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無重力の海で

#スペースシップワールド #【Q】 #お祭り2019 #夏休み


●ゼログラビティ・バカンス
 その日、ニコラがグリモアベースで映し出していたのはいくつものボールが宙に浮かんでいる不思議な空間であった。ふよふよと中空に漂っているそれらは綺麗に透き通っており、光源との兼ね合いで宝石のようにも見えた。
「皆、いつもお疲れ様ね! 今日はオブリビオン絡みじゃなくて、ちょっとした慰安旅行をご案内させてもらうわ」
 そう言って、ツアーフラッグの代わりにパラソルを軽く振るニコラはレースクイーン風の水着姿――話を要約すると「ヘブンズピーチ号」で行われる水着コンテストに合わせ、様々なリゾートシップが集まるから遊びに行こうということらしい。
「今回ご案内するのはリゾートシップ・ぱらいそ号……以前ニコラがオブリビオン絡みでご案内したこともあるからご存知の方も居るかしらね? 今回お邪魔させてもらうのは、ぱらいそ号でも特に人気の『無重力ビーチ』よ」
 無重力ビーチ、なんだその地に足のついていない名前は。そんなことを言って首を傾げた猟兵の声に応え、ニコラはグリモアから投影する映像を切り替える。
「――文字通り無重力の浜辺。ここでは、無重力空間に浮かべられた大きなウォーターボールの中を泳ぐことができるのよ」
 ニコラの説明とともに拡大されるのは宙に浮かんでいたボール。言われてみればさざ波のように波打つ表面や色合いから、それが巨大な水球であることが判るだろう。
「泳ぐ以外だと飲食を楽しむこともできるらしいわ。チューブ食片手に、無重力の海を体験してみるのなんていかがかしら?」
 ニコラも現地にいるから良ければ一緒に楽しみましょうと締めくくり、転移ゲートがリゾートへの道を開いた。


Reyo
 はじめましての方ははじめまして。そうでない方はいつもありがとうございます。ついに水着コンテストが開催されましたね。というわけで、水着で遊びに行くシナリオをリリースさせていただきます。

●日常章のみのシナリオについて
 このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。

●プレイングについて
 能力値は特に気にせず、無重力プールをどのように楽しむか、どんなことがやってみたいかをプレイングとしてしたためていただければ幸いです。
 OP通り、今回は【日常】の章のみとなるため現地にニコラも同席します。何かご用命があればお申し付けください。

●シナリオ運営期間について
 本シナリオは水着コンテストに合わせて、20日いっぱいを締め切りとして21日中でのリプレイ納品を予定しております。

 それでは、どうぞ無重力の海をお楽しみくださいませ。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み』

POW   :    海で思いっきり遊ぶ

SPD   :    釣りや素潜りに勤しむ

WIZ   :    砂浜でセンスを発揮する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

※20日の24時までにお預かりしたプレイングは21日の12時頃に公開予定です。リプレイ公開と共にプレイングのお預かりを締め切ります※
百鬼・甲一
あはははは!なんだこれ…面白いですねっ!(水着に着替え、球体の海に飛び込むとその反対側まで泳いで顔を出しつつ)
これが無重力というヤツですか…初めて体験しますが悪くないですね…!肩にアロハシャツを掛けてチューブ食を試してみたりしながら、水鉄砲を準備します。浜辺でウォーターサバゲーの大会でもやってませんかね。開催してるなら是非参加してみたいところですが!グラサンかけて、大型の水鉄砲肩に担ぎつつ。「ニコラさんも一勝負どうです?」と、お誘いさせていただきますかね。
【アドリブ、他の方々との連携歓迎です】



●シー・スフィア
 どぷん、という音は重力下でのダイビングと比べると幾分か静かに響いた。
 レンタルしたのはスポーティーなデザインをしたボクサータイプの水着。百鬼・甲一(不死傭兵・f16959)のすらりとした痩身によく似合う黒一色の水着だ。肉体美を誇示する、というよりは単純にこの環境を楽しんでいる様子であり、勢いよく水球に飛び込むだけに飽き足らずそこに力強いストロークで推力を加えて一気に水球の直系距離を泳ぎぬけていた。
「ふぅ――これは、面白いですね!」
 ザパン、と水球を突き抜けてしまえば、ある程度の推進力を持った甲一の身体はそのまま水球から離れて空間を漂う事になる。重力下ではまず体験できない不可思議な水と体の挙動は、ただのスイミングとは違う楽しみを彼に提供していた。
「こうやって、水球を抜けたところで無重力を体感するのも悪くありませんねぇ……」
 器用に中空で胡坐をかき、さて次はどこのボールにダイブしようかと周囲を眺めた甲一の視界に、ふと面白そうな看板が飛び込んで来た。
 ――無重力ウォーターガンシューティング。
「――ほほう?」
 重力下とは異なる挙動をする水――それは水鉄砲で放った時も同様であり、放たれた水は水量と発射圧に応じた距離を飛んだあと表面張力で丸くまとまり、空気抵抗で最終的に宙に留まる。最終的にその「水玉」になった場所による得点を競う、というお遊びらしい。要は射的なのだが、無重力空間で水鉄砲を使う、というのがミソらしい。
「……丁度いい、ちょっと一勝負ふっかけてみましょうか!」
 ついでに言えば、甲一の視界に映っていたのは今回のレジャー場所までの転移を担当したニコラの姿。転移の御礼ついでに1ゲーム誘ってみようと、甲一は無重力のビーチを泳いで砂浜代わりのサイドエリアへと急ぐのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋月・信子
@SPD

バッグに二人分の水着を持って、現地の更衣室で姉さんを打ち合わせ通りに呼び出す…というか口ではくだらないとか言ってましたけど、割と構ってちゃんというか…ツンデレ、でしょうか
そんな所があるので多分口では言ってもノリノリだと思うので、まず最初は二人でいろんな場所を見て回りたいと思います

(パンフレットを広げながら)えぇっと…水球も水泳用の他に釣り用でいろんな魚を放っているのに…サッカーと水球を合わせたような、プールの上でなくプールの中に入ってするスポーツ用の場所もあるのですね
そちらを見学して参ります

心配なのは日頃の骨休めになるはずなのが姉さんに振り回されるかもしれない事ですが…仕方ないですよね



●ツイン・バカンス
 無重力ビーチなんてくだらないわねぇ、そんなところに遊びに行くの?
 ――姉、もとい自分のEsの言葉を思い返しつつ、秋月・信子(魔弾の射手・f00732)ははやる心を抑えきれずにいた。現に、こうやって現地に来ているのだから無意識の象徴である「姉」も口ではどうのこうの言いつつ、これを楽しみにしていたのだろうという思考もほんのり。
「全く、結構かまってちゃんなんですから……いえ、ツンデレでしょうか?」
 とはいえ、その言葉は自分にもブーメラン。少し冷静になりつつ、信子はユーベルコードを起動――そう間を置かずもう一人の信子がその場に現れる。
「聞こえてたわよ、信子? 誰がツンデレですって?」
「お互い様ですよ、姉さん……はい、水着。きちんと打ち合わせ通りに持ってきましたよ」
 1つのロッカーを前にして、姉に水着を差し出す信子。それぞれの姿で別々の水着を準備しているらしく、信子はシンプルなデザインの白ビキニ、姉の方は若干攻めたデザインの紐の目立つ水着だ。
「――あら、水着、そっちじゃないわよ? 私のが、こっち」
「え、でも――」
 だが、信子が姉に差し出した件の攻めた水着はさらりとスルー。遠慮なくカバンの中に手を突っ込み、姉が奪っていくのは信子用の筈の白水着。
「せっかくのビーチなのよ? はっちゃけちゃいなさいよ」
 信子の抗議もどこ吹く風、するすると素早く着替えていく姉。そんな横暴にも慣れているのか、信子はしばらく迷った後におずおずと紐の目立つ水着に着替え始める。
「まだなの、信子? ちゃっちゃと着替えて、遊びに行くわよ!」
「もう、姉さん――やっぱり楽しみだったんですね?」
「ええ、信子をいじって遊べるのがね?」
 軽口の応酬もいつも通り。さりげなくパーカーを腰に巻き、パンフレット片手に楽しむつもり全開の姉の姿に苦笑しつつ、信子もようやく着替えを終える。
「さて、と――とりあえず、いろいろな設備があるみたいですから、楽しみましょうか」
「ええ、行くわよ! まずは釣り堀になってるボールに、その次は宇宙イルカと泳げる遊泳ボール。それと、この施設ならではのスポーツ試合の見学! やることはいっぱいあるわよ!」
 いざ出陣、となればEsである姉のテンションの方が高い。これは日ごろの骨休めというよりも姉――もとい自分の本音に振り回される1日になりそうだなと信子は覚悟を決め、無重力のビーチに踏み出すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリア・ルート
(水着で来ます、JC参照)
無重力ビーチ。何よそれ……といいたかったけど、まあ宇宙のリゾートだしそういうのもありよね……
ウォーターボールの中にちょっと素潜りしてみるわ。コードも使ってアイツと一緒に。コードじゃなくて生身のアイツと一緒にここに来たかったわね……なんて懐古をしても始まらないわよね。魚とかいるかしら?
あらかた楽しんでお腹すいて来たらチューブ食を手に取ってウォーターボールにぷかぷかと浮いている感じ。で、知り合いとか見つけたらちょっとそっちを見てみたりとか。
1年に1回しかない機会、楽しまないと損よね。そして平和になったからこそよね――感謝するわ、この機会を与えてくれたニコラに。


白鳥・深菜
@ お誘いいただいたので、
うちの子達(使い魔)と共に失礼します!
※なお使い魔も本体と同じく水兵スク水の格好
かつ浮き輪つけてます

今回はメインの無重力ビーチを主に楽しみます。
ちゃぽんと水玉の中に浮かんでみたり、
無理しない程度に潜ってみたり。
特に水泳が得意という事もないので、
ゆったりのんびりまったりと。
静かに無重力を、浮遊感に、溺れていく。


……ああ、このまま水に溶けて一つに
……なんてことを頭がよぎっては駆け抜けていく。
……やらないけどね。流石に、多分。
……(あほづらとは違う、惚け顔)


白斑・物九郎
●ニコラを呼ぶ



ン、邪魔しますでよ
(水着っていうか海賊王フォームでエントリー)

しっかし、おたくのグリモアを通るときゃ基本のドンパチですからな

慰安旅行なァ
なんか不思議な気分ですわな
そのヘンに銀河皇帝の残党とか湧いて出たりしないんスか?
(ニコラの予知を疑ってるんでなしに暴れたい気分ってだけ)


・VSウォーターボール
ニャるほど、無重力空間だとビーチもこうなるって寸法っスか
コレ、中に入ってプカプカすべしっていうコンセプトは分かるんですけどもよ

呼吸はどうなるんスか……?

――ああ、あのボコボコ言ってる気泡を都度見付けて喰らい付いてスーハーすりゃイイんでしょうかや
ニャるほど

(ウォーターボールにちょい入ってみる)



●ワイルドハントの休日
 無重力ビーチ、その一角。ワイルドハントご一行、と書かれたミニサイズの幟でビーチサイドの机と椅子を占領しているのは同じ旅団のメンバーたちらしい。この場への転移を行ったニコラもそのメンバー達とは親しいらしく、その席にお邪魔して寛いでいた。
「おたくのグリモアを通るときゃ、基本ドンパチですからな」
 どっかりと海賊を模した豪奢なスタイルの水着で椅子に腰かけるのは、その旅団を統べ率いる白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)だ。黒をベースに金の縁取りの外套、アイパッチとバンダナに、さらには赤い羽根のついたトリコーン。椅子にたてかけた錨モチーフの杖と相まって威厳ある海賊船の船長といった雰囲気が強い。
「平和な世界であれば、こういう所に行く余裕もあるってことよ――それとも、ドンパチの方がお望みかしら?」
「うんにゃ、そういう訳じゃないんですがね。単純に不思議な気分ってだけですわ」
 ころころと笑って揶揄うニコラに、物九郎は首を振る――暴れたい気があるのは否定しないが、少なくともそれは今ではない。目の前にいるグリモア猟兵の予知を疑っているわけでもなく、単にゲートを抜けた先が戦場でないことが物九郎のこれまでと微妙に噛み合っていないようだ。
「猟団長~! 猟団長もこっちに来て泳ぎません?」
 どこか遠い目で平和な無重力をビーチを眺めていた物九郎(とニコラ)に、最寄のウォーターボールから呼ばわる声が届く。現場に同行したワイルドハントの団員が1人、白いセーラー・スクール水着と白梟の翼が眩しい白鳥・深菜(知る人ぞ知るエレファン芸人・f04881)である。近くに浮かんでいるフェアリーサイズの深菜は本体と同じデザインの水着に加えてプチサイズの浮き輪も装備していた。
 よく見ればその近くには素潜りから上がってきた様相の濡れ髪の眩しいマリア・ルート(黒き面影に囚われし根源姫・f15057)も居る。黒で統一されたオフショルダーのトップスにショートタイプのパレオのようなボトムスが水球の中でゆらゆらと揺れ、なんとも幻想的な光景。ちゃぽん、と浮かび上がってくるその瞬間までマリアのすぐ傍に似たデザインの水着を纏った黒い長髪の娘も居たが――マリアが水上に浮かび上がるとともに消える。どうやらユーベルコードにより呼び出された仮初の存在故らしい。
「……かなり独特で、気持ちいい海よ? それと――もしこっちに来るのなら、チューブ食を1つお願いしてもいいかしら、猟団長」
 器用にウォーターボールの表面にぷかぷかと浮かびつつ、マリアも物九郎に声をかける……どちらかというとチューブ食の要求がメインのようではあるが。
「俺めを使いっぱしりにしようとはいい根性ですな、マリア――ニコラ、何かしらお勧めのチューブ食をいくつか見繕ってはくれませんかね?」
「アイアイサー、猟団長……とりあえずお勧めどころはこの3種類らしいわ。1人1つずつでちょうどいいんじゃないかしら?」
 団員に頼まれた用向きをそのままニコラにスルーパスし、投げられたチューブ食――夏限定、とでかでかと記されたビーチパフェ味、かき氷テイスト、海の家ヤキソバ風味のそれらを握って物九郎が水球目掛けて勢いよく跳ねる。パシャン、と勢いよく着水する寸前にチューブ食を団員目掛けて投擲するのも抜かりなく、並々ならぬ第六「勘」でもって最適な運動制御をされたそれらが見事にマリアと深菜の手元へと収まる。
「んーと、わたしのは――海の家ヤキソバ味!? 何ですかこれ!?」
 パシっとチューブ食を受け取った深菜が、パックに記された味に目を白黒させる。
「私のはかき氷テイストね……え、シロップ全種盛り?」
 一方、マリアもマリアで受け取ったパックに記された味に一抹の不安を覚える表情。
「ま、ニコラのお勧めでさぁ――恨み言があればアッチ」
 岸辺で手を振るニコラの方を指さしつつ、物九郎はチューブ食を水着の腰元についたポーチへ投げ込み早速ウォーターボールの中へ潜り始めた。ウォーターボール内部に定期的に放出される空気珠をうまく捕まえつつすいすいと無重力の海を泳ぎまわるその姿は、とても無重力ビーチが初体験とは思えない。
「うーん……実際食べてみればこれはこれで?」
 使い魔たちに試食させつつ、深菜はチューブ食を口に咥え、翼を船代わりに水球の表面でぷかぷかと浮いている。ちゅるちゅるとチューブ食を食べつつ、次第にその表情がとろとろと惚けていくのは無重力ならではのとてつもない「浮遊感」によるものだ。このまま水と溶けてひとつに、だとか、ああ溶けるー、などという間抜けな声も聞こえてくるがそれもまた愛嬌。
「――ああ、きちんと食べ進める度に味が変わっていくスタイルなのね」
 ちゅるりとかき氷テイストのチューブ食を吸って、味が混ざっているというよりは層状に切り替わっていくスタイルであることを確認してマリアもほっと一息。寝そべるようにして水球の表面に浮かびつつ、ニコラに向けてチューブ食のお礼のように手を振り。
「――いい機会をありがとうね、ニコラ!」
 名前を呼ばれ、ニコラもまた水球に浮かぶ友人たちに笑顔で手を振り返すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
【POW】
無重力ビーチか。初めて見るけど面白そうだな。
そんな訳でシャーリーを誘って一緒に遊ぶ。
スペースワールド出身の彼女なら馴染み深いだろうし。

そんなシャーリーは普段と違った水着姿。
いや、普段からスク水みたいなカッコしてるけどさ。
これはこれで可愛いぜ。サメの浮き輪が。(※台無し)

初めのうちは彼女に手を取ってもらいリードしてもらい、
無重力の感覚に慣れてからはこっちから積極的に遊ぶ。
別の水球に飛び移って飛び込んだり、掬った水を宙に浮かべてみたり。
「すげーなこれ! コロニーでないと楽しめないな!」
そんな感じで、シャーリーと一緒に遊び倒す。


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
こんなのあるんだ!?
宇宙生まれのボクも初めてだよ!
でも無重力の感覚には慣れ親しんでるから泳ぎやすいかな

という訳でウィーリィくんの手を取って泳ぎのレッスン
考えてみたら宇宙出身のボクと地球出身のウィーリィくんとでは育った環境が全然違うんだよね
でも、そんな二人が今こうやって手を繋ぎ合っている
ウィーリィくんのおかげで色々な世界を知る事が出来た
だから、今度はボクが宇宙の広さを教える番だよ
「ねぇ、次はもっと高度なムーヴやってみる?」
水の中だけでなく、空中も一緒に泳ぐ
繋いだ手はそのままで



●スィート・アンド・サワー
 少年は更衣室入り口付近で相方が出てくるのを待っていた。彼の名はウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)、料理人を志す少年猟兵である。明るい色のパーカーは無重力に任せてふわりと浮かび、蒼いトランクスタイプのボトムスと相まって快活な印象が強い。
「無重力でも串ものは安定して食べれるもんな……にしても、このエビ、ちょっと変わった味だぜ。スペースブラックタイガーかな?」
 そんなウィーリィが手に持っているのは2本の串料理。いわゆるBBQ串にささっているのはスペースブラックタイガーを添えた焼き肉・焼き野菜だ。2本購入したのは、もう1本を待ち合わせ相手に渡すためなのだろう。
 そうやってウィーリィがもぐもぐと串料理に舌鼓を打っていると、
「――お待たせ! 着替えるのに時間がかかっちゃった」
 トン、と軽い動作で床を蹴り、無重力空間を器用に泳いでウィーリィに近寄る女子がひとり。海賊をモチーフにしたトリコーンに白いチューブトップとビキニスタイルのボトムスが眩しい彼女の名前はシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)。小脇に抱えた大サイズのサメ・ボートについ目が行きがちだがナイスバディにも注目必須な彼女は、ウィーリィに誘われてこのビーチに遊びに来たスペースシップワールド出身の猟兵である。
「……お」
 そして、その声に釣られてシャーリーの方を振り向いたウィーリィの動作が止まる――食べかけだった焼き野菜が無重力空間にぷかりと浮いた。
「あれ……? どうしたの、ウィーリィくん」
「――ちょっとビックリしたんだ。普段のスク水みたいなカッコと違って可愛いからさ」
 ぽろりと漏れたウィーリィの言葉に、彼の近くに着地したシャーリィの頬が赤く染まる。
「え、そう? カワイイ、かな、あたし……」
「……とくにそのサメの浮き輪がさ」
「――もぉ! ドキドキした分損したじゃないか!」
 ぷんすかと頬を染めたまま声を荒げるシャーリィ。ウィーリィの言葉は照れ隠しかそれとも本心か、それを知っているのは当人だけ。
「そんなに怒るなよォ……はい、これ。結構おいしいから、良ければ」
「も、モノで釣られたりしないよ! ――でも、もったいないから、貰うね」
 ウィーリィの差し出した串焼きを受け取って、かぷり。美味しいものは口を塞ぐとはよく言ったもので、しばらく2人の間に心地よい沈黙が流れた。
「ン、美味しかったよ……それじゃあ、泳ごうか! ボクもこんなビーチに来るのは初めてだから、楽しみだったんだ!」
「美味しかったなら何よりだぜ――俺は無重力にあんま慣れてないから……」
「安心して、串焼きの分はちゃーんとレッスン付けてあげるから」
 えへん、と胸を逸らしたシャーリィのたわわな双丘がたゆんと揺れて、ウィーリィは思わず目線を逸らした。が、そんなことお構いなしとでもいうようにシャーリィはウィーリィの手を取り、少し力を込めて宙空の水球目掛けて――跳んだ。
「うわ、わわわわ!?」
「ボクがちゃーんと手を握ってるから、安心して」
 ばたばたと慣れない感覚に慌てふためくウィーリィ。それを可笑しそうに眺めつつ、シャーリィは口頭でいくつかのコツを伝える――無重力空間でまっすぐ動くにはむやみに身体を動かさない方が良い、だとか、手足を動かすべきタイミングなど。それらは全てスペースノイドならではの技術だ。
「こう、か?」
 ウィーリィの飲み込みも早く、最初の水球にたどり着くころにはシャーリィと比べればぎこちないまでもしっかりと無重力下での動きをマスターしていた。
「そうそう、そんな感じだよ! ――それじゃあ、着水!」
 とぷん、という着水音は2つ。無重力の水球はその表面張力のせいで地上よりも抑えめの水飛沫。跳ねた水飛沫も、一部が水球の引力圏から離れて新しい水玉になる。
「おお、すげーなこれ! 無重力でないと楽しめないなァ」
 それを見てウィーリィは興奮を隠せず、シャーリィも愛いものを眺める目で彼を見ている。水中では手をつないだままだ。
「……ねぇ、次はもっと高度なムーヴもやってみる?」
「おう、やるぜ! 今日1日で、無重力水泳をマスターだ!」
 シャーリィがそう提案する心中……色々な世界を教えて貰えたことへの御礼なのだというのは果たしてウィーリィに伝わっているのか。きゅっと握りしめた掌越しにそれが伝わっていることを願いつつ、シャーリィは少しずつ無重力の楽しみ方をウィーリィに伝授していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月21日


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト