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わくわく満開ビーチ~夏だ!海だ!水着だ!

#UDCアース #呪詛型UDC


 夏と言えば海。
 海と言えばひと夏の恋。
「今回の事件では、ぬしさまたちには逆ナンパして貰いんす」
 グリモア猟兵の狗衣宮・藍狐(キューティースタイリスト・f00011)はにこやかな笑顔でグリモアベースに招集した猟兵たちへと言い放った。
「遠からぬ内に、浜辺にてオブリビオンが出現しんす。オブリビオンたちは海水浴に訪れた一般人男性たちをナンパで誘惑して、何か良からぬ儀式に用いるようでござりんす。ぬしさまたちにはそれを妨害して貰う――というのがわっちの予知した内容でありんす」
 オブリビオンは呪詛によって一般人たちをナンパしやすいようにしているようだ。この事件は呪詛の効果を受けない猟兵たちにしか解決できないだろう。
「呪詛は海水浴場近くにある水着売り場を中心に周辺一帯に発生させられておりんす。オブリビオンはまだ姿を現してはおりんせんから、鬼の居ぬ間の洗濯。ぬしさまたちは一般人に代わって、この呪詛の中心地となる水着売り場に行って、水着選びを楽しんで来て欲しゅうござんす」
 この作戦には呪詛の中心地となる水着売り場へと、呪詛の効かない猟兵たちが行くことによってその効果を掻き乱そう、という意図があるらしい。
 敵の振り撒く一般人たちへの呪詛の妨害をしながら、水着選びを楽しむ。一石二鳥の作戦というわけだ。
 もっとも、その中心地にいる店員たちは呪詛の影響によってやたらと水着姿を褒めちぎって来るようだが……。
「襲来にはまだまだ時間に余裕がござんす。それまで、浜辺でオブリビオンたちが一般人を誘惑する前に、ぬしさまたちもここで水着を見繕って来てはいかがでありんしょうえ?」


三味なずな
 お世話になっております、三味なずなです。
 今回は15作目。UDCアースの浜辺での逆ナンパを主眼とした依頼になります。煙MS、鍼々MSとのコラボシナリオでもあります。

・1章:水着選び。お友達と一緒に行くもヨシ、一人で選ぶもヨシ。店員がめっちゃ勧めて来るし頭悪い感じに褒めて来ます。

 過度に性的なプレイングは採用率が著しく下がりますのでご注意ください。

傾向  :ネタシナリオ
難易度 :ゆるゆる
知能指数:男子中学生

 それではよろしくお願いします。
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第1章 日常 『水着ショッピング』

POW   :    直感で選ぶ など

SPD   :    実用性で選ぶ など

WIZ   :    デザイン性で選ぶ など

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
プリンセラ・プリンセス
水着を選ぶ、というか受け取りに来たが正解だった。
海辺の街ならまだしもA&Wに泳ぐという習慣はない。そして肌を見せるのは恥ずかしい。
なのでキマフュの知り合いのデザイナーに相談してコーディネイトしてもらったのだ。
店員に手伝ってもらって試着してみるが
「やはりちょっと露出しすぎではないでしょうか」
店員がいうにはそれが普通だというし、郷に入っては郷に従えともいう。
「そうだわ。帽子があればいただけますか?」
虚弱であるプリンセラに宇宙船の疑似日光といえどきつい。
大きめの麦わら帽子を見繕ってもらう。
「やっぱりまだ少し恥ずかしいですけれど……」
友人に誘われて一緒でないというのも気になるので我慢するのだ。



 プリンセラ・プリンセス(Fly Baby Fly・f01272)はアックス&ウィザーズの出身だ。世界の文明レベルは比較的低く、移動手段と言えば徒歩か馬車が中心となる。ゆえに海辺の街や河川に面した街でもない限り、泳ぐという文化や習慣はなかなか生まれにくい。泳ぐ習慣が無いということは水着を着る習慣もなく。つまり、プリンセラはどういった水着を選べば良いのか皆目見当がつかなかった。
「えーと、こちら……でしょうか?」
 丸い宝石のような青い瞳をぱちりと瞬かせながら、水着ショップの看板を見上げる。
知り合いの宇宙山羊族のデザイナーから紹介を受けた場所だ。相談の上でコーディネイトして貰って、この水着ショップで受け取るという段取りになっていたはずだが――。
「いらっしゃいませ~♥ あらーかわいい子~♥」
「ご、ご機嫌よう……」
 プリンセラが店に踏み込もうとした矢先、店内からスタタタッと満面の笑みで店員が近付いて来た。箱入り姫だった彼女からしてみれば、ここまでアグレッシヴに攻めて来る店員の相手などしたこともなく。少し驚きで目を丸くしながらなんとか笑みを形作る。
「水着を選びに来たのね? そうなんでしょう? ハイ当たり! 正解~♪」
「ええっと、紹介でこちらに注文した商品があると……」
「ああ、プリンセラさんね。お話うかがってるわ、さあ奥へどうぞ♥」
 はあ、と苦笑しながらプリンセラは店員に促されるままに店へと入って行く。やたら押しが強くてテンションが高いのは、やはりこの店を中心に発されている呪詛が原因だろうか。ちらりと手にした王笏を見遣ると、破魔の宝玉が活性化したようにきらきらと輝いていた。
「はい、こちらがご注文の品ね♪」
 カウンター奥から取り置かれていた水着がぽんとプリンセラに手渡される。存外に早く済む用件だったことに少し安堵感を覚えながらも、店員へと笑顔で「ありがとう」と伝えながら、水着のかかった人型のハンガーへと目を落とした。
「あの、こちらが水着、でよろしいんでしょうか……?」
「ええ、そうよ♥」
 ビキニ、であった。
 所々にレースが施された白いビキニは上品な仕上がりで、プリンセラをして、そのデザインの可愛らしさにはさすがのチョイスだと唸らされるものがあった。だが、それはそれとして――
「ちょっと露出しすぎではないでしょうか……?」
 プリンセラは王族である。王族であるからには服装からも権威を示さねばならず、着るものとなれば高価な布地をふんだんに使用した物が主となる。畢竟、その服装は露出度が下がるのが常だ。露出度の高い服などそう着るものではない。というか肌を見せるなんてはしたないし恥ずかしい。
「何言ってるのよ、こんなの普通なんだから!」
「そう……いうものですか」
 これが普通と言われてしまえば、何も知らない箱入り姫は反論できなくなってしまう。ローマにあってはローマ人に従え、郷に入っては郷に従え、である。
「それじゃあ試着してみましょうか♪」
「えっ、ここで着るのですか」
「なぁに驚いてるのよぉ。万が一サイズが合ってなかったらハラハラドッキリ大惨事よ? まず着て確かめてみなきゃ♪」
 びっ、と指し示されるのは試着室である。さしものプリンセラも、手元の水着と試着室、そして店員を見比べて少し気が遠くなった。試着が重要であることは言われるまでもなく理解してはいたが、こんなに布地の少ない服装を他人に見せるなど恥ずかしすぎる。
(誰れぞ、誰れぞ……!!)
 となれば彼女がまず頼る先とは己の内に眠る兄や姉たちである。
 今は亡き兄姉たちは死してなお妹に憑依し、力を与えてくれる存在となっている。今まで数々の冒険を乗り越えるための力を与えてくれた兄姉たちならば、何か一計を案じてくれることだろうと彼女は信じていた。

『水着姿の可愛い末姫を見られるのならば良いのでは?』

 だがそこは死してなお妹を大切に思う兄姉たち。王族として多少「はしたない」と多少は思いこそすれ、妹思いの彼らが可愛い妹の水着姿を望まないわけがなかった。
 結果。末妹は水着を着るべきである、とプリンセラ以外の全会一致で決定した。いよいよもって退路を断たれた形である。これには彼女とて諦める他に無かった。
「……最後に、あちらの帽子も頂けますか?」
 観念したプリンセラは手近にあったマネキンの身に付けていた麦わら帽子を指差す。虚弱なプリンセラにとって浜辺の太陽はいかにもつらいものだ。帽子は欲しかった。
 大きな麦わら帽を「はいどうぞ」と店員に手渡され、プリンセラは試着室へと押し込まれる。
 狭い区切られた空間の中でしばし水着と複雑な表情で睨めっこをするも、兄と姉たちの催促もあって、渋々と彼女は着替え始める。
「……やっぱり、まだ少し恥ずかしいのですけれど」
 水着姿に着替えて、しきりにビキニの布地を調整して肌を隠そうとする。が、そもそもの布地が圧倒的に不足していて無駄な抵抗でしかなかった。
 これで行動を共にする友でもいれば、多少はこの恥ずかしさも和らいだのだろうが。今はこうして、パレオを巻くくらいしかできない。
 不安そうに折り畳まれたドレスと立てかけられた王笏を見下ろす。
 国の復興とオブリビオンの討伐を志して、ただの姫として名前を捨てた。だのに王族としてのドレスを着ず、王笏も持たず――これでは、自分が何なのかも少し考えさせられてしまう。
「……いえ、王笏を持たずとも、華美なドレスがなくとも。私は姫ですから」
 心を落ち着けるように、瞳を閉じて深呼吸。
 王族なれば、それに相応しい振る舞いをしなくてはならない。――かつて、兄上や姉上たちに言われた言葉である。

                  プリンセス    
 目を開けて姿見を覗けば、そこには“一人の姫君”がいた。

 試着室のカーテンを開けて、店員へと向かう。
 畏敬を求める王笏も、権威を示すドレスもない。
 今あるのは――王族としての誇りと、振る舞いだけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート

──唐突に振ってわいた休暇
つまり俺は海に出なければならない
それには?水着が必要だ
だが考えてみろ俺よ

全身浸かるほどの水に入ったのはワクワクザブーンが初
つまり俺は海遊びや川遊びの経験が殆どない
そんな俺が果たして一人で水着を選べるのだろうか…?
いや、選ばねばならぬ

いざ行かん店内
この程度のミッション余裕でこなして

ラインナップが多すぎる!!!!!!!

えぇ?こんな種類あるのか水着って?
うわぁ全然わからん。もう帰りたい

よし帰ろう!諦め…店員のインターセプトォ!!
あの俺帰…あっはい、それお勧めなんすね…
はぁ、まあ別に拘りは無いんで…
あ、もうそれでいいんで…買いますんで…

気まずいわっ!!はよ買って帰るわ!



 オーバーワークだ。
 贔屓にされている依頼主からそう言われた時、ヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)は渋面せざるを得なかった。
 ヴィクティムは猟兵だが、“元”は付くにしろ非合法の工作員でもあった。そうなれば、古い縁故を頼って昔のような依頼が来ることもある。この依頼主は昔から細く長く、付かず離れずの距離感で仕事を振ってくる良いビジネスパートナーだった。
 だが、そんな依頼主にもヴィクティムのワーカーホリックぶりはどこからか耳に入っていたのだろう。前日になって「依頼はキャンセルする。キャンセル料を使って休め」と連絡を寄越して来た。
 なんでまた、と考えないでもなかったが。良いビジネスパートナーを潰したくなかったのか、それとも本当にその仕事が不要になったのか。真意はわからない。
 降って湧いたような休暇。手持ち無沙汰にグリモアベースへと訪れると、海へ行ってもらうという依頼があった。
「そういや、夏だもんな」
 海に行ってみるのもたまには悪くはない。
 そう考えた彼は、UDCアースの浜辺への転移に志願するのだった。



 ヴィクティムが全身が浸かるほどの水に入ったのは、アックス&ウィザーズの史上最悪のボートレース《ワクワクザブーン》が初めてだった。河から落とされて溺れ、海を泳いでいる中で酸素ボンベを破壊されて溺れた。つまり、彼には海遊びや川遊びの経験というものが無かった。故郷にいた頃など、大量の水など工場の排水口から流れ出す汚濁まみれの産業廃棄水ぐらいしか彼は知らなかったのだからさもありなん。
 そんな彼が水着を選ぶのは、非常に困難なことに違いなかった。
「ラインナップが多すぎる……!!!!!!」
 買い物程度、ミッションの物の数ではない――そんな風に思っていたヴィクティムは、水着ショップの中に用意された男性用水着を見て打ちひしがれていた。
「えぇ……? 水着ってこんな種類あるのか……?」
 困惑さえしながらもヴィクティムはサーフパンツを見比べていく。形状こそ似通っているものが多いが、とにかく柄のバリエーションが尋常でないほど多い。どれぐらい多いかって、ちょっとしたプログラムのバイナリぐらいあるんじゃないかってぐらい多い。
「うっわ全然わからん……」
 表示案内を見ながら胡乱げなかおになる。これがスパッツタイプ。これがボックスタイプ。これがショートボックスタイプ……。
「……全部同じじゃねえか。諦めて帰――」
「これだから素人はダメだッ! もっとよく見てみろッ!!」
 溜息をついたヴィクティムはそのまま出口へと踵を返そうとするも、そこへすかさず男性店員がインターセプト!
「これがスイムパンツ、そしてこっちがボードパンツだッ。全然違うだろうがッ!」
「全然わからねえ……!!」
 どうしてわざわざ似通った種類を並べて来るのかもわからない。
 ともあれ、ただの買い物と侮って事前のリサーチもなくいきなりミッションに突入したのは早計だった。
「……とにかく俺は帰るわ」
 やたら筋骨隆々な店員の脇を通って出口へ向かう。近くにいるだけでだいぶ暑苦しい。
「……待てッ」
 だが、それを丸太のように太い店員の腕が行き先を阻んだ。店から出さない気か、とヴィクティムも一瞬身構えたが、よく見れば店員のその手にはサーフパンツが握られているではないか。
「これを持っていけ……ッ!」
「おっさん……!」
 サーフパンツを受け取るヴィクティム。店員の手がサムズアップへと変わる。威圧的で暑苦しい筋肉ダルマが、今はとてつもなく頼り甲斐のあるように見えた。
「税込みで1980円になりますッ!!」
「今の流れ全部ただのオススメ商品紹介かよ!?」
 だが実際問題、何を買えば良いのか迷っていたのだからありがたいと言えばありがたい。値段も手頃だしデザインも悪くない。
「気に入らないならばこちらのワンショルダー水着をッ!!」
「買います買います買わせてください。こだわりないんでホント。わーカッコイー!」
 輪っか状の紐っぽい水着を用意し始めた店員を見て危険信号を受信したヴィクティムはサッと財布を出した。会計終わりに「毎度ありッ!!」とサイドチェストを見せつけて来るのはどうにかして欲しかった。
 買い終えたサーフパンツを手に、ヴィクティムは陽光で煌めく海を見遣る。
「……帰るか」
 休暇の買い物とは思えないほど気疲れしたヴィクティムであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パーム・アンテルシオ
今年の水着コンテストは、終わっちゃったけど…
水着は…ううん、服は。何着あってもいいんだよね。
気分で着替える。目的で着替える。色々から。そうだよね?

今日はまだ、オブリビオンは来ないんだよね。
それなら、せっかくだし…どうかな。藍狐も、一緒に水着を見に行かない?
今日は、グリモア猟兵が一緒に行っちゃっても、大丈夫だよね?

