「猟兵さん、毎日お疲れさま、なんだよ!」
グリモアベースで、佐伯・キリカ(陽気な吸血魔法使い・f00963)が手を振る。
今回は仕事の依頼ではないと前置きし、
「実はスペースシップワールドで面白そうな超巨大ビーチリゾート船を見つけたから骨休めがてらどうかな、と思って!」
にっこりと笑って、キリカは続ける。
「ビーチリゾート、すなわち海! なんだけどね、なんと今回行けるビーチリゾート船の海は、普通にしてると沈んじゃうんだって。だから砂浜から歩いてゆっくりと海底散策をしてもよし、小舟で沖に出て背中から沈んでいってもよし、と、泳ぐ以外の楽しみ方ができるんだよ。そしてスペースシップワールドのテクノロジー的な何かで水中での呼吸も問題なし! だから泳げない人も安心!」
加えて、海中には水棲生物の小型ロボットが放たれている。人懐っこい個体もいるようだから、彼らと戯れたりするのも良いだろう。
「時間帯は――って、いつもなら言うところだけど、ビーチの空は投影装置で表示しているから、お好みの時間で過ごすことができるんだって」
朝日が昇る朝の海も、砂浜がきらきら輝く昼の海も、月と星が照らす夜の海も、思いのまま。希望とあらば、入道雲や流れ星も投影で表示してくれるらしい。
「たとえば満天の星を目に焼き付けながら、ゆっくりと海に沈んでいく――なんて滅多にできない体験だし……途中で寝ちゃいそうだよね。もちろん楽しみ方は人それぞれ! 好きな方法で、好きなだけ沈む海を堪能して欲しいんだよ!」
そう言って、キリカは猟兵たちを送り出した。
雨音瑛
このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。
●補足
普通にしていると沈んでいく海のある超巨大ビーチリゾート船でのシナリオとなります。
プレイングで時間帯や空模様を指定していただければと思います(指定なしでもOK)。
砂浜から歩いていって水面を見上げたり、水棲生物の小型ロボットを追って散策してみたり、小舟で沖合に出てゆっくりと沈んでいったり。お好みの方法で、沈む海をお楽しみください。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み』
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POW : 海で思いっきり遊ぶ
SPD : 釣りや素潜りに勤しむ
WIZ : 砂浜でセンスを発揮する
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吉柳・祥華(サポート)
『妾の存在意義とは何ぞや?何ゆえに此処に在るのかぇ?』
神のスピリットヒーロー × 戦巫女
年齢 19歳 女
外見 162.9cm 緑色の瞳 銀髪 色白の肌
特徴 ミステリアス 天涯孤独の身 実は自分を抑えている 実は凶暴
口調 花魁遊戯(妾、おぬし、~であります、です、でしょう、~でありますか?)
時々 吉祥天龍(我、貴様、じゃ、のぅ、じゃの、かえ?)
「ほう、沈む海とな」
興味深そうに緑の瞳を瞬かせ、吉柳・祥華(吉祥天龍・f17147)は笑んだ。しゃがみ込み、海水――かどうかは、本当のところ解らない――に指先を遊ばせる。
「龍の姿になれば沈まぬ……とも限らないのぅ。何とも不思議な海じゃ」
砂浜から、一歩ずつ進んで行く。足先に触れる水は冷たくも温かくもなく、感触だけが残る。
「――どれ、」
ただただ愉快そうな笑みを浮かべる祥華の姿が、完全に沈む。たゆたう銀糸の髪も、遅れて祥華に追随する。
さらに歩みを進めたところで、祥華は立ち止まった。ゆっくりと頭上を見上げると、橙色の光がカーテンのように差し込んで来ている。
祥華が選んだ時間帯は、夕暮れ時。そう、ちょうど真っ赤な太陽が海に溶けるように沈んでいく時だ。
「これはまた――なんと、呼吸だけでなく話すこともできるのかえ? ふふ、便利な海じゃの」
思わず口にした言葉が地上と全く遜色なく音になることに驚きながら、祥華は光の筋にゆるりと手を伸ばしてみた。触れることは叶わないと知りながらも、何かに手を振るようにして水圧を腕に受ける。
そんな夕暮れ時の優雅な散歩は、気付けば思案の時間へと変化していた。
「朽ちた祠のままでは決して出来なかったことじゃの。そう考えると現世の『神』として顕現したことにも多少の意味は見つけられそうじゃが……」
当然、それが答えにはならない。このまま波模様にうねる砂を踏みしめて行けば、やがては陽光の届かないところに行き着くのだろう。この船の構造が許す限り、ではあるが。
さて、祥華はどこまで行けるのか。不安の色は微塵もなく、ただただ好奇心だけが彼女を突き動かすのだった。
成功
🔵🔵🔴
リヴェンティア・モーヴェマーレ(サポート)
ミレナリィドール
電脳魔術士 × UDCメカ
17歳
女
外見
147cm
紫の瞳
藍色の髪
色白の肌
特徴
三つ編み
楽観的
料理が好き
お菓子が好き
掃除・洗濯が好き
口調
丁寧に話したい気持ち
私、~さん、なのでス、マス、でショウ、なのですカ?
文章の語尾や途中に1、2文字カタカナが入る
いつもニコニコでほわほわのぽやんな元気っ子
動物が大好きでいつもアイテムや武器として一緒に居てくれる小動物さん達と一緒に居る
そして会話する
この子より動物さん達のほうがしっかりしてる説もアリ
情報収集やハッキングが得意
先頭は前衛より後衛向き
ドールなので羞恥心はぶっ飛んでるので恥ずかしがると言うことはないですが過度なエロはNG
輝く太陽が投影されたリゾート船の中、目の前に広がる大海に目を輝かせたリヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)は次の瞬間「はっ」とした顔をした。
「ミレナリィドールの私ガ沈んでいって大ジョブなのでしょうカ!? まあでモ何かあったなら博士がどうにかシテくれますよネ。では出発なノです!」
拳を掲げ、リヴェンティアはざばざばと海に突撃した。三つ編み少女が進む度に、豪快に白波が立つ。それをものともせず、リヴェンティアはさらに進んで行く。
「これハこれデ楽しいデスね! この調子デ全身沈んで――わハっ!?」
口の中に海水が入り込み、むせるリヴェンティア。けれどすぐに気を取り直して、ついには全身が海に包まれることとなった。
地上とはまるで違う光景に、リヴェンティアはゆっくりと息を吐いた。
水底の砂に描かれる文様は、光が描く絵画のよう。機械の魚たちは興味津々とばかりに近寄って来る。くるり、リヴェンティアの周囲を一周した赤い魚は「追いつける?」とばかりに泳ぎ去って行くから、
「わ、早い――ケド、私も負けませン!」
きりりと表情を引き締め、全力で走り始めるリヴェンティア。途中、他の魚も気付いたようにリヴェンティアに近寄ってくるから、まるで伴走してくれているようだ。
「なんだか、小動物さんたちヲ思い出しま……あっ、サメさんも一緒に走ってくれるんデスか? 頑張りまショウね!」
さらに加速して追いついた先で、赤い魚が止まっているのが見えた。
「ヨユウ、というヤツですカ――!? それナラもう一度勝負デス!」
赤い魚の隣に並んだリヴェンティアは、魚の向いている方向を見て息を呑んだ。
虹色に光る小さな珊瑚礁で、半透明の魚たちが戯れている。闇雲に歩いたのならば決して見つけられなかった場所だろう。
「この場所ヲ、教えてヨウとしていたのでスか? ……ありがとうございマス!」
赤い魚の尾ひれが「どういたしまして」と言うように翻った。
成功
🔵🔵🔴
メドラ・メメポルド
すてき。沈んでゆくだなんて
海はすきよ、ひろくてしずかだもの
メドもすこし、おじゃまするわ
メドは、夜の海をただよいましょうか
砂浜から歩いて、あるいて、海の底まで
水面が遠くなったら深みをさがして、とびこんで
光の届かない深い水底までおちていくの
水底へ落ちながら見る水面はきれいなのよ
きらきらが遠くなって、お星さまみたい
光が見えなくなったなら、くらげの腕を伸ばすわ
なにも見えなくても触れればわかるもの
深海のおさかなもいるかしら、たのしみだわ
そうね
もし、だれかに会えるなら近づいてみようかしら
迷子になったら大変だもの
メドがおかのうえまで連れてってあげるね
人魚姫もこんな気持ちだったのかしら
……ふふ、ふしぎね
星空の下、メドラ・メメポルド(フロウ・f00731)は波の音を聞き入っていた。
砂浜を踏む音が波音と重なっていたのは、ほんの少しの間。躊躇なく海に踏み入った後、もう足音は聞こえない。
完全に海の中に入ってしまえば、寄せては返す波の音も聞こえない。
くらげの娘は、徐々に水面から遠ざかってゆく。
「すきよ、海は。ひろくてしずかだもの」
何気なく口にした言葉はしっかりした音になって、メドラ自身の耳に届く。
そうして、メドラは何かを探すように海中を歩いていた。
「あら?」
何か、人影のようなものが見えた気がしてメドラは立ち止まる。
「……気のせいかしら? でもそうね、ほんとうにだれかがいたなら――」
口元に手を当て、考え込む。
「おかのうえまで、連れてってあげなきゃ。迷子になったら大変だもの」
そうしたらきっと、人魚姫の気持ちも味わえるに違いない。
そんなふうに波模様の水底を歩くメドラは、目的のものを見つけて立ち止まった。
淡く仄かな緑の瞳には、黒にも近い深い色が映り込んでいる。
ほんものの海にもある、深み。底の色もかたちも、見えない。
少しだけ跳ねるようにして、メドラは深みへ飛び込んだ。
背中から、ゆっくりと落ちてゆく。
「――きれい」
月の光を反射、あるいは透過している水面は、きらきらと輝いている。
メドラの白い肌に光の模様を作っていた光のカーテンは、徐々に遠のく。煌めきは次第に小さな光たちとなったものだから、それはまるで、
「ふふ、お星さまみたい」
小さく笑んで、メドラはゆっくりと一回転してみた。
遠ざかってゆく星の瞬きが、小さくなってゆく。やがてぼんやりとした光になり、終いには見えなくなった。
そこで、メドラはくらげの腕を伸ばす。腕が触れた冷たいものは、見えなくても解る。
「まあ、深海のおさかなね。あなたはだあれ? メドに教えてくれる?」
数秒触れて、メドラは嬉しそうに微笑んだ。
「あなたもくらげなのね。仲良くしてくれるとうれしいわ」
とたん、くらげが七色の光をちかちかと点滅させ始めた。その光を纏う者はひとつ、ふたつと増え、メドラの周りを揺蕩う。小さな光は地上も海底も照らさないけれど、どこか温かく、優しいものに感じられる。
水底につくまで、あとどれくらいだろう。
「いつだってかまわない、けれど……もうしばらく、こうしていたいわ」
今度は五本の指がある手をくらげたちに伸ばしたメドラは、彼らと一緒に海の底へと落ちてゆくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
セツナ・クラルス
千晴さん(f01295)と
私と海は不釣り合いかい
酷いなあ、こう見えても私は…
…水泳か焼きそばかどちらか選ぶなら圧倒的に後者だね、うむ
今回は「沈む海」とのこと
千晴さん、私と入水してみないかい?
…あれ?(発言後に間違いに気付く
ふふ…これで承諾されたら此方も戸惑うところだったよ
さて、(水中散歩の)同意も得られたし、
千晴さんの尻尾の為に
テクノロジー的な何かに頑張って貰わねばねえ
そうだね、時間帯は夕方、星の見え始める頃なんてどうだろう
どちらが先に一番星を見つけるか競争だよ
身体が沈むに任せて空を見上げ
…おや、もう星を見つけたのかい
まだ日も明るいの、に…
(ヒトデを見つめ)
ははは、成程、これは完敗だね
霧島・千晴
セツナ(f07060)と
※アドリブ歓迎
それにしてもセツナって浜辺のパラソルの下で焼きそばとか食べてるイメージはあるけど、あんま泳ぐイメージないよなあ。
俺は海も泳ぐのも好きだけど、あとで尻尾がごわごわになるのだけはどうにもいただけねえ感じ。
今回の海はテクノロジーの産物らしいし、尻尾も無事だと有難てえや。
……え、俺と心中したいのか? そういうのはちょっと……(ドン引きする演技)
はは、わかってるって! 一番星な、オッケーオッケー!
先に見つけた方が焼きそば奢りな!
