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Instead of someone

皐月・灯 2019年7月19日


猟兵の仕事ってのも色々あるが、おおよそどんな仕事にも共通してることがある。
何かって、わかるだろ。
オブリビオンどもをブッ飛ばす、ってことだ。

連中にもピンキリで、大したことねーヤツも、厄介なヤツもいる。
前者はどーだっていいが、後者は違う。
何も考えずに突っ込みゃ、くたばるのはこっちの方だ。

なら、どう対策するかって?
事前の調査、能力の把握……やれることは色々あるが、そうだな。
一番手っ取り早いのは、腕のいい猟兵と組むことだ。

ただ――そいつがどんなヤツかによって、やり易さは大きく変わる。

たとえば、「そいつに借りを作っちまってる」とかな。
ったく、偶然とはいえ、アイツとはよくよく戦場で縁があるぜ。

……正直に言やあ、楽な仕事になる……そう思ってた。
あのときまでは、な。



(サムライエンパイア、町人の寄り付かぬ薄暗い広場)
(ふたりの猟兵が、割れた仮面の武僧と対峙していた)

・ヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)
・皐月・灯(喪失のヴァナルガンド・f00069)




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皐月・灯 2019年7月30日
だろうな。まあ、お互いコイツの念仏は止められなかったけどよ。(交戦距離に入った時点で既に9割がた終わっていたのだ。もう少し早く発見・接敵できていれば状況は違ったかもしれない――大した問題でもないが。ガントレットを嵌めた両手を軽く握り込む。魔術刻印回路を走る赤い魔力光が手甲に伝わり、紙にしみこむインクのように淡い輝きを灯した)やり方はお前に任せる。確実に潰せるんなら何でも構わねー。(面倒=仕込みの完了までの時間稼ぎということだろうと判断して、一歩前に出る。ただし、唇からは了解の意思を示すのではなく、別の言葉が零れた)――友達も相棒も、オレにゃいねーよ。
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年7月31日
スタティックなんざいつでも起こりえることさ。これも行動から生じた結果、ならこっから最善を目指すしかねえってな(右腕──右腕型サイバーデッキが攻性プログラムを走らせる。一つだけではない、複数だ。保険をかけるように、プランは複数考える必要があるのだ)はいよ、そんじゃあ前は任せる…何、無理をさせる気は無いさ(ARビジョンで可視化された敵の大まかな戦闘能力、行動の癖がニューロンに沁み込んでくる。それを元に十数個のプランをさらに絞りながら)あらら、つれないな。俺だけの片思いとは、寂しくて涙が出そうだ──来るぜ(冗談めかして目頭を押さえ、すぐさま眼前の敵を見て声音を変えた)
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皐月・灯 2019年8月1日
(違いない。どのみちやることは変わらない。あとは結果に辿り着くまでどの道筋を選ぶかだ。――青い左目で、男の機械腕をちらりと見遣る。奇しくも今考えたことと似たような事象が、その内部で行われているのだろうと推測できた)そーかよ。ならその言葉、あてにしとく。(視線を前に戻せば、武僧は再び錫杖を振りかぶっていた。溜め込んだ力をまだまだ出し足りないらしい)……片思いでも相手は選んだほうがいいぜ、お前。(手首から先をスナップさせるように振る。それが合図だったかのように、敵に向けて駆け出した。横薙ぎの一撃をスライディングでやり過ごし、がら空きになった脇腹へ拳を見舞う。鋭い打撃と同時に刻み込むのは、臨界状態で待機していた術式。僅かなタイムラグを置いて、その部位から炎が噴き上がった)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年8月3日
(もう少し自分の魅力を理解するべきだと思うけどな、とは口に出さなかった。今は鉄火場、何より押し問答でしかない。素直じゃない奴だ)ヒュゥ、惚れ惚れすらぁ(既に幾度も見たことがある。拳闘と術式を組み合わせた戦闘術。同じ電脳魔術師でありながら、その権能を近接戦闘に用いるという型破りなスタイルだ。己もステレオタイプから離れてるとは思うが、灯は猶更だろう)セット──『HeatWave』(足を止めるというオーダーならば、やはりこれだろう。炎が噴き出した瞬間、痛みと驚愕で一瞬だけ意識がこちらから離れた瞬間……無造作に右腕を突き出した)止まりな(放たれる不可視のマイクロ波。脳を徐々に熱で侵し、オーバーヒートによってまともな行動をさせないプログラムだ。熱による苦しみで思考領域を埋め尽くしてしまえば、メモリー不足でお終いというものだ)
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皐月・灯 2019年8月4日
(両手に残る赤い魔力光。現出した術式の名残を虚空に淡く引きながら、油断なく身構える。炎上する脇腹を押さえる敵が怨めしげな声を上げ――ぐらりと傾いだ。着地すべき地面を見失ったかのような、例えるなら階段から足を踏み外したような、重心の大きな揺らぎ)……来たか。(仮面の下の口から泡を吹く巨躯を眼前に、そうとだけ呟いた。外傷がないところを見ると、相手の中枢神経を狙って機能障害を引き起こしたか。正確性と攻撃性を兼ね備え、戦況コントロールに長けた運用。お互いに電脳魔術師のスタンダードとは言い難いものの、必要を突き詰めた果ての術理というところか)幻想開帳――アザレア・プロトコル1番!(もがく武僧に一歩踏み込み、腰を捻り、拳を固め。しっ、と鋭く呼気を吐き出して――思い切り顎を撃ち上げた。強制的に天を仰がされた敵の仮面が、直後に爆ぜる)《猛ル一角》……いい仕事だ、ヴィクティム。
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年8月5日
ヒュゥ、クリーンヒットだ(アザレア・プロトコル──何度も見た、灯が用いるユーベルコード。彼の戦闘スタイルが為す強力な手札だ。まるで角を振り上げて、万物を貫くような威力の強烈な顎へのアッパーは、痛烈なダメージを与えたようだ。脳を揺らされ、仮面も割られ、たたらを踏んだ武僧の何とも無様なことか)止めると言ったら止めるもんだ。そっちもいい一撃だったぜ(消耗を抑えるために、マイクロ波を止める。武僧を見やれば──なるほど、さすがに武芸に秀でるだけはある。タフなようだ)追撃のオーダーはどうする?如何様にもしてやるけど(自分で攻撃に回ることもできるし、支援も妨害もお手の物だ、防御を固めたっていい。超一流の端役はどのようなオーダーにだって十全に答える。お任せでもいい)
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皐月・灯 2019年8月10日
茹った脳天ごとブチ砕くってわけにゃいかなかったが……まあ上々か。(不満げな表情の割に、声の尖り方はマイルドだった。臨時の相方、即席のバディ……呼び方は何でもいいが、彼の言葉を借りるなら、スタティックは起こりえる、というやつだ。敵は戦意を喪っていないようだが、決して無視できない傷を負わせることはできている)攻め時だろ、防御なんぞ考えなくていい。一気に終わらせてやっから、お前も仕掛けろ。(手段はなんでもいい。そう言ったのは、戦況を見てというより、彼の手札の多さを見てみたくなったというのが大きい。その点において、彼の右に出る猟兵を知らなかった)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年8月11日
タフなことだけが取り柄なんだろうさ。盛大に笑ってやろうぜ(などと言いつつも、浮かべるのは酷薄な笑みだけなのだが。武僧を見やる。脳への衝撃から立ち直ろうとしていることは容易に見て取れた)だろうな。そんじゃあいっちょラッシュといこう(手札を吟味する。ニューロンが瞬時に難然通りもの計算を実行して)来な、木偶の坊(酩酊のような状態から立ち直った武僧が、いきなり錫杖を振りかぶる)セット、『Balmung』(それに対して少年が取った行動は──"何もしない"だった)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年8月11日
(このユーベルコードは灯が見たことのあるものと酷似していた。完全脱力状態で攻撃を受ければ、それを無効化する。あの時はそこからさらに、攻撃のエネルギーを奪い取り、変換し、周囲の味方を強化するものだったが──今回はより、攻撃的なものだった)残念──っと、やるね(奪ったエネルギーを増幅し、そのままぶつけて返す…増幅変換率は、実に50倍以上。まともに喰らえれば致命的だが…ギリギリで身を捻られた故、浅い。しかし強烈なダメージであることに変わりは無く──その一撃は再度、武僧にたたらを踏ませるには十分であった)
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皐月・灯 2019年8月15日
……へえ。(感嘆の声をあげた。確かに以前見たものに類似していたが、その性質は対極とも言えたろう。「あのとき」のものを力の散逸、消力の顕現とするならば、こちらは力の増幅、撃力の発露といえた。回避行動を取ったはずの武僧が、それこそ発条仕掛けのように弾かれた。頭に命中していればそれで十分終わっていたと思えるほどだ――そういえば、とふと気づく。「あのとき」もサムライエンパイアだったな、と)……ちっ。(どちらかといえば、あまり愉快な思い出ではなかった。舌打ちと同時に振り払って、駆けだした。両手に淡く赤い光が再び宿る)レディ! アザレア・プロトコル――
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皐月・灯 2019年8月15日
(ダッシュからの跳躍で、下がった敵との間合いを一気に詰める。先のダメージで錫杖を振れなかったか、武僧は太い腕で叩き落そうとするも、紙一重でそれをかわして)《轟ク雷眼》!(トラロック。雷神の名を冠する術拳を肩の付け根に叩き込んでやる。僅かなラグを置いて眩い轟雷が炸裂し、敵の左半身が硬直した。念仏を唱えていた口からは苦痛と怒り、獣の如き唸り声が迸る。苦し紛れの錫杖が突き出され、顔面を抉らんと迫ってくる――が、首を捻るだけで虚空を貫かせた。色違いの両目に、走査線めいた光が走る)《猛ル、一角》ッ!(みぞおちに一発。綺麗な右ストレートを捻じ込んだ。衝撃が敵を貫き、今度こそ巨躯を昏倒せしめる)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年8月17日
(追撃にかかる灯の軌跡を眺める。アザレア・プロトコルの発動──今度は違う技だろう。こうして他人の技を次々と見るのは、中々に面白い。灯の身体能力はかなり高い。さすがに拳で戦うだけあって、体の動かし方は達人のそれだ)ヒュゥ、チル・スタンってか(電撃による一時的な行動不能だろうか。武僧が動けなくなった。怒りに支配された敵の行動は酷く単調で──灯がそれを咎められないなんてことは、ありえない)…ナイス。いいね、スマートだ(そして最初に放った一撃を再び叩きこみ、今度こそ沈黙した)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年8月17日
…一応トドメを念入りにしとこうぜ(ナイフをくるくると弄んで武僧へと近づいていく。──少年にしては、珍しいことだが。気が抜けていた。疲労もあったのかもしれない。完全に敵は落ちたと思っていた。故に、致命的な油断に気づいてはいなかった)
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皐月・灯 2019年9月2日
(打ち終えた拳から赤い粒子が散る。術式を走らせた直後、回路に残った魔力の残滓。ほんの2秒ほど僅かに顔を顰め、それから何事もなかったかのように腕を引く)……思ったより手こずったな。もうちょい、出力上げときゃよかったか。(今の最後の一撃で、ようやくクリーンヒットさせられた。攻撃は単調だったものの、防御面では意外なほど厄介だった。軽くため息を吐いて、横を通り過ぎる青年に後を)
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皐月・灯 2019年9月2日
(任せようとした。けれど、)――ッ!(体が、先に動いていた)
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皐月・灯 2019年9月2日
(青年の襟首を鷲掴みにして、一歩前に踏み込む。力任せに腕を後方に引けば、2人の立ち位置は綺麗に入れ替わって――その瞬間。がら空きになった胴に、巨大な狛犬の頭が牙を立てた。皮膚を破り、肉を裂く。顎が肋骨を数本まとめてへし折る音が、骨を伝わって脳を揺さぶる)がッッ……!?(目の前の景色が横っ飛びに流れた。狛犬の頭に変化させた脚で食らいつかれ、振り飛ばされた――理解は一瞬、だが何もできない。血の尾を引いて宙に舞った体は地面に激突し、何度かバウンドして動かなくなった)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年9月3日
(鋭敏な知覚に引っかかる、違和感。僅かに空気が乱れた感覚。──気づいた時には遅くて)まずっ──灯っ!?(身体が不意に、がくっと動いた。自分が灯に引っ張られたと気づいた時には…)なっ…(狛犬の頭が灯の腹に喰いついていた。致命的な一撃であることは、見るだけで…否、音で更に深刻さを増した)馬鹿、野郎……!(吹き飛んだ灯を呆然を見やるも…ニューロンは急速に冷えていた。今灯に駆けよっては、武僧が何をするか分からない。合理的に判断しなければならない。まずはこいつを完全に殺すのだ)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年9月3日
(脳を完全に機能停止させる。それがベストだ)(判断は一瞬、実行も一瞬だった)…死ね(ここで近づくような愚行は侵さない。投擲用のナイフを抜いて、プログラムを発動する。『Conquer』──物質を爆発性に変える拡張コードだ)(爆発物に変化したナイフを、倒れた相手に投擲。もう一つ抜いて投擲。投擲。三度の命中、三度の爆発。…頭部の行方を探す必要は、無さそうだった)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年9月3日
──灯っ!!(すぐさま灯に駆けよる。酷い傷だ)オイ、意識あるか!?今治療する…ああ、馬鹿野郎…なんで庇ったんだよ!!(珍しく狼狽しながら、治癒プログラムを起動した。代償は疲労だが、今は灯の容体が最優先だ)
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皐月・灯 2019年9月8日
(仰向けに転がった少年の肉体は、特筆するほど頑健というわけではなかった。敵の攻撃に対して、耐えるのではなく【見切り】による回避を主体にしているのはそれが理由だった。無防備なところにクリーンヒットを貰えば、相応の代価は支払わねばならない)…………っ。(ただ、意識はかろうじて残っていた。横目で敵の撃滅を確認して、呻き声を上げる)……。
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皐月・灯 2019年9月8日
(体を起こそうと少し動いただけで、激痛が沸き起こる。諦めて地面に後頭部をつけながら、青年の方を見遣った。いつでも飄々とした振舞いを崩さない彼が、珍しく……なんというか、慌てているように見えた)……借り……、確かに……返した、からな……。(口の中が鉄臭いな、と思いながら答えた。唇の端から、一筋の血が垂れた。)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年9月10日
…クソッ、んなこと気にして…じっとしてろよチューマ…(肋骨を放置すれば肺を傷付けかねない。治癒プログラム特有の、淡い翠のサーキットが灯を駆け巡り、骨を繋いでいくだろう)そのまま置いておけばよかったのによ…(額に脂汗が浮き出る。治療の代償は心身の疲労だ。深い傷であるほど、代償は大きくなる)今止血するからな…(工作員用の万能テープを取り出して、傷口を塞ぎにかかる)大丈夫だ、ぜってえ死なせねぇ。こんなところでくたばるタマじゃねえんだ。助かる。助ける──
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皐月・灯 2019年9月11日
(穿たれた痛み。砕かれた痛み。幾何学模様が放つ淡い光の中、そのどちらでもない痛みが体内に沸き起こる。千々に分かれ体内に突き刺さった骨片が、再び繋がり合おうと蠢く痛みだ。声を漏らさず、痛みのピークが通り過ぎるのをじっと待つ。下手に動くより、大人しく手当てを受けたほうがいい……黙っているせいか、呪文のように唱える彼の声がいやによく聞こえた)……オレの、勘違いかもしれねーが。……「アレ」、間に合わなかったろ。オレには……そう見え……っ。(彼が二度に渡って見せた、敵の攻撃を無効化する技術。その神業には、僅かながら下準備が要るように見えたのだと――――切れ切れに呟く言葉に、水音が混じった。咳。その場に赤い飛沫が散る。大丈夫だ、というように、片手を挙げた)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年9月12日
──チッ(その通りだ。だからこの舌打ちは、自分に向けて)だからって、灯が食らう必要なんかない。俺が払うべきペナルティだろうが…っ(そう、油断して接近したのは自分だ。自分の失敗の責任は自分で取るべきなはず。それを良しとせず、自分の身を滑り込ませた灯にも…後悔と、苛立ちが)お前は、生身だろっ。俺は鋼混じりで、普通より頑丈なんだよっ(傷が思ったより深い。より強く集中して、抉られた肉体の再生に努める。呼吸も荒くなり、疲労がのしかかった。だが無視する)借りなんざテメェの無事と比べちゃ安いもんだろうが…このお人好しがよ…。
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皐月・灯 2019年9月19日
(荒い呼吸を抑えて、暫し目を閉じ、それから開く。)……そーだな。お前の、油断だ。だが……この傷は、……オレのミスだ。(割り込むことができたなら、同時に一撃叩き込んでやればよかったのだ。手痛いカウンターとなって、その時点で勝負は決まったたろうに。……そうできなかったのは、彼の退避を優先させたからだ。その一手分の遅れで、このザマだ)…………お前の体のつくりなんぞ、知るか。お人よしでもねー……オレは、気に食わねーだけだ。(呼吸が少しずつ楽になってきたのを感じる。痛みもゆっくりと引き始めた。治療の効果が、ようやく出始めたらしい)……もう二度と、オレの目の前で……殺させやしねー……。
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年9月21日
…こんの、クソ頑固野郎が。俺がミスんなきゃ良かった話なんだよ!(ようやく。あぁ、ようやくだ。治療の効果がじわじわと出て来て安堵する。自分のせいで誰かが不幸な目に遭うのはもう、うんざりだ。)

────ッ。テメェが死んだら、意味が無いんだよ…!(灯の言葉は、理解できた。共感できてしまった。だから、数瞬何も言えなかった。誰かを死なせるのが、誰かが害されるのが、我慢ならない)そっくりそのまま返してやる…死なせねえからな灯…ッ!(治癒の出力を限界まで上げた。まばゆいほどの翠の輝きが、灯を包んだ)
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皐月・灯 2019年9月26日
ッ……(薄く開けた目に飛び込む光の強さに、小さく息をのんだ。或いはそれは、体内を駆け抜けた鋭い衝撃への驚愕だったかもしれない。焼けるような熱さを感じた途端に、嘘のように痛みが引いて――)
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皐月・灯 2019年9月26日
(ゆっくりと片手を挙げ、口元の血を拭った)

……死に損なった、みてーだな……。
(口の中に鉄の味は残っているし、全身が脂汗にまみれている。口元に運んだ手は鉛のように重たいし、起き上がる気力だって残っちゃいない。……それでも、あちら側に渡らずには済んだ。)
……どこぞのお節介が……死神、ブッ飛ばしちまったらしい。
(ぐったりと仰向けで脱力しながらも、その唇からは憎まれ口が飛び出した)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年9月29日
…よし、よしっ…何とか…峠は越えたな…(治癒の出力を上げたことで、安堵の反動と併せて…疲労が重くのしかかった。荒い呼吸を漏らしながら、シニカルさの欠片も無いような、安心した表情を浮かべる)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年9月29日
フ ェ リ ー マ ン
三途の川の渡し守を説得するのは、骨が折れたぜ…ったくよぉ(いつもの口の悪さも戻ってきたらしい。とはいえ、もう大丈夫ともいえる状態ではない)

まだまだ死ぬ運命には無いってことだ…。とりあえず、ちゃんとした設備があるところで診てもらうべきだな…立つの厳しいだろ?背負うか肩を貸すかしてやる。
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皐月・灯 2019年10月4日
(痛みは殆ど感じられない程鈍くなっている。食いつかれた瞬間のことは覚えているし、この両目がしっかりと見ていた。致命傷だったはずだ。冗談めかして言いあったが、冗談抜きで九死に一生を得たといっていいだろう)
…………。
(安堵の表情を浮かべる彼を見遣れば、普段の余裕の態度は吹き飛んで、疲労の色が濃い。当たり前だ、あの傷からここまで持ち直すには……専門の治癒術師が数人は要るだろう。それを、彼はただ一人で為したのだ)
問題ねー、……立つ。
(ぐっ、と喉の奥から苦鳴を零しつつ、身を起こす。のろのろとした動きで、地面に手をついて)
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皐月・灯 2019年10月4日
(この角度からだと、丁度少年の顔が死角になった。そのことに気付いて、少しの間黙り込んで)
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皐月・灯 2019年10月4日
…………あ、………。(謝意を伝える5文字の言葉を、ちいさく、口にした。)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年10月7日
(気だるい身体を無理矢理起こして立ち上がる。一瞬視界がぼやけた。戦いの疲れ、治療の疲れがそこまで滲んでいたようだ)
キツそうじゃねーか…ったく意地っ張りだな(そう返ってくるとは思っていた。立てるなら無理矢理立つのがこの男だ)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年10月7日
(そのことはばっちり聞こえていた。何せ内耳にはサイバネが仕込んである。聴力は常人より遥かに高い。が…)んー?良く聞こえなかったな。もう一回言ってくれよ。なんだって?
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皐月・灯 2019年10月8日
…………。
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皐月・灯 2019年10月8日
(ぐんっ、と、勢いよく立った。戦闘に、治癒に、全力を出し切ったあとの病病み上がり。その体の固まりかけた発条を利かせて、無理やりに跳ね起きた。当然そんな真似をすればよろめきもするし、塞がったばかりの傷跡は大いに痛んだ。数秒、何かを堪えるように黙り込み)
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皐月・灯 2019年10月8日
……っせー。もう言うか。
(どこか拗ねたような表情をフードで隠して、戸惑うような声でそう応じた)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年10月9日
あっ、おい!ゆっくり立てっての…(全くこの男は、もう少し自分を労わってくれ…とは言わず、しょうがないなと言わんばかりの表情で苦笑した)はーっ、連れねえな。ファンサービスくらいしてくれよ色男。(ようやくリラックスしたように笑って、ふぅと息を吐く)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年10月9日
…帰るか。いいか、ちゃんと診て貰えよ?んで暫くは静養するこったな。失った体力までは戻ったわけじゃねーんだからな!(紆余曲折はあったが…ひとまず、戦いは終わった。猟兵としての本懐を果たしたのなら、後は日常に戻るべきだろう)
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皐月・灯 2019年10月14日
……ふん。そんな柄じゃねーんだよ。
(ふらつく足で地面を踏みしめて、そっぽを向いた。体は重たいし、借りを返した矢先に新たな借りを作ってしまった。けれど、そう悪い気はしなかった――不思議なことに。)
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皐月・灯 2019年10月14日
……だな。標的は仕留めたし、ここでの仕事はこれで終わりだ。
(敵は骸の海に還り、もはや留まる理由はない。一度深呼吸をして、活性励起させた魔力を鎮める。微かに赤い光の残滓を引きながら、踵を返した)
……気が向いたらな。
(その足取りは、一歩進めるごとに確かなものになっていく。もう何の心配もいらないと言いたげに――少々わざとらしさすら感じられたかもしれない)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年10月15日
可愛げがねーな。ったくよ…(とは言いつつも、それが灯らしいから、と笑って言ってるのだが)(互いに命を救いあった形、になるのだろう。借りがまた出来た彼からすれば面白くはないかもしれないが…不満そうではなさそうだし、まぁいいか)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年10月15日
倒れても知らねーぞ(色々とあったが、目的を果たし、自分たちは生きている。上々だ。結果はしっかり、残せた)
…腹ぁ減ったな。何か食いに行く?(確かで、強い足取りの灯に小走りで追従しながら、世間話でもするように問いかけた。互いにカロリーを失っただろうし、どうだろうかと)(どちらにしても、少年は彼に別れ際までついていくだろう)
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皐月・灯 2019年10月25日
……倒れねーよ。(先をずんずん進みながら、横目で見やる。屈託のない笑みに対して、此方はにこりともしない。――あえて付け加えるとすれば、微かにため息を吐いた。自分に負けずとも劣らず疲弊しているはずなのに、彼も大概意地っ張りだろう。そんな小さな共通点を見つけて)
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皐月・灯 2019年10月25日
ただまあ……腹は減ったな、確かに。……付き合ってやってもいいぜ。
(――言いにくそうに、そう呟いた)
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ヴィクティム・ウィンターミュート 2019年10月27日
…チル。そんじゃあ行こうぜ。やっぱ肉がいいか?お前の好きなもんでいいぜ(朗らかに笑って、進む足を速めた。意地っ張りな彼との距離が少し縮まった気がして、何だか嬉しくなったから)
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皐月・灯 2019年10月28日
(いちど言葉にしてしまえば、もう引っ込みはつかない。だからこの際取り消したりはせず、もうひとつ付け足すことにした。大きな仕事ではないとはいえ、命がけで一つやり遂げた。仕事仲間というやつだから、と)
どうせなら…………まあ、その。
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皐月・灯 2019年10月28日
……デザートも、出すとこがいいな。

(言葉を風に乗せて。歩む足取りを、すこしだけ――緩めた)
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皐月・灯 2019年10月28日
―了―
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