「みなさん、聞いて貰えますか?」
グリモアベースの一角、周囲にいた猟兵達に呼びかけたのは、白銀の軽鎧に身を包み青いマントをなびかせたフェリクス・フォルクエイン(人間のパラディン・f00171)だった。腰の左右に鞘へ収めた長剣を下げ、紫の瞳が自身の声に反応を示した君達の顔を撫でる。
「違います、男ですから」
何処かから女の子という呟きがあがると、即座に否定を入れたので少年だと思われる。
「アックス&ウィザーズの世界にワイバーン……強力なオブビリオンが発生したようなんです」
それで、何とかしてくれる猟兵を捜していたのだろう。
「場所は誰も住んでない荒野のどこか。言いにくいのですけど、問題のワイバーンがどこにいるかまでははっきり分かっていないんです」
まずは現地に赴き、拠点となるキャンプを設営しそこで過ごして貰うことになるのだとか。
「荒野は危険な場所です。野営をするならそれなりの準備はいるでしょうし、何かに襲われるかもしれない」
それに猟兵たちはただキャンプに行くわけでは無いのだ。標的を探し出すなり誘き出す為の準備をするといった目的の為の前準備をしておくのも良いだろう。
「出来るなら、僕も同行したいところなんですが」
グリモア猟兵故に少年には君達を支え、送り出し、危険な時には逃がすといったバックアップをする必要があるのだ。
「かわりにと言うのもなんですが、一つ。その荒野には大きな洞穴が口を開けた断崖絶壁があるそうなんです。高い場所なら見晴らしも良いし……ワイバーンは翼で空を飛びますからね、洞窟はワイバーンがねぐらに使うかも知れません。一度足を運んでみてはどうでしょう?」
補足情報を付け加えると、フェリクスはお願いしますねと君達に頭を下げたのだった。
聖山 葵
初めましての方は初めまして、聖山 葵と申します。
さて、今回は荒野に出現したワイバーンを探し出し、撃破して頂くお話となります。
最初に行うのはキャンプの設営し、そこで過ごすことです。襲撃に備えて見張りをしたり、拠点での生活を快適にする為に工夫をしたり、そもそもどこでキャンプをするか丁度良い場所を探すのもいいですし、ワイバーンを確保する為の策を考えてみるのも良いかもしれません。どうするかは皆様次第です。
皆さんの行動が実を結べば、新たな情報がもたらされる事もあるでしょうし、その結果出来ることが増えたり、今回の討伐対象であるワイバーンと戦うことになるかも知れません。
全ては皆様次第です。では、プレイングお待ちしておりますね?
第1章 冒険
『荒野のキャンプ』
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POW : 寝ずの番で警戒する
SPD : キャンプ技術や美味な料理で環境を整える
WIZ : キャンプ場所を探す、敵を誘う細工をする
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雨宮・冬華
えーっとね、私体力はあんまりないし、睡眠は回復するために重要だって聞くから、寝心地のいい寝袋とか、ホットミルクとか用意するのですよ。それでね、動物は不審な物音に人間より敏感だから、臆病な動物のお腹を借りて寝るのです。そうすれば万が一敵襲があった時もすぐ起きれるでしょう?
昼間はできるだけ、戦いになった時に不利な場所がないか、何か役立つものがないのか探すのですよ。キャンプをするなら、どうせ夜に寝るんだし見通しのいい場所にしますね。足場の悪いところで寝て襲撃されたら暗くてわからないのです
風峰・空穗
とりあえず妹弟子の冬華が迷子になったり変なことしでかしたりしないかを中心に、休める時に休む、動けるときに動くスタイルで行きましょうか。見晴らしのいい場所で休むにしても、火をたくときは木で覆いを作って空から見えにくくするわ。夜戦となれば敵のほうが有利だろうし。あとはそうね……キャンプから少し離れた場所に生肉を置いてみましょうか。ワイバーンなら多分肉食だし。引っかかったら力を合わせて討伐かしらね。
……冬華、お願いだから夜泣きはやめて頂戴ね…?
小金井・譲葉
空穂と冬華が作った拠点で寝ずの番だな。体力には自信があるし、女子供は寝ないと昼大変だろ。あとは師匠の玄冬と、キャンプから少し離れた場所にある生肉に注意するかね。まぁなんだ、夜通し番をする代わり、他の連中が昼探索する間は仮眠だ。眠りは浅くなるように気を付けるけどな。
何か異常があったら大声出してもらうことにして、気長に行くつもりだぜ。
やれることからコツコツと。あんまり性にはあわねぇが、大事だってことくらいは俺でもわかってるんだよ。不寝番は師匠と一緒にかね。年寄りに夜更かしはしんどいかい?
土井・玄冬
弟子たち(冬華、空穂、譲葉)の監督役だ。
……譲、中年は繊細な生き物なのだ、あまり年だ年だといわないでくれ。自分でいうならともかく人に言われると傷つく。
そんな会話をしながら不寝番だな。冬がぐずるようなら不器用ながらあやすとしよう。
移動の際、冬はヤドリガミとして生まれて時間がたっていないのと服装の関係上歩きにくそうなので抱きかかえるぞ。
……こら、髪を引っ張るんじゃない、他人をのりものとか言わない。
空はしっかりしているが……そうだな、体力がなさそうだから栄養管理だけでもしっかりするとしよう。
…む?料理はするな?……そうか、わかった…すまない
荒野へとやって来た猟兵達の前に幾つか置かれていたのは、寝袋だった。
「えーっとね、私体力はあんまりないし、睡眠さんは回復するために重要だって聞くから用意してみたのですよ」
寝袋の前で猟兵達の視線を集めた雨宮・冬華(薄暮の魔女・f00232)は語り。
「それじゃ、これを使って休める場所に移動しましょうか」
妹弟子の冬華が変なことをしでかさなかったことに少しホッとしながら風峰・空穗(響藍の魔女・f00506)は周囲を見回し、提案する。今居るのは送られたばかりの場所なのだ。
「なら、俺らが空穂と冬華が作った拠点で寝ずの番だな」
「……譲、まあいい。冬……」
提案を受けて自分を含む役割を決めた小金井・譲葉(ドラゴニアンの竜騎士・f00835)に何か言おうとした土井・玄冬(逢魔の魔神・f00965)は冬華に向き直ると身を屈め両手を差し出した。
「ありがとうなのですなのです」
玄冬が自分を気遣い、抱きかかえようとしたことがわかったからか冬華は笑顔で礼を言う。
「のりもの、ゲットさんなのですよ」
「……こら、他人をのりものとか言わない。髪を引っ張、んぐっ」
その好意が報われているかどうかはアレだが、余程酷いことになったら空穗も止めるだろう。
「そんなこんながあって、あの辺りが良いと思ったのだけれど」
言いつつ空穗が示したのは、木々がまばらに生えた丘陵の天辺付近。
「見晴らしのいい場所で休むにしても、火をたくときは木で覆いを作りたいと思っていたし」
お誂え向きに、覆いを作る木々があり、見晴らしも良さそうな場所なのだ。もっとも、ただ後は歩いてそこまで向かおうとはならなかったが。
「あ、あそこで休むさんなら、その前に動物を捕まえて欲しいのです」
思い出したように冬華が要望を口にし。
「動物ぅ? 食うのか?」
「違うのです。動物は不審な物音に人間より敏感だから、臆病な動物のお腹を借りて寝るのです。そうすれば万が一敵襲があった時もすぐ起きれるでしょう?」
譲葉が訝しむも、得意げに理由を語る。
「動物、そうね……キャンプから少し離れた場所に生肉を置いてみましょうか。ワイバーンなら多分肉食だし」
生きた警報装置にされる予定の動物さんへある意味無駄にしないように空穗が残酷な運命を付与し。
「先にあそこに行ってても構わないよな?」
探索するならその間に仮眠をしておきたいと言い出したのは、譲葉。玄冬もそのまま動物探しに赴いたなら、髭が無事という保証がない。結果として猟兵達は先に拠点を確保することとなり。
「さてと、日も沈んだな」
たき火からあがる火のはぜる音を聞きながら、譲葉は時折思い出したように少し離れた場所へ置かれた生肉の方を見る。
「……変化無し、だな」
「ああ」
時折、同じ事を繰り返しつつ譲葉と玄冬の夜は過ぎて行く。
「やれることからコツコツと。あんまり性にはあわねぇが、大事だってことくらいは俺でもわかってるんだよ」
言葉はなくとも向けられた師の視線に言い捨て、譲葉は視線を空のカップに落とした。冬華の用意したホットミルクの入っていたカップだ。僅かに残った底の液体が映すのは、満点の星空。夜明けにはまだ遠い。
「年寄りに夜更かしはしんどいかい?」
「……譲、中年は繊細な生き物なのだ、あまり年だ年だといわないでくれ。自分でいうならともかく人に言われると傷つく」
気遣ってか、からかってか弟子の言葉にどことなく恨みがましげな視線を返すと、玄冬は無言で立ち上がった。冬華の様子を見に行くのだろう。こうして猟兵達は拠点の設営に無事成功した。もう少し準備が調えば、倒すべき相手の手がかりを探すべく探索に移ることも可能だろう。
「朝飯と、あとはあの生肉か」
狼だの厄介な獣が寄ってくることもなかったが、ワイバーンが現れることも無かった。
「たまたま運が悪かったか、敢えてもう一工夫してみるのも、ってこう言うのは性にはあわねぇな、やっぱり」
ボソッと漏らしてから譲葉は東の空を見た。いずれ太陽が顔を見せるであろうそちらを。
成功
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ワズラ・ウルスラグナ
魔獣、ワイバーンか。
強者に挑みたくて気が急くが、先ずは足元から固めねばならん。
俺一人で戦うわけではないしな。
とは言え、戦う事以外に能の無い俺では寝ずの番が精々だ。
ブレイズフレイムを使って地獄の焔で火を起こそう。
この炎は俺の意思一つで延焼ごと消せる便利な代物でな。事故を気にせず篝火を焚き、周囲を煌々と照らすぞ。
無論、何者かからの襲撃が有れば攻撃手段として用い、焼き尽くす。
敢えて一部の火を消して明暗の差で姿を眩ませるのも善い。
仲間を支援するなら最低限襲撃者を照らし出せるようにしなければな。
それと、睡眠は昼の内に取れるだけ取って置く。
戦闘狂が番の最中に寝落ちる事は無いだろうが、寧ろ眠れるかが心配だ。
犬曇・猫晴
ドラゴン!名前を聞くだけでもワクワクする存在を生でお眼にかかれるなんて夢みたいだよ!
【行動】
以前居た世界での仕事を活かして寝ずの番をしよう。
夜行性で危険な動物も居るかもしれないし、警戒は怠らないように。
動物が近付きにくいようにする為にも焚き火が消えない様にも気をつけるよ。
【ユーベルコード】
念の為、日が暮れる前に落ちてた木や持ってきた縄を使って簡易的な罠を作ってキャンプ地の周りに設置しておくよ
華上・ユーディ
野営ですか?
普通の学校のキャンプと違いますから其なりにリスクを考えなくては…(考え込む牛キマイラ)
真冬も近づいていますし。
体力が持つまで寝ずの番に
交代で参加しまう。
眠たくなったら
好物の焼き餅食べながら
長期戦を乗り越すもっちぃ。
グウェンドリン・グレンジャー
私は、体力に自信があるから寝ずの番をする、わ。
あとは、双眼鏡で観察したり。
これも、一ヶ所に居たんじゃ分かりづらいから色々と場所を変えたりして見に行くわ……
……世界が違うと、星空も違うから星座で方位が測れない。覚えた。
ついでに、薪になる木も拾ってくる。
あとは……んー、誘き寄せるために肉がいる。
できれば、現地の生き物の方が、ワイバーンの嗅覚にも引っ掛かると思う。
だから、夜行性の生き物に出くわしたら、できれば撃退ではなく狩猟して確保したい。
その場合はブラッド・ガイストを使って、狩る……
「魔獣、ワイバーンか」
瞬く星々の下、ワズラ・ウルスラグナ(戦獄龍・f00245)が呟く。まだ夜は続いていた。ワズラは強者へ挑む渇望を抱えてはいたが、下準備が必要であることもまた知っていた。
「ドラゴン! 名前を聞くだけでもワクワクする存在を生でお眼にかかれるなんて夢みたいだよ!」
正確にはその亜種とかもどきとかそういった類の存在なのだが、犬曇・猫晴(人間の戦場傭兵・f01003)はどことなく瞳を輝かせ、ワズラの独言に反応し。
「一ヶ所に居たんじゃ分かりづらいから、少し移動する、わね?」
他の猟兵たちに一言断って双眼鏡を片手に歩き出したのは、グウェンドリン・グレンジャー(NEVERMORE・f00712)。
「普通の学校のキャンプと違いますから其なりにリスクを考えなくては……」
と何やら考え込んでいた華上・ユーディ(焼き餅・f02310)を含め、寝ずの番を申し出る猟兵が増えたこと、猫晴が周囲で拾った木の枝や持参した縄などで簡易的な罠を仕掛けたことで、拠点周辺の安全性は格段に上昇していた。
「……世界が違うと、星空も違うから星座で方位が測れない。覚えた」
拠点の明かりが視認できる程度に離れてから空を仰いだグウェンドリンがぼそりとこぼす。拠点側の明かりが増えているのは、ワズラの傷口から噴出した地獄の炎によるものなのだろう。
「ついでに薪も拾って……あとは……んー、誘き寄せるために肉がいる、わね」
戻る前に何かと出来ることをと考えて周囲を見回したのは、現地の生き物の方がワイバーンの嗅覚にも引っ掛かると判断したからか。まぁ、囮の肉が増えれば、獲物が引っかかる確率は上がるだろう。
「あ」
他の猟兵が仕掛けた肉は、そのままになっていた。なら、月明かりに拠点の方へと向かう獣の影をたまたまグウェンドリンが見つけたとしても不思議はない。グウェンドリンは、自身の血液を代償に黒い刻印の封印を解き。
「獣か」
「お客さんもっちなぁん」
拠点で番をしていた猟兵の幾人かも肉食と思わしき獣の接近に気付いていた。
「肩慣らしにはちょうどいい」
むしろ、過剰戦力ではないとツッコミを入れる猟兵が居ても良いぐらいであった。
「キャウン?!」
「あ」
立ち上がり、地獄の炎をワズラが放とうとするより早く、その獣が悲鳴を上げる。猫晴の設置した罠に引っ掛かったのだ。
「戦闘にはならんな、これは」
罠に動きを止められた獣の向こうにワズラはグウェンドリンの姿を認め、自身同様迎撃に出ようとしたと思わしきユーディの身体の一部はライオンの頭部に姿を変えていた。まして相手はオブビリオンでも何でもない、野生の獣だ。
「このまま挟みうちもっちなぁん!」
食欲から迂闊な行動をとった獣の断末魔が周囲に響き。
「肉は確保できた、わね」
合流を果たしたグウェンドリンは、まだ温かなそれを見下ろす。おそらく、同じようなことがあり、獣が寄ってきても、罠と豊富な見張りがある限りだいたい同じ展開を迎えることとなるだろう。それこそ、本命のワイバーンが襲撃してきたなら話は別だろうが、猟兵たちはワイバーンの位置をつかんでいるわけでもない。ここがワイバーンの行動圏外なら襲撃もあるか怪しくもある。
「やはり、大掛かりな探索が必要だな」
幸いにも拠点の安全性はほぼ確保され、下準備は終了している。
「少し眠くなってきたもっちなぁん」
ボソッとこぼしたユーディは何やら荷物を漁り、取り出したモノを木の枝で作った串にさすと、たき火の側に設置した。好物の餅である。
「これで、長期戦を乗り越すもっちなぁん」
睡魔を食欲で抑え込むということなのだろうか。焼ける餅をチラチラ見つつユーディはその後も交代を迎えるまで番を続け。
「そろそろ薪をくべないとね。あ」
火を絶やさぬように気を配っていた猫晴は気づく、東の空が白み始めていることを。
「夜明けかな?」
新しい一日の始まり。おそらくは探索開始の一日の始まりでもあった。
大成功
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第2章 冒険
『荒野の探索』
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POW : 荒野を虱潰しに強行軍で探索する
SPD : 標的の痕跡を探して追跡する
WIZ : 地形や気候、目撃情報から居場所を推理する
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拠点は確保され、猟兵たちはおびき出す手段としての肉を得た。ならばこれからなすべきは大掛かりな探索だ。ワイバーンの手掛かりを探し、居場所を突き止めろ。
荒野を虱潰しに探索するか、それとも標的の痕跡を探して追跡するか。
グリモア猟兵の少年が話していた断崖絶壁に赴いてみるのも良いだろう。目撃情報が集まれば、居場所の見当をつけることができるかもしれない。すべては猟兵たち次第なのだから。
華上・ユーディ
前は見張りをしながら
拠点を作ったもっちぃ。
次は荒野を更に進んで
ワイバーンの住みかを
発見するのよ。
体力の続く限り
強行軍を続け。
荒野周辺の地図作りをするね。
高柳・零
うん、慎重に行動してたら出遅れてしまいましたね。
ここからは大胆に行きましょう。
自分は小さいので見つかりにくい。地面を見易い。冷静に考えて戦闘特化キャラ…導き出される答えは「足で探す!」です。(脳筋思想)
そうと決まれば善は急げ。下手なメイスも振り回せば当たる。いざ出発です。
「POW+4」を使ってひたすらワイバーンの痕跡を探します。
地面に大きな爪跡は無いか、フンは落ちてないか、大型の生物が襲われた痕跡は無いか。もちろん、空にも注意しますよ。
見つけた痕跡は地図に記録します。
他の猟兵に会ったら情報交換して助けになるよう頑張ります。
野性動物などに出逢ったら無駄に多い戦闘技能を駆使して追い払います。
「ふぁ」
あくびを噛み殺し伸びをしたユーディがちらりと後方を振り返る。そこにあるのは仲間たちと作り、夜間の番をした拠点だ。
「拠点はできたもっちぃ」
なら、次は。尋ねればきっと答えたことだろう、荒野を更に進んでワイバーンの住みかを発見するのよ、と。
「うん、慎重に行動してたら出遅れてしまいましたね。ここからは大胆に行きましょう」
周囲を見回しつつ拠点から現れた高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)もまたこれから探索に赴こうとする一人。
「もし、何処かで会うことがあったら情報交換しましょう」
そうユーディに零は声をかける。
「自分は小さいので見つかりにくい。地面を見易い」
冷静に考えた結果として、足で探す事を零は選んだ。
「ワイバーンの住みかを発見するのよ!」
「他の猟兵も出発することですし、方針が決まったなら善は急げ。下手なメイスも振り回せば当たる。いざ出発です」
ぐっと拳を高くあげたユーディを視界に入れつつ、倣うように零も宣言し歩き出す。周囲の地面を視線で撫で、時折警戒しながら空を仰ぎつつ。
「あ」
そうして最初に見つけたのは、地面に広がる赤黒い染み。
「これは、血の跡……と、距離からすると昨晩他の猟兵が倒したという肉食動物の血かもしれませんね」
と、出だしこそある意味お約束だったが、更に進めば見つかるモノも出てくる。まだ肉の付いた何かに捕食された様に見える動物の骨やフンと思しきモノ、水溜まりの側のぬかるみには水を飲みに来た動物がつけたと思われる足跡が残されており。
「蹄があるようですし、猪か鹿のような動物でしょうね」
とりあえず、付近にそれなりの大きさの動物が生息していることと、捕食者の存在。
「しかし、捕食者はワイバーンの他にも居るようですし」
一つあげるなら昨晩猟兵達に袋叩きにされた獣も肉食動物なのだ。
「こう広いと一朝一夕というわけにはいきませんか、ん?」
苦笑しつつ顔を上げると、丘陵をくだった方角に足を止めて何やら描き込んでいるユーディの姿が見えた。時折顔を上げては目印になりそうなモノに目をとめている辺り、地図でも作っているのだろう。
「自分も負けていられませんね」
努力家の零はその光景に自分を奮い立たせるのだった。
成功
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犬曇・猫晴
肉が手に入ったのは良いけど、肝心の住処が分からなければどうしようもないよね。
ぼくはフェリクス君が言っていた断崖絶壁に行こう。
洞穴の近くの物陰で待機して、陰の追跡者を召喚して中を探索。
もし棲んでる痕跡があって居ないなら、昼行性の可能性が高いから、夜に寝込みを襲うチャンスがあるかもしれない
グウェンドリン・グレンジャー
お肉は用意できた……よし。
(ちょっとだけ拝借しておやつにする。生のまま)
強行軍……って言いたいけど、虱潰しは効率的ではない。
体力にものを言わせて遠くまで足を伸ばすけど、標的の痕跡も探しつつ探索する。
まずは断崖絶壁に行ってみようかな。
痕跡らしきものを見つけたら、Ebony Featherを使って至近の木や岩に目印を付けておく。
もしもワイバーンらしきものを遠景でも見かけることがあったら、影の追跡者の召喚を使って追いかける。
振りきられたとしても、方角の確認にはなる。
皆の目撃情報や痕跡の話、総合して大きな紙に書き出したりして、ワイバーンのいるところを絞りこみたい。
「お肉は用意できた……よし」
昨晩確保したお肉の塊からいくらかをおやつに失敬したグウェンドリンは生のそれを自分の荷物へとしまい込む。
「肉が手に入ったのは良いけど、肝心の住処が分からなければどうしようもないよね」
同じ肉の塊から視線を外し、嘆息した猫晴は周囲を見回してから、再び口を開いた。
「ぼくも探索に出ようかな」
既に出発した猟兵も居るが、探索者が多ければ得られる情報も多くなる。
「そう、ね。私も出る、わ。強行軍……って言いたいけど」
虱潰しは効率的ではない様に思えたグウェンドリンは、少し考え。
「あっ」
向かおうと思っていた方向へ今まさに歩き出そうとする猫晴を見た瞬間、声が漏れた。
「ひょっとして、断崖絶壁に?」
「うん。フェリクス君が言っていたし、断崖絶壁に行こうかなって」
「そう……私もまずは断崖絶壁に行ってみようかなって思ってたの」
尋ねると猫晴の口から飛び出した答えに目的地が同じであることを明かす。目的地が同じなら。わざわざ別れて行く理由も少ない。
「割とあっさり着いた、わね」
「そうだね」
グリモア猟兵の少年がわざわざ言及した場所だ。足を運んでみてはと良いながら、どこにあるのかを告げていなかった筈もなく、場所がおおよそ分かっていれば、警戒すべきは予期せぬ遭遇もしくは襲撃のみとなる。無事、断崖絶壁の見えるところまでに辿り着いた二人が眺めれば、確かに崖の中程に洞窟が大きく口を開けていた。
「あそこなら見晴らしも良さそう、ね」
遠目でも標的を見かけることが出来たなら影の追跡者を呼び出し、追跡するつもりだったグウェンドリンにとって眺めの良い場所は有りがたく。
「そうなってくるとどうやって登るか、ね」
「登って洞窟に入ったは良いけど、中にワイバーンが居たってことも考えられるよね」
だからこそ、猫晴は直接洞窟には入らず影の追跡者を召喚して向かわせるつもりであったのだが。
「とりあえずは、もっと近寄る必要がある、わね」
回り込むにしても、絶壁をよじ登るにしても遠くから眺めているだけではどうしようもなく。
「随分近づいてきたね」
「そ……これは」
猫晴へ何か言おうとしたグウェンドリンは、脇に転がって居たモノが白い大きな石でないと気づいた瞬間、Ebony Featherを使って目印を付けていた。
「これ、動物の頭蓋骨かな?」
倣って視線を落とした猫晴が周囲を見回せば、木の根にしては白すぎる細長いモノが辺りに散乱していた。
「上から落ちてきて、こうなったってあり得る、の?」
二人の居る場所は、洞窟の入り口の真下に近い。もし、この骨がワイバーンの犠牲者のなれの果てであった場合、ワイバーンが頭上の洞窟に立ち寄ったことがあるのは間違いなく。
「洞窟を調べてみるのは確定だよね」
猫晴は、物影に移動すると影の追跡者を喚び出す。
「もし棲んでる痕跡があって居ないなら、昼行性の可能性が高いから、夜に寝込みを襲うチャンスがあるかもしれない」
猫晴が影の追跡者を洞窟に向かわせる姿を視界に入れたグウェンドリンは拠点の方を振り返る。このまま調査すべきか、報告に戻り応援を呼ぶべきか、それとも自身も影の追跡者を洞窟に向かわせるべきか。悩ましい局面だった。
大成功
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ワズラ・ウルスラグナ
大凡の見当は付いたか、有難い。
洞窟の調査は間違いなく危険が伴うだろう。となれば戦狂いの俺でも役に立てそうだ。
そう言うわけで洞窟の調査に名乗り出る。
必要なのは此処が当たりかどうかの確認と、当たりだった場合は向こうに気付かれない事だな。
確証が得られるまで洞窟内を虱潰しに調査しよう。
