【●1:1RP】小人異聞
エスパルダ・メア 2020年4月11日
子供ふたりの大きさで駆けて、
絶望の国から抜け出して、
大人ひとりぶんの重さを担いだ背中を見送った。
――のが、何日前だ。未だに何ともなし、ねぐらの店のその奥で、赤くて小さい身体を持て余す。
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=21954
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キディ・ナシュ
エスパルダ・メア
(リアルタイム)
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エスパルダ・メア 2020年4月11日
(色違いの視界は良好だ。傷はもう回復しているし、時々ちらつく髪の色が赤いくらいで、身体に特に問題はない。――サイズがいつもの三分の一程度に小さいくらいで。それを戻す術は心得てはいるけれど、何気なくそれをしないでそのまま誰にも会わずに店の奥に引き籠もっていたりする。元々来客の少ない店は、特に不自由することもなく、今日も野良猫が餌をせがんで入ってくる程度の日常、)(の隙間に、何か音がした気がした)
キディ・ナシュ 2020年4月11日
(コンコンコン)エスパルダさーん!(扉をにぎやかにノックをしながらお名前をお呼びしました。最後に見た姿は、普段のものとはまったく違っていたので、)お元気にしておられますか!(呼びかける声はほんの少しだけ心配する気配をのせて。おねえちゃんからお土産にと持たされたミートパイ、それが入った籠を片手に、鍵がかかってなければそのまま扉を開けて中に乗り込みましょう。かかっているなら扉をコンコンし続けて)
エスパルダ・メア 2020年4月11日
(賑やかなノックの音。それから声。誰だと聞くまでもなかったのは、鍵も特になかった扉が勝手に開いたからだ。奥から覗いて、ぴょこぴょこ揺れる髪を見る。相手を確認してから居留守をやめた)(だってどうせ、あの少女人形には見られているのだし)どうぞ、……ってもういるじゃねえか。(奥からひょいと顔を出せば、見慣れぬ姿のままだろうけれど。表情ばかりはいつも通りの呆れた顔で)お元気ですよ、こんなナリだけど。お前も元気そうだな?(小さい少年の姿のまま、目線がよく合う高さで首を傾げた)
キディ・ナシュ 2020年4月11日
だって、中で倒れられていたら、分からないじゃないですか。(知っているけれど、馴染みのないお姿。赤い髪色に、左右で違う瞳の色。普段ならば見上げねばならぬ目線の高さが、今日もその必要が無い様です。)はい、わたしもいつだって元気ですよ。……その、ええと、エスパルダさんは、もう元には戻れなくなっちゃったとかそういうのでは、ないのですよね……?(声に出してしまえば、それが現実になったりしないでしょうか。そんな恐ろしい考えを胸に、恐る恐るお尋ねします。)
エスパルダ・メア 2020年4月11日
お前の姉貴はそうやって倒れてそうだけど……ああそういや、そのイディは?大丈夫だったかっていうか。(死んでいないのは同じヤドリガミとして疑いようがなくても、元に戻れたろうか。訊き返しながら、恐る恐るの声にぱちくりとした)実は……って、戻れる戻れる。(さほど引っ張るでもなくからから笑って)けどまあ、滅多にこの姿にもならねえし、戻るにも障りがあるから何となくこのままってだけだ。
キディ・ナシュ 2020年4月11日
おねえちゃんはすっかり元通りですよ。今日もお見舞いに行くと言ったら、このパイを焼いてくれました。(あれとてもビックリするんですよね、と倒れてそうの言葉にはうんうんと頷き籠をずずいと差し出して。続いた言葉にひぇっと情けない声が出たものの、変わらぬ笑い声にはむーっと頬を膨らませました。)ひどいですっ! でもすんなりとは行かないのですね……障り……成長痛とかですか?(器物と人がどこまで違うのかはわたしには分かりませんので、知ってる単語を口に出して首を傾げました。)
