●グリモアベースにて
「先日は信長軍との戦いお疲れさま、なんだよ! ――さっそくで悪いんだけど、サムライエンパイアでのお仕事、依頼できないかな?」
笑顔で手を振る佐伯・キリカ(陽気な吸血魔法使い・f00963)が、猟兵を呼び止める。
信長を倒したとはいえ、サムライエンパイアのオブリビオンが即座に消え去るわけではない。サムライエンパイアは、まだまだ猟兵の力を必要としているのだ。
「今回は、とある城下町の近くにアジトを作ったオブリビオンのボスを倒して欲しいんだよ。というのもそのオブリビオン、ちょくちょく悪さをしてるみたいでね。城下町に運ばれる作物を奪ったり、何故か男性ばかりが行方不明になったり、祭具が破壊されたりしてるんだって。それも、お祭りが開催される、っていうタイミングで!」
憤慨するキリカが説明することには、なんでもサムライエンパイアのとある地方で「風月祭」というお祭りが開催されるらしい。月に豊穣を願うために開催されるというこの祭りは、城下町に住まう人々がとても楽しみにしているものだという。
そんなこんなでオブリビオンの被害にあいつつも何とかこぎつけた祭りの前夜、ついに宵宮祭が開催されることになった。――の、だが。人々は、ふとした拍子に不安げな表情を浮かべてしまう。
この状況を打開できるのは猟兵しかいないのだと、キリカは意気込む。
「さてさて、現地に到着したらまずは宵宮をぱーっと楽しむところから始めようか!」
ぱーっ、と両手を広げるキリカは、首を傾げる猟兵たちを前に続ける。
「大丈夫大丈夫、これもちゃんと仕事だから! で、お祭りといえばまずは屋台! だよね。神社に向かう道に、寿司に天ぷら、ソバに団子、綿飴や細工飴の屋台がずらーっと並んでいるんだって。あっ、もちろん食べ物以外もあるんだよ。金魚すくいや射的といった遊べるのをはじめ、綺麗な唐傘や風鈴、硝子細工なんかも売ってるみたい。眺めてるだけでも楽しそうだよねえ」
それに加えて夜空を彩る花火も随時打ち上がっているというから、賑やかなことこの上ない。オブリビオンのちょっかいがなければ、人々は何ら憂うことなく楽しめたことだろう。
「――と、お祭りについてはそんな感じかな。ひととおり楽しんだら、聞き込み開始だよ! お祭りを楽しむ人たちから、それとなくオブリビオンがアジトとしている場所を聞き出して欲しいんだよ」
オブリビオンの跋扈で盛り上がりが心配されている宵宮だ、猟兵たちが先んじて楽しんで盛り上がれば、人々も喜んでくれる。そうなれば、情報も引き出しやすくなるに違いない。
また、城下町の付近で人々が立ち入らないところとしては「うっそうとした竹林」と「土砂崩れが起きて人のいなくなった廃村」があるようだから、ひとまずどちらかにあたりをつけて情報を聞き出すのも良いかもしれない。
「アジトの場所が判明したらレッツゴーアジト! なんだよ! そこで退治に成功すれば、これ以上人々がオブリビオンに悩まされることもないし、翌日のお祭りが何の心配もなく開催できるからね!」
そう言ってキリカは猟兵たちに信頼の笑みを向け、サムライエンパイアへと送り出すのだった。
雨音瑛
今回はサムライエンパイアにてよろしくお願いします。
お祭り→集団戦→ボス戦、となっております。
●各章補足
第一章:日常です。宵宮を楽しみつつ、オブリビオンのアジトを聞き出してください。屋台やお店、花火の形状などはご自由に指定してくださって構いません。
第二章:集団戦です。章開始時に何かしら記述する予定です。
第三章:ボス戦です。章開始時に何かしら記述する予定です。
●その他情報
全章通して夜となっております。
第1章 日常
『祭りを楽しもう』
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POW : 屋台を巡って色々食べよう
SPD : 屋台を巡って色々遊ぼう
WIZ : 花火を楽しもう
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月舘・夜彦
【華禱】
倫太郎殿とUDCアースで花火を見たのも、2ヵ月程前の話になるのですね
今年の夏は今まで以上に時の流れが早かったように思います
のんびり食事といきませんが情報を集めながら楽しみます
お酒はまた今度、ですね
春暁を飛ばして彼女は空から偵察
盗みを働いて追われている者や物を破壊している者が居れば教えてください
私達は屋台で買い物をしながら情報を集めます
作物の奪取された時や祭具を壊された時に
現場に居た方には状況やどのような方が居たか聞きます
戦争が終わったからこそ今の賑わいがある
私達の戦いで彼等の生活を守れる事が出来たのだと思うと
戦い続けて良かったと心底思います
貴方とも、変わらず一緒なのも喜ばしく思いますよ
篝・倫太郎
【華禱】
夏の始まりにUDCアースで夜彦と一緒に花火見た時
次があるなら酒!って言ってた気がするけど
流石に仕事前だし我慢しとく
その代わり、屋台冷かして気に入ったもんあったら買いつつ
情報収集してくぜ
行方不明の男性の共通点とか
最近どこかに良く出掛けてなかったかとか……
後、廃村についても聞けるだけ聞いとこ
人を攫ってる以上、隠し場所の多そうな廃村の方が怪しい気がすっからなんだけどさ
夏の終わりに戦争直後のこの世界で
賑やかな状態の祭りとか花火とか
なんかちょっと感慨深くて嬉しいや
夏の始まりの頃は
誘い過ぎてないか気遣ってたのに
なんつーか、二ヶ月の間に
一緒にいるのが普通になってんの、なんか不思議だなぁ
嬉しいけどよ
あたりを揺らすほどの轟音が聞こえたかと思えば、光の花が空に開く。最初に開いた花弁が雫のような形になって落ち、次第に消えて行く。
そんな風景を、およそ二ヶ月前に月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は見ていた。傍らを歩く、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)と共に。
あの日見た花火がもう二ヶ月前というのに心中驚く夜彦は、倫太郎が少し困ったように屋台の一つを見つめているのに気付いた。釣られて屋台の方に視線を移すと、そこが冷酒を出す屋台だというのがわかる。今まさに赤ら顔の男性が冷酒を購入し、その場で飲み干した。続いて聞こえてきたのは、倫太郎の喉がごくりと鳴る音だった。
「……次があるなら酒! って言った気がするけど……流石に仕事前だし、我慢しとく」
「そうですね。お酒はまた今度、ですね。では、私は偵察をするとしましょう」
といっても、夜彦自身が行うわけではない。
「来たれ、春暁」
その言葉に呼応して訪れるのは、夜彦が『春暁』と呼ぶイヌワシだ。彼女を腕に止まらせて瞳を覗き込み、夜彦は続ける。
「不審な者を探して欲しいのです。たとえば、盗みを働いて追われている者。物を破壊している者――そういった者を見つけたら、報告をお願いしますね」
夜彦が腕を軽く上げると、春暁は途切れることなく花の咲き続ける夜空へと身を翻した。
「それじゃ、俺たちは屋台でも冷かしながら――」
「はい。情報収集といきましょうか」
笑みを交わし、二人は屋台の建ち並ぶ道を歩き始めた。
客引きの声、注文の声、何気ない会話。花火の音、土を踏む音、祭り囃子の音。それらが渾然一体となって、特別な祭りの夜を仕立て上げているようだ。
夏の終わり、エンパイアウォーが集結したばかりのこの世界で見るこの風景は、なんだか感慨深く、そしてちょっと、嬉しい倫太郎だ。
隣に立つ竜胆の簪のヤドリガミはといえば、こちらも穏やかな笑みを浮かべて楽しげに祭りの風景を眺めている。
今では夜彦一緒にいるのが普通となっている倫太郎だが、夏が始まった頃は「誘いすぎてやしないか」と気を遣っていたのが不思議に思えるほどだ。
けれど、やはり嬉しいことであるから。倫太郎は、夜彦の笑みを真似するように口角を上げた。
不意に、二人の前を子どもたちが駆けて行く。そのうちひとりがバランスを崩して倒れそうになったものだから、倫太郎は咄嗟に子どもの腕を掴んだ。
「大丈夫か? 楽しいのはわかるけど、はしゃぎすぎるなよ」
「うん、ありがとう、お兄ちゃん!」
子どもはぺこりと頭を下げた後、片方の手を振った。その後は、もう片方の手に持つ鮮やかな赤い飴を落とさぬようにと少しだけ速度を上げて歩いて行く。
「杏飴、ですか」
子どもの手に握られた棒、その先で花火の光を受けて輝く飴を見て、夜彦が呟いた。
「気になるか? ちょうどあそこに屋台があるぜ」
「情報収集がてら、覗いてみましょうか」
「だな。――うわ、すげー綺麗……! 赤、青、黄色、緑……おっ、こっちは赤と青のグラデーションになってる! なあなあ夜彦、どれにする!?」
既に買う気でいる倫太郎が、夜彦を手招きする。
「そうですね。……この、琥珀色のは倫太郎殿の瞳の色のようですね」
「ん? じゃあ――こっちの緑から夜空の色になってるグラデーションのは、夜彦みたいだ!」
相手の色をそれぞれ手に取って視線を交わし、店主へと金を渡した。
「おっ、ありがとな、兄ちゃんたち! 見かけねぇ顔だが、旅人かい?」
「まあ、そんなもんかな。ところで、ちょっと聞きたいんだけど……」
倫太郎が切り出したのは、行方不明の男性の共通点と、よく出かけていた場所についての質問だ。店主はああ、と腕組みし、思い出すように斜め上方を見る。思い出しているのだろう。
「そうだなァ――いなくなった奴らは全員、美男揃いだったって話だ。よく出かけていた場所はちょっとわかんねェなァ」
「そっか……ついでに廃村のことも聞いてもいいか? 人の出入りがあるかどうか、とか……」
「ああ、土砂崩れになっちまった村か? いやー、あっちに出入りするのは無理だろ。雨が降る度にまた崩れるんじゃないかって言われてるし、住んでた奴らも持ち出せるだけの家財を持って逃げたらしいしなァ」
飴屋の店主がそう言い終えたところで、
「兄さんたち、団子はどうだい?」
と、隣の団子屋の店主が首を突っ込んできた。
「そうそう、行方不明になった奴の話ならちょっとだけ知ってるよ。あいつらねえ、よく竹林の方に出かけてたって聞いたんだよね」
声を潜めて告げる団子屋の店主に、夜彦は小さくうなずいた。
「なるほど、ありがとうございます。……折角ですし、お団子もいただくとしましょうか。他にも色々聞かせてくれると助かるのですが……たとえば、作物が奪取された時や祭具を壊された時のことだとか」
二本購入して受け取った夜彦は、一本を倫太郎に渡しつつ団子屋の店主に問いかける。
すると、店主いわく「クラゲに似た大きな生き物」が現れたということだった。
「作物を奪った後はすぐに逃げたし、祭具を壊した時も他に誰かを襲うでもなくすぐにいなくなったねえ。どっちにしても、なんとも不気味だったよ」
「ふむ……誰かの命令で動いてる可能性がありますね。色々とありがとうございます、――おや」
頭上で、春暁の鳴き声が聞こえる。夜彦が視線を上方に移すと、春暁は滑るように空を飛び、その先で旋回を始めた。
「うん? あっちは竹林の方だねえ」
団子屋の店主の言葉に、夜彦と倫太郎は目配せをしてうなずいた。
どうやら敵は、竹林に潜んでいるようだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
天羽・しおん
+
金魚すくいに挑戦しようかと思うの
(腕まくりをしながら)
戦闘では、まだまだ足を引っ張るから
まず情報を仕入れるために頑張って金魚すくい!
実はね、得意なんだ
ポイを渡してもらったら、すかさず金魚をすくいあげ!
さらにもう一匹!
屋台の人とおしゃべりしながら、すくっていくよ
美味しい食べ物の店とか花火の見どころなんかの後に
魍魎が跋扈してそうな場所の探りを
竹林とか廃村とかきな臭いよね
どちらかの噂を聞ければいいけど…ひとつだけなら竹林のほうで
誰か帰ってこなかったとか聞いてないかな?