奥もだが入り口側にも注意しつつ、もしワイバーンが存在していても仕掛けずになるべく気付かれない様に出る。
もし戦闘になればブレイズフレイムを打ち込むが、飽くまで調査だ。暗い洞窟内で使えば目眩ましくらいにはなるだろう。
決戦は改めてだ。
水心子・静柄
ワイバーンは断崖絶壁にある洞窟の何処かを棲家にしているのね。
ならあとは体力にものをいわせて洞窟を一つずつ虱潰しで調べていくわ。
まずは動物の頭蓋骨があった真上の洞窟ね。
そこじゃなければ…空を飛ぶ生物が低い位置の洞窟を使う事はないと思うから、高い位置から調べていくわ。
もしワイバーンに遭遇してしまったら何としても逃げ延びて情報を持ち帰らないといけないわ。
幸いこの体は仮初だから、いざとなったら崖を飛び降りたりするとか、グラウンドクラッシャーで地形を変えて時間稼ぎをしたりするわ。
「ワイバーンは断崖絶壁にある洞窟の何処かを棲家にしているのね」
手がかりが見つかったという情報が他の猟兵達にもたらされたのは、それから幾らか経ってのことだった。まだ先に影の追跡者を向かわせた猟兵からの続報もなく、確定ではなかったが、水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)はそう見なして洞窟に向かう準備を始める。
「大凡の見当は付いたか、有難い」
ワズラもまた表情を綻ばせ、同様に支度を始めた。洞窟の調査は危険が伴うと見たワズラにとって役に立てる場所が見つかったとも言えるのだから、顔や声に喜色が出るのは仕方ない。洞窟の調査に名乗り出た猟兵達が件の崖の下までやって来れば、確かに動物の骨が散らばっており。
「まずは動物の頭蓋骨があった真上の洞窟ね」
崖に開いた洞窟の入り口を見上げた静柄は更に視線でその周囲を撫でる。
「あそこじゃなければ……」
空を飛ぶ生物がわざわざ低い位置の洞窟を使う必要もない。静柄にとっての本命は骨の上方の洞窟だったが、めぼしい発見がなければ他の洞窟も上にあるモノから見て行くつもりであり。
「必要なのは此処が当たりかどうかの確認と、当たりだった場合は向こうに気付かれない事だな」
その前に何とかして洞窟へたどり着く必要もあったが、先行して居るであろう影の追跡者が崖の中腹で立ち往生していると言うこともないので、洞窟に至る事は可能なのだろう。実際、少し周辺を調べれば先行した猟兵か影の追跡者が通ったと思わしき痕跡が見つかり。二人は程なくして、問題の洞窟、その入り口に至る事となる。
「あとは虱潰しか」
「そうね」
二人の方針はほぼ一致していた。違いがあるとすれば、ワズラがワイバーンが存在してもなるべく気づかれないことを重視していたのに対し、静柄が遭遇してしまった場合、いかにして情報を持ち帰るかを考えていた点だ。
「入り口付近には、いないようだな。ただ、いきなり当たりとはな」
光が差し込む場所だけでなく出っ張った岩壁の影も確認してから足を踏み入れたワズラは、足下へ視線を落とす。何か大きな生き物が残したと思わしき爪痕が一対。
「飛んできて着地したなら、爪の痕が残るのは、当然ね」
先行した者もこれを見て確証を得て更に先に進んだのだろうか。
「なら、退路も考えておかないと」
まだ中に居ると決まったわけではなく、その洞窟を使ったことがあると言う痕跡でしかないが、軽く見ることは出来ず、結果としてここで二人は別れた。
「中にも骨、だな」
奥に進むのを選んだワズラは枝分かれした洞窟を更に進む。時折壁際にうち捨てられた骨はまだ肉が幾らか残っていたのか腐臭を発し。静けさを集る虫の羽音や洞窟を抜ける風の音が時折破る。
「この静けさは……ワイバーン自体は不在なのか」
小さく割けた天井から差し込む日の光を避け、更に進むと、それは確定的となる。
「ねぐらだな」
辿り着いたのは、鍾乳石がへし折られ何かが作ったであろう開けた場所。片隅に押しやられた動物の骨が山を作っていることを鑑みても間違いはなさそうであり。
「っ」
引き返そうとしたところで、入り口の方の物音をワズラの耳がとらえる。
「退路を考えていて良かったと思うべきなの、これって」
同刻、まだ小さな点でしかない何かが外から此方へ向かってくるのを静柄の瞳は映していた。今の時点なら脱出は容易い、だが、中にはワズラが居た。
「こうなってくると先行した他の猟兵は情報を伝える為に帰還するのと行き違ったか――」
ワズラが進んだのとは別の分岐の先にいるのか。
「本当は時間稼ぎ様だったのだけれど」
立てた物音が伝わっているとするなら、中にいる猟兵達にも武器を叩き付けた音は聞こえたことだろう。決戦の時は近い、そうしている間にも点に過ぎなかったそれはどんどん大きくなってきているのだから。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『ワイバーン』
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POW : ワイバーンダイブ
【急降下からの爪の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【毒を帯びた尾による突き刺し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 飛竜の知恵
【自分の眼下にいる】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : ワイバーンブラスト
【急降下】から【咆哮と共に衝撃波】を放ち、【爆風】により対象の動きを一時的に封じる。
👑17
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気まぐれか、それとも空腹もしくは疲労でも感じたのか、ソレは断崖絶壁に空いた洞窟めがけ飛翔する。未だ周辺で痕跡を探していた猟兵も空を見上げ、姿を確認したなら後を追いかけるか仲間へ伝えに行ったことだろう。洞窟の中や入り口周辺に居る猟兵にも僅かながらに時間は残されている。隠れてやり過ごし、味方と合流するか、それとも今の状況を生かし、挟みうつか。全ては猟兵達次第であった。
高柳・零
ワイバーンの向かった先に急行します。
他の猟兵を見かけたらワイバーンが向かった洞窟を教え、後の判断は本人に任せます。
「探索は苦手ですが、戦闘は得意ですよ…とは言うものの接近戦しか出来ない自分の出来る事は…」
ワイバーンの視覚に入りやすい場所に飛び出して大声で挑発します。
序でに石でも投げましょう。
遠距離攻撃をして来たらオーラ防御と武器受けを駆使して弾き、効いてないアピールをします。
「どうしました。飛ぶしか脳が無いんですか?」
ワイバーンがダイブして来たら無敵城塞で防御。
尻尾の追撃も武器受けと毒耐性で耐え、2回攻撃で反撃します。
「これがパラディンの戦い方です!」
水心子・静柄
迎え撃つ準備が出来ていないわね…ここは私が囮になって時間を稼ぐわ!
一人崖の上に登りワイバーンに身を晒すわ。
後は挑発や武器での威嚇でワイバーンの注意を引くわよ。
ただ無駄にやられる気はないわね。
地形を利用してワイバーンダイブを誘い、尾の刺突に居合を合わせて尾の先端の切断を狙う!
本体(抜身)を曝す事になるけど覚悟を決めて、仮初の体を犠牲にして捨て身の一撃を放つ!!切断出来なくても尾が傷付けられれば、次からは警戒してダイブを控えるかもしれないしね。
尾の刺突をまともに受ければ、しばらくは動けそうにないわね。体が回復するまで倒れたフリをしておくわ。
グウェンドリン・グレンジャー
ワイバーン、竜だ……初めて見た……
……刻印限定解除
Mode:Mórríganをと空中戦技能を使用し、ジャンプを重ねて追い付けないか試してみる。
もしも届かない場合でも、ギリギリまで伸ばした高度からEbony Featherをワイバーンへ投げて気を引けないか試してみる。
追い付いて組み付けそうなら、捨て身の一撃技能と暗殺技能で腰から伸ばしたMórríganを使って攻撃。
これで倒せなくても構わないし、抵抗されて落ちてしまっても構わない……
私と云う存在に怒って、地上に落下した私を追ってワイバーンが降りてくれば、攻撃の目が出てくる……
「迎え撃つ準備が出来ていないわね……」
洞窟の奥から仲間が出てくる気配もなく洞窟の外、視認出来る範囲に猟兵の姿を認められなかった静柄は自分が囮となって時間を稼ぐことを決断するなり、洞窟を飛び出し絶壁を上へと登る。目指したのは、崖の頂上。一人そこに立てば徐々に大きくなってくるワイバーンからもはっきりと見て取れるのは間違いなく。
「ワイバーン、竜だ……初めて見た……刻印限定解除」
手がかり発見の報を伝えに行っていたのか、洞窟の外に居たグウェンドリンは、見上げた空に飛翔する標的の姿を見つけ、飛び上がると、何もない宙を蹴って更に高く身体を運んだ。
「っ」
高さはおそらく申し分ない、だが、崖の上に立つ静柄を認めたことで、速度を上げたワイバーンに追いつくことは能わない。
「ガッ?!」
ただ、投じた黒い羽根はワイバーンへと届いていた。突然足に感じた痛みで姿勢を乱したのは一瞬のこと、だが攻撃を受けたことは充分に理解して視線を後方にそらしたワイバーンが見たのはじぶんの体躯からすれば遙かにちっぽけな攻撃者。眼下に居なければ、その攻撃とて予測してかわし得たかも知れない。それが出来たのは、相手が同じ高さに居たからに他ならない。
「フシャアアアッ!」
ワイバーンは怒りの咆吼を発すと翼を羽ばたかせ。
「うおおおおおっ!」
上昇しようとしたところで零が大声を上げながら石を投げつけた。
「探索は苦手ですが、戦闘は得意ですよ……とは言うものの接近戦しか出来ない自分の出来る事は……」
相変わらず足で痕跡を探していてワイバーンを見つけ、そう追いかけつつ考えた零の結論が叫びながら石を投げる、だったのだ。
「状況が変わったわね」
新たな邪魔者に怒り狂うワイバーンの姿は崖の上の静柄からも見えていた。これなら、時間稼ぎは充分に可能だろう。もっとも戦場は崖の上ではなく、崖の手前上空というやや前方と言うことになってしまっていたが。
「ここで挑発をすることも出来るけれど」
実際に傷を付けたグウェンドリンを無視してワイバーンが自身の方にやって来るとは静柄も思いがたく。
「加勢ですか、ですが……」
自身の本体である脇差の刀身を晒してでも一撃を見舞う覚悟はしていたが、その姿を他の猟兵に見られるというのは、静柄にとって想定外。憂鬱になってもしかたの無いことであり。
「フシュオアアッ!」
ワイバーンの咆吼にそちらを見れば、グウェンドリンに組み付かれたワイバーンが身体についた異物を振り落とそうと出鱈目なアクロバット飛行を繰り広げている所だった。
「どうしました。飛ぶしか脳が無いんですか?」
そんなさなか、足下からは零のヤジが飛ぶ。足を使ったお陰か、投擲用の石はそれなりに豊富にあった。流石に味方に当たる可能性があるこの時にとばせるのはヤジのみであったが、ワイバーンからすれば鬱陶しいことこの上ない。
「フシュアアアッ!」
振り落とせないならせめてお前だけでもとワイバーンは零めがけ急降下してくるが、零にとってそれは望むところだった。
「ガ?」
全身を超防御モードに変えた零は爪の一撃をものともせず。
「今更退けません、ハッ!」
続いて零へ襲いかかろうとした毒を帯びた尾へ鞘に収めた我が身を抜いて静柄が斬りかかる。捨て身の攻撃だった。
「ギシュアアッ」
尾を傷つけられたワイバーンは悲鳴をあげ、身体に刺さった大きな翼のようなモノで固定されたグウェンドリンをくっつけたまま上空に逃れようとし。
「逃がしませんよ!」
メイスとバスタードソードを手に零が反撃に移る。
「ガッ、ギャアッ」
悲鳴は二度上がった。だが、手傷こそ負ったもののワイバーンは力尽きて地面に落ちることなく空へと逃れる。
「あれに懲りたなら、もうダイブはしてこないかも知れないけれど」
上空を見上げ、静柄はポツリと呟いた。
大成功
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中村・裕美
「…これが……この世界の脅威」
ワイバーンの姿を見て恐ろしくはあるが、自分が傷つけられる前に排除せねばという気持ちもある。
「……降りかかるかもしれない…火の粉は……振り払う。」
電脳空間を展開させ、ステルスボムで攻撃するが、その際にドラゴンランスのドラゴンを自分のそばに羽ばたかせ、このドラゴンで何かするのではないかと思わせて【だまし討ち】
「…目に見えるものだけが……全てではない。……予想…できたかしら?」
多彩に攻撃手段を見せることで、敵が予測しないと行けない攻撃パターンが増えて、味方が新しい攻撃する【時間稼ぎ】になるかも?
犬曇・猫晴
拠点に戻ってる途中にワイバーンを見かけたから急いで帰ってきたよ
あっははぁ、もう戦いは始まってるみたいだね。
真っ向から攻撃を受けるなんてぼくには到底出来ない、憧れるね。
一応窮地に立たされた時の為に亡霊にはスタンバイしておいてもらおう。
ワイバーンの動きをしっかり観察して、向かってくる脅威は確実に避けて行こう。
攻撃するチャンスがくればアサルトウェポンを構えて、狙うは傷を負った尻尾。傷口をえぐられるのは辛いだろうけど、ぼくらの関係上諦めてね。
雨宮・冬華
出遅れました!うーん、お空に逃げちゃいましたかぁ。……届くかわからないけど、七星七縛符を使ってみるのです。
それで、届かないようなら挑発してみるのですよ。
ワイバーン、竜の亜種って言っても弱虫なんですね。あ、人の言葉を分からないくらい低能でもあるんでしょうか。
目立つ動きを取って、少しでもワイバーンが注意を引いたら攻撃します。
私、派手な格好してるから気づかれやすいと思うんです。
「悪いワイバーンをやっつけて、初陣を白星で飾るのです! 謹請し奉る、降臨諸神、諸真神。我に魔を撃つ力を与えたまえ。闇を祓う力を与えたまえ……」
たおせないにしても、下降させるヒントを探したいですね。前向きに生きるのです!
華上・ユーディ
はわわ、初めてのドラゴン…ワイバーンですぅ。(涙)
ここで退いたら教師失格です。
味方の猟兵さんが来るまで
耐えしのぐですよ。
pow勝負でワイバーンに戦いを挑むもっちぃ。
騎乗出来るスペースがあるなら
スターバイクの虎鉄丸に搭乗し。
機動力を活かしながら
ワイバーンに接近。
出たとこ勝負で。
降りてきたワイバーンに、
トリニティ・エンハンスを発動
powe属性を強化して
ダメージを与えるとです。
はう~、恐いけど頑張るしか
ないよう☆ミ
水心子・静柄
体の損傷を覚悟していたけれど、他の人達のおかげで戦闘は継続出来そうね。でも流石に私は警戒されたかしら?
それなら皆も集まって来た事だし、私は地形を利用してワイバーンの死角になるように崖を登って、崖の上から機会を待つわ。
野生の生物だから追い詰められれば逃げる…そう私の勘が言っている。
逃げる為に飛び立つ瞬間を狙って崖からダイブ、鞘の重さ(踏みつけ)を加えたグラウンドクラッシャーを頭部に喰らわせてやるわ!(捨て身で覚悟完了)
これで倒せても倒せなくても、後は他の人達が上手くやってくれるわ…(アイキャンフライ)
イヴ・ハルゼンヌ
うぃっす!
初めての依頼頑張るぜ。
え~と、迷子になった猟兵の
先生探しに来たらここに来たんだけどな(苦笑)
兎も角…被害がこれ以上出ないよう戦うぜ。
地形を考え、
高いところを探し。ワイバーンを射撃出来る所で戦闘開始。
味方猟兵の援護射撃をするぜ。
SPDを生かしUIは千里眼射ちを
併用しながら弓で攻撃。
防御にはSPDでの見切りで
回避を狙う。
竜を相手だからかなりの量の矢をつがえる必要あるけど…
何とかなるか。
ワズラ・ウルスラグナ
おう、漸く出会えたな愛しき敵よ。
お前と戦う為に何日も掛けてやって来たのだ。
さあ、俺と殺し合え!
技能は全て使う。元より全てが戦闘の為に有る。
飛ぶなら空中戦で応じ、仲間と共闘するならかばい守る。
攻撃を受けようものなら激痛を耐え、捨て身で反撃を試みる。
堅い鱗も鎧砕きとドラゴニアン・チェインで爆破し、そのまま繋がった鎖を怪力で引いて地に叩き落とす。
地に落とせないまでも鎖が繋がれば怪力と空中戦で喰らい付き、地に落ちるまで何度でも打ん殴り爆破する。
悪いが血を吐こうが毒に侵されようが逃がす気は無い。
ワイバーンの力を俺に見せつけてくれ。
「……これが……この世界の脅威」
無表情ながらも足を竦ませる様が、中村・裕美(多重人格者の電脳魔術士・f01705)の感じた恐怖を如実に現していた。手痛い教訓を貰い、ワイバーンも猟兵達から空へと逃れたわけだが、健在なのは間違いなく、翼を持つ大きな体躯に恐怖を覚えてもおかしな所は何もない。
「……降りかかるかもしれない……火の粉は……振り払う」
むしろ自分が被害を被る前に排除したいという気持ちが裕美へ電脳空間を展開させた。
「あっははぁ、もう戦いは始まってるみたいだね」
そのまま裕美が攻撃に移ろうとした瞬間、後方から声が聞こえた。拠点に戻る途中でワイバーンの姿を見かけ、追いかけてきた猫晴が戦場にたどり着いたのだ。
「真っ向から攻撃を受けるなんてぼくには到底出来ない――」
遠目にもここまでの戦闘は見えていたらしく、憧れるねと続けると猫晴は戦場の亡霊を呼ぶことも視野に入れる。ワイバーンの攻撃を見て、窮地に立たされる可能性もゼロではないと踏んだのだろう。
「体の損傷を覚悟していたけれど、他の人達のおかげで戦闘は継続出来そうね」
そんな猫晴が向けた視線の先に居た一人である静柄は流石に私は警戒されたかしらと小さく唸る。手痛い教訓をワイバーンに与えた張本人なのだ。
「出遅れました! うーん、お空に逃げちゃいましたかぁ」
丁度上空を仰ぎつつ現れた冬華を含む増援の衛兵達を見て、それなら皆も集まって来た事だしとその場を去る。向かったのは、先程立っていた崖の上だ。
「おう、漸く出会えたな愛しき敵よ。ん?」
途中、洞窟の入り口で嬉しそうにワイバーンへ呼びかけるワズラと再会し。
「先程の物音はお前だな? 助かった」
ワズラは静柄に礼を言って、そのまますれ違う。ワイバーンの元に向かうのであろう。
「更に追加の戦力、ワイバーンはどう出るかしら? 」
野生の生物だから追い詰められれば逃げる、そう静柄の勘は告げ。予定は変更せず、地形を利用してワイバーンから見つからないよう崖登りを再開する。
「え~と、迷子になった猟兵の先生探しに来たらここに来たんだけどな」
ワイバーンの死角であるからこの時の静柄は知るよしも無かったが、戦場には更なる猟兵が到着していた。うぃっすと周囲のメンバーに挨拶したイヴ・ハルゼンヌ(エルフのアーチャー・f06540)は予期せぬ状況に苦笑する。この時挨拶した面々には先生こと結構な量の地図を抱えてこの場に辿り着いていたユーディの姿もあった。
「はわわ、初めてのドラゴン……ワイバーンですぅ」
何だか涙目だったりするが、それはそれ。
「ここで退いたら教師失格ですもっちぃ」
教師としての自覚故か勇気を振り絞り、スターバイクの虎鉄丸に跨るとエンジンを吹かす。
「……設置……完了。……起爆」
「グギャアアッ?!」
キッと涙目で見つめた先のワイバーンが爆破され悲鳴をあげたのは、丁度この時。
「……目に見えるものだけが……全てではない。……予想…できたかしら?」
竜騎士の槍に変ずる小さなドラゴンを近くに置き、そちらに注意を向かせた上で裕美が見えない爆弾を起爆させたのだ。さらに猫晴も攻撃のチャンスと見て絶響の銃口を上空で姿勢を乱したワイバーンの尾に向ける。
「傷口をえぐられるのは辛いだろうけど、ぼくらの関係上諦めてね」
敵なのだ。むしろ、この期を逃さないのは他の猟兵も同様であり。
「今ならたぶん届く筈なのですなのです!」
若干高度が下がったのを見て、冬華が護符を投じる。髪を何本も引き抜かれ黴びた食べ物の様にじめっとしてしまった記憶の中の誰かの為にも、冬華は負けるわけにはいかなかったのだ、きっと。
「悪いワイバーンをやっつけて、初陣を白星で飾るのです! 謹請し奉る、降臨諸神、諸真神。我に魔を撃つ力を与えたまえ。闇を祓う力を与えたまえ……」
その悪いワイバーンが猟兵達に寄って集って袋叩きされてる可哀想な子に見えるのは気のせいに違いない。護符に捕縛されたワイバーンは悲鳴をあげ、軽いパニックに陥りながら更に高度を下げ。
「さあ、俺と殺し合え!」
「フシュゴアアアッ?!」
漸く戦場にたどり着いたワズラが放ったドラゴンオーラでワイバーンを爆破するとオーラの鎖で互いを繋ぎ引く。殺し合うどころかもうこの時点でワイバーンはもつ力を封じられて割と一方的な展開なのだが、ワイバーンは強敵の筈なのだ。きっとまだ一矢は報いたりしてくれるに違いない。
「援護するぜ!」
「ギャアアアッ」
そこにいつの間にか木の天辺近くまで登っていたイヴが弓を引き絞り矢を放つ。翼の皮膜に穴を穿たれたワイバーンは空中で大きく傾ぎ。
「はう~、恐いけど頑張るしかないよう」
ユーディは虎鉄丸を駆り助走をつけると、戦いの余波で斜めになった木の幹を駆け上る。再び涙目で自身を強化すれば即席のジャンプ台から飛び上がり、ワイバーンへ突撃する。
「もっちぃぃぃ!」
「先生」
ユーディの勇姿は木の上にいたイヴからもはっきり見えていた。
「これは、想定より味方の攻勢が激しいわね」
逃亡に備えて崖の上まで登り切った静柄からも。もう、この場所に居るより戦場に戻って加勢した方が早いかしらと考えさせる程の状況ではあったが。
「グ、フシャアアアアッ!」
「悪いが逃がす気はない」
強者であるドラゴンの亜種と言う意地か、ユーディの突撃で完全に姿勢を乱し、チェーンを引っ張るワズラの怪力に抗えず墜落し始めたワイバーンは護符の拘束を振り払うと、咆吼と共に衝撃波を放った。墜落の勢いを急降下のかわりとしたらしい。
「それでこそだ! もっと、ワイバーンの力を俺に見せつけてくれ」
「フ、フシュオオオゥ」
衝撃波をモロに受けつつも何処か楽しげにワズラは笑んだ。もっとも、ワイバーンの方は墜落のダメージで地面をのたうち回っていたのだが、視線を上空に向けたまま衝撃波で動きを封じられてしまったワズラにとって、その残念な姿はきっと視界に入っていないないのだと思われた。起きあがったワイバーンが自分を地に引き摺り落とした小癪な存在へ相応の報いをくれてやると襲いかかってくると考えていたのかも知れない。
「何とか間に合ったわね」
「あ」
聞こえた声に猟兵の誰かが目をやれば、イヴの様にいつの間にか木の天辺に登った静柄は鞘に入れた脇差しを振りかぶり、そのままワイバーン目掛けて飛び降りる。
「フシュアアアアッ」
ワイバーンは見ていた。木の上から飛び降りた小さな何かがドンドン大きくなりながら迫ってくるのを。それが視界をしめる程大きくなったと思った瞬間、衝撃が襲い。意識ごとその頭部を粉砕される。
「今のは? いや、それよりも身体が動く。続きだ、存分に――」
ワイバーンが滅びたことで、些少なりとも動きを封じる力が弱まったのか、戦いを望むワズラの意思がはね除けたのか。視線を地面にやったワズラはそこで見た。頭部が完膚無きまでに破壊されたワイバーンの骸を。
「ええと、ごめんなさい」
何処か決まり悪そうに静柄はワズラに頭を下げ。
「先生、大丈夫か?」
「星が回ってるもっちぃ」
茂みに頭から突っ込んで生えているユーディを木から下りたイヴがつつく。
「……これが……この世界の戦い」
たぶん、違うと誰かがツッコミを入れるべきか。
「ともかく、被害はもう出そうになくてよかったぜ」
何とかユーディを救出し一息ついたイヴは空を仰ぐ。そこにもう空の脅威の姿はなく真っ白な雲が風に吹かれて流れているだけであった。
大成功
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