【About】Gleipnir
皐月・灯 2019年4月6日
◇立地
UDCアース、日本。
繁華街から駅を挟んで反対側にある区画。流行りの店はなく、民家とビルがまばらに立ち並んでいる。
その中でも古びたビルが集中している一角に、他の建物の間に挟まれるようにして、一際くすんだ印象の雑居ビルが立っていた。
◇雑居ビル
黒ずんだ灰色の5階建て。
かつては色々な店舗が入っていたらしく看板や描き文字の痕跡が残っているが、今となっては取り壊し寸前といった趣である。
一部の窓にはガラスも無く、その代わりにベニヤ板が張られていたりする。
建物の入り口は固く閉ざされていて、屋上のペントハウスへ昇る手段は、錆びた黒い螺旋階段しかない。
◇魔術工房
塗装の剥げかけたペントハウス。秘匿結界により一般人は寄り付かない。
元々誰かが休憩所として使っていたのか、流し台や長椅子が残っており、水道も生きている。
奥には簡素なシャワー室も備え付けてあるが、湯の出はとても悪い。
棚には他世界から持ち込んだ魔術書や薬品、幾つもの魔導具などが並び、
大きな作業机の上には、消毒薬を始めとする液体の小瓶が転がる。
床の上には何事かを書き殴った紙が無造作に散らばっていて、ここにも小瓶が落ちている。
歪んだブラインドのぶら下がった窓際には、背もたれの中身がはみ出した黒い長椅子と、くしゃくしゃのブランケット。
昼間でも薄暗く、お世辞にも良い環境とは言えない。
外世界からの流れ者ゆえに戸籍を持たない灯は、魔術工房兼生活拠点としている。
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