欲望のエーデルシュタイン
●欲望に溺れ
子供の為に!いや、これからは裕福な生活をするんだ!
横取りをするな!これは、俺のものだ!
あぁ、彼はこんな人ではなかった!
大金の元を前にして、人は平静を、平等を、慈愛を保てるのだろうか。まして、貧困に苦しみ喘ぎ、希望がなかった者はどうだろう。負の感情を抑えきれるのだろうか。
負の感情を吸った邪霊は満足気に笑う。正の感情を吸った蝶は煌びやかな宝石を生み出す。
●貧困の先に
――お母さん、お腹がすいたよ。
――お父さん、どこに行っちゃうの?
――大丈夫、もう少ししたら、みんな帰ってくる。それまで、僕たちでこの村を守らないと。
あぁ、明日どころか今日の食事も用意ができるかどうか。せめて子供たちにはパンを。水を。
しかし、どうしてこんなに貧しいのだろう。新しい畑が買えれば、パンを買えれば、いや、お金があればよかったのだ。もっとお金があれば。もっともっとお金があれば。お金があったら、貧しい思いもしない。空腹に嘆くこともない。空腹で苛立ちを覚えることもない。もっと、もっと……。
アックス&ウィザーズのとある貧しい村。大人が集まっていた。それぞれに農具や数は少ないが武器を持って。女も男もそれぞれに荷物を持っていた。狙うは、一攫千金。「生きた宝石」「幻の秘宝」を手に入れる為に集まった村の人々。
「皆が戻るまで、この村を頼むよ。お前たちはしっかりしているから。帰ったらお祭りだ。」
「わかったよ、みんな。気を付けてね。僕たちがこの村を守るから!」
大人たちが、村を出る。その背中を見つめる子供たちは、お互いにぎゅっと手をつなぎなおした。
村の子供たちは、痩せ細った身を互いに抱きしめあって、家族の、大人の帰りを待っていた。
●グリモアベース
グリモアベースの中でもひと際大きな木の根元でグリモア猟兵のフルール・ラファラン(森に住まう人・f00467)が皆を集めた。
「みんな、集まってくれてありがとう。」
春の草原のような笑顔で君たちを出迎えた。
「今日見たのはね、アックス&ウィザーズ世界なの。」
みんなは、アックス&ウィザーズの村には行ったことあるかな?っと彼女は聞き、話し出す。
今回言ってもらう村は、貧困の色が強い村。明日の食事どころか、今日の夕飯にも困るくらいの貧困だったらしい。大人も子供も、それでも一生懸命生きていた。しかし、最近、大人がいなくなったようで、子供しか見当たらないのだ。
「まず、村の子供たちに、大人がどこに行ったか聞いてみて欲しいの。」
村で何が起きたかわかるかもしれない。
「それから、この村の近くにはね、『欲望の先に幻の秘宝が手に入る』ってお話があるみたい。」
幻の秘宝というのは、オブリビオン『宝玉蝶』の事なのはわかったようだ。宝玉蝶は、清らかな水を飲み育つ宝石でできた蝶のようだ。
「でも、この村の近くの川も、山も水が……ないの。」
「この子供だけの村と関係あるかわからないけど、でも、きっと何かあるのよ。まずは、村の子供からお話を聞いてみて。」
警戒されるかもしれないけど、そこは、皆なら大丈夫。村に大人を返してあげて。
フルールはそういうと、転送の準備を開始した。
ありす
●マスターより
初めまして。または、お久しぶりです。こんにちは、ありすです!
人の感情は、正負の二つ。それから、大人の体内水分量は体重の80%と言われていますね。
では、シナリオの概要を記しておきます。
第一章:アックス&ウィザーズの村で、子供から現状を聞く。
第二章:大人たちが行った場所での集団戦。
第三章:ボス戦。
と、なります。どの章から参加でも受け付けますので、お気軽にお越しください。
現地まではグリモア猟兵のフルール・ラファランがグリモアベースより、猟兵の皆さんをお送りする形となります。さっそく村で情報収集をお願いします。
●執筆速度
基本、日中の作業となる予定です。なるだけ早くお返し出来たらと思います。
順次、マスターページを更新してお知らせしたいと思います。
●プレイング再送について
プレイングを失効でお返ししてしまった場合、お心変わりがなければ、また送っていただけたら幸いです。
皆さんのプレイング、楽しみに待っています。
第1章 冒険
『こどもたちのせかい』
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POW : 幼い子に話を聞く
SPD : 年長の子に話を聞く
WIZ : 子どもたちの会話を盗み聞きする
👑11
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ルトルファス・ルーテルガイト
(※アドリブ、他PC絡み・連携歓迎)
(心情)
…『欲望の先に幻の秘宝』、どうにもきな臭いと思えばオブリビオン。
…しかも水を糧にするのに、山も水が無いとなると…。
…これは、大人達が無事でいるかどうかも怪しいものだな。
(行動:SPD)
…こういった場所で、素直に子供が話を聞いてくれるかどうかも怪しい。
…いきなり波風立てず、まずは子供たちの心を開くところからだな。
……精霊を曲芸に使うと怒られるかもしれんが、状況が状況だ。
…得意の精霊術で、少しばかり子供たちと遊んでやるとしよう。
…もっと見せてとせがまれた所で、「遅くなるから大人達とまたおいで」
とでも言って、それとなく大人達の事を聞いてみるとしよう。
深護・刹那
ではでは、不肖、深護・刹那、参ります♪
ふむふむ、子供ばかりの村ですか。
一時的に大人がいなくなってるだけならいいのですが…。
色々不穏ではありますが、まずは子供たちの心配を取り除いてあげませんと。
本体がおもちゃの人形なわたくしは、
困ってる子供を放っておけませんの。
存在意義に関わりますので!
というわけで、ここはわたくしにおまかせあれですわ。
錬成カミヤドリで本体を複製してそちらは子供たちの遊び相手に。
その間に持ち込んだ食材(肉とか)でご飯を作りますわね。
子供たちが落ち着いたというか心を開いてくれたら、お話しを年長さんに聞きますわ。
何がありましたの?
お姉さんに教えて…え?
見た目幼くてもお姉さんですので!
「ふむふむ、子供ばかりの村ですか。」
一時的に大人がいなくなっているだけならいいのですが……。と、深護・刹那(花誘う蝶・f03199)は呟く。
村に辿り着いた猟兵たち。村の中は、事前に聞いていたとおり、大人の影は全くなく、比較的小さな子が、外で遊んでいる程度だった。
ルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)は考える。『欲望の先に幻の秘宝』とはどうにもきな臭い。そのうえで、水を糧にするモノがいるというのに、水が周囲にはない。となると……。
「……これは、大人たちが無事でいるかどうか怪しいものだな。」
「色々不穏ではありますが、まずは子供たちの心配を取り除いてあげませんと。」
ルトルファスと刹那は、年長者に声をかけようと考えた。2人はきょろきょろとあたりを見回すと、小さな子供たちが遊んでいるのを見ている少年を見つける。
少年は、優しそうな顔で遊ぶ子供たちをみていたが、2人が近づいてきた気配に顔を上げ、見る。見慣れない顔の2人組に、警戒の色を顕わにした。
「何か、この村に用ですか?」
その声はやや低めに出た。遊んでいた子供も、何事かと集まってくる。
「……俺はルトルファス。冒険者なのだが、大人の人はいるか?」
「大人たちは今手が離せないから、僕が聞くよ。……彼女も僕と同じくらいに見えるけど、冒険者?」
「見た目幼くても、あなたよりはお姉さんですので!」
刹那は背伸びをするように、自分が年上であることをアピールした。少年と同じに見えるが、刹那は26歳である。
冒険者と名乗りはしたが、それでも、少年の警戒心は強かった。逆に、小さな子達は興味があるのか、わらわらと猟兵を囲む。
まずは、波風立てず、子供たちの心を開くところからと考えたルトルファス。得意の精霊術を展開し、風霊を呼び出した。くるくると踊るように風霊が踊れば、そよ風が吹き、子供たちの頬を撫でる。
小さな子供たちは、彼の召喚した精霊に、わっと歓声をあげて、きゃっきゃと遊びだす。年長の彼も驚いたように、小さな子と、精霊と、ルトルファスを順にみる。
「もっとみせて!」
「遅くなるから大人達とまたおいで。」
小さな子のおねだりに、ルトルファスは優しめに答える。大人達という言葉に、少年が少し寂しそうな顔をした。
「大人達は、山に行ったんだ。しばらく帰ってきてない。」
山はあそこ。っと、少年は、森の向こうに見える、岩だらけ山を指差した。
一方、刹那は錬成カミヤドリで自身の本体を複製した。彼女の本体はおもちゃの人形である。複製され、念力で動く人形に、女の子たちの興味をひく。それぞれ、家から、自分の人形を持ち出してくる子もいた。
「こら、よその人にそんなに集まっちゃだめ。」
年がそれなりにある少女が出てきて言う。エプロンをつけていることから、食事の用意をしていたのだろうか。
「大丈夫ですわ。困ってる子供を放っておけませんの。」
存在意義に関わりますので!と言う刹那は、おもちゃの人形のヤドリガミ。少女は困ったような顔をしていた。
「ご飯、作っていたのでしょ?わたくしも手伝いますわ。」
持ち込んだ食材を出すと、少女は驚いた顔をした。
「え、いいんですか?こんなにたくさん……。皆、ずっとご飯満足に食べれていなかったから、ありがたいです。」
彼女は、自宅の台所を使っていいと言ってくれた。台所には、少しのパンと、食べるところがあるのか怪しいくらいな野菜くらいしかなかった。
「何がありましたの?」
「みんな、餓えを何とかするために、生きた宝石を捕まえに、山に行ったきりなの。」
少女は食材を仕分けながらそう言った。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ルカ・クルオーレ
【WIZ】
アドリブ、協力、連携歓迎
子供しかいない村かぁ。
まあ、いきなり行っても警戒されてるだろうしねぇ。
此方から聞き出すよりはその子達だけで喋ってる内容の方が意味が大きそうだよねぇ。
適当にお菓子とか配って、家に持ち帰らせて、そこで喋ってる事を聞こうかな。
飴とか長持ちしそうなのを持って行こうか。
にしても、子供だけ置いてくってのはちょっと…気に入らないねぇ。
他にやりようもあっただろうに。
「やあやあ、君たちにはこれをあげよう。少しはしのげるだろう?」
イーファ・リャナンシー
んー。子供たちが気の毒っていうか…大人はほんとにどこ行っちゃったわけ?
私の場合は小さな体を活かして隠れながら子供たちの会話を盗み聞きすることにするわ
欲深くなった大人のことだもん。どうせ、いい子だからよその人たちに教えちゃいけないよ…とか言っちゃってるはず
余所者がいない時ほど正直なことを言うんじゃないかって思うわ
聞き取りの場合と違って、いつ目的の情報が出てくるのかは分かんないから大変かもだけど頑張るわ
時間毎に収集出来る情報量を増やす意味でも、会話あってこその盗み聞きって意味でも、出来るだけ子供たちがたくさん集まってる場所を選んで潜伏するつもりでいるの
待ってて…私たちが絶対大人たちを連れ戻すから
「子供しかいない村かぁ。」
「んー。子供たちが気の毒っていうか…大人はほんとにどこ行っちゃったわけ?」
そう会話をするのは、ルカ・クルオーレ(ヤドリガミの妖剣士・f18732)とイーファ・リャナンシー(忘都の妖精・f18649)。ルカは手に飴を中心としたお菓子の入った籠を用意していた。イーファはその籠にお菓子と共に入っていた。イーファの小さな体なら、籠の中のお菓子で隠れて、子供たちに会話を盗み聞きしようという作戦だった。
「欲深くなった大人のことだもん。どうせ、いい子だからよその人たちに教えちゃいけないよ…とか言っちゃってるはず。任せて!」
イーファのやる気を感じて、ルカは頷いた。イーファを籠の奥に隠し、そうして子供たちのところへ行く。
近づいていけば、子供たちの会話が聞こえた。
「父さん、遅いなぁ……。生きた宝石をつかまえるのって、大変なのかな。」
「お腹すたいよぉ……。」
ルカは籠から飴を一掴み出す。ゆっくりと子供たちに挨拶をしながら近づく。
「やあやあ、君たちにはこれをあげよう。少しはしのげるだろう?」
お腹がすいている子供たち。口をほんのり開けていたり、飴に目が釘付けだったり。一人の男の子が手を出す。飴を一つ受け取れば、われに続けとばかりに子供たちが群がる。気づけば、イーファとお菓子が入った籠ごともっていかれた。
子供たちは横取りをされたら困ると思ったのか、一つの家に入っていった。ペコペコと頭を下げていた子に、ルカは手を振ってから、一息。
「さて……。」
そっと物音を立てぬように、慎重に、僅かに開いた窓の下に身を隠した。
「知らない人から物を貰ったらダメって……。」
「でも、お菓子なんてずっとずっと食べてないだろ!」
今日の夕飯すらも怪しいのだ。お菓子なんて最高の贅沢だろう。パンがなければ、お菓子もない。
「……母ちゃんたち、いつ帰ってくるんだろうな。」
「大丈夫だよ。もう少ししたら、美味しいパンと、お金をたくさん持ってくるって約束したから。」
「でも、あの山は危ないんでしょ?」
あの山には生きた宝石の他に、欲しがる心、怖がる心、起こる心などを餌とするお化けがいるって。
子供たちは、ルカからもらった飴を食べながら話す。
「俺が強くて、父ちゃん助けられたらなぁ……。父ちゃんすごく頑張ってたのに。」
(あれ……?大人たちは私利私欲に走ったわけじゃないの……?)
籠の中に潜んだイーファが首を傾げていると、その体が暖かく柔らかいものに、むぎゅり。掴まれる。
「きゃぁ!?」
「うわぁぁ!?」
お菓子と共にイーファを掴んだ子供が声をあげ、思わずイーファを放り投げる。
「見つかっちゃったよっ」
イーファは慌てて、窓の隙間を潜り抜ける。
中の様子をうかがっていたルカは咄嗟に逃げてきたイーファをキャッチして、急いでその場を離れた。
「大丈夫だったかい?」
「ええ、な、なんとか。」
ルカとイーファは、村のはずれまで一気に逃げてきて一息。イーファは森の方を見て呟く。
「待ってて…私たちが絶対大人たちを連れ戻すから」
「にしても、子供だけ置いてくってのはちょっと…気に入らないねぇ。」
ルカとイーファはそれぞれの思いをつぶやき、大人達が行ったという、“お化け”のいる山を見た。
成功
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早乙女・翼
まぁ、普通に残された子供達が心配なんだよな、俺としては。
旅の吟遊詩人でも装い、夕暮れ時見計らって村に。
子供しかいないなら、夜は寄り添って一カ所にいるんじゃないのかな。
灯り見えたらそこに。無かったら誰かいませんかと声を上げ。
旅の詩人なんだけど、次の町まで辿り着けなくてさ。
寒い夜空に野宿は辛いし、一晩だけ泊めて欲しい。礼はするよ。
多めに持参した携帯保存食なパンと干肉を提供。
ギターなら弾けるし、これも礼と優しく奏で聴かせる。
君達の話も歌にしたいから聞かせて欲しいな。
穏やかに優しく、警戒心を解くように微笑みかけ。
そういえば、皆の親御さん達は……?
……そうか。大丈夫、みんな無事に戻ってくるさよ。
「まぁ、普通に残された子供達が心配なんだよな、俺としては。」
そう呟いた彼は、持参したギターを担ぎなおす。
オレンジの光が差す。夕暮れの訪れた村に、早乙女・翼(彼岸の柘榴・f15830)は足を踏み入れた。その装いは普段と違って、旅の吟遊詩人そのものだった。子供しかいない村だ。夜遊びをする大人もいないだろう。家の窓から、小さな灯りが漏れている。
翼は、その灯りの内の一つに向かって歩いた。
一息、二息。そうして、ゆっくりと、決して乱暴にならないように扉をノックした。
コンコンと、木が響く。暫くすると、ゆっくりとドアが開かれて、10を過ぎたくらいのがそっと、隙間から顔を覗かせた。
「どちらさま、です、か……?」
「旅の詩人なんだけど、次の町まで辿り着けなくてさ。」
「はぁ……。」
「寒い夜空に野宿は辛いし、一晩だけ泊めて欲しい。礼はするよ。」
「……。」
眠そうにしているその子は、少し考えた後、ゆっくりと扉を開けた。
「……一晩だけ、です、よ。」
翼は優しく、感謝を込めて微笑んだ。
家の中は、ほとんど何もないに等しかった。最低限の木材でできた家具だけだった。
床に敷いた毛布の上に、数人の子供が身を寄せ合っていた。家に招いてくれた子は、水桶の底から、水をすくって、翼に差し出す。
「お水も、す、少しだけ、だから。」
「ありがとう。これ、少しだけど皆で食べるといいさね。」
「……!!」
持っていた包みをその子に渡した。包みを開けた彼は、驚いた。保存に適した固いパンに、干し肉がそこにはたくさんあったのだ。
彼は、その子は、大事に抱きしめて、ペコペコと頭を下げた。それを見た翼は、なんだか、可哀そうとも言えない気持ちになった。
翼は、床に座ると、持ってきたギターを構えた。
「礼をさせてくれないか?」
ギターの弾き語りを始めた。
その音色は、穏やかで、優しくて、母のぬくもりにも似ていた。翼は穏やかに、微笑む。
「そういえば、皆の親御さん達は……?」
「大人は、みんなを、助けるために、山に行ったよ。生きた宝石を、手に入れる、ために、欲望を食べる、お化けを、倒すんだ、って。堕落者には、ならない、みんな、いい大人、だよ。」
「……そうか。大丈夫、みんな無事に戻ってくるさよ。」
成功
🔵🔵🔴
ネージュ・ローラン
【SPD】
大人がいなくなった村ですか……。
きっと子供たちは心細いでしょうね……。
子供たちの中でもしっかりしていそうな子に話を聞いてみましょうか。
警戒されるかもしれませんが、ここは真っ直ぐに向き合った方が良いでしょう。
正直に助けに来たことを伝えます。
その為にはどんな小さな事でも知っていることを教えて欲しいのです。
情報を得られたら、山へ向かう前に子供たちを集めて舞を披露しましょう。
彼らを鼓舞する力強い舞を。
必ず大人達を連れて帰ってきます。
それまでみんなで助け合い、頑張って耐えてください。
大人がいなくなった村……。
「きっと、子供たちは心細いでしょうね……。」
ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)が村を見渡しながら言う。夜が明けた村は、大人がいなくても早起きだった。小さな子も、大きな子も、それぞれに小さくも大きくも仕事を始めていた。ネージュはその中でも、しっかりしていそうな子を探して、ゆっくりと近づいた。
突然話しかけたら、警戒されるかもしれない。でも、きっと、ここは真っ直ぐに向き合った方が良いと思った。
両手に木桶を抱えてフラフラと歩いていた少女が、近づいてきたネージュに気づき、桶を置いた。
「あの、何か用ですか?」
「わたしは、冒険者です。あなた達が、大人がいなくなって困っていると聞きました。」
「え……?」
少女は、まっすぐに目線を合わせて話すネージュを見つめる。ネージュの青い瞳は揺れることなく、まっすぐだった。少女は、その瞳の奥に、嘘偽りがないのが見えたのだろうか。
「……えっと、私たちの村は、見た通り、あまり裕福でなくて。」
裕福でないどころか貧困に染まった村。大人達はそれでも子供たちを守るために、必死に働いて、必死に食料を得ていたようだ。しかし、それはその場しのぎにしかならなかった。
大人達は、そうして、村の近くにある岩山にある言い伝えを信じて、動き出したのだった。
「大人は、私利私欲ではなく、みんなを助ける為に山に行ったのですね?」
「はい。」
岩山には、イービルスピリットと呼ばれる『邪霊』がいて、欲望を食べているらしい。欲望が食い尽くされた人間は、清らかな水の塊になり、それを糧に幻の宝石が育っていると言われている。
「……みんな、いい人だから、欲望になんて負けない、よね。」
少女が震える体を抱きしめる。
それを見たネージュは立ち上がり、精霊の魔力が宿るシルクベールを翻した。
「……わぁ!」
ネージュは、静かに、しかし、煌びやかに大胆に、ベールを風に乗せてステップを踏む。一つ、二つ、踏み込んで、くるりと回り、跳び……。
その力強い鼓舞に、子供たちが寄ってくる。いつの間にかネージュの周りには子供たちが目を輝かせていた。
「必ず大人達を連れて帰ってきます。それまでみんなで助け合い、頑張って耐えてください。」
ネージュの言葉に、子供たちは、大きく頷いて、そうして、手を握りあった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『『邪霊』イービルスピリット』
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POW : 怒りを誘う霊体
【憤怒・憎悪・衝動などの負】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【怒りを増幅させる紅顔の霊体】から、高命中力の【憑依攻撃、及び感情の解放を誘う誘惑】を飛ばす。
SPD : 欲望を促す霊体
【情欲・執着・嫉妬などの負】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【欲望を刺激する黄顔の霊体】から、高命中力の【憑依攻撃、及び感情の解放を誘う誘惑】を飛ばす。
WIZ : 悲しみを広げる霊体
【失望・悲哀・恐怖などの負】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【心の傷を広げる蒼顔の霊体】から、高命中力の【憑依攻撃、及び感情の解放を誘う誘惑】を飛ばす。
👑11
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村での情報を得た猟兵たち。
貧困から逃れようと決した大人達は、村を子供たちに任せて、岩だらけの山に向かった。その山には「欲望の先に幻の秘宝が手に入る」という言い伝えがあった。それは、イービルスピリットが、幻の宝石『宝玉蝶』を狙って入ってきた人間の欲望を食べているということだった。それを乗り越えた者が、宝石を手に入れられる。
村の大人はそれを狙った。しかし、欲望を使われた者は「堕落者」になる。
大人の安否は絶望的かもしれない。そんな予想も建てられたが、村にいても、これ以上物事は進まないと思い、猟兵たちも山を登った。
中腹を過ぎ、山道が更に険しくなってきた頃。
道の脇に、洞穴があった。その奥には、黒い霧の塊のような、言うならお化けともいえる。そんなものがたくさん浮遊していた。
その下には、村の大人の姿があった。
イービルスピリットが、洞穴をのぞいた猟兵に気づく。新たな獲物が来たとばかりに、此方へ向かってきた。やらなければ、やられる……!
星蝕・焉夜
【POW】
「貧困から逃れる為に盗みに走らないだけマシだが
残された者の気持ちを少しは考えて欲しいところだな……」
「とりあえず今は目の前の獲物を狩るとしよう……
起きろ『ミミック』、出番だ……」
『ーーーー!!!』
人格を変えて大型片刃剣Mimicryに鮮血を纏わせて
第六感に見切り、地形を利用したりジャンプやダッシュも駆使しつつ
一気に近付いてただただ蹂躙する様に剣を振るう
『ーー!!』
雄叫びを上げつつ叩き伏せねじ伏せ
確実に息の根を止める様に戦い続ける
アドリブ歓迎
ミミック
戦闘人格でバーサーカー
髪は赤の短髪、瞳は蒼と黄色
イーファ・リャナンシー
大人たちが帰ってこないって…大体こんなことだろうとは思ったけれど
とりあえず、ミイラ取りがミイラっていうのだけは避けたいところね
最初は偵察も兼ねて目立たないように行動するわ
相手のやり口を見ながら対策を考えるの
できるだけ楽しいことを考えることにするわ
なんだかネガティブな反応してる人ほど零体に近づくとどんどんおかしくなっていってるもの
万が一自分が不の感情を抱いちゃった時は、【フェアリー・リング】で相殺するわ
そうやって敵のやり口を無力化しつつ、【全力魔法】で攻撃、余裕さえあれば、仲間や大人の分も霊体の影響を排除できたらって思うの
あんたたちの過去にどんなことがあったかは知らないけど…大人は返してもらうわ
ルトルファス・ルーテルガイト
(※アドリブ、連携歓迎)
…『イービルスピリット』、なるほど…奴らなら合点がいく。
…最初は子供達の為に『宝玉蝶』を取りに行ったのかもしれん、だがこいつらは…些細な欲望であろうと、容赦なく喰らい付くからな。
…気をつけろ、俺達も油断すれば…『堕落者』の仲間入りだ。
(柄だけの剣を構えて)
(WIZ)
…『精霊剣』を使用し、『光の精霊の加護』を得て霊体対策をとる。
…奴等の言葉は重く響くが、耳を傾けず…『覚悟』を決めて接近。
…憑依攻撃は精霊剣で『武器受け』しつつ、その霊体を斬り捨てる。
…焦れば邪霊の思うツボだ、確実に倒してしまえば問題ない。
早乙女・翼
欲望を食い物にしてるってか?
文字通りとでも言うのは……この状況じゃ笑えないさね。
まずは村の大人達の安否が心配だけど。
彼らから出来るだけ引き離して戦いたい。
袖めくり手首より具現化した焔の鎖を敵に撃ち込む。
絡め取って洞窟から引きずり出しでも出来れば良いけど。
浄化の炎は相手が霊体で在っても焼き尽くす。
今回はちょっとオイタじゃ済まないさよ?
囚われた大人達も力がない人達だし、やられても仕方ないなって思いもあってか、昂ぶる程の敵に対する怒りはさほど無い。
むしろこんな邪霊の存在をも哀れにすら思うんだよな。
その御魂が安らかに、骸の海に召されますよう。
大人達が息してるか確認して、次の戦いの前に避難願いたいとこ。
「大人たちが帰ってこないって…大体こんなことだろうとは思ったけれど」
イーファ・リャナンシー(忘都の妖精・f18649)が、洞穴の入り口から顔を少し覗かせて、中の様子を見ながら呟く。小さなフェアリーのイーファ。岩しかない山に、突如と花咲いたような華やかさは、希望の光に見える。
「…『イービルスピリット』、なるほど…奴らなら合点がいく。…最初は子供達の為に『宝玉蝶』を取りに行ったのかもしれん、だがこいつらは…些細な欲望であろうと、容赦なく喰らい付くからな。」
「欲望を食い物にしてるってか?文字通りとでも言うのは……この状況じゃ笑えないさね。」
ルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)は、イービルスピリットの事をよく知っている。奴らの餌も、糧も、その虜になったものの末路も。
早乙女・翼(彼岸の柘榴・f15830)も、血に染まったような赤い翼を小さく畳み、小さな声で様子を窺い、ルトルファスの言葉を聞く。
「貧困から逃れる為に盗みに走らないだけマシだが……。残された者の気持ちを少しは考えて欲しいところだな……」
村に残された子供たちの事を思っての言葉が、星蝕・焉夜(終焉よりランタンを燃やす者・f00030)から零れ落ちる。子供たちは今でも、貧困と戦いながら村を必死に守っていた。
「とりあえず、ミイラ取りがミイラっていうのだけは避けたいところね」
イーファをそう言うと、ゆっくりと静かに音を立てずに、洞穴へと先行する。
洞穴の入り口と比べて、天井は十分な高さがあった。岩が突き出しているが、これはうまく使えば、戦闘を有利に進められるかもしれない。
イービルスピリットの群れに近づく。近づけば近づくほど、空気が重たく、乾いたような感覚を全身で感じる。失望・悲哀・恐怖……。気持ちが重たくなる。連動して体も……。
「ううん、いけない。楽しいことを考えることにするわ!」
奮い立たせる。怖くない。今は、猟兵という仲間が一緒なのだ。
「うぁぁ
……!!」
「それは、私のよっ!私だけのよっ!!」
「お前は、俺のだけだろ!?どうしてあいつを見るんだっ!!」
欲望を吸いつくされて意識を失っている大人もいたが、イービルスピリットにまとわり憑かれて欲望を増徴、吸収されている大人もいた。
大人たちの欲望を吸うことに夢中なイービルスピリットたち。仕掛けるなら、今だ。イーファは、皆に手招きをした。
猟兵達の活躍は、ここからだ!
「…気をつけろ、俺達も油断すれば…『堕落者』の仲間入りだ。」
柄だけの剣を構え、ルトルファスは手近なイービルスピリットに覚悟を決めて接近する。
「…精霊よ…この声に耳を傾け、その力を剣に示せ!」
光の精霊の加護を受けた柄に、暗い欲望を明るく照らすように、眩く輝く光の刀身が形成される。光の剣を構えたルトルファス。悲しみを広げるその攻撃を真っ二つに切り裂く。焦ればイービルスピリットの思うツボだ。しかし、確実に倒してしまえば問題はない。
突進をしてきたイービルスピリットを、精霊剣で受け止め、流し、隙を作る。そうして、体制を崩したところを、切り捨てる。
焦らず、驕らず、冷静にルトルファスは、状況を見極めながらイービルスピリットの数を減らしていった。
「起きろ『ミミック』、出番だ……」
「ーーーー!!!」
握りしめた拳から滴る鮮血を、大型片刃剣Mimicryに纏わせ、焉夜が呟けく。その言葉が終わるか否か。声にならない咆哮を上げ、焉夜の髪は赤く、瞳は蒼と黄色のぎらつきを宿した。
人格を変えた焉夜はバーサーカー。走り、地を蹴り、岩壁を蹴り、斜め方向からの叩き斬りでイービルスピリットを潰せば、そのまま、横なぎ。一気に数体のイービルスピリットを切り裂く。
しかし、その衝動は、負の感情。怒りを誘う霊体が紅い笑いを浮かべる。もっと、もっとだ、もっとその欲望を開放するのだ、と。
「「ケケケケケケ!」」
笑う、嗤う。とても美味だと言わんばかりに、その声が洞穴に木霊する。
「あっちへ行っちゃいなさい!」
その歓喜に笑う霊体を光のゲートが吸い込む。イーファが放ったフェアリー・リングが命中すれば、その衝動を相殺する。全力魔法での攻撃をしつつ、負の感情を相殺し、仲間を援護するためにイーファは飛び回る。
「ーー!!」
その援護を受けた焉夜は、雄叫びをあげ、ただひたすらに、イービルスピリットを叩きねじ伏せ、息の根を止める。
仲間の猟兵達が、イービルスピリットとの交戦を開始している隙をついて、翼は倒れた村の人たちに近づく。
まだ息はあった。しかし、気を失ってぐったりしている。ここから離すには人手が足りない。ならば……
「主よ、罪深き者に裁きと戒めの業火を……!」
村人を背に庇う体制で、翼は、ぐいっと袖をめくり、手首を露出する。その手首から具現化したのは、焔の鎖。その炎は、浄化の炎。霊体であっても焼き尽くす。
翼の動きに気づいたのか、数体のイービルスピリットが音もなく接近。口を大きくあけ、黒い、欲望を歓喜させる空気を吐きだ……そうとしたところを、翼の焔の鎖が、ぐいっと絡めとり、燃やす。
「今回はちょっとオイタじゃ済まないさよ?」
囚われた大人達も力がない人達だし、やられても仕方ないなって思いもある。昂ぶる程の敵に対する怒り……よりは、この邪霊の存在をも哀れにすら思う翼。
「その御魂が安らかに、骸の海に召されますよう。」
イービルスピリットとの戦闘は、猟兵有利で開始された。
成功
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ネージュ・ローラン
欲望を喰らうと言われても、感情を消すのも容易ではありません。
ならばそれ以上の想いをぶつけて払い除けてやりましょう。
正面から向かっていきます。
そこへ欲望を喰らいに寄ってきた邪霊に対して【絶対零度の霊衣】で弾き返そうとします。
うまく弾き返せたなら、すかさず【浄化の護符】を巻きつけた【銀雪の宝杖】を叩きつけてやりましょう。
想いを表現するのがスカイダンサー、そしてわたしは何としても子供達との約束を果たしたいのです。
大人達が無事ならば、隙を見て戦闘に巻き込まれないように運んであげたいですね。
ルカ・クルオーレ
【SPD】
アドリブ、協力、連携歓迎
とにかくさ、減っててもいいから大人を連れ戻さないとあの村どうにもならによね。
そもそも欲望には堕落とか邪悪がくっついてるものだしさ。
そーゆーのがいるなら消すだけじゃない。
「さて、間に合うならラッキーって感じ?」
【錬成カミヤドリ】で【Falce della Morte】をコピーして【なぎ払い】で一掃しようかな。
「ふふ、お前達に出来る事はこのまま消えるだけだよねぇ」
これ以上余計な犠牲を増やさないように、一気に潰しちゃうよ。
欲望を喰らう相手であって、餌になる感情を消すのは、いくら猟兵でも容易くはない。いや、むしろ、様々な出来事や、人々との交流がある猟兵は、また感情が豊かなのかもしれない。だからこそ、とれる戦法は……それ以上の想いをぶつけて払い除けること。
そう思い、想い、たくさんの出会いと、約束を思い出し、ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)はイービルスピリットの真正面に堂々と立つ。
回避も攻撃もする気配のない踊り子に、イービルスピリットがカモを見つけたとばかりに目を光らせる。
「お前……!」
ルカ・クルオーレ(ヤドリガミの妖剣士・f18732)がそれに気づき、声をあげ、駆け寄ろうとした。
悲しみを、失望を、恐怖を、その蒼い笑顔で増幅し、そして、大きく開けた口で食べる喜びに、イービルスピリットが笑い声をあげ、更に接近。
「ケケケケケケ……ケッ!?」
接近し、喰らいつこうとしたイービルスピリットが、驚愕の声をあげた。ネージュが、精霊の魔力を込めたヴェールを素早く翻し、イービルスピリットを弾き飛ばした。絶対零度の霊衣(アプソリュヴォワル)だ。
何もしてこない相手と思ったイービルスピリットが不意を突かれ、動きが止まる。その隙をネージュは逃さない。ヴェールを翻し、回転したとき位に構えていたのは、浄化の護符を巻き付けた銀雪の宝杖。
「えい
……!!!」
回転の勢いそのままに、銀雪の宝杖を叩きつける。想いを、思いを、重さにし、その霊体をたたきつける。
ガツンっ!と、音を立てて、岩だらけの地面に杖があたる。杖の軌跡にいたイービルスピリットは一つも残さず消えていた。
「すご……。」
「想いを表現するのがスカイダンサーです。」
圧倒されたように一連を見ていたルカが一言こぼす。ネージュは、雪原に咲いた花のように綺麗に笑った。
「さて、間に合うならラッキーって感じ?」
負けていられない。
とにもかくにも、あの村に大人を連れ戻さなければならない。全員は厳しいかもしれない。それでも……子供たちが待っている。
ルカは、意識を集中する。錬成カミヤドリ。複製するのは黒鉄製の大鎌【Falce della Morte】。一つ、二つ、三つ……蔦模様の細工が刻まれる。柄についた血のように紅い宝石がきらりと光れば、17本錬成が完了する。念力でルカの周囲に大鎌が浮かぶ。
そもそも欲望には堕落や邪悪がつきもの。ならば、それを食い物にするものを消せば……。
残るイービルスピリットを、錬成した大鎌にそれぞれあてていく。
「ケケケケケケ」
「クケケケケ」
大鎌をそれぞれ振るが、攻撃は軽々と避けられる。まだ、だ。焦ってはいけない。
イービルスピリットがルカの焦りを感じ、それが増えるのを助長するかのように笑い、振られる大鎌をスーッと避ける。
避ける、避ける。……避け続けていたイービルスピリットが、ハッと気づく。
「僕の勝ちだよ。」
笑ったのは、イービルスピリットではなかった。笑ったのは……ルカだ。
「ふふ、お前達に出来る事はこのまま消えるだけだよねぇ」
バラバラに動かした大鎌は、最初からイービルスピリットに当てる為に振っていたわけではない。一か所に集めるように、それでも気づかれぬように、そうして、漸く、一か所にイービルスピリットを集めた。その周囲を、紅い宝石を煌めかせた黒鉄製の大鎌が囲む。
ルカが手を挙げ、振り下ろす。
「クケ
……!!」
Falce della Morteが、イービルスピリットを一斉に薙ぎ払い、そうして、そこには、欲望を食うものはいなくなっていた。
成功
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第3章 ボス戦
『宝玉蝶』
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POW : 育つ宝石
戦闘中に食べた【清らかな水】の量と質に応じて【宝石の輝きが増し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 極彩色の鱗粉
自身が装備する【煌びやかな宝石の粒】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 秘宝の光
【眩い宝石の輝き】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
👑11
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イービルスピリットを一掃した猟兵達。欲望を、負の感情を与えられ、増やされていた大人は、ハッと我に返った。キョロキョロと周りを見て、傍に倒れていた仲間に駆け寄る。
欲望を食われていたものも、戦闘に巻き込まれなかったために、外傷はなく。ただ、今は穏やかに呼吸をして、意識を取り戻すのを待っていた。
猟兵たちも、その場にいる大人を洞穴の外へと誘導する。その数は、村の大人全員ではなかった。約8割だろうか……。
残りの2割を探すために、洞穴に戻る猟兵。奥に進めば、暗さは増した。誰かが持ってきた灯りを頼りに更に奥に進めば……。
キラリと反射する光。それは一定の場所ではなく、ひらりひらりと飛んでいて……。
洞穴の奥。何もないぽっかりと開いたその空間。天井が抜けていて、外の光が入っている。
キラリと光ったその蝶の体は、全て宝石であった。
蝶が花に集うように、宝玉蝶は意識のない人に集っていた。人の体内水分量は大人で65%と言われている。イービルスピリットに欲望を吸われ切った人は、清らかなものだろう。そうして、清らかな水を飲み育つ宝玉蝶。
空間の隅には、干からびた人だったものが横たわっていた。
星蝕・焉夜
【POW】
「イービルスピリットと宝玉蝶は共存関係の様だな……
欲望に囚われた末路は憐れではあるが
人に害するのであれば駆除するだけだ……」
大型両刃剣のTwilightを構えながら鮮血を纏わせて
「頼むぞ、『黄昏』……」
『承知した
友の頼みであれば私の剣を振るおう
私は世界に公平を齎す者也』
宵闇と純白に染まった長髪に金と赤のオッドアイの
調停者の人格へと変わり
地形の利用、第六感、ジャンプや空中戦などを
駆使しつつ他の参加者と連携して
死角から斬り裂き、薙ぎ払い、叩き潰す
『黄昏』の性格は公平、調和
アドリブなど歓迎
イーファ・リャナンシー
宝石蝶…ね。明確な悪意を持った存在なら悪として憎むこともできるんだけど…この子たちも生きてるんだしって思っちゃうのは良くないことなのかしら
ただ、オブリビオンである以上、その存在自体が世界に影響を与えかねないって側面は否定できないし
何より放っておけばまた今回みたいな悲劇が起こりかねないわ
だから私はこの子たちをやっつけることにするわ
宝石蝶同士がお互いに回復しあうとしても、リソースは有限
疲労が限界を超えればこの子たちも回復し続けられなくなるはず
【フェアリーズ・プリマヴェーラ】で呼び出した190人の妖精たちを宝石蝶ごとに均等分配して攻撃にあたらせるわ
私自身は特定の個体を【全力魔法】で攻め立てるつもりよ
ルトルファス・ルーテルガイト
(※アドリブ、他PC連携歓迎)
……アレが「宝石蝶」、大人が求めていた宝石か。
…そして(その近くの干からびた人を見て)、やっぱりか。
…予感はしてた、水のない場所で育つ事自体に何かあると。
…まぁ、邪霊に汚染された水を吸わなかっただけ、幸いと言うしかない。
(精霊剣を構えて)
(WIZ)
…この光、回復能力を持っているな。
…これで回復されたらじり貧だ、この光を遮って回復を止めるか。
…精霊剣で、【闇の精霊の加護】を展開する。
…それで光を遮るようにしながら、まだ水分を吸っている奴から狙う。
…宝石蝶を狩れたら、宝石は大人…いや、子供達にくれてやる。
…金や宝石が欲しくて、此処に来た訳では無いからな。
ネージュ・ローラン
流石に全員無事に救えるほど甘くはないですよね……。
子供たちの顔が頭をよぎりますが立ち止まってはいられません。
さっさとオブリビオンを倒し、その後で手厚く葬り鎮魂の舞を捧げようと決意します。
宝玉蝶と距離をとって対峙し、その動きをよく観察します。
鱗粉を飛ばしてきたなら、その軌道を【見切り】足元の小石を拾い上げて【彼岸駆け】で撃ち墜とそうとします。
そして本体に対しては小石で牽制しつつ本命としてスカートの中に隠した【シークレットダガー】を投げましょう。
他の猟兵に見られるのは少し恥ずかしいです。
「こちらは見ないでくださいね。」
人の命を吸う悪しき宝石は砕け散りなさい!
ルカ・クルオーレ
【SPD】
アドリブ、連携協力歓迎。
「なるほどねぇ…そう言う事か。……消えろ」
気に入らない。あれとこれはそういう共生関係だって事だよねぇ。
こんなの全然綺麗じゃない。見たくない。叩き潰す。
【トリニティ・エンハンス】で風を使い、攻撃力を強化。
【なぎ払い】で全部切ってしまおうか。
【錬成カミヤドリ】で刃を増やして一気に細かくしちゃうのも良いよねぇ。
「…まあ、村全員で欲望に踊らされた代償としてこの程度なら安かったのかもしれないけどねぇ」
ヒトだったモノはどうしようか。持って帰ってあげたほうが良いのかもね。
早乙女・翼
清らかな水求めるのは本能からなんだろうけど。
さっきの邪霊とのコンボは最悪みたいさね。
綺麗なナリして体液吸うのも、まぁ凶悪だけど。
回復に回る蝶から潰そうか。
その輝きを掻き消すようにサーベル掲げて羽翼の結界を展開。
疲労してヘタって来た蝶を花弁と羽根で包み込むよう攻撃。
弱ってきた様子なら、魔剣喚んで確実に叩き割る。
さて、蝶の骸は残るのか消えるのか…。
戦い終えたら村人の亡骸に追悼の祈りを捧げて。
外にいるであろう村人達には結果を伝える。
遺品や遺体はそのまま任せて。
実際に見ればもう無茶はしないだろ。
まずは村への帰還を。
子供達が貴方達を待っている。
あんな良い子達に寂しい思いはもうさせないで、と告げて。
「宝玉蝶…ね。」
倒れた人に集って、水を吸い、そうして更にその体の輝きを増す蝶を見て、イーファ・リャナンシー(忘都の妖精・f18649)が確信を得たように言う。
「……アレが『宝玉蝶』、大人が求めていた宝石か。」
ルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)は、宝玉蝶に集られた人間と、干からびた人間だったものを交互に見る。
欲望を吸われきって、宝玉蝶に体液を吸われている者。両方を吸われて干からびてしまった人を見て、ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)は、悲痛な顔を明らかにする。
「流石に全員無事に救えるほど甘くはないですよね……。」
村で出会った子供たちの顔が頭をよぎる。健気に、必死に村を守って、大人達を待っていた子供たちの事を思うと、辛かった。
「……やっぱりか。…予感はしてた、水のない場所で育つ事自体に何かあると。」
「なるほどねぇ…そう言う事か。」
ルトルファスの言葉と、現状をみて、ルカ・クルオーレ(ヤドリガミの妖剣士・f18732)も腕を組んで、納得したという顔をした。しかし、その表情も一瞬で嫌悪の表情に変わった。
「イービルスピリットと宝玉蝶は共存関係の様だな……」
「清らかな水を求めるのは、本能なんだろうけど。さっきの邪霊とのコンボは最悪さね。」
早乙女・翼(彼岸の柘榴・f15830)と星蝕・焉夜(終焉よりランタンを燃やす者・f00030)は、イービルスピリットと宝玉蝶の関係を理解した。欲望を食べるイービルスピリット。清らかになった人間の水を糧にする宝玉蝶。利害が一致していたのだ。
お互い生きる為に、必要だったのだ。人間も、イービルスピリットも、宝玉蝶も。明確な悪意を持った存在は、いなかった。それぞれ生きていくために必要だったのだ。生きているのだ。宝玉蝶も、イービルスピリットも、人間も。
「明確な悪意を持った存在なら、悪として憎むこともできるんだけど……。」
イーファは複雑な声音と表情をする。この子たち、宝玉蝶も生きているだけなのだ。しかし、オブリビオンである。オブリビオンである以上、その存在は世界に影響を与えかねないのだ。未来を生きる者に、また、この悲劇が起きるのを防ぐためには……。
「私はこの子たちをやっつけることにするわ。」
イーファは覚悟を決めた。その言葉を聞いた焉夜は、頷く。
「欲望に囚われた末路は憐れだ。憐れではあるが、人に害するのであれば駆除するだけだ……。」
「……消えろ」
ルカは、気に入らなかった。このイービルスピリットと宝玉蝶が。こんなものは、全く綺麗ではない。見たくない。その強い嫌悪がルカを突き動かす。叩き潰してやる、と。
子供たちの事を思って、心を痛めていたネージュも決意する。もう、過去には戻れない。ならば……。
「立ち止まってはいられません。」
オブリビオンを倒し、その後、手厚く葬り、そうして、ネージュの得意の舞いで、鎮魂を捧げようと決意した。
猟兵たちは、それぞれに、決意や思いを胸に秘めて、戦闘の準備を開始した。
ルトルファスが刀身のない剣、精霊剣(スピリチュアルソード)を構え願えば、闇の精霊の加護を受ける。暗く、深い黒の刀身が具現化する。
「頼むぞ、『黄昏』……」
「承知した。友の頼みであれば私の剣を振るおう」
大型両刃剣『Twilight』を構え、それに鮮血を纏わせつつ焉夜は、もう一つの人格の名を呼ぶ。調停者の人格、黄昏の人格へと変われば、宵闇と純白を抱いた長髪が靡く。閉じた瞳を開けば、宝玉蝶にも負けず劣らずの赤と金の、オッドアイな瞳が光る。
「私は世界に公平を齎す者也」
改めて大剣を焉夜は構えなおす。
猟兵たちの態勢が整えば、それは戦意という煌めきを空間に与える。宝玉蝶も、新たな来客に、ひらりキラリと羽ばたき、迎える。
他の猟兵達が宝玉蝶へとそれぞれ向かっていく中、ネージュは数歩下がった所で観察していた。宝玉蝶の数は無数である。しかし、未だに清らかな水を吸っている個体、キラリキラリと煌びやかな宝石の鱗粉を飛ばす個体、一段と眩く輝き続ける個体に分かれている。
焉夜が走り、その手に持った『Twilight』を横薙ぎにすれば、数匹の宝玉蝶が壁に叩きつけられる。そのまま、床に堕ち、ぴくぴくとする個体もいた。だが、宝石の体が欠けても、なお羽ばたく個体がある。欠けた個体に光が集えば、その宝石の体が再生される。
「…この光、回復能力を持っているな。」
再生を促す光を放つ宝玉蝶と、再生された宝玉蝶を見て、ルトルファスは呟く。
「…これで回復されたらじり貧だ、この光を遮って回復を止めるか」
ルトルファスは、闇の精霊の加護を受けた精霊剣を構え、展開。秘宝の輝きを放つ宝玉蝶の光を、重い闇で遮る。光を遮られ、回復がされない個体に、トリニティ・エンハンスの風で攻撃力を強化したルカが薙ぎ払いを当てる。壁に叩きつけられ、フラフラとその宝石を宙に維持しているところに、更に、錬成カミヤドリで増やした刃を襲わせる。
カツン、カキン、ピキっと幾本もの刃があたり、弾かれるも、その数で押し切られ、宝玉蝶は砕け散る。
「死天使の羽根と彼岸花、死に逝く者に捧げよう」
翼は、サーベル掲げて羽翼の結界(レクイエム・フィールド)を展開する。深紅の鳥の羽根及び曼珠沙華の花びらが咲き誇り、宝玉蝶を包み込む。回復に専念していた宝玉蝶は、疲弊していて、飛び逃げることが出来ない。その紅い赤い結界に包まれ動けない。
「さて、蝶の骸は残るのか消えるのか…。」
喚んだ魔剣で結界ごと宝玉蝶を叩き斬る。ピキンと高い音を立てれば、その宝石の輝きは砕け散り、地面に転がった。
回復に回っている宝玉蝶を倒すのが先決と思ったのはイーファもだ。宝玉蝶同士での回復も、リソースは有限だ。疲労が限界を超えれば回復は途切れる。
「みんな、ちょっとの間力を貸して」
イーファが呼びかければ、小さな妖精が190人も現れる。ぴしっと指せば、召喚された妖精は均等に宝玉蝶へと着き、攻撃を始める。その攻撃は小さくとも、確実に宝玉蝶を削る。
「えーーーいっ!」
イーファはそうして、弱ってきた個体を、1体ずつ全力の魔法をぶつけていく。
距離を取っていたネージュ。回復に専念している宝玉蝶が次々と仲間に倒されて散っていく中。仲間の猟兵たちへと、宝石の鱗粉を飛ばす個体がいるのに気づく。
コツンと、足元に転がっている小石を蹴り上げ掴む。そうして、ヒュンと音をならし投げる。念力で飛ばされる鱗粉の軌道にカツンと当たる。風精霊の魔力を込めた投擲は彼岸駆け(ラファール・ティル)。小石で牽制しつつ、ネージュはスカートを翻す。
「こちらは見ないでくださいね。」
スカートの中に隠したシークレットダガーを、恥ずかしそうにしつつも、宝玉蝶へと的確に投げる。シークレットダガーは宝玉蝶に深く突き刺さり、また1体、もう1体と宝玉蝶を地面に落としていった。
「人の命を吸う悪しき宝石は砕け散りなさい!」
戦闘は、圧倒的な猟兵有利で進んだ。焉夜が、最後の宝玉蝶を叩き潰す。
「公平と調和を此処に。」
そう黄昏の人格の焉夜が祈るように剣を収めれば、焉夜の髪が元に戻る。
宝玉蝶が舞っていた空間には、もう蝶は飛んでいなかった。残ったのは、地面にくずおれた蝶だったものと、その体から欠け落ちた宝石の欠片だけだった。
暫くすれば、蝶の残骸は光の粒となって、姿を消した。
地面には、少しの小さな宝石の欠片が落ちていた。その欠片の一つをルトルファスは拾う。
「宝石は大人…いや、子供達にくれてやる。」
金や宝石が欲しくて、此処に来た訳では無いからな、と。また一つ二つと拾っていく。
「ヒトだったモノはどうしようか。……持って帰ってあげたほうが良いのかもね。」
ルカは一呼吸して、干からびた人だったものに近づき、少しの祈りを捧げて。
「…まあ、村全員で欲望に踊らされた代償としてこの程度なら安かったのかもしれないけどねぇ」
その呟きは、自分にのみ聞こえるように。
ルカが祈りを捧げていると、翼もその横に立ち、追悼の祈りを捧げ、そうして一度洞窟を出た。外にいるであろう村人たちに結果を伝えに言ったのだ。
子供たちが、貴方達、大人を待っている。あんな良い子たちに寂しい思いをもうさせないで、と。そう告げた翼。
猟兵と、生き残った大人は、山を下った。
彼らがこの後、どう生きていくのかは、また別のお話。
大人が戻った、子供だけだった村。宝玉蝶の煌めきよりも、尊いものが、その村に訪れますように……。
大成功
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