【1:1】神なる存在
水那母・みちる 2020年10月21日
しゃん、しゃん――
鈴の音が耳に届くだろう
真っ赤に色づき始めた葉を揺する木々、彼らに迎えられるように、朽ち果てた鳥居を潜ったなら
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お相手:
朱赫七・カムイ(f30062)
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水那母・みちる 2020年10月21日
(嘗ての信仰が喪われた廃神社、帝都の何処かに存在するその場所に『神』は居た。退屈そうに鳥居の上から地上を眺め、訪れる者を待っている)
朱赫七・カムイ 2020年10月21日
(しゃんとなる鈴に、リン、と低い鈴音が重なる。薄紅に紅が混じれば、朱桜が綻ぶように朱の神が舞い降りた。ぐるり周囲を見渡し、鳥居の上へと桜の眼差しを巡らせて。『神』たるものの姿をみとめれば柔く微笑んだ)
……そなたが、私を招いてくれたのかな。
初めまして、神様?
水那母・みちる 2020年10月27日
(待ちわびた朱が姿を現せば、ほう、と口端を持ち上げて)
初めまして。そしてようこそ、待っていたよ。……お前、見たところ人の子ではないね?名は何と?
朱赫七・カムイ 2020年10月28日
(――水の気配を感じる。なぜだかそう感じた。降りてきた声に笑みを深めて、それは大切な宝物を披露するかのように己が名を口にする)
待っていてくれたの。嬉しいな。
ひと、では無いよ。神、とよばれるものだ。
私はカムイ。――朱赫七・カムイという。そなたの名はなんというの。
……水の気配を感じるけれど――
水那母・みちる 2020年11月11日
そうかそうか、お前は神か。
(ころころと鈴を転がすように笑う声が君を迎えた)
ようこそカムイ。私は水那母満流姫命、水を司る神だ。……しかしそうだね、人の子の形をとる今の私は、さしずめ水那母 みちるといったところか。
朱赫七・カムイ 2020年11月14日
そう。そなたは水の。(道理で。清流に鈴が転がりおよぐような綺麗な声だと思った。
神とよばれて、淡く微笑む。果たして私は、そう呼ばれても良いのだろうか、と)
ミチル。
よろしくね、ミチル。
そなたは――竜神かい?
水那母・みちる 2020年11月26日
如何にも、私は龍の神。本来であれば龍としての姿を君に見せたいところだが……故あって今は力を失っていてね。出来ることと言えば、人の子の小娘とそう変わりはないのさ。
(すん、と鼻を動かす。目の前の男から感じるもの、それは)
しかし、そうだね。お前からも似た匂いを感じるよ。神とも人の子とも違う、複雑な匂いだ。
朱赫七・カムイ 2020年11月28日
水司る、龍の神なんだね。
噫――かれ以外の龍神には初めてあったよ。
(それは嬉しげに綻んで、力を失ったと聴けば、何かを懐かしむような哀しむような――どこか複雑な笑みを湛える)
におい?
(小首を傾げる)
へ、変な匂いがするだろうか……?
き、気になるならば一度もどり、もう一度湯浴みを……(あわあわと、威厳も何もない有様で慌て出す)
水那母・みちる 2020年12月8日
ほう。カムイ、お前は既に私以外の龍神を知っていると。
お前の言うその『かれ』とは、私よりも優れた高位の神かい?
(急に表情が和らいだように見えたものだから、ついその理由に興味を持ってしまったのだ)
ふふ、その匂いは湯浴みでは落ちないさ。……しかしそうか、成る程。お前は神であるのに神らしくは無いね。どちらかと言えば振る舞いは人の子に近い。
朱赫七・カムイ 2020年12月12日
高位……龍神には位があるのかい?
どうだ、ろうな……かれは、もう既に『魂』だけであるから……。
(それでも――)
うつくしい、春の化身のような……桜の龍であるよ。
(神、らしくない。その言葉を笑みのみこんで、朱桜の双眸を和らげる)
噫、よく言われているよ。
神たるものは、どうすべきであるのか――私はしらないんだ。
みちるは、立派な、神であるね(振る舞いも、言葉も。凛とした清らな水のような――神たる、威厳をもっている。そう感じていた)
水那母・みちる 2020年12月25日
龍神か否かに依らず、神には得てして位があるものさ。
(桜の龍と聞けば、ほう、と息を吐いた。にやり笑んで)
お前はその『かれ』に惹かれているのかい?
如何にも、私は立派な神。それは私がその在り方を望むからだ。
ならば神たるものを知らぬお前に問おう。カムイ、お前は『神』になりたいと願うか? 神として振る舞い、神として奇跡を起こすことを望むか?……それが、お前の在り方か?
朱赫七・カムイ 2020年12月28日
みちるは位が高いのかい?
私に位があるとしたら、低いものであると思っているよ。
……惹かれているとも。
(応えは短く、然りと)
(在り方を望むという確かなこえに緩く頷き今はふたつになった眸を閉じる。今の己に、斯様に然りと頷くことができるかと問われれば、否だ)
神なるものに成りたい、か……。
人の上に立つ神として振る舞いたい、偉大な神として崇められ祀られたい……とは思ってはいないよ。然れど私は、『神』でなくてはならない。
私の在り方は未だわからぬけれど、愛し子を守り救うことが出来る――神では在りたいと思っているよ
(そう、思っているのだ。全てが、至らず追いついていないだけで)
水那母・みちる 2021年1月4日
嘗ては高位の神であったこともあったさ。けれども今では忘れられた逸れ神。人の子とは『忘れる』生き物だからね。(至ってあっけらかんと言ってのけた)
それがお前の望む姿。愛し子を守り救うことが出来る――はて、それは神にしか出来ぬことかい?
朱赫七・カムイ 2021年1月8日
噫、ひとはうつろう。咲いたと思えば、瞬く間に散ってしまう――そういうものなのだとしっているよ。
それでも、そなたを憶え祀るものも在るのだろう?
………神にしか、出来ぬことではない。
……私などよりずっと……ひとの子のほうが愛し子をまもれているよ。
……されど私は望まれている。あのこの、神であると
神にしか出来ないことって、なんだろうね
水那母・みちる 2021年1月18日
まったく、移ろわなければ私もひもじい思いをせずに済むものを。(ままならぬ。けれど、だからこそ面白いとも言える)
左様。僅かだが信心深い者は残っている。せいぜい食い繋ぐさ。
ならば『あのこ』とやらに望まれているから、お前は神でなくてはならないと。そういうことかい。随分とお熱じゃないか。
……さてね。私は生まれてから如何なる時も神であったし、人の子に食事以上の興味を持ったことが無い。だからその問いに対する答えは持ち合わせていないよ。
けれど、お前の出す答えには少しばかり興味がある。
神にしか出来ぬこと……いつかお前がその答えを見つけ出したならば、私にも話して聞かせてくれないかい?
朱赫七・カムイ 2021年2月18日
うつろうからこそ、ひとは美しいのかもしれないよ。……そうして、前に進んでいくのだろうね。(だからこそ、ままならない。同意しながら柔く笑みを浮かべて水竜の神たるそなたを見やる)
噫、祈り、信じてくれるもの達の有難いこと。みちるはどうやって、信仰をあつめているの?
そうだよ。私はなにより、あの子の神で在りたいからね。この役だけは譲れないんだ。
(否定もせずに頷いて、お熱という言葉にひとつ、瞬く)
……神としては間違っているのかなと、思いもするけれど……でも……。
そっか。みちるは生まれながらに神であるのだね。
それもまた神の生き方でそうして見守ることこそが、もしかしたら……。情けないことに、私は神として生まれながらも定まらなくてね
だから。うん。こたえを定めたら聞いてほしいな。
ちゃんと私がこたえを見つけられるか待っていて欲しい
水那母・みちる 2021年3月4日
(ふふんと短い笑いをもって応えた。水もまた、移ろうものだ)
人間というものはね、どういう訳か女子供に弱いようなのさ。美しく聡明であれば尚良い。そして同時に縋るものを求めている。……故に、この姿でちょちょいと小さな奇跡を見せてやる訳だ。
神として間違っているかどうか? お前は面白いことを考えるね。それに思い悩む姿はやはりさながら人の子。間違うことが恐ろしいか。
……ふふ、ならば宿題を増やそうか。
「神にしか出来ぬこと」「神には出来ぬこと」
ひとつを知ればもうひとつも自ずと浮かび上がるだろう。
期限は無いよ。私には無限に近い時間があるのだからね。
水那母・みちる 2021年3月4日
さて、私はそろそろ信仰を集めに行かねばね。お前も会いに行っておやり。お前を待つ者がいるのだろう?
(言えばその姿が、長い髪が、水面の様に揺らぎ始めるだろう)
カムイ。お前のお陰で、私も暫く退屈せずに済みそうだ。
このような時には確か、有難うと言うのだったかな。
……有難う、また会おう。
朱赫七・カムイ 2021年3月5日
(流れゆく清流のような水龍の神の姿に、成程と頷いた)
成程……女子供に……。みちるは流石、ひとに詳しいね。そなたはとても美しいから、ひとの子らは喜んで祈りそうだよ。
(自信のある、眩いほどの。その姿も──之が神の在るべき姿なのだろうと、胸裡で納得をくりかえす)
噫、恐ろしいよ。
間違って……違えて、喪うことが(恐ろしい。そう、小首を横にふる)
神にしか出来ぬことと、神にはできないこと──
(まるで思い浮かばない。今の私は、まだ神たりえてないのだろう。
そんな、結末を忘れていたい程に。)
わかったよ。探すよ
私が私である意味と、神たるに必要なことを。
朱赫七・カムイ 2021年3月5日
(揺らぐ水面に、響く声音に笑みを重ねる)
噫、またね、みちる。
次似合う時には……宿題のかけらでもつかまえていたいな。
教えてくべて、ありがとう。
みちるならば……たくさんの、眩いほどの信仰が集められるだろうね。
そう、祈っているよ
水那母・みちる 2021年4月3日
(そうして神々は在るべき場所へと散ってゆく。いつの日か、再びまみえるその時まで)