エンパイアウォー㉞~魔王の野望、島原に果つ
●サムライエンパイア、島原~魔空安土城天守~
禍々しさと豪奢さを同時に備えた黒い鎧を身に纏った男が、眼下に押し寄せる猟兵達や幕府軍を冷厳な視線で睥睨する。サムライエンパイアのオブリビオンフォーミュラ、織田信長である。
「……遂に来たか、猟兵達よ。エンパイアを滅ぼし、渡来人共の『グリードオーシャン』をも侵略する道筋は、これでほぼ絶たれたか。――血塗られし彼奴らの神が如何程の物か、確かめてみたかったがな」
信長は視線を上げ、遠く彼方の海を見やる。ここに至ってはほぼ不可能となった野望に思いを致し、ククク、と笑った。
「……さて。もはや儂に万にひとつの勝ち目も無かろうが。億に一つでもあるのならば、賭けてみるのも一興よ」
やがて信長は物思いに耽るのを止め、「億に一つ」に賭けるべく、自身を討ちに来る猟兵達を迎え撃つ準備を始める。
「――秘術『魔軍転生』。儂に憑装せよ、甲斐の虎……!」
念を集中して秘術を完成させた信長の背に、炎で描かれた魔法陣とともに、先の寛永三方ヶ原の戦いで復活を阻止された「甲斐の虎」武田信玄の姿が現われた。
「さぁ、来るが良い、猟兵。儂と信玄、二人分の力で迎え撃ってくれようぞ」
●甲斐の虎を纏いし第六天魔王
「なかなか厳しいものがあった今回の戦争ですが、皆さんの奮闘のおかげで幕府軍は無傷で島原に到達しました。そして、島原では幕府軍が織田軍諸将の軍団を押え込んでくれるため、私達猟兵はオブリビオンフォーミュラである織田信長に、直接挑めることとなりました。まずは、これまでの皆さんのご協力に、心より御礼を申し上げます」
緑の板金鎧とマントに身を包んだエメラルドのクリスタリアン、ウィルヘルム・スマラクトヴァルト(緑の騎士・f15865)は、目前に集まった猟兵達に戦況の説明を簡単に行ってから、深々と頭を下げる。
「――さて、その織田信長ですが、『魔軍転生』と言う術によって、配下の魔軍将を背後霊のように『憑装』させています。どの魔軍将が『憑装』しているかは予知によって様々ですが、今回私が予知したのは、『甲斐の虎』武田信玄を『憑装』した織田信長です。つまり、この信長は信玄の力を使ってきます」
さらに言えば、信長はオブリビオンフォーミュラであるため、謙信以外の魔軍将と同じように必ず先制のユーベルコードを放ってくる。信玄の力を用いて放たれるユーベルコードに対し、十分に対策を練らなければ、苦戦は免れない。最悪、掠り傷さえ負わせられずに終わるだろう。
「……信長はオブリビオンフォーミュラであり、その上に魔軍将信玄の力を得ていますから、先制のユーベルコードをしのいでも戦いは厳しいものとなるでしょう。しかし、これまでの二度の戦争を勝ち抜き、今回も幕府軍を襲う全ての脅威を退け、魔軍将のほぼ全てを討ち取った皆さんであれば、信長を討ちこの戦争を勝利に導けると私は信じています。サムライエンパイアに平和をもたらすためにも、どうかご協力をお願いします」
ウィルヘルムが深々と頭を下げると、掌の上に浮かべた巨大なエメラルド――グリモア――から眩い光が放たれる。意を決した猟兵達は光に包まれ、次々と魔空安土城の天守に送られていった。
緑城雄山
こんにちは。緑城雄山(みどりのじょう・ゆうざん)です。いよいよオブリビオンフォーミュラ、信長との最終決戦となりました。猟兵達は見事信長を討ち、サムライエンパイアでの戦争を終結させ平和に導けるのでしょうか。
以下、幹部戦やフォーミュラ戦でお馴染みの先制攻撃のルールと、プレイングの受付についてです。ぜひ、ご確認下さい。
●先制攻撃のルール
第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
●プレイングの受付について
今回、私の個人的な都合により、プレイングの受付と執筆の時間を以下のように設定させて頂きます。
プレイング受付:8月22日(木)8:31より。成功度到達まで。
プレイング執筆:8月22日(木)夜より。24日夜~25日にかけて、集中的に執筆予定。