エスパルダ・メア 2020年4月11日
そりゃよかった……て、実際に倒れてるのかよ。(呆れながらも差し出された籠を受け取れば、香ばしくも食欲をそそる匂いがした。肉の匂いだ絶対そうだ)パイ?……ミートパイか、これ。何か良い匂いすると思った。(嬉しげな顔はいつもより素直な子供面だ。膨らんだ頬にべー、として)引っかかるのが悪いんだ、ちびっこ。……てのも冗談で、ほら一緒に食おうぜ、腹減ってたんだ。(せっかくなら食いながら話すのだっていいだろう。こういうのは焼きたてが一番なのだし)ああ、成長痛ってか、いっぺん暴発させねえと戻れねえんだよな。(こう、パーンって。そう何気なく言いながらキッチンのほうに向かった。椅子のほうが馴染みがあろうかと)
キディ・ナシュ 2020年4月11日
おねえちゃんはか弱いので……はい。お肉の方が良いのではとなっていたのですが、正解だったみたいですね。(常より何割増かでキラキラ輝くお目々に納得しながら、けれどもそれも馴染みのないものなので変な感じです。)今はエスパルダさんだってちびっこじゃないですかー!もー!(ほっぺがむすっとさらに膨れましたが、ご相伴にあずかれるときけば、やったぁと両手を上げてニコニコ笑顔へ切り替わり。ご機嫌に彼の後へと付いて行きます。キッチンに入るのは初めてだったので、キョロキョロと辺りを見回しかけて、)ばくは えっ 爆発するんですか!?(シャボン玉でも弾けるかの様な軽い口調へ、大きく目を見開いて小さくなった姿を凝視します。)えっえっ それはやはり痛みとかは……
エスパルダ・メア 2020年4月11日
そらお前に比べりゃ大抵のもんか弱くねえか……?(と、戦場で軽々担いでいた巨大なスパナを思い出しながら半眼になりつつ、いつもなら片手の籠も両手で運ぶ有様である。ちびっこちびっこ。本当に子供みたいなやり取りが気楽な辺り、容姿というのは大事らしい)もーって言うほど縮むらしいぞ。ウソだけど。ちびっこっていや、そういやキディって作られて何年とかはわかってんのか?(ご機嫌な様子につい笑いながら、キッチンのテーブルに籠を置いた。特に現代的には珍しくもないシンプルなテーブルとシステムキッチンがある)……いや爆発はしねえぞ?ものの例えってか思い切りってかそんな感じで。痛くもなんともねえし。(思わず凝視された視線にぶんぶんと首を横に振った)
キディ・ナシュ 2020年4月11日
そりゃあ、わたしは最高傑作ですので。強くて当然なのです。 むむ、むむむむ!エスパルダさんは中身まで縮んでしまったのではないですかっ!(嘘つきさん!意地悪さん!と両手をぶんぶん振って抗議の姿勢です!)完成からは6年と少しほどというところのはずですね。エスパルダさんは、器物としてはすごく長くいらっしゃる感じですか?(ああ、あのガスや電気で動くという竃! お家にもいつか作れたら、おねえちゃんも喜ぶのではといつも思います。けれどあまり見るのも失礼でしょうからテーブルの方にある椅子に良い子で着席いたしましょう。わくわくとテーブルに置かれた籠をじっと見ます。じっ。)なるほど、気持ちの爆発力がいるという事でしょうか。泣いたり怒ったり、みたいな?(横に振られた首にほっとしつつも)
エスパルダ・メア 2020年4月11日
