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【設定】足跡

宵雛花・十雉 2021年1月27日


歩んだ道を忘れぬように




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宵雛花・十雉 2021年1月27日
雪のよく積もった日だった。11歳の冬のこと、きっかけはほんの好奇心。近所の山の頂上から雪景色を見たいと、そう思った。

けれど中腹の辺りで出会してしまったのだ。傷つき虐げられた者達の「過去」から生まれたという影朧に。幼い子供の目には、図体のでかいそいつがまるで「鬼」のように映った。
足が竦んで逃げることもかなわず、死を覚悟した子供の元に人影が走る。父親が自分を庇うように立ち塞がっていた。

強いショックのためか記憶は朧げで。父が自分を庇った後、次に思い出せるのは真っ赤な景色。どうやら父と鬼は相討ちになったらしい。仰向けに横たわる父の腹には風穴が開いて。真っ白な雪の上で、目の覚めるような赤い花が咲いていた。

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宵雛花・十雉 2021年1月27日
母も弟妹たちも、皆が父の死を悲しんだ。当然だ、父は皆に慕われていたから。けれど、誰より父のことが大好きだったのは――

葬儀の間も、父の遺骨を埋葬し終えた後も、誰も自分を責めなかった。ただ「あなたのせいじゃない」と、そう言ってくれた。本当は「お前のせいだ」と思っているはずなのに。いっそ自分の罪を誰かに責められたかったのかもしれない。

せめて、いなくなった父の代わりになろうと思った。ならなければと努力した。けれど、自分では父の代わりになれなかった。父は強くて優しくて、皆から頼りにされて、つまりは人から必要とされる人。自分とは違う。

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宵雛花・十雉 2021年1月27日
家にいればいるほど、自分の無力さを思い知らされる。大好きな家族に幻滅されているような気がした。本当は自分で自分に幻滅していたのだろう。父が死んだのは自分のせいだと、常にそんな思いと共にあった。

夢に見るのはいつだってあの時のこと。この頃には既に夜もよく眠れなくなっていた。色々な薬を試したが、どれもあまり効かなかった。

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宵雛花・十雉 2021年1月27日
15歳になる頃、己の過去から逃げ出した。田舎を出て単身都会へ。
苦労は多かったが楽しいこともあったし、出てきたことを後悔はしていない。けれど結局、どこまでも付き纏う過去を拭い去ることは出来なかった。
そしていつしか巡り合わせにより、私立探偵として事務所を構えることとなる。

書き置きを残して飛び出して以来、故郷には帰っていない。合わせる顔なんて無かった。父の死の責任は自分にあるから。

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宵雛花・十雉 2021年1月27日
あの世でもこの世でも構わない。願わくばもう一度会いたい。会って、それから――

https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=28723
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宵雛花・十雉 2021年2月17日
深い深い夜の闇の中、導いてくれたのは貴方だった。
オレひとりだったら、きっと伝えられなかっただろうな。

あの蝶の中にいたのが貴方の全てなの? それとも――

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宵雛花・十雉 2021年2月17日
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宵雛花・十雉 2021年2月17日
*かつて忍びと呼ばれた男がいた。帷――夜の帳に因んだそれが、忍びの者として与えられた名だった。
主の命を忠実に熟し、影として生きる男にも、やがて「家族」というものが出来た。男の手は血で塗れている。生を受けた瞬間から影でしかなかった己が「父親」として出来ることは何か、男には分からない。ただ命にかえても守りたいと、そう思った。
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宵雛花・十雉 2021年2月17日
*身を包むのは燃え盛る怒り、煮え滾る憎悪。志半ばで意識を手放した男が結末を見届けることは無かったろう。

今、男が最も憎むものは果たして。
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宵雛花・十雉 2021年2月17日
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宵雛花・十雉 2021年2月17日
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