シリン・カービン 2021年1月22日
【かんにき】◎
夜の博物館ではしゃぐ子供たちを見送りながら、
剥製のコーナーへ進みます。
私の世界とはまた違う動物たち。
生命の精霊こそ宿らないものの、今にも動き出しそうな剥製は、
余程の技術と熱意が無ければ作れないでしょう。
エンリケの動物への愛情は疑いようが有りません。
ならばこそ、聞かねばならないことがあります。
エンリケは何故、ヴィラン『ビーストラヴァー』であることを
止めたのか。
私は猟師。
狩った獲物を余すところなく糧とし、次の生命へと繋ぐのが生業です。
生き方は違いますが、獲物への視線は彼と近しいものを感じます。
それだけに気になるのです。何があったのか。
そこに猟書家が付け入るのを、許したくはないのです。
シリン・カービン 2021年1月29日
【第二章】
【かんにき】◎
杏の気持ちはわかります。
ですが、今のエンリケは何か変わろうとしているように
思えるのです。
虚しさを抱き続けて生きるのは辛いもの。
かつての苦い記憶が残る地で、ヴィランであった頃の自分に勝利し、
ビーストラヴァーに決別する。
そうすることで、新たな自分になろうともがいているのではないかと。
「エンリケ」
彼に共闘を申し入れます。
狙いはパストテイラーとビーストラヴァーの同士討ち。
猟書家の闇を見切り、残像とフェイントで躱しながら誘導。
猟書家とヴィランの間に私たち二人が挟まれるように誘き出し、
闇と麻酔弾の着弾直前に彼の腕を掴んで空中へ回避。
敵が攻撃を受けて怯んだ隙に、お互いの獲物を仕留めます。