【1:1】親愛なる妹分へ
水那母・みちる 2021年9月17日
オレと一緒にいてくれて、笑ってくれて
それから兄のように慕ってくれて……
共有する時間はいつだって煌めいていたし
本当に嬉しかったんだ。
だからこそ、言わなきゃいけないと思った。
『話があるんだ。事務所で待ってる』
シンプルな文面で君を呼び出した。
昼下がり、帝都の或る探偵事務所にて。
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お相手:
フラン・スティレット(f09009)
1
宵雛花・十雉 2021年9月17日
(事務用の椅子に背を預けながら、そわそわと足で椅子を左右に動かす。急な話で驚かせてしまうだろうか。そもそも来てくれるだろうか。いや、彼女ならきっと来てくれると思う)
(様々な思考が次から次へと湧き出てくる)
フラン・スティレット 2021年9月19日
……十雉。(ひょい、と影から顔を覗かせた。呼び出したからには客も居ないだろうと、遠慮なく立回る)来たけど。……話って、なんだよ。(兄貴分の前で、腰に手を当てて問う。ふと彼に視線を向ければ少しの違和感を覚えて、ぱちりと瞬いた)
宵雛花・十雉 2021年9月24日
うわっ
……!?(考え事に耽って、声をかけられるまで気付かなかったようだ。慌てて椅子から飛び上がって)
ふ、フラン、いつの間に……!(胸に手を当て、息を整えながら言葉を探す)えっと、来てくれて有難う……ありがとな。好きな場所座ってくれよ。上手く説明できないかもしれないんだけどさ……
フラン・スティレット 2021年9月25日
何を驚いてんだか。……変な十雉。(どかりとソファに腰を下ろし、ゆったりと背を預けて。――前髪について茶化そうと思ったけれど、普段と異なる様子を察して止めにした)……ま、いいや。よくわかんないけど、付き合うよ。予定もないし。……なあ。終わったらさ、なんか飯食わせてよ。(甘えたなのはいつものこと。当然のように言い捨てる)
宵雛花・十雉 2021年10月2日
!……おう、任せとけ!(普段通りの彼女に安堵する。自分もまたいつもの調子で返し、改めて彼女に向き直った。うろうろと言葉を探していたかと思えば、何かを決心したように口を開いて)
あのさ……オレ、フランに兄ちゃんって呼んで貰えるのが嬉しくて。冗談言ったり甘えたり、笑ってくれたりするフランを見てるうちに、がっかりさせるのが凄く怖くなった。(どうやったら上手く話せるかなんて分からないけれど、ありのままを話そうと思った。組んだ両手の指に力が込もる)
本当のこと話したら、フランが離れていくんじゃないかって思ったんだ。けどさ、嘘ついて好かれてもフランのことも自分のことも騙してるみたいで……そんなのは嫌だ。だから、話そうと思う。(心臓が早鐘を打つ。自分にとっては紛れもなくここ一番の大勝負だ)
宵雛花・十雉 2021年10月2日
オレ、ほんとは男らしくなんてないし強くもない。地味で根暗で、ただ背がでかいだけの見掛け倒しなんだ。そんな自分が嫌で変えたくて、ずっと派手な格好して自分を大きく見せてた。
こんなオレじゃ兄ちゃんって呼んで貰うには頼りないかもしれないけど……だけどいつかフランの兄ちゃんとして相応しい男になれるように、強くなりたいって思ってるから。だから……
(そこまで言うと、はっと気付いたように)
ご、ごめんね。いきなりこんなこと言って困らせちゃったかもしれないけど……(心配そうに相手の反応を窺いながら)
フラン・スティレット 2021年10月3日
……。(何か言葉を返そうと思うけれど、唇が微かに震えるだけで。――混乱が、動揺が、自分の中で少しずつ大きくなるのを感じる。今まで接してきた彼が、思い出の中の兄貴分が偽りだなんて、受け入れたくはなかった)
……なんだよ。(絞り出した声がか細く震える。不意に切なさを覚えたのはきっと、これが苦悩の果ての告白だと気づいたから)……ほんと。いきなり……だな。(そっぽを向いて、不満げに零す。普段と変わらない、生意気な妹分らしく振る舞いたくて)
宵雛花・十雉 2021年10月12日
(いつも通りに振る舞ってくれる君は、それでもどこかいつもとは違っているような気がして。伸ばしかけた手をそっと引っ込めた)
ごめん……あのさ、弱いオレも強がってたオレも、どっちもオレなんだ。フランと一緒にいて楽しかったのも本当。
オレのこと信用できないかもしれないけど、そのことだけは信じて欲しい。
フラン・スティレット 2021年10月19日
そう、言われたって……。(そこに居るのは確かに、心を許した兄貴分。今更疑うはずもない。けれど――)……なんで。……どうして、そうまでして自分を偽ってたんだよ……?(ただ、それだけが知りたい。きっと、理由があるはずだから。――ゆっくりと面を上げて、彼の顔を見据えた)
宵雛花・十雉 2021年10月24日
……オレさ、ずっと憧れてる人がいるんだ。(ぽつぽつと語り始めたのは、暫しの沈黙を挟んだ後だったろう)
ずっとその人みたいになりたいって思って生きてきた。その人っていうのが父親なんだけど。……でもオレは弱いから、父のようにはなれなかった。それが惨めで悔しくて悲しくて、強くなりたくて。必死に強い男を演じてたんだ。
(そこで一旦息をつく。自らの青さに苦い笑いが込み上げた)
でもそんなことしても、結局根っこは変わらないんだよね。
フラン・スティレット 2021年11月7日
……。……ふぅん。(返せたのはたったの一言。――ふと脳裏をよぎる、思い出の中の兄貴分の笑顔。その裏に押し隠した苦しみを想えば、切なさを覚えずにはいられなかった)
……そうかも、ね。(否定も肯定もしたくなかった。そうだとしても、その事実を受け入れるのは彼自身なのだから)……親父さん。どんなひと、だった……?(そっと静かに問う。ただ、彼が憧れた父親と、その息子の物語が聞きたくて)
宵雛花・十雉 2021年11月20日
(愛想を尽かされてしまうのではないかと恐れていた。直ぐに席を立ってこの場を去ることも彼女には出来る筈だ。けれどそれをしないのはどうしてだろう。甘ったれた心に少しばかり期待の色が滲む)
どんな人……そうだな、強くて優しい人だったよ。お喋りな方ではないけど、どんなくだらない話も聞いてくれた。
(不思議な心地だった。昔のことを思い出すとあんなに痛かったのに、今ではどこか温かい)
だからオレも人の話を聞こうって思ったし、そのうち話を聞くのが好きになった。
フラン・スティレット 2021年12月5日
……ふぅん。それで、俺の相手もしてくれたってわけ。(本当は、それだけで十分だった。彼はたしかに、自分にとっての兄貴分でいてくれたのだから。けれど、今はそんな気持ちを押し隠して、そっけなく言い捨てる)
……立派なひと、だったんだな。(じっと耳を傾けて、返す言葉は短く。――そっと覗き込むように、俯きがちに兄貴分へと眼差しを向ける)……親父さん。今は……?(望んでいる答えが得られないことは解かっていた。それでも、知りたかった。彼が抱える苦しみと向き合うために)
宵雛花・十雉 2021年12月15日
……それだけじゃないよ。(困ったような顔で言う。今はどんな言葉も言い訳がましくなってしまいそうで)
うん、そうだね。立派な人だった。(そこまで言えば、覚悟を決めるように一呼吸置いた)
……亡くなったんだ。オレのせい、みたいなものでさ。それで責任感じて、もっと頑張らないとって思ったよ。
あ、なんだかごめんね。湿っぽくなっちゃった。
フラン・スティレット 2021年12月18日
……。(口を噤んで瞬くだけ。けれど、微かに揺れた瞳が、彼の言葉を確かに聞き届けたことを示す)
……。(切なさを押し隠し、そっと瞳を伏せる。――そう……だよな。心の中で、静かに呟いた)……十雉の、せいって。……なんで。(我儘だし、残酷だと思う。辛い記憶を呼び起こすことになるのだから。――それでも教えて欲しかった。悲しい過去であっても、分かち合いたい。それにきっと、彼ならそれを乗り越えられると信じているから)
宵雛花・十雉 2021年12月30日
(「なんで」と問われれば、両手を組んで親指をくるくると交互に回す。どんな言葉を選んで説明したものかと)子供の頃に一人で山へ遊びに行ったことがあってさ。その時に偶然影朧と遭遇して、もう駄目だと思ったんだけど……なんていうか、つまり庇ってくれたんだ。オレの代わりになってくれた。
フラン・スティレット 2022年1月4日
……そう。(ほんの少しだけ俯いて、消え入りそうな声を絞り出す。――子供だったんだから、仕方ない。そんなありふれた言葉では慰めにならないような、そんな気がして)……ねぇ。……親父さんもさ、十雉と同じ白い髪?やっぱり、背ぇ高かったの?(ふと、そっと顔を上げて問う。微かに潤んだ菫色の瞳を誤魔化せはしないけれど、口元には精一杯の笑み。命を賭して息子を救った、偉大な父に思いを馳せて)
宵雛花・十雉 2022年1月9日
そうだよ、オレの髪は父親譲りなんだ。背丈もそうだし……でも、もしかしたら身長は追い抜いちゃったかもしれないな。(顔を上げた君と目が合った。自分でもこんなに伸びるなんて思わなかったよと笑いかけ)
見た目だけなら結構似てると思う。
フラン・スティレット 2022年1月15日
……ふぅん。(そっけない相槌のあと、ほんの一瞬だけ笑みを返す。切なさをたたえてはいるけれど、それはたしかに、生意気な妹が兄に向ける面持ちで)――……きっと。親父さんにとって、十雉は宝物だったんだろうな。(ふと、呟くように言葉が溢れた。長身と、雪のような白い髪。父と子の姿を思い描いて――)
宵雛花・十雉 2022年1月20日
宝物?(驚いたように見開いた目。一呼吸置いてから君に問いかける)どうしてそう思ったの?
(何故そんなことを聞いたかといえば、それは単純に知りたかったからだ)
フラン・スティレット 2022年1月31日
えぇ……?だってさ……親父さんは、命に代えて十雉を護ってくれたんだろ。じゃあ、自分の命よりも大切だってことじゃん。(訊くほどのことかよ?とでも言いたげに眉根を寄せて、そっぽを向く)
……それに。……血が繋がった親じゃないけど、俺の親父代わりのひともそうだったから。……俺のせいで死んだようなもんなのに、最期の言葉は“ありがとう”だった。だから……。(彼の父親も、きっと。そう願って、そっと瞳を細めた)
宵雛花・十雉 2022年2月6日
命に代えて……そっか、そうだよね。(複雑な心境ではあるものの、その行動の根幹には父の愛情があるのかもしれない。そう考えると少しだけ胸が暖かくなった)
フランを育ててくれた人のこと、前にも話してくれたね。フランもオレと同じでお父さんのこと大好きだったんだ。(きっと彼女もたくさん苦労して悲しんだのだと思う。ついいつものように髪を撫でてやろうとして、手を引っ込める)
……フラン、オレのこと怒ってない?
フラン・スティレット 2022年3月21日
……ああ。……血が繋がっていなくたって、俺の親父。……大切なひと、だから。(それは、目の前の彼に対しても同じこと。素っ気なく、けれど素直に肯定して。――その刹那、兄の手のひらを拒む様子はなかった)
さあ。……怒ってないと思うかよ?わざわざ呼び出されて、いきなりこんな話されて、さ……。(不機嫌を装ってそっぽを向く。なにか埋め合わせをして欲しい、と言わんばかりに)
宵雛花・十雉 2022年4月2日
え、そ、それって……!(どうやら拒む様子が無いと分かれば、再び恐る恐る手を伸ばす。燃えるような赤毛を撫でるうち、懐かしさが込み上げて)
ごめん、怒ってるよね。……えっと、埋め合わせは何がいいかな?
フラン・スティレット 2022年4月7日
(彼の告白に動揺し、悲しみもした。けれど、その手のひらの感触は間違いなく兄のもの。――目尻に浮かんだちいさな涙もそのままに、今はただ、静かにその身を委ねる)そりゃあ……まずは飯、だろ。あとは、食いながら……なんか考えろよ。(鼻声まじり。だけどそれは、たしかに彼の妹分の声。生意気で、少しばかり我儘な――)
……もう。……ウソなんてつくなよな。……自分自身にも。(兄妹の絆は、何があっても変わらない。不器用であっても、ただそれを伝えたくて)
宵雛花・十雉 2022年4月11日
う、うん! そういえば近くに新しく洋食屋が出来たんだ。そこで何か食べよう。何でも好きなもの頼んでいいから。(弾んだ声色で言いながら、懐からハンカチを差し出す。涙が零れてはいけない)
分かった、約束するよ。もう嘘は吐かない。オレは弱い人間だ。でもその弱さもオレだから……弱さごと抱えて生きていこうと思うんだ。(これは誓いだ。妹分の前で誓いを立てることで、改めて自分の中で決意を固めた。誓いを違えれば、今度こそ彼女を失うことになるだろう)だから、フランも見ててくれる?
フラン・スティレット 2022年4月19日
……ん。いいよ……。(何時に無くしおらしく。――少しの躊躇いを見せた後、結局はハンカチを受け取り、目尻を拭った)今さら遠慮なんてするかっての……。腹減ってんだから、もう。(顔を上げれば、いつもの小生意気な笑みがそこに在って)
……わかった。(素っ気なく、けれどはっきりと答える。兄の決意を受け入れるかのように)ちゃんと、見てるから。……兄ちゃんのこと。
宵雛花・十雉 2022年5月4日
はは、そうだよね。いやぁ、オレもお腹減ってきちゃったな。(きっと腹の底から安心したからだと思う。ぐぅと腹の虫が元気よく鳴いた)
有難う。頑張ってフランが自慢できるような兄ちゃんになるからね。
宵雛花・十雉 2022年5月4日
(君が信じて見ていてくれるなら、きっとオレはもっと強くなれる。そしていつか君のことも守れるくらいの男になれたなら――決意を新たに、まずは2人で腹を満たしに行くのだろう。その日の食事はなんだか特別な味がした)