金魚は全部お返ししてお勧めされた屋台を巡ります
こんなに素敵なお祭りを壊すのは許せないな
ああ、月が綺麗だ
腕まくりをした天羽・しおん(「蒼姫」の鞘・f21737)が挑むのは、金魚すくいだ。
(「戦闘では、まだまだ足を引っ張ってしまうかもしれないから――」)
そんな心配とは裏腹に、ポイを渡されたしおんは自信に満ちた笑みを浮かべていた。
実は得意なのだ、金魚すくいが。
すかさず金魚を掬いあげ、まずは一匹、手元の椀へ。
「!」
目を丸くするは屋台の店主、ねじり鉢巻のおっちゃんだ。
たまたまその光景を目撃した一般人も足を止め、ほぉ、などと息を吐いている。
「すげえな、嬢ちゃん!」
「ふふ、まだまだいくよ! ほらっ!」
しおんの手が閃く度に、金魚が一匹、また一匹と椀の中へ入っていく。それはまるで手品のような鮮やかさだった。
「そうだ。おじさん、屋台でおすすめの食べ物、なんてある?」
「うん? おすすめか、一番のおすすめは蕎麦だなあ。あとは寿司も美味いが、嬢ちゃんくらいの年齢なら飴細工を作ってもらうのも楽しいかもしれんな。まあ、今日出てる屋台の飯はどれも美味いんだけどな!」
「そうだろうね。みんな、美味しそうに食べてるもの。それじゃ、まずは飴細工の屋台に行ってみようかな」
会話を交わしながらも、金魚を掬う手は休めないしおん。
BGMは、人々から送られる惜しみない拍手と祭り囃子だ。
赤と白が混じり合った金魚に狙いをつけながら、しおんは問いを重ねる。
「おう、行ってみてくれや! って、そいつを狙うたぁ嬢ちゃんもお目が高い!」
「ありがと。――それっ! ついでに聞いておきたいんだけど、花火がよく見える場所なんてある?」
「おおっ、そう来るか! 花火か……花火なら、神社の方に行くといいだろうな。ちょっとした台が設置されてるから、そこからなら花火がよく見えるはずだぜ」
「なるほど、神社で台ね。……そうだ、ついでに聞いてもいいかな? この近くの竹林で、最近変なことなかった? たとえば、誰かは帰ってこなかったとか……」
「なんだ、そんなに噂になってんのか? そうなんだよ、竹林に向かった奴が帰ってこねえ、って」
しおんがあたりをつけた通り、敵は竹林の方にいるらしい。
金魚を掬う手を止めたしおんは、ポイと、掬った金魚すべてを店主に返した。
「さて、そろそろ行かなきゃ。金魚はお返しするね。楽しい時間をありがとう!」
店主に頭を下げ、そして歓声と拍手を送ってくれた見物客にも頭を下げ、屋台へと繰り出した。
本来ならば何の懸念もなく楽しめるはずの祭りは、今やオブリビオンの脅威にさらされている。行き交う人々は言葉にこそ出さないが、絶えず不安を感じているのだろう。
「……こんなに素敵なのに、壊すなんて許せないな」
雨細工の屋台の前で立ち止まったしおんは、ふと思いついて雨細工を依頼する。
職人が手を動かした末に出来上がったのは、竹串に刺さった真っ赤な金魚の飴細工。屋台の提灯に照らされる赤は、宝石のように輝いている。薄い尾ひれはひときわ透明度が高く、向こうの景色が透けて見えるほどだ。
食べるのが惜しいと何となしに見上げた月も綺麗であったから、しおんは竹串をくるりと回し、微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵
月待・楪
氷月(f16824)と
へぇ…これがサムライエンパイアの祭りか
ヒーローズアースのフェスティバルとは雰囲気からして違うな
あれだ、風情がある、だろ?
氷月、はぐれんなよ?
…お前が繋ぎたいならいいケド
んー…何するかは任せる
…屋台が多過ぎて選ぶのがめんどくせー
食い物だけでどれだけあるんだよ…
何か猫助に土産に渡せるようなもんが手に入るやつにしろよ
(お面を売る屋台を見付ける)
っと、氷月
腹減ったから何か買って来て来んねェ?
俺はこの辺りにいるから
氷月が行ってる間に…黒猫の和風の面と同じやつの赤猫のを買う
顔の上半分だけのやつな
黒は俺の、赤は氷月の分っつーことで
黒を着けて氷月を待つ
…どんな反応するか愉しみだ
氷月・望
楪(f16731)と
アドリブ等歓迎
サムライエンパイアは良い意味で古風な感じするし……
ド派手って訳じゃないケド、こういうのもいいよね
ゆーくんこそ、はぐれないでよー?手を繋げば、はぐれないかな
んー、これだけあると迷っちゃうね
マクベス、ソースせんべいとか食うかな
……まぁ、シェア出来そうなの選んでおくかな
へ?いいケド、逆ナンパされない様にね?(けらけらと
持ち運び易そうなやつメインに、あと焼きそばとか?
美味そうなの見てたら、ちと時間掛け過ぎたかも
ゆーくん、待たせて悪ィ……へ?
え、ソレ――わっ!?(赤を着けられて、きょとん
……普段自分じゃ選ばないのに、選んでくれるとかさ
反則だっつーの、マジで!……サンキュ
グリモアベースからサムライエンパイアに転送された直後、月待・楪(Villan・Twilight・f16731)は興味深そうにあたりを見回した。
和装の男女が、楽しげに往来を行き来している。そこいらにぶら下げられた提灯がぼんやりと祭りの様子を照らす様は、ヒーローズアースのフェスティバルとは雰囲気からして異なるものだ。
「へぇ……なかなかいいんじゃねーの」
「うんうん。ド派手って訳じゃないケド、こういうのもいいよね」
二度も三度も頷くのは、楪とともに祭りを訪れた氷月・望(Villain Carminus・f16824)。
「あれだ、風情がある、だろ?」
「そう、それ! さっすがゆーくん、それじゃ盛り上がりの一端を担わせてもらいに行こうか!」
「氷月、はぐれんなよ?」
「ゆーくんこそ、はぐれないでよー? そうだ、手を繋げばはぐれないかな?」
悪戯っぽく笑って楪の手を取る望。お前が繋ぎたいなら、とそっぽを向く楪は、されるがままだ。
歩みを進める度に目に入る、食べ物や細工、民芸品。
「んー……」
口元に手を当て、望が考え込む。どうした、なんて楪は問わない。多分考えは同じだからだ。
「これだけあると迷っちゃうね」
「まあ、何にするかは任せる。しっかし、屋台が多過ぎて選ぶのがめんどくせーな。食い物だけでどれだけあるんだよ……」
「あはは、確かに。あ、マクベス、ソースせんべいとか食うかな」
「さあ……何にせよ、猫助に土産として渡せるようなもんにしろよ」
「うーん、だったらシェア出来そうなの選んでおくかな」
「それがいい……あ」
屋台を見渡す楪が、言いよどんだ。
「っと、氷月。腹減ったから何か買って来て来んねェ? 俺はこの辺りにいるから」
「へ? いいケド、逆ナンパされない様にね?」
「誰がだ」
「えっ、もちろんゆーくんが。じゃ、ちょっと待っててねー」
けらけら笑って手を振り、望は食べ物の屋台が連なっているところへ駆けていった。
「……さて」
望の姿が完全に見えなくなったのを確認した楪は歩き出し、ある屋台の前で立ち止まった。
行灯の明かりに照らされたそれらは、ひとつひとつ表情も形も異なるお面だ。
狐、熊、兎といった動物のほか、愛嬌のあるひょっとこのお面なんかもある。祭りの灯りを受けていっそう賑やかに見えるそれらの中、楪は迷わず二つのお面を手に取った。黒と赤の色違いの、ある動物のお面だ。
「微妙に違うのが、また良いな」
「お買い上げかい? まいど!」
小気味よい店主の言葉を耳にしつつ代金を払い、楪は二つのお面を受け取った。その片方をつけ、元いた場所へと戻る。
「……どんな反応するかね」
さて、食べ物を買いに行った望はといえば。焼きものの煙に引き寄せられてみたり、歩く人々が手にするものに気を取られてみたりしていた。
「食べ物、食べ物、美味しそうな食べ物ー、っと。お姉さん、それどこで売ってるの? あ、すぐそこ? どーも!」
軽く頭を下げて、望は笹の葉に乗せられた巻き寿司を買う。
「あとはあの焼きそばみたいなやつも買っていこうかな。あ、デザートに杏子飴とか食べるかな、ゆーくん。ま、食べるでしょ。食べなかったら俺が食べればいーし。おじさん、杏飴ふたつ!」
「あいよっ!」
なんて楽しげに屋台を巡る望に、行き交う人々も思わず笑顔になる。
「ま、こんなもんでいいかな。さ、ゆーくんがお腹空かせて待ってるだろうし、ヴィランは急げ、ってね!」
両手に戦果を携えて戻ってきた望は、見慣れたシルエット、その背に向けて大きく手を振る。
「ゆーくん、待たせて悪ィ……」
振り向いた楪は、顔の上半分だけの黒猫面をつけていた。そのまますぐ近くまで望が歩み寄ると、楪の口角が上がる。
「へ? え、ソレ――わっ!?」
とたん、望の顔に着けられる赤猫のお面。楪のそれと、色違いのお面だ。
きょとんとしながら楪を見遣る望の口元が、次第に緩んでくる。
「……普段自分じゃ選ばないのに、選んでくれるとかさ」
少しの間黙る望を、楪は急かすことなくただ無言で待つ。
視界には黒猫の面、耳には祭り囃子の音。非日常の中でたったひとつの日常、あるいは共犯者。無理な言葉をひねり出すことなんて出来ないから、望は咄嗟に頭に浮かんだ言葉を口にする。
「……反則だっつーの、マジで! ……サンキュ」
そう言って、望はお面の下で満面の笑みを浮かべたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『水晶宮からの使者』
|
POW : サヨナラ。
自身に【望みを吸い増殖した怪火】をまとい、高速移動と【檻を出た者のトラウマ投影と夢の欠片】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 夢占い
小さな【浮遊する幻影の怪火】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【鍵の無い檻。望みを何でも投影する幻影空間】で、いつでも外に出られる。
WIZ : 海火垂る
【細波の記憶を染めた青の怪火】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
|
竹林は、町から歩いて十数分ほどのところにあった。
最初に出迎えるたのは、風が竹を揺らす音に重なる梟の声。遠くで聞こえる祭り囃子は、それらにかき消される。
月光の降り注ぐ竹林は神秘的だが、誰の手も入っていないせいか荒れ放題だ。雑草も含めて生え放題といった様相を呈しているのは、良く言えば『味わい深い』だろうか。
奥の方は夜であるからか元よりこうであるのか、月光届かぬ闇の色が充満している。
いずれにせよ、オブリビオンがいるのは間違いない。
竹林に向かって踏み出せば、獣道のようなものが見える。見える範囲で真っ直ぐに伸びている道は、あまりにも不自然だ。
猟兵たちが思案していると、何やらただならぬ気配がする。
気付けば、どこからともなく現れたクラゲの群れが猟兵たちを包囲していた。
- - - - - -
【敵の戦闘方法補足】
POW●サヨナラ。
トラウマと夢について、ご自由に記載していただいて構いません。
SPD●夢占い
望みを何でも投影する幻影空間について、ご自由に記載していただいて構いません。
WIZ●海火垂る
(補足事項特になし)
月舘・夜彦
【華禱】
霧冥
エンパイアウォーにて刃を交えた私の可能性の一つ
繰り返した殺生の果てに、鬼へと姿を変えた私の末路
お前が私なのだと気付いた時
姿が変わっただけではなく、記憶さえ失われていた事に絶望した
この身が鬼に成ろうとも、戻れなくとも
今まで過ごした人との記憶があれば生きていける
戦いへの志が変わらなければ戦い続けられる
それ等さえ残っていれば構わないと
だが違った
そう甘いものでは無かった
今は喪失を恐れている
だからこそ、失わずに生きる道を探す
……支えてくれる者と共に
早業の抜刀術『静風』にて一閃
迷いの無い私ならば、きっと断てるだろう
戦い終えて、今も支えてくれている彼の名を呼ぶ
私は大丈夫なのだと、伝える為に
篝・倫太郎
【華禱】
だから、ホント止めろって
エンパイアウォーの終盤
秀吉憑装を纏った信長との戦い
盾役を夜彦に譲った……あの大一番に!
血に塗れる姿を見ても動くことが出来なかった
あの人の矜持を通す為に
動くことが『出来なかった』んじゃない『許されなかった』
譲るべきじゃなかったって後悔と失うかもしれない恐怖
どうやったって取り払えるものじゃねぇから
そう理解してたって……怖いものは怖い
あの人が傷付き血を流すだけで背筋が凍る
呼吸が上手く出来ているか、判らなくなる
拘束術使用
敵の高速移動を鎖の攻撃で妨害
華焔刀でなぎ払いからの範囲攻撃
刃先返して2回攻撃
扱いなれたハズの華焔刀が酷く重い
名を呼ばれる
それだけで、まともに呼吸が出来る
「霧冥――」
エンパイアウォーで何度か刃を交えた相手を目の前に、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は小さく息を吐いた。
霧冥の赤い瞳は、編み笠の切れ目から夜彦とも虚空ともつかぬ場所をじっと見つめている。微動だにせず構えた刀はいくらか刃こぼれしているものの、一切の隙は見当たらない。
オブリビオン。あるいは、夜彦の可能性のひとつ。
角帯に差し込まれた竜胆の簪に視線を注ぎ、夜彦は再び口を開いた。
「殺生を繰り返した果てに鬼へと姿を変えた、私の末路――」
『霧冥』が自身なのだと気付いた時、夜彦は絶望した。姿が変わっただけではなく、記憶さえも失われていたことに。
夜彦は、元は再会の約束として贈られた竜胆の簪であった。簪と共に恋人を待ち続けた老婆が死にゆく頃、贈り主と同じ容姿で彼女の前に化身した。
彼女とのあたたかな思い出が、大切な記憶が残っていれば生きていけると夜彦は思っていたのだ。
たとえその身が鬼に成ろうとも、戻れなくとも。戦いへの志が変わらなければ、それ等さえ残っていれば構わない、とも。
けれど、ひとかけらの希望とも思えた認識は霧冥を前にして打ち砕かれることになった。それどころか、どれだけ自身が甘かったのかを思い知らされたのだった。
篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は、その光景に目を見開いた。
秀吉憑装を纏った信長との戦いは思い出すだけで華焔刀 [ 凪 ]を握る手が湿り気を帯びるというのに、目の前で再現されては――。
「だから、ホント止めろって」
口の中が乾いてゆく。掠れた声で、倫太郎は呟いた。
盾役を夜彦に譲った、あの大一番。
「俺は――」
眼前で、夜彦が信長の攻撃を受けて血に塗れる。つい先日集結したエンパイアウォー、その終盤での出来事だ。
「動くことが、出来なかった」
少しの間口を開けたまま二度目の光景をただただ、眺める。次いで、血が出そうなほどに下唇を噛みながら。爪が食い込みそうなほどに華焔刀を握りしめながら。
本当のことを言えば、倫太郎は『動けた』。正確に言えば、動くことが『出来なかった』のではなく『許されなかった』のだ。
今もせめぎあっているのは『譲るべきではなかった』という後悔と、『失うかもしれない』という恐怖。
どうすれば取り払って、何の怯えもなく戦闘に臨むことができたのだろう。
飛ぶ、血飛沫。
幻影だと解っているのに、感情が先に動く。
呼吸が判らない。背筋が凍る。
「怖かったんだ、失うのが」
泣き出しそうなほどに震える声が、倫太郎の口から零れた。
幻影の向こうに見える水晶宮からの使者は、並の技術では捉えられないほどの速度で動いていた。いま戦うべき彼らの姿だけが、ほんの少し恐怖を忘れさせてくれる。
「縛めをくれてやる」
掠れた音は、それでも水晶宮からの使者たちの動きを縛めるだけの鎖を放つ。視認できなくとも、相手の動きが止まったことで効果の程は把握できる。
恰好の的に振るうは、扱い慣れた華焔刀。まとめて数体を薙ぎ払い、運良く――あるいは、悪く――生き残った個体には刃先を返し、二度目の斬撃を。
どうしてだろう、特殊な攻撃は受けていないのに、華焔刀がひどく重く感じられる。
夜彦は納刀した刀の柄を握り、目を閉じた。
不規則に蠢く『水晶宮からの使者』の気配は、瞼の向こうに置いても明確だ。数、位置、動き。
今の夜彦は、喪失を恐れている。
だからこそ、失わずに生きる道を探せるのだ。それも、支えてくれる者と共に。
息を吸う。吐く。瞬間、繰り出された早業の抜刀術に、水晶宮からの使者は成す術なくその命を散らしていった。
「……倫太郎殿」
再び刃を収め、夜彦は名を呼ぶ。幻影を見せられていた時間は大したことがないというのに、その名を呼ぶのは久しい気がする。
声音から『私は大丈夫だ』という思いが伝わっただろうかと思案する頃、聞き慣れた声が返ってくる。
「夜彦、」
そこから先は、言うことが解らない倫太郎だ。
しかし、名を呼ばれた、それだけのことに。あるいはそれだけのことだから、倫太郎はまともな呼吸を思い出せた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
天羽・しおん
やはり竹林でしたか
気を引き締めて…しかし綺麗な海月ですね
まだ未熟者ですが、一体ずつ倒してまいりましょう
ですが…この怪火は?
触れ、出てきた幻影に立ち尽くします
生前の両親の姿
優しく笑って私を手招いている
あの人たちに、生きていてほしかった
私の望みは…
唇を噛み締めたとき、手の中で暴れる妖刀蒼姫に気づきます
私はあのとき、戦うことを選んだから
檻を飛び出すと、UCを使用
身体能力を上げ、一気に【衝撃波】で海月を屠っていきます
手は震えますが、心は静かです
拙い剣技ではありますがこの一閃で
あのお祭りで出会った皆様を救えますように
+ アドリブ歓迎です
竹林に足を踏み入れた天羽・しおん(「蒼姫」の鞘・f21737)は、やはり、と敵を見据えた。
祭りの場にいた時は気付かなかったが、今日は夜だというのに随分明るい。
しおんに近づきながら揺れる海月『水晶宮からの使者』たちも、発光しているように見える。
「……綺麗」
思わず零れた言葉に、わずかに油断していた自分に気付く。いけない、と気を引き締めて手に妖刀蒼姫を握る。
自身がまだまだ未熟であることは解っている。ならば取る戦術は、各個撃破だ。
「行きます……と、言いたいところですが、この怪火は?」
しおんに危害を加えるでもなく彼女の周りで踊る水晶宮からの使者たち。彼らの周囲を浮遊する幻のように揺れる怪火に、しおんはつい触れてしまった。
とたん、景色が一変する。海月たちの姿は消え、しおんは檻に閉ざされる。けれど鍵はないから、出ようと思えばいつでも出られる。
「罠、でしょうか――」
扉をじっと見ていたしおんの目の前に、何かが形取ろうとしていた。煙ほどの不定型なかたちは、徐々に明確な形になる。
明確な形を取った瞬間、妖剣士の少女は立ち尽くすことしか出来なかった。
望んだもの――しおんの両親は生前の姿で優しく笑い、娘を手招いている。
今はもういないと解っているあの人たちに、ただ生きていてほしかった。
「私の望みは……」
しおんが唇を噛みしめたその時、手の中で暴れる「もの」に気付いた。
「――蒼姫」
彼女が手元にあるのは、しおんがあの時戦うことを選んだから。
だから、ここにいる理由は無い。
しおんは檻を飛び出し、蒼姫の怨念を自らに纏った。駆ける速度が、刃を振る速度が、水晶宮からの使者が視認できない程になる。
「行きます」
震える手とは裏腹に、心は不思議なほど静かだ。波立たぬ水面のように平静な心で、しおんは衝撃波を放ち、水晶宮からの使者を確実に仕留めてゆく。
斬り伏せた者は色を失い、地面に溶けるように消えて行く。
(「もっと、もっと強くならないと――」)
まだまだ剣技が拙いことは、本人が一番よくわかっている。
(「あのお祭りで出会った皆様を、救えますように」)
願いを込めた一振りを、何度も何度も繰り返す。
しおんは、もはや数えるのも億劫になるほどの海月を夜の底に沈めた。
大成功
🔵🔵🔵
月待・楪
氷月(f16824)と
竹林ってのも独特だな
ヒーローズアースでは滅多に見かけねーし
でもってこの海月か…綺麗なもんだな
陸で見る海月ってのも
そう思わねェ?
このまま見てたいが…倒さねェといけねェか
武器を構えて
海月の幻に意識を奪われる
…殺したくなかった
傷つけたくなかった
家族に、なりたかった
サイキックが暴走してとめられなくて
覚えてる忘れるものか
感触はなくても感覚は
姉のように慕った人
母のように思った人
父のように願った人を
殺した
っ氷月!
消し飛ばせ、なぁ、消し飛ばして
もう見たくねーんだよ…!
氷月の後ろから離れず
いつもならやらねーけど喪いたくない一心で
サイキックの【オーラ防御】で落ちてくる雷を弾く
…さんきゅ、ひづ
氷月・望
楪(f16731)と
アドリブ等歓迎
竹林を歩くにつれて、嫌な予感が強くなる気がしたけれど
楪が言う様に、綺麗だとは思うし……でも、あァ
ゆず、手を繋いでいてもいい?
……何も知らないヤツに
大事なヤツのトラウマほじくり返されるのってさ
こんなに――腸煮えくり返るコトだったんだな
楪と、楪のトラウマの間に立ちながら
『部位破壊』『先制攻撃』『2回攻撃』を重ねた【紅嵐】を
自分を巻き添えに、幻影が消えるまで使い続ける
こんなムカつく幻影、全部消し飛ばしてやらァ……!
たかが、オブリビオンがよ
ほんの少しでも、俺の唯一の目を奪ってんじゃねぇ
戦闘が終わったら、もう一度楪と手を繋いで……離れない様に
楪、全部消えたから……大丈夫
滅多に見かけない風景を前に、月待・楪(Villan・Twilight・f16731)は興味深そうに周囲を見回した。
「竹林、か。なんか独特な場所だな、こーいうのってヒーローズアースでは滅多に見かけねーし」
仄かに漂う青っぽい香りも、何とも不思議だ。
「でもってこの海月か……綺麗なもんだな、陸で見る海月ってのも」
漂う『水晶宮からの使者』を、微かな笑みを浮かべて見遣る楪。祭の一環と言われればそう見えなくも無い幻想的な光景だ、相手がオブリビオンと理解してはいても、何となく気が緩んでしまう。
楪に呼びかけられ、確かに綺麗だと頷く氷月・望(Villain Carminus・f16824)の顔は晴れなかった。
竹林を行くに連れ、嫌な予感が強くなる気がしていたからだ。
「このまま見てたいが……倒さねェといけねェか」
そう言って武器を手にする楪は、いつもと同じ様子だ。
けれど、いや、だからだろうか。『嫌な感じ』がいっそう強くなるものだから、望は手を伸ばした。
「ゆず、手を繋いでいてもいい?」
答えは、返ってこなかった。
ただただ瞠目していたのだ、楪は。
「……殺したくなかった」
呼吸を忘れた口元から零れた言葉が、少しだけ楪の肺に空気を入れてくれる。
――傷つけたくなかった、家族に、なりたかった。
楪の言葉は、そこで止まった。
開き続けていた目からは涙の一滴も零れない。
サイキックが暴走した、あの時。
止められなかった、その時。
「――あ、」
ひどく現実的な映像が、楪と望の前で展開する。
たとえ感触がなくとも、感覚だけは忘れようが無い精度で楪に刻み込まれている。それが、忘れえぬ記憶というものだ。
楪の眼球が、動いた。
まずは、姉のように慕った人へ。次は、母のように思った人へ。そして、父のように願った人へ。
彼ら彼女らは次の瞬間、
「っ氷月!」
呼ばれ、望は楪の手を握った。今はそれが、言葉よりも確かな返答になると思ったから。
「消し飛ばせ、なぁ、消し飛ばして、もう見たくねーんだよ……!」
「わかってる」
望は海月たちを一瞥した。
まずは短くため息をつき、いったん楪と繋いだ手を解いた。そうしてすぐに楪の前に出る。今いるべきは彼の隣でなく彼の前なのだと言うように。
「……何も知らないヤツに大事なヤツのトラウマほじくり返されるのってさ」
赤の瞳に灯る輝きは、海月たちの煌めきよりもずっと獰猛なもので。
「こんなに――腸煮えくり返るコトだったんだな」
繰り返される映像に舌打ちひとつ、望は伊達眼鏡を軽く押し上げた。直後、手元からフックワイヤーを射出する。
海月が攻撃を仕掛けるより早く、まずは頭部を破壊。それを二度、の九倍。
その間、楪は望の後ろから離れることは無かった。オーラを用いて望を
(「はっ、いつもならやらねーのにな」)
心の中では自嘲気味に嗤っていても、『喪いたくない』という焦りが楪の顔に出ていた。
望の攻撃で竹林に浮遊していた物の怪たちのいくらかは溶解したが、幻影は未だ消えない。
「まだかよ」
十八、吹き飛ばした。望の腕を抉ろうとしたフックワイヤーが、オーラで滑る。
「まだかよ、まだかよ」
三十六、吹き飛ばした。望の腹部を抉ろうとしたフックワイヤーは、オーラで落ちる。
「まだかッつってんだよ! このムカつく幻影はいつ全部消えるんだよ……!」
そこでようやく、消えた。幻影もオブリビオンも、跡形もなく消えた。
最後の個体が消えた場所を見下すように眺めた望は、その場を雑に蹴った。
「たかが、オブリビオンがよ」
竹林のざわめきに消える程度の声で、続ける。
「ほんの少しでも、俺の唯一の目を奪ってんじゃねぇ」
無表情に近い顔は、振り向く直前に優しい顔になって。視線の先にいた楪には穏やかな笑みを向け、歩み寄って手を握る。
「楪、全部消えたから……大丈夫」
「……さんきゅ、ひづ」
手を握り返す楪の力はひどく弱気なものであったが、望もまた、同じくらいの力で握り直した。
成功
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第3章 ボス戦
『『三姫』かぐや姫』
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POW : 【ダブルUC】龍の首の球+燕の子安貝
【龍の首の球を媒体に、炎を吐き攻撃する七体】【の巨大な龍を召喚する。また、燕の子安貝の】【自軍強化能力(召喚した龍も対象)の効果】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 【ダブルUC】不死の薬+蓬莱の玉の枝
【不死の薬を飲む事で自身に常時回復効果を付】【与する。また、蓬莱の玉の枝を翳す事で発生】【した、七色の魔力球から高命中のレーザー】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 【ダブルUC】仏の御石の鉢+火鼠の裘
【仏の御石の鉢を媒体に、上空に月の使者達】の霊を召喚する。これは【レーザーの弾幕で敵を攻撃する。また、かぐ】や【姫は火鼠の裘を纏う事で、高威力の火炎弾】で攻撃する能力を持つ。
👑7
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溜息とも吐息ともつかぬ声が聞こえた。
「随分と騒がしいな、妾は騒がしいのは苦手じゃと何度も言うておろうが。祭りも五月蠅くてかなわん――む? ……なんと、ここまで辿り着く者がいようとはな?」
竹林の奥から姿を現したのは、艶やかな女であった。
女は扇子で口元を隠し、目を細める。
「ふむ、ここまでたどり着いた褒美に妾の名を聞かせてやろう。妾は『三姫』かぐや姫。丁度『餌』を切らしていた、どこにいる美人の姫じゃ」
それからは、長い沈黙。
耐えきれず、かぐや姫はむっとした表情で再び口を開く。
「なんじゃなんじゃ、今のは笑うところじゃぞ? まあよい、妾は腹を空かせておるのじゃ。しかし美人の姫じゃからの、そこいらの下賤の輩が口に入れるものなど到底合わぬ。そういう訳じゃからの、お主ら、妾の餌となれ。なぁに、苦しむことはない。妾が口付けをすれば、一瞬でああなるだけじゃからの」
彼女の視線の先には、干からびた遺体が積み重なっていた。着用している衣服から察するに、どれも男性だろうか。
「男の方が体格が良い故、餌としては効率が良いのじゃが――餌から来てくれるのならば選り好みはせぬよ」
なるほど、どうやら彼女が今回の事件を起こした者で間違い無さそうだ。
配下のオブリビオンに村を襲わせていたのは、自身が苦手とする騒音の原因となる祭りの開催を遅延させるため、あわよくば中止にさせるため。
村人を拐かしていたのは、生命エネルギーを吸収して生きながらえるため。
猟兵たちが状況を把握したその時、かぐや姫はぱちんと扇子を閉じた。
「……さて。どうやらお主らは大人しく餌にならぬという顔をしておるようじゃからの。大人しくさせるまで、じゃ」
鈴を転がすような声で笑ったかぐや姫は、猟兵たちに向かって一歩、踏み出した。
天羽・しおん
なるほど、かぐや姫だから竹林なのですか
…と、納得している場合ではありませんね
犠牲になってしまった人…もう助けられない人
すみません、力及ばず
ですが、未熟ながら全力で挑みます
行くよ、蒼姫
妖剣を抜き放ち、その妖気をまとったら
一気に間合いに飛び込みます
放たれるレーザーは【第六感】で着地点を読みながら回避
あたってしまったら【オーラ防御】
回復する量より多く斬ればいいだけのことですよね
他の猟兵の皆様の援護ができるくらい
斬ってみせますとも
蒼姫は、こういう美しいオブリビオンを好むんです
今日は暴れてもいいよ、蒼姫
+ アドリブ歓迎です!
