客船よりも巨大な"都市"である。
 この世界の人々は皆、船の中で生まれ、育ち、学び、食べ、恋をし、そして死ぬ。
 ナイチンゲール号は長距離航海に特化した宇宙船だが、それでも船は船である、
 現実の豪華客船ですら、ショッピングモールをまるまる一つ内包するのだから、
 アーコロジーめいたこの世界の宇宙船は、一時間二時間で踏破出来るわけもない。
「なんだか船内が複雑で、疲れてきちゃいました……」
 はふぅ、と一息つく織愛。眞白はミレナリィドールだからか、疲労は見えない。
 が、ここがどこかわかっている様子でもない。観光というか迷子である。
「この扉、ロックされてるみたい」
「むむっ、なんだか冒険の気配がします! えいっ!」
 がぎん、ぐご、ぐごごごごご……。
 電子ロックされた扉を、無理やり腕力でこじ開けようとする織愛。
 中はどうやら、この船の膨大なデータを記録するためのサーバールームらしい。
 震えそうなほど低い室温のなか、静かに作業していたエンジニアたちが、
 突然開いた扉――と、それをこじ開けたふたりを見てぎょっとする。
「えっ? えっ! な、なんですかあなたたち!?」
「ちょ、ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ!」
「いくら猟兵さんでも困りますって!」
 悪手である。いまのふたりにとっては逆に興味を惹かれるワードだ……!
「眞白さん、ここは徹底調査ですよ!」
「隅から隅まで調べなきゃ」
「「「艦長! 艦長ーっ!!!」」」
 ……と、いうわけである。

 時系列は現在に戻る。
「あのですね……」
 パトリックは眉間を揉みながら何度目かわからないため息をついた。
「本当に、頼みます。皆の仕事の邪魔だけは、絶対にしないでください」
「……観光……」
「……探険……」
「返事は!?」
「「はい……」」
 ガチめの説教に、さしものふたりもべっこべこであったという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ステラ・アルゲン
※単独希望

【導きの星屑】を宙域に繰り出して周囲の探索を行う
【流星の欠片】は元々私の一部
船内の適当な所に……できれば静かな場所に腰を掛けて、欠片を通して外の様子を探ることに集中しましょうか

五感を共有しているから宇宙を飛んでいる感覚が直に伝わってくる
昔は流星としてこんな感じに宇宙を翔けていたのでしょうか

……色々と昔のことを思い出しましたが、宇宙の時の記憶は膨大で分からないことも多い
宇宙を彷徨っていた私はどこから来たのでしょうか?
――早く、帰らないといけないのに

…………帰るってどこに?
ふと気がつけば涙が落ちてくる
どうして泣いているのかも分からない

ただ今は
落ち着くまで独りで居たほうが良さそうだ



●航海初日:とある静かな場所で
 ……それは記憶というより、たとえるなら古ぼけた映画のフィルムめいていた。
 時系列も定かならぬいくつもの映像が、音が、ランダムに浮かび上がる感覚。
 いかにヤドリガミとはいえ、肉を持つ以上、人としての制限は常に己を縛る。
 濁流のような記憶は一瞬にして脳裏を駆け抜け、残ったのはその残滓。
 ――ただそれでも、二度と忘れることの出来ないものが、心に焼き付いた。
 正しくは"思い出した"というべきなのだろう。だが、それは。
 まるで感光したフィルムのように、ステラ・アルゲンの魂に焼き付いた……。

「……いけないな」
 ステラは、ぶるるっ、と震えた己の体を掻き抱き、頭を振った。
 先の戦いの最中によぎった記憶を思えば思うほど、身体の芯から震えが起きる。
 いまこうして"独りでいる"ことすら、らしからぬ震えをこみ上げさせる。
 それが騎士として情けなく――それ以上に、泣きたいほどどうしようもない。
 泣きたい……ああ、いや、違う、これは。
「……泣いているのか? 私は」
 己の頬を伝う涙に気づいた時、ステラはぽそりと呟いた。
 流星の欠片がもたらす、宇宙を駆け抜けるような五感に誤魔化されていたが、
 どうやら自分は無意識のうちに涙を流していたらしい。
 どうして? 怖いから?
 ……違う。こうして意識してみれば、涙の理由はよくわかる。
「…………帰りたい」
 どこへ。わからない。
 どうして。わからない。
 どうやって。――何も、わからない。
 ただ、ただ早く。
 いますぐにでも、"帰りたい"。
 還りたい――ひとつのところへ。戻りたい。かえりたい。
 生存本能のように根本的な欲求が、絶えずこの魂そのものを突き動かしている。

 壁に背中を預け、ステラは深く深く息を吐いた。
 ぐいっと掌で涙を拭い、膝を抱えて独り、静かに耐え続ける。
 涙は止まらない。流れている理由がわからないのだから、止めようもない。
 混乱している……というべきなのだろう。
 流星であった頃の記憶。そこから己が己になるまでの膨大な時間。
 暗闇。孤独。己のものであるはずの、しかし己のものと思えない記憶は、
 ヒトとしての心を揺さぶり、かき乱し、そしてひどく不安にさせる。
「…………いっそ、何も考えず、煩わされることなく、一筋の流星として駆けたい」
 窓の外、星の海を見つめながら溢れた言葉。
 その願いをかそけくも叶えるように、分かたれた半身が闇を抜けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神酒坂・恭二郎
【連携アドリブ歓迎】

船長さんか船員さん。
酒が行ける口の人がいれば、白紙の地図を肴に一献傾けよう。
「いやぁ、沁みる演説だったねぇ。船長さんのあれは」
感じ入った。
居住可能惑星を探索するために、未踏地域へと踏み込む。
同じ夢を抱いた勝手の船乗りの夢を継いでいく。
何とも良いものだ。
かっての銀河大戦の頃の夢の残滓が、未来へと継がれる姿を見れただけでも幸福だ。
人の夢は終わらないって事か。

「幸運だね。良い夢に酔わせてもらっているよ」
にっと笑んで、軽く指先に風桜子を纏わせKUJI(九字)を切る。
災いを避け幸運を呼び込む呪いと聞いた。
「切っ!」
刀印を切って【気合】をかける。
この旅に幸あれだ。


ユエイン・リュンコイス
探索も重要だとは理解しているけれど…ここは船長や座長に話を聞きたいね。

●座長へ
あの後の興行についての様子を。教えた団員たちの人形扱いがどう成長したのかだとか、その後の生活とかね。自らの技術で身を立てられたのなら、喜ばしいことさ。

●船長へ
先ずは銀河帝国攻略戦の際、駆けつけられなかった事に謝罪を。ボクも残念だったからね。
あと、もう知っているかもしれないけど、小夜啼鳥を解放した時の話をボクの視点から伝えたいな。前船長には…気のせいかもしれないけど、色々助けられているから。
記録と言えば船長の残した日記をボクも受け取っていてね。少しでもいいから、知ってほしいんだ。なぜこの船が小夜啼鳥と呼ばれるのかをね。


龍之・彌冶久
*アドリブ歓迎
◆哨戒・デブリ掃討

さて、斬る相手もいなくて少し暇だな。
宇宙の哨戒と共、星芥どもを取り除いてやるかな。

宙にひょいと出ては船の周りを揺蕩って行こう。
何某か異質なものの"脈"を感じれば、赴き斬りに行けるようにしつつ――
宙の芥どもは、そうさなぁ。

"刃羅万象の型"。
溢れんばかりに広がる闇――"陰脈"と、星光の"天脈"も合わせ。
それをうねる大波の如くする。
闇宵の帳に星粒の光を浮かべた海の如く。波濤の刃で以て船の行き先を塞ぐ物は斬り伏せてしまおう。
(闇・光・刃属性の「津波」)

はは、我ながら宙の中で見る波も悪くないな!
肴にして一献酒でも呑みたくなる。
話相手もいれば言うことなしだが、さてはて。


ネグル・ギュネス
兎にも角にも働かねばな
パトリック、少しパトロールに出る
周辺データは随時更新するから、都度確認してくれ

さ、行くかファントム?
デブリの類は私が【衝撃波】や【属性攻撃】の弾丸で塵にしよう
区域のマップをA.Iに作成させながら───【勝利導く黄金の眼】を起動

この先の未来を、何があるか、何が出るかを先読みさせてもらうぞ
危険、危機、或いは新たな発見の芽をきっちり見せてもらう

クエーサービーストがいるかもしれない方角に関しては、特に念入りにだ

この宇宙の戦いから、随分と経った
懐かしく、未熟だったのあの時から、変われたのかな…

だがまあ、まずは
あの人々の夢の為に働いて頑張ってからだ
私の悩みは、それからでも良かろうしな



●航海初日:夜の一幕
 宇宙の暗闇を、溶け込みそうなほど黒く塗られたバイクがひた走る。
 乗り手の輝く金眼は、その速度に星めいた軌跡を描きながら未来を視ていた。
「……ふむ。ひとまずすぐに接敵、ということはない――か」
 "幻影"の名を持つ愛機の乗り手、ネグル・ギュネスは言いながら瞬きした。
 すると彼の瞳はもとの紫色に戻る。先の金眼はユーベルコードの発現だ。
 彼の瞳は未来を見通す。それを以て、直近のトラブルがないかを確かめたらしい。
 船に戻るため回頭しようとしたネグルは、しかし途中でバイクを停めた。
「しかし妙だな。もう少しデブリの類が散乱していると思ったのだが……」
 彼の瞳は、過去を視ることは出来ない。彼自身記憶を喪失していることが好例だ。
 何か引っかかるものを感じたネグルは、予定よりも先の宙域へマシンを走らせた。

 ――すると。
「おやおや、年寄りの冷水を見られてしまったようだなあ」
 と、好々爺めいた笑みを浮かべ、二十歳ばかりの見た目の男が頭をかいた。
 男の名は、龍之・彌冶久。どうやら、彼が先んじてデブリを始末していたらしい。
 その手に握るのは、おそらくは刃物――と思しき、波打つ光であり闇であった。
「このあたりの星芥は一通り片付けたぞ。仕事を奪ってしまったならすまんな」
「いえ、構いませんが……失礼、その波打つ刃は一体……?」
 ネグルの問いかけに、彌冶久は嫌がる素振りもなく、からから笑って答えた。
「これは刃であり刃にあらず。すなわち、この宙(そら)に在る天と陰の脈よ」
 彼は自らの力――すなわち万物の"龍脈"を感じ取り、また紡ぎ取り、
 万物万象を斬って捨てる刃となす――を、かいつまんでネグルに説明した。
「――気になるか? 俺の刃がいかなるものか」
 彌冶久の言葉に、じっと黙っていたネグルは、はっと我に返り苦笑した。
「これまた失礼を……ええ、不肖ながら、私も刃を振るう身ですので」
「呵々! ちょうどよい。俺ももう少し肩慣らしをしたいところだったのでな」
 彌冶久は、くいっと顎で宙域の先を示した。ふたりで行こう、というわけだ。
 ネグルはその誘いに頷き、ファントムのスロットルを開く。愛機が唸りを上げる。
「ひとつ、競争でもしてみるか?」
「……勝ってしまうかもしれませんが?」
 などと不敵な台詞を叩きながら、一瞬にしてふたりの姿は虚空へ消えた――。

 ……一方その頃、ナイチンゲール号の食堂にて。
「スタッフの話だと、ここに艦長たちがいるみたいだけど……」
 ミレナリィドールの少女、ユエイン・リュンコイスが食堂を覗き込む。
 彼女はなにか用があって、今日の業務を終えた艦長らを探しているようだ。
 さて、すでに夜遅くだというのに、灯りがついたままの食堂では……。
「いやぁ、船長さんのあれは沁みる演説だったねぇ」
「そ、そうですか? とんでもないです、思いついたことを口走ったまでで……」
「いやいや、そこが器の違いってやつなんだよ艦長! いよっ宇宙一!」
 酔っ払いがふたり、それに挟まれる哀れな青年船長がひとり酒盛りをしていた。
 うんうん、と頷きながらお猪口を傾けるのは、神酒坂・恭二郎という男。
 この男、人呼んでスペース剣豪。フォースを"風桜子"などと珍妙な名で呼び、
 奇妙奇天烈な創作剣術流派、神酒坂風桜子一刀流を振るう快男児である。
 そんな彼と、パトリックを挟んでいるのは――あの"ろくでなしの"ジャック。
 テーブルの上には、恭二郎が持参したと思しき宇宙日本酒(?)の瓶がごろごろ。
 自称・色男のジャックは相当出来上がっているらしく、完全に絡み上戸である。
「……はぁ」
 そんな光景を目の当たりにしたユエインは、まず大きく大きく嘆息した。
 そしてつかつかと食堂に踏み込み、酒盛りする三人の前にざんっと立つ。
「仕事が終わってからの自由時間をどう過ごすか、ボクが口出しするつもりはない。
 けれど、呑みすぎはよくないんじゃないかな? しかも絡みまくりだし……ね」
 ちらり。ユエインは、まだ平気そうな様子の恭二郎を一瞥した。
「こいつは手厳しい。と言っても、まだ始めて半刻も経ってないんだがねぇ」
「それでこの出来上がりっぷり……!?」
 ユエインは、ジャックのあまりの酒の弱さに愕然とした!
「ところで、そういうお前さんは、酒(こっち)じゃなくて船長さんに用かい?」
 15歳ほどの見た目をしたユエインは、恭二郎の言葉にこくりと頷いた。
 パトリックは、ばしばし背中を叩くジャックに辟易しつつ、きょとんとする。
「僕に、ですか? 一体どんな用件で――」
「っと。その話は少し待った」
 そこで、恭二郎が会話に割り込んだ。視線は開けっ放しの出入り口に。
「――どうやら、いけるクチが増えるようなんでね」
 彼がそう言った瞬間、まさに新たな客がふたり、現れたのである。

「かつての船乗りの志を継ぎ、未踏宙域へと踏み込む。なんともいいもんだねぇ。
 過去から未来へ受け継がれていくのは、何も負の遺産ばかりではないってわけだ」
「呵々!然り、然りよ。この老いぼれも、多少なりとも感じ入るところがあった。
 ま、近くの星芥は俺とネグルで片付けたゆえ、しばらくは安全だろうさ。なあ?」
「ええ、僭越ながら、私もある程度はお手伝いさせてもらいました。
 我が愛機の暖気も十分。いつクエーサービーストが出てきても準備万端です」
「噂をすれば影、とも言うぜ、旦那。しばらくは安全に酒盛りしたいもんだねぇ」
「違いない! しかしネグルの技量は見事なものよ。走りもだが銃の手並がな!」
「恐縮だ――ところでスペース剣豪殿、この酒はどういった銘柄だろうか?」
 ユエインは何度目かわからないため息をついた。
 新たにやってきたふたり――つまり彌冶久とネグル――はバリバリの酒飲みで、
 おかげで酒盛りは恭二郎らを中心に大盛りあがりしてしまっているからだ。
 ジャックは酔いつぶれて寝こけ。パトリックはちびちびペースを保っていた。
 三人揃って、得物は異なれどみな剣豪。おまけに彌冶久は酒目当てだったらしく、
 そこにすでにおっぱじめている席があるとなれば、相席しない理由はない。
 かくして男三人は、やれ剣がどうだ宇宙はどうだ、と意気投合したのである。

「……あー、船長。こんな状況で切り出すのは少し気が引けるんだけど……」
 ユエインは酒飲みどもを横目で見つつ、パトリックに言った。
「銀河帝国攻略戦の折、この船のピンチに駆けつけられなくて申し訳ない。
 ボクも残念だったんだけれどね……本当なら、もっとこの船を守りたかった」
 ナイチンゲール号をオブリビオンから解放した猟兵のひとりとして。
 そして、パトリックが言及した、前艦長に感銘し、心を救われた者として。
「……奇遇だな。実は、その戦いには私が参加していたんだ」
 盃を傾けつつ、ネグルはぽつりと言った。
 いかにもナイチンゲール号は、先の戦争で反乱軍に名乗りを上げた。
 結果として敵艦隊の襲撃を受けたり、敵防衛線の突破戦で矢面に立ったりと、
 なかなかの鉄火場を潜り抜けてきたのである。
「ああ、阻止限界点での戦いなら、俺も少しばかり噛んでいたねぇ」
「随分な奇縁もあるものだ。ま、万物万象の"脈"とは、それだからこそ面白い」
 もっとも俺はその戦自体出ておらんのだがな、と彌冶久は呵々大笑した。
 しかしそれでも、三人の顔を一瞥するだけで、激戦ぶりはわかろうものだ。
 神の座に至りし剣豪は、そんな猟兵たちと、恐縮する若者の顔を肴に酒を呑む。
 ……若者はいい。前に進む英気と、底知れぬ可能性に満ちているのだから。
「ところで……ユエインさんは、この船の始まりの事件に関わっているんですよね」
「そうとも。ボクなりに経験したことを、語って聞かせようと思って来たんだ」
 無表情ながら機微を感じさせる少女の言葉に、酒飲みたちは沸き立った。
「そりゃいい! 冒険譚を肴に呑む酒も格別だからねぇ」
 言いながら、恭二郎は片手で剣指を作ると、指先に風桜子(フォース)を集める。
 そして素早く九字を切り、この船の旅の無事などを祈ってみせるのだ。
「ならば、私は私が参戦した、かつての戦争の思い出を語るとしようか。
 ……正直言って、まだまだ未熟だった頃の話なので、少々気恥ずかしいのだが」
「はは。あれだけの腕前を披露しておいて、いまさら恥じることもあるまい。
 俺はかつての姿を知らぬが、十分な腕前の遣い手だと見ているぞ? ネグル」
 若者らしい姿にそぐわぬ、長い年季を感じさせる彌冶久の言葉に、男は苦笑した。
「じゃあ、ボクらそれぞれの、この世界での思い出を語り合うってところかな。
 実は、そこで寝ている座長さんにも、いくつか聞きたいことがあったんだけれど」
 ユエインは、ぐーすかといびきをこいているジャックを見下ろした。
 すると彌冶久がおもむろにしゃがみこみ、どすりとジャックの胸部を突く。
「一体何を!?」
「酔い醒ましのツボだ。そら、起きたぞ」
 驚くネグルだが、咳き込みながら起きた"色男"に命の別状はないらしい。
「えっほ、えほ! ああ? なんだこりゃ、旦那がたにお嬢ちゃんまでお揃いで!」
「お前さんに聞きたいことがあるんだとさ」
 恭二郎がうまく水を向けてやると、ユエインは当惑しつつ咳払いした。
「……座長。君のサーカス船はどうしたんだい? どうしてこんなところに?
 まさかとは思うけれど、ボクらが乗り合わせたあれから興行に失敗したとか……」
 ろくでなし、うっと息をつまらせる。酒飲みどもも興味深げに彼を見つめた。
「い、いや、仕事は順調だよ! 依頼もけっこう入ってきたし、ほら、あれだ!
 嬢ちゃんに人形の操り方を教えてもらった団員も、けっこう腕を上げたんだ」
「……ならどうして、儲け話などにつられてこの船に?」
 ネグルの指摘に、ジャックはしばし口をもごもごさせていたが、やがて言った。
「……順調すぎてよぉ、団員が増えたのはいいんだがおかげで色々金が、な……」
「っははは! なんだそれは、本末転倒だな! いやおかしい!」
 彌冶久が吹き出すと、堰を切ったように残りの男たちも笑い出す。
 だから言いたくなかったんだ、と悪態をつくジャックを見て、少女は嘆息した。
「やれやれ。思い出話どころか、こちらは先行き不安だね……」
 そんな台詞に、いよいよ爆笑する男たち(ジャックを除く)である。

 ……ともあれそうして、夜更けの酒盛りはしばしの間続いた。
 スペース剣豪の広げた白地の地図に、不思議な彌冶久の"龍脈"の刃、
 はたまた一同それぞれの思い出話やらを肴に、悲喜こもごもでしかし楽しげに。

 かつて、夢に燃えたひとりの艦長が、祈りを込めて"小夜啼鳥"と名付けた船。
 危険と脅威が待ち受ける旅路のなかで、この一時は、確かな安らぎに満ちていたのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ミコトメモリ・メイクメモリア
◆ジャックと
「……彼があそこまで言ってくれたなら、ボクたちがあの時無茶した甲斐があったねえ。……あの時はキミの背に乗っていたんだっけ」
ジャックの腕に抱かれて、星の海をぷかぷかり。
「今はこうして、腕の中にいる。キミは変わっていくんだね、ジャガーノート・ジャック。最後には、どんな姿になるのかな? ……ちょっと楽しみだね」
《境界を渡る記憶の欠片》をばらまいて、邪魔になるデブリを一掃しよう。

「こうして綺麗な星を見れたんだもの、すまないなんてとんでもない、ありがとう、ジャック」
「――騎士、か」
「ふふ、それはいいね……キミが見つけられるといいな」
「心の底から守りたいと思う、誰かをさ」


ジャガーノート・ジャック
◆ミコトメモリと

(ザザッ)
――宇宙の彼方を目指す彼らの為に、もう一仕事するとしよう。
付き合って貰ってすまない、ミコトメモリ。
物質転移は君の得手だ、デブリ除外は任せたい。代わりに宙間移動は本機が担おう。
(宇宙をバーニアで飛びつつ、彼女を両腕で抱えながら。)

小夜鳴鳥では君を背負ったのだったな。(あの時は、人を抱き止められる腕ではなかったが、今は違う。)
こうして君を抱えられる事を。それが叶う姿である事を、本機は嬉しく思う。

本機の姿がどう変わるか、か。

誰かを守る者でありたいとは思っている。
人を救う英雄の如く。
或いは――そう、例えば。
一国の姫を守る騎士の如く。
(そうありたいと、"僕"は思う。)
(ザザッ)



●航海初日:デブリなき星の海で
「……ふむ。だいたいこのあたりは、誰かが掃除したあとみたいだよ」
《――本機のセンサーにも、反応は一切ない。取越苦労だったようだ》
 食堂で騒がしい酒盛りが繰り広げられている、ちょうどその頃。
 塵ひとつない星の海を、ふたつの人影がゆるやかに翔んでいた。
 小柄な――というと彼女は怒るが――ミコトメモリ・メイクメモリアを、
 二回りは大きな体躯の、ジャガーノート・ジャックは両腕で抱えている。
 ミコトメモリは念のため、いくつかの"記憶の欠片"をはるか彼方の宙域に飛ばす。
 もしも未知の敵やデブリが生じたとしても、あの欠片がそれを吸い込み、
 この世ならざる亜空間へと放逐する。位置情報を利用した空間転移術式だ。
「これで問題なしかな。まあ、手を焼かされるよりはずっといいんじゃない?」
《――だが、本機から言い出したことだ。付き合わせてしまってすまない》
「いいよ。こうしてキミと星の海を泳ぐのも、なかなか楽しいからね」
 ミコトメモリのにこやかな表情は、それが世辞の類でないことを知らせている。
《――そうか。ならばいいのだが。しかし、こうしていると……》
「うん。あの船で戦ったときを思い出すね。あの時は、背に乗ったんだっけ」
《――ああ。状況が状況だったとはいえ、なかなか無茶をしたものだ》
 ふたりが回想するのは、ナイチンゲール号を解放した戦いのことである。
 変異させられたかつての船乗りたちを倒し、狂ったAIを退け、遺志を繋いだ。
 日数でいえば、ざっと8ヶ月ほど前のことである。
 それでも、過酷で目まぐるしい猟兵からしてみれば、遠い過去のようだ。

「あの時から、キミは多くのことを経験したみたいだね、姿まで変わったんだから」
 ミコトメモリは、己の華奢な体をなめらかに包む、漆黒のボディを指でなぞる。
 "あの時"のジャガーノートは、もっと刺々しく、無骨で荒々しい"兵士"だった。
 敵も味方も寄せ付けぬ、冷徹で合理的な、敵を滅殺する鋼の豹だったのだ。
《――かつての本機の姿では、こうして人を抱きとめることも出来なかったろう》
「けれどボクは、今こうしてキミの腕の中にいる」
《――そうだな。本機はその事実を――それが叶う姿であることを、嬉しく思う》
「ふふ。そういう時は、もう少し声を弾ませればもっとわかりやすいのに」
 からかうように言いつつ、ミコトメモリもまんざらでなさそうにくすくす笑った。
 だが彼女が笑っているのは、何もジャガーノートの生真面目さだけではない。
「……キミは、変わっていくんだね。ジャガーノート・ジャック。
 これまでもこれからも、多くのことを"経験"して、何もかも変わっていくんだ」
 幼き姫は、表情の伺えぬ鋼の豹を、赤く静かに輝くバイザーを見上げた。
「はたしてこれから先、キミは一体どんな姿になるのかな? 少し、楽しみだね」
 何気ないミコトメモリの言葉に、ジャガーノートは宇宙の虚空を見つめた。
 しばし、その言葉を反芻し、考え込むような沈黙が流れる。星だけが遠くで瞬く。
《――本機の姿が、どう変わるか……か》
「キミには、なりたい姿はあるのかい?」
《――…………》
 ミコトメモリは預かり識らぬことだが、それは彼にとって核心的な問いである。
 鋼の豹にとっても、その姿を纏い、誰にも知られることなく戦う"彼"にとっても。

 ジャガーノートは再びしばらく沈黙し……やがて、ぽつりと漏らした。
《――誰かを守る者でありたい。本機は、そう思っている》
「ふうん」
《――人を救う英雄のごとく。あるいは、そう、たとえば……》
 ……脳裏によぎる、かつての戦い。姫の前に跪いてみせた時のこと。
 それは、無骨で冷徹な"兵士"には、いかにもそぐわぬふるまいであった。
 今はどうだろうか。挫折を経て、成長し、為すべきことを見出したいまは。
《――たとえば、一国の姫を護る騎士のごとく。そうありたいと、本機は思う》
「……騎士、か」
 今度は、幼き姫のほうが、言葉を探すような沈黙をもたらす番だった。
 数秒ののち、ミコトメモリは――ぱっと、穏やかで優しい微笑みを見せる。
「ふふ。それはいいね。キミに守られるならどんな危険も心配なさそうだ」
 鋼の豹は何も言わない。その黒い装甲に、照れや戸惑いは浮かばない。
 ミコトメモリは冷たく揺らがぬ鋼を見上げ、すっ、と目を細めた。
 はたして彼女は何を見たのだろうか。思い描いた騎士たる彼の姿か。
 あるいは――鋼を纏う、"彼"の相貌を? 鎧に隠されたその感情を、だろうか。
 答えはわからぬ。ただ、少女はこう続けた。
「見つかるといいね。キミが心の底から守りたいと思う……そう思える誰かが」
 誰かを護るということは、護られるべき誰かがいなければならない。
 万人を護る叙事詩的な英雄であろうと、心安らげる誰かがいなければ戦えない。
「ああ、でもそうしたら、ボクはこうして抱っこはしてもらえなくなるのか。
 それはちょっと困るなあ――だって、こんな綺麗な星を視ることも出来ないし」
 などと、ミコトメモリはすかさず冗談めかしてみせた。
 くすくす小悪魔めいて微笑む少女に、はたして"彼"はどう反応しただろう。
《――そうだな》
 ただ鋼の豹はそう答えて、彼女と同じように遠い星々を見つめた。
 船に戻るまでの間、ふたりはそうして、ただ黙って星を見つめ続けていた。
 この星を、誰も知らない宇宙を夢見て散っていった、かつての人々を弔うように。
 その遺志を継いで旅路に乗り出した、新たな若者たちの前途を想うように。
 ただ、見つめ続けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロク・ザイオン
(怪我をした者たちの真ん中で。
「生まれながらの光」を放ちながら佇んでいる。
ただの、灯火のように)

(皆を癒やすと疲れてしまうから。
錆声は低く。柔らかく)

…キミたちの骸は。
何処へ行くんだ。

森は。
いのちが生まれる。
いのちは森に満ちて。森は、いのちを満たす。
腹を満たす。いのちが食い合うこともある。
やがていのちは尽きる。
老いて。傷ついて。……病んで。
骸になる。
森はあらゆる骸を呑む。骸が、森の苗床になる。

いのちは森の中で巡る。
何処にも行かない。いなくならない。
だから。
生きることも。
死ぬことも。
何も、恐がらなくていい。

(或いは
奇跡を齎す聖者のように
伝道者のように、語る)

皆が辿り着くところに。
森があるといい。



●航海初日:救護室を照らす暖かな灯火
 銀河帝国探査艦隊の成れの果てによる、激烈な奇襲。
 多数の猟兵が迎撃したにも関わらず、敵は船内にまで乗り込んできた。
 そもそも、こうして船が無事であること自体、猟兵がいかに一流揃いであるか、
 そして猛者の集まりであるかを、まざまざと知らしめている。
 少なくとも旅団規模……ともすれば師団級の規模の、精鋭揃いの艦隊だったのだ。
 いかにそれが成れの果てとはいえ、いずれもユーベルコードを使う強敵揃い。
 ただのひとりも死者を出すことなく切り抜けたのは、まさに奇跡であろう。

 だがそれでも、怪我を負い苦痛に喘ぐ羽目になった者たちは居た。
 夜遅く。そんな負傷者たちが詰め込まれたメディカルルームに、
 ロク・ザイオンはいた。聖者の証、生まれながらの光を全身に纏いながら。
 まるでそれは、地獄じみた戦場のすぐそば、野戦病院で揺らぐ蝋燭の炎のよう。
 息を潜め、気配を殺し、ようやく眠った人々を起こさぬように、佇んでいる。
 だがふと……ロクは、嗅ぎ慣れた匂いにひくんと鼻孔を揺らし、振り向く。
 ちょうどその瞬間に、彼女のよく知る男――つまりグレイテスト号の座長、
 "ろくでなし"あるいは"色男"ジャックが、ふらふらとやってきたのだ。
「あー、あったまいて……っと」
 酔いのあとの頭痛に顔を顰めていたジャックは、言葉を慌てて呑み込んだ。
 目の前に立つロクが、人差し指を立てて口元に当てていたからだ。
 周囲を見渡し、どうやら自分が見当違いの部屋に踏み込んだのだと理解すると、
(悪い悪い。水が飲みたかったんだが、部屋を間違えたみたいだ)
 と小声で詫びて、酒気を纏いながらフラフラと部屋を出ていく……。

「……って、ありゃ? 嬢ちゃん、あっちの部屋はいいのか?」
 ようやく目当ての水にありついたところで、ジャックは背後の気配に気付いた。
 生まれながらの光を解いたロクが、そのままひょこひょこついてきたのである。
 まるで猫だ。問いかけられれば、ジャックはきょとんとして首を傾げた。
「いいにおいが、したから」
「……もしかして酒か? やべえ、まだ消しきれなかったか」
 自前の消臭スプレーをしゅっしゅっと全身に吹き付けるジャック。
 ロクはそれこそタバコのニオイをかがされた猫めいて、目を閉じて後退る。
「けむい」
「おっと悪い悪い! ……で、あっちはいいのか?」
 改めて、ロクはこくりと頷いた。
「おれも、少し休む。……それに、聞きたいことがあるから」
 ジャックは思いがけない言葉に、首を傾げつつも先を促す仕草をした。
「この船に乗る、キミたちの骸は。どこへ行くんだ」
「…………は? あー、死体をどう葬るかとか、そういう話……じゃねえよな」
 またしてもきょとんとするロクの言葉を、ジャックはなんとか汲もうとする。
「……森は、いのちが生まれる」
 そこでロクが、ぽつぽつと、声をひそめながら語り始めた。
「いのちは森に満ちて、森はいのちを満たす。腹を満たす」
「ふむ」
「いのちが、食い合うこともある。……そしてやがて、いのちは尽きる」
 老いて、
 傷ついて、
 ――そして、病んで。
「いのちが尽きれば、骸になる。森が骸を呑んで、骸は森の苗床になる」
 それは完全な輪廻、生と死が直結した自然の偉大なるサイクルだ。
 たとえどんな形で息絶えたとしても、"いのち"はそこに在り続ける。
 新たな滋養として。それを浴びて育った森の生き物として。
「……だから、生きることも死ぬことも、何も怖がらなくていい」
「そういう考えもあんのかねぇ」
 ジャックは、顎をさすりつつしばし考えたのち、こう言った。
「けどなお嬢ちゃん。やっぱ俺らは、死ぬのは怖いぜ。どうしてもな」
 と。

 ロクは思う。
 もしもあのまま、怪我を負った者たちの"いのち"が尽きてしまうなら。
 せめて、その前に、彼らの森に辿り着ければいいのにと。
 この旅路の先に、森があればいいのにと。そう思っていたのだ。
「理屈としちゃわかるよ。こう、宗教的っつーか概念的っつーか……まあ、アレだ」
 ジャックはそれなりに頭を働かせ、言葉を選びに選んだ。
「けど、それはそれだ。死にそうになりゃビビるし、死にたくないって思うもんだ」
「……それは、森がないからか」
「いやぁ。もし"あなたは来世で救われます"なんて言われてもなぁ」
 ロクはしょんぼりと耳を伏せさせた。
「けど、人間ってそういうもんだろ? わかってても怖がるし、後悔だってする。
 で、それをけろっと忘れて、また同じことをやりもする。そして成功して――」
 意気揚々と振り上げた手を、ジャックは下ろした。
「……まあ、失敗することもざらだけどよ。俺みたいにな、ハハハ」
「それは辛いな……」
「えっそこフォローねえの? ……まあいいか」
 肩をすくめつつ、男は言葉を続けた。
「それでも、結局やれることやるしかねえんだ。怖くても苦しくてもなぁ。
 ほら、ちょうどウチの団員がそうだろ? あいつらは皆の前でどうだったね」
「……笑っていた」
 ロクの言葉に、色男は頷いた。
「つまり、そういうことなんだよ、多分な。俺にゃ難しいことはわからんが。
 だからまあ……お嬢ちゃんの言う森のなんとかも、きっと正しいんじゃねえか?」
 怖がる必要はない。輪廻は"いのち"を繋いでくれるのだから。
 そう言われたところで、死に瀕すれば人は恐れる。嘆く。悲しむ。
 かつて、雨の中で見た、あの醜い人間たちのように。
 しかし同じように、苦境を乗り越えて笑う人間たちもいた。
「……そういうものか」
「わかんねえけどな! まあ、あれだよ、あれ」
 色男はロクの背中を叩いた。
「お嬢ちゃんは、やるべきだと思ったことやりゃいいのさ。俺が応援するぜ」
 そう言われて、ロクはようやく、くすりと笑った。
「わかった。……なら、おれは戻る」
「おう。無理すんなよ、嬢ちゃんが倒れたら元も子もねえからな」
 そしてふたりは別れる。踵を返し、ロクは部屋に戻りながら、思った。
(――ここも、皆にとっての森なのだろうか)
 と。
 そして再び、灯火が闇を照らし出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

零井戸・寂
3.NPCとコミュ/アドリブ歓迎

(デブリ除去を終え、組んでた人と別れて後。休息がてら、ロクの様子を見に。)

(誰にも見つからない為のスキルは彼女が教えてくれた。見つかって困る人からは忍んで移動。【忍び足・地形利用】)

……ん、ああ。"ハジメマシテ"。
伊達男って貴方の事だろ?
ロクから話は予々。ろくでなしの宇宙の男って聞いてる。

こうしてると聖者らしいよね、ロク。
ああして貴方達の旅の成功を祈ってる。

……さっきは酷い事いったけど。
貴方のような人に救われる人もいる。
胸を張って進んでほしい。
頑張ってね、色男さん。
……それだけ伝えたかった。
(僕とて、君から学び救われた一人だから。感謝の一つ位言いたかった。)



●航海初日:日が変わる前後の廊下
「……んん?」
 ほろ酔い気分で救護室をあとにしたジャックは、見慣れぬ少年を見て訝しんだ。
 はて、あんな姿の猟兵は、この船に乗っていただろうか。後続の人員か?
 そんな視線に対し、少年は――零井戸・寂は、ああ、と何かを察した。
「"ハジメマシテ"、伊達男さん。いや、ホラ吹き男だったっけ」
「"色男"だよ! ……んん? はじめまして……?」
 ジャックは首をかしげる。たしかに少年と会うのはこれが初めてだ。
 はじめて、のはず……だ。しかしなぜか、どうにも違和感が拭えない。
「はじめましてだよ」
 そんな思考を遮るように、少年は言った。
「話は、ロクからかねがね聞いてる。ろくでなしの宇宙の男、だって」
「だから色男……や、まあいいか。しかしどうしたね、こんな時間に」
 問われた少年は、ふと淡い光が漏れ出る救護室のほうを見やった。
「こうしてると、聖者らしいよね、ロクって」
 異能者としての聖者を知らぬジャックは、するりと躱すような言葉に首を傾げた。
 対する少年は、そんな男の様子を気にした風もなく、言葉を続ける。
「ああして、あなたたちの旅の成功を祈ってる。彼女なりに、だけど」
「はは、なんだそのことか。別に嬢ちゃんのことを疑っちゃいねえよ」
「……だろうね。あなたは、そういう人だから」
 少年の謎めいた言葉に、なんとなく誇らしい気持ちになりつつ、
 やはり拭いきれない違和感に首を傾げ続けるジャック。だが皆目見当もつかない。
 まあ、猟兵とはそういうものなのだろう。彼はそう思うことにした。

 そこで少年は、やや逡巡するような間を置いたのち、ジャックに言った。
「……さっきはひどいことを言ったけど」
「おう、気にしてないぜ……ん? さっき?」」
「……あなたのような人に、救われた人間もいる。だから、なんていうか――」
 少年は頬をかいた。照れくさそうに。
「胸を張って進んでほしいんだ。あなたにも、あなたの船の人たちにも」
「…………」
「頑張ってね、"色男"さん。……それだけ伝えたかったんだ。それじゃ」
「あ、おい!」
 結局少年は、そのまま己が何者か名乗ることもなく、踵を返してしまった。
「なんなんだ一体。さっきったって、はじめましてっつったろうによ……」
 正体のわからない言葉を訝しみつつも、不思議と口元に笑みが浮かんでいた。
 ゆえにジャックは、その少年のことについて、聞いて回るようなこともなかった。

 ――少年がここにいたことを知る者は、おそらく誰もいまい。
 それでも彼は、"見知った姿"ではなく、素顔でその言葉を届けたかったのだ。
 借金まみれで、金にがめつく、欲深い上に格好つけで、そのくせへっぴり腰。
 けれども人の苦労を見捨てておけぬ、そして貴賤なく接する不思議な男。
 何の武も、知も、ましてや財もない、そんな"ろくでなし"の姿に学び、救われた。
「――ありがとう、"兄弟"」
 誰にも届かない少年の言葉は、そんな男の口調を真似ていた。 

大成功 🔵​🔵​🔵​


 ――航海一日目、終了――
メイスン・ドットハック
【WIZ】
調査するとはいえ、多大なデータが集うじゃろーけーのー
それなら僕は星図データの作成を手伝おうかのー

クルーや猟兵達から送られてくる情報・データを纏めて星図データを作成していく
自身もUC「月夜に跳梁跋扈せし銀狼」を発動し、人狼部隊を派遣して、調査やマッピングに従事させる
その際に【罠使い】【地形の利用】を駆使した、探知機や監視用電脳ポッドを設置して調査効率を上げていく
自身は【ハッキング】【情報収集】による電脳魔術で、データ作成
【暗号作成】も駆使して効率のよいデータ収集プログラムを駆使して、情報を最短・効率化する

早めにはやらんとのー。クエーサービーストがいつ来るかわからんし

絡みアドリブOK


黒川・闇慈
「星図データですか……魔術師の仕事とは思えませんが、これもいい経験だと思いましょう。クックック」

【行動】
wizで行動です。
星図データ集めに協力するといたしましょうか。
カース・ブーストを使用し呪力高励起体に変身します。どうデータを集めたものか悩みますが、とにかく周辺の宙域を飛び回ってみましょう。
なんらかの異常を発見した場合は情報を持ち帰ることを優先しましょう。交戦するような事態になっても、牽制程度に留めて逃げの一手です。

「宇宙は星の海といいますが、こうして飛んでいると薄ら寒くもありますねえ。クックック」

【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】


アルトリウス・セレスタイト
未知であれば情報を得るのが最優先だろうな

纏う原理――顕理輝光を運用
『天光』で全てを逃さず捉え、『励起』『解放』で個体能力を人型の極限まで上昇し処理能力を確保
必要な魔力は『超克』で“外”から汲み上げ供給

界離で全知の原理の端末召喚
魔力を溜めた体内に召喚し自身の端末機能を強化
船の探査機能を確認し、それが捕捉不能な物を中心に周辺宙域を探る
特にユーベルコードその他の効果で潜伏する驚異を逃さぬよう、時間・空間干渉や次元屈折の痕跡も追跡
警戒や護衛を行う者があれば伝え、手が足りなければ臘月で分体を生み向かわせて対処する

邪魔せぬようブリッジの隅の方で

※アドリブ・連携歓迎


フェルト・フィルファーデン
わたしは星図データの作成、精査を行うわ。
UCで兵士達を呼びましょう。船を中心に一定の間隔を取りつつ散開しなさい。
情報を共有し星の位置から星図を作成。纏めてわたしに伝えて。お願いね?
わたしはその情報を電脳魔術士の力でナイチンゲール号の情報と合わせ精査し船に送るわね。

この広い宇宙で一冊の日記帳が見つかるなんて……そんな奇跡のような偶然、あるものなのね。
それとも、偶然ではないのかしら?……ふふっ、なんだかロマンチックな話ね!騎士達もそう思わない?
……ええ、彼らが日記に託し、繋いだ願い、新天地まで届けましょう。
それが猟兵であり、上に立つ者であるわたしの責務だもの。……皆の希望を、無駄にはしないわ。



●航海二日目:星の地図を作成するために
 ワープドライブは、この広大な宇宙を自由に飛び回る夢の産物である。
 しかし、万能ではない。なぜなら転移先に関して十分な情報が必要だからだ。
 未知宙域の航海の最大の目的は、このワープのための情報収集にある。
 十分なデータと安全を確保できれば、もはやそこは人類の版図も同然であり、
 既知宙域と同様に、行くも帰るも自由自在となるのだから。
 裏を返せば、そのためのデータ収集には、莫大な作業時間とタスクを必要とした。

 ……しかしそれは、一般的な作業を経た場合、の話である。
「ふむふむ。なるほどのー、未知宙域とやらもなかなか面白いのー」
 猟兵は神秘の力、奇跡の術式ユーベルコードを持つ。そして誰もが専門家である。
 特にこうした作業には、この世界のテクノロジーである電脳魔術が物を言う。
 その点で、ハッカーとしても一流であるメイスン・ドットハックはまさに適役。
 逐次多方面から送り込まれるデータを、彼女はすさまじい速度で分析・解読し、
 しかもユーベルコードによって不可視の電脳人狼工兵部隊を生成、展開。
 情報収集と解析。相反するふたつの重要タスクを、たったひとりでこなすのだ!
「すごいですね、さすがは猟兵だ……」
「めんどーじゃがのー、クエーサービーストが来てからじゃ遅いけー」
 感嘆した様子のパトリックの言葉に、メイスンはこともなげに答えた。
 本当なら、こんな地道な作業はさっさと誰かに押し付けてだらけたいところ。
 しかし自分がやることで迅速にタスクが処理できるなら、彼女はそうする。
 ただの面倒くさがりとは、その点が一味違うのだ。
「手に入れたデータはどんどん僕のもとに送ってくれてええからのー。
 実働は僕の工兵部隊と、猟兵の皆に任せるけー、きびきび働くんじゃー」
 メイスンの周囲に展開した、無数の立体映像ウィンドウ。
 そこには、船外で活動する様々な猟兵たちの姿も映し出されている。
 では実際に、この未知宙域で果敢に情報収集に励む彼らの姿を追ってみよう。

 まず最初に、黒尽くめの魔術士――黒川・闇慈の場合。
「クックック。今回のオペレーターさんはずいぶん人使いが荒いですねえ」
 いつもどおりに陰気な笑みを浮かべながら、闇慈はもっとも船から遠くに居た。
 今の彼の姿は、長い黒髪に魔術師然としたローブ――ではない。
 全身を高密度の呪力で覆った、"呪力高励起体"に変じていたのだ。
 待機中でも音速をたやすく突破する、極めて機動力に長けたアストラル体である。
 もはや宇宙空間では、思考の速度で飛翔し、多くのものを視ることが出来よう。
 宇宙に満ちたダークマターも、存在するかあやふやなエーテルの世界ですら……。
「しかしなるほど、どうデータを集めたものか少々悩んでいましたが、
 こうして専門家がバックアップについてくださると、なかなか心強いですねぇ」
 闇慈はその双眸だけでなく、意識そのもので360度すべての光景を知覚する。
 物理的制約に縛られた肉の体では、とても届かないほどの遠くまでを見通すのだ。
 今の彼には、多くの人々の眼に映る黒々とした宇宙の虚空だけでなく、
 電脳魔術士だけが触れることの出来る論理データの世界も、
 ウィザードのような霊的術式の遣い手が介入できる、幽世すらも意のままだ。
 たとえるなら、通常の視界に、多層レイヤめいて視界が重なっているのである。
 クエーサービーストの痕跡が、物理的制約に縛られるとは限らない。
 緻密で慎重な調査は、この宙域の安全性を高める大きな一翼を担うだろう。
「宇宙は星の海と言いますが、こうして翔んでいると薄ら寒くもありますねぇ――」
 はたしてその言葉は、陰気な黒魔術師なりの悪趣味なジョークか、本心か。
 生命を根絶する危険な呪いを纏って飛翔する姿からは、決して読み取れない。

 一方、ナイチンゲール号の近傍を担当するフェルト・フィルファーデンはどうか。
 彼女が使役するのは、かつて滅びた国にありしフィルファーデンの騎士。
 すなわち、亡国の姫たるフェルト自身に従う、忠義の騎士――を、模した人形だ。
「さあ、兵士たちよ。わたしの忠実なしもべたちよ! おいでなさい!」
 両手を大きく広げフェルトが口訣を唱えれば、騎士たちも槍を掲げて応じ、
 その鬨の声に誘われるようにして、200体近いフェアリーの兵士部隊が現れた。
 だがそれらも、所詮はユーベルコードで召喚した、絡繰人形である。
 当然だ。フェルトの国は、住んでいた民も兵も飲み込み滅んだのだから。
 しかしフェルトはそんなことを気にするふうもなく、兵士と騎士を巧みに操り、
 ナイチンゲール号を中心に幾何学的な散開陣形を完成させた。
 これほどまでに卓越した人形遣いである一方、電脳魔術士でもあるフェルトは、
 兵士たちが見聞きした情報をデータとして受け取り、それを船へ転送する。
「……解析や具体的な星図の作成は、船内の人たちに任せたほうがよさそうね。
 だってそうでしょう? 兵士たちよ、騎士たちよ、わたしが指揮を執るわ!」
 それが姫としての、民たちの上に立つ者としての責務。彼女だけの役目。
 この船を、まだ見ぬ新天地へと送り出すことも、また同様にフェルトの義務だ。
 彼女はそう考えている。だからこそ、この旅路に力を貸すと決めたのだ。
「この広い宇宙で、たった一冊の日記帳が見つかるなんて、まさに奇跡だわ。
 けれど、奇跡は起きるもの。ロマンチックなお伽噺も、いつか現実になるの!」
 それは夢見がちな少女の言葉に聞こえる。だがその実、根は非常に深い。
 ともあれ、フェルトがこの船の人々の夢を、心から応援したいと思うことは事実。
 かくして、絡繰人形たちが宇宙の闇に散らばり、その情報を集積する。

 ……残るひとり、アルトリウス・セレスタイトは船の中に居た。
 正しくは、ブリッジの隅のほうだ。まるで遠くを見るように天井を見上げ、
 事実彼が操る"原理"の蒼光は、より根源的な宇宙の情報を超スピードで集めていた。
 時間・空間、さらには次元的な変化がないかどうか、それすらも彼の手の中。
 全知を可能とする原理の端末ならば、未知宙域であろうとなんら問題はない。
 そして彼の徹底的な周辺宙域スキャンは、一体が安全であることを示していた。
「……不可解だな。あの大艦隊は、一体何に壊滅させられたというんだ」
 通常の人間であれば処理不可能な情報の洪水の中、アルトリウスは呟いた。
 解析した情報はすぐさまメイスンに回し、船外で活動する猟兵たちのもとにも、
 万が一の危険がないよう――そして安全が確認されればそれを逐一伝達する。
 だからこそ、不可解なのだ。先のあのウォーマシン艦隊はなぜ壊滅した?
 この周辺に、クエーサービーストが潜伏しているならば話は早い。
 連中は外敵の巣に踏み込み、徹底的に反撃されて壊滅したということなのだから。
 だが、物理的・霊的・電子的、さらには亜空間の痕跡や時空間異常も見当たらない。
 何の痕跡もないのだ。つまり、それは――。
「……あちらにとっては、ここは縄張りですらない"遊び場"ということか」
 あの艦隊を壊滅させたクエーサービーストにとって、艦隊との戦闘は、
 外部からの脅威を退けるための戦いですらなかった……と、いうことだろう。
 罠を張る必要も、警戒する必要も、当然隠蔽や消滅させる必要すらもない。
 子供が遊び飽きた玩具をそのまま放り捨てて忘れてしまうように、
 あの大艦隊は、クエーサービーストの『気まぐれ』で滅ぼされてしまったのだ。
「…………だが、俺たちは銀河帝国の連中のようにはやられはしない。
 もしもあちらが戯れに現れるならば、その報いを味わわせてやろう――」
 かつて残骸であった男は、人々とのふれあいで生まれた人らしい心に誓う。
 未来への旅路を阻む敵を、すべての力を使ってでも撃滅してみせると。
 おそらくそれは、すべての船員、そして猟兵たちと同じ気持ちであったはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハロ・シエラ
出身地はともかく、私も今は宇宙船に暮らす者です。
無重力とか宇宙空間の光景には慣れています。
ですが、外宇宙はどうなのでしょう。
何か違った光景が見れたりするのでしょうかね。
クエーサービーストなんて未知のオブリビオンがいるくらいです。
何かあっても良さそうなものですが。

なんて遊んでばかりもいられません。
猟兵としては出来る事の少ない私ですが、デブリをどけたりする事くらいは出来るでしょう。
【空中戦】の練習にもなるかも。
後、試しておかないといけない事もありました。
空気がないと聞く宇宙で私の風を起こすユーベルコードは使えるのか、と言う事です。
使えるにしろ、ぶっつけ本番で使って反動で吹っ飛んでもいけませんしね。


七篠・コガネ
とりあえず一難は何とかなりましたね。一難は、ですが…
来たる次の一難に向けて
ナイチンゲール号の外装のメンテナンスでもしましょうか

宇宙空間を飛びながら船の外装を【視力】【暗視】で目視チェック
脆くなってる箇所とか傷付いてる箇所とか探してみます
なにせだいぶ古い船のようですからね
もしかしたら僕と経過年数は近いかも
きっと今までずっと頑張ってきて、これからも夢を乗せて追い続けるんだね
昔の船長さんの夢をバトンで渡して受け取って…
そうだよね。それが『人間』なんだよね…僕もお手伝い出来ればいいな

視覚解析レーダーで【情報収集】外装の脆弱部分発見
船員のエンジニアに連絡
今の内に補強作業やった方がいいと思うのですよ


トリテレイア・ゼロナイン
外宇宙船団の残骸を片付けましょう
別の目的もありますが、航行に障害があってはなりません

機械馬に●騎乗、爆薬を仕掛ける●破壊工作で大きさを調整しつつワイヤーアンカーでの●ロープワークでの牽引で残骸を撤去していきます

並行してUCの妖精ロボで探索
先に戦った同型機達の損傷軽微な残骸や大型船外戦闘用兵装を回収
目的は彼らが交戦したかもしれぬクエーサービーストの情報入手
無事な電子部品から●ハッキングでの●情報収集を行います

鋼とはいえ死体を弄繰り回すのは騎士としては失格ですが、この行為で小夜鳴鳥号の航海の成功に少しでも貢献できるのであればするべきでしょう

…それに、この形ならば同胞を探索の旅に連れていけますからね


遠呂智・景明
ふむ。教練って柄じゃねぇし、でぶりとやらを排除しつつ警戒にあたるか。
とりあえず細かく砕けばいいんだろう?
そういうのは得意分野だ。

あわせて殺気を撒きつつ、敵襲に警戒しとく。
こんだけ警戒してるの分かりゃ、おいそれと近寄れねぇだろ。
それこそ、こっちの理解の及ばねぇやつら以外は。

はてさて、鬼が出るか蛇が出るか。
蛇なら歓迎なんだがな。



●航海二日目:デブリ対策と外装修復作業
「……退屈だなぁ」
「…………」
「もう少しこう、骨のありそうな敵が出てくりゃよ」
「そういった発言は、あまり危機管理的に好ましくないと思いますが?」
「いや、だがよ。実際ヒマだろ? 少しぐらいなんかあったほうが……」
「まったく思いません」
「ほんとに?」
「……本当です」
「ちょっと変わった景色見れたらいいな~とか思わねえ?」
「…………思いません」
 ヤドリガミの剣豪、遠呂智・景明は思った。
 この少女――同じくデブリ警戒任務に就いたハロ・シエラ――は嘘をついている。
 外宇宙っていうなら、もっとなんか既知宇宙と違った光景とか、
 それっぽいのが見れたらいいな~、的なことをこっそり思っていると!!
 だが、それを指摘したところで、この真面目そうな少女は頑なに否定するだろう。
 無闇に仲間の機嫌を損ねるのも、万が一のトラブルの際に困ってしまう。
 景明は退屈だなぁ、退屈だ~とぶちぶち言いながら、話を終わらせた。
 ……実際、ハロのほうはというと、つっつかれなくてよかったとか思っていた。
 なにせ、景明の推理は……実際、当たっていたのだから……!

 とまあそんなわけで、二日目の警戒任務についたふたりは大いにヒマをしていた。
 初日のデブリ除去がかなり丁寧に行われた上に、もともとここはデブリが少なく、
 いちいち撃墜するような物体が存在していなかった、というわけである。
 手間がかからないし危険度も下がるので、実際とても旅程的には助かるのだが、
 景明は仮にも日本刀の化身。細かいことは斬ってから考えるタイプの男だ。
 鬼が出るか蛇が出るか(本体の銘の"大蛇切"だけに)期待していたのだが、
 その(やや剣呑ではた迷惑な)期待は、残念ながら裏切られてしまったのである。
「とはいっても、さすがに俺らが離れるわけにもいかねえしなぁ」
「それは当然です。こうして暇な時間を過ごすのも大事な警戒任務かと」
 年頃13、4……いや、それよりも下と思しき少女は、つんと生真面目に言った。
 こういうときに、非戦闘的なスキルが何かあれば、また話も違うのだろう。
 しかし彼女は、自らが『戦う以外に出来ることの少ない猟兵』だと考えており、
 自ら志願してデブリ除去任務に就いた、といういきさつがあったりする。
 ……まあ、そこらへんは景明もある意味似たりよったりなのだが、
 それはそれとして、何も起きない時間は実に退屈なのであった。

「……おや? 遠呂智様、警戒任務ですか。ご苦労様です」
「おうトリテレイア、そっちは……なんだその大荷物」
 するとそこへ現れたのは、景明の茶飲み友達であるトリテレイア・ゼロナイン。
 騎士めいた白亜の装飾が施された、全長3メートル近いウォーマシンの男性だ。
 その姿を見たハロは、ほんの少しだけ警戒心を抱いてしまった。いわば反射だ。
「あなたは……いえ、すみません。私、少し失礼なことを」
「いえ、いいのです。私のこのボディが、先の艦隊の敵と似ているのでしょう?」
 トリテレイアの言葉に、ハロは恐縮しながらも正直に頷く。
「それは実際、妥当な判断です。なにせ彼らは、この私の同型……同胞たち。
 オブリビオンと猟兵という違いこそあるものの、元々は同じモノでしたから」
「それは……そうか、ウォーマシンの方はそういうこともあるのですね……」
 ハロは目を伏せた。当然、トリテレイアも先の艦隊戦に参戦していたはずだ。
 であれば、同型機を斬り伏せる彼の気持ちは、心中察するに余りある。
 そしてこの様子からして、そうした戦いは今回が初めてではない……。
 彼女の所属する旅団はスペースシップを根城としており、彼女もそこに住む。
 この世界に慣れたと思っているハロだが、それでも虚を突かれることはあるのだ。
 己の不足を悔やむような少女に対し、トリテレイアは続けてこう言った。
「……騎士たる身は、たとえ同胞であろうと、人々を傷つける敵は容赦しません。
 それに今回は、そんな同胞たちを旅に連れていけるよう、少し工夫をしまして」
「……それが、その後ろの大荷物か?」
 景明の言葉に、トリテレイアは頷く。そんな彼が乗る機械馬には、
 ワイヤーアンカーが括り付けられており、その先にはいくつもの残骸。
 よくよく見れば、それは先の艦隊戦で破壊されたウォーマシンのものである。
「鋼とはいえ、死体をいじくり回すのは、騎士としては失格ですが……」
 トリテレイアは牽引してきた同胞たちの残骸を振り返り、言葉を詰まらせた。
 思うところは、無論ある。だがこれで、今回の航海を少しでも手助けできるなら。

「ああっ! ちょうどいいところに皆さんお揃いで!」
 と、そこで、ナイチンゲール号のほうから七篠・コガネという少年がやってきた。
 上半身を見れば生身の人間かと思ってしまうが、実は彼もまたウォーマシン。
 若者らしいあどけない笑みと、凶悪な殺戮機械としてのフォルムは、
 なんともミスマッチである。しかし、彼はその実、心優しい純朴な少年だ。
「実はついさっきまで、ナイチンゲール号の外装をチェックしていたんですよ。
 そしたらやっぱり、あちこち思った以上に損傷がひどいみたいで……」
 先日の戦闘後、一部の猟兵たちによって即席の修復が行われたものの、
 ナイチンゲール号は非常に巨大なスペースシップだ。
 もともと古めかしい作りであることも相まって、けっこうなダメージが出ている。
 コガネはそれを調べ、どう修復したものかスタッフと悩んでいたのだという。
「トリテレイアさん。その資材があれば、船の修復も手軽に進むはずですよ!
 もし何か使い道を考えているなら、あまり無理強いはしたくないんですが……」
 おずおずと顔色を伺うコガネの言葉に、トリテレイアは首を振った。
「いいえ。まさにそうした使い道に活用できないかと思っていたんです。
 それに、残骸はまだすべて回収が終わったわけではないですからね。」
「ほーん。なら、偵察も兼ねて俺らで牽引を手伝ってやろうか?」
「……それ、ヒマを持て余してるから別のことをしたいというわけでは……」
 ハロのじろりとした非難がましい視線を、景明は下手な口笛で受け流す。
 とはいえ、その提案が、警戒任務の視点から見ても効率的なのは確かである。
「あ、それなら僕も手伝います! 損傷箇所はおおまかデータを記憶してますし、
 それに……僕に出来ることなら、どんなことでも手伝いたい気分なんです」
 コガネはそう言って、ゆっくりと航行するナイチンゲール号を見やった。
「……あの船は、きっと今までずっと頑張ってきて、これからも夢を追い続ける。
 乗っている人たちがバトンを渡して受け取って、それを運び続けるんです」
 ――それは、まさにコガネが愛する人間の、生命体としての営みである。
 ならば、血塗られたこの身で出来ることは、どんなことでも手伝いたい。
 コガネは、心の底から、そんなまっすぐすぎる気持ちを抱いていたのだ。

「……わかりました。なら、その件を船の方々に報告しないとですね。
 幸い私も、この宇宙空間でユーベルコードがきちんと使えるか試したかったので」
 ハロの扱う暴風のユーベルコード、"嵐の出撃(ライディングオンザウィンド)"。
 その破壊力は、大量の残骸を運びやすいように破壊するのに大いに役立つはずだ。
「では、作業に移る前にひとつだけ注意を」
 トリテレイアは指をひとつ立てて、三人に言った。
「同胞たちの記憶領域から、敵に関する情報が手に入るかもしれません。
 念のため、データが蓄積されていそうなパーツは、慎重に扱うようお願いします」
「へいへい。ま、ぼんやり浮かび上がってるよりはマシな作業だぜ」
「ですからそういう考え方はよくないと……」
 またも言い争い(?)を始めた景明とハロ、それをのんびり眺めるトリテレイア。
 そんな猟兵たちのやりとりを、コガネは眩しそうに見つめていた。
 こうして仲間と力を合わせることは、まさに人間の長所であり、特権である。
 自分が同じように誰かに力を貸せることを、少年機械は、密かに誇るのだった。
 かくして一同は、破棄された敵艦隊の残骸を回収することに成功する。
 そこからどんな情報が得られるかは、もうしばらく待つ必要がありそうだ……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

秋山・軍犬
「キエリビウムJOX調理(調査)計画~」\ででどん!/

謎多きクエーサービースト

果たして食えるのか?
食って良いのか?(種族間交流の可能性的な意味で)

わさび醤油は合うのか?
唐揚げは? タコ焼きプレートいる?
毒?…糠に年単位で漬ける準備も必要かな?

