ダークセイヴァー。オブリビオンが人々を支配し、戯れに搾取し、戯れに命を奪う絶望の世界。
そんな世界の中で、その街の人々も同様に絶望に包まれていた。道行く人々は皆陰鬱な表情で、すれ違う度に相手の顔色を一瞥し、それが自分や家族の命を脅かすものでないとわかると薄暗い安堵で心を酔わす。
彼らの命は常に領主や魔物に脅かされている。少ない食事で腹を満たし、幼子の笑顔で心を満たす。彼らの喜びはその程度のものしか残されていなかった。
その結果、人々が縋るのは「来世」の存在である。サムライエンパイアやUDCアースで浄土信仰と呼ばれる思想に似ており、現世で幸せになることを諦め、死後の世界で幸せになることを希求する信仰である。
この街にも、その信仰を伝える教会がやってきた。彼らはその思想に大いに惹かれ、その心を安らげるために足繁く教会に通った。現世での苦しみが来世での幸福に繋がると囁かれれば、絶望の毎日にもほんの少しだけ価値を見出すことができる。
……もしその裏で大変な事件が起きていたとしても、突如現れた希望に目を焼かれた人々にはその真意は掴みきれないだろう。
「みんな、ダークセイヴァー世界でオブリビオンの活動が予知されたよ……!」
切迫した表情で、UDCアース世界での女子学生の制服を身に着けた少女白神・杏華(普通の女子高生・f02115)が猟兵たちに呼びかけた。
「オブリビオンが何者かまではわかっていないんだけど、その周囲の事件は確認されてるんだ。どうやら街から子供が消える事件が多発してるみたい」
その事件が起き始める前後のタイミングに、その街の付近に教会ができたらしい。そこでは現世の苦しみは来世の幸福に繋がるという教えが広まっており、街の人々を虜にしているそうだ。
行方不明になった子供は全員一度はその教会を訪れたことがあり、この街ではすでに六人が行方不明になっている。街の大人たち総出で探してはいるが、未だ一人も見つかっていない。
「多分だけど、この教会には何らかの形でオブリビオンが関わってると思う。みんなにはまずこの教会を調べてもらって、最終的にこの事件を解決してもらいたいの」
街の人に紛れてその教義を聴きに行けば何かが掴めるかもしれない。それを語る神父や、或いは聞いている街の住人から情報を抜き出すことができれば事件の解決に一歩近付くだろう。
または、人がいない時を見計らって教会内に忍びこむのもいいかもしれない。裏口の鍵は閉ざされているが、表から入ってうまく神父らの目を盗むか裏口の鍵を突破すれば扉で閉ざされた袖廊に入ることもできる。
それらが攻めの調査とするならば、守りの調査も一つの手段だ。過去の傾向から次の行方不明者を推理し、その保護のために動けば犯人の方から姿を表すだろう。
「もし、この教会がオブリビオンによるもので。自分たちが苦しめている人たちにこんな教えを広めてるとしたら、許せない話だよね。ぜひ一刻も早い解決をお願いします……!」
杏華は頭を下げ、その場に集まった猟兵たちに希望を託した。
玄野久三郎
玄野久三郎と申します。オープニングをご覧頂きありがとうございます。
今回はダークセイヴァーに突然現れた教会が舞台となります。ちなみに袖廊とは簡単に言うと祭壇があるところの左右の出っ張りです。
皆様の怒りと実力を容赦なくぶつけるに相応しいオブリビオンが待ち受けております。それては、熱いプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『異形の神』
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POW : 街の人に扮して教会に入り込む
SPD : 教会に忍び込み、教会関係者や建物内を調べる
WIZ : 行方不明事件を調査して次の事件を予測する
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オリヴィア・ローゼンタール
POW
人々の救いを求める心を玩弄する邪悪は赦しません
そも、世を絶望で覆うオブリビオンが現世への諦観を信仰の基盤に使うなど、マッチポンプもいいところではありませんか
街の人、熱心な信徒のフリをして潜り込み
まずは形から入ってみる、ということでシスター服を着ていると話す
街の人から教義や説教への解釈を聞いたりしてみる
その中で「そういえば先日お越しになられていたお子さん、しばらく姿が見えませんね」など行方不明の子供の話題を出してみる
【礼儀作法】や【優しさ】で相手に警戒心を抱かせないように
細かな反応も強化された【視力】で【見切り】、観察(【学習力】)する
(世を絶望で覆うオブリビオンが現世への諦観を信仰の基盤に使うなど……マッチポンプもいいところです)
怒りを滲ませつつ、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は行動を開始した。
彼女はまず、街の人々への聞きこみから入った。その優しげな表情と猟兵ゆえの違和感のなさは、容易に彼らの中にオリヴィアを受け入れさせた。教会関係者であるシスターの衣服を身に纏っている点もまた、彼らに良い印象を与えたかもしれない。
「最近、あの教会が人気ですよね。教義についてどう思われていますか?」
「どうって……なんというか、救われた気分になれるよな。こんな最悪な生活でも、諦めずに積み重ねていけば次の人生とやらでは救われるって言われればよ」
そう語る彼の表情は明るいとは言いがたく、諦めることを許されたという仄暗い顔付きだ。
「……そういえば、先日教会にお越しになられていたお子さん、しばらく姿が見えませんね」
「ああ、あんた知らないのかい? 最近子供が行方不明になってるんだよ。良い事は続かないもんだ」
オリヴィアが思ったとおり、街の住人に教会と行方不明事件を結び付ける考えはまったく見られない。それどころか、親はその事について教会に相談に行ったのだという。
「事件について教会はなんと……?」
「それもまた現世の苦しみのうち、受け入れられれば楽になるってさ。ははは……」
苦笑しつつ彼は頭を掻いた。教会は行方不明者の捜索に関与しないどころか、はっきりとではないが半ばそれをやめさせるような物言いを親にしたようだ。
「全員まだ十五にも満たない子供だった。親は諦めきれんだろうなぁ……」
ますます教会への疑いは強くなる。オリヴィアは彼に礼を言い、その場を後にした。
成功
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佐藤・柊那
いたいけな子供を誘拐する何て許せないね
【SPD】を活かして教会に忍び込むよ
教会関係者の動きや、建物内部の見取り図を調べていくよ
何か気になる物や変な物を見つけたら逐一仲間に報告
敵に見つかった時は、すぐに撤退。
証拠を残さないように気をつけるよ。
赭嶺・澪
【SPD】教会に忍び込み、教会関係者や建物内を調べる
