この地を侵す者がいる。
守らねばならぬこの地に近付く者がいる。
ならば、潰すのみだ。
白銀は猛る。
「ふぅうおおおお!! どっらごーん!」
流れ着いたさ迷える魂がその作られた体で、白銀に応えるように乾いた山を揺らして見せた。
●
「幻の群竜大陸への手がかりだ」
長雨は髭を弄びながら、告げる。
「クラウドオベリスク、なんていう、この世界中に存在する柱が群竜大陸への道を閉ざしている」
聞いたことがあるかも知れないし、その柱へと向かった者もいるだろう。
彼は、各地に眠る勇者伝説から紐解いたその柱の一つがある場所を特定していた。
「火を喰らう山」
住民には、そう呼ばれている、火山だ。
死火山ではなく活火山。地脈の関係か、クラウドオベリスクの影響か、この山は良く火を吹き上げるという話ではあるが、しかし、少し離れた場所に住む住民たちは、噴火の被害に遭ったことがないという。
「まあ、山に住む守り神が、山の火を食べてくれている、だそうなんだけど」
住民は、その山に住む守り神を、火山の被害から守ってくれている、という。
中腹まではただの山だが、ある地点から、まるで線を引くように、神域であることを示威するように、背の高い草や木が生えない。
山に籠る火炎の魔力のせいだという話だが、重要なのはそこではなく。
中腹より上までに魔力と噴火を止め、その魔力を己が力としているのが、クラウドオベリスクを守るオブリビオンだという事実だ。
「信仰する彼らには申し訳ないが、神域に立ち入らせてもらおう」
そこに邪悪があるのだから。
と言いのけた後、思い出したように付け加えた。
「ああ、熱中症には、気をつけて」
おノ木 旧鳥子
おノ木 旧鳥子です。連戦シナリオです。
少しギミックがあります。
●第一章
🔴の数だけ地形が破壊され次の章からの判定に少しマイナス補正がかかります。
敵味方による地形破壊を防ぐプレイングがあれば軽減されます。
●第二章
場の火の魔力を喰らい、使用する『火の精霊』との戦闘です。
🔵の数から🔴の数を引いた🔵数だけ、第三章へマイナス補正がかかります。
火の魔力を減らす、もしくは場の炎に対処するプレイングで軽減されます。
●
ギミックはプレイングの足掛けとしてお考えください。お好きにプレイングお願い致します。
全体の描写として、戦闘を主体として描写します。
判定使用以外のUCも可能であれば描写致します。
また、アドリブ部分が多くなると思われます。ご了承下さい。
それでは、宜しくお願い致します。
第1章 ボス戦
『『竜魂のゴーレム』ボゥ・バー・フー』
|
POW : 超無敵・竜神モード!(デウスエクスマキナ)
【内なる竜の魂を完全に開放した状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : ドラゴンアタック!動いちゃダメだからね!
単純で重い【竜の膂力を込めた体当たり】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ : ドラゴンロア!大声出すの楽しーっ!
【物さえ破壊する、竜に似た咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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●
「ん! よーこそーっ」
踏み入れた溶岩が冷え固まった土の大地。火を喰らう山の神域にそれはいた。
「ていっても、僕の家じゃないんだけどっ」
ソレは幼子の姿をしている。
息をするにも汗を流すような熱の中。
暑くは無いのか、と問わずには入られない毛皮のコートに身を包んだソレは、あどけない表情で、あり得ざる声量で、視線の意図する問いに敏く答えた。
「熱くなーい、ゴーレムだから!」
そして、指を指すのは山頂、猟兵達が目指す場所。
白銀の竜が座す場所。
「ゴーゴーゴーレム、ばすたーどらごーん、だよ!」
だから、とソレは無邪気に振り返り、明確に立ち塞がった。
猟兵達の反応から、その目的を悟ったのだろうか。耳を破らんばかりに、ソレは大きく、その小さな体の力強さを象徴するかのように、声を張り上げる。
「ここは、とおさんぞー!」
ナミル・タグイール
神域な火山にゃ?いかにもお宝とかありそうデスにゃ!
…うるさいにゃ!見てるだけで暑いにゃ!
サクッと倒してお宝探すにゃー!
守るのは苦手にゃー。壊すのは得意なんだけどにゃ。
作戦は突撃にゃ!チビ相手でも手加減せずに斧でザックリにゃー!
地形が破壊されないように攻撃は全部受け止めるにゃ。気合にゃ!
相手が竜神モードになったら狙われないよう立ち止まってからUC使っちゃうにゃ!
呪いの金ぴかパワーで動きを遅くしたら攻撃タイムデスにゃ。
斧が纏う【呪詛】で相手の魂ごと攻撃してやるにゃ!
超耐久力があっても魂まで強くなってるにゃ?
動き出す前にいっぱいザックリして魂ぶっ壊してやるマスにゃ!
・何でも歓迎
だうわーああ!
と、声を出せる事自体が楽しいとでも言うように、そのゴーレムは大空に大声を張り上げている。
「見てるだけで暑いデスにゃー」
ナミルが前傾し、その黒い毛並みを揺らせば、纏う装飾がしゃらりと音を響かせるように黄金の光を照り返す。
両の手に構える斧は、その左目に映る黄金と同じ光を湛え、今か今かと振るわれる瞬間を待っている。
「いっくぞー!」
とゴーレムが叫ぶ声と同時。ナミルの足が荒れた地を蹴り飛ばした。
「よーぃ、どん、だ!」
少し遅れ、ゴーレムの足が大地を震わせる。
跳躍。砲弾の如き速度にて吹き飛んでくるその小さな体の放つ予感は、弱弱しいものではない。恐らくその重量も、その膂力に似合う重さだろう。
「知るか、にゃ!」
だが、そんな事には臆さず、ナミルは足を緩める事無く、一度の跳躍で山の緩やかな斜面の上を駆け下りたゴーレムの拳へと、斧をぶち当てた。
ナミルは、守るのが苦手だ。
ナミルは、壊すのが得意だ。
ならば、これが一番だ。斧の刃と飛び込んできた幼子の拳のぶつかり合った衝撃が、地面を割り、更に行き場を失い、周囲へと風となって荒んで消えた。
「……っ! 馬鹿力にゃ……!」
弾かれた斧の衝撃を和らげるように、握りなおしたナミルの髭を衝撃の引き戻しの風が揺らす。
「ふう! お姉さん強いねえ!」
「うるさいにゃ」
ナミルが斧を握りなおすその間にゴーレムは衝撃に乗って少し離れた所に着地していた。驚いたと声を上げるゴーレムに、うんざりと耳を垂らして返す。
「用があるのは、いかにもお宝がありそうな山の上にゃ」
「だめー! ボクが先に行くんだから!」
叫んだゴーレムは、全身から青白いオーラを滾らせて身を深く沈めた。
全身と瞳に輝くその光は、明らかに強力な力の零れ火だ。
一瞬、その場が静まり返る。
動けば、事態が急転する。そんな確信を思わせるその一瞬は、すぐさまに崩れ去った。
先に動いたのはナミルだ。
「そ……っいやあ!」
いや、正しくは、ナミルの周囲へと浮かんだ金色の塊が、と言うべきだろうか。
まるで中空から砂金を作り出し、それがひとりでに歯車へと形成されていくような光景。純金の構造が風化する光景を逆再生するかのような光景。その中でがちりと噛み合った歯車が動いた瞬間に、ゴーレムの足は大地を蹴っていた。
強化された脚力が、その矮躯を打ち放つ。もはや目で追うことも困難なその速度に、輝く歯車の光に囲まれたナミルは、その動きをまるで時間が遅くなったかのように見つめていた。
それは、達人の間合いにて発生する時間間隔の拡張か。それとも走馬灯か。
「そのまま」
否、それは呪いだ。
黄金の歯車の群れ、その輝きに触れたゴーレムへと放たれた呪詛が、その流れる時間を遅延させている。
「止まってろデスにゃ」
先程の拳とかち合った一撃は、拮抗させゴーレムの拳を受け止める為の一撃。ならばこれは、相手の魂へと響かせる攻めの一撃だ。
さながら、目を開けるかのように、金色の斧に光が宿る。ナミルの右眼と似た怪しく輝く紫の光が、呪詛を秘めて斧を包み込む。
体を捻る。
ゆっくりと動くゴーレムは、少しずつその速度を上げている。この呪詛もそうはもたない。
相対的に加速した世界の中で、漸く斧の一撃に気付いたのかゴーレムが拳の行き先を変えようとする。だが。
「遅いにゃっ!」
全身全霊の一撃を浴びせかけるには、十分すぎる時間だった。
大きく振りかぶった鈍重な一撃に、遅延の残る時間の中にも拘わらず、ゴーレムの体は猛烈な勢いで吹き飛んでいった。
成功
🔵🔵🔴
御剣・刀也
竜使いか?
良く分からんが、邪魔をするなら斬り捨てるのみだ
竜神モードになったら緩急の動きでゆったり動いて隙を見つけたら一気に距離を詰めて捨て身の一撃で斬り捨てる
ドラゴンアタックは見切り、第六感、残像で攻撃を受け流すか、避けるかして相手の身体が泳いだところをカウンターと捨て身の一撃で斬り捨てる
咆哮を出そうとしたら、咆哮を出される前に竜の上あごと下あごを日本刀で貫いて声を出せないようにする。間に合わないならアッパーカットで咆哮を出そうと開いた口を強引に閉じる
「竜と闘えるとは。これ以上ない幸運だ。来い。戦場では俺は死人。死人は死を恐れない。俺の命を食らえるもんなら食ってみろ!」
吹き飛んだゴーレムの体から立ち上っていたオーラが立ち消え、小さな体は立ち上がる。
「ふえー、すっごいなあ」
剛撃に拉げた体は、瞬く間に服の下で定位置へと戻り、その五体を揃えてむうん、と腕を組み悩む素振りをする。
戦場にあるまじき、警戒の無さだ。
「あれ」
側方から虚を突くように影を揺らめかせた剣豪の一刀が、その人形の首を狩らんと振るわれる。
だが、その刃は剛拳の衝撃と共に弾き上げられ、その頭上を逸れて過ぎる。
「普通だ」
「……っく!」
隙に、距離を一気に詰めた刀也の一撃は、時間遅延の呪いの解けたゴーレムによって強引な回避をされる。打ち上げられた刀を握る腕が痺れを走らせている。
咄嗟に、腕を動かさねば、刃ごと骨を砕かれていたかもしれない。強いと、刀也の脳裏に寒気が舞う。
「っ、ハ……ッ」
背筋を貫くような、そんな気に刀也は笑みを浮かべていた。小さな体の動きは、しかし拙くはない。その体に何が宿るのか。
「竜か」
もしくは、そうと呼ばれるほどに強大な存在か。浴びせるように、突進してきたゴーレムに刃を合わせる。
退くという選択肢はない。それは、至近距離からの攻撃にそれしか出来なかったという意味ではなく。意志としての選択肢だ。
刃を握り、敵の眼前に歩み出たのなら、死んだものと思え。自分に言い聞かせるように体を圧し潰さんという勢いのゴーレムの体を防ぐ。
死兵は死にゆくのみだ。ならば、死を恐れる必要もない。
「お、ぁ!」
刃を砕かれ、その切っ先とゴーレムの膂力によってひき肉と化す、そんなリスクごと刀也の刃はゴーレムの体を裂いていた。
剛剣ならぬ、柔剣。己が真とする剣筋ではないにせよ。
「通るっ」
並外れた力を持とうが、刀也の剣が敵う相手なのだ。空中で体勢を崩したゴーレムが、地面に罅を開きながら激突する。
半身が埋もれた状態で、ゴーレムはその幼く見える手足を動かし。
「……っもう!」
癇癪を表すように声を上げ、大きく息を吸い込んだ。と同時に体をまたもオーラが包み込んでいく。
その身に宿るのが竜なのであれば、その声は竜の轟砲に匹敵するだろう。
足を滑らせるように、距離を詰める。まさに、その声が放たれんとした瞬間、その顎へとしたから突き上げるように刃が、頭蓋を貫通していた。
「……っ」
だが、痛みなど無いとでも言うように、貫かれた刃が更に体を裂くのも厭わず口が開かれ。
更にその矛先を逸らそうと、掌底がゴーレムを撃つ前に。
「が、ぅあ、――ッ」
音とも言えぬ、可聴域を超えて空気の壁となった衝撃波が間近の刀也へと浴びせかけられた。
全身が鉄球をぶつけられたかのように鈍い痛みを発し、肌のいたる所に内出血のあざが浮きだしてその傷を示す。
耳に何重も布を詰めているかのように、拾う音がくぐもっている。鼓膜が破かれたか。左目が晴れているのか。ぼやけた視界に刀也は、確かに振りかぶる己の腕を見る。
「……ああ」
痛覚の信号に刹那触感を失った刀也は染みついた癖のままに体を動かしていた。痛みが思考を阻み、傷が感覚を削っている。
ここに立つ己は何か。
死兵は死にゆくのみだ。ならば生きている証に気を向けるな。
落された死人の一閃が、ゴーレムの肩から足までを一直線に裂いた。
苦戦
🔵🔴🔴
トリシュ・リグヴェーダ
「やー…周りの地形を壊すダメ。命令を理解な」
槍を握りしめてテコテコと山を登ってきたトリシュ。
相手はゴーレム、つまりは純粋な生物ではなく元は物であるという事に親近感を抱きつつ。
「動いちゃダメ…分かりました。トリシュは動かないです」
敵の言葉にすら律儀に従うのは元が他者に使役される道具であったが故。
それに敵の攻撃を受け止めないと地形が削れてしまう。
それならばとトリシュは両の瞳を閉じヨガのポーズをとって脱力、瞑想する。
「静む水面に波を立たせず…その心、鏡の如く…な」
水面に照りつけた光が反射されるように、トリシュに叩きつけられた衝撃は、額に開いた第三の瞳から【捨て身の一撃】として相手に跳ね返される。
それが動く理由はなんだろうか。
トリシュは、凡そ人間であれば、卒倒し絶命するだろう一撃を受けても尚、目の前の敵を排除しようとするゴーレムに、かつて道具であった己を重ね見ていた。
「命令は」
少女の眼に、刃を振り下ろした後に地面へと倒れる男の姿が映る。脳を揺らされているのだろう。気を失う時間は短いだろうが、それと傍のゴーレムの攻撃に全身を砕かれるの、どちらが早いかは明白だ。
「壊すな、な」
今振り下ろされんとしているあの拳が、このまま放たれればそこにいる男の体を貫いた衝撃が地面を砕き割るだろう。
それでは、麓へと転送させたグリモア猟兵の指令に反する事になる。
故に、トリシュは握る朽ちかけた槍を握り走っていた。走り慣れていないのか、どこか覚束ない足取りでの突進は、しかし、竜のオーラに半暴走しているゴーレムの意識を引くことは出来たようだ。
「ぁお」
オーラを纏う四肢の力に押し出されたゴーレムの体は、瞬く間にトリシュの眼前へと到達し。
「おっと」
唐突に蹴躓いたトリシュの後頭部の上を猛烈な速度のままに跳び抜けていった。
「避けないでよー! 動くの禁止っ!」
岩へと着弾したゴーレムは埋まった足を引き抜き、避けたつもりのないトリシュへと、ぷんぷんと憤慨していた。
「んー……」
悩む。
先に指示された一の命令は、地形を壊さず敵を倒せ。
そして、今下された二の命令は、動くな、だ。
道具としては、指示には従っていたいのだ。が、それは両立できる指示か? 否か?
