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絢爛業火なる白の王

#UDCアース


●降臨
 眩き白炎と、獣の咆哮。そして美しい歌声だけが、その空間を支配していた。

 炎の中心で歌うのは、ヒトならざる気配を纏った女。閉ざされた瞼の奥の瞳は何も映さず、その美貌に浮かべた表情はまるで眠っているように、それはただ、歌を紡ぎ続ける。
 その女の腰から下は幾種もの獣が混ざり合った名状しがたい異形と化しており、咆哮と共に新たな獣の群れが彼女の身体から分離し、地に満ちていく。

 それはあまりにも美しく、神々しく、そして禍々しい光景であった。
 心弱き常人であれば、とても正気を保ってはいられまい。そして例え心を壊さずにいられたとしても、押し寄せる白炎と獣から命を保てる者はいまい。

 ――彼女こそ『白の王』。かつて太陽と正義を司りし、零落せし神の成れの果て。

●抵抗
「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵たちの前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「UDCアースにて暗躍する邪神教団の一派が、強大な神格を持つオブリビオンの降臨儀式を進めていることが判明しました」
 予知で得た情報によると、降臨する神はかつて太陽と正義を司るとされた旧き神、その成れの果て。何らかの要因で知性を剥ぎ取られたことによって会話もおぼつかず、自分が何者かも、何をしているのかも分からなくなった、堕ちた邪神である。
「邪神教団の目的は『白の王』と彼らが呼称するそのオブリビオンの完全なる復活のようです。その為に彼らは長い年月をかけて、儀式の準備を整えてきました」
 そして今、邪神復活の儀式の完成は目前に迫ろうとしている。残された僅かな猶予の間に教団の拠点を突き止め、儀式を阻止しなければならない。

「邪神教団は複数の密輸組織や違法業者などと手を組んで、儀式に必要な供物や祭具を取引しているようです。教団の情報を掴むには、この業者と接触するのが近道でしょう」
 既にUDC組織の調査員が接触を試みたものの、相手も裏社会の人間だけあってなかなかに能力が高く、追跡はすべて撒かれるか返り討ちにあってしまったらしい。
「ですが相手はオブリビオンというわけではないので、猟兵であれば対処は容易でしょう。取引現場の特定、張り込み、取り押さえ――多少手荒なことになっても構いませんので、彼らから邪神教団の情報を引き出してください」
 そして無事に儀式場を特定できても、おそらく儀式場は教団の主要メンバーによって厳重に守られているだろう。信奉する『白の王』のためなら自らの命さえも投げ出す狂信者たちである。説得は不可能であり、儀式を阻止するには武力で制圧する他にはない。

「儀式場の特定と襲撃、儀式の阻止――これらを完了させてもまだ問題は残っています。すでに儀式は半ば以上完成していて、土壇場で儀式を阻止しても『白の王』の降臨そのものを止めることはできません」
 だが、儀式が不完全な状態で降臨した『白の王』は、知性を失った不完全な状態のまま顕現する。自発的な目的などはなく、ただ外部からの刺激に反応して攻撃を行うのみ。
「完全復活した場合ならいざ知らず、これなら勝機は十分にあるでしょう。全力で目標を撃破し、教団の野望を完全に阻止してください」
 相手は邪神。不完全体と言えどもその力は強大なはずだが、リミティアは猟兵の勝利と作戦の成功を疑うことなく、手のひらにグリモアを浮かべる。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはUDCアースにて、邪神教団によるオブリビオン『白の王』復活儀式の阻止が目的になります。

 第一章では邪神教団と繋がりのある裏社会の業者を取り押さえて、儀式場の情報を集めます。相手は一般人なので、シッポを掴めば対処は難しくありません。
 無事に情報を入手できれば、第二章では儀式場での教団員との戦闘。第三章では不完全なまま降臨した『白の王』との決戦になります。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『深夜の密会』

POW   :    現場らしき場所を張りこむ

SPD   :    影に隠れ密会者を捕獲する

WIZ   :    知識を活用し現場を特定する

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村井・樹
最終的に、私達が倒すことになる相手は邪神とはいえ、今追っている相手はあくまで人間、足跡も辿れれば、押さえ込みようもあります
……まあ、私は力ずくは『紳士』的ではないので好みはしませんが。

闇や影に紛れて、失敗作を放ちましょう
物量で取引をする者の足跡を『情報収集』、それらしい物を見つけたら、一度私まで報告してもらいます

無論、私も情報は足で稼ぐ主義ですので。
『目立たない』よう周囲を探索しつつ、『視力、暗視』で証拠を逃さず見つけましょう

もし業者らを見つけたら、私の『ロープワーク』で捕らえ、尋問を行います
もし答えなければ……『不良』に拷問でもお願いしましょうかねぇ?

※アドリブ等大歓迎


トレーズ・ヘマタイト
※アドリブ自由

まず、情報を持つ者を見つけるところからか、情報収集は苦手だがやれることをしよう

UDC組織から取引現場候補の情報提供、ならびに現場で取り押さえた業者の引き渡し等のための人員の要請をする

候補地全てに選択UCで災魔の幻影を複数体送り込み張り込みをさせる
送り込む幻影は、忍者型や小動物型等の発見されにくく、追跡もできる者を選ぶ

自分はUC発動中は負傷を避けねばならんので、予備人員の幻影と共に後方で指揮や情報の整頓、UDC組織の人員との連絡などをしているとしよう

捕獲後も情報を吐かせる方法は色々とあるが、時間がないので痛め付けて疲労したところを幻影の洗脳や催眠系UCでさっさと吐かせるとしよう

以上



「まず、情報を持つ者を見つけるところからか、情報収集は苦手だがやれることをしよう」
 邪神教団と繋がりのある業者の足跡を掴むため、トレーズ・ヘマタイト(骸喰らい・f05071)はとある地方の港湾都市に降り立った。UDC組織からの情報提供によればこの街に、業者と教団の取引現場の候補地があるらしい。
 独力での調査には失敗したUDC組織だったが、猟兵たちの活動には全面的なバックアップを約束してくれている。
「最終的に、私達が倒すことになる相手は邪神とはいえ、今追っている相手はあくまで人間、足跡も辿れれば、押さえ込みようもあります」
 同道する村井・樹(Iのために・f07125)は、落ち着いた自信に満ちた態度でそう呟きながら調査を開始する。
「……まあ、私は力ずくは『紳士』的ではないので好みはしませんが」
 必要であれば躊躇いはしない。そういった荒事が得意な"相方"が、彼の中には眠っているのだから。

 ある程度まではUDC組織が絞り込んだとはいえ、取引の候補となる場所は幾つもある。その全てを調べるには二人だけでは手が足りない。だが、足りない手足は増やせばいい。この二人の猟兵はそのための手段に長けていた。
「【何者】にもなれなかった【お前達】に、光あれ」
 夜の街の闇や影に紛れて樹が放つのは【失敗作】の群れ。少年から大人まで、大小様々なシルエットを持つ黒い影が、樹の指示に従って街の方々に散っていく。
「剣を交え、打倒し、血肉を喰らい、魂を啜り、己の一部となった災魔よ、今一度その力、この場にて示せ」
 それに合わせてトレーズも【イリュージョン・オブリビオン】を発動し、隠密と追跡に長けた忍者型や小動物型の災魔の幻影を召喚する。
 黒い影と幻影たちはその物量を活かして候補地に張り込み、取引をする者の足跡をあぶり出していく。

 無論、猟兵たちも配下に調査を任せきりにするわけではない。
「私も情報は足で稼ぐ主義ですので」
 樹は目立たないよう気配を殺しながら、黒い影が見つけてきた手がかりの報告を元に怪しい場所を絞り込み、その周囲を探索していく。
 するとそこに、後方で幻影の指揮や情報の整理、UDC組織の人員との連絡を担当しているトレーズから通信が入った。
『埠頭にてそれらしい現場を発見した、至急確保に向かってくれ』
「分かりました」
 幻影の召喚が解除されないようユーベルコード発動中は負傷を避けねばならないトレーズにかわって、樹が影たちを連れて現場に急行する。
 夜目の効く彼は闇に紛れてケースに入った何かを取引する男女の姿を捉えるや否や、鋼糸を放つと巧みな糸捌きで彼らを縛り上げる。
「うわっ?!」
「きゃっ!?」
 突然の奇襲に反応できず、たちまち拘束される二つの影。もがく彼らを樹は黒い影に取り押さえさせると、尋問のために確保した場所へと連行していくのだった。

 確保された男は美術品の密輸を生業とする業者で、女の方は邪神教団の下っ端だったらしい。丁度儀式に使われる祭具の受け渡しの最中だったようだ。
「ちっ……俺もヤキが回ったな。だがこっちも信用商売だ、テメェらに話すことなんざ何もないぜ」
「この身はすでに『白の王』に捧げたもの。恐れるものなど何もありません」
 教団の情報を吐かせようにも、彼らも裏社会の住人だけあって少々の尋問では口を割りそうにない。
「情報を吐かせる方法は色々とあるが、今は時間がないのでな」
「『紳士』的ではありませんが、仕方ないですね――ならここからは『俺』の出番だな」
 落ち着いていた樹の態度が荒々しく変化する。『紳士』から『不良』へと人格の交替を行った彼は、突然の豹変にびくつく相手の前でポキポキと拳を鳴らした。
 ――それから行われた拷問の内容については割愛しよう。肉体的苦痛を受けて抵抗の意志が疲弊した頃合いを見計らって、トレーズが幻影に命じて洗脳や催眠のユーベルコードを発動させる。彼らが持ち得る情報を洗いざらい吐くまで、さほどの時間はかからなかった。
 樹とトレーズは取り押さえた者たちの身柄をUDC組織の人員に引き渡すと、手に入れた情報を元にさらなる調査を進めるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メグレス・ラットマリッジ
まずUDCの調査員と接触し、判明している情報を提供してもらいます。
祭具・供物の種類は?過去の取引の日時は?業者の背格好は?
いただいた情報からある程度のアタリを付けて、周辺住民の聞き込みと合わせて居場所を突き止めます。
聞き込みの際、信用が問われるのであれば何度か地域のボランティアに参加したり住民とのコミュニケーションを経て馴染んでから確実にーー(目立たない・礼儀作法)

えっ、気が長すぎる?認めます!
もっと時短出来る方法があるならば人手の一人として協力しようと思います。
尋問が済んだら然るべき期間に引き渡すのも忘れずに。

UCはただの移動手段です。


オリヴィア・ローゼンタール
人に仇なす邪神、それを崇める邪教の徒
どちらも捨て置くことは出来ませんね

【トリニティ・エンハンス】で風の魔力を全身に纏い、足音や匂いが伝わらないように
周辺の大気を掌握し、物音や話し声を拾い集めて組織や業者を探す(聞き耳・情報収集・追跡)
さて、何か聞こえるでしょうか……

