Another one
皐月・灯 2020年5月27日
夕刻、UDCアース。
目覚めた星の煌きが、薄膜のように残った太陽光の裏側に瞬き始めるころ。
久々の己の時間。
街中を歩きながら、記憶にある光景と現実との違いを楽しむ。
魔術回路の試運転の結果も良好。
さて、次はどこへ行こうか。
なにしろ夜はこれから始まる。
馴染んだ宵闇の到来を待ちつつ歩みを進める――そんな中。
近づいてくる気配を感じた。
・霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)
・皐月・灯
?(???・f00069)
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霄・花雫 2020年5月27日
(何時も通りに走り回ったあとの、空からの眺め。夜景と、星と。燃えるような夕空から夜への移り変わりは、何時見ても綺麗だ。特に、今日は良く晴れていて雲が少なかったから。日常的にユーベルコードや技能を駆使して空を走り回る娘は、地面を歩く方が少ないくらいだった)(何気なく。それは本当に何となく。見下ろした先、見慣れた少年の後ろ姿を見付けた。服装は違うけれど、散々上空から見付けては飛び付いているから、彼の後ろ姿なら直ぐに分かる)──あっかりくーん!(だから、躊躇はゼロ。ぴょいっと軽い動作で念動力の足場を蹴って下降、尾鰭を翻しながらその背中に何時も通りに飛び付こうと)
皐月・灯 2020年5月27日
(革靴を履いた足を、止める。――自分以外の足音はない。けれど接近の気配はあけすけなほどわかりやすかった。どころか、声まで耳に届いてきた。そのまま上空から背中へ一直線、迷いというものがない。それ以上に敵意の類もないのが、奇襲にしては奇妙だった)――。(スーツの背中に、相手の指先が触れようかというタイミングで)
皐月・灯 2020年5月27日
(振り向き、相手の姿を認め)――おや。凶手にしては随分と可愛らしい。(ふ、と柔らかく唇を緩めてみせた)
霄・花雫 2020年5月27日
……へ?(間が抜けた声が出た。が、身体は反射的に念動力を展開し、相手の身体に触れる前に自分で自分に急ブレーキを掛けた。尾鰭が大きく広がって、ぐ、と身体に負荷が掛かってちょっとだけ痛い。相手の極々間近で急停止した少女は、宙に半端に1mほど浮いたままで丸い瞳を更に丸くしてぱちくりと何度か瞬く
)…………目の色、違う…………誰?(こてん、と首が傾ぐ。え。んん?あれ?と大量に浮かぶ疑問符。顔立ちは、あのこだ。あのこより、ずっと熟れた世慣れた感じがするけれど。でも、目の色が、纏う空気が、声に含まれる響きが全く違う)
皐月・灯 2020年5月27日
――失礼、ちょっとした冗談ですよ。(胸に手を当て、片手を自身の背に回し、一礼する。……背後に回した方の手に、うっすらと纏われていた青白い光が、そこで密かに霧散した)ふむ。目の色が違いますか。(不思議そうな様子の少女を見遣って呟く。確かに自分を知っているような口ぶりだが、此方には見覚えが無い。慣れたことだ)成る程。貴女、「灯」のお知り合いですか。
霄・花雫 2020年5月27日
(素人上がりで感知能力は高くない。が、野生の勘には秀でていた娘は、そのまま勢いを殺せないよりかは多少痛い思いをしても自力で止まった方が良いと無意識に判断出来ていたらしい。結局、後ろ手の不穏には気付かぬまま。彼でないのなら、と一歩、二歩、空中で後ろに下がってある程度は適切な距離感を作る。灯くんに飛び付くのはもう当たり前だが、知らない誰かなら最初くらいはちゃんと適切になる)……灯くん、知ってるの?んん、……えっと。灯くんは友達だけど、……双子……だったり?(疑問符が尽きない。自分の知っている身長差、自分の知っている顔立ち、自分の知っている声。でも、その色彩や口調、含まれるもの、向けられる感情が違う。何だか不思議に迷い込んだみたいだ)
皐月・灯 2020年5月27日
ともだち。(やや奇妙なイントネーションで繰り返した。まるで初めて聞いたフレーズであるかのように)
皐月・灯 2020年5月27日
……ああ、友達。友達ですか。灯に。それも貴女のように可憐な女性が。(距離を取った彼女を見つめて、面白いことを聞いたと言わんばかりに口角が吊り上がった。先程彼女に何をしようとしていたのかは既に頭の中に無い)ええ、知ってますよ「灯」。なにせ自分のことですからね。(疑問符を浮かべたままの少女を面白がるように、笑みを浮かべたまま)
霄・花雫 2020年5月27日
うん、友達だよー。(何の衒いも躊躇もない。あのこは色々素直じゃないし突っ撥ねるし、所謂ツンデレだと聞くけれど。それが無意識でも意識的でも、初めての友達だと自分が言う言葉を否定したことだけはないのだから
)…………自分の、コト?(さっきから、少女の瞳は真ん丸くなりっぱなしだ。自分のこと。つまり、相手は自分が灯だと主張した訳で。でも、全然違う。でも、双子のように良く似ている。答えを出すには、暫くの間があった
)………………もしかして。あたし、灯くんの種族、勘違いしてた?
皐月・灯 2020年5月27日
ほう……迷いなく言いますね。(先刻の空中突撃といい、直情的というか、直感的な相手のようだ。当たり前のように言い切るあたり、より強くそう感じる)ええ、私のことです。「私」も灯ですよ。(ゆっくりとだが呑み込めた様子の顔を見て、くすりと声を漏らし)では、謎かけはお終いにしましょう。お察しの通り……貴女が「灯」と呼ぶこの体、多重人格者のものですよ。(どこか演技めいた言い回しを以て、頷いて見せた)
霄・花雫 2020年5月27日
だって迷うようなコトじゃないもん。(あっさりと。灯への好意をこれっぽっちも隠さない娘は、相手の考える通りに本能的に動く。考えが足りない訳ではないけれど、考え過ぎで深みにハマるよりさっさと駆け出した方が大体上手く行くと知っている)(まじまじと相手を眺める視線、ぱち、ぱち、とゆっくり瞳を瞬いて、相手の言葉を飲み込んだ)……知らなかったなあ、びっくり。でもそっかー、人間と多重人格者、見た目じゃ判別付かないもんねぇ。
霄・花雫 2020年5月27日
(ふと思い付いたように、ぽん、と軽く手を打って)……あ。そっか、ってコトはその様子だと記憶共有ないんだ。君、お名前は?あたしはねー、花雫。霄・花雫。(自分を指さして、物怖じしない娘はにこにこと笑う。高度は地面から10cmほどに下げた)
皐月・灯 2020年5月27日
(あっさり言い切るあたり、芯の強さもあるようだ。それとも、この体に眠るもうひとりをそれだけ信じているとでもいうのか。素直に、珍しいと思った)そうですね、基本的には脳の処理能力が異なるだけですから。それに……(言葉を切る。無邪気に笑いかけてくる様子を見れば、警戒心の欠片もないことがわかる。)……警告されていないわけですか。ますます珍しい。(そう、呟き)
皐月・灯 2020年5月27日
(重ねるように、少々声量を上げて言葉をつづけた)
「セクト」と申します、花雫嬢。以後、お見知り置きを。(先のように、胸に手を当てて一礼。そのしぐさも言い回しも、どこか芝居がかった男だった)
霄・花雫 2020年5月27日
(多重人格者。身近に居たことはなかったけれど、もしかしたら知らなかっただけで居たのかもしれない。まあ、あのこが多重人格者だと知って何が変わるのかと聞かれれば、何も変わらない訳で。少なくとも、彼から注意喚起はされていないなら、彼のもうひとつの人格らしい目の前の相手が危ない人ということもないだろう。記憶が共有されていなくたって、自分自身が多重人格者なことは知っているだろうし。多分。それに、熟練された戦人の判断にもついて行ける自分の勘を信じている)……警戒?(する必要あるのかな、と言外に聞き返す。相手の芝居がかった名乗りを聞くと、可笑しそうに笑って)セクトくんだねー、よろしく!もしかしてどっか行くトコだった?邪魔しちゃってごめんねー。
皐月・灯 2020年5月27日
ふふ。今のところはこちらの話ですよ、花雫嬢。聞いていないのなら、きっと聞かれたくなかったということでしょう。(否定するでもなく、やんわりとそれ以上の追及を阻んだ。実際、会って数分と経っていない彼女に何をしようという気もない)いいえ、特にあてもない道行ですよ。……貴女こそ、こんな時間へどちらへ? このあたりは繁華街も近い。日が暮れてしまえば、安全とは言えませんよ。(ぽつぽつと光の燈り始めた街並みを指さして見せた)
霄・花雫 2020年5月27日
そっかー、んじゃ良いや。(阻まれるとさくっと話題を終えた。あのこが聞かれたくなかったなら、聞く気はなかった。あのこが危ない、とかなら別だけれど。自分が知るあのこの色彩とは違う瞳は、何だか冷静な観察者のように見えてまだ慣れない)そ?邪魔しちゃってないなら良いんだけど。あは、あたしはだいじょーぶ。灯くんだー、と思ってたからつい降りて来ちゃったけど、普段の散歩中は降りて来ないもん。(明るく笑って、細い指で空を指さした。自分の通り道は彼方だ、この辺は夜になるとあまり治安も良くないし、降りて来る気も普段ならばなかった。尤も、一般人にどうこうされるほど弱くはないけれど、危ないことをすると方々に心配されるし叱られる)
皐月・灯 2020年5月27日
……素直ですね、貴女。(賞賛の意味で言った。確かに牽制の意図を籠めた言い回しを選んだけれど、早々に理解する察知力はかなりのものだ。……おそらく、自身の観察の眼差しにも気付いているだろう。「灯」が遠ざけられないわけだ)成る程。空の貴女を捉えられる不届き者はそう居ないでしょうね。(UDCアースにおける神秘は闇に潜むものだ。空を見上げた先、可憐な少女が跳ねている姿など一般人には想像もつくまい。)……それなら、一つお願いしてもいいですか?
霄・花雫 2020年5月28日
あれ、何か褒められた?(くすくすと笑う声。人の感情には昔から敏感だった、勘が良いとも言う。それに、それが大好きな友達についてであれば尚更だ。誰だって、大好きな子に嫌な思いなんてさせたくない。相手の眼差しが観察者であればあるほど、違う人格なんだと実感する。あのこは、言動の割に時々自分を見てくれる目元が優しいから)そういうコト。空だったらそう簡単には負けないもん。……お願い?なぁに?(胸を張る。事実、嵐と落雷を喚ぶ強大なドラゴン相手にすら、この娘は空で渡り合う。お願い、と聞くと不思議そうに小首を傾げて問い返す。可能なことか聞くまでは安請け合いは出来ないけれど、自分に出来ることなら引き受けるつもりだ)
皐月・灯 2020年5月28日
ええ、褒めましたよ。(感情のままに動きながら、周囲もきちんと見えている。――率直に言って、「自分」にとっては苦手なタイプだ。だからと言って、笑顔が揺らぐことはない)そうですね。それはいい。とても頼りになりそうだ。(にこにこと、胸を張る彼女に頷く。彼女の実力を直接見たことはないが、「灯」が無力な女子を近付かせるわけがない。その点は心配していないし――第一、実力の工程はあまり関係がなかった)
――そこの裏路地で、3人の男性が怪我をしています。救急車を呼んであげてください。あ、意識はありませんので、目を覚ます前に退散してくださいね。
(自身の背後、先ほど出てきた路地を親指で示した)
霄・花雫 2020年5月28日
じゃあ喜んどこっと。(褒められれば喜ぶ。嬉しければ笑う。普通を体現したような娘は、相手から何を思われているかなんて気付かぬまま。尤も、気付いたとしても何がある訳でもないのだけれど。頼りに、なんて言われると少しだけ可笑しそうに笑った。ちょっと目の前の彼に似合わない気がしたから。誰かを頼りにする、なんて、灯以上にしなさそうに感じたから。でも、観察者なら、信頼の上の頼りでなければあるのだろうか。まあ、それはさておき)
霄・花雫 2020年5月28日
……へ?……あっ。(目を丸く。予想外。しかし、何となく。何となーく察した。やったなこの子。灯である時よりも身形が整えられているし、それがこんな場所をひとりで歩いていたら推して測るべし)もー!それもっと早く言うコトだと思うよセクトくん!わわっ、救急車救急車!(慌ててスマホを取り出して、掛け始める。鳴るコール音)
……あ、セクトくん!またね!(この隙に居なくなる気がしたから、挨拶はした)(通話が繋がる)あ、良かった繋がった!あの、(続く会話。所在地)
皐月・灯 2020年5月28日
――どこへ行くかは聞かれましたが、何をしていたかは聞かれませんでしたから。(口元だけで笑んでみせて、ひらひらと片手を振った)じゃ、あとはよろしくお願いします、花雫嬢。
(それだけ言って踵を返し、顔だけ振り返って)
電話が終わったら、貴女も離れることをお勧めしますよ。
皐月・灯 2020年5月28日
(それでは、と涼やかな声音を残して、今度こそその場を立ち去った。藍紫のスーツ姿は、通りに出れば雑踏に紛れ、すぐに見えなくなる)
皐月・灯 2020年5月28日
(さて。救急車が慌ただしく到着したころに彼女がいたのかどうかはわからない。後日、繁華街傍で倒れていた男たちのニュースはちょっとした騒ぎになったけれど、それだけだ。少なくとも、日々は変わらず続いていく。)
皐月・灯 2020年5月28日
(そんな日常に潜む、もうひとり。――それが私ということで、どうでしょう?)