そんな、この先に在る脅威について
この世界の科学力の協力を頼みた…
は~い、そこの船員さんドン引きしない!

さて、快く船員さんも調査に協力してくれるという事で(強弁)
自分はデブリの調査に行ってくるっす

排除じゃなくて調査ね
ゴミってのは意外と情報の宝庫っすから
案外、生存可能な領域含め何かの手がかりが
在るかもしれんっす

空振りだったとしても、それはそれ
暗中模索,暗中模索


コルチェ・ウーパニャン
えへへへー。コルチェ、星座を作りまーす!
窓にぺたっと紙を当てて、見比べながら…

ここの星はまだ誰も見たことが無い星ばっかり!
間違いなくオリジナルの星座が作れるね!
まずはソフトクリーム座から…

…場所によって見え方が変わるから星座なんてイミないよって?
…………。(ナウローディングピカピカ)
…コルチェもそんな気がする!!!
でもそしたらまた、ここを通るのみんなで見たらいいんだよ!
これから宇宙中のみんなが、この航路を通って、ここへ来るとしたら
ここでふと宇宙船の外を見たとき、あっ、あれはソフトクリーム座って思ってくれたら
コルチェとっても嬉しいの
これから何が起こるか分からないけど
みんなで元気に帰ってこようね!


トゥール・ビヨン
アドリブ歓迎
パンデュールには搭乗せずに行動するよ

この船の乗組員達は頼もしいね、ボクも出来ることで手伝うよ

ボクは乗組員達を手伝って船の修復を行おうかな

特に精密な機械類なら手先が器用で身体の小さいボクにうってつけだしね
衝撃で空かなくなったコントロールパネルのボックスも鍵開けのこの通り

機器類は船の航行の要だからね、入念にチェックしておかないと

休憩時間は乗組員の人達とコミュ力を発揮して交流を図ってみるよ

ウォーマシン船の襲撃があった直後だし、不安に感じてるかも知れないから何か楽しい話しをしてみたいな

乗組員にどんな人がいるかとか、普段はどんなことをして過ごすのが好きだとか
一息ついたらまた仕事を再開だ



●航海二日目:船体修復作業中の一幕
 この世界の宇宙船の多くに言えることだが、スペースシップは巨大だ。
 なにせ住み着く惑星がない以上、この船こそが人々のゆりかごであり墓場。
 必然的に、スペースシップのほとんどは都市機能を備えたサイズとなる。
 つまり、先日の艦隊戦におけるダメージは、そう簡単に治せるものではない。
 警戒任務や周辺宙域の地図作成など、やらねばならない作業が大量にある以上、
 修復やメンテナンスに割ける人員も限られてしまう。
 ……ようは、人手も資材も足りないのであった。

 そんなところへ、とある猟兵がウォーマシンや母艦の残骸を回収し、提出。
 これを利用してナイチンゲール号のあちこちを修復することが決定し、
 さっそく多くの猟兵が駆り出されることになった、の、だが……。
「キエリビウムJOX、調理計画~!! ででどん!!(肉声)」
「わーわーぱちぱちー! よくわかんないけどご飯のことだよねぇ!」
「そうっすよ。謎多きクエーサービースト! はたしてそいつは食えるのか!?
 ……いや、喰っていいのか? そこを徹底的に突き詰めていきたい! っす!」
「でっかいのに食べちゃうの!? 食べられるの!?」
「それを会議して予測しようっていうのが今回のテーマで……」
「……うん、いや色んな意味で興味深いんだけど、仕事はしようね!?」
 作業場の片隅が、なんだかやけに騒がしくなっていた。

 いきなり素っ頓狂な計画を立案したのは、フードファイターの秋山・軍犬。
 そんなノリにあっさりノッた、ミレナリィドールのコルチェ・ウーパニャン。
 さっそく修復作業から全力でそれているふたりをたしなめたのが、
 フェアリーであり時計修理工の見習いでもあるトゥール・ビヨンというわけだ。
 トゥールの言葉に、軍犬もコルチェもきょとんとした顔で彼を見返した。
 そしてふたりして顔を見合わせ、声を揃えてこのように言う。
「「えっ、そんなお仕事しないといけないの(んすか)!?」」
「そうだよ!!」
 そこからであった。
「おかしいっす、自分はデブリの調査を志願していたはず……」
「あ、コルチェはね、あのねー、星座を作ろうとしてたんだー!」
 こーやってー、と、誰も聞いてないのに持参した紙とペンを取り出すコルチェ。
 ガラス窓に紙を貼り付けて、外の星をなぞって適当な星座を作りたかったらしい。
 ……作業でもなんでもない。しかもこの宙域では自由度が高すぎる!
「いや、だからね……そのデブリっていうか、残骸が使えるか調べながら、
 使えるヤツは船体に使う。それがボクらの作業だから、やることは同じだよ?」
「なーんだ! なら安心っすね!」
「安心安心ー! コルチェねー、まずはソフトクリーム座作るー!」
「いやそっちは全然違うよ!? なんで普通に続けようとしてるの!?」
 トゥールは思った。こんなツッコミは自分のキャラだったか!? と。
 だがあいにく、この班で一番まともな感性の持ち主は彼なのである……!

 そんなこんなで、あれこれと雑多な残骸を逐一チェックしていく三人。
 もしもデータが無事な記憶媒体を発見した場合は、ブリッジで解析が行われる。
 軍犬は割とノリノリで作業をしていた。どうやらさっきの放言はマジらしい。
「……思うんだけどさ、敵の残骸を調べてそんなことわかるのかな?」
「そこが盲点なんすよ! なにせゴミってのは情報の宝庫っすからね!
 しかもそれが、実際にクエーサービーストと戦った連中の残骸ときたら!」
「食べる? 食べられちゃう!? ソフトクリームある!?」
「さすがにソフトクリームはないっすけど、役立つ情報は得られるはずっす!」
「からあげは!? 唐揚げはある!?」
「唐揚げはないっすけど!」
「ないかー!」
 トゥールは、もう何回目かもわからないため息をついた。
「いや、あえてのたこ焼きプレート? あるいは毒があるなら、糠に漬けて……」
「クエーサービーストの調理方法はいいから! ほら、作業しよう作業!」
 近くに居た乗組員たちの『何いってんだこいつら』的な視線がとても痛い。
 だがまあ、何か少しでも手がかりを得たい、という気持ちは誰もが同じだ。
 そのあたりは、先日からあちこちを飛び回っていたトゥールも痛感している。
「……実際この船の人たちは、クエーサービーストをかなり警戒してるからね。
 そういう明るい……明るい? 話題で茶化すのは、割とアリかもしれないよ」
「自分は本気と書いてマジっすよ!!」
「いやそういう話じゃなくて……」
 やれやれ、と意識を手先に集中させるトゥール。彼の担当は精密機器だ。
 計測器や船内気温の調整器具、あるいは環境をよりよく保つための部品など、
 時計修理工としての器用さが役立つ分野は数知れない。

「…………むーん」
 そんな中、コルチェはなにやら難しい顔をしてうんうん唸っていた。
「どうしたっすか? なにかいい調理方法を思いついたっすか?」
「え? ううん、どういう星座作ろうかなって!」
「まだそれ諦めてなかったの!? そもそも意味ないんじゃないかな!」
「えっ」
「まあ、星空なんて宇宙じゃいくらでも見え方変わるっすからね」
「……………………」
 ピカピカピロリロ。コルチェの髪(光ファイバー)が七色に輝く!
 計算中、計算中……ピロリロテカテカキャバババァーン!!
「コルチェもそんな気がしてきた!!!!」
「「いまさら!?」」
 今回ばかりは軍犬もツッコミ側に回ってしまうほどであった。
「んー、でもでも! そしたらまたみんなで星を見てみたらいいんだよー!」
 コルチェは明るくそう言うと、ばっと立ち上がって大きく手を広げる。
 そしてトゥールを、軍犬を、周囲のスタッフたちを見て、笑顔になるのだ。
「これから宇宙中のみんなが、この航路を通ってここへくるとしたら!
 ふと外を見た時、『あっ、あれはソフトクリーム座かあ』って思ってくれたら!」
「ソフトクリーム座、諦めてないんすね……」
「えへへへ。……うん、そしたらね、コルチェとっても嬉しいの!」
 屈託ない少女の言葉は、不安に翳っていたスタッフたちに笑顔をもたらした。
 彼らの胸の内を、かねてからのコミュ活動でそれとなく知っていたトゥールは、
 へえ、と感心したような声を漏らす。これも、ある意味ひとつの才能か。
「だから、ね! これから何が起こるかわからないけど!
 みんなで元気に帰ってこようね! で、ソフトクリーム食べよ!」
「いやいや、酢漬けもありかもしれないっすよ!」
「すづけ!? なにそれ!?」
「だからクエーサービースト食べようとするのやめようよ!?」
 ……相変わらず騒がしい作業場に、スタッフたちの朗らかな笑い声が響く。
 一同の作業は、なかなか楽しく和気藹々と進んだとか、進んでないとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ゼイル・パックルード
新天地か、俺も退屈な砂漠が嫌で抜け出したらわからなくはない
しかし……することがねぇ
データだのは作れねぇし、哨戒やデブリの削除たの俺の能力じゃ非効率すぎる
技術は俺なんかじゃ想像もつかねぇほど進んでるし、すげぇ身体に負荷のかかるトレーニングとかねぇかな?ジャパンのコミックで見た、負荷100倍とか300倍までかけられる重力室とか
重力制御はできるけど人が生活できるくらいにしか無理?できても今そんなリソース割けない?そう……

仕方なし、食堂で茶でも飲みながらゆっくりするとするか。
別に落ち着いた雰囲気も和やかな雰囲気も嫌いじゃない。どうしようもなく争いとかのが好きなだけで。


狭筵・桜人
はぁ働いた働いた。ちゃんと働いてましたよね、私。

とはいえ食堂でダラダラしてるとまたおっかない人に
見つかりそうなので負傷者の看病に従事することにします。
なんかそういう名前の船ですし?

超常能力でピカーっと治してあげたりは出来ませんけど
包帯を取り替えたり、食事を手伝ったりくらいは出来るので。
……別にここで自分のご飯も済ませようなんて思ってませんよ?

しかし冒険心ですかねえ。
彼ら、危ないって理解っててなんでこんなとこまで来ちゃったんでしょうね。
未踏の宙域を超えた先に新しい世界があったとして――、
移り住もう、なんて思える場所だといいんですけど。

何にせよ、この人たちにとって宇宙船の世界は狭すぎるんでしょう。



●航海二日目:食堂での一幕
「はぁ働いた働いた……いやこれマジでちゃんと働いてますね私」
 などと独り言を言いながら、桃色の髪の少年が食堂にやってきた。
 時刻は昼――を、やや過ぎた頃。とうにピークは過ぎ、人の姿はまばらだ。
 少年……狭筵・桜人は、多分に適当……もといアバウトなところがある。
 彼を知る人物ならば、ひょっとしてサボりにきたのでは?
 とか考えそうなものだが、実は今回ばかりはそうでもないらしい。
「ああ、すみません。救護室にいくつか食事を手配してほしくてですね」
 厨房で働くスタッフたちに、カウンター越しに呼びかける。
 よく見れば、桜人の髪はぼさぼさで、服もやや着崩れしている。
 当然だろう……彼はさっきまで、救護室で怪我人たちの手当てをしていたのだ。
 もちろん血の汚れなどは洗ってきたが、それだけ忙しかったということだろう。
 仮にもUDCエージェントとして訓練を受けているからこその立ち回りである。

 ともあれ桜人が用件を終え、食事が完成するまで待とうと、適当な席に座ると。
「怪我人の手当てか? そんな見た目でもないのに、よくやるもんだ」
 と、対面に座っていた浅黒い肌の青年が、桜人を見て言ったのだ。
 桜人は、声をかけてきた男を一瞥する。年頃はおそらく同じくらいか。
 だが目の前の男が纏う雰囲気は、とてもではないが若者のそれではない。
(うーん、笑顔であちこち引きずり回すようなタイプの方ではなさそうですが、
 ある意味別ベクトルの意味でおっかなそうな人に出くわした感じがしますね……)
 桜人は人当たりのいい笑みの裏で、あくまでもドライにそう考えていた。
 そして事実、彼の推測通り、浅黒い肌の青年……ゼイル・パックルードは、
 強敵との死闘に己の生を見出すというタイプの猟兵だったのである。
「外れだったかね? これでも、似たような仕事はやったことがあるんでね」
「似たような? そちらこそ、看護師タイプの方には見えませんが」
 桜人のやや慇懃無礼な言葉に、ゼイルはくっくっと肩を揺らした。
「そりゃそうだ。俺はもともと傭兵だったもんでね、だから慣れてるのさ」
「ああ、なるほど……たしかにそれは、なんとも」
 一山いくらの金で命をやり取りする傭兵は、己の命も自分で守らねばならない。
 戦場の中で生き延び、負傷を手当てするサバイバル術は必須技能と言えるだろう。
「それは残念ですねえ! もし聖者の方とかならよかったんですがねぇ。
 ほら、あのピカーッて光って治すユーベルコード。あれ便利じゃないです?」
「まあな。けどお察しの通り、俺は門外漢だよ。データだなんだも不得手でね」
「……それで、食堂で暇つぶしですか。まあ、そうなりますよね」
 自分もあわよくば、そうしたかった。とは桜人はおくびにも出さない。
「なんかこう、すげぇテクノロジーを使った訓練室がないか聞いてみたんだが……」
「あ、それひょっとしてあの漫画です? 意外なとこ来ましたね!?」
 UDCアースの日本出身なら、誰でも知ってる有名コミックのネタだった。
 ゼイルは割と本気だったらしいが、当然そんなものは存在しない。
「あったところで、そんなところにエネルギーを回すリソースはない、とさ」
「そりゃそうですよねー。あっても私、絶対ヤですけどねそんなトレーニング!」
 ふたりは違いない、と言葉を揃えて笑い、運ばれてきた茶を嚥下した。

 そうしてゼイルは、ヒマをもてあまして食堂に根を下ろしたのだという。
「出来ることはないが、新しい場所を求めて旅をするっていう気持ちはよくわかる」
 生まれ故郷である砂漠を出て、傭兵として世界を巡った己を鑑みる。
 退屈は人間を殺す。ゼイルはそれをよく身にしみて理解しているのだから。
 不得手な作業に手を出して邪魔してしまうよりは……というところだろう。
「けど割と不思議ですね。こういう雰囲気は似つかわしくない感じがするというか」
「そうかい? そうでもないさ。俺だって、落ち着いた雰囲気も嫌いじゃないよ」
 桜人の言葉に、ゼイルは特に腹を立てた様子もなく、あっさりと言った。
 彼とて人間だ。どれだけ戦いで精神を高揚させるタイプであろうと、
 休息がなければ戦えない。こうした静かな一時も、嫌っているわけではない。
「そういうあんたは? 好き好んで怪我人の世話をしてるわけじゃないだろ」
「はははは。そんなとんでもない。ほら私、見ての通り善人ですし?」
 あきらかに人を喰ったような笑みでけろっと言う。桜人はそういう少年である。
 しかしふと彼は、頬杖を突き、厨房の方を見ながらぽつりと呟いた。
「……彼ら、危ないって理解ってて、なんでこんなとこまで来たんでしょうね」
「その話なら、昨日あの艦長とやらがしてなかったか?」
「いえまあ、そうですけど。冒険心ってやつなんでしょうかねえ」
 もしもこの先に、彼らが夢見たように、新天地となるような場所があったとして。
 それが、今のこの生活より優れた日々を約束するとは限らない。
 探索も、来るであろう戦いも、その先も、何もかもが困難の連続。
 そして当然――夢は、夢のままで終わる可能性のほうが圧倒的に高いのだ。
「そうせずにはいられない、っていう気持ちは、俺にもわかるよ」
「ふうん」
「……それで見たことのない敵と戦えるなら、俺は喜んで力を貸すし、な」
 桜人は、そう語るゼイルの瞳の奥に、揺らめく炎を垣間見たように思った。
 愛想のいい笑みの下にその幻視を潜めて、桜人は言う。
「……ここの人たちにとって、宇宙船の世界は狭すぎるんでしょうね」
「ああ。世界が変わろうが、結局そういうところは一緒なんだろうさ」
 それが理解できないことだとしても。
 障害が道を阻むのなら、それを取り除く"力"の需要が生まれる。
 ふたりはその需要を見逃さない。ベクトルは異なれど、そういう人間同士なのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 ――航海二日目、終了――
荒・烏鵠
【万嶺殿】
はいハイ阿呆共ーおシゴトの時間だぞー。
暴れる以外にも役に立てるってトコ見せてくれや。
……暴れンなら叩き出すぜ。

とーりあーえずーっと。オレサマはマッピングでもすッかねェ。
狗神放して見聞きした物で星図作成だ。機械の使い方教えてもらお。
生きモノじゃない狗神なら宇宙とかカンケーねーしナ。適役適切適材適所だ。
そーさナ、閉じた空間だ。乗組員サンたちとオハナシでもしましょ。
ニンゲン同士でギスッてっとウマくいくモンもいかねェ。ソーやって失敗した例は山ほど知ってる。
千丈の堤も螻蟻の穴を以て潰ゆ、日々できる限りのコトはするさァ。


イリーツァ・ウーツェ
【万嶺殿】
……まあ
貴様と比べれば、此の身は阿呆であろうよ
元よりそう云う任務だ、手は尽くす
スコアは私が勝ったしな

ん?

まったくだ。別に怒ってもいない
では、私は船の修繕を行う
UCを使用し「損傷」という事象を消す事で直す
船全体は流石に大き過ぎるから、
船員に損傷個所を聞き、修繕しよう
外も内も複雑具合すら関係無い
「元に戻す」だけだからな

船員との交流等は烏鵠に一任する
ニンゲンの隙間を埋めるのはあれが最適だ
アルバートは逃げたか そうだろうな
あれの内は雛(子供)のままだ 責めまい

しかし、ニンゲン観察には良い機会だ
如何云う言葉に如何云う反応を返す?
理解出来ずとも模倣出来れば、
私も人間社会に潜めるだろうか


アルバート・クィリスハール
【万嶺殿】
誰がアホウだこの狐。
いやいいけどさ…暴れた後だからすっきりしてるし。
スコアは僕の勝ちだったし。

は?

…はは。流石にしないよ、ヒト前だもの。
うーん、とりあえず足りない物資があれば作ろうかな。
後は毎日外に出て哨戒。目がいいからね、僕は。
ヒトと話したり間を取り持ったりは荒さんの役目でしょう?
向いてないんだ、そういうの。いい加減気付いたよ。
必要な事を終えたら、僕は外に行くね。

宇宙って暗くて静か。思えば故郷もそうだったっけ。
なんだかんだで落ち着くのがやだな。
……「皆で掴んだ未来」か。
希望に溢れた目で、期待に胸膨らませて。
ニンゲン。人間!
あーあー、嫉妬で胸が焦げそう。
畜生…。



●航海三日目:人でなしたちの宇宙旅行
 早朝、ナイチンゲール号のブリッジ。
 これまでの探索の成果をはじめ、回収された敵の残骸から得られたデータ、
 あるいはリアルタイムで計測される様々な情報が、ここで分析・整理されている。
 そんなスタッフや猟兵に混じり、慣れた様子で仕事をする妖狐の男がひとり。
「いやースゲーな宇宙世界、まさにSFチックってカンジでワクワクしちまうナ!」
 荒・烏鵠である。この男、割とその手のサブカルに造詣が深いらしい。
 どうやら初日に受けた説明だけで、雑多な機器の使用に習熟したようで、
 いくつもの立体映像に囲まれながら作業するさまは、完全に堂に入っていた。
「しッかし……あーちゃんは今日も相変わらずかねェ、マッタク困ったオトートだ」
 いくつもの周辺宙域の星系図をチェックしながら、烏鵠は別の視界を見ている。
 それは、彼が放った不可視かつ非物質的な狗神たちの知覚情報である。
 この程度のマルチタスクは、鍛え上げた術師としてはむしろ初歩も初歩であろう。
「あれ、烏鵠さん。今日はお二人は一緒ではないんですか?」
「ドーモォ! そーなンだよ、もうふたりして作業にかかりきりなンでネ」
「助かりますよ! イリーツァさんもアルバートさんもすごい方ですし!」
「ハハハ、あとで伝えとくわ! あ、チナミにオレは???」
「もちろん烏鵠さんだって頼りにしてますよ! 今日もよろしくお願いしますね!」
「サンキュー! ま、こーゆーときはお互い様、だしナ!」
 などと、ブリッジのスタッフたちとのコミュニケーションもバッチリだ。
 だが今しがた名前の挙がった彼の弟たちは、といえば……。
「……いやホント。つれーわー、アニキつれーわー!」
 そもそもどうしてこんなことになったのか。話は航海初日まで遡る……。

 先の艦隊戦が終結した直後のこと。
「はいハイ阿呆どもーおシゴトの時間だぞー」
 戦闘を終えて戻ってきたイリーツァ・ウーツェとアルバート・クィリスハールを、
 皮肉たっぷりの台詞とともに、満面の笑顔で出迎えた烏鵠。
「……まあ、貴様と比べれば、この身は阿呆であろうよ」
 イリーツァは特に苛立った様子もなく、いつもどおりの鉄面皮で返した。
「誰がアホウだこの狐。イルもさ、言わせっぱなしはよくないと思うんだよね僕」
 対するアルバートは、これまたいつものように言葉尻に噛み付いていた。
「不満なら、暴れる以外にも役に立てるってトコ見せてくれや、ナ?」
「もとよりそういう任務だ、手は尽くす」
「……いやまあ、いいけどさ。暴れたあとだからスッキリしてるし」
 なんやかや、正直に頷くふたりであった、が!
「スコアは私が勝ったしな」
「スコアは僕の勝ちだったしね」

 ……間。

「ん?」
「は?」
 顔を見合わせる両者。表情は変わらない……が、空気が一気に張り詰める!
 その場に居合わせたスタッフたちは、突然のプレッシャーに慌てふためいた。
 怪我人の中には、耐えきれず気を失ってしまった者すらいる……!
「私の勝ちだったが?」
「いや、僕だけど?」
「ん?」
「は???」
 ぴりぴりと雰囲気が張り詰める。極限の緊張……!

 それを、ぱん! という音――柏手めいて両手を叩いた烏鵠によって、遮られた。
「オマエら、暴れンなら叩き出すぜ」
 満面の笑みである。イリーツァもアルバートも、真顔でそちらを見た。

 再びの、間。

「……はは。さすがにしないよ、ヒト前だもの」
「まったくだ。別に怒ってもいない」
 緊張が解ける。スタッフたちは困惑しながらもそれぞれの作業に戻った。
「ったく幸先不安すぎるっツーの。とーりーあーえずー、オレサマは艦橋かなァ」
「では、私は船の修繕を行おう。干渉術式ならば"損傷そのもの"を消せる」
「んー、僕は必要物資の生成かなぁ。あとはまぁ、船の外で哨戒?」
 ……と、あっさり仕事は分担された。さすがは三人兄弟というところか。
 それぞれの得手と不得手を理解しているからこそ、彼らの連携は盤石だ。
 それぞれの領域では他の追随を許さぬからこそ、背中を預け合えるのだ。
 そこに、揶揄や嘲笑、あるいは見下したり卑下するようなことはない。
 肩を並べ共に生きる兄弟としての、誇りであり義務といったところか。
「あン? じゃァ、アレか? ニンゲン相手のコトは――」
「烏鵠に一任する。私よりも、ニンゲンの隙間を埋めるのはお前が最適だろう」
「そうそう。僕そういうの向いてないし? 荒さん、頑張ってね!」
 イリーツァとアルバートはけろっと言うと、それぞれの持場にさっさと移動する。
「……ヤレヤレ。アニキつれーわー」
 止める間もない。無論、止めたところで対して意味はないのだが。
 なにせ、彼らの言葉が事実であろうと、烏鵠もよくわかっているからだ。
 そうして、三人はそれぞれの分野で船に貢献することになったのだ……。

 ……だが、イリーツァはアルバートとは、やや違う振る舞いをしていた。
 ニンゲンの機微には疎い竜とて、それなりに模倣しようと努力はしている。
 烏鵠が語らう相手の表情、言葉、振る舞い、そして烏鵠の言葉に対する反応。
 折を見てそれをつぶさに観察する様子は、スタッフのほうからすると、
 仏頂面の偉丈夫が兄貴のほうをじっと見つめている……ように見えるのだが。
「んォ? いーちゃんナニやってンの。シゴト終わったンか?」
「ああ。対して手間はかわらない。この船は巨大なので作業が多いだけだ」
「まーナ。……で? どーよ、少しはベンキョーになってるか?」
 烏鵠の言葉に、イリーツァは表情を変えないまま首を振った。
「さっぱりだ」
「だよなァ!」
「――だが、学ぶべきことは多い。いずれ役立ててみせる」
 そんなイリーツァの言葉に、烏鵠は肩をすくめた。
「しかし、アルバートは今日も外に逃げたか」
「いーちゃんいーちゃん、言い方言い方」
「事実だろう。責めるつもりもない。あれの内は雛のままだ」
「……まーナ」
 やはり、烏鵠は肩をすくめるだけだった。

 同じ頃、ナイチンゲール号の船外。
 アルバートは、羽を休める鳥のように、甲板の隅に腰を下ろしていた。
 仕事はしている。船内ですれちがえば、スタッフはみな彼に感謝を述べる。
 屈託のない笑顔で、心からの尊敬と感謝を込めて言葉をかけてくる。
「……皆で掴んだ未来、か」
 脳裏に、あの日見た艦長――パトリックの言葉が、よぎった。
 苦境にまみれながらも、むしろ自ら進んで苦難に挑むニンゲンたちの姿。
 それをものともせず、苦しいはずなのに笑って、互いを称え合う姿。
 その中に、自分まで含めようとする姿。言葉。声。希望に溢れた目。
「……ニンゲン」
 期待に胸を膨らませた高揚。絆。連帯。尊敬。感動――心の機微。
「……人間……!!」
 アルバートは握り拳を振り上げ、おろしかけて……脱力した。
「……あーあ、嫉妬で胸が焦げそう。ほんっと、やだやだ」
 嘆息し、頭を振り、両手で顔を覆った。
「……………………畜生」
 その言葉は、誰にも届くことなく。ただ、宇宙の闇だけが彼を包む。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ユーフィ・バウム
※アドリブ・交流等歓迎です

パワータイプとしてデブリなどを
取り除くことに努めます

持ち前の【怪力】に【力溜め】ての
作業を張り切って行います

とはいえ私も宇宙での作業は不慣れ
ナイチンゲール号の方に方法などを聞き
【情報収集】してから作業に臨みます

そぉれー!張り切ってまいりますよ!
大型のデブリには武器も使うと効率的でしょうか?
【衝撃波】なども駆使して消滅させましょうー
どかーん!

終わりましたら食堂でリラックスタイム!
【大食い】なのできっと動いた後はもりもり食べられます
そして食を共にすれば、皆さんともっと仲良くできるのでは!
【野生の勘】もきっとそう言ってます

生存可能な惑星の発見……新天地の発見
叶うといいですね


フランチェスカ・ヴァレンタイン
ここから先はいよいよ、ですか…
わたしは先行偵察も兼ねて、周辺宙域の哨戒・探索でも?

視界と位置情報、兵装の情報収集機能を艦橋とデータリンクした上で暫定航路を先行し、早期警戒網の構築を
光跡を曳きながらの機動で星の海を舞い、砲撃と戦槌の爆砕でデブリの処理をしていきましょう

あら、前方に暗礁宙域らしきものが… ブリッジ、突入コースですけど迂回できます?
…無理? どうにかしてって… 無茶振りにもほどがありますわね…!

UCを展開して旋条光刃を超過出力で展開、その尾がナイチンゲール号を覆うほどの帚星となって暗礁宙域を裂き穿ち
ええ、戴いたリクエストの通り。安全でスムーズな航路を作って差し上げると致しましょう…!


露木・鬼燈
『周辺宙域の哨戒』
これから先も戦闘があるかもしれない。
そーなると備える必要があるよね。
日々の鍛錬は欠かせないのです。
火廣鐵と一体化して哨戒を兼ねた訓練を行うのです。
宇宙での戦闘は不慣れだからね。
調整は必要なのですよ。
とゆーことで、デブリ帯に突入。
スタスターを活用した高速機動の慣熟訓練です。
デブリを回避しながら進み、無理な時は素早く破壊。
ちょっと大きめの物は蹴って軌道変更に利用する、とかね。
満足するまで訓練を行ったらデブリ帯を一度抜けるですよ。
哨戒も仕事だからね。
監視システムと中継器を設置するです。
あの小惑星、いい感じな大きさっぽい。
穴をあけてそこに装置を納めて…
動作確認完了。
これで戻るですよ。


ビードット・ワイワイ
連携アドリブアレンジ歓迎
周辺デブリの排除につとめよう
UCにてフライングトライヘッドメタルアンデッドシャークを召喚し馬代わりにすることで素早く移動
自力や機具を使いて移動するよりは遥かにマシであろう

シャーク自身に邪魔になる障害物を排除させつつ
我もデブリに対して誘導弾を放ちながら周辺の探索をせり
移動手段を持たぬ者が居れば我に乗りて排除なり探索をするがよい

この辺りは未知なりし宙域なるが何ぞ資源でもあるのであろうか
何か一つくらいあれば今後の調査に役立つやもしれぬがはてさて
シャークよ誤って食わぬように気をつけよ、気をつけるのであるぞ
フリではあらぬぞ


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

ふぅ…とりあえずは一段落、ってとこかしらぁ?
負けるとは思わないけど、こっちも相応に消耗するし。
そう何度も相手したくはないわねぇ、アレ。

あたしは周辺の警戒に回るわぁ。
例のクエーサービースト、だっけ?
そいつと会敵してるときに横槍入れられても面倒だもの。
何が起こるかわかんないし、不確定要素は一つでも減らしたいのよねぇ。
●絞殺を利用して船の人たちとコミュ取りながら索敵するわねぇ。
地上ならともかくあたし宇宙空間は素人だし、アドバイスとか聞けたらいいわねぇ。

ソラの向こうの果ての果て、未だ見ぬ無限の彼方まで。ロマンがあっていいじゃない。
あたし嫌いじゃないわよぉ、そういうの。



●航海三日目:デブリ集積地帯の大規模除去作戦
 それは、ちょうど昼前の出来事だった。
「なるほど! 宇宙では色々と気をつけないといけないことがあるんですね!」
「そうねぇ、まあ習うより慣れろで、実践してみるのが一番なんでしょうけどぉ」
「本番を味わわないと、いくら鍛錬しても無駄っぽい! チャレンジ大事、です!」
 トレーニングルームに詰める三人の猟兵たちが、口々に言葉をかわした。
 はじめに言葉を漏らしたのは、幼くも一人前の戦士であるユーフィ・バウム。
 異様に甘ったるい声音で、のんびりと同意したのがティオレンシア・シーディア。
 そんなふたりに対し、慣れた様子で鼓舞してみせたのが露木・鬼燈である。
 性別も、年齢も、もちろん種族も武器も、戦い方も違う。猟兵の多様性の好例だ。
 そんな彼らがどうして同じトレーニングルームにいて、何を学んでいたか。
 ……それは、船外で効率的に活動するための、一種のレクチャーであった。
 先の銀河帝国攻略戦で、猟兵たちが遺跡から獲得した特殊宇宙服。
 それは生身とほぼ同等の行動を可能とし、かつ全方向への推力を発生させるが、
 無重力下での戦闘行動には多少なりとも習熟を必要とする。
 初日の艦隊戦こそ潜り抜けられたものの、次に戦うとすれば相手は巨大天体生物。
 今のうちに、少しでも経験値を稼いでおくのは戦士として正しい行動だろう。
 そういうことで、彼らは無重力下での移動方法などを学んでいたのだ。

「あのレベルの敵がそう何度も来るとは思えないけどぉ、消耗も激しいものねぇ。
 こっちが疲弊してるときにぃ、デカブツにこられたらどうしようもないわぁ」
 ティオレンシアは、頬に手をやって憂いげにため息をついた。
「戦士として、向かってくる敵は倒しますが……船も皆さんも傷ついてしまいます。
 今回の目的は、あくまでこの航海を成功させること、です。頑張りましょう!」
「張り切るのはいいけど、肩に力入れすぎてもよくないよ。リラックス!」
 むん、と気合を入れるユーフィに、鬼燈がそれとなくアドバイスしてやる。
 化身忍者として、こうした長期間の警戒を続けることに慣れているのだろう。
 単に腕っ節で敵をぶちのめすだけが戦いではない、ということだ。
「ま、そうねぇ。とりあえず、あとは今日のデブリ除去で本格的に仕事かしらぁ?」
「ぽいぽい! 僕も化身機装の調整は出来たし、早く試しておきたいですよー」
 と、20歳超えのティオレンシアと鬼燈の大人二名はいい感じに力が抜けているが、
 まだ若い少女であるユーフィは、やはりどうにも緊張が解けきらない様子である。
「うーん、でもなんだかやな予感がするというか……いえ、カンなのですが!」
 などと微妙に不吉なことをぽろっと呟いた……その時!

 ビーッ! ビーッ! ビーッ!
 と、けたたましい音とともに、天井の警告灯が赤く輝き始めたのだ!
「うわ! 妙なこと言うからほんとに何か起きたっぽい」
「ええっ!? わ、わたしのせいですか!?」
「……なんて、冗談言ってる場合かしらねぇ」
 どうやらスタッフのほうでも、何が起きたのか確認を急いでいるようだ。
 はたして何が起きたのか? それは、船からやや離れた宙域でのことだった……。

 時系列は、やや巻き戻る。
 鎧装騎兵であるフランチェスカ・ヴァレンタインは、先行偵察も兼ねて、
 ナイチンゲール号の進路上に不審な危険物がないかどうか哨戒・調査していた。
 ある程度のことはリアルタイムの探索と各猟兵のユーベルコードで予測できるが、
 誰かが実際に船の先を進み、その目と耳で見聞するのに勝ることはない。
 当然、相応の機動力と少数での戦闘能力が必要と要求され、要員は限られる。
 その点、機動戦闘に卓越したフランチェスカは、まさにうってつけの人材だった。
「とりあえず、このあたりまでは問題なさそうですけれど……不気味ですわね。
 あれだけの艦隊がいきなり壊滅していたのだから、他にも残骸がありそうな……」
 フランチェスカは、そこら中に探査船団の成れの果てがいるかと警戒していた。
 だが蓋を開けてみればこの通り、3日が経過しても新たな会敵は起きていない。
 旅が順調であるのはいいことだ。これまで出くわしたのは小規模なデブリ程度。
 ……しかしクエーサービーストの生存領域だと考えると、話が変わってくる。
(自然界に住む動物であれば、縄張りを誇示するためにいくつも痕を残すはず。
 それがない、ということは――ここはまさに、敵の独壇場、というわけですわね)
 縄張りを主張するに値するだけの外敵が、この未知宙域には存在しない。
 そしておそらく……あの艦隊よりも奥へ進んだ船団は、"完全に破壊"されている。
 残骸すら遺さず。敵は、それを可能とする戦闘能力を有しているということか。

「……あら?」
 そんな考え事をしていたフランチェスカは、進路上の新たな脅威に気付いた。
 おそらくナイチンゲール号が到達するのはあと数十分後、という距離だが、
 なんらかの要因で擬似重力場が生まれ、このあたりのデブリが吸い寄せられ、
 かなり大きな暗礁宙域を形成しているようだ。フランチェスカは眉根を顰めた。
「あの規模に入ると少しまずいですわね……迂回したほうがよさそうですわ。
 ブリッジ? こちらヴァレンタイン。移動コースの修正を要請しますわ」
 音声とともに、フランチェスカは最適な迂回経路のデータを艦橋へと送る。
 これで問題はない……はず、だった。だがブリッジからはスタッフの慌てた声。
《こ、こちらナイチンゲール! 大変です! コースの修正が出来ません!》
「はい? どういうことですの?」
《な、なんらかの重力波動が、船体を吸い寄せています……!》
 フランチェスカはその言葉に怪訝な顔をし、はっとした顔で暗礁宙域を睨んだ。
 ……あれだ。あの宙域の中心点に、"何か"がある!
(他の探査船団の残骸が見られなかったのはそういうことですのね……!)
 おそらくは、スペースシップのような大規模な侵入者にのみ反応する一種の罠。
 してやられた。この付近に突入した時点で、船は飲み込まれかけていたのだ!
「仕方ないですわ、こちらで対応いたします。出来ればそちらからも応援を!」
 暗礁宙域に関するデータを送信したフランチェスカは、即座に術式を発動。
 脅威的な速度でブーストし、光焔を纏って重力の井戸へと飛翔した――!

 ……そして、時系列はナイチンゲール号にいた三人のほうに収束する。
 レッドアラートは、この異常事態の発生に伴い発令されたもの。
 インストラクションを終えたばかりの三人が応援に駆り出されることとなった。
 しかし、そのためにはひとつ問題が生じる。そう、移動速度の問題だ。
 ナイチンゲール号よりも先に暗礁宙域にたどり着き、これに対処するには、
 鎧装騎兵やスターライダーのような、宇宙戦闘に特化したエキスパートが必要だ。
 当然、三人の中にそうした専門家はいない。そこで新たに加わったのが……。
『これは復讐のために生まれし超生物。科学の粋を集めた破滅の先触れなり。
 よく食べ、よく暴れ、よく育つ危険な不死怪獣なれど、ものは使いようである』
 奇怪なウォーマシン、ビードット・ワイワイが謎めいた言葉で説明した。
『つまるところ、暴れたりじゃれたりすると食われるゆえよくよく注意せよ』
「それってほんとに移動手段として使っていいんですか!?」
「この人数だと背に腹は代えられないっぽい~」
「……にしてもすごい絵面ねぇ、これって」
 三人は各々の感想を漏らした……三つ首の巨大な獰猛宇宙サメの背中の上で!
 その名も、フライングトライヘッドメタルアンデッドシャーク! 盛りすぎだ!

 言うまでもなく、これはビードットが自身のユーベルコードで召喚したモノ。
 すでに説明されているとおり、非常に獰猛で危険な、自己進化可能超生物である。
 どう考えても移動手段に使っていいようなものではない。ない、のだが……。
 それはそれ、これはこれ。機動力に関してはまさにベストチョイスであった!
『フライングトライヘッドメタルアンデッドシャークよ、いざや急げさあ急げ。
 しかれど無闇矢鱈に食らうべからず。もしやすると何か資源があるやもしれぬ』
 ビードットの言葉は、はたして理解できているのかいないのか。
 宇宙戦艦すらも噛みちぎる鋭い牙をがちがち鳴らし、宇宙サメが唸る。コワイ!
『無論、我らも食らうべからず。絶対にである。絶対に食わぬよう注意せよ。
 フリではあらぬぞ。これは警告なり。最悪の場合、我だけは助かりはするが』
 "えっ!?"みたいな顔で、三人はビードットのほうを見た。不安ばっかり募る。
 ともあれサメが飢えて暴れる前に、一同は暗礁宙域の目視可能距離に到達!
『このまま宙域に突入である。フライングトライヘッドメタル……』
「もうシャークでいいっぽい!」
『シャークよ。いざや行け、障害物はそこそこに喰らい進むのである』
 無数のデブリが一同を出迎える。三つの首が獲物に食らいつき暴れ始めた!

「ようやく到着ですわね……ってなんですのそのZ級映画モンスターは!?」
 先に宙域に到達していたフランチェスカは、三つ首サメにさすがに驚いた。
 が、当の(略)シャークは、もうデブリを食い荒らすことに夢中である。
『あれなるはフライングトライヘッドメタル』
「だからシャークでいいですよ、もう! とにかく応援到着、です!」
 張り切った様子で背中から飛び出したユーフィは、さっそくその怪力を振るう。
 船に激突すれば甚大なダメージを与えるであろう大型デブリを、膂力で粉砕。
 振るわれた武器が強烈な衝撃波を発生させ、小規模なそれらをも燼滅させる!
「はぁい、こんにちはぁ。で、例の重力場とやらって何が原因なのかしらぁ?」
「あれですわね……おそらく探査船団のユーベルコードが暴走したのでしょう」
 フランチェスカが指差した先には、ブラックホールめいた黒い点が渦巻いている。
 あるいはまだ見ぬクエーサービーストの罠か、はたまた朽ちた残骸の怨念か。
 いずれにしてもその不気味な黒点が、スペースシップだけを引き寄せるのだ。
「ソラの向こうの果ての果て、まだ見ぬ無限の彼方まで……なんてロマンだけれど、
 こういうトラブルもあるのは困りものねぇ。けど、あたし嫌いじゃないわぁ」
「もうちょっと近づく必要があるっぽい? それなら僕におまかせです!」
 鬼燈の言葉にティオレンシアは頷き、神速のクイックドロウでリボルバーを抜く。
 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!! マシンガンじみたマズルフラッシュ。
 脅威的速度の連射が、鬼燈の進路を妨害するデブリを射撃破壊した!
 鬼燈は自身のユーベルコードを発動し、化身機装"火廣鐵"を召喚・装備。
 呪焔を纏って黒点めがけ接近、魔剣を振るい重力場そのものを叩き斬る!
「収束していた重力子が解き放たれますわ。皆さんはお下がりくださいませ!」
『フラ……シャークが盾となろう。ついでにこやつを処分である』
 ビードットは誘導弾を放ち、一同が避難するための経路を形成した。
 完全にデブリに夢中の(略)シャークの陰に、ユーフィらは緊急退避する。
「って、フランチェスカさん!? あなたはいいんですかっ!?」
「ええ――ここがわたしの腕の見せ所ですから、ねっ!」
 直後、フランチェスカの光焔の刃が、箒星のように長く延び、熱量を迸らせた。
 ともすればそれは、スペースシップすら飲み込むほどである。
 ズオオオオオ……! と迫る重力波動に対し、フランチェスカは真っ向挑戦する!
「翔け穿ち、貫ければこちらの勝ち! 過去の残骸にはご退場願いましょうか!」
 不可視の重力子すらも飲み込む光焔の刃が、波動を焼く。激突、相殺――消滅!

 ……そして、暗礁宙域の原因である重力場は、完全に散滅した。
 散らばったデブリも、各自がそれぞれの方向に渡って丁寧に処理することで、
 もはやナイチンゲール号を阻む堆積物は、完全に消し去られたのである。
「きちんと船の人たちにレクチャーしておいてもらってよかったわぁ」
「たっぷりお仕事したらお腹すいちゃいました! 帰ったらご飯ですね!」
「まあ、これで安全でスムーズな旅は続けられるでしょう……あら?」
 そこでフランチェスカは、鬼燈がいないことに気付いた。
 まさにその時、巨大な化身機装が遠くから戻ってきたのである。
「ちょっと機材を設置してきたです! また同じことが起きたら困るっぽいしね」
 監視システムと中継器の配置。これも、今後の探索には役立つことだろう。
 あれが銀河帝国調査艦隊のユーベルコードの暴走であれば、まだいい。
 万が一、ああした能力を持つクエーサービーストがいたとすればそれこそ問題だ。
『破滅のあぎとは未だ我らを狙うか。……ところで、帰りの足は如何する?』
「わたしはこの人数は引っ張っていけませんわよ?」
 一同は顔を見合わせた。……どうやら、船に戻るのはまだまだ先になりそうである……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

冴木・蜜
この船でいきたい、か
…この船の方々は素敵な縁に恵まれたのですね

その想いを後押しするために
私はできることをしましょうか

正直、力仕事はからきし駄目ですし
医療知識を駆使して
怪我人の治療を行いましょう

先の戦闘で大なり小なり負傷した方も
いらっしゃるでしょう
万全でも過酷な航海でしょうし
まずは地盤を固めなくてはね

『盲愛』を載せて
傷の重いものから優先して応急手当
船員の中で手伝って頂ける方が居れば
分担して行いましょう

ああ、そうですね
折角ですから簡単な応急手当を
幾つかお教えしておきましょうか

この航海が終わっても
貴方達は次の航海に繰り出すのでしょう
ならば生き抜く術は
身に付けておいた方がいいでしょう?


アイラ・アイネ
まさか空の果て…宇宙に行く機会があるなんて猟兵になる前までは考えられませんでした。

私は船員の方にサバイバル術をお教えしたいと思います。人が住める惑星を最終的に探していると小耳にはさみました。人が住める環境という事は私たちが住んでいる星と似たような環境かもしれませんので、きっとお役に立つと思います。衣食住を満たす方法を中心に教えましょう、希望があれば銃の扱い方も…もっとも、皆さんの方が慣れてるかもしれませんが。

それと…目指す星には別の生命がいるかもしれません。どうかその者たちに尊重と尊敬を忘れないでください。コンキスタドールにならないで。その星はきっと彼らの星なのですから。


ステラ・リデル
まずは、先程の襲撃で負傷した方の内、重傷の方の治療を手伝います。
(医術×『生まれながらの光』)
その後、未踏宙域の星図データの作成に協力を。
(世界知識×情報収集)
必要であれば艦載機を借りてデブリの排除、哨戒の任につきます。
(操縦×空中戦)

未踏宙域の探索に協力的で出来る事は自分から提言する。
人間関係には一歩、引いたところから見て、必要であればフォローを行う。
というのがステラの基本的なスタンスとなります。

アドリブ・連携OKです。



●航海三日目:救護室での一日
 ウォーマシン艦隊との遭遇・戦闘から、およそ三日。
 ユーベルコードという奇跡の力によって、船の損害は大きく立ち直りつつある。
 怪我人も同様だ。段々と、メディカルルームは人の姿がまばらになってきていた。
「初日はまったく手が回らずあたふたしましたが……ようやく一心地ですね」
 白衣を着た痩せぎすの男……冴木・蜜が、救急箱を置いて一息ついた。
 この船にはたくさんの猟兵が乗り込んでいるが、それ以上に船員も多い。
 しかも航海をしながらの治療となるため、かかりきりで出来るわけでもない。
 乗組員のなかには、怪我を押して作業に励む者も少なくなかったからだ。
 蜜のように、治療に専念する猟兵がいなければ、立ち直りはもっと遅かったはず。
「迅速な応急処置が功を奏しましたね。お疲れさまです、蜜さん」
 そこへ、青い髪を長く伸ばした女……ステラ・リデルがやってきた。
 どうやら蜜が一息入れるタイミングを察して、コーヒーを持参したらしい。
 彼女もまた、このメディカルルームを中心として献身的に働いた猟兵のひとりだ。

「ああ、ありがとうございます。ですが、キミのほうが働いているでしょう。
 ここでの治療ばかりか、宙域の調査結果をまとめたり、哨戒にも励んでいるとか」
 蜜はコーヒーを飲みつつ、今日までのステラの姿を思い浮かべた。
 はたしていつ寝ているのか、というぐらい、彼女は働き続けている。
 だというのに、疲労をおくびにも出さず、怜悧な面持ちを保っているのだ。
「私に出来ることがあれば、どのようなことでも協力したい。それだけのことです」
 立派な志と言えるだろう。蜜は、安易に称賛することをよしとしなかった。
 そういった軽はずみな言葉は、むしろ相手にとって失礼に値する、と考えたのだ。
「……そのお気持ちはわかります。私の場合、出来ることはこのぐらいですがね」
 力仕事はからきしダメなんですよ、というのはここ最近の蜜の口癖だ。
 人間らしいその姿に反して、彼の本質は不定形のブラックタールに在る。
 しかし彼は極力ヒトの姿を保ち、その範囲で出来ることを全うしようとする。
 それが、彼にとってのアイデンティティである医術だったのだ。
「そういえば蜜さんは、治療の合間に応急手当のレクチャーもしているそうですね」
「おや。誰かスタッフの方が話していましたか。お恥ずかしい……」
 照れくさそうに笑いながら、蜜は苦いコーヒーを嚥下する。
 ステラはあるかなしかの笑みを浮かべ、そんな彼を見て目を細めた。
 そのひたむきな『ヒトを癒やし、救う』という姿に、蜜の拘りを感じたのだろう。
 だからといって、言葉でつっついてほじくり出すようなことはしない。
 ステラは、どんなときでも人間関係から一歩引き、大局的に物を見ようとする。
 それはおそらく、彼女が師事する超然とした猟兵の在り方を真似てのものか。

 ……と。
 話題が"船員へのレクチャー"に移った時、ステラが何かを思い出した。
「たしか、似たようなことを教えたがっている方がいらっしゃるとか……」
「ほう。しかし医学に関することなら、ここに詰めているのが自然ですが」
 ちょうどそこで、メディカルルームのドアがプシュン、と音を立てて開かれた。
 顔を覗かせたのは、おそらくステラより少し年下の、青い瞳の少女。
 ステラと髪色も瞳の色も同じではあるが、与える印象はいささか異なっている。
 その少女……アイラ・アイネのほうは、少々冷たい眼をしていたのだ。
 酷薄、というわけではない。たとえるならば……厳しくも大いなる冬のような、
 強くしなやかな意志を感じさせる、そういう瞳の色をしていた。
「……失礼します。もしかすると、私のお話をしていたのでしょうか」
 蜜とステラは顔を見合わせた。
「その、船員の方々にレクチャーをしている……と、聞こえてきたものでして。
 それがサバイバル術に関することであるなら、私が皆さんにお教えしています」
「なるほど、サバイバルですか。たしかに医学知識も必要になってくる分野ですね」
 蜜は納得した。アイラはどうやら、自分が過ぎたことをしてしまったか、
 と不安に思ったようだが、そういうわけではないと理解すると胸を撫で下ろす。
「実は私は、皆さんよりもあとに転移してきた猟兵なので、事情に疎く……。
 ただ、新天地を探し求めている、と小耳に挟んだものですから」
「まだ"その可能性の手がかりが見つかるかも"……という段階ですけれどね」
「はい。それでも、生き抜く術はきっと役に立つはずです」
 アイラの言葉に、ステラも蜜も異論を挟む余地はない。
 居住可能な惑星など、今はまだ――艦長パトリックの言葉通り――夢想の域。
 しかしこの旅がそうであるように、極限状況を切り抜ける心得は、
 たとえ今まで通りの生活でも絶対に役立つはずなのだ。

 だが、アイラにはまだ、思っていることがあるようだった。
「……もしもいつか、未来に新たな惑星が見つかったとして」
 ステラと蜜は、ぽつぽつと語る少女をじっと見つめた。
「そこに、いま私たちが知るこの船の人々とは、別の誰かが住んでいたとしたら。
 ……私はこの世界の人々に、尊敬と尊重の気持ちを忘れないでいてほしいのです」
 先のエンパイアウォー。そこで姿を現した恐るべき渡来人ども。
 コンキスタドール。他の文明、生命をなんとも思わぬ、非道なる悪魔たち。
「……それこそ、夢物語のレベルの話なのかもしれませんけれどね」
「いいえ。立派な志ですよ。そうした気持ちがなければ、人は人たれません」
 頭を振る蜜の言葉には、妙な含蓄が感じられた。
「よければ次の講習は、私も一緒に参加させていただいても?」
「! もちろんです。専門家の方のお話が聞けるなら、願ってもない!」
 偶然から生まれた縁。蜜とアイラは、互いの知識を深めるために言葉をかわす。
 そんなふたりを、ステラは緩く微笑みながら、ただ見守っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 ――航海三日目、終了――
ソラスティベル・グラスラン
ナイくん(f05727)と

宇宙の航海も、慣れてしまえば少々退屈……
日々の楽しみは休憩中に船員さんたちとの談笑ですっ

今日は艦長のパトリックさんと!
過去の航海での苦楽や発見と経験
冒険の旅のお話を聞くの、わたしとっても大好きなんです!

いつも一緒のナイくんは、今はわたしのお膝の上
ぬいぐるみみたいにぎゅっと、抱き心地いいサイズです♪
長話に退屈でないか気になるけれど、案外楽しんでるのかも?
えへへ……わたしたちの周り、癒される船員の皆さんで一杯ですねえ

ナイくんのことを聞かれたら、誇らしく!
高い高いして掲げて、満面の笑顔で
勇者パーティの頼れる僧侶、わたしの無二の相棒さんです!
あ、あれ?ナイくんお腹すきました?


ナイ・デス
ソラ(f05892)と一緒

何日もの航海
私は主に【情報収集】して地図データ作成しながら、ソラのデブリ除去付き添っていて

今は休憩時間
ソラが艦長さんとお話している間
私は『蜜ぷに召喚』して食べ、疲労回復したり、船員さんに勧めたり
『生まれながらの光』で怪我人から、望まぬ禿頭の人、ちょっと筋肉痛などなど、あらゆる不調を回復させています
ソラの、膝の上で
……私、なんで膝の上、なのでしょう?
ソラが楽しそうなので、いいですが
気にせず蜜ぷにぱくり
あまあま、美味しい……♪

なんて、していたら
ソラが私を、高い高い
これには流石に、驚いて
思わず一気に、部屋中を光で満たしてまとめて全快
疲労が一気に
きゅう
疲れて動けない、です……



●航海四日目:休憩時間のちょっとした騒ぎ
 ナイチンゲール号の食堂は、今日も多くの人々で賑わっている。
 そんな食堂の一角に、なにやらちょっとした人だかりが出来ていた。
 どうやら、艦長のパトリックをはじめとする船のスタッフたちのようだが……。
「とまあそういうわけで、その時はとっさに僕が指揮を執ることになって。
 なんとか銀河帝国の追撃を逃れられたんですが……問題はそこからでした」
「おお、一難去ってまた一難! 勇気が試される冒険の醍醐味ですね!」
「……ぷにぷに、美味しい……♪」
 どうやら話題は、パトリックが過去に体験した航海にまつわるエピソードらしい。
 ソラスティベル・グラスランが、彼に冒険の旅の話を聞きたがったようだ。
 なお、そんな彼女のパートナーであるナイ・デスは、彼女の膝の上にいた。
 鏡餅めいた三段重ねのお菓子……お菓子? 的な何かをもちもち食べている。
 お菓子、のはずだ。なんか顔がついてるし喋っているし、たまに増えているが、
 普通に食われているのでお菓子のはずだ。……お菓子ですよね?

「実は僕らが逃げ込んだのは、宇宙クジラの縄張りだったらしく……。
 しかも運悪くちょうど繁殖期で、宇宙クジラたちは気が立っていたんです」
「なるほど……それは危険ですね。それで、一体どうなったんですか!?」
「(ソラ、楽しそうだけど……私、なんで膝の上、なのでしょう?)」
 蜜ぷにをもちもち食べつつ、ナイはこてんと首を傾げた。
 ソラスティベルはものすごく自然にナイを抱きかかえて膝の上に座らせるし、
 パトリックはそれがずっと気になってるけど口に出すのは野暮な気がするし、
 ナイもあんまり気にしてないので、誰も指摘しないまま時間が流れている。
「おっ、艦長、ひょっとしてあのクジラの巣に迷い込んだときの話か?
 ハハハ、ありゃ大変だったよなあ! いきなりメスクジラに追いかけられてよ!」
 そこへ、どうやらパトリックと仲のいいらしい男性乗組員が、話に乗ってきた。
「巣を守ろうとするおかあさんクジラでしょうか? 大きさはどのぐらいでした?」
「この船の三倍ぐらいはあったんじゃねえかなあ?」
「そんなに! すごいですね……まさに宇宙の神秘です!」
「……あの、蜜ぷに食べます、か……?」
「おう、ありがとな!」
 もっちもっち。消費される蜜ぷに。パトリックは何気なくそのやりとりを見て、
 ぎょっとした。……皿の上に乗っている蜜ぷにが、ぞ、増殖している……!
(分裂した!? し、しかもよく見たら、う、動いてる……!!)
 気になる。めちゃくちゃ自然にイチャついてるふたりのことも気になるが、
 それ以上にあの生物(?)がなんなのか気になってしょうがない!
 男性乗組員もうまいうまいと食べているが、そもそも食べていいのか!?

「艦長さん! そこで一体、どうやってクジラから逃げ延びたんですか!?」
「えっ。ああ、ええと……その時は近くのデブリを利用することにして……」
「ふむふむ!」
 ソラスティベルは目を輝かせながら話に食い入る。冒険譚は彼女の大好物だ。
 そして、そんな彼女の膝の上で、ナイはもちもち蜜ぷにを食べる。
 入れ替わり立ち代わりスタッフがやってきて、蜜ぷにを食べる。
 蜜ぷには増える。パトリックは話しながら、気が気でなくなっていた。
「あ、あの……すみません、話の途中ですが、それ……」
「えっ? ……ああ、ナイくんのことですね!」
「いやそっちではなくて」
「ふふふっ、ナイくんをご紹介してあげましょう!」
 完全に話を聞いていないソラスティベルは、ナイを高く高く抱き上げた。
 にぱっと満面の笑顔を浮かべ、高々とこのように言ってのけるのだ。
「勇者パーティの頼れる僧侶、わたしの無二の相棒さんです!」
「わ、わ……っ」
 蜜ぷにに夢中になっていたナイは、急に抱き上げられたものだから驚いてしまい、
 思わずぴかーっ、と輝いた。……聖者は『思わず』で輝くものだろうか!?
「「「うおっまぶしっ!」」」
 蜜ぷにをつまんでいたスタッフたちは目をそらす! そしてなぜか元気になった!
「わわ、わわわわ……!」
 ぴかぁー。疲れを癒やす生まれながらの光が食堂を明るく照らし出す……!
「…………きゅう」
 そしてその代償にナイはくったくたに疲労し、ぐったりとうなだれた。
「あれっ、ナイくん? おなかすいちゃいました??」
「どう見てもお疲れの様子なんですが……」
「……ソラ、せめて抱き上げるときは、一言言ってほしい、です……」
 デブリを除去する作業の合間の休憩は、約一名にとって休憩どこではなかった。
 バテたナイが回復するまでの間、ソラスティベルはつきっきりで癒やしてあげるハメになったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キリエ・ニール
SPDで
ユナ・アンダーソンと共に周辺宙域の哨戒

…託されたもの、か
こりゃ楽天家は必要なかったかもなぁ

そっか、この船は可能性を繋げて、未来を掴んだのか
絶対守らないとね

コードで呼んだ巨人君と第六感を張り巡らせ周囲を観測、偵察
学習したデータを義眼を通して船にリアルタイムで送信

船体を隠し、休ませる宙域や小惑星を捜索

「ねーユナ、未踏宙域…何があると思う?」
「僕はさ、どんな絶望でも霞むぐらいのこの無限の未来があると思うんだ」
「どんな星空だって渡り歩く僕ですら今までたどり着けなかったんだぜ?だったらそこには無限の未来がある、そう思わない?」
そうさ、あるんだ。
今回こそ、僕らの、人造聖者の一番星だって、きっと。


ユナ・アンダーソン
キリエ・ニールと参加
一緒に周辺宙域の哨戒を行なっています

真面目な人ばかりじゃ疲れちゃうよ、きっと
ムードメイカーは必要だと思う

UCで召喚した知性を強化したオブリビオンと第六感を使用して周辺の索敵
主に危険生物や帝国残党を探します
危険そうな奴を見つけたら教えてね?

未踏宙域に何があるか……うーん、分からないな(首を傾げつつ)
分からないから、それを希望とか夢とか言って探すんじゃないかな
それはとっても素敵なことだと思う

無限の未来かぁ
キリエがいつになく真剣な雰囲気を漂わせている
キリエはそれを探してるのかな
なら、一緒に探さない?
これからもずっと
(優しい笑顔を浮かべながら)



●航海四日目:未踏宙域のその先にあるもの
「ねえ、キリエ。この間からずっと、一体何を気にしているの?」
 哨戒任務の真っ最中、ユナ・アンダーソンは藪から棒に問いかけた。
 一方のキリエ・ニールは、ユナのほうをちらりと一瞥し、視線を宇宙の闇へ。
 そして彼女のほうを見ないまま、ぽつりと呟いた。
「……あの船長の話。"託されたもの"ってさ。ずいぶん真面目だなって」
「ノリが違いすぎてやる気なくしちゃった?」
「いや。――ただ、こりゃ楽天家は必要なかったかもなぁ、ってね」
 キリエは肩をすくめ、皮肉めかして言った。ユナのほうを見ないまま。
「……真面目な人ばかりじゃ、疲れちゃうよ。きっと」
 ユナもキリエの視線を追って、ナイチンゲール号が進むべき先を見つめる。
 何も存在しない宇宙の暗闇。ともすればそこには敵が潜んでいるかもしれない。
 ユナがつい、と人差し指を向ければ、指先にほのかな光が生まれ、瞬く。
 それは指先から離れふわふわと浮かび上がり、ウォーマシンめいたフォルム変じ、
 ふたりを置いてその先へと飛翔する。ユーベルコードで生まれた星の骸だ。
「ムードメーカーは、必要だと思う。おかしいかな?」
「ははは。……ううん、おかしくないさ。それもそうだ」
 キリエはようやくユナのほうを見た。ふたりはようやく笑いあった。

 哨戒任務……とはいっても、その時間のほとんどは何事もなく過ぎていく。
 むしろ"何か"が起きないぶん、旅の行程としてははるかにマシではある。
 が、十代の若者であるふたりにとって、それは退屈な時間も同然だ。
「なーんもないなぁ」
「なにもないね。クエーサービーストなんていないのかも」
「だといいけどね。たぶん僕らは、連中の縄張りに触れてすらいないんだよ」
 言いながら、キリエはユーベルコードを発動し、虚空から岩の巨人を召喚する。
 ふたりを掌に包み込めるほど巨大な岩人が、少年の背後に浮かび上がった。
 もしも敵性体に遭遇したとしても、これならば守りは万全だろう。
「ねーユナ。いまは何もないけどさ。もしこの先に進んだら、何があると思う?」
「この先に? ……うーん、わからないな。クエーサービーストの巣とか?」
「うわ。それ、想像もしたくないんだけど」
「だってわかんないし。……でも、多分、わからない"からこそ"、
 それを『希望』とか『夢』とか言って探す……んじゃない、かな?」
 少女の言葉に、キリエはなるほどね、と曖昧に頷いて、やや遅れて得心した。
 あの艦長の言葉。彼が使った"夢"という言葉の意味。
「――そっか。あの船は可能性を繋げて、未来(いま)を掴んだのか」
「そうだよ。それはすごい素敵なことだって、わたしは思うな」
「うん。……守らないとね、絶対に」

 銀河帝国がいかに強大な存在であったか、ふたりはよく知っている。
 恐るべきデストロイウォーマシンとの戦い。帝国艦隊との決戦。
 そして、世界最強のサイキッカーである銀河皇帝との壮絶な死闘……。
 半年以上の時間が過ぎたとは言え、あの戦いは忘れられるはずもない。
「……ちなみにさっきの質問だけど、一応僕なりに考えはあってさ」
「考え? それってなぁに?」
 ユナの視線を見返して、キリエは笑った。普段は見せないような微笑みだった。
「どんな絶望でも霞むぐらいの、この無限の未来があると思うんだ」
 誰も知らない宇宙。想像も絶するほどの天体生物が住まう、その"先"。
 そこはいまよりももっと恐ろしい場所かもしれない。
 ……だがもしかすると、もっと素晴らしい場所かもしれない。
 それこそあの船の人々が思い描いた、人類にとっての新天地であるとか。
「どんな星空だって渡り歩く僕ですら、いままでたどり着けなかったんだぜ?
 だったら、そこには無言の未来がある。そう思わない?」
 今度は、キリエのほうが己の考えを問うてみる番であった。
 その瞳の奥に、彼らしからぬ真剣な気持ちを、ユナははっきり感じ取った。
 彼にとっての"一番星"。キリエが追い求めるもの。大切な輝き。
「……それも素敵だね。ねえ、ならさキリエ」
 少女も同じように微笑んだ。
「あなたが探しているものを、わたしも一緒に探してみてもいい?」
「そりゃ、もちろん――」
「この旅じゃなくてさ。これから先も、ずっと」
「…………」
 少年は、きょとんとした顔で少女を見た。少女は、いっそう優しく微笑んだ。
「………………まあ、考えとくよ」
 などと言ってそっぽを向く少年のかんばせを、ユナはずっと見つめている。
 いまこの時間が終わるまで、ずっと。微笑みながら、見つめていた。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナミル・タグイール
わーい探検タイムにゃ!お宝探しデスにゃー!
ナミルがお宝見つけるにゃ!(勘違いして勝手に張り切る猫)

宇宙空間を【捨て身】で奥へ奥へ突き進むにゃ!
邪魔なものは全部斧で壊しながらゴーゴーにゃー
周りのことは気にしないにゃ!きっと誰かが掃除してくれるにゃ!
金ぴか惑星見つけてナミルのものにするデスにゃ!

それか宇宙サイズの金ぴかなお宝でてこないかにゃー
壊れた船とか人工物っぽいのがアレば優先的に突撃
いかにもなにかありそうにゃ!ぶっ壊しながらガサゴソ探検デスにゃー
金ぴか以外はいらないにゃーポーイにゃー。

まっすぐ進んできたからまっすぐ帰れば船に戻れるはずにゃ?
迷子対策もばっちりの偉い猫にゃ!


荒谷・つかさ
【ワイルドハント】
『船外活動』

持ち前の筋力を活かしてのデブリ排除活動に勤しむ
具体的には邪魔なデブリに【螺旋鬼神拳】を叩き込んで粉微塵に粉砕
真面目にせっせと働くわ
他に力が必要な作業があれば、救援にも向かうわね

もし敵性生物が現れたら、いの一番に向かうわ
排除も目的の一つだけれど、それ以上に……宇宙生物ってどんな味がするのか気になって仕方なくて
(狩る気満々)
例え武器が無くても、全く問題無いわ
銀河帝国との戦争でも、ほぼ拳一つでトップクラスのエースになれたんだもの(※2月戦争中サバイバル3位的な意味で)
さて、美味しい宇宙生物は出てくるかしらね?


白鳥・深菜
「さて。【ワイルドハント】の遊撃担当、
今から着任するわ」


私の行動目的は各種のトラブル解決による『乗組員等との交流』とするわ。

運搬する重い荷物とかある?
【白銀の剣の魔神】を召喚し運んでもらいましょうか。

怪我人の治療?
重篤であれば【慈しみより放たれし生命の種】の出番かしらね。

手が足りない?
単純な仕事なら【叫び舞う禍福の羽】で使い魔を呼び出してやらせる!

模擬戦闘訓練をしてほしい?
私でよければどうぞ?


こんな感じに【銀河相乗る究極の暴君】で各所を飛び回り、
持てるコードと技能を多角的に活用することで
ちょっとしたトラブルを狩って行くわ。
無論、私の手に負えないレベルの話なら
バイクで専門家を連れてくるまでよ。


ニコリネ・ユーリカ
【ワイルドハント】
皆、お帰りなさい! お風呂にする? ご飯にする?
エプロンを締めて、ふわふわタオルを用意して、集団戦で大健闘した仲間を迎えまーす

終わりの見えない旅路の支えとなるのが「食」
食が細っては士気が下がるものね
航海日誌や海図を基に情報整理して、補給路や中継基地を考えましょ
兵站は補給路の確保と自給自足、現地調達が肝要
船内で生産可能な植物を探したり、船外から利用できそうな物を探してきて、持続的航海を目指します

味気ない宇宙食はアレンジを加えて美味しく頂きましょ
普段から業務スーパーの素っ気ない食材と格闘してる私の腕の見せ所
さぁご飯の時間でーす!
昏く殺伐とした宇宙飛行に彩りと温もりを添えましょう!


白斑・物九郎
【ワイルドハント】
『周辺宙域の哨戒』


・甚平スタイルの無愛想な猫耳が、レーダー管制とかが集約されたセクションにやって来る

・室内を広く見渡せる偉そうなポジショニングの椅子に、半跏思惟でふんぞり返る
・さながら「玉座の王」
・船員さん達に「えっ何この人……」みたいな反応されても気にしない(不遜)

・己の意識に【野生の勘】と、L95式スマートフォン経由で発動する【狩猟の魔眼】を漲らせ、地図と周辺状況とを睨み付け続ける
・船のレーダーに、デブリや敵性等の要警戒要素への漏れが無いか監視協力(なんなら先んじる)


「……アイツらは何してるんでしょうかや」
・船内外でワイルドハントの面々がなんかしてないか、逐次気にしてみる


パル・オールドシェル
皆さんはこの未踏宙域にどんな世界を求めるのでしょう。
長き放浪の果て、繁栄を築くにふさわしい安寧の惑星を?
困難な環境に数多の冒険と発見を秘めた新天地を?
それとも、尽きぬ資源で富をもたらす宝の星々を?

もしかするとどれも見つからないかもしれません。それでも僕は、人類生存領域を守れと命じられた機械として、新たな生存領域の獲得に期待せざるを得ない。
クルーの皆さんの望む新世界、輝かしい未来への祈りを預かって、僕は無敵艦隊をここに呼びましょう。
ナイチンゲール号を中心に艦隊を分散、如何に小さな異常や発見も速やかに情報伝達できる状況を整えます。
さあ皆さん、哨戒は艦隊に任せて休憩に行かれてはどうでしょうか?



●航海四日目:嵐の軍勢、休息の一時
 ……からん、ころん、からん、ころん。
 この世界にはだいぶ不釣り合いな下駄の音を響かせて歩く、黒猫が一匹。
 いいや、黒猫のように黒い髪と、黒い肌、そして金色の瞳を持つ少年が、ひとり。
 見た目だけの話ではない。
 不機嫌なのかよくわからないぶすっとした顔に、ひくひくせわしなく動く耳。
 ダルンダルンになった甚平は、路地裏を生きる野良猫の毛皮のようでもある。
 そしてその挙措は、まったく無警戒のようでいて、その実常に臨戦態勢にあった。
 白斑・物九郎。個性豊かな猟兵どもの"猟団"、ワイルドハントの長である。
「ソラとナイデスのコンビは相変わらず、けどキリエのほうはなーんかマジメなァ。
 とりま問題なさそーでなによりっスわ。ナミルのねーさんは……や、まァいっか」
 からん、ころん、からん、ころん。猟団長、どうやら船を軽く回ってきたか。
 食堂での騒ぎやら、哨戒任務から戻ったキリエとその友人の姿やら、
 ちらちら猟団の面々を視察しつつ、やってきたのは艦橋、ブリッジである。

「お? なんだなんだ、宙域データの解析ならもう人員が……おい無視かよ!?」
 パトリックに代わって艦長代理中の、例の"色男"もといろくでなしのジャックが、
 ずかずかとやってきた物九郎に気付いた。そしてシカトされた。
 一方の物九郎、完全にジャックをスルーしてキョロキョロあたりを見渡す。
 そして、空席となった艦長席(ジャックは代理なので座っていない)に目をつけ、
 どっかと腰を落として片足を膝の上に。そして片手でものぐさに頬杖を突く。
「…………いやいやいや! そこパトリックの野郎の席なんだが!?」
「…………」
「えっマジかよこの状況でまだ無視すんのか。お前なんだ、王様か???」
「王ですがよ。呼びたいなら猟団長でもいいっすわ」
「そういう話してんじゃねえんだけどぉ!?」
 ぷいっ。もはやジャックは完全無視して、物九郎はメインモニターを睨む。
 金色の瞳孔が強く細まり、1010100101001……表面にディジタルの奔流が溢れる。
 もはや、周囲の声はその耳に届いているが、彼には聞こえていない。

 狩猟の魔眼(ザミエルシステム)。
 本来、グールドライバーであり破戒僧たるその身では扱いきれないはずの、
 電脳魔術由来の強大な論理魔眼。超高度な情報分析と状況予測を可能とする瞳。
 これを以て、物九郎はディスプレイを通じて船の外を、中をも把握できる。
 レーターに反応はないか。その反応に漏れはないか。
 デブリ、敵性生物、あるいは先の艦隊のようなオブリビオン存在。
 ともすればそれらですらカテゴライズできぬ、未知の脅威。
 何が居てもおかしくない。ゆえに猟団の長はそれを視る。魔弾の悪魔の如く。
 ……そう、船の外もその先も、なんなら内部の様子すらも……。

「せぇいッ!!」
 KRAAAAASH!! 強烈な正拳突きを受けた大型のデブリにクモの巣状のヒビが走り、
 直後……破砕! 粉微塵というレベルではない、雲散霧消する勢いだ!
「螺旋鬼神拳(スパイラル・オウガナックル)――今日も調子は上々ね」
 己の拳と技の冴えに、赤い一本角の羅刹……荒谷・つかさは満足げである。
 童女めいて小さな背丈と女性らしい体つきに反し、その怪力はまさに無双。
 羅刹ということを前提においても、異常なレベルの膂力を誇るつかさである。
 動かず暴れることもない宇宙のゴミなど、体のいいトレーニング器具も同然だ。
 目についたデブリを一通りぶっ壊したつかさは、しかし腕組してむん、と唸る。
「…………いないわね。宇宙生物」
 ぐぅうううう、ぎゅるるるるるるるるるぅ。
 ……音が伝わらないはずの宇宙に、なにやら盛大な腹の虫が鳴り響いた。
 この女、ワイルドハントにおいては斬り込み担当……兼! 焼き肉担当だという。
 とりあえず敵はぶちのめす。ぶちのめした上で、食えそうならば食う。
 広大な宇宙でのびのび育った知らない生命体は、きっと不思議な味がするはず。
 そう思えば思うほど、腹が鳴る。腕も鳴るがそれ以上に腹も鳴る!
「いっそここでクエーサービーストが出てきても……いやいや、ダメよ私。
 さすがにそれは不謹慎すぎるわ。くっ、でも宇宙ドラゴンとかいないの!?」
 色気より食い気。花より団子。もっと言えば団子よりドラゴンステーキ。
 デブリ破壊はもう飽きた。飢えたる鬼ぞここにあり、である。

 ……一方、ナイチンゲール号第四居住区!
「誰かー! こっちで瓦礫の撤去作業手伝ってくれー!」
「(ギャリリリリリッ!)待たせたわね。力に目覚めよ得物、荷物は前にあり!」
 ズオオオオオ……白銀に輝く巨大な魔神が、瓦礫をつまんで運び出す。

 ナイチンゲール号、メディカルルーム!
「誰かー! 鎮痛剤持ってこい! 誰か! だれーかー!!」
((ドルルルルルン!)私が来たわ! 種よ、この患者に芽吹け!」
 白い翼からこぼれおちた生命の種子が、苦しむ患者を癒やし、治す。

 ナイチンゲール号、リラクゼーションルーム!
「誰かー! 今日はスタッフが足りなくて客の整理が出来ない! 助けてー!」
「(キキィイイッ!)渾沌なる精神よ、白き羽根を広げお客様をご案内せよ!」
 羽ばたきによって散る羽の一枚一枚が、使い魔に変じて長蛇の列をさばく!

 ナイチンゲール号、第三トレーニングルーム!
「すみません! どなたかお手合わせを願えませんか!」
「(グオオオオンッ!)私でよければどうぞ? ただし本気で行くわよ???」
「ひいいいい!!」

 ……とまあ、そんな感じで、バイクにまたがり船中を駆け巡る白鳥・深菜。
 多彩なユーベルコードを惜しみなく発揮し、大小問わずトラブルを次々に"狩る"。
 まさに神出鬼没、暴君の銘に相応しい、瞬間移動の如き八面六臂の大活躍だ。
 そして去っていく時、彼女はスタッフにこう名乗るのである。
「私はワイルドハントの遊撃担当。困ったことがあればなんでも教えて頂戴。
 どんなトラブルであろうと、迅速に、完全に、そして確実に狩ってみせるわ!」
 さすらいのヒーローめいた頼りがいのある微笑み。そして風のように消えていく。
『困っているとどこからともなく現れて助けてくれる猟兵さん』の噂が流れるまで、
 あまり時間はかからなかった。

 ……一方、ナイチンゲール号の進路からだいぶ外れたところにある暗礁宙域!
 おそらくは銀河帝国探査艦隊の成れの果てのひとつであろう。
 オブリビオン化すら出来ずに、あるいはオブリビオンとなってまで滅ぼされたか、
 いくつかの艦のほかに、遺されているものは何もない。
「とーにゃー!!」
 KRAAAAAASH!! そんな暗礁宙域の残骸がいきなり砕け散った!
 自作の剣(新聞紙製)を振り回す男子小学生めいて、斧を振り回す猫のキマイラ。
 皆さんご存知(?)ナミル・タグイールの仕業である! また宝探ししてる!
「探険タイムにゃ! お宝探しデスにゃー! お宝どこにゃー!!
 ナミルが一番乗りデスにゃ! いとしいひとは誰にも渡さないにゃー!!」
 オッドアイをきらきら輝かせ、斧で次から次に残骸をぶち壊しまくる。
 目的も進路も、何もかも盛大に間違えまくっているが本人は気にしていない。
「リョーダンチョーさんが言ってたにゃ! 金ぴかあるはずにゃー!!」
 あっ。
 ……さりげなく猟団長の悪事が明らかになったが、ここに団員はいなかった。
 さてナミル、めぼしい艦のひとつに目をつけると、さっそく斧で穴を開ける。
 かつて母艦であっただろう船体は、ぼかーん!! と盛大に吹っ飛んだ。
 母艦だけに、ぼかーんである。どうです大爆笑でしょう? 閑話休題。
「うーん変なのばっかりにゃー、この妙なきろくそーち? とかいらないデスにゃ!
 ぽいぽーいデスにゃ! 金ぴかどこにゃ? 出てこいにゃー!!」
 船に持って帰るべき資源はポイポイ外に放り出し、探索するナミル。
 やがて、彼女は通路の先からぴかーっと眩しい輝きを眼にした!
「!! 見つけたにゃ! これで大金持ちにゃ! もう誰にも渡さないにゃー!!」
 ぼかーん! ずどーん!! 壁という壁をふっとばして直進するナミル!
 そして到達! ぴかーっ! 輝くエンジン! 破壊の衝撃で臨界寸前!
「えっ」
 KRA-TOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!

 ……宇宙に、新しい花火が生まれた。

「…………任務終了ヨシ! っスな!」
 何もかもを見なかったことにして、妙なポーズを取る物九郎。
 そのままからんころん、と下駄を鳴らし、向かった先は食堂である。
 騒ぎを起こしていたソラスティベルとナイのふたりは部屋に戻ったのか、
 代わりにそこには、別のワイルドハントの団員がふたりほど揃っていた。
「あら猟団長、それに皆も! おかえりなさい。お風呂にする? ご飯にする?」
 くるりと振り返ったのは、エプロン姿で厨房に立つニコリネ・ユーリカ。
 日頃猟兵たちを送り出すときのように、にこりと温かい笑顔を見せた。

「ここ食堂だからご飯以外ない気がするんだけど!」
「そうですね。それにしても色々回収するのがとても大変だったわ……」
 一汗かいて帰還したつかさと、なにやら疲れた様子の深菜がやってくる。
 なお、深菜の後ろには使い魔たちが飛んでおり、どこぞの片目妖怪小僧めいて、
 黒焦げでぷすぷすと煙をあげているナミルを吊り下げていた。回収されたらしい。
「ふふっ、それもそうね。でもタオルはあるから、よければつかってね?
 ……えっえっ? ナミルさんはどうして焦げてるの? なんで??」
「推測ですが、これはいわゆる『天丼』というやつではないかと」
「なるほど! わかったわ、じゃあ天丼を作るわね!」
「あ、いえ、いまのは料理の注文ではありません。いえ注文ではなく。違います!」
 一足先に食堂に来ていたパル・オールドシェルが、墓穴を掘っていた。
 もはや調理モードに入ったニコリネの背中に、機械娘の哀愁漂う視線が刺さる。
「……順番が前後しましたが、皆さんお疲れ様です。あとは僕が担当しましょう。
 皆さんはゆっくり休まれてください。では、早速ですが、僕は失礼――」
「えっえっ? もう天丼出来ちゃったんだけど?」
「…………いただきます」
 いくらなんでも作るの早すぎねえか、的なツッコミを諦めたパルであった。
 浮かせかけた腰を下ろし、卓についた同じ団の仲間たちを見渡した。
 なお、猟団長は当たり前のように上座につき、相変わらずの弥勒ポーズである。

「それにしても、パルさんはどうしてここに?」
 つかさの何気ない問いに、パルは少し逡巡してから答えた。
「……クルーの皆さんに、お話を聞いていたんです。この旅に……いえ。
 この未踏宙域の先に、どんな世界を求めるのか――全員にではないですが」
 夢。艦長パトリックが語った、新天地を見つけ出すという夢。
 この船に乗る全てのクルーが、同じことを考えているわけではあるまい。
 そして惑星と一言に言っても、その形態は様々にあるだろう。
 居住可能な、人類のあらたなゆりかごたる安寧の惑星か。
 はたまた、この未踏宙域にふさわしい、過酷な環境を備えた場所か。
 あるいは――人類に映画をもたらす、資源の山か。
 もちろん言うまでもなく、この先に惑星があるかどうかは完全な謎だ。
『明日になったら何かいいことがあるかも』とか、そういうレベルの夢想である。
 手がかりなどない。判断材料などない。だが、"未知"はそこにある。
「……だからもしかすると、ここを越えても何も見つからないかもしれません。
 だとしたらどうしますかと。僕は、何気なく艦長さんに問うてみたんです」
 蜜ぷにを片手に、パトリックはこう答えたという。
『その時は、また新たな場所を求めて旅をしますよ。もう慣れましたから』
 ……と。

「…………僕は使命を背負う機械として、皆さんのその夢に期待せざるを得ない。
 いいえ、それはきっと祈りのようなもの。だから僕は、それを預かりたいと……」
 その祈りを叶える偶像であることこそが、パルのアイデンティティ。
 だから、同じ戦友(なかま)たちに、一言いたわりを届けたかったという。
「マジメですねぇ。けど、いいと思うわ。そういう気持ち、大事だもの」
「ナミルはお宝が欲しいにゃー! お祈りすればお宝もらえるにゃ!?」
「ナミルさん回復早い! そして相変わらずお話を聞いてないわ!」
 団員たちの言葉は相変わらず個性的だ。そして猟団長が言った。
「何があろーとなかろーと、オレめの猟団のモンならやることはひとつっスわ」
 すなわち。
「ええ。これまでも、これからも、僕は、ワイルドハントを行います」
 星をみるひととして。また同時に、嵐の軍勢の一員として。
「さあ、お話がまとまったところで! 皆のご飯が出来たから食べましょう!
 あ、ちなみに私も仕事はしてたのよ? 兵站とか補給路って大事だもの!」
 ふふん、と自慢気に胸を張りながら、ニコリネが各々の料理を運んでくる。
 味気ない宇宙食ではなく、手作りの温かみ……さぞ苦労したことだろう。
「それじゃあ――頂きます!」
 いまこの一時だけは、猟兵たちにもやすらぎのときがもたらされる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 ――航海四日目、終了――
ユーノ・ディエール
フィーナさん(f03500)を後ろに乗せて、クルセイダー発艦します!

哨戒ルートは他の方と被らない様に事前にチェックして
私自身は安全迅速にルートを航行出来る様に尽力します
スラスターマキシマム、ここは飛ばしますよ!

目視確認はフィーナさんにお任せして
私自身は計器の変化をつぶさにチェックします
宇宙線の測定や記録映像の変異など
リアルタイムで分かり難い部分を特に気にして
フィーナさんから呼びかけがあれば
その方角へ足を伸ばしましょう

航路上に危険な物があれば破壊して
行き先の安全を確保しつつ作業を続行
それにしても……こんな便利な宇宙服があってすら
未踏の宙域があるなんて
この先には一体何があるのでしょうね……アビ星?


フィーナ・ステラガーデン
ユーノ(f06261)のクルセイダーに相乗りさせてもらうわ!
私達の仕事は斥候よ!斥候!
宇宙空間を探索するわよ!見たこともない何かを発見できるかもしれないもの!これはロマンを感じるわ!ワクワクするわね!
誰も見たこと無いものなら名付けに私達の名前をつけたいわ!
アイテム「魔法的メガネ」を着けて【視力、暗視】を使って周囲をくまなく探してみるわ!
クルセイダーの操縦はユーノに任せるわね!
もしも何か(何が発見されるかは完全にMSさん任せを希望します)
を発見したら
ユーノ!ユーノ!あっちに何かあるわ!って報告する係ね!
もしも危険な何かだと分かったらUCでぶっ壊すわ!

(アレンジ、アドリブ大歓迎!)


ミハエラ・ジェシンスカ
なんともおかしな話だ
かつて銀河帝国に造られ、裏切り、刃を向けた私が
かつて銀河帝国が敗れ、諦め、捨て置いた未踏宙域
その探索の最前線に立っている

志半ばで朽ちた者どもの遺志を継ごうとでも?
それとも先へ進む事で嘲笑いたいのか? 私は
等と益体もない思考を強制的に遮断する
独りで暇を持て余しているからこんなノイズが奔る

哨戒にでも出るとしよう
他にも哨戒に出ている猟兵はいる筈だが場所が場所、相手が相手だ
警戒してし過ぎるという事はあるまい

【念動加速】で飛行しつつ
フォースレーダーで周辺宙域の【情報収集】を行う
オブリビオンではない、かつての探査艦隊の残骸でも見つかれば
航海録や戦闘跡から得られる情報もあろうが、さて


アリシア・マクリントック
私は予定進路に障害がないかどうかプラウドウルフ3世に乗って近くの確認を行いましょう。手が空いている方がいたら同乗してもらうのもいいですね。
障害となるようなデブリがあったらアームを使って進路から取り除きます。大きすぎるものは破砕用の武装を使って壊してしまいましょう。今までは戦闘で使うことが多かったですが、どちらかといえばこちらの方が本来の使い方。こういう平和的な利用の機会がこれから増えるといいのですね。いいえ、そうなるようにすることも私達の仕事ですよね。がんばりましょう!



●航海五日目:監視者(ウォッチャー)たちの時間
 パルの展開した"栄光の無敵艦隊"が、彼女自身の活動時間に応じ消失する。
「じゃあ、ここからは私たちが交代で哨戒に着きましょう。
 パルさん、お疲れ様でした。おひとりであれだけの艦隊を指揮するなんて……」
「いいえ、それが僕の……私の役目ですから。問題ないですよ」
 ユーノ・ディエールの言葉に、帰投したパルはいつも通りに返した。
 この船のクルーたちの夢(いのり)を預かると決めた機械乙女の言葉には、
 しかしたしかに、これまで以上に強くたくましい意志の力が感じられる。
「じゃあ私はユーノと相乗りするわ! タンデムよ、タンデム!」
 フィーナ・ステラガーデンが、ぴょんぴょん跳ねながら嬉しそうに言う。
 斥候の役割より、ユーノのクルセイダーに乗ることのほうが楽しみらしい。
 まだ見ぬ何かが眠る宇宙空間の探索。それもまた楽しみなのだろう。
「……では、私はそちらと別のルートを哨戒しよう」
 一方で、ミハエラ・ジェシンスカはただ静かにそう言った。
 普段からあまり明るいタイプのウォーマシンではないが、一同は何気なく察した。
 彼女なりに、いまのこの状況に、何かしら思うところがあるのだと。
 銀河帝国に仕えるウォーマシンとしての使命、アイデンティティ。
 叛逆の騎士たるその悪剣の信念と覚悟の強さは、並々ならぬものだ。
 ゆえに誰もが、ミハエラの言葉に異論を唱えることも、問うこともない。
「でも、おひとりは危険ではないですか? 私のほうに乗ってはどうでしょう!」
 と、アリシア・マクリントックは明るく、笑顔でミハエラに言った。
 彼女とてそれとなく察してはいるが、それはそれ。危険なのも事実。
 どうせなら、ユーノたちのようにタンデムしよう、という気遣いである。
 ミハエラは何か言うことはなく、静かに頷いた。
「……では、以降の哨戒はお任せします。無事な帰投を待っていますので」
「ええ。って、なんだかこれだと、パルさんに転移してもらうときみたいですね」
「本当ね! まるでグリモアベースにいるみたいに錯覚したわ!」
 くすくすと笑うユーノの言葉に、同じ経験のあるフィーナが同意した。
「そういえば、パルもグリモア猟兵だったか。失念していたな」
「ふふっ。とにかく無事に、ですね。では行ってきます、パルさん!」
 ミハエラとアリシアもそれぞれのカタパルトへ向かう。
 その背中を見送り、パルはため息をつくような仕草をした。
「……戦友(なかま)というのは、本当に大事なものですね」
 口元は、笑みを浮かべるかのようにかすかに緩んでいた。

「ではフィーナさん、しっかり捕まっていてくださいね。ここは飛ばしますよ!」
「大丈夫よ! 危ないものがないかきちんと見張っておくから安心なさい!」
 クルセイダーに騎乗したふたりは、最大戦速であちらと別のルートを哨戒する。
 パルの話では、先日航路からやや外れた方角に、探査艦隊の残骸があったという。
 そちらの資源は回収が済んでいるそうだが、問題はそこだけではない。
「別の残骸が漂着していたということは、おそらくこのあたりも敵の縄張りのはず。
 最悪、クエーサービーストそのものと遭遇する可能性も、十分にありえます」
「えっ、い、いないわよ!? びっくりさせるようなこと言わないで!」
「ああっ、ごめんなさいフィーナさん! たとえ話ですよ、たとえ話」
「そ、そう。ならいいのよ。別に怖くなんかないけど!」
 後部座席で気丈に振る舞うフィーナの言葉に、ユーノはくすくすと笑った。
 しかしよくよく考えると、なにげに年齢はフィーナのほうが上だったりする。
(背丈もずっと小さいですし、気を抜くと忘れてしまいがちなんですよね……)
「ちょっとユーノ、いまなにか失礼なこと考えなかったかしら!?」
 そんなことないですよ、とごまかすユーノ。フィーナはジト目である。
 背中に突き刺さる鋭い視線を気にしないようにしつつ、ユーノは意識を計器へ。
 宇宙線の測定や、記録映像の変異……目視だけでは察知できぬ情報を、
 各種センサーを通じて常に記録、そのデータをリアルタイムで船に送り込む。
「……いまのところは異常はなさそう、ですが……」
「あっ、ユーノ! 見て、あれ!」
「!」
 フィーナが指差す先には……なにやら、真円の奇妙な物体が浮かんでいる。
 ともすれば惑星と見間違いそうだが、それは光を放つことなく、かつ小規模だ。
「……気になりますね。行きましょう!」
「ええ! まだ見ぬ何かを求めて出発よー!」
 ふたりはその謎の物体のほうへ、十分に警戒しつつマシンを飛ばした――。

 ……一方、アリシアのプラウドウルフ3世に同乗したミハエラ。
 出発からしばらく長い沈黙が流れていたが、アリシアは何も言わない。
 まるでミハエラのほうから切り出すのを待っているかのように。
「…………なんとも、おかしな話だとは思わないか」
 沈黙に耐えかねてか、それともアリシアの気持ちに根負けしたか。
 やがて、ミハエラは出し抜けに言った。
「何がですか?」
「この私のことだ」
 ミハエラは淡々と続ける。
「かつて銀河帝国に造られ、裏切り、刃を向けたこの私……"邪道の剣"が。
 かつて銀河帝国が敗れ、諦め、捨て置いたこの宙域……その最前線にいる」
 アリシアは何も言わぬまま、アームを操作し進路上のデブリを除去する。
 音が伝わることのない宇宙の真空は、こうした時は暖かくふたりを包み込む。
「……わからないのだ、私は。この私自身が、何を思ってここにいるのか」
「誰しも似たようなもの……とか、そういう話ではないですよね」
 アリシアの言葉に頷き、ミハエラは自嘲めいた表情を浮かべる。
「志半ばで朽ちた者どもの遺志を継ぎたいのか。はたまたそれを嘲笑いたいのか。
 ……独りで暇を持て余していたら、そんな益体もない思考(ノイズ)が出てな」
 いくら思考を強制的に遮断しても、まるであぶくのようにそれは浮き上がる。
「だから本当は……お前の誘いは、断ろうと思っていた」
「でも応じてくださいましたね。ふふ、嬉しいです」
「……嬉しい、か。妙なことを言う。こんな私の無駄話を聞かされたというのに」
 ひととおりデブリを除去したアリシアは、愛機を自動運転にすると、
 ふと振り向いてミハエラを見た。そして、にこりと微笑む。
「無駄なんかではないですよ。それは、とても大事なことだと思います」
「……私は邪剣の遣い手、悪心の騎士だ。こんな思考は――」
「ノイズなんかではないです」
 ミハエラの言葉が止まる。
「だってそれは、ミハエラさん自身の"可能性"なんですから!
 私はそれを肯定したい。たとえミハエラさんが苦しかったとしても」
 苦しい? 私が? ……そう皮肉を言おうとして、ミハエラは何も言えなかった。
「"可能性"があれば、人はどこへでも、なんにでもなれるんですよ。
 家を飛び出した私が、いまこうしてミハエラさんと肩を並べているように」
「……可能性、か」
 ミハエラはふっ、と笑った。だとすればそれは大それた話だ。
 悪たれと製造された己が、それ以外の可能性を見出すなどバグもいいところ。
 だが不思議と……泡沫めいたノイズは、すとんと消えて失せていた。
「不思議だな。こうして話すことで解消されるとは、まだまだわからんことが多い」
「そうでしょうか? 悩みって、言葉にすることで解決したりするものですよ?」
 だから――と、アリシアが何かを言おうとした時。
「待て。……ユーノたちから通信だ。何かあったらしい」
 その言葉に、アリシアも表情を引き締めた。そして――。

「……これが"物体"か」
 件の真円状物体の周囲に、四人は集合していた。
 ミハエラの呟きに、ユーノは真剣な面持ちで頷く。
「フィーナさんと協力して、電子的、および魔術的に簡単に分析してみました。
 これは――戦艦であり、ウォーマシンであり、兵器であり、岩であり……」
 物体は磨き上げられた球体のように、一切の凹凸なく艷やかな表面であり、
 しかしよくよく拡大して見てみれば、それらは微細な塵の集合体と解る。
「ようは、"ごたまぜ"なのよ! 何もかもがものすごーく細かく分解されて、
 それがひとまとめに丸まってるの! 折られたとか砕かれたとかじゃなくて!」
「物質が、分解された? それこそ原子レベルにまで……?」
 アリシアは戦慄した。考えられる要因はひとつしかない。
「…………クエーサービースト」
 その尖兵が持つ、物質分解能力の結果が、この"ざま"なのだ。
 はたしてこの球体が、一体どれほどの"材料"から作り出されたのか。
 中隊か。大隊か。はたまた――旅団、師団、いやさ。
「……とにかく、これを回収して船に戻りましょう。他に危険な存在はいませんし」
 ユーノの言葉に、誰もが言葉なく頷いた。
「――面白い。私の刃がどこまで通じるか、試してみたいものだな」
 宇宙の暗黒を振り返り、赤黒いオーラを纏うミハエラは呟いた。
 星星が浮かぶ暗闇の宇宙。そこから応える声は、いまはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リンタロウ・ホネハミ
ふーむ、剣を振るしか能のない傭兵としちゃー、宇宙船の操縦だのセンサでの探索だの
そういうの全く分かんねぇから役に立たないんすよねぇ
しゃーない、暇つぶしに訓練するしかないっすねぇ
お、あんたらも訓練っすか?丁度いいっすね、一緒にやりましょうや!
じゃあ今日はとりあえずオレっちがいつもやってるやつを軽くっすね

まずはランニング船内100周から!
は?いやいや、船内全部走って1周に決まってるじゃないっすかw
その後は筋トレ各300回やって素振り各500回やって組み手やって乱取りやって……
なにボケっとしてるんすか? ほら、体力トレーニング午前の内に終わらせないとメシ食えないっすよー!
さぁレッツゴー!!


ヴィクティム・ウィンターミュート
さて、休んでる暇はねーな
未知の宙域じゃ、何が起こるか分からない
常に周辺状況を把握し、警戒を怠るな
──まぁ、他の連中はいざって時の為に休んでていいさ
こういう地味な仕事は、端役の領分なんだしよ

こういうのは人手が命だ
『Balor Eye』展開
55体の高機能ドローンをAIの自動操縦に任せ、宙域を一気に偵察しよう
全てのドローンから生中継で映像を受け取りながら、俺も直接出向く

ドローンと共に【情報収集】を駆使し、敵性存在や要警戒オブジェクトの位置を纏めて、図にする
稼働してない戦艦、僚機などのシステムが生きてるようなオブジェクトは【ハッキング】で情報を抜いてみる

…やっぱ、仕事してる方が性に合ってるな、俺は



●航海五日目:ハッカーと脳筋
 主役どもの仕事に、こんな地味な仕事は似合わない。華々しくない。
 だから、"こういうこと"は端役(じぶん)が務めるべき裏方作業だ。
 ――と、ヴィクティム・ウィンターミュートは考える。
 もしも手伝うという者がいれば、皮肉げに笑ってそう答えるであろうし、
 事実として彼は、八面六臂に活躍できるだけのポテンシャルを有している。
 まさにいまこの瞬間も同様だ。
 ヴィクティムは船外で探索しながら、55体の超高度AIドローンを同時に使役。
 船外全方位に散開させ、リアルタイムで映像や解析情報を受け取っている。
 彼が探しているのは、哨戒任務で発見されたという"物体"である。
(原子レベルまで分解された物質が、真円状に丸められた物体……ね)
 然り。おそらくはクエーサービーストの能力であろう。
 恐ろしいまでの物質分解能力により、回収された球体は一切の凹凸が存在せず、
 かつ数十種類以上の物質が"混ぜ合わされた"塵の塊であることがわかった。
 誇示か、戯れか、あるいは外敵に対する警告なのか。
 意思があるかどうかもわからない敵の意図は、察することも出来ない。
(こっちはハナから敵の懐に入り込むつもりで来てんのさ、甘いにもほどがある)
 喉を鳴らして笑い、ハッカーは手がかりを、手がかりのための手がかりを求める。
 もしも艦隊の残骸があれば、そのハッキングスキルが生かされたことだろう。
 ――残念ながら、それらは何一つ見つからなかった。
 ただその"成れの果て"……つまり同じ『球体』が、発見されただけだ。

「……やれやれ」
 帰投したヴィクティムは、ため息をつきながらドローンを電子化消滅させた。
 敵との戦いが有利になるようなものはひとつもなし。
 手に入ったのは、あちら様の強さをアピールするトロフィーの数々だけ。
 実に憎たらしい戦果だ。だが、それでもハッカーは諦めていない。
(まずはブリッジでこれまでに回収された記録の再チェック、それと分析。
 あとは念のため、あのクソみたいな塊から何かわかるか調べてみるか……)
 沈思黙考しながらヴィクティムは歩く。するとそこにいくつもの足音が近づいた。
 ザッザッザッザッザッ……ヴィクティムは反応しない。音が近づく。
(そのあと、有効そうなプログラムを組み上げて……)
「ひーとかーらきーいーた話ではー!」
「「「ひーとかーらきーいーた話ではー!」」」
(サイバネの調整もしておくか。あとは……)
「クエーサービーストはとんこつ味!」
「「「クエーサービーストはとんこつ味!」」」
「うーんグッド!」
「「「うーんグッド!」」」
(…………)
「フィールもグッド!」
「「「フィールもグッド!」」」
(……………………)
「食感グッド!」
「「「食感グッド!」」」
「……おい」
「味よし!」
「「「味よし!」」」
「おい」
「すげーよし!」
「「「すげーよし!」」」
「おい!」
「おまえによし! 俺によしっす!!」
「「「おまえによし! 俺によしっす!!」」」
「おい! 聞けよ!?!?!?!」
 ヴィクティムの叫びはスルーされた。駆け抜けていくランニング団体!
「…………マジで無視かよ!?」
 ほんとに置き去りにされたという。

 ややあと。
「おいリンタロウ!!」
 ガシュン! 自動開閉ドアを乱暴に開き、ヴィクティムがエントリーした。
 そしてむわっとしたものすごい汗の匂いに、思わずハッカーむせる!
「お? ヴィクティムじゃないっすか! え、参加希望?」
「わけねーだろ! なんだよあのさっきの妙な軍隊みたいなランニングは!?」
 ナイチンゲール号の乗組員……なぜかほとんど男性……を前に、
 なぜか竹刀を片手に持っていたリンタロウ・ホネハミは、首を傾げた。
「あれ、もしかして近くにいたっす?」
「いたよ! 気付いてなかったのかよ!!」
「いやあトレーニングっすよ、トレーニング!」
 リンタロウは笑顔で言う。ヴィクティムは見た、乗組員たちを。
 ……リンタロウの壮絶なシゴキで鬼めいた形相になったウォーモンガーどもを!
「ヴィクティムも参加するなら歓迎っすよー。とりま船内百周っすね!」
「は?」
「は? って。いやいや、船内全部走って一周に決まってるじゃないっすか。
 あ、もちろんその後は骨食式筋トレ300回、そのあと素振り各500回っす!」
 なぜか大草原とか生やしそうな勢いで笑いながらぺらぺら喋るリンタロウ。
「で、そのあと組み手やってあとは乱取り。んでまたランニング……」
「「「ガンホー! ガンホー!! ガンホー!!!」」」
「おっと、大丈夫っすよーあんたらはあとは組手と乱取りだけっすから!」
 めちゃめちゃ目が血走ってる皆さんにニコニコと言うリンタロウである。
 さすがに唖然としたヴィクティム、リンタロウははてなと首を傾げた。
「あ、ちなみにこれ午前中に終わらせないとメシ抜きっすよ」
「勘弁しろ。いやそもそもやりたくて来たわけ! ねーよ!!」
 ずびしぃ! 鋭いツッコミ!
「なあーんだ。いやーオレ剣を振るしか能のない傭兵っすからねー。
 探索だなんだはそれこそヴィクティムの専門分野っしょ?」
「……まーな」
「で? どうっすか復帰戦。調子、どんなもんで?」
 出し抜けに言われて、ハッカーはきょとんとしたあと、吹き出した。
「……やっぱ、仕事してるほうが性に合ってるよ、俺は」
「ですよねー! じゃあその息抜きにトレーニングを」
「だから! しねーよ!!」
 腕立て伏せをする汗臭いクルーたちの横で、悪友ふたりは言い争ったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
◆匡(f01612)さんと

『今を生きる誰かの明日のために』
宇宙の片隅で生まれたこの祈り。
ボクへと託されたこの想いを、必ず未踏宙域へ届けるから…!

哨戒に出ている匡さんを、遠隔から全力サポート
周辺宙域を「情報収集」し、星図を更新作成
知り合い達へシェア

排除対象があれば、
UCで機械兵器を現地へ召喚「援護射撃」

AR電脳体で通信くらいなら朝飯前さ

匡さん、結構この旅路の間…さ、一緒に居てくれるけど……その、
良いの? チームメンバーとか、他にもキミには知り合いも多いから…さ?

うん、…ありがとう
(そう言って一度通信を切る。頬が少し熱い)
(あのまま彼の表情を見ていたら…、なにか良くない気がした)


鳴宮・匡
◆リア(f04685)と


リアが作った星図マップを頼りに
周辺の哨戒にあたるよ
道中の航路の邪魔になりそうな構造物や漂流物は
向こうへ伝えてフィードバック

対応が必要な敵性存在があれば
独力で排除可能か、リアの手を借りれば十分にいけそうなら
その場で排除してしまおう
もっと人手が要りそうなら一先ず位置だけ報告して持ち帰りかな
手を借りられそうなやつらが近くにいるなら
協力を要請して排除しちまってもいいか

え、他のやつらはいいのかって?
どうせ戦いになったら勝手に集まるだろ
今回はリアの頼みで来たんだから
そっちを優先するのは当たり前だよ

ん、どういたしまして
でいいのかな、こういうの……って、通信切れてる
なんかあったのかな?



●航海五日目:宵の口の哨戒任務
 宇宙そのものに昼も夜もあったものではないが、船内には当然ある。
 クルーのほとんどは交代制で昼夜問わず常に臨戦態勢をとり、猟兵も同様。
 この日の夜の哨戒任務担当者は、鳴宮・匡であった。
「……リア、聞こえる?」
《聞こえるよ匡さん。どうしたの? 星図に間違いとかあった?》
 遠くナイチンゲール号のブリッジから、リア・ファルの声が届いた。
「いや、そっちはあってるんだけど……"また"見つかったからさ」
《また? 了解。座標を送ってくれれば回収要員を手配するよ》
 "また"。そう、ふたりはすでに、哨戒を始めてから何度も"それ"を見ている。
 凹凸のひとつも存在しない、完全な真円球体に"固められた"物体。
 それは、クエーサービーストの能力によって原子レベルにまで分解されて、
 おそらくすさまじい圧力によって球体状に押し固められた、探査艦隊の残骸だ。
「……いちいち排除する手間がかからないのはいいんだけどな」
 早朝の哨戒部隊が持ち帰ったこの物体は、先へ進むごとに数を増している。
 つまり、ナイチンゲール号は徐々に、敵の"巣"に近づきつつあるのだ。
 コースを変更すべきだという声も少なからず出たが、それは却下された。
 この宙域を踏破するには、敵の排除こそがもっとも重要であるからだ。

《……ところで匡さん。仕事の最中に、あれなんだけどさ》
「ん? いや、別にいいよ。話しててもちゃんと"視てる"し」
 機械よりも正確な五感を鋭敏に働かせ、常に全方位を警戒する。
 この程度のことは、匡の感覚器を以てすれば呼吸するレベルの芸当だ。
 それはリアも当然知っているだろうに、彼女の声はなぜだか妙にためらいがち。
 よほど言いづらいことでもあるのかと、匡はその程度にしか感じなかった。
《その……けっこうこの旅路の間さ……匡さん、ボクと一緒に居てくれるけど……》
「うん。そりゃ今回はリアの頼みで来たんだし、当然だろ?」
《そうだけど、でもほら。チームメンバーとか、知り合いとかいるでしょ?
 今日も昼間はヴィクティムさんが哨戒してたみたいだし……いいのかなって》
 跡切れ跡切れの言葉の内容に、匡は首を傾げた。
 いまさら何を、という話だ。なにせ今回はリア直々の依頼である。
 だのに彼女のほうがそんなことを気にするなど、さっぱり意味がわからない。
「いやまあ、ネグルのヤツも色々動いてたみたいだけど、そりゃそうだろ。
 あいつら、こういうときは仕事するし。なんかあったの?」
《別にない、けど……いいのかなあ、って》
「……? どうせ戦いになったら勝手に集まるよ。そしたら動けばいい」
 なおも首を傾げる匡の前に、リアの電脳体が立体投影されて浮かび上がった。
 なぜわざわざ目の前に、などと言うより先に、電脳体のリアが言う。
『そ、そうじゃなくてさ! だからなんていうか、そのう……』
「リアの頼みなんだから、こっちを優先するのは当然のことだろ」
『……!!』
 なにやら驚いたような仕草のあと、リアはぽつりと言った。
『…………う、うん。…………あり、がとう』
「??? どういたし……あ」
 ビュイン。出し抜けに電脳体は消えてしまった。
「……通信切れてる。"どういたしまして"じゃまずかったかな、こういうの」
 慣れない言葉の使い方を間違えたか、と見当違いの考えに頭を悩ませる匡。
 ここに相棒やあのハッカーがいないことが如何に幸運か、彼はまだわからない。
 いたら間違いなくからかわれていた。そういうとこだぞとか言われていた。
 まあその場合は、そもそもこんな話にならないのだが。

「………あ~~~~~~」
 ナイチンゲール号、ブリッジ。
 通信を思わず切ってしまったリアは、顔を覆ってバタバタと足を振った。
 やばい。何がやばいのかよくわからないが、なんかもうやばい。えぐい。
「……よし、とりあえずアニマロイズ使おう! よし!!」
 かっかする頬をぺちぺちと叩きながら、リアは気合を入れ直す。
 その熱が、彼の顔を見ていたせいだということは、考えないことにする。
 思わず顔を見たくて電脳体を召喚させたということも、考えないことにする。
 ……考えないことに! する!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 ――航海五日目、終了――
虹結・廿
「おーらい、おーらい」「あ、すみませんこっちネジが足りません」「そっち壁にぶつけないで下さいね」「ネジが足りないのです」「この辺りの内壁にトラップなど」「ネジが…」「(無言で作業)(何かが折れる音)」

分隊編成を使い、船内で特に戦闘が行われた区画を船員の人たちと修理
して行きます。
こういう時のメカニック技術ですので。


……あれこの機械兵まだ生きてね?誰だここにエロ本隠したの!?うわぁーネズミだーー!あいつ彼女できたらしいぜマジかよ殺すかぁ。

溢れるカオス!滞る作業!始まる嫉妬団裁判!
そんな船員たちと微笑ましい時間を過ごします。

他猟兵との絡みやアドリブ大歓迎です。
そんな宇宙での日常です。


ルエリラ・ルエラ
【アドリブ改変・連携歓迎】
皆おつかれさま。
腹が減っては戦はできぬ。私は食堂で皆に芋煮を振る舞おうかな。
NPCの人も普通の人もこれを食べて元気になってね。
以前アルダワの学食で振る舞った事を思い出すなぁ。

と、言うわけで許可を取って食堂で芋煮を振る舞うよ。
『本日芋煮艇より臨時出張。疲れた体に優しく美味しい芋煮販売中』と書いた看板や張り紙をこそこそ設置するね。胸には『芋煮艇臨時派遣員るえりら』と書いた名札をつけるよ。
芋煮は味噌ベースや醤油ベースを選べる安心販売。サメ肉もあるぞ!
これで芋煮好きをいっぱい増やせること間違いなし。
芋煮いいよね…
そういえばあのクラゲは芋煮の具材にできるのかな。夢が膨らむね。


非在・究子
(船の甲板に出て)
……しゅ、周辺の、探索とかは、結構、得意な、奴だ。
(自身の視界の右下を常に占めている周辺の様々な要素を写した半透明の『マップ』に意識をやりつつ)
で、デブリとか、あったら、レーザーライフルモードの、『ゲームウェポン』で、撃ち落とす、ぞ。ど、道中の、ミニゲーム、の、始まりだ、な。ひ、1つも、逃しは、しない、ぞ。

……あ、そうだ、【ハッキング】で、船のシステムに、アクセスして、アタシ、自身の持ってる、『マップ機能』の、情報を、共有、しておくと、するか。
こ、こんな所で、情報を、出し惜しみ、しても、無駄だし、な。


ズゥ・ジィ
むにゃ?
なんだかー……少しぃ、お静かにー?
なってー、気がしますねぇ……眠り直すには丁度よきかなー……zzz

相も変わらず寝ぼけた様子のまま、すぐに眠りに落ちるのと同時に【快眠】が発動
大小様々な姿をした夢の国の住人たちに連れられて、宇宙船の中を歩いて周ります
なにかお困りの人が居れば住人たちが力を合わせて手助けしてくれることでしょう

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】


ゼン・ランドー
さて、商人としてはまず―――市場調査と参りましょう。
船員の皆様と交流して敵艦隊の残骸から需要がありそうなものをピックアップ。
その後は船外で敵艦隊の残骸を帳合万商大決算で変換し、必要な資材や船体修理へ当てます。

私に直せるのは大雑把な損傷なのでソフトウェアだとか電盤の配線だとかは得意な方に任せましょう。

ああ、船長今回の修理費ですが。
何、ご心配なさらずとも出世払いで結構ですとも。
『当たりクジ』が引けたらなら資材もご入用になるでしょう。
その時は「優先的に」我が商店を頼っていただければ、ね。


エドゥアルト・ルーデル
せっかくだしィ?スカベンジも兼ねて周辺をぷらぷらするか…
適当に複座型の偵察機を用意して…

あっジャック氏?ちょっと手伝ってくだちぃ
後部席に座るだけの簡単なお仕事でござるよ
いやー戦艦の女の子誘ったんだけど皆シャイガール揃いでネ!
なお拒否権はない

偵察だからなーのんびりと飛行するのも良い…
関係ねぇ全力でかっ飛ばしてぇ
偵察機を戦闘機動スレスレの大胆な【操縦】!軋みを上げる機体!やっぱいいものでござるね!
周辺の探索をして適当に銀河帝国やらなんやらの建造物なり戦艦なりを見つけたら遺跡漁りタイム!
アレが廃品の山に見えるか!宝の山でござるよ無事な武器なり部品なりメインバンクから星図なりぶっこ抜いて行きますぞ!


ミニステリアリス・グレイグース
……私、思ったより艦長さんの話の熱に中てられてしまっているのかも

生存可能な惑星
それはかつて私を形作った方々の夢でもあります
その夢にこうして"真っ当に"近づけたのだと思うと……
いけませんね、どうしてもそわそわが収まらない

少し船内を歩き回って気分を落ち着けましょう
私が感情任せに動くと大抵碌なことになりませんし

そうして当てもなく散策していると――あ、ジャック団長だ
そういえばサーカス団って今どうしてるんだろ
いえ別に気になる訳じゃないんですよなんでこの人は未踏宙域の儲け話にわざわざ乗ったのもしかしてサーカス団上手くいってないかのかななんて心配はこれっぽっちも

――ええいやっぱり気になるっ!団長に突撃です!


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

よーし鬼の居ぬ間になんとやらだ!
さっきの交戦で突入口にされた亀裂とかを
船外から補修にかかるよ!
資材を使って隙間を塞ぎ、
『メカニック』の知識を活かして溶接していく。
皆でやれば手早く終わるだろ!
その内にもうひとつの目的もやっとかないとね。
手ごろな大きさのデブリが流れてきたら、
うまく勢いを殺して捕まえて
【縁手繰る掌】で船内のラボへ転移させる。
古い日記みたいな物もあったんだ、
他にも何か手掛かりになるかもしれないだろ?

……これが「何かに食い荒らされた残骸」でないと良いんだけどね。



●航海六日目:旅の途中だってのに大騒ぎ
「どぉおおおおおしてこうなったぁあああああああ!?!?!?」
 "色男"もとい"ろくでなし"ジャックの涙混じりの悲鳴が響き渡る。
 だがあいにく、彼はコクピットにふたりきり。しかも男同士で、である。
 前時代の軍用航空機じみた機体が、宇宙の暗黒を無駄にアクロバット飛行する。
「ぐだぐだ言うんじゃねーでござるよ! ジャック氏は男の子ぉ!」
「そおおおおおいう問題じゃああああねぇえええだぁああろぉおおお!?!?」
「うっわジャッジ氏の表情無様~! インスタにアップしとこ(パシャリ)」
 前部座席に座るエドゥアルト・ルーデルが振り返って写真を撮った!
 目の前に近づくデブリ! ジャックの悲鳴! エドゥアルト爆笑!
 なぜこんな地獄絵図に至ったのか、知るためには時間を巻き戻す必要がある……。

 ……先の場面より前、ナイチンゲール号の第五居住区!
「おーらい、おーらい」
「あ、すみませんこっちネジが足りません」
「そっち壁にぶつけないでくださいね」
「ネジが足りないのです」
「このあたりの内壁にトラップなどどうでしょうか」
「ネジが……」
「…………(トントントン バキッ)」
「「「「あっ」」」」
 なにやら同じ声色、同じ姿をした少女たちがあちこちに散らばっている。
 彼女の名は虹結・廿。サイボーグの戦場傭兵であり、これは全て彼女の"分隊"だ。
 "虹結・廿"本人を含め、意識を共有したそれら義体は五体一セット。
 普段ならば、同型個体を捨て石にすることも厭わない無感情なサイボーグも、
 戦災復興という非戦闘的な状況においては、その冷徹さも鳴りを潜めるらしい。
「いやぁ頼りになるなぁ嬢ちゃんたちは! まさかの五人姉妹とはなぁ!」
「説明をしたのに理解していませんね、ジャックさんは」
「仕方ありません。作戦行動に支障はないですよ」
「あの、ところでネジ……」
「それよりもトラップをですね、あと八割ほど増量させたほうが」
「…………(カンカンカンカン メキッ)」
「「「「あっ」」」」
「天丼やめてくんねえかな!?」
 居住区の復興作業を監督するジャックも思わずツッコミを入れてしまう。
 なお、他に作業しているクルーたちは、もうこの状況に慣れたらしい。
 未知宙域に挑むだけあって、神経が図太いようだ。そういう問題ではないが。

「いやいや、ここはジャックさんの言うとおりですよ。何もかも正しいですね」
 そんなところに、ニコニコ怪しい笑みを浮かべながら、早口で現れたのは、
 どう見ても信用してはいけないタイプのオーラを醸し出すゼン・ランドー。
 いつもにこやかで開かれることのない瞳が開かれれば、
 たぶん瞳孔には『銭』とか書いてあるだろう。つまり守銭奴だ。
「え? そぉ? ハハハいやぁそうだよなあ! それほどでもあるわ!」
「これだけ操りやすいと逆に癪に障りますね(さすがジャックさんはお目が高い)」
「いまなんて?」
「おほん。いえなんでも。それよりですねジャックさん、少々お話が」
 建前と逆になった本音をごまかしつつ、ゼンが何かを取り出した。
 帳簿である。なにやらずらーーーーーーっと色んな項目が書いてあった。
「これ、今回の修復に私のほうで手配した資材の見積もりでございます」
「えっ」
「ジャックさん、船長代理を兼任していらっしゃいますよね。聞き及んでおります。
 パトリックさんはブリッジに詰めていらっしゃるとか。いや立派なものですね。
 そんな忙しい船長さんを邪魔するわけにもいきませんので、代理の方にですね、
 ええ、お話をしようと思いまして。あ、ちなみに次のページもありますから」
 すらすらすらーっと、よくもまあ立て板に水に出来るものだという早口である。
 もちろん、それはジャックに余計なことを言わせないための商売人の策であった。
「ああ! ですがご安心を、これらはあくまで見積もり、ですからね。
 実際の支払いは出世払いで結構。今後、"優先的に"我が商店を頼ってもらえれば」
「え、いや」
「いやいやいや! 皆まで言わずともわかっております。いいですかジャックさん。
 このようなお話でパトリックさんのお手をわずらわせるわけにはいきませんとも。
 そこを代理のジャックさんに聞いて頂く。これもお手間を取らせてしまいます。
 ですからもちろん、私から"個人的なお礼"をご用意しておりますので、はい」
 ここまでわずか数秒であったという。
 個人的な! お礼!! ジャックの両目が『銭』『欲』に変わった!
「お金、必要なんでしたよね?」
「…………」
「"うまくとりなして"いただけますよね? ジャックさん」
「ヨロコンデー!!」
 ナムアミダブツ! なんたる暗黒闇取引か!
 ゼンは嗤笑する。これらの見積もりなど実際は全て人件費なのだ!
 修復に充てた資材は、ほとんど先の艦隊戦やデブリなどの資材ばかり。
 それを自分のユーベルコードで運んだり、あと他の猟兵が持ってきたのを分配したり、自分が関わったことでうまいこと利益にしやがったのである。
 なんたる抜け目ない商人の手口であろうか。だがジャックは鼻の下を伸ばしていた!

「ってちょっと待ったぁ! そこそこ、何怪しい話してんのさ!」
 と、そこへ……ずかずかと割って入ってきた女がひとり。
「そ、そうですよっ。団長さんはあくまで団長さんなんですから!」
 いや、よく見れば隣には小さな少女が付き添っていた。
 女のほうは数宮・多喜、少女のほうはミニステリアリス・グレイグースという。
 いずれも猟兵であり、多喜のほうは修復作業に従事していたようだ。
 土木作業員めいたラフなスタイルである。ミニステリアリスは今しがた来たのか、
 普段と変わらないままの格好で、ちらちらとジャックのほうを見ている。
「おっとこれはこれは。ではジャックさん、のちほど」
「あ、逃げやがったね! ったく油断もスキもない」
 そそくさー、と姿を消した妖狐に、腰に手を当てて呆れ返る多喜。
 だがその鋭い睨みつけは、すぐさまぼけっとしてたジャックに向いた!
「アイエ!」
「そもそもアンタだよアンタ! 黙って見てりゃ後ろめたいことしてさ!
 ったく、船外で一通り作業が終わったから戻ってきてみればこれだよ……」
「わ、私は団長さんにちょっと聞きたいことがあっただけで……」
「そっちも! 何が聞きたいんだか知らないけどぐずぐずしてないで!」
「「すみません……」」
「謝るよりシャンとする! で、それはちゃんと艦長に見せる! いいね!?」
「アッハイ」
「ならよし! ……で? そっちは何が聞きたかったのさ?」
 水を向けられたミニステリアリスは、多喜とジャックを交互に見た。
 そしてしばらくもじもじしたあと、おずおずと話を切り出す。
「あ、あの! ええとっ」
「……はっ! まさかこんなろくでなしに一目惚れ」
「いや違いますそれはないでず絶対に有りえませんないないない絶対にないです宇宙の塵よりありえませんし宇宙が崩壊してもありえません」
「いきなり早口て否定すんのキツくねえかな!?」
 別にそっちの趣味はないが、さすがに落ち込むジャックであった。
 そんな彼を見て我に返ったミニステリアリスは、改めて問いかける。
「な、なんで未踏宙域の儲け話に乗っかったんですか! もしかしてサーカス団上手く行ってないのかなって心配なんていえこれっぽっちもしてないんですけどでもやっぱり気になるところがあって」
「「早っ!?」」
 すーはーすーはー。ミニステリアリスは息を整えて、改めてジャックを見た。
「……どうなんですか、実際!」
「ええ……いやそうだなあ、あー」
 ジャックは困った様子で頬をかいたのち、答えた。
「いや上手くいってんだよ。ドリー……船のAIが細かい部分をやってくれてな?
 ただ上手くいったせいで、団員が増えてよ! 借金余計に増えちまってなぁ!」
 はっはっは、と開き直って笑うジャックに、ジト目を向けるふたり。
 ……その実、彼の借金は、実は団員の様々な不都合を肩代わりしたものだ。
 もちろん、それをジャック自らが語るようなことはないのだが。
「挙句の果てに『アナタガ居ルト逆ニ経営ガ切迫シマス』って蹴り出されてよ!」
「ダメ人間すぎますね……」
「ほんとにろくでなしだねこりゃ……」
 完全に汚物か何かを見るような目になるふたりであった。
「はぁ……じゃあアタシ、そろそろ船外に戻るよ。まだ作業があるんでね」
 呆れた様子で出ていく多喜。そこへ廿の一体がやってきた。
「あ。すみません、お手隙なら手伝いを……無理そうですね」
 ひらひら手を振って去っていく多喜の背中を見送り、そのまま視線は横に。
 つまり、目的を終えて手持ち無沙汰のミニステリアリスのほうに。
「えっ」
「作業、手伝っていただけませんか? 手が足りないものでして」
「わ、私ですか!? ううん、でも私落ち着かない作業とかはちょっと……」

 するとそこで、なにやらがやがやといくつもの足音、声が近づいてきた。
 ウィーンと通路のドアが開かれた瞬間、ぞろぞろとなだれ込んでくる人の群れ!
「やあ、私だよ。そして肉体作業お手伝い三銃士を連れてきたよ」
「「肉体作業お手伝い三銃士!?」」
 先頭を担ってやってきたのは、青い髪のエルフ……ルエリラ・ルエラ。
 なぜかドテラを着込み、無限軌道戦車めいたキャタピラパーツを下半身に装備。
 その両手には、どうやらできたてらしい芋煮がたっぷり入った鍋だ。
「いや私よく知らないし、そもそも三人どころじゃないんだけどね」
「「知らないんですか!?」」
 ミニステリアリスと廿は思わず声を揃えて突っ込んだ。
 そしてルエリラに続いてぞろぞろとやってきたのは、またも奇怪な連中。
 歩く動物、やけにファンシーで戯画化されたフェアリー、はたまた歩く植物、
 あるいは童話に出てきそうな巨人だのなんだの……枚挙にいとまがない。
 そしてそんな、まるで夢の住人のような列にまぎれてやってきたのは、
 ぐぅぐぅと呑気にねこけている時計ウサギの少年であった。
「むにゃ? ……なんだかー、静かになったと思ったら、また騒がしくー……。
 いい匂いもしますしぃ、お腹が減りますねー……うーん、Zzzz……」
 実はこの居眠りしている時計ウサギこそ、奇妙な夢の住人たちの召喚者。
 彼の名はズゥ・ジィという謎めいたバロックメイカーなのだが、
 残念ながら当人がぐっすり寝ている(のに住人に連れられて歩いている)ので、
 自己紹介もままならない。おそらく本人も求められても気にしないだろう。
「なんだか手助けしてくれるみたいだし、私も手を貸してもらったんだ」
 ルエリラの言葉通り、夢の住人たちの一部は芋煮入の鍋を運んでいた。
「味噌ベース、醤油ベース、サメ肉もあるよ。芋煮挺から臨時出張さ。
 さあ皆、今日は好きなだけ食べて芋煮を好きになってほしい。芋煮、いいよね」
 そして喰ったらあとは働け、と言わんばかりの押し付けぶりであった。
「……まあ、人手が増えたのはいいことですね」
「ねえーネジがないのですー」
「これ、持ち場を差配するのは廿の仕事ですか?」
「ところでこちらにもトラップを」
「…………(ギュオオオオングォオオオン バンッ!)」
「「「「あっ」」」」
 相変わらずなんか凸凹な廿(たち)。クルーたちもリラックスして騒いでいる。
 そこに交じる夢の住人。許可してないのに勝手に振る舞われる芋煮! 寝てる術者!
「…………監督役俺なんだぞぉ!?」
「誰も聞いてないと思います……」
 ジャックの叫びは、むなしくこだました。

 ……その頃、多喜が戻った船外では!
「よーし、鬼の居ぬ間になんとやら。さっそく仕上げを……っと?」
 甲板に出た多喜は、そこにひとりの小さな少女が居ることに気付いた。
 そしてそんな少女を背後からgff……とニヤニヤ見つめている怪しい人影!
「イヤーッ!」
「グワーッ!?」
「!!?!?!? な、なんだ!? ニンジャか!?」
 誰何するまえに怪しい人影に鉄槌を加えた多喜、顔からぶっ倒れる謎の男。
 そしてさっぱり気付いてなかった少女……非在・究子は、割とビビッた。
「ひどいでござるな多喜氏! 拙者でなければ死んでいたとこでござるが!?」
「う、うわ……ぼ、防犯ブザー、ひ、引っ張ったほうがいい、か」
「ノーモーションで通報しようとするのやめてくださるぅ!?」
 立ち上がった怪しい男……の明らかな不審者フェイスに、究子はドン引きした。
 しかしこの男、実は猟兵である。そう、先に出てきたあのエドゥアルトだ。
「拙者ただ幼女ウォッチング……もとい哨戒をしてただけでござるし! ししし!」
「どう見たって犯罪者の面してただろうにさ……」
「そ、そもそも、しゅ、周辺の警戒は、あ、アタシがしてたんだ、が」
「えぇ~本当にござるかぁ~?」
「わ、割とマジでむ、むかつく、な。う、撃つか? 撃っちゃう、か?」
 デブリ撃墜用のレーザーライフル(ゲームウェポン)をちらつかせる究子。
 本人の言葉通り、彼女はバーチャルキャラクターとしての特性を生かし、
 船内のマッピングと同時に周辺宙域を電子的に警戒、探索していたのだ。
「へぇ、何か役立ちそうな資源はあったのかい?」
「わ、割と離れたところに、ほ、保存状態のいい資源が、あ、ありそうなんだ。
 ……け、けどアタシ、さすがにち、近づきたくないから、な」
 陰キャでありがちがちのゲームガチ勢な究子、割とリスクマネジメントはシビアだ。
 ダンジョンならば全部探索はするしオープンフィールドならそこら中歩くが、
 マスクされているエリアには回復アイテムがカンストするまで踏み込まない。
 彼女はそういうタイプのプレイヤーである。多分。
「だ、だから、だ、誰か行ってくれると、う、嬉しいんだが……」
「アタシが行きたいとこだけど……ああ、こりゃちょっと遠いねぇ」
 立体投影されたマップを睨み、多喜はため息をついた。
 船外の修復作業を並行するためには、誰かが近くまで牽引する必要がある。
「はいここ! ここ拙者の腕の見せどころでござるね!!」
 案の定しゃしゃり出てきたエドゥアルト、ガチめに睨みつけられる。
「拙者飛行機飛ばせるでござるしぃー! 二人乗りでござるしぃー!
 つまり後部座席に、そちらの幼女を乗せてふたりでキューンキューンとグワーッ!?」
 警告なしの多喜の張り手。コワイ!
「…………あ、アタシ、絶対やだぞ。こいつとは」
「右に同じくだね。そうだ、あの妖狐の商人に乗らせれば」
「いえ、私そういう精密作業とか苦手なのでちょっと」
「「!?」」
 ひょこっ。多喜の言葉に狙いすましたように頭を出したゼン。
「私商人ですからね、そういうのはちょっと。ではこれで」
「……し、神出鬼没すぎるだろ、あれ……」
 やっぱりドン引きの究子である。さておきメンツはどうしたものか。
 とそこで、一同の宇宙服にどこからか通信が入ってきた。
《ちょ、誰でもいい! 誰か! ヘルプ! 第五居住区ヘールプ!!》
 ジャックである。音声のむこうからめちゃめちゃ騒がしい音が聞こえてくる。
『ネジが足りないのですー!』
『やっぱり私には無理ですよこの作業~!』
『う~ん、ねむねむ……もう食べられない……』
『おや、今度はサメ怪人の登場だ。芋煮の夢を見ているんだね』
 カンカンカンカン。ドタドタドタドタ。ガシャーン!
「「…………」」
《誰か! 誰か俺と監督役代わってくんね!? 頼むから!!》
 ジャックの悲鳴がこだました。三人は顔を見合わせ、頷いた。
「「「生贄にしよう」」」
 そういうことになったという。

 ……そして、時間軸は現在に戻る!
「たぁああああすけてくれぇえええええ!!」
《いけませんよジャックさん、ここはひとつ男を見せていただかないと。
 あ、ちなみに物資輸送の中継は私が行います。手数料はジャックさん持ちで》
「えっ」
「ほーらジャック氏いまから元軍艦の中を飛ぶでござるよー!」
「おいなんでそんなとこ飛ぶんだぎゃあああああ!!」
《大丈夫です。もしもの場合は保険もございます。もう加入させておきました》
「いやおかしいだろ同意した覚えがあっ通信切れやがった!!」
 ちゃっかりジャックに死亡保険までかけていたらしい。恐るべしゼン。
「さあジャック氏! 宝の山でござるよいざぶっこ抜き開始でござる!!」
「俺が来る必要なかっただろこれぇえええええ!!」
 悲鳴はもはやエドゥアルト以外には届かない……。

「おや、流れ星だ」
「「「「「本当ですね。珍しい」」」」」
「このサメ肉芋煮、おいしいですね!」
「あ、アタシはこっちの味噌ベースが好み、だ、だな……」
 一方その頃。一通り修復が終わった居住区で芋煮をつつく一同。
「んん~……静かなのがやっぱりいちばん~……Zzzz」
 最初から最後まで呑気に寝ていたズゥが、何度目かの寝返りを打った。
 これもまた、船旅の中の憩いの一時である……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 ――航海六日目、終了――
 そして七日目、いよいよナイチンゲール号と乗り込んだ猟兵たちは、
 恐るべきクエーサービーストに相対することとなる。

 だがいまはその前に、これまでの航海の日々をもう少し振り返ろう。
 たった一週間。されど一週間の間の、無謀な旅路。
 そこにはある日ある時、こんな一幕もあったのだ――。
マレーク・グランシャール
【壁槍】
カガリ(f04556)とデブリの除去・分析

ビーチコーミングと同じ要領でデブリから何かを察することは出来ないだろうか
宇宙船の破片なら戦闘があったということ
未知の生物や物質を痕跡はないか
漂流物に付着するものも手がかりとなろう
【情報収集】を駆使して分析を試みるが、スクラップの類いはカガリに意見を求める
宇宙最速と噂の『しろ』がいるなら効率良く作業出来よう

未来に進むということは変化すること
スペースシップワールドの民の冒険心には頭が下がる
俺は未来に向かわなくてもいい
むしろ変化せず、このままずっといられたらいい
それだけ今が幸福ということだ

宇宙屑拾いもこうしてカガリと一緒なら楽しいものだ


出水宮・カガリ
【壁槍】まる(f09171)と

でぶり、というのかな、宇宙ゴミを取り除いておこうかと
一戦交えた後だからなぁ
これからの航路、大きなものは妨げにもなろう
変わった形や、何かの痕跡が残っている物があれば(情報収集)、持ち帰って聞いてみよう

…【しろ】は宇宙空間で活動できるだろうか…?
いけるなら、まるも乗せてくれると嬉しいぞ(なでなで)
防具改造・メカニックの要領で、宇宙服か装甲の用意ができないだろうか
これでも宇宙バイクと張り合える美脚の持ち主なのだ

……変化を望まないから、未来が無い、か…
まる、まる
このまま、生きているだけでは、未来に行けないのだろうか
でぶり、ひとつ、取った
…未来へ一歩、ではないか?



●航海中、ある日のこと:城門と龍のゲーム
 ビーチコーミング……骨董品業界では、"海揚がり"とも呼ばれる行為がある。
 かいつまんで言えば、波打ち際に漂着した様々な物品を回収・蒐集し、
 再利用したり加工したりするような行為を指す言葉である。
 宇宙と海は、その性質から多くの点で似通う。
 もちろん、それぞれの環境によって独自の脅威がいくつも存在するし、
 一説によれば『宇宙に出るより深海を探索するほうが難易度が高い』とも云う。
 しかし宇宙"船"と名付けられたように、暗黒を征く旅路はまさに海原のそれ。
 つまりは、デブリこそが障害物であり、この航路を知るための手がかりとなる。

 ナイチンゲール号の予定進路をなぞるように、美しい白馬が宇宙を駆ける。
 その背にまたがるのは、マレーク・グランシャールと出水宮・カガリのふたり。
「しろが宇宙空間でも活動できるとは思わなかった……」
「さすがは宇宙最速と噂の名馬だ。その背に乗れることを光栄に思う」
 高飛車な知性を目に讃えた白馬は、ひひん、と誇らしげに吠えた。
 なぜ宇宙を走れるのか? それは言うまでもない。
 ――美しいからである!!

 そんな些細なことはさておき、ふたりの任務はデブリの除去と回収。
 先の艦隊戦で飛散したと思しき残骸のいくつかを始め、
 ふたりは資源になりそうな物品をある程度回収し、また障害物を破壊する。
「順調だな、まる。これなら、色々わかるのではないか?」
「ああ。だが――」
 カガリの言葉に頷きつつ、マレークは言った。
「……生命の痕跡は、一切なかったな」
「…………そうだな」
 この宙域に、宇宙生物の類は一切存在しなかったのだ。
 一切である。微生物のたぐいも、それらが生息しそうな小惑星も、
 もちろん探査艦隊の残骸に、生物がいた痕跡すらも、一切。
「……根こそぎ、奪われたのだろうか」
「可能性はある。銀河帝国の探査部隊にも、生身のスペースノイドはいただろう」
 だが、その痕跡はない。であればそれを根こそぎ消し去ったのはだれか。
 おそらくはクエーサービースト。だとすればなんたることであろうか。
 痕跡すらも許さないほどの、生命に対する徹底的なまでの敵愾心という他ない。
「だがそんな危険な生物がいる場所に、あの船の人々はやってきたのだな、まる」
「……その冒険心には頭が下がる。俺には出来ないことだ」
 カガリは後ろを振り向いた。マレークの表情は一切変化しない。
「未来に進むということは、変化するということ。それが彼らの選択だ。
 だが、俺は未来に向かわなくてもいい。むしろ変化しないほうがずっといい」
 鉄仮面を被ったように、その表情を変えることなく、龍のひとは云う。
「このまま、ずっと。だから俺には出来ないし、するつもりもない」
「…………まる。それは、おかしいぞ」
 カガリは言った。
「このまま生きているだけでは、未来に行けないということではないか」
「それは――」
「まる。カガリはな、それならば変化したほうがいいと思うんだ」
 しろがいななき、足を止めた。飛来するデブリをその鉄壁で跳ね返し、
 運動速度がゼロになったところで、カガリがそれをキャッチする。
 何の役に立つかもわからないガラクタだ。だが、"わからない"がそこにある。
「どうだ、まる。でぶり、ひとつ取ったぞ」
「……ああ」
「もしかするとこれで、何かすごいことがわかるかもしれない」
「…………」
 カガリは微笑んだ。
「それは未来へ一歩、ではないか? もっと幸せなほうへ変化、するのだから」
「……カガリ。俺は――」
 マレークはその言葉の先を言おうと口を開き、ためらい、閉じた。
 ――俺はもう変わらなくていいぐらい、今が幸福なんだ。
 心からの偽りない気持ちだ。まったき真実であり思いであるはずだ。
 けれど、微笑んでいる半身の表情を見ていると、どうしても言えなかった。
(カガリ。お前は、"もっと"を望むのだな)
 その輝きに心を奪われたかのように、マレークはただ沈黙する。
 そして美しい馬がいななき、また宇宙を駆け抜ける……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

無明・緤
前船長の日記に興味がある
艦長のパトリックに読ませてくれと頼もう
おれは読書好きでね。猫が本を読むのはおかしいか?

航海日誌なら書かれた事は敵襲や障害への備えに役立つだろう
未知の言葉や人名は船員に尋ね
嘗てのナイチンゲール号にも思いを馳せよう
星の海に未曾有の夢を抱いた男、その魂を運ぶは天使(ナイチンゲール)…か

読み終えたら周辺宙域の探索へ
働かないとな、なあ色男?(ニヤッと猫笑い)

UC【エレクトロレギオン】を【操縦】し船外へ飛ばして
宙域情報を広く収集、データを地図作成班へ渡しつつ
クエーサービースト襲撃に備え哨戒を行う
ついでにレギオンの内数体を動かして
修復やデブリ撤去に勤しむ仲間に軽食の差入れでもしようか


パーム・アンテルシオ
自由行動、自分にできる事を考えて…
私にできる事。得意な事。皆の為になる事。
…それじゃあ、久しぶりに。もふ屋、やっちゃおうかな?
リラクゼーションンルーム、なんてあるんだし。ふふふ。

船員さんはもちろん、猟兵だって大歓迎だよ。
サボりじゃないよ、英気を養う時間。れっきとした、猟兵の活動だよ。ふふふ。
どうかな?これからの戦いに備えて…ゆっくりしていってみない?

それとも…この世界の技術なら。こういうのも、作り出せちゃったりするのかな。
それならそれで。それが、どんなものなのか…興味あるなぁ。
もふ屋としての、後学の為にも、ね。ふふふ。

そうそう、お代は結構だよ。
必要経費として…依頼報酬に上乗せするからね。ふふ。


ルーナ・ユーディコット
戦いには乗り遅れたけど、クエーサービーストは気になるから
といっても暫く戦いは無いか

少し艦を見て回ろう
当て所ない散歩をしながら頭の整理がしたいかな
スペースシップワールド……馴染みのない世界だから興味はある

ここまで3回の戦争があって、私はまだ死んでいない
決定的な敗北も先のエンパイアウォーではしなかった
己を顧みない戦いが
人の生きる道になるなら、敵を道連れに死んでもいいとさえ思ってた

でも、今は生きたいと思っている
いや……ずっと思ってたのか
死んでもいいと吼えて押し込んでたその底で

寿命を削らない戦い方、考えないとね
刀の技術は頼れる人は居るとして
ユーベルコードも編み出さないといけない
例えば……竜の力とか


ヘスティア・イクテュス
射出された日記帳が再びこの船に…
この広い世界で何かを感じざるを得ないわね

あの男と同じことを言うのは癪だけど、えぇ、肩肘張りすぎずにね船長さん
この船もクルーも探索に充分、これ以上なんてないわ



ってことで、そうね外は働く猟兵も多そうだし
中の方でわたしは働かせてもらおうかしら?
外、未知への興味は海賊として当然あるけど
まぁ、こういう人との縁もお宝ってね。お父様の受け売りだけど…


怪我人がいるなら、アスの散布する医療用ナノマシンで
軽い怪我の手当て位ならわたしでも手伝えるわよ

後は合間に食堂で紅茶を淹れて皆に振舞わせてもらったりね
疲労や緊張を和らげるには温かいものをってね



●航海中のある日のこと:遺された日記と、もふもふの魔力
「………はぁ」
 人気のない通路を、赤いマフラーを巻いた人狼の少女が歩く。
 ルーナ・ユーディコットは、何度目かわからないため息をついた。
 色々と落ち着かない頭を落ち着かせるため、こうしてあてもなく散歩したが、
 むしろ頭の中でぐるぐると益体もない思考がめぐるばかりである。

 彼女は一体、何を悩んでいるのか?
 それは彼女が、生まれ故郷を失ったという過酷な過去を持ち、
 それゆえに己の命をも顧みない捨て身の戦いを続けている点にある。
 そして三度。この世界と先のエンパイアウォーを含め、三度の戦争。
 参戦し、強敵に挑み、人間性を炉に焼べるようにして抗ってきた。
 勝利があり、苦い敗北があり、血みどろの苦闘があり、そして今がある。
(人の生きる道に、その礎になれるなら、敵を道連れにしてもいいと思ってた)
 だがどうだ。今己はこうして生きていて……いや、違うか。
 むしろ生きたいと思っている。あるいは、はじめからそうだったのだろう。
 "死んでもいい”と吠えて押し込んだその底で、おそらくはずっと。
「……クエーサービースト、ね。寿命を削らないで戦えるかな……」
 己の掌を見下ろす。かつて平凡な少女であったはずの手は、荒れていた。
 これまでの戦いをその掌に込めるようにして、ぐっと握りしめる。
「……戦わなきゃいけないんだ。この船の人たちのように前に進むには。
 この旅を手助けすることで、私はそのきっかけが得られるかもしれない……」
 だとすればせめて、来たるべき決戦にはこの力を振るうとしよう。
 戦う以外には何も出来ない、この身だとしても――。
「……ん?」
 と、そこでルーナは、ぴくりと狼の耳を揺らした。
 なにやら聞き覚えのある声が聞こえた気がする。はてな。
「あれはもしかして、あの子の……?」
 誘われるように向かった先では……おお、なんたることか……!!

 ……ルーナがとある一室に入ってしまった、その数分前のこと。
「データはこんなところ、だな……」
 船外での哨戒任務を終えたケットシー、無明・緤が格納庫に帰投した。
 彼の周囲に展開していたエレクトロレギオンが、ワイヤフレーム状に分解され、
 電脳の魔術の残滓へと消えていく。すでに集積したデータは送信済みだ。
「猟兵さん、おかえりなさい! どうでしたか?」
「やあ、艦長。ひとまずデブリの除去は終わらせたよ」
 偶然タイミングが合ったのか、そこにはパトリック青年が待っていた。
 笑顔で緤を労り、報告に胸を撫で下ろす様子に、緤は笑う。
「若いのに立派なものだ……まあ、おれよりは年上みたいだが」
「えっ、そうだったんですか?」
「そうさ。まあおれのことより、ひとつお願いしたいことがあってな――」
 ふたりはあれこれと会話をしながら、一息つくために食堂へやってきた。
「あら、おかえりなさい。そっちは哨戒担当の方よね?」
 ちょうど紅茶を淹れていた少女、ヘスティア・イクテュスが振り返る。
 食堂の一角には心地よい香りが立ち込め、クルーたちがその厚意に甘えていたようだ。
「そちらもご苦労さまだ。おれが出発する前に救護室にいただろう?」
「見られてた? まあちょっとした手伝いよ。軽いけがの手当てくらい」
 緤とヘスティアは、それぞれの働きをねぎらい、同じ卓につく。
 そこまで見知った仲ではない……が、猟兵同士でそんなことは些末な話だ。
 ましてや、いまは過酷な未踏宙域での旅の途中である。
 クルーも猟兵も、互いに力を合わせて出来ることをしなければならない。
 もちろん仕事をせずにリラックスしているのも、待機という重要な任務だ。
 なにせ、この旅路の最後には、恐るべき強敵との戦いがあるのだから。

「はい、艦長さん。あなたもお疲れでしょ?」
「とんでもない。でもありがたくいただきますね」
 ヘスティアの淹れた紅茶を受け取り、パトリックはほう、とため息をついた。
「ところで緤さん、さきほどお願いがあるとか……」
「ああ。この間話していた、前の船長の日記とやらを読ませてほしくてね」
「……日記、ですか? ええかまいませんが……」
 緤は頷き、語る。
「おれは読書好きでね。古い知識から何か得られるものがあるかもしれない。
 この船に習熟していた人物のものなら、目を通しておくに越したことはないさ」
「そうね。けれど改めて思うと、本当に奇跡的な偶然よね。
 この広い宇宙のどこかで打ち出された一冊の日記が、またこの船に戻るなんて」
 ヘスティアは淡く微笑みつつ、顎の下で指を組んで言った。
 この世界で生まれたスペースノイドとして、思うところがあるのだろう。
「だから、わたしも少し興味あるかも。もしよければ――」
「……それ、私も読ませてもらってもいい、かな?」
 横合いからかけられた声に、一同はそちらを見やった。
 するとそこには、桃色の髪の妖狐の少女がひとり。
 パーム・アンテルシオだ。小首をかしげながら、彼女はパトリックを見やる。
「あなたたちが、心の拠り所にする、大事な本。その中身は、気になるから。
 それに……その昔の船長さんが、どうしてそんな夢を抱いていたのか、もね」
 戦う理由。旅をする理由。人が、困難に挑む理由。
 それこそが己の求めているところなのだと、パームは謎めいて語る。
「そうですね。なら内容をデータ化して、お配りしましょうか」
「ふふ……ごめんね、忙しいのに手間をかけちゃって。その代わり、
 と言ってはなんだけど……実は私、ひとつやってみたいことが、あるんだ」
「やってみたいこと? 哨戒やデブリの除去ではなく、か?」
 緤の言葉に、パームは意味深に頷く。
「それはね――」

 ……ここで、ようやくルーナの視点に時系列は戻る。
 はたして彼女は何を見たのか。そこにあったのは……!!
「あぁ^~心がもふもふするんじゃあ~」
「もふもふ、いい……アーイイたまらない……」
「オオ、故郷のマーマ……」
 パームのもふもふっとした九尾に顔を埋めるクルーたちの姿だ!
「……………………えっ。なにこれ」
 思わず素の声が出てしまうルーナ。よく見るとあの"色男"……もとい、
 ろくでなしのジャックまでもが、もふもふと毛並みに埋もっている。
「うむ。なんでもあの子は、もふ屋という仕事をやっているそうでな……。
 ……いや、おれはもふりたくない。もふりたくないぞ。断じて違う!」
「どっちかっていうと、もふられる側よねあなたは。……もふっていい?」
「だ・め・だ!!」
 ちぇー、と口を尖らせるヘスティアに、ふしゃっと毛を逆立たせる緤(黒猫)。
 あまりにも脱力した光景に困惑するルーナ。苦笑いしているパトリック。
「でも、皆すごいリラックスしてますし、いいんじゃないでしょうか」
「いいの? そこ、ほんとにいいの?」
「ふふ……艦長さんも、いいんだよ。久しぶりの開店だから、ね。
 それに、この世界の技術力なら……もふ屋を作り出せるかもしれないよ……?」
「……出来るのか!?」
「そこでわたしのほうを見られても困るんだけど!?」
 今度は緤のほうが、微妙に残念がる側であった。
「ちなみに、代金はいらないよ。艦長さんには日記のことがあるし……。
 猟兵さんなら、そのぶんは依頼報酬に上乗せしておくからね、ふふふ……」
「さ、さりげなくグリモアベースに経費を押し付けるだなんて……!」
 顔見知りの狡猾な犯行に、この子こんなだったのかと戦慄したルーナ。
 もふりたく……は、ない。だってシリアスな悩み抱えてたし。もふりたくない。
 断じてもふりたくない。だからこのことはさっさと忘れよう。
「ま、艦長さん。あまり肩肘はらずにいきましょ? わたしたちも、あなたも。
 ……あのろくでなしと同じようなことを云うのは、ちょっとやだけどね……」
 もふもふを堪能しているジャックをジト目で睨みつつ、ヘスティアが言った。
「ふむ。ではそろそろ、あの色男を引っ張り出すとするか。
 まだまだやることは多いからな。働かないと、だろう? ジャック」
「もふも……えっ何? やだやめて! ああ! もふもふが! もふがー!!」
 悪い笑みを浮かべた緤に首根っこを捕まれ、引っ張られていくジャック。
 遠ざかる悲鳴を聞かないようにしながら、またため息をつくルーナだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

斬崎・霞架
皆さん、良い顔をしてらっしゃいます。
危険も多いだろうとわかっているでしょうに。
偶然ではない、必然…あるいは運命ですか。

ですがどんな希望も、時に無残に打ち砕かれる。
そして、そうさせない為に多くの猟兵がここに居る、ですか…。
…その手伝いくらいは、出来るでしょう。
(彼らの眩しさに、目を細めて)

訓練をしましょう。実戦に近い方が良い。
僕と手合わせをしましょう。
何人かかって来て下さっても構いませんよ。
何人でも、お相手します。

ああ、ジャックさんでしたか。貴方もどうです?
いざと言う時、自衛も出来ないのでは話になりませんよ。
大丈夫です、手加減はします。
…死なない程度には、ね。
(素人相手でも容赦なくスパルタ)



●航海中のある日のこと:やるからには本気で
「「「う、うわああっ!!」」」
 どたどたんっ! と、三人の屈強な男がてんでばらばらの方向に転がされた。
 いずれも、この船では万が一の際の戦闘員として訓練しているメンバーだ。
 だがそんな男たちが、苦痛に顔をしかめてろくに立てないでいる。
「おや? もう終わりですか。怪我などひとつもさせていませんよ?」
 そんな男たちが挑みかかった側である斬崎・霞架は、ホコリひとつついていない。 そして彼の言葉通り、男たちはどこか折れたり打撲しているわけでもない。
 ただ、かかってきた男たちの手や足を、折れない程度に極めて投げ飛ばしただけ。
 だのに、それなりに鍛えた若者が、痛みで立てないぐらいに苦しめたのだ。
 いかに人体を破壊するか……それを熟している一流の戦士ならばこその手際。

 そしてここは、ナイチンゲール号のトレーニングスペースだ。
 三人の他にも多くのクルーが詰めており、猟兵は霞架ひとりである。
 先の三人の前にも霞架に挑戦し、ギブアップした者は十人以上いるが、
 皆ろくにダメージを与えることも出来ず、汗まみれで座り込み見学している。
 無論、霞架には汗はおろか、呼吸が乱れている様子もない。格の違いである。
「残念ながら、僕はまだユーベルコードを使っていません。使うつもりもない。
 ……ですがそれでいいでしょう。これは、皆さんが強くなるための訓練ですから」
 そう。これはあくまで訓練だ。クルーは皆、霞架の提案に乗ったメンバーばかり。
 言わずもがな、猟兵として何度も戦い続けた霞架と、半人前の若者たちでは、
 歴然たる差がある。しかし、クルーたちは誰ひとりとして、諦めてはいない。
「……いいですね。皆さん、いい顔をしていらっしゃいます」
 霞架の言葉は、偽りない称賛だった。それはこの旅そのものへの賛辞でもある。
 危険であるとわかっている場所に、希望を求めて踏み込む勇気。
 それをさせないために集った猟兵たちと、彼らに対する信頼の強さ……。
(希望の輝きを追い求める人の姿は、とでも眩しいですね)
 霞架は目を細め、ふっと笑い、そして頭を振った。

「うおっ!? なんだ、盛り上がってるなここは!」
「おや……ジャックさんでしたか。こんにちは」
 物見遊山で来たらしい"色男"のほうを見て、霞架は穏やかに微笑む。
「どうです? 一通り皆さんとは組み手が終わったところでして。
 ここはひとつ、エキスパートとやらの実力を見せつけてみる機会では?」
「エッ。い、いやあ、俺はエキスパートじゃねえし……」
「ならばなおのことです。いざというとき、自衛も出来ないのでは話になりません」
 じりっ。霞架が歩み寄ると、ジャックは笑みをひきつらせて後退る。
 後ろを見た。……クルーが出入り口を塞いでいる!
「アッ」
「大丈夫です、手加減はします。――死なない程度には、ね」
 そしてトレーニングスペースから、ジャックの悲鳴がこだました。
 素人相手であろうが容赦ないスパルタで、徹底的に痛めつける。
 楽しんでいるわけではない、そのぐらいしないと覚えられないものだし。
「さあ、次は全員でかかってきてください! 何人でもお相手しますよ!」
 ……霞架が割と楽しそうに言い放っている気がするのは、さておこう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヌル・リリファ
アドリブ連携歓迎

星図とかつくるのてつだうから、そのデータわたしにもほしいな。
マスターにおはなしできるときがきたら。あったほうがきっとよろこんでもらえるから。

(そうは言いつつ窓の方へ駆け寄ったりと忙しない。子供。
でも言われたことはするし演算デバイスがあるのでそこそこ優秀です)

(お話も好きなのでNPCに話しかける。誰でも可)

こんな場所にわざわざいくの、かわってるよね。あぶないし。
それでも、わたしはしたいことをするひとたちは嫌いじゃないから。
(マスターもしたいことがあればあらゆる方法を以て叶えていたから)

すめるほし、みつかるといいね
(彼らは主人ではないけれど。その夢を、少しくらい手伝いたいと思った)



●航海中のある日のこと:いつかの日のために
 いつ何時脅威が襲ってくるかもわからない船旅である。
 ブリッジには常に緊張が走り、誰もが突然の事態に備えていた。
「わぁ……きれいだね。みたことあるようで、みたことない星空って」
 そんなブリッジで、いま唯一リラックスしているのはヌル・リリファただひとり。
 幼い子供のように、空色の瞳を輝かせ、宝石のような目で星星を見つめる。
 無邪気である。だが彼女が考えなしにこんな場所にいるかといえば、それは違う。
 ふと彼女は何かに気付いたように振り向く。そこにいつもの立体映像が浮かび、
 ヌルはそれをじっと見つめた。ほのかに額の宝石が輝き、髪がたなびく。
「……うん、演算完了。分析したデータ、わたしておくね」
 いましたが表示されたのは、船外で探索する猟兵たちから送られたものだ。
 ヌルはその優れた演算デバイスで、これらのデータを解析・精査し、
 他の猟兵たちが製作している星図の手がかり……ようはパズルのピースとする。
 星の配置や宇宙線の濃度、はたまた見落としているような脅威が遠方にあるか、
 そういった多種多様なデータを、いまの一瞬でスキャンし終えたのである。
 本人が自負する通り、高性能な人形だからこそ出来る高度な演算能力だ。

 だがその性能と裏腹に、彼女の自我はとても無邪気な子供めいていた。
 だから仕事の合間に、ああして目を輝かせて宇宙を見つめたりするし、
 得られたデータ――その中には回収されたデブリなどの情報も含まれる――を、
 いつか"マスター"に伝えるための大事なお土産として取っておくのである。
「ヌルさん、ありがとうございます。それにしても驚きましたね……。
 あなたお一人の力だけで、このナイチンゲール号の演算能力を上回るとは」
「とうぜんだよ。だって、わたしはマスターの最高傑作だもん」
 少女の言葉に、青年艦長パトリックはなるほど、と感心した様子で頷いた。
 それは傲慢な機械人形ではなく、親を誇る子供そのものに見えたために、
 どちらかというと幼子に笑みをほころばす大人めいていたが。
「ねえ、艦長さん。わたしね、あなたたちみたいなひとたちは、嫌いじゃないよ。
 だって、こんな場所にわざわざくるなんて、とってもかわっているもの」
「出発を決めたときも、他の船の人たちから言われました。変わり者だ、無謀だと」
「うん。けど、やっぱりわたしは、そんな勇気があるひとたちのほうがすきかな。
 そうやってあたらしい何かをみつけだすことは、きっと素敵なことだから」
 マスターの命令に従い、敵を殺し、目的を達成する人形には中々出来ない。
 けれどこの力で、性能で、その旅路を手伝うことは出来るはずだとヌルは思う。
 ……そのことを、彼女は誇らしく思う。性能を発揮する充足感ゆえか?
 それは、ある。けれど……多分、それだけではないのだろう。
「すめるほし、いつかみつかるといいね」
「ええ。……出来れば、皆さんと、ヌルさんと一緒に見つけたいと思います」
 笑顔で頷く艦長の言葉に、すっと暖かな気持ちが生まれるのを感じた。
 それはきっと、前を向いて生きる人々のために、力を尽くすことへの喜びなのだ。
 その暖かさを失いたくない。ヌルは、たしかにそう思っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

穂結・神楽耶
そうだ、宇宙空間、行こう。

…いえ、折角宇宙まで来たのに宇宙空間体験しないのも勿体ないですし戦闘になるとそっちに集中してるから楽しむなんてできないですしでもこんな状況で自分だけ趣味に走るのもどうかと思うのでせめて障害排除でもと思いまして(一息)

というわけでいざ、宇宙上陸!
うわあ……星がたくさん……
夜空に近いですけどまた違った赴きがありますね。
数えきるのに何年必要になるんでしょう。
あ! 無重力!
すごい、気を抜いたらどこまでも流されてしまいそうな。これは地上じゃ体験できないですよね。
無重力に浮きながら天体観測……もしかして贅沢なのでは?

あ?デブリ?
もう斬って片付けましたよ?



●航海中のある日のこと:そうだ、宇宙に行こう
 どこまでも続く暗闇の中に、ちかちかといくつもの星星が輝く。
 どんな世界の夜空よりも強い輝き。気を抜けば呑まれてしまいそうなほどに広い。
 この特殊宇宙服――聞けば、先の銀河帝国攻略戦で得たものだとか――は、
 着ていても生身と何の違いもなく活動できる。着装していることすら忘れそうだ。
 己を縛り付ける重力から解き放たれて、ただ思うだけで進むことができる宇宙は、
 海に潜るのと似ているようでまったく違う。
「うわあ……なんだか不思議ですねえ……」
 そんな宇宙空間を、穂結・神楽耶はふわふわ浮かび上がり堪能していた。
 なにせ、初めてのスペースシップワールドである。初めての宇宙なのだ。
 先の艦隊戦では、船外に出て迎撃するヒマもなく船内を東奔西走した。
 ……だからといっていまこの船旅がヒマかと言うとそれはまた違うのだが、
 デブリ除去作業があるんだから仕方ない。これは障害除去のための一環である。
 けして楽しんでいるわけではない。趣味? 違う違う実益を兼ねているだけ。
 ……と、頭の中でたしなめる自分をうまいことなだめて、満喫中なのである。

 宇宙では、人は生きていけない。
 空気がない。熱がない。そもそも依って立つための大地も水も存在しない。
 だのに人々は、住まうべき星を失ってなお、あの船を築き上げて生きている。
(こうして外から見ると、なんて大きく――そして、小さいのでしょう)
 遠くに浮かぶナイチンゲール号を見つめて、神楽耶は思った。
 あれは、人が故郷とするにはあまりにも小さすぎると。
 ならばこの先に、あの星々の輝きのどこかに人々の住まうべき場所があるなら。
「……っとと、いけないいけない。気を抜いたら流されてしまいそうですね」
 推力を起こし、彼方へ流れかけた自分の体を、船の方へと寄せる。
 上を見上げれば、また違った星々の輝きが神楽耶を照らし出していた。
(けれどあの星を数えきるのに、何年……いえ、何十年かかるのでしょう)
 そのひとつひとつを彼らは旅し、確かめていくのだろうか。
 ヤドリガミである己の意識をもってすら、気が遠くなるほどの話だ。
「……満喫するのはここまでにしましょうか」
 神楽耶は薄く微笑み、さらに推力を起こして船のほうへと降りていく。
 遠くのほうに、塵になるまで切り刻まれたデブリたちが、星の輝きに吸い寄せられるようにして消えていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

トルメンタ・アンゲルス
――ええ、そうです。
居住可能な惑星。
この世界に居る者の理想。夢。

それがこの先にあるかもしれない!
ならば、直に追い求め探すのみ!
さぁ、行くぞ!

俺は速さを生かし、より広域の哨戒とデータ収集を行います!
超スピードのダッシュで遥か遠方まで駆けまわりながら、情報収集を早業でこなし、データをナイチンゲール号に送ります。
きっと処理が上手い方がいるでしょう?

……ただ、
あのメルビレイ以上の巨躯ならば、遠くからでもレーダー等で感知できるはず。
ですが、それを掻い潜れたとしたら?
何かが近づくまで現れないとしたら?

第六感を働かせ、周囲の事象を見切ります。
何かあれば即座にWarpDriveProtoで帰艦し報告します!


四葉原・栞
パトリックさんの持ってるその日記帳…
レア物の気配がしますねえ!
もしよろしければ私にも読ませていただけないでしょうかね?読ませてください。ねえねえ読ませて!読みたい読みたい!
コスモ起源社の「恐怖の未確認生物!未知の宙域は存在するのか!?」とか、「探せフロンティア、新世界は存在する!」みたいな内容の気配がするんですよぅ!!
読ませてくれないと泣いてわめきますよ!良いんですか!?

この分からないことだらけの状況、パトリックさんは誰かの説明を求めているに違いないのでワープしてきます。決して本の気配を察知した訳ではないです。



●航海七日目
 紺碧の装甲を纏ったスターライダー、トルメンタ・アンゲルスが宇宙を駆ける。
 スピードを極めることに己の人生を捧げた彼女の速度は、音はおろか光をも、
 いずれは次元すらも越えると自負するほどに疾く、何者も追いつけない。
(居住可能な惑星――この世界に住む人々の理想。夢。それがこの先に)
 見通せぬ宇宙の暗黒の先に、それがあるかもしれない。
 スペースシップワールドで生まれ育った人間として、逸る気持ちはある。
 だがそれを抑え、トルメンタは奔る。彼女にはいま、目指すべきものがあるのだ。
(間違いない……必ず居る。見つけ出してみせる――!)
 流星のように駆け抜ける彼女を決意させたのは、ついさきほどのあるやりとりだった……。

 ナイチンゲール号、艦橋にて。
「ねえねえ読ませてください読ませて! 読みたい読みたい! 読ーみたーい!
 読みたい読みたい! 読ませてくれないと泣いてわめきますよ! いま!!」
「……なんですか、この騒ぎは」
 クルーたちの様子を見に来たトルメンタが出くわしたのは、
 なにやら見慣れない緑色の髪の少女が、ぎゃんぎゃん騒ぐという状況であった。
 その少女――四葉原・栞は、なにやら分厚い本をランドセルめいて抱え、
 艦長であるパトリックにしがみついてわーわーと騒いでいるのである。
「と、トルメンタさん! すいません、こちらの猟兵さんが急に……」
「いいじゃないですか! その日記帳、レア物の気配がするんですよお!」
「……ああ、なるほど。あの全艦長さんの日記ですか」
 なんだかこの船に乗ってから、こんな状況ばかりな気がする。
 などとトルメンタはため息をつきつつ、ふたりの様子に肩をすくめた。
「読ませてあげればいいのでは? 減るものでもないでしょう」
「そ、それはもちろんです。一応電子化して希望する方にお配りするつもりで」
「ダメです! 本は物理に限ります! 直接読みたいんです!!」
「……なんなんですかねそのこだわり」
 それで、パトリックはどうしたものかと困っているらしい。

 が、基本的に猟兵に友好的な彼が、栞の相手をしきれないのには理由があった。
「すみません、いま気になるデータが入ったところなので、ちょっとそういうのは」
「気になるデータ?」
「気になるデータですか!?」
 え、そこ食いついてくるの? という顔のトルメンタと、きょとんとした栞。
 ともあれそんなふたりに対し、パトリックはこう語る。
「我々の進路に、一瞬だけ非常に巨大な暗礁宙域の反応が確認されたんです。
 ですが……すぐにチェックしてみたところ、誰のセンサーにも反応がなくって」
「……ふむ。この船のセンサーにも、他の猟兵の方の探知網にも、ですか……」
 奇妙な話だ。トルメンタは考え込む。
「待ってください! それは……聞いたことがありますよ!」
 と、そこで、ぎゃんぎゃん騒いでいた栞が真剣な表情になっていった。
 誰もが呆れた目で彼女を見ていたが、栞はぱらぱらと持っている本をめくり、
 こう説明するのだ。
「コスモ起源社の『恐怖の未確認生物!未知の宙域は存在するのか!?』によると」
「書名の時点でだいぶ胡乱ですね!?」
「あ、『探せフロンティア、新世界は存在する!』というのもありますよ!」
「情報のソースとしてあまりに頼りにないんですが……」
「まあまあ、とにかく聞いてください!」
 パトリックとトルメンタは、顔を見合わせ、ひとまず聞くことにした。
「宇宙の知られざる生物のなかには、あまりに巨大なせいで暗礁宙域と誤認され、
 そのまま発見されずに姿を消してしまうモンスターがいる……とかなんとか!」
「……あまりに、巨大、ですか」
「…………」
 トルメンタはしばし考え込んだあと、言った。
「俺が確認してきます。俺のスピードなら問題ありません」
「UMA探しですね!? これはロマンですね!」
「俺ひとりで行きますからね」
「がーん!!」
 愕然とする栞を置いて、トルメンタは飛び出した……というわけだ。

 彼女は考える。もしもそれが、クエーサービーストのものだとしたら。
 その懸念は――そう、まさに的中していたのだ……!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『クェーサービースト・キエリビウムJOX』

POW   :    JOXクリアビス
【物質分解波動を帯びた触手による殴打】が命中した対象に対し、高威力高命中の【触手を巻き付けての圧壊攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    JOXストリミド
【高速回転しながら、物質分解波動の連射】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    JOXリガリアム
【触手】を向けた対象に、【頭部の水晶体から放たれる物質分解光線】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●星の海に魂の帆をかけた男
 小惑星、と呼ばれる天体の直径は、半径数メートルから直径1000km近くまで多彩だ。
 だが"惑星"とあだ名される以上、それらは常に人々の想像を超えたサイズを有する。
 ――そして一同の目の前に現れた"物体"は、まさにその好例であった。

「し、触手と思しき器官、推定直径は20メートルから50メートル以上。
 光学センサに異常が出ているため正確な測定は不可能ですが、おそらく……」
 予測全長、最低でも200メートル以上。……場合によっては1kmに達しかねない。
 計算を終えたオペレーターは、声の震えを抑えながら報告した。
 パトリックのこめかみを汗が伝う。クルー全員が、映し出された"それ"を睨む。
 いいや……打ちひしがれている、というべきだろう。

「……あれがクエーサービーストの、一番ザコだっつーのか」
 楽観的な"色男"ジャックですら、呆然とした様子で声を漏らした。
 然り。そこには、半円型の水晶状物体――おそらくは頭部もしくは胴体――から、
 無数の触腕を生やした、クラゲめいた見た目の奇妙な天体が浮かんでいた。
 キエリビウムJOX。クエーサービーストの"尖兵"とされる恐るべきモノ。
 小惑星級巨大宇宙生物。未踏領域への侵入を阻む、文字通りの門番!!
「敵性体より未知の波動放射を確認しました! 船体への到達、残り30秒!」
「!! 緊急回頭、全力で離脱してください! 当たったら終わりです!」
 パトリックは即座に理解した。その波動こそが敵の武器なのだと。
 先の航海中に発見された、凹凸のひとつも存在しない複合物質球体。
 すなわち、強靭なウォーマシンの装甲も、強固な装甲母艦の船体をも、
 何もかもを分解し原子レベルにまで崩壊せしめる、物質分解波動である!

 急激な回頭によりナイチンゲール号が揺れ、そこらじゅうでエラーが発生した。
 直後、船内のいたるところでレッドアラートが鳴り響き、緊急事態を告げる。
「……か、勝てるのか、あれに……」
 誰かが漏らした。彼らは決して猟兵たちを軽んじてはいない。
 銀河帝国が誇っていた戦力は無敵であったし、それを猟兵は打ち砕いたのだ。
 だが、それでもなお。あの巨大すぎる天体生物は、その信頼を覆しかねないほど、
 ただただ圧倒的に巨大であり、暴威であり、無慈悲であった。
「……勝ってくれるさ。そのために俺たちは何が出来る」
 ろくでなしのジャックが言った。
「信じるしかねえ。だが信じるこた出来るだろ! じゃあそうすんだよ!」
「……ナイチンゲール号は全速で戦闘宙域から離脱します」
 ジャックの叫びで訪れた沈黙を、パトリックの全艦アナウンスが切り裂く。
「皆さん、これがこの旅の最後のお願いです。
 ――生きて帰ってきてください。僕らは皆さんの勝利を心から願います!」
 逃げ惑う小虫を追うように、ゆっくりと触手が一本、鎌首をもたげた。
 彼らに抗いようはない。それを退け、敵を討ち滅ぼすことが出来るのは!

 猟兵よ、お前たちにほかならない。
 その奇跡の力を以て、暗黒を統べる準星を討て。


 プレイング採用締切は、
 【09/15 12:00前後】
 までです。
 なお、参加予定の方のサポートプレイングが着弾してしまった場合など、
 都合によって採用締切が前後する可能性があります。
(その場合、失効となってしまうお客様には順次お手紙でご連絡します)
 念のため、断章による連絡がないか、適宜ご確認をお願いします。
サン・ダイヤモンド
【森】
ラムネの海で鯨に食べられたブラッド
死んじゃうんじゃないかって、凄く怖かった
巨大な敵を前にふるり震えて

……ブラッドも、一緒?
一緒なら怖くない、目を逸らさずに頷いて

凄い!飛んでる!
僕は黒が好き!だってブラッドの色だもん!

敵の攻撃と飛翔の衝撃、特に光線は全力のオーラ防御で軽減
ブラッドが傷付けば引き裂かれるように心が痛い

だけどやるんだ
もっと、もっと、もっと大きく
ブラッドを傷付けたアイツを倒せるぐらい、もっとだ

来たれ来たれ氷の渦よ
寄りて寄りて敵を滅ぼす剣とならん

赦さない
膨れ上がる魔力に肌が裂けても
全力魔法、巨大な【氷の雷】を敵へ叩き込む
貫け!


あなたと共に歩む為、僕は強くなりたい
なのに涙が出てしまう


ブラッド・ブラック
【森】
「サン、宙を飛んでみたくはないか?」
UC発動
自身の体をサンの鎧と翼にし共に宇宙を高速飛翔

「お前には白い翼が相応しいだろうが」

サンの真っ直ぐな言葉が胸をすく
自身の迷いが全くちっぽけものに思えてしまう
「舌を噛むなよ」
大切な大切な俺のサン
俺はお前を護る為に戦おう
もう置いて行きはしない

狙うは水晶体
触手を掻い潜りサンが攻撃しやすい位置、敵の真上へ飛ぶ

光線回避が不可能ならば
盾状に変形させた貪婪の腕、足りなければ体全てでサンを庇い
咆哮、気合、護る意志
俺の全てで光線を薙ぎ払う

俺は死なん!サン、やれ!

どんなに蔑まれようと絶望しようと生き汚く生きてきた
全てはきっと
お前と、これからの未来の為に

泣くな、男だろ?



●準星の輝きに比翼は舞う
 くろがねの鎧と翼を纏って、サン・ダイヤモンドが宇宙空間を飛翔する。
 それは彼が生来持つ、天使のような白い羽根とはあまりにも対照的であった。
 事実、それは彼のものではなく――ブラッド・ブラックが変化変形した防具だ。
「すごい! 翔んでる!!」
 サンは快哉をあげた。すると鎧に変じたブラッドが、思考を介して彼を諌める。
『あまりはしゃぐな、サン。舌を噛むぞ』
「大丈夫だよ、気をつけてるもの――あんな巨(おお)きいのがいるんだから」
 きっ、とサンが見据えた方角には、恐るべき巨大な準星の獣が鎮座していた。
 クエーサービースト。この宙域にしろしめす、謎めいた宇宙天体生物。
 反転離脱するナイチンゲール号からは、サンとブラッド同様に多くの猟兵が出撃、
 迫りくる波濤じみた触手を、そこから放たれる物質分解波動をはねのけようと、
 それぞれの力を振るって抗していた。波動到達まで残る十数秒。
『――怖くはないか』
「ううん。ブラッドと一緒なら、怖くなんてないよ」
 飛び立つ前と同じ言葉に、ブラッドはサンのまっすぐな瞳を思い出した。
 それだけで、彼自身の裡に生まれた、生物本能的恐怖まで洗い流されるかのよう。
「この黒い翼があれば、僕はどこへでも翔んでいけるもの!」
『お前には白い翼がふさわしいだろう、サン』
 苦笑めいた気配がして、翼がさらに一回り大きく伸張し、エーテルにはためいた。
 もはやふたりが交わす言葉はない。そこへ、波動が……到達した!

 "それ"は、おそらくあちらにとっては攻撃ですらなかったはずだ。
 攻撃に入るための予備動作……あるいは、その予備動作から偶然に生じた、
 たとえるならば水の波紋と同じ。そういうレベルの"何気ない仕草"である。
 だのに、それは万物を破壊し、崩壊させ、そして分解する恐ろしい力を持つ。
 音も熱も摩擦係数すらも存在しない宇宙の暗黒を、何物にも妨げられず波打ち、
 立ちはだかるモノと逃げ惑うモノを、全てみな燼滅せしめる暴威と言えよう。
『――来るぞ!!』
 ブラッドの鋭い警告と、波濤の到達はほぼ同時だった。
 黒い粘体のほとんどが盾じみた形状に変化し、目に見えない波動を受け止める。
 崩壊滅殺していく細胞をいちじるしい新陳代謝で補い、耐えようとするのだ。
「ブラッド!!」
『ぬううう……!!』
 だが、足りぬ。これは気合や意志で耐えられるようなモノではない。
 ゆえにブラッドは、その人ならざる視界で分解波動の不可視波長を捉え、
 より波が"弱い"ポイントを縫うように羽ばたいた。肉体が削げ落ち消失していく。
 サンの脳裏に、大鯨メルビレイとのバレーナ号を舞台にした戦いが蘇った。
 あの時の二の舞は御免だ。いや、このままではそれどころの話ではない。
(……やるんだ。もっと、もっともっと大きく。もっと!)
 湧き上がる恐怖を振り払い、サンは魔力を収束させて氷の渦を生み出した。
 エレメンタル・ファンタジア。宇宙の絶対零度が、渦巻く氷刃となりて宙を裂く。
 それはまるで凍てつく雷。だがその時、敵の触手が、鎌首をもたげた。

 この時、ブラッドの熱視界は、敵の上面水晶体にすさまじい熱反応を感知した。
 おそらくはあそこに分解波動を収束させ、光線として放つのが敵の攻撃方法だ。
 直径数十メートルの触手で敵を巻き上げ――そもそも大抵の物体はこの時点で圧潰するが――ダメ押しの物質分解光線。
 何がそこまで万物に対して殺意を抱くのかと、問いたくなる二段構えの処刑攻撃。
 凍てついた雷は触手によって砕かれ、その触手が彼らを捕えようとする。
『サン、翔ぶぞ!!』
 ブラッドは粘体すべてを筋肉のように躍動させ、宇宙の虚空を大きく打った。
 ふたりの体は逆L字型を描くように垂直飛行し、まず触手をかろうじてかわす。
 もしもここが大気中ならば、あれほどの質量が間近を通りすぎただけでも、
 強烈な衝撃波と暴風が吹き荒れて、かそけきふたりを弄んだだろう。
 ブラッドはその悪夢じみた予測を振り払うように、さらに翼を羽ばたかす。
 さながら魚が捕食者から逃げるために、尾びれで水を打つかのように。
 上だ。敵の上――宇宙空間においてその表現は適切ではないが――を目指せ。
 どのみちあちらが水晶体から光線を放つならば、いっそ射線を確保せねばならぬ。
 捨て身だ。触手の嵐を抜けて水晶体を視認した瞬間、ブラッドは今度こそ、
 全身を一点に収束させ、ビルほどの太さがある光線を真っ向から受け止めた。
「ブラッド!?」
『俺は……死なん……! サン、やれ……ッ!!』
 サンの胸中に、様々な言葉と意志が去来した。
 だがもはや彼は何も問うことも、叫ぶこともなく、再び魔力を収束させる。
「――貫けッ!!」
 凍てつく雷が、分解波動によって崩壊しながら即座に氷結再構成し、光線を貫く。
 そしてその発射点――水晶体の一角に着弾。ヒビを一筋刻み込んだ!
 敵の巨体からすれば、それはかすり傷ほどにしか見えないが、
 あちらにとってもダメージは甚大か。光線が途切れ、ふたりは解放された。
「ブラッド……大丈夫!?」
 光線の残滓で吹き飛びそうになったブラッドの体を、サンは両手でかき抱いた。
 肉体の五割近くを喪失しているが、ブラッドはまだ生きている。再生が出来る。
『……泣くな、男だろう。言ったはずだ、俺は死なんと』
 苦笑めいた声の震えに、サンは頷きながら頬を拭う。涙が溢れてくる。
 宇宙の闇が、比翼のふたりを抱きとめた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ゼイル・パックルード
予知を聞いて、どんなのかは知ってたけど、実物見ると気持ち悪いな、こりゃ。
でかけりゃその分、的は絞りづらいだろ、人間が虫とか追い回すようなもんだ。

初撃が当たらなければ、ってことは、如何に化物でも波動を触手の全てに常に纏わせてるワケじゃない、か?
とはいえ、視覚的に分かりづらそうだ、判別しやすくさせてもらうぜ、
見切りや第六感で攻撃を避けつつ、ブレイズフレイムで触手に燃やして、常に延焼させていく。
物質分解ってことは、攻撃に転じてくるときには纏わせていた炎が消えるはず。初めからついてるならそれで、炎の消え方で判別する。
その触手を避けながら、別の触手を鉄塊剣で攻撃しつつ、大元っぽい青いヤツに向かっていく


龍之・彌冶久
*アドリブ歓迎

随分とまぁでかい蛸助だ。
斬り応えもさぞあるだろうなぁ!

まぁ何、折角だ。
愉しませて貰おうか。

賜り紡ぐは"陰"と"天"の脈。
いと深き闇の中にこそ星光在り。
まさに広がるこの宙を此度の我が刃と為そう!
(属性攻撃:闇+光)

物を壊すとは言え光と闇は壊せまい。
何?刃一本であの蛸助をどう斬るか?
呵々、なぁに見てろ!

――では、一閃披露仕る。

この宙に揺蕩う、余りある星光と闇帳。
要は此れ全て俺の握り得る龍脈、即ち我が刃!
なればこそ、その身を超えてあまりあるぞ、俺の刃は。

此れぞ"脈"の何たるかを極めし一閃、即ち"極閃"。
此方に伸びる脚ごと斬ってやろうとも。
此の宙の如何に大いなるか、その身で味わっていけ!


黒川・闇慈
「あれがクエーサービーストですか。巨大ですねえ。こういう相手には科学の粋を集めた決戦兵器などの出番なのでは?クックック」

【行動】
wizで対抗です。
呪詛、高速詠唱の技能をもってUCを使用。呪力高励起体に変身して行動します。
触手に補足されると光線が飛んできます。ここは相手の懐に飛行して飛び込みましょう。鞭と同じで、先端は高速で動いても手元の速度は鈍いでしょう。
触手を向けられそうになったら触手の先端だけを呪力砲撃で弾き飛ばしましょう。
無事に接近が完了したなら、水晶体に向かって全力魔法の技能を用いた呪力砲撃です。

「こういう巨大な相手への殲滅術式も必要ですかねえ。クックック」

【アドリブ歓迎】



●双焔、極閃煌めく先をも灼き尽くす
 質量とはすなわち力である。屁理屈じみた話だが、大きいものは強いのだ。
 ましてやその巨大な存在が、己の巨大さとその利点を本能的に理解した上で、
 めちゃくちゃに暴れてのたうち回っているとしたらどうだろうか。
「まったく、百分は一見にしかずとはこのことだね……っと!」
 ずおんっ!! と振り回される触手を、ゼイル・パックルードは危うく回避。
 特殊宇宙服が生み出す推力を一片も無駄にすることなく全力で活用し、
 乱舞する触手の軌道、そして避けるべき方角とスピードを本能で見切る。
 一瞬でも読み間違えれば、巨大質量にハエ叩きめいて打ちのめされて四散。
 それはまだいいほうで、物質分解波動を浴びれば、塵すら遺らずに消え去るか。
 ぞっとしない話である。なにより意志も何も感じられないのがよくない。
 ――と、戦場のスキルに耽溺するゼイルの"好み"はさておき、厄介なのは事実。
 その巨大さゆえに触手を攻撃すること自体は容易だが、単に斬ったところで、
 直径が数メートル以上、ともすれば十数メートル以上にまで到達する質量である。
 両断は不可能。となれば、叩くべきはあの水晶体か。

 ゼイルが思案する一方、黒川・闇慈もまた同様に宇宙空間を飛翔していた。
 ただしこちらは、己の持つ高濃度の呪力を心身に纏った高励起体である。
 速度に関しては闇慈が上。判断力ではなくスピードで敵を翻弄している形だ。
「どちらかというと私はオカルト畑なものですからねぇ、クックック。
 科学の粋を集めた決戦兵器などに出てきてもらいたいものですが、さて」
 などと軽口めいてひとりごちながら、漆黒の焔を纏う魔術師が螺旋飛行する。
 いくつかの触手がそれを追いかけ、触れた瞬間に即死しかねぬ質量を迸らせる。
 闇慈はそれをきりきり舞いで避けるが、距離を取ることだけは絶対にしない。
 彼の推測通り、触手は根本へ行けば行くほど回避が容易になる。速度の問題だ。
 裏を返せば根本はほとんど回避余剰空間の存在しない、触手の密集地帯なのだが、
 そこへ突っ込むような無謀な真似をするほど、闇慈は命知らずではない。
 いわば触手の"中ほど"で幾本もの敵の攻撃をかいくぐり、攻撃の隙を探るのだ。
 被弾はしていない。だが逆に、敵に決定打を与えることも出来ていない。
 目指すべき先はわかっている。あの、明らかに重要そうな水晶体にほかならない。
 では、いかにしてそのために敵の上部を取るか――魔術師は決めあぐねていた。

 その手詰まりを打開する一手は、ふたりにとって望外の形でもたらされた。
「ずいぶんとまぁ、でかいタコ助だ。斬り応えもさぞあるだろうなぁ!」
 全速離脱するナイチンゲール号の甲板を蹴り、おっとり刀で参着した男がひとり。
 この者、名を龍之・彌冶久。その青年じみた精悍な顔立ちに似つかわしくなく、
 実体は幾年を閲した神であり、万物万象を両断せしめん剣の秘奥に到達せしもの。
「これが先触れとは、またなんとも豪盛だ。先に待つ連中に心が躍る!
 ……とはいえ、老いぼれが先のことばかり見ていては、鬼も笑おうな」
 呵々大笑し、彌冶久はおもむろに目の前の虚空を指で撫ぜた。
 するとどうしたことか、なにもないはずの場所に光と闇が収束――凝り、
 まるで丹念に撚りあげた絹糸のように、白と黒の"筋"が指先に手折られたのだ。
 はたしてそれを糸のようにぐいっと思い切り引っ張れば、"筋"は幾重も連なり、
 きらきらと星のごとき輝きを放ちながら、黒々としたそれと絡み合う。
 それは、この宇宙にわだかまる闇であり、綺羅星の光そのものであり、
 万物万象の"龍脈"を支配し手繰ることこそが、彌冶久の権能にして技術。
 しゅるしゅると集ったそれが絡み合いねじれて生み出したのは、剣であった。
 剣としか言いようがない。だがいかなる刀剣とも異なる光であり闇そのもの。
「若者の道を拓くのが先達の使命と見た。然らば――一閃、披露仕る!」
 しゅるしゅると、"筋"が――龍脈が糸に撚り合わされ、先へ先へと絡み合う。
 光と闇がDNA螺旋めいてもつれ合い、よじれ、長い長い鋒を形作っていく。
 それには重さがなく、厚みもなく、以て長さもまた非現実的なまでに長く鋭い。
 クエーサービーストは、その本能でもって、神が振るう刃の危険性を理解した。
 触手がわっと雪崩を打って彌冶久ひとりめがけて襲いかかる。だがもはや遅い!
「龍脈とは万物万象の筋であり、流れであり、それを操ることこそ即ち我が刃。
 なればこそ――巨獣よ。この剣、その身を越えて余りあるぞ? 受けてみるか!」
 すらり――と。
 ごくごく自然で淀みない動作で、彌冶久は抜き打ちの斬撃を放った。
 紙切れほどの重みも感じさせない挙措は、もはや"斬撃めいて空を撫でた"に近く、
 しかして光と闇はたしかに迸り、以て巨獣の巨体をざっくりと一閃せしめた。
 脈のなんたるかを極めた者だけが到達できる一閃。ゆえにその銘を"極閃"と呼ぶ、
 ズズン――!! と衝撃破が広がる。クエーサービーストの巨体が……傾いだ!
「これこそは我が刃であり、すなわちこの宇と宙の大いなる重みそのものよ。
 味わうがいい、準星の獣よ。この宙(そら)は、お前如きには広すぎるわ!」
 剣神は呵々大笑し、燃え上がる双焔を、その炎を生み出す若者たちを見た。
 すなわち、活路を得たゼイルと闇慈を!

「クックック……まさに"切り拓いた"というわけですか。いや見事なものです」
 闇慈は陰気に笑い、呪力を足裏に集めるイメージを思い描いた。
 断ち切られゆっくりとちぎれていく触手を縫うように、闇慈の呪炎が燃える。
 光線が乱舞する。しかし、そのしるべとなる触手を呪いの砲撃が弾き飛ばし、
 文字通りに血路を拓く。燃え盛るそれは、まさに闇よりも昏き炎!
「いいね――どっちも素晴らしいじゃないか。滾ってくる」
 一方のゼイルが漏らした笑みは、はたして敵を讃えたものか、味方のそれか。
 あるいは両方か――そしてその意図は、単なる称賛だけだろうか?
 答えはいま記す必要はない。重要なのは彼が進むべき道も拓けたということ。
 ゼイルもまた、己の裡から生まれる地獄の炎を幾重にも纏い、飛礫めいて放ち、
 それが分解消失せしめる様を避けるべき道標として、推力を加速させた。
 地獄の炎は、男のその戦意に応じて燃える。消え去ることはない。
 であればその炎が消えた場所こそ、敵が物質分解波動を向けた先である。慧眼だ。
 なおもあがくちぎれかけの触手を、分厚い鉄塊剣がずだんっ!! と叩き斬る。
 かくて双焔到達――眼下には宇宙の虚空を映し出す青色の水晶体!
「こういう巨大な相手への殲滅術式はいまだ足りませんが――」
「図体がデカかろうが、殺せば死ぬ。シンプルな話だろ?」
 漆黒の焔が鏃のように集い、全力全開の魔力を以て放たれた。
 ゼイルは地獄の焔を鉄塊剣に集め、さながら兜割りめいて自ら落ちて降り下ろす。
 刃と魔力。それがまったく同時に、ドーム状の水晶体に……突き刺さる!
 ビシビシとヒビが走り、生まれた亀裂をふたつの焔がなめ尽くし灼き焦がす!
 巨体が揺らぐ……確かなダメージが、準星の獣を苦しめている証左である!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

メイスン・ドットハック
【WIZ】
こいつはでっかいのー
じゃけど、大が小を制せるとは限らんからのー

触手の射線に入らないように立ち回る(第六感・視力・情報収集)
物質破壊光線に関しては、電脳魔術で作ったホログラムデコイや隕石などをうまく使って回避していく(地形の利用)

水晶体の攻撃射程範囲内に入ったら、UC「未踏の領域に踏み込みし権能」発動
プログラムソフトウェアの半分を超巨大電脳レーザー砲製造に、半分を電脳レーザー増幅装置製造に使う
メイスン自身は射線計算・レーザー収縮・操作などの複雑な電脳処理をこなし、触手もろとも貫く超巨大レーザーを水晶体に向かって放つ
もしも味方が先に傷つけている部分があるならそこを狙い撃つ

絡みアドリブOK


ユエイン・リュンコイス
普段は巨大さで圧倒する事がままあるけれど…今度ばかりは逆の立場になる様だね。

UC起動の上で、真の姿を発動。赤熱させた黒鐡の巨神も、今は小人の様だけれど…遅れるつもりは毛頭ないよ。

UCを応用し、『焔刃煉獄』『月墜』を核に機神サイズの武装を形成。「スナイパー、支援射撃」で攻撃を加えつつ、「グラップル、カウンター、フェイント」を活用しての焔混じりの斬撃戦を敢行。前面に押し出して仲間の壁になろう。

ただ、物質分解光線は機械神にとって天敵だ。「見切り」で回避しつつ、命中した場合は適宜UCによって被弾箇所を補修しよう。

強大な敵を相手取った事は幾らでもあるさ。それに小夜啼鳥を背に、無様な姿は見せられないよ。


トリテレイア・ゼロナイン
御伽噺に怪物退治は付き物ですが、ここまで巨大な相手を古人は想像したことがあったでしょうか…

ですが、この戦いが数百年後に歴史として、数千年後に御伽噺として語り継がれる可能性を考えると不謹慎ですが興奮してしまいますね

盾は捨て、先の船外作業で回収した帝国外宇宙船団のレーザーキャノンや奪取した超大型実体剣をUCを用いて●防具改造で直付けかマウント

機械馬に●騎乗
センサーで波動放射や触手の動きを●情報収集し●見切りって掻い潜り接近
キャノンの●スナイパーで迫る触手を迎撃し、●怪力で太い触手を実体剣で切り落としていきます

「過去」の同胞が使ったこれらの装備…「現在」の私が振るい「未来」を切り拓いてみせましょう


ズゥ・ジィ
むにゃ……?
なんだかぁ、また騒がしくなってきましたぁ……?
でも、まだ眠いのでぇ……皆さん、ふぁいおー……zzz

クェーサービーストなにするものぞ
宇宙怪獣みたいなのが現れたって平常運行
眠りに落ちるのと同時に【快眠】が発動して、船外に夢の世界の住人たちとどんどん呼び出していく
宇宙を泳ぐ彼らが共通して持つのはやたらにファンシーな形状をした盾
彼らの役目は他の猟兵たちやナイチンゲール号を攻撃から守る盾となること
盾で一度、住人たちそのもので二度目
夢の世界の彼らは元より泡沫
夢が終われば消えてしまうもの
でも、他の皆はそうじゃない
まだまだたくさんの夢をこれから見る彼らを守るために

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】


サナリア・デルタニアン
このでかいクラゲが敵か文字通りの「骨なし」ではなさそうだが…ふん、悲鳴も上げないだろうしつまらん奴だ。まあ、これも仕事だ。人間などどうでもよいが、契約分の働きはしよう…契約通りに。

奴の攻撃で厄介なのはやはりあの触手か。私の煉獄炎で焼けないか試してみよう。成功すれば奴の動きを半分以上制限できるだろうからな。波動は「第六感」で避けられるか試してみよう。相手が回転しだしたら回避に専念。
触手を焼きながら相手に近づき、水晶体部分に槍で「串刺し」刺したままその傷口に手を入れ「怪力」でこじ開け、隙間から煉獄炎で内部から焼き尽くそう。

※連携、アドリブ大歓迎です



●星の輝き、人のゆめ
 すさまじい超・長距離斬撃により、クエーサービーストの体は両断された。
 だが見よ。切断面から無数の触手がうぞうぞと集まり、互いに絡み合い、
 生理的嫌悪感を催すおぞましい結合を以て、その切断面を再生しようとしている!
「なんというおぞましさ。あれが星の獣のはらわたですか……」
 白亜の騎士、トリテレイア・ゼロナインが顔を顰めるような声音を漏らした。
 ウォーマシンであるその身に"表情"と呼ぶべきものは存在しない。
 だが、彼は確かに眉根を顰めていた。そうとしか形容できない声である。
 当然だろう。先の艦隊戦に散った同型ウォーマシンたちとカタチは同じであれ、
 彼は"こころ"を手にした猟兵であり、騎士たらんとする戦士なのだから。
「ふん。あれほど甚大な傷を受けて悲鳴ひとつあげんとは、つまらんヤツだ。
 再生するというならば、それが出来ぬまでに焼き尽くし切り裂き尽くすのみ」
 一方で、どこか冷徹さを思わせる金髪をなびかせたドラゴニアンの女、
 サナリア・デルタニアンは表情をいささかも変えることなく言い放った。
 戦士としてこの場に立った以上、立ちはだかる敵はなんであろうと滅ぼすのみ。
 それがたとえ、星のごとき巨大さを持つ獣であれ。そう言いたげである。
「意気込むのはええが、近づきすぎると一網打尽じゃぞー?
 僕がホログラムでデコイを作るけー、まずはそれに乗じて近づくんじゃー」
「了解。なら僕は、メイスンと同じく囮を仕ろう。攻撃は任せたよ!」
 電脳魔術士のメイスン・ドットハックの言葉に、ミレナリィドールの少女が頷く。

 そして少女……ユエイン・リュンコイスは、己の半身であり相棒である人形、
 黒鉄機人のほうをちらりと一瞥し、瞑目するとともに口訣を唱えた。
「叛逆の祈りよ、昇華の鉄拳よ、塔の頂より眺むる者よ――」
 ゴコン――。
 と、音を立てて、黒鉄機人の全身に、無数の亀裂が走り光が迸った。
 それは機人の裡側から溢れ出る焔。その炎はユエインの体をも包み込む。
 虐げられ、ねじ伏せられ、滅ぼされてきた人々の正しき怒り。
 大河の如き歴史のなかで流されてきた涙と血潮。それを胸に唱えるコトバ。
 すなわち――人ならざるもの、機械の神を召喚鍛造せしめる神造術式である!
「破神の剣は我が手に在り。これこそは、侵されざるもの、穢れなきくろがねの刃。
 機神召喚――来たれ、黒鐡の機械神(デウス・エクス・マキナ)ッ!!」
 見よ! 黒鉄機人のパーツが幾重にも分かたれ、ぞわりと一気に散開した。
 炎はついに少女の全身を包み込み、その装備を、宙空に浮かぶ無数の残骸を呑み、
 やがて50メートルを越える巨大な機械の神へと収束し、現世に顕現する。
 鋼の五体は赤熱し、脈動し、星の獣――過去の残骸への怒りに満ちていた。
『さすがに黒鐡の巨神ですらも、こうして比べると小人のようだね。
 けれど、遅れを取るつもりは毛頭ない。さあ、力比べといこうか、準星よ!』
 グオン――! と、巨大な触手の群れがいくつも再生蠕動し襲いかかる。
 向かう先は猟兵、そして彼らが護るナイチンゲール号に他ならない。
 ユエインは、否、黒鐡の巨神はそれに真っ向から挑み、これを受け止めた。
 ユエインにとって、ナイチンゲール号はその生き様を変えた運命の船。
 それを背にして、無様な姿は見せられない。意思に呼応するかの如く鋼が吠える!

「さて、あのデカさにどこまで役に立つかはわからんがのー、やるしかないのー」
 メイスンは人外じみた速度で計算と予測を完了し、電脳魔術を適宜発動。
 いくつものパターンを変えたホログラムのデコイを生成し、四方に散らす。
 ワイヤフレーム模様で描かれたそれは、電脳の魔術を以て現世の質量を得て、
 クエーサービーストの注意を引こうと単純なパターンの運動を繰り返すのだ。
「感謝いたします、しからば仕りましょう!」
「礼は言わんぞ。これはあくまで契約に基づく戦いだ」
 トリテレイア、サナリアの両者は、それぞれに宇宙を疾走した。
 白亜の騎士は愛馬たる機械馬を駆って、振るわれる触手の上を駆け抜け、
 サナリアは悪竜のごとき雄々しき翼を背中から広げ、宇宙の大気を打ち羽ばたく。
 跡を引くのは煉獄の焔の軌跡。それはまるで箒星のように宇宙にまたたく輝きだ。
「いかなる障害であろうと、いまの私を、私たちを妨げることは出来ませんッ!」
 トリテレイアが振るうのは、冗談のように分厚い巨大な実体剣であった。
 これは先の探査艦隊迎撃戦において、同型ウォーマシン個体から回収したもの。
 トリテレイアにしてみれば、カタチを同じくした"同胞"たちの遺した装備である。
 馬鹿げた直径を持つ触手に対しては、これでもなお一撃両断とは行くまいが、
 足りない質量差を騎士としての誇り、そしてこの戦いに賭ける意気で補う。
 不可視波動を鋭敏なセンサーで感知し、時には機械馬の判断に任せて剣を振るい、
 目に見える触手の脅威を斬り伏せ、見えぬ分解波動を華麗にかいくぐるのだ。

 一方でサナリアは、煉獄の焔を己の五体に纏い、翼のはためかせて飛び散らす。
 飛沫のように飛散したそれらは、巨大すぎる触手を灼きはする。だが表面だけだ。
(やはり完全に灼き切るには足らんか。だがまあいい、いい加減に"視えた")
 龍の紅眼が細まる。その眼には、たしかに敵の放射する波動の怒涛が視える。
 触れればどれほど強壮な鱗であろうと燼滅せしめる、万物滅殺の波動を潜り抜け、
 エーテルの風にのって優雅に飛翔する。それはまさに王者の威風であった。
 降り注ぐ火の粉=触手の猛威は、あの人形娘の巨体が盾となり防いでくれる。
 乱舞する電脳のデコイと虚空から招来された隕石群を影とし、女王は翔ぶ。
「星の獣とやらよ。その身が"骨なし"かどうか、私に示してみせるがいい。
 貴様が我が歯牙にかかるに値する敵ならば、その身を煉獄で焼き滅してやる!」
 なんたる傲岸不遜。質量差を考慮すらしない、あまりにも傲慢な宣誓である。
 だが、龍とはそういうものだ。強大であり、強壮であり、強靭だからこその龍。
 たとえ敵が己の数千倍の巨躯を誇ろうと、驕りを捨てるには値せぬ!

 ……しかし、その時であった。
 その場にいた全ての猟兵が、恐るべき敵の猛攻を動物的本能で察知し、退いた。
 結果から言えば、それは正しかった。敵はゆったりと回転を始めたのだ。
『……何かが、来る。みんな、避けるんだ!』
 ユエインが警告の声を発した直後――物質分解波動の嵐と無数の光線が、
 宇宙空間を360度隙間なく荒れ狂い、対峙する敵を燼滅せしめんと振るわれた!

 そしてその時、もぞりと船のどこかで寝返りを打つ少年がいた。
 この旅のあいだ、ずっと呑気にまどろみ続けていたひとりの時計ウサギ。
 彼の名はズゥ・ジィ。単なる呑気や怠け者などでは、ない。
 彼にとっては眠りの世界こそが本領発揮の出来る場所であり、
 眠ることによって彼のユーベルコードは発動するのだから。
「んぅ……むにゃ……?」
 眠り続けなければならない時計ウサギは、眼をこすりながら起きた。
 窓の向こう、いくつもの光がぽつぽつと浮かび上がっては消えていく。
 まるでそれは命の灯火だ。少年はぞわぞわとその光を見て背筋を震わせた。
「……騒がしいですねぇ……でも、僕はまだ眠いのでぇ……」
 ふぁあ、とあくびをして、眠れる獅子のような少年はまどろみに沈む。
 それがトリガーとなり、彼の周囲にいくつもの"揺らぎ"が生じた。
「皆さん、ふぁいおー……夢は静かに眠りながら見るものですよぉ……Zzz」
 いくつもの揺らぎが像を結び、多種多様なファンシーな夢の住人として実現する。
 眠りの壁の彼方より、時計ウサギのまどろみによって呼ばれる異界のモノども。
 それらは音もなく船を飛び出し、命の灯火が瞬いては消えるほうへと泳いでいく。
 ズゥは眠り続ける。だがその眠りのなかで、彼も確かに感じていたのだ。
 この危険極まる宙域に、人類の夢を賭けて帆を張った人々の"ゆめ"を。
 それを護るために力を振るう、猟兵たちの意志を。
 眠らずとも観れる夢はある。ズゥはそれをこよなく愛していた。
 だからこそ、夢の住人たちは、戦禍のほうへと飛んでいく――。

「なんじゃこいつらはぁ!?」
 突然現れたいくつもの生体反応に、さしものメイスンも驚いた。
 それら――つまりズゥの呼び出した夢の住人たち――は、己の体を盾とし、
 乱舞する物質分解波動といくつもの光線を受け止め、無に帰して消えていく。
「なんだかわからんがチャンスじゃのー、一斉攻撃のチャンスじゃー!」
『"焔刃煉獄"、"月墜"、鍛造! まずはボクが仕掛けるッ!』
 光線の雨が止んだ瞬間、くろがねの巨神がサイズ相応の武装を振るい疾走した。
 燃え盛る機神サイズの刃が、再生したばかりの触手を叩き斬る!
「まさにこれこそ、古人すらも思い描かなかった現代のお伽噺でしょうか!」
「ふん、ならば皮肉だな。神話に於いて、龍(わたしたち)は英雄に討たれるもの。
 だが今は――星の獣よ、貴様を私が討つのだ。喰らうがいい、我が煉獄焔を!!」
 ばさり! と翼をはためかせ、水晶体に到達したサナリアが槍を振るう。
 ひび割れた鏡面にランスを突き刺し、それを伝って黒色の豪炎を吐き出した。
 内部に直接焔を叩き込まれたクエーサービーストが、声ならぬ悲鳴をあげて苦しむ!
「悪足掻きなどはさせません。ここが騎士の信念の見せどころでしょう。
 幾百年、幾千年を経て語り継がれるお伽噺を、未来へと切り拓くために!」
 過去の残骸たちをその身に纏い、いまという一瞬をトリテレイアが駆ける。
 振るわれた剣は再生を始めた触手を次々に叩き斬り、敵の防御を許さない!
「電脳領域拡大、魔術リソース増大、AI起動確認――さて」
 そしてメイスン。生み出したのは船じみたサイズの超巨大レーザー砲。
 増幅された光が向かう先は、言わずもがなこじ開けられた水晶体の亀裂である!
「それじゃあやろうかのー。僕らの意地、とくと味わっとけー!」
 極太の電脳レーザーが……クエーサービーストの水晶体を、捉えた!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ネグル・ギュネス
確かにデカイな
だが、退く理由にゃなんねぇよ
──あ?オレが誰か?寝惚けてんのか

これが本当のオレだ!

真の姿解放
黒髪に、左腕の義手が深紅に染まる
ギラギラした笑みを浮かべながら、ファントムに跨り、迎撃に行く

襲い来る触手は【残像】や【見切り】で欺いたり、迫りくれば叩き斬って疾走
再生するなら、斬った場所に氷の【属性攻撃】の射撃で凍らせてやる
オレのバイクテクに追い付けるかァ!

間合いに踏み込めば、ファントムから飛び、ビーストに突撃

ぶった斬って焼き払ってやらァ!
【破魔の断・雷光一閃】!!

刀を納めながら、バイクに着地しながら、真の姿を解除

ジャック、パトリック、皆無事だな?
何、この程度問題はないよ

オレは強いからさ。



●深紅の稲妻
「く、クエーサービーストに着弾を確認! 水晶体損壊率40%!」
「なんて出力だ……やっぱり、すごい……あれが猟兵の力!」
 全速回頭したナイチンゲール号、ブリッジ。
 メインモニターに表示された壮絶な戦いぶりを、誰もが固唾を呑んで見守る。
 パトリックが呻き混じりに漏らしたのは、畏怖にも似た賞賛であった。
「これならいけんじゃねえか、ええ? おい」
 "色男"ジャックは、こわばる顔を笑みに変えながら一同を見やる。
 ……だが彼自身も、そしてクルーの誰もが同様に、痛感していた。

 あれでは足りない。

 クエーサービーストはもんどり打ち、苦しんでいる。
 立て続けの攻撃は彼奴の触手を、水晶体を傷つけダメージを与えている。
 だが見よ。すさまじい速度で星の獣は損傷を回復し、波動を撒き散らす。
 猟兵たちが無事かどうか、そんなことを心配するヒマはない。
「物質分解波動、船体到達まで残り20秒!」
「さっきより放射範囲が広がっている……!? エンジン出力は!」
「もうオーバーヒート寸前ですよ! これ以上は無理です!」
 オペレーターの悲鳴じみた声に、パトリックは脂汗をにじませた。
 この船が堕ちればすべてが終わり。これまでの旅も、覚悟も何もかも無駄だ。
 猟兵たちの想いに報うことすら――だが、その時である!
「……ああ? おい、誰だ甲板に出てんのは!?」
 ジャックの声が、一同をサブモニターへと集中させた!

「――あ?」
 甲板にひとり屹立していたのは、ネグル・ギュネスであった。
 ネグルである……はずだ。だが聞こえてきた声に反応したその声音は、言葉は、
 そしてなによりも相貌に浮かぶぎらつくような笑みは、同一人物とは思えぬ。
「オレが誰か? ねぼけてんのかろくでなし。オレはオレだ」
 バチバチと電光、あるいは火花が左腕の義手を中心に体を包み込んだ。
 するとどうしたことか、その銀髪は風ならぬ風に波打ち、はためき、色を変える。
 みずみずしい黒へ。そして、怜悧なる銀の鋼は深みがかった紅色へ。
 グォオオオンッ!! と、幻影の銘を冠したマシンが唸りを上げた。
 ネグルはそれに飛び乗り、カタパルトすらなしに甲板から戦域へ疾走する!
「星の獣だかなんだか知らねぇが、デカい程度じゃ退く理由にゃなんねえなあ!」
 斬撃! 黒き太刀が虚空を一閃した瞬間――おお、波動そのものが切り裂かれた!
 不可視波動をも斬撃で真っ二つに斬り、ネグルはすさまじい速度で戦線に到達。
 それを迎え撃つように、再生を終えた大小様々な触手がネグルへ襲いかかる。
「遅ぇ遅ぇ遅ぇ! オレのバイクテクに追いつけるかァ!?」
 疾い。常のドライビングテクよりも鋭角的で荒々しく獰猛なスパート!
 虚空を切り裂くタイヤはそれ自体が触手を切り裂く刃となって敵を蹂躙し、
 振るわれる黒刀は数十メートル先の触手をもばっさりと叩き斬り怯ませる。
 断面には神速の魔力射撃が穿たれ、凍りつくことで敵の再生を阻害。
 わだかまる触手を、波動をも切り裂き、撃ち抜き、稲妻じみたジグザグ軌跡を描いて、深紅の鋼が猛疾走した。
 強い。これがネグルの真の姿、その本領発揮だというのか。
 だとしたら――その振る舞いは、紳士めいた常からあまりにもかけ離れている。
 いや。あるいはまさしくそれこそが"真の姿"だとでもいうのだろうか……?
「宙に雷鳴、宇に黒刀! さァ、こいつがてめえを断つ破魔雷光だァ!!」
 ぎらりと。マシンを蹴り立てたネグルの鋭い眼光が、星の獣を捉えた。
 準星の輝きよりもなお金色の瞳は燃え上がり、鋼はバチバチと稲妻を纏う。
「集いて祓え。祓いて! 滅びなァ! この木偶の坊がよォッ!!」

 ザン――ッ!!

 "着地地点"にバイクが到達し、ネグルを迎え入れる。
 振り向いたその相貌は、白い髪に紫の瞳。怜悧にして紳士めいた面持ち。
「覚えておけ、先触れよ」
 ずるりと、電光じみた一閃が、その巨体に強烈な斬撃痕を刻んだ。
「オレは――貴様よりもずっと強い、ということをな」
 瞳の奥に、深紅の残滓がばちりとさざ波めいて瞬いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サルファ・トクスホリック
*アドリブ歓迎

うッッわあんなバケモンの相手すんの??
馬鹿じゃねェの??そう思わねェかレヴァン。

まァオメーが死んでオメーから貰ったアレ食えなくなんのァ勿体ねェ。
だから手助けてしてやらァ。"ご褒美"ァ弾めよ?

――つってもあんなデカブツ相手に出来る事も多くねェんだけどな。
だから”オマジナイ”でも掛けとこォか。

アレでもイキモノなら毒と痛みで動きくらい鈍るよなァ?
だからこォする。
“VENOM”。
重篤な呪縛と毒をヤツに感染させてやる。
痛いの痛いのにっくいアイツに飛んでけェ、ってな。
なァ馬鹿でけェの。俺が常日頃感じてる呪いと毒の味はどォだ?

斬り込むのァ他の奴らに任せるぜ。
適材適所ってなァ。
あァクラクラする。



●星の獣を蝕む毒
 ……サルファ・トクスホリックは、心の底から思った。
「バカじゃねえの」
 端的な言葉は、この単純明快な男の思ったままのセリフである。
 誰に対するセリフか。それは敵に対しても、味方に対してのものでもある。
 あの馬鹿げたまでの大きさ。あれほどまでの攻撃を食らってなおも再生する体力。
 ふざけている。なぜそんなモノがこんなところにいるというのだ。
 バケモノはバケモノらしく、人間が踏み込めないもっと遠くのほうに居ろ。
 そして……そんなバケモノに挑む猟兵(あいつら)は、いよいよバカだ。
 勝てるものか。誰だって信じられない。ほら、船の人々だってそうじゃないか。
 そんなものに挑んで何になる? まったくバカバカしい。
「――なァ、そう思わねェか? レヴァン」
 水を向けられ、呆然としていた少年はびくりと身をすくませた。
 だが意外にも……サルファに向けられた視線は、ふるふると首を横に振ったのだ。
「バカじゃないよ」
 少年は言った。
「だってさ……そんなとこに行こうとしてる俺たちがいるんだから」
 サルファはきょとんとしたあと、腹を抱えて爆笑した。
「プッ、ハハハハハ! 違いねェや! ハハ、ハハハハハハッ!!」
 一番のバカはここにいた。一番のバカどもは、誰であろう"こいつら"だ。
 猟兵(おれたち)ほどに戦う力もないくせに、このバケモノがいるとわかってて、
 あえて虎の尾を踏んだバカども。ああ、じゃあこれは尻拭いか。
 仕事とはいえいよいよ馬鹿げている。だがまあ――。
「オメーらが死んで、オメーからもらった"アレ"食えなくなんのァ勿体ねェ」
 少しばかり、自分もバカになってみてもいいかもしれない。
「だから手助けしてやらァ。"ご褒美"ァ、弾めよ?」
「用意しとくよ。へそくりあるんだ。たっぷり使ってさ」
 気丈に振る舞う少年に、サルファはにやりと笑い返した。
 菓子ひとつ。命を賭けてバケモノに挑むには、馬鹿げているほどに安い報酬だ。
 しかし――なぜだか、それがたまらなく楽しみで、悪くないと思う自分がいた。

 そして、戦闘宙域。
 ナイチンゲール号を離れたサルファは、再生を続ける敵の威容に呆れた。
「こォんなデカブツ相手に、俺が出来ることなンざありゃすっかよ」
 しかして星の獣は、もはや己の縄張りに踏み込んだモノをすべて捉える。
 サルファも同様。周囲の猟兵たちが回避行動を取る中、男はただ浮かんでいる。
「おう、来るかよバケモノ。怖ェ怖ェ」
 薄く笑いながら肩を揺らす。巨大すぎる触手が振るわれる。
「怖ェから――"オマジナイ"でもかけとこォか」
 触手が――触れた。万物をも分解燼滅せしめる波動がサルファを呑み込んだ。
 ……はず、だ。だが、蜜毒の壁に包まれた男は、揺らがずにそこにいた。
 するとどうだ。ふれたはずの触手のほうが、びくりと痙攣して引き離された。
 痙攣は触手の先端からクエーサービーストの本体に伝い、やがて巨体が蠕動する。
 再生が途中で止まり、ぼろぼろと崩れ、ぐずぐずに腐り果てていく。
「なァバカでけェの。どうだ? 美味いかよ? 俺の呪いと毒の味は」
 くらくらする頭を抑えながら、指一本触れずに毒を与えたサルファは、
 これみよがしににやりと笑って震える巨体を見上げた。
「苦しいよなァ? 痛くて痛くてふざけんなって思うだろォ? ハハ、ざまァ。
 たっぷり味わえよ。俺が常日頃感じてる、痛みと乾きと苦しみを、たァっぷり」
 人の不幸は蜜の味という。なるほど、バケモノならば味も相応か。
 苦しみ悶えるバケモノを、それが感じているであろう苦痛と同じものを覚え、
 サルファはにんまりと笑った。いたずらを成功させた悪童めいて。
「たまらねェ。お前の痛み、苦しみ。たまらなく甘い(Sweet)ぜェ!!」
 それは苦しむものの歓喜であり、逃避であり、嘆きであった。
 星の獣すら侵す病。その苦しみが、悪童にとっての甘露となる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と

クエーサービースト……
ふふ、これが尖兵だとしても、我々にとって相手に不足なしではありませんか
目配せして頷きあったなら進みましょう
幸い、先ほどの宙域マップは頭の中に入っています

かれと離れすぎないように留意しつつ移動
射程範囲に入ったならば
「高速詠唱」「全力魔法」「鎧無視攻撃」を交えて【天撃アストロフィジックス】で攻撃を行いましょう
的は大きいほど当たりやすくなるものです
こちらを狙うものを集中して叩き落としていきつつ

攻撃を受けそうになったなら「オーラ防御」していきたいですね
ええ、きみが守ってくれましたから
はい、まいりましょう
まだまだ僕らはこんなものではありませんよ……!


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

…クェーサービーストか
海月の様だと聞いてはいたが…あの美しい生き物と似ても似つかんな

戦闘と同時に宵へ目くばせした後敵の方へ進んで行く
その際はなんだ、直ぐに駆け付けられる距離は余りあけぬよう気を付けながら行動しようか
間合いに入れば『高速詠唱』にて【狼達の饗宴】を敵へと放って行こう
55体召喚できる故、己らに迫る触手を中心に牽制を兼ねて攻撃を仕掛けて行きたいが
己らに攻撃が迫り当たりそうな場合は『盾・武器』受けにて背後に宵を『かば』いながら防御をして行ければとそう思う
触手だけでも20m程あるゆえ、咄嗟に躱すという事は難しいやもしれんから、な
宵、怪我は無いか?…では俺達も反撃と行くか…!



●流星の宵狼(しょうろう)
 強烈な蜜毒を浴びたクエーサービーストは、のたうち回るように蠕動していた。
 急速に進んでいた再生が停止し、数多の猟兵たちが素早く攻勢を仕掛ける。
 逢坂・宵とザッフィーロ・アドラツィオーネは互いに目配せし、共に頷きあった。
 好機到来。いまこそが、あの星の獣を攻め立てる千載一遇の機会なのだと!

 ふたりはけして付かず離れずの距離を保ち、特殊宇宙服によって推力を発生、
 万が一の敵の悪足掻きに備えて、十分に警戒したうえで敵巨体へと近づいた。
 クエーサービーストはあまりにも巨大すぎるため、攻撃はいくらでも当てられる。
 だが焼け石に水という言葉の通り、盲滅法に攻撃を仕掛けても意味はない。
 敵に大きなダメージを与えられる部位……つまりあのクラゲめいた巨体のどこか、
 龍の逆鱗に当たる"弱点"に攻撃を集中させる必要があるだろう。
「ザッフィーロ君、敵の攻撃は僕が迎撃します。きみは一箇所集中すべきです」
「……俺の"狼たち"では不足か?」
 ザッフィーロの言葉に、宵は頭を振った。
「向き不向きの問題ですよ。僕の"流星"ならば、より広い範囲を抑えられる。
 きみの炎ならば、僕の流星と違って一点に狙いを定めることが出来ますからね」
「わかった。だがもしもの時には、俺はお前を護るぞ。宵」
 照れも衒いもないまっすぐとしたザッフィーロの言葉に、宵は微笑んだ。
 しかし、視線を交わしあうようなヒマはない。ふたりは弾かれたように敵を見る。
 毒に苦しみ震えながらも、クエーサービーストが半ば乱暴に自身の肉体を再生し、
 無数の触手を嵐のように振り回して、猟兵を振りほどきにかかったのだ!

 一本一本が小さくとも数メートル、ともすれば直径が二桁メートルに昇る超巨体。
 はたして盾となって宵を守ったとして、自分は無事でいられるだろうか。
 ザッフィーロは、脳裏によぎった不安を一笑に付し、切り捨てた。
 自分の五体が無事かどうかなど、大切なひとの安否に比べれば易いものだ。
 本体を別に持つヤドリガミだから、だとか、そういう話ではない。
(俺は何があろうとお前を護るぞ、宵。たとえこの身が砕けようともな――)
 それは決意であり、覚悟だ。たとえ星の獣であろうと打ち砕けない強い意志。

 そんなザッフィーロの背中を見て、宵は心の中で思った。
 彼は言葉通り、その時が来れば迷わず己を盾とし、自分を守ってくれるだろう。
 ならば守られる側の自分には何が出来る? 何をしてやれる?
 ただ背中に守られて震え、頭を抱えて縮こまるような弱虫ではない。
 その覚悟と想いに見合うだけの苛烈さを以て、あの準星の尖兵を流星で貫くのだ。
 それこそが星を読み星を操る己に出来る、唯一にして最大の働きであり――。
(ザッフィーロ君、きみだけに無理はさせませんよ?)
 彼と同じぐらいに大切なひとを想う、星の術師なりの決意であった。

 はたしていよいよ、ふたりは敵触手の攻撃範囲内に足を踏み入れた。
 うぞうぞと意志を持つかのようにうごめくそれらが、敵意を感知したのか、
 ほぼ自動的に鎌首をもたげ、ザッフィーロと宵を絡め取ろうとする。
「ふっ、星の獣の尖兵ですか。相手に取って不足なし。宵の口と参りましょう!」
 星々をいただく魔杖にきらきらと輝く魔力が収束し、一気に解き放たれた。
 幾条もの輝きは、その一つ一つが星の光を凝縮させた流星の矢である。
 脆弱なオブリビオンであれば、流星矢ひとつで一体を滅することすら可能だろう。
 それを、およそ二百と二十余。解き放たれた輝きは360度に四散する。
 上下左右から同時に襲い来た触手をバチバチと穿ち、火花を散らして押し退ける。
 まさにそれは、偽りの準星を、真なる星の怒りが叩きのめすかのような輝煌!
「まだだ、来るぞ宵ッ!」
 ザッフィーロは鋭い警告の声を放ち、飢えたる狼の群れを焔として顕現させた。
 狼のカタチをした焔からは、ぶすぶすと瘴気めいて焦げた黒煙が舞い上がり、
 ちろちろと揺らめく陽炎は餓狼の垂らす涎めいている。
 すなわち、その黒煙こそが"穢れ"であり、狼たちは血肉を求めて唸っていた。
 流星の矢では捌ききれなかった触手に、およそ十体ほどの狼が食らいつき、
 再生するおぞましい肉を食いちぎり、その傷口から身を滑り込ませて灼き焦がす。
 クエーサービーストが怯んだ。宵とザッフィーロはその活路に一気に飛び込む!
「これで凌ぎきれればいいのですが――まあ、そうは問屋がおろしませんか」
 ジャングルじみた触手を抜けた先。宵は、他人事めいて呟いた。
 ふたりが見たのは、ひび割れながらも照星のように輝きを放つ水晶体だ。
 そこから放たれるのは――万物を燼滅せしめる、必殺の物質分解光線!
「……宵、魔力を回せ。俺とお前の力で、防ぎ切るぞ!」
 ザッフィーロは宣言通り、宵の前に立ちはだかり光線を受け止める。
 宵は何かを言いかけたが、すぐに状況判断し、残る魔力を盾に施した。
 流星の矢として結実しようとしていた輝きは、ザッフィーロの盾に集い、
 くるくると円卓めいて回転しながら溶け合い、ひとつの巨大な光の壁となる。
 そこへ光線到達。不可視の力同士がぶつかり合い、余剰エネルギーが荒れ狂う!
「ぐ、うううう……ッ!」
「ザッフィーロ君……!」
 宵は乱れそうになる意識を整え、さらなる魔力を呼び水に防御を強固とする。
 光そのものを分解しながら迸る光線は――しかしついに防ぎきられたのだ!
「……さあ、こちらの反撃だ。せいぜい暴れてこい、穢れし狼たちよ……!!」
 残る四十余の狼たちが、触手を引き裂き喰らいながら水晶体めがけ駆け抜ける。
「大丈夫ですか、ザッフィーロ君?」
「仔細ない。お前も怪我は……ないようだな。ならば重畳だ」
 褐色の男が見せた不敵な笑みに、宵は胸をなでおろしながらも破顔した。
 そしてふたりは、再び鋭く敵を睨み見据える。翻弄されるのはここまでだ。
「……まだまだです。僕らはこんなものではありませんよ」
「ああ。我らの意地を教えてやるとしよう」
 戦いは続く。宵狼の牙は、着実に星の獣を削り傷つけていた!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ歓迎

先が見えないね、櫻
実感が無いくらい大き過ぎて
歌はコレに届くんだろうかと不安にもなる
けど
僕は櫻を守る
そうだね
えすて、きもちよかった
彼らには夢を叶えてほしい

櫻?!龍なんだ、本当に
封じられたって何で?…そ、そう…
とにかくあんなのの攻撃をまともに食らったら大変だ
櫻の角にぎゅっと掴まって
歌唱に君へ鼓舞をこめて歌う
こんな触手で僕の櫻に触るなよ
「薇の歌」崩壊なんてさせない
したとしても《なかったこと》に
夢も希望も砕かせはしない
蕩ける誘惑込めて歌い続ける

巨大でも核があると思う
櫻の傍で探り、なにか見えれば教えるよ
行く手を阻むものはその破魔の爪で牙で祓うんだ

首?あの付け根じゃないか?


誘名・櫻宵
🌸リル/f10762
アドリブ歓迎
*真の姿
桜吹雪纏い穹舞う美しい桜の青龍(そこそこ大きい

でっかいわね!
触手キモイわ
エステでリラックスさせてもらった事だし
一仕事しましょ!

宙は動きにくそう
リルが潰されたりしたら大変
ジジイの封呪を破り真の姿へ
この姿も久しぶり
何故?昔戦場で敵兵を喰いまくったら激怒されたの

リル掴まって
「鶱華」
刀の代わりに破魔の爪で斬り尾でなぎ払う
巨大な触手を怪力込めて殴り弾くグラップル
リルの歌が守ってくれるから大丈夫
桜吹雪に斬撃に全てに生命力吸収の呪詛をのせ力を奪っていくわ
第六感で攻撃を察知して見切りで躱し咄嗟の一撃
傷を抉るよう何度でも裂いて
触手ごと斬り離す

首を刈りたいけどどこなのよ!



●解き放たれし封印
 リル・ルリは、目の前の光景に呆気にとられていた。
 無理もない。彼の愛するひと――誘名・櫻宵が真の姿を解き放ったのだから。
 それはリルにとっても、初めて見る櫻宵の姿であった。
 またひとつ彼を知れたという喜びは、その威容の前にあっけなく吹き飛んだ。
 木龍が見せた真体こそは、桜吹雪を纏いて穹(そら)舞う青龍だったのだから!
「櫻、すごい! 本当に龍だったんだ……!」
 常ならばその巨大な姿は、大抵のオブリビオンを圧倒し睥睨したろうが、
 敵があれほど巨大なクエーサービーストとなるとそうもいかない。
 しかしそれを差し引いても、いまの櫻宵の体は十分に巨大であった。
『ああ、この姿も久しぶり。ジジイの封呪がようやく解けるようになったわ!』
 美しい桜をその身から生やした青龍――櫻宵は、声なき声で快哉を叫んだ。
 自由を愉しむように身を捩り、宝石のような龍眼が人魚の少年を見やる。
『さあリル、捕まって? あなたが潰されたりしたら大変だもの』
「わかった! 櫻も、おっきくなったからって無茶をしないでね?」
 リルは素直に頷くと、櫻宵を慮りつつもその角にぎゅっと捕まった。
 あまりのサイズ差は、まるで大魚の腹の下に避難する小魚のようでもある。
 青龍は笑みのような表情を浮かべ、そして鋭くクエーサービーストを睨んだ。
 何者かがもたらした蜜毒によって、星の獣は苦しみ蠕動し悶えている。
「……ところで櫻、どうして封印なんてされていたの?」
『え? ああ、昔戦場で敵兵を喰いまくってたら怒られたのよ』
「…………そ、そう……」
 あまりにも(悪い意味で)予想通りの答えに、さすがのリルも閉口した。
 そんな恋人の呆れの気配に気付かぬまま、青龍は宇宙を泳ぐように翔んでいく。

 ……クエーサービーストは、苛立っていた。
 そもそも人類と同じ知性を持つかわからない存在に、人類の機微を当てはめるのはやや語弊を招きかねないが、それは苛立ちと呼ぶべき信号であった。
 なぜだ。なぜ、絶対の力を以て君臨すべきおのれが、こうも苦しめられている。
 邪魔だ。この天敵ども。ひとつひとつは小さきものども。実に邪魔だ。
 星の獣たるおのれが滅ぼされることなど、あってはならないのだ。
 ――言語化するならば、そのような感情を、たしかに彼奴は抱いていた。
 ゆえにクエーサービーストは、まずこの小物どもを振り払うことにした。
 おのれの巨大を以てすれば、どのように滅ぼすかなど容易い話である。
 ただ思うがままに暴れ、感知したすべてを薙ぎ払い砕けばいいのだから。

「!! 櫻、あいつが暴れ始めたよ!」
 リルの声と、クエーサービーストがゆっくりと回転を始めたのは同時だった。
 ゆっくりと……などと言っても、相手は数百メートル規模の天体級生命体である。
 身じろぎひとつが脅威であり、しかも全身から必殺の物質分解波動を放つ。
 巨体に群がっていた猟兵たちのほとんどは、その被害から逃れようと距離を取る。
『でっかいうえにうぞうぞして、キモい触手だわ! まったくもう!』
 しかしそれと対照的に、青龍は勇敢にも宇宙の波を泳いで敵へ接近する。
 爪の一本一本、その先端にまで破魔の力を漲らせ、ぐるりと身をよじらせた。
 その巨体には血色の桜吹雪がまとわりつき、身じろぎが無数の斬撃と衝撃を生む。
 触手を一撃両断することは叶わなくとも、これを切り裂き怯ませることは出来る!
「うわ、わわわ! ぼ、僕だってちゃんと歌うんだからね!」
『ええ、聞かせて頂戴、リィの歌! 私もっと頑張っちゃうわ!』
 無数に乱舞する物質分解光線は、リルの紡ぐ歌声が"なかったこと"にしてしまう。
 おのれらを狙う光線も、仲間たちを狙うものも、すべて雲散霧消させる。
 そうとも。敵の攻撃は泡沫のように消し去り、散らしてしまおう。
 紡ぐべきは夢の歌。この世界に生きる人々の、闇の向こうに馳せた希望の歌。
 その道を切り拓くことが彼らの仕事であり、そのために待っていたのだから。
「えすて、きもちよかったもんね!」
『ふふ。リラックスしたぶん、お仕事しなきゃよ!』
 ぐおん、と、青龍の巨体が触手の密林を駆け抜け、敵の頭上を捉えた。
「――櫻、あそこ! あの蒼いところがひび割れてるよ!」
 リルが指差したのは、敵の頭部――と云うべきか――に当たる水晶体だ。
 龍の瞳はそれを睥睨し、一気に鎌首をもたげ真下へと滝のように落ちていく。
 迎え撃つのは光線のハレーション。それは歌声によって曲げられ消え去るさだめ。
『どうせなら首を刈りたいけどどこなのかしら!』
「わかんないよ! とにかく、ほら、あそこ!」
『しょうがないわね――それじゃあ派手に行くわよ!!』
 血桜が到達した。ひび割れた水晶体を爪がかきむしり、切り裂き、引き裂く。
 いくつもの触手がずたずたに切り裂かれ、再生も追いつかずにしなびる。
 まさにそれは、悪しき魔物を制裁する、神話の龍の神の如き威容であった!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
【POW】

大きすぎる
あれじゃ闇雲に攻撃したところで……ううん
弱音を吐いてる暇はないよね
大丈夫、私達なら!

ふふ。いつも通りの布陣だからこそ、冷静に戦えるのかも
作戦は了解したけど
手を握り返して同じ約束をさせる
……無茶しちゃ嫌だよ

纏ってくれる闇が心強い
すぐ傍で力を貸してくれてるんだってわかるから

触手を地道に落としていくしかないかな
殴打は反撃の好機だと考えて回避後にカウンターを狙う
距離を取り続けていても埒があかないから極力離れず、
連撃を重ねていく
狙いは一本の触手のみに定める
破壊後は他の触手を

! ヨハンが護ってくれてる
でもこれ、相当負担になってるんじゃ……
焦りを堪え猛攻を続ける


ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
【POW】

異形ですね。あまり見ていたいものでもないな
物質分解波動というのも厄介そうです
気を引き締めていきましょうか

正直、無茶をさせることになる……ので、気は進まないんですが
オルハさんが攻撃出来るよう援護に徹します
とにかく攻撃に当たらないようにしてください

無茶をするな、と 手を握り、約束させた後
蠢闇黒から闇を喚び、彼女に纏わせる
前には行けない分、決して傷付くことのないように
持てる魔力を全て注ぐ

彼女だけで避けきれない攻撃は闇を彼女の体ごと繰り避けさせ
負担の掛かる行為だが傷付くよりは余程いい
敵までの距離が詰まれば先に進む道を作る
搔き消えようと、最後に届けさせてみせよう



●約束
 おもむろに、オルハ・オランシュの手をヨハン・グレインが握りしめた。
 滅多にないくらい、強く。……そしてすぐに力を抜いて、緩く、やわらかく。
 突然のことに驚くオルハの眼を、ヨハンの藍色の瞳がじっと見つめていた。
「……一応、作戦があります。といってもいつもどおりのスタイルなんですが……」
「私が前に出て、ヨハンが援護。だよね?」
 オルハの問いかけるような視線に、ヨハンはこくりと頷いた。
 ……手を握りしめたのは、正直、思わずの……無意識の行動であった。
 なにせ敵は、巨大だ。これまで相対した敵のいかなる存在よりも巨大である。
 異形の存在にはある程度見慣れているとはいえ、心地いいものでもない。
 そこに、愛するひとを送り出す。当然の抵抗と不安があった。だからこそ。
「……ふふ。大丈夫だよ、ヨハン」
 そんな少年の内心を見透かしたように、オルハは淡く微笑んだ。
 そして、自分の手を握りしめるヨハンの手を、両手で包み込んで握り返す。
「いつも通りのやり方なら、あんな相手でも冷静に戦えるから。私は大丈夫。
 ……だからヨハン、君こそ無茶しないでね。これは、約束だよ。わかった?」
「…………わかりました」
 それは約束だ。互いに互いを思いやるからこその、お互いを縛る制約。
 約束があるからこそ、人は生きて帰ろうと思えるのだ。
 ふたりの手が名残惜しそうに離れ、それぞれの瞳が悶える巨躯を見据えた。
 そして、オルハの翼がばさりと宇宙にはばたき、少年の指輪から闇が滲み出る。
 ふたりの戦いが、いままさに始まろうとしていた。

 敵の巨体はそれ自体が武器であり守りである。
 しかし同じぐらいに厄介なのは、うごめく無数の触手……その数であった。
 直径は数メートルから二桁メートルまで、大小さまざま。
 度重なる攻撃によって切断された(あるいはされかかった)断面や傷口から、
 新たに生成、もしくは再生した触手が、うぞうぞと生えて蔓延っている。
 それ自体が意思を持つかのようにうごめく、いわば森のような鉄壁である。
 オルハはその荒れ狂う触手の渦のなかへと、ヨハンが生み出した闇を纏って、
 果敢に飛び込んだ。そこらじゅうから、立ち向かう猟兵たちの鬨の声が響く。
(一本でも多く、この触手を破壊していくしかない……私だけじゃ無理でも……!)
 その時、オルハのキマイラとしての動物的本能が、左翼からの脅威を感知した。
 オルハはその第六感に逆らうことなく、翼を羽ばたかせてブレーキを踏む。
 直後、ぐおん――!! と、目の前を大木じみた触手が勢いよく通過した。
 蛮勇を振るって飛び込んでいたならば、今頃四肢がちぎれて吹き飛んでいたか。
 あるいは、触手が微細な振動によって生み出す分解波動で即死していたか。
 こめかみを伝う冷や汗を拭い、オルハは再びばさり、ばさりと翼を羽ばたかせる。
 横薙ぎの攻撃は、敵にとってもその巨大さゆえに大きな隙を生じさせる。
 オルハはそこを狙い、自らを薙ぎ払おうとした触手に、三又矛を突き立てた!
(……なんて分厚さ! 一回じゃ刃が通らない!)
 即座にウェイカトリアイナを引き抜き、素早く距離を取ろうとした。
 だが穿たれた傷跡から、ぞわっと血飛沫のように無数の触手が吹き出す!
「――闇よ、"退けろ"」
 はるか彼方、ヨハンは後方からそのさまを目視していた。
 オルハの周囲にわだかまる闇は、距離に関係なくヨハンの意思を即座に反映する。
 ぞわり、と収束したそれは、黒々とした盾のようになって触手の不意打ちを防御。
 オルハはそれを見、驚愕し、そして微笑んで頷いた。いまは退くべきではない。
 一度で通らぬならば、たゆまなき連撃を以て触手に不可逆の傷を穿つべし!
「小さいからって、私たちじゃ勝てないと思ってる? それは見込み違いだよ!」
 意思疎通不可能なクエーサービーストにも、本能は存在する。
 オルハはたしかにそれを感じていた。こちらを煩い、忌む敵の殺意を。
 それを鼻で笑い、少女は翼をはためかせ二度、三度と三又矛を突き立てた。
 まるで、巨獣を毒で弱らせようとする、羽虫のような無謀な挑戦に思えた。
 闇は時として盾となり、あるいは彼女の体を強引に立て直させる。
 ヨハンにも相応の負担を強いているだろう。気持ちが焦り、汗が伝う。
 だがオルハは目的を忘れることなく、何度も、何度も何度もトリアイナを振るった。
 ……そしてついに、傷の上から傷を刻み、ぞぶりと三又矛が食い込んだ!
「!! ……これ、でっ!!」
「ここが意地の張りどころ、ですね……!」
 オルハは全体重をかけ、さらに深々とウェイカトリアイナを突き刺す。
 ヨハンは闇を凝縮させ、傷口から内部に染み込ませて一気に破裂させた。
 パァン! と音を立て――触手が一本、ばっさりと引き裂かれて宙を舞う!
「はぁ、はぁ……っ、さあ、次っ!」
「……守りますよ、戦いが終わるまで何度でも……」
 若者たちは気力を振り絞り、いまだ崩れ落ちぬ牙城の如き敵を見上げる。
 だがその刃は、着実に敵の肉を削ぎ、その巨体に亀裂を穿ちつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユーノ・ディエール
■PW
あれがクエーサービースト――銀河帝国をも退けた、宇宙の悪魔
いいでしょう。私達の明日の為に、必ず突破してみせる!

騎乗したクルセイダーで念動フィールドを展開
友軍の進路を確保する為突出し
結晶化弾頭を打ち込んで物質分解波動を虚無で飲み込み
全体の進路を確保しつつ前進します
多少痛みは伴いますが――やらせるわけには!

こちらユーノ、進路確保。攻撃パターンより
5秒は前進確保の見込み! 突出します!
パルさん、射線共有――リンクしました
ナビがあれば露払いを続けます。何としても皆の火線を届かせますよ!

敵と零距離で相対出来れば張付き
デトネイタースタンバイ、点火――今!
結晶化した突撃槍から虚無を流し込んでやります!


フィーナ・ステラガーデン
◾️PW
こう大きいと何が何だかよくわかんないわね!
この前に見えるのが全部敵で一匹なのよねえ。

普通の攻撃じゃダメね!
時間を味方に稼いで貰って私は後衛でひたすら魔力を貯めるわ!
【地形を利用】で死角から
UCで長時間詠唱で最大まで大きく大きく太陽を育てるわ!
【勇気】と仲間を信じて集中集中よ!
頃合いが来たら【全力魔法】で投げつけるわ!
ゆっくりだけどこれだけ敵も大きいなら!

待たせたわね!とっておきよ!
進行方向は中心部目掛けてズゴゴゴゴー!

よーするに仲間を信じて長時間詠唱して溜め込んだUCをぶつける!
これだけに全てを注ぐわ!!

(アレンジ、アドリブ大歓迎!)


アリシア・マクリントック
■PW
プラウドウルフに乗って現場に急行します

やはり宇宙はスケールが違いますね……ですが、負けるわけには参りません。……変身!
十分に接近したらプラウドウルフから降りてティターニアアーマーに乗り換えます。そしてプラウドウルフを遠隔操作してブースター代わりに空間戦闘です!無重力空間であればこの姿でも十分な機動力を発揮できるはず!

味方が被弾しそうになったときは積極的にかばいます。ただでは済まないでしょうが、私のアーマーで受け止めるほうがいくらかはいいでしょう。
武器は持たないので隙をついて接近、殴って攻撃です!

できれば避けたいですが、いざというときにはプラウドウルフもぶつけてやります!


ミハエラ・ジェシンスカ
■PW
ふん? なんだ存外に「小さい」な
元より、この先へ進むのなら尖兵如きに手こずってはいられまい

【対艦魔剣】を起動
敵がどのような手段で周囲を観測しているかなぞ知りはしないが
コレを脅威と判断できぬ程に愚鈍ではあるまい

触手の動きを【見切り】
【対艦魔剣】による【カウンター】【武器受け】で迎撃
元より実体なき光の刃、通常物質よりは幾分か「マシ」だろう
分解されたとしてもサイキックエナジーさえ残っているのなら再構成は可能だ
そうして敵の触手を惹きつけて味方の突撃及びフィーナの「太陽」が巨大化するまでの時間を稼ぐ

悪いな、私はただの囮だ【だまし討ち】
尤も隙を見せるようであれば叩き斬るまで
その程度の刃渡りはあるぞ


パル・オールドシェル
■PW
これがクエーサービースト。在りし日の帝国すら恐れた、人類文明そのものの天敵……
尖兵ながらに巨大ですが、曲がりなりにも帝国が隔離できていた敵に過ぎません!

ヒトに造られた機械である僕は、我が身の損傷を引き換えにしても人類生存領域の防衛というその至上命題を遂行するまで!
星歌隊、そして無敵艦隊よ。全艦は二隻からなる最小戦闘航行単位にて戦域を機動、迎撃による損耗を最小限に抑えつつ目標を包囲します。
僚機からのデータリンクをもとに艦隊を動かし、それ自体を友軍への守り、陽動としつつ攻撃を最大効果で叩き込むのです。

全艦主砲斉射。弾種、粒子ビーム。
星に満ちよ人の叡智、この一撃を人類未来への号砲とせよ!



●星の未来を切り拓くために
 心のどこかに、銀河帝国をも退ける脅威など存在しないという考えがあった。
 あれほど強大で無慈悲な帝国が、手をこまねき放置した存在など居るはずないと。
 それは、ともすれば一種のねがい、あるいは楽観思考でもあったのだろう。
 あの銀河帝国より恐るべき敵がこの世界にいるだなんて、考えたくない……。
 そんな心のどこかの思いは、姿を現した巨躯によって吹き飛ばされた。

 すでに二十人近い猟兵が、それぞれの得意分野による強烈な攻勢を仕掛けている。
 敵はナイチンゲール号から、天敵である猟兵へと狙いを変えたらしい。
 おぞましいまでの再生速度が、そして容赦のない波動放射がそれを物語っている。
 ダメージは、ある。敵はたしかに削られ、消耗を強いられている。
 ……はずだ。目視していてもなお、"はず"という言葉を使わざるを得ない。
「……なるほど。在りし日の帝国が恐れた理由、いまはっきりとわかりました。
 こいつらは、世界の……いいえ、人類文明そのものの天敵であるということが!」
 パル・オールドシェルは、自身のユーベルコードによってかつての艦隊を召喚、
 それぞれを二隻からなる最小戦闘航行単位にて、戦闘宙域に展開していた。
 そもそも、この大物量による拮抗があるからこそ、敵はナイチンゲール号を追わず、猟兵を破滅させることに専念していた……と、言ってもいい。
 なにせサイズ差があまりにも圧倒的なのだ。防御などたやすく破られる。
 そしていま、パルの星歌隊と無敵艦隊もまた、当然の損耗を強いられていた。
「退きません。全隊包囲を継続、なんとしても友軍への被弾を阻止してください!
 たとえこの身体が損傷したとしても、必ず……必ず、道を切り拓いてみせます!」
 また一隻、仮初に生み出された艦(ふね)が分解波動に呑まれて塵へと消えた。
 パルは歯噛みしながらも、自ら最前線に立ち指揮を執る。そこへ触手の一撃が!

「――ふん。なんだ、存外に"小さい"な」
 振り下ろされた触手を受け止めたのは、恐ろしく巨大なフォースセイバーだった。
 その振るい手、ミハエラ・ジェシンスカは、ただ端的にそう言い放った。
 "対艦魔剣"、刃渡りおよそ2キロ。最大展開された光の剣は星の獣すらも越える。
 クエーサービーストの異質な生物本能が、"それ"を脅威と捉えたのを感じた。
 すなわち、不可視の殺意である。それを浴びてなお、邪道騎士は小さいと嘯く。
「所詮は尖兵。私たちはこの先へ進むと決め、ここまでやってきたのだ。
 さっさと退くがいい。我らは、貴様が弄んだ銀河帝国の者とは違うぞ……!」
 凄絶なる闘気。拮抗する触手を打ち払い、対艦魔剣をぶうんと振り回す。
 いかに刃そのものが巨大で長大であろうと、持ち手はあくまでウォーマシン。
 クエーサービーストはミハエラの奮戦を嘲笑うように、極小触手を生成した。
 都合百を越える無数の蠕動触手が、物質分解波動を纏って槍のように尖り、
 叛逆の騎士を槍衾めいて串刺しにしようと360度全方位から一気に襲いかかる!
 ミハエラは卓越した第六感によってこれを察知、対艦魔剣を"縮小"した。
 本来彼女の振るういくつかのフォースセイバーを連結・結合したこの光の剣は、
 自在に解除と発動が出来る。無論、その刃渡りに関しても最大までは自由自在だ。
 極小触手に対応可能な(かつそれでいて身の丈をはるかに越える)長さに再生成し、目にも留まらぬ神速の斬撃でこれらの槍触手を叩き斬る。
 これでいい。敵の注意はミハエラに惹かれている。それこそが彼女の狙いだ。
 あの巨体を穿つためには、生半可な攻撃では足りないことを彼女は知っている……!

 ……戦闘宙域、外縁部! 触手が乱舞する最前線から遠く離れた後方!
「ダメよ、焦っちゃダメよフィーナ……もっと、もっと大きな太陽を作るのよ!」
 フィーナ・ステラガーデンは、焦る気持ちを抑えながら魔力を練り上げていた。
 ミハエラが囮を買って出たのは、フィーナに攻撃の隙を与えんがため。
 大規模破壊を得意とするフィーナの、その破壊力を一点に集中し、
 クエーサービーストの巨体をも燼滅せしめる大規模破壊魔法を行使するためだ。
 フィーナの頭上には、太陽のように燃え上がる焔の塊が生まれていた。
 それらは心臓のように脈動し、少しずつ、フィーナの魔力を食らって膨張する。
 この時点ですでに、並のオブリビオンならば十体は消滅せしめる威力はあろう。
 だが、足りない。相手はこれまで見たいかなるオブリビオンよりも巨大なのだ。
 しかもあの再生速度。生半可な攻撃では、再生を遅らせるのが関の山だろう。
 完全崩壊させることは出来ずとも、痛手を与えるにはまだまだ足りない。
(……大丈夫、私ならやれる。仲間たちを信じて、出来ることをやればいいのよ。
 ミハエラだって、パルだって頑張ってるんだから。私だって全力で行くわ……!)
 いつ、敵がこちらの狙いに気付いて攻撃をしてくるかわかったものではない。
 ユーベルコードによる火力増強に全力を注ぐいまのフィーナでは、
 普段ならば回避・防御できる攻撃にすらも棒立ち同然で喰らうこととなる。
 ましてや、相手はあの巨躯。星の獣、クエーサービーストである。
 ……物質分解波動を、あるいはあの巨大すぎる触手に打ち据えられた時のことを、
 努めて考えないようにして、フィーナはただ魔力を汲み上げ焔とする。
 ……だがその時、クエーサービーストがゆっくりと、やがて激しく回転を始めた。
 ミハエラもろとも、周囲の猟兵を薙ぎ払い吹き飛ばす構えか……!?

 視点は再び、戦乱渦巻く戦闘宙域の最前線へと移る!
「距離をとって再生に専念するつもりね? そうはさせませんッ!!」
「ええ、敗けるわけにはまいりません。行きましょう、ユーノさん!」
 触手、および物質分解波動による破滅を避けようと後退する猟兵たち。
 その人波から、矢のようにまっすぐに突出したふたつの流星があった。
 ユーノ・ディエール、そしてアリシア・マクリントックのふたりである。
 ふたりはそれぞれの愛機に騎乗し、バーニアを噴射し全速で獣へと接近した。
 いまやクエーサービーストの回転速度は最高潮に達し、触手が嵐めいて荒れ狂う。
 ミハエラは対艦魔剣を振り回し、触手を防いでいるが守勢で手一杯のようだ。
 退避する猟兵たちの離脱は、パルの艦隊が補佐しその盾となっている。
「アリシアさん、こちらが先に進路を確保します。ついてきてください!」
「わかりました。……変身っ!」
 アリシアが跳躍した瞬間、愛機・プラウドウルフは一瞬にして鎧へと変形。
 拡張外骨格・ティターニアアーマーを纏い、アリシアはユーノの後に続く。
 一方ユーノは、クルセイダーのブースターを最大出力で噴射。
 衝角めいた念動フィールドを展開し、壁めいて立ちはだかる触手に猛追した!
 ドウ、ドウドウ――! 射出された結晶化弾頭が、到達した分解波動を相殺。
「虚無結晶(クリスタリアン・デスワーム)ならば、この程度の暴威なんて!」
 ユーノは恐れずにアクセルを踏む。愛機はそれに応えて宇宙を切り裂く。
 乱舞する触手を、必殺の物質分解波動を乗り越え――一撃を叩き込む射線を!
「アリシアさん!」
「ええ、いきます! どれほどスケールが大きくても、私は負けません!
 クエーサービーストよ、受けなさい! これが、巨人の一撃です……ッ!!」
 軸をずらしたユーノの陰から、鎧を纏ったアリシアが飛び出した!
 速度を乗算した、ティターニアアーマーによる星砕の拳を水晶体に叩き込む!
 クエーサービーストは激しく震えた。それはまさに、敵の苦痛を示している!

「いまさら狙いに気付いたか? 遅いな、星の獣よ。所詮はケダモノか」
 ミハエラは薄く笑う。対艦魔剣が振るわれ、触手の悪足掻きを制した。
「私は所詮囮だ。さあ、慄くがいい。貴様を貫く光が、太陽の輝きが来るぞ」
『パルさん、フィーナさん! 射線共有完了、露払いは済ませましたよ!』
 ミハエラが見上げた先、艦隊を背景に浮かび上がるパルは通信に頷いた。
「人類生存領域を拡大し、防衛するため。この星の海に、栄華を取り戻すため。
 ――全艦、主砲容易。粒子ビーム装填……これを人類未来の号砲とせよ!」
 残存艦隊の主砲が、クエーサービーストの巨体を目標に狙う。
「――星に満ちよ、人の叡智(フロンティア・スターライト)!!」
 おお、見よ。星々よりも強く輝く、それこそは人類が世界を切り拓く兆し!
 いつか、母なる星を祝福するための号砲。それがいま、死の獣を一斉に貫いた!
「待たせたわねみんな! とっておき、こっちも行くわよぉ!」
 そしてはるか後方! フィーナの頭上には、小惑星じみたサイズの火球!
 偽りの太陽めいたそれを、最後の魔力をありったけ注ぎ……敵へ! 投げつける!
「これが私の、いいえ、私たちの信頼の証! さあ、喰らいなさーい!!」
 燃え盛る炎は光に等しい速度で宇宙を焦がし、クエーサービーストへ迫る。
 触手がそれを妨げようとした。そして焼付き焦がされ散っていく。
 ひび割れた水晶体を、蠕動する触手を――太陽の如き輝煌が飲み込み、輝く!
 まさにそれは――失われた惑星(ほし)を照らす、命の日差しのように。
 暖かく、苛烈に、そして無慈悲に、星の獣を灼き尽くすのだ――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神酒坂・恭二郎
「まぁ何とかしてみらぁね」
気軽に告げて船外に飛び出す。
とは言ったものの、彼方に見える姿は余りに巨大だ。

剣を抜いて大きく構える。
大事なのは相手の巨きさではなく、己の心を小さくしない事。
宇宙に俯瞰する視点を意識する事。
目の前の相手ではなく、その先を意識するのがコツだ。
師の受け売りだが、今なら何となく分る。

迫る触手に掬い上げる風桜子の一振りを添え、【オーラ防御、見切り、念動力】で母船を守護する。いかにスケールは違えど剣の理法に違えはない。
守勢に徹し、剣に確信を得た所で攻勢へ。

大上段に構えた銀河一文字。
【真の姿】で燃え盛る風桜子を束ね、相手が小さく見えた拍子に合わせ、【覚悟】の二文字で振り下ろそう。


アルトリウス・セレスタイト
天体規模の個体というか
やることは変わらんが

自動起動する真理で干渉力を最大化し、纏う原理――顕理輝光を運用し交戦
『天光』で戦闘宙域全てを逃さず捉え敵味方の状態を把握
必要な魔力は『超克』で“外”から汲み上げ供給

界離で時の原理の端末召喚。魔力を溜めた体内に召喚し自身の端末機能を強化
目標が行う攻撃を「終わった後」にし、現在に何も起こさせない
回避など間に合う味方は任せ、危険になりそうな者への支援を優先

危険そうな状況があれば回廊で適宜対処に向かう

攻撃の手が足りないなど手詰まりになりそうなら殲滅に
界離の端末を死の原理の端末に切り替え、存在根源を消去して終わらせる

※アドリブ・連携歓迎


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

デケェ!?
これが準星級って意味かよ……!
このナリから放たれる攻撃が全方位だったら……!
いや待てよ。
さっきの被害、ばらつきがあった?
それに波動っつってたな。
……ならまだ、付け入る隙はあるか!

カブに『騎乗』し、牽制しながらも奴さんの周囲を逃げ巡る。
アタシがやろうとしてるのは『情報収集』。
もし機動性が欲しい人が居たら乗ってくれよ。
主な攻撃が波動って事は、その波の「谷間」に
入れば被害が減らせるはずさ。
それに「生物」ってんなら、本能的な部分だとしても
脊髄神経みたいなものはあるだろ!
思念波でその場所を探り、
そして発動の瞬間を把握し、
ついでにそのタイミングで思念の横槍入れてやる!


ティオレンシア・シーディア
あ…あは、は…
…バッ……カじゃないのぉ…?
デカいだけでも相性最悪なのに、物質分解とか…もうここまでデタラメだと笑うしかないわねぇ…どーしろってのよもー…

…ふぅ、現実逃避はこのへんにして、と。
あたしじゃどうやったって有効打なんて与えられそうにないし、補助に回ったほうがよさそうねぇ。
使うのは、塩を固めて作った当たっても痛いかどうかも怪しい弾丸にルーンを刻んだもの。
●鏖殺で味方に撃ち込んで支援の○援護射撃バラまくわぁ。
刻むルーンはエオロー(結界)やティール(勇気)をはじめ、ウル(突撃)・ラグ(直感)・エイワズ(前進)、etc。思いつく限り洗い浚い撃ちこむわよぉ。

…任せるしかないってのは、初めてねぇ。


ルエリラ・ルエラ
【アドリブ改変・連携歓迎】
これはでっかいね。
でっかいのはいいんだけれど、クラゲっぽいのが問題だよね。
クラゲは調理した事ないや。

さて、私はメカ・シャークに乗って敵の攻撃を回避しながら、いつも通り『援護射撃』をしようかと思うけれど…
これだけ大きいとどこまで出来るかだよね。
私の攻撃なら貫く事はできるし、【アインス】を最大威力で何発も撃ち込んで、味方を攻撃しようとしてる触手や、進路を塞ぐ触手を引きちぎる事に専念してみるよ。
そうすれば本体?メイン?の攻撃に皆が集中できるよね。
多分一人だと時間かかるから、同じような触手の迎撃メインな人がいれば協力していきたいところだよ。
さ、もいで材料にさせてもらうよ!


ビードット・ワイワイ
アドリブアレンジ連携歓迎
見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり
見上げし巨体でありけれどそれでできるは
万物全てを壊すこと。求められしは排除のみ
体躯に見合う脳はあらぬが幸か不幸か
足らぬ頭で思考せよ。ここが汝の破滅なり

UCにて呼ぶは戦艦怪獣 スクラップアイアン
かつて行方不明になりし戦艦が姿を変えて帰還せり
己の使命を果たすため二度と負けぬ体を求む
今こそ放て艦砲射撃、近寄るものにはミサイルを
数多の艦の恨みを乗せてエンジン動かし航海開始

例え自沈しようともその身を捧げ放つ技
広域警報 ネバーギブアップ
己の機関を暴走させて体当たりをして自爆する
あれは永遠に戦う戦艦スクラップアイアン
世界の敵を討ち滅ぼすものなり



●変節
 クエーサービーストの巨体をも飲み込むほどの大火球が、星の獣を灼き焦がした。
 数多の攻勢の果て、ある猟兵がありったけの力を込めて解き放った一撃。
 並のオブリビオンであれば、おそらく十……いや数十は滅ぼされるほどの威力。
 クエーサービーストの巨体の、実に2/3近くが太陽じみた炎に飲み込まれ、
 じたばたともがきながら焼け焦げていく触手のみが、外側で荒ぶっていた。
 戦いが終わるのか。この攻撃によって、ヤツは滅びるのか。
 遠く安全宙域から戦いを見守るナイチンゲール号のクルーたちに、
 そして戦闘宙域に挑んだ猟兵たちの中でも、少なからぬ者がそう思った。
 いかに馬鹿げた巨躯を有するクエーサービーストでも、ここで潰えるかと。

「――いや」
 だが。
 その全知の原理を以て認識を拡大し、宇宙を知覚している男は違った。
 アルトリウス・セレスタイト。淡き蒼光を使い、世界の根源に触れたモノ。
 敵味方すべての位置すらもつぶさに知覚していたアルトリウスの結論は、違った。
「……なるほど。これが天体級の生物か。ずいぶんとよく耐えるものだ」
 うっそりとした声。その瞳が見つめる先で、やがて炎がぶすぶすと消えていく。
 焼け焦げ三割以上が消失した巨体……もはや横たわり動かぬと見えた屍。
 だがそれは、びくりと震え……やがて突然に、荒れ狂ったのだ!

「おいおいおい、あんだけ食らってまだ動くのかい!?」
 数宮・多喜は、敵の再起動を驚愕を以て受け入れた。受け入れざるを得なかった。
 あちこちを炎で燼滅されたクエーサービーストは、しかし完全に滅びることなく、
 凄まじい速度で損傷を再生しながら、猟兵たちを散らすように回転を始める。
 いくつもの触手が荒れ狂い、物理的に猟兵たちを押し退け、さらに物質分解波動。
 触れればいかなるものでも塵に還元されてしまうその恐るべき不可視波動が、
 ありとあらゆる方角、対象、空間も敵も嘗め尽くそうと荒れ狂うのだ。
 優れたサイキッカーである多喜は、この見えざる破滅の波動を思念派で知覚。
 愛機である宇宙カブを華麗に乗りこなし、波の"谷間"をかいくぐった。
 然り。いかに物質分解波動が、不可視かつ不知覚であれ、つまりは波である。
 ならば距離が離れるにつれ減衰し、あるいは波弦の強弱があるはずなのだ。
 そう、起伏の激しい地形では、風が複雑に荒れ狂いビル風を生むように。
 あるいは音叉した声が、やまびこと呼ばれる現象となって返ってくるように。
「ったく、宇宙まできてサーフィンかい? もう夏は終わったんだけどねぇ!
 ……ああ、けどやっぱりだ。感じるよクエーサービースト、アンタの意志を!」
 ――そして和合不可能の怪物であれ、生物ならば意志がある。
 本能的であれ、その行動を取るための神経の信号があり、予兆がある。
 多喜は思念波を鋭く研ぎ澄ます。その攻撃の間隙を、一瞬の隙を見出すために!

「いやぁ、生きがよくて腕が鳴るね。問題は倒せるかわからないところだけど」
 そんな多喜と同じように、愛機・メカシャーク号を乗りこなすエルフの少女あり。
 ルエリラ・ルエラは、この災害に等しいクエーサービーストの暴威を前にして、
 いつもの泰然自若としたマイペースを一切崩すことなくおおらかに構えていた。
 それだけの修羅場を潜り抜けた少女である。しかし今回はさすがに手詰まりか。
 魔力の弓を射るのがせいぜいのその身では、あの巨躯をつんざくことは出来まい。
(触手をできるだけ撃墜して、攻撃を通せそうな猟兵を支援するべきだろうね。
 問題は、誰に合わせるかだけど……せめてもうひとりぐらい支援役がいれば……)
 そんなルエリラの思索に応えるかのように、銃弾がひとつ触手を貫いた。
 女だてらに、フィクサーとして裏社会を渡り歩くティオレンシア・シーディアが、
 せめてもの支援としてばらまいた援護射撃のひとつである。
 ニコニコと笑んでいるように見えるその表情にも、たしかな焦りがあった。
「まったくもぉ、スペースシップワールドってデタラメな連中多すぎよねぇ。
 こちとらただの銃使いよぉ? ま、やれるだけやるしかないんだけれどねぇ」
 ひとしきり現実逃避を終えたティオレンシアは、戦士の思考に切り替え、
 塩を固めて作り出した破魔の銃弾を、360度方向を問わず無数に連射する。
 握りしめているのはマシンガンやミニガンではない、ただのリボルバーだ。
 しかし鍛え上げた神速のリロードとファニングは、非常識なまでの弾幕を生む。
 ひとつひとつに魔力の籠もったルーンが刻み込まれたその弾丸は、
 たとえ物理的威力で見れば豆鉄砲のようにしか感じられずとも、
 生命そのものをおびやかす邪悪な天敵に対し、覿面の効果を発揮するのだ!
 結界(エオロー)、
 勇気(ティール)、
 突撃(ウル)、
 直感(ラグ)、
 前進(エイワズ)。
「思いつくかぎり、洗いざらいぶちこんであげるわぁ。大盤振る舞いよぉ。
 ……任せるしかないのは初めてだけれど、あなたたちならやれるでしょお?」
 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
 味方に打ち込まれる弾丸は、そのルーンを以て戦士を奮い立たせ、
 敵に叩き込まれる弾丸は、その魔力によって触手をひるませる。
 ルエリラは薄く笑い、万物を狙い穿ち貫く魔力の矢を生成、弓弦を引いた。
「そうだね。協力しようじゃないか。触手をもいで芋煮の材料にしたいからね!」
 シュパッ! と解き放たれた魔力矢(アインス)が、弾丸とともに触手を貫く。
 ひとつ、ふたつ、みっつ! 一発一発は、巨躯から見ればあまりにもか弱い。
 だがその魔力は、傷口は、着実に触手をまたひとつ怯ませ弱めるのだ!

 ……そしてその時、クエーサービーストはありえないものを感知した。
 なぜならば、まったく突然に、自分の"なわばり"に巨大な生物が生まれたからだ。
 ありえぬ。たとえおのれから見てどれほど矮小であろうとも、
 少しでもこの巨躯に近づこうとするような不届き者を、決して許容しない。
 だからこそ鋼を砕き、艦隊を撃滅し、塵の塊に変えて永劫苦しめてきた。
 しかし、しかしだ。たしかにそこには、60mを超える巨大な戦艦が存在していた。
 ……戦艦、であるはず、だ。しかしその見た目はあまりにも朽ち果てていた。
 かつ、まるでクエーサービーストのそれを真似るかのように、怪獣めいていた。
 然りである。それは朽ちた戦艦であり、同時に恐るべき獣でもあったのだ!
『見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり。万物を壊し排除する汝を見たり。
 見上げるほどの巨躯、そこに見合うだけの脳はあらず。それは幸か不幸か』
 戦艦怪獣・スクラップアイアン! その破滅をカタチとしたのは、
 謎めいた異形のウォーマシン、ビードット・ワイワイである!
 ドウ、ドウドウ! 怪獣の身体のあちこちから生えた大砲が火を吹く。
 クエーサービーストから見れば子供にも等しいその巨体、しかして朽ちた戦艦は、
 その巨躯を憎むかのようにがっしりと組みつき、触手の乱舞を阻害した。
『足らぬ頭で思考せよ。ここが汝の破滅なり。それは永劫戦う艦(ふね)なり。
 すなわち汝を破滅させる、世界の敵を討ち滅ぼすもの。解けはせぬぞ』
 破滅招来体が呼ばわった朽ちた戦艦は、咆哮のように警報を鳴らした。
 その巨体が物質分解波動で崩壊していく中、段々と全身が赤熱化し……KA-BOOOM!!
 60m以上の巨体がオーバーロードを起こし、クエーサービーストもろとも自爆!
 ルエリラとティオレンシアの攻撃でちぎれかけた触手が、吹き飛ばされた!

「こりゃまたド派手だねぇ! けど見つけたよ、ここが狙いどころだ!」
 多喜は間隙に不敵な笑みを浮かべ、一気にスロットルを開いた。
 するとその瞬間、ふわりと後部座席に降り立った男がひとり。
「やあ、ちょいと相乗りさせてもらおうか。ありゃあ近づきづらいんでねぇ」
 スペース剣豪、神酒坂・恭二郎! 振り向いた多喜は不敵な笑みのまま頷く!
 だがそこへ、猟兵の接近を阻もうと、残存触手が一気に雪崩を打った!
「――たとえどれほど巨大でしぶとかろうが、やることは変わらん。
 クエーサービーストよ、お前は"原理"を識るまい。ならば、そこまでだ」
 それも、アルトリウスの全知たる知覚の範囲内である。
 淡い青光を放つ原理の端末が回転し、世界の因果そのものに干渉した。
 無に帰することは出来ずとも、訪れる破滅を回避させることはできる。
 触手が命中し、多喜と恭二郎が滅殺されるという結果そのものを"飛び越え"、
 いかなる滅殺も起こさせない。いわば、因果律への干渉そのものである。
 さらに遠方から触れざる手によって触れた死の原理が、星の獣の存在根源を叩く。
 巨大すぎる存在格は、それだけで完全に抹消することこそ能わぬものの、
 余人から見ればいくつもの触手が痙攣し、突然塵と化したように見えるだろう。
「先触れよ。俺たちはお前を越えて征くぞ。その道標となるがいい」
 アルトリウスは戦場を俯瞰する。敵を、味方を、それぞれの戦う姿を視る。
 その視界を、猛スピードで多喜と恭二郎が駆け抜けるのだ!

「……さて。まぁ、なんとかしてみせるのが猟兵ってやつだねぇ」
 宇宙カブの後部座席に軽やかに屹立した恭二郎は、涼やかな声で言った。
 敵の巨体を見ながら剣を抜く。だがしかして、心で怯むようなことはない。
 クエーサービーストそのものではなく、その先――すなわち斬ったあとの姿を視、
 風桜子(フォース)の力をもって、それを現実の結果に落とし込む。
 見えるものを見ず、見えざるものを見、万物を斬る。それこそが銀河一文字。
 大上段に構えた剣を拒絶するかのように、物質分解光線が狙いを定め――!
「……そこだ。悪いねクエーサービースト、ちょいと"かき乱す"よ!」
 多喜の思念波が、クエーサービーストの本能に割り込み殺意を妨害した!
 ふたりを捉えるはずだった光線はまったく別の方向にねじれて翔んでいく!
「一刀は万刀に化し、万刀は一刀に帰す――なぁんだ。お前さん、小さいねぇ」
 風桜子が燃えた。恭二郎はするり、と自然な動作で剣を振り下ろした。
 大上段からの兜割り。刃は届かぬ。星の獣の巨躯を斬れるはずはない。ありえない。
 ――おお、だが見よ。その剣閃は宇宙の闇を、星々の輝きをも斬り裂いた!
 ずばん――っ!!
 まるで空間そのものを断ち切ったような縦一文字の剣閃が、巨躯をばっさり切り裂く!
 蠕動する獣の動きは、苦痛に呻きのたうち回る獲物のそれに他ならない……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

露木・鬼燈
…サイズ差が酷いなこれ。
威力と範囲を兼ね備えた攻撃が必要っぽい。
優れた戦士として、頭を使ってやってみようか!
化身鎧装<骸晶>を展開。
攻撃開始…の前に武器を用意しないとね。
戦場を移動しながらデブリを回収してひとつに錬成。
巨大な槍とゆーよりもドリル?を作り出すです。
表面を金属で覆ったら完成。
…あの巨体相手だともう何本かほしいよね。
がんばる、ですっ!
今度こそ準備完了、攻撃開始なのです。
高速回転をさせながらの電磁投射。
こいつで発破用の装薬孔を穿つっぽい!
イメージ的にはトンネル工事?
さすがに爆破までは手が回らないのです。
まぁ、そーゆーのが得意な猟兵が何とかしてくれる…はず。
きっとイケルイケル!


無明・緤
了解、帰ったら好きなだけもふらせてやる

宇宙服纏い、相棒の人形と共に宇宙へ
【猫をこころに、ニャンと唱えよ】!
ユーベルコードの力で先行する猟兵たちの元を次々渡って
触手や波動をかわし、キエリビウムJOXへの接近を試みる
途中、ピンチの仲間の所へ跳んでしまったら
人形に抱えさせて【運搬】。共にワープして危険から遠ざける

目指す地は勇敢な猟兵の隣
居るだろ?一人くらい接近戦を挑もうとするイカしたヤツが!

尖兵の役割とはおれが思うに偵察だ
頭部の水晶体、あれは偵察の「目」ではないだろうか

人形に指示を飛ばし【操縦】、水晶体へ取り付かせ
鋼の手刀を槍の如く突き立て【鎧無視攻撃】
内部へ【ハッキング】を仕掛ける
未知を見せてくれ


トゥール・ビヨン
アドリブ歓迎
パンデュールに搭乗し操縦して戦うよ

大きい、あれがクエーサービースト!
はは、アイツから見れば小さなボクもパンデュールも、同じ扱いなんだろうね
だけど、ここで退くわけにはいかない
いこう、パンデュール。ボク達の力を見せよう!

パンデュールの真の姿を解放しながら戦おう
あの攻撃を少しでもくらったら一瞬でやられる
システム・パンデュールを発動し、高速移動で敵の攻撃を避けながらキエリビウムJOXの頭部まで近付こう

生半可な攻撃は通じない、弱点なんてあるかもわからない
でも、どんな大きな生物も『中』に侵入できれば!

ドゥ・エギールの高速斬撃を一カ所に集中し、キエリビウムな内部に入り中から攻撃できるか試そう


ユーフィ・バウム
どれほどの相手とて、
培った肉体を信じるのみ
存分に蛮勇を振るわせていただきます!

基本は【力溜め】つつの【グラップル】にて
肉弾戦を挑みます。私も【怪力】です。
「その巨体、砕いてみせます。勝負っ!」
打ち込む際は先に戦った仲間が与えたダメージを
さらに突くよう打ち込む。【鎧砕き】の一撃となりますかね!

敵の攻撃は【見切り】致命打を避けた上で
【オーラ防御】【激痛耐性】で耐え抜くスタイル
挟み潰されかけても、こじ開けてみせる
あなたのパワーにもこの体は屈しませんとも

好機を見れば、【ダッシュ】、
必殺の《トランスクラッシュ》
闘気纏うヒップアタックにて、いざ砕きにいきますよ!

他、【野生の勘】にて閃いたことあれば従い行動


ステラ・リデル
【SPD】
あれがクエーサービースト、その尖兵ですか。
銀河帝国さえ手が出せなかったその力、まずは一当たりして測らせて貰いましょう。

オド(オーラ防御)を活性化。
念動力を姿勢制御と推力として敵の下へ。
『JOXストリミド』は直感(第六感×見切り)で回避あるいは衝撃波で逸らして可能な限り本体部と思われる、半円型の水晶状物体に近づきます。
十分に近づいたら『魔力解放』を行います。

アドリブ・連携歓迎。味方への呼び方は苗字+さん。



●星の獣に挑みし小さきものども
 ユーフィ・バウムはバーバリアンである。蛮族の中で戦士として育った。
 蛮勇という言葉は、大抵の場合よからぬ意味合いを持つ。
 だが、ユーフィ本人に限っては違う。彼女はその蛮勇を好んで用いる。
 むしろ野蛮であることを誇るほどだ。彼女にとって、蛮性は誇りなのである。
 ゆえにユーフィは、生まれついてのバーバリアンであり、戦士であった。
 ……しかし今回ばかりは、敵に回した相手が悪すぎた。
 クエーサービースト。小惑星規模の、まさに天体級の宇宙生物。
 尖兵ですらこれだ。この先の深宇宙にはどれほどの軍勢があるというのか。
「その巨体、砕いてみせます。勝負っ!!」
 直径が数メートルを越える触手を相手取り、ユーフィは徒手空拳でかかった。
 いや、それは勝負とすら言いがたい。壁にぶち当たるようなものだ。
 いかにユーフィが優れたバーバリアンであろうと、物理的限界というものがある。
「く、ぅうううう……ッ!!」
 どれほど力を込めようと、触手が揺らぐこともちぎれるようなこともなく、
 ユーフィはあっさりと押し退けられ、別の触手に背後を取られていた。
 敵は圧殺を選んだのだ。その大きさゆえに、もはや逃れようも――ない!

 だが、その時である!
「ニャン! 聞こえたぞ!!」
「ふぇっ!?」
 ユーフィの真横に光のようなものが瞬いたと思った瞬間、そいつはいた。
 一言で言えば黒猫だ。学生めいて学帽を被った、おそらくはケットシーの少年。
 彼の名は無明・緤。相棒であるからくり人形とともに、次元をも飛び越える黒猫。
「ここは危険だな。お嬢さん、失礼!」
 ユーフィが何か云うよりも先に、緤は少女の手を取って再び転移した。
「聞こえる――あちこちから聞こえるぞ。戦う猟兵たちの叫びと勇敢な声が!
 さあ、"猫をこころに、ニャンと唱えよ"! 我が赴くは、戦乱の宇宙なりっ!」
 時空転移のユーベルコード! ふたりは人形とともに瞬時に姿を消す!
 直後、ふたりが居た場所が、ふたつの触手により押し潰され空間がたわんだ……。

 次いで緤とユーフィが出現したのは、水晶体を目指すステラ・リデルのそばだ。
 荒れ狂う触手を回避していた青髪の女は、突然の闖入者にも怜悧な表情を崩さない。
「こんにちは。なにやらピンチをかろうじて回避したようですね?」
「話が早くて助かるな! おれも接近したいんだが、どうもうまくなくてね」
「わ、わたしだって、挟み潰されかけたってこじ開けてみせましたし!」
 ユーフィは強気に言うが、緤とステラは彼女を見返して互いに首を横に振る。
「勇敢であることは誉れでしょう。ですが、連携も重要な要素ですよ」
「ああ、そうとも! どうせやるなら、息を合わせて一気に行こうじゃないか」
「……そういうことなら……わかりました。今度こそ、パワー勝ちしますっ!」
 ユーフィは握り拳を作り、強く言った。ステラと緤は頼もしげに頷く。
「おれが思うに、クエーサービーストのあの水晶体は"眼"のようなものだ。
 あそこを叩けば、あちらの攻撃の勢いを減じることが出来るはず。なんだが……」
「さすがにあの数の触手は、そう簡単にかいくぐるわけにはいきませんね。
 もっと機動力の高い方がいれば、それに乗じて近づけそうですが……」
 緤とステラは、回転し触手を乱舞させるクエーサービーストを睨んだ。
 そんなふたりの思案を打ち切ったのは、あっ、と声を上げたユーフィである。
「アレみてください! アレ!!」
 驚いた彼女が指差した先に見えたのは――躍るように舞う、ふたつの光だった。

 クエーサービースト近縁部!
 敵を翻弄する猟兵たちのなかで、ひときわ高い機動力で飛び交うふたりの戦士あり。
 魔剣オルトリンデを長銃型の魔杖に変化させた露木・鬼燈と、
 2メートル強のフェアリー用外骨格"パンデュール"を駆るトゥール・ビヨンだ。
「さすがの巨大さだね……一撃でも食らったら一瞬で終わりだ。気が抜けない!
 けど、ボクとパンデュールのスピードを、そう簡単に捉えられると思うなよ!」
 トゥールの自信満々な言葉通り、ひとりと一基の速度はずば抜けている。
 蝶のように舞い、蜂のように刺す――そんな言葉がふさわしい高機動である。
 だが、それもいつまでも続くわけではない。このままでは埒が明かぬ。
「そこの人! さっきから妙なコトしてるけど、一体なんなのさ!?」
 トゥールの言葉に、魔道士めいた装いの鬼燈が振り向いた。
 化身忍者である鬼燈は、その忍法によって数多の"化身鎧装"を召喚・装着し、
 様々な状況に対応・特化した戦闘形態を取ることが可能である。
 竜骸の魔導士というべきその装いは、機動戦闘よりも破壊力に特化した形態。
 そんな鬼燈は――戦闘宙域に生まれる無数のデブリを回収していたのだ。
「ん~、こんなとこかなー? いやあ、サイズ差がひどいし武器が必要――っと!」
 ぐおんっ!! 巨大な触手がふたりをまとめて薙ぎ払おうとする!
 鬼燈は呪焔を噴射し、トゥールとパンデュールは燐光を放ち加速、これを回避。
「武器を作ろうと思ってたっぽい! 材料は集まったから、あとは――うん!
 悪いけどちょっと囮になってほしいのです! 射出するのに隙が大きいから!」
「藪から棒に無理難題ふっかけてきたね!? ――まあ、出来るけどさ!」
 サイズ差は絶望的。だが、スピードに関してはパンデュールの得意分野だ。
 パンデュールとトゥールの肉体と精神が同調した瞬間、その背に翼が生まれ、
 妖精めいた燐光を撒き散らしながら神速の域に到達。残像を生みながら舞い踊る!
 クエーサービーストがもし言語を用いる生物であったならば、
 そのあまりの速度に眼を剥き、小癪な小虫めと捨て台詞を吐いていただろう。
 どれほどクエーサービーストが回転し、あるいは水晶体から光線を放とうと、
 音をも越えて舞う超常鎧装を捉えることは不可能なのだ!
「これがシステム・パンデュールさ! どうだい、目がくらむだろう!?」
 稲妻じみたジグザグ軌道を描き、トゥールは水晶体へと駆け上る。
 そちらへ注意が逸れた隙に、鬼燈は寄せ集めたデブリを術式により変形。
 突撃槍じみた鋭角的フォルムの武器――すなわち、ドリルを生成した!
「そいじゃあ一本目、投射開始ぃっ!!」
 ギュルルルルルル――ガガガガガガガッ!!
 電磁投射されたドリルが、触手に突き刺さり猛烈に回転する!
 クエーサービーストは己の身を抉り突き進むドリルに気付いたが、もう遅い。
 鬼燈が二本目のドリルを放つ。巨体を抉りながら孔を穿つ鋼の突撃槍!

 そしてそこへ、ユーベルコードにより先の三人が転移してきた!
「やっぱりいたな、あのデカブツに近づこうとする勇敢な猟兵どもが!」
「勇ましさならわたしだって負けてません! 今度こそっ!!」
 転移が終了した瞬間、ユーフィは真っ先に駆け出して獣に吶喊した。
 目指す先は――そう、鬼燈が抉った炸薬孔。敵の傷を二度撃ちする作戦だ!
 それを拒むように触手が荒れ狂うが、ユーフィは恐れることなく真っ直ぐに突撃。
 それが却って敵の攻撃を撹乱する予想外の動きとなる。バーバリアンここにあり!
「どれほど巨大な相手でも、鍛え上げたわたしの体は負けはしませんっ!!」
 己の五体そのものを弾丸とし、闘気を纏った全力のボディアタックが炸裂。
 爆薬じみた衝撃が、ドリルで穿たれた孔から敵の体内を激震させた!
「私たちは上を目指しましょう」
「ああ! やつの目を潰す!」
 ステラ、そして緤は、悪足掻きじみて荒れ狂う触手をかろやかに回避し、
 超高速で敵を翻弄するパンデュール(トゥール)の軌跡を追った。
 そしてひび割れた水晶体を見下ろす敵の上方で、三人の猟兵は視線を交わす。
「そこな猟兵! ヤツの中に入れるか!?」
「ボクとパンデュールに不可能はないさ! 見ててよっ!」
 兜割りじみて急滑降したパンデュールの鋒が、水晶体を穿った!
 緤は己の相棒=人形をそのあとに負わせ、割れた亀裂に鋼の手刀を叩き込む。
「さあ、未知を見せてくれクエーサービースト――ぐっ!?」
 強烈な情報のフィードバックに、緤の頭がハンマーで殴られたかのように揺れた。
 悪意の逆流を阻もうと、ステラはオーラセイバーを最大限に伸長。
「――その悪意。消え去りなさい!」
 全身で練り上げられた消滅の魔力が、オーラの剣とともに振り下ろされ――クエーサービーストの体内に突き刺さる。
 上部、そして下部。二箇所の体内同時炸裂攻撃! 星の獣の巨躯に、いくつものヒビが走った!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

秋山・軍犬
では、キエリビウムJOXが
食用になるかどうかを調べるっす(真剣)

まず、物質分解光線はオーラも分解するのか調査
【黄金の厨房】で黄金のオーラから
巨大な串を生成し光線に向かって投擲

串がどうなったかによって、次の作戦が決まる
分解されるなら、現状は軍犬に対抗手段無し
他の猟兵のサポートに回る

分解されなければ、自身の身体全体に纏うように
巨大な包丁状のオーラを展開、敵の触手などの部位を
切り取りにかかる(オーラ防御+気合い+空中戦+早業)

※上手く討伐出来た上で可能であれば
食えそうな部位を持ち帰り研究(料理+野生の勘+情報収集)
得られた情報は今後の開拓の為にパトリック船長に渡す。


コルチェ・ウーパニャン
大丈夫!! コルチェ、こういうのが来るって、分かって来てた!!
今までサボってたわけじゃないよ!
コルチェに任せて! コルチェ、星座を作る、練習をしてたの……!!
ピカリブラスターからシールを射出!
シールとシールをつなげた線が、迷路になるよ!
星と同じくらい大きい敵なら、それよりもっと大きな星座で、捕まえちゃえ!!
物質分解光線にも負けないくらい、シールはバンバン撃って、貼り直すよ!

近寄るのもコワいくらいの、大きさでも……!
閉じこめて、捕まえて、みんなに手出しは、させませーん!

回避はピカリブラスターの射撃の反動で、フワフワやるよ!
一人で戦ってるんじゃないの、コルチェ、分かってる!
皆で、乗り切ろうね!


神元・眞白
【WIZ/割と自由に】
皆、クラゲって知ってる?普段は水の中を流れに任せて漂っているみたい。
宇宙版のクラゲも同じで大きさに合わせた電気を出せるとか。
口は傘の部分の下………飛威?今は新しい出だしを考えていたのだけれど。

…そう、そうね。大きなクラゲだけどどこまで細かく動いてくる?
あの波動に当たったらまずい、と。30秒…30秒の目測を立てておかないと。
離れていたらやりにくいしここは近づいて邪魔になりそうな触手を潰そう。

蛇竜を移動用途兼デコイに。危ないなら乗り捨てて新しく召喚。
回避する方向を上下左右に振って、別な触手の背後取りをしつつフェイント。
飛威にサポートしてもらうけどできれば自滅してもらう方向性に



●宇宙クラゲ(全長数百メートル以上)
 フードファイター、秋山・軍犬にはひとつの謎があった。
 この一週間の航海の間、謎は一時たりとも頭を離れてはくれなかった。
 そしていま、クエーサービーストの巨躯を目の当たりにした時。
 さらに猟兵たちの立て続けの攻撃が、星の獣を弱らせていくたび。
 謎は、それを解き明かしたいという欲求は強まり、胸を高鳴らせる。
 ともすればそれは、この深宇宙に新たな惑星を見つけ出そうと夢を思い描く、
 ナイチンゲール号の人々にも似た――いや、似ているだろうか。本当に?
「……食える」
 軍犬は呟いた。コルチェ・ウーパニャンは彼の顔を二度見した。
「えっ」
「食えるっす! あの感じ、間違いなく食用に出来るっすよ!!」
 自身が投擲した巨大な串(ユーベルコード製)が分解されたのを見た軍犬は、
 興奮した様子で叫んだ。この混乱では誰も彼にツッコミを入れてくれない。
「オーラの串が分解されちゃったんで、自分が直接出来ることはないっすけど!
 でも! クエーサービーストは食えるっす! あとはサンプルを手に入れるだけ!」
「おー! ……で、どうやってサンプルって手に入れればいいの!?」
「自分には! どうしようもないっす!!」
 熱い無力化宣言であった。コルチェは笑顔でおー! となぜか頷いた。
「大丈夫! コルチェね、コルチェね、こうなるってわかってきてたからね!
 いままでサボってたわけじゃないよ! 星座を作ってたのも練習だったの!!」
「……そうだったんすか!?」
「そうだよ!!!!」
 驚く軍犬をふしゃーっと威嚇しつつ、コルチェは愛銃ピカリブラスターを装着!
 光ファイバーの髪が七色に輝く。一体あの巨躯を、どう攻略するというのか……。

「……なんだか、楽しそうな気配がする」
 そんなやや緊張感なく騒いでいるふたりを、神元・眞白が目ざとく捕捉した。
 いかにも深窓のご令嬢みたいな佇まいをしているこのミレナリィドール、
 実は真顔であれこれトンチキをやらかすわりと不思議系の猟兵である。
 メイド姿の戦術器(からくり人形)たちを従え、眞白はふたりのもとへやってきた。
「ねえ、あのクラゲを抑えるためのデコイは必要?」
「うおっ!? ま、まあそうっすね、自分は近づけないんで……!」
 軍犬の言葉に眞白は頷き、リザレクト・オブリビオンを使用した。
 彼女のそばに侍るかのように、死霊の蛇龍と騎士が出現する。
 あの巨躯、そして荒れ狂う光線と触手に対し、それはあまりにも頼りない。
 だが彼女の戦術器、飛威と符雨もまた、それぞれの武器を構えて陣形を組む!
「……あなたのそれなら、あのクラゲをなんとかできる?」
「うん! 見ててね、コルチェはねー、でっかいでっかい星座を作るんだよー!」
 コルチェは笑顔で頷き、到底届かぬはずの距離で銃のトリガーを引いた。
 するとブラスターから熱線が放たれ――ない。放たれたのは……シールだ!?
「そーれ、ぺたぺたぺったーん! いっぱい貼っちゃえー!」
 ぺたり、ぺたん、とあっちこっちにいくつものシールが射出される。
 空間そのものに張り付いたシールは、それ自体は何の変哲もないシールだ。
 だがよく見れば……シールとシールをつなぎ合わせる光の線がいくつも浮かぶ。
「……まさか、あれは!」
「そうでーす! コルチェが考えた、ソフトクリーム座だよー!!」
 コルチェがそう言った瞬間、シールすべてが星のようにまばゆくきらめいた!
 線と線が繋がり同じように輝き、ソフトクリームと呼ぶにはやや不格好な星座を描く。
 するとどうだ。それは距離を無視し、サイズ差を無視し、クエーサービーストを縛りつける光の結界となったではないか!
「す、すげえ! 星座サイズなら、たしかに大きさは負けてないっすね!」
「近寄るのがコワいの大きさでも……コルチェの夢のほうがでっかいのでーす!
 さあ、あとはみんなにおまかせ! あいつをやっつけちゃえ、ごーごー!」
 軍犬は眞白の視線に頷き、ふたりで蛇龍の背に乗って宇宙を駆けた。
 オーラの武器は分解されてしまう。物質分解波動を防ぐことは出来ない。
 ……だが、それでいいのか? 自分はあの星の獣を食おうというのだ。
「美味しいメシのためなら、少しぐらいは危ない橋を渡るっすかね……!」
 逆境に面してなお尽きぬ食欲が、軍犬の五体を黄金のオーラで包み込む。
 やがて収束したそれは、巨大な包丁めいたカタチを得た!
「……あの触手なら、斬れそう」
「よっし、サポートはお任せするっす!」
 眞白は頷き、戦術器たちとともに蛇龍から飛び降りた。
 飛威がナイフを振るい、符雨がマシンガンを連射して触手を牽制する。
「クエーサービースト! その体ぁ、美味しく頂くっすよー!!」
 そしてどこまでも長く長く延びた黄金の包丁が――おお!
 コルチェが笑顔で快哉をあげるとともに、巨大な触手を……真っ二つに! 叩き斬ったのだ!
「やったー! ご飯ゲットだいぇーい!!」
「へへ……食べ物のためなら、なんだってやってやるっす……!」
 追撃の触手を光線をかろうじてかわしながら、軍犬は不敵に笑ってみせる。
 巨体から切り分けられた"食材"は、きっと多くの情報を人類にもたらすだろう。
 それは、ただ単にフードファイターの意地の問題ではない。
 彼らの夢を後押しする、馬鹿げていても大事な最初の一歩なのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒・烏鵠
【万嶺殿】
よォ阿呆共、本命がお越しだゼ。アレを片して、よーやく今回の任務は完了だ。
わかンだろォ、アレが敵だよ。ニンゲンの敵。人間の敵だ。
ならオレの敵だ。
だからよ兄弟、手伝ってくれよ。人間に興味の無い弟と、人間が大嫌いな弟よ。
オレは人間が好きなんだよ。
だから手伝ってくれ、頼む。

蛇を呼ぶ。只の蛇じゃないぜ、“小”が付かない“惑星”サイズの蛇神だ。
分解光線、大いに結構!こいつは物質じゃねェし、そのうねうねする脚をひとっからげに巻き止めてやるさ。
ユベコは封じた。やれ、兄弟!


アルバート・クィリスハール
【万嶺殿】
そうさ、そうだよ。
僕は人間が嫌いだ。この一週間で思い知った。
好きになれない。…いや、ちょっと違うな。
僕は人間に嫉妬してるんだ。
だから見てるだけで苛ついてムカついて消したくなる。

けど、そうだね…腐っても、僕は猟兵だから。
助けるよ――「兄さん」にも頼まれたもの。

狐が封じ、イルが焼いたなら、その炎に紛れて僕が近づく
やつに触れるほど近くでコードを起動してブラックホールを作る
自分にだけ保護をかけてね
ぐしゃぐしゃに潰れてくれよ、無様にさ
醜い方が僕は好きだから


イリーツァ・ウーツェ
【万嶺殿】
流石は狐、我が兄の慧眼には頭が下がる
最初の三日は人間を観ていた
然れどとんと理解出来ぬ
故に残り四日は兄を観た
人間の如何いう行動に、如何いう反応を返すか
其れさえ判じてしまえば、真似事は出来る

嗚呼、人間は解らん
だから含む物も無い
兄が望むのであれば手を貸そう

狐が敵の動きとUCを封じるだろう
そこに「全力魔法」の【北焙咆】を叩き付ける
何も思わず破壊を重ねたのだろう
其の全てが貴様の罪
故に此の炎は、太陽にも匹敵するぞ

さあ往け、弟よ



●ニンゲンの敵、人でなしどもの獲物
 そもそも、"人間"とは何を以て、どういうモノを指すのだろうか。
 種族としての人間――あるいはその近縁種というならば、わかる。
 ウォーマシンは人間ではない。だが、スペースノイドは人間だ。単純な話だ。
 頭を持ち、二足で歩行し、人の言葉を使い、文明を築くのが人間だ。
 愚かで、情熱的で、弱くて短命なくせに生き足掻くのが人間だ。
 ……だが不思議なことに、このように定義すると途端にすべてがブレる。
 ドラゴニアンはどうだ。
 キマイラは。
 エルフは。ドワーフは? フェアリーは。
 その他様々な種族がいて、多くは大小異なれどヒトの姿を取る。
 それらをひっくるめて"人間"と呼び扱う者もいれば、逆もまた然り。
 ウォーマシンの中にすら、人間と呼ぶしかない機微を見せる者だっているのだ。
 人間とはなんだ。
 おそらくそれは、人間にすらもわからない。
 だが、"彼ら"には、少なくともひとつだけ言えることがある。
 確かな線引きがある。

 人間とは、"彼ら"以外のモノを指すのだろう。

「…………イルはさ」
 戦闘宙域に向かって羽ばたきながら、アルバート・クィリスハールが呟いた。
 その隣を相変わらずの無表情で遊泳するイリーツァ・ウーツェ。一瞥だけ向ける。
「あの旅で、ニンゲンがどういうものかわかった?」
「まったくわからん」
 イリーツァの答えは、いつものようにシンプルで直截だった。
 そのことを後悔している様子も、楽しんでいる様子もありはしない。
 わからないものは、わからない。変えようがないのだから仕方ない。
 そういう顔をしていた。
「最初の三日は人間を見ていた。然れど、とんと理解できぬ。
 ――ゆえに残り四日は、兄を観た。それで私は十分学べた。"真似事"をな」
 人間のどういう言葉に、どういう反応を返せばいいのか。
 ようは反射だ。なるほど、仕組みにしてしまえばそれだけの話である。
 だがその実、イリーツァはそこにある"重要なもの"に気付いていない。
 だから結局、それは彼の言うとおり、真似事でしかないのである。
 アルバートはそれを――嬉しく思い、同時に憐れみめいたものも感じていた。
 その憐憫めいたものの正体が掴めないことを、そんな感情を覚えたことを、
 アルバートは心の底から腹立たしく思う。人間。ニンゲン。にんげん。
「……僕は人間が嫌いだ」
「そうか」
「好きになれない……いや、ちょっと違うな」
 これは、嫉妬だ。そう言葉にした時、心のなかで何かがすとんと収まった。
「……そうか」
 イリーツァの言葉は、やはりシンプルで、ただそれだけだった。

 ふたりが脳裏に思い返していたのは、船を発つときの荒・烏鵠の姿だった。
「よォ阿呆ども、本命がお越しだぜ」
 巨大すぎる天体生物を、窓越しに親指で指し示して、長兄は言った。
「アレを片して、よーやく今回の任務は完了だ」
 人間たちが慄いていた。だのに、尻尾を巻いて逃げてはいなかった。
「わかンだろォ。アレが敵だよ。ニンゲンの敵。人間の、敵だ」
 化物(じぶんたち)の敵では、ない。
 だが烏鵠は言う。
「なら、オレの敵だ」
 そしてにこりと微笑みめいた表情を浮かべて、ふたりに言うのだ。
 あの雨の中、見捨てられた人間のいのちを救ったときのように。
 あるいは数多の世界、化け物には何の関係もない人間どもを守ったときのように。
「だからよ兄弟、手伝ってくれよ」
 人間に興味のない弟を見た。
 人間が大嫌いな弟を見た。
「オレは人間が好きなんだよ。――だから手伝ってくれ、頼む」
 烏鵠は頭を下げる。彼は、自分が頭を下げるということの重みと意味をわかっている。
 だがあのダークセイヴァーのときのような捨て台詞は、アルバートから出なかった。
「……わかったよ」
「兄が望むのであれば、手を貸そう」
 ただふたりして、短くはっきりとした答えだけが返ってきたのだ。

 ナイチンゲール号、ブリッジ。
 烏鵠は、遠く戦闘宙域の戦いを、分厚いガラス越しに見つめていた。
「まったく、阿呆で手のかかる――いい弟たちを持ったモンだぜ、オレはヨ」
 これほど遠くてもなお巨大なクエーサービーストを、指でなぞって囲んだ。
 するとどうしたことか、戦闘宙域に、突如として蛇が現れたのだ。
「さアて、そいじゃアデカブツにはデカブツといきますかねっとォ」
 十三術式:括リ蛇(くくりかがち)。
 対手に応じてその大きさを変える蛇神は、星の獣すらも凌駕する。
 惑星そのものの規模。遠く戦闘宙域で、星の獣が無駄な足掻きをするのが見えた。
 蛇神は巨きすぎる身体を重苦しそうにもたげ、幾本もの触手もろとも獣を縛る。
 古狐はにやりと笑った。届かぬはずの声をぽつりとつぶやく。
「――さあ、やれ。兄弟!!」

 戦場!
「やってやるよ、"兄さん"!」
「いいだろう。業を以て灼き尽くす」
 まずイリーツァが動いた。拡げた両掌の間に、業の焔が生まれる。
 いかなる壁も、盾も、守りすらも拒み、ねじ伏せ、嘲笑う災厄にして最悪の焔。
 活火激発・北焙咆。人類を天敵とみなす宇宙天体の"罪"とはなんぞや。
 そのすべてである。破壊こそは獣の罪。燃え上がるさまは太陽に等しく!
「この焔を以て業を知れ――」
 業火の弾丸が放たれた。それは宇宙を焦がしながらみるみるうちに巨大化し、
 縛られたクエーサービーストの全身を呑み込んでごうごうと燃え上がる。
 龍が弟を見た。人でなしの翼人は頷いて、燃え盛る獣へと疾走した。
 ……人間は嫌いだ。見てるだけで苛ついて、ムカついて、消したくなる。
 けどそれは、そうでいられなかった自分に対する苛立ちなのだろう。
 ああ。妬ましい。妬ましいから、せいぜい助けてやるさ。
 己は人でなしだ。だが、人でなしである前に――。
「いい加減わかったろ? これがお前をブッ殺す、"猟兵"の力だよ」
 指先から、あってはならない黒点――万物を延ばして潰す重力の井戸が生まれた。
 超重力は痙攣する触手を飲み込み、引きちぎり、バラバラにぐしゃぐしゃに潰す。
 アルバートは嗤った。獣が醜く潰れるさまを、悶え苦しむさまを嗤った。
 ……その笑みは、己をも嘲るような笑みだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

斬崎・霞架
【WIZ】

なるほど、確かに巨大ですね。
ですがアレはクエーサービーストの中では最も弱いのでしょう?
…ならば、ここで苦戦しては話になりませんね。

クルーの皆さんにも出来る事はあるでしょう。
アレ以外の脅威がないとは限りません。警戒は怠らないように。
猟兵であれど、負傷し帰還する事もあるでしょう。
治療の準備はしておいて下さい。
…サボっていた方は、鍛え直しですよ?

物質を分解する光線、ですか。
…ふふ、面白い。
僕の呪いと、力比べと行きましょう。
(真正面から【オーラ防御】【呪詛】【激痛耐性】で受け止める)

…さぁ、今度はこちらの番ですよ。
その巨体で、これを避ける事は出来ないでしょう。
(【力溜め】から【流星】を放つ)


ルーナ・ユーディコット
流石にこれは新たな決意で挑むには準備不足が過ぎる
生半な事では傷一つ付けられずに叩き落されかねない

業腹だけど守るべき銃後に攻撃を流すわけにもいかない
命を賭けよう

壊狼【流星】の飛翔能力で頭っぽい個所を目指すよ
触手を掻い潜れるかは賭けに近いけれど、触手が接触しそうになったら手持ちの武器を投げてデコイに
物質以外分解されないならそれに沿ってぶち抜く……例えば、身に纏う炎で
賭けもいいとこだけどやり直す余裕も考え直す暇もない
勝負は一撃
流星は臆さず、ただ流れるように
誰かだけでなく私の未来も照らせるほどに輝け、突き進め
進むんだ

まあ、私が駄目だった時の後は任せるよ
誰が続くのか見送る余裕はないだろうけど



●道を切り拓くために
 命を懸けて。
 言葉にすれば簡単だ。フィクションでは嫌というほどありふれた慣用句。
 それを口にすることを、ルーナ・ユーディコットはあまり好んでいない。
 当然だ。寿命を薪にして焔を燃やし、戦いに身を投じることが嬉しいはずはない。
 そこに喜びを感じるほど、己は修羅に成りきれてはいないのだから。
 ……怖いのだ。そうして、心までも獣に出してしまうという最期が。
 それならばいっそ、ヒトとして命を焼き尽くしたほうがいくらかマシだ。
 だが、それは"マシ"というだけの話。それもまた、望んでいる未来ではない。

 超重力と業の焔に責め苛まれたクエーサービーストの巨躯は、いまだ健在。
 たとえばの話だ。山の土をどれほど掘ったとして、『山』はそこに在り続ける。
 海の水をどれほど汲み上げたとしても、『海』もそこにあるだろう。
 そういうレベルの巨躯である。されど、甚大なダメージはたしかに負っていた。
 だがまだ足りない。その存在を滅却するには、気の遠くなるダメージが必要だ。
 だからルーナは、いつものように恐れを押しつぶし、命を燃やした。
 命を薪として燃え上がる蒼い炎は、その身を包み込み流星へと変える。
 回転するクエーサービーストは、触手を乱舞させ水晶体から無数の光線を放つ。
 当たらなければよし。当たったとしても、四散するまえに駆け抜ければよい。
「業腹だけど……ッ! 護るべき銃後を、壊されてたまるかッ!」
 それは流星だ。蒼い軌跡を描きながら進む、ひとしずくの流星であった。
 後先など考えない。この一秒に全てを込めて、次の一秒を運命からむしり取る。
 勝負は一瞬。ただ一撃。敵はその千の攻撃のどれかで自分を滅ぼすことができる。
 分の悪い賭けもいいところ。うまくいったとしてそれですべてが終わるわけではない。
 だが、考えるような時間はない。だからルーナはただ駆け抜ける。
「……私の、未来を……ッ」
 宇宙の闇を。立ちはだかる巨躯を。己をつまみとろうとする運命めがけて。
「誰かの未来を……照らし出すぐらいに、輝け、突き進め――進めェッ!!」
 それは呪縛めいていた。そして蒼い流星は、波動を越え触手を越え、
 ついにその根本――星の獣の巨躯の中心に、矢のように突き刺さったのだ!

「……無茶をしますね」
 それを目の当たりにしていた斬崎・霞架は、笑みを消して顔を顰めた。
 だが、それが彼女なりの戦い方なのだろう。ならばそれには敬意を払おう。
 同じように、ただ勝利のみを貪欲に求める、強く非ねばならぬと己を呪った者として。
 そしていま、あの輝きを目の当たりにした自分に出来ることはなんだろうか。
 クエーサービースト。一体一体が星のごとき、宇宙の天体に等しき天敵。
 ナイチンゲール号ははるか後方。クルーたちにかける言葉は十分に送った。
 ならば、そう。言葉のあとに来るものは――。
「……ではひとつ、僕も"流星"をお見せするといたしましょう」
 あろうことか、霞架はルーナの軌跡をなぞるように、まっすぐに飛んだのだ。
 苦しみ悶えるクエーサービーストが、あまりにも小さすぎる敵を捉えた。
 水晶体が煌き、燃え盛る触手を伝うようにして、万物を燼滅する光線を放つ。
 それは死だ。生命は決して耐えられない、宇宙の無慈悲を凝り固めたような死。
 だが見よ。霞架は己の黒い手甲を、呪われたその根源をかざした。
 盾のように。あるいは、遠く北極星を測る六分儀のように。
 すると彼の身体を包み込むほどの太さの光線が……おお!
「……ぬう……ッ!」
 相殺している。渦巻く黒い呪いと、万物を滅ぼす分解波動光線が相殺している!
 光を切り裂くように霞架は翔ぶ。速度が早まる。宇宙の暗黒に昏い軌跡を描く!
「さあ、お返しですよ――どうぞ、あなたを滅ぼす呪いの星をお受け取りください!」
 放たれるのは黒い光。宇宙の暗黒にすら染まらぬ、死そのものの呪い。
 生命を滅ぼす殺意の弾丸。幾本ものそれが、触手を、水晶体を、獣を撃つ。
 死である。オブリビオンすら滅びに叩き込む死そのものの流星だ。
 力尽きたルーナの身体が、押し潰そうとしていた触手から離れて宇宙に舞う。
 霞架はそれを一瞥し、さらなる呪いを練り上げ、黒き流星を生み出した。
「――教えてあげますよ。僕たち人間が命を賭けるということの意味を」
 それこそが、あの蒼き輝きに対する最大限の敬意になると信じて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

千桜・エリシャ
戦争で見かけた蛸とはまた随分と趣きが違いますわね
首がないのは残念ですが
強敵と戦えるのならば
この際我慢致しますわ
折角ここまで来たのですもの
心躍る戦いを愉しみましょうか

光線は花時雨を開いてオーラ防御
カウンターで弾き返して差し上げましょう
何度も当たってあげるほど私は優しくありませんの
見切りで触手を回避しつつ動きのパターンを読みましょう
完全にランダムなんてことはないはずですもの
動きが読めたらわざと光線を誘導し
既のところで避けて他の触手に当てたりなども試してみましょうか
さて、ちまちま触手を相手にするのも効率が悪いでしょうし
触手を駆け上って頭部に斬撃を叩き込んでみましょうか
2回攻撃を載せた大盤振る舞いをね



●宇宙に舞う胡蝶花
 幾本もの触手を相手に、ステップを踏むようにふわりふわりと舞う女がいた。
 数多の戦場を駆け抜け、何体もの強敵と相対した羅刹、千桜・エリシャ。
 たとえ敵がはるか彼方に届くほどの巨体、星の獣であろうと、
 瀟洒であり艶やかであり、美しい振る舞いはいささかも揺らがない。
 愛用の花時雨を開き、雨あられのように乱舞する光線を軽やかに払う。
 ぐおんっ、と振るわれる直径数メートルの触手をたたんっ、と蹴立てて回避し、
 むしろそれらを足場に、根本であるクエーサービーストの胴体を目指すのだ。
 異形の獣に首はない。首を求めるエリシャにとってはそれが業腹であった。
 それ"だけ"が業腹なのだ。他のことはどうでもいい。敵は強ければ強いほどいい。
 なるほど、星のごとき巨躯。実にいい。滅ぼしがいがあるというものだ。
 一瞬間違えれば、少しでも手元が狂えばエリシャは死ぬ。これは確定的事実だ。
 物質分解波動、そしてその波動を収束させた光線は、それ自体が必殺である。
 ましてや触手は巨大であり、盾もなしに喰らえば押し潰される。
 締め付けられる、どころの話ではない。圧殺である。物理的必然と言えよう。
 だが、エリシャの表情を見よ。そこにあるのは――陶然たる笑みであった。
「ふふふ。さすがの私も、お星様を斬ったことはありませんの。
 ねえ、あなたは偽物だけれど、同じぐらいに大きいならば――」
 たん、たたんっ、と、乱舞する触手を階段のようにジャンプして駆け上る。
 背後から襲いくる光線を花時雨で弾き、むしろそれで触手を分解せしめる。
 なんたる非常識なまでの、しかし華麗な立ちふるまいであろうか。
 どれほどの死線を潜り抜け、どれほどの修羅場に身を置けばこうなるのか。
 読めないはずの獣の挙動を読み、見えないはずの波動を感じ、
 抗えないはずの触手をかわし、足場にして避けられないはずの光線を弾く。
 緩やかに、しかし疾風のように鋭く、エリシャは触手を駆け上る。
 目指す先はただひとつ。すなわち――あの青く輝くドーム状の水晶体だ。
「あいにく、星を輝くような手品は出来ませんけれど――」
 すらりと、刀が宇宙の暗黒に鞘走った。
 胡蝶が舞い踊り、桜が散る。振るわれる剣は呪詛のそれ。
「手向けの花であれば、これこの通り。いくらでも咲かせますわ?」
 刹那の一瞬、およそ250を超える斬撃が水晶体をざくりと斬り裂いた。
 紅い花が散る。亀裂が走り、そこから何らかの重篤な液体が漏れ出した。
「うふ、ふふふ! 首はないけれど、星を斬るのも楽しいですわね!」
 紅い花の中、躍るように刀を振るう笑顔の羅刹。
 それはまるで、血の海ではしゃぐ餓鬼のように恐ろしく、そして美しい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パーム・アンテルシオ
ふふふ。本当に、一切の容赦も躊躇もないね。
…襲ってくるものを、危険を排除するのは、自然の摂理。
降りかかる火の粉を払うのは…人として、当たり前のこと。

それでも、私は…知る事ができるのなら。
あの子たちの事も、知りたいな。
なんて。落ち着いて話なんて聞けないと思うから…
無理やり、試すだけだけど。ふふ。

ユーベルコード…歌美連。
あなた達に、意志はある?
あなた達に、歌は届く?
あなた達に、心はある?
その心に…私の歌は、響く?

誰とでも、仲良くできる…なんて、夢見がちな事は思わない。
だから、私はただ、知りたいだけ。
知って、覚えていたいだけ。
遠い世界の、人とは遠い、何者かの事を。
そこにたしかに在る、あなた達の事を。


ステラ・アルゲン
(アドリブ・連携OK)
……泣いていては駄目だ
人を導く星が曇っていてはいけない

しかしあの図体で尖兵とは。いいや相手が何であれ倒すのみ
宇宙の未来を照らし導くしるべの灯火として輝こう

【希望の星】を発動(姿は白銀の女神・瞳孔は白に変化)
輝く星の光にて幻術の【属性攻撃】で残像を作り出し、敵の攻撃を空振りさせることで避けようか
光にて味方の力を上げて援護もしよう【オーラ防御・鼓舞・勇気】
剣に【祈り】を込めて【力溜め】、希望を力に変えて光線として敵に放とうか

帰る場所……最初に居た場所を思い出せないがこれだけは言える
今の私には帰るべき場所はある。それは宇宙(そら)ではない
星は地上で輝く事を決めたのだから


七篠・コガネ
で…デカッ!あれが例のクエーサービーストって奴です!?
確かに…帝国兵だった頃にも聞いた事はありません
それだけにあの向こうには何があるのでしょう?

触手の当たらない位置…およそ1km程クエーサービーストから距離を取ります
遠くても僕の視覚デバイスは【視力】が生体さんの比じゃないから大丈夫
さて…そうなると迂闊に近付く事は出来ないですね…
あの物質分解波動とやら絶対やばい…
UC発動!少しギリギリ近付いて敵が攻撃するタイミングを狙います
あの触手に当たらないよう飛行速度をもって後方へ飛びますよ

UCによる電気エネルギーを右腕に集中させて
『Endless Right』で集中発射です!
道を開けてもらいますからね!


穂結・神楽耶
うわー……
巨体って単純に脅威ですね。
さすが宇宙、スケールが違います、が。
負けるつもりは毛頭ありません。
勝利の為の援護こそ、わたくしの役割と心得ました。

おいで、【神遊銀朱】。
あの巨体からすると爪楊枝みたいなものかもしれませんが…
爪楊枝でも飛んでいたら鬱陶しいでしょう?

向けられる触手からして巨大であるならば、まず狙わせないのが肝要です。
他の猟兵様方よりも、複製太刀を狙って頂けるような立ち回りと防御を主軸において戦いましょう。

あなたたちにも理はあるのかもしれませんが。
それでも今のわたくし達は、遥かな宇宙に願いを託した彼らを肯定したい。
このエゴを、通させて頂きますよ。


狭筵・桜人
でっか。

アレをどうにかしろって無理難題すぎません?
せいぜい羽虫らしく動きまーす。

敵の攻撃パターンを観察。
――『怪異具現』。
「巨大」なUDCを喚び出してーと……
アレの前じゃ石粒みたいですけど、猟兵よりも目立てばヨシです。

大きすぎると小回りが利かなかったりしますよね。
で、攻撃時こそ隙が出来ると。
船の退避進路と味方を避けて無人の方角を検出。
UDCを囮もとい犠牲に敵の連射攻撃の軌道をそちらへズラして固定してみます。
【時間稼ぎ】ってやつですね。

僅かでも隙を作れたら今がチャンスってことでー……
猟兵の皆さん、どうぞどうぞ!
……私?この拳銃で【援護射撃】とかしてみます?
かすり傷ひとつ付かない自信がありますよ。


フェルト・フィルファーデン
さすがにこの大きさは想定外だわ……いえ、そんな事言ってる場合ではないわね。……ふふっ、大丈夫よ!皆の旅路を邪魔させたりなんてしないから!


わたしはナイチンゲール号の守りに徹するわ。……わたしの力じゃ、悔しいけれど分が悪そうだしね。

UCで炎の壁を重ねて束ね1つの大きな炎の盾にして船への光線を防ぎましょう。
真正面から受けずに【シールドバッシュ】の要領で光線を誰もいない軌道へ押し込み、すぐ受け流して軌道を逸らし直撃を避けるの。

……それでも守りきれないのならば、最後の手段。炎の盾と共に突撃し僅かでも引き離す。【捨て身の一撃】

心配しないで。痛いのには慣れているから。【激痛耐性】


やらせはしないわ、絶対にね。



●輝くもの
 星の獣――クエーサービーストに、知性と呼ぶべきものはあるのか。
 意志と呼ぶべきものはあるのか。それは、今の時点では明らかではない。
 たしかなのは、敵はオブリビオンとして当然のように生命を憎み、
 すなわち人類を拒絶し、近づくものをなんであれ滅ぼそうとしているということ。
 猟兵となればその反応は覿面で、これまでの激闘がそれを物語っている。
 甚大なまでのユーベルコードを浴びて、しかしなお敵は滅びず、退かない。
 ……ただし、いまのクエーサービーストの感情(正しく言えば、本能が感じている感情的なモノ)を言語化するとしたら、こうなるだろう。

 ――忌まわしい。忌々しい。小さき天敵どもが、我が身を削り取る。

 ――絶対的覇者であるはずの己が、こうも圧されるなど。

 ――ありえぬ。ありえぬ。ありえぬ。ありえぬ。

 ――何が彼奴らを戦わせる。何が。我への憎しみではなく、何が。

 ――あれか。あの輝き。あの人類。あの船が原因か。ならば……ならば!

「!!」
「あ、まずいですね」
 戦闘宙域で立ち回っていた穂結・神楽耶と狭筵・桜人は、即座に理解した。
 クエーサービーストの狙いが、"逸れた"。猟兵にとってはよからぬほうへと。
 誰でもない――安全宙域に離脱したナイチンゲール号へと注意が向いている!
「このタイミングで……ああもう、どこのひねくれ者ですかまったく!」
「それ、私知ってるような気がするんですけど、言わないほうがよさそうですね」
「いいですから! 狭筵様!! なんとしてでもあれを止めますよ!!」
 同じように戦闘宙域に残っていた猟兵たちもまた、クエーサービーストを攻撃する。
 だが、削られた巨躯は……おお、クラゲのように、あるいはクジラのように、
 小さきものどもの妨害に意を惹かれることなく、悠々と矛先を変えるのだ。
 狙う先はナイチンゲール号。その巨体はあまりにもあっさりと船へ辿り着く――!

「……やっぱり、こっちに狙いを変えてきたわね」
「げえっ、マジですか!? え、安全だと思ったのに!」
 一方、ナイチンゲール号甲板上。
 安全宙域まで離脱した船には、ふたりの猟兵が待機していた。
 フェアリーの人形遣いであるフェルト・フィルファーデンと、
 物質分解波動の影響を受けない超・超遠距離からの攻撃を企図した七篠・コガネだ。
 だが、フェルトにとっては予期していた通り(コガネにとっては予想外に)、
 クエーサービーストはその矛先をナイチンゲール号に定め、すさまじい速度で急速接近している。
 おそらく接敵は数十秒後。コガネの視覚デバイスは無慈悲な分析結果を弾き出した。
「……あの物質分解波動とやら、食らったらさすがに僕もこの船も……」
「ええ。わたしは守りに徹するけれど……それでは足りないでしょうね」
 コガネの言葉にフェルトは頷き、自らが従える騎士人形たちを展開した。
 電脳魔術による焔の壁を生み出したとして、弾けるのはおそらく分解光線のみ。
 あの巨体が船の間合いに到達し、直接鎌首をもたげたならば、終わりだ。
「近づく前に、一発だけなら僕のユーベルコードで先制が出来ます。
 ただ、そこに続く誰かがいてくれないと、押し返すことが出来ませんね……」
 フェルトは歯噛みした。自分に、そこまでの破壊力を持つユーベルコードはない。
 フェアリーという矮小なその身が、この宇宙の中でさらに小さくなったように思えた。
 せめて、船は守り抜こう。最悪、その身を犠牲にしてでも――。

「……道を、拓いてくれるのだな?」
 怜悧な声。いつのまにか、そこには独りの白髪の麗人が佇んでいた。
 ヤドリガミの騎士、ステラ・アルゲンである。その瞳はコガネを見ていた。
「ならば、私が続きましょう。その力を高め、必殺の一撃を奴に見舞います」
 凛とした声は、まるで熱した鉄を清水で冷やしたかのように透き通っている。
 彼ら彼女らは知る由もないが、ステラはそのアイデンティティに苦しんでいた。
 流星から鍛えられた剣――それこそがこの麗人たる騎士の"本体"であり、
 ヤドリガミとして生じた化身は、かつて在りし流星としての記憶を想起させられ、
 埋め尽くせない孤独と寂寥感に苛まれ、泣き続けていたのだ。
 ……だがもはや、暗闇で流した涙は、その鋭い瞳には存在しない。
 きらきらと意志の光に瞬く青い瞳は、まるで宇宙に浮かぶ星々のよう。
 力強く、そして凛々しく。己のなすべきことをわきまえていた。
「……大丈夫だ。ヤツは巨大だが、ここには私たちが護るべき人々がいる。
 その人々の心に灯された光を守り抜き、道しるべとなって導く。それが――」
 わずかな間のあと、ステラは緩く微笑んだ。
「私たち猟兵の使命、でしょう? ……さあ、あの星の獣を退けましょう」
 ……コガネとフェルトは、その言葉に何も言わずにただ、頷いた。
 この船を守れるのは自分たち猟兵だけだ。この人類の道を切り拓くのも同じく。
 この希望の灯火を、決して絶やしてはならないのだと理解していたから。

 ……もはや、クエーサービーストは目と鼻の先まで近づいていた。
 だがその時、突如として、クエーサービーストがびくりと巨躯を竦ませた。
 恐怖? ……それに近い反応ではある。だが星の獣に恐れというものはない。
 クエーサービーストを立ち止まらせたのは……音なくして響く、歌がゆえである。
「……襲ってくるものを、危険を排除するのは、自然の摂理。
 降りかかる火の粉を払うのは……ヒトとして、当たり前のこと」
 ナイチンゲール号とクエーサービースト、その間に浮かぶ少女がひとり。
 桃色の少女。その背に揺らめくのは、七つの狐の尾。パーム・アンテルシオ。
「……それでも、ねえ。私は、識ることができるなら、あなたたちのことも知りたい。
 けれど、あなたたちは襲い来るんだね。そうするのが当然だから、って」
 その表情は、微笑みのようでもあり、悲しむようでもあり、儚むようでもあり。
 人々と、人々の夢と、襲い来るクエーサービースト、それぞれに対する、
 様々な思いがないまぜになって、少女らしからぬ表情をかんばせに浮かべていた。
 その少女が、歌っているのだ。
 "こころ"を揺さぶり、神ですらも獣ですらも誘惑する歌美連(かみつれ)を。
 星の獣に、意志はあるのだろうか。
 こころと呼ぶべきものはあるのだろうか。
 ……かつてパームは、心なき邪竜たちに敗北した。
 ヒトのかたちをした地獄に、龍をも従える虚無に、その意志を打ち砕かれた。
 それでもなお、少女は歌う。生命を憎む敵に対してすら、問いかける。
 クエーサービーストが抱いた感情は、"不可解"であった。
 これはなんだ。この歌はなんだ。これを聞いた己のこの反応はなんだ。
 わからない。クエーサービーストは"それ"を知らない。
 ゆえに困惑した。それはすなわち獣の停滞であった!

 ……そしてそこに、神楽耶と桜人がたどり着いた!
 神楽耶は"神遊銀朱"を即座に発動、ありったけの複製太刀を叩き込む。
 それらひとつひとつは、巨体からすれば爪楊枝の如き卑小な攻撃に過ぎない。
 だが刀の化身たる神楽耶が操る太刀は、鋭い矛であり機敏な盾となる!
「いやあ、まったくあんなデカブツ相手に戦うなんて無理難題すぎますねぇ。
 ま、せいぜい羽虫らしく動きましょうか。役に立ってくださいよ?」
 桜人はUDCエージェントである。ゆえに、名状しがたきUDCを使役する。
 思い描いたのは"巨大"。そして生まれたのは、まさにその意を汲んだモノ。
 クエーサービーストからすれば石粒のような、しかし見過ごせぬ巨躯。
 歌に困惑する獣は、ただでさえ均衡を欠いていた。
 そこに現れた、煩わしい虫二匹。なんとしてでも振り払おうとする。
 ぐるりと回転しながら、全ての触手をUDCに向けて、解き放った!
「ああ、デカブツらしく単純で助かりましたよ」
 ……狙うべきナイチンゲール号とは、まったく真逆の方角に。
「星の獣よ。わたくしたちは、あなたを踏み越えこのエゴを通させていただきます。
 ――さあ、星の輝きが来ますよ。意志なきその体に、その光を刻みなさい!」
 複製太刀が急所に突き刺さり、触手による防御を妨害する!

 ――その時、星のように三条の輝きが、ナイチンゲール号を旅立った。
 ひとつは、フェルト。
 電脳魔術による焔の壁を幾重にも展開し、光線を防ごうとする盾の役だ。
 危険を感じたクエーサービーストは、彼女の予想通り無数の光線を解き放ち、
 結果としてその壁が、続くふたりを守った。
 ふたり目は、コガネである。彼が右腕に収束させたのはコアマシンの輝き。
 バチバチと迸る電気エネルギーを、矢のようにその一撃に叩き込んだ。
「怒髪冠を衝く――さあ、道を開けてもらいますよ! クエ―サービーストッ!!」
 少年の滾りは、雷鳴よりも疾き一撃となり、宇宙をつんざいた。
 そして――その稲妻を、星よりも強く照らす光があった。
 その光の中心、髪をなびかせる乙女は……いいや、しろがねの女神は、
 蒼き瞳を白く染め、己が放つ光のような速度で稲妻を追った。
(私が帰るべき場所――最初に在った場所がどこなのか、私は思い出せない。
 けれども、いまの私が帰るべき場所は、それは、この宇宙(そら)ではない)
 剣を振るい、神聖なるしろがねを纏いし流星の騎士が、獣へと向かう。
 人々は見た。それこそはまさに――希望の星(ステラ・マリス)。
 稲妻到達。激甚たる威力が光線を弾き触手を退かせる。そして!
「――我は剣にして星。地上に輝く希望の輝き! 我が剣を……受けよッ!!」
 道を切り拓く意志の輝きが、人々を襲わんとした巨躯を斬り裂いた。
 光が巨躯を押し戻す。己が戦うに相応しき宇宙の暗黒、混迷の戦場へ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユナ・アンダーソン
キリエ・ニールと一緒に参加

大きい……
あれで最弱なのよね、スケールが違うわ
勿論よ、相棒
彼らの祈りに応えましょう
準備が出来るまで、私が時間を稼ぐわ
あなたの攻撃が切り札なんだから、しっかり決めてね!

戦闘
UCを発動して第六感で敵の攻撃を予測し
オーラ防御、激痛耐性を用いてキリエをかばいつつ
フォトンベルトで攻撃を受け防ぐ
躱しづらいなら防御の厚いところで受ける
そして範囲攻撃、なぎ払い、目潰しを用いて
その巨体に満遍なく召喚した流星群を降らせて攻撃
物量で押して目眩まししキリエの準備が出来るまで時間を稼ぎます

あの巨体にどれだけ通用するか分からないけど
無限に墜ちる「宙」(ソラ)を、貴方は支えきれるかしら―――――?


キリエ・ニール
ユナ・アンダーソンと最後まで共に。
アドリブ、絡み歓迎

…大丈夫、僕らは勝てる。
こんな程度の絶望、僕らはいつだって跳ね除けてきたんだ。
いつだって後ろに信じてくれる人が居る限り
…そうだよね、相棒!!

さてかっこつけたはいいけど相手は巨大だ
…だからこそ、この絶望を払ってくれるあの拳を
確実に叩き込まないといけない

ユナの流星群の後方でコードを使用
第六感と見切りで触手の穴を見破りユナの攻撃を盾に
力貯めした巨大な拳を奴に振り下ろす。
奴の背後にある手近な惑星に叩きつけ、何度も殴る。
殴り続け、砕いた惑星の地表に奴を縫いとめ
スパイラルエフェクトによる鎧無視、串刺し、衝撃波!
光のドリルによる嵐を纏った突貫で奴を貫く!



●最強のふたり
 一度はナイチンゲール号を狙おうとした巨躯を、希望の輝きが押し戻す。
 それを最初に迎え撃ったのは、ユナ・アンダーソンとキリエ・ニールだった。
「まったく、相手は僕らだっつーの! 観客に手出しは禁止だよ!」
「そうね。けど……あいつ、まだ滅びていないのね」
 ユナの言葉に、キリエの軽口が一瞬途切れた。
 ……然り。光に押し戻されたクエーサービーストは未だ健在。
 これまですさまじい攻撃があった。何人もの猟兵が渾身の打撃を撃ち込んだ。
 あちこちを灼き焦がされ、滅ぼされ、切り裂かれ、しかしてなお敵は健在だ。
 ダメージはある。だが――それはいつまで叩き込めばいいのだ?
「……大丈夫」
 キリエは言った。それは祈るような響きに似ていた。
「僕らは勝てる。こんな程度の絶望、僕らはいつだって跳ね除けてきたんだ」
 ユエは何も言わない。ただ少年をじっと見つめる。
「いつだって、後ろに――この背中に信じてくれる人がいるかぎり。
 ……そうだよね、相棒(ユナ)!!」
 少女はそこでようやく、くすりと不敵に微笑んだ。
「もちろんよ、相棒(キリエ)」
 ふたりは視線を交わし、頷く。余計な言葉は相棒同士、必要ない。
 これまで敵を退けたように、此度もまた全力を振るうのみ。
 相手取るは星の獣。宇宙旅行の終着点には似合いの敵であるとふたりは笑う!

 だが、クエーサービーストとてただの木偶の坊ではない。
 乱暴に戦闘宙域に押し戻された星の獣は、即座に回転し触手を展開。
 さらに狙いをつけずに、盲滅法に無数の分解光線をハレーションめいて乱舞!
 喰らえば必殺の物質分解光線。ここに挑みかかるのは自殺行為も同然だ。
 ――しかし、そこへユナは進む。自ら飛び込み、己の第六感に命を預ける!
「頼むよユナ、キミの"流星"であいつを貫いちゃえよ!」
「簡単に言うわね――ええ、やってやるわよ!」
 ユナの体を、フォトンベルトが包み込む。帯が広がり光線を受け止めた。
 そして少女が虚空を撫でるように指先を向けた先は――満点の星々。
「クエーサービースト、星の獣。あなたはその最弱の存在、尖兵なのね。
 なら――この無限に堕ちる"宙(ソラ)"を、あなたは支えきれるかしら――!」
 つい、と指がなでた瞬間、彼方にあるはずの星空が"こぼれ落ちた"。
 否、それは錯覚だ。ユナのユーベルコードが生み出す無数の流星群の輝き。
 満点の星空をも埋め尽くすほどの、理論上無限に広がり続ける宙の楽園。
 クエーサービーストは本能的に理解した。その輝きが伊達ではないことを。
 光線を乱舞させ、触手を振り回し、獣は降り注ぐ宙を受け止めようとする。
「く、ううううう……ッ!!」
 流星を、その術式を押しのけようとするクエーサービーストの抵抗に、
 ユナは全魔力を注ぎ込み、歯を食いしばって耐える。その意をねじ伏せる。
 あと数秒。相棒が機会を掴むその時まででいい。星よ降れ。星よ、降れ!
 だがその時、ついに光輪がユナを捉え、収束し――!

「……遅いんだよ」
 その間隙に、紅い瞳が残像を描きながら割って入った。
 おお、見よ。大きく手を拡げた少年が召喚するのは、隕石? いや違う!
「ここに語るは僕の旅路。僕らの行く道! 準星すら砕く、輝く拳!!」
 偉大なる拳。偽りの星すらも砕く、宇宙をも掴み取るような巨大な質量。
「愛を守りし優しき拳、夢を護りし勇ましき拳! オマエをぶちのめす拳だ!!」
 クエーサービーストの巨体をも越える、あまりにも巨大すぎる"拳"であった。
 このためだ。この一瞬のために、ユナを盾として彼は力をためていた。
 召喚した拳がゆっくりと握りしめられ、みしみしとすさまじい力を溜め込む。
「――げんこつ、食らったことないだろ? どういうモンか味わわせてやるよ!」
 流星すらも吹き飛ばし、必殺の拳が振り上げられ――巨躯に、落とされた!
 もはやそれは、まさに星と星のぶつかり合いに等しき衝撃波だ!
 触手を引きちぎり、水晶体をひび割れさせ、巨大な拳が叩き込まれる。
「僕らを邪魔するな。人類を邪魔するな! ここは僕らの旅の途中だぁ!!」
 叩き込まれる。叩き込まれる! 叩き込まれる!!
「ユナ!」
「わかったよ、キリエ!」
 ふたりはふたたび視線を交わしあい、流星の輝きを、偉大なる拳を重ねた。
「「いっけぇえええええっ!!」」
 流星の輝きを嵐のように纏った拳が、裂帛の気合を込めて叩き込まれる!
 衝撃が宇宙をたわませ――暗黒をも吹き飛ばすほどの、光の炸裂を生み出した!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メテオラ・エルダーナ
むふふふ、【ワイルドハント】のみんな、楽しそうな事してるじゃないですか!
私が来たからには安心です!大船に乗ったつもりで…
あ、もう乗ってますね!

物質分解波動!恐ろしい攻撃です!
…それならこっちは「物質じゃないもの」で対抗するまでです!!

【オーラ防御】で正面の守りを固めながら、
船からの【ダッシュ】【ジャンプ】で一気に距離を詰めます!
『サイコキネシス』を自分に使って軌道の制御をしながら、
回転する敵の「回転軸」方向に回り込みましょう!

私の射程圏内まで近づけたら、全力の一撃をたたき込みます!
【全力魔法】【範囲攻撃】全開の『ライトニング・スパイク』で、
触手の束を、ぜーんぶまとめて!切断!です!!!


レナ・ヴァレンタイン
ユーベルコードで武装複製
足が遅い奴はこの宇宙バイクに乗れ
常にフルスロットルで動かせ、エンジンの痛みなど気にするな
危なくなったら盾にでも使え


銃器類は「味方がいない」場所に複数展開
【物を隠す】【援護射撃】【範囲攻撃】技能を応用し、味方とは全く別の方角に大部隊がいるように見せかけ、敵のターゲットをそらす
アームドフォートは敵至近距離まで突っ込ませて砲撃
囮として使いつつ削れるだけ削らせてもらうぞ

本命はフォースセイバーと黒剣
宇宙バイクで高速移動しつつ、触手を片っ端から斬りつけ【生命力吸収】技能で少しでも抵抗力を奪う
回避重視だが、隙があればどんどん切り込む


数多の銃砲と剣戟が貴様のお相手だ
さあ、戦争といこうか


白斑・物九郎
【ワイルドハント】
●POW


デカくて強くて道の邪魔
獲物としちゃ不足ナシ

狩りの時間っスよ、ワイルドハントの猟師共!


・スペワ戦争時の宇宙服装備で船外へ
・「周囲のデブリ」や「友軍のアクションに伴う足掛かりに出来そうな物」を足場にJOX周辺を立ち回る(地形の利用)

・己がクリアビスの的になるような位置取りを期し突出、攻撃を誘う
・足場条件の流動と敵攻撃の照準/緩急/範囲を【野生の勘】で読み触手殴打の予測軌跡上に【閉門】をセット、触手全幅を叩き切るタイミングで発動

・一度成功すれば触手を一本頂く
・一度失敗すれば物質分解波に呑まれて即致命必定
・是即ち【捨て身の一撃】

・集中が切れるまで繰り返し、触手を減らし抜く狙い


ニコリネ・ユーリカ
【ワイルドハント】が通った後にはペンペン草も生えないの
こんな大きなイカを残したら猟団の名折れよねぇ!
えっイカじゃなくてクラゲ? そっかぁ

小惑星にも及ぶ巨大な敵を相手取るには足場が必要
私は機動力と推進力のある小型宇宙船を召喚して皆を支援しましょ
移動の足場に、攻撃の足掛かりに、或いは防御時の砦となって仲間を守るわ
周囲の地形を細かく把握して【操縦】に集中!
敵の挙措を注意深く観察しながら、適宜に状況を報せるわ
JOXストリミドは面舵いっぱーい、全力回避!
宇宙船の【運転】は初めてだけど、【世界知識】で何とかなるなるたぶん

触腕の動きには特に注意して、好機を見出したら船を寄せる!
嵐の行軍、いってらっしゃーい!


ナミル・タグイール
にゃー!でっっかい金ぴかにゃー!!
宇宙すごいにゃ!アレ全部ナミルのにゃー!
…もう爆発しないにゃ?

あの中にも金ぴかいっぱいって聞いたしぜーんぶ独り占めするにゃ!
触手がない上の方から飛びつきたいにゃー
誰か連れてってにゃ!きっとどうにかなるにゃ

近づけたらUCで強くでっかくなるにゃ
こんなでっかい金ぴか始めてみたにゃー!
全部ナミルのにゃ!欲望も呪詛も増しましましにゃ!
でっかくなれるだけでっかくなるにゃ。金ぴか直接鷲掴みするまで欲望maxででっかくなってやるにゃ!(って気持ち)
分解触手は…分解されてもまたでっかくなるにゃ!呪詛オーラで防ぐにゃ(捨て身ゴリ押し
わいるどにはんとしてやるマスにゃー!


荒谷・つかさ
【ワイルドハント】
出たわね宇宙タコ!
来る日も来る日も不漁続きで辟易してたのよね……ようやっと獲物にありつけるわ。
狩ったら帰って宇宙タコ焼きに……え、クラゲ?
それならそれで酢の物にするわよ。

波動には波動をぶつけると相殺できるって聞いたことあるわ。
だから、波動を帯びた触手には波動を帯びた武器をぶつけるわよ。

大剣「零式・改三」を構えたまま【轟烈鬼神熱破】発動
こうすることで私の熱い魂の波動を大剣に纏わせ、触手に叩きつけて攻撃するわ
巻きつきは可能な限り回避するけれど、無理そうなら直に触手へ熱破をぶち込み、焼き斬る或いは穴を開けて潜り込むことで締め付けられないようにするわよ


白鳥・深菜
【ワイルドハント】
「1000メートル……確かに、人には巨大すぎる獣。
けど、宇宙のスケール相手なら、小さいと言える。
そここそが私が狙い、突く隙。
私の十八番、振るう相手に不足なし!」

私はニコリネさんが召喚した
「機動力と推進力のある小型宇宙船」の上に立つ。

「希うは災厄を制し、我らが世界を広げる軌跡――
 望むは地より見上げ、新たな世界を期待した数多の天の光――」

そして細剣を抜き、両手で上に掲げ、魔力を込める。

「故に!宿すは<光>の<天の川>!放つは宇宙を切り裂く光の刃!」

細剣に膨大な星の光の『力を溜め』て、
巨大な実体のない光の剣を生み出す。
そしてその光を以て、触手に狙いを定め切り裂く!



●嵐の軍勢、準星の獣を猟る
 キリエの生み出した"偉大な拳"が、クエーサービーストを叩きのめした。
 巨躯と、それに匹敵するほどのユーベルコードで生み出された質量。
 星に等しきそれらのぶつかり合いは、目を灼くほどの星じみた輝きを炸裂させ、
 大気がないはずの宇宙の暗黒をもどよめかせ、波濤が暗黒空間を駆け抜けた。
 どうだ。星の獣は滅びたか。あの一撃で砕け散って消え去ったか。
 否、否、否! クエーサービースト、その尖兵はいまだ健在!
 なんたる強靭さ。なんたるおぞましさ! 身が欠けようと退きはしない!
 何がそうさせる。なにゆえに彼奴は人類を、生命を、世界を憎むというのだ?
 この先、見通せぬ井戸の底めいた深宇宙に、一体何があるという?
 クエーサービーストどもの巣か。
 人類が夢見た母なる惑星か。
 あるいは――想像すら出来ぬ、災厄の詰め合わせか。
 わからぬ。だが神話に曰く、パンドラの箱には希望が遺されていたという。
 希望こそが最大の災厄であると嘯く者もいる。だが確かなことはひとつ。
 この宇宙という函は、その蓋を開けて突き進まねば答えは掴めないということだ!

 そして見よ!
 激甚たる衝撃に退いた多くの猟兵たちよりも、一歩も二歩も前に出る姿を。
 クエーサービーストの巨躯と比較しても、少年じみて小さな姿。
 だのに腕組し、えらそうにふんぞり返るさまはまさに王のごとく。
 裡から溢れるような闘気が、その褐色に肌に刻まれた呪紋を活性化させる。
 うぞうぞと蠕動し、おぞましい速度で再生をしながら、星の獣がそれを視た。
 目なき眼なき、意志も知性もないはずの獣は、たしかにその少年を"視た"。
 捉えた。感知した。敵であると認識し、絶対的殺意を暴風めいて叩きつけた。
 だが見よ。偉そうにふんぞり返ったあの姿、モノクロめいた少年を見よ。
 白斑・物九郎。嵐の軍勢、オブリビオンの殺戮者、ワイルドハントの猟団長!
 その金の瞳、いささかも揺らがず。臆さず。退かず。ただ獣を睨みつける!
「ワイルドハントの猟師どもォ!」
 特殊宇宙服は、大気なき宇宙ですら視界に捉えた人々に声を伝える。
 仮にそれがなかったとしても、物九郎は意に介することなく叫んだであろう。
 己は猟団の長であり、嵐の軍勢の王であり、もっとも優れたる者なのであれば。
 "あれら"が、この王にして長たるおのれの言葉を聞かぬはずはない。
 圧倒的自我である。その意志に臆するかのように、宇宙の闇が揺らいだ。
「デカくて強くて道の邪魔。獲物としちゃ不足ナシ――」
 おお。はたしていつのまに。あるいは最初からそこにいたのか。
 立ち並ぶいくつもの影。あれこそは、まさに嵐の軍勢にほかならぬ!
「――狩りの時間っスよ。ワイルドハントの開始(はじ)まりっスわ!」
 かくして、いかなる敵にも怯まぬ、命知らずの軍勢が宇宙に集う。
 星を偽る人類の天敵。準星の銘を戴くおのれらの"獲物"を猟(か)るために!

 そして当然、クエーサービーストは物九郎をめがけて触手の鎌首をもたげた。
 当然だ。なにせ猟団長自ら、ド真ん前に出て胸を貼って名乗りを上げたのだ。
 それ自体が物九郎の狙いなのだが、星の獣はそんな些末なことを意識しない。
 だがその触手が振るわれるよりも先に、ゴウン――!! と鋼が割って入った。
 クエーサービーストの巨躯に比べれば、悲しくなるほどの質量差。
 たかが小型宇宙船。しかし、それに乗る連中も、駆る女もまともではない。
「ワイルドハントが通ったあとには、ペンペン草も生えないのよ!
 こんな大きなイカを残しておいたら、猟団(わたしたち)の名折れよねぇ!」
「……いやいや。ニコリネさん。あれはどう見てもクラゲでしょう!」
 小型宇宙船を駆る女ドライバー、ニコリネ・ユーリカははてなと首を傾げた。
 その甲板に屹立していた女――白鳥・深菜は、思わずずっこけかかる。
「いいえ、タコね! クラゲだとしてもそれはそれで酢の物にするわ!!」
 そこで話をややこしくしにかかったのが、大剣"零式・改三"を背負う荒谷・つかさ。
 この旅のあいだ、密かに期待していた宇宙生物が見つからなかったせいで、
 おそらくスペースシップワールドの質素な食事に飽きたのだろう。
 目の前の巨大すぎる獲物に震えが止まらぬ。涎も止まらぬ……いや出てない。
「違うにゃ! あれは金ぴかにゃ! でーーーーっかい金ぴかにゃー!!
 宇宙すごいにゃ! アレ全部ナミルのにゃー! 爆発は……しないはずにゃ!!」
 異色の双眸をきらきらさせて、ナミル・タグイールが斧を振り回す。
 一度で凝りないからこその呪いまみれの猫獣人、猟団長のホラを信じ切っている。
 自分が誰より早く金ぴかを戴くぞを、ありもしない宝に目をくらませていた!
「なら私の"ハンティング・ホラー"に乗れ。どうせ複製品だ。
 常にフルスロットルで動かせ、エンジンの痛みなど気にするな」
 クオオオオンッ、と高らかに宇宙バイクのエンジン音を響かせ、
 小型宇宙船の隣に現れたのはレナ・ヴァレンタインである。
 彼女の周囲には、そのユーベルコードで複製されたいくつもの武器が、
 愛用している乗機も含めて無数に浮かび上がり、ワンマンアーミーをなしていた。
 美しい顔立ちに似合わぬ男めいた言葉遣い。彼女の事情は色々と"深い"。
 だが、狩り場で、これから狩りをしようというときに御託は不要である。
 喜んで乗り込む(そしておそらく即座にぶっ壊す)ナミルを一瞥し、レナは笑った。
 数多の銃砲と剣戟。巨躯にぶつけるには最適だ。そうとも、これは"戦争"だ!
「むふふふ、みんな楽しそうですねぇ! ずるいですよぉ私も混ぜてください!」
 はたしていつから居たのか、甲板に降り立ったのはメテオラ・エルダーナ。
 にこにこウキウキと体を揺らしながら、破裂寸前の戦場の空気に酔いしれる。
 巨躯への恐れ? 馬鹿げた話を。獲物の爪を怖がる狩人がどこにいる。
 いかにして楽しみ、いかにして騒ぐか。メテオラが考えるのはそれだけだ!

 クエーサービーストは、嵐の軍勢たちに対し、猛烈な回転攻撃で迎え撃った。
 嵐めいて荒れ狂う無数の触手。切断された断面から再生出現する極小触手!
 さらに水晶体は物質分解波動を収束させ、ハレーションめいて光線を乱打!
 空間もろとも、小さき敵を燼滅しようという身も蓋もない大攻勢である!
「面舵いっぱーい、全力回避ーっ!!」
「ところでニコリネさん、宇宙船の操縦って」
「はじめてよ! でもなんとかなるわ、多分こう知識とかノリで!」
「えっちょっと待っ わぁああああああっ!?」
 乱舞する触手をかわすため、ニコリネの小型宇宙船が稲妻じみた軌道を描く。
 甲板に残った深菜とつかさは完全にもてあそばれているが、戦端は切り開かれた。
「金ぴかナミルのものにゃー! 絶対絶対渡さんにゃー!!」
 レナの忠告通り、ナミルは壊れんばかりにバイクのスロットルを開き猛突進。
 当然のように触手が降り注ぐ――が、その時である!

 ……突如として前触れもなく、巨大すぎる触手が、ばっさりと斬り裂かれたのだ。
 いや、それはむしろ、"根本から分離した"というべき異常な風景であった。
 あまりにも鋭利すぎる切断面。振り下ろされようとしていた触手に屹立する姿。
 物九郎! 金の瞳がぎらぎらと輝き、ユーベルコード発動を知らせている!
 切断面が泡立ったかと思えば、そこから極小触手が無数に溢れて物九郎を襲う。
 猫科動物めいたしなやかな動きで触手表面から跳躍、この不意打ちを回避。
 クエーサービーストを弄ぶように、あるいは挑発するように立ち回る。
 ――"閉門(クローズ・ザ・ゲート)"。
 次元そのものの"門"を閉じる幻影投射。極度集中が生む究極の斬撃。
 怪獣の手首すらも斬り落とす次元の断裂は、以て極大触手すらも惨殺する。
 だがそれは、あまりにも巨大で疾すぎる触手の動きを常に集中し、観察し、
 照準を誘い定めさせ、気まぐれな緩急を動物敵本能で読み取り、攻撃範囲を理解し、
 決して直撃を受けることなく立ち回らねば不可能な絶技である。
「まずは一本、一丁あがりっスな。俺めはここっスよ?」
 あまりにも不遜。一瞬でも触手攻撃の直撃を受ければ物九郎は死ぬ。
 見えない物質分解波動に呑まれれば死ぬ。一手間違えればどうあがいても死ぬ。
 だからこそ、その死線に己を置く。捨て身に等しいヒットアンドアウェイ。
 恐怖はない。高揚もない。ただ、金色の瞳は敵だけを見据えていた。
 その本能を。本能がもたらす挙措を。動きを。兆しを。狙いを。存在を。
 触手を、宇宙船を、はたまた猟兵が生み出した召喚物を機敏に飛び回り、
 物九郎はたったひとりで巨躯と渡り合う。そのさまはまさに、嵐!

「囮は不要か。なら猟団長、たっぷりと利用させてもらうよ」
 レナは目を細め、彼女もまたバイクのスロットルをフルに開いた。
 けたたましくエンジンを鳴らし、それを号令として無数の銃砲が発火する。
 射手なくして立ち並ぶそれは、なるほどまさしく伝承のワイルドハントそのもの。
 見えざる亡霊がトリガを引く。戦争に取り憑かれた人でなしの成れの果て。
 砲火(ファイア)、砲火(ファイア)、砲火(ファイア)!
 無数の複製銃器による、一切のよどみなき同時斉射は巨躯をなでた。
 然り、それはクエーサービーストからすれば撫でるような攻撃だ。
 だが、そのいじましい攻撃が、途切れることなく常に続くとしたら。
 その術者が、星のような速度で戦場を駆け抜け、触手を切り裂くとしたら。
 一撃が叩き込まれるたびに、巨躯からその甚大なる生命力を掠め取り、
 己の力として弾丸を込め、再び砲火が襲いかかるとすれば?
「わが荒野の世界、軍隊個人(ジャック・レギオン)のなんたるかを教えてやる」
 女は笑った。それは、戦に親しみすぎた、鬼のような形相である。
 途切れぬ砲火が戦場をつんざく。されどそれは一条たりとて友軍を襲いはしない。
 不気味なまでに統率された戦争協奏曲が、巨躯を徐々に徐々に封じ込める!

 そして、ゲートが開き閉じられ、砲火が飛び交う混迷の戦場。
 小型宇宙船を元気よく蹴立てたメテオラが、恐れなく笑顔で駆け抜ける。
 その身を操るのは、彼女自身が持つ強大な念動力である。
 推力だけでは出来ない、物理法則を嘲笑うような軌道で触手をかき分け、
 メテオラは敵の"懐"に飛び込んだ。つまり、触手が狙えぬ死角である。
 敵巨体の真下。いかに光線を放とうと、ここに届くことはない!
「物質分解波動って恐ろしいですねえ! けど――」
 ばちばち、ばちり。サイキックエナジーが、フォースが雷鳴じみて迸った。
「"物質じゃないもの"を壊すことは出来ますか? 出来ませんよね!
 だったら! そのわしゃわしゃ邪魔な触手! ぜーんぶ切断! ですっ!!」
 ――メテオラの姿が、消えた。
 そして現れた。わずか10メートル弱、だがあまりにも疾すぎる瞬間移動。
 否、それは彼女のユーベルコードによる、神速と呼ぶもおごがましき一撃。
 音をも越え、光にすら手を届かせる、ライトニング・スパイク。
 ――遅れて、宇宙の虚空を超音速の衝撃波が吹き荒れた。
 触手を切り裂く無数の真空波! 再生途上のそれらが斬り裂かれ脱落する!

「それじゃあおふたりもそろそろね! いってらっしゃーい!」
「振り回された気しかしないけど……ええ、いってきます!」
「さあて、それじゃあ私の熱い魂の波動、受けてもらおうかしら!」
 ニコリネに送り出された深菜、そしてつかさが並んで宇宙を飛翔する。
 深菜が抜き放ったのは一振りの細剣。そこに込めしは光そのもの。
「希うは災厄を制し、我らが世界を広げる軌跡――。
 望むは地より見上げ、新たな世界を期待した数多の天の光――」
 対するつかさは、己の大剣にありったけの魂の波動を送り込む。
 物質分解波動? 何するものぞ。ならば己はこの魂の熱で挑もうか。
「わが心、動かざること水鏡の如く――」
 口訣が重なった。
「宿すは"光"の《天の川》! 放つは宇宙を切り裂く光の刃!!」
 おお、細剣を中心に、星空をもつんざくほどに伸びるは実体なき光の剣!
 "希望と災厄の金色剣(パンドーラー・クリュサオル)"。自然現象そのものの刃!
 巨躯よりも大きく。いかなるものよりも薄く、鋭く、そして輝く!
「――されど、我が魂は烈火の如く!」
 大剣が震える。放たれし一撃の銘は!
「轟烈――鬼神熱破(オウガ・ヒートウェイブ)ッッ!!」
 大上段に振り上げられた光の剣が、まっすぐに巨躯へと振り下ろされた。
 そして熱き魂を宿した大剣が、その波動が、焔となって宇宙を焼く!
 巨躯を切り裂く十字の剣閃! そこへダメ押しにかかるのは……巨大化したナミル!?
「金ぴか! いただきにゃ! わいるどはんとやるマスにゃー!!」
 その欲望のままに膨れ上がった猫の斧が、おお、とどめとばかりに振り下ろされる!
 数多の触手を切り裂き――嵐が、巨躯を捉えた!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナイ・デス
ソラ(f05892)と
『蜜ぷに召喚』食べて【生命力吸収力溜め】
万全、です

『ブレンホルズ』で変身し、黒騎士姿へ
『瞬断撃』の速度で、水晶体へ一撃入れに
ソラを抱いて、飛翔

もう二桁は大きいと、【覚悟】していました
私が思っていたよりは、小さい、ですよ。ソラ?
だから、大丈夫、です

秒速約1.4kmの速度で突撃する
触手と光線を【第六感】で感じるままに【見切り】
【念動力】放出し自身【吹き飛ばしダッシュ】クイックブースト回避して
ソラ【かばう】光線は自身掠る程度なら【激痛耐性】鎧どれだけ分解されても気にしない
光の身体晒して、更に加速する

そうして水晶体に辿りつき
黒剣攻撃回数9倍【鎧無視】瞬断撃

勝利、信じてる人の、為!


ソラスティベル・グラスラン
ナイくん(f05727)と

黒騎士姿となったナイくんに掴まり、水晶部へ飛翔
波動は触れれば致命的です、気を付けて、ナイくん!

敵との距離感が分からない宇宙
近づくほど、彼我の差が明確になっていく
こ、これが、クェーサービースト…なんて大きな…!

手に力が籠る
今ここで退けば、船の皆さんが…

ナイくんの速度に必死でしがみ付き
避けきれない触手を【怪力】籠めた【竜の見えざる巨腕】で殴り弾きます!
小さくともこの身は竜!その力、甘く見ないことです!
触手は任せてください、ナイくん!思い切り飛ばしてっ!

頭部が見えた、スピードはそのままっ
【鎧砕き】の竜の拳を核に!【勇気】を以て!
…唐突にお邪魔してごめんなさい、貴方を討ちます



●何者よりも疾く
 ワイルドハントの軍勢たちによる大打撃を受け、クェーサービーストが怯んだ。
 そこへ、急所と思しき水晶体をめがけ、すさまじい速度で飛翔する巨体がひとつ。
「近づいてみるとわかります……こ、これが、クェーサービースト……!」
 黒騎士となったナイ・デスにしがみつき、ソラスティベル・グラスランが呻いた。
 あれほどの大打撃を受けておきながらいまだ健在とは。これが尖兵だと?
『私が思っていたよりは、小さい、ですよ。ソラ。だから、大丈夫、です』
 ナイの声に当惑はない。いまの彼は心身ともに満ち足りている。
 脅威的な速度で宇宙空間を駆け抜け、乱舞する触手を縫うように回避し、
 水晶体めがけ螺旋上昇していくのだ。
 クェーサービーストは、本能的にナイとソラスティベルの狙いを確信した。
 ひび割れた水晶体がぎらりと煌き、危険な物質分解光線を乱射する!
「!! あれは触れれば致命的です! 気をつけて、ナイくん!」
 風よりも疾いスピードのなか、ゴーグルを嵌めたソラスティベルが叫ぶ。
 ここが宇宙空間なのは僥倖だった。大気圏内ならばどうなっていたか。
 しがみつくのも精一杯ではあるが、この速度が逆に頼もしい。
『大丈夫、です! かする程度、なら……!』
 ナイの真の姿は、形すらなき"光"そのものである。
 ゆえに、その光の状態で外骨格として纏っている鎧が分解されたとしても、
 むしろ質量を損なうことで加速する。ナイ自身は被弾を恐れない。
 彼が恐れているのは、ただひとつ。ソラスティベルが危険になることだけだ。
 パートナーを護るため、念動力を振り絞りさらなるスピードを求める。
 光線がふたりを取り囲む槍の牢獄めいて宇宙をつんざく。瞬きすら出来ぬ交錯!

 現実の時間にしてみれば、それは数秒ほどの、まさに刹那の一瞬であった。
 だがそのとき、ソラスティベルは、クェーサービーストの狙いを察知した。
 光線にこちらの注意を惹き、触手で押し潰すという二段構えの策を!
「……たとえ、この身がはるかに小さくともっ!!」
 ぐおんっ、と死角から襲いかかる触手を、不可視の龍腕が殴り飛ばした。
 巨腕とてクェーサービーストの巨体には見劣りする。だが、質量の問題ではない。
「わたしは竜! その力、けっして甘く見ないことですっ!!」
 さらに別の触手が飛来! ソラスティベルは再び拳撃でこれを弾く!
 がんっ、ごつんっ!! と、すさまじい衝撃が宇宙空間をたわませた!
『ソラ! 大丈夫、ですか?』
「ええ、こちらは任せてください、ナイくん! おもいっきり飛ばしてっ!」
 黒騎士の双眸が、その言葉に応じるようにぎらりと赤く輝いた。
 音を超え風を越え、ともすれば光そのものに手が届くほどのスピード。
 黒とオレンジの色が箒星の描く光の帯のように伸び、天頂を貫く。
 猛攻を抜けた。ふたりはいま、クェーサービーストの真上にある!

 そして、上部へとまっすぐに駆け抜けた軌跡は、ほぼ垂直にターンした。
 執拗な光線が黒騎士の鎧をかすめ、強固な外骨格を分解させてしまう。
 だが、行ける。ナイは、己にしがみつくソラスティベルの体をしっかり抱いた。
『ただ疾く、もっと疾く――その体を、断ち切り、撃ちますっ!』
 キュン――ッ!! と、閃光が宇宙を明るく神々しく照らし出した。
 それは、最大加速した黒騎士の振るった、まさに瞬断の一撃。
 黒剣の超加速斬撃、その鋒がまさしく光をも超えた証左であった。
 いかにクェーサービーストが巨体を有し、万物を分解せしめようとも、
 光そのものを捉えることは出来ない。遅れて、水晶体がばっくりと斬り裂かれる!
『……まだ、ですっ!』
 斬撃、ふたつ! いくつもの触手が苦悶するように痙攣した!
 なんたる苛烈な攻撃か。それは獲物を確実に仕留める狩人の二の矢のようだ。
 当然だろう。ふたりもまた、恐るべき嵐の猟団の一員なのだから!
「さすがです、ナイくんっ! ――さあ、今度こそしっかりと味わってもらいます。
 勇気を以て振るう、竜の拳! これこそ、我が剛勇なる魂の結実ですっ!!」
 KRAAAAAASHッ!!
 スピードを上乗せしたソラスティベルの不可視竜腕が、亀裂に叩き込まれた!
 得体のしれない液体を臓物血めいてぶちまけ、クェーサービーストが痙攣する!
「あなたからしてみれば、わたしたちは住処にやってきたよそ者でしょう。
 唐突にお邪魔して、ごめんなさい。けれど、わたしたちは――」
『勝利を、信じる人たちの、ために!』
 その身を討ち、さらなる未来を求めて突き進む。
 いかなる敵をも恐れず突き進む勇気こそが、準星の獣にくだされる鉄槌となったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ギド・スプートニク
f01961/アーノルドと

小惑星級といったか
星そのものを名に冠するのだ
むしろ想像よりは遥かに小さい

数千匹相手ともなれば骨も折れようが、1匹程度であれば余興にもならぬ
早々に片付けて、船旅の続きを楽しむとしよう


店主の交戦中に、周辺宙域からデブリや隕石を掻き集め
それらを敵の核へと向けて一斉に放つ

あらゆる物質を分解
それは確かに恐ろしい能力だ

だがその程度、できる人間はごまんと居る

『揺れるな』
『拒め』
『敵を穿て』

私の所有物が私の許しもなく分解されると思っているのか?
支配とはそういうものだ

貴様程度では相手にならん
力も、信念も、何もかもが足りぬ

主人に伝えるがいい
どうせ寄越すならもう少しマシな遣いを寄越せとな


アーノルド・ステイサム
f00088/ギドと

戦艦とやり合ったことはあるがね
なかなか記憶にないレベルの大きさだな…

とはいえ図体に怖気付くような性分でも無し
連れもまあ、そんな感じだろ
いつも通りやるさ

流石に分解してくるんなら装甲じゃ受け止められん
だったら当たらなければいいだけのこと

デュー、分析頼む
触手の軌道計算結果を頭に入れたら
ブースターを吹かして速力全開
避けきったならお楽しみの時間だ

叩いて叩いて、また叩く
実に壊し甲斐があるな、尖兵殿



●戦士としての格
 圧倒的なまでの巨体であった。そして、相応のタフネスを有していた。
 甚大なまでの打撃を受け、クェーサービーストはなおも生存を保っている。
 あちこちに刻まれた裂傷――サイズに相応しく言うなら"亀裂"――が、
 人外じみた速度で修復されていく。だが、それですら完全には追いつかない。
『戦艦とやりあったことはあるが、ありゃあなかなか記憶にないレベルの大きさだ』
 アーノルド・ステイサムはしかし、慌てふためくことなく言った。
「星そのものを名に冠するのだ。むしろ想像よりは、はるかに小さい」
 ギド・スプートニクもまた、驚嘆さえも見せずに呟いた。
 ふたりの視線の先、クェーサービーストは全身からおびただしく体液を流し、
 おそらくは苦痛に悶えるように痙攣し、触手を振り回していた。
 乱舞する光線と、全身から絶え間なく放射される物質分解波動および光線が、
 猟兵たちのさらなる追撃を拒み、これを退けようとする。
『ま、そうさな。こちとら、図体なんぞに怖気づくような性分でもない』
「船旅の邪魔でしかない。しぶとさだけは一級品ではあるが――」
 ギドがちらりと見やると、視線を受けたアーノルドは肩をすくめた。
 視線だけで、連れの意図を汲み、やれやれと仕草で示したのである。
『いつも通り、やるとするか』
「任せよう」
 ふたりが交わす言葉はただそれだけ。歴戦の風格があった。
 クェーサービーストが、ひときわ強烈な波動を放射し宇宙空間を揺らす。
 それはおそらく、星の獣が放った、声ならぬ咆哮だったのだろう。
 ギドは一歩退き、アーノルドは前に出た。それが、ふたりの役割分担だった。

 いかな電子妖精とて、今回の注文(オーダー)には辟易した。
 なにせあれほどの巨大な怪物の、しかもひとつひとつが極大の触手と分解波動。
 それらを一斉に計算し、たどるべき軌道を予測し、リアルタイム精査しろと云う。
 ハードウェアをあと10倍ぐらいは大きくしてもらわないと出来やしない。
 電子妖精が言葉なくして伝えた不平不満を、ウォーマシンは完全に聞き流した。
『やれよ。でねぇとギドの野郎がうるさいぜ』
 デューは、おとなしくその言葉に従った。
 電子の存在といえど、デューは立派な妖精(フェアリー)である。
 王たる風格を纏うダンピールの存在をちらつかされて、慄いたか。
 はたまた、あっちのほうが"お気に入り"なのか。しぶしぶお節介を焼く。
 アーノルドの網膜映像に、おびただしい数の計算情報が予測・転写される。
『さすがにあんなモンを受け止めきれるような装甲じゃあねえからなぁ』
 のんびりとした口調で言いつつ、アーノルドはブースターを吹かした。
 そう、吹かしたのだ。彼は、躊躇すら見せずにクェーサービーストに突撃した。
 網膜ディスプレイに投影された最適ルートを、全速力で駆け抜ける。
 恐れはない。アーノルドもアーノルドなりに、この電子妖精の腕を信頼している。
 そして一瞬で計算されたそのコースは、彼の信頼にたしかに応えた。
『いい子だ、デュー』
 ウォーマシンが呟いたその時、彼はすでにクェーサービーストの上部にいた。
 ドウッ!! とブースターが再点火し、鋼の男は流星めいて落着する。
 めがける先はボロボロの水晶体。そこへ質量を伴った一撃! KRAAAASH!!
 クェーサービーストが波動を放射した。それはおそらく苦悶であった。

 ……だがこの時、星の獣が警戒し恐れていたのは、彼だけではなかった。
 脅威の程度で言えば、飛来する"それ"のほうがよほど恐ろしかったのだろう。
 "それ"は、塊であった。
 デブリ、隕石、あるいはそういった、戦闘で生まれた質量片。
 それらすべてがパッチワークめいて組み合わさり、無理やり接合され、
 いびつな弾丸となって、宇宙をまっすぐに突き進んできていたのだ。
 先ほど放射された波動は、この質量塊を迎撃し分解せしめるためのものだった。
 物質分解波動とその光線は、あますところなく質量塊を捉えた。
 ……はず、なのだ。だが、モザイク模様の弾丸は散りも欠けもしなかった。
 ありえない話だ。クェーサービーストの波動放射はすべてを破壊せしめる。
「だからどうした?」
 弾丸のさらに彼方、燃えるように瞳を輝かせるダンピールが言った。
「あらゆる物質を分解。不可視・不知覚の波動放射。なるほどおそろしい能力だ」
 くるくると剣杖をバトンめいてスナップで回し、きゅ、と撫ぜる。
「だが」
 瞳が明滅した。それはいかなる星の輝きよりも冷たく、恐ろしい。
 再び波動が塊を捉える。散ることはない。
「その程度のこと、出来る猟兵(もの)はごまんと居る」
 ギドは知っている。数多の猟兵たち、それぞれが持ち得る超常の力を。
 星の獣など恐るるに足らず。踏み越えてきた修羅場の数と質が違うのだ。
「"それ"は私の所有物(もの)だ。私が律し、命じ、支配するものだ。
 支配者である私の許しもなく、貴様のちゃちな手品で分解されると思ったのか?」
 クェーサービーストに、知性や意志と呼べるものがあるかはわからない。
 だが本能はある。そして、星の獣は理解した。その者の力量と、恐ろしさを。
「支配とはそういうものだ。ただ破壊し、君臨するだけの貴様とは違う」
 クェーサービーストは、迫りくる巨大質量を触手で破壊しようとした。
 そこへ、アーノルドが到達した。一撃。離脱。スピードを乗せての追撃!
『叩いて叩いて壊れるまで叩く。"いつも通り"だ、実に壊しがいがある』
 あまりにも力技であった。それを通すための道理がふたりにはあった。
「クェーサービーストよ、もしも貴様に、主人に伝える能があるならば――」
 巨大質量が到達した。支配者の思念が、獣の核へと届けられた。
「"どうせよこすなら、もう少しマシな遣いをよこせ"と伝えておけ」
『――さあ尖兵殿。俺のラブコールもたっぷり受け取ってくれよ?』
 炸裂。炸裂! 炸裂!!
 強烈な破壊が、強大なるものたちの力が、星の獣の尖兵に亀裂を叩き込む!
 足りぬ。力が、信念が、意志が、破壊が、何もかも足りぬ。
 誰に? 猟兵たちにか? 否である。強大に君臨するはずの獣にこそ!
 敵たり得るには、あまりにも多くのものが足りなかったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マレーク・グランシャール
【壁槍】カガリ(f04556)と

敵の攻撃を見る限り頭の水晶体が物質を分解する光線や波動の源か
それならば頭を砕けば使えなくなるか威力が減るのではなかろうか

この世界の民が未来へと進むため
未来ある猟兵達を生きて帰すために
俺が頭部を破壊する

カガリと共にしろ(馬)に乗り敵の頭へ接近
触手の攻撃はカガリの駕砲城壁が防ぐ
頭頂部まで来たら極力接近し、駕砲城壁の光弾に紛れて飛び下りる
【雷槍鉄槌】で三槍を一つにしてランスチャージ、串刺して部位を破壊
着地点の水晶体を粉砕するぞ

粉々とはいかずとも罅くらいは入れられよう
反撃の切っ掛けとなれれば死んでも本望
だがカガリがそれを許すまい
槍を回収したら差し出された手を取ろう


出水宮・カガリ
【壁槍】まる(f09171)と

おお……これは、これは
【しろ】、大丈夫か
何、ちょっと色が変わった地面か、森だとでも思え
カガリが一緒だから大丈夫だぞ、よしよし
…では、カガリ達のために頑張ってくれるか

まると共に【しろ】に騎乗、【籠絡の鉄柵】で周囲を囲った上で【駕砲城壁】
そのまま、触手を回避して駆けてもらう(ダッシュ)
敢えて引き付けて、別の触手に物質分解の波動や光線を誘導するのもいいか
頭の水晶体近くへ辿り着いたら、まるを下ろす
着弾?を確認したら【駕砲城壁】を解除、【しろ】で駆け寄って手を伸ばす
光線に晒される前に、まるを回収して、また【駕砲城壁】を張るぞ(念動力、怪力)
いつか、まるがそうしてくれたように



●鉄槌の還るべきところ
 命を、惜しいと思ったことはない。
 この生命(いのち)を、大義ある戦いのなかで散らせるならば本望だ。
 マレーク・グランシャールはそう思う。なんなら腹でも切ってみせよう。
 未来への執念、執着なんてものは、一瞬を切り拓く重みの前にははるかに劣る。
 それは、おのれにとってはあまりにも過ぎた、分不相応なものだと彼は思う。

 半身がそんな調子であるから、出水宮・カガリは毎度のこと気が気ではない。
 城門として彼を背中に回し、敵の攻撃を受け止めるならばまだいい。
 ときどき、マレークはその門を飛び越えて、己の生命を槍のように投げてしまう。
 無論、城門たるおのれの守りは、マレークがどれだけ進もうが届かせてみせる。
 が、それはそれだ。不安や恐怖といったものとは、また別の話。
 ……カガリもカガリで捨て鉢になることもあるのだが、それはそれ。
 そういう意味でも、ふたりはまさしく"半身"であり似た者同士であった。

 そんなふたりを背中に乗せて、輝くように美しい機械白馬が宇宙を駆ける。
 そのしなやかさ、たおやかさは、ともすれば生身のそれよりも躍動していた。
 そびえる強大な星の獣に対しても、臆することなく気高く頭を伸ばして、
 いざや向かうは戦場なり、と勇ましく蹄で虚空を蹴立てるのである。
「おお……しろ、大丈夫か。うん、心配なさそうだな」
 よしよし、とたてがみを撫でてやり、カガリは頼もしげに頷いた。
 そして、きっ、とクェーサービーストを見据え、己の本分たる"護り"を展開する。
 すなわち鉄壁の防御と攻撃反射を有する、カガリだからこそのユーベルコード。
 駕砲城壁(ロアードウォール)。いかな物質分解波動とてこれは崩せない。
 まっすぐに近づくしろ、そしてそれにまたがるカガリとマレークを、
 当然のようにクェーサービーストは触手で押し潰そうとした。
 そして――ヤツに人間のような機微があるかはともかく――おそらく驚愕した。
 与えたはずの衝撃が、光の弾丸として己に返ってきたのだから!
「カガリ、あの水晶体まで俺を運んでくれ」
「ああ、まる。カガリとしろは、どこへだってまるを運ぶぞ」
 悠然と、猛然と、美しき機械白馬が触手をくぐり、躱しながら飛翔疾走する。
 マレークは手出ししない。半身の護りが鉄壁であると彼は知っているからだ。
 彼が為すべきは何か。それは、おのれをひとつの砲弾として撃ち出すこと。
(この世界の民が未来へと進むため――未来ある猟兵たちを生きて帰すために)
 これで仕留められればよし。仕留められずとも猛攻の礎となればよし。
 彼は死ぬことを恐れない。むしろ本望とさえ思っていた。
 だからこそ、すべての力を溜め、来たるべき一撃に注ぎ込むのだ。
 それはまるで、極限まで引き絞られた弓弦のようであった。

 ――かくして、音に等しき速度で駆け抜ける白馬が、ついに巨獣を超えた。
 クェーサービーストの頭上。星々を背景にふたりは宇宙に浮かぶ。
「まる。行けるぞ!」
「ああ――行ってくる」
 さりとて、クェーサービーストの巨体は相応の強固さを持つ。
 これまでの猟兵たちの攻撃が甚大なダメージをもたらしているとはいえ、
 クェーサービーストそのものが持つ防御力を損ねられたわけではない。
 それを打ち砕くに足るだけの一撃。生半に繰り出せるようなものではない。
 ……それは、尋常の戦士ならば、の話だ。
 反射される無数の光弾に紛れ、龍の戦士が名誉ある白馬の背を蹴った。
 碧血"竜槍"。
 "魔槍"雷帝。
 山祇"神槍"。
 これら異なる三つの矛を、雷神紋のごとくひとつに束ねて放つ一撃。
 エネルギーへと還元されたそれらは虹のように絡まり混じり合い、
 バチバチと荒ぶる力そのものとなって、表情を変えぬマレークの手に収まる。
 稲妻を握り掲げるさまは、オリュンポスの神々を統べる全能神に似る。
「これなるは再生の前に来たるもの。必然の一撃、破壊をもたらす神竜の鉄槌――」
 刃のように鋭い目が見開かれ、ひび割れた水晶体を睨みつけた。
 それは、ランスチャージと呼ぶにはあまりにも神々しく、荒々しい。
 まさに神鳴る怒槌。後に引く軌跡はクェーサービーストの巨体にも匹敵する!
「未来への前途を塞ぐものを粉砕せよ――我が雷槍よ」
 静かな口訣。直後――天雷のごとき一撃が、巨獣の脳天に叩き込まれた!!

 ――バチィイッ!!
 と、尋常極まりない稲妻の飛沫が、宇宙に亀裂を刻む。
 それを恐れることなく、カガリはしろを走らせた。
 白く灼けた視界の向こう、片腕を灼き焦がして反発力に浮かぶ男がいる。
「まる――!」
 手をのばす。茫洋とした竜がそれを見返した。そこに表情はない。
 けれどもカガリは笑った。それは、いつかの時の対称的な構図だったから。
「まるも、未来(このさき)へ行こう。一緒に」
 その声は届いたか、届かなかったか。それは竜のみが知る。
 たしかなのは――伸ばされた手に、彼はその手を返して握りしめたということだけ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

非在・究子
で、でかいとは、聞いていたけど……でかい、な?
な、なかなか、歯ごたえの、有りそうな、やつだ。
……こ、これで、雑魚敵とか、なかなか、先が思いやられる、な。

せ、折角の、宇宙マップ、だしな……ゆ、UCの、あのコマンドを、使って、シューティングゲームの、はじまり、だ。
敵の攻撃は、ギリギリまで引き付けて、シューティングモードの、機動力で、回避する……え、今当たらなかったかって? ……あ、当たり判定詐欺くらい、基本だろ?
そ、そうやって、回避しつつ、自機と、オプションからの、レーザーと、ミサイルの攻撃を、頭の結晶部分に、集中する、ぞ。
ど、どこまで、耐久値が、あるかは、知らない、が、削りつくして、やる。


冴木・蜜
成程
話には聞いておりましたが
相当な巨体ですね

この船旅を穏やかに終わらせるために
我々が奇跡を起こしましょう

体内毒を限界まで濃縮しつつ
UDCの蔓や蔦を伸ばして一気に接敵

キエリビウムの注意が
こちらに向いたら
『無辜』で身体を気化
目立たなさを活かして
宇宙の黒に紛れましょう

物質分解 なんとまぁ大仰な
それでも
触手を向けられなければ
狙いを絞れなければ
どうということはない

光線を躱しながら
触手や水晶体を気体の毒で包み込み
全て融かし落とします

私は死に到る毒
貴方に死があるのか分かりかねますが
それでも
私はただ触れるだけで良い


フランチェスカ・ヴァレンタイン
これは、生半可な攻撃は通りそうもありませんわねー… 
――切り札をひとつ、切ると致しましょうか

牽制と援護の砲撃を浴びせつつ、バーニアを噴かした高速機動で複雑な軌道を描いて触手を切り抜けて触手の攻撃範囲から急速離脱を

アウトレンジにて全ての鎧装をパージ、斧槍を芯として長大な砲身を組み上げ
顕れるのは斧槍・鎧装に内蔵の全ての動力炉を直結した超大型主砲

超過駆動するジェネレーターが唸りを上げて周囲に充ちるエーテルを吸い上げ、砲口へと集束していき
反動に備えて念動アンカーで空間固定した発射態勢から、砲身の倍ほどにも伸びた仮想バレルを通してキエリビウムをも呑み込むほどの規模な超威力砲撃を

召し、あが……れ――ッ!!


霑国・永一
あれで尖兵とは宇宙は広いなぁ。邪神の触手よりも禍々しくすら思うよ。これより奥には何が待っているやら。
遊ぶ暇もなし、任せるよ、《俺》
『オイオイオイ、こんなやばそうなやつ相手かァ!?カーー!嬉しくてたまらねぇぜ!!』

肉体主導権全て戦闘狂人格に譲渡した真の姿の上で狂気の戦鬼を発動
高速移動で物質分解波動の発射方向から逃れつつも接近、衝撃波を叩き込む。
回転しながらという事は回転時の円形と垂直に波動出てそうなので、回転した瞬間を見逃さないように注意する。360度がむしゃらに回転なら諦めて回避しながら衝撃波をぶつけて回転止めたり相殺を図る
「ハハハハッ!こいつぁいい!俺様は宇宙クラゲ料理食いたかったんだ!」


ミニステリアリス・グレイグース
……未踏宙域にはあんな規格外がまだ沢山居る訳ですよね
ならやっぱり、ちゃんと使えるようにならないと……

私は限定的に、左瞳だけ[封印を解く]
禍々しい深紅に変貌した左瞳が、星に等しき獣をぎょろりと睨め付けた
(そう、あれが倒すべき敵です)
誰とはなしに言い聞かせながら、私はユーベルコードを発動した

まずは召喚された"星をも掴む巨腕"を念波動により被覆
物質分解波動を中和しつつ触手を掴んで引きちぎりつつ
巨体を多方から押さえつけて高速回転を塞き止めながら
頭部水晶体を只ひたすら打ち据えます

これで早急に倒せなかった場合は……すみません、後退させて貰います
――「ルベド」の敵意、もたもたすると味方の方に向きかねないので


三咲・織愛
特殊宇宙服を着こみます

とても大きいですね……殴るための的が大きいと思えばいいでしょうか
ですけど、物質分解波動というものがあまりに厄介です
隙を見付けてなんとか一発叩き込まなければ

ノクティスが分解されては堪りませんから、攻撃を受けることはしません
宇宙空間に漂う固体物質があればそれを手に、槍投げの要領で投げつけます
隙が無ければ隙を作ってみせましょう
尚追う触手があれば見切りながら回避、触手同士で絡まり動けなくなるように場所を選んで
頭部まで辿り着けたら一発叩き込みます

距離が詰め切れず、波動の心配がない時にはノクティスを槍投げしましょう



●狂気、死、破壊、光
「いやまったく、宇宙は広いなぁ。これで"尖兵"とはねぇ」
 盗人、霑国・永一は他人事のように呟いた。彼の周囲ではすべてが停止している。
 これは現実の時間ではない。現実ではこれは一瞬にも満たないこと。
 すなわち、多重人格者である永一の、主観視点での精神世界風景だ。
 ぼんやりと宇宙に浮かぶ永一のそばには、同じ姿をした黒い影が揺らめいていた。
『オイオイオイ、まさかこんなヤバそうなやつを任せるつもりかァ? 俺様に!』
 永一は黒いシルエットをみやり、へらりと笑った。
「嬉しいだろう?」
『――ああ、嬉しいねェ! カハハハハァッ!!』
 その笑い声はひび割れて狂っていた。それこそが永一の"狂気"である。
「そういうわけだから。任せたよ、"俺"」
『任されてやるよ、"俺様"がなァ!!』
 肉体の主導権が入れ替わる。そして、現実の時間が彼を出迎える――!

 そのとき、三咲・織愛はいかにしてクェーサービーストに近づくか思案していた。
 おびただしい攻撃により負傷したクェーサービーストだが、どうやらまだ健在。
 むしろ追い詰められたぶん、無数の触手による反撃は度を増している。
(触手同士を絡ませるにしても、私ではスピードが足りないでしょうか……)
 ちらりと織愛が見やったのは、同じように触手をかき分け飛行するシルエット。
 無数の牽制砲撃を食らわせながら流麗に舞い踊る姿は、美しくすらある。
 その当人――鎧装騎兵であるフランチェスカ・ヴァレンタインは、
 しかしその優雅さとは裏腹に、一瞬も気の抜けない緊張を強いられていた。
「しつこいですわね……! やはりこの程度ではダメージにもなりませんか……!」
 すでに数十の砲撃と斬撃を加えているが、触手はろくに傷ついていない。
 かといって足を止めれば、おそらく質量で押し潰されて即死する。
 いや、即死ならばまだいい。物質分解波動に呑まれれは死体すら残るまい。
「――切り札をひとつ、切るといたしましょうか」
 ぎらりと、フランチェスカの翠眼が鋭く獲物を睨みつけた。
 そのためには、踏み込んだこの間合いからあえて離脱せねばならない。
 クェーサービーストもそれを察知したのか、フランチェスカを逃すまいと、
 執拗なまでの攻撃でフランチェスカに回避機動を強制する。

 織愛は即座に状況判断し、フランチェスカの離脱を支援することにした。
 浮いていた戦闘宙域の残骸を掴み、そのすさまじい腕力で槍投げめいて投擲。
 これを牽制として推力を得て一気に突撃し、触手のひとつを串刺しにする!
 貫かれた触手が、びくびくと生理的嫌悪感をもよおす痙攣を見せた。
 そして織愛を、竜槍ノクティスもろとも圧し潰そうととぐろを巻く!
「! このくらいで……ここで敗けるわけには、いきませんっ!」
 織愛は突き刺したままのノクティスを支点にぐるりと身を翻し、反転。
 竜槍を支柱のように支えにしたまま、トラースキックを背後の触手に叩き込む!
 ズウン……直径数メートルはあろうかという触手が、わずかにだが後退した!
 だが再び織愛を圧し潰そう……と、触手が戻ってくることはなかった。
 なぜならば、その巨大な触手は、さらに恐ろしく巨大な"腕"によって捕まれ、
 途方もつかないほどの腕力でねじられ、ぶちぶちと引きちぎれたからだ!

 これは一体? その正体は、クェーサービーストを睨みつける少女にある。
 左の目を輝かせるその少女の名は、ミニステリアリス・グレイグース。
 彼女はいま、本来あってはならない――正しく言えば"解き放たれてはならない"――モノを、その意志力によりかろうじて制御していた。
 それこそが、あの星をも掴むほどに巨大な、半透明な巨大な腕。
 現世にあらざる、オーバーテクノロジーで結集された"人造惑星核"の一部だ。
(ダメ。まだもう少しだけ、できるだけ暴走を抑えなきゃ……!)
 左目を禍々しい深紅に輝かせたミニステリアリスは、歯を食いしばり呻く。
 このユーベルコードは、多重封印されたミニステリアリスの、"本来の機能"である。
 すなわち、彼女にとっては封印を解き放つだけでも一苦労な上に、
 一瞬でも制御を手放せば、たちまち敵味方の区別なく威力が暴れ狂う。
(座長さんや船長さん、それに他にも多くの人たちが、この先へ行こうとしてる。
 なら、私も、この力を使えるようにならなきゃ……だから、倒すべき敵だけを!)
 存在するものすべてを圧殺しようとする巨大な腕は、少女の意思を不服とする。
 左目から流れ落ちる血は水の玉となり、宇宙に宝石めいて散っていった。
「敵は、あれです――あれが敵です! 敵意の化身よ、あれだけを壊して!」
 ぎぎ、ぎぎぎぎ……と、ミニステリアリスの意思が巨大な腕を動かす。
 無数の光線と回転攻撃により猟兵を燼滅させようとしたクェーサービーストは、
 ついに投影された巨腕に押さえつけられ、つかの間だがその動きを停めた!

 その時、ぎちぎちと拘束を逃れようとする触手に、おびただしい"蔦"が絡みついた。
 蔦の根本を目で追うと、それはいままさに霧散状態から"再収束"している最中。
 気化四散していた体が再構成したのは――白衣を着た血色の悪い男の姿である。
 冴木・蜜。人を救いたいというその意思がために、なおも生き足掻く男。
 この旅の途中、何人もの怪我人を癒やし手当してきた優男の姿はそこにはなく、
 蔦を振りほどこうとする星の獣を視る目は、血走って凄絶なありさまだった。
「いまのあなたは動けない。なら、私を殺すことも出来ないでしょう。
 ……そもそもあなたに、"死"というものがあるのか、私にはわかりかねますが」
 どろどろと溶け崩れるその姿から見て分かる通り、蜜は人間ではない。
 ブラックタール。その黒い粘体に流れるのは、血潮ではなく無限めいた病毒。
 毒とは、動植物を問わず生命体すべてにとっての脅威である。
 どれだけ体が大きかろうと、強大な力を持とうと、数で生態系を圧倒しようと、
 病毒はそんなものをすべて無視し、浸透し、命そのものを病ませ、殺す。
 蜜はそれを使う。ともすれば、冴木・蜜という男そのものが形を持った毒である。
 ならば、クェーサービーストに対してはどうか。言うまでもない。
 蔦は非現実的にすら思える速度で触手を伝い、あっという間に星の獣を包んだ。
「私は死に至る毒(やまい)。私が触れるものは有象無象の区別なく死するさだめ。
 この力が、この世界の人々にとっての"救い"になるのであれば、私は――」
 人のカタチをした指先が、痙攣する触手にそっと触れた。
 それは天敵に対してですら、撫でるような優しい指先。けれどももたらされるのは。
「――私は、怪物となりましょう」
 巨体を駆け抜け、彼奴が足掻き拒む"死"へといざなう、毒そのものである。

『ハァッハハハハハァ! 敵も味方も派手でいいねェ!!』
 そんな戦闘宙域を、黒いオーラを纏う"永一"が狂ったように笑いながら翔ぶ。
 それは永一であるが、永一ではない。彼の狂気ではあるが、彼本人ではない。
 狂った鬼の血走った目は、アウトレンジから狙いを定めるふたつの砲口を見た。
 ひとつはフランチェスカ。この混乱に乗じて無事にアウトレンジに離脱し、
 "切り札"――すなわち、すべての鎧装をパージして己の斧槍を中心に再構成し、
 戦艦のそれをも上回るほどに長大かつ大口径の砲身――を構えている。
 ゴウン、ゴウ、ゴゴゴゴゴ……と音を立て、ジェネレーターが光を放つ。
 バチバチと砲身が電磁を纏い、紫電を上げながら熱量を増していく。
 そしてもうひとつ。それは、ゲーム世界のバーチャルキャラクターである少女、
 非在・究子が構えるゲームウェポンであった。
 飛来する光線をぎりぎりまでひきつけて躱す究子のあとには、
 なにやらどこかで見覚えのある"オプション"がいくつか追尾しており、
 究子が銃器型のゲームウェポンのトリガーを引くたび、レーザーを放つ。
 ついでにミサイルも射出され、拘束を逃れようともがくクェーサービーストを、
 その爆発によって牽制していた。多分、見覚えのあるコマンドを使ったのだろう。
「ぐ、ぐひひ。だ、弾幕ゲーなら、あ、アタシの得意分野、だぞ」
 電脳魔術によって自分とその周囲を"ゲームの世界"めいて書き換える究子には、
 いまの状況は一瞬の『ボス戦』のようなものになっているらしい。
 そして究子が嘲笑うように動き回ることで、クェーサービーストの狙いは逸れ、
 永一――正確に言えばその肉体を受け取った"彼"――も、安全に接近できるのだ。
「ぼ、ボスはタフなもの、だからな。で、でも、耐久値は、あるだろ。
 ど、どこまであるかは知らないが、ぜ、全部削りきってやる、ぞ!」
 ZAPZAPZAP! 一撃一撃は大したことのない破壊力だが、敵にとっては鬱陶しい!
 それ自体が一種の弾幕となり、フランチェスカの砲塔を覆い隠しているのだ!

 "永一"は笑った。まったく、猟兵というものはだからこそ面白い。
 世界も、技術も、流派も、年齢も、性別も、種族も、得物も、何もかも別。
 だのにこうして、同じ敵を倒すために肩を並べて戦うのは得意ときている。
 病毒に蝕まれ痙攣する巨獣を、"永一"は天高く見下ろしながら蔑んだ。
『可哀想だなァ宇宙クラゲ野郎! 俺様たちに歯向かうからこうなるんだぜェ?
 ハハハハッ! さあて、バラバラに引き裂いて料理しちまおうか! なァ!?』
 驚異的な速度で疾走した"永一"のナイフやダガーが、衝撃波を巻き起こす。
 それは病んだ触手を切り裂き、同じように頭上を取った織愛に味方した。
「……行きますよ、ノクティス! おもいっきり、貫いてくださいっ!」
 織愛が全膂力を込めて、相棒である竜槍を水晶体めがけ投げつけたのと、
「さあ、これがとっておきの切り札ですわ。召しあが……れ――ッ!!」
 チャージを終えたフランチェスカの大砲撃が炸裂したのは、まったく同時!
 その巨体をも飲み込むほどの光が、星の獣を飲み込み、灼いていく……!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マリークロード・バトルゥール
アラン(f19285)を伴に

まあ、先ほどの機械兵よりもずっとずっと大きいわ
それに…うねうね……不思議な生物はいるものね

触手の範囲から退き、放たれる光線からフェイントを交え逃れる
頭部が厄介ね。どうにか破壊出来れば……
ねえ、アラン。わたくしが引付ける間、あの水晶体に一撃を加える事は出来て?

うねうねさん。あなた、歌はご存知かしら?
触手が此方を向き攻撃が集中する前に声を張り上げる
奏でるは陽と神を讃える国の聖歌。昏き海が明ける日を想い響かせた
見切れる範囲で躱すも掠める光線に強がり微笑む
音は止めず、耐え機を待つ
水晶に振り下ろされると同時に駆け踊れば迫る触手を断つ
ごめんなさい、アンコールは受け付けていないの


アラン・サリュドュロワ
マリークロード(f19286)と

ああ、あの巨大さはまるで城のようだ
さしずめ我々がするところは城攻めですか
…うねうね…あまり近寄りたくはないな

マリー様、あまり離れませんよう
主の手を掴み引き寄せ、迫る触手を貫く
君の騎士だ、好きに扱えと言いたいが…
危なくなったらすぐ逃げると約束して下さるなら承りましょう

歌を合図に、行き掛けに彼を狙う触手を裂き飛び出す
太い触手の上を駆け中心部を目指す
幼き頃から幾度も聞いた歌だが、この常闇の異郷ではまさに光だ
痛撃も歌が身を癒し、前を進む力となる
ジゼル、君もあの歌が好きか?
そうか─彼だから良いか、夜明けに囀ずる鳥のような声が
氷纏わせ重量を増した斧槍掲げ、裂帛の下振り下ろす



●夜明けにさえずる鳥のような
 閃光が巨獣を包み込み、宇宙の彼方までをつんざいて照らし出した。
 ……クェーサービーストの巨体が、幾度目かに猟兵たちを圧倒する。
 それは城塞だ。アラン・サリュドュロワは心の底から素直に感嘆した。
 そして、呆れた。あれだけの攻撃を食らって、まだカタチを保つというのか。
 病毒に蝕まれ、痙攣しながらも、クェーサービーストは己の治癒を試みる。
 させるわけにはいかない。そこへ、新たに生えた細い触手が槍めいて――!
「……マリー様、あまり離れませんよう」
 彼の主であるマリークロード・バトルゥールを貫くと見えた触手は、
 それよりも疾いアランの一撃によってばっさりと斬り裂かれていた。
 王姫の姿をした少年は、くすりと微笑んで従者である騎士を見上げる。
「ねえ、アラン。あの大きくてうねうねする生物を、どうにか出来るかしら?」
「……どうにか、と言うと?」
「つまり――あれを殺すために、戦えるかということ」
 アランは眉根を顰めた。この戦い、すでに尋常の域を遠く超えている。
 さっさと退いて任せるべき、というのが彼なりの進言であったが……嘆息し、
 頭を振ってそれを振り払う。それは、騎士の行いでも、従者の行いでもない。
「俺は君の騎士だ、マリー。好きに扱え。――ただし」
 アランはじっと、マリークロードの目を見つめた。
「危なくなったらすぐ逃げる。そう約束してくださるならば、承りましょう」
 マリークロードは微笑みながら頷いた。アランはそれを揶揄しかけたが、
 その微笑みはつまり"姫"として"騎士"に任せた、ということである。
 繋いだ手が離れる。敵めがけ進み出す騎士を、マリークロードは見送る。
「……それは、こちらの台詞よ。アラン」
 姫が呟いた言葉は、騎士には届かなかった。

 この常闇の異郷は、一週間経とうとやはり慣れない。
 風も、熱も、太陽すらもない星空は、見上げればぞっとしてしまう。
 自分はこのまま、慣れ親しんだ大地に戻ることなく永遠に孤独なのではないか。
 アランは柄にもなくそう考えてしまう。そんな彼の心に、耳に、
 聞き慣れた歌声が届いた。するりと、その耳朶から心の奥へと染み込んだ。
「うねうねさん。あなた、歌はご存知かしら?」
 あまたの猟兵の攻撃に悶え苦しむクェーサービーストに、その声は届いたか。
 マリークロードはそれを問わぬ。届こうと、届くまいと、呟いて歌うのみ。
 それは、陽光と彼らの信ずる神を称える、彼らの母なる国の聖歌であった。
 昏き海が明ける日を想い、この暗澹たる宇宙の隅々まで届けと、
 両手を拡げて歌う。クェーサービーストは、おそらくそれを厭わしく思った。
 それは、ヒトの営みの歌だ。明日を求める人類の、生きようとする歌だ。
 人類を敵視し、未来を摘み取ろうとする怪物にはあってはならぬ歌。
 あらゆる物質を分解せしめる光線が、その歌を停めさせようと放たれる。
 先を行くアランが触手を切り裂き、引きつけ、押し留めようとする。
 掠めたそれを恐れることもなく、マリークロードは微笑んだ。己を強いて。
「怖くないわ。だってわたくしには、とても、とっても強い騎士がいるんだもの」
 嘘だ。本当は怖い。この宇宙が、あの巨大さが、その攻撃が。
 けれどもそれは"姫"が見せるべき感情ではない。見せるべき表情ではない。
 だからマリークロードは歌う。偽りの姿で、偽りの言葉で、偽りの表情で、
 しかし偽れぬ想いを込めて、母なる国と大地を想い、謳い続けた。
 機をもたらすために。恐怖も何もかもを微笑みの中に押し込んで、歌い続ける。
「……ジゼル」
 体の内側から湧き上がる活力に、アランの手に力が戻る。
「君も、あの歌が好きか?」
 夜明けにさえずる鳥のような声。皇帝を魅了した小夜啼鳥のような。
 愛器が震えた。アランはふっと微笑む。
「――そうか。"彼だからいい"、か」
 騎士はいま、巨獣の守りを抜けてその直上に。
 ひび割れたボロボロの水晶体を見下ろし、凍りつく刃を振り上げる。
「ならば私は君を振るおう。騎士として――陽の光をもたらすように!!」
 裂帛の気合を込めて、歌声に背中を押されるかのように斧槍を振り下ろす。
 それは、闇を切り裂く聖者の刃のように。
 海をも絶ち切る預言者の言葉のように。
 母なる大地への想いを乗せた一撃は、星の獣に稲妻のごとく突き立てられた!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トルメンタ・アンゲルス
クエーサービーストの尖兵、キエリビウムJOX……
まだ上がいるんなら、ここで止まっていられない。
お前を踏み越え、突き進ませてもらう!

いい機会だ、試させてもらう!
Call――Code:LastDancer!

新たに開発した全領域戦闘機LastDancerを転送!
それと並走し、更にMode:Crossover発動!
巨躯相手ならば、こちらは追加装甲を更に纏うまで!

出力全開、物理法則を無視した光速のダッシュで突っ込む!
見切り・第六感・残像を駆使し、奴の攻撃を掻い潜り肉薄します!

狙うは、奴の頭部の水晶体!
力溜めし、怪力を込めて、全力で蹴り穿ち粉砕する!
追撃のォ!!!
ブリッツランツェエエエエエ!!!!


リンタロウ・ホネハミ
マジで逃げ出してーレベルのデカさっすね……
しかし、デカいだけのバケモノ相手に逃げたとあっては”骨喰”の名がすたるっす

モグラの骨を食って【〇三七番之掘削者】を発動!
ヤツがヤツの触手に取り付いたオレっちに気付いて高速回転を始める前に(『目立たない』『先制攻撃』)
触手に穴を掘って内部に侵入!
そのまま内側から触手をメチャクチャに食い荒らしてやりまさぁ!
ははっ、こうなりゃなんちゃら波動とやらも届きゃしねぇっす!
そして掘り進めてりゃ、そのうち触手を動かす神経にぶち当たるはずっす
そいつをぶった斬って触手で動かせねぇようにしてやるっす!

見たかデカブツ!アリの一刺しの恐ろしさをよぉ!!


ミコトメモリ・メイクメモリア
◆ロク、ジャックと連携

頼みがある、パトリック!
ナイチンゲールの……キミ達の力を貸してくれ! ――――ナイチンゲール号にジャガーノート・ジャックを接続する!

……驚くのはわかる、ためらうのも!
艦を危険に晒すかもしれない、だけど!

敵は巨大だ、強大だ! だからこちらも、信じられるものに命を託さなくてはならない!

管制と操縦はキミに任せることになる、巻き込んですまない……だけど!

人の未来を! この世界の行く末を!
この世界のキミ達が掴まずして……誰が掴む!

……パトリックや乗員を鼓舞する。
大丈夫だ、ボクらがいる。
ボク達を信じて託してくれたなら
ボク達だって、キミ達を信じている!


ジャガーノート・ジャック
(ザザッ)

――船長らの承認は得られたようだな。
では此よりミッションを開始する。

(ザザッ)
"Cyber JACK-et"最大展開――。
装着対象者を『小夜啼鳥号』に指定。
レーザーファンネル召喚・雷砲追装。
(武器改造×防具改造)
サイバーアーマーの艦体装着・完了。

此の先に行くのだろう。
であるなら
君達の手で道を切り開け。

いい決断だ。
では行こう。

敵の光線は雷光のバリアを展開・相殺する。
(かばう)
ファンネルによる牽制射撃(援護射撃)をしつつ――

チャージ。
30…50…100…120%。
超荷電粒子砲:チャージ完了。
(力溜め×狙撃)

さあ、トリガを引け、宇宙の先に行く者達よ。
3、2、1――Fire‼︎
(ザザッ)


ロク・ザイオン
※ジャック、ミコトメモリと

(ここが、キミたちの森ならば。
森番は、それを、守る)

(相棒を纏った船の上に立つ。
あれは機械ではない。獣だ。
【野生の勘】で、狙うべき一点を観測する)

……今から叫ぶから
耳塞いでて……
いや。
聞いてて。

(この船が、ひとが、あの星の獣と戦おうとしている。
それに比べれば、
宇宙に叫びを轟かせる奇跡など、なんて容易い!)

おれたちは、まだ
生きて、
超えて、
この先を目指すんだ

(「啀呵」をナイチンゲール号を中心に、戦闘宙域全体へ
おれたちがここにいると冷たい宙にがなり立てろ
ここが、ひとの世界の最前線だ)

飛べ!!
ナイチンゲール!!!


鳴宮・匡
◆リア(f04685)と


だいぶ味方とは離されたか
攻撃に当たってやるほど愚鈍じゃないが
こっちの攻撃が効いた様子もない
絶望的とは言わないが、不利は不利だな

……どうする?

言い残された言葉に、大きく息を吐く
俺の周りは悉くそんな奴ばかりだ

甲板上で銃を構えるリアの背を支えて
震える手に、こちらの手を添える

……簡単に、自分を投げ出すなよ
言ってなかったと思うけど
「そういうの」、嫌いなんだ

大体、こういう時の為のお前なんだろ
だったらこの状況を覆す力がちゃんとあるんだよ
俺が言うのは柄じゃねーけど、もう少し自分を信じてやりな

足りない分は、手伝ってやる
……狙えばいいんだろ、得意分野だ
これだけなら、お前にだって負けてないぜ


リア・ファル
◆匡(f01612)さんと

真の姿
(負傷し窮地に陥る)

ゴメンよ、ボクの我が儘を聞いてもらったばっかりに…
キミだけは必ず、帰るべき日常に送るから

ティル・ナ・ノーグ、現実空間へマテリアライズ!
穿つべき箇所は演算済み

甲板上で銃を構えるが、定まらない
負傷で砲撃演算機能が死んでる

何も出来ないなんて!
戦艦の務めも果たせず、涙する自分が一番悔しい 

(銃把に重ねられた手、抱き支えられた背中)

…匡さん!?

…うん。(涙ぬぐい)ありがとう。ボクを…手伝って!

「ボクだと狙えない…だからトリガーを預けるよ。残りは任せて!」

喩え放たれるのが砲撃だろうが、穿つ
背中と掌に伝わるぬくもりが、それを信じさせてくれた


ヌル・リリファ
アドリブ連携歓迎です

たしかにおおきいけど。おおきいからって殺せないわけじゃないからね。
なら、することはひとつだよ。

波動はサイキックエナジーの【衝撃波】で減衰させる。
波動がどんなものかは流石に解析しきれないだろうけど。なんにしろ分解するのにはエネルギーが必要なはず。だったら、エネルギーの放射の影響はうけるでしょう?

……データがとれるといいな。マスターも勿論物質の分解はできるけど、べつの理論でしてるかもしれないから。

あとはシールドを展開して【盾受け】。シールドは分解されたら再構築すればいいもの。

攻撃はUCを起動、ひかりの武器で。
このかずの攻撃はあのおおきさでも流石に無視できるものじゃないとおもうよ


ヴィクティム・ウィンターミュート
安心しろよ
俺が脚本を書くんだぜ?ハッピーエンド以外ありえねえ
始めようぜフリークス
猟兵の勝ちを彩る、演出をよろしくな?

厄介なのは、当たれば終わりの波動だ
だが下策だったな。"俺を相手に一度見せる"なんて
さっきの回頭ン時の波動で、大体の解析は済んだ
このUCは"今"作った特別製だ

──セット『Mercy Hand』
高速回転を【第六感】と【見切り】で察知
【ハッキング】によりUCの構成情報にアクセス、改竄──完了
いつもより、力が満ちるのを感じるか?いいぞ、撃てよ
万物必滅の波動が全方位に乱射、全てが分解され──

無いんだなこれが
全部漏れなく治癒に変えておいたよ
ホースにされた気分はどうだい?
じゃ──バズ・オフ…だ




 かつて、小夜鳴鳥(ナイチンゲール)号という船があった。
 古馴染みに愛されたその船は、ある日忽然とその消息を絶った。
 狡猾なオブリビオンによって船内に不和が起こり、船員は全滅してしまったのだ。

 長き時を経て、邪悪の存在を察知した猟兵たちにより、船に巣食う獣は払われた。
 程なくして新世代の若者たちが、この船の新たな乗員となった。
 あの銀河帝国攻略戦を生き延びた若者たちが、いま目的とすることは一つ。

 それは若者たちだけではない、この世界に住む人々すべてにとっての夢。
 失われた母なる大地。帰るべき惑星を、その先に見出すための絶望的な旅。
 暗中模索の旅路は、尖兵たる星の獣と遭遇することでひとまずの終わりを迎えた。

 ――ところで、かつてナイチンゲール号を率いていたひとりの長がいた。
 彼は船を奪おうとする邪悪の気配を知り、すべての船員に恨まれるのを承知で、
 おのれの命を顧みることなく、邪悪なオブリビオンの野望を食い止めたのだ。
 結局、彼の働きは、彼が家族と呼んで愛した人々には知られなかった。
 それでも彼が抱いた夢は、いまここへ繋がっている。
 もはや亡き、その男の名は……。

●星の海に魂の帆を張った男
 クェーサービーストに、ついに滅びの兆しが見えつつあった。
 これまでの猟兵たちの、絶え間なき連撃を耐え抜いただけでも驚嘆すべき事実。
 だがどれほどの巨躯であろうと、存在しているならばいつかは終わるもの。
 準星の銘を冠した獣とて、ついに避け得ざる死に追い詰められつつあったのだ。
「それでもまだ、これだけのタフネスを保つのか……本当に厄介だな!」
 ミコトメモリ・メイクメモリアは、渋面を浮かべて呻いた。
 あと一押し。星の獣を滅するには、あと一押しが必要だ。
 だが、そのためには、おそらく甚大なまでの一撃を多重に叩き込まねばならない。
 すなわち、彼奴が相応の隙を晒す必要がある。
 さもなくば、クェーサービーストの抵抗をもねじ伏せるほどの一撃を――。
《――ミコトメモリ、本機はひとつ作戦を提案したい》
「……やるのか、ジャック」
 ジャガーノート・ジャックの貌を、ロク・ザイオンが見上げた。
 彼らもまた、これまでの戦いにより、相応の傷を帯びていた。
 戦闘宙域に残り、クェーサービーストを叩き続けているのはふたりだけではない。
「もういい加減疲れたんすけど! まだ退却しちゃダメなんすかねぇ!!」
 魔剣を握っていないほうの手をぷらぷらしながら、リンタロウ・ホネハミが言った。
『当たり前だろ。主役が先にステージを降りてどうしようってんだ?
 なあに、安心しろよ。俺が脚本を書いた以上、ハッピーエンドはありえねえ』
 リンタロウの宇宙服に、ヴィクティム・ウィンターミュートの通信が流れる。
 そこに割り込む形で、もうひとりの少女が声を挟んだ。
「たしかにおおきいけど、おおきいからって殺せないわけじゃないからね。
 あとすこし、だよ。それなら、死ぬまで殺せばいい。わたしはそうする」
『なんともシンプルな理屈ですね……けど、いまは大賛成しますよ!
 あれは尖兵だ。ここから先へ進むには、ここで止まっちゃいられませんよ!』
 ヌル・リリファの言葉に、トルメンタ・アンゲルスが気合十分に追従した。
 リンタロウは心底くたびれたようにため息をつくが、退く様子は当然ない。
 ここまで来たならば、最後まで獲物を追い詰めてこその"骨喰"。
 誰もが傷つき疲弊していたが、見えてきた終わりの兆しをその支えとした。

 ……そしてやはり、戦っているのは彼らだけではない。
「攻撃が当たっても効いた気がしないな……まあ、殺せるなら殺すけどな」
 鳴宮・匡に、表向き疲弊は見られない。彼は筋金入りの猟兵である。
 しかし、彼が今回のビジネスパートナーとして連れ立った少女――つまり、
 リア・ファルに関しては話が別だ。明らかに憔悴し、追い詰められつつあった。
「そう、だね……大丈夫、まだまだボクの武装は――」
「! ……リア!」
「えっ……っと、わぁあっ!?」
 その消耗が、リアらしからぬ油断に繋がった。
 匡が警告を発し、すぐさま彼女の手を掴んだ瞬間……おお、なんたることか。
 傭兵が予知したとおり、クェーサービーストの悪足掻きが始まった。
 残されたすべての力を使い、触手攻撃と波動放射、光線の乱舞を開始したのだ!
『あぁ? おい匡、リア! ……マジかよ、巻き込まれたのか?』
「こっちじゃなんも見えないっすよ、つーか避けるので手一杯!」
「あのふたりなら、あれで死ぬはずはないけれど……」
 通信途絶に舌打ちするヴィクティム、リンタロウとヌルが端的に報告した。
 そう、突然に巻き起こった嵐のごとき攻勢に、ふたりはおそらく呑まれたのだ。
『――捜索しているヒマはなさそうですね。どうにかしてアレを抑えます!』
「……うん。みんな、少しだけ任せるよ! ボクたちは少し後方に回る!」
 突出したトルメンタと入れ替わりに、ミコトメモリが叫んだ。
 その後に続くのは、なんらかの"作戦"を提示したジャガーノートとロクだ。
《――すでにヴィクティムへの打電は済んでいる。協力の旨を取り付けた》
 鋼の豹と姫たちが目指すのは、すなわちナイチンゲール号である。
 戦友たちにその場を任せ下がる最中、ロクは宙域を振り返り、暴れ狂う獣を睨んだ。
 ……そうとも、あれは獣だ。鋼の機械ではない。ただの、獣だ。
(ヒトの営みを、森を、奪わせたりするものか)
 森番は心のなかでそう誓い、小夜啼鳥の名を冠する船へと急いだ。

 一方、ナイチンゲール号!
「ジャックさん、どういうことですか? 船を前に出せって!」
 若き船長パトリックは、ろくでなしのジャックに食い下がった。
 そう、安全宙域に離脱していたナイチンゲール号は、いま再び前進している。
 それを提言し、なかば強制的に船を進めさせたのはジャックである。
「わかってる。普通ならあいつらの足を引っ張るだけだ。だが――」
『聞こえるかい、ナイチンゲール号! パトリック、頼みがあるんだ!』
「……ほらな。こういうとき、あいつらはこうするんだよ」
 ブリッジに響き渡ったミコトメモリの声に、"色男"はニヤリと笑った。
『驚くとは思うけど聞いてほしい……ナイチンゲール号の力を貸してくれ!』
 だがミコトメモリの言葉には、その場にいる誰もが(色男以外)驚いた。
「この船の力を? 一体どうすれば?」
《――本機を、貴艦に接続したい》
 通信に割り込んだジャガーノートの言葉に、再びどよめきが走る。
『ためらうのもわかる。艦を危険に晒すかもしれない、だけど――』
「……わかりました」
 懸命に訴えかけようとしたミコトメモリの言葉を、パトリックが遮った。
 ミコトメモリは、少なからず驚いた。なにせ通信越しに見た彼の表情は、
「出来ることがあるなら、なんだってやります。あの時の戦いのように!」
 笑っていたのだ。晴れ晴れと、恐れを押し殺しながらも、胸を張るように。
「僕たちは皆さんに命を託しました。なら、託されるのも同じことです。
 船の全出力をそちらへお貸しします。グッドラック、イェーガー!」
『……ありがとう。よし、やろう! ジャガーノート・ジャック! ロク!』
 甲板上。ミコトメモリの視線を受け、鋼の豹と森番は頷いた。
 ナイチンゲール号が最大船速で推進する。そこへ鋼の豹が"接続"する。
 隣に立つロクが、ばちばちと燃え上がるたてがみを揺らし、身をかがめた。
「……今から叫ぶから、耳を」
『バカ言え。聞いとくから思いっきり叫んじまえ、嬢ちゃん!』
 船から伝わってきた聞き馴染みのある声に、ロクもまた笑った。
「――ああ、おれの声を、キミたちも聞いててくれ」
 目指す先は混迷の宙域。仲間たちが耐え凌ぐ戦禍の中心――!

「さあて……匡とリアなら、ここでうまい具合に場を乱してくれる。そうだろ?」
 射程外で状況を俯瞰するヴィクティムは、不敵に笑いながら呟いた。
 ふたりの消息は知れない。だが、そんなことは戦場ではよくあることだ。
 互いに何も伝え合わずとも、スタンドアローンの動きが連携として結実し、
 敵を打ち砕く必殺の一撃となる。いいや、"なってきた"というべきか。
 ヴィクティムはそれを知っている。それが出来る、主役たちの強さを知っている。
 ならば端役たるおのれは、彼らの戦いをサポートし、彩ってやるまでだ。
「始めようぜ巨獣(フリークス)。お前にとっても一世一代の大舞台さ。
 ――派手にブッ散らばってくれよ。悪役が派手なら派手なほどいいんだからな」
 ヴィクティムはふたつの世界を同時に視る。現実世界と電子の世界を。
 接近するナイチンゲール号。接続したジャガーノートの処理をサポート。
 戦場に残った猟兵たちの位置を把握しながら、それぞれの戦闘をアシストする。
 そしてなによりも、敵の動き。あのすさまじい悪足掻きを、じっと見つめる。
 当たれば終わりの物質分解波動。あいにくだが、そのタネはとっくに見えていた。
 ……強大な演算能力を持つミレナリィドール、ヌルによる分析だ!
「データ、これでじゅうぶんかな。うん、参考になったよ」
 度重なる波動を、サイキックエナジーを収束させた衝撃波で相殺しながら、
 彼女はリアルタイムでその組成・原理・もたらされる分解の程度を計測分析、
 ヴィクティムのほうへデータを共有させながら、手がかりを集め続けていたのだ。
「だからもう、あなたのそれは効かないよ。わたしにも、他のひとにも」
 BOOOOM……全方位に多段階の物質分解波動が放射される。
 ヌルの空色の瞳と、額の宝石が輝き、極大の念動衝撃波を発生させた。
 ……相殺。波動が猟兵たちを脅かすことは、もはやない!

「よっしゃあ! いまがチャンスっすねぇ!」
『突撃役らしく、一気呵成に貫いてやるとしましょうか!』
 トルメンタとリンタロウはヴィクティムのナビゲートのもと、タイミングを同期。
 まずモグラの骨を噛み砕き、魔剣の力によって強力な掘削能力を解放したリンタロウが、一瞬だけ動きを停めた触手に取り付き、これを抉って"掘り進む"。
 もはや波動も光線も怖くない。こうして肉を抉って進めば相手の"手の内"だ!
「ははっ! でかいだけあって食い荒らしがいがあるっすねぇ!
 そらそらどうした、体内に入られたらどうしようもねーっすかぁ!?」
 ドリルじみた速度で忌まわしい肉を引き裂き、リンタロウが触手を引き裂く!
 トンネルじみた肉の触手、抉りながら向かう先は、無論その根本。
 すなわち――触手を駆動させる、クェーサービーストの中枢神経だ!
 当然クェーサービーストは、その痛みにもんどり打ちながらリンタロウを排出しようとする。
 リアルタイムにえぐられる触手を振り回し、同時に他の猟兵も威圧し、
 なんとかしてアドバンテージを取り返そうとするのだ。
 暴れ狂うさまは、まるで陸に揚げられた哀れな魚のようでもあった。
『その程度の嵐、俺のスピードが貫けないとでも? 嘗めてくれますね!
 ――いい機会だ、試させてもらうとしましょう。Call,Code:LastDancer!!』
 トルメンタが指を鳴らした瞬間、虚空から超音速で走る戦闘機あり!
 新開発された全領域戦闘機、ラストダンサー!
 疾走するトルメンタと並んだそれは、信号により一瞬で分解し再装着。
 蒼き流星は、いま、新たな装甲を纏う亜光速の矢と化した!
『出力全開! さあ、当ててみせろ! この俺にィッ!!』
 コアマシンの光を放ち、翠蒼の流星がクェーサービーストを翻弄する。
 なんたる速度! いかな巨躯でも、光そのものを捉えることなど出来ぬ!
 なおも暴れ狂う触手は、しかし降り注ぐ光の刃によって縫い留められた!
「――無駄なあがきは、しないほうがいいよ。邪魔だから」
 ヌルである。余剰サイキックエナジーで構成された無数の光刃だ。
 その一瞬でトルメンタにとっては十分。その姿は、水晶体を見下ろす敵直上へ!
 クェーサービーストは物質分解波動を光線として収束させ、それを狙う。
 最大出力の一撃で迎え撃とうというわけだ。それはトルメンタのチャージよりわずかに疾い!

 ……疾かった、はずだった。
 だが見よ。船すらも飲み込むであろう光線は、トルメンタはおろか誰もを貫くように放たれたにもかかわらず!
「鬱陶しい敵を全部分解する――と、思ったろ? されないんだな、これが」
 ヴィクティムである。
 光線が与えたのは、破滅ではなく治癒。星の獣は当惑した。
 意思があるかはわからない。だがたしかに獣は全身を蠕動させ混乱した!
「ありがとよ、お大尽。ご自慢の能力、さんざっぱら見せつけてもらったぜ。
 ここに来るまでも、来てからも。――だから、対抗策を"今作った"のさ」
 リライトコード:慈悲に満ち溢れし御手(マーシー・ハンド)。
 淡く輝く左腕は、対峙する敵のダメージを慈悲=治癒へと変換する電脳魔術。
 もはや光線は止まらぬ。停められぬ! それは獣のくびきを超えている!
「さあ、ここが逆転劇のクライマックスだ! 決めろよ、主役ども!」
 ヴィクティムが快哉をあげたのと、雄々しき咆哮が響いたのは、まったく同時。
「主役ってガラじゃあないんすけどねぇ、まあお膳立てはしまさぁ、っと!!」
 敵体内。触手を抉り進んだリンタロウが、柱のように太い神経をばっさりと裂いた!
 途端、満開の花が咲き誇るように荒れ狂っていた触手が、おお!
 びくびくと痙攣し、垂れ下がる。運動中枢神経が……斬り裂かれたのだ!
「見たかデカブツ! こいつがアリの一刺しの恐ろしさってやつっすよ?
 ――人間はな、テメェみたいにデカくなくても、ここを使って戦うんすよ!」
 こめかみをとんとんと叩きリンタロウはにやりと笑う。
 そして逆手に握りしめた魔剣を――思い切り、敵の内部に突き立てた!

 ――咆哮が宇宙を揺るがす。
 戦闘宙域から遠く離れた、現世に出現したティル・ナ・ノーグ号の甲板上。
 ボロボロになったリアと、それを支える匡は、たしかにそれを聞いた。
「……ロクの声だな。こんなとこまで届くとは……合図か? あれ」
 匡はそう呟いてから、リアの肩が震えていることに気付いた。
「……ゴメンよ、ボクのわがままを聞いてもらったばっかりに……」
「何が?」
「だって、こうやって迷惑ばっかり……」
 もはやリアは、ダメージのあまりに照準機能すらおぼつかなかった。
 涙をこぼす少女の背中を、匡が支えて、震える手に掌が重ねられる。
「えっ」
「……あのさ。俺は別に、リアのことを迷惑なんて思ってないよ。
 戦ってりゃ、こんなことはあるさ。別にリアが悪いわけでもなんでもない」
 当たり前のように言いながら、驚く少女の手を匡が握りしめた。
 ふたりの手が、連動した戦艦の主砲=銃トリガーに添えられる。
「迷惑ばっかりとか、役に立たないとか。そうやって簡単に自分を投げ出すなよ。
 ――言ってなかったと思うけど、"そういうの"、嫌いなんだ」
 かつての匡ならば、それを"どうでもいい"と言ったかもしれない。
 けれど、彼ははっきりと口にする。そんなことを言われるのは、"嫌い"だと。
「大体、お前はこういうときのための力があるんだよ。
 だったら……俺が言うのはガラじゃねーけどさ」
 ――もう少し、自分を信じてやりな。
「…………」
 背中から伝わったぬくもりと言葉に、リアは呆然として、微笑んだ。
 涙を拭い、頷く。もはや自分ひとりでトリガーを引くことは出来ないけれど。
「ありがとう、匡さん。だからもう少しだけわがままを言うね」
「ああ。"狙えばいい"んだろ。俺の得意分野だ」
 これだけなら、誰にだって、リアにだって負けやしない。
 人でなしの自分でも、そうして得たものが誰かの役に立つならば。
「――トリガーを預けるよ。残りは任せて。ふたりで――」
「俺たちで、撃てばいい。やってやるさ」
 もはや涙はない。匡の指先がトリガーを絞り、リアのすべてがそれを支える。
 主砲にエネルギーが集中する。それこそは未来を拓く光芒――!

「……人の未来を、この世界の行く末を掴むのは、キミたちだ」
 ミコトメモリは、静かに呟いた。
「ボクたちを信じて託してくれたキミたちを、ボクたちもまた信じるよ。
 だから、行こう。ボクたちみんなで、この旅路を切り拓くんだ!」
 その声は、ナイチンゲール号に乗る全ての人々を鼓舞する。
 そしてその想いを、力を背負い、また与えるジャガーノートをも。
《――レーザーファンネル召喚、雷砲追装。エネルギー循環、完了》
 鋼の豹は静かに言う。未来を目指す人々に。己に変化をくれた男に。
《――君たちの手で、君たちの道を切り拓け。ユアコントロール、ナイチンゲール》
 誰もが互いに視線をかわした。それはやがてひとりの青年に集まる。
 その青年――パトリックは、一同を見渡して、最後にジャックを見た。
 ろくでなしの男は、肩をすくめて笑う。そして頷く。
「……行きます。3、2、1――ファイアッ!!」
 トリガーが引かれた瞬間、ロクはありったけの力を込めて、叫んだ。
 それは忌まわしい声。ひび割れたような、敵ですらもおぞましいと呪った声。
 けれど今は。この声をすべてに届かせよう。
 あの獣に。
 戦友たちに。
 未来を目指す人々に。
 散っていった人々に。
 この世界に。
 この先にあるなにかに。惑星があるならばその地まで!
「――飛べ! ナイチンゲール!!」
 ヒトの世界は終わらない。これからも続く。この先へも続いていくのだ。
 どけ、獣よ。ここから先は、おれたち人間が進むべき旅路だと。
 その叫びが宇宙を震わせ、ナイチンゲールに届き、戦友たちに届き、獣に届き。
 匡とリアに届き、まったく同時にトリガを引かせた。光芒はふたつ!
「――そら、フィナーレだ」
「派手な花火っすねえ! っとと、巻き込まれないうちに退避退避!」
「……きれいだね。すごくきれいな、ひかり」
 そして光は、もうひとつ。
『――追撃のォ! ブリッツ! ランツェエエエエエエッ!!』
 この世界で生まれ育った、誰よりも疾き女の蹴撃が獣を突き抜ける。
 妖精郷の名を冠した艦が、
 小夜啼鳥の翼が、
 ――人々の想いを込めた光が、星の獣を貫いた!
 そして、それを滅ぼし……進むべき先を示すかのように、宇宙の闇を照らし出す……!!

「……ところでよ」
 静けさが訪れたブリッジで、ふと色男が言った。
「例の先代の船長、名前はなんてんだ?」
 問われたパトリックは、きょとんとしてから笑った。
「――実は……僕と同じなんですよ。同じ、パトリックなんです」
 その名を継ぐように、小夜啼鳥ははばたく。人々の夢を乗せて。
 これは、星の海に魂の帆を張った男の――その夢を受け継いだ、人々の物語。
 その旅路の、はじまりの1ページである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年09月19日


挿絵イラスト