取引現場を発見したら【目立たない】ように忍び寄り、脚力を活かして一気に距離を詰め、
身分が高そう・偉そうな者の胸座を掴んで壁に叩き付ける
取り巻きは大気を操り酸欠にして無力化(属性攻撃・気絶攻撃)
少々悪戯が過ぎたようですね
貴方たちの生命の保証は任務に含まれていません
大人しく喋った方が身のためですよ(殺気・恐怖を与える・言いくるめ)



「まずは、判明している情報を提供してください」
 UDC組織の調査員と接触したメグレス・ラットマリッジ(襤褸帽子・f07070)は、彼らが調査していた違法業者と邪神教団に関わる様々な情報を整理していた。
「祭具・供物の種類は? 過去の取引の日時は? 業者の背格好は?」
 一つ一つでは核心へと至れない情報をつなぎ合わせ、ある程度のアタリを付けた場所はとある地方都市。
 これ以上は実地調査が必要と感じた彼女は、すぐさま現場へと飛んだ。

「すみません、少しお尋ねしたいことがあるのですが」
「えっ……何でしょうか?」
 ユーベルコード【黄泉渡り】によって街に移動してきたメグレスは、取引の候補地の周辺住民への聞き込みを始める。最近近くで変わったことは無かったか、怪しい人物を見かけたりはしなかったか――噂話レベルでもいい、些細な情報の積み重ねから彼女は業者の居場所を絞り込んでいく。
 よりスムーズな情報収集のために、信用を得るために何度か地域のボランティアに参加したり住民とのコミュニケーションを経て馴染んでいくことも考えていたが。
「それは気が長すぎませんか?」
「認めます!」
 同行していたオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)にそう指摘され、あっさりと肯定する。
 予知によれば邪神復活の儀式の完成まで、もうそれほどの時間はない。丁寧に情報収集の足場固めまでしている余裕はないだろう。

 情報の精度よりも速度を重視して聞き込みを続けた結果、業者の取引場所が閉鎖されたシャッター街のどこかにある、という所までは掴んだメグレス。
「ここからは私に任せてください」
 そう言ってオリヴィアは【トリニティ・エンハンス】を発動し、風の魔力を全身に纏いながら周辺の大気の流れを掌握し、音を拾い集めていく。
「さて、何か聞こえるでしょうか……」
 風が運んでくる音に耳を澄ませれば、人気の無いはずのシャッター街のどこかから、誰かの話し声が聞こえてくる。それを頼りにしてオリヴィアとメグレスが辿り着いたのは、閉店した小さな空き店舗の一つだった。

 ここが取引現場だと判断した二人は、表と裏に別れて店舗内へ潜入する。
 身に纏った風で自らの足音や匂いを消したオリヴィアは、中にいた男たちに音もなく忍び寄ると、脚力を活かして一気に距離を詰めた。
「っ、何だお前――っが?!」
 その場で最も偉そうにしていた者の胸ぐらを掴むと、速度を落とさず勢いよく壁に叩き付ける。所詮は一般人に過ぎない相手は、その衝撃であっさりと気を失った。
「しゃっ、社長ぉ?!」
「くそっ、テメェどこの者だ!」
 突然現れるなり一瞬で親分をノしてしまった謎のシスターに、残った者たちは動揺しつつも一斉に刃物や拳銃を向ける。だがその時、彼らの死角から【黄泉渡り】で瞬間移動してきたメグレスが、低出力に設定した雷杖の先端を背中に押し付ける。
「おいたはだめですよ?」
「ギャッ?!」
 スタンガンを食らったような悲鳴を上げて倒れる男。またもや突然現れた新手に、敵の混乱は頂点に達する。
 その間にオリヴィアは彼らの周囲の大気を操り、空気の濃度を下げることで酸欠へと陥れていく。
「う、ぐ……なんだこれ、息苦し……お前ら、マジで何者なん、だよ……」
「少々悪戯が過ぎたようですね」
 ばたばたと倒れていく連中を冷たい眼差しで見下ろしながら、オリヴィアは無力化した敵を手早く拘束していくのだった。

 暫くして違法業者のグループが目を覚ますと、オリヴィアは彼らの尋問を始める。
「貴方たちの生命の保証は任務に含まれていません。大人しく喋った方が身のためですよ」
 殺気を放ちながら軽く脅しをかけると、猟兵の力を身をもって知った男たちはあっさりと口を割った。
 社長と呼ばれていたこの業者の元締めの話によると、件の邪神教団とはもう何年も前から取引があったらしい。教団は相当に長い年月と費用を費やして、邪神復活のために動いていたようだ。

「この人たちは然るべき機関に引き渡すよう、UDC組織の方に連絡しておきました」
 教団に関する洗い浚いの情報を吐かせたところで、尋問を終えたオリヴィアにメグレスが話しかける。後の処理は組織に任せておけば上手く収めてくれるだろう。
 わかりました、と頷いたオリヴィアは拘束した連中を置いて外に出ると、改めて決意を口にする。
「人に仇なす邪神、それを崇める邪教の徒。どちらも捨て置くことは出来ませんね」
 どれほど周到に準備された計画だろうと、必ず打ち砕く。そのために自分たちは来たのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

波狼・拓哉
さて、お久しぶりにお仕事っと。・・・こういう時猟兵だと便利だよねぇ。
まずはUDC組織に話を聞いて密輸業者の知り得てることを情報収集。
得た情報からUDC職員が接触した方法と同じように接触。一応変装でもしておこうかな?接触したら影箱追跡。交渉は適当にお茶濁してちょっとでも警戒度下げるように言いくるめたりしておこう。
後は地形の利用から目立たないようにしつつ追跡。ミミックいるし無理には近づかないようにしておこう。
追跡対象に仲間が見えたら怪しまれない程度に減らして行こう。・・・一応一般人だしね。
衝撃波込みの当身を喰らわせて身柄はUDC組織でいいか。後、最悪の場合の尋問要員にもなるし。
(アドリブ絡み歓迎)



「さて、お久しぶりにお仕事っと」
 そうしみじみと呟きながら、波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)はとある裏路地で密輸業者との接触を試みていた。
 ネットの裏サイトの掲示板から「取引がしたい」と持ちかけ、連絡は捨てメールアドレスから。その後何度かのやり取りを経て、直接会うところまで漕ぎ着けた。
 こうした業者との接触方法や相手に信用されるための符丁は、UDC組織から話を聞いて得た情報である。組織の職員はこの先の追跡で失敗したらしいが、頼れる"相棒"を持つ拓哉には自信があった。

 特徴を隠すような変装をして指定された場所で待っていると、予定された時間ぴったりに相手は現れた。
「待たせたか?」
「いいや、大丈夫だ」
 互いに符丁を示して取引相手であることを確認すると、商談が始まる。ここでの交渉の成立はそこまで重要ではない。少しでも相手の警戒度を下げるのが目的だ。
 相手は態々法の網を掻い潜らなければならないようなモノを輸出入し、邪神教団とも取引するような業者である。その「商品」には薬物や人間をはじめ、身の毛のよだつような品物も含まれている。
 内心の不快感を押し隠しながら、拓哉は適当にお茶を濁して言いくるめ、ブツを買うのはまたの機会に、という形で交渉を終わらせる。

 疑われることなく穏当に交渉が終われば、ここからが本番である。
「さあ、化け追いなミミック……!」
 去っていく業者の男の背に向かって小声で【偽正・影箱追跡】を発動すれば、影に化けた箱型生命体ミミックが目標の追跡を始める。
「……こういう時猟兵だと便利だよねぇ」
 高い隠密性と五感共有能力を持ったミミックを頼りに、目立たないよう遠方から目標を尾行しながら、拓哉はしみじみと呟く。UDC組織からの全面的なバックアップや、ユーベルコードの力。猟兵が一般人に対して持つアドバンテージは様々である。

 暫くミミック越しの追跡を続けていると、別の方向から追跡対象の仲間らしき人影がやって来るのが見えた。合流されると後が面倒だろう。
「……一応一般人だしね」
 殺してしまうのは忍びないと、拓哉は入り組んだ路地裏の死角からその人影に忍び寄ると、背後から強烈な当て身を喰らわせる。
「……っ?!」
 悲鳴を上げる間もなく昏倒する男。その身柄はいざという場合の尋問要員として、UDC組織に確保してもらうことにする。

 再びミミックの感覚に意識を集中させると、追跡対象はちょうど事務所らしい建物の中に入っていくところだった。そこにあるパソコンや紙の資料の中には、顧客――邪神教団に関する情報もある筈だ。
 気付かれないように目標の影から離れ、事務所内の探索を始めるミミック。彼らは着実に目的に迫りつつあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フレミア・レイブラッド
UDC組織に裏社会に詳しい情報屋とか知らないか訪ねて、そこから組織の情報や取引現場、密会者の情報を入手するわ。
【魅了の魔眼・快】【誘惑、催眠術】を使って虜にしてね♪イロイロ情報屋がいると便利そうだし、自身の虜にしておいて損は無いでしょうし。

後は取引現場が判明したら襲撃して、一旦全員叩きのめす等して拘束した後、その場にいる人達をみんな同じく魅了して儀式場の情報等を得て、UDCに引き渡すわ。
魅了してわたしの命に従う様になってるし、ついでにその裏組織壊滅させても良いけどね♪(楽しそうに笑みを浮かべつつ)

※アドリブ等歓迎



「あなた達なら、裏社会に詳しい情報屋とか知らないかしら?」
 そうUDC組織の職員に尋ねたのはフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)。蛇の道は蛇、裏社会の組織について調べるならその道に通じた人間に聞くのが一番だろう、と。
 尋ねられた職員はふむ、と腕組みすると難しそうな表情で答える。
「確かに腕の良い情報屋の当てはありますが……彼は用心深くて。どれだけ金を積んでも、信用の置けない相手には情報を売らないのです」
 UDC組織も一度協力を要請したものの結局断られてしまったほどの、頑固なプロ意識の持ち主らしい。
「それなら問題ないわ、すぐに信用させてみせるから♪」
 自信たっぷりに笑みを浮かべるフレミアに、それならば……とUDC職員は彼女に情報屋との連絡手段を伝えた。

 ――そしていざ情報屋と接触したフレミアは、得意の誘惑や催眠術、そして【魅了の魔眼・快】を駆使して、あっさりと相手を虜にしていた。
「なんなりとお聞きくださいフレミア様……!」
 いかに腕利きと言えども一般人、ユーベルコードのもたらす快楽や魅了の魔力に抗えるような特殊な訓練は積んでいなかったようだ。
「イロイロ情報屋がいると便利そうだし、虜にしておいて損は無いでしょうし」
 役に立つ僕を得たことに喜びながら、邪神教団と繋がりのある組織の情報や取引現場、密会者の情報を入手するフレミア。その組織の一つが近日に大きな取引を行うと聞いた彼女は、愛用の魔槍を手にすぐさま現地へと飛んだ。