「ふむむ、分かりました」
立ち上がるのは命令違反だろうか。
しかしそれを問い掛けるわけにもいかず、一先ず転んだ姿勢から上半身を起こし、安楽座の姿勢を取る。
「では、トリシュは動かないです」
「……むむ」
瞼を閉じて、さながら眠るように全身の力が抜けていくトリシュに、ゴーレムは少し唸ると様子を見るように、じっと数秒トリシュを見つめ。
俄かに吹いた風に、トリシュの色の違う髪の一房が水色の中で揺れたその瞬間にゴーレムの体が発射された。罅割れていた岩の傷を深めながらも、その幼子の姿をした弾丸は、トリシュが瞼を開く間もなく、その安楽座をかいた彼女へと至る。
ゴーレムの重い体が轟然と純粋な運動エネルギーに宙を奔る事によって齎される被害は、周囲に散った地割れや砕けた岩によく見えるだろう。
ならば、トリシュのような少女がそれを受ければどうなるのか。一目瞭然だ。
五体満足、変わりなく彼女はそこに座っている。
まるで、彼女の体をすりつぶしただろう衝撃が全てどこかへと消え去ってしまったかのように。
ぶつかったゴーレムの体が空中に留まり、地面へと落下するほんの僅かな間に。少女に変化が起きた。
さて、一の命令、二の命令を両立する事は出来るのかという疑問への答えが、これだ。
すなわち、動かず倒すのだ、等と言う考えも無い。示された先に、意思も無く到達するのみ。
瞑った両目の中間少し上。いつもは前髪で隠れた額の中心で、眼が開いていた。
第三の瞳。波の一つもない、水鏡の如き瞳。それは、裏があれば表があり、消えれば現れる。自然の流転を即座に体現する。
瞬間、その瞳の奥底から衝撃が爆ぜた。
それは、本来トリシュが被っていたゴーレムとの衝突事故の威力そのものだ。
「や、……」
あまりの衝撃に少女の細い首が後ろへと押され矛先が真上へと向けば、その衝撃を受けたゴーレムが真上へと吹き飛んでいった。
ああ、どうして物は動くのか。
「うごいてしまった……な」
ぼんやりとした表情のままに、小首を傾け失敗を嘆く素振りをしながら、打ち上がったゴーレムの影を開いた双眸で追いかけていた。
大成功
🔵🔵🔵
六代目・松座衛門
「悪いけど、君の先にあるオベリスクに用があるんだ!突破させてもらうぞ!」
正面から目的を宣言して、戦闘に参加する。
UC「黒雨」で、相手の上空を移動し、攻撃方向を上に向けさせることで、地形破壊を最小限にしつつ、反撃の機会を伺う。【フェイント】
「この時を待っていた! 二ノ型 手繰り討ち!」
『ボゥ・バー・フー』のUC「ドラゴンアタック」に対し、UC「二ノ型「手繰り討ち」を発動! 相手に糸を結び、正面から人形による高速突進攻撃を喰らわせる!【ロープワーク】【早業】
「まだまだぁ!」
もし、味方に隙が大きな技を仕掛ける場合、その技が成立するまで、人形で敵を押え付け、援護する。
アドリブ、連携歓迎。
「これは、不味いか」
凄まじい衝撃に呑まれて上空へと打ち上がったゴーレムを見上げ、松座衛門はその濃い茶の眼を窄めた。
見上げる猟兵と、見下ろすゴーレム。ならば、ゴーレムの次の行動は想像に難くない。
狙い打ちだ。
上空からの打ち下ろし。猟兵を狙えば当然、その直下の地面にも直撃する。その被害は、地面に平行に放つものとは比べ物にならないだろう。
腕を手繰る。
空から落ちるゴーレムのまた、その上。手の指に纏う糸の動きに、天駆する影が躍る。
「ぁ――っ!」
攻撃を、視線を誘うように舞うその影に向け、ゴーレムの咆哮が大空へと打ち放たれた。その直前に、松座衛門が引いた糸を伝わった動きが上空で走るそのからくりへと伝達されていく。
人型であったからくりは、今は獣じみた強襲形態へと変じて四つ足が蜘蛛糸の如く張り巡らされた絡繰糸の上を踏む。
糸の交わり。弛み、反動。その全てが重複し、作用しあい、地面からドーム状に展開された糸の空間を息つかぬ獣の俊敏な動きが跳ねまわっていた。
放たれた咆哮。猛烈なる音の壁が糸を震わせ、撓ませ、揺らす。
「……暴れる、かっ」
制御の乱れる音の暴風の中で、糸を張り詰めながらしかし巧みに咆哮の直撃を避け抜いた絡繰りは、背中から地面へと叩きつけられたゴーレムの衝突音に乗るかの如く、跳躍して糸を手繰る松座衛門の元へと戻り来た。
ふう、と糸から伝い来た振動の嵐に痺れた手を開閉しながら、巻き上がった土煙の中で揺らぐ影の動きに視線を定めていた。
瞬間、煙が渦を巻く。
空気が何かに吸い込まれるようなその動きに。
「もう、十分に見た」
咆哮の予兆。砂ごと吸い込むのは作り物ゆえの強引さだろうか。広げた両腕の先に絡む糸が張り詰めて、吸い込まれた空気が砲弾となって放たれる直前、絡繰りの獣が再び上空へと跳ねた。
放たれる轟砲がそれを追い、斜めに軌道を逸らされて、声が放たれた。それは攻撃の意思を持たぬ、しかし、戦闘の意志を滾らせた幼子の声だ。
「お兄さんだ! もう、分かったもんね!」
爆散したかの如く晴れた土煙の中で、ゴーレムがその双眸を松座衛門へと定め、自らの体を弾丸と化す。
人形を操り、そちらへとゴーレムの意識を向けさせ続けた松座衛門は、自らに迫るそれを正面から見据えていた。
「悪いけど」
宣言を放ち、彼は糸を繰る。
撓み、緩み、絡まり。足場としては張り詰め直さねば機能しないだろう周囲へと巡らせた糸を一斉に、収束させる。さながら綾取りの締めの如くゴーレムを中心に集った糸は、突進の威力を削ぎ、そして、導きとなる。
「突破させてもらうぞ!」
咆哮の誘導に跳び上がった絡繰りが、松座衛門の脇を擦り抜け凄烈に唸りを上げてゴーレムへと迫る。
絡んだ糸の数本が千切れ跳ぶ。だが、指にかかるその振動も結果を変える程ではない。
「二ノ型『手繰り討ち』」
勢いを更に増す絡繰りが、動きを糸に鈍らせたゴーレムが、正面からぶつかり合う、瞬間。
結果を待たず、ただ打ち勝つだけに留まらぬ松座衛門の巧みが、刹那を渡る。
成功
🔵🔵🔴
小宮・あき
足場を崩すと、この後の戦いが大変…なのね。
判りました、物理ダメージを与えない攻撃で行きましょう。
UC【神罰】
「神罰を与えましょう」
祈りの力によってレベルmの「物質を伴わない」光の柱で攻撃するUC。
現役聖職者である私の【祈り】は常に神に注がれています【先制攻撃】。
【全力魔法】の半径「47」m、直径94mの柱は、回避が難しいでしょう。
耐性、防御など、猟兵が所持出来る全ての技能を所持(火炎耐性など)
周囲の様子は【視力】【聞き耳】【第六感】【野生の感】で気を配る。
【回避】は脚武器の【ダッシュ】と併せて軽やかに。
敵の体当たり攻撃は、回避する事が精一杯。
せめて私が地形を壊す事のないよう心掛けましょう。
空を駆る獣。
それを繰る青年が、突進の直後見せた動きにあきは、口を笑みに彩り、その瞳に確かな意思を宿す。
「ぬーん、はなせー!」
ゴーレムのもがく声が拍子抜けに響く。
松座衛門は、衝撃の直後、操った絡繰と糸でゴーレムの動きを封じ込めていたのだ。
そのゴーレムがもがけば、糸が面白い程に千切れ跳び、絡繰ごともんどり打つのは、その声に反して全く拍子抜けする光景ではなかったが。
「助かります……っ」
駆けまわる、正しく幼子の如く落ち着きのない動きに、狙いを定め切れずに機会を探っていた最中、僅かに視線をあきに送った松座衛門へと小さく礼を返す。
恐らくこの距離で、礼の声は届いていないだろう。
桃色の髪を風に揺らし、両手を体の前で組み、祈りを捧げる。
礼は言葉でなく、行動で示す。
借りは声ではなく、成果を以て返済する。
「神罰を、与えましょう」
神に注がれるのは、真摯な祈りだ。
空へと跪き、空を写し取ったような瞳を瞼に隠したその姿は、さながら、教会の奥で、ステンドグラスから注がれる斜光に祝福される聖者そのもので。
「びり、ってき、たあ!」
何かを予感したのか、更に盛大に暴れ、松座衛門の拘束を解いたゴーレムが駆け出す。
聖者そのもので、しかし、齎された光は、ステンドグラスから落ちる陽の光等と言った生易しいものではない。
ゴーレムがその瞬間、飛び去った場所を中心に正円47m。直径にして94m。
差しこむ、どころか神の槍の穂先とでも形容すべき光の柱が、幼子の如き体躯のゴーレムの回避など許すわけも無く呑み込んでいた。
地面を壊さない、祈りの光。
視認した対象へと降り注がれる光の奔流に、しかしゴーレムは足を止めてはいなかった。
「ぅ……っだあ!」
「……っ!」
幕を潜るように、身を焼かれながらも光から飛び出したゴーレムが、勢いをそのままに突進を仕掛けてくる。
奇襲じみた特攻に、しかしそれを読んでいたあきは軽やかに身を投げ出して、それを避けていた。
「すごい、お姉さんたち、すっごいね!」
自らを追い詰めるゴーレムが放つのは、しかし、純粋な称賛だ。
「でも!」
劣勢を悟りながらも、そのゴーレムは省みない。彼の目指す先が、この山に在る限り。そのために除かなければいけない障害がある限り。
それが、起こす行動は一つだ。
「ぶっとばーすっ!」
それは常軌を逸した純朴さともいえる様な在り様だ。
だが、それを謗る事も、憐れむ事も、あきはしない。
ただ正面を向いてぶつかってくるのであれば、ただ正面からそれに向き合うのが彼女だ。
「負けていられませんね」
威嚇しあうように、はしゃぎ合うように、笑みが向かい合う。
大成功
🔵🔵🔵
イーファ・リャナンシー
小さくて可愛い見た目なのになんだか乱暴なのね
ま、私に小さいなんて言われたくないんでしょうけど
敵が大声を出そうとしたら【フェアリー・リング】を展開、口から出て来た声自体を亜空間に飛ばしちゃうイメージで対策するわ
元から絶てば、周りの地形に被害が出ることも防げるはず
こっちも被害の被害も防げる上に、ドラゴンロアによる地形破壊は防げるはず
発動が間に合わない場合も、最低限自分の目の前に展開すれば盾になるはず
最初後列にいた分、攻撃の予備動作、攻撃の作用の仕方、口の大きさまでちゃんと見てるんだから
攻撃する時は小さな体を生かしつつ死角から肉薄、【全力攻撃516】で地形を壊さないように下から上に向かって攻撃するわ
地上で二回、上空で二回。それを発する所を観測している。
息を大きく吸う予備動作。
体内で力を詰める溜め。
吐き出す衝撃波に耐えるために低くなる重心。
それが向かう先は顔の向く方だけだ。
咆哮が放たれる。地面を砕き、大気を捻じ曲げながら、空をも振るわせる声。
「ほんとう、大きな口」
あきへと放たれた咆哮。
だが、それはその能力を発揮する前に、消え去っていた。
「あれー!?」
ゴーレムの視界には、衝撃波の道中に現れた光の円が浮かんでいた。
変化を待つことも無く、ゴーレムはその光の円へと飛び掛かった。大地を蹴り、その体で砲撃し、砕き割らんと迫る。
だが、その体が、光に触れる前に。
それは端から砕けるように光の砂塵へと変わり、その向こうで咆哮を彼方へと飛ばした彼女の姿が現れる。
「小さくて可愛い見た目なのに」
妖精。30cmにも満たないイーファが、その円の中心であった場所に浮かんでいた。ぶつかろうとしていた光の何かが消え去ってしまったゴーレムは、そのままその向こうにいたイーファ目掛け、肉薄。
だが上昇、下降。妖精の体が機敏に、砲弾となったゴーレムの体を避けて、更に着地したゴーレムへと、逆に接近していった。
「なんだか、乱暴なのね」
「おあ、こっち!」
もっと小さい私に、言われたくないんでしょうけど。と耳の右後方、視界の視覚からかけた言葉にゴーレムは素早く振り向いて膨大な膂力で腕を振り抜いた。
体の軽いイーファなど、簡単に弾けてしまそうな程の獰猛な風切り音が唸りを上げ、拳が薙ぎ払われる。
「あれ、いなーい?」
だが、上げるのは唸りだけ。
そこに拳がイーファをとらえた殴打音は、一切響く事は無かった。
「ほら、こっちよ」
声は後方を振り返ったゴーレムの体の下、腹のあたり。
それは、おとぎ話の世界へと誘う妖精のような台詞で、風がそよぐような声で笑う。
「わ」
ゴーレムが彼女の場所に気付いた時には、既に時は遅く。
イーファのその可愛らしく小さな手は、風も起こせなさそうなデコピンの形をとっていて。
「えい!」
と、どこか楽し気な声が響き、放出された魔法の濃度に空間が今にも裂けんばかりに異音を放つ。
瞬間、炸裂。
景色すら歪む、小さな指のその先に持ちうる全ての力を注ぎこんだ純粋なる魔法が、その姿とも、声とも似合わぬ絶大な威力を伴って、ゴーレムの体を打ち抜いた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『炎の精霊』
|
POW : 炎の身体
【燃え盛る身体】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に炎の傷跡が刻まれ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : 空駆け
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ : 火喰い
予め【炎や高熱を吸収する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
●
断章、更新いたします。
しばらくお待ちください。
イーファの強烈な一撃に、再び宙へと舞い上がったゴーレムは、刀也の付けた刀傷を基点にその体に無数のひび割れを作り。
「……ぁ、れ?」
身の内から溢れるオーラが風に攫われるように立ち消えて、その体もやがて掻き消えていった。
残るは、熱の籠る大地と僅かな地響きばかりであった。
「……地響き?」
誰かがそう、零した次の瞬間に、山の斜面に火柱が無数に立ち上がっていた。
熱風が暴れ、赤光が乱舞する。
吹きあがった火柱は、やがて、獣の姿を形作り、猟兵達へとその牙を剥く。
流れ出る山の火を喰らった炎のオブリビオンが、行く道を阻んでいる。
●
第二章について
大変お待たせいたしました。
第一章結果によるマイナス補正は軽微です。
集団戦ですが、一人当たり、二体との戦闘となります。
よろしくお願いいたします。
●
樋島・奏弥(サポート)
一人称 俺
二人称 貴方、名前+さん
基本的に言葉尻は「〜だ」「〜だな」「〜(言い切り)」
基本的にはサポートに徹し、補助、情報収集、戦闘時の索敵や手助けを行います
その際己の怪我は気にせず、攻撃を行うこともあり。
ユーベルコードもその為に使用。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
《寡黙だが人見知りではなく、人の役に立ちたい系》
「…こっちか?…いや、あっち…
「…情報収集してきた。共有しよう
「…無理するな。
「…無事?…なら、よかった
「大丈夫っ、まだいける!
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
月詠・莉愛(サポート)
『あの……宜しくお願いしますね。』
オラトリオのシンフォニア×聖者、14歳の女です。
普段の口調は「丁寧口調(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、独り言は「普通かな(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
大人しくて口数が少ないですけど、心優しく
動物や植物などの自然が好きな少女。
争い事は苦手ですけど、依頼の成功の為なら戦う事も厭わないです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
天星・零(サポート)
零、夕夜二つの人格を持つ少年
零は常に微笑んで話す
基本的なこと口調はステシ
UC口調は秘密の設定
装備
零
十の死
星天の書-零-
死神の瞳
アヴィスの懐中時計
夕夜
Punishment Blaster
共通
Enigma
オーバーライト
約束の四葉
違法契約者の刻印
Ø
グレイヴ・ロウ
Determination -決意の魂-
常に【戦闘知識+世界知識+情報収集+追跡+第六感】を働かせ、普段の情報収集や戦闘での戦況や弱点や死角を把握警戒して臨機応変
基本、enigmaを使い両人格で行動または召喚系UCのオブリビオンと行動
メインは指定UCを使う方
真の姿禁止
ネタ禁
人格毎に使うucが違う為、どの人格が使用するかは秘密の設定
出現した虎のような姿をした炎の精霊の群れは、その場からほぼ動かず、低い姿勢を取ったまま猟兵達を警戒の姿勢を示していた。
獣が警戒を示しているとも見える姿勢だ。だが、
「……単に動かずにいるだけでは、ない」
敵の動きを観察しながら、樋島・奏弥(ノイズ・f23269)はそう見抜いていた。
秘密は、敵の足元だ。
「……力を、吸収している」
「火山の魔力の流れに繋がっているようですね」
天星・零(零と夢幻の霊園管理人・f02413)も、奏弥の見解に同意を示す。
精霊たちが出現するときに立ち昇った火柱は、その大部分が虎の姿を形作っている。
が、余った部分は精霊たちの足元に溶岩溜まりのようになっていた。
あの精霊の群れは火山の力を今も吸収し続けている。
そのために接地面積が触れるような姿勢を取っているのだ。
「オブリビオンは火山の力を利用しているということでしたが……これも、その一環なのでしょうね」
月詠・莉愛(銀の月を謳う・f16320)は、山の頂上の方を見ながらそう考える。
クラウドオベリスクを守るオブリビオンは、かなりの期間に渡って火山の力を吸収している。それに伴って侵入者を追い払うための仕組みには念を入れているようだった。
「まずは、敵を動かしましょうか」
「……異存はない」
零の言葉に頷いた奏弥は、精霊達から距離を取ると死霊騎士と死霊蛇竜を召喚した。2体の死霊が動き出すと、精霊達もまた火山からの力の吸収を止めて飛びだしてくる。
その動きは極めて俊敏だ。
「月よ、私を導いて下さい。そしてその力を私に貸して下さい」
翼を広げて空に舞い上がった莉愛は、狙いを定めると月光の聖銃を眼下に向けた。戦いは望むところではないが、オブリビオン達を放っておけば、それは世界の破滅を招く。
莉愛は決然と引き金を引いた。
神々しく輝く光が銃口から立て続けに放たれる。
光の直撃を受けた精霊は力を失い、溶岩となって飛散した。
轟然と吼えると、群れを為す精霊達は勢いよく尾を振る。
尾の先端から放たれた炎が自分に向けて飛んでくるのを莉愛は超高速で回避した。
「牽制ですね……」
こうなってしまうと、狙いを定める暇もない。
相手の最高速度は莉愛ほどではないが、俊敏だ。莉愛は精霊達の動きを制限するように、月光の聖銃を連射していく。
「これは命を救われた黒猫の生涯を賭けて作り上げた恩返しの魔法!」
零が呼び出したのは、治癒の力を持つ黒猫だった。
「誰かが負傷したら治療をお願いします」
「死霊までは責任は持てんがにゃ」
精霊達の肉体は、それ自体が高熱の炎。攻撃が掠めるだけで火傷を負う上、触れれば攻撃した側も対策無しではただでは済まない。
零達の視線の先では、奏弥の召喚した騎士と蛇竜が、精霊達の接近を阻もうと奮闘している。
精霊達の攻撃は、力が増したためか大振りになっており、見切りやすい。
とはいえ獣に擬した精霊の速度は、死霊たちに完全な回避を許すものではなかった。
次第次第に、死霊騎士と蛇竜にも損傷が増えつつある。
「あまり、時間はかけたくないですね」
零が言うと共に、死霊を破壊せんとしていた精霊が吹き飛んだ。
『──!?』
無論、精霊の意志によるものではない。十字架型の墓石のような形をした零の『グレイヴ・ロウ』が、すぐそばの斜面から突き出し、精霊を宙にはね上げたのだ。
『Gurrrrrr
……!!』
唸り声をあげると、虎型精霊は零を睨み付けながら着地する。だが動き出そうとした瞬間、頭上から降り注いだ光弾が、その精霊を消滅させた。
「続けてお願いします!」
「分かりました」
相手が獣に擬態している以上、俊敏な動きもその四肢に依っている。
上空を高速で横切った莉愛の言葉に頷くと、零は次々と精霊を跳ね上げていった。
山の斜面から突き出す墓石と、上空から射ち下ろされる光とが精霊達を消し始める。残る精霊達は、さらに速度を上げて墓石を避けると、散開して猟兵達へと迫る。
「……そうはいかない」
奏弥は騎士と蛇竜を引き戻す。
結局のところ、精霊達がその肉体によるものの他に攻撃手段を有していないのは明らかだった。
死霊たちが身を挺して接近を阻む間に、零と莉愛が精霊を排除する。
その組み合わせが功を奏し、死霊2体が燃え尽きるまでの間に、猟兵達はその何倍も精霊を撃破していった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
※トミーウォーカーからのお知らせ
ここからはトミーウォーカーの「真壁真人」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
火土金水・明
「クラウドオベリスクの元にたどり着くためには、目の前にいるオブリビオン達を倒していくしかなさそうですね。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【先制攻撃】で【高速詠唱】し【破魔】を付けて【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にし、『炎の精霊』達をを纏めて【2回攻撃】をします。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】【火炎耐性】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「オブリビオン達は『骸の海』へ帰りなさい。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
富井・亮平
【心情】
出たなッ! 灼熱オブリビオン怪獣ッ!
このイェーガーレッドが相手になるぞッ!
いざ勝負ッ!
【行動】
「トォリニティィィ・エェンハンスッッッ!!!」
重視するのは防御力ッ!
炎の魔力を身にまとう事で、炎と一体化ッ!
これで炎によるダメージを軽減するぞッ!
ソードとロッドには、技とは別に水と風の力を宿らせておくッ!
斬りつけたものに水ダメージを与える効果ッ!
そして風の魔法弾を打ち出す能力を得るッ!
これで敵に効果的なダメージを与えたり、炎を噴き散らしたり、地形を吹っ飛ばしたりして傷跡を消すとしようッ!
反動などを利用して自分を吹き飛ばせば緊急回避も行えるッ!
チェリカ・ロンド
アドリブ連携歓迎!
あっつ!?
なんつーとこにオベリスク建ててんのよ!壊す方の身にもなりなさいっての!
敵は2体かぁ。できればまとめてやっつけちゃいたいわね。
まぁ火の塊みたいなもんだし、水かけたら消えるでしょ。
ササッと消火活動しましょ!
てなわけで、突進してくる炎の精霊に距離を取りつつ、真正面から水の【属性攻撃】で【全力魔法】の【属性付与チェリカ砲】よ!(髪が水色に変化)
聖なる光の破壊魔法に超高圧の水流をミックスしてぶちまけてやるわ!
破壊の力と自然の摂理に従って、消し飛びなさいっ!
仲間がいるなら、後方から援護の水魔法を撃ちつつ、敵の隙を見てUCをぶちかますわ。やることはあんまり変わんないわね!
辟易しながら山を見上げるチェリカ・ロンド。
「あっつー!? なんつーとこにオベリスク建ててんのよ! 壊す方の身にもなりなさいっての!」
精霊達が飛び交うにつれて、周囲の気温はますます上がっているようだった。
ここまで火山を登って来た疲れもあって、チェリカの機嫌はあまりよろしくない。
帽子のつばをあげて上を見つつ、火土金水・明が言う。
「とはいえ、クラウドオベリスクの元にたどり着くためには、このオブリビオン達を倒していくしかなさそうですね」
「そんなの分かってるってば、もう……」
「まあまあ。素早く終わらせましょう」
ぼやくチェリカをなだめつつ、明は往く手を遮る炎の精霊へと杖を向けた。
「相手の性質は明白ですね」
「そうね。水かけたら消えるでしょ」
そう断言するチェリカ。
とはいえ、敵の動きは獣の如く速い。
「単発の魔法では当てづらいかもしれませんね」
「向かって来るところにカウンターっていうのが定石かしら」
魔法を使う2人がそんな言葉を交わしつつ間合いを取ろうとしていると、不意に高らかに声が響いた。
「猟兵戦隊イェーガーレンジャーッ! ただいま参上ッ!」
戦場を見下ろす岩の上に立つ、真っ赤な衣装に身を包んだ影……富井・亮平(イェーガーレッド・f12712)は、オブリビオン達に指を突き付けた。
「出たなッ! 灼熱オブリビオン怪獣ッ! このイェーガーレッドが相手になるぞッ!」
その声に応じるように、炎の精霊は咆哮をあげた。
次々とイェーガーレッドへと駆けると、その爪を繰り出していく。
「とうッ!!」
イェーガーレッドは、マントを翻して岩の上から高々と跳躍すると、精霊達を飛び越えた。
斜面に着地すると、振り向きざまに剣と杖を抜き放つ。
「トォリニティィィ・エェンハンスッッッ!!!」
イェーガーレッドの全身が、炎に包まれる。同時に彼は、水の力を帯びた剣で、接近して来た精霊の爪を切り払った。
切り裂かれた場所から炎が噴き出すが、剣が帯びる水に勢いを弱められ、さらにイェーガーレッドの身体を覆う炎に遮られて、それは肉を焼くには至らない。
「俺の熱い正義の心の前に、お前達の炎など通じはしないっ!!」
「なるほど、あれなら炎は有効打にならないでしょうね」
「勢い任せのようで、意外と考えてるわね……」
感心しながら、魔法使い2人はこの隙を逃さず詠唱を開始する。
先に詠唱を完成させたのは明だった。
彼女の周囲に現れるのは、何百本もの氷の属性を帯びた魔法の矢だ。
「我、求めるは、冷たき力……避けて下さい、イェーガーレッド!!」
「応ッ!!」
呼び掛ける明に即座に対応すると、イェーガーレッドは左手に持った杖を至近距離にいる精霊へと向けた。彼は後方へと跳躍しながら、杖から強烈な風を噴射する。
「イェーガー・ウイィィィンドッ!!」
風は炎の精霊の刻み付けた傷跡──精霊の力を増す刻印をかき消すと共に、跳躍の勢いを増す。
イェーガーレッドが一気に精霊から離れたのを確認すると、明は自らの魔法を解放した。
「コキュートス・ブリザード!!」
山の斜面に、大量の氷の塊が突き刺さる轟音がこだまする。
明の放った氷の矢は、連続して降り注ぐと炎の精霊の体を貫き、その存在をたちまちのうちに霧散させていく。
だが、なんとか生き残った精霊は、怒りの声を上げると猛烈な勢いで明へと突進して来る。
「させるかッ!!」
すかさず横合いから突っ込んだイェーガーレッドが、その精霊を切り裂いた。
反撃とばかりに繰り出される爪を、彼は剣を振るい、凌ぎ切った。
時折足元に広がる刻印を風の杖で吹き消しつつ、高めた防御力で攻撃を耐え凌ぎながら反撃を繰り出していった。そうする間に、全力の魔法を放ち終え、隙だらけの様子を見せる明へと、精霊が襲い掛かっていく。
「残念、それは残像です」
だが、それは彼女が予め用意しておいた残像に過ぎない。
明は炎の精霊を翻弄しながら、相手が一直線に並ぶように誘導していく。
「準備はOK! こっちからも、一発いくわよ!!」
チェリカの髪の毛が、属性に合わせ水色へと変化した。
イェーガーレッドと明がそれを合図として飛び退くと、チェリカは足を踏みしめ、両手を突き出した。
「破壊の力と自然の摂理に従って、消し飛びなさいっ!」
髪と同じ水色を帯びた聖なる破壊光線が、渦を巻きながら炎の精霊を貫いた。
水の属性を付与されたチェリカ砲……チェリカの全力を籠めた破壊光線は、後ろにいた炎の精霊達をも貫き、消し飛ばす。
そのまま山肌にぶち当たったチェリカ砲は、炎の精霊がもたらした熱を冷ましていった。
炎の精霊が出て来た熱の溜まっていた場所も、明の魔法によって温度を下げられ、黒く固まりつつあった。
「ま、ざっとこんなもんよね」
精霊のせいで滲んだ汗を拭くチェリカ。
そして、猟兵達はクラウドオベリスクのある火口へと近付いていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『白銀竜』
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POW : 白銀竜のオーラ
全身を【一定ダメージを反射するオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【受けたダメージ合計量】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD : 白銀竜の怒り
【殺気】を向けた対象に、【敵合計レベル半径mのいる敵に落雷と流星】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : 白銀竜の意志
全身を【一定ダメージを反射するオーラ】で覆い、自身の【意志の力】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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火口に辿り着いた猟兵達は、そこに突き刺さるようにして屹立する碑を目にした。群竜大陸への道を閉ざして来た、クラウドオベリスクだ。
そして、その前には白銀の鱗を持つドラゴンが座していた。
付近の住民達からは、山に住む守り神とも言われる存在だ。
だが、そのドラゴンがオブリビオンであることを、猟兵達は一目で見抜く。
既に猟兵達の接近に気付いていたのだろう、ドラゴンはおもむろに翼を開いた。
『この山を荒らす愚か者どもめ……我が前に立った愚かさを呪うがいい!!』
強烈な殺気が全身から溢れ出す。
曇りゆく空の下、猟兵と竜の戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。
神楽火・天花
敵がどれだけ巨大で強大でも、恐れることなんてないわ。
「真っ向勝負よ……!」
ヴァルキリータクトに込められた飛行魔術を解放。杖にまたがって飛行し、正面から空中戦を挑む。
電撃耐性で反射ダメージに耐えられるように、あたしは雷の属性攻撃で攻める。
まずはトニトレイターの乱れ撃ちで先制攻撃。弾幕を防ぐためにオーラをまとったところに討魔雷滅衝を叩きこんでやる。
「愚かと言われても困難に立ち向かう勇気……それがあたし達の、最強の武器なのよ!」
神楽火・天花は杖を構えると、白銀色のドラゴンをしっかりと見据えた。
主の意志を受け、翼の意匠を持つ杖に魔力が走る。
飛行魔術の発動を感じると、天花は杖にまたがった。
「さあ、真っ向勝負よ……!」
勢いよく飛び出した天花は、一直線にドラゴンを目指し火口を飛翔する。
相手の強大さは、一目見るだけで理解できる。
それでも恐れる気配すら見せず、天花は精霊銃トニトレイターを構えた。
雷霆の力を宿した弾丸が、次々とドラゴンへと飛んでいく。
『その程度!!』
白銀竜の全身が、同色のオーラで包まれた。オーラに弾丸が着弾した瞬間、白銀の光が弾き返され、天花へと飛んで来る。
避けようもない速度で飛んで来た光をまともに受けて、杖の上に伏せた天花の体が大きく揺らぐ。
「きっつー……!」
強烈な痛みではあるが、予め帯びていた電撃耐性のおかげでダメージ自体はそれほど大きくもない。だからこそ、あのオーラではじき返されたという面もあるのだろうが。
『それこそが報いというもの!』
愚かさの報いを与えたのだと言わんばかりのドラゴンに対し、天花は怯むこともなく速度を上げた。
『むぅっ!? まだ解らんか
……!!』
「愚かと言われても困難に立ち向かう勇気……それがあたし達の、最強の武器なのよ!」
体当たりするかのように、天花を乗せた杖が正面から突っ込んでいく。
纏ったままのオーラで、銃弾をはじき返す──そう判断したドラゴンへ向け、天花は杖を蹴り、勢いよく跳んだ。
「我が手に集え、魔を討つ輝き。しろがねの雷霆となりて、闇を砕き悪を滅ぼせ!!」
トニトレイターを持つのと反対の手に、銀色の雷霆が収束する。そして、
「討魔雷滅衝!!」
雷撃呪文の強大な威力を宿した掌が、竜の胸に吸い込まれた。
白銀のオーラが討魔雷滅衝をはじき返そうとし、しかし叶わず貫かれる。
白銀のオーラの内側で、雷霆が弾けた。
『グおおおおッ!?』
痛みと驚愕に叫びをあげたドラゴンは、殺気の混じった視線を天花へと向ける。
雷が天花を狙うが、彼女は討魔雷滅衝の勢いのままに再び跳んだ。
弧を描いて戻って来た杖が、空中で彼女を受け止める。
杖に飛び乗り離脱していく天花に、ドラゴンは怒りの咆哮をあげるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
蒼汁之人・ごにゃーぽさん
ごずなり様の依り代として、ワンダフルライフ♪でオウァティオウェルミス・クリブラトゥスを最大容量で作成。そして、このオウァティオウェルミス・クリブラトゥスにごにゃーぽ神☆ごずなり様に御光臨して戴く。……うん、これはどこのエンドコンテンツボスかな?
ごずなり様の権能たる蒼汁で落雷をアースし流星を取り込み溶解して防ごう。
そして、接近したごずなり様はグラップルで組み付き宇宙的狂気な味の蒼汁による概念攻撃で白銀竜の身を蝕むでしょう。
翼を広げ、火口から飛び上がった白銀竜は、戦場の一角に奇妙なものが存在しているのを認めた。
『なんだ……あれは……?』
「う~ん、我ながら、すごいものを造ってしまった……」
蒼汁之人・ごにゃーぽさんが造り上げたのは、巨大な異形の生命体の像だった。
『なんと悍ましい姿……この山を邪教の祭壇に変えようというのか!?』
「邪教だなんて失礼な! これはれっきとしたオウァティオウェルミス・クリブラトゥスだよ♪」
オウァティオウェルミス・クリブラトゥス。
地球でカンブリア紀初期の海底に生息していたとされる葉足動物だ。
元のオウァティオウェルミス・クリブラトゥスであれば、蒼汁之人が乗っているハルキゲニア(の元のサイズ)と同様、ほんの小さな生命体でしかない。
だが、今、この火山に現れたオウァティオウェルミス・クリブラトゥスの像は、本来の百倍では利かない大きさだ。
「……うん、どこのエンドコンテンツボスかな?」
自分の造り上げた像を、そう評する蒼汁の人。
剛毛や鉤状の突起の生えた二十本を越える足と、そこから繋がるイモムシを思わせるずんぐりとした胴。その姿は、数多くのモンスターを知る白銀竜にしてみても、異形の怪物そのものであった。
白銀竜は翼を畳むと、像を目掛けて急降下してくる。
『ええい、なんだか知らんが、一思いに破壊してくれよう!!』
「ごずなり様ごずなり様ごにゃーぽ☆」
だが、白銀竜よりも早く、蒼汁之人の祈りが天だか深海だか汁だかに届いていた。
オウァティオウェルミス・クリブラトゥスの像が、おもむろに動き出す。
「ごにゃーぽ神ごずなり様の、おな~り~」
『やはり、邪教の徒であったか
……!!』
戦慄を滲ませながら着地した白銀竜は、像を目掛けて落雷を落とす。
だが、像を依代として動き出したごずなり様は、全身から蒼色の液体を噴き出した。落雷に蒸発させられながらも、蒼色の液体はそれを受け止め、地面へと逸らしていく。
『何と
……!!』
「これぞ、ごずなり様の権能!! 宇宙的狂気な味の蒼汁
……!!」
快哉をあげる蒼汁之人。さらに降り注いだ流星を溶解させて凌ぐと、ごずなり様は見かけによらぬ速さで白銀竜へと組みついた。
『ぬわーッ!!』
全身から溢れ出す蒼汁が、白銀竜の鱗を侵食していく様を、蒼汁之人は満足げに見守るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
燈夜・偽葉
あなたの方が荒らしてそうな見た目してますけど、そこツッコんだらいけない感じですか?
まぁいいです
この山を荒らすつもりはありませんがあなたの首はいただきますよ
見切り、電撃耐性&火炎耐性&激痛耐性
黄昏の太刀(サムライブレイド)を構えてダッシュ
他の刀を念動力で操り避雷針代わりに
流星はジャンプで足場にしつつ飛び移り
竜を視界内に捉え、「剣よ、空を分かちて」で切り裂きますっ
愛久山・清綱
此の者が、「山に住む守り神」と伝えられる白銀竜か。
他のドラゴンとは異なる、凛とした風格を感じるな……
気を引き締めて挑むとしよう。
■闘
既に殺気を向けられている以上、落雷と流星は必ず来る。
この攻撃を全て躱すのは至難の業……
予め全身に【オーラ防御】を纏い、落ちる場所を【野生の勘】で
予測し、比較的安全な場所へ全力で逃れるぞ。
よけきれない場合は、【激痛耐性】で我慢する。
落雷が止んできたら敵の姿を目視し、全身に【破魔】の力を籠める。
そこから居合の構えを取りつつ【心切】を放ち、肉体ではなく霊魂を
絶つ【鎧無視攻撃】で大ダメージを狙うのだ。
白銀の竜よ……我が「霊剣」、見切れるか?
※アドリブ・連携歓迎
猟兵達の猛攻を受け、白銀竜は少なからぬダメージを受けつつあった。
愛久山・清綱は、霊剣『心切』の柄に手を置きながら白銀竜を見上げる。
「それでも威厳を失わぬか。山の守り神と伝えられるだけのことはあるな」
「あっちの方が山を荒らしてそうな見た目してますけどね」
燈夜・偽葉は、いかにもといった感じのドラゴンの姿を見上げながら言う。
とはいえ、グリモア猟兵によれば、あの白銀竜は火山の力を奪い、吸収して来たという。
「ある意味では、山の平穏を保ってきたのは確かではあるのだろうな」
「まあ、オブリビオンですし、その後で何が起こるか分かったものじゃありませんけど」
そう言葉を交わした直後、2人の剣豪はその場から飛び退いた。
2人のいた場所に落雷が落ちる。白銀竜のユーベルコードによるものだ。
落雷を合図として、清綱と偽葉はそれぞれの行動に移った。
清綱は居合の構えを取り、かたや偽葉は白銀竜へと疾走する。
上空を覆う黒雲の中では稲光が次々と起こり、さらには、稲妻に続いて流星までもが猟兵達を襲おうとしていた。
もはや地形を変えるような勢いだ。
「言わんこっちゃない」
偽葉はやれやれといった様子で苦笑する。
結局のところ、このオブリビオンにとっても一時の住処でしかなく、守るつもり等ないのだろう。
「この攻撃を全て躱すのは至難の業だな……」
「落雷は、こちらで引き受けますっ!」
言うが早いが、偽葉は多数の刀達を思いっきり放り投げた。
鮮やかな黄昏色の刀身を持つ刀達は、念動力で盾のように広がり、避雷針のようにして落雷を受ける。
それでも感じる雷の余波をオーラで弾くと、清綱は白銀竜をしっかりと見据えた。
火口周辺には草木の一本もなく、身を隠せるのは精々が岩ぐらいだ。
落雷に続き、流星は次々と降り注ぎ始めている。
流星の落ちる場所を獣の如く直感的に避けながら、清綱は丹田から四肢、手、指先、そして刀へと、破魔の力を籠めていく。
「白銀の竜よ……我が『霊剣』、見切れるか?」
『小さき者よ、そのような場所から何が……むゥッ!?』
刀の間合いから遥かに離れた位置で構えを取った清綱。
一瞬、高まる恐るべき剣気に何かを感じたか、白銀竜はさらに距離を取ろうと翼を広げ、後方へと跳躍する。だが、そこもまだ清綱の間合いのうちであることに変わりはない。
「秘伝……心切」
霊刀『心切』が鞘走りの音もなく引き抜かれ、そして振り切られた。
白銀竜が見ることができたのは、振り終えた動作のみだ。
清綱が霊刀『心切』を鞘に納めると同時に、白銀竜の体から盛大に血しぶきが上がる。
『……やはり、危険!!』
バランスを崩しながらも白銀竜は翼を広げ、上空へ逃れようとする。だが、それを追う影があった。
「逃がしませんよ!」
偽葉は降り注ぐ流星すらをも足場とし、次々と跳躍していった。
まるで空を駆けるかのように白銀竜の頭上を取ると、流星を蹴って下方へ。
白銀竜を見据え、黄昏の太刀を抜刀し、そして偽葉は斬撃を繰り出す。
瞬間、空間そのものが切断された。
偽葉の一閃は、縦横無尽の斬撃を呼んだ。
火口全体を覆うかのような、無数の斬撃は白銀の竜の全身を切り刻んでいく。
『オオオオオッッッッ!?』
翼を切断され、失速しながら火口へと落ちていく白銀竜。
再び鞘に刀を収めた清綱は、待ち受けるように落下してくる竜へととどめとばかり一刀を振るう。頭頂部から一直線に切り裂かれた竜が轟音と共に墜落し、消滅していった。
オブリビオンを破った猟兵達は、クラウドオベリスクを破壊した。
火山の力を吸収していたというオブリビオンが死を迎えたことで、この火山の中腹から上も、草木の生えない状態から、自然の姿へと戻っていくのだろう。
いつか、この山が緑の姿を取り戻すことを願いつつ、猟兵達は火山を後にするのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