ナンパに使うなら…やっぱり、セクシーな水着を選んだほうがいいのかな。
それとも、可愛い水着とか。目を引く突飛な水着とかの方が、効果があるのかな。

…藍狐なら、どんな水着がいいと思う?
それと…藍狐なら、どんな水着を着てみる?
藍狐は、オシャレに詳しそうだし。色々聞いてみたいな、なんて。ふふふ。



 服は何着あってもいい。
 気分で着替える。目的で着替える。場所で着替える。季節で着替える。
 そして、相手で着替える。
 それは水着とて同じことだとパーム・アンテルシオ(写し世・f06758)は考える。
「ここ……で、良いんだよね?」
 水着ショップの看板を見上げて、そっと控えめに中を覗き込む。
 本当ならば、同じ旅館で知り合った縁もあって藍狐を誘いたかったのだが、オブリビオンが現れないとはいえ事件は事件。いつ敵の新しい情報を予知するかわからないグリモア猟兵の立場では、残念ながら一緒にお店で買い出しに、とはいかなかった。
「……ま、仕事なら仕方ないよね」
 水着ショップの自動ドアの中へと入って行く。
 人界にはまだ馴染みの薄いパームだ。きょろりきょろりと店内を見回しながら歩いて行く。
「サイズ的にはここ、なんだろうけど……」
 探し当てた女児水着コーナーを見回して、パームは苦笑してしまう。さすがのパームでも、女児水着を着るのは少し抵抗感があった。それに、これはあくまで逆ナンパに使うための道具だ。これで釣れた男性には何か色々と危機感を覚えるべきだろう。
「ナシかなぁ……」
 女児水着コーナーに向けていた足先を隣のレディースコーナーに向ける。
 ナンパに使うのならばやはりある程度色香を出して誘惑しやすい、セクシーな水着を選んだ方が良いだろう。それはそれで釣れた男性に対しては色々と危機感を覚えるべきだろうが。
「セクシーでー……可愛い、と良いのかな?」
 うーん、うーんと唸りながらレディースコーナーの小さめなものや、フリーサイズのものを物色していく。他の世界で過去に開催されたコンテストでは黒いランジェリーにも似たセクシーなものに挑戦してみたが、今回はもう少し可愛さに寄せてみたかった。見せための水着と、魅せるための水着は用途が違う。
「ってなると……これとか?」
 エプロンに似た水着をひょいとチョイスする。前掛け状のトップスに、ビキニショーツタイプのボトムス。ボトムスさえ工夫すればトップスもサイズフリーでちょうど良いし、どこぞの本で「男は裸エプロンにときめくものだ」と聞いたことがあった。パームの身体は未だに未熟だが、このエプロン型の水着を着れば誘惑もしやすいだろう。
「ちょっと試してみようかな」
 いそいそと試着室で着替えてみると、これが予想以上にしっくり来た。ワンピース型の水着と比べれば背中が少し頼りないが、モノキニの類と思えば悪くはない。
 姿見の前で前を映したり横を映したり、後ろ姿を映したり。キツいわけもなく、かといってサイズが大きすぎてズレそうになるわけでもない。エプロン自体ミニ丈想定だったのだろうが、パームだとサイズ差で膝上ぐらいになってしまうのはご愛嬌だろう。
「あ、そうだ。どうやってナンパするのかも考えなきゃいけないんだっけ……」 
 誘惑はそれなり以上に心得のあるパームだったが、こうして改まってナンパとなると、普段とはシチュエーションや服装も違うためちょっと考えてしまう。
 自慢の尻尾をもふらせる――のは、さすがに使えないだろう。青い海、白い砂浜の上には照り付けるような太陽がある。冬場ならばともかく、夏場に尻尾は活かしにくい。となれば衣装を活かすようなセリフが欲しいところだった。以前読んだ本の内容を思い出しながらエプロンの前で手を組み、姿見に向かって微笑んでみせる。
「おかえりなさい、あなた。ご飯にする? お風呂にする?」
 思い出したセリフを口にしてみる。再現としては悪くなかったが、言ってる内容では相手が帰宅したことを想定している。ナンパでは使えない。
「……あれ、意外とナンパって難しい……?」
 ああでもない、こうでもない。色々とセリフを変えたり、アレンジしたり。鏡の前で続けられた練習は、心配になった店員に話しかけられるまで続いたという……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

赫・絲
ナンパ、ナンパかー
それならこっちから声かける前にちょっと向こうの視線を惹けるぐらいの、凝ったデザインのがいいかなー

折角だから仕事以外でも着たいし、可愛いヤツにしたいよねー
でも、あんまり可愛いの着て子どもっぽく見られるのはヤだし、難しいとこだなー

あ、このリボンのかわいー!
ひらひらしてるから目を惹きそうだし、それにこれ……着たら胸とかセクシーかも
っていうかどうやって着るの?あっこれリボン解いたら脱げる系?いやさすがに下にちゃんと布があるかー
赤は好きだし、ストライプも夏っぽいしこれ着てみよっかな

よーし、これならきっと子どもには見られない、はず!
見てろよー!
見返したい人の顔を、ちらりと思い浮かべる



 赫・絲(赤い糸・f00433)はマイペースな女だ。
 彼女は『メンドーなこと』を厭い、興味のないものをその淡い紫色の瞳に映すこともなくさっさと背を向けてしまう性質である。
 しかしそれは逆を言えば、彼女の興味が続く限り彼女はその瞳を対象から離さない。
 そういう意味で言えば、この『ナンパ』というものはそれなりに絲の興味を引くものだった。
「あっ、これ良いかも」
 いや、彼女の興味を引いたものは、厳密には――その先にある『水着』なのだが。
 取っ替え引っ替え。バンドゥやオフショルダーデザイン、タンキニ、ビキニ、ワンピース……。人型を模したハンガーにかかった様々な水着を見比べて、興味の赴くままに自分の身体に当てては姿見に映して見てみる。
「どういったものをお探しでしょうかぁ?」
「うん、ちょっと男の視線を惹けるよーな凝ったデザインのを探してるんだけど……」
 近付いて来た店員へと絲は言葉だけを返して、目をくれることも手を止めることもなく水着選びを続行する。
「凝ったデザインー……と言うとぉ、やっぱりスリングショットとかですかぁ?」
「あー。確かにこれは人目惹きそうだけどー……」
 店員がひょいと手に取ったスリングショットを見て、絲は苦笑いする。つられるように、店員の笑みも自然、似たようなものへと変わって。
「ダメな感じですかぁ……」
「今日以外にも使いたいからねー。ほら、友達と遊びに行く時とか」
 呪詛にかかっているとは言え一般人。まさか「仕事で逆ナン仕掛けるために派手な水着を使うんです」とは言えなかった。
「でしたら、人目を惹きつつも可愛いのが良さそうですねえ」
「そうそう。でも、あんまり可愛すぎて子どもっぽく見られるのはヤなんだよね」
 なんていったって花の17歳。もう子ども扱いは御免こうむりたいものだ。
 二人して「難しいねー」などと言い合いながら水着を探していく。フレアキャミソールは可愛すぎてちょっと子供っぽい。ビキニではありきたり過ぎる。モノキニは悪く無いが良くもなくて少し微妙だ。
「あ、このリボンのかわいー!」
 そんな中で、絲はリボンをモチーフにしたリブバンドゥ型のビキニを見つけた。
 赤と白のストライプ模様のそれは、トップスが胸をリボンで結ぶかのような大胆なデザインになっていた。
「ひらひらしてるから人目を惹きそうだし、ボトムスはフリル付いてて可愛いし……それにこれ、着たら胸とかセクシーかも。試着してみても良い?」
「はぁい、ぜひぜひぃ」
 店員から返事がするや否や、付属のアクセサリーと共に絲は上機嫌に試着室へと入って行く。
「……あれっ、これどうやって着るの?」
 と、勢い自体はそこまで良かったのだが、どうにも着方がわからず四苦八苦してしまう。混乱するのもむべなるかな。リブバンドゥ型ではあるものの、デザイン上胸をちょうちょ結びされたリボンで覆う、いわば乳房をラッピングしたような状態なのだ。
 裏返したり引っ張ってみたり。最初はリボンを解いたらそのまま脱げてしまうようなデザインかとも思っていたが、よくよく裏地を見て見れば、しっかりとチューブトップのような布地が付いていた。一安心である。
 ひらり、リボンを振ってみる。赤は好きだし、ストライプ模様もなんだか涼しげで良いかも知れない。
「これなら子どもっぽくも見られない……よね?」
 思い浮かぶのは、見返したい人の顔。今回は仕事だけれど、彼の前でこの水着を披露することができれば少しはドキリとさせて、見返すことができるかも――そんなことを考えてしまう。
 姿見の前で身体を左右に振りながら、どこかおかしいところはないかとチェックする。ふわり、ふわりとそのたびにリボンが舞う。チェックが終われば、試着室の外にいる店員へ。
「あらぁ~、『プレゼントは私』みたいな感じでぇ、とっても素敵ですねぇ」
 待っていましたとばかりに店員が褒め言葉を投げかけて来た。はにかみ笑いをしながらも、星型のシールが貼られたり、飾りリボンを巻いた太腿などを指し示す。
「アクセサリーのタトゥーシールとか、チョーカーとかアンクレットのリボンもこんな形で良いんだよね?」
「ええ、そんな感じですぅ。お客さんとてもスタイル良いですからぁ、こういう大胆な水着でもとってもよくお似合いですよぉ」
 なにせリブバンドゥビキニなのだ、乳房の北半球は光を照り返して輝かしく光り、南半球は抑えつけられた色気をリボンの下からでも強く主張していく。肩紐や、ましてやパレオでの誤魔化しなど一切ナシ。ボトムスに至ってはフリルこそあるものの、かなりのローライズである。間違いなく絲の探し求めていた、可愛らしく、それでいて大胆でセクシーな水着だった。
「サイズも問題ないみたい。これ買うね」
「お買い上げありがとうございまぁす」
 ニコニコと笑みを浮かべながら、店員がレジ台へと戻っていく。
 自分もその後に続こうとして、ふと、棚の端に置かれた姿見に自分の姿が映った。
 三つ編みの中に織り込まれた、赤いリボン。生まれついた時に与えられたリボンだ。
 リボンは好きだ。
 赤色も好き。
「少しは、気に入ってくれるかな」
 見せたい相手のことを思い出して、絲は少しだけ口の端を釣り上げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリアンネ・アーベントロート

むむ。水着、水着かぁ。
あのね、夏だから水着を必ず着ないといけないってわけじゃないと私は思うんだよ。
向き不向きっていうのはあるものだし水着以外にも私を活かせる服っていうのは沢山……あっ水着売り場に行くことで呪詛を妨害。そういう。
えーっと、店員さん。こう、なるべく身体のラインが出ないような水着とかありますか?
スタイルとかそういうの意識しなくていいタイプの。
あ、あともしあれば着るだけでスタイルがよくなる……あっはい、ないですよね。
と、とにかくその、なんかいい感じの水着を見繕ってもらえたらなと。

(水着のチョイスはお任せします。上のように言ってますが単純なので店員にガン推しされればコロっと騙されます)



「やっぱりお客さん可愛いんだから身体のライン出した方が良いと思うんですよ」
 来る依頼間違えた。マリアンネ・アーベントロート(ゼーブスタスの催眠術師・f00623)はそう思わざるを得なかった。
「セクシーダイナマイツとはいきませんけど、女の子らしい可愛さ見せつけちゃいましょう! くびれとか肩とか出すと男の子たちにウケが良いですよ。あ、髪長いならポニーテールとかにすると良いかもしれませんね。スタイルの良さだけが女の魅力じゃないですから! うなじ、見せつけちゃいましょう!」
 水着ショップの店員が、水着を代わる代わる手にとって見比べていく。それをマリアンネは引きつった笑顔で傍観するしかなかった。
 逆ナンパ、と聞いて薄々嫌な予感はしていた。だから最初、グリモア猟兵にも「水着を必ず着ないといけないってわけじゃないと思うんだよ」とそれとなく提案もしてみた。その後「水着売り場をうろついて呪詛を妨害してくれればそれで良い」と丸め込まれたが。
 説得されて店内の水着をぼんやりうろついていたらこれである。すごい勢いで店員が近付いて来てすごい勢いで水着を勧め始めて来た。
 今更になって「水着を選んでいるわけじゃなくて、呪詛を阻害するためにここをうろついているだけなんだよ」などと一般人、それも呪詛にかかった相手に言えるはずもなく。マリアンネはとりあえず店に入った手前、水着を買う方向で諦めた。
 とはいえ……。複雑な表情で店員の手にあるビキニを見つめる。
「もうちょっと布地が多い方が……」
「やっぱり夏と言ったら海! 海に行ったら泳ぎたいですよね。パレオだと脚が強調しにくいですから、ここは大胆に生足、見せつけて行っちゃいましょう! ねっ!?」
「えぇぇ……はい……」
 マリアンネ・アーベントロート。御年16歳にして身長は150cmに届かず、胸も小学生の頃から僅かに膨らんだ程度の発育具合だった。
 ほぼ寸胴、ドラム缶のような身体――というわけではないが、やはりこの未発達ボディを公衆の目に晒すのはいかにも気が引ける。
「身体のラインが出ないやつなら、スタイルとか意識しなくていいのになあ……」
「何言ってるんですかお客さん。夏なんだから肌出さないと暑くてやってられませんよ! それに、あんまり肌を出さないのもちょっと子供っぽく見られちゃうこともありますからね!」
「うっ、それはそれで嫌かも……」
 持って生まれたものなのだから仕方ないとはいえ、それでも気になるものは気になるのだ。
「ちなみに着るだけでスタイルがよくなる水着とかって……?」
「水着じゃないですけどコルセットとかいかがです? くびれできますよ。死ぬほど健康と骨格に悪いですけど」
「あっはい、そうなりますよね……。その水着ください」
「毎度ありがとうございます~♪」
 笑ってない笑顔から一転、満面の笑みでビキニを押し付けられる。
 赤と紺を基調とて、フリルも付いた可愛らしくもセクシーなビキニを抱えながら、マリアンネは試着室へと向かうのだった。
 溜息、一つ。
「……試着室で自己催眠かけとこ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

月待・楪
【violet】
逆ナン、な…
よし、遊ぶぞ猫助!
あ?そういやそんな話だったな
氷月、財布の中身は万全か?

おー…すげェ種類
選ぶのがめんど…
あー兄弟か、それ楽しいかもな
猫助、揃いの色違いにすんなら選ぶのは任せる

色は猫助が青なら氷月が赤で俺が黒か?
ラッシュガードは羽織るだけってのが出来るやつにしてくれよ?
ぴったりしたのは好きじゃねェし
ん、そのパーカーにしといてくれ

猫助が選ぶ間に氷月連れてビーチボールと水鉄砲
あと浮き輪っつかフロートな
遊べるモンは多い方がいいだろ?
金は全部氷月持ちだし遠慮なく使うか
猫助こっち来いよ
ボード借りてサーフィンにでもチャレンジしよーぜ!

…ったく、氷月、早く来い
後で半分出してやるから


マクベス・メインクーン
【violet】 兄ちゃんたちと海だ~っ♪
逆ナン、望兄ちゃんの得意分野?
あっ、今日は望兄ちゃんの奢りなんだよなっ!
ゆー兄ちゃん、せっかくだしカッコいい水着選ぼうぜっ!

兄ちゃんたちどの水着にする?
オレは、うーん…好きな色は赤なんだけど…
あ、あとラッシュガードは欲しい!
せっかくだしデザインお揃で色違いにしねぇ?
へへ~っ、だって兄弟みたいで良くね♪
ゆー兄ちゃんのカラーリングでジップアップで選んどくなっ!

あとせっかくだしビーチボールとかも買ってこうぜっ
遊びに来てる感出したほうが怪しまれないだろうし
おおっ、サーフィン!!
サーフィンしてる兄ちゃんたちめっちゃかっこよさそう!
てか望兄ちゃん財布大丈夫か…?


氷月・望
【violet】

男三人ビーチで逆ナンの旅……なんつって?
お、男に二言は……え、ちょっ、二人共買い物する気満々?
財布の中身がスッカラカンになる覚悟デキマシター(棒読み)

水着の種類豊富だなー
トロピカル柄の洒落たボードショーツもいいし
かすれた感じのグラデのやつも中々……
お、色違いいいねー!兄弟っぽいし乗った!
ラッシュガード、ジップアップパーカーなら羽織れるよー?
(SNSで【情報収集】、割とノリノリ)

フロートデカいのにしようぜ、デカいの!
……あ、ハイ、俺持ちデシタ(すっかり忘れてた)

ちょっとー!レンタルはいいケド!
俺、財布と一緒に分身出来ねぇから会計待ってー!?
でもって、置いて行かないでー!?(涙目)



 青い海。白い砂浜。燦々と輝く太陽。
「兄ちゃんたちと海だ~っ♪」
 両手を目いっぱいに広げて、海に向かってマクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)は歓声を上げた。
「男三人ビーチで逆ナンの旅……なんつって?」
 海に向かってはしゃぐマクベスを一瞥してから、氷月・望(夢幻への反抗・f16824)は波打ち際で海水浴を楽しむ人々――特に水着姿の女性たちを見遣る。
「逆ナン、な……」
 はしゃぐマクベスと期待を高める望を見ながら、月待・楪(Villan・Twilight・f16731)は呟く。
 「Violet」――ヒーローズアースの一角に存在するアパルトメント。三人はそこに住まう住人にして、協力し合う猟兵たちだった。
「氷月、本気でやるのか? 逆ナンする依頼なら、女連中に任せてりゃ……」
「いいや、俺たちもやる」
 楪の投げかけた問いに頷きを返す望の表情は、決然としたものだった。
 そう、今回の依頼はあくまで逆ナンパ――すなわち女性から男性へと声をかけるナンパである。だが、この三人はいずれも男。野郎の集まりだ。だからこそ――
「――逆ナンは野郎もいなくっちゃあ話にならないからな」
 女性猟兵が能動的に逆ナンパして依頼をするのであれば、発想を逆転させて男性猟兵は受動的に逆ナンパされれば良い。望はそう考えた。
 当然、声をかけて貰うとなるとハードルが爆発的に跳ね上がる。ゆえに今、女性に逆ナンして貰うための準備を整えよう――というのが望の考えだった。
「……でもお前、実は海で遊びたいだけだろ」
「あ、バレた? ほら、楪とマクベスと一緒に夏の思い出作っておきたいな~って」
 あと可愛い女の子に声かけられてみたいし、と顎に手をやりながら望はキラキラとキメ顔をしてみせる。そう言われてしまっては、楪としても「そんなことだろうと思ったよ」と返す他無い。実際、楪としても逆ナンパはともかくとして、三人での海遊びというものには心惹かれるものがあった。
 波打ち際で波を追ったり追われたりして一通り楽しんだマクベスがとことこと戻ってきて、望を見上げた。
「逆ナンってさ、望兄ちゃんの得意分野?」
「ああ、任せておけって。これでも大学ではちょっと名を馳せたんだぜ」
「へー、望兄ちゃんすげー!!」
 マクベスにキメ顔を向けてキラキラする望。それを真に受けてキラキラした称賛の眼差しを向けるマクベス。ホントかよ、とチベットスナギツネのような表情をするのは楪だけだった。
「まずは準備からだ。水着ショップに行くぞ!」
「あっ、今日は望兄ちゃんの奢りなんだよなっ!」
「あ? ああ、そういやそんな話だったな」
 びし、と望が指差す先にある水着ショップを見て、マクベスがそういえばと声を上げる。楪もその言葉で思い出したように望へと視線を向けた。
 元々の言い出しっぺが望だ。アルバイト――裏で請け負っている復讐代行での稼ぎが思いの外できたため、気分が良くなって気前良く言い出したことが、どうやらマクベスのふさふさとした耳にはしっかりと残っていたらしい。
「お、男に二言は……」
「ゆー兄ちゃん、せっかくだしカッコいい水着選ぼうぜっ!」
「そうだな。金は全部氷月持ちなんだ、遠慮なく選ぶか」
「え、ちょっ、二人共買い物する気満々……?」
 言いかけた決意表明も、二人の購買意欲を目の当たりにしてしまうと見る間に自信がなくなっていってしまう。
 少しだけ意地悪そうな、それでいて、気のおけない友人へ冗談を口にするようなにやりと笑みを楪は口元に浮かべる。
「氷月、財布の中身は万全か?」
「財布の中身がスッカラカンになる覚悟ガデキマシター……」
「よし、遊ぶぞ猫助!」
「おおーっ♪」



 水着ショップのメンズコーナー。
 色とりどりの水着やフロートなどのグッズを前に、三人はそれぞれの水着を探していた。
「水着の種類豊富だなー」
 おおー、と感心しながらも、現代っ子らしく最近のトレンドをスマホで調べながら水着を探していく望。
「おー……、すげェ種類。選ぶのめんど……」
 あまりの種類の膨大さに、早くも精神的にギブアップに入りかけた楪。
「これかなー……それともこっちかなー……」
 まるで猫のように、感性の赴くままに水着を見て回るマクベス。
 三者三様に彼らは準備を進めているようだった。
「兄ちゃんたちはどの水着にすんのー?」
 ある程度目星が付いたのか、マクベスが途中で切り上げて二人の様子を見て回る。
「進捗、全然ダメ」
「楪はこういうの苦手だったんだなぁ」
 がっくりと頭を下げながら文字通りお手上げ状態の楪を見て、望は苦笑してしまう。
「色々あるからこそ、探し甲斐があると思うんだけどな。ほら、例えばこのトロピカル柄の洒落たボードショーツもいいし、かすれた感じのグラデのやつも中々……」
「すまん、キツい。一つ一つ柄確認してサイズ確認して自分に合ってるか確認して……ってのをこの多さ相手にやるのは相当気力使うぞ」
「いやいやいや、もっと大雑把に選ぼうよ、ゆー兄ちゃん」
 もっとラフにさ、とマクベスは言うが、楪は難しそうな顔をするだけだ。
「マクベスはどんなの選んでるんだ?」
 楪の水着選びは難航しそうだと見て取った望が話を振ると、マクベスはうん、と頷きを返した。
「オレは、うーん……好きな色は赤なんだけどまだ迷ってて……。あ、あとラッシュガードは欲しい!」
「ああー、言われてみればラッシュガードは考えてなかったな。俺も何か選んどきたいけど、どうしよ」
「それじゃあさ、せっかくだしラッシュガードのデザインお揃で色違いにしねぇ? それだったら兄弟っぽくて良いし、ゆー兄ちゃんも迷わないだろ?」
「お、色違いいいねー! 兄弟っぽいし乗った!」
 望がサムズアップしてみせると、やったー、とマクベスが飛び上がるように喜ぶ。
「ゆー兄ラッシュガードどう? お揃!」
「あー兄弟か、確かにそれ楽しいかもな」
 本当の兄弟ではないとはいえ、仲の良い三人組だ。夏の思い出がラッシュガードというのもそう悪い話ではなさそうである。
「選ぶのは任せたいが……。ああ、でもデザインは羽織るだけってのができるやつにしてくれ。ぴったりしたのは好きじゃねェんだ」
「ジップアップパーカーなら羽織れるよー?」
「ん、じゃあそのパーカーにしといてくれ」
「ナイス望兄ちゃん! じゃあ色は……オレは下が赤になる予定だから、青とか?」
「猫助が青なら、氷月が赤、俺が黒ってところか」
「お、その色全部あるな。ちょうど良いじゃん」
「それじゃあゆー兄ちゃんのカラーリングで、ジップアップのやつ選んどくなっ! へへ~っ♪」
 三人で話し合って決めていけば、トントン拍子に買い物は進んで行く。どれを買おうか迷っていたものが、あれも良い、これも良い、と話題の盛り上がりと共に買うものが増えていく。
「せっかくだしビーチボールとかも買っていこうぜっ! 遊びに来てる感出した方が怪しまれないだろうし!」
「あと水鉄砲とフロート辺りも欲しいな。遊べるモンは多い方が良いだろ?」
「フロートはデカいのにしようぜ、デカいの!」
 どれが良いかな、とスマホを使って一緒に調べたり、店内のものを見て回ったり。三人で選ぶのはまるで遊んでいる時のようにワクワクして、楽しかった――。
「金は全部氷月持ちだし遠慮なく使うか」
「……あ、ハイ、俺持ちデシタ」
 ――望にとっては、少なくとも現実が叩きつけられるまでは。
 三人での買い物が楽しすぎるあまりにこの男、すっかりと今回の費用が自分持ちであることを忘れていたようだった。
「猫助こっち来いよ。ボード借りてサーフィンにでもチャレンジしよーぜ!」
「おおっ、サーフィン!! サーフィンしてるゆー兄ちゃんめっちゃかっこよさそう!」
「ちょっとー! サーフボードのレンタルはいいケド!! 俺、財布と一緒に分身できねぇから会計は待ってー!? ってか置いてかないでー!?」
 楽しげにサーフィンコーナーへと向かおうとする二人を呼び止める望は涙目であった。
 少し意地悪が過ぎたか、と楪とマクベスは苦笑いしあって、望のいるところへと戻る。
「ごめんな、望兄ちゃん。ちょっと意地悪だったな」
「ったく、氷月も早く来いよ。三人で楽しむんだろ?」
「……ああ、三人で!」
 戻って来る二人を見て、潤む目をぐしぐしと袖で拭う。
「てか望兄ちゃん財布大丈夫か…?」
「ま、後で半分出してやるよ」
「あはは……今度から安請け合いはやめとくよ」
 男三人、並んで歩き。
 手には品物を。胸には遊びへの期待と逆ナンへの野望を。
 そして楽しかい買い物の思い出を背に、彼らはサーフィンコーナーへと歩いて行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニコ・ベルクシュタイン
【クロウ(f04599)】と


水着を選べ、とな
い、いや、凄いかどうかは分からぬが…一応其れなりに鍛えてはいるが…

デザインよりは価格重視で、必要最低限品質が保たれていれば
俺はそれで充ぶ…な、何だクロウ!?其の気合いの入りようは!
こうなってしまっては為す術無くクロウに引き摺られるまま
さながら着せ替え人形の如く次々と水着をあてがわれる俺である
だが少し待って欲しい、此のブーメランとか言うのは危険だ

店員の饒舌さは事前に聞かされてはいたが、クロウも凄いなと
胸筋辺りをペチペチされながら色々な意味で感心してしまう
泳ぎは今まさに練習中だが、それよりクロウはどうなのだ
ご自分の水着も忘れずきちんと選ばねば駄目だぞ?


杜鬼・クロウ
ニコ◆f00324

ツッコミは捨てた
服絡みだとボケる

ニコって脱いだらスゴい体してそうだよなァ(じー
そんな一言から始まる水着選び
服装コーデ好きは水着にまで及ぶ

俺が!
お前に!
最高の水着選んでヤるぜ!(グラサン外しドヤァ
心配すンな
ファッションリーダー(自称)に任せろや(親指ぐ

ニコを振り回し店へ
頭緩い店員と気が合う
虹色のブーメランとか兎柄の可愛いヤツでも合うンじゃね?
競泳水着もニコの高身長なら…アリだぜ
イイから着ろ!(途中ニコで着せ替え遊び始めた
筋肉ヤベェな
結構鍛えてるのか?(ぺたぺた
そういやニコは泳げる口?
俺は難なく泳げるぜ

俺に見合う水着あれば欲しいが
麦わら帽子とグラサンは外せねェわ
水着、感想お任せ



「ニコって脱いだらスゴい身体してそうだよなァ」
 始まりは杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)の何気ない一言だった。
「……どうした、藪から棒に」
 戦友の言葉に、ニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)は思わず怪訝な顔をしてしまう。思わず「お前そういうキャラだったか?」と表情に出そうになるニコを知ってか知らずか、クロウはいつも睨みつけるようだった瞳を今だけはキラッキラと輝かせながらニコを上から下まで眺め回す。その表情は夏を意識したサングラスで目元が覆われていて、断片的にかわかりにくい。
「普段からカッチリしたの着てるけどさ。結構肩幅広いし、ガッシリしてるし。筋肉付いてンだろ絶対。スゴいんだろうなァ……」
「確かに一応それなりには鍛えてはいるが……凄いかどうかはわからんぞ」
 一応、というのには理由がある。ニコもクロウはそれぞれが懐中時計と、鬼の宝物のヤドリガミなのだ。ゆえに今持つ肉体は仮初の物に過ぎず、鍛えたところで本当に肉体が頑強になるのかは怪しいものだった。中には「鍛えた」という過程と経験を経て、より自身の仮初の肉体を頑強な物に構築しやすくなる――というヤドリガミもいるようだが、さて。
「水着着ようぜ、ニコ」
「……精密機械だぞ、俺は」
「俺だって出るところ出たら文化遺産なンだ、気にすンなよ」
 懐中時計の両肩をがっしりと掴む鬼の宝物の口元の笑みは獰猛で獣染みていた。いや、実際にクロウにとっては今、ニコは間違いなく獲物に違いないのだろう。
「俺が!」
 ズンッ! 一歩近づく!
「お前に!」
 ズンッ! 二歩近づく!
「最高の水着を選んでヤるぜ!」
 鼻先が付きそうなほどの距離。サングラスを上げたクロウの表情は、最高にドヤ顔だった。
「な、何なんだその気合の入りようは……!?」
「ヘッ、イケメンをコーディーネートできる機会に、ファッションリーダーの血が騒いでるだけだ。ま、悪いようにはしねェ、心配しないで任せとけ」
 こうして目の据わったクロウによって、半ば強引に引きずられる形でニコは水着ショップへと連行されるのだった。



「あら~褐色肌~~! 肌も綺麗でとってもセクシ~~~~!」
「これでいて脱ぐとすごいンだなァこいつが! どうよ、こいつに似合いそうな水着はあるか?」
「ええ~、もちろんですよ~~! わたしも張り切らせて頂きます~~~~!」
 ショップへ到着と同時に店員を引っ張り込んで即意気投合するクロウ。二人がかりで徹底的にコーディネイトするという熱い気概がそこにはあった。
「…………」
 一方で当のニコは微妙な顔で、コーディネイト相談で盛り上がる二人を眺めながらどこか所在なさげにしていた。ファッションに対して無関心――というわけではないのだが、それでもクロウと店員の熱量に付いて行くのは難しい。結果、彼はまるで着せ替え待ちの人形の如くその場で待っている必要があった。
 そんな彼の状況を知ってか知らずか、キラッキラの瞳とツヤッツヤの肌で楽しげにクロウが振り向いて質問を投げかけて来る。
「おいニコ、お前はどんなのが着たいんだ? 何でも言ってみろよ!」
 当人の希望ぐらいは聞いておこう、ぐらいの気安さで放り込まれたその問いに、ニコは顎に手をやってふむ、と少し思考を巡らす。
「デザインよりは価格重視。必要最低限の品質が保証されていれば、俺はそれで充ぶ――」
「は?」
 圧、であった。
 戦場に在らずして戦鬼の如き威圧感がクロウの背から放たれる。心構えもしていなかったニコが、気圧されて一歩あとじさった
「待て、俺が何か悪いことを言ったか……!?」
「お前はもうチョイファッションってのに気ィ使えよ! なンでそこで妥協の塊みてェな希望が出てくるンだ!? あァ!?」
「み、水着なんぞ用途が限られている上に夏ぐらいにしか着ないだろうが! そんなものに多大なコストはかけられん!」
「真面目か!? 限られたシーズンに着る物だからこそ気合入れるんだろうがよ! 恵まれた身体をドブに捨てる気か!?」
「む、無茶苦茶だ……」
「クソッ、ニコには任せられねェ! 店員のお姉さん、俺たちで選ぶぞ!」
「は~い~!」
 さっさと見切りを付けたクロウが店員と共にメンズ水着コーナーへと歩いて行ってしまう。反射的に引き止めようとニコが手を伸ばそうとするが――開きかけた口と共に、それは途中で力をなくしてしまう。引き止めたところで何かを言えるとも思えなかった。
 贅と富の象徴たる鬼の宝物。
 合理性と機能性の象徴たる懐中時計。
 これはそんな二人の価値観の相違だったのやもしれない。



 さて、そんなやり取りを繰り広げてから小一時間。
 元々の生真面目な性格からか帰ろうにも帰れず、じっとその場でニコは懐中時計を眺めていた。
「……せめて刻限ぐらいは決めておくべきだったか」
 少し後悔もしたが、今更悔いたところで仕方ない話だ。吐息して懐中時計を閉じ、視線を上げるとそこには両手に布っぽい山を抱えたクロウと店員がいた。
「選んで来たぜ、ニコ!」
「ホントはまだまだたくさんあったんですが~、厳選分したんですよ~~」
 抱えられていた布っぽい山は、全て水着だった。
「お前に相応しい水着は決まった!」
 ニコの前に立つや否や、クロウはおもむろに抱えた山の中から一枚抜き取る。三角形型の布地。放射線状に広がる明るい虹色。
「――七色に輝くブーメランパンツ、《レインボウ》!」
「待て」
「そして、女児からの圧倒的人気を誇るウサギ柄サーフパンツ、《ウサちゃんプリント》!」
「だから待てと言ってるだろうが!」
 半ば叫ぶような形でクロウの水着紹介を制止する。
 レインボウ? ウサちゃんプリント? ニコには彼が何を言っているのか、そしてどうしてそれをチョイスして来たのかわからなかった。
 レインボウは何かもう色々とダメな気がする。否が応でも股間へと注目を集めさせるその配色と発色。そして集めた注目の行き先とは水着に隠されたもっこり、男の神秘ゾーンである。生真面目なニコには到底そんな軟派どころでは済まない水着を穿く気にはなれなかった。
 ウサちゃんプリントはもっと論外だ。なぜ女児用のデザインを成人男性用水着に流用したのかがまず彼には理解できなかった。その上、肝心のデフォルメ化されたウサギの顔の配置が股間なのだ。これで女児が「ウサちゃんだ~」などと近付いて来たら事案どころでは済まない。
「どちらも却下だ。ありえん……」
 苦々しい顔で額を手で抑える。頭痛がしそうだった。
 しかし当のクロウは反省の色もなく、それどころか「ワガママなやつだ」とばかりに唇を尖らせながら次の水着を山から取り出す。
「なら競泳水着だな。普通のよりもローライズだから、ニコの高身長を存分に活かせるぜ」
「だからなんでお前はさっきから妙に股間を強調するようなチョイスを……!」
「チッ、まだるっこしいな。イイから着ろ! 文句はそれから聞いてやる!」
「は~い、試着室はこちらでございます~~」
 クロウに半ば以上押し込まれるような形で試着室へと入れられるニコ。試着室へ入ってカーテンを閉じるや否や、ニコのスーツに手をかけ始める。
「やめっ……やめろ! 一人で着替える!!」
「うるせェ、ジッとしてやがれ! うわっ、筋肉ヤベェな……本体が無骨な造りだと肉体も精悍になンのか?」
 狭い試着室の中、ニコを脱がせて厚い胸板をペタペタと楽しげに触る。さすがに下の脱衣の段ともなると見せるわけにもいかず、途中でニコから蹴り出されたが。
 結果、ニコは懐中時計の内部構造のような歯車模様が施されたサーフパンツに白シャツ、クロウは麦わら帽子とサングラスにアロハシャツ、夕日色のビキニの組み合わせを選ぶのだった。
 その後また店員に捕まって、「恵まれた体から繰り出される男の色香~♥」だとか「白と褐色の織りなすレゾナンス~♥」だとか、「真面目系とちょいワル系の黄金コンボ~♥」だとか……何か色々と水着の感想らしきものを言っていた気がするが。
 色々と精神的に憔悴したニコの記憶には、残念ながら大半が忘れ去られてしまったと言う。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャルロット・リシュフォー
え、ええと……なんだかお使いみたいですけれど、水着を買ってくるのが今回のミッションなんですよね? ね?
「それなら私、がんばりますぅ!」

猟兵の力で、クリスタリアンであることを隠さなくても騒ぎにならないのはありがたいです、です
普段は塗っている白粉を落として…
「シャルロット・リシュフォー参ります!」

とは言ったものの、水着を選ぶなんて初めてなのでどうしたらいいか…
「こ、これなんてどうでしょう…店員さん?」

(可愛らしいフリルが着いているから、程度の理由で選んだ水着
しかし実際着けてみると予想以上に布面積が狭い
せめてもと普段使っているショールを羽織るが、それもスケスケだ)

【アドリブ/リアクション大歓迎】



 要するにこれはお使いのようなものなのだろう。
 今回の依頼について、シャルロット・リシュフォー(歌声アステリズム・f00609)はそのように捉えていた。
 好奇心旺盛な彼女だが、水着選びは初体験だ。お使いとしては少し難易度が高くなる。
「よっし……。シャルロット・リシュフォー、参ります!」
 元気の良い宣言と共に、えいや、と勇気を出してシャルロットは水着ショップへと踏み込んで行った。
「いらっしゃいませっ。わわっ、可愛い子~っ! 水着をお求めですかっ?」
 大声と共に入店すれば、店員が来るのは当たり前のことだろう。しかしそこは不慣れなシャルロット、よくわからないままシュビッと手を挙げて畏まってしまう。
「は、はいっ! 初めての水着選びです、よろしくお願いします!」
「わぁ、とっても元気っ。どういう水着が良いっていう、方向性とかイメージってあるかなっ?」
「イメージですか、ですか?」
 はて、と少し悩んでしまうようにシャルロットは小首を傾げてしまう。水着なんて着るのは初めてだ。自然、普段着てる服などの趣向に傾く。
「えーっと、フリルとかリボンが付いてる、可愛い感じで……」
「なるほどなるほどっ、でしたらこちらのコーナーの水着なんてお似合いじゃないでしょうかっ?」
 店員の案内に応じて付いて行ってみれば、そこにはティーンネイジャー向けのコーナーが設けられていた。シャルロットの言うようなガーリッシュな水着が所狭しと並んでいる。
「こ、こんなにたくさんある中から……?」
 大変そうです、と少し圧倒されながらも、しかし彼女は思い直したようにぷるぷると首を横に振って、果敢に端から水着を見て回り始めた。
 それから小一時間。正直何が良くて何が悪いのかもわからなかったが、それでも自分の感性を信じて一つずつ選んでいって。試着室で着てみる。
「こ、これなんてどうでしょう……?」
 カーテンを開けて、付きっきりでアドバイスをくれた店員へと水着姿を見せた。
 普段は白く塗られているはずの肌は海を想定しておしろいを落とされ、クリスタリアン本来の紫色の肌を露わにしている。その肌を覆うのは、髪色と同じ紫色のフリルビキニだ。
「おお、これは……っ!」
 シャルロットの慎ましやかな胸をそっと隠しているフリルビキニのデザインは可愛らしい一方で、ティーンネイジャー向けにしてはだいぶ攻めたぬ布地面積の狭さだ。その上にはシースルーの薄手のショールが羽織られていて、彼女なりの恥じらいの意識と水着の可愛らしさを見せたいという自意識の葛藤が垣間見えるのがなんともいじましくも可愛らしい。
「紫の肌に紫の水着っ! これはどこから水着でどこまで肌やら……っ!?」
 よく見れば判別のつく色味の境界線も、遠目に見たり、一瞥しただけでは判別がつかない。ともすればそれは水着など着ていないのではないかと見紛うことすらあるだろう。見誤って一瞬ドキリとしながらもよくよく見て、その水着の可愛らしさをようやく認識する。そこにあるのは安心感とわずかに残念に思う気持ちだ。
 彼女自身は無論そんなことを意識していないだろうが、間違いなくそれは見る者たちの視線を集め意識を刈り取るが如きものに違いなかった。
「そ、そんなに変でしょうか!?」
 慌てて水着を両腕で隠して試着室へ引き返そうとするシャルロットを店員は止める。
「大丈夫っ! 似合ってるから……っ!!」
「えっ、あっ、大丈夫なら良かったです……」
 力強い店員のサムズアップに気圧されながらも、こうしてシャルロットは水着の購入に至るのだった。
 その後、シャルロットが肌と同系色の水着が裸のように思われることに気付いて赤面することになるのだが。それはまた、別のお話――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『輝く砂浜の攻防』

POW   :    水着を見せつけてアピール

SPD   :    遊びに誘うアピール

WIZ   :    食べ物や飲み物でアピール

👑11
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【お知らせ】
間章投下後に募集開始です。しばしお待ち下さい。
 太陽によって照りつけられた砂浜は白く輝き、さざなみによって海は青く煌めく。
 浜辺は水があっても夏においてなお暑く、人々は木陰を、水の冷たさを求める。

 そんな中でも、太陽のものではない異様な熱気を放つ場所があった――。

「イチッ! ニィーッ! サァン……ッ!」
「良いよ良いよ! 全身の筋肉使ってるよ!」
「ハイ! ハイ! しっかり腕曲げて! ハイ次はジャンプしながらやってみようか!」
 直立姿勢から腕立て伏せのような体勢になる運動を繰り返す、バーピーをする男。
「ヨンッ! ゴォーッ! ロクッ!」
「太腿に効いてるよ効いてるよ! ギッチギチだね鉄筋コンクリ入ってんのかい!?」
「膝は90度に曲げてぇー、伸ばしてー。良いね良いね! 反動は付けないでね!」
 直立姿勢から空気椅子のような体勢になる運動を繰り返す、スクワットをする女。

 そう。浜辺の一角では、やたら筋肉質なオブリビオンたちをコーチとした筋トレが開催されていた!
 弾ける筋肉、溢れる汗! そしてむせ返るほどの熱気!
 この筋トレの熱気によって、浜辺の気温は徐々に徐々に高くなっていっている!

「お兄さん良い身体してんねえ! 脂肪イコール筋肉の宝庫だよ!」
「えっ、でも俺運動とか苦手だし……」
「大丈夫、ちょっと運動するだけだから! ほら、一緒に筋トレ、キメていこう!」
「ちょ、ちょっとだけなら……」
 水着ショップを中心として放たれていた呪詛によって、身体付きや服装に対してのこだわりが強くなった一般人たちがオブリビオンたちの指導の下、次々に筋トレを始めていく。このままでは浜辺の人々が無理なトレーニングを続けて倒れてしまう上に、浜辺の熱気が上がってしまう。果てはオブリビオンたちの儀式に利用されてしまうことだろう。
 しかし、その呪詛は猟兵たちが水着ショップでその効果を低減したお陰で一般人たちの洗脳は甘くなっている。であれば猟兵たちがやることはただ一つ。

 ――逆ナン、である。

 女性猟兵はトレーニングに励む男性一般人に声をかけることで。
 男性猟兵はトレーニングに励む女性一般人から声をかけて貰うことで。
 一般人を引き剥がして妨害をすれば、オブリビオンたちによる無茶な筋トレから解放できるだろう。
 オブリビオンは暑苦しい筋肉アピールによって一般人たちを引き止めようとするが、猟兵たちがパフォーマンスによって惹きつけたり、巧みな話術で誘惑すれば呪詛が弱まっていることもあって簡単に連れて行けるはずだ。連れて行った後は、UDCエージェントの皆さんが記憶消去銃で記憶処理をしてくれるので安心である。
 ただし、過度にえっちなことは即ち監視員さんのお世話になることになるので注意して欲しい。また、一般人を充分に呪詛から解放しないままオブリビオンを直接攻撃すると、一般人が肉盾となってオブリビオンを庇ってしまう。まずは一般人の保護と逆ナンを最優先して欲しい。
 浜辺での攻防が、今始まる――!
十河・アラジ

>新弥さん(f04640)と同行

なるほど!この状況を何とかするには逆ナンをすれば!…………逆ナン!?

お、落ちつけボク
要は一般人の人達を気を引くだけ
べ、別にデートとかそういうのを気にする必要はないんだよね
あくまで気を引ければいいだけさ……!

>新弥さんの作戦は凄く有効そうだしボクも一緒にスイーツを用意しよう
美味しそうに食べてる人が多い方が効果的だろうしね
……あ、美味しい(しあわせ)

それに新弥さん、背が高くて格好良いから女性も放っておかないはずだ
横にボクがいればもっと引き立って見えるよね


>任されたら
……えっ、ボク!?
ぞの、これ……あ、甘くて美味しい、ので
い、一緒にどう……ですか?(顔を赤くしつつ)


雨宮・新弥
>◎
>アラジ(f04255)と同行
……逆ナン?
…つまり…あー…その
女子の気を引けばいいんだろ…?

それだったら…まあ、これだよな
筋トレ後なら甘くて冷たいもんは魅力的に映るだろうし

>海辺のカフェにありそうな女子受けスイーツをちらつかせる作戦
>トロピカルパフェ、雪みたいなふわふわのかき氷、タピオカスムージー…
>ちら…ちら…
>普通に美味くてしあわせ

上手くいったら
…どうせ記憶処理されるんだし、ここは…男を磨くチャンス
俺だってやれば出来んだよ…水着の女子がなんだっつーの
もうムッツリだのかわいいだの言わせねえ…!
…。
……。
……え、っと…
これ、美味いし…あの…あれ…うまいから…あまいし…
…うん
アラジに任せる



 異様な熱気の漂うトレーニング風景。
 飛び散る汗。迸る汗。流れる汗。
 汗、汗、汗!
「汗くせぇ……」
 辟易した表情で雨宮・新弥(宵待人・f04640)は溜息をついた。サーフパンツにパーカーと場に適した涼しい格好で来てなお暑く、思わず一歩後じさってしまう。
「確かにこれはすごい熱気ですね。倒れる人が出て来るのも時間の問題かも……」
 むっと肌にへばり付くかのような熱気を受けて、十河・アラジ(マーチ・オブ・ライト・f04255)もややげんなりした顔になる。彼も同じくサーフパンツにパーカーという格好なのだが、熱気と直射日光が直に肌に来るせいで、むしろ肌が隠れているところの方が多少マシなぐらいだった。
「でも、一般人に実力行使するわけにもいかないし、こんなのどうすれば……」
「……逆ナンだ」
 決然とした表情で新弥が呟く。一瞬耳を疑ってアラジが横を振り向くと、そこには強い意思を秘めた漢の顔があった。
「逆ナンで一般人を自然に離脱させていけば、解決できる」
 らしい、と小声で付け加える。知った顔だからと捕まって突発的にこの依頼に放り込まれ、ざっくりとした説明を受けただけなので実際がどうなのかわからないが。それでもアラジが「なるほど……!」と納得した顔をしているので多分きっとメイビー大丈夫だ。
「でも、新弥さん。逆ナンって何をすれば……?」
「えーと。つまり、あー。……その、要は女子の気を引けば良いんだろ……?」
「気を引いて、連れて行った後……その、デートとかって気にする必要は……?」
「……大丈夫だ」
 首を傾げて戸惑うアラジ。新弥も内面では同じく戸惑っているのだが、ここで自分がしっかりしないと二人で立ち往生してしまう。年長者としての矜持を胸に、頷きを返した。
「じゃあ、あくまで気を引けば良いんですね!」
「そういうことだ。そのために作戦も用意してある」
 新弥が身を屈め、足元のクーラーボックスを開く。そこから彼が取り出したのは、夏の果物をふんだんに使ったトロピカルパフェや、雪のようなふわふわのかき氷、最近流行しているタピオカスムージー。海辺のカフェでメニュー表に載っているような女子受けスイーツがそこには入っていた。
「女子の気を引くためなら、やっぱりスイーツだろ。筋トレ後なら甘くて冷たいもんは魅力的に映ると思うし」
「おお、すごい……! 確かに新弥さんのお菓子はとってもおいしいですから、きっと大人気間違いなしですね!」
 目を輝かせながらクーラーボックスの中のスイーツたちを若干物欲しそうな視線で眺めるアラジ。新弥が顔を伏せながらクーラーボックスの蓋を閉じたのは、そんな視線を遮るためか、それとも単に褒められて照れ臭かったからか。
 クーラーボックスを手に、漢は立ち上がった。
「――行こう、逆ナンに」
「はいっ!」



 ところで、年少で多感なお年頃なアラジはもちろん、不器用なところのある新弥も女性相手の会話には心得がない。
 かもめ亭や王国を始めとして、二人とも女性との接点はそこそこあるはずなのだ。アラジは褐色姉妹二人に囲まれながら焼き肉を食べたり、新弥に至っては宿場の魔女の髪を触る機会(未遂)があったり。
 だが、純真な心を持つ彼らではどうしても照れや遠慮が入ってしまって、何を喋れば良いのかわからなくなってしまうのだ。
 だからこそ、新弥はこの依頼はチャンスだと考えていた。
 彼の瞳はどうせ記憶処理をされるのだから、女性を相手にうまく喋る練習だと思って挑戦しようという気概に満ちていた。
 そう、これは男を磨く絶好の機会なのだ。「ムッツリ」だとか「可愛い」だとか、散々な評価を下されて来た彼だが、水着の女子を相手でも普通に会話ができるところを、ここで示して汚名を返上する時が今なのである。
「………………」
 クーラーボックスからトロピカルパフェを手に、決然とした表情で新弥は腕立て伏せをする女性のところに近付いて行く。 
「ジュウゴッ……ジュウロッ……。あら……?」 
 熱気が漂い汗の臭いでむせ返るような砂浜の中にあって、甘やかなフルーツの匂いはいかにも鼻腔を優しく刺激する。思わず、女は腕立て伏せを中断してその顔を上げた。
「……え、っと……。これ……」
「これは……?」
 こちらに関心を抱いた女性へと、屈み込んでパフェを差し出す。太陽の光できらきらと光るパフェはいかにも美味そうに女の目には映ったことだろう。彼女は期待するような眼差しで新弥とパフェの間で視線を行き来させる。
「うまいし……。あの、あれ……うまいから……あまいし……だから……」
 しどろもどろ。もごもごと口の中で言葉を転がしながら、目を泳がせる。女の方も、いかにも慣れていない風な新弥を見て苦笑を浮かべてしまう。
「食べて良い……ってこと?」
「…………うん」
 目を合わせないままなんとか頷きを返して、女へとパフェを渡す。女性を相手にしている時の緊張や、自分のこしらえたパフェを他人に食べて貰う気恥ずかしさやらで、新弥の顔は真っ赤になっていた。
 パフェを渡し終えたところで、彼は我慢の限界だとばかりにすっくと立ち上がって後ろを振り向く。
「……アラジ、後は任せた」
「えっ、ボク!?」
 唐突なバトンタッチ宣言。だいぶ憔悴した新弥はアラジの肩に手を置いて、そのまま後ろへと下がってしまう。
 それで困ってしまうのはアラジだ。元より逆ナンと言っても何をすれば良いのかいまいち具体的にわかっていなかった彼は、新弥が主体となって動いてくれることをどこかで期待していた。自分はあくまで添え物であり、背が高くて格好いい新弥の横に立つことで引き立たせる役割程度だと――。
「――いえっ、わ、わかりました!」
 アラジは胸に手を当て、その甘い考えを捨てた。
 そう、逆ナンとはいわば男女の駆け引き。男を示す場であって、子供の出る幕などないのだ。ゆえに新弥は「お前も男を示す時だ」と、そう暗に自分に期待しているに違いない。――少なくとも、アラジはそのように捉えた。
 期待に、応えなくてはならない。
 パフェを片手に、どうすれば良いのかわからずに困惑する女へと、勇気を出して手を差し伸べる。
「その、一緒にどう……ですかっ?」
 顔は真っ赤になっても、女の目にはしっかりと向き合って。ともすればしどもどしてしまう舌を無理矢理にでも動かす。
「まだたくさん、甘くておいしいの、えーっと、あります……ので!」
「……ふふっ、それじゃあごちそうになるね」
 果たして、女はアラジの手を取った。一瞬、驚いたようにアラジは目を見開いて、それから破顔する。
「……!! はいっ、涼しいところまで案内しますね!!」
 その後、海辺の休憩スペースまで女性を連れて行って、三人はスイーツを楽しんだのだった。
 スイーツの甘味に頬をほころばせて、しきりにおいしいおいしいと言う二人に、新弥はだいぶ嬉し恥ずかし照れくさい思いをしたのだとか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニコ・ベルクシュタイン
【クロウ(f04599)】と


…ひと騒動あったが、見立てて貰った水着は悪くない
有難い限りだと思っていたら今度は…ぎゃ、逆ナンとは…
済まないクロウ、逆ナンとは一体何を示す言葉なのだ?
(教えて貰い目を丸くして)
そ、そうか…非常に気恥ずかしいが、此れも仕事ならば尽力しよう

――筋トレは、各々の体格に応じた適切なメニューあってこそ
「此れ以上は死ぬ」と思う一歩手前程度が丁度良いのだ
そして、今日一日で無理をしようと思うな!日々の積み重ねあってこそだ!
という訳で上着の白シャツを脱ぎ捨て女性一般人へと近付き
其の旨を告げて己の上半身をアピールしよう

クロウよ、お前も存分に魅せつけるが良い
其の文化遺産級の肉体をな…!


杜鬼・クロウ
ニコ◆f00324

ツッコミ復活

…ブーメランも捨てがたいンだがなァ(ぼそ
次は逆ナン?
前にニコがロンドン行った時に女子に声かけられてたろ、それだ
問題ねェ、お前はイケメンだし自然体でも…ってオイ、ニコ!?

予想以上にグイグイ行くニコにキャラ変わってね?と内心
白シャツ拾って追う

既にオブリビオン達に感化されてねェ?
時計だけに刻限通り終えなければ運動課せてそ…
イヤ見られて困る体はしてねェがお前ほど鍛えてねェぞ?!
ヤベェ、ニコの後だとハードル上がるじゃねェか勘弁しろや

一般女性に存在感アピール
無言でグラサン外し背向けてシャツ脱ぐ
振り向き様、人差し指で面貸せよとちょい手招き目配せ
誘惑2がどこまで通用するか初試み



 水着選びで一悶着あったが、見立てて貰った水着自体は悪くなかった。
 ニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)は腰回りや裾の辺りを指で直しながら頷く。少なくとも、あの本当に水着なのか疑わしい紐状のアレや、肩から股間にかけてV字を描くタイプの水着よりかは実用的であり無駄がなく、そして合理的だった。
「やはり道具たるものかくあるべきだな。ありがたい話だ……」
「ブーメランも捨てがたいンだがなァ」
 未だに少しだけ未練が残っているのか、杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)がボヤいた。水着ショップから出ていつもの彼にようやく戻ったと思っていたが、まだ少しだけ尾を引いているのかもしれない。ちょっと今言った感謝の言葉を撤回したくもなったが、時間とは常に進むものだとニコは己を戒めた。
「んで、次は逆ナンだっけ?」
「ああ、そうだ。オブリビオンとの戦闘に突入する前に一般人の保護を優先する。……らしいのだが」
「……なんだ、どっか引っかかるところでもあったのか?」
 語尾が小さくなるニコの語尾が小さくなるのを聞いて、クロウが首を傾げる。彼は頷きと共に「すまない、クロウ」と言いながら眉根を寄せた。
「――逆ナンとは、一体何を示す言葉なのだ? やはり時計盤の数字が左右対称な“逆ナンバー”のことを指すのか?」
「いや違ェよ何が『やはり』なンだよあったら不便だろそンな時計」
 確かにそれもそうだ、とニコが顎に手を当てる。時折この男もこうして抜けたところを見せるのだから放っておけない。
「あー……ほら、前にニコがロンドンに行った時あっただろ。女子に声かけられたやつ。それだ」
「アレが逆ナンバーだったのか!?」
「だから違ェっつってンだろ逆ナンバーから離れろお前は」
 何寝惚けたことを言ってやがる、とクロウは手をひらひらさせる。本体のAMとPMを間違えているのか、あるいはニコも大なり小なりこの熱気に当てられてしまったか。これだから精密機械は、と吐息する。
「とにかく俺らのやることはただ一つ。これ見よがしに女の前で色気を振り撒いてお持ち帰りするってことだけだ」
「そ、そうか……。婦女の前で色気を振り撒くなど、気恥ずかしいが……」
「これも仕事だろ」
「……ああ、そうだな。尽力しよう」
 緊張しているのか、しきりに眼鏡の位置を微調整するニコ。やれやれ、これは本当に大丈夫なのかしらんとクロウは頭を掻きながら、現場へと向かう。
「まあ問題ねェって。お前はイケメンだし自然体でも多分――」
 大丈夫だろう、と続けようとした瞬間、隣に歩いていたはずのニコが急に駆け出した。
「――ってオイ、ニコ!? お前どこ行く気だ!?」
 クロウの制止の声虚しく、ニコは一直線に駆け出して行く。その行き先とは――そう、熱気漂う砂浜トレーニングエリアである。
「何をやっているんだ、お前たち!」
 浜辺の白い砂を踏みしめながら、ニコはトレーニング中の者たちへと一喝の声を上げる。一斉に周囲の注意が彼へと集まるが、彼はそんなことも意に介さずに口を動かすのをやめない。
「こんなことをして何になる。まったくもって合理性に欠ける、意味が無い」
「おい、冷静になれよニコ! 落ち着けって」
「いいや、俺は冷静だクロウ。どうかしているのは彼らだ」
 ニコの肩を掴んでどうにか引き止めようとするも、彼はクロウの手を振り払ってしまった。
 そうして騒いでいると、オブリビオンのインストラクターがやって来る。
「よく来たな良い筋肉をしている猟兵よ。我々の筋トレに何かご不満でも? ――サイドチェストォッ!」
「ああ、大いにある。あのざまは何だ、しっかりとインストラクチャーしているのか?」
「我々の筋トレは完全無欠にして無謬。貴様たちにとやかく言われる筋合いは無い。――モスト・マスキュラァァァ……」
「お前はポージングしないと喋れねェのか????」
 筋肉を強調しながら話すオブリビオンに対して、毅然とした姿勢で話を続けるニコ。それはそれとしてやたら暑苦しいポージングが気になってしょうがないクロウ。三人(※クロウを除く)の間で交錯する視線が、紫電を散らす――!
「――筋トレは、各々の体格に応じた適切なメニューあってこそ。『これ以上は死ぬ』と感じる一歩手前がちょうど良いのだ!」
「ええい軟弱者め、限界を超えなくして筋肉の真理に辿り着けると思うなよ! 筋トレとは常に己の限界との勝負なのだ!」
「だからと言って今日一日で無理をさせるべきではない! 日々の積み重ね、日々の研鑽あってこその筋肉だろう! ローマは一日にして成らぬように、筋肉もまた一日では完成しない!」
「だが一日で完成できたらなんかちょっとスゴイだろうが!!」
「そんな軽いノリのためにこいつら無茶なトレーニングさせられてるのか????」
 ニコは「それは確かにちょっとスゴい……!」と納得し、オブリビオンは「確かに一日で完成した試しが無い……!」と省みる。クロウは「こいつら暑さで頭沸いてンじゃねェのか」とすごい勢いで帰りたそうな表情になっていた。
「こうなれば、ここで雌雄を決する他無いな」
「そのようだ。我らが筋トレを邪魔したこと、後悔させてくれる……ッ!」
 双方、上着を脱いで姿勢を低くして構えを取る。
 マズい、とクロウは直感した。このまま戦闘に入ってしまえば、一般人たちを巻き込んでしまうやもしれない――!
「おい待てお前ら! こんなところでそんなことをしたら――」

「――アドミナル&サイ!」

「――サイド・トライセップス!」

 二人は、一斉にポージングを取った――!

「…………??????」
「よっ! 腹筋6LDK!」「腹筋板チョコ!」
「…………ええ??????」
「キレてるよキレてるよ!」「肩に重機載っけてんのかい!?」
「…………んんん??????」
 困惑するクロウ! ニコの腹筋に沸く一般人たち!
 混乱するクロウ! オブリビオンの上腕三頭筋に熱狂する一般人たち!
 そして!! ニコの方へと駆けて行く女たち!!
「キャー! イケメーン!♥」「褐色肌~♥」「肌は褐色でも乳輪の色はおチクビ申し上げてるじゃねえかウヘヘヘヘ」
「今なンか最後邪悪なやつが混じってなかったか????」
「クロウ、婦女に対しての言葉遣いはしっかりとするべきだ」
「真面目か!? いやニコは真面目だったわ……」
 女たちに群がられるニコに窘められて、いまいち納得のいかなさそうな表情をするクロウだった。
 ドサッ、とオブリビオンが打ちひしがれたように地へ膝を付いた。
「な、なぜだ……俺の筋肉は……最高の肉体美……」
「いやァ……顔の差じゃねェの?」
「ぐふっ……」
 クロウのストレートなトドメの一言で、オブリビオンは砂浜に倒れ伏す。超絶汗臭い上に砂でベタベタだし、何より邪魔だった。
「クロウ、お前も存分に魅せつけるが良い。その文化遺産級の肉体をな……!」
「ボディビルディングはやらねえよ。……ッベェな、ニコの後でハードル高くなっちまってるじゃねェか」
 勘弁しろや、と呟きながら、クロウは遠巻きにボディビルディングを見ていた女たちへと近付いて行く。無言でグラサンを外し、アロハシャツを脱ぎ――しかし、彼女たちの目の前で彼は背を向けた。
 振り向きざまに流し目を寄越しながら、ちょいと指で手招きして見せる。
「――付いて来な。夏の楽しみ方ってのを俺が教えてやるよ」
「はいぃ~♥」「色白イケメン様~♥」「雄っぱい何cm~?♥」
 なんか最後に邪悪なのがいた気がしたが、ニコにさっき指摘された手前黙っておくことにした。こんなのでも一般人なのだ。
 女の一般人たちを連れながら、ニコたち一行に合流する。
「……なぜクロウは逆ナンでポージングしなかったんだ?」
「逆ナンってそういうもんじゃねェから!!」
 クロウの心からの叫びに、ニコはむぅ、と唸り声を上げる。
「……逆ナンバーとは難しいものだな」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヴィクティム・ウィンターミュート


なんて???
逆ナン???
あ、じゃあ俺帰りますね…あ、はいダメですねそうですね
いやいやいやいや、人選ミスも甚だしいだろ

俺が逆ナンとか絶対無理じゃん
一体どんな趣味を持ったら俺に言い寄る女がいるんだよ、むしろいたら表彰してやりてぇよ
ったく…じゃあ俺は離れて見て──
あ、やべえあの女トレーニングのしすぎで倒れちまうぜ(ダッシュ)

──っと、大丈夫かよ
体動かすのはいいが、無理はするなよ?(何か光の加減とか角度とかでイケメン度が増す)
とりあえず休憩しようぜ?ドリンクとかアイスもあるし──あれ?
(……なんかうっとりしてない??ナンデ?)

あの、どうしてそんな肉食獣のような目を…
ちょ、俺は別にそういうつもりは!?



「逆ナンされる依頼ってどんなのだよ」
 ヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)は我が耳を疑った。これまで数多の事件の解決に奔走して来た彼だが、逆ナンされる仕事などさすがに経験が無かった。ストリートチルドレン上がりの男娼が客を引っ掛けるところは見かけたことがあったが、まさかそれに似たようなことを自分がやる羽目になるなど露ほどにも思っていなかった。

 ――絶対無理じゃん。

 いかなるファイアーウォールでもI.C.Eでも突破できる自信のある彼だが、女心の壁を突破することはいかにも難しいことだ。一体全体、どんな奇矯な趣味を持っている女だたら自分に言い寄るのだろうか。いたら表彰してやりたいぐらいだとさえ彼は考えていた。
 ……まあ実際のところ、妖狐の彼女であるだとか表彰の対象はいるのだが。他者評価はともかくとして、ヴィクティムは仕事上の能力以外の評価は(特に、男女の評価になると)かなり低く設定する性質があった。
 とはいえ「じゃあ帰りますね」と言って帰されるはずもなく。グリモア猟兵に捕まった彼はそのまま砂浜へと仕事へ向かわされた。人選ミスも甚だしいが、乗りかかった船であることもまた事実。他の猟兵たちをサポートすることもできるだろう、と彼は現地へ赴いた。
「神様がいたら女連中の心理アルゴリズムをどうやって組んだのか聞いてみたいぐらいだぜ……」
 はあ、と呟きながら遠巻きに筋トレする女たちの様子を見る。男連中はまだ良いとして、女性たちがやはり体力的にも筋力的にも辛そうなのが傍目からでもよく伺えた。
 ふと、倒れ込みそうになっている女が見えた。熱気で頭が茹だってしまったのか、顔を真赤にしながらバーピーを繰り返すその女はすでに体力の限界を迎えていたのだろう。着地をしくじり、身体が大きく傾ぐ。
「危ねえ!」
 気付いた時には身体が動いていた。白砂を蹴立てるように彼は駆け出し、倒れる女をすんでのところで受け止める。胸の中に収まった重みが見た目よりも軽いのは、過酷なトレーニングで過剰に脱水しているからだろうか。
「――っと、大丈夫かよ」
 片手で身体を支えてやりながら、もう片手で女の顔の前で手を振ってみせる。視線が手を追うことを確認して、ひとまず意識がまだあることに安心した。
「ご……ごめんなさい、わたし……」
「身体動かすのは良いが、無理するなよ?」
 謝ろうとする女を遮って、安心させるように笑みを作る。
 その時の逆光やシチュエーションが良かった――あるいは悪かったのだろうか。見る間に女の瞳に潤みが帯びる。その頬の朱が更に濃いものになったのは、夏の暑さが原因か、それとも……。
 だが当のヴィクティムはそんなことを知るよしもなく。バイタルチェックプログラムを展開しながら女に肩を貸す。
「とりあえず休憩しようぜ。歩けるか? 海の家まで行ければドリンクとかアイスもあるし――」
『バイタルチェック完了。軽度の脱水症状と熱中症を併発。涼しい場所で水分と塩分の補給、及び電解質の補給を行うこと。頭痛、意識障害を確認。頭部への振動に注意すること。心因性の動悸は草津の湯でも治らないため、そちらで対応されたし』
 プログラムから鼓膜伝導通知されたバイタルチェックの結果を聞いてうんと頷く。そして、最後の部分を聞いてうんと首を傾げて、女を見た。

 ――あれ、なんか心なしか表情がうっとりしてない? ナンデ??

 脳裏に警鐘が鳴り響くが、だからと言ってここで今更見捨てて放り投げるのは気が引ける。
 判断に迷っている内に、女の表情は恋する乙女のものから獲物を狙う肉食獣のそれへと変わり――。
「あなた、とっても優しいのね……。ねえ、わたしとイイコトしない?」
「待て待て、タンマ。俺は別にそういうつもりじゃねえんだって!!」
 しなだれかかる女に引くヴィクティム。
 この攻防は、海の家まで女を引きずって行くまで続いたと言う――。

成功 🔵​🔵​🔴​

マリアンネ・アーベントロート

き、筋トレかぁ……。
身体を鍛えるのはいいことだと思うけど、儀式に利用されちゃうのはねぇ。
それでその、逆ナンしないとなんだよね。
ううー……仕方ないよね、必要なことだもの。
でも素面じゃ絶対無理だから、目を閉じて催眠で自己暗示して、大胆な私になって……よしっ。

ふふっ、それじゃあ『催眠・魅惑の心光』を筋トレしてる手近な年下の男の子にかけて、と。
そこの君、私とあっちで一緒にいいことしない? 五円玉を高速で飛ばしたりとか。
私がいっぱい(催眠術について)教えてあげるよ?
ってアピールしよっか。せっかく水着買ったんだし催眠術で体形もよく見せてるからその辺りも強調して、ね。



 こと催眠術の分野に限って言えば、マリアンネ・アーベントロート(ゼーブスタスの催眠術師・f00623)の右に出る者はいないだろう
 普段の彼女であれば、今着ている赤と紺のフリルビキニでこんな海水浴場に訪れるどころか、家の外に出ようとすら思えなかっただろう。だがそんな恥ずかしがり屋で小心者な自分でも、催眠術さえキメればあら不思議。大胆な性格に様変わりして、ちょっとセクシーな可愛い水着を着こなして白い砂浜を闊歩できる。そして、その姿で逆ナンさえも。
「さぁて、誰にしよっかなー……」
 ぺろりと舌を出しながら、獲物を探してトレーニングエリアの男たちを眺め回す。
 砂浜の上のトレーニングエリアは暑い。周囲には日陰となるような障害物など一つもなく、直射日光が身を照らす。海風は潮騒と磯の香りと共に、筋トレに励む者たちの汗の匂いと熱気まで届けていた。
「さすがにあっついなぁ」
 こんな近くからじゃなくて、せめて物陰から決めればよかったか。そんなことを考えながら、胸元のトップスに風を吹き入れたくて少し手で浮かせる。服装の胸周りに余裕が作りやすくて、己の慎ましやかボディがこんな時ばかりはありがたかった。
「……あれ?」
 ふと視線を感じた。みんながトレーニングに夢中になっている中で、一人だけ男の子がこちらを見ていることにマリアンネは気付いた。
 へぇ、と口元が弧を描く。まだ小学生か、もしかすると中学生ぐらいだろうか。腕立て伏せの姿勢のままこちらを注視し続けている。可愛い子だ。
 こちらが両手の指でハート型を作って見せると、少年はぽっと顔を赤らめた。あれはさすがに、夏が暑いからでは済まないだろう。くすりと笑ったマリアンネは、熱気を掻き分けるようにして少年へと歩み寄る。
「ねえ、そこの君。私とあっちで一緒にいいことしない?」
「い、いいこと……!?」
 興奮した様子で目を剥く少年を見て、マリアンネは蠱惑的な笑みを浮かべる。今の彼には、催眠術によってマリアンネの身体が魅力溢れる豊満ボディに見えているのだ。
「そう、良いこと。たとえば――」
 ポーチへと手を伸ばし、道具を取る。男の子ってこういうのが好きなんでしょ? そう言うかのように彼女が取り出したものは――
「――五円玉を高速で飛ばしたりとか」
「五円玉を高速で」
 マリアンネの催眠術用五円玉を見ながら、少年は「え、なんか予想していたものと違う」という顔をした。
 やれやれ、とマリアンネは吐息する。どうやら少年のことを見くびっていたようだ。彼は五円玉ベーゴマ遊びは既に卒業していたらしい。ならば、と一気に年齢層を上げてみる。
「じゃあ、付いて来たらいっぱいイイこと教えてあげるよ。オトナの楽しみ方とか……」
「オトナの楽しみ方……!?」
 目の前に巨乳(幻乳)のお姉さん! イイコト! オトナの楽しみ方!
 興奮した様子で息を荒げる少年の中では、めくるめくひと夏のアバンチュールが展開されていることだろう。
「ど、どんなことを教えて、くれるの……? やっぱりその、き、キス……とか……」
「えっ、違うよ。催眠術」
「催眠術」
「こうして五円玉をぷらーんってさせて。……あなたはだんだん付いて来たくなーる……」
「あっあっあっあっ」
 少年の瞳を覗き込み、効き目のほどを確認してマリアンネが立ち上がると、少年もそれに応じて立ち上がる。よしよし、とマリアンネは満足げに頷いた。
「それじゃあ五円玉ベーゴマ遊びの仕方と催眠術の仕方を教えてあげるね! こっち来て!」
「えっ、あの別にそんな遊び興味ないって! あの!! ぼくのめくるめく繰り広げられるひと夏のアバンチュールは――!?」



 その後、少年が数年間の時を経て『マニカネベーゴマファイト! ~催眠術の裏技~』というインディーズゲームを記憶処理の中に残った知識を頼りに開発。作中に登場した銀髪巨乳紫目のお姉さんヒロインが大人気になり、続編まで出る名作になったことは、また別の話である――。

成功 🔵​🔵​🔴​

アウレリア・ウィスタリア
ボクの役割
男性に声をかけて連れ出せば良いのですよね?

できれば
ふにゃって笑うふんわりした雰囲気の人がいたら良いですね
そういう人だと何故かちょっとだけ安心できそう
居ないなら誰でもいいですけど

そこのお兄さん、トレーニングよりボクと良いことしませんか?
そう仮面をずらして声をかけましょう

何をするのか?
はい、それはボクと一緒に歌い踊りましょう

【幻想ノ歌姫】を発動
ショルダーキーボードを鳴らして愉快に歌を奏でましょう
黙々と同じ動作を繰り返すより
音に歌に合わせて踊った方が楽しいですよ
さあ、そちらのアナタも一緒に踊りましょう

キーボードを鳴らして
水着が風にはためくぐらいに踊り誘いましょう

結末はそのまま連行ですけど




「……つまり、男性に声をかけて連れ出せば良いのですよね?」
 多分ソレで間違いないはずだ。アウレリア・ウィスタリア(憂愛ラピス・ラズリ・f00068)はそんな感じにふわっと依頼の趣旨を理解した。
 とはいえ、短い期間だが共に時間を過ごす者を選ぶのだ。どうせだったら好みの人を探し出したいと考えるのは、決して贅沢なことではないだろう。
 砂浜のトレーニングエリアの中を彼女は水着姿で闊歩していく。その揺れる袖が、艶めかしい脚が、否が応でも男たちの視線が吸い寄せていく。実際のところ、普段から着ている踊りやすい服と比較すると微妙に水着の方が布面積が広いはずなのだが。わからないものですね、とアウレリアは吐息する。
 とはいえ、注意を向けられやすいという意味では実にこの依頼に適している衣装だった。男たちへと視線を向けると、でれっとした顔で鼻の下を伸ばしてくれる。そんな彼らとは違った反応をする優男が、ふと視界に入った。
 優男は一人だけ、まるで宝石を見つけたかのような、輝くような瞳でこちらを見ていた。視線がかち合って、口元だけで笑んでみせると、少し戸惑いながらもふにゃりと笑みを返して来る。
 この人が良さそうだ。目星がつくと、アウレリアはその優男へと歩を進めた。
「そこのお兄さん、トレーニングよりボクと良いことしませんか?」
 目元を隠す黒猫の仮面を取って、白い肌と琥珀色の瞳を露わにする。ごくり、と優男の喉が生唾を飲む動きをしたのが見えた。
「い、良いことって、なんですか……?」
 にこり、と。アウレリアは普段の仮面に覆われたその顔からでは想像もできないような蠱惑的な笑顔を浮かべる。
「何だと思いますか?」
 アウレリアが手を差し伸べる。優男は戸惑うように手のひらを叩いて、付いていた砂粒を落としてからその手を取った。
「……デート、とか?」
「正解です」
 立ち上がった優男へ向ける笑顔も濃く、アウレリアはするりと繋いでいた手を離して、舞うような動作でステップを踏む。
 くるり、くるり、ターンを踏んで。彼女は肩に下げていた楽器を取る。ショルダーキーボードだ。
「え。なんでキーボード……!?」
「音の世界に招待しましょう。ボクと一緒に歌って躍るんです」
「歌……躍る……? 待ってください、俺はそんなつもりで……」
 優男の言葉を待たずに、アウレリアの手指が鍵盤の上を踊る。音が潮騒の中に響き渡り、砂浜が彼女の足運びに合わせて宙に舞う。
「ほら、お兄さんも一緒に」
「踊りなんて初めてで……」
「大丈夫。ボクの動きに合わせてみて下さい」
 鍵盤を叩くテンポを少し緩めて、砂浜を踏みしめるステップの動きを簡単な物へと変える。
「音をよく聞いて、自分のリズム感とパッションに身を任せて下さい」
「こ、こう、ですか……?」
「ええ、そうです。その通り」
 ぎこちなく、けれど大胆に踊る彼を見て、アウレリアは微笑みを浮かべる。
 踊る彼女たちのその姿は、当然同じトレーニングエリアにいる他の者たちの注目も集める。だが生憎と、今日は見世物のためにこの地に訪れたわけじゃない。アウレリアは鍵盤から手を離して、観客気取りたちへと手を伸ばす。
「さあ、そちらのアナタがたも。一緒に踊りましょう」
 そこから先の言葉は必要ない。促すように、彼女は再び手指を鍵盤の上で舞わせる。
 一人、二人。音に合わせて踊り始める。三人、四人。音律に合わせてリズムを刻む。
 まるで小耳に挟んだハーメルンの笛吹きだ。少しだけ、おかしくなって。踊りながらアウレリアはくすりと笑った。
 彼女はショルダーキーボードで音を奏で、砂浜の上でステップを踏みながら海の家へと男たちを誘導する。

 ――たったひと時、音の世界に身を浴しただけの関係なれど。せめて、忘れるまでは一緒に楽しみたかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マクベス・メインクーン
【violet】
うわぁ…暑苦し~なっ!
けどこれに一般人が混ざると更にやべぇ光景だな…
妨害して止める為には…逆ナンされる、んだっけ?
終わったら海であそぼーぜっ♪

ところで望兄ちゃん
逆ナンってどうしたらされんの?
意図的にしたことねぇから分かんねぇ…
とりあえずおねーさんたちの傍を通りかかって
興味深そうに見ればいい?
声をかけられたら
「オレ、おねーさんたちと一緒にかき氷食べたいな…だめ?」
って上目遣いで首かしげながら甘えて【誘惑】する
強くなりたい人だったらUCも使う
筋トレしなくてもオレと一緒なら強くなれるよ?

えー?ゆー兄ちゃん別にオレ手慣れてねぇよ
ナンパはしたことねぇもん


月待・楪
【violet】
まともな光景じゃねェのはわかった
色々道具も揃えてっから遊ぶには困らねーし
ついでに氷月の金でバーベキューもしようぜ
…猫助なんか手馴れてねェ?
気乗りしねーな…そもそも逆ナンってどうすりゃいいんだよ
逆ナン待ちしてる猫助と氷月から一歩離れて
適当に見守ってるとするか

つか、強くなりてーなら無駄に体鍛えるよか護身術とか体術とかの方がいいと思うんだが
…どう考えても一般人ですら鍛え方が無駄な筋肉つけるやり方しかしてねェし
声かけられるなら筋トレとかで体鍛えるより
武術とかランニングとかそもそも、ウォーキング辺りからやって効率的に強くなるっていう方法を勧める

………ひづのやつ流石無駄に顔がいいだけあるな


氷月・望
【Violet】

ソコの麗しいお姉さーん!
筋肉トレーニングも良いケド、そろそろ疲れちゃったりしないかな
俺達と一緒に、海でリフレッシュしようぜ?
【先制攻撃】でオブリビオンの言葉を発する前に
【催眠術】【言いくるめ】【コミュ力】フル活用で最初はお誘い
あ、キメ顔もしておこうかな?こう、キリッとね(キリッ

ところで、逆ナンってコレでいいのか?
マクベスもかー、意図的に逆ナンって割とムズいわ……
って、めっちゃあざとい、アレはあざといズルい
……なんか、マクベスに任せたら逆ナン成功しそう?

ちょっと、ゆーくん!?
チベットスナギツネみたいな顔はやーめーてー!?
依頼の為、引いては任務の為だから!というか、無駄にって!?



 潮風が吹く。
 普段は磯の香りを運び、肌を優しく撫でる風もこの一帯だけは別だった。
 むっとするような熱気がまるでサウナのように三人を迎える。
「うわぁ……。暑苦し~なっ!」
 マクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)がラッシュガードをぱたぱたとやって風を送り込みながら、うえー、と舌を出すのも無理からぬことだろう。
「一般人が混ざってて更にやべぇ光景だな……。なんでこんな暑苦し~ところで暑苦し~ことしてんだろ」
「さあな、そりゃオブリビオンに聞かなきゃわからねえだろ。唯一俺らにわかることは、これがまともな光景じゃねェってことだけだ」
 砂浜の上で水着になって、掛け声と共に筋トレをする彼らの姿はまさしく異様。その光景を無表情に眺めながら、月待・楪(Villan・Twilight・f16731)は吐息する。
「これを妨害して止める為には……逆ナンされる、んだっけ?」
「だな。よくわかんねえけど、それで合ってるはずだ。とっとと終わらせちまおう」
「じゃあさじゃあさ、終わったら海であそぼーぜっ♪」
 サーフィンの練習したーい、とマクベスは待ちきれないとばかりにその場で軽く跳ねて見せる。そうだなぁ、と楪も呟きながら、ショップでレンタルして来た遊び道具に思いを馳せた。
「色々道具も揃えてっから遊ぶには困らねーし、ついでに氷月の金でバーベキューもしようぜ」
「やったー、肉ー! ……あれ。でも、そういえば望兄ちゃんいなくない?」
「氷月ならほら、あそこ」
 そう言って楪が指し示したのは、浜辺のトレーニングエリアで筋トレに励む女たちへ果敢にアタックを仕掛けている氷月・望(夢幻への反抗・f16824)だった。
「ソコの麗しいお姉さーん! 筋肉トレーニングも良いケド、そろそろ疲れちゃったりしないかな。俺達と一緒に、海でリフレッシュしようぜ?」
「ええそうね! でもまず海で泳ぐ前に身体を温めないと!」
「……えーっと、体操とかじゃダメなの?」
「ダメよ、水泳って全身の筋肉を使うんだから、しっかり鍛えて泳がなきゃ!」
 女は爽やかな笑顔で筋トレを続け、会話が続いているようで成立していない感覚を覚えた望の笑顔が加速度的に乾いたものになっていく。結局、最終的に筋トレに巻き込まれそうになった望は肩を落として撤退するのだった。
「……逆ナンって難しくない?」
「望兄ちゃんでも難しいんだなー、逆ナンって。よくわかんねーけど」
 逆ナンではなくナンパだったとかは置いておくとして、望も健闘はしたのだ。大学生活で培ったコミュ力や、話法によるある種の催眠術をもって言いくるめようとしたところまでは良かったのだ。
「無駄に顔は良かったんだけどな」
「ゆーくんちょっとひどくない!? 俺結構頑張ったんだけど!!」
 まるでチベットスナギツネのような虚無の表情を浮かべる楪に対して、望が抗議する。
 望のナンパは相手にした女が下からナチュラル脳筋過ぎたのがいけなかった。彼女の頭には筋トレしか無かったのだ。
「ところで望兄ちゃん、逆ナンってどうしたらされんの?」
「んー、わからないなぁ。意図的に逆ナンって割とムズいんだよね……」
 海に来る前に「声をかけて貰えば逆ナン」と思っていたのだが、向こうは筋トレに夢中なのだ。結局、こちらから声をかけることになる。
 うーん、としばらくマクベスは悩むように唸っていたが、ふと決心したように顔を上げた。
「とりあえずやってみる!」
 元より考えるより行動派。何はともあれ実行するべきだとマクベスは考えた。逆ナンもまたコミュニケーションであるならば、難しく何をすればいい、どう話せば良いかなど考えても仕方のないことなのだから。
 するりと三人の輪の中から出た彼は、そのまま筋トレする女たちの近くまで寄って行く。そしてそのままスクワットを続ける女たちの横に座り込んで、じっと興味深そうにその様子を観察し始めた。
「……? あなたも筋トレしに来たの?」
「ううん、違うよ。かき氷食べに来たの!」
「海の家は向こうだけど……」
「そうなんだけどさ、オレ、おねーさんたちと一緒にかき氷食べてみたいなーって。……だめ?」
 悪戯っぽく、上目遣いに女性を見上げる。耳をぴこぴこと横に揺らし、尻尾をぱたぱたと横に揺らすその様は、まさしく構ってくれアピールする猫のようではないか。
 その様子
「だ、ダメじゃないけどぉ……」
「やった、それじゃあ一緒にかき氷食べに行こ!」
 その可愛らしさに胸を貫かれて女がたじろぐのを見逃さず、マクベスは畳み掛けるようにその手を取って更に押す。
「あ、あざとい……! めっちゃあざといズルい……!! あんなんあざズルじゃん!!」
「……猫助なんか手馴れてねェ?」
 そんなナンパ風景を見ながら、望はぐっと手に汗を握り、楪は少し意外そうな顔で見ていた。
「……あれっ。なんかマクベスに任せてたら逆ナン成功しそうじゃない? え、俺の出番は?」
「氷月は相手が悪かっただけだろ。まあこの分なら、最低限仕事をこなしたことに……」
「そこで満足するなよ、ゆーくん! 失敗したなら成功するまで繰り返す……だろっ!?」
「急に何キャラだよお前」
 キラキラのキメ顔(さっきナンパで使ったけど効果がなかった)で主張する望。チベスナ顔でそれに反応する楪。夏の暑さは望の頭を沸騰させ、楪のやる気を加速度的に減退させていた。
「……あんま気乗りしねー。俺の分まで氷月が頑張ってくれ」
「待っててくれよ、可愛い女の子連れて戻って来るから!」
 サムズアップと爽やかな笑顔を残して望はナンパに再挑戦しに行く。楪はそれを虚無の表情のまま手を振って見送ることしかできなかった。
 それはそれとして、楪はこの異様なトレーニング光景に疑問を持っていた。身体のスリムさを求めるならもっと効率的な運動があるだろうし、強くなりたいという思いがあるならば無駄に身体を鍛えるよりも、護身術や体術を修得した方が効果的だ。楪には無目的に筋肉を付けさせるような、無駄なトレーニングをさせているようにしか見えなかった。
 それにトレーニングメニューは本人の体格や体力が考慮されていないのは、明らかに怪我や故障の元になるであろうことは想像に難くなかった。その証拠に、腕立て伏せを続けていた女が体力の限界に達したのか砂浜に倒れ伏しているのが見えた。
「……立てるか? 疲れただろ、もう休め」
「す、すみません。でも、筋トレは続けないと……」
 見るに見かねて、ダウンしていた女の腕を掴んでなんとか立ち上がらせる。女の顔はどこか暗く、切羽詰まったものがあった。
「筋トレで身体鍛えるより、まずはランニングとかウォーキングから始めて体力付けろ。ゆっくりで良いんだ、ゆっくりで」
「……そうですね。確かに、ちょっと焦ってたかもしれません」
「とにかく休憩しに行くぞ。海の家か何かで良いよな」
 こんなに暑い場所では休憩することも難しいだろうと、吐息する女に肩を貸して歩かせる。



 その後、三人とも救出した女性たちを連れて、無事に海の家で合流を果たした。
「あーっ! ゆー兄ちゃん女の子連れてるー!!」
「あんだけ気乗りしないとか言っておきながらアンタってやつは……!」
「……勘弁しろ。お前らと違ってこっちは人命救助だ」
 うだるような暑さの中。
 冷え冷えとしたかき氷とそよぐ海風が涼をもたらし。
「いーじゃんいーじゃん、かき氷もみんなで食べればおいしーしね!」
「代金は氷月持ちな」
「ちょっと待ってナチュラルに代金俺持ちにしないで!? ……うっわかき氷たっか!? 観光地価格じゃん!!」
 氷月に限って言えば、寒々とした財布と、それを確認した彼の背筋を凍らせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パーム・アンテルシオ
うぅ、暑い…ううん、熱い…
熱すぎるし、漂ってくる空気も熱いけど…
人を誘惑しようっていうのに、ぐったりしてたら話にならないよね…

いっそ、涼しい場所に誘い込めたら…
…涼しく…?
なるほど、アリ…かな?

九ツ不思議…雪女。
冷気の放出は、できるだけ、ゆるく…涼しいぐらいに抑えて…尻尾に集中して…
そう、尻尾に埋もれても…暑いどころか、ひんやりするぐらいに。
ふふふ。これなら、この暑さの中でも…だいぶ、マシになるかな。

私が声をかけるのは、もちろん。男の人。
水着は、ちょっぴりセクシーなのを用意してきたし。
…助けられるのなら、この際、ロリコンな人でもいいし…
色気で釣れる人。涼しさで釣れる人。手広く助けちゃおうかな。



「うぅ、暑い……。ううん、熱い……」
 熱気漂う砂浜の上で、パーム・アンテルシオ(写し世・f06758)はあまりの暑気に目を回していた。
 『もふ屋』を自称している通り、彼女の九尾は太く大きく、毛量が多い。その見事な尻尾のお陰もあって北国の寒さには強いが、それに反比例するかのように今のような暑さには弱かった。
 直射日光、漂う空気、吹き付ける風、見える光景。水着姿になってもなお何もかもが暑くてぐったりしてしまう。
「これじゃ話にならない……。っていうか、私が干からびて死んじゃう……」
 どこか涼しい場所にみんなが来てくれればいいのに、と考えてしまう。そうすればみんなもこんな暑い思いをしなくて済むのだが――
「あっ、涼しく……。なるほど、アリ……かな?」
 何かを閃いたように口元に笑みを浮かべて。瞳を閉じて集中すると、その身を青白い光によって覆わせた。
「――古より、汝は誘う者」
 【九ツ不思議・雪女】。以前は海棲オブリビオンとの戦いで海に氷の橋を架けるほどの威力だったそれを、今回は出力を絞って使う。冷気となって辺り漂う青白い光を、全身から九尾へと集中していく。
「わっ、すごいひんやり……」
 自分の尻尾に触れて見て、ひんやりすることに自分でも少し驚いてしまう。やっぱり潮風でべたべたしてしまうことに変わりはないのが、もふ屋としては気になってしまうけれど。それでもこの暑さの中でこの冷えは破格の価値があるだろう。事実、九尾に纏わせたお陰でパーム自身の暑気対策にもなって、だいぶ快適になった。
 この酷暑では尻尾は到底使えないだろうと思っていたが、発想を転換すればどうということはない。むしろこれは強い武器になる。持つべきものは涼気だ。
「“生き餌”はバッチリ……なんてね。ふふっ」
 涼気ですっかり調子を取り戻した彼女は、意気揚々と尻尾を揺らしながら浜辺のトレーニングエリアへと向かう。
 暑苦しい熱気が正面から出迎えるが、前に出した尻尾の涼気でなんのその。エプロンを揺らしながら歩いていくと、注目が集まること集まること。通り過ぎる涼しさを目で追う者、その幼い肢体に扇情的な水着というアンバランスさに心惹かれるロリコン。
 正直、自分で選んだ水着とはいえ、変な目で見られることは複雑な心情なのだが。それでも助けられるのならば、もうこの際ロリコンな人でももう構わなかった。
「ね、こっちにおいでよ。涼しくって、気持ちいいよ」
 ふふ、と笑みを湛えて呼び掛け。涼を求める者の前で尻尾を揺らし、視線を向ける者の前でエプロンをひるがえす。それだけで、数人が我慢できないとばかりにふらふらとパームの後ろへ付いて来た。
 小耳に挟んだことのあったハーメルンの笛吹き男を思い出して。彼女は歌を口ずさみながら海の家へと男たちを連れて行くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『筋肉教の狂信者』

POW   :    神降ろしの儀:地上を照す太陽のポーズ
全身を【使って祈る姿を見た者を、盲目状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    神降ろしの儀:夕暮れに飛ぶ鴉のポーズ
全身を【使った祈りを見た者を、帰宅したい精神状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    神降ろしの儀:神に捧げる祈りのポーズ
全身を【使いポージング。周囲の無機物を邪神の眷属】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
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「な、なんたることかァ――……ッ!!」
 禿頭を抱えて、オブリビオン――筋肉教の狂信者たちは嘆いた。
 一般人たちを巻き込んで行ってきた筋トレ。これらは全て彼らの信奉する神へと届くはずのものだった。
 しかし、ちょっと興が乗って自分たちまで筋トレに夢中になって小一時間ほど目を離している隙に、今まで筋トレしていたはずの一般人たちが既にいなくなっていたのだ! そう、君たち猟兵の手によって!
「ええい、このまま猟兵たちを野放しにはしておけん!」
「かくなる上はあの忌々しい猟兵たちを――」

「「「我らの筋肉で魅了してやろう!!」」」

 おお、見よ! あの狂信者たちのポーズを!
 あれこそが地上を照らす太陽のポーズ! その全身を使って祈りを捧げる姿を見た者を暑苦しさのあまりに、ちょっとしばらく目を開けたくない盲目状態にする!
 これこそが夕暮れに飛ぶ鴉のポーズ! その全身を使って祈りを捧げる姿を見た者を暑苦しさのあまりに、だいぶ帰りたくさせる精神作用がある!
 それこそが神に捧げる祈りのポーズ! その全身を使って祈りを捧げる姿は周囲の無機物を邪神の眷属へと変えて、猟兵たちを物理的に攻撃しながら筋肉を激推しする!
 いずれもポーズの最中、彼らは無敵状態となって全く動けなくなるという特徴がある。ではどうすれば良いのか?
 筋肉による、あるいは筋肉によらない肉体の美しさを見せつけて、敵のポージングを解けば良いのだ!!

 身体に自信の無い方々は動けないことを良いことに、砂浜に埋めるなり海に放り込んでポージングを解いたところを集中砲火して下さい。

「我々は!」
「猟兵たちなんかに!」
「絶対に負けたりしない!!」
パーム・アンテルシオ
うーん、暑い…暑苦しい…
正直、あんまり長々と見ていたい相手じゃないんだけど…
体を鍛える事だって、人として自然…なんだよね?
だったら、ただ無碍に扱うのも、なんだか可哀想だし…

せっかくだから、見せ場ぐらいは、作ってあげた方がいいよね…
ユーベルコード…毛蕊火。
それじゃあ、今からたくさん炎で炙るから…
がんばって、そのポーズ。維持し続けてね。

「無敵」って一口に言っても、どこまで無敵かはわからないよね。
空気がなくても大丈夫かもしれないし、ダメージを受けないだけで、熱いのは熱いかもしれないし。

私が帰りたくなるのが先か。
それとも、あなたが疲れたり、熱さに耐えられなくなるのが先か。
鍛えた体の見せ所だよ。ふふふ。



「うーん、暑い……。暑苦しい……」
 パーム・アンテルシオ(写し世・f06758)はだいぶ帰りたそうな顔をしていた。それもそのはず、彼女の目の前には夕暮れに飛ぶ鴉のポーズをとる狂信者たちがいるのだから。
「ぬぅぅぅん……!」「ふんはぁ……!!」
 両腕でもって表現するのはまさしく鳥の翼に他ならない。浜辺の日差しで日焼けしたのであろうその浅黒くなった肌はなるほど鴉のようではないか。それを狂信者たちが縦一列に並びポージングを微細に変化させることで、翼の羽ばたきを見事に表現しきっていた。夕暮れを飛び、かぁかぁと鳴く情景を思い起こさせるそのポーズは、ある種のノスタルジーすら感じさせずただただ暑苦しくてただ帰りたかった。ああ、恋しきは故郷、桜の国。仕事さえなかったら今すぐにでも彼女は帰っていたことだろう。
「正直、あんまり長々と見ていたい相手じゃないんだけど……」
 パームにはマッチョの良さがわからぬ。逞しいとは思えど、まだ幼いと言って良い彼女にはそれ以上の感想が「暑苦しい」しか思い浮かばなかった。暑苦しいのは嫌だ。暑さに弱いパームにとっての天敵なのだから。
 だが、そんな彼女でも「身体を鍛える」ことが人として自然な行為であることはわかっていた。だからこそそれをただ無碍に扱うのは少しだけ気が引けてしまって、どうしたものかと思い悩んでしまう。
「……うーん。せっかくなんだし見せ場ぐらいは作ってあげた方が良いよね」
 ひらりと出したのは二つの白い手のひら。獣を模すかのように曲げられた十指の先から、ぼっ、と音を立てて小さな桃色の火球が現れた。
「それじゃあ、今からたくさん炎で炙るから」
「「「えっ」」」
「がんばってそのポーズ、維持し続けてね。鍛えた身体の見せ所だよ。ふふふ」
 笑顔を浮かべながら、パームはその手から炎弾を射出する。超高速で連射される炎弾はまさしくバルカン砲か、さもなくば空飛ぶ炎の絨毯か。浜辺の上で火の海に晒された狂信者たちは脂汗を炎で炙られ蒸発させながら熱さに耐える。
 無敵がゆえに炎によるダメージは無い。だが、それはそれとして熱いものは熱いのだ。元々暑い浜辺で筋トレを続けていた狂信者たちが、陽炎の生じるほどの焦熱地獄によって耐え切れずに倒れ伏したのも無理からぬ話だろう。無敵が解除された狂信者たちは、そのまま身体を燃やされ黒い灰となって白い砂に混じって消えてしまった。
「身体が鍛えてあるのと我慢強さは別だったのかな」
 ふぅ、と一息つくと、彼女はまた尻尾から冷気を漂わせながら、ひとまず日陰の方へと避難するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杜鬼・クロウ
ニコ◆f00324

ニコに乗せられ敵に煽られてから本気出す
恥と思った方が負け

結局筋肉自慢したかっただけじゃねェの!?
脳みそまで筋肉で出来てンのかァア?
筋肉で会話すンなや!筋肉の集団面接じゃねェンだよ!
こうなったらニコ
徹底的にお前の腹斜筋&腹直筋を魅せつけて圧倒してヤれ!
勝敗関係無く黒歴史決定だけどな
真面目にツッコむのも疲れてきたわ

ハ?俺?
ち、後悔してもしンねェぞ
猟兵の顔面偏差値ナメんな(存在感・威厳

脱ぎっ
ニコのポージングに合わせバック・ダブル・バイセップス
他は自由に

歩く大胸筋
歌う僧帽筋

筋肉は裏切らねェがその筋肉がテメェらの敗因だ、バーカ!

玄夜叉に風纏わせバットを構える様にホームラン打つ
敵は星に


ニコ・ベルクシュタイン
【クロウ(f04599)】と


「くっ、殺せ」に並ぶフラグめいた台詞を有難うと言うべきか
筋肉には筋肉を…今こそ日頃の鍛錬の成果を合法的に魅せつける時だな
(筋肉の集団面接というパワーワードに真顔で笑いを堪えながら)
クロウ、最終決戦と行こう
俺と君とならば、斯様な連中に敗ける事などありはしない

露わにした上半身を先ずはアドミナブル・アンド・サイで強調
クロウが背中で魅せるならば、俺は腹筋を強調して行こう
俺が、俺自身がポージングをするにあたって多少の目潰しは構うまい
むしろポージングに集中出来て好都合というものよ

攻撃が通る状態になったら、最後まで己の肉体で挑む
【時計の針は無慈悲に穿つ】の一撃で星になるが良い!



「“鴉”の者共がやられたようだな……」「やつらはかなり筋肉をイジメ抜いて来たナイスバルク……」
「まさか普段の筋トレが裏目に出て焼き殺されるとはな……」「正直還って行ったのがメチャクチャ惜しい……」
「だが俺たちは! 猟兵たちなんぞに!!」「絶対に負けたりしない!!」
 白い砂浜を踏みしめて、マッチョ・ガイが二人立つ。彼らはマッスルコンビ。筋肉の義兄弟。一人は地上を照らす太陽のポーズ、もう一人は神に捧げる祈りのポーズで神降ろしの儀を始めていた。
 そして彼らの前に現れるのは、二人の偉丈夫。
「筋肉には筋肉を……。今こそ日頃の鍛錬の成果を合法的に魅せつける時だな」
 褐色の男、ニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)が気合十分の様子でマッスルコンビを見遣る。目には目を、歯に歯を、筋肉には筋肉を。古より伝承されしハンムラビ法典にもそう書いてある。
「クロウ、最終決戦と行こう。俺と君とならば、斯様な連中に敗けることなどありはしない」
「結局筋肉自慢したいだけじゃねェの!?」
 対して色白の男、杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)はまだ冷静だった。最早この暴走しつつある事態を収拾できるのは自分しかいないという使命感にも似た何かと、ニコを置いて行くわけにはいかないという律儀さが彼をそこに留めていた。
「だが……どうするんだ? 筋肉対決中、やっこさんと違って俺たちはポーズ中に無敵にはなれねえ」
 周囲にわらわらと現れ始めた邪神の眷属たちを見て、クロウは険しい顔をする。筋肉対決をしている間、自分たちは無防備だ。その間にあの眷属たちに襲われてしまうのはいかにもマズい。
『あ、自分たちはオーディエンスなんで』『路傍のマッスルぐらいに思って下さい』
「路傍のマッスルってなんだよ戦わねェのかよ!?」
『ボディビルダーがその筋肉で戦いますか?』『違うでしょう。そういうことです』
「クッソ妙に納得しちまうような正論を……ッ!!」
「観衆までいるとなると、いよいよもって負けられないな……。なあ、クロウ!」
「なんでお前はそこでむしろやる気になってるんだよむしろニッコニコじゃねえかよニコだけにってか!? やかましいわ!!」
 不敵な笑みを浮かべながら準備運動を始めるニコ。無呼吸ツッコミで対決前から精神的疲労がそろそろヤバいクロウ。彼らは果たしてかのマッスルコンビに勝てるのか!?
「畜生、SPD指定してねェのにもう帰りてェ……!」
「――安心しろ、クロウ。言っただろう? 俺と君ならば、敗けないと」
「ああ、ニコ。――そのセリフ、もっと別の依頼の真面目な場面で聞きたかったぜ」
 だがしかしオブリビオンを放置するわけにもいかない。ようやっと腹を括ったクロウがニコの隣に並び立つ。
「こうなったらニコ、徹底的にお前の腹斜筋&腹直筋を魅せつけて圧倒してヤれ! 勝敗関係無く黒歴史決定だけどな!!」
「望むところだ」
 半ば以上やけくそになったクロウの横で、ニコが白シャツを脱ぎ捨て、褐色肌を露わにする。
『参加者が出揃いましたね』『筋肉の集団面接、筋肉の豊洲市場とでも表現しましょうか。今回はキレてる参加者が多いですね』
 オーディエンス兼審判気取りの邪神の眷属たちが両者の間に立つと、最初に動いたのはマッスルコンビだった。まるでシンクロナイズドのように美しく息の合ったタイミングで、両者のポージングを入れ替える。
 太陽の如きポーズを見てしまったニコの目がくらむ。
「くっ、想像以上のナイスバルク……!」
「なんでポージング見て閃光弾でも受けたみたいになってんだコイツ」
「だが筋肉に視覚は必要ない。むしろポージングに集中できて好都合というものよ!」
 マッスルコンビに対抗して、ニコがアドミナブル&サイのポーズを取る。戦士が剣と剣を交え、文筆家が筆と筆を交えるように。ボディビルダーもまた、筋肉を交えることによって彼らは真に“対話”していると言えるのだろう。
 おお、見よ。「ナイスバルク!」「バリバリだね!」「腹筋京都碁盤の目!」彼らは互いに互いの肉体美を、己の筋肉によって称え合っているかのようではないか!
「いや筋肉で会話すンなや! 脳みそまで筋肉で出来てンのか、アァッ!?」
「くっ、さすがに一人では分が悪いか……! クロウ、加勢してくれ!」
「あァ、俺も!? ……チッ、後悔しても知ンねェからな! 猟兵の顔面偏差値舐めンなっての!」
 徐々に押され始めてポーズが崩れ始めたニコを見て、舌打ちしながらクロウが上着を脱ぎ捨ててポーズに加わる。彼のとるポーズは背面を見せるバック・ダブル・バイセップス。地上を照らす太陽のポーズを回避しながら、背中の筋肉を強調するポージングだ。
 マッスルコンビが太陽と信徒、即ち天と地を表すポージングだとすれば、ニコとクロウは裏表。ニコの大胸筋が歩き、クロウの僧帽筋が歌う。隠れて見えない筋肉など無く、それは二人で一つの完成したポージングに違いなかった。
「ば、馬鹿な、鍛え上げた筋肉は我々を裏切らないはず……!」「我々が筋肉で、敗北するだと……!?」
 二人の肉体美の“圧”に耐えきれず、オブリビオンたちのポージングが解ける。それを見逃す二人ではない!
「歯を食い縛り覚悟せよ、この一撃で星になるが良い!」
「筋肉は裏切らねェがその筋肉がテメェらの敗因だ、バーカ!」
 ニコの鍛え上げられた拳が、クロウの長大な黒魔剣が唸りを上げる。
 ポーズが解けて無防備になったオブリビオンたちは、二人の一撃によって海の向こうへと飛んでいき、星となるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート


??????????
なんで俺は筋肉を見せつけられているんだ?
帰っていい?俺腹減ったわ。帰っていいよね
じゃお疲れ…アッハイ、やりますよ…やりゃいいんだろ

ガタイも良くないし、そもそも一部サイバネだからな
肉体美とか見せつけるの無理だろ…
というわけで埋めるわ
セット『Sanctuary』
地形一帯の情報を【ハッキング】で変更
ポージング?好きにやるといい
邪神の眷属?好きに出すといい
"砂浜増量開始"
邪神の眷属ごと、「そのまま」砂で埋め尽くしてやる
要は筋肉野郎の周囲だけ風呂桶みたいにして、砂でいっぱいにする感じだ
一生そこで化石やるか、ポージングを解くか選ばせてやる
んじゃ後はよろしく
なんか今日すげー疲れたわ…



「むぅぅぅぅん……」「ふんぬぅぅぅ……」
 盛り上がる筋肉、滲み出る汗。
 太陽光を反射する禿頭、熱気漂うオブリビオン。
「えっ、なんで俺はオブリビオンたちに筋肉を見せつけられてるんだ……?」
 ヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)は困惑していた。
 急な休暇ついでに仕事をこなそうと水着を買って儀式の妨害をした。休日出勤めいた矛盾はあるがそれはまあ良いとしよう。乗りかかった舟で、逆ナンで一般女子を救助した。ここまでは良い。
 それがなぜこんなむさ苦しいオブリビオンを相手にしなくてはならないハメになってしまったのか。
「いや、これ帰っていいよな俺。腹減ったし。帰っていいよね。じゃあお疲れ」
「おっとそこの青年!」「今筋肉と筋肉の視線が合ったね!」「筋肉の目が合ったらボディビルディングの合図だ!」
「畜生やっぱりそうなるよな知ってた!!」
 むさ苦しい狂信者たちに囲まれて退路を断たれたヴィクティムは心底嫌そうな顔をしながら自分の身体を見下ろす。
 とはいえ彼はそこまでガタイが良いわけではない。走り回りながら電脳に干渉するランニングハッカーたる彼は、遊撃・妨害・支援を満遍なくこなすその役割上、しっかりと身体を鍛えていた。とはいえそれもサイバネティックス技術がふんだんに施されたサイバネ義肢あっての身体能力。生身も鍛えてあるにはあるが、サイバネ義肢ではボディビルディングの趣旨に反してしまう。
『サイボーグぅ、ですかぁ……』『男の子ってこういうの好きなんでしょって言われたらハイそうですってなるんですけどねー』『しかしあれはノットマッスル。ノープロテイン・ノーボディビルディング』
 無機物から変換された邪神の眷属たちがヴィクティムの義肢を見て眉間にシワを寄せる。彼らとしてもサイバネ義肢はいかにも筋肉として認めがたいのだろう。
「っつーかなんで眷属たちはナチュラルに観衆サイド行ってるんだ……?」
『腹筋は悪くないんですけどね』『足もふくらはぎがよく鍛えられている』『しかし腕がサイバネ……』『もうちょっと身長が欲しかったですね。バランスが悪い』
「うるっせぇぇぇぇえええええッ!!」
 ヴィクティム、身長166.6cm(当時)。あとせめて4cmぐらいは欲しかった彼にとって、身長は逆鱗に等しい話題だった。
 右腕のサイバーデッキ『フェアライト・チャリオット』を操作する。射出されるプログラムは『聖域』の名を冠するコード。身長という不都合を、筋肉を見せつけられる理不尽を書き換え、打破するためのユーベルコード。
「座標設定、領域固定。――この辺の砂、全部増えて埋まりやがれ!」
 ヴィクティムの叫びと共に、砂浜が一瞬0と1の波に覆われたかと思うと、その白砂を爆発的に増殖させて白い津波とする。
『砂の津波がぁ――!?』『無敵の筋肉でどうにかしてくださいよぉ!!』「こ、このままでは身動きが取れなくなってしまう!」「だがここでポーズを解いてしまえば質量で押し潰されて……!?」
 眷属諸共に砂の波に埋もれていく狂信者たち。眷属たちは窒息してそのまま黒い塵と化し、オブリビオンはポーズを解くに解けないまま、その身を砂に埋めてしまった。
「一生そこで化石やっててくれ」
 砂の向こう側に埋もれているであろうオブリビオンを見て、はぁ、と一つ溜息をつく。
「なんか今日すげー疲れたわ……。帰って仕事しよ……」

成功 🔵​🔵​🔴​

月待・楪
【violet】
うわ…近寄りたくねェっつーか
視界に入れたくもねーな、アレ

……よーし、猫助許す
埋めちまえ
猫助の蟻地獄に手ェ貸すか
【念動力】で沈めるように圧をかけてやる
ポーズさえなけりゃ敵じゃねーな
【魔弾・疼木】で急所を【部位破壊】
氷月、トドメは任せた

猫助、サーフィンすんぞサーフィン!
あとから頭痛が来ようがかんけーねェ
楽しけりゃいいんだよ
っつーことで念動力に【ダンス】仕込みのバランス感覚と猟兵の運動神経ナメんなよ?
くはっ氷月だっせー
…あー、了解、後でな

サーフィンに飽きたら猫助を念動力で【空中浮遊】させて水面ぎりぎりを飛ばしてやる
たまには自力じゃない飛行ってのも楽しいだろ?
水上バイクか…面白そーだな


マクベス・メインクーン
【violet】
んー……兄ちゃんたちアレどうする?
オレ的には兄ちゃんたちが筋肉ポーズとんのは
あんま見たくねぇし…手っ取り早く埋めていい?

地の精霊の力を使って【地形の利用】で
敵の足元の砂を【罠使い】で蟻地獄にする
ゆー兄ちゃんの力も加わって合わせ技だな!
そのまま沈んでくれてもいいし
ポーズ解いたら兄ちゃんたちに後は任せるぜ~

アイツら倒したらもう遊んでいいだろ?
サーフィンやろ、サーフィン!
波がないならオレが水の精霊使って作るしっ!
サーフィンしてる兄ちゃんたち絶対カッコいいもん♪
いいじゃん水上バイク!望兄ちゃん絶対似合うぜ!
って、え?オレ自分の翼で飛ぶよ!?
まぁこれはこれで楽しいけどなっ!


氷月・望
【Violet】

うし、マクベス
マジで埋めようぜ頼むから埋めてくれ(のんぶれす)
とりあえず、周囲の無機物を眷属に変えられたら面倒だし
俺はそっちの露払いでもやっとくぜー

『Malice』のフックの先端で指先を切ってから『紅嵐』を
敵のポーズ解除されてたら、そのままの勢いで【部位破壊】祭りじゃー!

ゆーくーん、頭痛はちゃんと治させろよー?
うし、俺もサーフィン……何かハイレベルなサーフィンしてるぅ!?
念動力ならイケるケド、おわ……っ!(ひっくり返ってざぱーん
み、水も滴るイイ男って言うよな!?
……今度バイク、水上走行出来る様に改造するかァ?
お、写真了解ー!動画も撮っておくからねー!



 そこには太陽がいくつもあった。
「今こそ筋トレの成果を魅せる時!」「フンッ、ハァーッ!」
 天を照らす太陽。その光を受けて輝く禿頭。そしてその禿頭の主が祈る、地上を照らす太陽のポーズ。
「うわ……。近寄りたくねェっつーか、視界に入れたくもねーな、アレ」
 その光景をチラ見してしまった月待・楪(Villan・Twilight・f16731)が渋面したのも無理からぬことだろう。彼は目を逸らしながら溜息をつく。
「んー……。兄ちゃんたち、アレどうする? オレ的には兄ちゃんたちが筋肉ポーズとんのはあんま見たくねぇんだけど」
 比較的視覚ダメージの少ないマクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)がむさ苦しい狂信者たちを指差す。彼としても、憧れの対象があのむさ苦しい狂信者たちと混じって筋肉ポーズをキメてるところは、決して見ていたいものではないのだろう。
「とりあえず手っ取り早く埋めていい?」
「うし、マクベスマジで埋めようぜ頼むから埋めてくれ」
 半ばまくしたてるように一息で氷月・望(夢幻への反抗・f16824)が懇願した。あの筋肉達磨たちを相手にボディビルディング大会など、金を貰ったってごめんだと望ならば言うだろう。
 そして何より、望と楪の共通見解として「気持ち良さそうじゃない」というのが強硬手段への一番の決め手だっただろう。彼らとしても、何が悲しくてマッチョと一緒にポージングなどしなくてはならないのか、という話である。
「……よーし、猫助許す。埋めちまえ」
「オッケー、それじゃあやっちゃうよ!」
 するりと彼の肩に登るのは小さな蛇、バジリスク。土を司るその精霊がその身から土の気を横溢させると、マクベスの持つ双銃がその気と同色に染まる。
 銃声。竜の名を冠する二つの魔装銃、ファフニールとリンドブルムが火を吹き、バジリスクの力が砂浜へと直接干渉する。ざあ、と漏斗のようにオブリビオンたちが立つ場所が陥没した。蟻地獄だ。
「ポーズが解けりゃ敵じゃねーな」
 ただ砂に埋めるだけでは済まさないとばかりに楪もまた、二丁の拳銃、カルタとガランサスを構える。
 銃声。射出された銃弾はまるで意思を持ったかのように曲がりくねる。念動力による追尾を得た弾丸たちは、それぞれ体勢を崩したオブリビオンたちの股間へと狙い過たず命中した。
「いくら筋肉を鍛えたって、急所はどうしようもねーんだよ。――氷月、トドメ任せた」
「ああ、仕上げはお任せってな」
 言葉と共に、望が動く。使うのは楪の使うものと同型の拳銃ではない。彼は楪のように器用な攻撃を得手としない。その代わりに――彼の攻撃には、一切の容赦がなかった。
 望は蟻地獄の外縁部に残ったオブリビオンをワイヤーショットで絡め取ると、引き寄せると同時に血色のナイフを閃かせる。刃閃、九条。鍛え抜かれた筋肉で覆われた身体の弱い部分を的確に切り裂き、突き刺して破壊する。
 ざあ、とオブリビオンだった黒い塵が散った。

 こうして、夏の海にいた狂信者たちは猟兵たちによって一掃された。
 オブリビオンたちによって上昇していた砂浜の気温もすっかり元に戻り、海水浴場は本来の人気を取り戻すのだった。

「アイツら倒したらもう遊んでいいだろ? サーフィンやろ、サーフィン!」
 オブリビオンさえ倒してしまえば後はオフである。小さな竜、リヴァイアサンを連れてマクベスがサーフボードを抱えながらはしゃぎ始める。水の精霊を使って波を起こす気満々だった。
「よし猫助、サーフィンすんぞサーフィン!」
 楪もまた依頼の時とは打って変わって大はしゃぎの様子だ。彼もまた、自分の特技である念動力で波を引き起こし、サーフボードで突っ込む。
「うし、俺もサーフィン……何かハイレベルなサーフィンしてるぅ!?」
 普通に波を探そうかとおっとり刀でやって来た望が、精霊や念動力で引き起こした波に乗る二人を見て仰天する。もっと普通に遊ぶものだとばかり思っていたが、そこは望とて猟兵だ。自分もまた、念動力でもって波を作ってそれに乗ろうと挑戦してみる。
「これならイケるそうだケド、おわ……っ!?」
 望は楪ほどに器用ではないのだ。念動力で波を操作しきれず、バランスを崩した彼はそのまま海に真っ逆さまに落水してしまった。
「くはっ、氷月だっせー」
「どんまいだよ、望兄ちゃん!」
「み、水も滴るイイ男って言うよな!?」
 海面から顔を出した望を見てボードの上で笑う楪。苦笑するマクベス。
 海の波に揺られながら、何だかんだでここに来て良かったと望は思う。

 それから、三人は夏の海で存分に遊び回った。サーフィンを楽しみ、それに飽きたら念動力で水面の上を飛び。その様子を写真に残して、水上バイクなんて良いんじゃないかと三人で楽しそうに話し合う。
 あっという間に時間は過ぎて。過ぎた時間は、夏の思い出として三人に記憶されるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年09月01日


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
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 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


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「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

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挿絵イラスト