【1:1】迷子と時計兎
逢月・故 2021年12月16日
見上げれば、晴れ渡る青空。
周囲を見れば、見渡す限りの多種多様な赤薔薇が咲き乱れる。
其処には、まるで果てなどないようだった。
入り組んで、ぐるぐるぐねぐねと曲がりくねった道。
背の高い薔薇の生垣。
所々に飾られたトランプのスートの石像。
勘の良い者ならば、これが迷路と呼ばれるものであることに気が付くだろうか。
そんな中に、不意に。
青年がひとり、姿を現した。
🌹🐰
黒兎の帽子屋と、迷子のバス停
1
フィッダ・ヨクセム 2021年12月16日
(ととん、と靴音を鳴らして。それからきょろきょろと周囲を見て……)
……あれェ?此処、もしかしなくても知らねェトコかも。
知ッてるトコに跳んだつもりだッたんだがなあ、んんー……。
(さて散歩するにも知らない場所だと困る)
だーれか、居たりしねェかなァ……?
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逢月・故 2021年12月16日
(静かな其処には、恐らく誰か居るようには見えないだろう。だが、くすくす、ひそひそ、笑いさざめく微かな音が彼方此方から聴こえるかもしれない。それは、花々の、鳥たちの、虫たちの笑い声に他ならない)(……が、彼らは大抵意地悪だ。例え相手がそれに気付いて話し掛けても、さも自分たちは普通の草花ですよとでも言いたげに口を噤むだろう)(辿り着いた道は三叉路、中央に立つ巨木には「UP」「DOWN」と看板が掛けられているばかりで、道を示すものは何もない)
逢月・故 2021年12月16日
(もしかすると、)(迷いに迷った君が声を張ったなら、耳の良い誰かさんが見付けに来てくれる)(かもしれない)
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フィッダ・ヨクセム 2021年12月16日
(小さいけれど声はする。あっちだ、こっちだと教えてくれるがまとまりがない)(当たり障りなく、もしくはストレートに馬鹿にされている気はするし、言うこと聞いて進んでいくのは少々危ないかなあと思うものの……)へえ、看板あるのは優しい事で。でも、これ設置できるならやはり誰かはいるんだよなあ?俺様、……遊ばれてる?(大きめにため息)(これはきっと迷路だろう。変な所に迷い込んでしまった)
フィッダ・ヨクセム 2021年12月16日
ほんとうに、だれか、いないか!
(小声に負けないように、少しアピールしてみよう)(それで、だめなら、声に遊ばれるのもまあ、悪くない)(かも)
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逢月・故 2021年12月16日
(ぴく)(相手の居場所から随分と離れた其処で、花々とお喋りをしていた黒兎の長い耳が動いた。これでも、この国の人々の顔も声も名前も全て一致する有能な兎さんなのだ。聞き覚えのない声。恐らくは、若い男。まだ少年に近い、だろうか?)(「迷い花たちが遊んでいるのよ」「知らない子が来ているの」「まあ、この赤薔薇の女王陛下の庭園に?」「巡回のトランプ兵たちに見付かったらうるさいぞ」「あらあらまあまあ、それはちょっとかわいそうよ」「ねえ、帽子屋さん」「ねえ、紳士な黒兎さん」)(花々が、鳥たちが、一斉に話し出す。それにぱたりと耳を垂らして伏せた黒兎は、はいはい、と軽く返事をして)
オレにお迎えに行けって言うんでしょー、もう。黒兎さん使いが荒いんだから。ま、行くけどね! (だってオレは黒兎の帽子屋さん、ステキな時計兎だもの!)(とん、と靴裏で地面を叩くと同時、穴に落ちるように黒兎はその場から姿を消した)
逢月・故 2021年12月16日
(一拍)
逢月・故 2021年12月16日
(唐突に、相手の真後ろの空間から黒兎がひょいと顔を出す)
あ、居た居た。キミ、女王陛下のお客サマかい? (窓の向こうから顔だけ出すようなそれは、相手から見ると生首に見えなくもない。長い兎耳がひょんと揺れていた)
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フィッダ・ヨクセム 2021年12月16日
(――んにゃあ!?)(背後からの声掛けは、とてもへんな声が出そうになるくらい驚いた)(すんごく驚いたけれど表情だけにとどめて言葉はぐぐっと飲み込んで)……え、ええと、うん……?
お客様、ううん違う。どちらかといえば不法侵入の迷子チャンデスかね。なあ知らないアンタ、此処に詳しい?(とても良いお耳のヒトデスね、と阿呆な事を言いかけたのもぐぐっと飲み込んで)
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逢月・故 2021年12月16日
ありゃ、そりゃ大変。(相手を驚かしたことも気にせず、ひょい、と軽く窓枠を乗り越えるような気軽さで空間の隙間からその場へ降り立った黒兎は、片手で押さえた帽子を被り直しながら)
とりあえず、キミ、グリモア猟兵っぽいし着いておいで。そろそろ此処はトランプ兵たちの巡回があるからね。入園記録がない子が居ると取り調べになっちゃうよ。(多分、他所の世界の猟兵、それもグリモア持ちだと即座に当たりを付ける。少し前にも、この庭園で迷子のグリモア猟兵を保護したばかりだ。どうも、事故でこの国に飛ぶグリモア持ちは、この庭園に落ちやすいらしい)
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フィッダ・ヨクセム 2021年12月16日
巡回、だと……やや物騒なトコだッたのか(通りでなんとなく手入れされまくってる場所だと)(むしろ手入れされすぎてるくらい)俺様が此処に迷い込んで出会ッたのはアンタだけ(見るからに"こういうのに"慣れてる時計ウサギな予感がする)……まあうん、助けてもらえると、とてもありがたいかな。野生のグリモア猟兵が迷子してたとか吹聴しないでくれるならまあ、とてもありがたい感じ!(着いていく、と二つ返事で)(困っていたのは、真実なので)
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逢月・故 2021年12月16日
此処は我らが赤薔薇の女王陛下の庭園だからね、そりゃあトランプ兵たちも巡回するさ! (楽しそうな声が、まるで演劇の一幕のように高らかに告げる。我らが麗しの赤薔薇のための庭園、王城のお膝元。それは勿論、兵士たちも巡回するというものだ。とはいえ、自分は好きに出入り出来る権限があるし、自分が他の誰かを連れていてもトランプ兵たちには誰何する権利がない。この国での黒兎の帽子屋さんは、なかなか権限がある立場なのだ)
あは、だいじょーぶ! オレが色んなトコで野良グリモア猟兵を拾うのは、これでかれこれ4回目だからね! 慣れっこってヤツさ。嗚呼、そうそう。多分オレから少し離れるとあっという間にまた逸れて迷うから、気を付けるんだよ? (この庭園は、惑わせ迷わせる力が働いている。ので、ちょっと距離が空くと途端に迷子に逆戻りの可能性が高い。言うが早いか、黒兎は軽い足取りで歩き出した。長い髪がふわふわんと揺れる)
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フィッダ・ヨクセム 2021年12月16日
庭園。女王陛下……あー、なるほど。警備も広さもお手入れも、アリアリなのも納得だわ、ヒトんちに迷い込んだ俺様が悪い。
(かいつまんだ言葉から始まる連想ゲーム)
4度?……それはそれで大丈夫ではないのでは。アンタもの拾いに慣れすぎだろ…。たしかに俺もモノですけども……!(じゃあ耳が良いんだなあ、と感心いっぱい。先を歩くウサギさんに置いてかれまいとついていく)(離れ過ぎるといけない気がした)(こういうときはウサギさんを頼るに限る…!)
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逢月・故 2021年12月16日
何かねぇ、グリモア猟兵が事故転移するとこの庭園に落ちやすいみたい? (小首を傾げると、長い兎耳がひょんと揺れた。不思議だねぇ、なんて言いながら、当たり前のように迷子防止にと相手に手を差し出した)(繋げと)(もし素直に繋ぐなら、低い体温と、骨張って細い男の良く使い込まれた職人の手が分かるだろう)
だってオレは時計兎だからね! 時計兎はアリスを導く者だもの、アリスじゃなくたって迷子は安全にお家に帰してあげなきゃ。
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フィッダ・ヨクセム 2021年12月16日
転移先は、ピンポイントな場所じャなくて大雑把だからなあ。真面目にやッても不慮の事故っつーのは、まあ稀にある。この庭園の事情は大まかに分かッたケド、アンタみたいなヒトがいなけりャ毎回大騒ぎだろ。なんだ、働き者なんだなあ?(差し出された手に、一瞬キョトンとした顔を)(迷子防止の提案を、ぎゅっとすることで返答代わり)
……成程?普段の仕事の方も真面目サンか?なら余計に頼もしいね。導くお仕事も、アンタのお仕事のひとつ、ッてことか兎耳のにーさん?
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逢月・故 2021年12月16日
うーん、たまには誰か捕まってるかもしれないけど、別に取り調べだけで済んでると思うよ? (あっけらかんと。自分の目の届かない場所で誰かしら捕まったとしたら、まあそれは仕方がないので大人しく不法侵入者として取り調べられて欲しい。自分が居たら同じ猟兵の誼で引き取るけれど)(手を繋いで、慣れた様子で薔薇の迷路を歩む。何処までも何処までも続く薔薇の生垣。香り高い赤薔薇。慣れぬ者なら、迷うばかりか惑わされて己の足元すら危うくなるだろう)
ま、そんなトコ。って言っても、オレの本業は帽子屋だし、こっちは居合わせた時だけかな。……と、そうそう。オレは故。逢月・故。この赤薔薇の女王陛下の治める国の黒兎の帽子屋さんだよ。ご覧の通りの時計兎。(兎耳のにーさん呼びに思い出したように、名を名乗る)
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フィッダ・ヨクセム 2021年12月16日
そりャそうだろうよ、アンタが全員救えてたら、巡回の頻度だッて少なくて済むだろ。それくらいなら、俺様にだッて分かるんだぜ?(自分が取り調べされてたとして答えられる事はあっただろうか、とぼんやりと)(軽く頭を振って考えないふり)
(本当に慣れた足取りだ。迷いがない――)帽子屋サンの、……故。兎サン。ハハハ、笑うのは失礼だと思うんだけども、見た目通りのお仕事が本業なんだな。良い忘れてたけども助けてくれて、ありがとう故。俺様、迷子のグリモア猟兵、フィッダ・ヨクセム。一応ヤドリガミだよ、ええと、標識の。(バス停、と素直に言ってあまり通じたことがないのでぼかした)
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逢月・故 2021年12月16日
まぁねぇ。でも、我らが女王陛下のお膝元だもの。グリモア猟兵の事故があろうがなかろうが、巡回頻度はあんまり変わらないと思うよ。(進んだ先にあった大木を、コン、コココン、コンコココン、とリズミカルにノックすると、最初から其処に扉があったかのように扉が浮かび上がって、がちゃりと開く。その中に当たり前のように歩を進めながら)
そ、分かりやすいでしょ。
あは、自分で迷子のグリモア猟兵って名乗っちゃうんだ? フィッダちゃんね、覚えとくよ。ヤドリガミ、確か百年の器物だっけ。(誰彼構わずちゃん付けする黒兎は、相手も勿論ちゃん付けした。標識、と言われると興味深そうにしつつ、己の出自的にヤドリガミという種族自体には少しばかり親近感があった)
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フィッダ・ヨクセム 2021年12月16日
そういうもん?……ああ、そッか。猟兵以外にもアリスが来ることもあるだろうしなァ?(当たり前のように不思議なウサギ穴を先導するさまも、あまりに手慣れすぎて驚きが追いつかない)
(よし、誤魔化すように笑っておこう)
偶然にも迷子してたのは事実だからな、その方がわかりやすいだろ(ちゃん付けでも特に気にせずに)そう、これでも長生きしてる系の器物のひとり。刀とか、ハサミとか、色々いるなあ。俺様の本体は……バス停なんだけどね、故は、知ッてる?(知らなくても標識の一種だし、と言い含める気満々で。興味を向けられるとさらりと話してしまう悪い癖がでてしまう)
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逢月・故 2021年12月16日
アリスが落ちて来ることも、オウガが入り込むこともあるからねぇ。(基本的に、この世界は見た目こそメルヘンだが、その実態はダークセイヴァーと大差がない。国が幾つも幾つも興されては、幾つも幾つもオウガによって亡びて行く。アリスが何人も何百人も迷い込んでは、帰る扉すら見付からずに喰い散らかされて死んで行く。国を護ろうと、国の要である女王陛下を護ろうと思えば、兵士たちに手を抜くという言葉はない)(扉の向こうの上も下もない空間は真っ暗で、伸びた枝葉がきらきらと煌めいて明かりと化し、何処を踏んでいるかも定かではない空間には黒兎が歩くのに合わせてピアノの鍵盤のような道が出来て行く。踏めば、ぽろん、ぽろろん、と楽しげな音が流れた)
まあ確かに迷子だったしねぇ。……バス停、ってあのUDCアースとかにあるヤツだよねぇ
。………………、……迷子のバス停……。(ぼそり)(思わず)
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フィッダ・ヨクセム 2021年12月16日
そういわれると千客万来だなァ、あの庭園。そりャあたまにグリモア猟兵だッて迷い込む…(国と国の境目をすいすい歩くウサギさんがいてもいなくてもいついかなる時も警備を欠かせないのも、納得)
(黒兎に連れられて、別の国に入り込んだのは直ぐにわかった。嗚呼此処もまた不思議の世界。この国もあの国も、不思議だらけ)(危険と隣り合わせだけど)(――面白いな)
そうだぞ、UDCアースとかに在るやつ……の、仲間?みてェな身の上だよ。……故?なんか、言ッたか?バス停だッて露頭に迷うんだぞ。(何故か自信満々に)
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逢月・故 2021年12月17日
彼処で迷って惑わされていてくれれば、城に行く前にトランプ兵たちが先に見付けるからねぇ。(合理的な造りだ。だからこそ、特定の許可を持った者たち以外があの庭を歩くと、それはもう盛大に迷うのである)(相手の足元も、ぽろんぽろろんと楽しげな音楽が奏でられる。時折流れ星のように金平糖が落ちて来る兎穴の中を歩けば、次の国へは直ぐだ。向かうは、良く猟兵たちの窓口となっている不思議の国のひとつだ。其処まで辿り着ければ、相手も周辺に覚えがあるだろうから)
ふぅん、そういうのも百年以上遺るんだねぇ。標になるべきバス停が迷子は、ちょっとシュールじゃないかい? しかも迷子どころか路頭に迷っちゃうんだ? (自信満々なそれに、くすくすと笑う楽しげな声。そのまま、相手の手を掴んだまままるで社交ダンスか何かのように勢い良くくるんと身軽にターン)(そのターンの先、相手の目の前には真っ暗の中に浮かび上がる扉がひとつ)
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フィッダ・ヨクセム 2021年12月17日
外敵、珍客迷子から、女王陛下を護る為でもあると(なるほど良くできている堅牢な仕組みだ)
……こんなにキラキラ愉快な道を歩いたのは初めてだよ、なんならウサギ穴通るのも始めてだわ。すげえ道、あるんだなあ。
(楽しいと驚きの二重奏だ、散歩のつもりが不思議の山盛り)(これはこれで、良かったのかも知れない)
俺様はちと他のヤドリガミとは事情が違うかもだけどな、ヒトもモノも何が自分に降りかかるかわからねえモンだよ。UDCのバス停とは、役割が違う。俺が道を示すべきは、車じャなくて…猟兵な気はしてる。今日はアンタがいた。なあに仕事はどこでもしてるのさ。迷子しててもさ。
(されるがままに、くるくるり)(なんだか見覚えがある気が)
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逢月・故 2021年12月17日
ま、この国にオウガが入り込むなんて滅多に有り得ないんだけどね! (何しろ、この国は女王陛下の堅牢な荊の結界に覆われていて、兎穴を使うか、グリモアを使うか、正しい手続きで入国するか、真っ向から結界をぶち破るか、くらいしか入り込む隙がないのである)
兎穴は開く兎によってもその日の穴の気分によっても変わるからねぇ、今日はピアノの気分だったらしいよ。甘いものも欲しかったのかな。(落ちて来るきらきらした金平糖を掌で受け止めて、口に放り込む。甘くて美味しい)
なるほどねぇ、流石グリモア持ち。ま、このアリスラビリンスで誰より自由に導くのはオレたち時計兎の役目だけどね! ってワケで、お届けだよー。(笑って、がちゃりと開いた扉の向こうに相手をぽいっと放り込んだ。繋いでいた手が離れる。其処は、相手も見たことのある何処ぞの国の広場であることだろう)
逢月・故 2021年12月17日
んじゃ、またねー。(ひらひらり)(扉の向こうで手を振って、黒兎はまた身軽に兎穴を通って帰って行くだろう)
(🌹)
フィッダ・ヨクセム 2021年12月17日
女王陛下がいるなら、敵が入り込んでくるなんてまず赦されないだろうしなあ……薔薇と茨、それから迷路。迷子を何度もしねェように、覚えておくよ(そう何度もうっかりで遭難したくないものだが)(稀というのはたまにある)
へえ、知り合ッた時計ウサギもアンタが初だ。不思議の穴もウサギの気分もその時で色々か。はは、面白いな(甘いもの、と聞いて過剰に反応しそうになったが我慢)グリモア猟兵も万能じャねえからな、危険が隣り合わせだと転送の術式が起動できなくてお手上げなんだよ。ウサギのが自由、大いに認めるところだぜ。
フィッダ・ヨクセム 2021年12月17日
(――ぽい、と扉の向こうに放られる。ひんやりした手をひらりと揺らしている姿が見えた。向こうに見えた先の国は平和な国だから、あそこからなら帰れる予感がする)
此処まで連れてきてくれて、マジありがとう!
ゆえ、またなー!
(ぴょこっと耳と尻尾が生えた子供の姿へ見た目をかえて、ぶんぶん元気に手を振った。元気に返事をするにはこの姿が一番だと思ったのだ)(ちらりとあちらが見ていたなら、ちょっとくらい驚いたかも知れない)(これは黒い兎に対するお礼の気持ち、バス停からの趣向を返した驚きを与える悪戯攻撃だ)(不思議な不思議な迷子は帽子屋の兎のおかげで無事に元の世界に帰っていける――)