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Vorpal "B"unny's tale

皐月・灯 2020年8月1日


グリモア持ちからの依頼には、時々集団戦ってヤツがあるだろ。
大物ほど歯ごたえはねーが、とにかく数が多い敵をブッ飛ばすってアレだ。
言っちまえば大物前の露払いだ。……まあ、戦えねーヤツらにとっちゃ十分すぎる脅威なんだが。
とはいえ――今回駆り出された猟兵連中は、大していねーらしい。

視界を埋め尽くすのは、生死の違いはあるがヤツらの肉体と、血煙と、炎。
赤く染まった、常夜の戦場での話だ。


・メアリー・ベスレム(Rabid Rabbit・f24749)
・皐月・灯(喪失のヴァナルガンド・f00069)




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皐月・灯 2020年8月1日
(露払い。そう、露払いだ。厄介な能力を持っている敵も居れば、雑魚の割には威力のある攻撃を放つ敵もいる。だが、全てを殲滅した先には、大抵更なる存在が控えているものだ。だというのに)
――ちっ。
(拳を引き戻し、舌打ちを一つ。頭の弾けた獣の体が、真横を駆け抜けたままの勢いで地面に転がった。これで何体目か、20を超えた辺りから数えるのはやめていた)
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皐月・灯 2020年8月1日
(数が多い。異様に多いと言っていい。現れる傍から片付けているが、削り切るに至っていないのだ。おかげでここには死体の山が積み上がっている)
……ふん。(忌々しげに山を蹴り崩すと、その向こうに――誰かが見えた)
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メアリー・ベスレム 2020年8月1日
(いつものお仕事、まずは数を殺して道を開く。いつものやり方。えぇ、だけれど今日は少しだけ、お客さんが多いみたい?
 獣に囲まれ、欲を向けられ。それでもなお、いやだからこそ楽しげに笑ってみせた)
 まぁ、もうお終い? アリスが欲しいんでしょう? 諦め切れないんでしょう?
(大勢で襲い掛かればもしかしたら、そう期待させる言葉を聞いてか聞かずか、飛び掛かる獣達。
 包丁ぎらり、首刎ねる。刃でぐさり、一突きに)
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メアリー・ベスレム 2020年8月1日
(転げた敵を踏みつけて。跳んで頭を叩き割る。
 掠めた爪牙は少なくないけれど、返す刃が命を奪えるならそれでいい。あぁ、もうどれが自分の流した血で、どれが浴びた返り血かなんてわかりゃしない!)
 あは。残念でした。血に飢え、流させてきたあなた達。楽しむのはあなた達じゃなくて、メアリの方! 今度こそ本当にお終いね?
(嫣然と微笑みながら最後の一太刀まで振るい終え、ふう、と一息吐いたところで)……あら?(目が合った)
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皐月・灯 2020年8月1日
(閃く光は刃の軌跡だった。獣が集うその中心地で舞い踊る――いや、いのちを刈り取る人影。襲い掛かった者から順に、確実に死を贈られている。だが、一方的な戦いというわけでもなさそうだ。その声は届かないまでも、この世界の闇夜に慣れた目には、遠目でも肌に幾つもの傷痕が刻まれているように見えた)
……自分を餌代わりにしてんのか。……ったく。
(小さく零して、相手に向けて真っ直ぐ駆けだした。血の染みた地面を蹴り、土塊を飛ばしながら、姿勢を低く迫る。両手から赤の燐光を立ち昇らせて)
アザレア・プロトコル――!
(影の如く素早く距離を詰め、跳躍。握りこぶしを、相手に向けて振りかざして――)
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皐月・灯 2020年8月1日
(刹那。木立の陰で息を潜めていた獣の一匹が、一瞬の静寂を狙いすましたように飛び出した。鋭い牙の並んだ、涎塗れのあぎとを広げて)

知ってんだよ。

(言葉と共に拳を打ち下ろす。牙を叩き折るのみならず、勢いを完全に殺したところへ、空中で追撃の回し蹴り。獣は飛び出してきたのとは反対側の木立へ消え、遅れて閃光。それきり静かになった)
…………なんだ、女か。
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メアリー・ベスレム 2020年8月1日
まぁ、「横取り」だなんていけない人!
(感謝をするでもなく、かと言って言葉通りに気分を害した風でもなく。「気付いてたのに」と言外に滲ませながら、楽しそうにそんな事を言ってのけた)
 女じゃないわ、メアリよ。そう言うあなたは男の子?
(覗き込むようにしながら訊いてみる。……近くで見れば、その柔肌に付けられた傷が徐々に治癒していくことに気付くだろう。【血塗れメアリ】、返り血を自らの生命力に変えるユーベルコードの力で)
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皐月・灯 2020年8月1日
知るかよ。オレの間合いにいたアイツに言え……もう無理か。
(肩を竦めてみせた。先の戦い方を見る限り、彼女は不意打ちだろうが迎え撃つスタイルだというのは想像できた)
……灯だ。
(詩をうたうような言い回しにごく僅か黙り、質問に答える代わりに名乗り返した。ちら、と肌の傷に目をやる。目に見えて傷が塞がっていっているのは……そういうユーベルコードか。)
……そうか。
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皐月・灯 2020年8月1日
……来るまでもなかったか。
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メアリー・ベスレム 2020年8月1日
アカリ……?(舌に馴染まない発音。どこの世界の人かしら、とぼんやり思う)
あら。そんな事ないわ、王子様? それとも猟師さんかしら? 少しでも弱そうに見えたなら、獣の餌にはうってつけという事だもの!
(くるりくるり、と血と臓物でぬかるむ土の上を踊るように回りながら歌ってみせる)
メアリはアリス、か弱い女の子! お砂糖とスパイスと素敵な何かでできている! 哀れなオウガやヴァンパイア、首が飛ぶまで気付けない!
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皐月・灯 2020年8月1日
おう。……呼びにくけりゃ好きに呼べ。どうせ本名じゃねー。
(ただでさえ濃密な血の臭いが、彼女の周りは一段と濃いように感じた。これだけの返り血を浴びていれば当然だろうか。さらりと自分を餌にしていたことを明かした彼女をちらりと見て)
誰が王子サマだよ、オレはただの魔術師だ。……アンタが何でできてて、オウガやヴァンパイアどもの首が何本飛んだって興味はねーが。……か弱いか?
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メアリー・ベスレム 2020年8月1日
アカリ、あかり、魔術師の、灯。(何度か舌の上で転がして馴染ませる。尤も魔術師という職の事はよくわからないが)
か弱いの!(ふてくされるように念を押す)だって、そう思わせて置いた方がいざという時に殺しやすいでしょう? それに、か弱いと思っていた相手に殺される時が一番いい顔をするんだもの。(だからその方がいいの、と)
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皐月・灯 2020年8月1日
……おう?(何となく返事を返した結果、疑問符がついた。小さく咳払いしt誤魔化して)
なんでむくれんだよ……まあ、言いたいことはわかるけどな。似たようなこと言ってるヤツもいるし。(曰く、侮ってくれた方が不意を衝きやすいと。ただ、そこに続いた言葉はまるっと違っていた)
……アンタの趣味にどうこう言わねーけどよ。その格好じゃ、狙いの獲物にゃ出会えそうにねーな。(じろり。薄青と橙、二色の瞳で彼女を頭のてっぺんからつま先まで無遠慮に眺め)
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メアリー・ベスレム 2020年8月2日
あら、メアリの格好がそんなに気になる?(揶揄うような言葉。無遠慮ではあってもそう舐め回すようなものではない視線を平然と受け流しながら、そう訊き返す)
あら、これはこれで便利だもの。オウガの着せたアリスの衣装。暴いてみたいと思わせて、狩られる獲物と信じさせ、食欲煽るスパイスめいて。例えるならお菓子のラッピング? それともプレゼントのリボンかしら? えぇ、だけれど……今日みたいな日には逆効果?(会話の最中、意識の端に追いやっていた死体の山に改めて目を向ける)集めすぎてしまったかしら。
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皐月・灯 2020年8月2日
(揶揄うように問われれば、ついと目を逸らして)……服の話じゃねーよ。そんだけ血まみれで平然としてるヤツに油断するヤツなんぞ……。(死体の山を横目で見る)……いんだな、結構。
(物語の一節を諳んじているかのような言葉遣いだと思う。そこに語られているのは、言ってしまえば罠の話。あるいはとろりとした毒の話だ)
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皐月・灯 2020年8月2日
……気にするこたねーんじゃねーか。アンタがここに顕れる怪異の類じゃねーってんなら、グリモア持ちから受けた仕事だろ。なら、オレ達の仕事はこいつらを仕留め続けることだ。
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メアリー・ベスレム 2020年8月2日
(得心言ったようにそうね、と頷いて。途端に涙を浮かべてみせて、怯えたように声を震わせ)ど、どこなのここ……。いやッ、殺さないで……! お願い、なんでも、なんでもするから……。
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メアリー・ベスレム 2020年8月2日
……なんて。こういう方が「そそる」ものね。(と破顔してみせる)
 ふぅん。だったら、次の団体さんがもうすぐ着く頃かしら? それとも親玉のヴァンパイア? えぇ、どちらにしても、次はもっと楽しい相手だと良いのだけれど。(くるりくるりと掌中で、大きな刃物を弄び。視線を逸らして闇の中。誰ぞいるかと問うように)
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皐月・灯 2020年8月2日
……うさんくせー。(大した演技力だ。先程までとは雰囲気が一変して、怯えるひとりのアリスがそこにいた。確かに、今の彼女ならか弱いと言われても頷けるだろう――問題は、なまじ最初に殺戮場面を見てしまったせいで、何より先にその言葉が口をついて出たことだが)
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皐月・灯 2020年8月2日
やれやれ、根っからの殺戮ウサギってわけだ。……自前の耳じゃなさそうだが、その頭の。(見境がないわけでもなく、狙い定めた獲物に対して暴威を振るうタイプのように思えた。余計な面倒がなくて、正直なところ助かる)
さてな……この雑魚どもの多さ、おそらく召喚してる野郎が居やがる。ソイツを潰さねーと、メインディッシュはお預けだろ。
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メアリー・ベスレム 2020年8月2日
(流石に急な豹変すぎた自覚はあるので舌を出して誤魔化した)
 アリスはウサギよ。えぇ、今はね。そういう事にしておいて?
(そのウサギのフードの下に隠された、普段は見えぬ狼耳。これだけ殺し続ければ、獣性も首をもたげるというもので)

 お山の上でふんぞり返って、自分は一人観劇気取り。そういう相手がいるって事ね? だったら痺れを切らすまで。ここで殺し続けるしかないかしら。それともいっそ、追い詰められる振りでもするべきかしら?
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皐月・灯 2020年8月2日
(ん、と顔を上げる。初対面の相手にそれほど深く聞くつもりもなかったが、今までの反応と少し違う気がした。彼女が纏う獰猛な肉食獣の気配。それは当然兎などというものではなかったけれど)
……そうか。なら、それでいい。(頷きを返した)

あるいは、そーゆーヤツに言われるがまま、入り口を開き続けてる間抜けがな。……オレはどっちの提案もパスだぜ、メアリ。
(顎先に指を添え、両眼を閉じて暫し思案)
これだけの数を喚んでんだ、召喚陣はそれなりにデカいか、複数設置されてる筈……空気中の魔力量の増減に、差が出るな。(ぱち、と瞼を開いた)
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メアリー・ベスレム 2020年8月3日
まぁ、わかるの?(魔力。それって臭いがするものかしら? そう思いながらすんと鼻を利かせてみせる。ぶちまけられた血の臭い。その血に塗れた土の臭い。木々の臭いに草々の臭い。色々と嗅ぎ取れはするけれど)……魔法使いって鼻が利くのね、それとも目が良いのかしら?

招待状はないけれど、こちらから乗り込んでしまうのね? えぇ、それって素敵だわ! 驚く顔が目に浮かぶよう!(ぱちん、と楽し気に手を叩き、是非そうしましょうと賛意を示す)それなら会場までエスコートしてくださる?
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皐月・灯 2020年8月3日
ま、そんなとこだ。ほんとに嗅いでるわけじゃねーけど。(網膜に映像を投影。仮想領域で演算し、魔力濃度を視覚化する。そこに現在に至るまでの観測データを重ねれば――)当たり、だ。(道筋を辿るのは、難しくない)

ふん、エスコートなんてガラかよ。オレはアンタの言う通り、招待状も貰えねー野蛮人だぜ。(鼻を鳴らして肩を竦め、彼女を肩越しに振り返り)
そいつがあんまり気に食わねーから、パーティをブチ砕きに行くのさ。ついてくるなら止めねーぜ?
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メアリー・ベスレム 2020年8月6日
もう、そこは喜んで手を取ってくれても良いところよ?(なんて、ちっとも期待していない声音でそう言って)
あら、良いじゃない野蛮人。生き血を啜って肥え太る、蒼っ白いお顔のお貴族様(ヴァンパイア)。あなた方の定めたお作法なんて、知った事じゃあありません! そう言ってやれるのは、それこそ野蛮人の特権だもの! えぇ、だからお茶会でも舞踏会でも、悪趣味なパーティなんて「ブチ砕き」に行きましょう?
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皐月・灯 2020年8月12日
――アンタに手ぇ伸ばすとどうなるか、そいつはしっかり見せてもらったからな。(全く冗談めいていない、静かな声でそう返し)
へえ。獲物のふりの次は、野蛮人のふりもしてみせるってか。そりゃあ……
(やっぱりか弱くはねーだろーよ、と。言葉の続きは、視線だけでちらりと見遣るに代えて)
なら問題ねー。ついてきな「狂暴兎(rabid bunny)」、アンタの趣味かは知らねーが、血みどろの夜は見せてやれるぜ。
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メアリー・ベスレム 2020年9月15日
まぁ、楽しみね。「魔法使い(Wizard)さん」。
あなたが案内してくれる血みどろは、
鮮血舞い散る花園かしら?
紅くて甘いお茶会かしら?
それとも、あわれな子豚の屠殺場?
いずれにしても、メアリ達で全て「ブチ砕いて」しまうのだけれど!
(気に入った表現を繰り返し、そうくすくすと笑いながら、彼の後に続きましょう)
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皐月・灯 2020年9月17日
(彼女の返しに、ふん、と――どこか満足げに鼻を鳴らして)
花園なら踏み荒らすし、お茶会ならテーブルを蹴倒すだけだ。
オレとアンタが並んで行くなら、結局屠殺場が似合いだろ。
(何が待ち受けていようが、どうせ残らず叩き潰すのだからと。淡い光を放つ両目で、森の奥を見遣り)
行くぞ。
(ブーツの踵でぬかるみを蹴り、その闇へと身を滑り込ませた)
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皐月・灯 2020年9月19日
(その後の2人がどのような行いを為したのか――敢えて語る必要はないだろう。確かなのは少々刺激の強いやりとりの果て、この森が静けさに包まれたということだ。幾分か大盤振る舞いされた、赤い血飛沫を彩りにして)
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皐月・灯 2020年9月19日
(――それは2人の獣が織り成す、とても残酷な御伽噺)
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皐月・灯 2020年9月19日
―了―
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