己が雷
備前・編笠丸鬼矗 2023年12月7日
刀抜けた
誉ノ雷
皐那が引き抜くと同時に備前国を黒き雷雲が覆う
死した落武者の絶叫の様な雷鳴が鳴り響き
木々は稲妻に引き裂かれる。
青々と輝く草むらに隠れていた動物達は我先にと逃げ惑う。
とうとう 災厄が一振り 抜かれてしもうたのだと逃げ惑う。
抜かれし妖刀は抜きしもののふに語りかける
『ああ、遂に引き抜かれたのだ
我等が誉れを継ぎし者が現れたのだ
我等 誉ノ雷
エンパイア至高の妖刀が一振りなり
我等を握りし者、その身と引き換えに力を与えん
エンパイアに悪しき影来たりし時
我を握り 我を振れ
さすれば汝 誉之雷とならん』
声と共に落つる雷の中に
妖刀の代わりに煌めく小さな雷が地面に突き刺さる
皐那が雷に触れし時
頭上にて大音と共に紫電が降り注ぎ身体を稲妻が包み込む
耐え難き苦痛と共に皐那の細胞は余す事なく雷電へと変え
身体の煌き 周囲を照らす
生きながらに雷へと変えられた激痛はやがて妖刀へと具現化する。
やがて月が三度昇りて身体が元へと戻りし刻
手の中に伝わる鉄の冷たさが
己が所持者となったのだと脳に強く刻まれていた
備前七振りが一人、
号『誉之雷』正当所持者:皐那・薫
ここに記す
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