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【1:1】焚火

ベスティア・クローヴェル 2021年2月6日


陽が昇ることのない常夜の世界

周囲を優しく照らす焚き火を囲み、炎の勢いが弱まらぬよう薪や木片を焚べていく

パチリ……パチリ……

焚き火の爆ぜる音だけが周囲に響く

そんな静かな夜に偶然交わった、狼と不思議な人の話

▼▼▼▼
・ベスティア・クローヴェル(f05323)
・岩元・雫(f31282)
上記2名のみ発言可

※期限
きりのいいところまで




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ベスティア・クローヴェル 2021年2月6日
(焚火を囲うように置かれた平たい石の上に、封のされた缶詰を置いていく。時折左手で触れて温度を確かめながら、温まるのを静かに待つ)
(風が吹いて炎が揺らめくと、身体を震わせた)今夜は冷えるな……。一応、最低限野営の準備だけしておいたのは正解だった、か
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岩元・雫 2021年2月6日
(常夜の界というのは識っていたけど、此処まで冷え込むものなのか。若しくは今が、現に於ける夜なのだろうか。常に夜ならと時間も考えず惑ったのが良くなかった――恒温だったはずの己が混じり物になって幾許経てど、地の底からの冷えというのは随分と甚いものだ)

(何処ぞ風だけでも凌げれば、と僅かに歩を進めれば、ぱちぱち弾ける赫々音色。――ひとだ。気弱に為った心の裡が、寄ってしまいたいのと怖ろしいので揺らぐ。一先ず様子を見ようと、木陰からそうと顔を出して、)

(見えたのは背でなく、焔と良く似た、くれない色。)
(嗚呼――やってしまった)
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ベスティア・クローヴェル 2021年2月8日
(パチパチと心地いい音を響かせる火を眺めていると、ふと気配を感じて顔をあげる。----目が合った)
(こちらをじっと窺っている様子から、襲撃者というわけではなさそうだ。この辺りに村は無く、近隣住民という線も薄い。……であれば考えられるのは迷子か、旅人かのどちらかだろう。)

(しばし様子を見た後、再び焚火へと視線を戻す。薪を焚べてケトルを吊るす)
今夜は冷える。そんな所でじっとしていると風邪をひいてしまうよ。
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岩元・雫 2021年2月13日
(びくり、肩を跳ね上げて其の声を聴く。鋭さは無く、唯冷えた空気が解るばかりだ。ひとの貌はしていたけれど、頭上に付いた獣の耳が、己の知り得る其れでは無いと知らせている。――如何して、此様な時ばかり、判断が鈍るほど弱気なんだか)
(其様な頭が結論を出して、木陰から鰭を晒したのは、くれない色が逸れたからで、)(別に、信用したからでは、無いのだと)(言い聞かせて、)(そろり、少しだけ光へ近付けば、)……此の世界は、わたしみたいなのでも風邪を引くの?(僅かに残った警戒心が、己隠して言紡いだ)
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ベスティア・クローヴェル 2021年2月14日
(脇に置いてあった背負い袋からコップを二つ取り出して、薄茶色の固形物をコップの中へ放り込む)
(視線をあげて焚火に照らされた姿を一瞥すると、再び焚火へ)
どんな姿だろうと、生きていれば体調は崩す。他の世界ならまだしも、ここで体調を崩すとその辺に生えている薬草を煎じて飲む事になるよ。
生憎、錠剤の持ち合わせは無いから、ね。

(おもむろに左手の手袋を外して袖捲りをすると、焚火の中に突っ込んで何かをごそごそと探し出す)
(目的のものをみつけて焚火から取り出すと、炎が消えないように薪を再び放り込む)

そんな所で立っていても暖かくないでしょ。座ったら?

(遠慮しているのか、警戒しているのか…。どちらにせよ、目の前の存在を放置することなんて出来るわけもなく)
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岩元・雫 2021年2月16日
――、どうも。
(ゆら、朱鰭を翻して、赫々と燃える炎へ寄る。事足りる程度の場所へ座って、膝を抱えるように腕を回した。礼は、己を虐げなかった事へ対して、だ)(『生きていれば』。其れを識るすべは、今のおれには無いから)

(焔の色をした、くれないの視線は――未だ、怖ろしい。けれど、揺らぎの先の其の動きに、目が釣られるのに勝てる筈もなく)
……其れは、何をしているの?
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ベスティア・クローヴェル 2021年2月16日
(どうやら、かなり警戒されているようだ。周囲に村も無く、こんな暗い森の中で野営をしようとしているのだ。怪しむのは当然、か…)
(こういう時、もう少し愛想が良ければ警戒されずに済んだのだろうが、そういう性格になってしまったのだから仕方がない)

(これ以上、心配させないよう注意しよう。そんな事を考えながら、淡々と準備をしていると声がかけられた)

私と貴方の晩御飯の準備。メニューは具無しのコンソメスープと、焼いた肉。ちょっと味気ないかも知れないけど、そこは勘弁して欲しい。

(火にかけたケトルから白い湯気が立ち上り、そろそろ頃合いだと主張する)
(先ほどの固形物を入れたコップにお湯を注ぐと、スプーンと一緒に差し出した)

お腹、減ってるでしょ。変なものは入ってないから、まずはこれを飲んで温まるといい
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岩元・雫 2021年2月21日
(はたりと瞬く。暗闇の世だと云うのに、御人好しも良い処。変なのは物じゃなくあんただ、と言いかけた口を噤んで、一先ず伝うべき事を告ごうと決める。――本来ならば、突っ撥ねてでも断るのが合理だが)

……有難いけれど、其れ、わたしに呉れても良い物なの。此処じゃ、貴重そうなのに。
あんたが沢山食べた方が、良くはない?

(ちら、と手を出さぬ侭一瞥する。極端な話、冷えようが食事しなかろうが死ぬ躰ではない。唯、快適では無くなるだけ。……目の前の女が識る由は、無いだろうけれど。其の侭受け取るのは、何処か違うと思った)
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ベスティア・クローヴェル 2021年2月23日
(そんな質問をされるとは思っておらず、怪訝な顔つきで首を傾げた。コンソメスープの入ったコップを零れないよう地面に置くと、もうひとつのコップを持ち上げて見せる)

こういった保存食は確かにここでは貴重だけど、容易く手に入る場所にツテがある。それに、これは貴方の分の晩御飯。私の分は私の分で準備してるから、心配はいらない。

(焚火から取り出した銀色のアルミホイル。それをビリビリと音を立てながら剥がしていくと、いい具合に焼けた骨付き肉が顔を出す。骨部分にアルミホイルを器用に巻いて、一口。少し味気ないが、こればかりは仕方がない。)
(自分の分は用意しているとわかりやすいように見せてから、今度はアルミホイルに包まれた肉の方を差し出した)

体が冷えると体力を持ってかれる。どこに行くにせよ、食べられるうちに食べておいた方がいい。
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岩元・雫 2021年2月25日
(告がれた弁が耳に届けば、そろりとゆっくり手を伸ばす。触れた容器から伝う熱が、冷えた肢体を温めた)

今は持ち合わせが無いから……何も、返せないのだけれど。然う云う事なら、有難く。

(両掌で包めば、じわりと拡がる温度に安堵の吐息を零す。――もう死んでいると言うのに、不思議な心地だ)
(破れる銀紙から顔を出した肉塊には、正直馴染みの一つも無い。本当に斯う云うものが在るんだな――等と呆けて居れば、其れすらも差し出された。触れれば火傷さえしそうな其れを、今度は受け取らんと手を伸ばす。……慌てて、スープの器を傍らへ置いてから。)

そうね、寒いと……気も弱くなる。熱を保つのに食事が必要な事なんて、初めて知ったかも。
(受取った其れに、見様見真似で持手を作る。小さく開けた口で噛み千切る肉は、味気なくも何処か懐かしい味がした)
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ベスティア・クローヴェル 2021年2月27日
(あまりじっと見ていては食べ辛かろうと、手を伸ばしたのを確認すると再び焚火へと目を落とす)

お礼目的でやったわけじゃないから、遠慮せずに食べていい。自分の分を用意するついでのようなものだし、ね。
もしそれで足りないようなら、追加で焼くから教えて。

(自分の分のコップにも湯を注ぎ、かき混ぜる。息を吹きかけて冷ましながら、火傷しないように一口。じんわりとした温かさが身体に染み渡る)
(お腹を満たしながら、目の前の不思議な訪問者の事を考える。目的地がどこであれ、軽装備でこの森を抜けるのは少し危ない。どうすれば、警戒されずに済むものか、と)

寒さで弱ったなら、暖かいものを食べてお腹を満たす。そうすれば心も身体も満たされる。
あとは、こうして気を紛らわすために会話できる相手がいれば尚いい
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岩元・雫 2021年3月4日
、……変なの。

(今度は素直に口から零れた。礼も何も要らぬと云う、見た処、此の世界では異質であろう彼女。“御代わり”まで焼く等と、御人好しの範疇で済むだろうか)
(暫くの間、確りした歯応えの物を咀嚼しなかった顎は、少しすれば疲労を訴え。ひと度銀に包んでやって、女座りにした膝へと置く。湯気立ち上る水面へ吐息を掛ければ、火傷しないようゆっくり嚥下した)

(じわり、熱が沁む。巻き上がる蒸気が撫ぜる瞼の心地好い事。噫確かに、此れは満たされるものなのだと、身を以て思い知った。だからこそ不思議だったのは、)

会話、ね。――此様な、得体の知れない相手でも良かったの?
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ベスティア・クローヴェル 2021年3月4日
(今まで村の復興を手伝ったり、足りないものを村々へと配ったりと様々な手助けをしてきた。感謝される事は多々あったが、「変なの」と言われたのは初めてでしばし固まる)
(何か、彼の文化だと「変」に分類されるような事をしたのだろうか。少し不安になり様子を眺める)

(目に映るのは、こちらのことは気にしていない様子で食事をする姿。よかったと安心すると同時に、何が変だったのだろうかと疑問が浮かぶ)

(そんな考えを横に置き、目の前の迷い子に意識を向け直す)

殺意や敵意を感じなかったし、こちらに危害を加えるつもりはなかったでしょ。それであれば何の問題もない。

(けれど一時になったものは仕方がない。だから素直に聞く事にした)

それとも、貴方にとって「変な」存在である私と話すのは嫌?
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岩元・雫 2021年3月11日
(ず、と音を立ててスープを啜れば、問われた言葉に目を弾く。はたはたと瞬いて其の意味を咀嚼しても、害意が無ければ其れで良しとする彼女が――其様な事を、何故気にするかは分からなかった)

嫌、では無いよ。
……別に褒めては居ないけれど、貶しても無いからね。気分を害したなら、謝る。

(そうと口から離した器は、己の両手で包んだ侭。解けるように伝わる熱が、初めより幾許、肩の力を抜く事に貢献している)

唯、随分な御人好しなのだなぁと思っただけ。此様な世界なら、誰しもに余裕が無さそうでしょう。
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ベスティア・クローヴェル 2021年3月15日
(再びスープを飲んで身体を暖めると、問いへの答えにほっと胸を撫で下ろす)
(優しく微笑みかけながら、大丈夫と返してぽつりと言葉を零す)

気を悪くしたわけじゃない。ただ私が話をしたいと思っていても、相手も同じとは限らない。
それに、私はあまり口が上手い方じゃないから。もしかしたら、あまり話したくないのかなと。そう思っただけ

(お人好し。そう言われて笑みが零れる。断れず、無理に押し付けてしまったのかと心配もしたが、そういうわけではなさそうだ)

お人好しというのは、その通り。みんな自分の生活で手いっぱい。だから、私は出来る範囲で色々手伝ったりしてる。
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岩元・雫 2021年3月22日
(伽羅色の其れに落としていた視線を、ちらとくれないの瞳に注ぐ。夜の寒気を連れたような銀の睫毛が、炎に作られた影に縁取られて居た)

……然う云うところが、変だなって思った。

(ほつり。水面に其れだけを零して、詞ごと飲み込むように、又こくこくと嚥下する。熱の移ろったスープは、随分と飲み易い温度だ)

誰も彼もが余裕の無い世界で、あからさまな余所者にまで、手を伸べるんだもの。

(――膝が温い。冷えた『脚』が、解けて行った。器を包んだ侭の掌をそっと降ろして、暫くすれば横へ遣って、銀紙の中身を暴いて、食す。此処へ腰を下ろしたからにはもう、食事を終えるまで立つ気は無いのが見て取れるだろうか)
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ベスティア・クローヴェル 2021年3月23日
(肉を噛み千切り、咀嚼する。自然の味といえば聞こえはいいが、やはり味気ない。今度から調味料の類でも持ち歩こうか。そんな事を考える)

助けられるのに手を差し伸べず、それで何かあったら寝覚めが悪いもの

(己の全てを擲って、他人を優先するなんて言えば怪しまれる事を私は知っている)
(何か裏があるんじゃないか。騙そうとしているんじゃないか。だからあくまで自分の為だと、尤もらしい事を言っておけば大体は納得する)

(少しだけ温度が冷えたケトルをわかりやすく持ち上げてみる)
おかわりは、いる?
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岩元・雫 2021年3月26日
……要らない。

(本来、食を求まぬ身だ。風邪を引くかも定かで無いし、熱を保たねば命を落とすと云う訳でもあるまい。彼女の意図を聞いた先、理由に納得しようとも、必要以上の搾取をする気等、無い。――何よりも)

寝覚めはもう、悪く為らないでしょう。

(其の意図ならば、此れ以上の施しは過剰だ。既に受取った分は未だしも、理由がひとつも見当たらない。過剰な行為には大抵、理由が付き纏うのが相場である。而して、一等理由に為りがちなものは)
(――己の、一番嫌うもので)
(くれないの視線が告ぐ理由では、施されるに値しない)

(ひとつ、溜息を吐いた。膝元へ投げた眦で、眼の捉えた銀紙を、そうと取り上げ剥がしていく。幾分寄った眉根の中、己の知る物より幾分硬い肉を食んだ)
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ベスティア・クローヴェル 2021年4月1日
(先ほどまで和み始めていた空気が固くなるのを感じる、明確な拒絶の匂いが漂い始める)
(――間違えた。そう認識しても後の祭りで、ただ俯いてぽつりと)

……ごめんなさい。

(今更弁明して取り繕ったところで信じて貰えるかはわからない。けど、それでも言わずにはいられなかった)
(このいたたまれない空気を何とかしたいのか、保身の為か…。それは自分でもわからないけれど)

素直に言っても不信感が増すだろうと思ったから、夢見が悪いなんて言ったのだけど…
そういう建前が嫌いだとは思わなくて…。ごめんなさい。

(そう告げると、黙り込む。これ以上何か言っても、尚更機嫌を悪くさせてしまいそうで…)
(しばしの沈黙。炎の弾ける音だけが静かに響いている)
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岩元・雫 2021年4月7日
(静寂が木立に染み渡る。続く語が無いと悟ったならば、又肉から口を離して、確と沈黙を破るだろう)
――別に。
(ふるり、首を振った。己の中では、特段強い拒絶でも無い。寧ろ、)
建前が嫌いなわけじゃないけど。建前だと解った方が、ずっと好い。
(気遣いでも、嘘でも無い。如何にも怯えた様に謝る彼女へ圧を与えない為に、視線は炎の脚たる薪へと焼べた。淡々と、唯事実だけを謳う)

寝覚めの為に施すのなら、彼れで十分だと思ったのは本当。
あんたの言葉が本当で在れば、不必要な分まで寄越そうとするのは、其れこそ『変』でしょう。邪な意図が雑じるのなら、御免だ。
だから、断った。
わたしに施すのは無駄だよって、言いたかっただけ。

……怒っては居ないから、
(そうと、注意を払って視線を遣る。くれない燃ゆる瞳ではなく、俯き顔の銀色睫毛にだ。一度切った言葉を、継ぐ)
何か有るなら、きちんと云って頂戴。
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ベスティア・クローヴェル 2021年4月8日
(こちらを気遣うように紡がれた言葉で、先ほどまでの雰囲気が僅かに和らいだ…気がする)
(ちらりと様子を窺うように視線をあげると、金色の瞳と目が合った)
(今度は間違えないよう、慎重に言葉を選びながら話し出す)

放っておけなかった。旅支度も無しで人里離れた森の中にいたから…。
迷ったのか、どこかに行く途中なのかはわからないけど、その恰好だと夜を明かすのも厳しいと思った。

だから心配で、何か力になれれば…と思って……。

(遠慮がちに紡いだ言葉は段々と尻すぼみとなり、最後の方はこの静寂の中でなければ聞き取れない程度の声量)

余計なお世話だったなら、ごめんなさい。

(最後にそう呟くと、再び申し訳なさそうに視線を下ろした)
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岩元・雫 2021年4月13日
(噫――本物の『御人好し』なのだと、心底理解出来た気がした)
(偶に居る。生前終ぞ出会う事の無かった、己が夢物語と切り捨てた様な、根っからの善人。――居るのだと云う事実を、『斯う』為ってから初めて知ったような生き物)
(伝手がある、と彼女は言った。先は考えもしなかったけれど、彼女も界を超える猟兵なるものなのかも知れない。少なくとも――其の志を抱く者だ。ともすれば、其れこそ珍しい気質でも無いと、知って居る)

(――解ったから、)
(誠実さを証明してみせたあなたへ、己も誠実を以て詞を告ごう)

大丈夫。……其れから、御免なさい。
正直に言えばわたしは、食べなくても、死なない。死体のからだなの。
如何したら弐度死ぬのかも、――心配して呉れた様に、風邪を引くかも、解らない。

だからわたしが、あなたの『余計』に為りたくなかっただけ。
――気遣いを有難う。

(然うして解ける様に微笑み掛ければ、ひと口スープを飲んでみせた)
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ベスティア・クローヴェル 2021年4月14日
(ゆっくりと顔をあげると、微笑んでスープを飲む姿が見えた)
(スープの入ったコップを両手で包むように持つと、じんわりと暖かさが伝わる)

そう、か。ならよかった…というべきなのか少し困る。

(ポケットから蒼い石片を取り出すと、少しだけ火の勢いが弱まった焚火の中に放り込む。ゴゥ!と音を立てて火の勢いが増すと同時に、炎全体が蒼く染まった)

寒さを感じないというわけじゃないなら、食事はとった方がいいと思う。
身体が平気だからといって、心まで平気とは限らないもの。
暖かい食事は寒さを和らげ、その辛さを一時的にでも忘れさせてくれる。

(先ほどまでの消え入りそうな様子は鳴りを潜め、自嘲気味に微笑みかける。)

焼いただけの肉とコンソメを溶かしただけの湯じゃ、たかが知れているかもしれないけど
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岩元・雫 2021年4月24日
よかった、で良いよ。大丈夫。
(気を遣わせたろうか。あまり軽々話題にする物でも無い、と云う事を、当事者故に良く忘れる。少々ばかり混ざった困惑へ、不安を残さぬ様言い添えた。書き換えられる様蒼へと染まる炎に、静かに目を瞠る。底の見えたスープを飲み干して、少し冷めてしまった肉を、丁寧に、ひと欠片だって取り零さないように口に運びながら、然うしてぽつぽつ、言を紡いだ)

ううん、……美味しいよ。
普段のわたし一人では、碌な物も食べないの。
食事をするのが好きでも――自分だけだと、無駄な気がして、食べたく無くなるから。斯うして、何かを忘れられる食事は、美味しいと思う。

(寒さを感じる機会も、嘗てに比べて随分減ったと思う。血の気無い肌では当然だろうし、何より水底に適応してしまった故なのだと、感じては居れど。寒い時の贅沢くらいは是とする事を、思考の隅に書置いた)

ね、御代わり。貰っても、良い?
……一先ず、スープの方。
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ベスティア・クローヴェル 2021年4月27日
(静かに頷くとコップを預かり、コンソメの素を入れてお湯を流し込み、よくかき混ぜてから差し出した)

独りでの食事は味気ないというもの、ね。それに、本来摂る必要がないのであれば尚更。
私も独りだと必要最低限のものしか食べないから…。

(その後に言葉を紡ごうとして言い淀む。俯いて、両手で包んだままのスープを少し眺めてから残りを一気に飲み干した。そうして一息ついた後、言い淀んだ言葉の続きを零す)

それで知り合いによく怒られてね。
もし、貴方の迷惑じゃなければ、こうしてまた食事に付き合ってくれると嬉しいのだけ…れど……。

(出会ったばかりでお互いに名前さえ知らないのに、図々しい事を言ってるのはわかっている。それでもこんなお願いをしたのは、もう少しだけ彼と話したかったからなのかも知れない)
ダメ、かな…?
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岩元・雫 2021年5月3日
有難う。

(御代わりは、再び包み持つには少々熱い。零さぬ様に、けれどそっと、受け取って)
(あなたの声に、耳を傾ける)

そりゃ、……生きてるなら、怒られるでしょう。
必要な事だもの。

(屹度、自分が彼女の身近な人間で在ったなら、同じ事で心配しただろう)
(生き物は、食べて、寝なければ、死ぬ。最低限では足りない事も多々在るのだと、知って居る)
(自分が食事を怠るのは、其れでは死なないからだ。然うと知る迄は、凡そ食えない物とて食った)

(――利用されるのは、嫌いだ。踏み台にされた様に感じるから)
(けれど)
(聴く限り、不器用な生き方だろう彼女が、変ろうとするなら)
(『足掛かり』くらいは、――良いだろうか)

……良いよ。
けど、愉快な話題も提供出来ないし、美味しい食事も別段知らない。
其れでも、好いなら。
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ベスティア・クローヴェル 2021年5月8日
必要なこと、か。それはそうなんだけど、ね

(そう言うと、仕方がないとでもいうように目を伏せる)

必要分だけ食料を手元に残して、残りは備蓄の無い村に分けたりしているからあまり余裕がなくて。
誰かと一緒なら、多少見栄を張って豪勢にするのだけど。

(見栄を張ったところでたかが知れているけど、普段の簡素な食事よりはマシだろう)
(それに死なないとはいえ、生きていた頃は食事をしていただろうし、その習慣を捨ててしまうのは些か不健全にも思えてしまう)
(やはり余計な世話かも知れないけど、一緒に食事をすることで見直す切欠になればいいな)
(彼の旅路はまだまだ先が長いのだから)

ありがとう。
そういえば、まだ自己紹介していなかったね。
ベスティア・クローヴェル。この辺りを拠点にしてる狼。よろしく、ね
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岩元・雫 2021年5月28日
張れる見栄が有るのなら、日記でも付けて張り続ければ良いのに。
自分を削ってひと時張る見栄なんて、高が知れてるでしょう。

(目を細めて、意地悪く笑んだ。彼女が自身を大切に出来ない質だろう事くらい、寸刻話しただけでも予測が立つ。明確な解決策を出しても屹度、納得しないのだろうから、ひとつ卑怯な物言いでもして遣ろうと思った)
(口振からして、金銭が圧倒的に足りない訳でも無い。伝手も有ると云う。其れでも、余裕を失う程に、誰かへ施しをして居るのだとすれば。聞いた中で思い当たる理由等、狂おしい程の自己犠牲でしか、)
(――ひとつ、瞬く。自分が邪推する領域でも有るまい)

(薄ら開いた瞼から、視線をコップへ注いで、息を吐いた。靄を晴らした水面へ口を附けて、唇を湿らせる。肺に温もりを抱える頃には、再び立上る湯気を鼻先に感じつ、其の名を鼓膜が確と捉えただろう)

しずく。
普段は、幽世に居る。
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ベスティア・クローヴェル 2021年6月1日
見栄を張るのは、遠慮させないためだから。
食事を共にする相手に質素なものを食べさせるわけにはいかないし、かといって私だけ質素だと遠慮して食べてくれないんだ。
結果、見栄を張って二人分の豪勢な食事を用意する事になる。私だけ質素な食事だったなら、きっとあなただって手を付けないだろうし、ね

(そうでしょう?とでも言いたげに笑い返す。彼の食事だけ豪勢にしたのなら、きっと先程と同様に「過剰な施し」だと顔を顰めるだろう。)
(悪意には悪意を以って返し、誠実には誠実を反す。あくまで対等な関係を望む鏡のような子だと、そう思った)

(空になったコップの中にお湯を注ぎ、軽く濯いで捨てる。鞄から適当な古紙を取り出してコップを包んでいると、名前が聞こえて顔をあげる)
(「普段は」という言葉から、きっと彼も猟兵なのだろう。であれば、特に素性を隠す必要もない)

それじゃ、シズクに会いたくなったらカクリヨに行く事にするよ
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岩元・雫 2021年6月7日
そりゃあ、然う云うわよね。知ってた。

(うんと意地悪くした顔の眉根を、違う形に歪め直して、苦笑を零す。斯う迄予測通りの答えが嬉しく無い事も珍しい。此れだから周囲に心配されるのだろうに、なんて御節介は、思っても口にしなかった)
(代わりに、殆ど無くなって居た肉の、最後の一片迄を丁寧に食す。程好く熱を失った、未だ温かなスープもきちんと飲み干したなら、飲み口を指先で拭って、御馳走様の聲と共に両手であなたへ差し出しつつも、からころと笑声を漏らすのだ)

噫、矢っ張り界渡りだったの。合ってて良かったわ。
――わたし、中々捕まらないだろうから。来る時は、覚悟しておいた方が良いよ。旅行先で飢えるなんて、笑い事にも為りゃしない。
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ベスティア・クローヴェル 2021年6月9日
初対面のシズクにさえ見透かされているだから、きっと私はとてもわかりやすいのだろう。
だけどここ数年はこうして生活していたから、一人だと中々変えられないんだ。

(性分だから仕方がないとでもいうように、軽く肩を竦めて見せる。きっと彼も私と同じように、食べずに済むから食べない生活をしているのだろう。だから、これを切欠にして見直してくれれば―――。そこまで考えて、それがそのまま自分にも当て嵌まることに気付いた)
(コップを受け取ると、先程と同じようにお湯で濯いで古紙で包む。きっと友人達も同じような心境だったのだろう。そう思うと、私もあまり人の事は言えないな、と笑うしかなかった)

その点は心配しなくても大丈夫。
これでも鼻は良い方だから、シズクがいる場所といない場所くらいは区別できる。
それに、遠出する時は十分に食料を持って行くことにしてるから
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ベスティア・クローヴェル 2021年6月9日
そうして、炎を囲みながら余は耽る。
また一緒に食事をする約束をして、次に会う時を楽しみにしながら。
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