オブリビオンフォーミュラ戦ですので頂いたプレイングは全てリプレイにしたいところですが、当方の時間的なキャパシティを超えた場合、プレイングをお返しする方が出てくる可能性があります。予めご了承下さいませ。
それでは、皆様からのプレイングを楽しみにお待ちしております。
第1章 ボス戦
『第六天魔王『織田信長』信玄装』
|
POW : 風林火山
【渦巻く炎の刀】【黒曜石の全身甲冑】【嵐を呼ぶ樹木の翼】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 甲斐の虎
自身の身長の2倍の【白虎状態に変身した武田信玄】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : 武田騎馬軍団
レベル×5本の【武田軍】属性の【騎馬武者】を放つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
ジン・ロシュモフ
●動機・心情:信長公……まさに歴史そのものとの対峙だったこの戦争もこれで最後、か。敬意をもって終わらせてやる。
●行動:信長はオラよりも先に自分を強化して襲い掛かってくる、か。なら「怪力」と「力溜め」で筋肉をパンプアップさせ、自分を「鼓舞」し、信長を正面から「覚悟」と「勇気」と「気合い」をもって受け止めてやる。【スーパー・ジャスティス】
その後は愚直なまでに「怪力」と「鎧砕き」の攻撃で正面からやり合う。「激痛(への)耐性」はあるけど、長期戦は厳しいから…いっそのこと、抱き着くように組みついて背中に回した腕を十字に組み、自爆覚悟の「ブレイブビートカノン」を「全力魔法」で放って仲間に繋げるぜ。
●自爆も厭わぬ、必死の一撃
「信長公……」
最初に信長の元に辿り着いたのは、日焼けした肌に筋骨隆々の巨漢、ジン・ロシュモフ(心優しき花畑の巨人・f18884)だった。ジンは信長の威容を目の当たりにすると、感嘆を込めて呟く。
今回の戦争はサムライエンパイアの歴史において名を残した英傑達との戦いであり、その意味では歴史そのものとの対峙だったと言える。だが、敵は眼前にいるかつての天下人で最後だ。
(……敬意をもって、終わらせてやる)
ジンは意を決すると、信長の先制攻撃に備えて全身に力を漲らせ、パンプアップにより筋肉を膨らませる。
「儂の太刀を力で止める気か、よかろう。ならば――侵略すること、火の如く!」
対する信長は、ユーベルコード『風林火山』で、太刀の刀身を轟々と燃えさかる炎で覆う。
(……気持ちで負けるな! 何が何でも、あの一刀を受け止めるんだ!)
その姿にゴクリと緊張から唾を飲み込みつつ、覚悟を決め自らを奮い立たせるジン。
大上段から振り下ろされる信長の太刀を、ジンは白羽取りで受け止めた。しかし、太刀を覆う炎によってジンの両手は焼かれてしまう。
「ぐううっ!」
顔を歪めつつも炎に耐えようとするジンであったが、精神はともかく肉体がついて来ない。ジンの手の火傷が酷くなり掌が爛れていくにつれ、白羽取りは信長の太刀を止められなくなっていく。
「覚悟は認めてやろう。だが――足りぬ!」
一喝と共に、信長は太刀に渾身の力を込める。白羽取りをすり抜けた太刀は、ジンの胸から腹にかけてをバッサリと斬り、焼いた。傷口が焼かれて出血が抑えられているとは言え、傷は深い。
(長期戦は厳しいと見てたが……こうなったら、いっそ!)
短期決戦どころか次の一撃が精一杯と判断したジンは、ある覚悟と共にユーベルコード『スーパー・ジャスティス』を発動する。轟、と立ち上る金色のオーラに包まれるとほぼ同時に、ジンは信長に組み付いた。
「……受けてもらうぜ。ブレイブビートカノン!」
「ぬうっ!?」
ジンは組み付いた腕を信長の背中で十字に組み、最大威力で光線を放つ。ブレイブビートカノンの直撃を受けた信長の背で、ドカン!と大爆発が起きた。
「……ふん」
信長は何も無かったかのように傲然と、太刀の傷に加えて爆発の衝撃で気絶したジンを自身の身体から払い退ける。だが、鎧の背面は破壊され、赤く火傷した背中が曝け出されていた。
苦戦
🔵🔴🔴
フェイルシア・インパーサ
信長公、私達にも守るべき民がおります
一人の騎士として全力で貴殿に挑ませて頂きます!