沈むや否や、普段とは違う景色に心奪われ
勝負を忘れて水中生物たちを追い始める
「俺の勝ち!」とドヤ顔で見せつけるのは捕まえたヒトデ。
もう一度夏がやってきたかのような、リゾート船の内部。それにしても、と霧島・千晴(ブラッディ・レイヴ・f01295)は連れ合いである聖者をまじまじと見た。
「……なんだい?」
不思議そうに口を開いたセツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)に、千晴はしっかりと頷いた。
「セツナってあんま泳ぐイメージないよなあ、って。浜辺のパラソルの下で焼きそばとか食べてるイメージはあるんだけどさ」
「うん? 私と海は不釣り合いかい? 酷いなあ、こう見えても私は……」
「え、まさか泳ぐのが得意だとか? 素潜りでカジキを掴んだりとか、イルカより早く泳げるとか?」
「まさか。というか、私に何を期待しているんだい? 私はね、水泳か焼きそばかどちらか選ぶなら――圧倒的に後者だね、うむ」
「だよなあ。俺は海も泳ぐのも好きだけど、あとで尻尾がごわごわになるのだけはどうにもいただけねえ感じだな」
千晴は自身の尻尾をぱたりと動かした。
「俺は海も泳ぐのも好きだけど、あとで尻尾がごわごわになるのだけはどうにもいただけねえ感じ」
けれど今回の海はテクノロジーの産物だというから、尻尾も無事ならば有り難いのだが、と千晴は尻尾を見遣った。
さて、今回彼らが訪れたのは「沈む海」。何もしなくても沈んでいくというのだから、これを試さない手はない。
何より、男ふたりこのまま海辺に突っ立っているのもどうかというものだ。セツナは穏やかに笑んで海を指差した。
「千晴さん、私と入水してみないかい?」
「……え」
入水、すなわち水中に身を投じて死ぬこと。辞書の項目が電光掲示板的な文字になって二人の間を流れたとか流れなかったとか。
「……俺と心中したいのか? そういうのはちょっと……」
「あれ? ああ成程、確かに今のは失言……とも違うか。ともかく失礼したね、千晴さん」
言い間違いに気付き、セツナはひとり笑った。
「ふふ……これで承諾されたら此方も戸惑うところだったよ」
釣られて、千晴も噴き出す。
「――なんてな、はは、わかってるって!」
「良かった。さて、同意も得られたことですし、とりあえずはテクノロジー的な何かに頑張って貰おうとしようか。千晴さんの尻尾の為にもね」
「ああ、是非にも頑張って欲しいところだな。で、どうする?」
千晴が指差したのは、今は真昼の晴れた空。
「そうだね、時間帯は夕方、星の見え始める頃なんてどうだろう?」
「うん? いいけど、何か理由が?」
「どちらが先に一番星を見つけるか競争だよ」
穏やかな笑みを浮かべるセツナに対し、千晴は一も二も無く頷いた。
「オッケーオッケー! 先に見つけた方が焼きそば奢りな!」
「それは楽しそうだ。どっちが勝っても恨みっこなし、でね」
「当然!」
背中を預けた水面、身体が沈むに任せてセツナは昼と夕の色が混じる空を見上げた。水面越しに差し込んでくる黄金色の光は、眩しくも温かい。
「なんとも贅沢な時間だね。一番星を探す、というのも含めて」
けれど、まだ星は見えない。もう少しの間、こうしてゆっくりしていられそうだ。
一方、千晴は海中の景色に目を奪われていた。
機械で出来ているという水棲生物たちは、人懐っこく千晴に寄ってくる。そのうちの何匹かは挑発するように周囲を回るものだから、千晴は勝負を忘れて彼らを追い始めた。
時々見遣る尻尾は、今のところ無事だ。テクノロジーバンザイ。
そうして二人それぞれ海を楽しむこと、数十分。
「俺の勝ち!」
千晴の勝ち誇った声に、セツナは少し驚いた。
「……おや、千晴さんはもう星を見つけたのかい。まだ日も明るいの、に……」
首を捻って見た先には、確かに大きな星、ひとつ。と、満面のドヤ顔。
「ははは、成程、これは完敗だね」
笑い合う二人のほとんど真上、今しがた現れたばかりの星がひとつ、輝いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