エンパイアウォー⑯~ 風魔一族を統べる者
●サムライエンパイア 〜忍者屋敷
「おお、猟兵のなんと酷いことか。我が配下の決死の覚悟を踏みにじり、隕石落としを止めてしまった」
無数にある顔の一つを抑え、嘆くのは風魔忍軍の頭領・風魔小太郎だ。
「彼奴等はなぜ分からぬ? 己等の行いが我等の苦しみを長引かせることに」
●グリモアベース
「ついに、風魔小太郎の居場所を見つけたっすよ!」
グリモアベースに集まった面々に向けて、狐のお面型グリモア猟兵のリカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)は声をかける。
「場所はサムライエンパイアの忍者屋敷。風魔忍軍が隠し持っていた屋敷の一つみたいっすね」
忍者屋敷には、忍者屋敷らしい様々な仕掛けがあるので、その仕掛けを突破しながら、風魔小太郎と戦う事になるらしいのだが、
「ここの屋敷は隠し扉とか隠し部屋とかそう言うシンプルなものが多いっす。仕掛け自体の殺傷力は高くないんすけど、中に刺客を仕込ませて襲わせることで凶悪になるっすよ。……しかも、その刺客ってのが……」
ヒーローマスクゆえ、表情は分かりづらいが、彼の憤りが伝わってくる。
「近くの村からさらってきた村人が洗脳されて使われているみたいっす。おそらく、みんなの判断が鈍るようにと女子供が多いっすね」
その卑劣な手口に声が震える。
「助けて欲しいのはそうっすけど、助ける事が出来れば、戦闘中に他のことに気を取られなくていいっすから、やっておいた方がいいとは思うっす。ただでさえ強敵っすから」
相手は強大なオブリビオン。こちらに先んじてユーベルコードを使ってくるようなので、対策が出来ていないと苦戦は必至だろう。
そこまで言うと、リカルドは猟兵達は向き直る。
「それじゃ、みんな頼んだっすよ」
麦門冬
こんにちは、麦門冬(むぎとふゆ)です。いよいよ隕石落としの実行者、風魔小太郎との決戦です。このオブリビオンとの決戦では、特殊なルールがありますので、ご確認お願いします。
●特殊ルール
百鬼面・風魔小太郎は、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
●忍者屋敷の仕掛け
オープニングの通り、隠し扉などから洗脳された村人が襲いかかってきます。この仕掛けを無力化すれば、プレイングボーナスが入る事があります。
また、無力化された後の村人はなんやかんやで安全な場所に描写外で運ばれていきますので、無力化後の村人へのプレイングは特に必要ありません。
また、今回執筆の都合上、ソロ希望者の方でも合同でリプレイが執筆されることがある旨、ご理解いただければと思います。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『百面鬼『風魔小太郎』』
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POW : 風魔忍法『風魔頭領面』
自身の【身に着けた『面』】を代償に、【召喚した風魔忍者の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【忍者刀と手裏剣】で戦う。
SPD : 風魔忍法『六道阿修羅面』
自身の【髑髏の面の瞳】が輝く間、【六本の腕で繰り出す忍具や格闘】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : 風魔忍法『死鬼封神面』
【歴代風魔小太郎たち】の霊を召喚する。これは【極めて優れた身体能力を持ち、手裏剣】や【鎖鎌】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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神羅・アマミ
カラクリ屋敷に洗脳した女子供と来たか。
なんともわかりやすい悪役ムーブじゃのー!
成敗してやらねばかえってこちらの申し訳が立たぬというもの。
さて、屋敷内はコード『操演』にて召喚した蜘蛛型ドローン・オクタビアスくんと共に進むぞ。
スキャンやアナライズ機能を駆使すれば戦闘訓練を受けておらぬ人間の体温や呼吸・脈拍等の検知は容易じゃろうし、一人と一匹の分業で拘束すれば対処もまた同じく。
ボスとの対面ではドローンをバックパックとして背負い、六本腕と二本足で数の上では互角に持ち込むぞ!