トリニティ・エンハンスで【防御力】を重視し強化
【水の魔力】を重点的に纏わせます
【激痛耐性】【火炎耐性】も合わせてダメージを軽減します
できる限り回避し【カウンター】を狙います
また、炎の刀と水の魔力を纏ったエレメントソードで打ち合っていれば水蒸気が発生するでしょう
痺れを切らし火力を高めた時にさらに水の魔力を打ち付ければスチームが発生するはず
一瞬できた隙に【捨て身の一撃】を穿ちます
樹木の翼を使われそうなら
羽ばたく瞬間に【属性攻撃】でウォーターカッターのように水を放ちます
鋭い水の刃なら空気抵抗はほとんど受けないでしょう
●大量の水と炎がぶつかれば
「信長公、私達にも守るべき民がおります。一人の騎士として、全力で貴殿に挑ませて頂きます!」
「……で、あるか。よかろう、来るが良い」
民を護る騎士として信長に挑むのは、ピンクの髪を長く伸ばした姫騎士と言った印象の少女、フェイルシア・インパーサ(騎士姫の造花・f04276)。一方、信長はフェイルシアの言葉には表情を微かにも変えることなく、ただ太刀を大上段に構えた。
「水の魔力よ……」
信長の先制攻撃に備えて、フェイルシアはユーベルコード『トリニティ・エンハンス』で水の魔力を纏い、防御力を強化しようとする。成功すれば、炎の太刀による初撃を十分に耐え得ただろう。だが。
「――遅い! 疾きこと、風の如く!」
「くっ! あああっ!」
ユーベルコード『風林火山』を発動した信長の太刀が炎を纏う。『トリニティ・エンハンス』よりも速く振り下ろされた太刀は、フェイルシアをズバッ!と袈裟に斬り、全身を炎で包んだ。
オブリビオンフォーミュラや有力なオブリビオンによる先制攻撃は、猟兵がユーベルコードを使用するよりも速く行われる。故に、ユーベルコードによる防御は根本的に「間に合わない」のだ。
信長の初撃が直撃したフェイルシアだが、戦闘を続行する力はわずかながら残っていた。『風林火山』により強化されたのが状態異常の付与であったこと、また、フェイルシアに痛苦と炎熱に耐える力があったことが幸いした。さらに、遅れながらも『トリニティ・エンハンス』で纏った水の魔力により、フェイルシアを包む炎は消し止められる。
(……もって一撃、でしょうか)
だが、既に受けたダメージが回復したわけではない。深手と火傷による激痛を堪え、今にも倒れそうな身体を気力で支えるフェイルシアは、ある覚悟を決めると共にエレメンタルソードに水の魔力を最大限まで纏わせる。
「……む」
次で勝負を決めに来る。そう察した信長も、太刀を包む炎を強めた。わずかなにらみ合いの後、フェイルシアが真っ直ぐにエレメンタルソードを突き出す。信長は太刀で払おうとするが――。
ドーン!
魔空安土城全体に爆音が響く。エレメンタルソードの水の魔力と太刀を包む炎が接したことにより、水蒸気爆発が発生したのだ。
「――猟兵と言うのは、皆こうであるのか?」
してやったりと言わんばかりの笑みを浮かべ、壁まで吹き飛んで昏倒したフェイルシアの姿に、信長は辟易したように呟く。その身体を覆う鎧には、亀裂が何カ所も刻み込まれていた。
苦戦
🔵🔴🔴
月隠・三日月
私の故郷を守るためには、この戦いに勝たなければね。たとえ相手が織田信長であろうとも
敵の先制攻撃、甲斐の虎に対しては敵の攻撃行動を妨害することで対抗しよう
鋭い手裏剣などの暗器を床に複数投擲、撒菱の要領で敵の移動速度を落とさせたい。加えて、自分の周りに細い鋼糸を張って(【罠使い】)敵の攻撃動作を妨害した上で、攻撃の回避を試みる。完全には回避できなくともいい、戦闘不能を避けられれば十分だ
敵の先制攻撃をしのげたら、即座に反撃。【妖剣解放】を使い、斬撃による衝撃波を放射して白虎化した信玄を攻撃する
生命力を共有しているなら信玄に攻撃しても信長にダメージが入るだろうし、大きい相手の方が攻撃を当てやすいからね
●足止め、二段重ね
「……次は忍、であるか」
音もなく眼前に現われた黒装束の若者、月隠・三日月(黄昏の猟兵・f01960)の姿に、信長は警戒の眼差しを向けつつ呟く。かつて戦国の世を生き抜いた信長は忍の利用価値も恐ろしさも当然識っている。ましてや猟兵でもあるとなれば、いくら警戒してもしすぎると言うことはなかった。
(――ようやく、ここまで来た。でも、私の故郷を守るためには、この戦いにこそ勝たなければね。……例え相手がかつての天下人、織田信長であろうとも)
一方の三日月は、この戦争での最後の敵を前に、必勝を心に誓っていた。忍の一族の長子ながらも戦闘の技量に欠けるとされ、周囲からの冷遇に不満を抱きサムライエンパイアを出た三日月だったが、今回の戦争を機に故郷に戻り、一族の反対を押し切って戦いを重ねていた。不遇な時期を送っていた故郷でも、喪いたくはないのだ。
「疾きこと、風の如く――速やかに終わらせる。信玄よ、我が乗騎となれ」
ユーベルコード『甲斐の虎』によって、信長の背後にいる信玄が、鎧を纏った虎の獣人の姿から巨大な白虎の姿になる。信長は信玄に騎乗し三日月に突撃しようとするが、信玄は「動かざること山の如し」とばかりに動かない。理由を察した信長が、苦々しげに呟く。
「――ふむ、何やら罠を張っておるか。食えぬ奴め」
信玄が白虎に変じると同時に、三日月は信玄の足を止めるべく、手裏剣などの暗器を撒菱のように撒いていた。しかし、それだけであれば跳躍して三日月を仕留めれば済むこと。信玄は名将としての知性と白虎としての本能から、その奥に潜む罠――張り巡らされた鋼糸であることまでは見抜けなかったが――の存在を察知していた。迂闊に三日月に飛びかかっていれば、手酷い傷を負っていただろう。
「――妖刀よ、私に力を貸してくれ」
信玄の足を見事に止めた三日月は、すぐさまユーベルコード『妖剣解放』を発動。立て続けに妖刀を振り、信玄を狙い衝撃波を浴びせかけ続ける。
如何に信玄が虎として俊敏ではあっても、巨体である以上的としては大きく、移動速度で優る三日月の衝撃波から逃れ続けるのは不可能だった。一撃、二撃。衝撃波が白虎を次々と紅く染めていく。
「――ごふっ」
突如、信長が口から血を吐いた。『甲斐の虎』の発動中、信長と信玄は生命力を共有する。信玄に命中した衝撃波は、確実に信長にもダメージを与えていたのだ。
「……貴様の戦いぶり、褒めてやろう。忍よ。だが、まだ終わりではないぞ」
信長は三日月を賞しながらも、鋭い視線を浴びせて威圧する。三日月の動きがわずかに止まった隙に、信玄を大きく後ろに飛び退かせて距離を取った。
成功
🔵🔵🔴
トリテレイア・ゼロナイン
貴方がその背に背負うは武田信玄
ですが、私達猟兵は階下で戦う幕府軍に支えられこの場に立っています
「未来」を望む人々の代理人として、挑ませて頂きます
飛翔からの攻撃は、天守の天井をワイヤーアンカーでの●ロープワークと●怪力で崩し瓦礫で●目潰しすることで妨害
勢いを削いだ炎の刀が迫るタイミングを●見切り●怪力での●武器受けと●盾受けで装備を犠牲にするつもりで受け流します
頭部、肩部格納銃器での●だまし討ちで翼を破壊しつつ
そのまま装備を捨て無手となり刀を握る手を●手をつないで拘束
もう一方の鉄拳でUCを甲冑に叩き込み●鎧砕き
開いた穴に信長ごと●串刺しする勢いで貫手を繰り出し
腕部格納銃器の乱射を叩き込みます
●現在を生きる人々を背負う騎士
「貴方がその背に背負うは、過去の英雄武田信玄。ですが、私達猟兵は現在を生きる幕府軍に支えられこの場に立っています。言わば、私達は彼らを背負っているのです。――『未来』を望む人々の代理人として、挑ませて頂きます」
「『未来』か、下らぬ。一度生を享け、滅せぬものなど無いわ。世界とて同じことよ」
次いで信長に挑みかかるは、中世の鎧騎士を想起させる装甲を纏うウォーマシン、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。その口上を切り捨てるかのように、信長は応じた。
「だからと言って、貴方にこの世界の『未来』は奪わせません」
「……ならば、力尽くで止めるがよいわ。――侵略すること、火の如く!」
これ以上の舌戦は不要とばかりに、信長はユーベルコード『風林火山』で己を強化。背に生やした樹木の翼で嵐を呼ぶと、追い風を受けてトリテレイアに急接近する。
だが、トリテレイアは天井に向けてワイヤーアンカーを射出。ワイヤーアンカーが天井の梁に巻き付くと、全力で引いて天井を崩しにかかる。既に水蒸気爆発によって脆くなっている天井は、トリテレイアの怪力に耐えきれずガラガラと崩れ落ち、迫る信長の軌道を遮った。
「小癪なことを――」
それでも炎を纏う太刀を振るおうとする信長だったが、トリテレイアは長剣と大盾でしっかりと受け止める。
ガシャン! トリテレイアの頭部と肩に格納されている銃器が展開され、樹木の翼を粉々に打ち砕く。信長は太刀を受け止められたばかりであり、さらに装甲に銃器が格納されているとは想像も出来ず、対処は不可能だった。
もう一つ信長にとって想定外なことに、トリテレイアは長剣と大盾を手放して無手となる。その挙動に虚を衝かれた信長は太刀を持つ手の手首を掴まれてしまった。
「力尽くですか、いいでしょう。私の鉄拳、叩き込みます!」
さらにトリテレイアはユーベルコード『戦場の騎士(ナグレリャナンデモイイ)』を発動し、鉄拳を信長の腹部に叩き付ける。ズゥン!と天守自体が大きく揺れると共に、甲冑の腹部が跡形もなく砕け散り、残る部位も既に入っている亀裂が大きく拡がっていった。
「……ごはっ」
あまりの衝撃に、反吐を吐く信長。だが、トリテレイアの攻勢はまだ終わらない。露わになった腹部を貫かんばかりの勢いで、貫手が繰り出される。貫手は信長を貫けなかったが、トリテレイアは構わぬとばかりに腕部に格納している銃器を展開。弾丸の尽きるまで、文字通りの零距離射撃を浴びせ続けた。
成功
🔵🔵🔴
御剣・刀也
第六天魔王、織田信長
まさに覇王だな。が、お前は王であって武人じゃない
武人以外と戦うのは不本意だが、これも乱世の常。お前の首、貰うぞ
風林火山は渦巻く炎の刀ならば、見切り、第六感、残像、武器受けで防御、いなすかしてカウンターで斬り捨てる。
黒曜石の全身甲冑で殴り掛かってくるなら見切り、第六感、残像、武器受けグラップルで受ける、いなす、避けるしながらカウンターで関節を極める。
嵐を呼ぶ樹木の翼なら勇気、ダッシュで嵐の中を突っ切って、踏み込んで捨て身の一撃で斬り捨てる
「お前は確かに王の器かもしれない。が、お前は武人ゃない。上杉謙信と闘わせてくれたことは感謝する。その礼として、お前に一太刀くれてやる」
●雲耀の太刀が奪いしは
「第六天魔王、織田信長……まさに覇王だな。が、お前は王であって武人じゃない」
「如何にも、儂は天下人。貴様の言う武人を束ねて天下に覇を唱えるのが、儂よ……で、儂が武人でなければ何とする?」
武人として強者との戦いを喜びとする御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は、信長の威容を認めつつも、自らの求める相手ではないと断じる。信長は刀也の言を肯定しつつ、問うた。
「武人以外と戦うのは不本意だが、これも乱世の常。お前の首、貰うぞ」
「……で、あるか。――侵略すること、火の如く!」
もっとも、ここに至っては敵が武人であろうがなかろうが、刀也の為す事は変わらない。自身が猟兵であり、相手が戦争の首魁たるオブリビオンフォーミュラである以上、敵が武人であるなし関係なく討つまでであるし、討たねばならない。
信長もその答えはわかっていたのであろう。即座にユーベルコード『風林火山』で太刀に炎を纏わせ、袈裟に、横薙ぎに、息をつかせぬ連続攻撃で刀也に斬りかかる。
だが、直感を頼りに刀也は信長の太刀筋を見切り、残像が出来るほどの俊敏な動きで回避していく。何度か信長の太刀が刀也を捉えた――ように見えたが、斬られたのは全て残像であり、刀也自身が斬られることはなかった。
信長の連撃に限界が訪れ、攻勢が止まった瞬間、刀也は反撃に出る。
「……お前は確かに王の器かもしれない。が、お前は武人じゃない。上杉謙信と闘わせてくれたことは感謝する。その礼として、お前に一太刀くれてやる!」
「ぬうっ!」
「この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん! ――雲耀の太刀!」
「ぐああああああっ!」
本能的に危険を察知して横っ飛びに回避せんとする信長だが、わずかに遅かった。刀也のユーベルコード『雲耀の太刀』が、信長の左腕を瞬時にして肩から斬り落とす!
「ぐ、ううっ……」
ドサリ、と左腕が床に落ちると同時に、信長はすぐさま太刀を傷口に当て、炎で傷口を焼いて出血を止める。如何に信長と言えどさすがに痛苦を隠しきれるものではなく、歪んだ顔にはだらだらと汗が流れ落ちる。
「……首は貰い損ねたか」
だが、必殺の剛剣を振るった上で腕の一本を奪ったならば戦果は十分、武人でも無く大きく戦闘力を落とした相手に対し後の戦闘は蛇足とばかりに、刀也は戦場から引き上げた。事実、刀也の一閃は戦いの趨勢を大きく猟兵の側に傾けた。
成功
🔵🔵🔴
ヒサメ・グラウパール
◎アドリブ連携歓迎
流石に凄い威圧感ね……
氷を操る私が炎を操る相手に挑むなんておかしいけど
猟兵なら、やらなくちゃいけないときだってあるのよ!
先制対策
まずは【地形の利用】で周囲を見て、畳でも襖でも壁を壊してでも
盾になりそうな物を槍で【串刺し】にして引き寄せてから【全力魔法】で氷塊の盾にしてUC発動まで凌ぐ
そしてUC発動、今の私のテンションは最高潮!得た飛翔能力で【空中戦】を挑むわ!
飛翔能力の高さと、刀と槍のリーチ差を活かし氷の【属性攻撃】を鎧に打ち込む
攻撃や纏った冷気で凍らせてもすぐに溶かされるだろうけど、黒曜石はガラス質……
急激な温度変化で一気に脆くなる、そこを打ち砕いて本体に攻撃を届かせる!
●砕ける黒曜
(流石に、凄い威圧感ね……)
片腕を失ってもなお威容を崩すことなく傲然と立ち続ける信長に、氷竜の人派ドラゴニアンの少女、ヒサメ・グラウパール(氷槍竜・f21294)は圧を感じつつも怯むことなく対峙する。
ヒサメが宿すは氷の魔力。信長が振るうは炎を纏いし太刀。相性としては最悪である、のだが。
(……猟兵なら、やらなくちゃいけないときだってあるのよ!)
今がまさにその時とばかりに、キッと覚悟を決めた表情で、ヒサメは信長を見据える。
「不利を承知でなお儂に挑むか。手負いとて、容易く討てると思うでないぞ。――侵略すること、火の如く!」
信長はユーベルコード『風林火山』で太刀に炎を纏わせ、ヒサメに斬りかかる。隻腕とは言え、その太刀は疾い。
「く……耐えて!」
ヒサメは三叉の氷槍『トリシアラ』で足下の畳を突き刺して引き剥がすと、畳に可能な限りの魔力を注ぎ込んで分厚い氷で覆い、氷塊の盾とする。その盾を溶かし、断ち切らんと猛攻をしかける信長。だが、ヒサメは盾に魔力を注ぎ続け、氷が溶かされた部分をさらなる氷で覆い、懸命に持ち堪える。
「さぁ、ここから氷槍竜の本気を見せてあげる!」
必死の防戦でユーベルコード発動までの時間を稼ぎきったヒサメは、ユーベルコード『氷槍竜の闘気(フリージング・オーラ)』で全身に凍てつく冷気を纏いつつ、空中に跳び上がる。
待ちに待った時とばかりに、信長の周囲を高速で飛び回り、攻勢に出るヒサメ。信長は武器のリーチが不利であることに加え、ヒサメのスピードに翻弄されて防戦一方に追い込まれる。
それでも、ヒサメの攻撃を全ては防ぎきれない。冷気を纏った『トリシアラ』が命中していく度に、信長は鎧ごと凍結させられていく。その度に太刀を覆う炎で凍結状態から脱する信長だったが、それがヒサメの狙いだった。
凍結から脱した信長の胸を、ヒサメは渾身の力で突く。
バキバキバキ……バリィン! ヒサメの突きを受けた黒曜石の鎧は、既に腹部と背部が喪われていたが、この一撃で完全に砕け散った。既に他の猟兵との戦闘で数多の亀裂が入っていた上に、短時間での凍結と解凍の繰り返しによって、脆くなっていたのだ。
「届いて!」
「……ぬうっ!」
鎧を喪った信長の心臓を目がけて、ヒサメは再度渾身の突きを放つ。信長は太刀で受けようとするが、片腕では槍の軌道をわずかに逸らすのが精一杯だった。
ずぶり、と三つの槍先が信長の右肩に突き刺さる。
「はあああっ!」
「……う、ぐ」
信長の攻撃を防ぐために既にかなりの力を使っていたヒサメは、残る力で信長の身体を凍てつかせる。そして消耗が限界に至ると、続く猟兵に後を任せて戦場を離脱した。
成功
🔵🔵🔴
メンカル・プルモーサ
…信長を倒せば戦争はほぼ終わる、か…
…足止めしている徳川軍の兵士達のためにもさっさと終わらせる…
…武田属性の騎馬武者に対しては…速度が充分に乗って突撃してくるところに遅発連動術式【クロノス】を用いた氷結術式が乗った印を突撃ルートに配置…
…足下を凍らせることで騎馬の転倒を狙うよ…
…転倒した騎馬隊に爆破術式を放ってトドメ…巻き上げられた煙幕に気を取られた所で心理隠密術式【シュレディンガー】で認識を歪めて姿を隠して移動、時間稼ぎ…
…稼いだ時間で重奏強化術式【エコー】を重複発動…
…【精霊の騒乱】で作られた炎の豪雨を信長にぶつけるよ…
…強化・八重奏…ここがお前の行き止まりだよ…
●降り注ぐは炎の豪雨
(……信長を倒せば戦争はほぼ終わる、か)
四角いレンズの眼鏡をかけて白衣のようなローブを着た研究者然とした少女、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、現在の戦況を踏まえつつ、眼前の敵――オブリビオンフォーミュラ、織田信長――に視線を向ける。
信長は既に黒曜石の鎧や樹木の翼どころか、片腕さえ喪っている。傲然と立ち続けているが、ダメージの影響は覆い隠しきれなくなっていた。
「足止めしている徳川軍の兵士達のためにも、さっさと終わらせる……」
「……儂を甘く見るでないぞ、小娘。信玄、『赤備(あかぞなえ)』を喚べ!」
意を決するかのようにメンカルがつぶやくと、信長が反駁しつつ、ユーベルコード『武田騎馬軍団』を発動する。
信長の背後の信玄が軍配を振るうと、その背後に鎧や旗指物を真紅で統一した数多の騎馬武者が現われた。『甲斐の虎』武田信玄の元で精強を誇った精鋭部隊『赤備』である。
『赤備』の武者達は、メンカルを蹂躙するべく地響きを立てて天守を駆ける。だが――。
「……騎兵相手なら、これで行く」
メンカルは騎兵の突撃ルートに、『遅発連動術式【クロノス】』で術式の発動を停止させた印を配置する。この印は、騎馬が通過する時に術式が発動する、言うなれば地雷である。ただし、仕込んである術式は爆発ではなく、氷結。馬の脚を凍結させて転倒させるのが、メンカルの狙いだった。
その目論見は当たり、先頭集団の騎馬が軒並み転倒すると、『赤備』はたちまち大混乱に陥った。足が止まった騎馬軍団は、ただの的である。メンカルは爆破術式で『赤備』を一掃すると、爆炎に紛れて『心理隠密術式【シュレディンガー】』で身を隠しつつ、『重奏強化術式【エコー】』を幾度も重ねがけして次に用いるユーベルコードの威力を大幅に強化した。
「世の理よ、騒げ、暴れろ。汝は天変、汝は動地。魔女が望むは安寧破る元素の乱――強化・八重奏……ここが、お前の行き止まりだよ」
ユーベルコード『精霊の騒乱(エレメンタル・ウォー)』で発生した炎の豪雨が、信長目がけて降り注ぐ!
「ふふ……はははは! ここが儂の行き止まりであるか! 確かに、この炎は本能寺を思い出すのう! ……だが、まだ終わリではないぞ!」
常人であれば炭と化しているであろう炎に焼かれながら、なお信長が哄笑していられるのはオブリビオンフォーミュラである故か。
「……しぶとい」
最大限に強化したユーベルコードでも信長を仕留めきれなかった悔しさを声に滲ませつつ、メンカルは炎に包まれた信長の前から去った。
成功
🔵🔵🔴
上崎・真鶴
相手は片腕だ!
今がチャンスだね!
信長が近付いて来たら、金剛灼杵の光刃を長く伸ばして突いたり払ったりと牽制するよ
当たらなくてもいいから間合いを取りつつ、フェイントを多用して相手の動きを邪魔する感じで光の剣を振り回す!
少しでも足止めして時間を稼いだらUC【夢】でひいおじいちゃんを呼び出して攻撃に転じるよ
二人で信長を挟み込んでから、少しタイミングをずらして連続攻撃
間違いなくあたしよりひいおじいちゃんの方が強いから、あたしは援護に徹しよう
ひいおじいちゃんと信長の一騎討ちも見てみたいけど……流石にそんな余裕は無いかなぁ
一緒に動ける人がいたら、その人と連携して信長を討ち取ろう!
●野望果つる刻
(相手は片腕だし、もう満身創痍だ! 今が討ち取るチャンスだね!)
何人もの猟兵との交戦で片腕を失ったのをはじめ度重なるダメージを受けた信長に、好機とばかりに仕掛けようとするのは朱漆の鎧兜に朱色の外套を身に纏った上崎・真鶴(人間の剣豪・f00449)。
だが、手負いとてオブリビオンフォーミュラ。信長が真鶴に仕掛ける方が速かった。
「――疾きこと、風の如く!」
ユーベルコード『風林火山』によって、信長の太刀が再度炎を纏う。そして真鶴に斬りかからんとする信長であったが、真鶴の『金剛灼杵』から伸びる光の刃に牽制され、あるいは真鶴に距離を取られて太刀の間合いに入れない。
「ひいおじいちゃん、来て!」
信長の足を止めて時間稼ぎに成功した真鶴は、自身が伝え聞き想像する曾祖父、上崎甚右衛門の全盛期をユーベルコード『夢』によって創出する。真紅の鎧兜に皆朱の槍を持った騎馬武者「鬼の甚右衛門」がそこにはいた。
「……貴様も『赤備』を喚ぶとはな」
その姿に、信長は苦笑する。信長は生前より『赤備』の精強さをよく知っている上に、先程自身が『赤備』の軍団を召喚したばかりなのだ。
甚右衛門の朱槍が、立て続けに信長目がけて振るわれる。太刀で受け止める信長ではあったが、隻腕では完全に受け止めきれずに、徐々に押されていく。
(このままひいおじいちゃんと信長の一騎討ちを見ていたいけど……流石にそんな場合じゃ無いかなぁ)
如何に自身の曾祖父が無敵と言えるほどに強く、実際に信長相手に押しているとは言っても、世界の命運がかかった戦争での最後の敵を相手にただ観戦しているというわけには行かない。真鶴は信長を挟み撃ちにするように参戦し、曾祖父を援護する。
隻腕の信長にとって、二対一を強いられるのは致命的であった。甚右衛門の朱槍を防げば真鶴の光刃に対して隙となり、逆もまた然りとなる。朱槍に貫かれ、光刃に斬られ、信長は少しずつ傷を重ねていく。重なった傷は新たな枷となって信長の動きを鈍らせ、新たな傷をもたらした。
「せぇい!」
信長の動きが相当鈍ったところで、甚右衛門は裂帛の気合いと共に渾身の突きを放つ。しかし突き出された朱槍は、信長の太刀によって受け止められる。だが、甚右衛門はこれを読んでいた。
「決めてみせい! 真鶴!」
「うん、ひいおじいちゃん!」
甚右衛門のかけ声を受けて、真鶴は頷くと信長の背後から『金剛灼杵』の光刃を突き立て、心臓を深々と貫いた。ごぽっ、と大量の血を吐き出した信長の身体が、だんだん灰となって崩れ落ちていく。
「儂の、野望……ここに、果つる……か」
何処か満足そうな笑みを微かに浮かべながら、信長は身体が全て灰となり、この世界より消え去った。
成功
🔵🔵🔴