パウル・ブラフマン
城下町の皆に噂を聴いて
助っ人に来てみたのはいいけれど…
はァ!?くっ…クチヅケ?
なんで付き合ってもないのにちゅーすんの!?!(ゆでだこ)
なにこのおねーさん超危ねぇし!
村のメンズの弔い合戦だオラァ!!
愛機に【騎乗】してUC発動―自慢の【運転】テクで
迫りくる薬と枝を避けまくっちゃうぞ♪
行くよ、Glanz!【迷彩】モード☆
竹林に融け込んで視認されにくいようにしつつ
更には展開したKrakeから弾幕代わりの【誘導弾】を射出!
基本は【援護射撃】を。
チャンスを得て死角に回りこんだら
全砲門より全力【一斉発射】ァ!
【零距離射撃】になってもビビらず挑むよ。
おとなしく月までお帰りくださぁぁい!!
+アドリブ&同乗歓迎!
かぐや姫の口上を聞いたパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)は、まさにゆでだこの様相を呈していた。
城下町で皆から噂を聞いて竹林を訪れた、まではいい。
「くっ……クチヅケだとォ!? なんで付き合ってもないのにちゅーすんの!?!」
意味わかんない、と両の手で自らの頬を挟み込み、頭上から湯気を発する勢いで同様するパウル。危ない、このお姉さん超危ないと呟いてはかぐや姫をちらちら見ている。
「可愛らしい反応をする者がおるのぅ。妾はお主のような者も嫌いではないぞ? ふふ、ではお主から『ちゅー』してやろうかのう?」
「む、無理ッッッッ!!!」
一方、なるほど、と 天羽・しおん(「蒼姫」の鞘・f21737)は冷静にうなずいた。
「かぐや姫だから竹林なのですね」
祭り会場を訪れた際、オブリビオンが潜んでいるのは竹林ではないかと思っていたしおん。いま目の前にいる敵の姿を見て、その理由にひとまず納得する。
だが、視界に被害者の遺体が入るや否や妖剣を握る手に力を籠めた。
「――すみません、力及ばず」
犠牲になってしまった、もう助けられない人々の亡骸。虚空に伸ばされた手は、最後の最後まで助けを求めていたのだろう。
それらは、既に起きてしまったこと。しおんが依頼を受けた時には、既に――。
だけど、だから。自身が未熟だということを理解していながらも、全力で挑もうとかぐや姫を正面に見据えた。
ほとんど頭上に輝く月は、猟兵とかぐや姫の足元に濃い影を落とす。
「行くよ、蒼姫」
抜いた刃の色は、月光を受けて眩いばかりに輝く。直後、妖気を纏ったしおんは一気にかぐや姫の間合いに飛び込んだ。
「ほう! やりおるのぅ! ならば――」
かぐや姫は何やら粉を口に含んだ後、宝玉を実らせた枝を翳した。放たれる光の線、そのれが向かう先を第六感のみで感知したしおんは蒼姫を一閃した。
胸元から流れる鮮やかな赤が、かぐや姫の着物を濡らす。
「無駄じゃ無駄じゃ」
かぐや姫がころころと笑うと、傷がゆるやかに消えてゆく。
「そうですか。なら、回復する量より多く斬ればいいだけ、ですよね?」
油断も隙も一切見せない、しおんの態度。かぐや姫は不快そうに眉根を寄せる。
「しおんちゃん、いったん離れて!」
いつの間にやら宇宙バイク「Glanz」に乗り込んだパウルが、枝から放たれる光線を回避しながらかぐや姫に突っ込む。その様子はしおんにはもちろん、かぐや姫にも見えない。
だが、しおんにはわかる。パウルが迷彩モードで竹林に溶け込んでいる場所を、第六感で把握する。
「お願いします、パウルさん」
「よっし任せろ! 村のメンズの弔い合戦だオラァ!!」
触手に装着した固定砲台を器用に操り、パウルは弾丸を発射した。
「そのような大きな動きで当たるとでも
……!?」
「当たるんだよなあ、それが!」
竹林に充満する弾幕。すかさず、しおんが飛び込んだ。
「蒼姫はこういうオブリビオンが好きなんですよ」
しおんに応えるように、刃が煌めく。
「今日は暴れてもいいよ、蒼姫」
「くっ!」
刃を防ごうとするかぐや姫の背に、弾丸が撃ち込まれた。
「な、!?」
「背中ががら空きなんだよね! ってわけだから、おとなしく月までお帰りくださぁぁい!!」
さらにはかぐや姫の背に砲門を直付けしての射撃。
パウルの一連の攻撃で、かぐや姫の背が大きく反る。無論、この好機を逃すしおんではない。
「――行きます」
しおんが再び振るった刃は、かぐや姫の胸元に傷を刻んだ。最初に刻んだものよりも、ずっとずっと、深い傷を。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月舘・夜彦
【華禱】
人の精気を吸収する類いのオブリビオンなのでしょう
しかし……かぐや様という存在は、もっとお淑やかだったと思うのですが
攻撃手段は主に召喚術や光線といった遠距離
距離を離されては分が悪い
攻撃を回避しながらも接近し、接近戦に持ち込みます
敵からの攻撃は残像・見切りより回避併せダッシュ・ジャンプにて接近
敵の攻撃直後、または倫太郎殿の拘束術で動きを封じて隙のある時に
カウンター・早業の抜刀術『静風』にて攻撃
火炎耐性が無い為、炎の攻撃は倫太郎殿に防いで貰い
隙が出た時と同様にユーベルコードにて攻撃する
……貴方に何度守られようとも、心配なものは心配ですよ
だからこそ、私は見合った一撃を奴へ当てなくてはなりません
篝・倫太郎
【華禱】
『餌となれ』って言われて
『ハイ、どーぞ』って誰が言うと思ってんだか
第一、こっちにも好みがあるってな
拘束術使用
敵が射程内なのを確認して鎖で先制攻撃
同時に俺自身も華焔刀でなぎ払い
刃先返しての2回攻撃
拘束術も自身の攻撃も常に衝撃波と鎧砕きを乗せてく
火炎系ってな厄介だな
敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避不能時はオーラ防御で防ぎカウンター
また、火炎系の攻撃が夜彦を狙った場合は
かばうのと同時にオーラ防御で防ぐ
かばいやオーラ防御が間に合わない場合は
突き飛ばしてでも射線外へ
俺自身は火炎耐性と激痛耐性で凌ぐ
拘束術は夜彦と俺自身の死角のフォローと
龍を自由にさせない事を軸に使用
大丈夫大丈夫
心配性だなぁ、夜彦?
「餌、ねえ」
華焔刀の柄を指先でなぞりながら、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は首を捻る。
「『餌となれ』って言われて『ハイ、どーぞ』って言うと思ってんのか? 第一、こっちにも好みがあるってな。ま、オブリビオン相手に言っても無駄だろうけどさ」
「ふむ、人の精気を吸収する類いのオブリビオンなのでしょう。しかし……かぐや様という存在は、もっとお淑やかだったと思うのですが」
月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)もまた、首を傾げつつ。
「心外じゃのう。妾はこう見えて、かなりお淑やかな方じゃぞ?」
「自称ほどアテにならないものはないよなぁ。そんじゃ、始めるか!」
敵はとうに射程内だ。倫太郎は見えぬ鎖でかぐや姫を絡め、位置を固定したところで薙刀で薙ぎ払う。一度は水平に、刃先を返しての二度目は垂直に。
衝撃波を含む一連の斬撃は、かぐや姫の防備を確実に弱らせてゆく。
もちろん、かぐや姫もただ攻撃を受けるほど無力ではない。鎖の隙間を見つけ、ひときわ大きな宝玉に指先を触れた。
「確かに妾はお淑やかじゃが、やられっぱなしというのも性に合わぬのでな」
すると、巨大な七匹の龍が出現する。次第に龍の腹が膨らみ、口元に熱が収束し始める。
その後ろでは、かぐや姫が燕の子安貝から放たれる赤い光を龍に照射していた。龍の力を強化しているのだろう。
「ふむ、来ますね。倫太郎殿、申し訳ありませんが――」
「任せてくれ、夜彦」
応える倫太郎が、ひとりその身に炎を受ける。龍7体分の火炎は生ぬるいものではない。
「なんと無謀な。餌となるより消し炭になるのを選んだか?」
ほくそ笑むかぐや姫
炎が消えたあと、無傷で立つ倫太郎の姿があった。
「なんとまあ、意外と頑丈じゃのう。お主は良い餌になりそうじゃ」
僅かに目を見開いて、かぐや姫が倫太郎を見遣る。
オーラを発動させたおかげか、髪の端がわずかに焦げた程度で済んだ倫太郎だ。
「お褒め頂きありがとうございます、ってな!」
言いつつ、倫太郎は龍を拘束術で戒める。
「ふん、今さら拘束しても無駄じゃ」
「それはどうでしょうか」
「――なに?」
背後から聞こえた声に、かぐや姫は扇子を取り落としながら振り返った。
だが、もう遅い。
かぐや姫と相対した時から納刀し、精神を集中していた夜彦が放つ一閃。かぐや姫の背中と腕を容赦なく抉る刃の先は、竹林に赤い飛沫を飛ばす。
「馬鹿な……龍よ、こやつを先に攻撃せい!」
「させねえよ!」
再び倫太郎が夜彦の前に身を挺す。夜彦を狙った炎は、ことごとく倫太郎が庇い、防ぎきる。
「倫太郎殿、どうか無理はなさらず」
「大丈夫大丈夫。心配性だなぁ、夜彦?」
けらけらと笑う倫太郎に、夜彦は短く息を吐いた。
「……貴方に何度守られようとも、心配なものは心配ですよ」
とはいえ、いや、だからこそ。夜彦は、倫太郎の働きに見合う一撃を彼女に当てなければならないのだ。
再び、夜彦は集中を始める。夜風が頬を撫でるのにすら気付かないほどの集中を。
そうしてかぐや姫と龍の動きを見切り、刃を滑らせる。
かぐや姫を挟んで交わされる二人の視線は、たしかに信頼以上のものを帯びていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アララギ・イチイ
はーい、お邪魔するわぁ
そろそろ美味しく喰らえる頃合になった時期だから収穫しに来たわぁ
大人しく私の餌(実験材料)になりなさいなぁ
【選択UC】を発動、通常攻撃にUCの効果を付与させるわぁ
戦闘人形フギン・ムニンを前線に押し出して七体の龍と戦闘、【時間稼ぎ】させるわぁ
私自身は後方で砲身+砲機関部+動力炉を【早業・武器改造】で合体させて、大型砲を構築、【スナイパー】で補正した砲撃を敵に叩き込むわぁ
【部位破壊】での狙いは敵の持つ、球と子安貝、道具を破壊してUCの無力化を試みるわぁ
(成功時)この子の欠点はUCの発動起点を装備品に集約してしまった事かしらねぇ……まぁ、次世代の子ではその点を改修してあげるわぁ♪
アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)はひらりと片手を振り、緊張感の無い笑みを浮かべた。
「はーい、お邪魔するわぁ」
「先ほどから次々と……本当に邪魔じゃのう」
「そろそろ美味しく喰らえる頃合になった時期だから収穫しに来たわぁ」
かぐや姫の言葉を聞いているのかいないのか、アララギはにこやかにかぐや姫を見遣る。
「大人しく私の餌になりなさいなぁ」
餌、と書いて「実験材料」と読むアララギの言葉に、かぐや姫はあからさまに不快そうな表情を示した。
「ふん……喰われるのはお主の方じゃ」
「まずはこの子たちの相手をしてもらおうかしらぁ?」
前線に押し出される戦闘人形二体、フギンとムニン。かぐや姫が龍の首の球から七体の竜を召喚し、燃やし尽くそうとする。
「そのような傀儡ごときで妾と戦うつもりか?」
「あらぁ、そう見えたのかしらぁ?」
「どう見てもそう、――っ!?」
かぐや姫が絶句するのも無理はない。
いつの間にか、アララギの手元には大型砲が出現していたのだから。
「『傀儡ごとき』が仕事をしている間に、私も仕事をさせてもらったわぁ♪」
砲身、砲機関部、動力炉。それらが組み合わさった姿は、無論かぐや姫を驚かせるためだけに存在しているものではない。
アララギは肩幅に足を開き、笑顔を浮かべた。
射出される弾丸で狙うのは、球。次に子安貝。蓬莱の玉の枝、仏の御石の鉢、火鼠の裘。かぐや姫の周囲に浮く道具を、ひとつひとつ丁寧に破壊してゆく。
「お、お主、な、なにを……!」
「うふふふふ、ご苦労様ぁ。次の機会まで海の底で微睡みなさいなぁ♪」
質問に答える義理はない。アララギは、ほとんど無力となったかぐや姫に最後の一撃を打ち込んだ。
夜風になびく赤髪と、その間からのぞく竜の角が衝撃に揺れる。翻った白衣の裾が再びアララギの服に触れた頃、かぐや姫の体の端が崩壊を始めた。やがては肘へ到達し、肩へ、体へ、顔へ。順次、かぐや姫の体が崩れてゆく。
「妾が……ただの一撃で、馬鹿な……!」
アララギはかぐや姫の方を見ることなく、武器の解体に取りかかった。
全てを分解し終えた頃、かぐや姫もまた崩壊を終えていた。残った灰燼をちらりと見て、アララギは思案顔になる。
「この子の欠点はUCの発動起点を装備品に集約してしまった事かしらねぇ……まぁ、次世代の子ではその点を改修してあげるわぁ♪」
傾き始めた月が、アララギのマッドサイエンティストじみた笑みを照らしていた。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2019年09月25日
宿敵
『『三姫』かぐや姫』
を撃破!
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