万一洗脳した者を味方とのたまうつもりなら、同士討ちを仕掛けたタイミングで間に入り防御を行うと同時に、それを隙として攻撃に転じたい。
眼健・一磨
風魔の忍者屋敷は〔絶望の福音〕使いながら進み予め仕掛けの場所を把握しながら進攻。襲ってきた村人は洗脳されたままでも自分で屋敷からでて貰う為、その場で制圧して【催眠術】に掛かって貰う。
オブリと接敵する前に【オーラ防御】と【力為め】で守りを上げておく。
オブリの先制攻撃に対しては、戦場の前で〔鬼神招来〕。彼に的になって貰おう。
敵の位置が解ったら腱糸傀儡「月虹」と「時通」で戦い、鬼神が健在だったらたら最良。
敵が使い手を直接狙ってきたら【第六感】と【見切り】で避け、【カウンター】で反撃。
そして月虹で【罠使い】した穴に【吹き飛ばし】、串刺しになって貰う。
串刺しになった風魔はサイコガンで焼却処理。
●常在戦場
「カラクリ屋敷に洗脳した女子供と来たか。なんともわかりやすい悪役ムーブじゃのー! 成敗してやらねばかえってこちらの申し訳が立たぬというもの」
ユーベルコード【操演】によって召喚した蜘蛛型ドローン・オクタビアスくんを引き連れ、忍者屋敷の廊下を歩くのは神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)だ。
ドローンによって周囲を探知してもらい、進んでゆくという寸法だ。洗脳されている村人程度なら見つけ出せるだろうとのこと。
「そこに3人隠れておるようだのう」
「ええ、あと5秒で出てきます。3,2,1」
アマミにそう告げたのは化身忍者の眼健・一磨(祀ろわぬ民・f09431)、彼の【絶望の福音】による未来予測で壁の中から出てくる村人がいつ出てくるかも分かっているので、迎撃し、制圧するのはとても簡単だった。
「それでは、自分の足で外へ出られるように催眠をかけ直しましょう」
村人の一人を抱き起こし、一磨がそう告げる。
「できるのかえ?」
「ええ。やってみましょう」
「その者達は夢心地ゆえ、変に起こしてやるな」
アマミと一磨の会話に第三者が割って入る。振り向けば、そこに風魔小太郎がいた。ドローンで探知するには小太郎の動きは巧妙で、視覚外の動きだった為、小太郎が現れるまでの未来をその眼に映すことができなかった。
「オクタビ……」
「鬼神様、御出で……」
「風魔忍法【六道阿修羅面】」
アマミがドローンを戻して戦闘用に装着するよりも、一磨が自身に憑依する鬼神を呼び出すよりも早く、小太郎の髑髏の面の瞳が輝き、大小ある六本の腕による武器や拳による攻撃を繰り出す。
「くっ」
「動きが読み切れ……」
攻撃にさらされる二人。六本腕による圧倒的手数に一磨の【絶望の福音】も動きが読めても対応しきれない。このユーベルコードは風魔小太郎とかなり相性が悪かった。
(じゃが、隙はあるはずなのじゃ)
小太郎の【六道阿修羅面】は味方を攻撃しないと自身の寿命を削ってしまうユーベルコード。洗脳した相手を味方とするのならば、村人に攻撃をしけるだろう。そのタイミングで村人の間に割って入り、そこから反撃に入ることができれば……
「……」
だが、攻撃を受けつつも反撃の兆しを待っていたアマミに訪れたのは、
ピシッ
小太郎の髑髏の面の一つにヒビの入る音だった。
「村人よりも自身の命を削ることを選ぶじゃと……?」
「大事な人質を失う愚を犯すとでも?」
「月虹!」
二人の会話に一磨の声が割って入る。身の丈八尺のからくり人形【月虹】を体当りさせ、吹き飛ばしにかかる。
「む、すんでのところで急所は避けていたか」
小太郎は腕で防ぐも、二人と間合いが開く。
「人質が有効と判断されているうちは村人に手を出さないでしょう。一旦引きましょう」
「う、うむ」
その隙に一磨とアマミは忍者屋敷から退却する。
一人残された小太郎は洗脳の続いている村人達が動けるのを確認すると、元の持ち場につくように指示を出す。
「せめて、その意識だけは、世界が終わるまでの間は安らかであれ」
そう言い残すと屋敷の奥へと姿を消していった。
苦戦
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ナイ・デス
洗脳……助けられるのは、いいですね
助けて、倒しましょう
地縛鎖使い情報吸い上げる【地形の利用、ハッキング、情報収集】鎖、電脳ゴーグルにも繋げ補助
そうして刺客見破り、探し『生命力吸収光』で無力化していきます
先制攻撃には【第六感】で反応し、回避か
ふれたもの【吹き飛ばすオーラ防御】纏わせた剣で弾く
無理でも頭だけは【かばう】して
【覚悟と激痛耐性】で身体、動かない筈にまで負傷しても気にせず【念動力】で無理やりでも動かし
【鎧無視】して【生命力吸収】する光をあてる【カウンター】
風魔の霊、オブリビオンなら、加減はしません
そのまま外傷なく死なせる【暗殺】
奪い尽くして、骸の海にかえってもらいます
四王天・燦
キュピーン☆と目が光り(比喩)罠を看破。
実際は罠使いの技量をもって見破り、飛び出す村人に四王稲荷符を貼り付け気絶攻撃さ
六道阿修羅面は、アークウィンドで見切りが効く分は武器受けで凌ぎ、弾き飛ばせるなら武器落としで手数を減らす。
厳しくなったら逃げ足で間合いを取り、風魔忍軍や霊を切り伏せながら敵を盾にするぜ
修羅面の終わりが見えたら符術『力場の生成』使用。
小太郎の周囲を跳び回って隙を見て斬りかかる素振りでフェイント。
本命は密かに鋼糸・デストラップを絡めて動きを封じ、刻むこと
「御託は閻魔様に聞いてもらいな」
神鳴で袈裟懸け。
持って来られるなら『花火となった少女達』の少女剣士が手にしていた剣をブッ刺すぜ
ドゥルール・ブラッドティアーズ
配下から意思を奪い、使い潰す
……人間と同じね。
貴方にだけは、私も非情になれそうだわ
先制攻撃で風魔忍軍を召喚されたら
全身から【属性攻撃】の吹雪を放つわ。
接近してくる忍は凍結。手裏剣も軌道が逸れる。
多少の被弾は【オーラ防御・激痛耐性】で耐える
隠し扉も凍れば
洗脳された村人に襲われずに済むわ
『血統覚醒』で戦闘力を爆発的に高め
凍った忍を【衝撃波】で砕き
無数の氷弾で攻撃後、小太郎に接近
無数の【残像】で取り囲み
包帯の【ロープワーク・早業】で足を絡め取り
夜魔の翼の【空中戦】と強化された力で小太郎を持ち上げ
天井を突き破って上空へ
彼女達の痛み、自分も隕石になって味わえ!!
急降下して【気合い】と共に地面に叩きつける
●心奪いし者の心
「洗脳……助けられるのは、いいですね。助けて、倒しましょう」
ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)はそう言うと地縛鎖を屋敷の床に突き立て、屋敷内の情報を吸い上げる。そうして周囲にいる村人の情報を補足する。
「そのあたりに潜んでいるとすると、隠し扉はあの辺りにありそうね」
キュピーン☆と目が光り(比喩)、隠し扉を看破するのは四王天・燦(月夜の翼・f04448)だ。姉妹に内緒で怪盗稼業をしている彼女の眼には、罠を見破ることは造作も無い。隠し扉から出てきたら村人達も霊符で難なく気絶させる。
「新しい村人が出てきたりしないよう、封鎖しちゃいましょ」
そう言って、魔力で吹雪を作り出し、隠し扉を凍りつかせるのはドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)だ。
「洗脳された村人に襲われずに済むわ」
あくまでもこれは戦闘に横槍が入らないようにする下準備のようなもの。そして、ここからが本番であると言わんばかりに、燦とドゥルールは戸を開き、その先にいる男を見据える。
その先にいたのは風魔小太郎。先の隕石落としの作戦にて、配下の少女剣士の心を奪い、恐怖を感じぬ兵へと作り変え、隕石の弾丸へと変えた非常なる男である。
「来たか」
猟兵がこちらに向かってくることを察していたのか、傍らには風魔忍法の【風魔頭領面】により呼び出した風魔忍者の軍勢と【死鬼封神面】によって呼び出した歴代風魔小太郎の霊がいた。
「配下から意思を奪い、使い潰す……人間と同じね。貴方にだけは、私も非情になれそうだわ」
「私も、お前を許すつもりはない」
「それが我の変えられぬ業故。元より敵に情けをかけられるような謂れなし」
隕石落としの件で思うところがあるようであり、女性陣二人の目は冷たい。だが、小太郎はその視線を受け止めると、そのまま部下と霊達を引き連れ、猟兵達へとせまる。
「お二人共、まずは攻撃をしのぐです」
見た目不相応の冷静さでナイは二人に声をかけ、二人も心得たとばかりに応戦の体勢を取る。ここで下手にユーベルコードを使用する隙を見せてしまえば、効果を出すこと無く潰されてしまう。
「凍てつきなさい」
ドゥルールが吹雪を起こし、それにより敵の放つ手裏剣の軌道を逸らさせる。そして、完全に凍らせるまでには至らないが、動きを鈍らせることは出来た。
「これなら、なんとか見切れるです」
鈍った敵の忍者刀や鎖鎌による攻撃を、ナイは手にはめた黒手袋を二振りの短剣に変えると、気を纏わせて弾く。見きれずに食らってしまう攻撃もあったが、戦闘に支障はない。
「ドゥルールさん、助かったです」
「言う暇があれば敵に集中しなさい」
ドゥルールも多少被弾したが、耐えられない痛みではない。問題は…
「風魔忍法【六道阿修羅面】」
主な標的として小太郎に狙われた燦だろう。暴力的なまでの手数で手にした忍者刀や鎖鎌による斬撃や巨腕による格闘攻撃などを燦に浴びせかける。燦も風の短剣『アークウィンド』によるつむじ風で攻撃の軌道をそらし、刃で受け、時には霊符を撒いて牽制をかけるが、圧倒的な手数をしのぎきれず、ついに拳による一撃を身体に受ける。
「ぐっ!!」
だが、その勢いを殺しがてら跳躍して間合いを開け、一旦仕切り直しを試みる燦。
「させぬよ」
追いすがる小太郎だが、その攻撃は、突然飛び出してきた忍びに当たり、阻まれてしまう。燦はこの乱戦から敵の動きを利用し、自身の盾としたのだった。
「なるほど、なかなかやる!」
味方を攻撃したことで【六道阿修羅面】による代償を受けずに済んだが、反撃を糸口を与えてしまったのが痛い。小太郎は猟兵達の手際に感嘆する。
「加減は、しないです」
ナイはユーベルコード【生命力吸収光】を放つ。発動の際に敵の一斉攻撃を受けるも、頭だけはかばい、耐えしのぐ。
「痛みは、ないです。このまま、骸の海に、還ってもらうです」
