●アックス&ウィザーズ
とある王国の辺境にある村。
あまり豊かとは言えないが日々を懸命に生きる人々が暮らす村だ。
その村が今、燃えている。
「黒皇竜サマノ思シ召シノママニ!」
「鱗無キ者タチニ滅ビヲ!」
頭が蜥蜴の人間の様な種族、リザードマンの集団による襲撃である。
辺境には魔物が多い。それだけに村も規模の割には防衛に力を入れていた。
実際、今日まで無事に過ごしてきたので油断があった訳ではない。
ただ、想定外だったのだ。
リザードマンの集団……軍とも言える規模の敵に襲撃を受けるなど。
激しいが短い戦闘の後、村は壊滅する。
「コノ勝利ヲ黒皇竜サマニ捧ゲル!」
「次ダ、次ノ勝利ヲ黒皇竜サマニ捧ゲルノダ!」
村の焼け跡に立ったリザードマン達はそれに満足せず、次の獲物を求めて動き出す。
●グリモアベース
リザードマンの集団に襲われて滅びる村、その予知をしたグリモア猟兵の一人、ステラ・リデルが状況を説明する。
「残念ですが、現時点で村が一つ滅んでいます。村を滅ぼしたリザードマンは現在、新たな村を目指して移動中です」
救えない命の存在に渋面を浮かべる猟兵達。しかし、彼等は現実を直視する力を持つ。
すぐに行けば新たな犠牲を防ぐことができるのかをステラに尋ねる。
「はい。それは間違いありません。ただ、避難をさせる時間はないので水際での防衛戦となります」
村の入口付近またはそう離れていない場所で迎え撃つ形になるだろうとステラは言う。
リザードマンの戦闘能力は一体一体は猟兵に比べれば劣る。
だが、数が多い。戦っている間に一部が村に浸入する、などという事態をできれば防いで欲しいと付け加える。
それに任せておけと、自信を見せる猟兵達。
すぐにも転移をと促す彼等にステラは待ったをかける。
「実は今回の予知の本命はリザードマンではないのです。彼等の後ろには黒皇竜ディオバルスと呼ばれる巨大な黒竜が存在します」
黒竜は現在、姿を見せていない。彼を崇拝するリザードマンに人類国家への戦争を命じ、自身は潜んでいるのだ。
だが、リザードマンの集団を撃破する事が出来れば姿を現す。
そうステラは断言する。
彼女は猟兵が介入しない場合、リザードマンの集団は幾つもの村を滅ぼした後、人間の軍隊と戦い、壊滅する。だが、そこに黒竜が現れ軍隊を蹂躙する予知を見ていた。
「黒竜の考えは分かりませんが、リザードマンは強者を釣り出す餌のつもりなのかもしれません」
つまり、リザードマンと戦った後、黒竜との連戦になる可能性が高いという事だ。
「黒竜は強敵です。加えて連戦の疲れもあるでしょう。厳しい戦いとなると思いますが、皆さんの力を貸して頂ければ幸いです」
そう言ってステラは頭を下げる。
淵賀
5回目のシナリオをお届けします。淵賀です。
今回は集団戦で大暴れして貰った後に、強敵相手に奮戦して頂ければと思っています。
よろしくお付き合い頂ければ幸いです。
以下で今回の依頼をまとめさせてもらいます。
『第一章 集団戦』
迫りくるリザードマンの大群との戦いです。
獅子奮迅の活躍をして頂ければと思います。
『第二章 ボス戦』
リザードマンを倒す事ができれば黒竜が現れます。
黒竜は強いです。
成功判定でも負傷描写の可能性がありますので、それでも構わない方に参加して頂ければと思います。
『第三章 日常』
黒竜を倒す事が出来たなら皆さんはドラゴンスレイヤーです。
村で新たな英雄を称える祝勝会が開かれます。
第1章 集団戦
『リザードマン』
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POW : シールドバッシュ
【手にした盾で攻撃を受け流して】から【生まれた隙に、盾による殴り付け攻撃】を放ち、【衝撃でふらつかせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : 曲剣一閃
【変幻自在に振るわれる曲刀】が命中した対象を切断する。
WIZ : テイルスイング
【太く逞しい尻尾による薙ぎ払い攻撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
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●リザードマン進攻
リザードマン。直立歩行する蜥蜴人。人間が亜人と分類する種族の一つだ。
武勇を尊び、独自の文明を築く種族で人間との関係は様々。友好的な部族もあれば敵対的な部族もある。
今回、侵攻を行ったのは人間が『黒の森』と呼ぶ、大森林の中にある湖沼地帯に棲む部族の連合である。
大森林を棲み処とする彼等はこれまで人間の王国に攻め入ることはなかった。
それが何故、突然侵攻を開始したのか?
原因は黒皇竜ディオバルスの復活である。
かつて群竜大陸で猛威を振るったこの黒竜は蘇ると瞬く間に付近のリザードマンの部族を糾合。
人間の王国への侵攻を命令した。
この付近のリザードマンにとって竜は神とも崇める存在。
その中でも強大な存在である黒皇竜の命令は、もはや神託に等しく受け入れられたのだ。
「先程ノ、村ハタワイナカッタナ」
「所詮ハ鱗無キ者ヨ」
「油断スルナ、鱗無キ者ニモ強者ハイル」
「アア、黒皇竜サマモ侮ルナトオッシャッテイタ」
一つの村を滅ぼし、士気を高く保った彼等は次の村を求めて進軍する。
御形・菘
黒皇竜とはまた、実にイケてる二つ名ではないか!
だが同類での上下関係は、ボコってきっちり示してくれよう!
妾は防衛を、村から距離を離した最前線で行うぞ
右腕を高く上げ、指を鳴らし鳴り響けファンファーレ!
さらに妾の存在感を以て、殺気を叩き付けて挑発すれば、余程逃げられはせんよ
はーっはっはっは! まずもって群れる仕えるという発想が既に弱々すぎるぞ?
さあリザードマンどもよ、妾が直々に持て成してやろう!
防御など妾の攻撃の前には無意味よ
盾ごとブチ砕く勢いで、邪神オーラや左腕、尻尾を叩き付けるぞ
多少の数を抜けさせるのは已むを得ん
だがファンファーレを時々鳴らし、大部分は妾がここで食い止めてやろう!
●蛇神降臨
リザードマンの行軍は続く。次の目標である村が指呼の距離まで迫ったその時。
彼等の前に異形の人影が立ちはだかる。
「黒皇竜とはまた、実にイケてる二つ名ではないか!
だが同類での上下関係は、ボコってきっちり示してくれよう!」
そう高らかに宣言するのは御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)。
女性の上半身に蛇の下半身。捻じれた角と蝙蝠の様な翼を持つ爬虫類系キマイラだ。
彼女はリザードマンの大群を前に恐れる様子もなくビシっとポーズをつける。
そして、そのまま高らかに掲げられる右腕。指を打ち鳴らす。
「鳴り響けファンファーレ!」
「何ダ!?」
「炎ダト!」
「グァアアア――」
菘の力ある言葉と共に何処からともなく響き渡るファンファーレ。
そして、何という事だろうか。
ファンファーレの音を聞いたリザードマン達が突然、炎に包まれる!
「はーっはっはっは! どうだ、妾の炎は?」
哄笑と共にリザードマンを睥睨する菘。
「まずもって群れる仕えるという発想が既に弱々すぎるぞ?
さあリザードマンどもよ、妾が直々に持て成してやろう!」
炎に焼かれるリザードマン達は何故だろうか、菘から目を離したくないという情動に駆られる。
また、焼かれていないリザードマンも彼女の抜群の存在感。
そして、言の葉に乗せられた殺気に注目せざるを得ない。
「殺セ!」
「血祭リニ上ゲルノダ!」
菘の挑発に乗り、彼女に殺到するリザードマン達。
「ふん! 甘いわ!」
近付くリザードマンを彼女の尻尾が薙ぎ払う。
「盾ヲ構エロ!」
盾を用いた戦闘術はリザードマンの得意戦術だ。盾で防ぎ、その隙に殴りつけんと構える。
「はーっはっはっは! そんな盾如きで妾の一撃を防げると思うたか!」
瞬時に右腕から発生した黒い槍の様な物体が盾ごとリザードマンを貫く。
「見たか! 邪神のオーラである!」
彼女曰く『邪神のオーラ』、そして鋭い爪を持つ左腕を振るい、迫りくるリザードマンを退け続ける。
「こんなものか! お主らの力を示して見せよ!」
時折ファンファーレを吹き鳴らし、リザードマンを常に自身に引き付けて八面六臂の活躍を見せる。
そんな彼女の雄姿を映像撮影用ドローン『天地通眼』がベストポジションで撮り続けているのだった。
大成功
🔵🔵🔵
●リザードマン司令部
進軍するリザードマンの部族連合。その司令部に伝令が飛び込む。
「村直前ニテ何者カガ立チハダカリ、ガウノ部族ガ交戦中デス」
「何ダト、モウ王国軍ガ動イタノカ?」
『黒の森』を出て初めの村を滅ぼし、次で二つ目。
いずれ王国軍と戦う事は想定しているが、もう少し先のはずであった。
「イエ、敵ハ単騎。サレド、強力デ足止メヲ受ケテイマス」
「単騎!? ……黒皇竜サマガ仰ッテイタ勇者ノタグイカ……」
「ロハノ部族ヲ援軍ニ回セ。他ノ部族ハ予定通リ、村ヲ襲ウノダ」
最初に交戦しているガウの部族、それに加えてロハの部族をぶつければ如何に強者と言えど討ち取れよう。
時間が経てば経つ程、王国に準備の時間を与える。
正体不明の強者が出て来た以上、ここは村の襲撃も急ぐべきだろう。
リザードマンの司令部は命令を下す。
ベルンハルト・マッケンゼン
アドリブ、他参加者との絡み大歓迎!
【SPD】
防衛、か。アラモを思い出すな。
テキサスの乾いた大地に落ちる夕陽は、血のように赤かった……。
到着後すぐ村の入口前にバリケード、遮蔽障害物を築く。
突撃してくる敵の勢いを減衰させ、分散させたい。
前座のトカゲ共とはいえ、数の暴力は侮れないから、な。
出来ればM18クレイモアを仕掛けたい所だが……そんな余裕はない、か。戦術的に…フッ。
敵が射程に入ったら堂々と正面に向かい、愛銃を掲げ哄笑。「Don’t Tread on Me!」
ユベコのEisernen Handを攻撃回数重視で使用、辺りを火の海に変えながらバヨネットを着剣。
以降は銃撃と剣撃で群がる敵を屠り続ける。
イーファ・リャナンシー
大勢で寄って集ってなんて気に入らないわね…
このイーファちゃんが成敗してあげる!
入口付近にいて敵を迎え撃つつもりよ
接敵したばかりの頃は出来るだけ敵の攻撃の射程に入らないように注意するわ
どうしても敵の攻撃の射程に入ってしまう時、特に混戦の場合は、逆に敵の懐に入り込むわ
小さな体を生かして敵の攻撃を避けつつ、あわよくば避けた尻尾攻撃が別の敵に当たっちゃったりするといいなーなんて期待してたり
攻撃は【全力魔法】で【ウィザード・ミサイル】を発動、一気に出来るだけ沢山の敵を狙えたら良いなって
混戦中は、体が小さい分、攻撃の出所が分からなくって相手もびっくりするんじゃないかしら
小さい体はコンプレックスなんだけどね
●タラトの村
王国辺境にある村、タラト。今、常にない喧噪に包まれていた。
「一体、何が起こっているんだ?」
「あのリザードマンの群れは!?」
気がつけば村目掛けて武装したリザードマンの大群が押し寄せてきている。
その数はゆうに村の総人口を上回る。どう見ても友好目的ではないだろう。
「領主様に知らせを」
「門を閉めて、奴等を入れない様に」
タラトの村は混乱のままに滅ぼされるかに思われた。
●
「心配は無用だ! 奴等は私達が食い止める」
混乱する村人達の前に自信に満ちた声が掛かる。
ベルンハルト・マッケンゼン(黄金炎の傭兵・f01418)。金髪碧眼の傭兵だ。
「誰だ、アンタ!?」
「誰でも良い。今は奴等の侵攻を防ぐのが先決だ。バリケードを築くぞ。このままでは蹂躙される」
「ああ、だがどうやって……?」
どうすればいいか分からない。そんな状態であった村人達にとって力強く指針を示す彼の言葉は魅力的だ。素直に指示に従う。
村人の協力もあって、何とかリザードマンが村に到着する前にバリケードの構築に成功する。
「御苦労さん。君達は下がって頑丈な建物の中に避難しておくと良い。後は私達がやる」
「そうそう、私達に任せておくと良いよ」
そうベルンハルトに続いて声を上げたのはイーファ・リャナンシー(忘都の妖精・f18649)、フェアリーのウィザードだ。
彼女はフェアリーの体格故にバリケード構築では適切な指示を出す事で貢献していた。
「ああ、分かった」
「ありがとう。あんた達も気を付けてな」
バリケード構築に従事していた村人達は口々に礼を言って村の奥に去って行く。
村人を見送り、迫りくるリザードマンの方に目を向ける二人。
「防衛、か。アラモを思い出すな。
テキサスの乾いた大地に落ちる夕陽は、血のように赤かった……」
何やら感慨にふけるベルンハルト。
「出来ればM18クレイモアを仕掛けたい所だが……そんな余裕はない、か。戦術的に…フッ」
「フッ……じゃないでしょ。来るわよ!」
●混戦
百にも達する炎の属性を持つ魔法の矢が開戦を告げる。
矢を放ったのはイーファだ。
「大勢で寄って集ってなんて気に入らないわね……このイーファちゃんが成敗してあげる!」
リザードマンがユーベルコード《ウィザード・ミサイル》の射程に入ったタイミングで魔法の矢を放つ。
「グハァ!」
「魔法カ?」
「敵ハ少数ダ!進メ!」
炎の矢に貫かれ、あるいは焼かれる蜥蜴人達。
だが彼等は怯まず前進を続ける。しかし、そこに更なる攻撃が加えられる。
凄まじい爆風と共に数体のリザードマンが吹き飛び、辺りが火に包まれる。
ベルンハルトのユーベルコード《Eisernen Hand》により出現したグレネードランチャーによる攻撃だ。
「Don’t Tread on Me!」
彼は愛銃を掲げ、哄笑しながら次弾を放つ。
イーファの炎の矢、ベルンハルトのグレネード弾によって村の入口付近は火の海に姿を変える。
リザードマンから見れば悪夢の様な戦場だ。だが、彼等も勇気を振り絞って突撃する。
「怯ムナ! 進メ!」
「接近シテシマエバ、アノ攻撃ハデキナイハズダ!」
盾を構え、炎の海を突き抜けて突進するリザードマン達。
「おお、敵ながら勇敢なもんだ」
ベルンハルトは感心しながらもバヨネットを着剣して銃剣となすと、接近したリザードマンを銃撃、或いは剣撃で退ける。
「村にはいれないよ!」
混戦となった戦場でイーファは可憐に飛び回り、死角を突いて魔法の矢を放つ。
先程の攻撃の余波で煙が充満する戦場では、フェアリーであるイーファの位置をリザードマン達が掴むのは難しい。
「オノレチョコマカト!」
「ソッチダ、喰ラエ!」
「グア、何ヲスル!」
イーファを認識したリザードマンが尻尾を振るうも彼女を捉えられず、混戦状態の中では味方に当てる始末だ。
「小さい体はコンプレックスなんだけどね」
こういう時は役に立つ。イーファはなおも飛び回り、リザードマンを翻弄する。
ベルンハルトとイーファ。
二人の活躍でリザードマンはまだ村に入る事すら出来ないでいる。
成功
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茲乃摘・七曜
心情
集団の頭が強者だと凶暴になるのはここでも変わりませんね
指針
広範囲攻撃による敵の漸減
「さて、しっかりと唄わせていただきましょう
行動
氷雪により武具を氷結させ、身体を凍えさせることで自由を奪う
「変温動物のままとは思いませんが、熱を奪われるのは生き物として活動が鈍りますからね
※麻痺毒を混ぜた冷水を吹雪に晒し、気化熱と風速で魔物を氷像に変える
防御
相手の動きが鈍っていれば格闘戦、凍えた相手同士をぶつけ合うように相手の攻撃を受け流し誘導する
「インファイトも不得手でないことをお見せしましょうか
流転
仲間に敵が雪崩れ込んだ場合や氷結の効果が思わしくない場合に使用
「集団の強みを十全に活かさせる気はありませんよ?
●
リザードマンの司令部は苛立っていた。
数名の敵に比べて圧倒的多数にも関わらず、まだ村に浸入すら出来ていない。
「最初ノ単騎、村入口ノ二人、マダ、倒セナイノカ?」
「ナカナカニ手強イデスナ」
「別ニ入口カラ入ラナケレバナラナイ理由ハナイ。リリノ部族トワクノ部族ヲ迂回サセロ」
司令部の指示に従って二部族が迂回、村の後方から攻めようと移動を開始するが。
「鱗無キ者ドモモナカナカヤルナ」
「コウデナケレバ面白クナイ」
「……待テ、何カ、聞コエナイカ?」
「コレハ……歌カ?」
移動する彼等は何処からか響く歌声を耳にする。
●氷雪の魔女
迂回して村を襲撃しようとするリザードマン達を見る猟兵が一人。
茲乃摘・七曜(魔導人形の騙り部・f00724)、黒い衣装に身を包んだ神秘的な女性である。
彼女は未だ戦意の高いリザードマンの迂回部隊を見て、嘆息する。
「集団の頭が強者だと凶暴になるのはここでも変わりませんね。
……さて、しっかりと唄わせていただきましょうか」
魔法――世界を改変する力。
七曜はそれを歌声によって成す。
彼女の歌声は周囲を浮遊していた自律式拡声器『Angels Bit』によって増幅され周囲に響き渡る。
それと共に、快晴、夏に近い日差しだった平原に氷雪の嵐が出現する。
「ナ、ナンダ!?」
「雪……!? 氷ダト
……??」
突然の氷雪の嵐に驚き困惑するリザードマン達。更には……
「シ、痺レル……?」
「コレハ、タダノ雪デハナイゾ」
七曜は出現させた氷雪の嵐に麻痺毒を生成してそれを混ぜて吹きすさばせる。
「変温動物のままとは思いませんが、熱を奪われるのは生き物として活動が鈍りますからね」
嵐が去った後、そこには麻痺毒や氷雪で身動きもままならないリザードマン達が残る。
その彼等を目掛けて移動を開始する七曜。
「それでは、とどめを刺させて貰いましょう」
「グッ、舐メルナ!」
接近する彼女にリザードマン達も必至の抵抗を見せるが、悲しいかな凍り付いた体は普段の半分の実力も発揮できない。
「インファイトも不得手でないことをお見せしましょうか」
その言葉通りの鋭い動き。尻尾による攻撃を華麗に回避し、曲刀の一撃を二挺拳銃で軽く受け流す。
黒い淑女がリザードマンの集団の中を舞うように動くこと暫し……迂回襲撃を試みたリザードマン達は全滅する事となる。
成功
🔵🔵🔴
シン・コーエン
殺された人々の無念、滅ぼしたリザートマン共、思う所は多々あるが、最優先すべきは村の防衛。
守りが薄い場所から村内に侵入されるのが一番困る。
なので、シンは宇宙バイク:シャドウフレアに乗り、リザードマンの軍勢を背後から奇襲する。
(籠城側の遊撃部隊が城から離れた場所に埋伏し、攻城軍を背後から奇襲する感じに近い。)
【騎乗・操縦・運転】で素早く移動しつつ、UC:渦旋光輪を170個作成、【2回攻撃・炎の属性攻撃・衝撃波・範囲攻撃】を加え、より多くのリザードマンの足元に当たるよう一斉射撃。
足が負傷すれば素早く移動して村内に侵入もできまい。
これを繰り返す。
リザードマンを倒すよりも動けなくする事に重点を置く。
鈴城・有斗
少し遅れちゃったかな。
遅くなった分は働きで埋め合わせる。
戦闘前にコール・モーラットでモーラットのラティを呼び出す。
ラティには上空から、村へ抜けそうなリザードマンが居ればカノンとドランに教えて阻止してもらう。
それ以外はカノン達は自分の周囲で近い相手と戦闘。
僕は近場の奴からとりあえず倒していく。
なりふり構ってらんないから剣で切るだけでなくバリアコネクターで両拳を覆って殴りつけたりして少しでも手数を増やす。
ドランは爪でひっかいたり噛みついたり
カノンは音で衝撃波を出す
ラティはドラン達への指示と応援、出せる(戦闘アリ)ならパチパチ火花で援護
住み分け出来てたならそのままで居れば良かったのに・・・
●
迂回強襲しようとしたリザードマンの部隊が壊滅しようとしていた頃、バリケードが築かれた入口付近ではまだ激戦が続いていた。
火力は猟兵が圧倒的だが、数はリザードマンの方が多い。少数の猟兵を放って村への侵入を試みる者もいる。
「カノン、ドラン、あいつを狙って!」
その動きを見逃さなかった少年が声を上げる。
彼の指示に従い、妖精型の人形『カノン』と額に赤い結晶を持つ白い槍竜『ドラン』がリザードマンを襲う。
予想外の襲撃にそのリザードマンはなす術もなく倒される。
「ありがとう、ラティ。そのままよく見張っておいてね」
リザードマンが村に侵入しようとしている処を一早く発見して少年に知らせたモーラットのラティにお礼を言いつつ指示を出す。
「さて、少し遅れちゃったかな。でも、遅くなった分は働きで埋め合わせる」
そう言う少年の名は鈴城・有斗(人間のヴィジランテ・f18440)。オレンジの瞳が印象的な少年で今から少し前に戦場に転移してきた猟兵だ。
彼は転移してくるとすぐにユーベルコード《コール・モーラット》でモーラット―体長30㎝ほどの白い毛玉に顔と細い手足がついたような存在―のラティを呼び出していた。
ラティは浮遊ができる。彼はラティを上空からの戦況監視に用いて先程の侵入を見事、防いだという訳だ。
埋め合わせるという宣言通り、剣で斬り裂き、或いは障壁で覆った拳で殴りつけ、破竹の勢いでリザードマンを倒して行く。
そんな彼の両脇をカノンとドランが固め、戦場の天秤が大きく猟兵側に傾く。
「住み分け出来てたならそのままで居れば良かったのに……」
自らが倒したリザードマンに憐憫の目を向けるものの、その動きは止まらない。
●
有斗の参戦で入口付近の戦いは猟兵優位となる。
迂回させた部隊も妨害にあっているとの報が届き、いよいよ苛立つリザードマンの司令部。
「モハヤ、総攻撃シカアルマイ」
「ココマデ手コズルトハ。黒皇竜サマニ顔向ケデキン」
全軍の一斉攻撃により勝負をかけようとするリザードマン。その時。
「後方ヨリ、敵襲!」
「何ダト!? 後方ニ敵拠点ナドナイハズダ」
「回リ込マレタカ……アルイハ伏兵カ?」
「何ニセヨ、放置ハデキン。迎エ撃テ!」
リザードマンの総攻撃を絶妙なタイミングで遮った者。それは、黒を基調とした軍服に身を包んだシン・コーエン(灼閃の・f13886)だ。
漆黒の宇宙バイク『シャドウフレア』に騎乗している姿が様になっている。
「殺された人々の無念、滅ぼしたリザートマン共、思う所は多々あるが、最優先すべきは村の防衛だ」
シンはリザードマンの進軍ルートを予測して決定的な攻撃を行う為に潜んでいた。
そして、今、総攻撃の気配を察知。これを許せば村への侵入を防げない可能性があると、奇襲をしかけたのだ。
「切断しろ、渦旋光輪!」
シンの所持するユーベルコードの一つ、《渦旋光輪》は風と光の属性を持つ高速回転する光輪だ。
光輪の数は使い手の技量に依存し、シンは170個もの光輪を作成する事ができる。
光輪は高速回転しながらシンの意思に従ってリザードマンを襲う。
それでけではない。ダメ押しとばかりに深紅に輝く『灼星剣』を横薙ぎに払い、炎の衝撃波を放つ。
光輪も衝撃波も狙いは足元。機動力を削ぐことで村への襲撃を防ぐつもりだ。
「グアァ!」
「ア、足ガ」
足を負傷して倒れ伏すリザードマン達。
そのまま追撃をすればとどめを刺す事は容易。だが、敵の数は多い。
あくまで機動力を削ぐことを優先する。
シンは『シャドウフレア』の機動力を活かし、縦横無尽に移動しながら動けないリザードマンを増やしていく。
たった一人の奇襲部隊にリザードマンの総攻撃は完全に防がれるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
八剱・忍
これ以上の狼藉は見過ごせへんで!
容易い思とるんなら、痛い目あわせたる!
まずは侵攻を止めなあかんな。
手っ取り早いんは相手の陣形を引っ掻き回すんがええやろ。
大鎌を肩に担いで、敵陣に一気に斬り込むで!
【残像】で敵を翻弄しながら、【薙ぎ払い】で前方を斬り開き、敵陣深くまで駆けるわ!
ほどよく敵に囲まれた所で、ユーベルコード 【黒き斬瘴】で、周囲一帯を無差別に攻撃や!
あんたら全部たたっ斬ったる!
これで敵の混乱を招けたらええな!
●
タラトの村を防衛する猟兵と滅ぼさんとするリザードマンとの戦闘は終局を迎えようとしている。
リザードマンの大群は一歩も村に入る事を許されないまま敗勢が明確になっていた。
「強者ガデテクルトハ予想シテイタガ、ヨモヤココマデトハナ」
「フン、逃亡スルモノモデテイルヨウダゾ?」
「仕方アルマイ。彼等ハ我ラトハ違ウ。ダガ、我ラハ――」
「ウム、立チハダカッテイルノハ我ラ、ソシテ黒皇竜サマノ天敵。最後マデ戦ウノミ」
今回の侵攻を行ったリザードマンの部族連合。その司令部の多くはオブリビオンだ。
彼等は黒皇竜と時を同じくして蘇り、黒竜の配下として部族の糾合に力を発揮していた。
侵攻軍は十に満たない猟兵に阻まれて、既に士気は崩壊している。逃亡離散するリザードマンも出ている。
だが、それは今を生きるリザードマンだ。
オブリビオンたる彼等は一矢報いんと最後の戦いを決意する。
●
決意を新たにする司令部に一陣の風の様に迫る少女がいる。
彼女の名は八剱・忍(黒の囀り・f13028)。死神の大鎌を肩に担ぎ駆ける、アンダーリムの眼鏡が似合う猟兵だ。
鋭く怜悧な刃を持った大鎌『デモン・サイズ』を振るって行く手を阻むリザードマンを斬り伏せながら彼女は進む。
「これ以上の狼藉は見過ごせへんで! 容易い思とるんなら、痛い目あわせたる!」
既に一つの村が滅ぼされている。その怒りを胸に秘めながら司令部を目指す忍。
他の猟兵の活躍で司令部周辺は手薄になっている。ここで、奴等を倒せれば、壊走状態になるのは間違いない。
「ココカラ先ニハ行カセン!」
「一人デ突撃シテクルナド!」
リザードマン達は息の合った連携で曲剣を振るうが……
「「ナニ!?」」
捉えたと思ったそれは忍の残像。戸惑った次の瞬間に薙ぎ払われた大鎌の一撃を受ける。
そうやって敵を蹴散らし敵陣深くまで進む。
「モウ、来タカ、ダガ、マズハ一人――!」
「フン、囲ンデ攻メルゾ!」
遂には司令部に達した忍を囲む、リザードマンの長達。だが、彼女が一人で来たのには意味がある。
「うちのユーベルコードは敵味方の区別ができひん。でも、この状況ならかまへんな」
忍の赤い瞳が冷徹に自身を囲むリザードマン達を見る。禍々しい漆黒の瘴気に覆われる大鎌。
「マズイ、スグニシトメロ!」
「遅い! あんたら全部たたっ斬ったる!」
彼女を仕留めんとリザードマン達が動いた瞬間、彼等を漆黒の瘴気が通り抜ける。
それは《黒き斬瘴》。通り抜けた瘴気は斬撃そのものである。
ドウ―― と数瞬遅れてリザードマン達の上半身が下半身から滑り落ちる。
司令部を失い、指揮系統が壊滅したリザードマンは忍の考え通り、壊走することになる。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『黒皇竜ディオバルス』
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POW : 黒皇竜の一撃
単純で重い【自身の爪や尻尾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : インフェルノ
【口から放つ「地獄の炎」】が命中した対象を燃やす。放たれた【紅蓮の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ : カタストロフィ・ノヴァ
【極大規模の球形の大爆発】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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●黒竜の咆哮
逃げ散っていくリザードマンを見送る猟兵達。村を無傷で守れた事に安堵する。
だが、彼等の顔に油断はない。グリモア猟兵の予知通りならば、この後――
大気を震わす咆哮が響く。
物理的な圧力すら感じるその咆哮に猟兵達は本命の襲来を知る。
北の空から飛来する巨大な影――黒皇竜ディオバルスだ。
黒竜は高速で飛来して地上の猟兵達を睥睨する。
「リザードマン共ノ撃退、見事デアル。コノ時代ニモヤハリ勇者トイエル者共ガイタナ。
貴様ラ一人一人ハ微力トハイエ厄介デハアル。準備ヲ整エル時間ハヤラヌ。ココデ死ヌガヨイ!」
かつて群竜大陸で猛威を振るった黒竜。
だが、入念な準備をして攻めてくる勇者達に手を焼いた経験がある。
オブリビオンとして蘇ったという事はかつての自分は敗北したのだろう。同じ轍を踏む訳にはいかない。
今度は主導権を自身が握り、強き者を倒した後に暴れれば良い。それが黒竜の考えだった。
ベルンハルト・マッケンゼン
アドリブ、他参加者との絡み大歓迎!
【POW】
……勇者? そんなお伽噺みたいなモノを信じているのか、黒き竜よ。
どうか安心してくれ。他の人達は知らんが、私は勇者ではない。
我が名はベルンハルト、しがない戦争屋……いや、ただの酔いどれだ。フッ…
上空へ銃撃してバリケードの陰に駆け込み、一息吐く。
「……参った、な。流石はドラゴン、クルスクで蹂躙されたJS-2重戦車より、強そうだ。戦術的に…フッ」
まずは牽制で敵の頭部を銃撃。怯んでくれればユベコのEisernen Handを火力重視、翼部に攻撃。
敵の機動力を奪えれば、後は銃剣を構えて突撃、自らの負傷を省みずカミカゼ攻撃。
「……後は頼むぞ、イェーガー同志達!」
●
黒皇竜ディオバルスの威容。常人ならば畏怖して竦み、動くことも出来ぬまま最期を迎えかねない威圧感がある。
だが、此処にいるのは猟兵。世界を股にかけ超常的な敵と戦う精鋭だ。脅威を感じれど、それで竦むことはありえない。
「……勇者? そんなお伽噺みたいなモノを信じているのか、黒き竜よ。
どうか安心してくれ。他の人達は知らんが、私は勇者ではない。
我が名はベルンハルト、しがない戦争屋……いや、ただの酔いどれだ。フッ……」
そう愛銃を撃ちながら声を上げたのはベルンハルト・マッケンゼン。歴戦の傭兵だ。
狙いは黒竜を天空に舞わせる両翼だ。狙い過たず銃弾は翼を捉えるが……羽搏きを一度。
銃弾は有効打を与えたようには見えない。
「勇者デハナイカ。ダガ勇者トハ、功績ヲ上ゲタ者ヲ称エル呼ビ名デアロウ。
弱キ者ヲ守ル為、多勢ニ立チ向カイ、ソレニ勝利シタ貴様達ハ、紛レモナク勇者デアル。
ナレバコソ、ココデ死ヌガヨイ」
言うと共にベルンハルト目掛けて急降下をする黒竜。
そのまま地上に激突するかの勢いで迫るが、直前で急旋回しつつ、強力な尻尾の一撃をベルンハルトに放つ。
それは単純な攻撃だ。だが、威力は桁違い。尻尾に打ち据えられた大地は破壊されクレーターとなる。
ベルンハルトは何とか回避に成功。衝撃で飛んできた土石を受けながらバリケードに隠れる。
「……参った、な。流石はドラゴン、クルスクで蹂躙されたJS-2重戦車より、強そうだ。戦術的に……フッ」
黒竜は見た目に違わず強敵だ。特に飛んでいるのが厄介。どうにかしなければ。
ベルンハルトは考え、覚悟を決める。チャンスは多くないが……
彼はバリケードから出て黒竜に再び銃撃を行う。狙いは頭。
これも命中するが黒竜は煩わし気に眼を細めるだけだ。
「貴様ノ攻撃ハ効カヌ。モウ、消エルガヨイ」
再び急降下してくる黒竜。しかし、それはベルンハルトが狙っていた瞬間でもある。
効果の薄い銃撃を繰り返す事で彼は黒竜の油断を誘ったのだ。
「Leck mich am Arsch!」
奇跡の力、ユーベルコード。《Eisernen Hand》で創り出したグレネードランチャーを構える。
そして、接近してくる黒竜の翼を狙って発射!
「ナニ――!?」
爆発音が鳴り響き、黒竜の翼に多大なダメージを与える。
「見事ダ――!」
「……後は頼むぞ、イェーガー同志達!」
不安定な飛行となりながらも黒竜が尻尾による薙ぎ払いを行い、バリケードごとベルンハルトを吹き飛ばす。
後に残ったのは黒皇竜。だが、ベルンハルトは黒竜の翼に深刻なダメージを与える事に成功した。
苦戦
🔵🔴🔴
鈴城・有斗
ファンタジーの王道とはいえ、実際に目の当たりにすると圧倒されるな・・・
けど、だからって放ってはおけない
やるだけやってやるとも
「誇りある意志は今ここに、現れろ! アング・ロクエン!」
背後に浮かんだ魔法陣から現れた白い甲冑を身に纏い、自身が騎士の様な姿になる
ガンブレードはしまっても右手に持ったまま槍の中に統合されても良いです
槍による突撃や盾から出る波動で攻撃
カノンとドランには自分がかばえる範囲で衝撃波で遠距離攻撃
ラティは出たままで居るなら味方の様子を見ててもらい、危なそうならかばいに行く(本人があぶなそうなら自分の周囲に呼び戻しておく)
活性化してるUCも使えるならかばう際には無敵城塞を使用
シン・コーエン
首魁のお出ましか、それは好都合。滅ぼされた村人達の仇を討つ!
即座にUC:灼星剣皇を使用し、縦10㎝×横10㎝×長さ3.8㎞のフルサイズの灼星剣皇創造。
上空にてこちらを睥睨する黒竜に対し、上段の構えから【先制攻撃・2回攻撃・衝撃波・炎の属性攻撃・地形の利用・戦闘知識】で、黒竜の右翼を斬り降ろし、返す刀で左翼を斬り上げて、飛行能力を奪う。
勿論、仲間や周囲に被害を出さないように注意する。
地上戦では【見切り・第六感・残像・ダッシュ・ジャンプ】で素早く動いて敵攻撃を躱しつつ、勇者アルトゥルの剣術を真似た【オーラ防御で剣を包んで攻撃力増強・2回攻撃・衝撃波・炎の属性攻撃】で黒竜の胸部を心臓ごと斬り割く!
●
片翼を焼け爛れさせながらも今なお、空中で威容を誇り、此方を睥睨する黒竜。
「ドラゴン、ファンタジーの王道とはいえ、実際に目の当たりにすると圧倒されるな……
けど、だからって放ってはおけない。やるだけやってやるとも」
敵の強大な実力を正しく把握しながらも屈せず、オレンジの瞳に闘志を漲らせる鈴木・有斗。
その隣ではシン・コーエンが怒りを湛えながらも、冷静さを失わない青い瞳を黒竜に向ける。
「首魁のお出ましか、それは好都合。滅ぼされた村人達の仇を討つ!」
村を滅ぼしたのはリザードマンだが、それを命じたのは黒皇竜。正しく、仇と言えるだろう。
シンは言葉と共にユーベルコード《灼星剣皇》を発動。先が見えない程の長大な輝く剣を創造する。
「まずは、その飛行能力を奪う!」
「――ホウ」
天に向け掲げた灼星剣皇を打ち下ろすシン。狙うは翼だが、黒竜は見切って回避する。
「剣身ガ長スギルナ。読ミヤスイゾ」
「――それはどうかな?」
見切られ大地に打ち下ろされたかに見えた灼星剣皇を勢いをそのまま、いやより鋭くして斬り上げる。
灼星剣皇が物理的な重さを伴わない為に可能とさせた荒業だ。無論、シンの卓抜した技量があってのものだが。
それでも、仮に両翼が無事であるならば黒竜はこれすらも回避できたかもしれない。
しかし、今、片翼は損傷し機動力を減じている。輝く刃は今度は狙い違わず、黒竜の翼を切り裂く!
「オノレ――!」
既に損傷していた翼とは逆の翼を切り裂かれ、流石の黒竜も飛行状態を維持できず、大地に墜ちる。
だが、ただ墜ちるだけの黒竜ではない。落下しながらも禍々しい炎を口からシンに向けて放つ。
《インフェルノ》と呼ばれる地獄の炎である。
「くっ……!」
咄嗟に跳んでかわすも片腕を掠める。軽くはない傷だ。だが、遂に黒皇竜を大地に降ろす事に成功したのである。
●
大地に降りた黒竜に迫る影がある。有斗だ。彼は駆けながらユーベルコード《鉄の騎士》を発動する。
「誇りある意志は今ここに、現れろ! アング・ロクエン!」
有斗の背後に魔法陣が浮かび、其処から出現する輝く白い甲冑。
彼はその甲冑と融合する様に身に纏い、白い騎士となる。襟から広がる様に現出した赤いマントが翻る。
「喰らうがいい!」
「フン――!」
白騎士は右手と一体化した突撃槍を構え、黒竜に突撃。落下したばかりの黒竜は脚にダメージを与える。
黒竜は怯まず、脚を振るう事で有斗を退けるが、その時には深紅に輝く灼星剣を手にしたシンが猛然と迫っていた。
この時の灼星剣の輝きは今までのものと同じようでありながら少し違うもの。
勇者の伝説を追う過程で得たオーラで剣を強化する方法を取り入れたものだ。
「勇者アルトゥルの剣術、受けてみろ!」
力強い焔のオーラを纏った剣を颯爽と振るうシン。
素早い動きで黒竜を翻弄し、その赤い輝きの一撃一撃が確実にダメージを蓄積させる。
「ソノ剣。ドコカデ見タコトガアルナ」
有斗も負けてはいない。既に体勢を整え、突撃槍での攻撃を繰り返している。
「このまま押し込むぞ!」
「ああ――いや、拙い!」
連携を取って怒涛の攻めを見せる二人に黒皇竜も反撃の準備をしていた。
二人の攻撃を耐え抜き、膨大な魔力を集中。一瞬でその頭上に禍々しく光る球体を出現させる。
「滅ビヨ――」
光る球体が弾け、黒皇竜を中心に大爆発を起こす!
《カタストロフィ・ノヴァ》、黒皇竜の誇る破滅の一撃である。
まともに受ければ猟兵と言えど死を免れない威力。
有斗は咄嗟にシンの前に出て《無敵城塞》を展開し――その刹那の後に二人を襲った衝撃波に吹き飛ばされる。
そんな二人に追撃を行おうとする黒竜だが、そこで有斗の指示で様子を伺っていたカノンとドランが遠距離より牽制の攻撃を行う。
「効カヌ。ダガ、煩ワシイ」
黒竜はインフェルノを放ってカノンとドランを蹴散らす。だが、その隙に有斗とシンは姿を隠すことに成功していた。
未だ黒皇竜は健在。だが、有斗とシンにより黒竜はすでに飛べず、その身にも無数の傷を負っている。
戦いは佳境を迎えようとしている。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
御形・菘
堂々たる威容に思慮深い行動、皇を名乗る資格は十分であるな
お主の落ち度は、勇者ではなく邪神たるこの妾がこの場に来てしまったという、ただ一点の不運に尽きる!
主導権などいくらでもくれてやるわ!
攻撃は避けずに防御して耐える!
爪に尻尾と戦法が同じであれば、真正面から受けてやるのが礼儀であろう?
余裕綽々の表情で痛みは我慢よ、カッコ悪い姿は視聴者には見せられんのでな
さて、妾もお返しであるな
左腕と尻尾で、全力の攻撃を叩き込み続ける!
そのまま接近戦を挑むとしよう
はっはっは、実に動画映えするバトルではないか!
距離をとって炎だとか爆発に切り替えるのは構わんよ
妾に恐れをなすのは当然の反応、寛容な心で許してやるぞ!
茲乃摘・七曜
心情
学習する強者は厄介ですが、猟兵という存在をお教えしましょう
指針
仲間の支援及び黒皇竜への妨害
「まずは、足場の不利を埋めていきましょうか
行動
3重の歌唱で属性攻撃を行使
黒皇竜が破壊した地形を補うように土石を呼び、地獄の炎の延焼を防ぐように流水を放つ
「腕の動きを、脚の踏み込み、動作を見逃さず必要な支援をなしましょう
※相手が飛行を続ける場合は二挺拳銃で翼膜を狙い攻撃を実施
対ノヴァ
流転で捉えた停止した空間自体を盾に仲間をかばうように防ぐ
「魔力の高まりや距離をとる等の行動をしたら要警戒でしょうか?
防御
可能なら回避し、各種耐性と激痛耐性で耐える
「私が注意を引ければ周りの皆さんが動きやすくなると信じましょう
イーファ・リャナンシー
真の姿:身長が6倍化、人間大に変化する
服装はやや豪華に、妖精の王族のような出で立ち
なんだか随分な身長差ね…真の姿を開放してリーチや歩幅を大きくできないかやってみるわ
カタストロフィ・ノヴァみたいな広範囲無差別攻撃はできるだけ喰らわないのが一番
近付くのは敵が攻撃した後にできる隙を見計らってってことにするつもりよ
さすがに1人で何とかできる相手だとは思ってないから、サイキックブラストで敵を攻撃して動きを止めた敵を【全力魔法】で攻撃するか、効果が薄ければ【全力魔法】でサイキックブラストを使ってみるのも良いと思うの
相手の隙を見計らうとは言ったものの、そもそもそういう隙がなかった時は、被弾覚悟で立ち向かうわ
八剱・忍
さあて、どないしたもんやろかねえ。
空に飛ばれっぱなしもアレやしね、とりあえずは地上に降ろさんとな。
……【コミュ力】で、挑発してみよかな?
その口調、勇者とか言う人間に敗けたことあるんやろ。
ほんで、怖ぁて降りて来られへんのちゃうか?
黒竜の名が泣いとるで!
都合よく降りて来てくれたら、【暗殺】で死角に周りつつ接近して、【クライミング】で、片翼の付け根の辺りに跳び乗る算段や。
上手いこといけば、ユーベルコード 【魂喰らい】を発動させて、大鎌の殺傷力上げて、【薙ぎ払い】で、片翼を根本から斬り落とそうと狙うで!
地に堕ちた竜、言うのも雰囲気あってええと思わへんか?
大地に縛りつけたるわ!
●
碧羅の天の下、猟兵達と黒皇竜の戦いは続く。
先程の《カタストロフィ・ノヴァ》の余波で黒竜の周囲は荒地と化し、《インフェルノ》で発生した地獄の炎は今なお燃えている。
地獄の様な光景に立つ手負いの黒竜。その戦意は衰えず、猟兵を睥睨する瞳には力がある。
「侮ッテイタツモリハナイガ……貴様達ハ危険スギルナ」
何としても此処で猟兵達を仕留めると決意を固める。
「堂々たる威容に思慮深い行動、皇を名乗る資格は十分であるな。
お主の落ち度は、勇者ではなく邪神たるこの妾がこの場に来てしまったという、ただ一点の不運に尽きる!」
堂々と言い放つのは御形・菘。リザードマンの大群を一手に引き受けたこの女傑は黒竜相手にも些かも怯まない。
勿論、その黒竜に挑む不羈たる姿を撮影用ドローンが捉えている。
「学習する強者は厄介ですが、猟兵という存在をお教えしましょう」
かつての敗北を糧にする黒皇竜は、強さに胡坐をかく傲慢な強者よりも手強い。
そう評価しながらも、その様な存在すら屠るのが猟兵だ。
それを黒竜にも教えると常と変わらぬ落ち着いた声音で告げるのは茲乃摘・七曜である。
彼女は周囲に浮遊する自律式拡声器『Angels Bit』を展開し、魔法を行使する準備を終えている。
「なんだか随分な身長差ね……」
そう呟くのはイーファ・リャナンシー。
フェアリーの少女である彼女だが、今の身長は人間と変わらない。
豪奢な服装を身に纏い、さながら妖精の王族の様な出で立ちだが、これこそが彼女の真の姿である。
身に秘めた力は増幅し、身長も普段の六倍程になっているが、それでも黒竜の大きさに比べれば誤差の範囲だ。
先程の言葉は自然と漏れたものだが、それで彼女が黒竜を恐れているかと言うとそうではない。
「さあて、どないしたもんやろかねえ」
地上に降りた黒竜。初めに飛行能力を奪う事を考えていた八剱・忍だが、それは既に成った。
では、次はどの様に攻め、追い詰めていくか……悪魔の鍛えた大鎌を握りしめ、冷徹な暗殺者としての思考を巡らせる。
●
まず、動いたのは七曜。二機の『Angels Bit』により増幅されて三重奏となった彼女の歌声が魔法に変わる。
大地を動かし荒地を均し、何処からか湧き出た流水が地獄の炎を消し去る。
「まずは、足場の不利を無くさせてもらいましょう」
「うむ、見事である!」
七曜が均した大地を菘が真っ先に進む。黒竜の真正面への突撃だ。
黒竜は接近する彼女に大地を抉る威力を持つ尻尾を振るう!
「ふん、避けるまでもないわ!」
何という事だろう、菘は彼女の身長以上の太さを持つ尻尾の一撃を真っ向から受け止めようとしている!
ここで彼女のユーベルコード《逆境アサルト》が発動、その真価を発揮する。
今も彼女を撮影するドローン。見栄え重視のこの不利な行動は奇跡の力により彼女の身体能力を引き上げ増大させる!
黒竜の尻尾を受け、身体がバラバラになりそうな衝撃と激しい痛みが彼女を襲うが……数メートル後退りながらも耐える事に成功する。
「ナント――!」
驚愕する黒竜。
「この程度か!」
余裕綽々の表情を浮かべる菘。
激しい痛みが襲っているが、それは痩せ我慢。彼女は邪神(設定)だ。カッコ悪い姿は視聴者には見せられない!
「今度は妾からのお返しである!」
言葉と共に強化された異形の左腕と尻尾による攻撃を黒竜に叩き込む!
「――ヤルナ!」
今度は黒竜の爪が彼女を襲う。臆せず迎撃する菘。壮絶な接近戦が始まる。
「はっはっは、実に動画映えするバトルではないか!」
「貴様ハ何ヲ言ッテイル!?」
流石の黒皇竜も菘の力の根源が映像制作最優先思考とは思いもしない。
「一人相手に夢中になりすぎやろ」
黒竜の意識が菘に集中する。
それを見極めた忍は死角から急接近して黒竜の体を駆け上る!
「魂喰らい――!」
ユーベルコート《魂喰らい》の発動。忍の持つ大鎌が漆黒の炎を纏う。それは魂を喰らう悪魔の大鎌だ。
「二度と飛べんようにしたる!」
片翼は既に切断され、残る片翼も焼け爛れている。その焼け爛れながらも残っていた翼を根元から斬り落とす!
「ルグァアア――――!!」
黒竜の絶叫が響く。
「翼を失った姿、雰囲気あってええと思わへんか?黒竜!」
「オノレ――!」
腕、尻尾を力を振り絞って薙ぎ払い、忍、菘を吹き飛ばす。
そして、二人を纏めて消し飛ばすべく《カタストロフィ・ノヴァ》の発動態勢に入る。
「させないよ――!」
今まさに最大の必殺技を放とうとした黒竜を極大の雷が襲う!
全力魔法の応用で威力を増した《サイキックブラスト》。サイキックブラスト・マキシマムとでも言うべきイーファの一撃だ。
「グガァ――」
流石の黒竜もその動きを一時、縛られる。だが、発動態勢は崩さない。痺れが取れ次第、全てを破壊する!
「滅ビヨ――!」
「これだけ時間があれば十分です」
《封印術式『流転』》。七曜が得意とするユーベルコードだ。
『流転』の秘儀により捕らえられた停止した空間。それ自体を盾の様に仲間の前に展開する。
《カタストロフィ・ノヴァ》の極大の衝撃波が盾ごと破壊せんとするが――停止した時間、その概念を越えることは出来ない。
「今だよ!」
大技を出した黒竜の隙を突き、再びイーファがサイキックブラストを放つ。
硬直した黒竜に突貫する菘と忍。
異形の腕が悪魔の大鎌が黒竜の強固な鱗を砕く。
その後も最後の力を振り絞った黒皇竜の反撃が行われるが――
片や正面から片や死角から攻める菘と忍。雷で牽制するイーファ。戦局を俯瞰して黒竜の大技を潰す七曜。
この連携を崩す事は遂に叶わず、最期の時を迎える。
「これで終わりである!」
菘の異形の左腕が黒皇竜の心臓を貫く!
「マサカ、コレ程トハ。貴様達ハ――イヤ、今ハ我ヲ滅ボシタコトヲ称エヨウ。見事デアル――!」
それが黒皇竜ディオバルスの最期の言葉だった。黒竜は大地に倒れ伏す。
倒れ伏した黒竜をなお油断なく見据え、その死を確認して安堵の息をつく猟兵達。
「なかなかの強敵でしたね」
「そうだね、一人で何とかできる相手じゃなかった」
「なにはともあれ、勝てて良かったわ」
「うむ、大勝利である!」
こうして、強大な力を持つ黒皇竜との戦いは幕を閉じたのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
第3章 日常
『全部終わったら後は宴会だ!』
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POW : 食え! 飲め! 倒れるまで!
SPD : 食べよう、飲もう。誰かに押し付けつつも目分量で。
WIZ : 食べよう、飲もう。但し己の腹のお肉と要相談で。
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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●
黒皇竜ディオバルス討伐。
強大な黒竜を倒した猟兵達は脅威は去った事を、また戦いで負った傷を癒す為に村を訪れる。
村はあの激戦の中で奇跡的に無事だった。
それは猟兵達が守ろうと黒竜を村から引き離しながら戦った成果でもあり、勝利を前提としていた黒竜自身が守るべき村を失った場合に猟兵達が逃亡をすることを嫌って村への攻撃を避けた為でもある。
鳴り響く戦闘音で生きた心地がしなかった村人達だが猟兵達の言葉に従い、避難していた村奥から出てくる。
そこで彼等が見たものは倒れ伏した巨大な黒竜の骸である。
「これは……」
「こんな巨大なドラゴンを倒したのか……?」
「竜殺し、ドラゴンスレイヤーだ」
「凄いぞ!」
ドラゴンスレイヤー。竜を討伐した者を称える称号である。
村の危機を救い、竜殺しの偉業を成した猟兵達を称える村人達。
彼等はせめてものお礼にと、宴会を開いて猟兵達を労いたいと申し出る。
=================================
第2章までお付き合いをありがとうございました。
皆さんのお陰で黒皇竜を倒し、第3章まで来る事が出来ました。
第3章は戦勝の宴です。
皆さんは英雄ですので好きに過ごしてもらえればと思います。
出てくる料理を平らげたり、黒竜との戦いを語ったり(村人はとても聞きたがっています)
リプレイですが、自動的に大成功となります。
クリア条件の関係で最初に頂いたプレイングの失効日の夜に纏めてお返しする予定です。
よろしくお願いいたします。
八剱・忍
おー!豪勢な料理てんこ盛りやなあ!
ほないっちょ、がっつりご馳走になろか。
これも美味そうやし、あれも美味そうやし、あっちのも捨てがたいなあ……っと、取り皿山盛りなってもた。
まあ、またおかわりしたらええな。
いただきまーす!(がっつく)
あとは飲みもん飲みもん……、果実ジュースでええか。
お、あっちでなんやらカンパイの音頭みたいなん聞こえるやん!
盛り上がってるみたいやし、ちょいと交ぜてもらおかな!なんの話やろ?武勇伝やろか、地元ネタやろか。
なんにしても【コミュ力】バリバリやで!
ベルンハルト・マッケンゼン
アドリブ、他参加者との絡み大歓迎!
【POW】
独り、酒場に。
マスター、ウィスキーをダブル、ロックで頼む。
……栄えある戦闘と、誉れある負傷に。
(痛む肩に苦笑し、グラスを掲げ味わう)
勝利の美酒、仕事の後の一杯は最高だ。
しかし勇者とは、全く縁起が悪い。
私が戦場で出会った勇者達は、大抵悲惨な最期だった。
リュッツェンのパッペンハイム、ゲティスバーグのアーミステッド、シュガーローフのコートニー……
皆、最高の勇者達だった、な。戦術的に…フッ。
(グラスを飲み干し、立ち上がる)
美酒に感謝を、マスター。傷も、癒された。
……あぁ、チップ代わりだ。良ければ、飾ってくれ。
(代金の隣に黒竜の大鱗を置き、そのまま立ち去った)
鈴城・有斗
強かったなぁ・・・
けど、みんな無事に済んで良かった良かった。
とりあえずカノン、ドラン、ラティの様子を見て、大丈夫そうなら宴会に混ざりに行こう
カノンは食べれないから、左手のバイオリンもどきで演奏でもして盛り上げてもらおうかな
僕とラティとドランは演奏を聴きながら食事
話しかけてくる村人が居れば戦闘の激しさとかラティ達の食べっぷりとか色々話題には事欠かない筈
味方の使った目立つ攻撃の話とか盛り上がりそう
村人や他の猟兵にディオバルスの骸の取り分けを提案してみる
もらえる部分があるならもらえる分だけアイテムボックス(仮)の倉庫スロットに収納する
竜の素材なんて使い道色々ありそうだもんなぁ
アドリブ・絡みアリです。
御形・菘
お疲れ様であったな、皆の衆よ!
妾は戦いを村人たちに楽しく語るとしよう
録画していたから、映像そのままを見せることもできるのだがな
それだけでは面白くあるまいて、なあ?
せっかく当事者たちが居るのだから、本人出演の豪華な寸劇仕立てでドラマチックにしてみようではないか!
トドメを差すところは無理だが、なんなら妾が黒竜役を務めようか?
あ゛~、んんっ、サア来イ、勇者ヨ!(それっぽい声を出してみる)
はっはっは、見る者聞く者すべての心を、感動で強く揺り動かすことができたであろう!
ならば次は、如何なる時でも希望はある、勇者は居るのだと、広く永く語り継ぐがよい!
茲乃摘・七曜
心情
ドラゴンの起こす事件もほんとに増えましたよね
…とはいえ、今はご好意を楽しみましょうか
指針
黒皇竜との戦いを語り弾く
「さて、吟遊詩人の真似は久しぶりですが……錆び付いていないと願いましょう
行動
黒皇竜との戦いを派手に盛り上げつつ上演
魔法技能を用い、光【属性攻撃】【範囲魔法】で情景を幻影で再現
「……蛇燐の魔物が打ち倒され、ぽっかりとひらけた落ちるのは影。皇の名に恥じぬ黒き竜が身体に纏う翠石を煌かせながら重厚なる声を響かせる
(これって、自分も謡う対象なのはなかなかに恥ずかしいですね…!)
演奏終了後
宴会の端に逃げて飲み物を飲みながらのんびりと過ごす
「それでは、竜殺しの英雄は皆さんに任せてしまいましょう
シン・コーエン
【SPD】で
【心情】村一つ犠牲が出てしまったのは残念だが、この村まで被害に遭わなくて済んだのはせめてもの慰めか。亡くなられた村人に鎮魂の祈りを無言で捧げる。
・・・では、この村の心尽くしの宴をありがたく楽しもう♪
普段の快活な表情に戻り、(未成年なので)料理を楽しむ!
「連戦で腹がすいているし、この料理はどれも旨そうだ♪いただきます。」
と肉中心に食らいつきます。
村人から戦闘の話を請われれば、「あの黒竜は邪悪だったが、頭は切れた。正しく強敵だったよ。」と強敵に対する敬意は忘れずに、できるだけ正直に話す。
後は、勇者アルトゥルの故郷で身に付けた剣術について、その辺にある棒を使って再現して、話を盛り上げる。
●
リザードマンの大群とそれに続く黒皇竜の襲来。それは王国辺境にあるタラトの村の歴史上、未曾有の危機であった。
そもそも黒皇竜の存在を考えなくてもリザードマンの大群のみでタラトの滅亡は確実だっただろう。
ところが数名の勇敢な猟兵達の参戦し、圧倒的多数のリザードマンを壊滅させる。
村奥に隠れて様子を窺っていた村人達もこれには湧いた。助かったと。
だが、その直後に大地を震わせる咆哮と共に現れた黒皇竜。遠目にも分かる威容を誇った黒竜の出現に村人達は再び絶望する。
しかし、猟兵達はこの強大な存在すら激戦の果てに討ち取ったのだ。
村人達は歓喜を爆発させる。命の恩人であり竜殺しの英雄である猟兵達を労いたいというのは当然の感情だった。
●
タラトの村は大きな街道に面しており、この規模の村としては裕福である。
また、頻繁に商人も立ち寄るので物資も豊富だ。その蓄えを惜しみなく使って猟兵を称える宴の準備がなされている。
その様子を見ていた御形・菘が共に戦った仲間達に声を掛ける。
「お疲れ様であったな、皆の衆よ! 妾は戦いを村人たちに楽しく語るとするが……」
村長から宜しければ武勇伝を聞かせて欲しいと猟兵達は請われている。勿論、菘もだ。
戦闘を配信用に録画していたので、それをそのまま見せる事もできる。だが、それでは面白くあるまい、と彼女は言う。
「せっかく当事者たちが居るのだから、本人出演の豪華な寸劇仕立てでドラマチックにしてみようではないか!」
ドラゴンスレイヤー本人主演の黒竜退治の劇。盛り上がらないはずがない。
村人達は今日、随分と恐ろしい目にあった。その恐怖を英雄譚の希望で塗り潰そうと猟兵達は同意するのだった。
●
村人達の宴の準備が終わった頃、猟兵達の寸劇の打ち合わせも終わっていた。村人達に上演を告げる。
思いもしない演劇の上演に歓声を上げる村人達。広場に老若男女を問わず集まってくる。
「さて、吟遊詩人の真似は久しぶりですが……錆び付いていないと願いましょう」
演劇の音響、照明、そして幕間の語りから英雄の一員としての出演までこの劇で一番忙しいのは茲乃摘・七曜だろう。
彼女はその魔法で情景を幻影で再現する。
リザードマンとの激戦から始まった物語は黒皇竜の出現で佳境を迎える。
「――蛇燐の魔物が打ち倒され、ぽっかりとひらけた落ちるのは影。皇の名に恥じぬ黒き竜が身体に纏う翠石を煌かせながら重厚なる声を響かせる」
朗々とした声で英雄譚を紡ぐ七曜。
堂々とした様子の彼女だが(これって、自分も謡う対象なのはなかなかに恥ずかしいですね……!)とか考えている。
黒皇竜の出現――そこに現れたのはちょっと黒皇竜っぽい格好をした菘だ。
「んんっ、サア来イ、勇者ヨ!」
声も威厳のある感じにしてノリノリである。そして始まる大立ち回り。最初は黒皇竜の猛威に苦戦する猟兵達。
「負けるな―!」「頑張ってー!」
猟兵達に子供達の応援の声が飛び、次第に形成は逆転していく。
そして最後には――
「見事デアル――!」
と黒皇竜(菘)が打ち倒され、終幕となる。村人達からの拍手が鳴りやまない盛り上がりを見せた。
「はっはっは、見る者聞く者すべての心を、感動で強く揺り動かすことができたであろう!
ならば次は、如何なる時でも希望はある、勇者は居るのだと、広く永く語り継ぐがよい!」
カーテンコールで自信たっぷりに語られた菘の言葉は多くの村人の心に残るのだった。
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猟兵達による演劇が終わり、いよいよ宴が始まる。
広場には大きなテーブルが幾つも並べられ、その上には様々な料理が並ぶ。
演劇の興奮冷めやらぬ村人達も感想を言い合い、たいへんな賑わいだ。
料理の数々を見て八剱・忍は目を輝かさせる。戦場では冷徹な戦士だった彼女も今は年相応の表情だ。
「おー!豪勢な料理てんこ盛りやなあ! ほないっちょ、がっつりご馳走になろか。でもかめへんの?無理してへん?」
「大丈夫ですとも。これらは皆さんがいらっしゃらなければ灰になっていたもの。遠慮はご無用です」
料理に目を奪われながらも村の懐具合を気に掛ける忍だが、返って来た答えは遠慮するなというもの。
ここは好意を素直に受け取るのが良いと忍はあちらこちらに移動して取り皿に料理を盛って行く。
「これも美味そうやし、あれも美味そうやし、あっちのも捨てがたいなあ……っと、取り皿山盛りなってもた」
「いくらでもおかわりして下さいね」
「そうやね。じゃあ、いただきまーす!」
勢いよくガツガツ食べる忍。彼女が山盛りとなった一枚目の皿を食べ終えた頃、ワッと歓声が聞こえる。
「なんや、盛り上がってるみたいやな。なんの話やろ?武勇伝やろか、地元ネタやろか」
ちょいと交ぜてもらおうと歓声の聞こえた方に足を向ける。彼女はごく自然に人の輪に入り、一緒に楽しむのだった。
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鈴木・有斗の所持する妖精型の人形、カノンが左手のバイオリンもどきで演奏を行っている。
その演奏を聴きながら有斗は食事をする。彼の周りには槍竜のドラン、モーラットのラティもいる。
「黒皇竜、強かったなぁ…… けど、みんな無事に済んで良かった良かった」
カノン、ドラン、ラティの様子を見て目を細める。
そんな有斗の周りにはいつの間にか村人達が集まってきて彼の話を聞きたがる。
黒皇竜との戦いからラティ達の食べっぷりまで話題には事欠かない。彼の周りでは穏やかな時間が過ぎていく。
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料理の並べられたテーブル。その前で黙祷を行ってから食べ始めたのはシン・コーエンだ。
彼は助けられなかった村の存在に心を痛め、犠牲になった者達に無言の鎮魂の祈りをしていたのだ。
だが、祈りが終わればこの村の心尽くしの宴をありがたく楽しむ。そうした切り替えも出来るシンだ。
戦場では厳しかった表情も普段の快活なものに戻っている。
「連戦で腹がすいているし、この料理はどれも旨そうだ♪ いただきます」
肉中心にどんどん食べていくシン。そんな食べっぷりを見て村人達が寄ってくる。
村人達は英雄であるシン達の話を聞きたいのだ。
それを快く受け入れるシン。彼等の一番の関心はやはり黒皇竜だ。
「あの黒竜は邪悪だったが、頭は切れた。正しく強敵だったよ」
強敵に対する敬意を忘れずに、あくまで正直にあるがままを話すシン。その人柄は村人達に好意的に受け止められる。
その後は勇者の話になり、以前、勇者アルトゥルの故郷で身に付けた剣術についての話となる。
勇者アルトゥルはこの国出身の勇者であり、村人達も名前は知っている。
シンが木の棒を使って勇者の剣技を再現すれば、大歓声が生まれるのだった。
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宴の会場。その端の方で静かに飲み物を飲んでいるのは七曜だ。彼女は演劇終了後、素早く目立たぬように此処に逃げてきている。
「竜殺しの英雄は皆さんに任せてしまいましょう」
と言うのが嘘偽りのない彼女の心境だが、村人達は見逃さない。
大人達は彼女の心情を察して遠巻きに不都合がないかを気にかけているだけだが、子供達はお構いなしだ。
「お歌唄って~」「さっきの凄いやつ~」
どうやら、先程の演劇で彼女の歌のファンになったよう。
「仕方ありませんね」
会場の端にしばらく美しい歌声が響くのだった。
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会場に面した酒場。そこで静かに酒を楽しんでいるのはベルンハルト・マッケンゼンだ。
「マスター、ウィスキーをダブル、ロックで頼む。 ……栄えある戦闘と、誉れある負傷に」
痛む肩、名誉の負傷に苦笑しながら酒を味わう。
「勝利の美酒、仕事の後の一杯は最高だ。しかし、あの黒竜、勇者とは、全く縁起が悪い。
私が戦場で出会った勇者達は、大抵悲惨な最期だった」
「……そうなのですか?」
「ああ、リュッツェンのパッペンハイム、ゲティスバーグのアーミステッド、シュガーローフのコートニー……
皆、最高の勇者達だった、な。戦術的に…フッ」
知らない名前だが、ベルンハルトの表情は何かを懐かしみ思い出しているようでもある。
酒場の店主は黙って見守る。やがて酒を飲み干したベルンハルトが立ち上がる。
「美酒に感謝を、マスター。傷も、癒された。 ……あぁ、チップ代わりだ。良ければ、飾ってくれ」
「これは……! 宜しいのですか?」
黒竜の大鱗を置いて立ち去るベルンハルト。店主の問いへの答えは肩を竦めたのみだ。
そもそも今日の宴では飲食物は猟兵達には無料で提供されるのだが、それはベルンハルトも分かっている。
その上で美酒の感謝を示したかったのだろう。
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そして、夜が明ける。
有斗が他の猟兵、そして村人に黒皇竜の亡骸の取り分けを提案する。
オブリビオンは死後、幻の様に消えてしまうタイプと現実に残るタイプがあり、今回の黒皇竜は後者である様だ。
竜の亡骸、その素材には大変な価値がある。
猟兵の中には興味のある者、ない者とそれぞれだったが、最終的には全員が納得する形で分配される。
村人達は自分達には権利はないと遠慮したが、一部の猟兵が宴の御礼だと受け取らせたようだ。
これにより、村の財政は宴で減るどころか増える事になる。村人の猟兵達への感謝は天井知らずだ。
村人達に見送られ帰還する猟兵達。新たなドラゴンスレイヤーの話がこの辺り一帯に広まるのはこの少し後の事だ。
大成功
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