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エンパイアウォー㉖~用心棒はにゃんこ先生

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー


●江戸城下・月夜
 将軍家光と共に幕府軍が江戸を発ってより早数日。
 されど、江戸の街から全ての侍が消えた訳ではない。むしろ残された侍、即ち役人達にとっても、戦時下の今は緊急体勢に他ならない。
 そして今もまた。人々が寝静まった夜、奉行所の役人達が、一軒の商家へと踏み入った。
「御用改めである! 者共、神妙にいたせ!」
「ええい、もう来おったか、幕府の犬め!」
 でっぷりと太った商人が、苛立ちと共に振り向く。その周囲に散らばるは数多の財貨……おそらくは夜逃げの準備の真っ最中と言う所か。
「廻船問屋、旭屋新左衛門。その方、オブリビオンの命を受け物資の不法な買い占めを行っていた事、すでに調べがついておる。大人しくお縄につけぃ!」
「ぬぬぬ、小賢しい。だが……貴様ら犬どもの考えなどすでにお見通しよ!」
 悪徳商人はぐふふと笑みを浮かべると、背後の襖を勢いよく開いた。
「さあ、先生。お願いしますよ!」
「にゃふー、任せるにゃー!」

●一刻前、グリモアベースにて
「やあやあ猟兵諸君。くるるちゃんの召集に集まってくれて感謝するねっ」
 グリモアベースに集まった猟兵達を前に腕を広げ、鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は愛らしい笑顔と共に元気よく切り出した。
「今回も戦争っ。サムライエンパイアに飛んでもらうよ!」
 猟兵達の活躍により、幕府軍に対する信長軍の妨害は阻止されつつある。
 無論、信長軍の妨害がこれだけで終わるとは思えない――だが、ひとまずの所、関ヶ原までの進軍の安全は確保出来たと考えて良いだろう。
「で、少し戦力に余裕がある今のうちに、キミ達にはちょっとした任務を行って貰おう、って言う訳さ!」

 今回対処すべき相手は、大悪災・日野富子の配下である悪徳商人のオブリビオンだ。
 彼らは物資を買い占め、経済を混乱させる事で幕府軍の補給を混乱させようとしていたが、猟兵達が徳川埋蔵金をかき集めた事で未然に防がれた。
「作戦の失敗を悟ったその商人は江戸を逃げ出そうとしてるんだけど……どっこい、奉行所がすでにその悪事の証拠を掴んで踏み込もうとしてる、ってとこだね!」
 ただ、悪徳商人自身に戦闘力はないとはいえ、彼らは用心棒のオブリビオンを連れている。役人だけでの捕縛は不可能だ。彼らには、猟兵の助けが必要である。
「今回の商人が連れている用心棒は、信長によって召喚された異国より召喚された『カンフーにゃんこ』だよ!」
 見た目は可愛いが、その棒術の冴えはかなりのもの。決して侮れる相手ではない。

「悪徳商人から不当な資産を押収すれば、軍事費で逼迫されてる幕府の財政も潤う。そうなれば、民衆にかかる負担も大幅に減る……地味かもしれないけどとっても大事な任務だよ!」
 言ってくるるはいつもどおり、わざとらしい可愛らしくポーズを取って猟兵達を見渡す。
「さあ、ばっちり解決してきてね。良い知らせを待ってるよ!」

●再び現在、江戸城下
「さあ、犬より猫のほうが強いって証明するにゃー!」
 棒を手に、元気よく広い室内を跳び回り、襲い掛かってくるにゃんこ。だが、役人達に慌てた様子はない。
「悪徳商人の考えなぞ読めておる。さあ、こちらも……猟兵の先生方、お願いしますぞ!」


一二三四五六
 越後屋ではない。

 ごきげんよう。お金は大事、一二三四五六です。

 戦争お疲れ様です。『⑤徳川埋蔵金探索行』の早期解決に伴うボーナスシナリオです。一二三は⑤は出してませんでしたが、そちらに行かれた方はお疲れ様です。
 集団戦『異国のカンフーにゃんこ』は幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)さんの宿敵です。ありがとうございます。

 補足。
 悪徳商人はオブリビオンですが、戦闘力等は特にありません。用心棒を撃破すれば、逃走の心配はあるので対処の必要もありません。
 もちろん殺したり捕縛したりといったプレイングをかけるのは構わないですが、何しろ一人しかいない上に一撃で死ぬので、他の誰かが先に対処してしまってプレイング不発と言う可能性が極めて高い点を考えた上でお願いします。

 返却は明日を予定しています。朝になるかそれ以降になるかは筆の乗りと参加人数次第。

 それでは、皆様のプレイングを、楽しみにお待ちしています。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 集団戦 『異国のカンフーにゃんこ』

POW   :    にゃんこ流一本釣りにゃ
レベル×1tまでの対象の【衣服(棒の先に引っ掛けることで)】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    これがにゃんの超速戦闘術にゃ
自身の【装備する鈴】が輝く間、【鈴の音が一切聞こえない無駄のない体術で】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    にゃんにとってはこの世の万物が武器となるのにゃ
自身からレベルm半径内の無機物を【使い捨ての自身の装備武器】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
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数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

どぉ~れ~。
……なんてね、これじゃあこっちが悪役か。
ともあれ用心棒同士、派手に立ち回ってやろうじゃねぇか!
剣士やお侍さんじゃなくて助かったよ、
アタシも得物は持たないんでね。
我流の『グラップル』で迎え撃つ!
しかしまぁにゃんこの鈴はよく響くね、
その音がタイミングを計るいい助けになってるよ。

……まぁ、ブラフなんだけどな!
【超感覚探知】でにゃんこの思考そのものを読み、
攻撃の起こりを察知し対処する。
さっきの口三味線に乗って超高速戦闘を仕掛けてきたなら、
そこが好機。
攻撃先に合わせて拳を置くようにゆったり動き、
『カウンター』気味にぶち込むよ!

この隙に、商人の捕縛は任せたよー。


ルク・フッシー
アドリブ等歓迎します

「カンフーにゃんこ…か、かわいい!」
「で、でもそれどころじゃないです…!心を鬼にして、倒しますっ!(くすん)」
この事件に対してこう感じ、猟兵として参加します

「た、戦いは任せてください…」
「ぼ、ボクなら大丈夫ですから…」
うっかり巻き込むといけないので、役人の皆さんは戦場から一歩引いた場所で待機していただくように促しますね。悪徳商人を捕まえるのに集中してもらいたいですし…

接近戦はあっちの方が上手…それなら…
「うー…ごめんなさい!」
カンフーにゃんこに対し、ユーベルコード「束縛塗装」を使います
石化属性と誘導弾の性質を宿した灰色の塗料を相手にぶちまけ、武器もにゃんこも石像に変えます


非在・究子
よ、用心棒の、先生に、しては、なかなか、かわいらしい、奴じゃ、ないか……こ、こう言う奴に、限って、強キャラ、だったりするから、注意だ、な。
あ、相手の、フィールド、だけど、格ゲーには、格ゲーで、応じてやる、か。そ、そっちの方が、楽しめそう、だ。
ゆ、UCでTASさんを、呼んで、あ、アタシ自身を、操作、させる、ぞ。た、TASさんなら、小足見てから、昇竜だって、余裕だ。
……って、えっ、あっ、ちょ、まっ、はやっ! も、も、うちょっと余裕を持って回避をっ! ぐ、グエーッ(物理法則すら【ハッキング】して限界を超える仮装ツールに操られ、極限の動きで敵に応じながら、バーチャの少女は悲鳴をあげるのであった)


龍泉寺・雷華
※アドリブ連携歓迎

ふっ……漸く出番ですね
安心して下さい、我が究極魔術は常勝無敗にして最強無敵!
役人の人たちは大船に乗った想定でお待ちくださいね!

ふむ。敵を観察した所、近接戦闘に特化していると見ました!
ここは我が魔術で逃げ撃ち……もとい、遠距離戦が効果的でしょう!
空中浮遊魔術も駆使して敵集団から距離を取りつつ、多くの敵を巻き込めるようにUCを使用して風の魔術で攻撃です!
『世界を巡る悠久なる風よ……ひとときの間、その自由なる性質を変じ、我が刃と成れ! 吹き荒れろ烈風! 我に仇為す敵を討て!』

万一接近された時は風の障壁(オーラ防御)とか張って対処しますよー
ま、多分ないでしょうけどねーあっはっは


弥久・銀花
アドリブ、他の人との絡み、ピンチシーン歓迎です。


犬より強い猫なんて居ません!
あ、虎とかのネコ科全般とか言いっこなしですよ。

とりあえず公務の妨害をする不届き者を囲んで成敗しましょうか。
よもやイヌ科の人狼に群れで戦ってはいけないとか言いませんよね?

愛刀の白嵐玉椿で斬り掛かります。

反撃に棒で服を引っ掛けられたら、攻撃を耐えて棒を掴んだ状態でユーベルコードの不死身の人狼で棒の先にくっ付いて重りになって棒を封じましょう。


露木・鬼燈
あれは猫じゃないから。
猫は二足歩行で喋ったりしないからっ!
故に…ぱち物は殺す!
猫好きに本気、見せてやるです!
生命力を燃やして一瞬で大量の気を練り上げるです。
その気を使い忍体術で接近、格闘戦をしかけるです。
鋭い刃と化した四肢による連撃。
そこに<隠忍の見えざる手>による殴打や掴みによる妨害。
これによってガンガン攻めるですよ。
一本釣の対策だって十分。
棒と体の間に念動手を挟み込めばいいのです。
失敗しても念動手で体を支えれば抜け出すのも難しくない。
間合いが離れてしまったら再度の格闘戦。
…ではなく土遁之術で敵の足元を液状化。
動きを止めたところで投擲と念動手によるタコ殴り。
敵の間合いの外から殺るっぽい!



「どぉ~れ~」
 役人の言葉に応じ、のっそりと扉から入って来た多喜は、戦場を見渡しニヤリと笑う。
「なんてね、これじゃあこっちが悪役か」
「にゃにゃ、悪なら退治するにゃー!」
 その言葉に敏感に反応し、棒を振りかぶって飛びかかってくるにゃんこ……が、空中にいる間に、首をひっつかみ、豪快に床に叩きつける。
「にゃぶっ!?」
「おっと、慌てない。用心棒同士仲良くやろうじゃないか」
 地面に突き刺さったにゃんこの姿と多喜のワイルドな笑みとに、にゃんこ達はビクッと反応し、一斉に棒を構えて警戒を強める。
「にゃ、にゃうー……!」
「か、かわいい!」
 一応、多数の強敵に取り囲まれている状態なのだが。毛を逆立てて警戒するにゃんこ達の姿はどうにも可愛らしく、ルクはほんわかとそれを見つめ――その後慌てて、ぶんぶんと首を振る。
「で、でもそれどころじゃないです……! 心を鬼にして、倒しますっ!」
 敵は強大なオブリビオンだ。そう自分に言い聞かせ、絵筆を構える。
「ふにゃー!」
「うぅ……」
 ……でもやっぱり可愛い。倒さなければならない悲しさに涙をほろりとこぼしつつ、役人たちに避難を促す。
「と、とにかく、戦いは任せてください……」
「ええ、大船に乗った想定でお待ちくださいね!」
 役人たちを背に庇い、堂々と胸を張るのは雷華。ロングコートをばさりと翻し、戦場へと歩み出る。
「ふっ……安心して下さい、我が究極魔術は常勝無敗にして最強無敵!」
「むむー、にゃん達の方が最強だにゃー!」
 そのかっこいいポーズに触発されたにゃんこは、一斉に棒を掲げて飛びかかってくる。
「おおっと、危ない。ですかこの我を捕らえる事など出来ませんよ!」
 繰り出される棒から逃れるべく、ふわりと浮遊しながら後ろに下がる雷華。金色の瞳を輝かせると、朗々と術式を唱え上げる。
「世界を巡る悠久なる風よ……ひとときの間、その自由なる性質を変じ、我が刃と成れ!」
「にゃ、にゃー!? まほうつかいにゃー!?」
 室内に吹き荒れる突風は、触れれば切れる刃風。巻き込まれたにゃんこ達を次々と斬り裂き散らしていく。
「くぅ、でも負けないにゃ!」
「いいえ、負けて貰いますよ」
 慌てるにゃんこ達の中へと、突風の残滓に白き髪を靡かせて飛び込む銀花。軽やかな足取りで敵の中央に降り立つと、愛刀を柄より鞘走らせる。
「――ふっ」
 それはまさしく、白嵐玉椿の銘の如し。戦場に吹き荒れるさらなる斬撃の嵐が、一瞬で複数のにゃんこ達を斬り捨てた。
「犬より強い猫なんて居ません! あ、虎とかのネコ科全般とか言いっこなしで」
「いや、そもそもあれは猫じゃないから」
 ビシッと断言するのは鬼燈。その目は、どこか据わっている。
「にゃ、にゃん達は猫にゃー」
「いや、猫は二足歩行で喋ったりしないからっ!」
 擬人化すら許さぬ猫ガチ勢は、にゃんこの存在を許さない。剣呑な空気と共に、ゆらりと気を纏う。
「故に……ぱち物は殺す!」
「にゃにゃー!?」
 命すら燃やしてにゃんこの懐に飛び込むと、強烈な貫き手一閃。いまや彼の四肢は刃に同じ、にゃんこ達の命を無慈悲に断ち切るには十分。
「そっちも逃さないですよ!」
「にゃっ!?」
 背後のにゃんこは、見えざる念動の手で殴りつけて吹き飛ばす。振り下ろされる棒もその手で捕まえ、蹴りで胴体を断ち切った。
「まだまだっ、ガンガン攻めるですよっ!」
「や、やっぱり格ゲーには、格ゲーの方が、楽しめそう、だな」
 そんな大立ち回りを見ながら、究子はアシストツールを取り出した。
「で、でも……こ、こういう、かわいらしい、奴に、限って……きょ、強キャラ、なんだよな……」
「きょうきゃら? なんか分からないけど、にゃん達は強いのにゃー!」
 だが究子は慌てず、いややっぱりちょっと慌ててツールのスイッチを入れた。
 その瞬間、現実と言うクソゲーは、チートによって書き換えられる。
「いくにゃー……んにゃあっ!?」
 命中寸前だった棒に先んじて、究子のジャンプアッパーがにゃんこに突き刺さる。1/60秒単位で制御された、極限の動き。
「た、TASさんなら、小足見てから、余裕だからな。そ、そんな攻撃じゃ、当たる訳、ないぞ」
 そこに究子の意志は介在しない。究子と言うゲームキャラクターを究極のプレイヤーが操るが如く、にゃんこ達を次々と打ち倒していく。
「にゃ、にゃうー……こいつら強いにゃ!」
「当然です。さあ、このまま、公務の妨害をする不届き者を囲んで成敗しますよ!」
 じりりとにゃんこ達が後ずされば、ここぞとばかりに踏み込んで威圧する銀花。
「よもやイヌ科の人狼に群れで戦ってはいけないとか言いませんよね?」
「さっきはネコ科全般は言いっこなし、って言った気が……」
 ぼそっ、と反射的に究子が突っ込むが、銀花の自信は揺るがない。
「それはそれ!」
「え、えー……ま、まあ、どっちでも、良いけど……っ!?」
 まあ特に拘る訳でもなし、と視線を戻そうとした瞬間、その身体が一気に前に引っ張られた。
「えっ、あっ、ちょ、まっ、はやっ!?」
 にゃんこ達の隙をついた一撃が、次々と繰り出される。見た目には華麗だが、それはまさしく極限の動き。即ち本人の負担など全く考慮に入れていない。
「も、も、うちょっと余裕を持って、ぐ、グエーッ……」
 同時に繰り出された複数の棒を、身体を思い切りひねって回避する。捻りすぎて明らかに物理の限界を越えた動きに、関節が悲鳴を上げるが、ツールはその点一切容赦してくれない。
「吹き荒れろ烈風! 我に仇為す敵を討て! あーっはっはっは!」
 空中から高笑いと共に刃の風を繰り出し続ける雷華は、優勢のあまりハイテンションに哄笑する。
「さあ、いかがですか。我が偉大なる力、存分に味わっている事でしょう。このまま至高の魔力にて征ふぶっ――!」
 その眼前に突き出された棒が、かろうじて風の障壁に跳ね返された。意外に長い間合いに、つぅと冷や汗が伝う。
「ふ……ふ、ふふ、この無敵の風壁、打ち破る事など……」
「ぶぎゅっ!」
 それでも恰好付けて見せるその眼下で、銀花が棒に引っ掛けられ、振り回される。
「にゃー、ふにゃー、どうにゃー!!」
「ぶぐっ……べっ……ぶぶっ……」
 盛大にぶん回された挙げ句、脳天から壁に、床に叩きつけられ、あっという間にボロ布に変わっていく銀花。くぐもった呻きが溢れ……次第に聞こえなくなっていく。
「……ふ……不可能っ」
 もし障壁が破られていれば自分もああなっていたのだと理解すると、さらなる冷や汗がその身体を伝う。
「……と言うか大丈夫ですか生きてますか!」
 よく見れば、叩きつけられた端から傷が再生しているので、大丈夫なのだろう。多分。
「ガンガン攻めるですよ」
「にゃあっ!?」
 鬼燈は見えざる手で突き出された棒を弾き、逆に相手に隙を作る。そのまま懐に潜り込み、自身の腕と合わせて六腕の連撃。容赦なくにゃんこを吹き飛ばす。
「うにゃー……強いにゃー!」
「おっと。逃さないっぽい!」
 咄嗟に間合いを取ったにゃんこの足元へ、土遁之術を繰り出し、泥化する。脚を取られてバランスを崩すにゃんこ。
「うにゃにゃー、沈むにゃー!?」
「タコ殴りにしてやるのです!」
 間合いの外から、念動手による見えざる拳の連撃。ボッコボコに殴り飛ばしてにゃんこを消滅させる。
「これぞ猫好きの本気。さあ、次にそれを見せて欲しいのは誰!?」
「う、うにゃー……!」
 迫って来ようと、逃げようと、見逃すつもりはない。険しい視線でにゃんこ達を真っ直ぐに見据える。
「パチ物猫には容赦なしなのです!」
「にゃ、にゃうぅ……ま、まだこんなもんじゃないにゃー!」
 劣勢にも怯まず闘志を高め、猟兵達を睨みつけるにゃんこ達。
「ふぅん、気合十分じゃないか……けど無駄さ。にゃんこの鈴はよく響くからね」
「にゃうっ!?」
 多喜の言葉に、鋭く反応を見せるにゃんこ。喰い付いた、と内心で笑みを浮かべるも、外には出さず挑発的に構えを取る。
「その音が、タイミングを計るいい助けになってるよ」
「にゃうぅぅ……甘く見ないで欲しいにゃ!」
 にゃんこのぱっちり大きな眼が、鋭く細められる。腰を落とし、棒を構える可愛い姿から、似合わず溢れる殺気。だが怯まず多喜はじっとその姿を見据える。
「ならやってみな!」
「にゃ! やってやぶにゃあっ!?」
 音もなく間合いを詰め、棒術の連撃を繰り出――そうとしたにゃんこは、多喜の拳に打たれ――と言うよりは、間合いを詰めた先に『すでにあった』拳に自ら突っ込み、己の速度をまともに顔面に喰らって吹き飛んだ。
「悪いね。今のはブラフでさ?」
 頼りにしたのは音ではなく、テレパスで繋いだ相手の思考。完全な先読みによるカウンターを決め、不敵な笑みを浮かべる多喜。
「う、うにゃー!?」
「す、すごいです……」
 大立ち回りを見せる仲間達の姿に、感嘆の声を漏らすルク。
「ぼ、ボクにはあんなの、絶対ムリ……」
「なら、お前をやっつけるにゃー!」
 そんな気弱さを見て取ったか、残りのにゃんこ達が一斉に迫りくる。その機敏な動きは、言葉通りルクでは到底反応出来ない。
「うー……ごめんなさい!」
「ふにゃっ!?」
 だが、反応する必要もない。絵筆を思い切り振り抜くと、飛び散った灰色のインクは敵の気配を自ら察知し、誘導弾となってにゃんこに直撃した。
「にゃ、でもこんなんで汚れたって大した事……な……にゃ……」
 インクを浴びたにゃんこの身体が、一瞬で石化する。石の色に塗り上げる事で、相手を石へと変わる縛呪の塗装。戦場で動くにゃんこ達を全て、石像へと変貌させた。
「え、ええい、どういう事だ。日野様から預かった用心棒が、こうも簡単に……だがワシは捕まらんぞ!」
「あ、に、逃げないでください!」
 用心棒が全て倒され、悪徳商人は慌てて身を翻す。でっぷりとした鈍重な動きで必死に逃げようとする――その脚を、がしり、と掴む手。
「逃しませんよ……?」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
 それは、地面にめり込んでいた銀花。その肌には傷一つ残っていないが、全身から血を流し、明らかに死んでいそうなズタボロぶり。
「神妙にお縄に――おや?」
「きゅううう……」
 その凄惨な光景を前に、銀花が手を下すまでもなく、悪徳商人は泡を吹いて白目を剥いて崩れ落ちた。

「ご協力に感謝します!」
 捕縛された悪徳商人は骸の海へと還り、不当に保有していた資産は幕府によって押収された。帰路につく猟兵達を、役人達は敬意を露わに見送る。
 ――彼らの期待に答えるためにも、彼らの生きる場所を護るためにも――猟兵達はこの戦争に対する意気込みを、より強めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月07日


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#サムライエンパイア
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#戦争
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#エンパイアウォー


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト