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【1:1】霽か、山翡翠

都槻・綾 2020年5月17日


いつもの逍遥。
いつもの植物採集。
いつもの自然観察。

草木を煌かせる宝石めいた玉の露は
今朝方迄さらさらと降っていた雨の名残。

草木靡かす風の戯れ。
結び葉の隙間から零れる光の雫に双眸を細める。

初夏の昼時。
観察に夢中になって深入りしたのが運の尽きか、
人足など遥かに遠い森の奥。
斜面に咲いた花へと手を伸ばした、其の時――、


――天と地がころんと、ひっくり返った。


※お約束した方と




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都槻・綾 2020年5月17日
――やぁ、蒼空だなぁ。天晴天晴、
(見上げる空は緑樹の枠に切り取られて、いっそう青々とうつくしい。などと暢気に眺めているけれど、地に大の字で転んだままなのは痛む身を起こすのが億劫だったから)(いたた、)
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シリル・アルバ 2020年5月17日
(ふらりふらふらと空中散歩。歩いて越えても良かったけれど、こうして飛ぶのも気持ちが良い)
……ねー、ネムス。一つ気になるんだけどさー、落とし物って見つけたら届けなきゃいけないんだっけ? え、なんでって……。いや、人形? みたいのが落ちてるのが見えてさー。
(ぽつりと森の中に見つけた異色に首を傾げてみれば、ネムスが人間は落とし物とは言わないのでは、と返す)
あ、人なんだ、アレ。(こんなトコで寝るとは酔狂だな、と)昼寝にイイ場所なのかな、ちょっと行ってみるー。
(ネムスが溜息を吐いた気配を流して、降りていく)
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都槻・綾 2020年5月17日
(――陽が、翳った)
(光を負う巨鳥の影か、天空から舞い降りし翼は如何にも神々しい。カムイ、と言う言葉が過ったのも自然のことに違いなく、)
……なんと雄壮な、
(感心の吐息。次いで、もしや猛禽類が鼠か何かの餌と判じて捕食しに来たのでは、と思い至った)(……其れなら其れで啄まれるのも悪くは無い、なんてやっぱり悠長に構えてしまったのだけれども)
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シリル・アルバ 2020年5月17日
(寝てるのかと思いきや、目は開いてるようだ)
ネムス、あの人、起きてるよ。え、そりゃ行くよー。折角なんだし、昼寝にイイか確かめないと。
(町の宿屋の方が良いのではというネムスの声を再度流して)
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シリル・アルバ 2020年5月17日
あ、おはよー。いや、こんちは? ま、いっか。ねー、そこの人。ソコって昼寝にイイ感じ?
(ヒラヒラと手を振りながらご挨拶。挨拶欠かすとネムスが怒るので)
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都槻・綾 2020年5月17日
そうですねぇ、あなたが起き抜けでなければ。陽も昇り切ったことですし。
(「こんにちは」、ひらり手を振った。醸す空気が緩いのは互いの気性の所為だろうか。或いは見覚えのある顔だったから――はて何処でと思考を巡らせつつの、もう一度、「そうですねぇ、」)
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都槻・綾 2020年5月17日
雨上がりのお陰で土も草も柔らかいですが、しとり冷たいのは否めません。結論は「最適ではない」、ですね。
(そう、地に滲みた水気で背中が湿ってきたなどと。微かな唸り声をあげ、何とか上体を起こしてみる。打ち身の痛みはあれど、呼吸が出来ぬ程では無かった。安堵、安堵)
あなたは昼寝場所を探していらっしゃるの?
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シリル・アルバ 2020年5月17日
そう? じゃあ、こんちは、だね。
(振り返された手に、また首を傾げて。どっかで見た顔、かな??)
え、ネムス、知ってる人?! あ、そう、一回依頼で一緒になったコトあんだ……
こんなトコで奇遇な再会ってヤツだ(明らかに思い出してはいない顔)
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シリル・アルバ 2020年5月17日
にしても、(最適では無い寝場所なのに……妙な趣味な人だ)
背中湿らせて寝るのが趣味なの、お兄さん?
あ、俺はね、昼寝に向いてるなら昼寝してこーかなって思ったダケ。いま飛んでたのは散歩だよ。
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都槻・綾 2020年5月18日
(身の裡に何かを宿しているのだろうか。呼ばう名前の相手は見えず、然れど邪気の蝕す感覚も無かったから、善性であるには違いなく)
(ふわりと風に游ぶ香りは、崖際に鮮やかに咲いていた花々のものか。記憶の書を捲る手がはたと止まる。花と、善霊の名と――、)
(青年の適当な相槌の打ちように、此方も衒いなく笑いつ、その節は云々の謝辞と名を告げた。二度目マシテ、ドウモ、)
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都槻・綾 2020年5月18日
其れは稀有な趣味ですね。残念ながら然様に面白い謂れではありませんでした。見慣れぬ植物に惹かれて身を乗り出したら、是、此のように、
(滑落した斜面を指し示す。改めて眺めると結構な高さで、よく意識があったものだと我ながら愉快)
素敵な情報を提供できなくて申し訳ありません。あなたは森に親しい方?
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シリル・アルバ 2020年5月18日
(二度目まして、と口中に零し)
人の挨拶は難しーね。次に会ったら三度目マシテ、になるのかな。
え、それより俺も名乗れって? あー、そうだね。
(ゆらり掲げた杖の先、大きな石がとろりと光り、ふわ、と風に透ける青年の姿)
俺はシリルで、こっちで光ってるのがネムスだよ、ヨロシクね、綾。
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シリル・アルバ 2020年5月18日
(蕩々と語られる顛末に、パチリと一つ瞬きを返し)(斜面と上体を起こした人を幾度か見やる)(良く分からないと尻尾がゆらり)
花を見ようとして、どうして湿った所に寝転がるのさ。遠目の方が良く見えるとか? あ、角度かな、ひょっとして。
(謝罪には破顔一笑)綾は妙な人だな。謝るコトなんか無いでしょ。素敵な情報とやらを貰いに来た訳じゃ無いからね、俺。森に親しい? が、ナニを指すのか分からないけど、森は好きだよ。ネムスの森が一番だけど、他の森も楽しいし、山もイイよね。
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都槻・綾 2020年5月21日
角度。あは、そうですね、植生を――土壌や葉の形、萼の形、様々なものを色々な角度から見てみようとして、転げ落ちてしまいました。いやはや、雨後の斜面は危険ですねぇ。
(青年に咲いた笑みへ此方も顔を綻ばせた)(森も山も――自然は見知らぬ植物や動物に出会える、宝箱だ。此の季節は特に緑がうつくしい。木漏れ日までも淡い翡翠に煌いている)
(然れど新緑の耀きに想いを馳せる眼差しを、カチリと僅かに眇め、)
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都槻・綾 2020年5月21日
…実は植物観察に夢中になるうちに、大分深くへ分け入ってしまったようなのです。剰え下肢を痛めてしまった様子。此の森に親しい方なら抜ける道を御存知かしら、と――序でに近道を御存知なら、教えて頂こうかと。此処はネムスさんの森ではないのですね。
……ねぇ、シリルさん。あなた、私を抱えて空を翔べます…?
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シリル・アルバ 2020年5月22日
(ふんふんと聞いてたら、トンデモナイ事を言い出した)
……え、落ちたの?! あそこから??(再度、指された斜面を見て)
えぇ、何で落ちるの? え、人って飛べないコトがあんの?! 羽根とか普段隠してるダケじゃなかったの!?!?!
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シリル・アルバ 2020年5月22日
(ぴかり、と。柔らかな色が、僅かに鋭さを増したような)(受けた方は、バサリと羽根を大きく揺らして)
えぇと、ゴメンね? てっきり、趣味で寝てるのかと思っちゃって。
怪我……してるとか、思わなかったんだよ。薬とかも持ってないし、ユーベルコードも治療系ないや、俺。
(バサバサと落ち着きの無い羽根の動きが、しおしおとすぼまっていく)
や、ネムスが居るし、俺だけでも多分迷いはしないと思うんだけど……流石に近道とかは、分からないなぁ。空飛んできてたからね。
うぅん、どうだろ。人を抱えて飛ぶって、やったコトないからなぁ。何とか、なりそうな気もしないでもないけど。
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シリル・アルバ 2020年5月22日
(俺より、背高いよね……と目視で測る)(…………無理では…………)(いや、でも、自分より大きな獲物を運ぶのは、森では見慣れた風景だ)
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都槻・綾 2020年5月22日
(大仰な驚きっぷりに笑いを堪えるのが大変だったけれど、至極生真面目な顔を作ることで、何とか転げ回らずに済んだ)(きりっ)(…ぶは、)(無理でした)
(くつくつ、肩を揺らしたまま、)
私も大概ですが、あなたも結構世間知らずというものではないですか。なぁに、試してみれば済む話、
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都槻・綾 2020年5月22日
(人様の都合もお構いなしに、身勝手なことを飄々と宣う。幸い、腕を伸ばせば届きそうなところへ採集用の鞄が落ちていた。何とか引き寄せ、軟膏を取り出し、痛みの酷い足関節へと塗布)
(「さぁさ、準備は万端です」、萌える新緑のような、期待に満ちた耀かん瞳で両腕を差し出す)
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シリル・アルバ 2020年5月23日
(真面目な顔から一転、笑い始めた奇妙な人には目を瞬くばかり)
ま……散歩してるとはいえ、あまりヒトには関わってないからなぁ。
にしても、笑いすぎだし(ピシピシと尻尾が揺れる)
(鞄から取り出した薬を塗るのを見て)てか、そゆのがあるなら、鞄を取ってくれって一言くらい言えば良かったろうに……やっぱ、綾は変なヒトだな。
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シリル・アルバ 2020年5月23日
(差し出された両腕を掴んで、立つのを助け)(重さは大丈夫、かな)
(期待に満ちた視線に、尻尾がゆらゆら)
…………が、頑張ってみるケド、落としたらゴメンね!
抱えて飛ぶとなると……脇の下当たりに腕を入れるのが落とさなそう、かな(どう? とばかりに見上げて)
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都槻・綾 2020年5月23日
類は友を呼ぶと言うでしょう。私が変なら、つまり――、
(「ね?」と、意味深長に口角をあげてみせる。ふふり、)
(視線を合わせて問いへの応え、了承の意。いざいざ遥かなる空の旅! 若やぐ緑に煌く森の、山の、景色を見晴るかしに――なんて、目的が外れているのは気にしない)
大丈夫ですよ。落としたら割れるだけですから。
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シリル・アルバ 2020年5月23日
綾の友達、みんな変なヒト達なのか。
それは……大変そうだな(ざ・他人事)
え、割れるって、ナニが!? 全然、大丈夫じゃなくない?!
(慌てる様に、ふよりと光る森の精霊が揺らいでみせる)
……そ、そう? ネムスが森に頼んでクッションにしてくれるってなら、まぁ……。
落としてもネムスが何とかしてくれるらしいから、ひとまず運ぶねー。
(宣言の後、脇下に腕を入れてバサリと羽根を広げる)(ぎこちなく浮き上がったものの、樹上の高さを足下に見る位置までくれば、幾分慣れたのか安定した浮遊感)
それで、どっち行けばいいのかな。
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都槻・綾 2020年5月23日
ネムスさんは頼りになりますねぇ。あ、勿論あなたも。
(後半の、付け足しのように聞こえないでもない称賛は悪戯心だ。離陸する、浮遊する身がただただ愉快で、高度を増す度に「わぁ、」とか「やぁ、やぁ、」とか、純粋なる感嘆の声が零れた)
(弾む胸も、好奇心に瞠られた睛も隠し切れぬ様子のまま、周囲を見渡す。爽風が髪を靡かせる、)
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都槻・綾 2020年5月23日
(眼下に広がるのは、露を煌かせた初夏の樹々の、)
(――あぁ、何て見事な翡翠の絢よ、)
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都槻・綾 2020年5月23日
(「そうですねぇ、」出会った時と同じ文言を、風切る羽搏きの音に負けぬよう心持ち声を高くして翼のひとに向けた)

――何方でも、行けるところまで!
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シリル・アルバ 2020年5月23日
そうそう、ネムスは頼りになるんだよ! 頭もイイし、優しいし。
俺は、まあ力仕事くらいならね!
(浮いても怖くないようで何より、と)(続く言葉にはパチリ瞬き)
えぇ……。綾の帰りたいトコ聞いてるんじゃないか。まぁ、いいけど。何処でもイイなら、俺らが行こうとしてた方に飛ぶからね。あと、割と休憩入れると思うから、ちょっと遅くなるだろうけど……(まぁ、楽しそうだし、それは大丈夫かな、なんて)じゃあ、行こうか。
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都槻・綾 2020年5月24日
(風の吹くまま気の向くままに、空の航路を往く影ふたつ。揺らぐ陽炎の水先案内で、きっと楽しい旅になる。筈。あなたの腕が痺れるまでは、……なんて?)
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都槻・綾 2020年5月24日
―了―
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