竜を倒してフラッペを食べよう
●地下迷宮、上層部
「さあ行こう、皆! ボクらの自由はもうすぐだ!」
濃い緑色のラバースーツに明るい緑色のドラゴンの翼と言った風体のオブリビオン、ダーク・ドラッヘは、快活な声で配下である兵士の呪鎧達を鼓舞する。呪鎧達は言葉で答えることは出来ないものの、意気高く剣を真上に突き上げて応じた。
彼らの求める自由――迷宮からの脱出までは、あと僅かだった。
●グリモアベース
「アルダワで、迷宮から脱出しようとするオブリビオンを止めてくれる方はいませんか? ちょっとしたご褒美もありますよ」
依頼に応じてくれる猟兵を募っているのは、褐色の肌に露出の高い瑠璃色の衣装のグリモア猟兵、ファティマ・ラゾールド(瑠璃の加護司る神・f18161)である。
「ご褒美というのが気になるけど、まずは依頼の内容を聞こうか」
「ありがとうございます。今回止めて欲しいのは、ダーク・ドラッヘ。竜を少女に擬人化したような姿のオブリビオンです。彼女は自由に空を飛ぶ竜を称し、配下のオブリビオンとともに迷宮の外へ脱出しようとしています」
ダーク・ドラッヘ達は既に地下迷宮の上層部まで来ており、脱出は時間の問題となっている。それ故に、速やかな撃破が求められる。ただし、付き従う兵士の呪鎧の忠誠心は高く、身を盾にしてダーク・ドラッヘを守ろうとするから、そちらとの戦闘も避けられないと言う。
「それで、肝心のご褒美ですが……最近、暑い日が続いていますよね? ですから、緊急事態と言うこともあって、成功報酬として学園施設にある魔法の氷室の使用許可を取ってきました。綺麗な氷が作り出されますから、美味しい氷菓子が楽しめますよ。羽目を外しすぎなければ、お酒の持ち込みもOKです。よく冷やしたビールなんかは最高でしょうし、フラッペスタイルのカクテルなんかも美味しそうですね」
おおっ、と沸き立つ猟兵達。何だか最初より人数が増えている気がするのは、きっと気のせいではないだろう。
「迷宮脱出まであと僅かに至っているほどですから、ダーク・ドラッヘも兵士の呪鎧も油断は出来ない相手でしょう。でも、皆さんなら後れは取らないと信じています。ご褒美、楽しんできて下さいね? ――どうか、瑠璃の加護がありますように」
そして、ファティマは瞑目して掌の上にあるラピスラズリの玉に念を込める。グリモアから放たれた瑠璃色の光が周囲を包む中、猟兵達はアルダワの地下迷宮へと送られていった。
緑城雄山
スタバのフラペチーノが大好き、緑城雄山です。ファミマのフラッペもいいですね。
さて、このところ急に暑くなってきましたが、皆様如何お過ごしでしょうか。
今回は、アルダワを舞台に、涼しさを感じられるシナリオをお送りします。あくまで成功報酬なのでオブリビオンはしっかり倒す必要がありますが、第3章で涼んで頂ければと想います。
なお、今回のシナリオの構成は、以下のようになっています。
第1章:兵士の呪鎧との集団戦。
第2章:ダーク・ドラッヘとのボス戦。
第3章:魔法の氷室での日常シーン。
それでは、皆様からのプレイングを、楽しみにお待ちしています。
第1章 集団戦
『兵士の呪鎧』
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POW : 突撃陣形
【密集陣形を組ん】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 防御陣形
【後衛】から【遠距離攻撃】を放ち、【前衛が盾で押し込むこと】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 機動陣形
【鋒矢陣形を組むこと】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【衝撃力の高い突撃】で攻撃する。
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緋縅・善蔵
エキゾチックな美女のファティマさんの招集に応えてついつい来てしまった。
褐色肌の女性(美女に限る)に弱い癖、直さんとなぁ。
まぁ今回は神様なんだけど。
敵が集団なら此方も〔支援要請〕で数を増やす。質はレベル÷6くらい。
集団には集団で制圧射撃を掛ける。狙いは後衛から。
敵は3門の小銃と1門のリニアライフル。そして1門のプラズマキャノンと〔ミサイルカーニバル〕の【一斉発射】で寄せ付けない。
【武器改造】で89式を大量撃破が見込まれる擲弾に。
念の為、交戦前に【オーラ防御】と【力溜め】で守りを高め、【範囲攻撃】で敵勢力を粗方吹き飛ばす。
接近してきた敵は〔斬鐡〕でガラクタに。【空中戦】で優位性が保たれる距離を取る
●盾を構え耐える他に術なし
「エキゾチックな女神の招集に応えて、ついつい来てしまった。……褐色肌の女性(※ただし美女に限る)に弱い癖、直さんとなぁ」
そんなことをつぶやきつつ現れたのは、緋縅・善蔵(首輪付き・f06737)。精悍な印象を与えるスキンヘッドの戦場傭兵だが、今はロボットと見紛うような装甲に身を包んでいる。
彼が現れたのは、迷宮にこんな部屋があるのかと思えるほど広大な、大ホールと思しき部屋。ダーク・ドラッヘと百を超える兵士の呪鎧は、その部屋を突き進み突破しようとしているところだった。
兵士の呪鎧達は、善蔵の出現を確認すると、ダーク・ドラッヘを最後方に庇うようにして、密集して防御陣形を取った。前の半分は盾を構え、後ろの半分はクロスボウを構える。
「これは多いな……こちらカラミティ。無人機支援を要請する」
一方の善蔵は、体内に気を貯めて防御力を強化しつつ、ユーベルコード『支援要請』を発動する。頭部に「5」や「6」の刻印がある、善蔵と同じ姿の無人機が六機現れた。
「撃たせるか! その前に、まとめて吹き飛ばしてやる!」
善蔵は無人機達と同時に空中へと飛び上がりつつ、リニアキャノン、プラズマライフル、複数の小銃による弾幕を張る。特に敵陣後方に雨あられと降り注ぐ銃撃に、盾を構えるのが遅れた呪鎧が次々と蜂の巣にされて、ガシャリとその場に崩れ落ちる。
空中にいる善蔵達を攻撃するにはクロスボウを撃つしかないが、クロスボウを構えれば弾幕で倒されてしまう。そして、盾を構えたからと言って、必ずしも耐えきれるとは限らない。殲滅を狙って次々と撃ち込まれる擲弾に、耐久力を削り取られた呪鎧がやはりその場で崩れ落ちる。それでも、呪鎧達は弾幕が止むまで盾を構えて耐え続けた。それしか、為す術がなかった。
「……大分撃ったな。一先ず、下がっておくか」
呪鎧達の防御力の高さもあってか、狙ったほどは撃破出来なかった。だが、敵陣後方の半ばを失わせたのは十分な戦果だと判断した善蔵は、リロードが必要になったタイミングで一度後退することにした。
成功
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笹鳴・硝子
【団地女子会】
自家製梅酒でフラッペ、やってみたかったんですよね
【WIZ】
(ピーピーいう八千代ちゃんに気を取られつつ)
ええと、煽る(技能【おびき寄せ・言いくるめ】)んでしたね
はて、何を言えば?――まあ良いでしょう
こういう時はジュスチャーで心意気は伝わるもの
呪鎧を指さして『お前を』
自分を指さし『私が』
雑巾を絞る仕草『きゅって殺る』――無表情ながら精一杯の煽り顔で
伝われこの思い
『ボクは梅シロップのフラッペ食べるー!』
「【晶】、フラッペは仕事の後だよ」
技能【2回攻撃・属性攻撃・鎧砕き・鎧無視攻撃・オーラ防御】で晶の雷撃・斬撃と同時に精霊銃で攻撃
討ち洩らし?姐さんがいるので大丈夫ですよ
花邨・八千代
【団地女子会】
硝子ンとこの梅酒でフラッペができると聞いて!
うまい酒の為にもとっとと仕事終わらそうぜー。
俺ポテチ持ってきたんだよ、うす塩あじ。
◆戦闘
【空躁】使って「空中戦」だ。
「恫喝」に「挑発」乗っけて敵の団体さんをおびき寄せんぞ。
「この(ピー)で(ピー)の(ピピピー)が!」
「文句あんなら掛かってこいよこの(ピーーー!)」
ってな感じで挑発しつつ黒塚使って「怪力」乗っけた「なぎ払い」。
出来るだけ引き付けつつ、硝子と一緒にベル姐さんのとこまで引っ張るぞ。
姐さんの攻撃の間合いに入ったら一気に離脱、そこに一撃ぶち込んで貰う。
もし硝子が危なそうなら抱えて一緒に跳ぶぜ。
ホーソーキンシヨーゴ?なにそれうまい?
ベルゼドラ・アインシュタイン
【団地女子会】
硝子ちゃん所の自家製梅酒が味わえると聞いて、
これはサクッと倒して早く頂きたいところよね
団地の女子は皆頼もしいから、とても心強いわ
私はハニーピーナッツを持ってきたのよ。甘くて美味しいの。
▼戦闘
二人と会話する時は淑やかに
だが敵を前にした途端素に戻る
二人が敵を寄せてくれるから
此方は【殺気】を飛ばしつつ【恐怖を与える】
間合いに入ってきた所を見計らい【ベルゼブブの鉄槌】で業火球をぶっ放す
「おらおらてめぇら、暑苦しく群がってねぇで溶けて鉄屑になっちまえ!!」
もし接近された場合も抜かり無く
愛用の拷問具を【怪力】で振り回し
【2回攻撃】で【傷口を抉る】
残念だったな、淑やかな女が丸腰だと思うなよ
●自家製梅酒のフラッペを楽しみに
続いて兵士の呪鎧達の前に現れたのは、四六九九団地に住む女子三人。
「自家製梅酒でフラッペ、やってみたかったんですよね」
無表情ながら、何処か楽しそうに話すのは笹鳴・硝子(帰り花・f01239)。丈の短い法衣の上に袖と草摺を着けており、和風の美人と言った印象を与える。
「美味いだろうなー、とっとと仕事終わらそうぜ。俺ポテチ持ってきたんだよ、うす塩あじ」
ラフな格好に、赤と黒の髪を長い三つ編みに束ねた花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)は、浮き浮きとした様子を隠すこともなく楽しそうに笑みを浮かべている。
「そうね、敵をサクッと倒して早く頂きたいところよね。私はハニーピーナッツを持ってきたのよ。甘くて美味しいの」
ベルゼドラ・アインシュタイン(錆びた夜に・f00604)は、八千代の言葉を受けて、淑やかににこりと微笑む。この姿だけであれば、彼女は可憐でグラマラスな美人、となるだろう。
「ボクは、梅シロップのフラッペ食べるー!」
「晶、フラッペは仕事の後だよ」
硝子に窘められたのは、磁石に集まった砂鉄のようなトゲトゲした姿を持つ、ざわつく影の獣の仔『晶』。硝子の弟を称するUDCである。
依頼の報酬である魔法の氷室に酒の持ち込みが可能と聞いた一行は、硝子の自家製梅酒をフラッペにして楽しもうと参加したのだ。会話からは行楽気分にように感じられるのは、実力に自信がある表れであろう。きっと。
●とても言葉に出来ない
盾を構えて防御陣形を維持したままの兵士の呪鎧達に、最初に攻撃ならぬ口撃を仕掛けたのは、八千代だ。
「この(ピー)で(ピー)の(ピピピー)が! 文句あんなら掛かってこいよこの(ピーーー!)」
ユーベルコード『空躁(アップドラフト)』による連続ジャンプで空中へと飛びつつ、描写が憚られる言葉を連ねて呪鎧達を挑発し、誘き寄せようとする。だが、呪鎧達は動かない。
(……あれ? おっかしーなぁ。動きやしねえ……だったら)
思惑どおりにならず、困惑する八千代。だが、すぐに何かを思いついた様子で、再度挑発を試みる。
「ダーク・ドラッヘだか何だか知らねえが、(ピー)で(ピー)で(ピーーー!)なんだろ!」
罵詈雑言の対象を呪鎧達の主人であるダーク・ドラッヘにすると、呪鎧達の空気が一気にザワッとなる。高い忠誠心が仇となった形だ。呪鎧達は剣を抜き、八千代に殺到する。
((ピー)とか(ピー)、(ピピピー)って一体……それよりも、彼らを煽るんでしたね)
八千代の挑発に気を取られたが、自分も敵を挑発せねばと思い直す硝子。だが、何を言えばいいかわからずに困惑する。
(――まあ良いでしょう。こういう時はジェスチャーで心意気は伝わるもの)
呪鎧を指さして『お前を』、自分を指さして『私が』、雑巾を絞る仕草で『きゅって殺る』、と伝える。無表情が煽り顔になっていたかは何とも言えないところではあるが、ジェスチャーはしっかりと伝わった。火に油が注がれたかのように、呪鎧達が殺到する勢いが増していく。
●蝿の王の業火
「まとめて、壊れてしまえ!」
「晶、八千代さんを援護して」
ドグワシャッ! 八千代の人間離れした怪力で振るわれた薙刀、黒塚が呪鎧を数体まとめて吹き飛ばした。それでも呪鎧達は怯まずに八千代に殺到しようとするが、晶の斬撃や雷撃、硝子の精霊銃による援護射撃に阻まれる。
そうした戦いを続けながら、八千代と硝子、晶はじりじりと後退していく。挑発により激昂している呪鎧達は、彼女達が後退すればするだけ前に出て行った。
「……そろそろ、いいわよ」
ベルゼドラが、八千代と硝子に声をかける。二人の挑発は、ベルゼドラのユーベルコード『ベルゼブブの鉄槌』で呪鎧達を誘引し、まとめて一掃するためのものだったのだ。
「おらおらてめぇら、暑苦しく群がってねぇで溶けて鉄屑になっちまえ!!」
二人と談笑していた時とは打って変わって、威圧するように凶悪な笑みを浮かべつつ、渾身の殺気を放つベルゼドラ。激昂していたはずの呪鎧達がゾクリと恐怖に囚われ動きを止めたところで、蝿の王を召喚し無数の業火球を連続で叩き込ませる。
呪鎧達のいる場所は瞬時にして即席の溶鉱炉と変わり、業火球を受けた呪鎧達が焼けた鉄となってドロドロと溶けていった。
「残念だったな、淑やかな女が丸腰だと思うなよ」
辺り一面を覆う溶けた鉄を前にして、ベルゼドラは変わり果てた姿となった呪鎧達を嘲るように笑う。呪鎧達の戦力はその大部分が失われ、残るはダーク・ドラッヘの周囲を固めている少数のみとなった。
成功
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シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK
【SPD】
呪鎧の群れですか。
まぁ、片っ端から撃ち抜くだけです。
「ターゲット・マルチロック、一斉射撃で行きますよ!」
こちらも数で勝負です。
【乱舞する弾丸の嵐】で、右手の真紅銃、左手の精霊石の銃に加え、背中のマントの下から飛び出した4対のライフルビットを複製。周囲の上下左右に展開したら、様々な角度からの一斉射撃で呪鎧を攻撃します。
「そう簡単には近づけさせませんよ」
突撃してくる敵はマントを翻し、残像によるフェイントで回避。
その他の攻撃や突撃が避けきれない場合は、閃光の魔盾による盾受けと、ソードビットによる武器受けで受け流しながら、手に持った銃でカウンターの零距離射撃を撃ち込みますね。
トレーズ・ヘマタイト
※アドリブ自由
少々出遅れたが、まだ出番はあるだろうか
UCインビジブルで透明化し、タールらしく音もなく天井を経由し敵陣頭上に移動
体内の刻印から黒剣と白剣を合体させ組み上げた大斧と、爆薬を仕込んだ大盾を取り出し準備完了
選択UCで装備を強化、UCバウンドボディも起動した後に敵陣に向け落下、ドラッヘに気付かれる可能性があるので先んじて落下中に大盾をドラッヘに向けて投擲、ドラッヘが迎撃なりする瞬間に盾を爆破して隙を作ってる間に、呪鎧達に大斧を【怪力】と落下エネルギーを乗せて叩きつけ粉砕し、バウンドボディの弾力性でそのまま跳ねとんで離脱
跳ねる数瞬で置き土産にグレネードを周囲にばらまくのも忘れずにやる
以上
●呪鎧、全て斃る
「……少々出遅れたが、まだ出番はあるだろうか」
「あと少しですが、あるようですね。彼らがダーク・ドラッヘを守る最後の盾、と言うところでしょうか」
粘性の高い、黒いスライムのような身体に赤い単眼のトレーズ・ヘマタイト(骸喰らい・f05071)のつぶやきに、長い金髪に中性的な顔立ちで女性を思わせる、白い服のシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)が応じた。
残る呪鎧は三十体足らず。挑発に耐え、ダーク・ドラッヘの護衛を優先した者達である。
手短に、如何戦うかの相談を終えたトレーズとシンは、早速行動を開始した。
まず、ユーベルコード『インビジブル』で透明となったトレーズが天井に張り付いて、溶けた呪鎧達の残骸を迂回するように、残る呪鎧達の上へと動いていく。
「ターゲット・マルチロック、一斉射撃で行きますよ!」
その間にシンは、ユーベルコード『乱舞する弾丸の嵐(ハンドレット・ガンズ)』で自身の装備する銃を複製する。左右の銃にライフルビットも加えた六丁が、都合二百四十丁もの自在に動く銃となり、呪鎧達を取り囲む。
呪鎧達はダーク・ドラッヘを守るように方円陣を組み、盾を掲げて銃撃の嵐を耐え抜こうとする。ガギギギギギギィン!と無数の金属音が響き、雨あられと降り注ぐ弾丸が厚い盾に弾かれていく。だが、濃密度の集中砲火に盾が耐えきれなくなった者から、身を守る術を失い蜂の巣にされていった。盾を構えていてでさえそんな状況であるから、呪鎧達はそれ以外に何も出来なくなってしまった。
その最中、呪鎧達の上方に突然大盾が現われて、勢いよく落下する。ダーク・ドラッヘに向けて投擲され、トレーズの『インビジブル』の効果から外れたものだ。次の瞬間、大盾が――正確には、大盾に仕掛けられていた爆薬が、爆ぜた。
前方からの猛烈な射撃に耐えていたところに、後方から爆風を叩き付けられ、呪鎧達が前のめりによろける。なお、ダーク・ドラッヘはすぐ側の呪鎧に押し倒されるようにして庇われた。
大盾の爆発を確認すると、シンは銃撃を止めた。大盾の投擲はダーク・ドラッヘへの牽制であると同時に、トレーズが呪鎧達に白兵戦を仕掛けると言う合図でもあったのだ。
「行くぞ!」
天井から落下したトレーズの不可視の大斧が、呪鎧達を後ろから薙ぎ払う。ユーベルコード『ブラッド・ガイスト』によって大斧自体が強化されている上に、落下の勢いとトレーズの怪力が乗った一撃の威力は絶大だった。
しかも、呪鎧達にとっては完全に不意打ちであり、不可視である上に大盾の爆発で体勢を崩されていたこともあって、盾を構えることも、衝撃に耐えるべく身構えることも出来ず、次々と斬り裂かれ吹き飛ばされていった。
ユーベルコード『バウンドボディ』によって弾力を得た身体で大きく跳ねて、トレーズが呪鎧達の中から離脱すると、シンは誤射の危険なしとして辛うじて生き残った数体の呪鎧を瞬く間に殲滅した。
――残る敵は、ダーク・ドラッヘのみ。
大成功
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第2章 ボス戦
『ダークプルティア『ダーク・ドラッヘ』』
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POW : キミを縛ろう、ダークネス・ヴィントホーゼ!
【槍から放つ、対象を追尾し捕縛する鎖】が命中した対象に対し、高威力高命中の【ダークティアパワーを込めた特大の竜巻】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 行こうか友よ、ダークネス・カヴァレリスト!
自身の身長の2倍の【迷宮の一部から作り上げた蒸気機関ドラゴン】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : 暴風に注意だ、ダークネス・シュタルカーヴィント!
自身に【弱い攻撃は弾き、移動により周辺を斬る強風】をまとい、高速移動と【エネルギーの翼や尻尾による遠くへの真空刃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
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「……よくも、よくもボクの仲間達を! ボクは彼らに、迷宮の外と言う自由を与えたかっただけなのに……!」
見るも無惨な姿となって壊滅した呪鎧達の姿を目の当たりにすると、ダーク・ドラッヘは悲哀と憤怒に震える。
「……こんなことをしたお前達猟兵を、ボクは絶対に許さない! みんなの仇は、絶対に討つ!」
ダーク・ドラッヘの身体を、ゴウッ!と噴き上がるように、淡い緑色の闘気が包む。その勢いは、ドラッヘの名に相応しい猛烈なものだった。
花邨・八千代
【団地女子会】
うーん、お約束と言えど出てくるタイミング遅いんだよなァ
今まで何してたん?ヘアースタイル決まらなかったとか?
ところで全然関係ねーけど下半身は兎も角上半身の防御それでいいのか?
揺れて痛そうだなァ
◇作戦
まーまー同じ女同士仲良くやろうぜ、ポテチ食う?
色合いからしてのり塩派?まぁどっちでもいいけど
っていう感じで女子会の輪に誘い込みつつ、油断誘ったところで
「だまし討ち」からの「怪力」乗っけた【破拳】!
ハッハァー!勝てば良かろうなのだァー!
「2回攻撃」で「傷口をえぐる」ぞ!「第六感」で動きを予測して追撃!
良いねェ、強い奴ァ大好きだぜ!
だがこの後の梅酒フラッペの為にお前には犠牲になってもらう!
笹鳴・硝子
【団地女子会】
ごきげんよう、姫
重役出勤というやつですか
はい?御機嫌よろしゅうない?
それはいけませんね、奇遇ですが私もです
彼らのイニシアチブを取っていたのは貴女ですね、姫
だったら自分を守らせてないで真っ先に戦ったらどうですか姫
サークルの姫らしく、自分のサークル潰しましたね
鎧相手の時より言葉がするする出てくる不思議
やはりこれは女子会マジック
初撃対策に【オーラ防御・見切り・激痛耐性】付けつつ
刃を仕込んだ靴を履いての蹴り技【散華】には、【2回攻撃・鎧砕き・属性攻撃・鎧無視攻撃・なぎ払い・衝撃波・カウンター】の技能使用して、蹴り・炎両方の威力を増す
私達の女子会のお楽しみはこれからだ
ベルゼドラ・アインシュタイン
【団地女子会】
あら、大事な仲間という割には守らずに遅れて出てくるなんて非情ねぇ
女の身支度は早めに済ませておくものよ
決して相手を待たせてはいけないわね
二人に同調するようにして女子会に誘い込む
ただし、口先で誘うのはあまり得意ではないので
その辺は二人に任せるわ
油断による隙が生まれれば、すかさず【殺気】で【恐怖を与える】
そして足を留めさせる事を目的に【ベルゼブブの抱擁】
決まれば愛用の拷問具には指を切り血を与え活性化と【毒使い】で毒を盛り
【怪力】任せに振り回して【2回攻撃】で【傷口をえぐる】
ふふ、生憎女子会の予定は後がつかえているの
あまり手間取らせないで欲しいのわねぇ
●傷口を抉る(精神)
闘気を纏うダーク・ドラッヘに対し辛辣な攻撃を行い始めたのは、四六九九団地の女子三人。
「ごきげんよう、姫。重役出勤というやつですか。はい? 御機嫌よろしゅうない? それはいけませんね、奇遇ですが私もです」
「……姫? 重役出勤? お前は一体何を
……!?」
呪鎧を相手にしていた時とは、打って変わってすらすらと言葉を連ねる笹鳴・硝子。ダーク・ドラッヘは硝子の言葉が理解出来ない様子で困惑する。
「彼らのイニシアチブを取っていたのは貴女ですね、姫。だったら自分を守らせてないで、真っ先に戦ったらどうですか? 姫。サークルの姫らしく、自分のサークル潰しましたね」
「うーん、お約束と言えど出てくるタイミング遅いんだよなァ。今まで何してたん? ヘアースタイル決まらなかったとか?」
「あら、大事な仲間という割には守らずに遅れて出てくるなんて非情ねぇ。女の身支度は早めに済ませておくものよ。決して相手を待たせてはいけないわね」
さらに連ねられる硝子の言葉に、花邨・八千代とベルゼドラ・アインシュタインが続く。呪鎧達を助けられずに失った無力感も働いて、三人の言葉がダーク・ドラッヘの逆鱗に突き刺さった。
「おのれ! お前達、よくも! ……ダークネス・シュタルカーヴィント!」
激昂し、ユーベルコードによって盾とも刃ともなる強風を身に纏うダーク・ドラッヘ。
「まーまー、そんないきり立ってないで、同じ女同士仲良くやろうぜ! ほら、ポテチ食う? 色合いからしてのり塩派? まぁどっちでもいいけど」
「……何を言っているんだ! ボクの仲間を滅ぼしておいて、ぬけぬけと!」
持参したポテトチップスを取り出して、八千代はダーク・ドラッヘを女子会の輪に誘う。もちろん本気ではなく、油断を誘う目的だが。しかし、仲間の仇であり、逆鱗を刺激されている相手に油断などするはずがなかった。
●傷口を抉る(物理)
「……残念だったな、お前は王に見初められたんだ。もう逃げられねぇよ」
それでも、ダーク・ドラッヘの注意は八千代に向いた。その隙を衝いて、ベルゼドラは殺気を込めた視線をダーク・ドラッヘに向けて、ユーベルコード『ベルゼブブの抱擁』を発動。召喚された蝿の王が、ダーク・ドラッヘをベアハッグで締め上げる。ダーク・ドラッヘを纏う暴風は、蝿の王に受け止められ霧散した。
「ぐっ、ああああっ!」
バキバキバキッ!と、骨の砕ける音が響き渡る。
「……ふふ、生憎女子会の予定は後がつかえているの。あまり手間取らせないで欲しいわねぇ」
凶悪な笑みを浮かべながら、ベルゼドラは愛用の処刑道具『Cazando la luna.』に血を与えて活性化させる。そして、三日月のような刃に毒を塗り込みつつ、ダーク・ドラッヘの後ろに回り込んだ。
ザクザクザクッ!と、二枚の刃を力任せに叩き付けるように、ダーク・ドラッヘの背中を何度も斬り刻む。破れた緑のラバースーツから覗く皮膚は毒によってドス黒くなり、その上を赤い血が覆いはじめていた。
「ところで全然関係ねーけど、下半身は兎も角、上半身の防御はそれでいいのか? 揺れて痛そうだなァ」
召喚されていた蝿の王が消えたところで、八千代がダーク・ドラッヘに仕掛ける。
「……くっ。ダークネス・ヴィント……」
ダーク・ドラッヘは槍を手にユーベルコードを発動しようとするが、八千代の方が速い。
「まァ、俺が狙うのはここなんだけどな! おう、歯ァ食いしばれッ!」
「……うぐっ」
八千代の人並み外れた怪力が乗ったユーベルコード『破拳(ゴンザレス)』が、ダーク・ドラッヘの鳩尾に叩き付けられる。身体をくの字に曲げて、衝撃に悶えるダーク・ドラッヘ。
「まだ倒れないか……良いねェ、強い奴ァ大好きだぜ! だが、この後の梅酒フラッペの為に、お前には犠牲になってもらう!」
「ぐううっ!」
悶えながらも『破拳』に倒れなかったダーク・ドラッヘに、ニヤリと笑う八千代。次の瞬間には、追撃の拳が再びダーク・ドラッヘの鳩尾にめり込んでいた。
「八千代ちゃん。行きますよ」
「おう、頼むぜ。硝子」
何発か、八千代の拳がダーク・ドラッヘの鳩尾に叩き込まれたところで、硝子が八千代に声をかける。黒の軍靴『沓(むさぼる)』に仕込んでいる刃は既に爪先から出されており、攻撃の準備は万端だ。
「はららと散れ――炎に凍えながら。私達の女子会のお楽しみは、これからだ」
そのまま、硝子はユーベルコード『散華(ハララカニチル)』を発動。既に痛めつけられているダーク・ドラッヘの鳩尾に、追い打ちをかけるようにミドルキックを決めた。『沓』の爪先の仕込み刃が、その先端で燃えさかる蒼い炎ごと深々と突き刺さる。
「かはっ!」
刃と炎と、そして衝撃波に内臓を痛めつけられ、たまらず吐血するダーク・ドラッヘ。さらに、ダーク・ドラッヘの全身が蒼く炎上する。
「くぅっ……はぁ、はぁ……」
翼をバサバサと身体に叩き付けるようにして蒼い炎を消しつつ、ダーク・ドラッヘはバックステップで三人の女子から距離を取る。だが、積み重なったダメージは隠しようが無くなっていた。
――自家製梅酒フラッペは、もう目前であった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
トレーズ・ヘマタイト
※アドリブ自由
一度通せば後に続くものが出る、それら全てが悪意なき者とそちらが保証するわけでもなかろう
そも、猟兵と災魔、争うことは避けられん
機械腕ユイットを装着した魔導鎧ヌフを装備、選択UC起動、空中からユイットの機銃とグレネードで攻撃
相手が空中に上がって近接戦をしてきたならトロワを剣形態にして応戦
敵のヴィントホーゼは鎖がこちらに当たる瞬間、UCインビジブルで鎧はそのままに自分の肉体だけ透明化したうえで鎧から離脱、追撃を鎧に放った瞬間の硬直を狙い黒白大剣に【生命力吸収】を乗せて斬る、更にUCバウンドボディの起動と共に相手を【怪力】で掴みつつ地上に全力降下、理論値音速以上の速度で地面に激突する
以上
●ブラックタール故に可能な空蝉
後退するダーク・ドラッヘを追うべく、トレーズ・ヘマタイトはユーベルコード『緋晶炎霧(ヒショウエンム)』を発動。たちまち緋色の霧に覆われたトレーズは、瞬く間にダーク・ドラッヘの上を取った。
「一度通せば、後に続くものが出る。それら全てが悪意なき者と、そちらが保証するわけでもなかろう」
「……どうして、そんなことをボクが保証しなければならない! それとも、保証すれば通してくれたとでも言うのか!?」
「確かに、保証しようが通しはしない……そも、猟兵と災魔、争うは避けられん」
そう断言すると、大型機械腕『ユイット』に装備している機銃とグレネードでダーク・ドラッヘを撃つ。
「うっ、くうっ! ……食らえ! ダークネス・ヴィントホーゼ!」
全てをかわしきれず被弾するものの、辛うじて空中に逃れるダーク・ドラッヘ。そして、ユーベルコードを発動する。だが、トレーズの方が一枚上手だった。
ダーク・ドラッヘの槍から放たれた鎖をギリギリまで引きつけたところで、ユーベルコード『インビジブル』で鎧と機械腕以外を透明化し、自身はそこから天井へと飛翔して離脱。ブラックタールならではの、見事な策と言えた。
空になった鎧を、竜巻が襲う。その瞬間、トレーズは大剣による吸命の一撃をダーク・ドラッヘに叩き付ける。
「ぐああああっ!!」
ざっくりと、肩口を深く斬り裂かれるダーク・ドラッヘ。だが、トレーズの攻撃はこれで終わらない。再び天井に飛び上がると、ユーベルコード『バウンドボディ』で目一杯反動を乗せ、ダーク・ドラッヘの背に乗りかかる。
「……覚悟!」
そのまま、マッハ約二.五でダーク・ドラッヘを床に激突させる。二人を中心に衝撃波が迸り、床が深く抉れた。だが、仕留めきれなかった。そう判断したトレーズは、後退してダーク・ドラッヘから距離を取った。
成功
🔵🔵🔴
シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK
【SPD】
迷宮の外に自由なんてありませんよ。
せめて迷宮の中で迷惑をかけずにいてくれれば、こちらも戦わずにすんだものを…
「ターゲット・ロック、貫け、真紅の衝撃!」
怪盗の単眼鏡で敵の姿を捉えたら、真紅銃を構えて【異次元の狙撃手】による長射程の狙撃を行います。
敵がドラゴンを召喚しようとした瞬間、ライフルビットからのフェイントの弾丸も交えた真紅の光弾3連射。
【真紅の狙撃手】による効果で敵の攻撃力低下・行動阻害を図ります。
自由に憧れる気持ち…分からないでもありませんが、見逃すことはできません。
しっかりと狙いを定め、とどめの一撃を放ちましょう。
せめて、安らかに…。
●友、来たらず
(自由に憧れる気持ち……分からないでもありませんが、見逃すことはできません)
ゆらり、とよろけながら立ち上がるダーク・ドラッヘ。シン・ドレッドノートは彼女に同情を示しつつも、その姿を怪盗の単眼鏡で捉える。
「……ターゲット・ロック」
次の瞬間、ダーク・ドラッヘの鳩尾にビーム粒子の束が突き刺さる。ユーベルコード『異次元の狙撃手(ディメンジョン・スナイパー)』による遠距離からの狙撃だ。
「……かはっ!」
度重なる攻撃を受けている鳩尾をさらに撃たれ、ダーク・ドラッヘはたまらず四つん這いに倒れ込む。口から吐かれた血が、びちゃっ、と床を汚す。
「来てくれ、友よ。ダークネス……」
「貫け、真紅の衝撃!」
ダーク・ドラッヘはユーベルコードで蒸気機関ドラゴンを召喚しようとするが、シンの方が速かった。ダミーを交えてライフルビットから真紅の光弾を六発放つ。ダメージが重なっている上に召喚の最中であったダーク・ドラッヘは、回避もままならず全ての光弾を受けてしまう。
「ぐううっ! ……カヴァレリスト! ……何故だ! 何故来てくれない!?」
蒸気機関ドラゴンが召喚されないことに、困惑するダーク・ドラッヘ。
真紅の光弾六発のうち三発は、ユーベルコード『真紅の狙撃手(スカーレット・スナイパー)』に因るものだ。この三発が命中したたため、ダーク・ドラッヘはユーベルコードを封じられてしまったのである。
(迷宮の外に、自由なんてありませんよ。迷宮の中で迷惑をかけずにいてくれれば、こちらも戦わずにすんだものを……。せめて、安らかに……)
ダーク・ドラッヘの困惑を余所に、シンは真紅銃<スカーレット・ブラスター>で狙い澄ましたとどめの一撃を放つ。それは確かにダーク・ドラッヘの頭部に命中した、のだが。
「……もう一押し、でしたか」
風前の灯火ながらも生き存えたダーク・ドラッヘの姿に、シンは残念そうに呟いた。
成功
🔵🔵🔴
トレーズ・ヘマタイト
※アドリブ自由・諸事情による不採用も可
流石はダークプルティア、尋常でなく粘る、だがそろそろ決着をつけよう
刻印からドゥーズを出し、黒風鎧装と緋晶炎霧を起動、傍らの黒白大剣を取り込んだ後、更にドゥーズを覆い、強化スーツのような形状に変わる
二つのUCによる紅黒く輝く旋風を翼のように放出し突撃、ドラッヘに格闘戦を仕掛ける
吸収状態の黒白大剣の【生命力吸収】と【属性攻撃】を拳や蹴りに乗せて放つ
ヴィントホーゼの鎖を受ければ、水の刃で捕縛してくる鎖を切り捨て、追撃の竜巻は旋風で相殺しながら正面から【大食い】によって吸収しつつ突破、UCの速度と旋風、喰らったエネルギーも乗せた炎の拳で【カウンター】を決める
以上
●ユーベルコードの翼
「流石はダークプルティア。尋常でなく粘る……」
自身を含む猟兵達による、熾烈な攻撃を受け続けても生き長らえているダーク・ドラッヘに、トレーズ・ヘマタイトは感嘆混じりにつぶやく。
「……だが、そろそろ決着をつけよう」
しかし、これで終わらせるという確固たる意志を込めて、トレーズは告げた。
すかさず、自身に収納しているガイノイド・ドゥーズを、刻印改を通じて取り出す。同時に、『黒風鎧装』と『緋晶炎霧』の二つのユーベルコードを立て続けに発動。黒風と炎霧の上からドゥーズを纏うと、漆黒と真紅のツートンカラーの装甲に身を固めた仮面のヒーローの姿となる。
「……まだだ。まだ、ボクは……終わらない!」
その間に、ダーク・ドラッヘは槍を構え、空中に飛び上がる。蓄積されているダメージの影響を、決死の気迫と覚悟が凌駕していた。ユーベルコードが封じられている今、次の一撃に全てを賭けているのは、誰の目にも明らかだった。
「全力で迎え撃つ……来い」
トレーズはそれを察すると、黒剣と白剣を合体させた大剣を正眼に構える。そして、装甲の背部にある左右のスリットから、紅い炎の混ざった黒風を翼のようにして勢いよく放出する。
わずかな時間のにらみ合いの後、ダーク・ドラッヘが天井を蹴って仕掛ける。次の瞬間、トレーズは床を蹴り翼をはばたかせて飛翔し、迎え撃つ。
互いに突撃し、空中で激しく衝突する二人。
「……かはっ!」
口から大量の血を吐いたのは、ダーク・ドラッヘだ。トレーズの大剣は、彼女の心臓を深々と貫いていた。一方、ダーク・ドラッヘの槍の穂先は、トレーズの装甲を掠めて傷つけただけに止まっている。
「……ご覧、みん、な……あれ、が……地上、の……太陽、の……ひか――」
うわ言の様につぶやいたのを最後に、ダーク・ドラッヘはがくりと脱力し動かなくなる。その体は端の方から色を失い、灰のようになり、次第にボロボロと崩れ落ちていった。
(さらばだ、ダーク・ドラッヘ。災魔でなければ違った結末もあったのだろうが――)
ゆっくりと、トレーズが降下して着地する。仮面の下でどんな表情をしていたかは、彼以外の誰も知る由はなかった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『真夏の奇跡』
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POW : 氷を細かく削って食べる
SPD : 砕いた氷を飲み物に入れる
WIZ : 大きな氷を器に冷菓子を作る
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ひんやりとした心地よい冷たさと、壁一面を埋め尽くす澄んだ氷。それが、魔法の氷室を端的に表す表現だろう。氷室の中はそこそこ広く、十数人が思いのままに動き回っても窮屈さは感じさせない。
壁の氷は、壁を露出さえさせなければ、どれだけ削り取っても切り取っても、時間をかけて元に戻っていくという。そして、壁を覆う氷は、かなり厚い。猟兵達が思い思いに楽しんでも、無くなる心配はないようだ。
※プレイングの受付は、6月27日(木)8:30より開始します。
それまでお待たせしてしまいますが、どうかご了承下さい。
※成功報酬とはしておりますが、第3章のみの参加も歓迎です。
花邨・八千代
【団地女子会】
こおりっ、こおりっ!
梅酒でフラッペ!最ッ高---!
この為に来たようなもんだしなァ、頑張った甲斐があったぜ。
ちょっくら氷取ってくるぜ!
怪力使って一抱えくらいの氷塊えぐり取るぞー。
そしたら氷を削るか削ってもらうかして梅酒フラッペだ!
んまーい!めっちゃ梅の味濃い!すげー!
氷も美味いんだなコレ、いくらでも喰えそうだわ。
ポテチも食おうぜポテチも!ぜってー合うから!
姐さん持ってきたハニーピーナッツもうめーわ。
魔法の氷に美味い梅酒に、って贅沢だよなァ。
え、追い梅酒良いのか!?やったー!
んぐ、でも一気食いはダメだな…頭痛くなる…。
でも女子会、楽しいなァ。
またやろうぜ!こういう楽しいのは大好きだ。
ベルゼドラ・アインシュタイン
【団地女子会】
ひと仕事した後のご褒美はきっと格別よね
私は細かく削る係になろうかしら?
八千代ちゃんが抉り出した氷の塊に
キレイにした愛用のダガーを使って細かくふんわり削っていくの
かき氷機とかで削るより繊細な氷になるのよ
手間隙かけるって凄いわよね
そしてお待ちかね、削りたての氷に硝子ちゃんの特製梅酒でフラッペの出来上がり!
梅酒がいい感じに漬かって綺麗な琥珀色で素敵よ
芳しい香りと口に広がる梅酒の風味が格別ねぇ
合間に塩気のポテチと甘いハニーピーナッツも挟めば
もう無限に食べられそうよね、ふふふ
あらあら八千代ちゃん、欲張っちゃったわねぇ
こんな女子会は初めてだから、楽しかったわ
また次の機会を楽しみにしてるわね
笹鳴・硝子
【団地女子会】
さて本番ですね
働いたんですから美味しさ30%アップですよきっと
氷の準備は八千代ちゃんと姐さんにお任せして、私はこの瓶に満ち満ちた梅酒をかけていきましょう
見て下さい。このシロップ用のおたま、買ってきたんですよ
カンロレードルって言うんですね、これ
梅酒は沢山ありますからね、追い梅酒も御代わりも大丈夫です
10年前、師匠に梅酒づくりを手伝わされた時は大変でしたが、今美味しいのでもう良い事にします
さあ、どんどんいきましょう!
ポテチとハニーピーナツ、しょっぱいと甘いの繰り返しって無限にループできますよね
氷で冷えた舌もぬくまって良い感じです
もう一杯氷もいけそうです
……また、やりましょうね女子会
●梅酒フラッペが出来るまで
「こおりっ、こおりっ! 梅酒でフラッペ! 最ッ高――! この為に来たようなもんだしなァ、頑張った甲斐があったぜ」
満面の笑みを浮かべつつ、花邨・八千代は子供がこの後の楽しみにはしゃぐかのように、両腕でないと抱えられないほどの氷塊を氷室の壁から削り取って運んでいく。
「ひと仕事した後のご褒美はきっと格別よね」
「そうですね。働いたんですから美味しさ三十%アップですよきっと」
八千代が氷を運んだ先には、ベルゼドラ・アインシュタインと笹鳴・硝子が氷を梅酒フラッペにする準備を整えている。ベルゼドラが愛用のダガーで氷を削り、硝子が梅酒シロップをかけると言う分担になっている。
「こうやって細かくふんわり削っていくと、かき氷機とかで削るより繊細な氷になるのよ。手間隙かけるって凄いわよね」
「へぇー、すげーなァ、姐さん」
ダガーで氷を細かく削っていくベルゼドラの手並みに、見惚れて感心する八千代。
「見て下さい。このシロップ用のおたま、買ってきたんですよ。カンロレードルって言うんですね、これ」
氷で一杯になった器をベルゼドラから受け取った硝子は、梅酒を汲み取るカンロレードルを二人に見せる。先端の小さなカップはシロップを適量汲み取るのに、普通のおたまよりも便利そうであった。
「はい、八千代ちゃん。どうぞ」
硝子はそのカンロレードルで梅酒を掬い取り、氷にそっとかけていく。そして出来上がった梅酒フラッペを、八千代に渡す。同じようにしてベルゼドラ、硝子にも梅酒フラッペが行き渡る、と。
「ボクも、梅シロップのフラッペ食べるー!」
「そうだね。晶もお仕事したね」
硝子の弟を称するUDC『晶』が現われて、梅酒シロップを強請る。晶の分も用意したところで、改めて。
「いっただきー」
「頂くわね」
「頂きます」
「頂きまーす♪」
●楽しい女子会
「んまーい! めっちゃ梅の味濃い! すげー! 氷も美味いんだなコレ、いくらでも喰えそうだわ」
「芳しい香りと口に広がる梅酒の風味が格別ねぇ」
「師匠に梅酒づくりを手伝わされた時は大変でしたが……美味しいですね」
「おいしー!」
細かく刻まれた氷が口の中でサラリと溶けて、梅酒の甘みと酸味、氷の冷感が拡がっていく。オブリビオンと言う障害を越えてきたこともあって、格別の美味と言えた。
「ポテチも食おうぜポテチも! ぜってー合うから! 姐さんが持ってきたハニーピーナッツも!」
八千代がポテチを用意すると、ベルゼドラもハニーピーナッツを用意する。おつまみに手を伸ばし、梅酒フラッペと一緒に楽しむ四人。
「ポテチとハニーピーナツ、しょっぱいと甘いの繰り返しって無限にループできますよね」
「そうね、ふふふ」
味覚のメビウスの環、ここに完成。
「魔法の氷に美味い梅酒に、って贅沢だよなァ」
「梅酒は沢山ありますからね、追い梅酒も御代わりも大丈夫です」
「え、追い梅酒も良いのか!? やったー!」
「さあ、どんどんいきましょう!」
硝子の言葉に、喜び勇んで追い梅酒におかわりを堪能する八千代。だが、ペースを上げすぎた代償が彼女に襲いかかる。
「うぁ……頭が、痛ててて……」
「あらあら八千代ちゃん、欲張っちゃったわねぇ」
その様を見て、くすくすと可笑しそうに笑うベルゼドラ。八千代にどんどん行こうと勧めた硝子も、釣られて口元を緩めてしまう。
ポテチもハニーピーナッツも食べきってしまう頃になると、梅酒フラッペを食べるペースもゆっくりになってきて、まったりした時間が過ぎていく。
「女子会、楽しいなァ。またやろうぜ!こういう楽しいのは大好きだ」
「そうね。こんな女子会は初めてだから、楽しかったわ」
「……また、やりましょうね女子会」
少しずつ片付けを始めながら、次の機会に想いを馳せる三人であった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シン・ドレッドノート
高宮・夜宵(f02982)さん、朝燈ちゃん(f03207)と参加。
【SPD】
アドリブOK。家族水入らずで。
「あ、こっちですよ。」
手を振って合図、妻・夜宵さんと(義理の)娘・朝燈ちゃんと合流したら、氷を削りに行きましょう。
氷でグラスを作ったら、持ち込んだジャック・ダニエルをグラスに入れ、削った氷を浮かべて。
「乾杯♪」
3人で揃って初めてのお出かけ、楽しんでいただければ良いのですが。
2人の笑顔を見て、私も心からにっこりと笑いますね。
高宮・朝燈
おかーさん(f02982)、シンさん(f05130)と一緒の行動。
今日は、継父…ってゆーのかな? になる予定のシンさんに連れられて、学園の氷室にやって来た。
おかーさんは氷で器を作るらしいから、私はフラッペの氷の方でも作ろうかな?
「バール先生、どれだけ氷を細かくできる?」
タブレットに要件を記入すると、バール先生の腕が鉋みたいになったよ!
そのまましゃーこしゃーこと氷を薄く削っていくバール先生。削った氷がまるで雪みたい。
「これはおいしそうだねー。さっすがバール先生!」
それにしても、さっきからバール先生がシンさんの方をじっと見てるんだけど…死んだおとーさん、何か隠しプログラムとか…してないよね?
高宮・夜宵
再婚予定のシンさん(f05130)と娘(f03207)と参加。大きな氷を大皿のような形状の器にして氷菓子を堪能しつつも色々気を使ってる感じに。何気ないしぐさでも豊かな胸は大きく揺れます、たゆん。 アドリブ&絡み歓迎
●新しい家族の、初めてのお出かけ
「……もうそろそろ、でしょうか」
氷室の入口の前で人を待つのは、シン・ドレッドノート。ダーク・ドラッヘ撃破の成功報酬を利用して、新しく妻と娘になる二人とともに家族として最初の行楽を楽しむことにしたのだ。
「あ、こっちですよ」
グラマラスな肢体に豊満な乳房が目を引く妖艶な高宮・夜宵(官能迷宮・f02982)と、手足の付いた巨大グラスのようなガジェットスーツ『バール先生』に乗る高宮・朝燈(蒸気塗れの子狐・f03207)の母子の姿を認めると、シンは手を振って招いた。
合流して氷室の中に入った三人の目前には、上下左右の壁を覆い尽くす澄んだ氷が一面に広がっている。
「わぁ、すごーい!」
「想像以上……ですね」
「素敵ねぇ……」
その光景に、朝燈が少女らしい感嘆の声を上げた。シンと夜宵も、その光景に見惚れたかのようにつぶやきを漏らす。
「それじゃ、私は器を作りましょうねぇ」
氷の塊を削り出し、夜宵は大皿を作っていく。
「おかーさんが氷で器を作るなら、私はフラッペの氷の方を作るよ。バール先生、どれだけ氷を細かくできる?」
朝燈はそれを見て、バール先生を操作するタブレットに入力していく。すると、バール先生の腕が鉋のように変形した。そのままバール先生が氷を薄く削っていくと、器の上に雪のようにふんわりとした氷が積み重なる。
「これはおいしそうだねー。さっすがバール先生!」
「シロップはどうしますか? いろいろ用意してきましたけど……」
「そうねぇ。最初はスイがいいかしらねぇ」
大皿に氷が山盛りになったところで、シンが様々な種類のシロップを朝燈と夜宵に見せる。その中から夜宵が選んだのは、スイ。みぞれとも呼ばれる、単純に砂糖水をかけるだけの食べ方だった。
大皿に盛られたフラッペに砂糖水をかけて、それぞれスプーンですくって口に含む三人。口の中でほろりと氷が溶けると共に、砂糖だけの素朴な甘さと、氷の冷たさが口腔に広がっていく。
「おいしー!」
「美味しいですね」
「ふふふ、そうでしょう?」
朝燈とシンの反応に、夜宵はにっこりと満足そうに微笑んだ。
最初に大皿に盛られたスイを食べ終わり、再び大皿に氷が盛られていく。
「次は、これで行きましょう。どうぞ、朝燈ちゃん」
シンが用意したのは、練乳とカットしたフルーツ。練乳を氷にかけ、いちご、みかん、パイナップル、白桃などを盛り付けていく。いわゆる、白くまである。
朝燈はシンに勧められるままに、白くまをいちごやみかんと一緒にスプーンですくい、口に含む。口の中で氷がほろりと溶けていくと同時に、練乳のスイとはまた違った甘さと、いちごやみかんのフルーティーな甘さが広がる。
「これもおいしー!」
「喜んでもらえて、よかったです……さて」
喜色満面と言った朝燈の反応に、シンは何処かホッとしたように微笑む。そして、懐からジャック・ダニエルの瓶を取り出す。
「あら、シンさん。ちょっと待っててねぇ」
それを見た夜宵は、豊満な乳房をたゆんと揺らしながら、氷でグラスを二つ作り、そのグラスを氷で満たし、ジャック・ダニエルを注ぐ。
「「乾杯♪」」
シンと夜宵が、ジャック・ダニエルで満たしたグラスで乾杯する。キン、と澄んだ音が響くのを、朝燈は白くまを頬張りつつニコニコと眺めていた、のだが。
(……あれ? バール先生?)
二人を見つめるバール先生の様子に、ただならぬ物を感じるのだった。
氷室を堪能した三人は、帰途に着き始めた。だが、腕を組み並んで歩くシンと夜宵の後ろで、朝燈は氷室にいた間のバール先生の挙動を訝しんでいた。
(……バール先生がシンさんの方をじっと見てたの……何だったんだろう。死んだおとーさん、何か隠しプログラムとか……してないよね?)
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
トレーズ・ヘマタイト
※アドリブ自由
予備の鎧を準備するのに手間取りすぎたな
ドラッヘとの戦闘で鎧が破損したので、予備部品と兵士の呪鎧の残骸で見た目だけ整えた全身鎧を着てくる
UCで呼び出した菓子作りの出来る災魔の幻影に、氷菓子等作らせて所属旅団への土産にするが
味の確認が自分では出来んので、来ている者で希望者がいれば味見を頼むとしよう
リクエスト等があれば幻影に作らせてもいいだろう
可能なら呪鎧の残骸を空の見える場所にでも置ければドラッヘ達も多少は納得するのだろうが
昨今の学内災魔の出現等を考えるに、転移先にされる可能性もあり得るので避けるしかないのだよな
自分が一部でも持ち出し迷宮の外で使うことで妥協してもらうとしよう
以上
●旅団へのお土産
(……予備の鎧を準備するのに手間取りすぎたな)
他の猟兵達が楽しんだ後に氷室に入ってきたのは、トレーズ・ヘマタイト。ダーク・ドラッヘとの戦闘で鎧が破損したため、予備の部品と呪鎧の残骸で見た目だけ整えた全身鎧を用意してきたのである。
(他には誰もいないか。味見をどうするか……)
氷菓子を作って旅団への土産にするつもりだったが、自身では味の確認が出来ず、味見を頼めそうな他の猟兵もいないためどうしたものかと思案に耽る。
(……そうだ! 味は各自で付けてもらおう!)
結果、削った氷だけ持って行って、シロップなどの味付けはそれぞれで行ってもらうことにした。そうと決まれば、トレーズの行動は速い。
ユーベルコード『イリュージョン・オブリビオン』で災魔の幻影を召喚し、人海戦術で氷を削らせる。トレーズはその間に、異次元空間に物品を出し入れする刻印改から、予め用意しておいた複数の冷凍庫と小型発電機を取り出す。そして、災魔の幻影が削った氷を冷凍庫に収納し、その冷凍庫を小型発電機ごと刻印改から異次元空間へと収納する。
十分な量の氷を確保したトレーズは、氷室からの帰途につく。その途中、晴れ渡った青空の下に出ると、天を仰ぎ見て物思いに耽った。
(呪鎧の残骸をここにでも置ければ、ダーク・ドラッヘ達も多少は納得するのだろうが……昨今の学内災魔の出現等を考えるに、転移先にされる可能性もあるので避けるしかないのだよな。せめて、一部を持ち出して外で使うことで、彼らへの慰めとしよう――)
大成功
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