忍びや霊達の存在するためのエネルギーを吸収し、傷が癒えるナイ。そして、風魔忍軍や代々の小太郎の霊はそのまま静かに消えてゆく。
「む……逝ってしまったか」
「よそ見する暇はないぜ」
燦は先程牽制でばらまいた霊符に力を流し、符術【力場の生成】を起動させる。
「御狐・燦が命ず。符よ、我が意のままに空に留まり、天へと至る足掛かりと成せ!」
そして霊符を足場に飛び回り、小太郎に斬りつける。
「面白い、術を使う。だが、その程度では!」
小太郎の言う通り、六本腕で手数にまさる小太郎に対してこのユーベルコードいささか相性が悪く、致命打は狙えない。だが、燦の動きはあくまで小太郎を引きつけるフェイク。本命は別にある。
「む?」
ふと気づくと小太郎の脚に包帯が巻き付いている。目で辿ってみれば、包帯を持っているのはドゥルールだ。
「風魔小太郎……」
そう呼びかけるドゥルールの瞳は赤く輝いており、【血統覚醒】によってヴァンパイアへと転じていた。そして、包帯を引っ張って小太郎の体勢を崩したかと思うと、そのまま彼を掴み上げるドゥルール。マントを翼に変えて広げると、爆発的に増大したパワーで小太郎を掴んだまま天井を突き破り上空へと飛行。そして、
「彼女達の痛み、自分も隕石になって味わえ!!」
急降下して、下へと叩きつけにかかる。そして、小太郎の落下するであろう地点が不意にキラリと光ったように見えた。
「ぐおおおおおおおおお!!!」
小太郎が見えない何かに引き裂かれる。よく見ればそれは鋼の糸、燦の『デストラップ』だ。小太郎の周囲を飛び回るとともに、密かに設置していたのだ。そして、床に激突するとともに糸に絡め取られる小太郎。
「御託は閻魔様に聞いてもらいな」
そして自身の刀『神鳴』で斬りつけると、自身のものではない剣で、小太郎を突き刺す。
「……そうか。これは彼女の剣か」
小太郎は、燦とドゥルールが誰が弾丸となった隕石落としを阻止したのか理解したようだった。
「彼女達もこのような痛みを味わった、ということか」
そして、そう呟く。だが、
「アタシが女の子に苦痛を与えるわけがないじゃない」
燦はそれをきっぱり否定する。
「私も最後は苦痛の無いようにして還してあげたわ」
安らかに眠らせるための催眠は誰かさんが妨害したけれど、と付け加えつつ空から戻ってきたドゥルールも加わる。そして次の言葉は予想外だった。
「そうか……。それは礼を言う」
小太郎の言った言葉に思わず顔を見合わせる二人。
「あ……」
だが、その次にドゥルールは思い至ってしまった。人よりもオブリビオン側に寄り添っている彼女の思考ならではこその。
「もしかして、貴方が彼女達の心を閉ざしたのは……」
彼女達の決意を恐怖で鈍らせないため、死んでしまうような苦痛を心に刻ませないため。忍びとして生き、忍びとして死に、オブリビオンとして蘇った後もその生き方を変えることが出来ない風魔小太郎なりの優しさだったとしたら。
「だとしたら不器用すぎるでしょう」
「我は知らぬ」
そう言葉を返すと、小太郎は首をひねり、歌舞伎の連獅子のごとくその髪を振り回し、猟兵達に叩きつける。
「しまった、回復する時間を与えたか!」
攻撃を回避した時には小太郎の姿は消えており、床に大きな穴が開いていた。
「この先はどうやら、隠し通路みたいです」
穴を覗き込み、ナイが確認する。小太郎はこの屋敷の構造を熟知しているはず。このまま追いかけても無駄だろう。
だが、風魔小太郎にかなりの痛手を与えた手応えは猟兵たちにはあった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
香神乃・饗
誉人f02030と共闘
瞳が輝く間は香神占いで先を読み続けるっす
合わせてフェイントや殺気を読み暗殺を防ぐことで回避するっす
忍者の武器は暗器っす読みきれる筈っす
敵を盾にして護れるなら誉人も含め護る
村人救出を主に行う
地形を利用した罠フェイクを見抜き破壊し掃除する
扉が開かないよう弄って回る
村人をグラップルで気絶させたり剛糸で絞め無力化
絶対殺さないっす
でも手加減する程余裕はないっす
誉人の救援にも応じる
誉人、よくやったっす任せるっす!
常に周りの地形を利用した暗殺も注意
誉人が狙われたら庇う
誉人には触らせないっす
瞳の輝きが消えた瞬間
苦無投げフェイントかけ力溜めた苦無で暗殺を狙うっす
人を弄んだ報いを受けるっす!
鳴北・誉人
饗(f00169)と共闘
千華一花で対抗
現れた軍勢を、オーラで強化した花弁で巻いて、動きを鈍らせる
触れれば斬れる無数の刃の嵐だ
それを抜けてくる攻撃は脇差で受けていなして、忍者の動きを見切って残像残すぐらい素早く躱す
俺自身もオーラ防御して、二回攻撃で手数増やすぜ
覚悟決めて挑むぜ
忍者軍勢を蹴散らしてから
風魔にも花嵐を見舞い、ダッシュで間合いを詰めて、脇差で斬る
力溜めた一撃だ、覚悟しろ
饗に危険が及びそうなら庇う
「俺の相棒になんか用か
洗脳された村人への対応
殺気を噴き上げ恫喝して怯ませる
「邪魔すんな!
それでも効かねえンなら、手ェ繋いで目ェ見て
「帰れ、あとァ俺らがなんとかすっからァ
「饗っ!頼んだ!(もう無理
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
この屋敷の仕掛けだけで小太郎の性根についてはほぼ察した。
だから、もう奴には何も言う事はない。
屋敷内では前に出て刺客の攻撃の矢面に立ち、『カウンター』の『武器落とし』で片っ端から戦闘能力を奪い、無力化させる。
洗脳したところで身体能力は俺達の方が上だ。
とはいえ、気が咎めるのも確かだけどさ。
だから、刺客の対処は俺一人でやる。
小太郎との戦いでは風魔忍者の軍勢を召喚したところでこっちも『飢龍炎牙』で迎え撃つ。
そしてその炎と奴自身が召喚した軍勢の陰に紛れて小太郎本体に接近し、炎の『属性攻撃』を加えた大包丁の『二回攻撃』を叩き込む。
「誰かを操り、その陰に隠れてばかりいるから足元掬われるんだぜ?」
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
ウィーリィくんがボクの事を気遣ってくれるのは嬉しいけど
キミだけが傷つく事も、胸を痛める事もないんだよ?
分け合おう、二人で(言いながら、【手をつなぐ】)
洗脳された刺客は【ロープワーク】+【罠使い】のロープトラップで絡めとって縛り上げる
知ってる?ロープワークは海賊のたしなみなんだよ?
あとは諸悪の根源をやっつけるのみ!
『六道阿修羅面』で攻撃してきたらブラスターの【クイックドロウ】+【零距離射撃】で至近距離から連射をお見舞いして押し返す
手数ならボクだって負けないよ!
で、一緒に【スナイパー】で身に着けたお面を次々と砕き弱体化させる
あとはウィーリィくんと一緒にフォースカトラスで【2回攻撃】!
●繋ぐは心
「この屋敷の仕掛けだけで小太郎の性根についてはほぼ察した。だから、もう奴には何も言う事はない」
先の作戦でも配下の心を奪い、ただの道具として使い潰していった男だ。そして今回、村人を洗脳し使うような相手だ。ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は容赦するつもりはない。
「洗脳したところで身体能力は俺達の方が上だ。とはいえ、気が咎めるのも確かだけどさ。だから、刺客の対処は俺一人でやる」
そして、相棒のシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)にそう告げる。だが、シャーリーは首を横に振る。
「ウィーリィくんがボクの事を気遣ってくれるのは嬉しいけど、キミだけが傷つく事も、胸を痛める事もないんだよ? 分け合おう、二人で」
そう言ってウィーリィの手を繋ぐ。
「悪い、少しピリピリしていたみたいだ」
その手のぬくもりに、ウィーリィの表情は少し和らいだように見える。
「よし、行くか」
「うん」
二人は風魔小太郎に待つ忍者屋敷に向かうのだった。
●決めるは覚悟
洗脳された村人の救出は順調に行われていった。
「あっちに隠し扉があるっす」
屋敷の構造を見抜き、香神乃・饗(東風・f00169)が仲間たちに声をかける。饗の警告通り隠し扉から飛び出した村人達は、いつの間にか足元に張られていたロープに足を取られ、転倒してしまう。
「知ってる?ロープワークは海賊のたしなみなんだよ?」
そう得意げに言うのはシャーリーだ。転倒した村人の武器をウィーリィが素早く蹴飛ばし、無力化させる。
「ね、一緒にやったほうがいいでしょ?」
「お、おう」
シャーリーの屈託のない笑顔にウィーリーは照れつつも応える。一方で、
「邪魔すんな!」
相手に喝を入れるように怒鳴るのは鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)だ。相手が怯んでくれればいと思ったが、洗脳されている村人には声が届いていないようだ。心ここにあらずといった、虚ろな目で誉人を見ている。
「……ッ! 帰れ、あとァ俺らがなんとかすっからァ」
だが、それでも誉人は諦めずに村人の手を握り、目を見て語りかける。
「……ここは……?」
村人の意識が戻ったように見えるが、洗脳が解けるのに気力を削られたのか、そのまま眠るように倒れ込む。
「……饗っ! 頼んだ!」
「誉人、よくやったっす任せるっす!」
隠し扉が動かないように細工していた饗が、戦いの邪魔にならなそうな場所を見つけ、そっと寝かせる。あとは徳川の兵を呼ぶなり何なりして、なんとかしてくれるだろう。そして、饗が声をかける。
「それにしても悠長なんじゃないっすか? 村人の安全を確保するまで俺達を待ってくれるなんて」
「信長様の手によって、この世界ももうじき滅ぶ。なればその者たちにとって早いか遅いかの違い」
油断なく襲撃を警戒していた饗の声に応え、姿を見せたのは風魔小次郎その人だ。既に他の猟兵と戦闘を行ってきたのか、その身にはおびただしい傷がある。そして、既にそばには風魔忍法【風魔頭領面】によって呼び出された忍者たちが控えている。
「既に召喚済みっすか!」
「風魔忍法【六道阿修羅面】」
饗が文句を言いながらも【香神占い】で小太郎の動きを予測しようとするも、その動きを読む前に、小太郎は巨体に似合わぬスピードで饗へと迫り、忍者刀と拳による連打を叩きつける。
「あとは諸悪の根源をやっつけるのみ!」
シャーリーも【クイックドロウ】で小太郎の髑髏の面を狙うが、シャーリーが抜き撃ちで熱線銃『シューティングスター』を構えるよりも先に小太郎の投げた奥義がシャーリーに纏わりつくように飛んでゆき、鎖鎌が蛇のようにしなり襲いかかる。反撃はするものの相手に与えるよりも手酷いダメージを受けてしまう。
「くっ、読みきれないっす!」
「手数だったら負けないはずなのに!」
出鼻をくじかれた二人は小太郎の攻撃を前に防戦一方となる。
「シャーリー!」
「俺の相棒に何しやがる!」
ウィーリィと誉人もそれぞれがユーベルコートを出して敵を攻撃しようとするが、先んじて風魔忍者達が手裏剣を雨あられと飛ばしてくる。
「くっ」
「邪魔だ!」
それぞれ脇差や大包丁で防ぐものの、その後忍者刀を手に迫ってくる忍者達に出鼻をくじかれる。こちらのユーベルコードに先んじてユーベルコードを使用する相手にユーベルコードで対抗しようとしたのが悪かったのか、序盤からいきなり風魔小太郎と風魔忍者達に押されるような展開となる。
「どうした、猟兵たちとはこの程度だったのか! 我を失望させてくれるな!」
なおも小太郎達の猛攻は止まらない。
「くそっ、このままだと」
誉人は脇差『絶花蒼天』や白銀の刀『唯華月代』で忍者達と切り合い、時は残像を残しながら攻撃をいなすが、ユーベルコードを放つタイミングを掴めずじまいの状態だった。このままではジリ貧だ。
「誉人!」
そう思っていた矢先、誉人と風魔忍者の間に饗が割って入る。
「饗!?」
「チィッ!」
饗が風魔忍者の側に割り込むことで、小太郎の忍者刀に一撃が饗の盾となるような形で風魔忍者に当たってしまう。
「お前、無茶しやがって!」
「誉人には触らせないっすよ。だんだん未来予測に対応して動けるようになってきたっすし」
誉人の怒鳴り声に饗はニッカリ嘲笑って返す。
「ったく、お前を守るつもりだったのに守られちまったじゃねえか」
だが、それで誉人の肚は決まったようだ。
「饗っ! 頼んだ!」
「任せるっすよ!」
饗も誉人の意志を組んだのか、小太郎の攻撃を苦無で受けしのぎつつも、風魔忍者の攻撃から誉人をかばう。
「覚悟、決めて挑むぜ!」
饗がかばいきれなかった攻撃も、誉人は気を身体に巡らせて耐える。そうして作り出したほんの僅かな時間が戦況を変える。
「舞い狂え」
手にした刀が白いアネモネの花びらとなり、花吹雪が当たりに舞い散る。誉人のユーベルコード【千華一花】だ。
「む、これは!」
花吹雪が周囲の風魔忍者達を蹴散らし、本物の吹雪さながら周囲を白一色に覆う。
「見せてもらったぜお前たちの覚悟」
「次はボク達の番だよ!」
花吹雪を突っ切って小太郎に飛び込んできたのはフォースカトラスを構えるシャーリーと大包丁『三昧真火刀』に炎を纏わせているウィーリィだった。小太郎の咄嗟の反撃をかいくぐり、二人の斬撃がクロスするように小太郎の身体を斬り裂き、そのまま返す刀で更に小太郎を斬りつける。
「喰らい尽くせ、炎の顎!」
さらにそこからウィーリィはユーベルコード【飢龍炎牙】を放ち、小太郎の身体を焼き、そこを突き抜けた炎の龍は周囲の生き残っていた風魔忍者にまで巡ってゆき、その炎の体で焼き尽くす。
「誰かを操り、その陰に隠れてばかりいるから足元掬われるんだぜ?」
炎に焼かれ、まだ動きを止めぬ小太郎にウィーリィはそう言い放つ。
「で、あろうな。それが我の業。変えることの出来ぬ我を形作りし過去也。さあ猟兵よ、我が業を断罪してみせよ!」
小太郎は床にしっかりと脚を踏みしめ、大見得を切る。
「なら、ここで人を弄んだ報いを受けるっす!」
饗の声とともに苦無が小太郎めがけ飛んでくる。
「その程度!」
忍者刀で打ち払うが、飛んできた先には饗の姿は既にない。
「俺の力を溜めた一撃だ、覚悟しろ!」
気づいた時は脇差を構えた誉人と残りの苦無を手にした饗が小太郎に迫っていた。強く振り抜く為の溜めは十分である。
「ぐおおおおおおおおおお!!!」
交差するように振り抜かれた二人の斬撃に、ついに小太郎は膝をつく。
「……ついに我もここまでか」
ピシピシと無数にあった面にヒビが入り砕けてゆく。
「猟兵達よ。信長様は我のように甘くはないぞ」
そして、身体も崩れ去ってゆく。
「努々覚悟しておくがよい」
その言葉を残し、風魔忍軍の頭領、風魔小太郎は骸の海へ消えていった。
こうして風魔小太郎を倒すことに成功した。屋敷に連れ去られた村人達も、あとは徳川の兵に話せばなんとかしてもらえるだろう。だが、エンパイアウォーははまだ始まりに過ぎない。猟兵達はグリモアベースや各々の世界に戻り、次の戦いに備えるのだった。
苦戦
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