【1:1】水彩、夏游ぐ
都槻・綾 2021年7月23日
遠く遠く、遠いところから、
随分と幽かにだけれど
夜風に泳ぐように何処か楽し気な音律が届くものだから、
さて縁側で酒杯と耳を傾けてみようか、なんて。
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都槻・綾 2021年7月23日
祭りでも行われているのかしらね。
境・花世 2021年7月23日
ほんとだ、……ふふ、ひとのお祭りとは限らないけれど。
都槻・綾 2021年7月23日
(さやさや笑って玻璃の酒器を差し出した。さぁさ、どうぞ、)
では誰の祀り事だと思います?
境・花世 2021年7月23日
鎮守の杜のきつねたちか、月に誘われた妖たちか、それともーー(涼しげな杯にきらきら注がれる甘露を見つめ、それはそれはご機嫌そうに微笑む) 神さま、今宵は誘われていないの?
都槻・綾 2021年7月23日
素敵な会合ねぇ。私は残念ながらお呼びではなかったみたい。しれっと紛れ込むのも愉快かもしれませんよ。
ですが今は、あなたと過ごしたいですね。
境・花世 2021年7月23日
それは光栄! 捧げ物は何がご入用ですか、きれいな神さま?(いたずらっぽく杯を掲げて)
都槻・綾 2021年7月23日
おや、美の女神はあなたでは。
でも、そう、――楽しいこと、此の夏にしたいことなど、お話を聞かせてくださる。
境・花世 2021年7月23日
びのめがみ。(秀麗な白皙をじぃっと見つめる)(自分よりずっとうつくしいひとに褒められるのはうれしいような、複雑なような、)
境・花世 2021年7月23日
ふふ、それなら最初はね、心地良い夏宵にとびきりおいしいお酒で乾杯したいな。(月が揺らめく硝子杯をそっと近付け)
都槻・綾 2021年7月23日
私の審美眼を疑っていらっしゃる?
――やぁ、其れはもう、喜んで。幾らでも叶えましょ。
(掲げて乾杯、澄んだ音がちいさく響いた)
境・花世 2021年7月23日
すてきな夏に、ーー乾杯!(涼やかな香が喉を滴り落ちる、身をひたひたと潤してゆく)
境・花世 2021年7月23日
……夏にしたいこと、かあ。
都槻・綾 2021年7月23日
そう。夏を画板に、どんな彩りを描きたいですか。
(乾杯、と謳って酒に口付け。清かな水がしみわたる)
(彼女の空いた器に更に一献、硝子の徳利差し出しつ)
境・花世 2021年7月23日
(再び満ちる杯に唇を濡らして、ほうとため息をこぼす) あこがれてたこと、ほんとはもうずいぶん叶え終えた気がするんだ。海へ行くのも、星を花火を見上げるのも、夜通し酌み交わすのも、そうして輝く夜明けを迎えるのも。
都槻・綾 2021年7月23日
欲がないですねぇ。終わらせるには未だ早いでしょう。毎年違う夏が来るのだもの。
境・花世 2021年7月23日
ふふ、綾は心が広いタイプの神さまだ。金の斧を欲しがったら、銀の斧もおまけにつけてくれそう。
都槻・綾 2021年7月24日
更に酌係として、私もおまけに着いて来ますよ。働いた後の酒は格別でしょう。
(悪戯な笑みで玻璃を恭しく掲げてみせる)
都槻・綾 2021年7月24日
ね、美味しい一杯は如何ですか。
花世。
誕生日、おめでとうございます。
境・花世 2021年7月24日
(夏祭りのラムネに落ちたビー玉みたいに目がまぁるく光って、)
境・花世 2021年7月24日
それじゃあ、あんまりにも太っ腹すぎない?(あえかに微笑って持ち上げた杯に、透きとおる滴が落ちた)
都槻・綾 2021年7月24日
其方はね、特別な盃なのですよ。昨年仕込んだ梅酒の、封切り。
なんて、勿体振ってみせたけれど、いつもと余り変わらないですね。
境・花世 2021年7月24日
……あれ、(ほたほたと頬を滑る水の名を知ってはいたけれど)(うまく制御できないそれに、不思議そうに首を傾げた)
都槻・綾 2021年7月24日
――ね、触れても宜しい?
(酒杯を傍らに置いて、足元を指し示す)(悪さはしません、と、さやり笑い添えた)
境・花世 2021年7月24日
ん、(濡れた頬をぬぐいもせずに、素直にこくんと頷いた)
都槻・綾 2021年7月24日
(伸ばした手に落ちた雫。淡く笑んで、先に頬へと触れる。掌で包み込むように、ふわり、拭った)
(額を寄せて「まだ終わらせるには早いですからね、」悪戯っ子の眼差しで囁きひとつ)
都槻・綾 2021年7月24日
(次いで取り出したのは、銀糸と白糸が遊ぶ瀟洒な編み飾り。真珠がしゃらりとささやかに歌う其れを、しろい足甲へと括り着ける)
(頷き、破顔)
やぁ、やはり似合いますねぇ。実にうつくしい。
境・花世 2021年7月24日
(ぬるい水をやさしく拭ってくれた指は、これまで一体どれほどの宝物をくれたろう)(ほんとうはもう、それだけで、なにもかも十分すぎるほどであったのに)
境・花世 2021年7月24日
(飾られたうつくしい銀のひかりは、まるで夏宵にまたたく星のように鮮やかで)(まぶしくて、)
綾、……あや、
(せっかく払われた滴が、またきらきらと夜に散る)
都槻・綾 2021年7月24日
はい。――花世。
(再び彼女の頬へと手を伸ばした)(呼ばれる名に応えて呼び返す。幾度でも、あなたが笑ってくれるまで)
境・花世 2021年7月24日
(きみの呼ぶ声が、頬をなぞる指が形作る、花世にする、ここにいる何かを)(わたしを)
境・花世 2021年7月24日
……夏にしたいこと、出来たよ、綾。(涙に濡れたまま、ほんのり微笑う)
都槻・綾 2021年7月24日
はい、何でしょうか。
境・花世 2021年7月24日
この飾りをつけて、一緒に歩きたい。……綾とが、いい。
境・花世 2021年7月24日
(願いはもう叶って満ちたはずなのに、この身のなんて強欲なことだろう!)(右目の絢爛たる薄紅牡丹が、左目に落ちかかる睫毛が、どちらも恥らうようにちいさく震えた)
都槻・綾 2021年8月1日
えぇ、喜んで。今夏もきっと、楽しいことが沢山待っていますよ。一緒に出掛けましょうねぇ。
都槻・綾 2021年8月1日
(柔い花はしとりと優しい。あなたに降る雨が、軈て晴々と夏の空に虹を描きますよう。笑って笑って、と再び頬を撫でて。――さぁさ、夏の計画を立てなくてはね!)