Sleeping concrete-forest
皐月・灯 2019年11月27日
――眠れねーってのは、別に珍しいことじゃねー。
今に始まった事でもねーし、慣れてる。
とはいえ、夜ってのは思ったよりも長い。
朝陽が昇るより、やることがなくなるほうが早いんだ。
そんなときにすることといえば、大抵は近所の散歩だった。
工房のある廃ビルから、気の向くままに足を進める。
そうやって、どこをどう進んだか忘れるくらいに歩いたら、
時々気を紛らわすようなものを見つけたりする。
まあ、不発の方が多いけどな。
ただ、この日は当たり……の、方だった。
チンピラ連中すら寄り付かなくなった廃墟の奥に、そいつは居た。
――居た、っつーか……。
・ユハナ・ハルヴァリ(冱霞・f00855)
・皐月・灯(喪失のヴァナルガンド・f00069)
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皐月・灯 2019年11月27日
(ブーツの底で、割れたコンクリート床を踏みしめる。そのたびに靴底でじゃりじゃりと、砂とガラスの破片が鳴った。……聞き慣れた音だ。住処にしている廃ビルもこんな具合の音がする。――ただ、こちらの方が幾分か、老朽化が進んでいるようだった。時折天井から塵が零れてくるし、崩れた壁の奥には、割れたパイプが顔を覗かせている。)
皐月・灯 2019年11月27日
(それでも奥に進んできたのは、瓦礫の向こう側で何かが動いた気がしたからだ。白っぽい、ふわりとした、なにか……)
……………………は?
(動物か何かだと思ったのだ。いや、確かに動物にカテゴライズされるのだが。しかし予想外のものが、目の前に転がっていた)
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月27日
(はさり。フードを縁取るファーが滑って音を立てた。何もない、なんにもないが、そこに転がるのは頭がひとつ。血の匂いはしただろうか、吐息は漏れただろうか。夜の影に目を凝らせば、頭には首から下もくっついていることくらいは見えるだろう。それはただ、動かず其処にあるだけだ)
……すぅ。
(まあ、有り体に言ってよく寝ている)
皐月・灯 2019年11月27日
……。
(何を言ったらいいかわからない、そういう類の無言の時間を暫し過ごして、目の前の事態をゆっくりと噛み砕く。受け入れるように努める。起きたことは否定しないことにしている)
……おい、ユハナ。
(とはいえ、やることは近くに膝をついて、揺り動かすくらいだが。理由はわからないが、誰かにやられて倒れているというわけでもなさそうだ。あきらかな寝息がその証左だった)
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月27日
(声がする。手が触れる。──ひとがいる。認識すると同時にぱちりと瞼が開いた。ころんと仰向けになって首を傾げる)
……灯。おはようございます。
(全然まったくもって夜なのだけど、起きたからおはようでいいだろうと適当な挨拶をする。何故彼がここにいるかは検討もつかないけれど、)
灯も、寝る場所を探して、いるんですか?
皐月・灯 2019年11月27日
(あっさりと目を覚ました。こんな瓦礫に挟まれた、冷たく硬い床の上だ。眠りが浅くても何の不思議もない。時系列の迷子になった挨拶には無頓着に、頷いてみせた)
おう。……オレは通りすがりだけど、「灯も」ってお前。家はどうした。
(至極当然というところだろう。夜更けに廃墟で独り就寝。UDCアースの文化にはまだ慣れないが、それでもほぼ事件と言っていい状況なのはわかる。)
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月27日
(反対方向に首を傾げる。偶に訊かれるので毎回同じ返事をするのだが)
家は、ないです。使っていた寝る場所を、取られてしまったので。此処で寝ることに、しました。
(よいしょ、と身体を起こして、割れたコンクリートの床でぺたんと座る。吹き抜ける夜風はそろそろ冬を連れて来る頃。寝場所としては悪い方だが、その分誰かに取られる心配は少なくて済む)
通りすがり。お仕事でしょうか。それとも、眠れませんか?
皐月・灯 2019年11月27日
……ないのか。
(家がない、という言葉に一瞬目を瞬かせたが、そうか、と発するに留めた。自分と同じく、彼もUDCアースに流れてきたくちか。アックス&ウィザーズあたりならそうでもないが、この世界は野宿には優しくない。野宿をやめようにも、UDC組織のバックアップなしには難しい)
それでここで、か。まあ、ここなら邪魔するヤツもいねーだろうが。……ああ、オレは散歩だ。お察しの通り、眠れなくてな。
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月27日
ついでにお金も、取られてしまったので。まあ、僕は眠れればなんでも、構わないのですが。
(軽く欠伸をする。仕事なら邪魔をしてはいけないと思ったけれど、眠れないと言うのならそうでもない。近くに転がる雪花の長杖、それに結ばれたリボンを口に咥えてよいしょと引き寄せた。離せばするりと落ちる杖が、膝の上に触れる前に花咲くように花弁へと分かたれる)
じゃあ。子守唄でも、歌いましょうか。
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月27日
(貴石の花弁は辺りに散って、柔く光を湛える。不夜城の夜燈は遠くとも星に似たそれならば生み出せる。街路樹のイルミネーションじみた石が、瓦礫の隙間で瞬いた)
皐月・灯 2019年11月27日
色々待て。……金取られたってなんだよ。どっかの誰かにやられたのか?
(寝る場所を取られたというだけなら、温かい場所を求めた猫あたりが相手かと納得できた。しかし、動物は金銭を奪わない。聞き逃すには少々穏やかでない。)
……いらねーよ。眠れねーのは、オレが元々そういう体ってだけだ。
(ハーフグローブを嵌めた手を軽く振って制した。子守唄など聞いたところで、眠りがやってこないのはわかっている)
つーかユハナ、お前歌ってる場合じゃねーだろう。ここ、誰も来ねーが、風邪引くぞ。
皐月・灯 2019年11月27日
(もっと別の場所を探せよ――と言いかけたところで、あたりを照らす煌きを瞳に映した)……へえ。
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月27日
そうですね。どっかの、だれか。知らない人なので。
(頓着しない平坦な声色。仕事の報酬に貰いはするが使うことのあまりない、ただの持ち物のひとつだ。あればあったで宿を取れたけれど、無ければ無いなりにこういう場所に来ればいい)
眠れない、体質? そうですか。それは……退屈ですね。きっと。
(冬の夜は長いから。そんな風に呟いて、瞬きをひとつ、ふたつ。だから散歩などをして、こんな所に来るのだろうと)
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月28日
(ちらちらと揺れる光に白い息を吐いた。真っ暗なままでおしゃべりをするのは、それはそれで落ち着かないものだったから)
……風邪。は。まあ。動けなくなる、くらいなので。
(見つからなければいいのだ。見つからなければ。すいーっと目を逸らした)
皐月・灯 2019年11月28日
……ったく。よくやってられんな、それで。
(本当に興味なさそうな声で云うものだから、思わず呆れ混じりのため息を吐いた。彼にとって、金銭の価値などその程度のものということだろう。実際、こんな場所で寝泊まりすることに不満もなさそうだ)(……とはいえ、本人が気にしていない以上、あれこれ言う筋合いでもないかと思い直す)
自分以外の自分なんて、余計なもんを住まわせてるとな。……まあ、おかげで驚くもんにも出会えたりするが。
(今とかな。言外にそういう意思を込める)
……甘く見んなよ。出なくなるぞ、声とか。
(そう言って、断りもなく隣に腰を下ろす。明滅する光を、フードと前髪越にぼんやりと眺めた)
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月28日
ほめられました。仕事で怪我するくらいには、よくある事です。……違うんでしょうか?
(首を傾げてすぐ戻す。杖やナイフを盗られると困るが、それ以上のものはあまり持っていないから。彼にはそうではないのだろうかと、溜息を聞いて思ったりはしたのだ)
……自分、以外の、自分。そうですか。灯は誰かと一緒に、いるんですね。
(多重人格者。それを知らぬ訳はなく、けれど彼がとはそういえば知らなかった。一人ではないから、きっと苦労もあるのだろうと、隣に座る横顔にそんな目を向けて)
声が出なくても。一人なら、困りませんから。
皐月・灯 2019年11月28日
褒めてねー。金ってのは言ってみりゃ、仕事の対価だ。
……手前は何もしねーで他人の対価を盗ってくような連中、調子づかせるもんじゃねーってことさ。
(碌なことにならねーぞ、と今度こそ呆れを隠さずに言った。そう長い付き合いでもないが、彼はどうにも危なっかしい。浮世離れしすぎているとでも言おうか)
ああ。望んで居るわけじゃねーけど、そうなってる。
(「一緒にいる」という表現を使われたことはあまりない。だからといって、他人格への思いが和らいだりはしないが。)
……でもお前、魔術使うだろ? 詠唱はいらねーのか。
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月28日
(言葉を飲み込むように何度か瞬きをした。あまり興味もなかったので忘れていたが、)
そういえば。今日の人は、前にもお金、持っていったことがあります。気をつけ、よう。かな。
(物盗りはともかくまた寝場所を取られるのも悲しい事だ。呆れた様子の彼に、ありがとうございます、を頭を下げた)
眠れない、ということは。騒がしかったり、するんでしょうか?
(自分には無い感覚だから、少し探るような言い方になる。答えたくなければ構わないといった風の、やはり平坦な声で)
……。詠唱。したことないです。手も動かなくていいし、なにかいるのかなあ。
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月28日
(己の影からにゅるりと氷の蔓が生える。丸く育って、先が裂けて、獣めいた口を開けて、隣の彼の10cm隣でぴたりと止まった。『がおー』と唇だけで囁いてから、それはぱりんと割れて居なくなる)
声があった方が楽な、魔術はひとつ、ありますが。それくらいかなあ。
皐月・灯 2019年11月28日
……そうだな。そうしとけ。
(結局口を出したな、などと胸中でもため息を一つ。複数回物盗られの経験があると聞いて、それもう狙われてんじゃねーかと肩を竦めた)
……他の人格がって話か? いいや。連中が何考えてるか、オレには一切わかんねー。
オレの脳に、完全休眠はまだ要らねーってだけだな。
(多重人格者の脳は少々特殊だ。自身のそれもまた例外ではない。体質特有のものであれば、特に隠す話でもなく、さらりと言って)
皐月・灯 2019年11月28日
(目の前で育まれ、するすると形を成した蔓の顎。尖ったそれを、黒手袋の指先でなぞった)
ふうん……大したもんだな。氷の扱いはお手の物、か。
(見たまんまだな、と呟いた。真白の髪と服、色素の薄い彼は、どこか雪や氷が似合う気がした)
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月28日
狙われ。カモ、というやつ。
(なるほどこれがそうか、と頷いた。気をつけると言っても、何をどうすればいいかはさっぱりとわからないのだけど)
そう。そうですか。
……。今度。灯がよければ、星を見に、行きましょうか。
(夜の長きに持て余した時間を使うというと、それくらいしか思いつかないが。散歩と暇潰しと、使えるものは多い方が退屈しないだろうと)
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月28日
生まれたのが、冬の国なので。冷たいものとは、少し仲が、いいんです。あとは、石とか。
(光を宿す石がゆらゆらと揺れる。うーん、とちょっとの間考えて)
……灯は。魔術を使うのに、詠唱を、するほう?
皐月・灯 2019年11月28日
――ああ、構わねーぜ。
(眠れないからといってやることがあるわけでもなく、今夜と同じように闇の中をあてもなく彷徨うだけだ。それよりは、何か目的がある方がよほどいい。)
(それに……自分がいれば、わざわざ彼から物や場所を盗ろうという間抜けも現れないだろうとも、思った)
冷たいものと石、な。……お前がここを選ぶのも納得だぜ。
(手を頭上に掲げると、溶けた氷で濡れた手袋の指先に一瞬だけ、炎がたちのぼって消えた。からりと乾いた指先を示して)
ああ。しなくても使えはするが、術式調整の手間がひとつ増えるからな。
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月28日
本当ですか。冬はね、星が一番綺麗に、見えるんですよ。
(だからきっと退屈しない筈なのだ。宝物の星図鑑と星図盤を持って、とっておきの場所に連れて行こう。そんな風に考えて、嬉しそうに目を細めた。もうすっかり、今日会った人のことなどは忘れてしまったように)
(傍で揺れる花弁のひとつを、声もなく呼び寄せる。あまり得意ではないけれど、少し炎の魔術を宿せば、人の体温くらいには暖かくなるから)
じゃあ。灯は、風邪をひいたら、大変ですね。
(少しぬくい光石を、ゆらりと彼の膝元へ寄越す。無いよりいいかな、と)
皐月・灯 2019年11月28日
本当だ。この世界の星空は、嫌いじゃねーしな。
(遠い世界で毎日見ていたものとは、似ているけれどどこかが違う。その違いを探すように眺めるのも、きっと悪いものではないだろう。……何やら嬉しそうな彼の表情を横目にちらりと眺めつつ、うなずいてみせて)
(ほのかに伝わる熱。それが気づかいの印だということは、すぐにわかった)
……そんなヤワな鍛え方はしてねーよ。けど、確かに面倒かもな。
(光石を両手で包むようにすれば、ぼう、と白い顔が照らされた)
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月28日
そう。そうですか。よかった。
(他にも良い夜の暇潰しを見つけたら、教えますね、と。平坦な口調が少し上向いた。どうやらちょっと役に立てそうなのが嬉しい様子。この世界の星は故郷のものとは違うけれど、彼の知らない星の話を集めておこうか、なんて)
……鍛えたら、風邪をひかなく、なるんですか?
(なにぶん筋肉のつかない貧相な痩せっぽち。薄い己の腹を見下ろして、光に照らされる横顔を見た)
皐月・灯 2019年11月28日
……おう。。
(勘違いでなければ、嬉しいらしい。掴みどころのない同年代、といった印象を持っていたけれど、思ったよりも――そう。この感覚は、年下を相手にしたときのそれに似ている)
ああ。うまく鍛えれば、血液や魔力の巡りも変わるからな。
(そこまで言って、彼をじろじろと眺めて)
……お前の場合は、鍛えた方が倒れそうな気がするが。
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月29日
(聞こえるか聞こえないかくらいの、鼻歌を奏でる程度には上機嫌だった。だったのだが)
……。
(彼の返答を聞いて、しゅーんと長耳が下がった)
そう。……そうですか。難しいかな。
こないだ両腕潰されたのも、大変だったので。鍛えたらもうちょっと、なんとか、なるかなと。思ったのですが。
皐月・灯 2019年11月29日
? おい……
(明らかな落胆具合に怪訝な顔で声を掛けようとして、続いた言葉に目を瞬いた)
……そういうことなら、まずは体の動かし方から覚えとけ。力で受け止めるんじゃなくて、受け流す動きのやり方な。
お前が腕やられたときの状況は知らねーが……それだけでもだいぶ違うんじゃねーか。
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月29日
うけ、ながす。
(薄い表情の中で、全くと言っていいほど考えたことなかった、という顔をする。真正面からぶつかることが多い、というよりそれ以外のやり方をする事がない愚直な脳筋スタイルには、思いつかなかったことだ)
練習して、みようかな。うまく、できるといいけど。
怪我とかすると、どうしてか、怒られてしまうので。怒られなくなると、いいな。
皐月・灯 2019年11月29日
……雑魚相手ならいいけどよ。一発でかいの持ってる大物相手にゃ、正面切ってちゃもたねーだろ。
(もちろん、それでも耐える猟兵もいるけれど。腕を潰されたという話からして、彼がそんな猟兵たちと同じくらい、とびぬけて頑丈というわけでもなさそうだった)
……ったく……。
(小さく呟いて、天井を見上げた)
基本は観察と予測、反応だ。
……教えてやってもいいぜ、やり方。夜の暇つぶしにな。
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月29日
!
(しょんぼり下がっていた長耳が、ぴこんと上を向く)
いいんですか?
嬉しいです。……ええと。先生?
(誰かから戦い方を教わることは、あまりなかったから。さて呼び方は先生で合っているだろうかと首を傾げて、それから視線を追うように天井を見る。脆くひび割れて、時折かけらを振らせる灰の檻。崩れるだろうかと、さして危機感も抱かずそう思うだけ)
皐月・灯 2019年11月29日
……先生はやめろ。ガラじゃねーし落ち着かねー、今まで通りでいい。
(こほん、と小さく咳払いをして)
そんな大したもんじゃねーよ、教えるったって。
体捌きの基本だけだ。……それでも、たぶん無駄な怪我は減らせる。
(誰かを怒らせることも減るだろう、と言外に告げる。ぱらりぱらりと降ってくる欠片が目に入らない様に、微妙に首を動かして。天井に走る亀裂は、少々いただけない深さだった。今すぐに崩落、というわけでもないだろうが)
皐月・灯 2019年11月29日
……ところでユハナ、お前今暇だよな。
(つい、と視線を隣人に移して、半ば断定的に問うた。時刻は深夜、丑三つ時が近い。こんなところで寝ているくらいだから、用事もあるまいと)
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月29日
そうですか? じゃあ。いつも通りに。
(灯。呼んだ名は、眠りから覚めた時とは少し温度の違う声。嬉しそうな、信を寄せるような、そんな音)
教える、というのは。大変な事だと、思うので。
僕は嬉しいと、そう思います。
(天井から視線を戻すと、目が合った。そのままこてんと首を傾ぐ)
……? はい。用事は、ないです。
皐月・灯 2019年11月29日
おう、それでいい。
(耳に届いた声に、納得したようにうなずいた。下手に装飾がつくより、そのままの方がしっくりくる)
……そうか。なら、いい。
(実際に体を動かすのは彼の方なのだから、大変な想いをするのは相手の方だと……そう思ったけれど、口には出さず。)
なんか食いに行くぞ。付き合え。
(殆ど命令するように、偉そうな口調で言った。あのよろしくない亀裂の下に寝かせておくのは、それこそよろしくないと思って)
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月29日
(納得したようだったので、うん、とひとつ頷いて)
(続いた偉そうな口調には特になにも思うところはなかった、なかったけれど。その後の言葉には、ひとつ瞬く。当てはまるなら、困った、というところだろうか)
今は、食べられませんが。ついて行ったら、いいですか?
(暇潰しの一環だろうかと解釈して、話し相手になるくらいなら出来るだろうかと)
皐月・灯 2019年11月29日
……まあ、夜中だからな。食いたくなきゃ、それでもかまわねー。
(なんとなく気になって、ここから連れ出す気になったというだけだ。気がかりを解消したいだけだから、本当に何か食べる必要はない。――まあ、食べるが)
じゃあ、行くぞ。
(この時間でも、未成年がどうのこうの言われない店にはいくつか心当たりがある。)
ユハナ・ハルヴァリ 2019年11月29日
……? はい。じゃあ、お供します。
(よくわかっていない顔をしながら、よいしょと立ち上がる。あちこちに散った光石を花の形に束ね、長杖へと結び直した)
お散歩。楽しみですね。
(つまるところそういうものだと思って、歩き出す少し楽しげな爪先がコンクリートの破片を蹴飛ばした。その背中を追うように、ふわゆら浮いた長杖が続く)
皐月・灯 2019年12月1日
(立ち上がり、腰の砂を払ってから歩き出した。元来た道を辿り、建物の外へと向かう)……便利だな、それ。(道すがら、浮遊する杖を横目に見て呟いた。)
……そうだな。散歩でもいいか。
(まだ夜は長い。夜空に瞬く星々は、街明かりのせいかまだ遠い。いつか星を見に行くなら、このコンクリートの群れを離れることになりそうだ。――とはいえ、まずは今夜。さて、どこに行こうか)
ユハナ・ハルヴァリ 2019年12月1日
便利。そうかな。そうかも。
(あんまり考えずにやっていたので、こくりと頷いて。それから思い出したように歩幅を緩め、彼の斜め後ろ辺りをついて歩くようにした。何処へ向かうかは彼しか知らないことだから)
(ここは夜にも明かりの灯る世界。烟る星空を少し見上げて、それから前を見た。しじまが続くなら埋めるように静かな歌でも奏でようか。そう、思うくらいで)
皐月・灯 2019年12月1日
(とりあえずは足の向くまま、気の向くまま。迷子にならない程度に
知っている道を、普段より気持ち緩めの速度で歩いていく。人気のない路地に小さく足音を鳴らして)
皐月・灯 2019年12月1日
(――眠れる街を、ふたり。)