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邪竜に囚われし英霊に安らぎを~魔石の炎姫

#アックス&ウィザーズ #群竜大陸 #クラウドオベリスク #宿敵撃破 #紅炎の姫 #マイ宿敵



『――むう』
 竜の身に宿る黒玉が妖しく輝いた。
 死者の魂を冒涜する呪われし輝きに呼び寄せられるようにして、一人の淑女が暗がりから歩み出る。
『お呼びでしょうか』
 冷たい声だった。
 纏っているドレス、全身を彩る宝飾品、そして両の瞳。すべてが燃えるような真紅でありながら、その声だけは一切の熱を持つこともなく、忘れ去られた墓土のように冷え切っていた。
『この領域に近付く者がいる。急ぎ出向いて始末してくるのだ。――ああ、それから』
 キンと硬い音を立てて、白骨色の鉤爪が何かを弾いて飛ばす。淑女が反射的にキャッチすると、それは拳大の紅玉だった。淑女が身に着けている宝石の数々に勝るとも劣らない、美しい石だ。
『持っていくがよい。”いざというとき”の力になるだろう』
『かしこまりました』
 淑女は人形じみた無表情でお辞儀をすると、踵を返して暗がりへと消えていく。
 その背を見送りながら、竜は小さく喉を震わせた。
『群竜大陸に関する知識はおろか、生前の記憶すらマトモに持ち合わせていないのは残念だが、まあ良い。この「クラウドオベリスク」の守護を続けていれば、いつかは帝竜陛下へのお目見えも叶おう。……それまでは、せいぜい利用させてもらうぞ。存分に、な』


『~勇者が呪文を唱えるや、大地が燃え上がり天は焼け焦げる。
 世界を喰らいつくすほどの業火が消えた跡には、天高くそびえる石柱の一本を除いて何も残されていなかった』

「……――――英雄譚『紅炎の姫』第三幕より抜粋、と」
 パタンと手元の本を閉じて、田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)はグリモアベースに集まった猟兵たちへと向き直った。
「皆は、『紅炎の姫』と呼ばれた魔女のこと知ってるかしら? かつてアックス&ウィザーズ世界を救った『勇者一行』のメンバーで、火属性の魔法石『炎冠石』の第一発見者としても有名だそうよ。で、彼女が遺した伝説について調べてほしいってのが今回の依頼」
 言いながら、ユウナは持っていた古めかしい革表紙の本を振って見せる。
「場所は辺境の砂漠地帯、『悪霊の谷』と呼ばれてる岩場よ。数えきれないほどの悪霊が住み着いていたのを、紅炎の姫が範囲魔法の一発で全滅させたって伝説が残されてるわ」
 曰く、見渡す限りが焼け野原と化し、すべてが灰となったとか。
 本当のことなら凄まじい話だが、本題はそこではないという。
「伝説は、一本の石柱だけが倒れずに残ってたって文句で結ばれるんだけど、この石柱ってのが『クラウドオベリスク』みたいなのよ。オブリビオンフォーミュラの居城と思われる『群竜大陸』の在り処を隠してるっていう謎のオブジェクト。見つけ出して、破壊しないといけないわ」
 オベリスクの位置はすでに特定済みだが、楽な道のりではないだろう。
 道中では幾重もの妨害が予想されるが、それでも世界を救うためには挑まねばならない。
 ユウナは力を込めて語り、そして少し迷うような素振りを見せながら続けた。
「それから、ちょっと気になる情報が。最近、近辺で『紅炎の姫の亡霊を見た』って旅人が何人もいるのよ。もしも本当に、かの勇者が現世に帰ってきてるのだとしたら……」
 何かを言いかけて、しかし首を横に振る。死者が蘇ったのだとすれば、それはオブリビオンだ。骸の海へと送り返してやる他に、猟兵にできることは何もない。
「今回の依頼は、守護のオブリビオンを排除しクラウドオベリスクを破壊すること。それだけよ。じゃあ皆、いってらっしゃい」
 伝えられることは全て伝えた。もはやユウナに迷いはなく、猟兵たちへの信頼に満ちた表情でテレポートの門を開く。


黒姫小旅
 どうも、黒姫小旅でございます。
 此度は純戦闘シナリオ。勝負! 戦い! バトル! の三本立てとなります。

●第1章
 ボス戦『紅炎の姫』
 伝説の勇者らしき人間型オブリビオンです。会話は普通に成立しますが、情報を引き出すとかは期待できないでしょう。
 炎冠石については、過去作『紅炎の魔法石鉱脈を探れ』でも取り扱っております。

●第二章
 集団戦。
 紅炎の姫が死亡することで出現します。蹴散らしてください。

●第三章
 ボス戦。
 クラウドオベリスクの前に立ちはだかるガーディアンで、死霊術を操る邪竜です。
 オベリスクの破壊は自動成功ですので、無視しても支障はありません。
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第1章 ボス戦 『紅炎の姫』

POW   :    降り注げ神罰の火矢(サモン・ザ・パニシュメント)
【天から降り注ぐ炎の雨】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    往け紅炎の下僕たち(プロミネンス・サーヴァンツ)
【竜蛇の姿をした紅炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【「炎冠石を含む装備アイテム」×3本の紅】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    来たれ地獄を走る赤(コール・ザ・インフェルノ)
【地の底】から【噴き上がる巨大な火柱】を放ち、【粘性の強い溶岩】により対象の動きを一時的に封じる。
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 柔らかな砂地が、がっしりとした地面に変わる。どこかに巣穴でもあるのか、コウモリの鳴き声が聞こえた。
 砂漠地帯のど真ん中で、巨大な岩壁に囲まれた峡谷『悪霊の谷』。不気味な呼称に反して穏やかな場所だったが、足を踏み入れた猟兵たちに緊張が走る。
『……侵入者ですか』
 前方の岩場から一人の淑女が歩み出た。
 全身を真紅の宝石で飾り上げた魔女は、空っぽな瞳で猟兵たちを見据える。
『即刻立ち去りなさい。さもなくば、燃やします』
 左手の短杖に取り付けられたひときわ大きな鉱石が、赤々と煌めいた。
レイニーア・ノックス
連携アドリブ大歓迎

spd

『なるほど……英雄譚に謳われる勇者パーティーの一員と……』
『英雄や勇者とは特別に選ばれたとか言われることも有りますし、それなら負けるわけにはいきませんね』(選ばれしものを何人も輩出した家系の娘)

『眷族よ!』敵が召喚?した紅炎に対抗し、ワイバーンの群れを召喚。仮にも竜王の眷族である以上、炎などにも強いという認識

『さあ、やりましょうか!』そういうと【高速詠唱】で召喚したワイバーン達に敵に有効そうな【属性攻撃】とブレスに【誘導弾】【範囲攻撃】をエンチャント。防御については召喚したワイバーンに【空中戦】【オーラ防御】を付与。そのうちの一頭に【騎乗】しながら、指揮をする




 レイニーア・ノックス(竜召喚師にして竜に騎乗するもの・f18202)は目を細めて、前方に立つ淑女を見やった。
 紅炎の姫、英雄譚に謳われる火炎の魔術師。彼女自身がどう思っていたかは定かでないが、『特別に選ばれた』存在だったのではないだろうか。
「それなら、ノックス家の娘として負けるわけにはいきませんね」
 名門に属する誇りを胸に、レイニーアは空へと声を張り上げた
「眷属よ!」
 契約結びし竜王に、力を貸し与えよと願い求めればすぐさま答えが返されて、天空より無数のワイバーンが飛来する。
『……下僕たちよ』
 真紅に身を包んだ淑女は、魔法の短杖を軽く振る。膨れ上がる魔力に呼応して全身を彩る宝石たちが輝くと、虚空から紅炎の竜蛇が現れた。
 ワイバーンの一頭にまたがって上空に舞い上がるレイニーア。地べたを這いずる竜蛇の中心に立つ紅炎の魔女。琥珀色と真紅の瞳が交錯した。
「さあ、やりましょうか!」
『往け』
 始動は同時。レイニーアの指揮を受けたワイバーンがオーラ防御を固め、淑女を取り巻いていた何本もの紅炎が火矢のごとく一直線に射出される。
 ゴウ!
 衝撃、そして熱波。
 正面からの激突に、一歩退いたのはレイニーアだった。
「くっ……なんて火力!?」
 炎冠石の加護を受けた紅炎は、命中したものすべてを燃やす。それは竜王の眷属たるワイバーンですら例外でなく、青空は痛みに呻く飛竜の声で埋め尽くされた。
 レイニーアは歯噛みする。相性は最悪だ。ユーベルコードの基盤となる術式の問題か……
「それでも……負けられないと言った!」
 奮い立たせるように、レイニーアは吼えた。
 ワイバーンたちを守るオーラを、まとわりつく紅炎ごとパージ。どうにか窮地を脱して、ありったけの力でもって指示を飛ばす。
「――属性は水。ドラゴンブレス、無差別放射!」
 球状に集合したワイバーンが、全方位に向けてブレスを放った。半径にして36メートル。蒼き閃光が紅炎をことごとく飲み込んでいき、相克する火と水によって周囲は真っ白な蒸気で埋め尽くされる。
「さあ、どうです!」
 湯気の向こうを探るように目を細めれば、ずぶ濡れになった淑女が帽子のつばから滴り落ちる水滴を拭うのが見えた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

宇冠・龍
(懐かしくもこの嫌な感じは、まさか……)
手にする黒い竜玉が何かに呼応するように鈍く光る

炎冠石に由来する方でしたか、ですがオブリビオンとして蘇っては、残念ですが敵として戦わなければなりません

流石名だたる炎の担い手、ですが私も地獄の炎とは日常的に触れ合っています。炎そのものを恐れはしません

【談天雕竜】にて百の鳥型動物霊と、武器たる爆弾を召喚

私自身は攻撃できませんが移動は可能
相手の攻撃は恐らく私の足元、もしくは空飛ぶ霊たちに向けてと予想
ジグザグに駆けつつ霊たちに指揮

爆弾を投下し絨毯爆撃
氷と風を付与したそれは、着弾と同時に炎を打ち消し白煙で相手の視界を封じます
そして霊たちの急降下による第二波攻撃を決行




『…………』
 水の属性攻撃を受けて濡れネズミとなった淑女は、台無しになってしまったドレスを見下ろして大きく肩を上下させ、
 パチン
 指を鳴らせば火炎が体を包み込み、一瞬にして乾燥させてみせた。
 ただ威力が高いだけではなく、コントロールの精度も並でない。宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)は内心で舌を巻く。
「流石は名だたる炎の担い手。ですが私も、伊達にブレイズキャリバーと触れ合っているわけではありません」
 炎を恐れる道理はないと言い放ち、龍は竜玉を掲げた。闇より黒い宝珠が鈍く輝いたかと思うと、周囲に百もの悪霊が出現する。
 召喚したるは翼ある鳥の動物霊。それらは嘴や鉤爪に爆弾を携えて、死霊術士の命に従いて飛翔した。
『――来たれ、地獄を走る赤』
 頭上を回る鳥霊の群れを前に、淑女は動じることなく短杖でもって地面を指す。
 大地が鳴動し、岩盤が割れた。方々へと伸びる割れ目の中から、紅の光が漏れ出る。
 そして、火柱。
 天を焦がさんばかりの勢いで灼熱が噴き上がり、鳥霊の数羽を飲み込んだ。
 ドロドロに溶けた岩が周囲に飛び散るのを回避しつつ、龍は逃げ延びた悪霊へと指示を飛ばす。
「第一波……今です!」
 空いっぱいに散開していた鳥たちが、持っていた爆弾を一斉に投下した。
 着弾するや、炸裂。
 爆弾に付与されていた水と風の属性が、戦場を薙いだ。火柱を消し止め、溶岩を冷却して無力化すると同時に、湧き立つ白煙を吹き寄せて敵を包み込む。
「このまま一気に、攻め破る!」
 鳥の悪霊が殺到した。
 翼を束ねて急降下、次々に白煙の中へと飛び込んでいき、内部からは鳥の羽音とくぐもった悲鳴、そして布や肉を裂くような音が聞こえてくる。
 ……手ごたえあり!
 黒い竜玉を持つ手にも力がこもり……ふと何かを感じ取って、龍は手元を見下ろした。
「何でしょう、この懐かしくも嫌な感じ。あの魔女とは別の? ……まさか」
 思い当たったように、顔を跳ね上げる。
 戦場を飛び越えて、『悪霊の谷』の奥地へと向けられた瞳が映すものとは、はたして……。

成功 🔵​🔵​🔴​

テラ・ウィンディア
ああ…この人は…
(過去の依頼を思い出

あんたは…本当はこんな事をする為にその石を見出したんじゃない

それさえも忘れているのなら…思い出させてやる…!

【属性攻撃】で炎を全身と槍に付与
この槍は…あんたの見つけた石に更に力を貰った
今も感謝している

だから…その力を…あんたが遺したものを示さなければ…ならないよなぁ!

【戦闘知識】で動きと火炎の動きを分析
【見切り・第六感・空中戦・残像】を駆使しての回避に努め距離を詰めに掛かろうと
それでも尚迫るなら【早業・串刺し】で槍での迎撃

その上で近接戦闘へと持ち込み猛攻!

上空を位置取れば

我が身一筋の火炎星となろう
メテオブラストぉ!(【踏み付け】で更に威力を高め粉砕を狙う!


シャイア・アルカミレーウス
元勇者一行に何があったか気になるけど、まずは魔女君を倒さなきゃ!
勇者の後輩として、乗り越えさせてもらうよ先輩!

(pow)
【魔術師の咆哮】のチャージが終わるまで「野生の勘」と「空中戦」を駆使して回避しよう!
当たりそうなときは炎冠石を取り込んだ「火山の蓋」で「盾受け」防御だ!
炎冠石の力で攻撃を緩和できたら御の字だね!

チャージが終わったら「破魔」をのせて「全力で魔法」を解き放つよ!
そっちが大魔法ならこっちだって全力の大魔法だ!




 ゴウと一風。立ち込めていた白煙が熱波で吹き飛ばされた。
『……ハァ、ハァ』
 紅炎の姫は息を荒くして、しかし表情は能面のままで額を拭った。
 透き通るような白い肌は、鳥の爪や嘴で傷つけられ、ズタズタになったドレスを流れる血が赤く染め直していく。
 満身創痍の身体を押して機械的に顔を上げると、開けた視界に二つの人影が飛び込んできた。
 ひとつはテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)。ポニーテールにした黒髪をたなびかせ、炎をまといて空を駆ける。
 もう一つはシャイア・アルカミレーウス(501番目の勇者?・f00501)。蛇の尻尾を波打たせ、鷹の翼で宙を舞う。
『…………降り注げ、神罰の火矢』
 高速の空中機動を見せる少女たちを、魔女は直接は狙わずに真上を指差した。
 たちまち、天空に魔法陣が出現。谷全体すら傘下に収めてしまえるような広大な魔法陣から、数えきれないほどの炎弾が降り注ぐ。
 滅びの火を頭上に戴いて、テラとシャイアは即座に回避行動を取った。
 鋭く勘を働かせ、燃える雨粒の隙間を縫うようにして飛び交い、それで避けきれないものは己の武器で打ち払う。
「おおおっ!」
 〈紅龍槍『廣利王』〉を手に、テラは吼えた。神速の連続突きで迎え撃てば、炎は白い肌に火傷ひとつ付けることなく砕け散る。
「よっと!」
 素早く、シャイアは左手の〈火山の蓋〉を構えた。見てくれは鍋蓋だが、希少鉱石を取り込んだ盾は危なげもなく炎を防ぎきる。
 灼熱の集中豪雨をものともしない二人の武具は、真紅の輝きを放っていた。それは、紅炎の姫を飾り立てる魔石たちの煌めきと同質のものだ。
「この槍は、あんたの見つけた石から更なる力を貰った」
「僕の盾もね」
 二人は思い出す。いつか受けた依頼で、紅炎の姫が星に導かれてたどり着いたという伝説の鉱脈を探し当てた日のことを。
 その奥地にて、テラとシャイアが力を合わせて発掘した炎冠石は、紅き龍牙槍の加護を増幅し、鍋蓋と融け合って進化を果たしたのだ。
「今も感謝しているよ。……なのにその力を、よりによってあんたが、そんな使い方をしてどうするんだ!?」
 テラの叫びが、淑女を貫いた。
 前に飛び出したシャイアが炎の雨を一手に引き受け、生じた隙を突いて飛翔すると、眼下に淑女を捕らえる。――上空を、押さえた。
「今こそ我が身、一筋の火炎星となろう。……【メテオブラスト】ぉぉぉ!!」
 紅炎龍の加護と炎冠石の魔力を一身にまとって、超重力による高速落下。置き去りにされた火で縦一閃の軌跡を描き、つば広帽子をかぶった淑女の頭頂に踵押しを叩きこむと、そのままの勢いで顔面から地面に蹴り落とした。
 半ばめり込むように突っ伏した淑女は、衝撃で意識もろとも魔術の制御を手放して、炎の雨はたちまち消え失せる。
「これがあんたの遺したもの。あんたが見出した力だ。そして……」
「僕たちは受け継いで、乗り越えていくよ、先輩!」
 テラが飛び退くと、その後方の空にはシャイアの姿があった。
 安全圏に戻った空中で、見習い勇者の少女は照準・解放の構えを取る。
「魔力チャージ完了。全力全霊全開放! いっけぇ、【魔術師の咆哮】!!」
 例えるならば第二の太陽。絶対的な滅びと浄化をもたらす高圧魔力が、倒れ伏す魔女に向けて放たれた。
 ――閃光。一拍遅れて爆音。
 きのこ雲が立ち上り、周辺の岩壁がひび割れて、余波は谷の外まで広がって軽い砂嵐を巻き起こした。
「……ふう」
 上手くいった、とシャイアは胸をなでおろす。
 暴走寸前まで充填し、圧縮した魔力を撃ちだした直後だ。燃え尽きたような虚脱感を覚えながらゆっくりと着陸するが、どうやら休憩は許されないようで。
「まだ気配が消えてない。終わってないみたいだな」
「うん。……色々気になることもあるけど、考えるのはもうちょっと後回しだ」
 並び立つ少女たちの視線の先で、真紅の影が瓦礫を押しのけながら立ち上がる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

バーン・マーディ
此処が斧と魔法の世界か
不思議なものだな

そしてこの世界のヒーロー…勇者か

我はバーン・マーディ
ヴィランである
勇者と言ったか
貴様と相対する悪である

【戦闘知識】で炎と姫を含めた全体の動きの把握
【オーラ防御】展開

【武器受け・カウンター】で迎撃に努めながらも最短で距離を詰め

無事にたどり着けるとは思っておらん
だが致命だけは防ぎ切る

その上で…ユベコ発動

心亡き炎で倒れる訳にはいかん!

【怪力・二回攻撃・生命力吸収・吸血】にて二刀による斬撃斬撃斬撃!

哀れなる勇者よ!
その意志さえ封じられ傀儡へ堕ちた人形よ

悪である我が貴様を奪おう

貴様はこの戦いの後に利用させて貰う

悪の蹂躙は死さえ終焉とならない事を教えてやろう


イーファ・リャナンシー
邪竜の手先になんてなって恥ずかしくないの?なんて言ってみたいところだけれど…きっと覚えてないのよね
分かるわ…私にも記憶がないんだもの
生前のあなたのためにも、あなたが悪事を重ねる前にやっつけてみせるわ

自然現象をこうも自在に操るなんて…
炎冠石?だっけ。その石の効果もあるんでしょうけど…誰にでも使いこなせるものじゃないんでしょ?

噴き上がる火柱に粘性の強い溶岩は【フェアリー・リング】で亜空間に飛ばして相殺するわ

伝説の英雄の1人だって関係ない
あなたが立ちふさがるって言うのならこっちも全力でぶつかるまでよ
もちろん、使える手は何でも使ってね
小さな体を活かして敵の死角に入りつつ、【全力魔法396】で攻撃するわ




「哀れだな、勇者よ」
 全身を引き裂かれ、焼き焦がされて、なおも立ち上がろうとする紅炎の姫に、声が掛かった。
「かつてはこの世界のヒーローでありながら、意志さえ封じられて傀儡へ堕ちた人形よ。我はバーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)。勇者と相対する存在、すなわち”悪”である」
 騎士道にのっとるかのように名乗りを上げるバーンに対し、淑女は答える代わりに左手の短杖で砕けた大地を打つ。
『き……来たれ、煉獄よ』
 紅蓮が咲いた。
 地面の割れ目から噴き上がる火柱が、暗黒騎士の鎧を赤く照らす。直後に降りかかってくるであろう痛みを覚悟して、バーンは身構え……
「――あっちへ行っちゃいなさい!」
 唐突に現れた光の輪が、飛んできた溶岩を飲み込んだ。
 何が起こったのかと辺りを見回せば、三つ編みをたなびかせるフェアリーの少女が目に留まった。
「お礼はけっこうよ」
 イーファ・リャナンシー(忘都の妖精・f18649)はバーンにウインクを送り、そして厳しい目で真紅の淑女を見据える。
 地の底深くを流れる溶岩を呼び出し、自在に操る魔術。限りなく高位の術であることは疑いなかった。美しくも強大な魔力を宿す『炎冠石』をいくつも身に着けているからこその芸当なのかもしれないが、強力なマジックアイテムを複数装備して使いこなすこと自体、非常に困難であるはずだ。
 たぐいまれなる才覚か、想像を絶するほどの努力か、あるいはその両方を、かの魔女は持っていたのだろう。
「……どんなにすごい人だとしても、たとえ伝説の英雄だって関係ない。立ちふさがるなら、全力でぶつかるまでよ!」
 それぞれに固有の名を持つ十の燐光を従えて、イーファは飛翔した。
 地鳴りと熱光から火柱が噴き上がるのを先読みし、展開した【フェアリー・リング】で亜空間へと飛ばして進路を切り開くと、一気に間合いを詰めて。
 ――敵の鼻先で急転身。
「正面からとは、言わないけどね」
 イタズラっぽい声がしたのは、すぐ足元からだった。
 小さな体格を活かしてスカートの陰へと滑り込んだイーファは、驚いたように身をひるがえした紅炎の姫と視線が重なって……ふと哀愁を覚える。
(どこまでも、空っぽな瞳。……そう、私と同じなのね)
 目の前の女性には、記憶がない。
 同じ境遇であるゆえに、イーファには分かった。過去の何一つを覚えていないからこそ、彼女は現在の自分に疑いを持つこともなく唯々諾々と邪竜の手先に甘んじているのだ。
「過去のあなたのためにも、今の歪んだあなたをやっつけてみせる!」
 感傷を熱意に変えて、イーファは右手を掲げた。
 花の腕輪を触媒に、放つは自慢の全力魔法。たとえ他の面では劣ろうとも、瞬間最大出力に関してだけなら、イーファは世界の頂点にすら届き得る。
「いっっっけぇぇぇぇ!!!」
 世界の理さえ捻じ曲げかねない、強烈な一撃が魔女を襲った。とっさに防御の構えを取った左手が、グキリと嫌な音がして魔法の短杖が吹っ飛ばされる。
『くっ……』
 淑女は力の抜けた左腕を庇いながら、とにかく距離を開けようとバックステップを踏んで――
 いつの間にか、その背後に悪の騎士が回り込んでいた。
「無傷でたどり着けるとは、僥倖だな」
 バーンは呟いて、禍々しい覇気と神気を放つ魔剣と、トゲ付きタイヤの車輪剣を突き付ける。
「改めて名乗ろう、我はヴィランである。……悪である我が、貴様を奪おう」
 その巨躯が、両の剣が、漆黒の粘液で覆われていく。【ダーク・ヴェンジャンス】、己が信じるもののため”悪”へと身を転じた騎士のユーベルコードが、強靭なるパワーと生命を奪う力を両剣に与えた。
 斬!
 黒き閃光が、立て続けに走った。凄まじい怪力で振るわれた刃がドレスを八つ裂きにして、命を喰らい血を啜る。
 たちまちのうちにボロ雑巾と化した淑女は、ついに力尽きて大地へと臥した。
 弱々しい呼吸を繰り返す紅炎の姫に、バーンは止めを刺すべく剣を振りかざす。
「貴様はこの戦いの後に利用させてもら……む?」
 直前に、気付いた。
 やはり真紅の長手袋をはめた右手に、大粒の紅玉が握られている。
 ……こんなもの、いつから持っていただろうか?
『――――……目覚めよ』
「っ!? まずい……!」
「危ない!?」
 直感的に飛び退いたバーンの襟首を、イーファが掴み取ってさらに退いた。
 それで、首の皮一枚繋がった。

『あ……あああぁぁぁぁぁぁっっっ!!?』

 悲鳴と紅光。
 その中心にいるのが、虫の息だった紅炎の姫であると周囲の猟兵たちが把握するまで、少なからず間があった。
「な、なにこれ、自爆!?」
「……いや、違う」
 我が身を燃やしながら絶叫する姿に混乱を隠せないイーファだが、正確に理解するのはバーンの方が早かった。
 よくよく目を凝らせば、炎に包まれる魔女の周囲に、小振りな黒い影がいくつも飛び回っているのが見える。それはまるで、餌に群がる獣のようで……
「……悪の蹂躙は死さえ終焉とならない。なるほど、この世界のオブリビオンも、心得ているようだ」
 皮肉るように、不愉快そうに、バーンは鼻を鳴らした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『エレメンタル・バット』

POW   :    魔力食い
戦闘中に食べた【仲間のコアや魔法石、魔力】の量と質に応じて【中心のコアが活性化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    魔力幻影
【コアを持たないが自身とそっくりな蝙蝠】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    魔力音波
【コアにため込んだ魔力を使って両翼】から【強い魔力】を放ち、【魔力酔い】により対象の動きを一時的に封じる。
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『あ゛、あ゛……ああぁぁぁっっ!?』
 悲鳴を上げながら、紅炎の姫は燃える。
 灰に消えるのではなく、より熱く明るい炎へ。純粋なる火の魔力へと還元されていく。

『キキッ!』

 その魔力を、喜び勇んで喰らうモノがあった。コウモリだ。美しい宝石のようなコアを持つ変異コウモリ。
 名は『エレメンタル・バット』という。倒すと良質な魔法石をドロップすることで知られるモンスターだ。
 普段は鉱石を主食としているが、魔力に変換できるものなら何でも食べる……例えば、魔法使いの肉体なども好物だとか。
『キーキー』『キキッ』
 跡形もなくなった紅炎の姫の代わりとでも言うように、コウモリたちは猟兵たちの行く手を遮った。
 せいぜい十体そこら。数こそ大したことはないが、そのコアは高質な火の魔力をいっぱいに湛えて、真紅に輝いている。
テラ・ウィンディア
………なんだこれ…胸がずきずきする
あのアンヘルにやられた時も感じた物だけど…これは違う
喉がひりひりする…目の前が赤くなる…

お前らの在り方はそういうもんなんだろう

だけど…だけどっ……!許せないっ!(この感情は何なのか本人さえ分からなかった

【属性攻撃】で獄炎を全身と武器に付与
激情に駆られながらもそれでも【戦闘知識】で敵の陣形の分析
怒りを行使させるためにもあらゆる戦術を考察する
【見切り・第六感・空中戦】で蝙蝠達の間隙に飛び込み

槍で【串刺し】
【早業】で太刀と剣に切り替えて切り刻み
常に縦横無尽に暴れまわる
周囲に蝙蝠が集まって来たら

消えざる過去の痛み発動

須らく滅ぶがいい
斬斬斬斬斬斬斬斬斬!

常に炎を纏い




 血がにじむほど強く、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は唇を噛みしめた。
 ふつふつと沸き上がってくる、この狂おしいほどの痛みはなんだ?
 悔恨か、無念か。憐憫か、屈辱か……それとも、憤怒か。
「お前らの在り方はそういうもんなんだろう。だけど、だけどっ……! 許せないっ!」
 発露する激情のように、獄炎が全身を包み込んだ。
 自身を駆り立てるものの正体も分からぬまま、テラは槍を振るう。コウモリの群れへと飛び込んで宝石のようなコアを刺し貫くと、柄を踏み台にして跳躍。空中で太刀と小剣を抜き放ち、触れるを幸いに滅多斬った。
 さながらネズミ花火のごとく、燃える刃を両手に高速回転して射程内を空間ごと斬り刻む。一体二体と次々にコウモリを粉砕していき、最後に残った一体を上空に蹴り上げた反動で地上に急直下。着地して即座に仰ぎ見れば、砕け散ったコウモリの隙間を埋めるように、早くも新手が集まってきていて……
 ……発動、【消えざる過去の痛み】!
 ついさっき振るった斬撃が再現する。
 二刀でもって空間へと刻み込んだ斬撃が、もう一度”切断”の概念となって現れて、集まってきたコウモリたちは数秒前の仲間と同じ末路をたどることとなった。
 粉微塵となった宝石がキラキラと舞い散るのには目もくれず、テラは次なる敵を探して漆黒の瞳を燃え上がらせる。
「……須らく、滅ぼしてやる!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャイア・アルカミレーウス
魔力で増援を呼んだ?……あるいはより魔力の純度を高める精錬かな?嫌な予感がするなー。どっちにしても逃がさずに倒さなきゃ!

(wiz)
ほほう、魔力を食べる蝙蝠。じゃあ僕のとっておきも食べてもらおうじゃないか!
邪眼殺しの封印を解くよ!200発の「石化属性の魔力」を込めた視線をかわし切れるかな?もちろん「全力魔法」と「視力」で強化特盛てんこ盛りのトッピングだ!食あたりしても自己責任でね!
ふらふら不規則に飛ばれたら「野生の勘」で当たりをつけてロックオンだ!

魔力を溜め込むコアって珍しい生態してるなー。
余裕があったら一つ二つ回収しておこっと。




 自分で自分を燃やした紅炎の姫に、シャイアは驚きながらも冷静に考察する。
「増援を呼ぶため? ……あるいは、より魔力の純度を高める精錬かな?」
 果たして本人の意思か、背後で別の何者かが画策したのかは定かでないが、おそらく目論み通りなのだろう。魔女と炎冠石を喰らったコウモリたちは、並々ならぬ迫力を漂わせながら猟兵たちの行く手を塞ぐ。
「嫌な予感がするなー。……これは、あんまり使いたくないんだけど」
 気の進まぬようにぼやきつつ、しかし手段を選り好みしている余裕はない。この場で、確実に、狩り尽くさねばならないと意を決し、シャイアは片手をまぶたにかざした。
「魔力が欲しいなら、僕のとっておきを食べさせてあげるよ。……食あたりしても知らないけどね!」
 ――邪眼殺し<グレア・ガヴァン>、封印解除!
 魔力を帯びた眼光がコウモリを射抜くと、翼の先端からピシピシと音を立てて石化していく。毒鶏コカトリスは睨むだけで飛ぶ鳥を落としたというが、紫の瞳を輝かせて蛇尾をくねらすシャイアは、まるでその化身のようだ。
『キキッ!?』
 途端に、騒然となった。
 呪いの視線を受けまいと、コウモリたちは上下に左右にと独特なリズムの不規則飛行で逃げ回るが、シャイアは冴えわたる直感でランダム軌道を読み切って……
「――そこ!」
 コウモリの一体が左旋回した直後に急停止したのを瞬時に見切り、見止めた。
 中心部の宝石から翼の先まで余すところなくハッキリと瞳に映れば、あっという間だ。
 コウモリは悲鳴も上げずに石化して、ゴトッと重たい音を立てて落下した。無機質な灰色に変化した体は、落ちた衝撃で粉々に砕けて風に流されていく。
 後に残ったのは、真紅に煌めくコア部分の宝石が一つ。炎冠石に勝るとも劣らぬほどに美しく、そして燃えるような魔力を宿した結晶は、あの魔女の命そのものにも見えた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

宇冠・龍
「あらまぁ、宝石で出来ているなんてっ!」
なんてお得……いえ、素晴らしいんでしょう

魔力に変換できるものならなんでも……幽霊もいけたりするのかしら?
【魚質竜文】にて、不可視の霊を召喚
そして呼び出す魚の霊は巨大な肉食魚。同じ魚や時に動物すらも食べてしまう食いしん坊な魚たち

それぞれの霊に水、氷、風を付与し、四方からエレメンタル・バットを捕食させます

(宝石、残ると嬉しいのですが……)
そしてそこでふと浮かんだ疑問
エレメントバットの主食は鉱石。私の指には宝石入りの指輪
……万が一“これ”を狙うようであれば、慈悲なく容赦なく滅しましょう

近づこうものなら拳から放つ衝撃波で吹き飛ばします




「あらまぁ!」
 思わず、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)は黄色い声を上げた。
 宝石で出来たモンスターなんて、何てお得……もとい、素晴らしい! 乙女心が踊らずにはいられない。
 手に入れられたらどうしようかと算用しつつ、龍は再び真黒き竜玉を掲げた。
「死海に還りし息吹達よ――」
 招き喚ばうは十匹の魚の霊。ノコギリのような歯を並べた大魚の幽霊は、一瞬だげ使役者の前に姿を見せた後、溶けるように消え失せる。
「――行きなさい」
 龍が厳かに命じた。
 不可視の霊魚たちが宙を泳いで進軍すれば、エレメンタル・バットも即座に反応した。目に見えずとも餌のニオイには敏感らしい。魔力反応を便りに霊の接近を察知すると、逆に喰ってくれようと牙を向く。
「あら、ずいぶんと食いしん坊ですこと」
 霊体に食らいつき、魔力へと分解吸収しようとする様子に、龍は呆気にとられたように瞬いて……目を細めた。
「だけど、食欲ならうちの子たちも負けていませんよ」
 攻守が、逆転する。
 太魚がいきなり身をひるがえして、己が身にたかるコウモリへと噛みついた。鋭い牙が皮膜の翼に引っ掛かるや、全身をねじるように高速回転。デスロールに巻き込んで、喰い千切りにかかる。
 魚たちは透明なため、傍目にはコウモリが勝手にキリキリ舞いしているように映ったかもしれない。不可視の洗濯機にでも放り込まれたようにエレメンタル・バットはもみくちゃに振り回され、たちまち八つ裂きとなってコアの宝石だけを残し消滅する。
 相剋する水と火のごとく、互いに喰い合いながら徐々に敵群を侵食していく霊魚たちに、龍は満足し……ふと懸念が浮かんで、自分の左手を見下ろした。
 薬指に光る、宝石のついた指輪。エレメンタル・バットは鉱石を主食とするらしいが、もしかしてこれも狙われたりするのだろうか?
「……まあ、確かめてみるつもりもありませんけど」
 片翼を喰い破られたコウモリがこちらへフラフラと流れてきたのを裏拳で殴り飛ばし、ドラゴニアンの未亡人は肩をすくめた。

成功 🔵​🔵​🔴​

バーン・マーディ
随分と効率的だ
第一陣がもたないと判断すれば第二陣の糧として最後まで使い切る
効率的で…極めて不愉快だ

そして…あまりに勇者が哀れ
我はヴィラン…我を通し欲を自制せぬ身勝手な悪なり
故に…不愉快で気に入らぬ事象に叛逆せん

貴様らを狩るのは我と…「悪」たる怪人である(ユベコ発動

車輪剣を渡し己は黄金の柄の魔剣を手に
奴らは火の力を高めた魔導の徒
…苦手か?

蝙蝠共には【武器受け・カウンター・怪力・吸血・生命力吸収】による叛逆蹂躙を執行する

怪人
いいえ
あの時の炎の槍と比べれば大した事はありません
(以後台詞はMS委任

【超々高速機動戦術】【二回攻撃】によりまるで広域殲滅魔法の如く蝙蝠達を蹂躙
更に【笑う竜巻】にて切り刻む


イーファ・リャナンシー
なるほど…ね
力の残滓まで喰らって残さず使う…確かに効率的かもしれないわ
効率的だけど…私は気に食わない
そこを通してもらうわよ。クラウドオベリスクは私たちが壊させて貰うわ

魔力酔いで動きを止められるなんてごめんだし一旦敵の攻撃に当たらない位置まで後退するわ
【フェアリーズ・プリマヴェーラ】を発動、210人の妖精たちを呼び出したら、敵の視界を撹乱しながら攻撃するよう指示して、敵のコウモリたちに戦力を均等分配するつもりよ
こうすれば攻撃の手数は増えるし、私はもちろん、他のみんなも敵の攻撃の標的にされづらくなるんじゃないかしら?
私自身も妖精達に紛れて敵に接近しつつ、【全力魔法420】で死角から攻撃を仕掛けるわ




 戦えなくなった駒は、次なる兵の糧として再利用。力の残滓さえ残さず、徹底的に使い切る。……なるほど、実に効率的だ。
 バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)とイーファ・リャナンシー(忘都の妖精・f18649)は、奇しくも同じ理解を辿り、同じように評価した。そして、同時に感想を口にする。
「極めて不愉快だ」「私は気に食わない」
 命を使い潰す行為も、それによって力を増したモンスターの存在も、まったくもって気に入らない。ゆえにこそ、彼らは武器を取る。
「通してもらうわよ。そんなやり方で、クラウドオベリスクを守れると思わないことね」
 行く手を塞ぐコウモリたちに言い放って突撃……と見せかけて、イーファはいったん後ろに退いた。
 紅炎の姫を喰らって手に入れた潤沢な魔力を音波に変換して放射したのを感じ取り、無防備に突っ込むのは危険と判断したのだ。
「下手に受けると熱中症になりそうね。……だったら、こうよ!」
 ――【フェアリーズ・プリマヴェーラ】!
 一声かければ、数えて210にもおよぶ妖精たちが現れた。
 イーファは指揮者のように両手を振って、妖精たちをコウモリの群れへとけしかける。魔力音波を食らって何人かがヘタリと力尽き消えていくが、それでも大勢の妖精が無事に潜りぬけ、敵を攪乱するように飛び回って一体ずつ分断し孤立させていく。
「……よし、いい感じ」
 イーファはほくそ笑んだ。エレメンタル・バットはそれぞれ別の妖精たちを相手取り、結果として放たれる魔力音波の範囲はバラバラで、付け入る隙が生じる。音波と音波の狭間、効果の薄くなる安全地帯を探りながら前進すると、コウモリの群れの真下までたどり着いたところで、攻撃魔法の構えを取った。
 世界でも類を見ない最高クラスの《全力魔法》技能が、いかんなく発揮される。
「吹っ飛べぇぇぇぇぇっっ!!」
 ――その日、『悪霊の谷』から天に向かって、凄まじい魔力の奔流が立ち上るのが観測されたという。


「我は貴様らを否定する。勝手な物言いと謗るなら好きにすればいい。我はヴィラン、思うがままを押し通す“悪”である」
 道理や倫理を説くではなく、ただ己の心が叫ぶのに従って、バーンは剣を掲げて下僕を呼んだ。
 それは大いなる風。全てに負けぬ速さを求めし英霊。漆黒の外套をまといしデュランダル怪人が、荒れ狂う暴風とともに主君のもとへと馳せ参じる。
「奴らは火の力を高めた魔導の徒……苦手か?」
『……確かに、相性が良いとは言えません。しかし、遥かに強い炎を知っていますので』
 元々彼女が愛用していた車輪剣を投げて返しながら問えば、怪人は何でもないことのように答えて、そして風になった。
 神速の戦術機動で敵群を囲うように一周すれば、遅れて立ち上った砂煙が怒涛の勢いを増して、円周の内側すべてを蹂躙する大竜巻を作り出す。
『『『ギィヤァァァァァ!!?』』』
 果たして、それは呑み込まれたコウモリたちの悲鳴だったのか、あるいは竜巻が奏でる嗤い声だったのか。
 耳をつんざくような音が響き渡り、収まった時には竜巻もエレメンタル・バットも何一つとして残されていなかった。
 ……これで終わりか。
 見える限りのコウモリが消え失せて、猟兵たちが一息ついたその時だった。

 コトッ バラバラバラッ

 真紅に輝く小石が、彼らの頭上に降り注いだ。
 エレメンタル・バットのコア部分の宝石が、細かく砕けたものだ。イーファの全力魔法が吹き飛ばし、バーンの竜巻が巻き上げた無数の破片が、今になって落ちてきたのである。良質な火の魔力を宿した石の雨に、どこか紅炎の姫が降らせた炎の豪雨を思い出すのは皮肉であろうか。
「これは……なかなかどうして、美しい」
「ふん、最期に粋なもの遺してくじゃない」
 しばし武器を下ろして、猟兵たちは幻想的な煌めきに見入った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レイニーア・ノックス
アドリブ大歓迎
spd


『…………気にくわないです。そういう散り方をするものではないでしょう。』表に出てないが、怒っている
『幸い、強さで比較すればマシそうですし、とっとと散りなさい!』ワイバーン召喚し、それらにエンチャントを施し、蹴散らしていく。
【属性攻撃10、全力魔法7、誘導弾5、力溜め5、範囲攻撃2、衝撃波1、破魔1】をエンチャントしたブレスで焼き尽くさせる。
『せめてもの手向けです。』
【盗み】で獲得したコアを墓標がわりに手向けにする




「……あんな散り片、するものではないでしょうに」
 レイニーア・ノックス(竜召喚師にして竜に騎乗するもの・f18202)は小さく嘆息した。胸の内で粘りつく怒りが渦巻いているが、もはや何を言ってもせんのないこと。感情は表に出さずにそっと蓋をして、天から降り注ぐ宝石の雨を見上げた。
 あの魔女を彷彿とさせる真紅の煌めきと魔力の結晶が、細かに砕けてダイヤモンドダストのように風の中で踊っている。
「この光景が、せめてもの手向けになりますように。……そのためにも」
 祈るように目を伏せ、一転まなじりを吊り上げると、前方の大岩を回り込んで飛来する影を睨みつけた。
 現れたのは、新たなコウモリの一団だ。宝石のコアこそ持たないが、エレメンタル・バットと同種のそれは、魔力に満ち満ちたコアの破片を喰おうと群がってくる。
「あなた方はとっとと散りなさい!」
 レイニーアは一喝。
 竜王に連なるワイバーンたちが、召喚主から付与された力を存分に振るってコウモリへと襲いかかった。全力の魔力を乗せたブレスが空間ごと薙ぎ払い、辛うじて直撃はまぬがれても余波で巻き起こった豪風がすべてを吹き飛ばして岩壁に叩き付ける。
 悲鳴どころか瞬く間すら与えなかった。レイニーアの飛竜たちにより、新手のコウモリたちは焼き尽くされ、あるいは砕け散って、今度こそ本当に一体も残さず消滅していった。
「敵の殲滅を確認。さて、改めて墓標の一つでも建ててあげたいところですが……それは後回しでしょうか?」
 ワイバーンに騎乗して戦果を確かめつつ、レイニーアは真剣な表情でつぶやいた。
 今回の目的であり、群竜大陸への道を隠しているといわれる邪悪な石柱『クラウドオベリスク』。グリモア猟兵の説明が正しければ、その在り処はもうすぐそこのはずだ。
「近付いているのは間違いない。……しかし何でしょう、この嫌な感じ」
 背筋の凍るような悪寒が、この先に最後の激戦が待ち構えていることを告げていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『骨邪竜『ドゥート』』

POW   :    魂魄操作
見えない【浮遊する十の人魂】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    砂塵防壁
【翼からの突風】が命中した対象に対し、高威力高命中の【砂塵の竜巻】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    悪霊招来
戦闘用の、自身と同じ強さの【十体の悪霊】と【武器】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑11
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『悪霊の谷』の最奥。切り立つ岩壁に四方を囲まれたその地は昼間でも薄暗く、乾ききった砂と骨のニオイに満たされている。
『この気配は……?』
 微動だにすることなく、背後にそびえ立つ石柱を守るようにして横たわっていた巨影が、不意に体を起こした。身に宿す黒い竜玉が、鈍く輝きだす。
 何が見えているのだろう。影は長い首をもたげてじっと岩壁を凝視していたが、やがて得心がいったように笑いだした。
『まさか……”そう”なのか!? 嗚呼、偉大なる帝竜ヴァルギリオスよ! あの魔女は何ら役に立たなかったようだが、本当に”そう”だというならむしろ重畳。願ったり叶ったりとはこのことよ』
 呵々大笑して体を震わすたびに、白骨色の外骨格に積もっていた砂が流れ落ち、粉塵が宙を舞う。巨大な翼を広げれば豪と風が唸り、立ち込めていた砂煙を羽ばたき一つで吹き飛ばした。
『さあ、来るがよい猟兵ども。願わくば、その中に”あの二人”――我が宿敵のあらん事を!』
 守護すべき『クラウドオベリスク』を背にしながら、歓喜と憎悪に満ちた竜瞳にはまったく別の誰かが映っていた。


 ――――そして、数分後。邂逅の時。
『畏れよ、我は砂漠の王なるぞ!』
 亡霊と灼熱に支配された砂漠の悪魔、骨邪竜ドゥートの咆哮が、生者も死者もひとしく谷中の魂たちを震わせた。
宇冠・龍
(やはり、貴方でしたかドゥート)
口にはしませんが感謝しているんですよ。過去、貴方と出会い、この黒い竜玉を手にしなければ、あの人を蘇らせること叶わなかった

(談天雕竜も魚質竜文も元を辿れば唯の真似事。その強さ、応用性、非力な私がここまで戦えるのも貴方のお陰)
かつての砂漠での戦い同様、もう一度引導を渡しましょう
真の姿開放。瞳が青く輝く

【竜逢比干】にて夫の霊を召喚
氷の息吹に、破魔を浸透させた私の風の衝撃波を混ぜ込み攻撃
悪霊とドゥートの動きを鈍らせ速攻をかけます

(首から頭部にかけてのその竜玉が弱点!)
夫婦で突進、尻尾の迎撃に注意しながら、夫の槍と私の拳で連携しながら竜玉を攻撃
悪霊操作の能力を封じ込めます




 ……嗚呼、やっぱり。
『貴様だったのか!』
「貴方でしたか」
 ついに相対した骨邪竜ドゥートを、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)は、万感の想いで見上げた。
 あれは何年前のことだったか。灼熱と亡霊が支配する砂漠での戦いを思い出しながら、ドゥートが身中に宿す物とまったく同じ黒い竜玉を掲げる。
『む、それは……』
 龍の傍らに出現した戦士の霊を見て、ドゥートが息を呑んだ。槍を携えた竜派ドラゴニアン。その容姿は、骨邪竜もよく知る男のものだ。
『その亡霊、貴様のツガイか。……クッハハ、これは愉快! 我が宿敵の片割れがすでに死んでいたとは興醒めだが、貴様が外法に手を染めたと知れただけでも胸がすいたわ!』
 悪意に満ちた哄笑に、しかし不思議と怒りは湧いてこない。
 愛する伴侶を黄泉の世界から呼び戻すことができたのは、あの時の戦いで手に入れたドゥートの竜玉があったからだ。それが例え禁忌だったとしても、龍にとっては何にも代えがたい宝物を取り戻せたのである。
 ……だから感謝しているなんて言ったら、どんな顔をするだろう?
 想像して、つい苦笑を漏らしながら、龍は夫と並び立つ。
「さあ。あの時と同様に、もう一度引導を渡しましょう」


『往け、我が奴隷どもよ!』
 骨邪竜の顎下で竜玉が輝くと、十の悪霊が召喚された。
 大剣を担いだ蛮族が、ダガーを両手に盗賊が、弓を引き絞る狩人が、邪悪な呪法に囚われた霊魂たちがそれぞれ武器を手に襲いかかってくる。
「退きなさい!」
 カッと見開いた瞳が、青く輝いた。生命体の埒外にある猟兵としての真の姿を解放すると、龍は夫の霊と共に真正面から突撃した。
 氷のドラゴンブレスにあわせて破魔の風を吹き放ち、悪霊たちを凍結と浄化の嵐で包み込むと、動きが鈍った隙を突いて一気に駆け抜けて大将首を取りに行く。
 小柄な盗賊や軽戦士を押しのけ、重騎士のタワーシールドを踏み台にして跳躍し、狩人が苦し紛れに放った矢を蹴って二段ジャンプ。
 悪霊の群れを突破すれば、長く伸ばした邪竜の首はすぐ目の前だ。
「覚えていますよ、ドゥート。貴方の竜玉は、最強の武器であると同時に最大の弱点!」
 固く握った拳が、届いた。
 鉄拳と宝珠がぶつかり合って、双方が砕けんばかりに軋みをあげる。反動の痛みに顔を顰める龍……の背後だ。
 疾ッ!
 夫の霊が、ドラゴン獣人形態の体躯をねじるようにして全力の槍撃を打ち込んだ。妻女も諸共というところ、脇下一寸をかすめて無傷のままに、風を纏った穂先を竜玉の中央に突き立てる。

 竜玉が、真っ二つに割れた。

『グッヮアアアアアアァァッッ!!?』
 絶叫が響き渡った。
 七転八倒する巨体に弾かれた龍は、夫に抱きかかえられるようにして着地。巻き上がった砂煙を竜翼の羽ばたきで吹き払う。
 邪悪な黒玉を突き割った風槍は、柄の半分ほどまで刺さったままでドゥート喉元に取り残されていた。巨大な体に比べたら毛針みたいなものだが、それが邪竜の生命や魂魄よりもっと深いところに致命傷を与えたことを、龍は直感した。
 外傷に比べて異様なほどに悶え苦しみながら、ドゥートは宿敵を睨む。
『やってくれたなァ。竜玉を失っては、死霊どもを操ることできない。もはや、どうなっても知らんぞ!!』
 割れた黒竜玉から邪気が失われていき、反比例するように周囲を漂う霊魂たちが騒ぎ始める。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イーファ・リャナンシー
あんたが黒幕…彼女が、そう、生前の彼女がどう思うかって考えると、私はあんたのこと、許せそうにないわ

冗談じゃないわ。こんな出鱈目な相手と同等の力の悪霊が10体も出て来るだなんて
これは何とかして本体にダメージを与えるしかなさそうね
『スピリット・アウェー』を使って姿を消しつつ、小さな体を活かして敵本体に近付くわ
悪霊については、極力無視する方向で

肩に乗せてくれそうな仲間、同じような方針の仲間がいれば、一緒に姿を消して近付くつもりよ

敵本体に近付けたら、【全力魔法魔法432】を注ぎ込んで攻撃するわ
小さくてもいい…このいけ好かないドラゴンに傷を負わせてやるの
人を使って何かしてやろうってのが気に食わないのよ!




 ――嗚呼! アアァァァ!!

 死霊術の根源が砕けたことで、囚われていた悪霊たちがざわめきだした。
 歓喜とも苦悶ともつかぬ声を上げながら、霊たちは武器を無茶苦茶に振り回す。狙いなどついておらず、数の利も活かせていない。暴走している、と言って然るべき状態だった。
 ……だからだろう。砂煙が不自然に揺らぎ、小さな気配がすぐ近くをすり抜けていったことに、霊の一体として気付きはしなかった。


「……ふう」
 溜め息が聞こえたかと思うと、虚空からイーファ・リャナンシー(忘都の妖精・f18649)の姿が現れた。
「ひとまず、隠れんぼは私の価値ね」
 透明化のユーベルコードにより、暴れまわる悪霊の群れを無傷でやり過ごしたイーファは胸をなでおろし、すぐ目の前にそびえ立つ邪竜を睨めつけた。
 骨邪竜ドゥート。紅炎の姫やエレメンタル・バットを裏から操っていた黒幕。
「彼女が……ううん、あの悪霊たちだってそうよね。生前の彼らがどう思うかって考えると、私はあんたのこと許せそうにないわ」
『フン、月並みだな』
 透明化を解除したフェアリーの存在に、ドゥートはすでに気付いていた。吐露した怒りは鼻先で笑い飛ばし、ちょっとした列車ほどもある巨大な尾を振り上げた。
『くだらん妖精めが、潰れろ!』
「――【スピリット・アウェー】!」
 後方の悪霊まで巻き添えにする薙ぎ払いが直撃する寸前、イーファは再び姿を消した。
 透明化によって照準を外し、間一髪で竜尾を回避。余波に煽られてきりもみ回転しながらも、邪竜の懐へと飛び込んでいく。
「何よりも気に入らないのは、自分は裏に引っ込んだまま人を使って何かしてやろうってところよ!」
 怒号を上げながら放つは全身全霊の全力魔法。ヒトの業とは思えぬほどの魔力の奔流が、邪竜の横面を殴り飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイニーア・ノックス
pow
連携アドリブ大歓迎

『大人しく眠りにつきなさい!』一度相対したことのあるものを再び見たことから

『邪魔です!』敵コード対応内容 技能:破魔、なぎ払い、属性攻撃を併用し、一気になぎ払う

薙ぎ払って邪魔が無くなったのを確認後、コード発動。

併用技能は基本的に属性攻撃、オーラ防御は常に。
接近戦時に怪力、力溜めを活用し、コードの強化と相まって猛攻を仕掛ける。
距離を取られたなら、誓約書を介して、召喚した生き物にエンチャントで対応(誘導弾、一斉発射など)
距離を詰める際には空中戦を活用。
敵の攻撃には毒耐性4、激痛耐性3、呪詛耐性1を使って対策


シャイア・アルカミレーウス
いざボス戦!……ってどっかで見かけた骨ドラゴンじゃないか!また悪さしてるならもう一度躯の海に送り返してあげようじゃないか!

(pow)
うーん、最初に撃った分とさっきの魔眼の開放で魔力が素寒貧に近いね……
ここはさっき拾った『彼女』に力を貸してもらおう!

全開の『魔術師の咆哮』で亡霊ごと骨ドラゴンを吹き飛ばすよ!
基本は前と同じくチャージが終わるまで「野生の勘」と「空中戦」を駆使して回避しよう!

エレメンタル・バットから回収した結晶から魔力を引き出して攻撃に使うね。
炎の魔力に僕の破魔の力を合わせて放つ送り火の一撃!名付けて『ウィザードリィ・フレアマギア』だ!

今度こそ安らかに眠るんだよ!




「やあ! いざボス戦と思ったら、どっかで見かけた骨ドラゴンじゃないか!」
 シャイア・アルカミレーウス(501番目の勇者?・f00501)は手でひさしを作り、白骨色の外骨格を纏った巨体を見上げた。
 骨邪竜ドゥートは以前に別の依頼にて討伐したことがあったが、またぞろ骸の海から蘇ってきたらしい。
「何回現れたって同じだよ。また送り返してあげようじゃ……っとと!?」
 クラリと目眩。たたらを踏んだ。
 魔力切れだ。極大魔法に魔眼の解放、さすがに飛ばしすぎたか。もはやシャイアは絞りカスも同然で、体もいうことを聞かなくなってきていた。
 それを狙い目と見たか、周りの悪霊戦士たちが襲いかかってくる。大剣、長剣、短剣と様々な刃が一斉に、あどけなさを残した少女へと振り下ろされ――
「させません!」
 間一髪で、レイニーア・ノックス(竜召喚師にして竜に騎乗するもの・f18202)が割り込んだ。〈魔杖剣レーヴェルト〉を長柄の槍へと変形させて、敵の斬撃を十文字に受け止める。
 ギャァン! ギィィン!! グヮァン!!!
 立て続けに金属音が響き、脚が砂に沈み込んだ。
 全身が痺れるような衝撃に耐えながら、槍を破魔のオーラで包んで悪霊の力を分解し、持ち前の耐性でもって受け流してから、
 ―― 豪!
 力任せに、横薙ぎに、振り抜いた。
 軽装備の盗賊が吹っ飛び、双剣士がもんどりを打って、辛うじて踏ん張った重装騎士は石突の打突でダメ押し。
「……お怪我はありませんか?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう」
 肩越しに訊ねれば、シャイアは疲労を浮かべながらもしっかりした笑顔で頷き返す。
 ならば問題なしと、レイニーアは迷わず駆け出した。すでに悪霊は薙ぎ払われて、道を遮るものはなし。深蒼の竜翼を羽ばたかせ、ドラゴニアンの乙女は一飛びで骨邪竜の下までたどり着く。
「――今、再び契約に従い共に戦え」
 偉大なるノックス家の祖先が契約を結んだ竜王に改めてその履行を求めれば、やはり応えは迅速に。レイニーアに秘められた「選ばれし者」としての素養を受け皿に、竜王の「右腕」が召喚された。
 ひれ伏さずにはいられないような、威厳に満ちた竜気を帯びた巨椀と同期して、レイニーアは槍を振りかぶる。
「大人しく、眠りにつきなさい!」
 彼女もまた、ドゥートと戦った経験を持つ者。いい加減にしろ、という思いを込めて、槍の形をとった魔杖剣を打ち込む。
『グゥヤアアアアアッッ!!?』
 抉るような一突きが、砂を巻き上げ大気を破り、邪竜の外骨格を貫いた。


『グゥヤアアアアアッッ!!?』
 悲鳴を上げて、ドゥートの巨体がのけぞった。
 今こそ、追撃のチャンス。そう思うのに、疲労困憊の体はちっとも動いてくれない。
「……仕方ない。ここは、『彼女』に力を貸してもらおうか」
 呟いて、懐から取り出すのは先ほどエレメンタル・バットがドロップした真紅の魔法石。紅炎の姫の生命と、炎冠石の魔力がたらふく詰まった紅玉を使って、足りない魔力を補う。
「うっ!? 流石に濃いなぁ」
 慣らし運転もなし、ぶっつけ本番だ。純粋すぎる火の属性力に戸惑いながらも、圧縮に圧縮を重ねて極大の魔力弾を生成する。
 生み出される太陽のごときエネルギーの塊が、紅炎を纏いて煌々と輝いた。
「【魔術師の咆哮】ウィザードリィ・ブラストマギア――改め、フレアマギアだ! 今度こそ、安らかに眠るんだよ!」
 純化精製された火精と持ち前の破魔の力が合わさった、送り火の一撃。シャイアが放ちうる最大火力が、炸裂する。
 視界が、白の一色に染められた。
 そして無音――凄まじい爆音が、瞬間的に聴覚をマヒさせる。
 目と耳が役に立たなくなった世界の中で、荒れ狂う暴風が空へと駆けあがった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

バーン・マーディ
基本他の猟兵との連携絡みを希望

真の姿解放

そうか…貴様が竜か
この世界の覇者であり
この世界の主とも言える者
そしてこの砂漠の王か
(頷き
貴様が死者の王ならば

貴様を狩るのは死者である

何より…龍を狩るのは
「勇者」なのだろう?

叛逆の英霊達発動
対象は
紅炎の姫!

残念だが我が力ではお前の全盛の力を戻す事は出来ん
だが…お前の目の前に居るのは竜
お前の死さえ弄んだ存在だ
ならばどうする?

台詞はMS任

紅炎の姫
基本他の参加者との連携を重視

【来たれ地獄を走る赤】で竜の動きを封じて他の猟兵の猛攻への助けとする

可能なら
【往け紅炎の下僕たち】で猛攻を仕掛け己の怒りと怒号を示す様に骨竜を徹底的に焼き尽くしに

…何か伝えるべき事はあるか?


テラ・ウィンディア
絡み連携OK

真の姿発動(イラスト参照

【属性攻撃】
獄炎を全身と武器に付与

お前が砂漠の王?
笑わせるな
王様ってのは民を思ってのもんだ
民も愛さない王なんぞ唯の独りよがりだ(銀河帝国皇帝を思い出し

貴様は唯の骨蜥蜴だ
食べる所も無いから其れこそ何の価値もあるもんか!

(激しい激情に駆られる。今まで感じた事のない憤怒…だからこそ…確実に倒す為見据え

【戦闘知識】で敵の状態と動きの把握

可能な限り【見切り・第六感・空中戦・残像】も使用しての回避

燃える槍で【串刺し】の後【早業】で剣と太刀に切り替えての斬撃猛攻

空中へのアドバンテージを得れば

串刺しにした槍へと向けてメテオブラスト!
そのまま槍で須らく貫いて粉砕する!




『お、おのれ……猟兵ごときがァ!?』
 いくたの猛攻にさらされた体は満身創痍で、竜玉を壊されたために悪霊たちを操ることもままならない。
 激怒と憎悪に荒れ狂う邪竜ドゥートを見やって、バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)は小さくうなずいた。
「竜よ。斧と魔術の世界を覇する者、生態系の頂点よ。貴様が死者の王ならば、貴様を狩るのもまた死者であると知るが良い」
 朗々と語りながら、バーンは魔剣を掲げた。禍々しい覇気と神気を放つ魔剣が、その刃でもって血を啜り命を喰らった者の魂を呼び戻す。
「……何より、竜を狩ってこその『勇者』なのだから」
 煌!
 真紅の焔とともに、数々の宝石で着飾った女が現れる。
 紅炎の姫。骨邪竜の手駒として哀れにも使い潰された魔女が、バーンのユーベルコードにより再臨した。今度は破滅の使者でなく、猟兵たちとともに世界を救う英霊として。
「残念ながら全盛の力を戻すことは出来ん。……が、さあどうする? お前の死すら弄んだ竜が、いま目の前にいるぞ」
『……。…………』
 魔女は何かを確かめるように、しげしげと自分の手の平を見つめていたが、召喚主に声をかけられて初めて前を向いた。
 パチパチと瞬きして凝視すれば、邪竜もまたこちらに気付く。
『何かと思えば、捨て駒を再利用するとは物好きなことだ。そんな女はもういらぬ。欲しければ熨斗をつけてくれてやるわ!』
「だ、そうだが?」
『……なるほど、状況は理解しました』
 腑に落ちたのだろうか。魔女は目を閉じて大きく息を吸って、そして吐く。
『私とてオブリビオン。同じ穴のムジナなれば、恨み言など言えません。ですが……そうですね、確かに。腹に据えかねているのも事実』
 次にまぶたを開くと、虚ろだった双眸には熱い炎が宿っていた。
『――今ここに、叛逆の火を熾しましょう』


『――往け、我が下僕たち!』
 炎冠石を煌めかせ、魔女は紅炎を放った。
 竜蛇の姿を取った幾本もの業火は尾を曳きながら飛翔して、砂を巻き上げて疾走する少女に追随した。
「我らが援護する、背中は任せろ!」
「応ッ!」
 後押しを受けて、邪竜へと駆けるのはテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)だった。
 炎冠石を取り込んだ紅龍槍を手にひた走るテラは、ふと異変を察知する。前方に敵影はなし。しかし、研ぎ澄まされた第六感が行く手に危険を感じ取った。
 心臓が爆発しそうな激情を抱えながらも、頭脳は努めて冷静に。分析し、思考し、理解する。
 邪竜が召喚した人魂だ。目に見えない霊魂たちは、呪具による制御から離れて好き勝手に飛び回っており、目的も規則もない軌道はてんで読み解くことができない。
「……だったら、押し通るまでだ!」
 可能と判断して、正面突破を敢行する。
 並走する紅炎の竜蛇たちが体を束ねて、蓑のようにテラを包み込んだ。飛んで火にいる夏の虫とばかりに突っ込んでくる人魂を燃焼しながら、火炎車が突き進み……
 ――紅炎が四散すると、そこにいたのは獄炎の天女だった。
 真の姿を解き放ったテラは、燃え上がる羽衣を纏って火槍を振るう。
「砕け散れぇ!!」
『ぬぅん!』
 キィン! と甲高い音を立てて、槍と鉤爪が衝突した。竜気と火炎がせめぎ合い――競り負けたのはテラの方だった。わずかに力及ばず、槍が天高く弾き飛ばされる。
「ぐ……まだまだぁ!」
 しかし、テラはあきらめない。太刀と小剣の二刀流へすばやく切り替えると、果敢に斬りかかった。
「何が砂漠の王だ! 王様ってのは民を思ってのもんだろう!」
『笑止! 王とはすなわち支配者。掌握する全てを意のままに操り、思い通りに動かせる者のことよ』
「ふっ、ざけるな!」
 さらなる怒りを燃え上がらせて、テラは右手の太刀を邪竜の外骨格へと突き立てた。
 切っ先三寸、白骨色の外骨格に刺さった刀身を支えにして跳躍。今度は左の小剣を突き刺して、また跳躍。二刀をピッケルのように使いながら、腕力と体のバネを使って竜の長首を駆け上っていく。
 太刀、跳躍。小剣、跳躍。太刀、人魂が一つ飛んできたのを斬り捨ててから跳躍して、小剣――――
『ええい、うっとうしい!』
 唐突に、ドゥートが首を振った。
 極端なGがテラを襲い、握力もむなしく吹っ飛ばされる。
『ハッハァ! 空中では逃げ場はないぞ!』
 勝ち誇ったように笑って、邪竜は翼を広げた。豪快な羽ばたきで砂塵の竜巻を生み出そうとするが……テラの瞳が光る方が早い。
「逃げる? そんな必要ない。これで詰みだ!」
 テラが描く放物線と、途中で軌道が交わる落下物がある。先ほど弾き飛ばされたテラの槍、廣利王だ。
 ジャストポイント。宙を舞うテラと落ちてきた槍とが、奇跡的なタイミングで合流した。
「民も愛さない王なんて、独りよがりでしかない。貴様は唯の骨蜥蜴だ。食べる所も無いから、其れこそ何の価値もあるもんか!」
 怒りの蹴りが、石突を撃った。
 さながら流星の魔弾。獄炎と超重力を乗せた槍身が、一条の閃光となって骨邪竜の真額を直撃する。
『グ、オオオオ!? 馬鹿な。この骨邪竜ドゥートが、猟兵に……ヒトの子ごときに――――!!?』
 最後まで、言葉にならなかった。
 流星の槍は、頭蓋を貫通して大穴を開けると、そのまま突き抜けて後方に鎮座していた『クラウドオベリスク』にまで突き刺さる。

 ッキ バキバキバキバキッッ――!!

 オベリスクから地面へ、地面から四方の岩壁へ。その衝撃は凄まじく、谷中へと亀裂が広がっていく。
「おわっ!? やりすぎたか?」
「ふむ……オベリスクの破壊も確認した。早急に脱出しなければ」
 テラやバーンが慌てて退路を探す中、淡々と落ち着いた声が響いた。
『――来たりて築け、煉獄のきざはし』
 ゴゴゴ、と別種の地鳴りがして、地中から噴出した大量の溶岩が岩壁に振りかかり、ひび割れを塞ぎながら冷却石化。たちまちに天然の石階段を築き上げた。
『皆さま、こちらからお逃げください』
 驚く猟兵たちを急かすように、紅炎の姫が魔法の短杖で階段を指示す。
「よし、さっさと行くぞ!」
 真っ先に飛び出したテラを先頭に、戦場の猟兵たちは次々と石階段を駆け上っていく。そして全員が逃げたのを確認して、最後に階段へと足をかけたバーンはふと振り返った。
「……お前は、残るのか?」
 ユーベルコード【叛逆の英霊達】の効果は24時間。紅炎の姫は、まだ存在し続けることが可能であるはずだったが、魔女は猟兵たちに続いて逃げようとする気配がなかった。
『まだ私に求めることがあるならば、よろこんで従いましょう。……ですが、もしお急ぎでないなら、ひとまずお暇をいただいて彼らの黄泉路を照らす灯火になろうかと思います』
 そう言って背後を指すと、そこにはドゥームの死霊術によって囚われていた悪霊たちの数々がいた。骨邪竜が死に、完全なる自由を与えられた霊魂たちは、皆々穏やかな表情で闇へと溶け込んでいく。
『それでは、猟兵の皆さま方。眠りにつく悪霊たちを代表して御礼申し上げます。これからも、皆さまの行く先に明るい灯が燃えていますように』
 紅炎の姫は人間味のある温かな微笑みを浮かべて、貴婦人風にスカートを摘まんでお辞儀した。


 こうして、戦いは終わった。
 猟兵たちが脱出した後、谷の最奥は完全に崩れ落ちて、クラウドオベリスクも骨邪竜も、数々の死霊たちも全てが岩と砂の下に埋葬されて、後には砂漠特有の熱く乾いた風が吹き抜けるだけだった。
【END】

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年07月06日
宿敵 『骨邪竜『ドゥート』』 を撃破!


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#クラウドオベリスク
#宿敵撃破
#紅炎の姫
#マイ宿敵


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠田抜・ユウナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
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 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・龍です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト