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Counseling time

皐月・灯 2019年9月22日


UDC。

この世界に現れるオブリビオンはそんな名前で呼ばれてる。
そして、ソイツらと戦うために、同じ略称の組織がある。
ややこしいから、オレ達の間じゃUDC組織とか言われたりしてるけどな。

……何の酔狂か、得体の知れねーオレ達の活動を支援してるヤツらだ。
まあ、使えるもんは使えって話で、今はギブ&テイクの関係ってとこだな。

そんな中、職員の一人に呼び出された。
「猟兵になった」ってよ。

そうかの一言だよな、そんなの。
けど……知らねー相手でもねーし、たまたま暇だった。

今、オレがさびれた喫茶店にいるのは、そういう理由だ。



・アンネ・エミル(ミシェル・f21975)
・皐月・灯(喪失のヴァナルガンド・f00069)




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皐月・灯 2019年9月22日
(湯気の立ったカップに息を吹きかける。ふー、ふー。少々やりすぎなほどに冷ましてから口をつけて、僅かに眉をひそめた。この店のココアはなんというか……薄い。行きつけの店で飲む濃厚な味わいとは異なり、市販のココアパウダーに湯を溶かしたような、安っぽい舌ざわりだった)
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アンネ・エミル 2019年9月22日
(アンネは豆乳ラテに口を付ける。なんかもうひとくちでわかる安っぽい味だね。 店のさびれてる理由がよくわかる。 それでもこの店に客が入るのは……)
本日は来てくれてありがとうございます。
(ここがUDC組織の連絡によく使われるからなんだよね。アンネは職員だし、目の前の少年はその協力者だ)
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アンネ・エミル 2019年9月22日
改めて、自己紹介はいりますか?
(ぼくもアンネも、彼が猟兵で多重人格者ということを知ってる。あと、魔術を使う人というのも。まあ魔術についてぼくはさっぱりなんだけど)
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皐月・灯 2019年9月22日
いらねーよ。お互い、顔くらいもう覚えてんだろ。
(彼女とは何度か仕事で情報を貰ったことがある。どうやら、自身と同じく多重人格者らしいということも聞いていた。……逆に言えば、彼女について知っていることはそれくらいだ。よく自分に声をかけたものだと思う)
……それで? そっちの用件はなんだよ。
(それ以上飲む気にならず、カップを置いた。あとで絶対にいつもの店に行こうと心を決める)
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アンネ・エミル 2019年9月22日
はい、では。私も猟兵になりまして。
猟兵の活動をする前に色々と調べておきたいのです。猟兵になったら何をするか、どのように戦っているか。……あとは他の猟兵と知り合えそうな場所なども。
(アンネのいる組織、というか支部は猟兵がいなくて、こういうの聞ける人がいなかったのだ。それで灯に白羽の矢が立ったわけ、残念だったね)
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皐月・灯 2019年9月22日
……それでオレに聞こうってのも、よく思いついたもんだな。
(他人からどう見られようが気にもしないが、それを差し引いても、自分が愛想の良い方ではないという自覚くらいはあった。同じ多重人格者の誼というヤツだろうか)
まあ、いい。……まず言っとくが、他のヤツのことなんて知らねー。だから、全部「オレはそうした」ってだけの話だ。参考になるかはわかんねーぞ。
(最初に釘を刺しておいた。……猟兵になる前の話ならともかく、猟兵になった後の話なら、別にどうということもない)
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アンネ・エミル 2019年9月22日
ありがとうございます。むしろそのほうが助かります。
(灯も、ぼくたちと同じ多重人格者だからね。むしろ共通点のない猟兵より彼の話のほうが参考になりそう)
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アンネ・エミル 2019年9月22日
……。
(そしてアンネは豆乳ラテにまた口を付ける。普通に飲んでるのを見ると、アンネの舌がこの店に慣れてるのか、単に味覚がガバガバなだけなのかわからないけど、ぼくはたぶん後者だと思う)
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皐月・灯 2019年9月22日
……ふん。
まず、猟兵の仕事ってのはたったひとつ。骸の海から未練がましく蘇ってくるオブリビオン共を、一匹残らずブッ飛ばすってことだ。
……連中が起こす事件は、大方、グリモア持ちが予知できる。そいつの依頼を受けて、仕事をこなす……そう思っときゃ問題ねー。
(実際は探索や調査が必要となる場合もあるが、その辺りはUDC組織にいた彼女なら問題ないだろう。)
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アンネ・エミル 2019年9月22日
組織にも荒事専門の実働担当がいました。大筋では仕事内容にあまり違いはないということですか。
(でもアンネはまだ納得してない部分があるみたいで、眉を微妙に下げてる)
……猟兵って、他の世界でも戦うんですよね?
(ああそこが引っかかってたんだ)
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皐月・灯 2019年9月22日
ああ……なったばっかじゃそりゃ知らねーか。今言ったグリモア持ち……グリモア猟兵が、オレ達を他の世界に転送するんだ。
(他の世界で戦え、というのは、考えてみれば変な話だ。初めて聞いたときは、自分も意味が分からなかった)
世界ってのは、このUDCアースだけじゃねー。いくつもの世界があって、今も新しく見つかったりしてる……現に、オレも生まれは他の世界から来てるしな。
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アンネ・エミル 2019年9月22日
戸惑ったことや、困ったことはありましたか? あと、用意したほうがいいものなども。
(さすがのぼくも他の世界のことはあまりわからないんだよね。っていうか灯って他の世界から来たんだ。魔術って言ってるしアルダワとか?)
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皐月・灯 2019年9月22日
そうだな……仕事の支障になるほどのことはねー。どうしてかわかんねーが、言葉は通じるからな。ただ、初めて行った世界じゃそれなりに、ってとこだ。
(自分の世界の常識が通用しないことがある。経験から言えば、キマイラフューチャーや、ほかならぬUDCアースもその類だと述べて)
……用意したほうがいいものは、って言っても、依頼ごとに違うが……そうだな。最低限、戦う手段は揃えとけ。呪具やマジックアイテムとか、お前の力を引き出すもんだ。
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アンネ・エミル 2019年9月22日
言葉は通じる……。
(そういえば聞いたことあるね。猟兵ならどこへ行っても言葉が通じるって。アンネ、今度外国に旅行してみない?)
はい。銃など用意していこうと思います。
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アンネ・エミル 2019年9月22日
皐月さんはどう戦うんですか。魔術を使うと聞いたことがありますが。
あと……。
(杖とか持ってたりするのかな)
人格、とか。
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皐月・灯 2019年9月22日
ああ。……魔術っつっても、オレのは電脳魔術との合わせ技みてーなもんだ。一般的な魔術師のイメージとはちょっと違うかもな。
(片手を顔の前にかざして、拳をつくってみせる。)
……言っちまえば、コイツで術式と魔力を叩き込むだけだ。ブチ砕いたり、燃やしたり、叩っ斬ったり……まあ、色々効果は違う。
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アンネ・エミル 2019年9月22日
…魔術。
(ゴリラ)
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アンネ・エミル 2019年9月22日
(とりあえず理解できないのはよくわかった。アンネもそんな感じの顔してる)
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皐月・灯 2019年9月22日
……。
(少年は自分の手札を隠さない。見ればわかることだし、元々隠すほど多い手があるわけでもない。それでも、ことが人格に及ぶと、急に黙り込んだ)
…………オレが望んで連中の手を借りたことは一度もねーよ。ヤツらが出てる間は、「オレ」は眠ってるしな。
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アンネ・エミル 2019年9月22日
……杖とか。離れた距離から炎とかは。
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皐月・灯 2019年9月22日
(わかってなさそーだな、という顔。まあ、いつか共闘するときでもあれば、というところか)
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アンネ・エミル 2019年9月22日
人格が交代すると、体を動かしてる人格以外は眠るということですか?
するといま皐月さんがいるときは、他の人格は眠っているんですか?
(ぼくらとは違うね。アンネが動いてるときぼくは起きてる。逆のパターンはないけど)
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皐月・灯 2019年9月22日
他のヤツらがどうかは知らねーけどな。少なくともオレは、連中が何してるかわかんねーよ。……代わってみたら、知らねー魔術師の女に焼かれる直前だったこともあったっけな。
(とにかく迷惑している、という風に肩を竦めた)
……今言った、杖とか炎を飛ばすとか。そういうのは、ヤツらの得意分野だな。
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アンネ・エミル 2019年9月22日
(気が付いたら殺されそうになってるとかこわ)
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アンネ・エミル 2019年9月22日
人格によって、使用する魔術の得意分野が異なるということですか。
……もしかして人格によって知識にも違いがあるんですか?
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皐月・灯 2019年9月22日
そーいうこった。知識は……どうだかな。比べたことがあるわけじゃねーが、アザレア・プロトコルを……オレの魔術を構築したのはオレじゃねーし。
……そういうお前はどうなんだよ。
(彼女に目を向ける。その裡にいるであろう別人格を見つめるような気持で、言葉をつづけた)
お前らは、人格が代わっても他が眠ったりしないってことなんだろ。戦ってる間にも協力したりすんのか。
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アンネ・エミル 2019年9月22日
わかりません。起きてるのは間違いないと思います、交代の打診をすると返事がきます。
でも、私と……リセ、リセといいます。私とリセは会話ができないのでリセの知ってることを把握できないんです。
(こう言ってるけどたぶん、アンネはたぶん気付いてる。ぼくのほうがUDCとユーベルコードについて知ってるって)
……。
(黙り込んで豆乳ラテを飲むアンネだけど、ぼくはそろそろ嫌になってきた。ここの安っぽい味)
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皐月・灯 2019年9月22日
ふうん……リセ、か。
(なるほど。それで人格間の知識差について聞いてきたのか。一つ得心する)
交代の打診ってことは、自分たちの意思である程度切り替えができるんだな。そりゃオレ達より便利だな。
(生暖かい不味いココアほど虚しい飲み物もないと思う。カップには目もくれない。UDC組織は、一度打ち合わせ場所を見直した方が良い。)
……じゃあ、まずは把握しとけ。お前に出来ることと、リセに出来ることがどのくらい違うのか。それがわかるまでは、戦場に立たねーほうがいい。
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アンネ・エミル 2019年9月22日
……はい。でも。
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アンネ・エミル 2019年9月22日
私も戦えるようになりたいです。たぶん、リセは私よりずっと戦える。
でもリセばかりに戦いを押し付けたくないので。
(…………。)
皐月さんは訓練はどのような場所でやってるんですか?
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皐月・灯 2019年9月22日
そうか。……なら地道に鍛えて、お前にできる範囲を広げるしかねーよ。一朝一夕で手に入る力ってのは、ろくなもんじゃねーからな。
(もっとも、彼女の戦い方によっては既に手遅れな助言かもしれないが)
……あん? そりゃ人の来ねー場所だ。工房の近くの廃ビルとかな。決まった場所があるわけじゃねーけど。……お前は別に、組織の設備とか使えばいいんじゃねーのか?
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アンネ・エミル 2019年9月22日
はい。肝に銘じておきます。
組織の設備ですか……。
(なんだか静かに呟いてる。何か問題でもあるのかぼくでもわからない)
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アンネ・エミル 2019年9月22日
組織の設備でも、いいんですね……。
(この『その発想はなかった』ていうようなツラ)
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皐月・灯 2019年9月22日
…………。
(なんだ今の間。)
……そりゃあ、その辺でやるよりは環境もいいだろうよ。特にお前、女だしな。
(UDC組織の内情には詳しくない。だが猟兵であるとわかれば、色々と便宜も図ってもらえるだろうし、何かと安全だ)
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アンネ・エミル 2019年9月22日
ありがとうございます、そうしてみます。
(意外と優しい所があった。ツンデレかな?)
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皐月・灯 2019年9月22日
別に、礼言われるほどのことじゃねーよ……。ああ、そういやまだ答えてなかったな。他の猟兵と知り合えそうな場所、だったか。
(こほんと咳ばらいをしてから、思考を巡らせて)
……いくつか心当たりはある。そういう場所のことは「旅団」っていうんだが……そうだな。後で紹介してやってもいい。
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アンネ・エミル 2019年9月22日
それは。
(アンネははっと顔を上げた。たぶんすごく興味あるんだと思う。アンネのいた支部に猟兵はいなかったから。ぼくも興味ある)
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アンネ・エミル 2019年9月22日
ぜひ、お願いします。
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皐月・灯 2019年9月22日
わかった。……じゃあ、まずはここ出るぞ。もっといい店を知ってる。
(いい加減冷め切ったココアを一瞥して、一息に飲み干した。食物を無駄にするのは勿体無い。ただ、口の中に残った味に後悔もしたし、眉だって顰めた)
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アンネ・エミル 2019年9月22日
はい。
(うえっぷ。アンネは粉のような味のする豆乳ラテを飲み干して伝票を取る。ちなみに今回は組織協力者の猟兵との打ち合わせという名目だから経費で支払えるのだ。いいよね経費って。最高)
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皐月・灯 2019年9月22日
(言ってしまえば、今から行こうという店がその「猟兵が集まる店」なのだが。まあ、それはすぐわかるだろう。あの店には大抵の時間、誰かがいるのだから)
……それにしても。
(おかしな気分だった。まさか自分が他人の教導の真似事をするとは。やれやれ、と口の周りを手の甲で拭い)
じゃあ行くぞ。ついて来い。
(それだけ言うと席を立ち、店の外に向かった。)
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アンネ・エミル 2019年9月22日
(アンネは支払いを済ませ、伝票を受け取る。それを慣れた動作でポーチに入れると、灯の後を小走りでついていくのだった)
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皐月・灯 2019年9月22日
―了―
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