「ご機嫌よう。少しお話を聞かせてもらえるかしら?」
「な、何だこのガキ……?」
 取引現場を突如として襲撃した、紅い槍を構えた金髪紅眼の娘に、その場にいた連中は一様に困惑する。
「お嬢ちゃん、ここは子供の遊び場じゃないんだぜ……っぐぁ!?」
 取り押さえようと手を伸ばしてきた男を、フレミアは槍の一振りで昏倒させる。そこでようやく彼らが彼女を"敵"だと認識した時には、その運命は決まっていた。
 常人の振るう刃や銃弾が脅威になるはずもなく、ものの数分で彼らは全員フレミアに叩きのめされ、地に這うことになった。

「わたしの僕になりなさい……あなた達はもう、わたしのトリコ♪」
 違法業者のメンバーとその取引相手を纏めて拘束した後、フレミアは情報屋にしたのと同じように魔眼で彼らを魅了する。
 苦痛から恍惚へと表情を一変させた彼らは、あっさりと邪神教団に関する情報を白状する。フレミアはその中から儀式場の所在に繋がりそうな情報を纏めてから、彼らの身柄をUDC組織に引き渡した。
「魅了してわたしの命に従う様になってるし、ついでにこの裏組織壊滅させても良いけどね♪」
「貴女なら冗談ではないのでしょうね……」
 楽しそうに笑みを浮かべるフレミアに苦笑するUDC職員。しかし今は裏組織より邪神教団を壊滅させるのが先決である。
 もう少し時間があれば良かったんだけど、と残念そうにしながらも、彼女は後始末をUDC組織に任せて調査を再開するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鹿忍・由紀
UDC調査員から業者の特徴を聞いとく
その情報を頼りに張り込み
それらしい対象が来たら目立たないよう追跡して
人目につかない場所に連れ込んで事情聴取しようか
調査員は撒かれたらしいけど、まあなんとかなるだろう

ダガーを突きつけ、静かに恐怖を与えるように質問
教団の情報を教えて
出来るだけ多く、簡潔に
すぐに喋らないなら少しずつ痛い目見てもらおうか
手荒なことしても良いって言われたしね
頑張るね、痛いのが好きなのかな

はい、どーも
必要なことを聞き出せたら騒がれても面倒だし気絶させとく
大丈夫、きっと後で忘れさせてもらえるよ
痛みは残るかもしれないけど



(やっと来た)
 UDC組織から得た情報を頼りに、とある夜の街のバーに張り込んでいた鹿忍・由紀(余計者・f05760)は、店内に入ってきた男を見て心の中でぼやいた。
 男の風貌はあらかじめ聞いていた特徴とも合致する。彼が邪神教団と繋がりのある業者であり、今日このバーで取引が行われるという情報は間違いなかったようだ。
 由紀の目的は、彼から教団にまつわる情報を引き出すこと。
(調査員は撒かれたらしいけど、まあなんとかなるだろう)
 酒をあおるフリをしてターゲットを観察しながら、彼はポケットの中のダガーの感触を確かめる。

 少し経つと男の座っているテーブルに別の男が座り、何やら話し合いが始まる。
 二人の交渉は一時間ほどで終わり、いい条件を引き出せたらしい業者の男は機嫌良さげに席を立った。そのまま彼が店の外に出ていくのを見た由紀は、カウンターに勘定を置いて自らもその後を追う。
 時刻は夜更けで、相手は酒が入っている。シーフとしての技巧を身に付けた由紀にとって、気付かれないよう追跡を行うのは容易い事だった。

 やがて標的が人気のない狭い路地に入ったのを見ると、由紀は素早く距離を詰めると背後から男の襟首を掴んだ。
「がっ?! なんだテメェ……ッ?!」
 もがく男をそのまま人目につかない路地の奥まで連れ込み、首筋にダガーを突き付ける。
「教団の情報を教えて。出来るだけ多く、簡潔に」
「きょ、教団? いったい何だそりゃ?」
 何の話か分からないと困惑を露わにする男。だが由紀の眼にはそれが演技だと分かる。刃物をちらつかされた程度で簡単に口を割りはしない、ということか。
「すぐに喋らないなら少しずつ痛い目見てもらおうか。手荒なことしても良いって言われたしね」
 由紀は淡々とそう呟くと、苦痛が大きく、なおかつ"ひとつくらい無くなっても困らない所"を狙ってダガーを一閃する。肉を断つ感触と共に鮮血がしぶき、男がくぐもった悲鳴を上げる。
「ぐぅ……っ?!」
「頑張るね、痛いのが好きなのかな」
 興奮も緊張もなく、静かな調子で語りかけながら容赦なく相手を刻んでいく由紀。その振る舞いは、男に深い恐怖を与えるに十分なものだった。

「ま……待て、話すっ。話すからやめてくれっ」
 真っ青になった男がそう懇願を始めたところで、ようやく由紀はダガーを振るう手を止める。よっぽど脅しが効いたのか、それからの男は立て板に水を流すように、教団に関する情報を洗いざらい吐いた。
「はい、どーも」
 必要なことを聞き出した後は、騒がれても面倒だし、と男の後頭部をダガーの柄で叩いて気絶させる。
「とんだ悪夢だ、ぜ……」
「大丈夫、きっと後で忘れさせてもらえるよ。痛みは残るかもしれないけど」
 ぼやきながら意識を失った男の身柄をUDC組織に任せると、由紀はダガーに付いた血を拭いながらその場を後にする。

 一つ、また一つ。
 猟兵たちの掴んだ情報の糸は、邪神教団の喉元へと繋がりつつあった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『狂信の淑女』

POW   :    これぞ、我らが信仰の証
【自身が『異教徒』と判断した相手を消すため】【神への祈りを捧げ続けた両手に】【異教徒を焼き滅ぼす青い炎】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
SPD   :    ああ神よ、我らに愛の手を!
【彼女達の信仰する邪神によく似た姿】の霊を召喚する。これは【異教徒への天罰】や【審判の光】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    今こそ、生まれ変わるのです
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【神へとその命と魂を捧げんとする狂信者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
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 猟兵たちが複数の業者から引き出した情報を統合した結果、邪神教団が『白の王』の復活儀式を執り行っている場所は判明した。
 それは都市圏から遠く離れた山中にある、荘厳な造りの山荘だった。名義上はとある富豪の別荘ということになっているが、所有者は既に亡くなっている。名義だけが生きたまま、邪神教団の拠点として密かに改造されていたようだ。

 すぐさま準備を整え教団の拠点に乗り込んだ猟兵たちは、山荘の警備を突破してその最奥にある儀式場へと辿り着く。
 そこでは、身なりの良い格好をした女たちが、供物を積み上げた祭壇を中心にして、祭具を手に一心不乱に祈りを捧げている最中だった。

「我らが神の復活を妨げんとする異教徒の者ですか」
「『白の王』の再臨の時まで、あと僅か。邪魔はさせません」

 その瞳に狂信の輝きを宿し、猟兵と対峙した女たちはその手に青い炎を浮かべる。
 彼女らは他の教団員とは訳が違う。邪神に魂を捧げることでその恩寵を授かり、半ば邪神の眷属と化したオブリビオンである。

「ああ神よ、我らに力を! 我らの命と魂の全てを御身に捧げます!」

 死すらも恐れぬ覚悟を胸に、狂信の淑女たちは猟兵に襲いかかってきた。
フレミア・レイブラッド
何の為に神様を呼ぼうとしてるのかは解らないけど、悪いけど邪魔させて貰うわ。

先ずは【魅了の魔眼・快】で魅了を試してみるわ。普通の相手なら邪神の眷属でも虜にできるんだけど…狂信者だとどうかしらね…。

残った相手は【ブラッディフォール】で「灼熱の洞穴、白麗の氷狼」の「フェンリル」の力を使用(フレミアにフェンリルの耳や尻尾が付いて、フェンリルの双剣と拘束衣を着た人狼の姿へ変化)。
【白銀景色】で周囲を氷結させて姿を消すと同時に自身を強化し、そのまま敵を翻弄して双剣【怪力、早業、2回攻撃、残像】の一撃で次々仕留めて行くわ。
場合によっては【透剣氷狼】も使用。『グレイプニル』も解放するけど…裸になるのよね、コレ



「何の為に神様を呼ぼうとしてるのかは解らないけど、悪いけど邪魔させて貰うわ」
 押し寄せる狂信者たちを視界に捉え、フレミアが発動するのは【魅了の魔眼・快】。一般人であれば容易く虜にし、並の相手なら邪神の眷属であろうと隷属させるその力は、これまでの調査でも猛威を振るった通りだ。
「くぅっ……ぁ……っ!?」
 強烈な快楽に襲われた女たちの動きが止まる。一瞬、彼女たちはうっとりとした表情でフレミアを見つめるが――はっ、と我を取り戻して頭を振る。
「わ、我らが仕えるのは『白の王』のみです!」
 彼女たちは既に『白の王』に身も心も捧げている。魂に刻まれた狂信が、魅了の力を跳ね除けたようだ。

 しかし一時でも魔眼によって動きが止まってしまえば、それは戦場では大きな隙となる。その間にフレミアが発動させたのは【ブラッディ・フォール】――過去に討ったオブリビオンの力を利用するユーベルコードだ。
「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!』」
 白銀の人狼・フェンリルの力をその身に降ろしたフレミアの身体には狼の耳と尾が生え、身を纏うドレスは金色の拘束衣へ、武器は氷の刀身を持つ双剣へと変化する。
「あなた達の命、刈り取らせてもらうわ」
 その肢体から溢れ出す冷気が、儀式上の足場を氷結させ吹雪を起こす。屋内に顕現した季節外れの銀世界に狂信の淑女たちが戸惑っている隙に、フレミアは雪景色に溶け込むように姿を消した。
「これは一体……」
「異端者はどこに?!」
 青い炎で吹雪を振り払いながら敵を探す女たち。だが、ここは既にフレミアの領域にして狩場。彼女たちは既に罠にかかった獲物も同然。冬の魔力で自らを強化しながら、吹雪に紛れて敵の背後に忍び寄った人狼は、音もなく氷の双剣を振るう。
「きゃぁっ?!」
「っ、いつの間にっ!」
 悲鳴を上げて倒れ伏す女。仲間たちは悲鳴のした方に向けて一斉に蒼炎を放つが、既にフレミアはその場に残像だけを置いて姿を消している。そしてまた雪景色に姿を隠しながら一人、また一人と狂信者の命を刈り取っていくのだ。