最高傑作……(その響きには苦笑が滲んだ。落ち着いて聞いてしまえば懐かしい響き)こないだも度々言ってたっけ。作ったやつにそう言われたのか? ふふん、外見に合わせられるってのが大人ってもんだ。(なんていうのは方便の、ただ中身が悪餓鬼であるのは間違い無いが。ぶんぶん動く手には悪かった悪かったと宥めにかかって)六年……なるほど。オレはまあ、器物として作られては百年は経ってんじゃねえの、こうして動いてるわけだし。(たぶん。曖昧な言い方をして、はっきり覚えてねえんだ、と言いつつ皿やらを用意して持って来ながら。待てだぞ。じっ。)あー、まあ、そんなとこか。オレの場合は寝たりだな。寝るの嫌いなんだよ。(お前は好き?聴きながら籠を開ける。はちゃめちゃに良い匂いがした。何の肉だろう)
キディ・ナシュ 2020年4月11日
いえ、残念ながらマスターにはまだ一度もお会いしたことはないのです。けれどおねえちゃんから、そう仰っていたとお聞きしました。(宥められてしぶしぶ両手を下ろします。ちゃんということを聞くのも大人げなのです、たぶん。そして待ての姿勢のまま良い子にじっ。)ああ、やはり生まれたての事なんて、誰しも覚えてはおれませんものねぇ……なるほど、寝る子は育つというやつですね!わたしは特に好き嫌いはありませんが、もっと起きていたいなと思ってもおねえちゃんのお話聞いてるとすぐに寝ちゃうんですよねぇ。(台所には入れないので、これが何の肉かは分かりませんが、ただ一つ分かっている事があります。おねえちゃんのパイはいつだって美味しいのです。)でも、それが戻る方法というなれば……ひょっとして、あれからずっと寝ておられないのですか?
エスパルダ・メア 2020年4月11日
そうなのか?……作ったのがそのマスターで、初めて動かしたのがお前の姉貴ってことかね。それとも作り手が先に死んでたとか。(不思議そうについ瞬く。器物とは違えど、似たような存在ではある人工物。作り手に会ったことがないとは不思議なこともあるものだ。さくさく。じゅわり。見るだけで旨そうなミートパイを切り分けながら、良い子の前にまず一切れ。それから自分も一切れ)覚えてる奴もいるかもしれねえけどな。寝る子は育つ……なるほど、イディは本読み得意って言ってたっけ。(それじゃあ食べるか。ミートパイにナイフとフォーク、飲み物は――子供と言えばミルク!)ん、そもそもオレはほとんど寝てねえよ、普段から。寝なくても死なねえ身体だし。
キディ・ナシュ 2020年4月11日
死んでませんよ!(きっ、と眉を吊り上げて)なんてことを言うのですか!マスターは死んでません!(会ったことはない。けれど何処かには居るはずなのです。ふたたび頬をむすっと膨らまして、目の前に並べられたパイもミルクにも手をつけずにエスパルダさんを睨みます。)おねえちゃんと一緒に迎えに行って、マスターともおねえちゃんの読み聞かせを一緒に聞くのです。……それで、必要な休息はとれているのですか? おねえちゃんも良くそれは口にいたしますが、死なないというのと、体調が全快しているというのは別ではないでしょうか。性能が落ちたりなどしているのならば、作った方が悲しみますよ。(良い子のわたしならば致しません。壊れても気には致しませんが、それは直せる時に直すことが前提です。むくれたまま、色違いの瞳をまっすぐに見つめました。)
エスパルダ・メア 2020年4月11日
ああ悪い……、(強く怒気を表した子供につい口をついて謝るも、死んでない。その言葉には改めて眉を顰めた)(だって。この少女人形の言うマスターと、あのヤドリガミの義姉が言うマスターは、同じ存在なのだろうから)……イディからその『マスター』については他に聞いてねえの。イディがマスターに出会ったのはいつか、とか。迎えに行くって言っても、つまりもう六年は会ってねえんだろ、あいつもお前も。(睨む大きな瞳を、色違いの瞳で見返す。答えたくなければ、それ以上突っ込むつもりもないが)性能は元々全盛期から大分落ちてる。もうろくなもんじゃねえ。作った奴は、もうとうに死んでるしな。(だから壊れても良いという訳ではない。けれども完全に直ることは、正しくはないのだ。むしろ、直せるのかと問うように見て)(ゆっくり、ミートパイが冷め始める)
キディ・ナシュ 2020年4月11日
……わたしたちの様に、世界を渡る術を持たぬ方だと聞きました。だから、どこかで迷子になっていらっしゃるのでしょう。だってそれまでは、お家で一緒に住んでいたと、おねえちゃんが言っていましたもの。(他の世界へ漂流すること、それは猟兵たるわたしたちには馴染みのある事象です。どうしてそんな厳しい顔をなさるのでしょう。マスターは、どこかにいるはずなのです。迎え撃つ様に、こちらも視線を逸さぬまま、続けましょう。)性能が落ちたから、ろくなもんじゃないから、作り手がお亡くなりになっているから。それは「直らない」意味に足れど、(ミートパイの香りが、冷めていくのと同じように静かになっていくのが、少しばかり勿体無い気も致しますが。問いかけの視線には否としか答えようはありませんが――)「直さない」とするには足らないのでは無いですか。
エスパルダ・メア 2020年4月11日
……お前らとそのマスターってのがどういう関係で、どうして離れてるんだかは知らねえけど。おまえらは世界を渡れるくせに、何で迎えに行くのが『いつか』なんだ?姉貴がそう言ったから?……探さねえのも、探さないようにしてるのも、お前らで――『おねえちゃん』じゃねえの。(世界を渡る術がないなら、尚更目星は着くはずだろう。それを有耶無耶にしているのは、聞く限り)(逸れぬ瞳が真っ直ぐ嫌な所を突いた。見返す視線はこちらが負けて、逃げるように逸れる)直らないと直さないはおんなじことだ。おれたちものは、出来上がった瞬間から壊れてくしかできねえんだよ。(談笑にもならなくなった言葉が、ミートパイの上を飛び交う。子供の面をした、つくりもの同士)
キディ・ナシュ 2020年4月11日
そんなことは、(おねえちゃんが?)(そんなことは)(考えたことのない問いかけに、思わず言葉が詰まりました。)そんなことは、無いはずです。ええ、だって何処にいるのか分からない人を探すのは、難しいことなんですから。(心臓部が嫌な音を立てました。ぐるぐると、なにか重苦しいものが乗っかります。おねえちゃんが、わたしに隠し事なんてしない筈です。)(ぎゅっとスカートの端を握りしめ、それでもわたしの目は逸されぬまま。再び紡ぐのは否定の音。)同じではありません。時間に逆らえないとて、わたしたちには考える心と、もがく両腕があります。歩んでいく足だって揃っています。直さないと立ち止まるのは、エスパルダさんの意思なのではございませんか。(長く生きたものと、数年ぽっちのもの。見知らぬ時の方がずっと長いわたしには、長い時間を憂うことなど、まだ出来はしないので。)
エスパルダ・メア 2020年4月11日
ないはずだ、難しいことだって、そう言われたか。(どこかなぞるような音に聞こえ続ける言葉に、眉は顰めたままほぐれない)……子供は素直で純粋で、希望だけ信じていればいい。そんなのは周りの希望だろ。おまえはどうしたいって言うのはねえの。――おれも、あいつも。大人は全部正しいわけじゃねえんだぞ。(そう。こう言う言葉だって。握り締める小さな手を見、紡がれる音に再び顔を上げた)(ああ本当に、真直ぐな言葉はわかりやすくて、困る
)…………直りたくても直せねえんだ。直すほど壊れてくなら、直さないほうがよっぽどマシだろ。(数年でも。最高傑作を誇る人形の言葉を、一つも否定はできないが)
キディ・ナシュ 2020年4月11日
……(服掴む手に更に力がこもりました。そうです、その通り言われたのです。)わたしは、マスターを探したいんです。(それでもこぼす言葉は変わりはありません。違うのは、)マスターを探して、ちゃんと、わたしをどうして作ったんですかって、わたしはあなたの望み通りの子でありますかって、聞きたいんです。(会わなければわからない、答え合わせをしたいというわたしの望み。)変わっていくことは、怖いことですものね。(再び合った視線を受けて、ほんの少し微笑みを返します。わたしだって、今こうして進んでいる先がマスターが望んだ最高傑作から遠のいてしまっているのかもしれない。)けれども、直して変わってしまったって、在った事実は消せません。消えません。わたしたちが、わたしたちである限り。その為には、長持ちさせた方がよくはありませんか。(今だって、あなたの姿は違えども。どちらもエスパルダさんじゃないですか。)
エスパルダ・メア 2020年4月11日
……作り手に会いたいのは、わかるよ。(ふと表情が緩んで、苦笑になった。その望みを否定するわけじゃない。やめろと言うつもりもない。小さな手と同じ大きさの手で撫でてやろうかと思ったが、生憎この大きさでは届かなかった。息を吐いて椅子を降りる。てこてこ歩く――その足音はないかもしれないが。少女が座る椅子の傍に立って、少し上の目線を見上げた)へんなやつ。それって答えがどっちであっても、キディはキディで変わらないんだろ。(今自分に言ったように。言葉を貰うように言えば、悪戯に笑って手を出した。握手を求めるような片手)……うん、長持ちはさせたいな。けど生憎、(伸ばした手が景色に透ける。握ろうとしたらすり抜けるような。消えちまうもんも多分あるって、そういう話だ)
キディ・ナシュ 2020年4月11日
変わりませんとも。けれど、わたしたちは誰かの意思で作られたものでしょう。それだって明確に在るものです。気になるじゃないですか。でも、そうですね。エスパルダさんなら、もしも作り手にお会いできたらなにをお聞きしたいです?(先に本体があった訳ではないわたしは、そこを知る術を自身では持ち得ない。近づいてくる小さな背丈、いつもと違う髪色。けれど差し出された手は)(ああ、ほんとうに。このものたちは、)どうしてそういうことを! あなた達は何でもないような顔で! 悟ったみたいに!(咄嗟に伸ばした両手で透ける手を強く掴みます。すり抜けても、そこに在るのだと信じて。そうだ、あの帰り際だって、すり抜けてしまったのに。眉がへにゃりと下がるのを止められず、わぁわぁとわがままじみた言葉のみが口から飛び出しました。)い、嫌ですよ。消えてしまうのは、嫌ですからね。怒りますよ、恨んじゃいますよ!
エスパルダ・メア 2020年4月11日
(言い募る言葉に、つい面食らった。意味。意思。それは確かにそうだ。けれど自分は、少なくとも自分は、それを疑ったことがなかったことに、聞きながら気づいて)(同時にぼんやりと掠める。この少女人形は、)……聞かなきゃ、おまえがいる意味はなくなるのか?(それを求めているような、響きに思えた。自分は、作り手に問うなら)おれは、今会えたら、そうだな。――親父に、どんなふうに死んだんだって。聞きたいな。(言葉を返して、握られ損ねた手に笑う。やぁい。子供みたいに笑って、)ははっ、怒るなって、なぁ。大丈夫だよ、まだきえやしない。恨まれたくないしな。(子供の遊びみたいに手を伸ばす。ほんの一瞬。掴まれた手が握り返されたのが、わかったろうか)
キディ・ナシュ 2020年4月11日
わたしがいる意味は無くなりません。今だって、此処にいますもの。ただ、確かめたいのです。(事象は消えはしません。わたしは此処にあります。だから確かめたいことは一つだけで、しかしてわたしが損なわれるということもありません。)作り手さんのことをお聞きになるのですね――でも、なぜ最期を?(己ではなく相手のことを知ろうとする。それが、目の前の彼が長く月日を経た大人であるのだと納得のいく心地ではありました。握り返された感覚が幻でなく、確かであれと祈るようにぎゅっと握ります。)怒らせるようなことをするからです! ええ、まだ駄目です。ずっと駄目です。いえ、無理なのは分かっておりますが……近くにいて見ているだけは、どうしたって役立たずのような気持ちにさせられてしまうのです。(拗ねてわがままを言っているのは分かってはいます。おねえちゃんにも言ったばかり。けれど、寂しいじゃないですかと、ぷんすか頬は膨らんで。)
エスパルダ・メア 2020年4月11日
おまえには必要なこと、なのな。(確かめること。それを望む少女人形をまじまじと見た。その意味合いを、他人が計れるものではないだろうと改めて思う)見ることができなかったからな。おれは戦場に持ち出されて、それきり親父のところに帰らなかった。帰ってこいとも思ってなかっただろうけど。(それがずっと気になっている。何でもない最期であっただろうかって。大人びたそれではなくて、わがままみたいなものかもしれない。握られた手の感覚があるのが不思議で、やっぱり熱はないけれど)おまえはあの姉貴がいるから、よっぽど怒らなきゃなんないだろうな。ついでに怒ってくれてありがと。役立たずは、嫌だしな。(だからこの手に引いて貰えて助かったんだって、改めて伝えるように膨らんだ頬を思いっきり笑う)すっげえ膨れっ面!おれは助かったよ、こないだ、おまえがいてよかった。(けらけら笑いながら頬に伸ばした手は、うっかり透けたけれど)
キディ・ナシュ 2020年4月12日
はい!(返事は確りとした声で。きっとあなたの色違いの瞳には、いつもと変わらぬ元気なわたしが写っているでしょう。)…それは、確かに寂しいですね。でもそう思ってくれる子がいるのはきっと良い事ですよ!(最初を知らない。最初だけ知っている。どちらがなんてことはなく、同じように埋まらない、得られない、けれど欲しいいと思ってしまう何か。)ええ、無茶をするのは構いませんが、周りに人がいるということも忘れないでいて欲しいのです。(手が見えているのに、頬に感触がないのがおかしくて、思わず吹きだしてしまいます。)そうでしょう、そうでしょう。わたしは良く出来たお人形ですもの! でもわたしだってあの時助けてもらいただきました。改めてありがとうございますね!(役立たず、変わってしまう、そういえばそんな何かを忘れ――は!)エスパルダさん!パイがすっかり冷めてしまっています!(今までで一番悲壮感の強い声が出気がします)
エスパルダ・メア 2020年4月12日
(求めることが求められているかなんていうのは、弾けた笑みの前では些細なことだ。同じ目線でよかったと少し得した気分になりながら)だろ。おれが割とそういうの知らないのは寂しいたちだから、きっと親父もそうだってことにした。(求めるものが不確かで、知れるかどうかもわからない。そういうものを、多分何だって持っているのかもしれないと)ならおまえが思いっきり引っ張って、抱きしめてやればいいよ。(きっと得意だろう、そういうの。釣られて噴き出した。子供二人分の笑い声がキッチンに響いて)マスターの最高傑作なんだろ。それから、どういたしまして。――おれもこのなりのときは、最高傑作って言われてたからな!(どうだすごいだろうって餓鬼臭く笑うのだ。それから聞こえた悲壮な声に、)ぶ、ははっ!本当だな、もったいない。じゃあ食おう、あっためて食おう。割と便利なもんが今の時代はあるからさ。
エスパルダ・メア 2020年4月12日
(そう言ってレンジに軽くかけてから、トースターにミートパイを突っ込んで。じりじり、また良い匂いがキッチンに立つまであと少し。)(そのあとは今度こそ美味しいものにありつく子供ふたりがいるのだ。そのまま同じ目線でどうでもいいおやつの話を延々して、お見舞い返しに食材を――新鮮な野菜と肉を――籠につめて。それじゃあ気をつけてなって送り出す。繋げた手の感覚は忘れないうちにちゃんと握って)――ミートパイ! 美味かったって言っといてくれよ!またな!(元気な背を、見送った)