私は教会に人がいないのを見計らってUC『ステルスソルジャー』、技能『忍び足』『目立たない』で教会内に侵入して、中を調査。
教会内を調べてみて、厳重になっている扉がないか調べてみるわ。
それがなければ隠し扉かしら。
壁や床に不審な継ぎ目がないか、床や壁に物を動かした様な跡がないかをみましょう。
調べていることがバレない様、周囲の物音には気を使いましょう。
人が戻って来た場合にはUC『ステルスソルジャー』を使用して、見つからないように隠れながら教会を出ましょう。
鬼ヶ島・エレナ
「けったくそ悪いぜ。弱い連中を食い物にしてる奴が
でけえツラしてる世界ってのはよぉ……。
だから遠慮無くその思惑、ブッ潰させてもらうぜ!」
【SPD】
技能【変装】【目立たない】を使って協会関係者に変装し
表側から人目を盗んで教会に入る。
調べる目標として、隠し部屋や隠し倉庫がないかを確認する。
忍び込む前に建物の外見を確認して、忍び込んだら
内部がどんな間取りなのかを確認。
建物の大きさと間取りを照らし合わせて変な空間や
部屋が無いかを推測する。
あるいは床や壁に隠し扉のようなものが無いかなども
可能ならばチェックする。
いよいよ強まった教会への疑いに、佐藤・柊那(ナイトウォーカー・f05554)はその内部を調べることを決意した。まずは通常の住人に紛れ、教会内部を見渡す。
「ふーん……作りは立派だね」
いたいけな子供を誘拐するような奴がこの中に潜んでいるのかもしれない。用心しつつ、ステンドグラスや祭壇を見つめる。それ自体は特に変哲もないようだ。
街の住人に向かって説教を唱えているのは、やや背の低い黒いローブを身に纏った人物である。顔はフードで隠れ、その表情はまったく読めない。声色は中性的で、体格を隠すローブによりそれが男か女かもわからなかった。
(怪しさ満点だなぁ、おい……)
とはいえ、その格好は彼女にとって好都合だった。視界が狭いであろうあのローブなら、その目を盗んでの調査も比較的楽だ。
教会の内部構造は十字架のような形になっている。十字の下部分が入り口で、上の出っ張りに祭壇が置かれ、左右の出っ張りにそれぞれ部屋があるようだ。
そのようにして大まかな見取り図を完成させた柊那は、一旦外に出て同じく教会内部への侵入を狙っている赭嶺・澪(バレットレイヴン・f03071)と鬼ヶ島・エレナ(地獄番長・f09126)にそれを渡した。
「見えてるところで怪しい物はあんまりない。左右の扉がちょっと怪しいね。調べるならそこかな」
「ありがとう! 潜入は短時間で済ませなきゃいけないから、助かるわ」
「ああ。連中のけったくそ悪い思惑をブッ潰してやろうぜ!」
昼時になると教会からも人がいなくなり始める。ローブの人物は複数名常に残っているようで、それらは出し抜いて進まなければならないだろう。
澪は周囲の人目を確認すると、同時に潜入するエレナの手の甲に口づけする。すると、ユーベルコード『ステルスソルジャー』の効果により二人の姿が透明化し掻き消えた。
「おお、こりゃすごい便利だな」
「でもあんまり長くは持たないの。早めに証拠を見つけましょう」
二人は誰に見られることもなく教会の中に入り込む。ローブの人物たちは椅子に座り、人形のようにその場を動かない。
(この人たちは一体……)
澪は彼らに気を取られつつ、左側の袖廊に。エレナは右側の袖廊の扉をそれぞれ開く。
澪が入った部屋はどうやら荷物置き場のようだ。様々な本が積まれているが、それに混じり、血液の付着した拷問器具のようなものもいくらか無造作に置かれている。
(気分が悪いわね……)
とはいえ、これ自体は子供の行方不明に直接関係するものではない。彼女は調査を再開した。
一方のエレナは右側の部屋にてオルタナティブ・ダブルを発動させる。彼女と同じ姿を持つもう一人の自分が現れ、それもステルスソルジャーの効果を受け透明になっている。
二倍の探索力を持って彼女はその部屋を探索した。どうやらここは寝室のようだ。簡素なベッドが数個並び、クローゼットが二つ設置されている。
「おっと、こいつは……?」
クローゼットを開くと、そこは空洞で床に穴が開いていた。その下からは風が吹いてくる。梯子を使って地下に進めるようだ。
その先の地下にて、エレナは多数の子供の死体を見た。男も女もなく、おそらく齢六か七という子供もいただろう。この街での行方不明者である六人よりも遥かに多い死体がそこに保存されていた。
それぞれ違う形で違う部位を傷つけられており、同じ有様の死体は一つとなく、親に見せられるような姿のものも一つもない。エレナは息を呑んだ。
「んん……?」
奥から男の声とともにもぞりと動くものが闇の中に見えた。それが何者かはわからないが、少なくとも今何者かにバレるのは得策ではない。エレナは音を立てないように梯子を登り、澪と合流し教会の外に出た。
成功
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ルフトフェール・ルミナ
人はそこそこ行き交っているのに、賑やかさがない。これがダークセイヴァーの街なんだね……。
生きてていい事が全くなければ、いつか人の心は挫けてしまうけど、それにつけこんでやりたい放題するのが、この世界の支配者なのか。
……卑怯者だよ。
【WIZで!】
教会の教義、今の現実が耐えがたい人が縋りたくなるような内容だよね。
この街の中にも格差ってものはきっとある。貧しい人の住む地区で、信者が多い所はないだろうか。
周りから浮かない身なりをした上で、行ってみるよ。
積極的・熱心に布教してる人ではなく、それに追従して信仰してるような家族。
不幸に襲われても抗うことをしなさそうな、そんな人達が狙われそうな気がするんだ。
不破・玄
事件発生の防止が必要です。
教会に行ったことがある子供を守る必要がありその情報を集める必要があります。
さらわれていない子供がいればどうだったか例えば楽しかったかどうか聞きたいところです。
大人と子供でイベント内容が異なるとかあるだろうか?
子供が帰った場所・方角を把握しておいて教会から人が出てくるか監視します。
そちらに向かう人や動物(カラスとか?)がいれば追跡していきたいところです。
監視追跡の際は【迷彩】【忍び足】を活かす。
もし子供に接触するようであれば声をかけるとしましょう。
危険な行為に及びそうであれば【達人の智慧】で介入したい。
子供を逃がすのが優先で撃破後回し、避難したら追跡。
アドリブ大歓迎
一方で、不破・玄(人間のサイキッカー・f02910)はさらなる事件の発生を防ぐ方向で動き始めた。何か情報を得られないかと、教会に来ている子供に話を聞く。
「ねぇ君。教会は楽しかったですか?」
「うーん、そうでもないかなぁ。お父さんが行くからついてきてるけど、みんな何言ってるか僕あんまりよくわかんないよ」
どうやら子供自身には今ひとつ人気はないらしい。行方不明になる子供自身に何かがあるわけではないのだろうか?
現場には数名の子供が来ており、次に誰が行方不明になるのかわからない。ひとまず玄は教会の前で張り込み、そこから出ていく怪しい人物がいないか確かめることとした。
ルフトフェール・ルミナ(空を駆ける風・f08308)は街を散策していた。周囲の人に明るさはなく、その希望をなくした様につけ込む卑怯者を打ち倒さなければ彼らに救いは訪れない。
彼は歩きまわることでこの街の格差について大まかに把握することができた。街の中心から離れるにつれ貧民が増えていき、また教会からやや近い貧民街には信者がとても多いということがわかった。
他の住人よりもさらに苦しみが深く、かつ教育の不足から人の言葉を信じてしまいがちなそんな住人層。見たところ、そこまで街全体で全力をあげているとは言えない行方不明者の捜索。そこから、狙われるのは不幸に襲われても抗うことをしなさそうな人の子ではないかと彼は推論を立てる。
さらに聞き込んだところ、現在ある男性の子供が一人で教会に行っているという。年齢は十二で、金髪の少女。次に狙われる可能性が高いその情報を元に、ルミナはその保護のために急いだ。
その頃、玄は教会から金髪の少女を尾けるように近づいていくローブの人物を追っていた。空はすでに夕暮れ、人の往来も減りつつある。
そして事態は動いた。ローブの人物は突然走り、少女を後ろから抱えたのだ。
「止まれ!」
玄はその人物の肩を掴んで後ろに引き倒す。ちょうど反対側からもルミナが現れ、その人物は囲まれる形となった。
「君、早く逃げな。ここは危なくなるよ」
ルミナが少女と目線を合わせてそう言い聞かせると、彼女は一目散に走っていった。ローブの人物はゆっくりと起き上がる。
「お前が誘拐事件の犯人か?」
玄がそう問うも、不審人物は返事をしない。そして懐から小さな笛を取り出し、吹いた。
甲高い音が遠くまで鳴り響く。それは広範囲まで何かを知らせるための伝令であった。
大成功
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第2章 集団戦
『篝火を持つ亡者』
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POW : 篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : 新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
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鳴らされた笛の音に呼応してか、どこからともなく黒いローブの人物が複数集まってくる。それらは皆教会にいたものだ。背が低く、体格がわからない。
その時一陣の風が吹き込み、集団のうち一人のフードをまくり上げる。……それは灰色の髪の十歳ほどの少女であった。鼻と右頬を鋭利なもので削がれており、左目は周囲の肉の腫れで潰れていた。
少女はフードを再び被ると、懐から篝火を取り出す。そしてうわ言のように呟き始めた。
「ご主人様のために。ご主人様のために」
見ればその他の人物もみな、体に並々ならぬ暴力を受け死んだであろう子供だった。彼らもまた呼応するように篝火を取り出し、呟く。
「ご主人様のために。ご主人様のために……」
そして、猟兵たちに襲いかかってきた!
シル・ウィンディア
闇からの使者って感じだね。
闇の世界を照らす光は、あなたの炎じゃなくて
わたし達、猟兵だってことを教えてあげるっ!
気合と共に、二刀の光刃剣『エレメンティア』『六源和導』を両手に構えて
二刀流で行きます
ヒット&アウェイを基本に、囲まれないように立ち回って隙を見せないように立ち回るよ
炎が放たれたら、光刃剣を回転させてシールド代わりに使用して被弾を避けるね
回避されるのなら、こっちはどうかな?
広範囲、高威力の氷の嵐、味わってねっ!
エレメンタル・ファンタジアで纏めて攻撃するよ
もちろん、【全力魔法】に【属性攻撃】ものせてね。
命中率に難があっても、誰か一人位は当たるでしょ。
闇から滲み出るようにして現れた亡者たちに、シル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)は彼らが闇の世界の象徴、その使者であるように見えた。
しかし、その闇を照らすことこそが彼女ら猟兵の使命。シルは気合と共に銀のロッドに刃を纏わせ剣にした。もう片方の手には同じく光を放つ剣。複合的な属性の力が込められたものだ。
シルは地を蹴り、眼前の亡者に迫った。光刃剣を構えると、亡者は篝火を横に構えそれを受けようと試みた。が、光の刃はその防御を容易く貫いていく。篝火は両断され、その剣はその奥の亡者の額を割った。
続いて光の剣・六源和導を横薙ぎに振るうと、先ほどよりも深く斬撃が入り、敵はその場に仰向けに倒れた。
しかし亡者の恐ろしい点はすでに死んでいるという点である。壊れた体を無理やり動かす存在は、改めて肉体を壊したところでまた動き始めてしまうのだ。
倒れた亡者に対して、一体の別の存在が近づいていく。それが篝火を掲げると、倒れた亡者はシルに斬られた傷から血を滴らせながら立ち上がる。
「倒してもなお起き上がる……なら、これならどうかな!」
六源和導が青白く冷気を纏う。その冷気の霧は徐々に拡大され、風を巻き込み、嵐を呼び起こす。
「エレメンタル・ファンタジア!」
その嵐は動き自体は遅いものであったが、集まっている亡者の群れに直撃し数体を巻き込んだ。すると亡者は身を凍てつかせ、氷に包まれる。
それでもなお動こうとする亡者たちであったが、凍結状態で無理に体を動かそうとしたことで氷にはヒビが入る。そして、その体はボロボロとその場に崩れ落ちた。体のパーツがバラバラになったことで、それらはもはや動くことは不可能になったようだ。
成功
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オリヴィア・ローゼンタール
POW
惨いことを……
子供たちを嬲り者にしただけでなく、その骸を己が尖兵とするとは
断じて赦しはしません
【トリニティ・エンハンス】【属性攻撃】で聖槍に炎の魔力を纏い攻撃力を増大
【怪力】で刺し穿ち(【鎧砕き】)、内側から焼き払う
死の安寧さえ奪われた骸から、魂を解放します
炎を放たれたら強化された【視力】で軌道を【見切り】、
聖槍に纏った炎で相殺(【武器受け】【オーラ防御】【火炎耐性】)する
そのような悪しき力を揮わされていること、憐れに思います
一刻も早い解放と、諸悪の根源の討滅を――!
「子供たちを嬲り者にしただけでなく、その骸を己が尖兵とするとは……。断じて赦しはしません」
静かな怒りとともに、オリヴィアは自らの武器を握り直した。すると、手にした槍は炎を纏う。それはまるで、彼女の心中を代弁するかのように爛々と赤く光り、陽の沈みゆく街道を照らした。
彼女は一歩深く亡者へ踏み込むと、その聖なる槍を敵の痩せた腹部に突き通した。ローブを破り、勢いの足らない血液が零れ落ちる。
憐れなその子供を貫いた金の穂先に、槍全体の炎が集中していく。そしてそれは爆発するかのように勢いを増し、一瞬にしてその肉体とローブを火達磨にした。
「オ、オォ……オオオ……!」
「一刻も早く、その魂を解放して差し上げます」
それが慈悲による一撃であったとしても、自分の意志を奪われた亡者には届かない。なおも自らが手にした篝火を振り上げ、炎の塊をオリヴィアにむけて飛ばす。
その炎の機動を見切った彼女は素早く頭を躱し、亡者を穂先で貫いたままの槍を握った手先を持ち上げる。炎が飛んでいく先に槍の柄を持ってきた彼女は、トリニティ・エンハンスにより柄の先にも同様の炎を纏わせ、敵の火を相殺する。
最後の抵抗が無駄に終わると、亡者の肉体は黒く焦げ、燃え尽きていく。まずは一体。
「その魂に、安らぎを……」
このような非道、許してはおけない。オリヴィアは再び自らの槍を握り直し、次の対象に突撃した。
成功
🔵🔵🔴
赭嶺・澪
UC『アサルトブラスター』は攻撃回数重視にして、技能『2回攻撃』と合わせて使用。
数が多いなら手数で勝負よ。
あたしは射撃戦がメインになるから、出来るだけ敵から距離を取りましょう。
近距離戦に持ち込まれたらUC『アサルトブラスター』は攻撃力重視、技能『零距離射撃』『2回攻撃』を叩き込んでやるわ。
まだ生きている、というのであればちょっとやりにくかったけど、既に死亡してるなら遠慮はいらないわ。
これ以上苦しみを与えないためにも、早く楽にさせてあげないとね。
まだ生きている子供であればやりづらいが、すでに死んでいるのであれば遠慮することもない。彼らを早く楽にするべく、澪はサブマシンガンの引き金に指をかけた。
「モードチェンジ」
その武器がユーベルコード『アサルトブラスター』による強化を受ける。サブマシンガンの形状が変化し、その銃口、及び対応するマガジンが二つに増殖する。これにより、ただでさえ連射性の高いサブマシンガンはさらなる攻撃回数を手に入れることとなる。
澪は亡者から距離を取りそれを掃射した。その攻撃範囲は圧巻であり、少なくない亡者がその体に無数の穴を開けた。このままではまずいと判断したのか、うち三体程度が澪に向かって走り、その攻撃を止めようと試みる。
「おっと、そうはいかないわ。モードチェンジ!」
掃射が止み、再びサブマシンガンが形状変化する。二つに分かれていた銃口はひとつに戻り、バレルが真っ直ぐに伸びる。彼女はローリングするようにして接近する敵の懐に潜り込むと、その胸元に銃口を当て引き金を引いた。
亡者の体に風穴が開く。彼女はそれを蹴飛ばすと続いて後方の二体に対しても高威力の弾丸を叩き込み、沈黙させた。
成功
🔵🔵🔴
荒谷・つかさ
想像はしていたけれど、なんて惨い……
これ以上、あなた達と同じ子供を増やさないためにも。
ここで、終わらせてあげる。
小柄で数が多いのなら、突撃して蹴散らすわ
すぐさま【荒谷流乱闘術奥義・明王乱舞】を発動
大剣の「零式・改二」と薙刀の「白雪桜花」を両手に、敵群へ突撃
「なぎ払い」技能を活用して多くの敵へダメージを与えていく
炎での迎撃をしてくるでしょうけれど、これは「気合い」と「勇気」で耐え凌ぐわ
だって、この子達は……きっと、この熱さを超える苦しみを味わって死んでいったに違いない
ならば私は、耐えてみせる
この子達を全員、安らかに眠らせてあげるまで
明王の舞、その程度の炎で止められると思うなッ!
猟兵たちの攻撃によって更に顕になった彼らの有り様は、荒谷・つかさ(護剣銀風・f02032)にとっては目を覆いたくなるようなものであった。
恐らく何かしらの拷問器具によって付けられたであろう傷の数々。それは完全に痛みを与えるためだけのものであり、中には拷問具が体に突き刺さったままの亡者もいた。
「これ以上、あなた達と同じ子供を増やさないためにも」
彼女は出刃包丁のような巨大な剣零式・改二。雪と桜が描かれた薙刀の白雪桜花を手に、一息で敵の群れの中に突っ込んだ。
「ここで、終わらせてあげる。荒谷流乱闘術奥義・明王乱舞!」
両手に構えたその武器が嵐のように舞う。それは闘術、ただでたらめに振り回すものとは訳が違った。それらの武器は的確に相手の急所を狙い、深い一撃となるよう直撃の前に力を込め直す。剣と薙刀にこびりつく血液が彼女の周りに飛散し……そして、それらの外から篝火の炎が迫り来る。
接近とは致命打を与えるチャンスであり、攻撃を食らいやすくなる行為でもある。囲まれる形となったつかさは、痛みを感じない亡者から最期の一撃となる炎を投げつけられた。
が、彼女は歯を食いしばる。その炎が彼女に身を裂くような痛みを与えようと止まることはない。彼らはこの熱さを超える痛みを味わったに違いないのだから!
「明王の舞、その程度の炎で止められると思うなッ!」
その舞は、未だ動こうとしていた亡者たちに完全なとどめを刺す。すると彼女の体を覆っていた炎は消え、それはユーベルコード使用者の意志が失われたことを語っていた。ひとまず、つかさは彼らに一時の安らぎを与えることに成功した。
成功
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鬼ヶ島・エレナ
「くそっ、なんて悪趣味な連中だ……!
ガキどもを餌食にするのも許せねえが、ウソも許せねえ。
死んだ連中を動かすようなお山の大将に、来世の幸福なんて
語る資格はねえ!」
【ゴッドスピードライド】を使い、スピード重視で行動する。
敵のかがり火の影を触らないよう、立ち位置を常に変えて
常に動き回りながら攻撃する。
また、一人の敵を集中的に攻撃するのではなく、
多くの敵に攻撃をあてて牽制する。
可能であれば味方の威力重視の攻撃が当たるようサポートする。
不破・玄
ああっ、何て事だ。
倒さなければ同じ境遇の子供が増えるだけ、だ。
先ずは冷静になることだ。(襲われそうになった)子供は逃げ切ったか確認する。そちらに言っていないか注意。
そして、子供達を解放…いや、倒す。言葉を飾るのはやめよう。
まだ、教会にこうなっていない子供がまだいるかもしれない。急がねばな。
焦ってはまずい、慎重に。此は死人を亡者に変える、確実に倒す。
ああっ腐った神だな。許さん。
攻撃は薙刀をふるって攻撃だ。
もし、敵に囲まれてしまっていれば【範囲攻撃】&【なぎ払い】を用いる。
間合いがとれれば【サイキックブラスト】を用いる。
炎は厄介だ。慎重に対応し【武器受け】で防いだりしたい。
助けてやれず。悪い。
玄は明かされたローブの人物たちの正体、そしてその凄惨な姿に言葉を失っていた。それらは皆自分と同年代か、それより幼い子供たちばかり。動揺も無理からぬことであった。
(だが……まずは冷静になることだ。逃がした子供は無事か。危険に晒されてはいないか)
玄は改めて、子供が逃げていった先の道を見る。そちらに敵の影はなく、またこの場が亡者たちにとってこれだけ窮している今、なおも子供を追うために人員を裂くとは考え難い。
「教会にも、まだ助かる子がいるかもしれない……急がなくては」
玄は薙刀を構える。子供たちを解放……いや……倒すために。
「くそっ、なんて悪趣味な連中だ……! ガキどもを餌食にするのも許せねえが、ウソも許せねえ。死んだ連中を動かすようなお山の大将に、来世の幸福なんて語る資格はねえ!」
そんな玄の傍らにて、エレナは怒りとともに手のひらに拳をぶつけた。そして自らの愛車である烈怒羽仁威号に颯爽と乗り込む。特攻服が翻り、片手に握った木刀が震える。エンジンをかけると威圧的なサウンドが辺りに満ちていく。
「オラオラァ! カチコミだァ!」
しかし、その突撃も木刀も回避されてしまう。動きは鈍いはずであるのに、亡者たちはその攻撃と突撃をまるで先読みしているように躱すのだ。とはいえエレナ自身の動きは素早く、避けられたところで反撃を食らうものではない。その有利を活かして数回繰り返すうち、彼女は気付いた。
「あの影を踏むと、動きを読まれるみてぇだな」
そうと決まれば、それを避けるのは難しい話ではない。改めてエレナはバイクと共に突撃し、亡者たちに木刀を叩き込んでいく。複数体を一度に相手するような形で、少しずつダメージを蓄積させ隙を増やしていく。
その現れた隙を玄が薙刀で切り払っていく。こちらも複数体を相手取るための武器であり、木刀とバイクの突撃でよろけた相手を袈裟斬りに斬りつけ沈黙させていく。
「へぇ、やるじゃねぇか!」
「前を見ろ。危ないぞ!」
玄への称賛で目を逸らしたエレナの前に、一体の亡者が篝火を振り上げて待ち構える。バイクの勢いがあるとはいえ、このままでは一撃食らってしまうだろう。
だがそうはならなかった。玄はサイキックブラストにより両掌より雷を放ち、その亡者の動きを強制的に止めたのだった。
反撃がないのならば遠慮はいらない。エレナはバイクの前輪を持ち上げウイリー走行すると、その亡者の頭に前輪を振り下ろした。パキリ、と頭が砕ける。
「……助けてやれず、悪い」
玄は子供たちに祈った。悲しみと罪悪感と、何よりも……怒り。それが彼女らの心を満たし、その協力を容易にさせた。
大成功
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ルフトフェール・ルミナ
そうか……。
さらわれた子達は、この亡者を作り出すために……。
けど、ここまで切り刻んだりする必要がどこにあるんだ。
……いや。今僕ができることは、この子達を眠らせることだけだ。
【WIZで!】
ウィザード・ミサイルを撃って攻撃するよ。
これはただの炎じゃない。魔術で生成した純粋な炎だ。そして僕の持つ耀星の杖は、炎を増幅するように魔力付与してある【属性攻撃】。
そんな篝火など吹き消して見せるよ。
炎の矢を集中して亡者を各個撃破すると、新たなる亡者として動き出してしまいそうだから、敢えて炎の矢を分散させて複数体を同時撃破できるよう、心がけたいな。
終わったら、この子達を弔ってあげたい。出来る限り酷い傷を隠してね。
佐藤・柊那
野郎!!、何処のどいつか知らねぇけど。胸糞悪い事しやがる
最初にユーベルコードを使用してある程度、亡者の動きを抑制するよ
SPDを活かして攻撃しつつ、周りの動きに気を配って行動
死亡、気絶中の対象が出たら、一旦下がってフック付きワイヤーで
釣って、敵の影響の無い所まで持って移動
新しい敵が追加されるようなら、またユーベルコードを使って
敵の動きを抑制します。
「そうか……。さらわれた子達は、この亡者を作り出すために……」
だが何であれ、子供たちをここまで痛めつけそして使役するその所業は鬼畜としか言いようがない。だが、今ルミナにできることはその思いを炎に変え、彼らを眠らせてやることだけだ。
輝く星の意匠を取り入れた杖を振るう。炎の力を増幅する杖により、彼の魔法はさらなる強化を得る。
亡者たちの持つ篝火など容易く呑み込んでしまうほどの炎の矢が彼の背後の空間から滲み出る。炎による攻撃はいくらか有効であることが他の猟兵たちの攻撃からもわかっているが、それでも回復されてしまうのが厄介だ。矢を散らして同時撃破することができればそれに越したことはないが……。
「あいつを狙って!」
大量の炎の矢を見た柊那はルミナに対象を指定した。同時に、彼女の魔眼が一体の亡者を炎で包み込み、その動きを止めさせる。
ルミナは言われた通りにその対象に炎の矢を降り注がせた。集中させたその威力は亡者から動き続けるだけの力を奪い、立て続けに炎で灼かれたその身は朽ち、倒れる。
「でもこれじゃ、また復活させられるんじゃないかい?」
「大丈夫!」
柊那はフック付きワイヤーを取り出し、それを倒れた亡者に引っ掛けた。まるで釣りのようにそれを引き寄せると、周囲の亡者はもはや復活しに行くことができなくなる。
「……なるほど。いい考えだねぇ」
薄く笑い、彼もまた懐からフック付きワイヤーを取り出した。
「君も持ってたんだね」
「ああ。それじゃ、釣り大会と行こうか!」
引き寄せられていった仲間を取り戻そうと亡者たちが近寄ってくる。それを柊那が魔眼で焼き、動きが止まった相手をルミナが炎の矢で貫き、それをどちらがともなくフック付きワイヤーで亡者たちの手の届かないところまで移動させる。
亡者たちの動きは単純だ。それだけに、この型にはまった作戦は十分な威力を発揮した。すでに他の猟兵たちの攻撃で数が減っていたことも手伝って、二人の炎とワイヤーによって彼らを完全に倒し尽くすことに成功した!
大成功
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第3章 ボス戦
『子ども遣い『チャイルドマン』』
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POW : 理不尽な言いつけ
【攻撃】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : 財産喰らい
自身の身体部位ひとつを【対象の親もしくは同じくらい信頼している人】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : 操り人形
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【一時的に幼い頃の姿】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑17
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「おいエンジェルちゃん達、いつまでかかってるの? 僕の新しいエンジェルはどこに……」
そんな呑気そうな声と共に近付いてくるプレッシャーがあった。かつ、その声はエレナが教会の地下で聞いた男の声だ。
現れたその男はオラトリオだ。黒い羽を携えた柔和そうな顔つきの男は、しかし猟兵たちにははっきりとそれがオブリビオンであることがわかった。
男は自らの兵たる子供の亡者が全員倒れていることに気付くと血相を変える。そして、その眉を吊り上げた。
「おいおい……オイオイオイオイオイ! お前らさぁ、何してくれてんの? 僕のかわいいエンジェルちゃん達をよぉ!」
異様な事に、その怒りは本物のようだった。自らが嬲り尽くした存在が倒れていることに、心底からの怒りを男は滲ませる。
「絶対許さねぇぜお前らぁ。だが、ウヒヒヒ……ちょうどいいのも何人かいるじゃねぇか。ジジババどもを殺してよぉ、猟兵で補充と行くかぁ!?」
男は猟兵たちにすら歪んだ眼差しを向け、舌なめずりをした。溢れた涎が地に落ちると同時、男はその邪悪な魔力を放った。
ルフトフェール・ルミナ
猟兵で補充?
『ぼくのかわいいエンジェルちゃん』は、『補充』するものなのか。
語るに落ちたな、この外道!
(……怒れども冷静に。感情に任せるのは、こいつを迅速に倒し、息の根を止めたのを確認してからだ。さもないと何も終わらない)
【WIZで!】
心強いことに、頼もしい仲間が共に戦ってくれてるようだ。
だから、僕は魔術『大いなる冬』であいつの動きを止め、猟兵側が仕掛ける隙を作るよ。
もし、接近されて近接攻撃を仕掛けられたら、【カウンター】を試みる。
戦いが終わったら、亡くなった子達を弔ってあげたいけれど、傷ついた身体を家族に見せて良いものか……。
けど、無縁で葬るのも酷いよね。可能な限り姿を整えて帰してあげたい。
オリヴィア・ローゼンタール
POW
この男、異端ですらありませんね
思考が完全に破綻しています
もはや言葉を交わす意味もなし――!
【血統覚醒】で戦闘力を増大、全力全開で討ち滅ぼす
【属性攻撃】【破魔】にて槍とガントレットに聖なる炎の魔力を纏い攻撃力を強化
【怪力】を以って聖槍を投げつける(【投擲】【槍投げ】)
当たれば抜かれる前に、避けられれば体勢を崩した隙に、
【ダッシュ】で駆け寄り、ガントレットで殴打、グリーブで蹴撃(【怪力】【グラップル】【踏みつけ】)
反撃を受ける前に槍を回収して離脱し、その後は槍で応戦(【怪力】【なぎ払い】)
敵の「言いつけ」は完全に無視する(【激痛耐性】【オーラ防御】【呪詛耐性】)
聞く耳、持ちませんっ!
「猟兵で補充? 『ぼくのかわいいエンジェルちゃん』は、『補充』するものなのか。語るに落ちたな、この外道!」
「何キレてんだよぉ。んなもん当たり前じゃねぇか。エンジェルちゃんが壊れちまったらよぉ、次に壊しやすいやつを調達するのさ。ククク……自分の子供殺されてるともしらずに僕の元に助けを求めに来る親どもの顔ったらよぉ……」
ルミナは湧き出る怒りを抑え込み、眼前の敵を睨む。今はまだ、冷静に。ここまで挑発的な言動を繰り返すのは、猟兵たちの怒りの隙を突くためでもあるだろうと彼は察していた。
「この男、異端ですらありませんね……思考が完全に破綻しています。もはや言葉を交わす意味もなし――!」
オリヴィアの瞳が深紅色に輝き、その犬歯が伸びる。一気に増大したその力は、自らの寿命と引き換えにヴァンパイアの力を呼び覚ますもの。
「へへへ……おいおい、お前さんご同類じゃねぇのか?」
なおも挑発的に続けるチャルイドマンを無視し、彼女は炎を纏わせた聖槍を投擲する。それはあと少々で敵の首を切り離していたが、既のところで躱されてしまう。チャルイドマンの肩の肉が抉られる。
「ヘヘ、残ね――」
槍が向こうの家屋に突き刺さったのを確認してチャルイドマンが視線を戻すと、そこには既にオリヴィアが迫っていた。
「我、己が体熱を代償に、異なる時、異なる地への途を開かん。三度の冬を経し世の吹雪、この世に阻めるものはなし」
彼女が仕掛けるのと同時、ルミナは魔術『大いなる冬』を発動する。空間を裂いて現れた異界の吹雪がチャルイドマンの足を凍結させる。
「んだァこいつは!」
躱そうにもその足は動かない。オリヴィアの炎を纏うガントレットがチャルイドマンの顔面を射抜いた。逃げ場のない炎と衝撃が彼を襲う。
「ってェな……」
ギロリと睨みつけるその瞳は、未だ底を見せぬ悪意と敵意を孕んでいた。その右手に魔力が集まる。オリヴィアは一旦離脱し、壁に突き刺さった聖槍を引き抜いた。
「なぁに目逸らしてやがるんだよぉ」
チャイルドマンは氷による拘束を踏み砕くようにして無理やり脱出。オリヴィアに殴りかかる。彼女は辛うじて槍とそれに纏わせたオーラで拳を防ぐも、直後に槍の防御範囲外から膝蹴りが突き刺さる。
「っ……!」
「十分だ……一撃で十分なんだぜえ……『貴様には! 僕への攻撃を禁ずる!』」
チャイルドマンの言葉が形を持ち、赤黒い鎖となってオリヴィアに巻き付く。それは行動を妨げるものではないが、放たれた言葉に応じた強い強制力を持つことがわかった。
「そんなもの、聞く耳持ちません!」
オリヴィアはそれを無視し、聖槍を眼前の敵の胸に突き刺した。命を持った鮮血が勢いよく迸る。
「ぐっ、へ……へへへ。大人の言うことは聞くもんだぜぇ!」
同時に、彼女に巻き付いた鎖が次々にその肉体を貫いていく。血統覚醒の力によりいくらか痛みを抑えることはできても、その体は血液を失い立ち眩む。
「オリヴィアさん!」
ルミナはそれ以上の追撃を防ごうと、再び魔術を発動させた。今度は足元の拘束などではない、全身を凍てつかせるつもりで出力を高める。
「そいつはさっきも見たぜ!」
チャイルドマンが手を翳すと、ルミナと彼の間で徐ろに亡者が立ち上がる。それは吹雪をすべて全身で受け止め、チャイルドマンを庇った。
「ん〜、いい子だ……クク、ウヒヒヒヒ」
「お前……ッ!」
「ククク、死体ならそこらにゴロゴロあるんだ。僕の盾になってくれるよなぁ、エンジェルちゃん達ぃ!」
チャイルドマンは得意げに笑った。その隙に、オリヴィアは一旦敵と距離を取る。命令の鎖はすでに一度で効果を使い果たし、消えていた。
そして、歴戦の猟兵たる二人はすでに気付いていた。調子に乗って技を披露した敵の愚かさを。大半の手の内はすでに、周囲に知れ渡ったのだ。そうと意識することもなく、チャイルドマンは起き上がらせた亡者に頬擦りしていた。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
荒谷・つかさ
……出て来たか、下郎。
何も話す事など無いわ、疾く躯の海へと還るが良いッ!
最早問答無用。
戦闘が始まり次第「ジャンプ」技能を活用して頭上を取り
【荒谷流重剣術奥義・稲妻彗星落とし】を発動、大剣「零式・改二」での攻撃を仕掛けるわ
高さを稼いで重力加速度を乗せて、おまけに裂帛の「気合い」で獲物を振る一撃
例え防御があっても「鎧砕き」の技能で粉砕してやるわよ
理不尽な言いつけってくらいだから……「私を攻撃するな」ってルールを言ってきそう。理不尽ね。
その場合、仕方ないから「目をつぶって周辺を無差別に破壊して回る」わね
巻き込み事故までは、知った事じゃ無いわ(にっこり)
あ、勿論仲間には予めこの作戦は伝えておくわよ?
つかさは跳躍した。それは敵の頭上を取るためであり、重力により威力を増すためであり、そして敵の注意を引くためでもあった。
「なんだ次は……あぁん? チッ、子供かと思ったら違ぇな?」
「下郎……。何も話す事など無いわ、疾く躯の海へと還るが良いッ! 荒谷流重剣術奥義……稲妻彗星落とし(ライトニング・シューティングスター)!」
「うおっ……!? テメ……!」
それはまさしく彗星の如き質量であり、稲妻の如き速度でチャイルドマンに迫った。振り下ろされたその一撃を彼は両腕を交差し受けようとしたが、その質量を前に両腕は粉砕されて折れ、中から血肉と折れた骨が露出する。
「うおお、ぐああぁぁ!」
彼を中心に巨大なクレーターがその場に生み出され、余波で周囲の家屋がミシミシと揺れる。
「野郎……僕の腕をよくも!」
好機と見たつかさは、愛剣零式・改二を構え突撃する。それを見て、チャイルドマンは――その口角を吊り上げた。
彼は折れた腕を振り回すと遠心力でそれを引きちぎる。つかさが剣を振り抜く直前、前方にステップしたチャイルドマンは尖った自らの腕の骨で彼女の首を斬りつける。
幸いそれは皮一枚であり、致命傷には至らなかった。だが、一撃でも攻撃を食らうということは、敵の術中に入ることを意味する。
「食らったな……『貴様は僕への攻撃を禁ずる』! へへへ……破ったらどうなるかは先ほど見えたはずだ」
「……ええ。そうね」
つかさはだらりと脱力し、剣をその場に下ろす。が、次の瞬間それをチャイルドマンめがけて横薙ぎに振りぬいた!
「ぐげっ! て、てめぇ……だがこれで!」
しかし、いくら待とうとつかさの体に巻き付いた鎖が彼女を傷つけることはなかったり呆気にとられたチャイルドマンに、続けざまにもう一撃、大質量の剣が食い込む。
「うごぉ……! テ、メェ……どうなってやがる……」
「あら、何かぶつけたかしら? ごめんなさいね、巻き込み事故は知った事じゃないの」
つかさは目を瞑り適当に武器を振り回すことで、敵への攻撃を継続させたのだ。それはチャイルドマンを狙っての攻撃ではない。言いつけの効果も発動しなかった。無論そのことは通達済みで、それに近付く猟兵はいない。
「イカれてんのか、テメェー!」
口からダラダラと血液を吐きつつ、彼は叫んだ。
大成功
🔵🔵🔵
佐藤・柊那
「このロリコンもどきが、人のシマ荒らした罪は重いからな!!」
SPDメインで行動
着ていた上着を脱いでSPDをあげて、相手のかく乱をメインに行動
できるだけ敵の行動を妨害するように立ちまわります。
攻撃時は、野生の感と逃げ足で回避をメインに慎重に動くよ
当たらなくても相手の行動リソースを裂ければ十分
倒れた仲間がいるなら操り人形にされても困るから
範囲外に運搬だ
鬼ヶ島・エレナ
「何してくれてんの、だって?
それはなァ! 弱い人間をブッ殺して操ってご満悦な
変態野郎の吠え面を笑ってンだよ!
そして今度はお前がブッ殺される番だ! 覚悟しな!」
【SPD】
宇宙バイクで走り回りながら攻撃する。
ヒット&アウェイで、手数よりも確実に攻撃を当てることに集中する。
その際、技能【鎧砕き】を使って敵の防御力を削る。
もし敵の【財産喰らい】でかみつかれた味方がいたら
バイクで体当たりして逃すようにする(技能【救助活動2】を使う)
逆に自分が何かしらの攻撃を食らった場合は距離を取って
回復を味方に頼む。
(財産食らいの攻撃は父親(日本のサラリーマン)の顔が出る)
「このロリコンもどきが、人のシマ荒らした罪は重いからな!!」
「何ほざいてやがる! ここは僕のシマなんだよ! 僕の狩場で、自由ぅ〜に取って自由に愉しむ場だぞ!」
いくつもの傷を負わされながらあくまでチャイルドマンは不遜であった。だが、いかに強がったところでその両腕はすでに落ち、肩は抉れ、胸には穴が開いている。そこからの出血は決して無視できないものだった。
すなわち、ここから敵が狙うは短期決戦、或いは傷の回復である。柊那はそれを察し、上着を脱いで加速した。
チャイルドマンは新たに武器となった自らの腕の骨でそれを捉え、『理不尽な言いつけ』を発動させようとする。が、そのスピードを前にしては一撃を食らわせることが難しいようだ。チャイルドマンが一撃振るうたび、柊那は二撃、軽い傷を与えていく。そうしているうち、出血はオブリビオンから確実に体力を奪っていった。
「ヘッ。止まらねぇんならよぉ……テメェ自身に止まってもらおうじゃねぇか……えぇ?」
チャイルドマンの肩がぐにぐにと不気味に蠢き、そこから細長い触手のようなものが伸びる。その先端はコブのように膨らんで、粘土が形を変えるように人の顔を象る。
「なっ……」
それは柊那にとって見覚えある顔だった。一族の長に当たる存在。彼女に期待と、そして圧迫感を与えていた者。
「それが本物だなんて思っていなくとも、信じがたいものを見れば動きは止まるものだ。そして……捉えたぜ!」
柊那はその通り、一瞬足を止めてしまった。そこに顔面が迫り、規則的に並んだ歯が彼女を喰らおうとする。
だが、そこにバイクが突っ込んできた。エレナの烈怒羽仁威号である。それはチャイルドマンを跳ね飛ばし、間一髪で柊那を攻撃から守った。
「危ないところだった……ありがとう」
「いいって事よ。ある程度想定してたことだ」
「クソがぁ! あとちょっとだったってのによぉ……何してくれやがるんだぁ!」
「何してくれやがる、だって? それはなァ! 弱い人間をブッ殺して操ってご満悦な変態野郎の吠え面を笑ってンだよ! 結局卑怯な手ばかり使いやがって、今度はお前がブッ殺される番だ! 覚悟しな!」
「どうかな……首食いちぎられて死ぬのはテメェの方だぜ!」
チャイルドマンはすぐに体勢を立てなおすと、バイクに跨ったままのエレナに向かって走る。その両肩から先ほど同様の触手が伸び、その先端には彼女の父親の顔が浮かび上がった。
エレナはエンジンを吹かし、突撃する。だがこのままでは、バイクの横に回りこむことのできる触手を持つ男のほうが先に攻撃を当ててしまえるだろう。
あと数十センチ、数センチで彼女の父親の歯が首筋に届く。今だ、食いつける――そう確信したチャイルドマンは、触手の先が急に軽くなったような感覚に襲われた。
シーブズ・ギャンビットで加速した柊那は伸びきった触手をダガーで両断し、速やかにエレナの移動ルートから離脱したのだ。
その事をチャイルドマンが知覚したのは、エレナによる木刀の一撃を顔面に叩きこまれたのと同時であった。
「ぐぶあぁぁぁッ!」
派手に吹き飛んだチャイルドマンは、結局回復をすることもできずにその場に新たな血溜まりを作り上げた。
大成功
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シル・ウィンディア
…子供達を殺して、そして、こんなことさせるなんて
いい加減にしてっ!
そんなこと、ここで、今すぐ、止めてあげるよっ!!
もう、許せないし、ここは最初っから全力で行くよ
詠唱が終わったら、気合を入れて叫ぶよ
「ヘキサドライブ・ブースト…。これが限界突破の力だーっ!!」
機動力・攻撃力ともに上がるけど、制御が難しいから
効果が切れる前に行かないとね
二刀流の光刃剣でチャイルドマンへ舞うように攻撃
今回は、若干の被弾は気にせずに押し通すよっ!
気持ちは怒ってるけど、頭は冷静に行くよ
背中の光の翼で跳躍もしくは、飛行ができれば飛行して
3次元機動で相手を翻弄して攻撃を仕掛けるよ
「この痛み、子供たちの魂と思って受けてっ!」
不破・玄
外道だな絶対に許さない。今ここで死んで貰う。
猟兵たち皆同じ気持ちだと思う。
激情を抱えつつも冷静に処理を心がける。
折角死に場所に出てきてくれたのだから皆で確実に逃さずに殺す。
まず仲間の配置を確認する、そして敵の逃走を許さないよう包囲するよう動く。
その上でサイコキャノンで射撃をしつつ移動。
経路ふさぐ位置についたら【巫覡載霊の舞】にて身を守りつつ遠距離攻撃でたたき切る。
もし逃げようとしてこちら側に来ない場合でも容赦なく攻撃だ。
敵は糸使いか?猟兵が盾にされていないか注意しつつ動く。
苦しいか?本望だろう?素晴らしい来世につながるんだろう?
少女達と同じ場所に行けると思うな。
終了後子供達へ鎮魂の祈りの言葉を
「クソッ……この僕が何でこんな目に! 役にも立たない奴を嬲っただけでこんな! お前らももっと役に立ちやがれ!」
もはや破れかぶれとばかりにチャイルドマンは両腕を掲げる。魔力が周囲に倒れる子供たちの死体に波及し、それらを一斉に起き上がらせた。
「……子供達を殺して、そして、こんなことさせるなんて……。いい加減にしてっ! そんなこと、ここで今すぐ、止めてあげるよっ!!」
「ウフフ……お前はいいなぁ……どういたぶってやろうか……」
もはや声もあまり聞こえていないのか、チャイルドマンはシルに歪んだ視線を向け己の唇を舐める。血に塗れた舌が口の周りに血を塗りつけていく。
「六芒星に集いし精霊達よ、我にさらなる力を与えよ……ヘキサドライブ・ブースト! これが限界突破の力だーっ!!」
「うおっ……」
シルはその背中から二対の光の翼を現出させる。月を背に、彼女はチャイルドマンに影を投射した。それはまるで彼の行く末を告げるようで、男はその魔力の爆発に気付くと歯噛みし、腕を再び掲げる。
「ガキども! 僕の逃げ道を確保しろ!」
どうやら逃げるつもりのようだ。なおも子供たちを使役するその姿に、玄は強い憤りを覚える。
「外道だな……絶対に許さない。今ここで死んで貰う」
すでに戦場の四方は猟兵たちに囲まれ、ただ一つ、裏路地への道が開いているのみである。その上、その路地へは玄のほうが近くに立っていた。
「そいつをどかせ!」
チャイルドマンは亡者たちに命ずる……だが、彼らは動かなかった。それは猟兵たちとの戦いによってすでに動くことができなくなっていたのか、或いはオブリビオンへの無言の抵抗であったのか。ともかく、容易く玄は逃げ道を阻み、巫覡載霊の舞を発動させた。
「こ、の……役立たずがぁッ!」
叫ぶ男に、神霊体へと変じた玄は薙刀を振るう。そこから放たれた衝撃波が彼の足を直撃し、流血とともにその膝を地に着けさせる。
「苦しいか? 本望だろう? 素晴らしい来世につながるんだろう? ……少女達と同じ場所に行けると思うな」
「ぐ……うおぉ……」
地を這うようにしながら、血だまりの中で男は藻掻いた。空では準備を整えたシルが双剣を構える。
「待てぇ! ……見逃してくれよ! そうだ……他のオブリビオンが近くにいる、その情報を知りたくはないか!?」
「…………」
「それによォ、僕は今やこの街の唯一の希望なんだぜ……僕がいなくなれば教会はどうなる。この街はまた絶望に沈むぜ」
もはや男が何を言おうと、それに耳を貸すものはいなかった。言うまでもなく……彼はやりすぎたのだ。
「この痛み、子供たちの魂と思って受けてっ!」
シルは空中を駆け、舞のような剣戟を叩き込んだ。血飛沫が舞う。その最期に、チャイルドマンの身体は真っ二つに切り裂かれた。
「ぐ……あぁ……クク、ク。最後にもうひとつくらい……使いたい器具が……あったのに……よぉ……!」
その口は最期まで猟兵たちを嘲るように薄笑いを浮かべ、目を見開いたままオブリビオンは絶命した。一拍置いて、ローブに身を包んだ子供たちが倒れる。
玄はせめて、と子供たちに鎮魂の祈りを捧げた。こうして、オブリビオンによる偽りの信仰、偽りの教義の仮面を被った連続誘拐事件は幕を閉じたのだった。
子の還らぬ親達の、無念だけを晴らして。
大成功
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