 神出鬼没な人狼フレミアの戦法に翻弄される狂信の淑女たちは、苛立ちを顔に浮かべながら叫ぶ。
「何をしているのです! 我らが主の復活のため、まだ我々は斃れるわけにはいきません!」
 すると、確かに斃れたはずの女の骸が、雪原の中からゆらりと立ち上がる。その顔から表情は失われ、眼だけが狂信に染まって爛々と輝いている。
 死者や気絶者を狂信者に変えてかりそめの復活をもたらす、狂信の淑女のユーベルコード。その狂信を折り砕くか全滅させない限り、彼女たちは何度でも蘇るのだ。

「このままだと埒が明かないわね……」
 何度仕留めても起き上がってくる敵の能力を確認したフレミアは、やむを得まいとフェンリルの力を更に発動させる。
 その身を縛る拘束衣『グレイプニル』を解放することで加速する、ユーベルコード【透剣氷狼】――吹雪と一体となって戦場を駆ける人狼吸血姫の斬撃は、一呼吸のうちに無数の軌跡を描き、復活した狂信の淑女の肉体を微塵に切り刻んだ。
「な……っ?!」
 いかにユーベルコードと言えども、その肉体を消し去ってしまえば、もうそれ以上の復活は叶うまい。敵は何が起こっているのかさえ知覚できないまま、吹雪の中を駆ける微かな残像が、仲間を斬り捨てる様を認識するので精一杯だ。
 これほどの力。なぜフレミアが最初から使わなかったのかと言えば――
「……裸になるのよね、コレ」
 吹雪の領域が姿を隠してくれるのは幸いだった。拘束衣を脱ぎ捨て生まれたままの姿になったフレミアは、誰にも視認されることなく戦場を駆けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

メグレス・ラットマリッジ
人の世に人智を超えた存在は不要です、それに身を捧げる貴方達も同様に。
私は私達の身を守る為に脅威を狩らねばならない。

関係ないですが、彼女たちがあの異教徒に向ける目って苦手です。今の私もきっと同じ目をしているのでしょうけれど。

邪神の天罰……得体が知れないので距離を置いて戦いたいですね
遮蔽物に身を隠しつつ、隙を見てUCでの拘束と手斧の投擲で確実に数を減らしていきます

もし接近戦を挑む猟兵がいるならそちらを援護、頃合いを見て突入し乱戦に持ち込むのも良いでしょう。
この雷杖でマッシュポテトにしてやりますよ。


オリヴィア・ローゼンタール
狂信の徒……信仰を心の支えとすること自体に否やはありません
ですが、それを理由に他者を害するというのならば畜生にも劣る邪悪!

【トリニティ・エンハンス】【属性攻撃】【破魔】で聖槍に聖なる黄金の炎の魔力を纏い攻撃力を増大
信仰とは人の心を安んずるためのもの……異なる者を排斥するためのものではない!

【オーラ防御】【火炎耐性】で邪悪な青き炎を寄せ付けない
我が身を包む炎の加護よ、悪しき炎を遮り賜え――!

【怪力】を以って聖槍を縦横無尽に【なぎ払い】、有象無象をまとめて【吹き飛ばす】
一足先に骸の海へと還るがいい……すぐに邪神も同じところへ送ってやる

祭壇へ向けて聖槍を【槍投げ】【投擲】【串刺し】



「狂信の徒……信仰を心の支えとすること自体に否やはありません。ですが、それを理由に他者を害するというのならば畜生にも劣る邪悪!」
 破邪の聖槍を握りしめ、狂信の淑女たちの前に立ちはだかったオリヴィアは、その激しき怒りを聖なる黄金の炎と化す。闇を祓い邪悪を焼く炎の魔力は、オリヴィアの身体と聖槍を包み、その破壊力を増大させる。
「信仰とは人の心を安んずるためのもの……異なる者を排斥するためのものではない!」
 黄金の輝きを纏ったシスターは、邪神の信徒を討ち貫くべく吶喊する。

「異教徒め! 我らが信仰の証を見るがいい!」
 聖職者の装束を纏ったオリヴィアに露骨な嫌悪と敵意を見せた女たちは、神へと捧げ続けた祈りの成果――異教徒を焼き滅ぼす青い炎を放つ。人の身で分不相応な力を行使する代償は確実にその身を蝕むが、彼女たちがそれで臆することはない。
「燃え尽きなさいッ!!」
 一斉に放たれた蒼炎は巨大な炎の竜巻となってオリヴィアを包み込む――だが、正しき信仰を心に宿す、敬虔なる聖槍使いは動じない。
「我が身を包む炎の加護よ、悪しき炎を遮り賜え――!」
 祈りの言葉を唱えれば、彼女を包む金色の炎のオーラは輝きを増して邪悪を祓う。一度は炎に包まれたはずの身体には、火傷どころか服に焦げ跡ひとつない。
 オリヴィアはそのまま炎の渦を突き破り、驚愕する狂信者に肉迫する。そして、その清楚な容貌からは予想もつかない膂力を以って縦横無尽に聖槍を振るう。
「一足先に骸の海へと還るがいい……すぐに邪神も同じところへ送ってやる」
「そ、そんな……っきゃぁぁぁぁぁぁっ?!」
 黄金の穂先と炎が薙ぎ払う範囲にいた女たちは、まるで木っ端のように儀式場の端まで吹き飛ばされ、ピクリとも動かなくなった。

「おのれ、おのれおのれっ! 異教徒め、絶対に許さないわ!」
 自らの信仰の証である蒼炎を破られたことが衝撃だったのだろう、怒りに我を忘れた様子で狂信の淑女たちは叫ぶ。
「ああ神よ、我らに愛の手を!」
 その瞬間、今だ未完成のはずの儀式場の祭壇がカッ!! と輝きと放ち、その中から美しい女の上半身が姿を現す。
 まさか、もう邪神が復活したのか――警戒の度合いを強める猟兵たちだったが、そこに顕現したのは実体なき霊体。言うなれば邪神の影に過ぎない。それでも肌で感じられるその力は、狂信者の実力を遥かに上回っている。
「悪しき異教徒に、審判の光を!!」
 乞い願う信者たちの祈りに答えて、『白の王』の幻影は眩い純白の光を戦場に解き放った。

「くっ……!」
 オリヴィアは聖槍を盾のように掲げ、再び金色のオーラで身を守る。しかし邪神の幻影が放つ審判の光は、狂信者の蒼炎とは性質も威力も違う。じりじりと後退を余儀なくされ、このままでは押し切られる――そう危機感が脳裏をよぎった時だった。
「人の世に人智を超えた存在は不要です、それに身を捧げる貴方達も同様に」
 静かな宣告と共に、手枷・猿轡・ロープの三つの拘束具が狂信の淑女目掛けて放たれた。
「ぐむぅっ?!」
 祈りを捧げる手を、祝詞を唱える口を、そして身体を拘束された女は、蚯蚓のように地に這いつくばる。同時に、捧げられる祈りの途絶えた邪神の幻影が揺らぐ。
「私は私達の身を守る為に脅威を狩らねばならない」
 ユーベルコード【咎力封じ】によって降霊を封じた声の主はメグレス。敵の能力を警戒していた彼女は、距離を取ったまま遮蔽物に身を隠して機会を窺っていたのだ。

「よくも邪魔をっ!」
 怒りの眼差しを向ける狂信者に対し、メグレスはぽんと懐を叩くと、取り出した艶消しのフランキスカを投擲する。光沢を放たない黒の刃は、狙い過たずに相手の胸の中央を抉る。
(関係ないですが、彼女たちがあの異教徒に向ける目って苦手です。今の私もきっと同じ目をしているのでしょうけれど)
 敵の瞳の中に映る自分の姿をなるべく見ないようにしながら、懐を叩くたび何度でも出てくる手斧や新たな拘束具を次々と投げつける。
 遠距離からの攻撃や拘束に気を取られ、狂信者たちの隊列が乱れる。その隙を突くのはオリヴィア。
「悪しき幻影よ、去れ!」
 防御の構えから槍投げの構えに転じ、裂帛の気合と共に投じられた聖槍は黄金の光線のように戦場を奔り――邪神の幻影を貫き、儀式の祭壇へと深々と突き刺さった。

「祭壇が……!?」
 消えていく幻影と損傷した祭壇を見て、愕然とする狂信者たち。あまりのショックにつかの間のあいだ放心状態に陥った彼女たちを見て、頃合いと判断したメグレスも斧を置いて乱戦に突入する。
「マッシュポテトにしてやりますよ」
 取り出したのは雷杖。一般人の尋問に使ったのとは違う、紫電を纏う高出力モードでの一撃を、近くにいた女に思い切り叩きつける。
「ぎっ!?」
 短い悲鳴を上げて、焦げ臭いにおいを立てながら斃れる女。
 戦いの行方は着実に、猟兵たちの優位に傾きつつあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

村井・樹
「では、ここは引き下がりましょう。後は任せましたよ、『不良』」

とか言って、『紳士』の奴め
まあいい、ここが俺の仕事場だってのはわかってる
せいぜい、アイツが満足する程度には働いてやるよ

伏線回収を発動
ここはお前らの本拠地。だから、お前達が、ここの事をよく知ってるのは百も承知だ
だが、お前達が知ってるはずのものに、抵抗をするはずのないものに、突如牙でも剥かれたら何時も通りに振る舞っていられるか?

儀式上にある祭具やら、家具やら。そういうモンを鋼糸に変えて操って、相手の足を、手を取り、『フェイント、騙し討ち』で状況を混乱させてやる
その間に俺は、偽メメも操りながら『暗殺』をしかける

※プレ外の言動など大歓迎



「では、ここは引き下がりましょう。後は任せましたよ、『不良』」
 激化していく戦況を見極めていた樹は、そう言ってすっと目を瞑り――次に目を開いた時には、その人格はもう一人の彼のものに変わっていた。
「――とか言って、『紳士』の奴め。まあいい、ここが俺の仕事場だってのはわかってる」
 一つの身体に同居する相方にぼやきながらも、否はない様子で襟元を緩める彼。
 【代弁者】たる『紳士』が調査や交渉役なら、荒事は【執行者】たる『不良』の担当だ。その分担に不満はない。
「せいぜい、アイツが満足する程度には働いてやるよ」
 鋭く目を細めながら、樹は徒手のまま前線へと踏み出していく。

「どういうつもりですか? まさか、我々を侮るおつもりで……?」
 その手に武器を握らず、かといって魔法や秘術を使う様子もない樹の様子に、狂信の淑女たちは警戒の表情を浮かべる。
「だとすれば愚かなことです。まだ我々は負けていない、そして何よりここは我々の本拠地なのですよ!」
 狂信者の一人がそう言いながら儀式場に置かれていた祭具に手を伸ばす。本来は邪神復活のために温存すべきものだが、事ここに至ってはやむを得ないという判断か。
「ここには私達が常に最大の力を発揮できる仕込みが山程あります! この程度で勝ったと思わないことですね!」
 敵は確かに強いが、此方も手の内を出し切った訳ではない。まだ挽回は可能だと、教団の連中はそう思っているのだろう。

 ――だが樹は、そんな彼女たちの思い込みを否定する。
「ここはお前らの本拠地。だから、お前達が、ここの事をよく知ってるのは百も承知だ」
 探偵が謎の答えを説き明かす時のように、ひとつずつ相手に問い詰めるように。
「だが、お前達が知ってるはずのものに、抵抗をするはずのないものに、突如牙でも剥かれたら何時も通りに振る舞っていられるか?」
「何を言って――」
 こういうことだ、と。パチンと指を鳴らしながら彼が発動したユーベルコードは【伏線回収】。
 その瞬間、狂信者たちの手の中の祭具が、儀式場に配置されていた家具が、はらりと解けるように無数の鋼糸に変換された。
 彼が武器を手にしていなかった理由は、これだ。必要がないから――武器なら最初から、戦場のそこら中にあったのだ。

「な、ぁ……!?」
 突然の変化に思考と判断が追いつかない間に、鋼糸が狂信者たちの四肢に絡みつく。もはやこの戦場は彼女たちのホームグラウンドでは無くなっていた。
「いくぞ偽メメ」
 混乱に拍車のかかった敵陣内へと、UDCを模したからくり人形の「メメ君(偽)」と共に飛び込む樹。近くを漂っていた鋼糸をひょいと指先で手繰ると、近くにいた女の首にすれ違いざまにそれを絡め。
「ぁ……ぐ……っ!」
 悲鳴すら上げさせず、鮮やかな手並みで標的を絞り殺す。その一方ではメメ君(偽)が、縛り上げられた女の頸動脈を鉤爪で掻き切っていた。
 乱戦と混乱に紛れての暗殺。戦場を掻き乱した『不良』は一人、また一人と、静かに狂信の徒を屠っていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

波狼・拓哉
…多分あれ自分たちの死体も使って最後無理矢理召喚するやつだな?いやまあ気付けてもどうしようもないんだけど。
それじゃあ、狂気を狂気で塗潰そうか?化け咆えなミミック。爆破しな。ついでに死体を吹き飛ばして再利用できない様に出来そうならやっといて?んじゃあ後は砲台としてよろしく。
自分は衝撃波を込め属性付与した弾で霊とか狂信者とか撃ってサポートに。近づいたら本体はやられるから近づかないように地形を利用しつつ目立たたないように行動しとこう。…あの青い炎は衝撃波で散らしたり出来ないかな?武器落としの要領で狙ってみたりするかー。
(アドリブ絡み歓迎)



「……多分あれ自分たちの死体も使って最後無理矢理召喚するやつだな? いやまあ気付けてもどうしようもないんだけど」
 ここまでの戦いで狂信の淑女たちの振る舞いを観察していた拓哉は、この手の連中にありがちな末路と悪あがきを想像して溜め息を吐く。
 儀式そのものを完全に阻止する方策は見いだせなかった。ならばこの場に立つ猟兵の使命は、教団を殲滅して儀式の完全な成功を阻止すること。
「それじゃあ、狂気を狂気で塗潰そうか? 化け咆えなミミック」
 彼の呼びかけに応えて、傍らのミミックが変貌していく。平時の箱型よりも遥かに巨大な、威容を誇る神話の怪異――龍に。

「っ、ドラゴン……?! いいえ、我らの神は龍ごときに屈しない!」
「そのような異端の獣、焼き滅ぼしてくれます!」
 最初こそ怯んだものの、すぐに狂信で恐怖を塗りつぶした女たちは、再びその手に青い炎を燃やす。そんな彼女たちに向かって、拓哉がミミックに命じることは一つ。
「爆破しな」
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!」
 戦場全体をぐらぐらと揺さぶるような、凄まじい咆哮が龍の口から放たれる。その直後、咆哮をもろに浴びた狂信者の身体が爆発する。
「きゃぁぁぁぁぁっ?!」
 爆発は当人だけではなく、その周囲にいた仲間まで巻き込んで吹き飛ばしていく。この"爆発する咆哮"こそが龍化したミミックの能力――だが、真の恐ろしさはその後にある。
「な、なにこれ……頭に、何かが流れ込んできて……っ!」
 辛くも爆発から生き延びた者は、頭を抱えて床をのたうち回る。その目は異様に血走り、表情はとても正気のものではない。
 彼女たちは咆哮を浴びたことでミミックとの精神的な"繋がり"を得てしまったのだ。憑主である拓哉にさえその全容を理解できない、未知なる怪異との繋がり――それは人智を超えた狂気の入口でしかない。
 拓哉は言った、狂気を狂気で塗潰そう、と。その宣言通り不定の狂気に陥った女たちに向けて再度の咆哮が放たれれば、爆風が跡形もなく彼女らを消し飛ばす。

「この、化物めッ!」
 残された女たちは恐怖と怒りを同時に浮かべながら、ミミックに青い炎の攻撃を集中させる。させじと拓哉は属性を付与した弾丸を中空で炸裂させ、衝撃波で炎を散らす。
「んじゃあ後は砲台としてよろしく」
 彼はミミックにそう言い残すと、龍に敵の注意が向いているのを良いことに、自身は目立たないよう破壊された儀式場の瓦礫に隠れた。
 指示通りミミックが青い炎を浴びながらも派手に咆哮を撒き散らしている間に――龍への攻撃に必死になって視野が狭まっている女の横顔に照準を合わせ。
「じゃあな」
 放たれた弾丸は狙い通りに敵陣の中央で衝撃波を放ち、その隊列を乱させ。その直後にひときわ激しく轟いたミミックの咆哮が、狂信者の群れを吹き飛ばしていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

トレーズ・ヘマタイト
※アドリブ自由

手遅れかはわからんが、どちらにせよやることは変わらんな

選択UCで装備強化、サンクとユイット装備のドゥーズに空中から【援護射撃】をさせつつ、膝上まで隠れるように煙幕をばらまかせる

自分は煙に隠れ地面を音もなく這い、霊は黒剣の【生命力吸収】で倒し、信者は白剣の雷【属性攻撃】で感電させ、その隙に刻印から道具を出して拘束し殺さず気絶させず戦闘不能にしていく

他の猟兵との戦闘で死亡した敵は取り込みつつ、ある程度したならば拘束した敵を端の方に固め、【呪詛】の結界で覆う、必要ならば刻印から水や雷の魔石なども出し媒介にして強化する

邪神召喚時の余波からの防御と、信者の魂を贄に邪神強化を防ぐためだな

以上



「手遅れかはわからんが、どちらにせよやることは変わらんな」
 トレーズ・ヘマタイト(骸喰らい・f05071)はそう言って、自らの血を代償に【ブラッド・ガイスト】を発動しながら、遠隔操作するガイノイド・ドゥーズに指示を出す。ふわりと音もなく空へと舞い上がったドゥーズは、搭載された煙幕散布機構を起動。膝上まで隠れるような重い煙の層が、戦場全域にばらまかれる。

「煙幕……? 一体何のつもりで……っく!」
 狂信の淑女たちがその行動を理解する間もなく、上空より激しい銃声と共に銃弾の嵐が降り注ぐ。煙幕の散布を終えたドゥーズによる、大型機械腕・ユイットに内蔵された機関銃の制圧射撃である。
 煙幕に次いでの弾幕。敵はすぐさま思考を切り替え、まずは目の前の機械人形を撃ち墜とすことを優先する。
「異教の技術にて作られし機械よ。我らが炎で浄化してくれましょう」
 敵対するすべてを『異教徒』と認定する彼女らが放つ青い炎。狂信の力を熱量に代えた炎弾を、ドゥーズは多目的飛行ユニット・サンクに搭載された盾でガードしながら飛び回る。
 重力制御と推進器を併用したサンクは、UDCアースの一般的な飛行機械とは比較にならない三次元機動を可能とする。不規則な挙動で炎弾を躱しつつ銃撃を続けるドゥーズに、歯噛みする狂信者たち。
 しかしドゥーズの目的は彼女らの撃破ではない。敵の注意を引きつけ、トレーズが動きやすいよう援護を行うことだ。

「上出来だな」
 ばらまかれた煙幕に隠れ、ブラックタールの肉体を活かして音もなく地を這うトレーズ。悟られることなく敵の足元に肉薄した彼の触腕には、災魔の魂を封入した「白剣」が握られている。
 封入した魂によって様々な属性力が付与される白剣の、現在の属性は雷。バチッと空気が爆ぜる音と共に刀身より迸った電流が、狂信者の肉体を感電させた。
「ぎゃっ!?」
 短い悲鳴を上げて倒れ伏す女。まだ生きてはいるようだが、意識はない。トレーズはすかさず体内の刻印改から道具を取り出し、手早く拘束する。
「今、いったい何が?」
 狂信者たちは仲間が倒れたことは分かるが、煙幕に紛れたトレーズの所在にまでは気付かない。煙に隠れた敵がいると、想定するのが精々だ。見えない敵にまごついている隙に、トレーズは無音のまま戦場を這い回り、次々に敵を戦闘不能にしていく。

「こんな所か」
 ある程度の数を撃破したところで、拘束した敵を戦場の端に集め、呪詛の結界を展開。邪神召喚時に予想される余波から、気絶した信者を防御する措置を取る。
 それは単なる人道的な配慮ではない。殺害ではなく気絶に留めたのも含め、信者の命や魂を贄に邪神が強化されるのを防ぐための措置だ。
「召喚自体が防げんとしても、打てる限りの手は打っておこう」
 刻印から取り出した魔石で結界を強化した次は、猟兵との戦闘で死亡した敵の骸を取り込みに向かうトレーズ。邪神の贄となる可能性のあるものは一つでも減らしておく――戦局がすでに猟兵の優勢で固まった現状、彼の思考は"次"を見据えていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

鹿忍・由紀
こんな山中に隠れてまで大変だね
おかげで周りを気にせず戦えるから助かったよ
まあ、いつも大して気にしてないんだけど

炎もまともに喰らえばまあまあ堪えそうだ
距離を取って戦おうか
儀式場にまとまってくれてるから追い込みやすいね
広い場所だとちゃんと狙わなくちゃいけないけど、この場所から撃てば当たるでしょ
ついでに祭壇も祭具もめちゃくちゃにしてあげるよ
祭壇を壊すことで錯乱させよう
場を乱せたら見切りで敵の動きを確認しつつ削りやすそうなところに重点的に影雨を降らせる

ほらほら、ちゃんと祈らないとアンタ達の神も復活できないよ
祭壇ももう見る影もないけどね



「こんな山中に隠れてまで大変だね。おかげで周りを気にせず戦えるから助かったよ」
 気だるげな口調で軽口を叩きながら、破魔のまじないを施したダガーを手に戦場を駆けるのは由紀。
「まあ、いつも大して気にしてないんだけど」
 投じた短剣はひゅうと大気を切り裂いて、狙い通りに狂信者の胸を貫く。ここまでの戦いで既に邪神教団は壊滅状態となり、生き残っているのは僅かな残党ばかりだ。

「我らの悲願まで、あと少しだったのに……なぜこんな事に……」
「お祈りが足りなかったんじゃない? 信じる者は救われる、って言うよね」
「黙れッ!!」
 由紀の軽口に激昂した女たちは、めらめらと両手に燃え上がる青い炎を滾らせる。まともにあれを喰らえばまあまあ堪えそうだと、避けやすいよう距離を取ってダガーによる投擲で戦う由紀。
「貫け」
 魔力により影で複製されたダガーによる、息吐く間もない連続投射。黒い雨のように降り注ぐ刃が、敵の隊列を乱す。
「広い場所だとちゃんと狙わなくちゃいけないけど、この場所から撃てば当たるでしょ」
 生き残った教団員は儀式場の中央に纏まっている。せめて儀式だけは維持しようという魂胆のようだが、由紀にとっては追い込むまでもなく良い的だ。

「くっ……ですが我らの命にかえて、神の復活は成し遂げてみせます……!」
 青い炎を纏った両手で影のダガーを打ち払いながら、反撃の機を窺う狂信者。この期に及んででも彼女たちはまだ、自らの使命を諦めてはいない。
 だったら、と由紀は攻撃の矛先を変える。影のダガーを再び複製し、その狙いを一点に。放つ先は狂信者たちではなく、その奥の――。
「ついでに祭壇も祭具もめちゃくちゃにしてあげるよ」
「っ! やっ、やめ――!!」
 女が叫び終わるよりも速く、再度放たれた【影雨】は、儀式場に配置されていた祭具や祭壇へ次々と襲いかかる。
 既に聖槍の直撃を受けて半壊状態にあった祭壇に、無数の破魔のダガーが突き刺されば――ピシリ、ピシリと亀裂が全体へと広がり、音を立てて砕け散っていく。

「そ……そんな……」
 崩壊した祭壇を見て、戦闘中であることも忘れて呆然と立ち尽くす狂信者たち。
 くるくると手元でダガーを弄びながら、由紀は変わらぬ軽口を叩く。
「ほらほら、ちゃんと祈らないとアンタ達の神も復活できないよ。祭壇ももう見る影もないけどね」
「―――ッ!! お前が、お前がぁァァァァァッ!!」
 それを破壊した当の本人に言われ、正気を完全に失った女たちは錯乱状態で襲いかかる。だが、怒りに我を忘れた攻撃ほど単調で見切りやすいものはない。
 両手の炎を放つのではなく、直接殴りかかってきた女たちの拳をひょいと躱しながら、由紀はもう一度影のダガーを複製して。
「はい、これで終わり」
 無防備な彼女たちの頭上から、集中させた【影雨】を叩き込んだ。

 ざぁっと降り注いだ黒い刃の雨が止んだ時、そこに立っていた者は一人だけ。
 他の狂信者は皆血まみれで倒れ伏し、針鼠のようにダガーの突き刺さった彼女も、もう長くないと分かる。
 教団の野望はここに潰えた。誰の眼にもそれは明らかだった。
 ――だが。

「まだ……まだです……まだ私は諦めない……」
 焦点のあっていない眼で、無惨なものとなった儀式場を見渡し。うわ言のように呟きながら、女はその手に再び炎を宿す。
「これこそ我が信仰の証……『白の王』よ、今こそ我らの全てを捧げます!!」
 激しく燃え上がった炎は彼女の両手だけではなく全身を包み込み、同時に斃れていた女たちの躯が炎上する。その躯は瞬く間に焼き尽くされ、遺された灰と塵が、青い炎と共に破壊された祭壇へと集まっていく。
「往生際が悪いね。往生してるけど」
 やれやれと言いたげに由紀が呟いた直後――儀式場に、白き光が満ちた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『白の王』

POW   :    魔性
【認識を狂わせ、同士討ちを誘発する催眠の声】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    神性
【体から分離した、無数の獣による突撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を眷属で埋め尽くし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    創世
全身を【燃やし、周囲一帯を白い炎の荒れ狂う世界】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

 ――それは、狂信に殉じた女たちの祈りが起こした、一つの奇跡だったのだろう。
 例えそれが邪であり、悲劇しか起こさない奇跡だったとしても。

 破壊された儀式場の祭壇に、散っていった狂信者の灰と塵と青い炎が集う。
 一つの巨大な篝火となった炎の色は、青から白へ。凄まじい光と熱量に、思わず猟兵たちが目を背けかけたその時――白炎の中から"それ"は顕現した。

『―――♪ ――♫ ――♪』

 透き通るように美しく、心を妖しくざわつかせる、妙なる歌声が響く。
 様々な獣や植物の根が絡み合ったかのような異形。その頂点で歌うのは、目を奪われるほどに美しい白い女の上半身。女の歌声に合わせて獣たちは咆哮を上げ、その身から燃え上がる白い炎が周囲に広がっていく。

 これが『白の王』。教団が復活させんとした、知性剥ぎ取られし太陽と正義の神。
 だが、その復活が不完全であったことは疑いようもない。
 降臨した神はその場から動こうとせず、ただ歌うばかり。その様子から知性や目的意識は感じられず、そこに居るだけのように見える。
 加えて猟兵たちによって破壊された儀式場に、贄になることを阻止された多くの信者。十分なパワーソースを得ないままの復活では力も万全とは言えないだろう。

 ――だがそれでもなお、凄まじい重圧を猟兵たちは感じていた。
 弱体化し、知性を失ったままでも、それは紛れもなく神。ただそこに存在するだけで周囲の者を狂わせ、世界を獣と炎で蹂躙していく。その無秩序な狂気と破壊に、おそらく際限は無いだろう。

 一刻も早く、彼女を骸の海に還さねばならない。
 猟兵たちは決意と共に『白の王』へと挑む。
村井・樹
あれが、白の王
先の女達があれに心惹かれる事、少しは理解してやるよ
最も、あれがもっと完璧で最上の存在だったら、の話だ
あの状態のあれは、ただの質の悪い害獣だ
だから、駆除させてもらう

存在証明を誇示
眷属共を、俺のユーベルコードで引きつけてやる
更に、俺は『盾受け、オーラ防御』で守りを固め、『ロープワーク』で眷属の動きを封じ、主との合流を妨げよう

お前は、たった一人で存在している神じゃない
お前のその強さ、神性は、頼もしい眷属が、側にいてこそ発揮される

お前を守る盾が、全て削げ落ちたらどうする?
お前をお前たらしめる足場が、皆崩れ落ちたら?
神なるものは、どこまで地に落ちる?


※プレ外の言動、他猟兵との連携等大歓迎


メグレス・ラットマリッジ
死に際の祈りが奇跡を起こしましたか。
しかし、召喚されたのはガワだけの白痴だから救われない。
……何が嫌かって、存在するだけでも格の違いを思い知らされるってとこですよ。身を脅かす隣人と、共存はあり得ない!

私は恐れ知らずな年頃ですが神聖な物は浄化されそうでちょっと……。
アレに本能的な恐怖を感じているので本体は任せて眷属の相手をします。
武具を使って捌きつつ、数が集まってきたらUCを使い一網打尽、本体の戦闘力の強化を阻止してやりますよ。

余裕があれば本体に挑みかかる猟兵に自分の帽子を預けてみたり
見た目通りの曰く付きですが、込められた呪いが畏れみたいなのを相殺してくれる……かもしれません。

アレンジ歓迎です。


トレーズ・ヘマタイト
※アドリブ自由

贄を減らす意味は有ったと思うがそれでこの重圧か、結界も何処まで耐えれるかわからん、全力でいかねばな

ユイットとシスを装着した魔導鎧ヌフを装備
選択UC起動、ユイットの圧縮空気砲にUCの霧を充填、敵の獣及び本体をシスで攻撃しながら結界を守りつつタイミングを見計らう

味方が敵本体から離れたタイミングで敵に突撃、魔性の催眠は【呪詛】と呪【属性攻撃】で対抗
黒白大剣による【生命力吸収】とUCによる速度を乗せた斬撃、その傷口にユイットの圧縮空気砲で高密度の緋晶の霧を撃ち込み内部から心身を焼き尽くす

肉体はまだしも精神が焼かれるのは防ぐことも耐えることも難しいと思うが、何処までダメージになるか

以上


波狼・拓哉
予想通りと。・・・まあ、弱体化が大きこと願いますかね。
取り敢えずあの獣が邪魔だな。・・・全部燃やすか。ミミックを掴んで投擲。さあ、地形ごと化け焦がしな・・・!
その白い炎とうちのミミックの炎・・・性質は全く逆だけどどっちが勝つかな?あ、無差別だから周りの人は気をつけてね?
自分自身は衝撃波を込めた弾で突撃してきた獣を撃ったり、催眠かかった味方に気付けとして弱めの衝撃波撃ったりとサポートに。
地形を利用して目立たないようにもしておこうかな。
(アドリブ絡み歓迎)



『―――♪』
 燃え盛る白炎の中で、無知なままに歌い奏でる『白の王』。心狂わす美声と共に、純白の獣たちが彼女の身体から分離していく。
 咆哮を上げながら戦場を埋め尽くしていくそれは、知性なき主に代わって敵を屠る剣であり、主を守護する防壁でもあった。

「死に際の祈りが奇跡を起こしましたか。しかし、召喚されたのはガワだけの白痴だから救われない」
 その光景を目の当たりにしたメグレスは、心底から感じた嫌悪感を露わに呟く。
「……何が嫌かって、存在するだけでも格の違いを思い知らされるってとこですよ。身を脅かす隣人と、共存はあり得ない!」
 そして向こうもそれを望みはすまい。異形の神から感じる本能的な恐怖を堪えながら、雷杖をしっかりと握りしめる。

「あれが、白の王……先の女達があれに心惹かれる事、少しは理解してやるよ」
 異形でありながらも神々しいその姿に、目を細めるのは『不良』の樹。最もそれは、あれがもっと完璧で最上の存在だったら、の話だ。
「あの状態のあれは、ただの質の悪い害獣だ。だから、駆除させてもらう」
 知性なき堕ちた邪神を、再び闇に墜とすために。鋼糸の束を手に彼は宣言する。

『ウオオオオオオオオオオンッ!!!!』
 猟兵たちの殺気を感じ取った獣たちが、一斉に突撃を開始する。鋭い爪牙を剥き出しにして駆けるその様は、まるで一塊の白い波濤のよう。
「予想通りと。……まあ、弱体化が大きことを願いますかね」
 地響きを立てて迫る獣の群れに対し、拓哉はトリガーを引く。着弾と同時に炸裂した衝撃波が数匹の獣を吹き飛ばすが、それだけでは群れの突撃は止まらない。
「贄を減らす意味は有ったと思うがそれでこの重圧か、結界も何処まで耐えれるかわからん、全力でいかねばな」
 気絶した教団員を閉じ込めた結界を背にかばいながら、トレーズは機械腕と大型火砲を装着した黒魔導鎧・ヌフをその身に纏う。
 そしてユーベルコード【緋晶炎霧】を起動すれば、彼の肉体からは緋色に輝く霧が溢れ出す。触れたもの全ての心身を焼く緋晶の霧を、機械腕に搭載された圧縮空気砲へ充填しながら、迫る獣に対しては火砲・シスによる迎撃を開始する。
 三連装の砲身が同時に火を噴き、超重威力の砲弾が獣を消し飛ばす。しかし損害をまるで気に留めることなく、獣たちは後退なき突撃を敢行する。

「取り敢えずあの獣が邪魔だな。……全部燃やすか」
 そう言っておもむろにミミックを掴み上げる拓哉。だが彼がそれを投げつけるよりも、獣の群れの接触が速い。
 咄嗟に立ち塞がったのはトレーズ。魔導鎧の重厚な装甲が爪牙を防ぎ、身に纏う緋晶の霧が獣を焼き滅ぼす。だが、後から後から押し寄せてくる獣の突撃に対してはそれが手一杯で、反撃に転じる余裕がない。
「なんとか一網打尽にできたらいいんですけど」
 同じように押し寄せてきた獣を、雷杖を振り回して捌きながらメグレスがぼやく。
 このまま戦場に『白の王』の眷属たる獣が増え続ければ、主である『白の王』の戦闘力も強化されていく。そればかりか本体に近付くことさえできないだろう。

「なら俺が、眷属共を引きつけてやる」
 各自が獣への対処に手を焼かされる中で、猟兵たちにそう呼びかけたのは樹だった。それは仲間が反撃に転じるチャンスを作るために、自らが囮になるということ。
 戦場を埋め尽くした獣の群れに向かって、彼は静かに、だが力強く宣言した。
「【私】【俺】【僕】は、ここに居る、生きている」
 Iのために戦う多重人格者、『村井・樹』の【存在証明】。その瞬間、濃密な血の匂いを嗅ぎつけたかのように、全ての獣が一斉に彼を見た。
「さあ、来な」
『グルルルルルルルルッ!!』
 くいと手招きして挑発する樹へと殺到する獣。数え切れないほどの爪が彼を引き裂き、無数の牙が喰らいつく。
 近くにあった瓦礫を盾にし、その身をオーラで守っても、とても防ぎ切れるものではない。たちまち彼の身体は朱に染まっていくが、その眼光は鋭いまま――まっすぐに『白の王』を見据えている。

「お前は、たった一人で存在している神じゃない。お前のその強さ、神性は、頼もしい眷属が、側にいてこそ発揮される」
 理解する知性もないことを知ったうえで、あえて樹は言う。分離した眷属の群れが全て周囲に集まったタイミングを見計らって鋼糸を手繰ると、いつの間にか戦場に巡らされていた糸がピンと張り詰め、巨大なクモの巣状の罠を張る。
「お前を守る盾が、全て削げ落ちたらどうする? お前をお前たらしめる足場が、皆崩れ落ちたら? 神なるものは、どこまで地に落ちる?」
 自分自身をエサにした大仕掛け。それにまんまと引っ掛かった獣たちは、絡みつく糸に動きを封じられ、もはや爪牙を振るうことも、主の下に戻ることもできない。

 樹が体を張って作り上げた好機を、無駄にする猟兵たちではない。
 バチバチと激しく放電する雷杖を構えて、動けない眷属の群れへと肉迫するのはメグレス。それと同時に、拓哉は一度は機会を逸したミミックを今度こそ投擲。
 仲間たちの攻撃に巻き込まれないよう、樹は鋼糸をロープのように巻き上げ、群れの中心から離脱する。
「ゴートゥヘル!!」
 戦いでの流血を雷杖に注ぎ込み、発電量を増して放つメグレスの【地縫雷撃】。地を這う電撃はのたうつ蛇のように獣たちに襲いかかり、神経の髄まで痺れさせる。
 そこに巨大な炎の精へと化けたミミックが、凄まじい熱波を伴って着弾する。
「さあ、地形ごと化け焦がしな……! あ、無差別だから周りの人は気をつけてね?」
 言われるまでもなくメグレスは退避。相手構わずに動き回るミミックは、たまたま近くにいた獣から順に、その熱量を以て焼き尽くしていく。

 ――雷撃と炎精が暴れ回った後には、獣の姿はもはや塵一つ残ってはいなかった。
 眷属の消滅と同時に『白の王』から放たれる白炎の勢いが弱まる。その身から溢れる神々しいプレッシャーも、幾分か弱まったように感じる。
「ここが勝負所か」
 再び眷属を分離される前に、本体に攻撃を叩き込む。そう決意を固めたトレーズにすっと近寄るのはメグレス。
「そうですね。ではこれを預けます」
 彼女はトレーズに、自分がいつも被っているボロボロのフェルト帽を被せる。
「……これは?」
「私は恐れ知らずな年頃ですが神聖な物は浄化されそうでちょっと……」
 自分では『白の王』に挑めないメグレスは、代わりに自らの防具を彼に託す。
「見た目通りの曰く付きですが、込められた呪いが畏れみたいなのを相殺してくれる……かもしれません」
「かも、か。期待しておこう」
 ぎゅっと目深に帽子を被り直し、緋霧の残像を発して飛翔するトレーズ。その手に構えるのは黒と白の剣を合体させた、災魔を喰らい断つ大剣。

『―――♪ ――♫』
 攻撃のために『白の王』に近付くことは、彼女の放つ魔性の歌声をはっきりと聞いてしまうことでもある。その調べはトレーズの認識を狂わせ、狂気へと誘う。
 例え弱体化していても邪神の持つ精神汚染の力は凄まじい。だが、トレーズの操る呪詛とメグレスの帽子の呪詛耐性が、彼を正気に繋ぎ止めた。
「長くは保たんだろうが、十分だ」
 最大速度で『白の王』に肉迫し、その速度を乗せた大剣による渾身の斬撃を放つ。黒白の刃が白炎を切り払い、邪神の肉体を深々と斬り裂く。
『――!!』
 これまでただ歌うだけだった『白の王』が、初めて反応を見せた。絹を裂くような悲鳴が戦場に響き渡り、猟兵たちの精神を揺さぶる。
 距離を取っていた者はまだいい。だが、それを間近で受けたトレーズは――。
「不味い、な……」
 大剣が手から落ち、意識が闇に沈んでいく。その瞳は狂気に濁り、目に映るすべてが敵のように思えてくる。
 敵は殺さなければ。全て、全て。トレーズがその昏い思考を実行に移しかけたその時――。
「おいおい、しっかり!」
 ミミックの投擲から目立たないよう隠れていた拓哉が、威力を弱めた衝撃弾を放つ。
 ドンッ、と体を揺さぶる衝撃ではっと我に返ったトレーズは、残された気力を振り絞って機械腕・ユイットを動かした。
「……肉体はまだしも精神が焼かれるのは防ぐことも耐えることも難しいと思うが、何処までダメージになるか」
 ユイットに搭載された圧縮空気砲で撃ち込むのは、高密度に圧縮された緋晶の霧の砲弾。たった今刻んだばかりの傷口に着弾したそれは、邪神の肉体の内部から心身を焼き尽くしていく。

「――――!!!!」
 邪神の口から苦悶に満ちた絶叫が零れる。今度こそ我を失う前に、全速力で退避していくトレーズ。そこに入れ替わるように飛び掛かったのは、炎精のミミック。
「その白い炎とうちのミミックの炎……性質は全く逆だけどどっちが勝つかな?」
 激突するミミックの炎と『白の王』の白炎。だが万全な状態であればまだしも、眷属を失い心身にダメージを負った今の邪神に、それを防ぎ止めるだけの力は無い。
 悲痛な悲鳴を上げながら、邪神の肉体は怪異の炎に焼き焦がされていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

オリヴィア・ローゼンタール
この圧倒的な重圧……確かにかつては偉大なるものだったのでしょう……
だが、破壊と狂気を撒き散らす邪神と化した以上、世界に存在させるわけにはいかない!

【転身・炎冠宰相】で翼を具えた真の姿へ変身
万魔穿つ炎の槍にて、魔性へと堕ちしその身を骸の海へ還す!

【オーラ防御】【呪詛耐性】で聖なる炎のオーラを纏い抵抗
精神が揺さぶられる……!
ただ言葉を発するだけでこれほどの呪いを齎すとは……!

【属性攻撃】【破魔】【全力魔法】で聖槍に纏う炎を強大化
【怪力】を以って振るい立ち塞がる獣を【なぎ払い】、本体と思しき女性を叩き斬る
歪み果てた太陽と正義よ、誰よりもその光を求める世界の者として、その払暁は赦さない!
落陽の時だ!


フレミア・レイブラッド
アレが白の王なのね…ただ歌うだけの無害な神様なら良かったのだけど…当然、そうもいかないわね。
無理矢理呼び出されたところで悪いけど、葬らせて貰うわ!

【吸血姫の覚醒】で真の姿解放。
自身や周囲の猟兵を【念動力】の膜で覆い魔性の効果を受けない様にし、UCで得た速度、【残像】と膂力を活かして敵の獣を叩き潰しながら超高速で接近。
氷の魔力【属性攻撃】を纏った魔槍【怪力、早業、串刺し】による連撃や膨大な魔力を用いた魔力弾による攻撃等を加えて行き、最後は全魔力を集中した【神槍グングニル】で消し飛ばしてあげる!

さぁ、神様。神殺しの槍の威力、受けてみると良いわ!

※アドリブ等歓迎


鹿忍・由紀
あーあ、面倒くさそうなのが出てきたな
祈る者達がいなくなってから出てくるなんて、神様って慈悲深いよね

見切りと絶影の高速移動で
敵の攻撃を回避しつつ接近
避けきれない邪魔な動物は
蹴り飛ばしたら切り捨てたり

白の王に肉薄したら歌えなくなるように喉を狙って斬りつける
二回攻撃で傷口を抉って追撃も
攻撃の後はすぐに逃げ足で距離を取り相手の出方を窺う

隙を見計らってヒットアンドアウェイ
逃げると見せかけてのフェイントからのカウンターを織り交ぜて錯乱させる
簡単に引っかかってくれるね
神様だってのに知性を奪われて不憫なもんだね
付き合わされてる動物達も災難だ

そろそろ帰りたくなってきたんじゃない?
今度はゆっくり眠りなよ



「アレが白の王なのね……ただ歌うだけの無害な神様なら良かったのだけど……当然、そうもいかないわね」
 油断なく魔槍を構えながら、フレミアは『白の王』の動静を窺う。猟兵たちの攻勢によって重傷を負った邪神は、歌と悲鳴ばかりを紡いでいたその口から、初めて意味のある言葉を発した。
『――イタ、イ』
 知性を失おうとも本能的に理解できる、生命の危機。ここに至ってようやく「生存」という目的を得た『白の王』は、自らの身を護る新たな眷属を創造する。
 地を駆ける狼、毒を持つ蛇、翼を広げる鳥――多種多彩な生態を持つ獣たちが、再び戦場に満ち溢れていく。

「この圧倒的な重圧……確かにかつては偉大なるものだったのでしょう……だが、破壊と狂気を撒き散らす邪神と化した以上、世界に存在させるわけにはいかない!」
 再び神気を増していく『白の王』に対して、オリヴィアは湧き上がる畏怖の念を振り払い、毅然たる態度で告げると真の姿を解き放つ。
「天来せよ、我が守護天使。王冠を守護する炎の御柱よ。万魔穿つ炎の槍、不滅の聖鎧、そして天翔ける翼を与え賜え――!」
 【転身・炎冠宰相】――金色の炎に包まれたオリヴィアは、次の瞬間には純白の翼を備え、その身に白銀の聖鎧を纏っていた。彼女の変身に伴って、手にした聖槍も黄金の炎を纏った炎の槍へと変化している。
「万魔穿つ炎の槍にて、魔性へと堕ちしその身を骸の海へ還す!」
 ばさりと翼を広げば、その身はまるで一本の白金の火矢のように翔んだ。

『――コナイ、デ!』
 その時『白の王』から発せられたのは、まるで子供のように幼稚な拒絶の言葉。その魔性の声はさざ波のように戦場に広がっていき、猟兵たちの心をかき乱す。
「精神が揺さぶられる……! ただ言葉を発するだけでこれほどの呪いを齎すとは……!」
 オリヴィアは聖なる炎のオーラを聖鎧の上から纏い、魔性の声に抵抗する。だがそれでも尚邪神の狂気は凄まじく、雷に打たれたように白翼の羽ばたきが止まる。
 そこに間髪入れず、眷属の大群が突撃を仕掛ける。主を守るために我が身を顧みず、決死の勢いで襲い掛かってくる獣たちを、炎の聖槍で薙ぎ払うオリヴィア。
 だが、十の獣を焼き払っても、次の瞬間には二十の獣が彼女に肉迫し牙を剥く。その間も『白の王』の拒絶の言葉は止むことはなく、肉体と精神の両方をじわじわと追い詰められていく実感に、オリヴィアの額から一筋の汗がつたう。

 ――その時、聖槍を振るうオリヴィアの肩を、ぽんと誰かの手が叩いた。
「力を貸すわ」
 手の主はフレミア。だが、先刻までの彼女とは様子が違う。その瞳は爛々と真紅に輝き、背中には吸血鬼を思わす四対の真紅の翼が。何よりその身から溢れ出す爆発的な魔力と17、8歳程まで成長した外見が、飛躍的な力の増大を物語っている。
 オリヴィアと同様、フレミアも真の姿を解放したのだ。その血に眠る全ての力を目覚めさせる【吸血姫の覚醒】によって。
 白銀の天使と並び立った真紅の吸血姫は、自分たちの周囲をドーム状の念動力の膜で覆う。強固な思念の力によって張られた障壁は、獣の群れの進撃を阻むのみならず、邪神が発する魔性の声から二人の精神を防御した。
「――皮肉なものですね」
「あら、不本意?」
 同じダンピールという種族ながら、彼女たちの生き様は正反対。吸血鬼を狩る吸血鬼として清廉の道を征くオリヴィアと、誇り高く気まぐれで快楽主義な、ある意味吸血鬼より吸血鬼らしいフレミア。
 その両者が猟兵として同じ敵に立ち向かっている事実に、オリヴィアは思わず苦笑を漏らしたが。フレミアの妖艶な微笑みと問いかけには、かぶりを振って答える。
「いいえ、今は心強いです」
 その答えに満足そうに、フレミアは魔槍を大きく振りかぶり。オリヴィアの聖槍に纏う炎が輝きを増していく。
 そして寸毫の狂いなく同時に放たれた二つの槍撃は、真紅と黄金の衝撃波となって、眷属の群れを文字通りに一掃した。

『ウゥ――!?』
 ただの一撃ですべての眷属消し飛ばされた事実に、戸惑いのような反応を見せる『白の王』。彼女はすぐさま新たな眷属を分離させ、身を護る新たな肉壁を構築しようとするが――。
「祈る者達がいなくなってから出てくるなんて、神様って慈悲深いよね」
 その皮肉は、邪神の背後から。音も気配も一切立てずに、気がついた時には忍び寄っていた。
 オリヴィアとフレミアが大半の眷属と邪神の注意を引き付けている間に彼――由紀は標的に肉迫する機会を窺っていたのだ。
 そして今、敵は彼の刃が届く距離にいる。
『ァ―――』
「絶ち切れ」
 振り向いた女が声を発するよりも速く。敏捷性を魔力で強化した【絶影】の斬撃が、邪神の喉を斬り裂く。
 破魔のダガーの軌跡は瞬きする間に二度、それも正確に同じ箇所に。深々と抉られたその喉は、もう歌も声も発することはできない。
『―――!!?』
 声を失った『白の王』が、音にならない悲鳴を上げる。主を傷つけられた怒りを示すように、下半身と融合している獣たちが暴れだす。
 だが由紀は襲ってくる獣の鼻面を蹴り飛ばして、その反動を利用して距離を取る。離れ際にきっちりと、獣にもダガーの斬撃をお見舞いしながら。

 近付くほどに効果を増す魔性の声が消えたことで、オリヴィアとフレミアも一気に攻勢へと転じる。
「歪み果てた太陽と正義よ、誰よりもその光を求める世界の者として、その払暁は赦さない!」
 闇を斬り裂く聖槍が堕ちた太陽の邪神を貫き、その肉体の内側から黄金の炎で焼き焦がす。その熱量はオリヴィアの信仰心の高まりに応じてより激しさを増す。
「――!!」
 身悶えしながら全身の獣たちを暴れ回らせる『白の王』。振り払われたオリヴィアの空いたスペースにすかさず飛び込んだのはフレミア。
「無理矢理呼び出されたところで悪いけど、葬らせて貰うわ!」
 魔槍の穂先に纏わせたのは氷の魔力。炎で焼かれた直後の邪神に、凍てつくような冷気を伴う刺突の連撃が襲い掛かる。いかに邪神の肉体がヒトよりはるかに強靭だろうとも、相反する属性の力に交互に攻め立てられるのは辛かろう。
 たまらず眷属を分離させようとするが、その死角から再び強襲を仕掛けるのは由紀。
「神様こちら、手のなる方へ、なんてね」
 押し寄せる獣を瞬速の身のこなしと見切りのセンスで躱しながら、破魔のダガーで本体へ一撃を見舞い。そしてすぐに離脱すると見せかける。
 逃がすものかとばかりに『白の王』は獣に追撃を命じる――だがそれは由紀のフェイント。追撃のために前のめりになった隙を突いて、反撃のダガーが獣たちを狩る。
「簡単に引っかかってくれるね。神様だってのに知性を奪われて不憫なもんだね、付き合わされてる動物達も災難だ」
 敵の攻撃に受動的に反撃するしか能のない『白の王』には、フェイントや撹乱といった戦法に対応する術がない。それを見抜いた由紀は徹底したヒットアンドアウェイで敵の体力を削りながら、その思考を撹乱させる。
『―――????』
 まるで幻惑するような由紀の戦い方に『白の王』はまるでついていけない。困惑する邪神と眷属たちに向けて、フレミアが膨大な魔力を用いた魔力弾の弾幕を放つ。
 真紅の弾丸が白い獣を次々に撃ち抜き、王を守る肉の壁は再び取り払われた。

「これで最後よ」
 丸裸となった『白の王』に向けてフレミアが放つのは【神槍グングニル】。覚醒した吸血姫の力を魔槍へと集束し、全てを滅ぼす巨大な真紅の魔力の槍を形成する。
「さぁ、神様。神殺しの槍の威力、受けてみると良いわ!」
 竜にも匹敵する膂力による渾身の投擲は、眷属を産み続ける異形の中心へと突き刺さり、凄まじい魔力の爆発と衝撃によって邪神の肉体を粉々に吹き飛ばした。
「―――!?!?」
 辛うじて原型を保った女性の上半身が、爆風に飛ばされて宙を舞う。閉じられていたその瞳は、かっと驚愕の形に見開かれていた。
 ばたばたと空中でもがく『白の王』を追ったのは由紀。飛び散った邪神の肉片を足場にして、とん、とん、と軽やかに宙を駆けて。
「そろそろ帰りたくなってきたんじゃない? 今度はゆっくり眠りなよ」
 突き出されたダガーが抉ったのは、ヒトであれば心臓を貫く位置。刃に込められた破魔の力が、邪神の身体を崩壊させていく。
「神様ってどうすれば死ぬんだろうね? 後は詳しそうな人に任せるよ」
 心臓のダガーを残したまま、重力に引かれて落下していく由紀――それと入れ替わるように白翼を広げ上昇していくのは、オリヴィア。振りかぶられた聖槍の炎は目も眩むばかりの黄金に輝き、まるで地上に顕れた小さな太陽の如く。身に宿した信仰と破邪の力の全てを、この一撃に束ね。
「落陽の時だ!」
 振り下ろされた聖槍の刃が『白の王』を真っ二つに叩き斬る。そして金色の炎が、灰の一欠片も残さずに、その肉体を焼き尽くしていき――。

『―――♪』

 その気配が完全に消失する最期の瞬間、猟兵たちは微かな歌声を聞いた。
 心を狂わせる魔性の歌ではない、闇を洗い流すような美しい歌声だった。


 後に残ったのは破壊された儀式場と穏やかな静寂。ふと空を見やれば、雲の隙間から太陽が顔を覗かせていた。
 ――かくして猟兵たちは邪神教団の企みを阻止し、堕ちし太陽と正義の神を、再び骸の海へ眠らせたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年06月12日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ヴィル・ロヒカルメです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト