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Straight magica

皐月・灯 2019年12月3日


――UDCアース、夜。
繁華街から駅を挟んで裏側。

廃ビルや空き家ばかりが並んでるこの区画は、ほとんど人が寄り付かねー。
まあ、それも当然だ。
駅のすぐ傍のコンビニから奥は、日が沈むと一気に暗くなる。

明かりといえば、コンビニから漏れる光。
それと、いつ設置されたのかわかんねー、よく点滅する古ぼけた街灯だけ。

一応、それなりに広い公園もあるが……遊具はみんな錆びついてやがる。
そんなところに、好き好んで来るヤツはいねー。

――だからその夜も、オレはその公園にいた。
日常に嫌われた場所なんて、おあつらえ向きだろ?

……思いもしなかったさ。まさか、そこに来るヤツが居るなんて。


・キッテン・ニコラウス(天上天下唯我独尊・f02704)
・皐月・灯(喪失のヴァナルガンド・f00069)




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皐月・灯 2019年12月3日
(ぼやけた電燈と遠い月。ふたつの淡い光が照らす輪郭の中に、一人静かに佇んでいた。)
――。
(目深に被ったフードと、ぼさぼさの前髪の奥。目を閉じ、黒いハーフグローブに包まれた両手をだらりと下げて。)
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キッテン・ニコラウス 2019年12月3日
(風の向くまま気の向くまま。今日の散歩はなんとなくそういう気分だった。そういう気分だったのでスマホの電源をオフにして、本当に足の向くままに散歩しまくった)
……で、こうなると(歩き始めたのはまだ夕方だったが、今はすっかりとっぷり日が沈んでしまっている。ここまできたらいっそ夜通し歩いてみようか、などと考えながら、寂れた公園へと足を踏み入れた)
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皐月・灯 2019年12月3日
(パン、と小さく乾いた音が、あるいは耳に届いたかもしれない。音の中心地で、「真横に伸ばした」右腕をそのままに、うっすらと目を開けた。)
……珍しいな。
(誰かが公園に入ってきたのが分かった。こんな時間に、こんな辺鄙な場所に。初めてというわけではないが――今まで出会ってきたのは、大抵ろくでもない連中だった。今夜もその手合いかと思って、入り口のあたりを見遣る)
…………ん?
(ひとりぶん、人影がある。シルエットからみて女。だが、何か見覚えのようなものがあった)
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キッテン・ニコラウス 2019年12月3日
あれ? アカリ? アカリじゃん! やほやほ、久しぶりじゃーん!(剣呑な雰囲気になりかけたのにも気付かぬまま、怪しげな路地裏の寂れた公園の空気を蹴っ飛ばすような、ハツラツとした元気なの声で見覚えのあるシルエットに声をかける)
わー、すごい偶然! こんなとこで会えるなんて! えーなになに、何してんの?(テンション青天井で尋ねる)
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皐月・灯 2019年12月3日
……なんだ、キッテンか。
(静けさを吹っ飛ばすその声は、忘れられよう筈もない。いつだったか、喫茶店で出会った姉妹の片割れだった。熾り掛けた戦意を静かに収めて)
相変わらず騒がしー女だな……お前こそ何してんだ。こんな場所に用事でも――あ、待て。止まれ。オレに寄るな。
(尋ねかけた言葉を切って、視線だけをちらりと下に向けた。彼女というより、彼女と自分の間合いを見るように)
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キッテン・ニコラウス 2019年12月3日
この辺り静か過ぎるもの、ちょっと騒がしいぐらいが丁度良いのよ
それが私の声ならさらに良し!って感じだし?
(さらっと自分の存在価値も青天井に持っていく)
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キッテン・ニコラウス 2019年12月3日
? なによ、私のこと嫌いになったの?
急にそんなこと言ってさぁ(アカリの言いようにちょっとムッとして、反抗するようにズカズカとさらに歩み寄る)
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皐月・灯 2019年12月3日
何言ってんだ、別にんなこと言ってるんじゃ……おい!
(明確に焦った声を出した。此方が足を止めていても、彼女が踏み込んでくるのでは意味がない)
――危ねーって言ってんだよ!
(言葉より先に、稲妻の速度で手を出した。僅かに遅れてパンと乾いた音。まっすぐ伸ばした手は、飛来した「何か」を掴み取っていた)
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キッテン・ニコラウス 2019年12月3日
えー、じゃあ何……きゃっ!?
(急に突き出された手。続いて聞こえてきた、どこか聞き覚えのある音)
ちょっ、今のって……!?
(混乱しながらも乾いた音が発した方へと目を向け)
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皐月・灯 2019年12月3日
(彼女の様子を二色の瞳で確かめる――無傷。ふう、と安堵の溜息を吐いて、そんな自分にすこし眉根を寄せた。)
……心配すんな、オレのだ。
(握った拳を開いてみせる。掌に収まるくらい小さな、黒塗りの金属矢が姿を見せた)
今トレーニング中でな。この公園の中は、こいつと同じもんが飛び交ってんだ。
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キッテン・ニコラウス 2019年12月3日
あぁ、どっかの邪教集団がカチコミかけてきたとかそういうのじゃなかったんだ……(良かった、と安堵のため息と共に警戒を解く)
うっわー、ちっさくて黒……こんなんじゃ気付けないはずだわ、夜闇に溶け込んじゃうもん……
……………………
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キッテン・ニコラウス 2019年12月3日
っていうかなんて危ないトレーニングに巻き込んでくれてんの!?
しかも現在進行形!?
人が来た時点でやめなさいよ!!!!
(時間差ギレ)
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皐月・灯 2019年12月3日
邪教の連中は当分近寄らねーと思うぜ。この辺にいたヤツら一人残らずブッ飛ばしてやったからな。
(矢を地面に落とした)
……いや、だから来るなって言ったろーが、お前がずかずか歩いてきたんじゃねーか。
(キレた様子の彼女にしれっと言ってのける)
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皐月・灯 2019年12月3日
……まあ、けど確かに止めたほうが早えーな。
(足元の小石を拾い、後方に思い切り投げた。まっすぐ飛んだ石は、時計塔に貼り付けてあった呪符に直撃。そのまま、呪符ははらりと剥がれて落ちた)
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キッテン・ニコラウス 2019年12月3日
だってただ突っ立ってるだけの人がこんなトレーニングしてるなんて思わないじゃん!
(しれっとした態度にいらっと来てギャンギャン言い返す)
っていうかなに? こんな自殺紛いのトレーニングいっつもやってんの?
失敗したら即、死!って感じなんだけど
(何考えてんの?という胡乱げな視線を投げかける。視界の隅で呪符が剥がれるのが見えた、あれが起点か)
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皐月・灯 2019年12月3日
ほらよ。これでもう飛ばねーぜ。
(公園の周囲に感じられた魔力が消える。術式の要にしていた呪符がなくなったのだから当然だが)
なんだ自殺まがいって。別に死なねーよ、ちゃんと矢の毒は抜いてあんだ。当たっても刺さるだけで済む。
(当たらねーから問題ねー。そう言いたげに腰に手を当てた)
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キッテン・ニコラウス 2019年12月3日
ナチュラルに毒矢使ってる宣言してるし!
フツーあんなの当たりどころ悪かったら死ぬし!
アカリってなに、修羅の国で生まれ育ったの?
こういうトレーニング5歳からやってるぜみたいな?
(ツッコミどころが多過ぎて呆れるしかない、とばかりに腕を組む)
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皐月・灯 2019年12月3日
だから死なねーって、あんな小っせーの痛てーだけだ。……痛てーだけだ。
(妙に実感の籠った声で言いながら、首をぐるりと回した)
……あのなあ、なんだと思ってんだ。5歳やそこらでこんな真似するかよ。
7歳からだ。
(風にのって足元に落ちてきた呪符を拾いあげ、懐に仕舞う)
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キッテン・ニコラウス 2019年12月3日
……7歳からめっちゃくちゃ痛い思いしまくってたのね……
(十分ヤバいわよ、とヤバいナニカを辟易として見る目つきに変わる)
よくまーそんな痛い思いしたトレーニングをやれるわね
私だったら絶対ムリ、もっと効率良いやり方あるはずーって他のやり方探すもん
(あるかどうかはともかく、と呆れと賞賛が半々ぐらいに混ざった言葉を投げかけ、近くのベンチに座る)
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皐月・灯 2019年12月3日
……なんだよ。(妙な目線を感じた。意図は解らず、瞬きひとつで返す。)
ガキの力じゃ大人にゃ敵わなかったからな。
痛かろうがなんだろうが、動きを見切るのがオレの生命線だったってだけだ。
……まあ、それが今でも染み付いてるってのはあるかもな。
(ベンチに座った彼女を横目に、膝を軽く曲げ伸ばす。数歩歩み出て、腰を軽く落とした)
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キッテン・ニコラウス 2019年12月4日
んー……まあ、大人に勝つならって極端に走った結果なら分かるけれど……(それにしたって7歳からとは。どう考えても常軌を逸しているが……果たして、逸脱しているのこの少年か、そうあらねばならない環境か、あるいはその両方か)
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キッテン・ニコラウス 2019年12月4日
(少なくとも、そういう環境にはいなかった自分ではどれが正解かはわからないが)
……アカリって、思ってたよりすごい努力家なのね
(クスッと、膝を曲げ伸ばしする様を見て苦笑した)
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皐月・灯 2019年12月4日
(何か言い淀むような口調に、ちらりとそちらを見遣る)
そういう場所だったんだ。今になってみりゃ、必要な時間だったしな。
(そう言って、虚空に回し蹴りを繰り出した。軸足で地面を蹴って飛び、更にもう一撃。――回転軸は殆どブレず、着地点は蹴った場所とまったく同じ)
オレは空を飛べねーし、速く走れるわけでもねー。
それでもやれることはある。…………。
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皐月・灯 2019年12月4日
そんな大した話じゃねーよ、キッテン。
(今度は拳を突き出した。ワン・ツー。身を捻ってのブローと、倒れ込み様の足払い。一つの流れの中で動きを組み立てる)
もしお前の目の前で、崖から落っこちそうなヤツいたら、とりあえず手ぇ伸ばすだろ?
……その手を、もっと速く伸ばす。飛び出せたら尚更いい。
オレは、「そう」できるように備えてる。そんだけだ。
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キッテン・ニコラウス 2019年12月4日
(ベンチの肘掛に頬杖をついて、苦笑いを深める。見事な体術だ)
「そんだけ」のことの為にこんだけできるなら、十分大したことだと思うけれどね。
ナチュラルに良い子じゃん、アカリ(クスクスと、苦笑に楽しげな感情が含まれる)
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キッテン・ニコラウス 2019年12月4日
んー! 今日は夜通し散歩のつもりだったけどー、なんか意欲刺激されちゃったなー!(んー!とベンチから立ち上がって伸びをして)
帰って魔法の勉強とかしよっかな!
完成させたい魔法とかあるし!
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皐月・灯 2019年12月4日
……いい子はやめろ。そんなんじゃねーんだよ。
(とん、と地面を叩いた反動で起き上がる。こほんと咳払いして付け足した)
引っ張ったあとは、落っことしたヤツをブッ飛ばすしな。
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皐月・灯 2019年12月4日
……無茶してヘンな構成にすんなよ。
お前が吹っ飛ばすのは、辛気くせー空気だけで十分だからな。
(半分憎まれ口めいた、もしかしたら激励なのかもしれない言葉を続けて)
この公園出たら、すぐ左手にある小径に行けよ。
そこは街灯壊れてねーし、駅まで10分かからねー。
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キッテン・ニコラウス 2019年12月4日
え、下手人を吊し上げてボコるのはフツーじゃない?(こんな感じで、鋭く拳を突き出す。ビシュッ!と風を切る音がした)
しーまーせーんー!
これでも割とアルダワじゃ成績優秀なんだからね?
出来たら見せたげるから、意見ちょうだいねー
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キッテン・ニコラウス 2019年12月4日
うん、道教えてくれてありがと。それじゃあねっ!
(ひらひらと手を振ってにっかり笑って去っていった)
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皐月・灯 2019年12月4日
……話の分かるやつだな。
(いいパンチだ。顎先にでも貰ったら結構危ないかもしれない、などと思いながら)
ならいーけどよ。……またどっかで会ったらな。
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皐月・灯 2019年12月4日
(後ろ姿が見えなくなるまで見送って、虚空に視線を戻した。拳を構えて――ふと)
……そういやあいつ、結局なんでここに居たんだ?
(夜通し散歩とか言っていた気がする。本当に歩き回ってここまで来た、ということか。そうでもなければ寄り付かないだろうが――)
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皐月・灯 2019年12月4日
――ヘンな女。
(ふん、と鼻を鳴らして、公園を見渡した。
 元に戻ったはずの静けさの中、真っ直ぐな彼女が齎した喧騒が、どこかにまだ残っている気がして)
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皐月・灯 2019年12月4日
―了―
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