【設定】足跡
宵雛花・十雉 2021年1月27日
歩んだ道を忘れぬように
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宵雛花・十雉 2021年1月27日
雪のよく積もった日だった。11歳の冬のこと、きっかけはほんの好奇心。近所の山の頂上から雪景色を見たいと、そう思った。
けれど中腹の辺りで出会してしまったのだ。傷つき虐げられた者達の「過去」から生まれたという影朧に。幼い子供の目には、図体のでかいそいつがまるで「鬼」のように映った。
足が竦んで逃げることもかなわず、死を覚悟した子供の元に人影が走る。父親が自分を庇うように立ち塞がっていた。
強いショックのためか記憶は朧げで。父が自分を庇った後、次に思い出せるのは真っ赤な景色。どうやら父と鬼は相討ちになったらしい。仰向けに横たわる父の腹には風穴が開いて。真っ白な雪の上で、目の覚めるような赤い花が咲いていた。
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宵雛花・十雉 2021年2月17日
*かつて忍びと呼ばれた男がいた。帷――夜の帳に因んだそれが、忍びの者として与えられた名だった。
主の命を忠実に熟し、影として生きる男にも、やがて「家族」というものが出来た。男の手は血で塗れている。生を受けた瞬間から影でしかなかった己が「父親」として出来ることは何か、男には分からない。ただ命にかえても守りたいと、そう思った。
宵雛花・十雉 2021年2月17日
*身を包むのは燃え盛る怒り、煮え滾る憎悪。志半ばで意識を手放した男が結末を見届けることは無かったろう。
今、男が最も憎むものは果たして。