●薔薇の館の主
「忘れたのかな? ここでは私以外のものに祈るなど、許されないことを」
導師フォアローゼスは、赤い唇を動かし、気怠げに言った。
その前に引き立てたれたのは、年若い娘や幼いたちであった。
類まれなる容姿を持っているが、滲み出すものは恐怖、与えるものは絶望でしかない。
「お、お許しください、どうか……」
人外の者である薔薇の吸血鬼からの不興を恐れ、震えるばかり。
吸血鬼教団の幹部であるフォアローゼスの領地では、何かに祈ることやすがることは禁じられている。
フォアローゼスを崇め、恐れることのみが許されている。
「昔、この地に英雄の伝説があったというが、君たちはその英雄譚を語り、あろうことか楽しみ、今の境遇に救いを求めた。これは罪だよ、許されない」
片手で薔薇の花から花弁をむしり取り、弄びながら聞かせる。
おのれに逆らった者たちへ、その末路がどうなるかを暗示して見せている。
罪状が架されえたものなら、すべてはおのれ自身の不明が理由にある。
いかなる責めを与え、残忍に弄ぼうが一切が自分の責任となる、そういう理屈だ。
「所詮、君たちは我らの掌の中でのみ生かされている。永遠の命を生きる我々には、退屈は心を蝕む毒。ゆえに、君たちを使って無聊を慰めなければ、私は退屈で病んでしまう」
人を弄ぶことが、吸血鬼の退屈しのぎだという。
だから絶望に追い込み、禁じられた祈りにすがる者を生贄とするのだ。
為す術もなく、娘も子どもたちも身をこわばらせている。
救いを求めたことこそ、罪。なんということだろうか。
許されるのは、絶望のみというのが彼らの論理。
「では、最後まで祈っていておくれ。禁じれた救いに祈るほどの心を、絶望に染めてゆくくことこそ、私に残った唯一心躍る遊戯なのだから――」
ぱちんと指を流すと、スケルトンたちがさまざまな拷問器具を運び込んできた。錆びつき、血がこびりついている。
思わず、目を背けたくなる禍々しいもの。彼女たちの運命を暗示している。
だが、それでも――。
娘と子どもたちは、希望を求めて祈った。英雄の到来を。
●吸血鬼退治
「おう、みんな。あれが吸血鬼フォアローゼスの館だ」
堂崎・獣明(整備係・f15021)が、一体を見下ろす場所に建てられた館を指出す。
「ここはかつて民衆を救った英雄を讃える祭りがあったんだが、フォアローゼスはそいつを禁じた。その英雄のことを語ったり、この境遇から救う者が現われると信じることは反逆にあたるらしい。今、娘と子どもたちが捕らえられている。英雄のことを語った、それを聞いたっていう罪でな」
語る獣明も、眉をしかめている。
吸血鬼フォアローゼスは残虐な領主だという。
逆らったものは、凄惨な拷問のすえ見せしめに殺されてしまう。
「館は結構な数のスケルトンたちが警備しているが、みんななら手間取ることもないだろう。ここはひとつ、伝説の英雄ってやつになってもらえねえか?」
丹藤武敏
皆様よろしくお願いします、丹藤武敏です。現在『ゲーマーズ・フィールド』誌で「第六猟兵シナリオマスター体験記」という記事を連載中です。戦争イベントにも参加してみます。自分のシナリオに参加していただいた方は、「シナリオマスター体験記」の記事内で取り上げることに同意していただいたものと判断いたしますのでご了承くださいませ。
今回は、ダークセイヴァーでのシナリオに挑戦します。ダークファンタジーの雰囲気漂うリプレイにできればと思います。スケルトンを倒し、退屈しのぎに人をいたぶる悪の吸血領主を倒して人々を救ってください。戦いが終わったら、英雄を讃える祭りを行なう予定です。その英雄は、参加していただいた猟兵になるかもしれません。
では、どーんといらっしゃってください。
第1章 集団戦
『スケルトン』
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POW : 錆びた剣閃
【手に持った武器】が命中した対象を切断する。
SPD : バラバラ分解攻撃
自身が装備する【自分自身のパーツ(骨)】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 骸骨の群れ
自身が戦闘で瀕死になると【新たに複数体のスケルトン】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
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火土金水・明
「なるほど、今回は英雄のことを嫌う吸血鬼が相手ですか。過去に英雄に酷い目にあわされたのでしょうか?。」
【WIZ】で攻撃です。【フェイント】を掛けつつ【先制攻撃】で【高速詠唱】した【属性攻撃】の【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして、『スケルトン』達を纏めて攻撃します。
「スケルトン相手に後れを取る訳にはいきませんね。全力で行かせてもらいます。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
河南・聖
あぁはい、ダークセイヴァーで吸血鬼って言ったらこうですもんね。
知ってました、はい。
まぁ変に救世主とか名乗って一般人洗脳するような異端の神とかに比べればやりやすいと思いましょうか。反吐が出ますけど。
さて、取り急ぎ捕まってる娘さんや子供に迫ってる脅威を排除しなくちゃいけませんね。
アンデッドには炎か聖なる攻撃と昔から相場が決まってます。
【ブレイズドラゴン】で捕まってる人に近い骨から薙ぎ払って、撃ち漏らしは他の人と協力しつつ【プリンセスブルー】と【スノークロス】の二刀で各個撃破。他の人を巻き込まなさそうな状況になったら再度【高速詠唱】で【ブレイズドラゴン】ですね。
※アドリブ・連携歓迎
「なるほど、今回は英雄のことを嫌う吸血鬼が相手ですか。過去に英雄に酷い目にあわされたのでしょうか?」
「でも、ダークセイヴァーで吸血鬼って言ったらこうですもんね。知ってました、はい」
「ダークセイヴァーでは、そういう吸血鬼、多いみたいですね」
「そうですよ。まぁ変に救世主とか名乗って一般人洗脳するような異端の神とかに比べればやりやすいと思いましょうか。反吐が出ますけど」
火土金水・明(人間のウィザード・f01561)と河南・聖(ペガサスナイト・f00831)は、言葉をかわしながら薔薇の吸血鬼の館へとやってきた。
この世界の吸血鬼は、悪辣な領主として君臨し、隷属させた人間たちを自由気ままに支配する。
薔薇の吸血鬼フォアローゼスもそのひとりなのだ。
その館の周囲には、骨のみとなったスケルトンが徘徊し、周囲を警戒している。
――といっても、もはや物言わぬ骸であり、音や気配に反応して動くだけだ。
だからこそ、やりようがある。
一刻も早くこの動く骨どもを排除し、囚われの人々を助け出さなければならない。
「さて、どうします?」
「アンデッドには、炎か聖なる攻撃と昔から相場が決まってます」
「なるほど、まずそちらに任せましょう。炎の魔法と思わせて氷の魔法という、フェイントでいきましょう」
相談によって、方針は決まった。
さっそく、聖が高速詠唱でユーベルコード【ブレイズドラゴン】を発動させる。
スケルトンたちが館に現われた猟兵の存在に気がついたが、もう遅かった。
魔力が紅蓮の竜となって出現する。
そのままスケルトンたちに向かって羽ばたき、まとった火炎が周囲を烈火の炎に包んだ。
「スケルトン相手に後れを取る訳にはいきませんね。全力で行かせてもらいます」
今度は、氷属性を帯びた無数の魔法の矢が降り注ぐ。
まさに雨霰のようだ。
明のユーベルコード【コキュートス・ブリザード】だ。
急激な高温と冷気、この温度差によってスケルトンは粉々に砕けてしまった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
北条・優希斗
連携・アレンジ歓迎
…獣明さんの言う英雄になるつもりはないけれど
救いを求めることこそ罪等と言う輩を放置する謂れもないな
滅ぼさせて貰うよ、フォア・ローゼス
まあ、その前にお前達を永久の眠りにつかせよう、スケルトン
お前達も、救いを求める村人と同じ存在だったのかも知れないからな
先制攻撃+串刺し+傷口を抉る+薙ぎ払い+範囲攻撃UC発動
スケルトン達の機先を削ぐよ
「お前達の生前を俺は知らない。だが…今はただ、安らかに眠れ」
月下美人と蒼月を引き抜いてダッシュ+二回攻撃+範囲攻撃で追撃
敵からの攻撃は見切り+残像+情報収集+戦闘知識で回避
必要ならばオーラ防御で負傷を最小限に
得られた情報があれば、仲間たちと共有するよ
オリヴィア・ローゼンタール
祈ることすら許さない、邪悪な圧制者め……
神に祈る者として、捨て置けません
【トリニティ・エンハンス】【属性攻撃】【破魔】
聖槍に聖なる炎の魔力を纏い、攻撃力を増大
槍よ、炎よ、邪悪の尖兵を焼き払う力をっ!
【怪力】を以って聖槍を縦横無尽に【なぎ払い】、【衝撃波】を起こしてまとめて【吹き飛ばす】
有象無象が――私を止められると思うな!
繰り出される斬撃を強化された【視力】で【見切り】、【聖槍で受け】流して刃筋を立てさせない
体勢を崩したところに、ガントレットによる拳打やグリーブによる蹴撃を見舞う(カウンター・グラップル・踏みつけ)
鈍い……剣の切れ味も、それを振るう使い手の腕も!
(アドリブやアレンジ等OK)
「祈ることすら許さない、邪悪な圧制者め……。神に祈る者として、捨て置けません」
オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は、怒りを燃やしていた。
神に祈る聖職者である彼女にとって、祈ることを罪とする圧政は到底看過できるものではない。
通常は柔和な笑みを称えるシスターだが、時に苛烈な側面も見せる。それは、このような敵に対したときだ。
「救いを求めることこそ罪だと言う輩を放置する謂れもないな。滅ぼさせて貰うよ、フォアローゼス」
それは、北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)も同じであった。
英雄と呼ばれることに興味はないが、心まで縛り付け支配しようとする存在に、憤りを覚えないはずがない。
「槍よ、炎よ、邪悪の尖兵を焼き払う力をっ!」
まずは、オリヴィアから動く。
聖なる槍に青白く燃える炎をまとわせ、スケルトンたちに突き進む。
その怪力は、普段のオリヴィアを知るものからは信じられないものであろう。
「有象無象が――私を止められると思うな!」
思いやりの斬撃で切り払い、砕く。
さらには、ガントレットの拳で打ち砕き、蹴り上げる。
慈悲深きゆえに人々のために怒り、鬼神のごとく振る舞う。
「鈍い……。剣の切れ味も、それを振るう使い手の腕も!」
すでに数十は打ち砕いたが、それでもまだ足りない。
虐げられ、希望と祈りを奪われた人々を救うためには、もっと鋭く、もっと力強くあらねばならぬのだ。
「お前たちの生前を俺は知らない。だが……今はただ、安らかに眠れ」
生前は領民だったかもしれないスケルトンたちを前に優希斗は祈った。
祈りを奪われたものに対し、祈る。
救いを求めながら、その思いを罪と咎められ、骸となっても支配された悲しき者たちのために。
月下美人と蒼月を引き抜き、二刀の構えで斬り結ぶ。
斬っても斬ってもスケルトンは仲間を喚ぶが、それ以上の刀剣を多元世界から呼び出し、さらに上回る数を斬る。
暴風のように荒れ狂うオリヴィア、すばやく駆けながら確実に斬り倒す優希斗。
スケルトンがいくら湧き出そうとも、止められはしない。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携歓迎
僕もダークセイヴァー出身だが
英雄になるつもりは毛頭ない
そんな器じゃないからな
だが、圧政者がオブリビオンなら…僕は全て斬る
己の退屈を紛らわす輩なら、尚更だ
人の命がかかっている以上、ここで時間をかけるわけにはいかない
一刻も早くここを抜けるぞ!
【魂魄解放】発動
過去に黒剣で斬った魂を纏い、高速移動と衝撃波攻撃を可能に
「先制攻撃、2回攻撃、範囲攻撃、鎧砕き」で
複製されたパーツごとまとめて斬り、衝撃波で砕く
砕き損ねたパーツからの攻撃は「視力、見切り」で回避
数が多くて避け損ねた場合は「オーラ防御、武器受け」で受けた上で「カウンター、2回攻撃、鎧砕き」で反撃
インディゴ・クロワッサン
黙ったまま、無言で扉を蹴飛ばして何も言わずに愛用の黒剣:Vergessenを構えて突撃。
黙ってる理由?
僕はね、薔薇の扱いがなってない奴は嫌いでね…!腹が立つんだ…!(【殺気】が駄々漏れ)
【POW】
走りながら、UC:限定降臨・藍薔薇纏ウ吸血鬼 と【怪力】を使用。
すぐさま【力溜め】【鎧無視攻撃】【吹き飛ばし】【鎧砕き】を重複発動させた上で、近づかれる前に愛用の黒剣を振るって【衝撃波】で【先制攻撃】。
スケルトンの攻撃は【第六感】と【残像】と【見切り】を併用して当たらないように回避!
寄ってきたら【カウンター】や【咄嗟の一撃】、【吹き飛ばし】を使用して一定の距離を取って殲滅殲滅!
セシリア・サヴェージ
救いを求めることを禁じ、退屈しのぎに人々を虐げる悪の領主。そのような邪悪な者の存在を認めることなどできません。必ず倒します!
かなりの数のスケルトンですが、邪魔立てするならば蹴散らすまで……領主までの道をあけてもらいます。
【怪力】で暗黒剣を操り、【なぎ払い】でスケルトンたちを【吹き飛ばし】ながら突き進みます。
しかし、数だけは用意したものですね。倒しても倒してもどこからか湧いて出てくる。ならばこちらも助っ人を呼びましょう。
UC【内に潜む獣】で無貌の暗黒騎士を召喚し手分けしてスケルトンの排除にあたります。これならば多少は楽になるかと。
藤原・祐菜
圧政からの反逆っちゅーやっちゃな。手ぇ貸したるさかい。
ゆうても初期装備やからな。やれる範囲でやったるで。
アンデッドには昔から聖属性か炎属性が効くと相場が決まっとる。
まずはフォックスファイアで薙ぎ払うで。距離がある限りはフォックスファイア連打。
距離を詰められたらルーンソードとサムライブレイドの二刀流に武器を切り替えて攻撃。ヒットアンドアウェイに切り替えていくで。
仲間を呼ばれたり、バラバラ攻撃された時はフォックスファイアで迎撃。
とにかく一体でも数減らしていくんやで!
アドリブは歓迎やでー!
「人の命がかかっている以上、ここで時間をかけるわけにはいかない」
館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)が号令とともにスケルトンをなぎ倒し、後続の猟兵たちのために道を切り開いていく。
ユーベルコード【魂魄解放】は、過去にその黒剣で斬った魂を刀身にまとい、その威力を増すというものだ。
高速で駆け抜けると、同時に広範囲に対して衝撃波が放たれる。
スケルトンたちは見事にバラバラに砕けていくものの、元より肉を失い、骨のみの存在となっているアンデッドだ。
砕け散った骨が、今度は鋭い短剣となって降り注ぐ。
「くっ、一刻も早くここを抜けるぞ!」
敬輔はオーラを纏い、黒剣を翻してこれを斬り払う。
「もちろんです。救いを求めることを禁じ、退屈しのぎに人々を虐げる悪の領主……。そのような邪悪な者の存在を認めることなどできません。必ず倒します!」
セシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)も続いた。
正しき闇の力をもって、弱き者を護る――。
彼女には、暗黒騎士としての信念がある。
いかにスケルトンの大軍がいようとも、遅れをとるわけにはいかない。
鍛え上げた腕によって暗黒剣を振るい、薙ぎ払い、吹き飛ばす。
だが、やはり数は多い。
「倒しても倒してもどこからか湧いて出てくる。ならばこちらも助っ人を呼びましょう」
セシリアのユーベルコードは、【内に潜む獣(ダークナイト)】は、無謀の暗黒騎士の霊を召喚するもの。
漆黒の鎧兜の下には、深淵の闇が渦巻いている。
声にならない雄叫びを上げると、スケルトンをその闇の中に飲み込んでいく。
「アンデッドには昔から聖属性か炎属性が効くと相場が決まっとる」
“猛虎弁”という独自の言語を話すのは、藤原・祐菜(黒狐修業中・f18628)である。
身も心も黒狐の美少女が話すとインパクト抜群だが、炎属性を選択するあたり戦況を読む判断もできる。
「圧政からの反逆っちゅーやっちゃな。手ぇ貸したるさかい。ゆうても初期装備やからな。やれる範囲でやったるで」
修行中のみである裕菜だが、猟兵として戦うすべは心得ている。
まずは、ユーベルコード【フォックスファイア】によって二〇個近くの狐火を召喚する。
そこからはヒットアンドアウェイで狐火を操って火葬していく。
いくら燃やしても、次から次へとスケルトンはさらに仲間を呼ぶ。
犠牲を構わず突き進んでくる骨の群れを、ルーンブレイドとサムライブレイドの二刀流でなんとか迎撃する。
「とにかく一体でも数減らしていくんやで!」
猛虎弁、絶好調である。
勝利すれば英雄として祀られるかもしれない。
そうなれは、お稲荷の座もヒーローインタビューも夢ではないのだ。
「………………――――」
一方、インディゴ・クロワッサン(藍染め三日月・f07157)は、無言で突き進んでいた。
愛用の黒剣:Vergessenを構えて、邁進する。
ユーベルコード【限定降臨・藍薔薇纏ウ吸血鬼(テンポーレア・アオフヴァッヘン)】によって藍色の薔薇をまとったヴァンパイアとなって、スケルトンの攻撃を見切っていく。
スケルトンたちは、残像を引くインディゴを捉えることはできず、ただだた幻惑されてしまう。
「僕はね、薔薇の扱いがなってない奴は嫌いでね……! 腹が立つんだ……!」
今、ユーベルコードによって薔薇をまとったヴァンパイアとなったことからもわかるように、薔薇を粗末にするようなオブリビオンを許してはおけないのだ。
インディゴの愛剣、Vergessenの柄の中心にも薔薇の意匠が施してある。
その溢れる殺気は、スケルトンたちはおろか、他の猟兵たちにも伝わっている。
民衆を玩具のように虐げる圧制者であることもそうだが、フォアローゼスはインディゴを怒らせることを十分にしでかしているのだ。
ダン――――!!
インディゴがスケルトンの群れを突破し、薔薇の館の扉を蹴破った。
一拍の間を置いて、扉は重苦しい音を立てて開く。
まるで、猟兵たちを中に誘い込むかのように。
成功
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第2章 ボス戦
『導師・フォアローゼス』
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POW : 薔薇の魔剣
敵を【吸血鬼の魂を喰らう魔剣】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
SPD : 吸血鬼教団の残影
技能名「【吸血】【呪詛】【早業】【残像】【範囲攻撃】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ : 教団の御業・血染の型
【吸血鬼の血で創造した呪詛の薔薇】が命中した対象に対し、高威力高命中の【対象を吸血鬼化して従属させる血の契約】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
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火土金水・明
「あなたが悪の吸血領主ですか。退屈で病んでしまうと言っているようですけど、だったら根本的に消滅したら楽になりますよ。」
【WIZ】
【先制攻撃】で【高速詠唱】した【属性攻撃】の【全力魔法】の【破魔】属性の【サンダーボルト】で『導師・フォアローゼス』を【フェイント】を掛けつつ【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「退屈しのぎで罪のない方々を虐殺しようとする、あなたを絶対に許すことはできません。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
セシリア・サヴェージ
やっとたどり着きましたか……囚われた人がいるならばまずは人々の安全の確保を優先しましょう。
フォアローゼスが人々に危害を加えようとしたならば【先制攻撃】を仕掛けて妨害します。
彼が放つ呪詛の薔薇は【武器受け】で防ぎます。万一防ぎきれなかったとしても私は暗黒の呪いにより他の呪いを受け付けない、一種の【呪詛耐性】があるので多少は抵抗できるでしょう。吸血鬼に従属するなど死んだ方がマシですからね……【気合い】で耐えます。
敵の一手を防いだならばこちらの番です。UC【呪縛の冷気】で敵を氷漬けにして動きを封じます。全身は無理でも足を凍結させ動きを鈍らせるだけで十分です。その隙に暗黒剣で断罪して差し上げましょう。
「やっとたどり着きましたか……」
スケルトンを突破し、薔薇の館に乗り込んだセシリア・サヴェージ。
エントランスを抜けて、主である“導師”フォアローゼスが待ち受ける大広間に向かう。
火土金水・明を始めとする他の猟兵たちも続いた。
「ようこそ、英雄の諸君――」
慇懃な中に、侮蔑的なものが込められている。
優美な姿で待ち受けるフォアローゼスは、優越種たる吸血鬼の矜持と泰然に満ちていた。
あえて英雄と呼ぶのは、恐れではなく支配者として彼らの敗北を見せつけるためだ。
鎖に繋がれた人々の前で希望を手折る、そのときに産み落とされる絶望を愛でることこそが彼の愉悦であり、遊戯である。
「あなたが悪の吸血領主ですか」
「悪か? かもしれん。このまま飽いてしまうと心から腐り落ち、悪の大輪を咲かせるかもしれん」
「そうですか。退屈で病んでしまうと言っているようですけど、だったら根本的に消滅したら楽になりますよ」
戯れの言葉で答えるフォアローゼスに対し、明はさらに諧謔を乗せて答えた。
「それも一興かもしれん。だが、あいにくと我は哀れな定命の者どもと違って不死身。英雄さえ殺しに来てはくれなかったのだ」
自身が上位者であるとの傲慢と自信であった。
「まずは、囚われた人々の安全の確保を優先しましょう」
セシリアは、明に人質の救出を優先すると伝えた。
頷いて合図が返ってくる。
「さて、汝らは我の退屈をどのように慰めてくれるかな?」
言うと、フォアローゼスは剣を抜いてその刀身を握りしめた。
たちまち掌から血が滴り、その血を吸った薔薇が赤黒い花を芽吹かせながら蔦を蛇のようにくねらせる。
「これは
……!?」
「我が血潮を飲んだ呪詛の薔薇だ。血を求めて動き回る。汝らの血もまた啜るかもしれんが、それよりも女子供の方を好むか――」
「貴様……ッ!」
するすると囚われの子どもたちへと向かう薔薇を、セシリアはその剣で薙ぎ払った。
「見事見事、その調子だよ。もっと薔薇で飾ってあげよう」
次々と開花した呪詛の薔薇が咲き乱れる。
――が、稲妻の響きと閃光とともに散っていく。
高速詠唱を終えた明が呪詛の薔薇に向けて【サンダーボルト】を放ったのだ。
「退屈しのぎで罪のない方々を虐殺しようとする……。あなたを絶対に許すことはできません」
「そのとおりだ、この暗黒剣の断罪を受けるがいい――!!」
セシリアの暗黒剣が【呪縛の冷気】を放ち、薔薇を氷漬けにする。
薔薇は砕け散り、その冷たい刀身をフォアローゼスに振り下ろした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
北条・優希斗
連携・アレンジ歓迎
現れたかフォアローゼス
人々の救いを求める想いを砕く悪鬼め
お前を許す道理はない(真の姿発動)
罪の意識を抱きこの場で果てろ
真の姿:UC剣王の瞳参照
…早業・残像の技術はアンタの方が上か
ならば残像ごと纏めてアンタを滅させてもらう
剣王の瞳で動きを読みながら先制攻撃+早業+フェイント+範囲攻撃+薙ぎ払いでUC発動
広範囲の乱舞攻撃を叩き込む
吸血してくるのが剣王の瞳で読めたなら
グラップル+騙し討ち+カウンターで月桂樹で串刺しにする
「肉を切らせて骨を断つってね」
吸血などのダメージ自体は見切り+オーラ防御で最小限に
仲間には声かけを行い、確実に負傷を蓄積させられるように密に連携をとるよ
「おのれ……!」
猟兵の連携によって手傷を追ったフォアローゼスは秀麗な美貌を怒りで歪めた。
傲慢がゆえに油断したのか? 否、猟兵たちの力が彼の力を上回ったのだ。
「人々の救いを求める想いを砕く悪鬼め! お前を許す道理はない――」
北条・優希斗の鋭い言葉が大広間に響く。
同時に、その瞳が変容を始める。
「もしや、その瞳は剣王の瞳
……!!」
薔薇の吸血鬼が、優希斗の瞳が蒼穹の光を放つと瞠目した。
それは未来を見通すという剣王の瞳――。
「英雄しかもちえないというその瞳を、何故汝がごとき者が!?」
「知るか、罪の意識を抱きこの場で果てろ」
「ま、まやかしだ、そんなものは。我を謀って恐れを抱かせたことを悔いるがいい」
言って、フォアローゼスが紫電の速さで瞬発した。
その姿が残像を引き、幾人にも分裂する。
「それが剣王の瞳がというのなら、この動きを見切ってみるがいい!」
「疾さはあんたのほうが上か。いいだろう」
剣王の瞳が、フォアローゼスの姿を、いや未来を捉えた。
幻惑し、優希斗の首筋を牙で狙う――そう読んだ。
未来の可能性という軌跡すべてに月桂樹と名付けられた漆黒の短剣を、あらかじめ串刺しにし、隙を見せて踏み込んでくるのを誘う。
数秒ののち、剣王の瞳が読んだとおりの光景が再現された。
「わ、我の攻撃を、すべて読んだうえで……」
「肉を斬らせて骨を断つってね。退屈しないですんだだろう?」
大成功
🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
吸血鬼の魂を喰らう剣……
何故、そのような物を……いえ、生前が如何なるものであろうと、オブリビオンと化したのならば是非もなし
【血統覚醒】で吸血鬼を狩る吸血鬼と化し戦闘力を増大
【属性攻撃】【破魔】で槍に聖なる炎を纏う
吸血鬼の血が流れるこの身が、英雄たるなどとは思いはしない
だが、それで勇気付けられる人がいるならば、敢えて僭称しよう!
我こそは邪悪を討つ英雄であると!
豊富な【戦闘知識】と強化された【視力】により相手の刀圏を【見切り】、槍のリーチを活かす
【怪力】を以って聖槍を縦横無尽に振るい、剣ごと叩き潰す勢いで打ち据える!
この身は元より半吸血鬼、呪詛など効かない!(呪詛耐性)
(アドリブやアレンジ等OK)
インディゴ・クロワッサン
アドリブ連携大歓迎~
【POW】
魂を喰らう魔剣だろうが関係ないね。
「キミは薔薇を粗末に扱った」
UC:完全覚醒・藍薔薇纏ウ吸血鬼 を使用して、二対四翼を生やした真の姿を更に強化。
「理由なんてそれだけで十分だよ」
相変わらず【殺気】漏らしたまま、藍薔薇の旋風を纏って、愛用の黒剣を構えて突撃だー!
表情は変えないまま、【怪力】【鎧砕き】【鎧無視攻撃】を重複発動させた大降りの【範囲攻撃】で意図的に敵の攻撃を誘導して、魔剣の攻撃は【第六感】で察知して【見切り】と【残像】で回避!
【早業】で背後に回り込んで【吸血】と【生命力吸収】するのが目的なのさ
「うん、悪くないね。薔薇の香りもするし…飲み干したくなっちゃうね」
河南・聖
さて、問題の吸血鬼ですね。
正直、わざわざ過去から舞い戻ってきておいて「退屈で病んでしまう」とか「じゃあ戻ってこなければ良かったのに」って感じなんですけど、まぁ本人の意思とか関係ないでしょうしね。
せいぜい最後に私たちで退屈を紛らわせばいいですよ。心は躍らないと思いますけどね。
さて、前回と同じでアレですけど、今回も【ブラストドラゴン】で。
周りの薔薇もろとも焼き尽くす勢いでいきましょう。
「たかだか吸血鬼に人の罪だのなんだのと決められる筋合い無いですよ。」
「直接的な行動どころか、祈りすら罪だという。そんな理不尽ごと、この炎で焼き尽くしてあげます!」
※連携・アドリブ歓迎
館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携歓迎
英雄のことを語るだけで反逆扱いとは
ずいぶん自分勝手な理屈だな、フォアローゼス
…殺されたいなら、今ここで殺してやるよ
まだ人質が残っているようなら、人質への攻撃は「かばう、武器受け、オーラ防御、呪詛耐性」で黒剣で受けつつ耐えてから「カウンター、吹き飛ばし」で人質から遠ざける
その上で「退屈を紛らわせたいなら死ぬまでたっぷり付き合ってやる」と「殺気、挑発」で引き付け
人質がいなくなったら【魂魄解放】発動
黒剣を横に薙ぎ、衝撃波で他者に向かう呪詛の薔薇を砕きつつ残像で回避されるのも防ぎながら
「2回攻撃、範囲攻撃、なぎ払い、マヒ攻撃、鎧砕き」攻撃
敵の攻撃は黒剣で受けつつカウンター
「ぐ、お、おのれ……! よくも、我をここまで」
よろよろと、フォアローゼスはよろめいた。
英雄などこないと残酷な事実を見せつけ、領民の心を支配するつもりであった。
だが、その目論見が覆されようとしている。
「正直、わざわざ過去から舞い戻ってきておいて『退屈で病んでしまう』とか『じゃあ戻ってこなければ良かったのに』って感じなんですけど」
辛辣である。
言葉の主である河南・聖は、まだ14歳。
天真爛漫ゆえ余計なことを斟酌せず、ズバリと言い放って核心を突くのだ。
「割れに向かってよくも無礼な言を放ったな小娘! 虚仮にしおって。いいだろう、ならば見せてやる、うぬらがなんの救いにもならぬということを!」
フォアローゼスが、その剣を構えた。
それは、薔薇をまとった魔剣――。
「うぬらが悪いのだ、我にこの薔薇の魔剣を取らせたことを後悔するがいい。この魔剣は、数多の吸血鬼の血と魂を啜って我が手にある。啜った血と魂の分だけ強くなる」
「吸血鬼の魂を喰らう剣……? 何故、そのような物を……」
オリヴィア・ローゼンタールは思わず声を上げずにはいられなかった。
吸血鬼を倒す魔剣を、吸血鬼が持っているのだから。
「フォアローゼスは、かつて吸血鬼殺しの英雄だったんです――」
人質にされた娘が、その真相を告げる。
「どいういうことですか?」
「吸血鬼を狩るハンターだったのですが、いつしか血を吸う衝動に蝕まれ、身も心も吸血鬼に……」
フォアローゼスもまた、吸血鬼を狩る者であった。
「人の側につくダンピールどもがいずれ我が前に現れるであろうと思っていた。だからこその我が薔薇の魔剣よ」
その魔剣からは、赤い薔薇が咲き、茨の蔓がフォアローゼスに絡みつく。
薔薇の呪詛によって、かつての英雄も吸血種に成り下がったのだ。
「生前が如何なるものであろうと、オブリビオンと化したのならば是非もなし」
オリヴィアは覚悟を決めた。
呪われし薔薇とその吸血鬼であるならば、彼女もまたダンピール。
元より、呪詛は効かない。その魂を食らう魔剣を交わし、聖槍で打ち返す。
刃と槍がぶつかりあい、晩鐘のごとく響いて館を揺るがした。
「ほう、大した馬鹿力だ。その力の源である血潮も吸い尽くしてくれよう」
「吸血鬼の血が流れるこの身が、英雄たるなどとは思いはしない。だが、それで勇気付けられる人がいるならば、敢えて僭称しよう! 我こそは邪悪を討つ英雄であると――!」
ぎりりと奥歯を噛み締め、オリヴィアは凄まじい膂力でフォアローゼスを押し返した。
「そうとも、魂を喰らう魔剣だろうが関係ないね」
「む? もしや、うぬも……」
インディゴ・クロワッサンもまた、ダンピールである。
「キミは薔薇を粗末に扱った――」
【完全覚醒・藍薔薇纏ウ吸血鬼】――。
その姿が、二対四翼を生やした真の姿となる。
「理由なんてそれだけで十分だよ」
表情は変わらぬ。
だが、殺気は溢れ、藍薔薇の旋風を纏って黒剣を構える。
「そうか。汝も我と同じく怪物か」
「うん、悪くないね。薔薇の香りもするし…飲み干したくなっちゃうね」
残忍な微笑みもまた、インディゴの真の姿のひとつ。
そしてまた、咎人殺しの業を持つのだ。
「英雄のことを語るだけで反逆扱いとは、ずいぶん自分勝手な理屈だな、フォアローゼス」
人質たちに迫っていた吸血の茨を払い除けながら、館野・敬輔も歩み寄る。
「黙れ! こやつらには怯え、震えることしか許しておらぬ!」
「……そうかい。退屈を紛らわせたいなら、死ぬまでたっぷり付き合ってやる!」
身に迫る呪詛の薔薇を砕きつつ、残像によってかわしていく。
迫る薔薇の魔剣に、カウンターを取ってフォアローゼスを弾き飛ばした。
聖邪を問わねば、敬輔の黒剣が食らった魂の数は薔薇の魔剣を上回るだろう。
「そうです! 吸血鬼に人の罪だのなんだのと決められる筋合い無いですよ」
動揺するフォアローゼスに、ビシッと聖が指差した。
「馬鹿な、我が、これほどまでに、人間風情が我を裁く気か……!」
「直接的な行動どころか、祈りすら罪だという。そんな理不尽ごと、この炎で焼き尽くしてあげます!」
猟兵たちの猛攻とともに、聖の【ブレイズドラゴン】の炎が、呪詛の薔薇ごとフォアローゼスを焼き払う。
「があぁああああぁああああああぁぁ――っ!?」
かつては英雄であったという吸血鬼の断末魔が響いた。
焔炎の中で不朽を誇った身体が崩れ落ち、呪われし魂ごと灰に帰したのである。
大成功
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第3章 日常
『失われた祭事の復活』
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POW : 櫓を建てる、祭りの資材を運ぶなど
SPD : 祭りの準備をする、料理を作るなど
WIZ : 祭りの企画をする、出し物を考えるなど
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「ありがとうございます、皆さんのおかげでこの地も救われました」
フォアローゼスの恐怖から解放された娘と子どもたちが、猟兵たちに礼を言う。
禁じられた祈り、失われた希望――。
ようやく、それが戻ってくる。
「ささやかなお祭りをいたします。あなた方こそ、英雄です。どうか、わたしたちに語り継がせてください。この後、どんなに苦しいことがあっても、子どもたちが希望を失わず生きていくために」
藤原・祐菜
アカン、華麗な活躍を!と思いながらスケルトン蹴散らしてたらいつの間に元締めしばかれて終わってもーたやと!?なんたる失態や!?まだまだ修行が足りへんわ。
とりあえず住民無事やったし良かった良かった。
活躍できなかった分、荷車借りて祭りの準備の手伝いするかな。
隙あらばこの功績で稲荷神社の建立を目論んでおくで。あの赤ベコのように!赤ベコのように働いて働きまくるんや!!
猟兵の有り余る体力とトリニティエンハンスで強化して荷物運びするんやで!!
ウチを崇めろー!!
「アカン、華麗な活躍を! ……と思いながらスケルトン蹴散らしてたらいつの間に元締めしばかれて終わってもーたやと!?」
館から出てきた猟兵たちと人質として囚われた子どもたちがやってくると、藤原・祐菜は頓狂な声を上げてしまった。
「やれる範囲で」ということで炎属性で蹴散らしていくうちに、いつの間にかスケルトン退治にノリノリになってしまっていたのである。
「なんたる失態や!? まだまだ修行が足りへんわ……」
落ち込む祐菜であったが、住民たちが無事出会ったのは何よりであり、気持ちを切り替えた。
「お祭りなんやろ? よっしゃ、ウチも手伝ってやるさかい」
「ありがとうございます、狐さん! あなたたちのおかげです。さっそく、お祭りの準備をいたしますから」
「任せや!」
言うやいなや、祐菜は荷車を借りて次第を集める。
狙いは、稲荷神社の建立である。
赤い鳥居に社殿、さっそく【トリニティエンハンス】を応用して組み上げる。
「あの赤ベコのように! 赤ベコのように働いて働きまくるんや!!」
地域のお稲荷として定着させるべく、有り余る体力で猛然と働いた。
子どもたちも、その様子が面白いのか「狐のねーちゃん頑張れー!」と囃し立てる。
何かを言われる前に社を建てれればこっちのもの――。
いや、誰からも文句はないのだが、祐菜はそう思って社を組み立てる。
お立ち台的な台座も用意する。
「てきたで! さあ、ウチを崇めろー!!」
祐菜が台座に飛び乗ると、子どもたちから拍手が沸き上がった。
成功
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インディゴ・クロワッサン
アドリブ連携大歓迎~
英雄とか言われるの、何かむず痒いなー
「お祭りに出る気は無いけど…ま、いいか」
僕の怒りは発散できた訳だし
【SPD】
…UC:無限収納 から、他の世界で買った食材を取り出して、まぁ、今日ぐらいは、ね?
【料理】でもしちゃおうかな
「って言うかお肉食べてるー?」
まずはUDCアース産の牛と豚と鶏を、全部ひと口サイズにカット。
「主食…なんだっけ?」
三種類を一つずつ、ぷすぷすっと竹串に刺して(【串刺し】)、シンプルに塩と胡椒で味付け。
「(お米…はないかぁ)」
後は、中まで火が通るようにじっくりと焼いて…
はい。お祭り限定の、お肉三種串の完成~
…すぐ無くなりそうだなぁ…
ちょっと仕入れ行ってきまーす
野外の宴会場には、思った以上に豪華な料理が並べられている。
娘曰く、フォアローゼスの食料庫から食材を持ち出して料理したものだそうだ。
吸血鬼だが、血を糧とする他に楽しみとして食事を摂り、飢えた人々に見せつけるために搾取していたものらしい。
「もともとわたしたちが働いて収めた分なのですから、取り返すのは当然です」
娘も、ちょっと鼻息荒く言う。このたくましさなら心配ないだろう。
「お祭りに出る気は無いけど……ま、いいか」
「そんなこと言わずに、どうか遠慮なく英雄様」
むず痒い思いをしているインディゴの手を、子どもたちと半ば強引に引いて宴席につかせた。
「って言うかお肉食べてるー?」
そう、戦いのあとは肉! インディゴとしては脂滴るジューシーな肉がほしい。
並んだ皿には肉が足りなかった。
【無限収納(インベントリ)】から取り出したのは、UDCアース産の牛、豚、鶏である。
あっという間に一口大に切って串を通し、シンプルに塩と胡椒で味をつける。
起した火でじっくり炙ると、やがてじゅわあっと肉汁が滲み、ぽたりぽたりと火に落ちる。落ちた肉汁が焦げて、食欲を刺激する匂いと煙が漂い始める。
(お米……はないかぁ)
あったら、タレにつけてかぶりつけたのちに掻き込めたと思うと実に惜しい。
お祭り限定の、お肉三種串に子どもたちも釘付けである。
成功
🔵🔵🔴
オリヴィア・ローゼンタール
なんとか撃破することができましたね
それにしても、勢いとはいえ我ながらこの程度の武で英雄を僭称するとは大言壮語も過ぎますね……
しかしそう名乗ったからにはそれらしく振る舞いましょう
子供たちの前で聖槍を振るい、派手に力強く見得を切って精一杯格好つけます
(存在感・パフォーマンス・鼓舞)
【偽槍展開】で刃を潰した複製の槍を作り出し、子供たちに持たせてあげましょう
英雄ごっこで遊んであげます
【視力】【情報収集】で余さず見守り、事故が起きる前に【念動力】で複製槍を制御
(アドリブ・アレンジ等OK)
北条・優希斗
アドリブ・連携歓迎
SPD
(フォアローゼスの言葉を思い出し)…この瞳が『英雄』しか持ち得ない瞳、か
…まあ、それは今考えても仕方の無いことだ
ただこの事を村人達も知っているならば、村の子供達の希望を失わせない為にもせめて此処を去るまでは英雄と言う仮面を被り続ける事に迷いは無い
情報収集やコミュ力で祭の内容について聞いて準備の手伝いをするよ
先の戦いで怪我をした人がいれば応急処置や医術で処置
もしUCで祭の準備中に怪我をする人等が分かればその人を守り救う様にするよ
「俺は裏方の方が好きですし、それに子供達にも影の英雄もいる事を知って欲しいんです。英雄はなろうと思えば誰にでもなれると子供達と言う事と共にね」
館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携歓迎
料理を振る舞うなら
この世界の食材を使って作れる料理かな
(ダークセイヴァー出身)
僕は自分のことを英雄だなんて思っていないから
ここは裏方に回るな
村人たちにも英気を養ってほしいしな
村から適当に食材を調達したけど
量があるのはジャガイモくらいか
でもじゃがいもを千切りにして小麦粉とスパイスを混ぜて
熱した鉄板の上で丸く広げてカリカリになるまで焼けば
じゃがいものガレットの出来上がり
この料理、あまり見たことがないんじゃないかな?
この村の人たちは、英雄譚の存在を心の拠り所にして生きてきた
でも、拠り所すらない村や地域も…数多くある
だから、僕らの活動が少しでも心の支えになれば…それでいい
河南・聖
いやいや、私14の小娘ですよ。
英雄なんて柄じゃないです。
でもそれはそれとしてお祭りは好きなのでお手伝いしますね。
食材集めに荷物運び、料理でも何でも言ってください。
普段から剣だの槍だの持ち歩いてるので、こう見えて筋力体力には自信ありますし、家事も一通りできますから。
※アドリブ・交流歓迎
「さ、そちらの皆様も」
娘と子どもたちは、英雄である猟兵たちを囲んで宴の中に入ってもらおうと手を引いた。
「いやいや、私14の小娘ですよ。英雄なんて柄じゃないです」
遠慮する河南・聖だったが、子どもたちもにこにこしながら手を引っ張る。
「でもそれはそれとしてお祭りは好きなのでお手伝いしますね」
「そうだな。僕も自分のことを英雄だなんて思っていないから、裏方に回るな」
館野・敬輔も同様の状況だったが、せっかくの祭りに水を指すのもよくないと、裏方に回って料理を作る。
ダークセイヴァーの出身である敬輔は、住民たちの口に合う食材と料理について、覚えがあった。
子どもたちと聖に頼んで、倉庫からジャガイモと小麦粉を取ってきてもらう。
それを千切りにして小麦粉とスパイスを加えて、カリカリになるまで丸く整え、鉄板の上で焼き上げる。
ジャガイモのガレットのできあがりだ。
できあがったものを、宴席まで運んでいく。
「シスターのお姉さん。あの槍捌き、僕にも教えてください!」
「僕も僕も! すごかったよな! なんであんなに力強いの?」
一方、オリヴィア・ローゼンタールは目を輝かせた少年たちから熱烈に教えを請われていた。
暴虐な薔薇の吸血鬼を聖女ともなれば、憧れるには十分すぎるであろう。
まさに英雄を見つめる視線である。
(それにしても、勢いとはいえ我ながらこの程度の武で英雄を僭称するとは大言壮語も過ぎますね……)
内心で思いながらも、名乗った以上は最後まで演じようと心に決めたオリヴィアである。
「では、まずはこれを持ってみてください」
【偽槍展開】で、刃を潰した複製の槍を作り出し、子どもたちに持たせる。
「これをこうして、こう! ……です」
「おおおおおお~!」
模造のやりをぶんぶん振り回す聖槍のクルースニクの姿を、いちいち感心しながら子どもたちは真似る。
武術の鍛錬というには、あまりに他愛ないごっこ遊びだが、子どもたちの顔に浮かぶ希望は、明日を迎える力になると確信した。
「じゃあ、あたしオリヴィアさんの役やるー!」
「それなら俺、【剣王の瞳】とっぴー!!」
「お狐さんやるー! 『ほないくでー!』」
女の子たちも混ざり、英雄ごっこは賑やかで大掛かりなものになっていった。
その様子を、北条・優希斗は祭りの支度を手伝いながら見守っていた。
(……この瞳が『英雄』しか持ち得ない瞳、か)
戦いの中で吸血鬼フォアローゼスが放った言葉、その意味に思いを巡らせた。
だが、今は考えても仕方のないことである。
英雄が必要だというのなら、純真に輝く子どもたちから希望を失わせないためにも、英雄という仮面をかぶり続けることに迷いはない。
少なからず怪我人もいる、優希斗が応急手当で対応する。
そのうちの一人の少年が、しょげかえっている。
「どうしたんだい?」
「僕、身体も弱いし、どんくさいから。剣王の瞳みたいな力もないし……英雄にはなれないのかな?」
「そんなことはないさ――」
その子の手当を終えると、ぽんと頭に手を置いた。
優しげに微笑む。
「本当は、俺は裏方の方が好きなんだよ。そういう影の英雄もいる事を知って欲しいな。それに、英雄はなろうと思えば誰にでもなれるんだよ」
「ほ、本当!?」
「本当さ。じゃあ、一緒にオリヴィアさんのところで戦い方を教えてもらおう」
祭りは、賑やかに夜を通して続く。
ぱっと明るい笑顔を浮かべた少年のことを微笑ましく思うと、英雄ごっこの輪の中へ入れてもらう。
「ほらほら、そっちのお姉ちゃんも! お兄ちゃんも」
「ええっ? だから柄じゃないですよー」
いつの間にか、聖も敬輔も手を引き彼その輪の中に招かれた。
「いいじゃないか。この村の人たちは、英雄譚の存在を心の拠り所にして生きてきた。でも、拠り所すらない村や地域も……数多くある」
戦いは終わった。だが、ダークセイヴァーという世界には、まだまだ同じ境遇の人々がいる。
そしてまた、猟兵たちは別の世界に渡り、オブリビオンと戦うことになる。
「だから、僕らの活動が少しでも心の支えになれば……それでいい」
成功
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最終結果:成功
完成日:2019年05月31日
宿敵
『導師・フォアローゼス』
を撃破!
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