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鷹狩りは武士の嗜み

#サムライエンパイア


 鷹狩り。それは鷹を用いて鳥や小動物などの狩りを行う狩猟法である。
 古来は公家のためのものだっったが、近年になって鷹狩りを行うのは主に武士で、戦の鍛錬や息抜き、健康維持のために人気のアクティビティであった。
 一国を治める藩主、正信はその日、家臣と抱えの武士を連れて狩場である林に囲まれた平野に鷹狩りに来ていた。
 見つけた兎を追うため鷹を放ち、家臣を指揮して陣形を整える。
「良うやった! 良うやった!」
 見事目当ての兎を捕らえ、舞い戻った鷹から兎を取りながら正信が笑った、その時だった。
 付近の茂みから、奇妙な獣が姿を現した。
 身体はカモシカのようだが、その角には紫電が纏いつき、周囲に藤が舞う。
「何じゃ、あの鹿は……」
 家臣も共に狼狽え様子を見ていたが、その獣は一頭だけではなかった。
 数多の獣が現れ、まるで鷹狩りの一行を逃さんとするように囲い込む。
「皆のもの、突破じゃ、早うここを出……」
 正信が家臣へ指示を飛ばしたその時、目も眩むような紫電が迸り、辺り一帯を焼き尽くしたのであった。

●グリモアベースにて
 ざわめくグリモアベースに、一人のケットシーがやってくる。
 彼は羽織を靡かせその場にあった椅子にぴょんと飛び乗ると、目前に集まった猟兵達へ説明を始めた。
「皆の衆、よく集まってくれた。それがしはケットシーの剣豪、久遠寺・篠だ。早速だが、皆の衆にはサムライエンパイア世界に向かってもらいたい。鷹狩りに出かけた藩主一行がオブリビオンの襲撃にあう」
 篠はそう述べると、机の上に人の肖像画を提示した。年の頃は三十後半だろうか、口元に整えた髭を持つ、凛々しい面立ちの男である。
「藩主の名は正信。鷹狩りを好み、武勇を好む勇ましい男だ。鷹狩りに同行している家臣は五名、従っている武士は三十名、総勢三十六名の一行だ」
 次に提示したのは、予知で見たカモシカの姿絵。
「まず彼らを襲おうとしているのは、このオブリビオン。名を『荒ぶるカマシシ』という。こいつらは群れを成して、彼らを殲滅し、果ては付近にある城下町や城まで飲み込もうとするだろう」
 篠は一度言葉を切ると、改めて猟兵たちを見た。
「皆の衆には急ぎ現地に向かってもらい、藩主一行を護りながらカマシシを討伐し、さらに現れるであろう強力なオブリビオンを倒してもらいたい。今から向かえば、一行がカマシシと遭遇するその瞬間に間に合うだろう」
 さらに、と、篠は腕を組む。
「藩主をはじめ、家臣、武士は皆、猟兵には敵わぬが腕の立つ者達のようだ。指示を出せば共に戦ってもくれる。鷹狩りの後には家臣たちによる武器品評会が行われる予定になっているので、興味がある者はそちらも参加して、自慢の武器を出品してみるのも良いのではないだろうか」
 篠は広げていた資料を回収すると畳んで文にし、表に『依頼状』と認める。
「これは猟兵の武勇を藩主に示す好機でもある。皆の衆、頼んだぞ」


三橋成
 皆様こんにちは、三橋成(みはし・せい)です。
 今回は晴れた昼間の平野で、鳥獣型のオブリビオンと存分に戦って頂く気持ちの良い依頼になるかと思います。

 まずは集団戦、さらに巨大な鳥型のボス戦を行い、最後にお楽しみとして武器品評会があります。
 自身の武器を出品して藩主正信や家臣たちから称賛を受けるも良し、出品される武具を眺めるだけでも構いません。
 良き武器を出品した者には正信からその武器に似合う武器飾りの褒美が出ます。
 ※アイテム配布はありませんので予めご了承ください。

 皆様と格好良い物語を紡いで参りたいと想いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『荒ぶるカマシシ』

POW   :    アオの寒立ち
全身を【覆う和毛を硬質の毛皮】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    神鳴り
自身に【紫電】をまとい、高速移動と【電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    影より出づる藤波
【自身の影】から【召喚した藤の花】を放ち、【絡みつく蔓】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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御剣・刀也
やれやれ、運の無い大名さんだ
まぁ、俺らが知れたのは僥倖か。
被害が出る前にこいつらをとっちめよう

アオの寒立ちで防御態勢になられたら相手も動けないのでその隙に胡弓と体制を整え、相手の行動にすぐ反応できるようにする
神鳴りで高速移動できるようになったら、距離を離されないように気を付けつつ、電撃で攻撃されそうになったら日本刀を投げて避雷針代わりにしつつ、相手の近くに落として距離を詰めてすぐ拾い上げて斬り捨てる
影より出づる藤波で動きを封じようとしてきたら封じられる前に突っ込んで斬り捨てる
「うだうだ考えて戦うのは得意じゃねぇ。目の前の敵を斬り捨てるだけよ」


天方・菫子
大変、大変
多くの人が被害に合う前になんとかしなくちゃね
微力ながらお手伝いさせていただくね

正信さま、武勇のほどは耳に届いております
ですが、あれは少々鷹狩には大きすぎる獲物
可能であれば我らの援護をお願い致します、と
できるだけ丁寧にお声をかけて

妖刀【花散里】を抜き放ち切っ先をカマシシへと
【殺気】をみなぎらせ
「その場を動くな、喰らい尽くす!」
UC【天方流・蘇芳】で【衝撃波】を撒き散らします
可能なら【2回攻撃】【なぎ払い】も織り交ぜて
絡みつく蔓は【見切り】で避けたいところ
絡まってしまったら【なぎ払い】

藤の花は綺麗だけど、もう枯れた花
お前たちも枯らしてあげる、この妖刀で

アドリブ・絡み歓迎


春乃・菊生
アドリブ歓迎。

[WIZ]
先ずは機先を制し、鹿共の注意を引くべきじゃの。
秘術において複数の鎧武者(弓と大太刀装備)を呼び出し、林からカマシシに向けて射掛けさせようぞ。

同時に正信公に接触し、共闘の了解を得よう。

そちらにおわすは正信公とお見受けするが、相違なかろうか?
我は菊生、しがない白拍子の身に御座りまする。
正信公におかれては随分お困りの様子。微力ながら助太刀致しまする。

あやつらは稲妻を操る様子。
長物を持てば雷に打たれ、立木に近付きすぎては落雷に巻き込まれましょう。
用心なされよ。


了解さえ得られれば、何の気兼ねも要らぬ。
全霊(破魔、範囲攻撃、援護射撃、なぎ払い等の複合範囲攻撃)をもって敵を討とう。


愛久山・清綱
あの雷は、草木を一瞬にして灰燼にしてしまいそうだ。

此の地に暮らす動物達のためにも、一刻も速く倒さねば。
■闘
大なぎなたを手に、カマシシ達に斬りかかる。
敵が密集している場所に【怪力】を込めた【剣刃一閃】で
【範囲攻撃】を仕掛け、【恐怖を与え】つつ牽制する。
無敵化される前に、大量撃破を狙うぞ。

雷撃は【野生の勘】で放たれる場所【見切り】回避を狙うが、
難しい場合は【オーラ防御】で護る。

■令
武士達には集団から孤立している個体の攻撃と、無敵状態に
なった敵の警戒を要請。
無敵が解かれたら声をかけてもらい、すぐ倒しに向かう。

予め攻撃の際は必ず隊伍を組み、一人でも負傷者が出たら俺を
呼ぶよう伝える。

※アドリブ・連携歓迎


サクヤ・ユヅキ
◆心情

稲妻伴う妖異達ね
天下に武名鳴らせと、轟き走るのかしら
少なくとも、武勇を好む士とはそういうもの

「貴方達を斬れば、少しは到った武芸を誇れるわね」

いざ、雷斬りの太刀となりに参りましょう

◆戦闘


「火椿姫」で最大数を紡いだ炎の刃を浮かべて従えつつ、破魔+属性攻撃でそれらを強化
範囲攻撃+なぎ払い+二回攻撃で、その炎と緋願の刃による無数の斬撃を連閃として放ちましょう

緋色の一閃で燃やし、返す刃で炎を散らし
伴う烈火で、全てを焼き払いながら、前へと駆け抜けながら
カマシシのみならず、私達に絡みつく蔦やその元の藤の花、私を中心に全てを繚乱と舞う刃で斬り払っていくわ

「さあ、戦焔の神楽を続けましょう」

※アドリブ等歓迎


ジルバ・アイト
「俺達は猟兵だ。助太刀に来たぞ」(天下自在符を見せながら)
多分藩主一行は突然オブリビオンに襲われて多少混乱しているだろうから、猟兵が応援に来たとわかれば多少は落ち着きを取り戻すんじゃないかな(【コミュ力】使用)

戦闘:
【エレメンタル・ファンタジア】が暴走した時に巻き込まれないように、藩主一行には俺から少し離れて貰うよう頼む
「すまない、大きな術を使うんでな、少し下がって貰っていいか?」

炎の津波により、絡みつく蔓ごと敵本体を炎で覆い、焼き尽くす
炎(光源)に囲まれれば影を作れなくなるから、それ以上藤の花を召喚する事も出来なくなるしな
もし討ち漏らしがあれば藩主一行にご協力をお願いしたい

アドリブ、連携歓迎



「何じゃ、あの鹿は……」
 周囲を異形の獣……カマシシの群れに囲まれた正信一行は、戸惑いながらも身に迫る危険ははっきりと感じていた。空気がピリピリと張り詰めていくようである。
「皆のもの、突破じゃ、早うここを出……」
 予知と同じ台詞を、正信が言いかけたその時。
「来たれ」
 凛、と響いたのは女の声。
 その声に導かれ、周囲の林から、カマシシに向けて一斉に弓矢が飛来した。それらはカマシシの首を、胴を貫き動きを封じる。
 林から姿を現したのは弓を引く五人の鎧武者の霊。そして、彼らを指揮する美しい紫の髪を持つ女、春乃・菊生。彼女は真っ直ぐに、正信の元へと向かった。
「そちらにおわすは正信公とお見受けするが、相違なかろうか?」
「止まれ、何物じゃ!!」
 正信の身を守るよう、瞬時に家臣の数名が立ち塞がる。
 それを返答と受け取って、菊生はその場で立ち止まると軽く頭を下げた。
「我は菊生、しがない白拍子の身に御座りまする」
 そう名乗りをしている最中、周囲を囲っているカマシシの一体が菊生へ向けて、自身の影から召喚した藤の花を放った。藤の花は伸び、菊生の身体を絡め取ろうとした。瞬間。
「おらぁ!」
 気迫の声を上げ、大薙刀を振るい飛び込んだのは愛久山・清綱。その怪力から生み出される迷いなき一刀は放たれた藤の花もろともカマシシを斬り、薙ぎ払う。
 正信への対応は仲間に任せたとばかりに、清綱はそちらを一瞥しただけで再び薙刀を振り回し、一騎当千の様相で迫りくるカマシシを斬っていく。
「正信さま、武勇のほどは耳に届いております」
 菊生の横に天方・菫子が並び、同じように軽く頭を下げて、このような非常事態でもしっかりと礼を示す。
「ですが、あれは少々鷹狩には大きすぎる獲物」
 菫子がそう正信の自尊心を損ねぬよう説明を続け、菊生が声をあわせる。
「微力ながら助太刀致しまする」
「そなたたちは……」
 しかし、突然現れた異形に、さらに強力な助っ人の存在に、一行は狼狽を隠せない様子。
 そこに、天下自在符を取り出し見せながらジルバ・アイトが説明を継ぐ。
「俺達は猟兵だ。助太刀に来たぞ」
「なんと、それは上様の御紋、おお、ありがたい……!」
 正信がまっさきに反応し、目を見開く。その周囲の武士たちもようやく事情を飲み込めてきたようで、彼らに落ち着きが戻ってくる。
 そう説明を続けている最中でも、無論戦いは続いていた。
「やれやれ、運の無い大名さんだ。まぁ、俺らが知れたのは僥倖か」
 御剣・刀也はそう気安く声をかけながら、清綱と共に一行と仲間を守るよう、愛用の名刀『獅子吼』で一体、また一体と切り伏せていく。
 前方の敵に斬りかかったと思えば一気に踏み込みその奥の個体を斬り、まるでステップを踏むよう踵を返して背後の敵を倒す。
「うだうだ考えて戦うのは得意じゃねぇ。目の前の敵を斬り捨てるだけよ」
 周辺の敵ごと圧倒し退ける戦い方をする清綱と、あらゆる敵の動きに対応し各個撃破していく刀也の連携は噛み合い、隙きがなく強い。
 しかし、次第に、敵を倒していく速度が落ちていっていた。
 刀也がカマシシの胴へ振り下ろした太刀は、とても毛皮に当たったとは思えぬ、金属音にも似た音を立てて弾かれる。
「なるほど、こっちから手出しができなくなる訳か」
 だが、防御の体勢をとるとカマシシ自体も動けなくなるらしい。
 刀也はそう冷静に判断すると呼吸を整える。だが、敵の数はこちらより何倍も多いのだ。相対する者が動かなくなったからといって、他からの攻撃を警戒せねばならない。
「貴方達を斬れば、少しは到った武芸を誇れるわね」
 そんな膠着状態を打ち破ったのは、椿のように紅く燃える炎だった。
 サクヤ・ユヅキは鮮やかな紅の刀を抜き放ち、その刃に無数の炎を纏わせ斬りかかる。
 炎に反応したのか、防御の体勢をとっていたカマシシが動き出し、藤の花で対抗しようと蔓を伸ばしてくる。
「稲妻伴う妖異は、天下に武名鳴らせと、轟き走るのかしら」
 風に舞う花弁のよう周囲に炎を散らし、大きく振り抜いた刃でカマシシの身体を両断する。返す刃で薙ぎ払い、隣の個体も斬り伏せて。
「少なくとも、武勇を好む士とはそういうもの」
 敵を弁柄色の瞳で見据え、全てを打ち倒すと身を翻すサクヤはまさに戦場の士である。
 カマシシの身体に纏い付いた炎は、そこから繋がる蔦と藤の花さえも燃やし尽くす。
「さあ、戦焔の神楽を続けましょう」
 猟兵達の見事な戦いぶりに、半ば見惚れていたような正信達。
「可能であれば、我らの援護をお願い致します」
 そこに丁寧に声をかけたのは菫子だった。
 彼女は正信に微笑みを向けてから、自身も刀を抜き放ちカマシシの群れへと切っ先を向けた。
「その場を動くな、喰らい尽くす!」
 菫の花咲く黒髪を風に靡かせ、菫子は群れの中へと斬り込んでいく。刃から放たれるのは呪術的な衝撃波。その衝撃波はまるで追尾するかのように、刃本体の斬撃を逃れてなお追いかけ、カマシシの命を奪う。
「藤の花は綺麗だけど、もう枯れた花」
 しかし、カマシシも一方的にやられている訳ではない。必死に藤の花を放ち、猟兵達を拘束しようと蔓を伸ばす。
 だが白き翼を羽ばたかせ、菫子は後方に飛ぶと蔓を避けて刀で斬りつける。その妖刀の名は、『花散里』。
「お前たちも枯らしてあげる、この妖刀で」
 菫子に助力を要請されたことで、正信達もそれぞれに戦うことを思い出したように刀や弓矢を持ち、カマシシへと向かい始めた。
 彼らの強さは決して猟兵に並ぶようなものではないが、しかし連携の取れた陣形でカマシシを追い込み、一体一体当ることで数を減らしながら猟兵の戦いにも貢献していく。
「あやつらは稲妻を操る様子」
 呼び出した鎧武者と共に薙刀を手に、共に戦いながら菊生は正信配下の武士たちに声をかける。
「長物を持てば雷に打たれ、立木に近付きすぎては落雷に巻き込まれましょう。用心なされよ」
 さらに助言に留まらず、武士の指揮を取り始めたのは清綱。
「貴殿らは防御態勢をとった個体の警戒を行ってくれ、無敵解除後は俺が討ちに行くので報告を」
 刀や薙刀など、物理で戦う者達にとって、最も厄介なカマシシの行動は、その防御態勢であった。
「予め攻撃の際は必ず隊伍を組み、一人でも負傷者が出たら俺を呼べ」
 的確で、かつ武士たちのことを気にかけた命令は、彼らの士気を上げ、そして戦闘の効率を上げていく。
 きりがないように思われた無数のカマシシは、いつしか視界に収まり切る数にまで減っていた。
 その群れの広がる範囲を把握し、ジルバは虚空から枯木で造られたような長杖を掴む。
「すまない、大きな術を使うんでな、少し下がって貰っていいか?」
 そう声をかけ、杖を振るい宝珠を抱く先端を先へと向ける。ジルバの立つ足元に浮かんだのは、彼の瞳のように紅き魔法陣。その魔法陣は光を放ちながら円を広げ、残った群れをすっぽりと包む程の大きさになった。
「炎の津波、焼き尽くせ」
 精霊に命ずる言葉は短い。
 しかし、魔法陣の円に沿って、まるで壁のように地からせり上がった業火は猛烈な勢いでカマシシを、その影も藤の花も、全てを飲み込んだ。
 炎が消えた時、猟兵に武士、その全てを囲んでいた群れは全て討ち取られ、姿を消していた。
 平野に勝鬨が上がる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『緋天』

POW   :    穢焔
【嘴から焔】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    斬翼
単純で重い【翼】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    絶啼
【咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
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 猟兵と武士たちが勝利に沸いたその時。
 彼らの上に影が落ちた。
 響いたのは、天を劈くような、そしてどこか清々しき高き鳴き声。
「何という、大きさじゃ……」
 天を振り仰ぎ、正信が呟く。
 頭上に、巨鳥が飛来していた。
御剣・刀也
ははは。面白い
これほどの大物とやれるとはな
こい、空の王。大地にたたき伏せてやるよ

穢焔で炎を吐かれたら直線状から素早く移動してそのまま薙ぎ払われる方向を見て移動を変える。逆方向なら突っ込み、自分の方向ならそのまま走って逃げる
斬翼でたたき伏せに来たら、避けるか受け流すかして叩きつけてきた翼を返す刃で斬りに行く
絶啼え咆哮を上げられたら、吹き飛ばされないようにしつつ、動きが止まってると思うのでその隙に多少のダメージは気にせず距離を詰めて斬りかかる
「てめぇは正に空の王だろう。けどな、俺らの前に出たのが不運だったな!」


サクヤ・ユヅキ
空飛び行く鳳
声こそは清々しくとも、これは穢れたる妖魔、でしょうね
地に雷鳴走った後に、天では火翼が舞う
炎雷の百鬼夜行のように
「それを刃で征してこその、武の神楽ね」

あの翼、空を飛ぶのが厄介ね
正信さまに刀、槍で相手取るには不利に過ぎると一度、後退の進言を


「斬天朱雀」を持って前へ
「火椿姫」の炎を刀身へと宿すようにひとつへと掻き集め、破魔+属性攻撃、更に力溜めで最大威力の一閃を放つ準備をし
狙うは後の先、相打ちでも構わずと果敢に

「詠え、謡え。熾烈に燃ゆる刃ならばこそ、斬天の名を刻むがため」

私へと攻撃する際の隙へと、見切り+カウンターで
火焔の斬刃を飛ばし、翼を斬り裂いて地への墜落を狙いましょう

※アドリブ歓迎


ジルバ・アイト
「一難去ってまた一難って奴だな。にしても綺麗な鳥だな。まあ敵である以上、悪いが狩らせてもらうけどな……!」

戦闘:
俺は高い所が苦手な分、空中で戦えるような技能は持ち合わせていない
だがな、空を飛ぶ敵に対抗する手段がないわけじゃないぞ……!

敵が地上付近にいる時は杖から【衝撃波】を放って攻撃
敵が空に逃げたら、【エレメンタル・ファンタジア】で今度は天から雷の豪雨を降らせる
あくまで雷だからな、高い所を飛んでいる存在に全て落ちるだろうな
絶え間ない激しい落雷を喰らって翼がマヒし、地上に落ちてきたら他の誰かにトドメをお願いしたいな(【属性攻撃、マヒ攻撃使用】)

敵の攻撃には【オーラ防御】を使用

アドリブ・連携歓迎


天方・菫子
すごい大きな鳥…!
感心してる場合じゃないよね
あれ、地面に落とさないとあたしには太刀打ちできない
あたしの小さな翼じゃ少ししか飛べないもの!

UC【天方流・蘇芳】を使用
妖刀【花散里】の切っ先を敵に向けて【衝撃波】を放ちます
可能なら羽を狙いたいところ
正信さまたちに攻撃がいきそうになったら
【武器受け】でなんとかかばいます

地面近くまで下りてきたらしめたもの
「その翼、もらいうける!」(【殺気】)
【2回攻撃】を前提とした【なぎ払い】で羽を狙う
鳥は地に降りた時点で負けだよ
あたしたちにおとなしく狩られるといいんだ

戦闘中は常に正信さまたちの安全に気を払います

アドリブ・絡み歓迎です


愛久山・清綱
色から想像すると、此奴は火の鳥でござろうか。
火が羽に燃え移ってしまったら、厄介だな……

あまり近づかないほうが得策だろうか。

■闘
相手が巨大な鳥なら、此方も【空中戦】で飛翔しつつ戦おう。
焔対策で、相手との距離は常に『約40m』取っておこう。

基本は限界距離から【空薙】を用いた遠距離攻撃を仕掛ける。
斬ると同時に【恐怖を与え】、相手の動きを阻害するぞ。

放つ際は【早業】で素早く抜刀し発動時間を短縮し、
攻撃後すぐ次の行動へ移れるようにする。

穢焔は放たれる瞬間を【見切り】、範囲外まで【ダッシュ】だ。
逃れられそうにない場合は【オーラ防御】で護る。

※アドリブ・連携歓迎


春乃・菊生
アドリブ、共闘歓迎じゃ。

[WIZ]
ふむ、この手合い、数を頼みに攻めるは下策じゃろうの。

正信公。
人の世を治るは人の上に立つ者にしか出来ませぬ。
同様に、人ならざる者を討つは人の域をはみ出した者の領分。
此処は我ら猟兵にお任せあれ。


一章で呼び出した武者たちを還し、改めて一人の武者を呼び出そう。

来れ――鎮西八郎為朝。
剛勇無双と謳われし武士(もののふ)の力、見せてみよ。
(範囲攻撃に巻き込ませないように皆から距離を取らせ、【破魔】【援護射撃】【鎧砕き】【串刺し】による攻撃。
倒せると踏めば頭を、そうでないなら翼を狙う)



 まるで、空を支配しているかのような、その壮大な巨鳥の姿。だが、慄く武士たちとは違い、猟兵達はどこか楽しそうでもあった。
「すごい大きな鳥……!」
 天方・菫子の青き大きな瞳は好奇心に輝いている。
「一難去ってまた一難って奴だな。にしても綺麗な鳥だな」
 その隣で、ジルバ・アイトは、紅き羽根を持つ巨鳥の姿に素直にそう感想を漏らす。実のところ、このオブリビオンの見た目からは邪悪な気配を感じない。
 それもそのはず。この巨鳥、緋天は元々は天下の太平を願う瑞鳥であったのだから。しかし、今その鳥がオブリビオンとして猟兵達の前に姿を現しているということは、揺るぎない事実である。
「まあ敵である以上、悪いが狩らせてもらうけどな……!」
「ははは。面白い。これほどの大物とやれるとはな」
 御剣・刀也は鞘に収めた刀の柄を握りながら、頭上を旋回するように飛ぶ緋天を見上げた。
「来い、空の王。大地にたたき伏せてやるよ」
 刀也の声が緋天に届いた訳ではなかろうが、その言葉に反応するように、巨鳥が滑空しながら武士もろとも猟兵達へ向けて近づいた。
「皆、避けよ!」
 すかさず愛久山・清綱が警戒の声を発し、彼はその鷲のような翼で空へと舞い上がる。地上の者達は先頭に立っていた刀也がしたように緋天が飛び来る直線上から左右に別れて飛び退いた。
 開かれた嘴から高温の紅蓮の炎が吐き出され、元々武士達が立っていた辺り一帯を焼き尽くす。間一髪で直撃は免れたが、焼かれた者も複数名。
「地に雷鳴走った後に、天では火翼が舞う。炎雷の百鬼夜行のように……それを刃で征してこその、武の神楽ね」
 その威力と迫力を目の当たりにし、サクヤ・ユヅキは己の血が沸き立つような興奮を覚えながらも、武士に守られていた正信に視線を向けた。
「正信さま、この相手は刀、槍で相手取るには不利に過ぎましょう」
 春乃・菊生もまた同様の考えの元、言葉を引き継ぐ。
「人の世を治るは人の上に立つ者にしか出来ませぬ。同様に、人ならざる者を討つは人の域をはみ出した者の領分。此処は我ら猟兵にお任せあれ」
 その、あくまでも正信の誇りを損ねない説明に、彼も意固地になることなく鷹揚に頷いた。
「何と頼もしい言葉じゃ。ではここはそなたたちに任せた。皆のもの、急ぎ戦場から退け!」
 正信の号を受け、家臣とそれに従う武士達が林に逃げ込む形で撤退していく。だが、その後を追いかけるように緋天が再び飛来し、嘴を開く。
「やらせないよ。その翼、もらいうける!」
 咄嗟に菫子が妖刀『花散里』を抜刀するなり、その切っ先を緋天の翼へと向けた。
 瞬間、妖刀から放たれた、呪いを纏う衝撃波が緋天の翼を撃つ。それは巨鳥の翼を奪うことは敵わなかったが、その飛行進行方向を変えることは成功した。
 緋天がバランスを崩し、飛行高度を下げながらも地面に墜落することなく再び羽ばたきながら体勢を立て直す。
 そしてその開いた嘴から出たのは、今度は炎ではなく、聞く者全ての耳を劈く咆哮であった。
「っく……!」
 その咆哮の効果範囲は炎と同様に非常に広く、上空で彼の攻撃が届くぎりぎりの距離を開けて飛んでいた清綱とて例外なく攻撃を受ける。
「……ッ来れ――鎮西八郎為朝」
 音に圧倒される中、菊生はそれでも何とか己の精神を集中させると紫の瞳を瞬かせ、新たに一人の鎧武者の霊を召喚する。
「剛勇無双と謳われし武士の力、見せてみよ」
 召喚術の最大の利点は、多くの場合、召喚された対象は攻撃を受けないということである。それが最早今は亡き古の霊であればなおのこと。
 鎧武者の霊は緋天の咆哮が支配する空間の中で、背に担いでいた五人張りの強弓を構えると、緋天の頭目掛けて矢を放った。
 矢は真っ直ぐに緋天の嘴下辺りの喉に突き刺さる。上がったのは緋天の鳴き声だが、それは辺りを支配する咆哮ではなく、それ自身が上げた悲鳴に他ならない。
 緋天はたまらずに、地上からの攻撃が届かぬ上空へと飛び上がっていく。
「俺は空中で戦えるような技能は持ち合わせていない。だがな、空を飛ぶ敵に対抗する手段がないわけじゃないぞ……!」
 緋天の姿を視線で追いかけ、ジルバは手にしていた長杖を天へと掲げる。
「清綱、飛行高度を下げてくれ」
 敵と同じく上空へ舞い上がっていた清綱に声をかけ、清綱もまたその声に頷くと言われるまま緋天の真下辺りへと移動する。
「来い、雷雲」
 その姿を確認してすぐ、ジルバは己の力を開放しながら精霊へと呼びかける。今まで雲ひとつなく晴れ渡っていた青空に渦巻いたのは黒き雷雲。
 腹の奥に響くような雷鳴が轟き、瞬間、走ったのはまるでそれ自体が雨のように降り注ぐ雷の嵐であった。
 元より精霊は完全な制御の難しいもの。それに加え、雷などの気象に関係するものは放つ前から完全な制御を諦めている。
 雷はただ気ままに地上に降り注ぐ。しかし、そこに高所を飛ぶ物体があるのならば、話は別である。
 ジルバの意図した通り、爆音を轟かせ、稲妻が絶え間なく緋天の体を貫いていく。
「空薙……」
 雷に巻かれ、麻痺した翼で墜落してきた緋天を待ち構えていたのは清綱。
 翼の制御が取れないながらも嘴を開き、炎を吐き出さんとした緋天の姿は見事と言って差し支えなかっただろう。
 しかし。
 清綱が目にも留まらぬ速度で愛刀を抜き放つ。放ったのは、空間をも断ち切る一刀。
 その斬撃は飛び、炎が彼へと到達する前に緋天をさらに地へ向けて叩き落としていく。
 次に嘴から出るのは炎ではなく、此度は咆哮へと変わる。地へ墜落し切る前に緋天は翼を広げ滑空の姿勢を取った。その時。
「詠え、謡え。熾烈に燃ゆる刃ならばこそ、斬天の名を刻むがため」
 地を蹴り、薄衣を靡かせサクヤが跳躍する。
 一切の回避を考えていないその突撃は、しかしまるで羽衣を纏った天女のごとく優雅でもあり。
 手にした朱色の薙刀、その銘を『斬天朱雀』という。
 美しき朱色の刀身に纏わせた炎は煌々と燃え、名の通り宙で緋天の翼を斬り裂いた。
 遂に、巨鳥が地に落ちる。が、地へ伏して尚、片翼を羽ばたかせた。それはまさに、獲物がする最後の藻掻きであっただろう。そして追い詰められた獣は、決して侮ることのできないものである。
 トドメを刺すため刀也が駆け寄ろうとしたところで、不意に開かれた嘴から放たれた炎が地を焼く。
「てめぇは正に空の王だろう。けどな、俺らの前に出たのが運の尽きだったな!」
 直線的に放たれる炎を咄嗟に横飛し躱すと、刀也は太刀を振りかぶる。
 足掻く巨体に飛びかかり、渾身の力を籠めて振り下ろした鋭き刃。その獅子の如き一閃が、巨鳥の首を薙いだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『武器品評会』

POW   :    大きな声で自分の武器のアピールをする。

SPD   :    実践しながら自分の武器のアピールをする。

WIZ   :    性能について細かく説明しながら自分の武器のアピールをする。

👑5
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 僅かな負傷をした者もいるには居たが、その程度の傷は武士達の中にあっては掠り傷と何ら変わらないようだ。
 鷹狩りの後に予定されていた武器品評会は、予定通り行われる運びとなった。
 場所は正信の居城の応接間である。
 畳の敷かれたその部屋に、鷹狩りに参加していた家臣達と共に猟兵達も呼ばれていた。
 家臣達は一人ひとり、自身の愛刀や弓矢、時に鉄砲などを紹介している。
「ぜひ、そなたの武具も見せてもらいたいものじゃ」
 正信の視線が猟兵へと向いていた。
御剣・刀也
SPD行動

武器のアピールねぇ。そういうの苦手なんだがなぁ
まぁ、折角だ。こいつの切れ味を見てもらおうか

鉄兜と鉄鎧を用意してもらってそれを獅子吼で真っ二つに両断する
「ま、これ位の事が出来る」
と容易く斬った後、刃こぼれ一つしてない綺麗な直刃の刃を見せつつ
「俺にとってはこれ以上ない相棒さ」
と鞘に納める


ジルバ・アイト
【WIZ】
負傷した武士達、軽傷で済んで良かったぞ
さて、それじゃ俺はエレメンタルロッドのラインハルトについて紹介するぞ

(手のひらの上に何も乗っていないのを見せ)
「俺は今、何も持っていないだろう?でもな……」
(杖の姿に変身したラインハルトを手のひらの上に出現させ)
「こいつの名はラインハルト。今は杖の姿をしているが、風の精霊だ。風を司るからか、普段は目に見えないんだけどな」

さっきの戦闘でもラインハルトの力を借りていた事、及び精霊の姿の時は自力で飛んでくれるので移動の際とても助かる事等を説明


武器に変身する存在と、武器として生まれた物に宿った存在
こんなコンビも味があっていいんじゃないかな

アドリブ歓迎


天方・菫子
まずは刀を前に置いて丁寧に頭を下げます
あたしの刀は黒の柄、鞘、そして桜の形の鍔の妖刀「花散里」
正直、こんな場で紹介していい刀じゃない…妖刀だもん
「正信さま、また家臣の皆様
このような場にお招きいただきありがとうございます
ですが、当方の刀はいわゆる妖刀なれば
ハレの場にふさわしいとは思えず…
また、これを操る当方もまだ若輩者ゆえ
今回はこのようなご挨拶のみで失礼させてくださいませ」

妖刀らしい動きに今回も救われてはいるけれど
この刀は「花を食らう刀」
あたしの寿命も蝕んでいく
見目だけは綺麗なんだけどね

深くお辞儀をして他の方へ場を譲るよ
あとは隅でおとなしくしてます

アドリブ歓迎


愛久山・清綱
むむ、武器の品評会でござるか。折角だから参加するか。
といっても、俺は鈍と無銘しか持っていないがな。

■行
【WIZ】
俺の武器はこの黒漆の刀。銘はないが、「今刀」と呼んでいる。
間違った製法で作られた故、外観も切れ味もよくない鈍刀だ。
その鈍さは、この鱗に傷一つ付けられないほどだ。

むむ、何故こんな刀を好んで使っているって?それはな……
こういうことでござる。
(ここで、持ってきていた『小型ロボ』をひょいと投げ、
速く力強い一太刀で真っ二つに!)

切れ味の鈍い鈍刀でも、使い方次第ではありとあらゆるものを
断ち斬る「名刀」となる……
故に俺は、この刀を選んだのだ。

(許せ。ロボと、アルダワの技師よ……)

※アドリブ歓迎です


春乃・菊生
アドリブ等々歓迎じゃ。

[WIZ?]

はてさて。
我の場合、己自身の得物にこだわる必要がありませぬ故、
皆のように銘のある武器なぞ持ち合わせて居りませぬ。

それ故、これよりお見せしまするは只の幻、泡沫の夢、過去の残滓に御座いまする。

白拍子として即席の歌舞を演じよう。
詠い朗ずるは過去(平安~室町時代?)の武士(もののふ)たちの活躍とその得物について。
歌と舞に合わせてその武士の霊を召喚しその武勇の一幕をお見せしよう。



※上記プレが不適切な場合、正信公や家臣団の解説を受けながら聞き手に回り、品評会を客分として楽しみます。


サクヤ・ユヅキ
武器はそのまま、自分の名乗りのようなものだものね
緋天相手では使わなかった、太刀の緋願を掲げてみましょうか
私にとっては、太刀も小太刀も、薙刀や鋼糸も扱う武器のひとつ

「将卒共に物に好き、物をきらふ事悪しし。……けれど、私にとっての誇りは、父より譲り受けた、この太刀、緋願です」

由来、刀匠不明
けれど、刀身の波打つように色の変わる赤き太刀
神楽の舞踊においても、戦場においても目を引く事は間違いなく
その鮮やかさ、濃淡の移り変わりは、そのまま

「この太刀の素晴らしさを語る事は致しません。何故なら、それは私の武芸、神楽にて詠われる事ならば」

可能ならば、武芸奉納の舞をしても良いかとも
振るう者あって、真価出すが武器と



 正信から向けられた視線を受け、御剣・刀也はふむと思案するように自身の顎に触れた。
「武器のアピールねぇ。そういうの苦手なんだがなぁ」
 彼がそう呟くと、家臣達が口々に、そう言わず、と正信の前へ向かうことを促してくる。皆、強い剣豪の使っている業物のことは気になるのである。
「まぁ、折角だ。こいつの切れ味を見てもらおうか」
 刀也はそう立ち上がると、皆より一段高い位置に座す正信の前へと進み出た。
「斬られていい鉄兜と鉄鎧を用意してもらえるか」
 そう声をかけられた家臣の一人が、刀也の前にその両者を置く。単純に床に置いた訳ではなく、木人形に装着する形でかけられたそれらは、戦場にいる武士を模していた。
 刀也が手にし、ゆっくりと鞘から引き抜いた刀の銘は『獅子吼』。刀身は他の太刀とは段違いに煌めく、美しき名刀である。
 呼吸を整え、しかしその様子はあくまでいつもと変わらず無造作に。
 刀也が刀を振り下ろすと、頭上から一刀で断ち切られた鉄兜と鉄鎧は真っ二つに両断され畳へと落ちた。
「ま、これ位の事が出来る」
 一瞬シン、と静まり返った室内が、彼のその言葉を受けて拍手に沸いた。
 刀也は振り下ろした刀を水平に持つと、刃こぼれのない直刃の刃を正信に見せてから鞘に納める。
「俺にとってはこれ以上ない相棒さ」
「ううむ、見事な刀、そして見事な使い手よ」
 正信もまた、刀也へ向かって惜しみない拍手を送る。そして、僅かな思案の後、脇にある櫃から朱色の組紐を取り出した。
「そなたの太刀に余計な飾りは必要ないと見受けた。これは刀匠がつくった、金と鋼を編み込んだ、決して切れぬ組紐『唐紅』である。太刀緒として使うてくれ」
 刀也はその組紐を受け取り、そっと眺める。手元で見れば、紅の紐の合間に金の輝きが見える、シンプルながら美しい一品であった。

 次にと正信の前へ進み出たのは、先程まで負傷した武士達を労っていたジルバ・アイトだった。
「さて、それじゃ俺は……少し趣向を変えたものを紹介するぞ」
 人々の注目を浴びてなお、ジルバには気負ったところがない。すっと上げた手のひらを返し、そこに何もないことを確認させる様は奇術師のようだ。
「俺は今、何も持っていないだろう? でもな……」
 室内に爽やかな風が吹き、瞬間、ジルバの何も握っていなかった手の上に枯木でできたかのような長杖が出現する。
 瞬間、おお、とどよめきが起こる。
「こいつの名はラインハルト。今は杖の姿をしているが、風の精霊だ。風を司るからか、普段は目に見えないんだけどな」
 そう説明しながらラインハルトを撫でるジルバの手は優しい。
「さっきの戦闘でも、このラインハルトの力を借りていたんだ。普段は精霊になって自分でついてきてくれるから、移動と持ち運びがとても助かるな」
 戦場で彼が巻き起こしていた雷の迫力を思い出しながら、普段重い武具を身に纏っている武士達からすれば、後半のほうがより魅力的に聞こえたようである。
「武器に変身する存在と、武器として生まれた物に宿った存在。こんなコンビも味があっていいんじゃないかな」
 ジルバはそう締めくくると、手を下ろす。すると、ラインハルトはまたふっとその姿を消した。しかし、ジルバの髪の毛先が風にそよいでおり、そこにいるのではないかと正信は思う。
「今まで見たことも聞いたこともなかったものじゃ。何と奇妙な」
 そして彼は少々悩んだ末に、櫃から小ぶりな濃緑の香炉を取り出した。
「飾り物とは少々違うが……これは陰陽師が式神の力を増すために使っていたという『禮香炉』じゃ。人ならざる者はこの香炉の煙を喜んで食うという。式神と精霊で違いはあるやもしれぬが、人の領域を越えたものという点では大差なかろう」
 手渡された香炉はジルバの手のひらにすっぽりと収まった。その表面はつるりとしており、触れているとどこか温かみのようなものを感じた。

 刀を畳の上に置き、その後ろに丁寧に手をついて天方・菫子はゆっくりと頭を下げる。その仕草は優美で、彼女の育ちの良さというものがよく現れているようだった。
「正信さま、また直臣の皆様。このような場にお招きいただきありがとうございます」
 菫子は頭を上げてそう口上を始めたが、刀に手を触れる気配は見せなかった。
「ですが、当方の刀はいわゆる妖刀なれば、ハレの場にふさわしいとは思えず……。また、これを操る当方もまだ若輩者ゆえ、今回はこのようなご挨拶のみで失礼させてくださいませ」
 菫子の持つ刀は、妖刀『花散里』。艶のある黒の柄と鞘、そして桜の形をした鍔を持つ、一見美しい刀である。
 しかしその名の通り、その刀は花を食らう刀。使い手である菫子の寿命さえも蝕んでいる。
 そうして彼女は挨拶を終えると、再び深く頭を下げると刀を手に戻ろうとした。
 しかし。
「待たれよ。その気遣い、潔さ、まこと気持ちの良いものじゃ」
 正信はそう菫子を止めると、櫃から取り出した小さな武器飾りを差し出した。
「これはただ、品評会の褒美としてではなく、そなたの武働きへの感謝として贈ろう」
 それは鋼で造られた、蓮の花の飾り。
「蓮は生命力の象徴。いかな泥の中にあっても、そこから美しき花を咲かせる。そなたの身を、守ってくれるだろう」

 菫子に場を譲られ、愛久山・清綱が前へと進み出る。
 その手にしているのは、黒漆の刀。それをよく見せるように水平に捧げ持ち、清綱は話し始めた。
「俺の武器はこの刀。銘はないが、『今刀』と呼んでいる」
 鞘から抜き、今度は刀身を露わにする。
「間違った製法で作られた故、外観も切れ味もよくない鈍刀だ。その鈍さは、この鱗に傷一つ付けられないほどだ」
 ほれこの通り、と、刃に自身の指先を当てて、示してみせる。彼の言う通り、清綱の鱗に覆われた指先は傷の一つも負ってはいない。
 そんな鈍ら刀の紹介に、家臣達は僅か呆けたようである。
「その……では何故清綱殿はそのような刀をお使いで?」
「むむ、何故こんな刀を使っているって? それはな……」
 向けられた質問はもっともだと頷き、清綱は持っていた小型ロボを放り投げる。
「こういうことでござる」
 その一言と共に振るった一閃。振り抜く速度と力強さによって、見事一刀で金属でできたロボを真っ二つにした。
「切れ味の鈍い鈍刀でも、使い方次第ではありとあらゆるものを断ち斬る『名刀』となる……故に俺は、この刀を選んだのだ」
 清綱はそう締めくくると、視線を伏せながら刀を鞘に納めた。その様子の渋さに、今まで納得のいかない顔をしていた家臣達が惜しみない拍手を送る。
 が、清綱は内心でロボとアルダワの技師への謝罪を述べていた。何しろ今しがた叩き切ったロボは、アルダワ世界で買ってきたお土産だったもので。
「刀に頼らず己が力で勝負するため鈍らを選ぶか、まこと武士じゃのう」
 勇猛であることを良しとする正信は感心しきり、そうだと面白がった様子で櫃から一枚の黒い鍔を取り出した。
 形は丸。透かしはなく、彫金で鷲が彫り込まれており、その鷲のリアリティが高く雄々しい出来栄えだ。
「この『大鷲鍔』はつくりは美しいのだが、何の金属で造られているのか、見た目には想像もつかぬ程重くてな。全く実用には向かぬ。だが……そなたなら活かしてくれるじゃろうか」
 鍔を受け取った瞬間、清綱は驚いた。怪力を誇る彼であっても感じる、ずしりとした重みは確かに見た目以上のものであった。

「将卒共に物に好き、物をきらふ事悪しし。……けれど、私にとっての誇りは、父より譲り受けた、この太刀、『緋願』です」
 そう正信の前に太刀を提げ立つのは、 サクヤ・ユヅキ。
 彼女はいつも戦場でするが如く、しかし、その何倍もゆっくりとした動作で抜刀すると、構え持った。
 由来、刀匠は不明。だが、黒塗りの鞘から放たれる刀身は、鍔元から切っ先にかけて鮮やかな赤の色が波打つように移り変わる。
 他の刀には一切の類を見ない赤き艶やかな太刀である。
「この太刀の素晴らしさを語る事は致しません。何故なら、それは私の武芸、神楽にて詠われる事ならば」
 言葉少なに、舞うように刀を一、二度振るサクヤとその太刀筋の美しさに、家臣達が息を呑む。
「まこと美しいのう、そなたが戦場で扱っていた薙刀と揃いであろうか。炎を纏っているが故に赤いのかと思っておったが、刀それ自体が赤いとは」
 正信はあの戦いの最中でも、目立つサクヤの戦ぶりをしっかり見ていたようで、しみじみとそう呟く。
 しばし見惚れるようにしていた正信だったが、思いついたように櫃から金の鈴が五つついた武器飾りを取り出した。
「これは我が城下の宮司がこしらえた『神楽鈴雫』。音がしてはならぬ場では使えぬが、元々そなたは忍ぶ気などないようじゃから、良いであろう」
 神楽鈴をそのまま武器飾りとして仕立て直しているその一品は、巫女であるサクヤにとって非常に身近に感じられるものであった。
 そうして品評会が進み、最後に視線を浴びたのは、今まで部屋の中で他の者の出品を楽しそうに聞いていた春乃・菊生だった。
「はてさて。我の場合、己自身の得物にこだわる必要がありませぬ故、皆のように銘のある武器なぞ持ち合わせて居りませぬ」
 菊生は美しきアメジストの瞳を細め、そう断った。居並ぶ者がどこか落胆の表情を浮かべたその一拍後に、彼女はにこりと艶やかな笑みを浮かべる。
「……それ故、歌舞を演じましょう。これよりお見せしまするは只の幻、泡沫の夢、過去の残滓に御座いまする」
 指の手先にまで神経が行き届いたような立ち居振る舞いで菊生が立ち上がり、部屋が歓声に包まれる。
 深く息を吸い、詠い朗ずるは古の武士たちの活躍と、その得物について。
 その最中、サクヤもまた立ち上がると菊生に合わせて太刀を振るい、舞う。
 菊生が歌い、サクヤの太刀につけた鈴が凛と鳴る。
 部屋の中央に突如として現れたのは、菊生が召喚した鎧武者の霊。それはサクヤと演武をして見せ、彼の武勇の一幕を生き生きと描写しきる。
 類稀なる才を持つ白拍子の演出に、部屋にはいつの間にか城内の者達が集まり、祭りのような賑わいになっていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年06月14日
宿敵 『緋天』 を撃破!


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#サムライエンパイア


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鈴・月華です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト