守るべき民を襲う刃
かつて、吸血鬼に抗った伯爵令嬢がいた。
配下の騎士、それも女性の騎士を率い、憎き相手を滅ぼすことができたという。
……しかし、狡猾な吸血鬼は、自身の血と死骸を使って呪いをかけたという。
伯爵令嬢、女騎士……そのすべての五感を狂わせ、人を吸血鬼だと思わせるというものだった。
彼女たちにとって、かつての守るべき村は、吸血鬼の巣に見えてしまった。
そんな彼女らの事を伝えられ、村の者たちは武器を手にとる。
かつて、自分たちのために戦った者に、滅ぼされぬために。
……吸血鬼に抗えるだけの力を持つ精鋭と、残された村人。
彼らがどうなるかは、火を見るよりも明らかだった……。
「あ、あの……集まってくれて、ありがとうございます。」
猟兵達を前に、影山は深々と頭を下げてから説明に入った。
「今、ダークセイヴァーの一つの村が、その……滅ぼされようと、しています。
襲い掛かるのは、その村を守ろうと、吸血鬼討伐に出た人達……なんです。
吸血鬼に呪いをかけられて、その人達には、人が吸血鬼に見えちゃうんです。」
ぽつりぽつりと語る影山。
「それで、なんですが……あの、その人達が、そういう状態で帰ってくることを、村の人が知っちゃったんです。
今、村の人達が武器を持って、迎え撃つ気でいるんです。
……だからお願いです、皆さんでまず、村の人を説得してください。
吸血鬼を退治できるだけの人達なんです、そんな人に……勝てるわけ、ないんです。」
声に籠っているのは諦念。
放っておけば必ず滅びる、という事態を予見したものの呟き。
「なので……最初にやることは、説得です。
皆さんの力を見せたり、どうやっても勝てないって教えたりして、諦めさせてください。
まだ、敵になった人達が来るまで、その……時間はあるんです。
それまでにどうか、お願いします!」
改めて深々と頭を下げてから、ゲートを開く。
猟兵達の視界に、松明と武器……農具と言ってもいいような物を手に取った、村人たちの姿が見えた。
ヨグ
ヨグです、今回もよろしくお願いします。
かつて守るべき者たちへ向いた、騎士の魂の浄化が今回の任務です。
第1章 冒険
『そのままでは実らぬ抵抗』
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POW : 実力を見せつけるなどで説得する
SPD : 村人に不足する要素を指摘するなどで説得する
WIZ : 代替案を考えるなどで説得する
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ウォーヘッド・ラムダ
【POW】実力を見せつけるなどで説得する
彼らに不足する部分を指摘して、穏便に事を済ませるのもいいのだが。
それよりも圧倒的な実力を見せつけて、自らが無力である事を分からせる必要がある。
だがこれは戦争ではない。
村人を殺す必要はないのだ。
当然狙いは外さねばならない。
移動は装備『ダッシュブースター』『フライトブースター』と、技能『ダッシュ』『ジャンプ』での行動。
戦闘する場合は、装備『ASM-7』と、UC『対重装甲用サブマシンガン』での威嚇射撃。死亡させてはならない。
村人の攻撃は装備『重厚シールド』と『アサルトヴェール』で防ぐ。
自分の持っている武器が如何に無力であるかも見せる必要がある。
エレニア・ファンタージェン
「あら皆様お揃いで、これは頼もしい。…吸血鬼狩だとか?」
誘惑するように友好的に語りかけ、敵意を解く
彼らの決意を褒めながら武器を見せるよう乞い、眉を潜めて
「この武器では心もとないわ」
自身の武器…魔力で隠していたギロチンの刃や鉄の乙女、審問椅子等存在感のある拷問具を顕現させて見比べさせて
「エリィが持っている位だから、敵もこれ位持っているでしょう。皆様が幾ら強くても、これでは不利だと思うの」
声音に催眠術をのせ、言いくるめるように語りかける
「でもエリィ、皆様の勇気に心を打たれたみたい。だから代わりに行かせてくれないかしら?
エリィ達が戦ってダメなら、皆様は尚戦っても逃げても構わない。どうかしら?」
村の外れ、外へ続く道の途中に集まる村人の一団がいた。
「あら皆様お揃いで、これは頼もしい。」
松明と鍬、斧、槌……中には、ただの棒まである。
そして何より、まともに戦った経験もない村人たちにとって、エレニア・ファンタージェン(幻想パヴァーヌ・f11289)からかけられた言葉は、耳を疑う物であった。
「……吸血鬼狩だとか?」
「ち、違う……吸血鬼ではないんだ。」
「お嬢さん、ここは危ないから離れたほうがいい。」
口々に離れるように言うが、よく見ると村人たちの足元が震えているのが見て取れた。
「……失礼、遅くなった。本機はこれより作戦に入る。」
そこへ現れた、巨大な戦闘用ウォーマシンのウォーヘッド・ラムダ(強襲用試作実験機・f18372)。
村人には鎧と盾をまとった巨漢に見えているが、彼の持つ武器と自身の持つものとを比べてしまっていた。
「ところで、あなた方はこのような場所にいては危険では?」
歯に衣着せぬ言葉に、村人たちが一斉にざわめいた。
「そ、そんなことは解ってる!」
「そうだ、それに……黙ってても死ぬだけなんだ!」
騒ぐ村人たちだったが、武器を持って殴りかかってくる様子はなかった。
「……話にならんな。」
言うなり、ラムダは背中のグレネードカノンを近くの森へ向けて放つ。
ドン! ……その発射音に、村人たちは一瞬で黙ってしまった。
「あなた方には、戦えるだけの力があるとは思えない。」
「……そうね、残念だけど。その武器では心もとないわ。」
エレノアも言葉をつづけ、自身の持つ武器を見せる。
魔力で隠していたギロチンの刃や鉄の乙女、審問椅子などの拷問具……。
芸術品のごとく手入れをされ、軋むことすらなく動くそれを見せながら、
「エリィが持っている位だから、敵もこれ位持っているでしょう。皆様が幾ら強くても、これでは不利だと思うの。」
「わ、解ってるのさ……。」
「あの方たちに勝てるなんて思っちゃ……いない。」
うつむきながら口々に呟く村人。
その様子を見渡し、エレノアは警戒心を解かせるような微笑みを浮かべ、
「……でもエリィ、敵わないと知っていても抗うという、皆様の勇気に心を打たれたみたい。」
その声は、しっとりと村人の心に沁み込んでいく。
「だから、エリィ達に代わりに行かせてくれないかしら?」
「本機とMs.エレニアに任せてもらいたい。あなた方は、村へ戻って待っていてもらおう。」
ウォーヘッドも盾を胸に手を当て、言い放つ。
……二人の姿は、村の危機を救うと言った伯爵令嬢と騎士たちを、村人たちに思い出させていた。
「い、いいのかい?」
「ええ、もちろん。エリィ達が戦ってダメなら、皆様は尚戦っても逃げても構わない。どうかしら?」
「敗走する確率は、かなり低いと思われる。」
これから戦いに行く……それなのに緩やかなほほえみを浮かべるエレノアと、簡単に倒されると思えぬウォーヘッド。
「……すまない。あの方を……。」
「俺たちのために戦った、あの方を……頼む。」
村人たちは、頭を下げながらそう言い、村へ戻っていった。
二人はそれを見送り、村へ向かう一団を探すことにした。
成功
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蝶ヶ崎・羊
精鋭部隊対村人なんてし始めたら呪いをかけた吸血鬼の思う壺です…絶対に阻止しなくては
・俺はWIZで行動します
冷静に考えてください
吸血鬼を倒す程の力を持った人々を集めた部隊ですよ?
それに、吸血鬼に見える方々の前に武器を持って現れるなんて『ワタシ達は吸血鬼だ』と肯定しているように思えませんか?
それならば立ち向かうより安全な場所や建物に避難する…それが被害を抑えられる一番の行動ではないでしょうか?
という案を【コミュ力】を使用して説得します
【戦闘知識】でいかに精鋭部隊の能力が高いかを組み込んでみます
ルトルファス・ルーテルガイト
(※アドリブ、他PC連携・絡み歓迎)
(心情)
…死してなお、呪いをもってその恐ろしさを味わえという事か。
…吸血鬼というのは、最後の最後まで面倒な奴という事だな。
(行動)
…村人に身の程というものをしっかり理解してもらう為に、向かう先に立ちはだかって止める。
「…どこへ行くつもりだ、よもやその程度で奴に挑む気か?」
…そしてこの村人の中で一番実力ある人間あたりに挑みかけてみる。
「…こんな小僧一人も勝てずに挑むなど、たかが知れている」と。
…無論、殺しはしないが手加減する気も無い、「トリニティ・エンハンス」を使って…全力で彼らを「止める」。…全ては、彼らの命を守る為に。
護堂・結城
血臭と殺気に満ちた凱旋か
救いがねぇしやるせねぇ
誰かの為に戦った英雄も村人も…外道に堕とさせはしない
だって、そんなの悲しすぎるだろう
【POW】
脅しに使用するUCは『雪見九尾の混沌召喚』の狐の群れ
精鋭に残された人間だけで敵うわけがないだろう
抵抗せず大人しく死ねとは言わん
それをやるべきは俺のような『化物』がやるべきだ
【動物使い】で狐の群れから【存在感+殺気】を放ち【恫喝】して【恐怖を与える】
【動物と話す】で傷つけないよう狐に指示を徹底
それでも直接向かってくるなら氷の【属性攻撃+オーラ防御】で氷の【盾受け】
例えどう見えていても同じ里の人間の殺しあいを見て見ぬふりは
あの日の俺が今の俺を許せなくなる
村の広場、かなりの人数の村人が集まっているのが見える。
「血臭と殺気に満ちた凱旋か。救いがねぇしやるせねぇ……。」
遠目に伺いながら、護堂・結城(雪見九尾・f00944)が呟く。
「ええ……精鋭部隊対村人なんてし始めたら、呪いをかけた吸血鬼の思う壺です。」
絶対に阻止しなければ、と蝶ヶ崎・羊(伽藍堂の歌箱・f01975)が答えるのを聞いて、村人たちの方へ歩み出したのはルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)。
(死してなお、呪いをもってその恐ろしさを味わえという事か。……吸血鬼というのは、最後の最後まで面倒な奴という事だな。)
そう考えながら歩いていくと、目の前には松明と粗末な農具を持った男たちが立っていた。
「君は……?」
「おい、よそ者なら、この村から離れる方がいいぞ!」
そういう村人たちを見ながら、ルトルファスも口を開く。
「お前たち、よもやその程度で奴に挑む気か?」
「あ?……お前に何がわかる!」
その言葉に反応した、一番がたいのいい男の方を向き、
「……ちょうどいい、少し相手をしてもらおう。」
言うが早いか、ルトルファスは樹木製の儀礼用短剣を抜き、構える。
「はん! そっちこそ、そんな武器で」
男がそういう間に、意識を集中させたルトルファスの体を、精霊の炎が取り巻く。
「……は、はは! そ、その程度、で!?」
無理に奮い立たせた勇気で、男はその手の松明を振り下ろそうとするが、その手が止まった。
……男の目の前に、ルトルファスの短剣が突きつけられている。
いつ突き付けられた? そんな疑問を浮かべるほどに、間の動きが見えていなかった。
そこから一歩距離を詰めるだけで、男は尻もちをついてしまう。
「ま、まいった!」
「……こんな小僧一人にも勝てずに挑むなど、たかが知れている。」
精霊に一言伝えて帰ってもらい、ルトルファスが短剣をしまうと、途端に男たちが騒ぎ出す。
「お、おい! あれは?!」
見ると、大量の銀狐……しかも、氷を纏った妖の狐たち。
彼らは男たちの前に立ち、毛を逆立てて威嚇を始めた。
その中に立つのは、様々な色の狐の尾を揺らす護堂。
「あんたらが戦おうとしているのは、精鋭部隊なんだぜ? 残された人間だけで敵うわけがないだろう。」
それに……と、威嚇する狐の1頭の頭を撫でながら、
「この子達相手でも、歯向かうつもりが見えないようじゃ……無理ってもんだ。」
……男たちは言い返す言葉もなかった。
静まり返った男たちの前に、小奇麗な姿をした蝶ヶ崎が現れて一礼し、よく通る声で言葉を紡ぐ。
「そう、冷静に考えてください。相手にしようとしたのは、吸血鬼を倒す程の力を持った人々を集めた部隊ですよ?」
そして、注目を集めたところで、こう続けた。
「それに、その方々はあなた方の事が吸血鬼に見えてしまう。……そこへ武器を持って現れるなんて、『ワタシ達は吸血鬼だ』と肯定しているように思えませんか?」
男たちの手から、武器……農具として使うような粗末な武器が手から離れ、転がる。
そうだ、それこそ吸血鬼の思うつぼではないか……。
「それならば、立ち向かうより安全な場所や建物に避難する……それが被害を抑えられる、一番の行動ではないでしょうか?」
「……確かに、そうだ。」
一番最初にルトルファスに突っかかった男が呟く。
その様子を見て、護堂が言葉を放つ。
「もちろん、抵抗せず大人しく死ねとは言わん。……それをやるべきは、俺のような『化物』がやるべきだ。」
パチンと指を鳴らすと、狐たちが吸い込まれるように姿を消す。
銀色の尾が一つ増え、それを揺らしながら男たちの前から歩き去る。
「誰かの為に戦った英雄も村人も……外道に堕とさせはしない。」
だって、そんなの悲しすぎるだろう?
その呟きが村人に聞こえることはなかったが、すぐ後ろを歩くルトルファスと蝶ヶ崎にははっきりと聞こえた。
男たちは、その背を追いかけることはできなかった。
一人、また一人と、家へ向かう。
自身が無力であることをかみしめ……そして、猟兵達の事を信じながら。
大成功
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第2章 集団戦
『女騎士の躯』
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POW : おぞましき呪い
【凄まじき苦痛を伴う呪いを流し込まれ狂戦士】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 死して尚衰えぬ技の冴え
【錆びて穢れた騎士剣による渾身の斬撃】が命中した対象を切断する。
WIZ : 不撓不屈の闘志の顕現
自身に【死して尚潰えぬ闘志が可視化したオーラ】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
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ほどなくして猟兵達は、村へ向かう道の途中で女騎士の一団と出会う。
「吸血鬼……貴様らも……!」
その目は赤く輝き、血の涙を流すのが見える。
……呪いにかかった彼女らには、猟兵達も吸血鬼に見えてしまっているようだ。
護堂・結城
よく言うだろ?生きて帰るまでが戦場だ、と
付け焼刃を試すようで悪いが一人でも連れて帰ってやる
今回は外道殺すべしとは言わねぇ
こんな結末、俺は納得いかねぇ
だから、早く目ぇ覚ませや
【POW】
UC『雪見九尾の夢幻竜奏』で風雷の竜鎧を纏って一気に加速
「速い奴を狙うんだろ?……ついてこれるか」
円を描くように最高速度で飛翔する【空中戦】を仕掛けるぞ
【全力魔法・範囲攻撃】の竜巻を起こしできる限り騎士を巻き込もう
そのまま接触する瞬間に雷撃で【呪詛耐性・破魔】を載せた【属性攻撃】の【マヒ攻撃・気絶攻撃】だ
「思い通りになんてさせねえ。外道の残滓すら残してやるものかよ」
ルトルファス・ルーテルガイト
(※アドリブ、連携歓迎)
(心情)
…さて、村人達は遠ざけたが…ここからが本番だな。
……呪いをかけられ、全てが吸血鬼に見えてしまうか。
…吸血鬼の仕業とは言え、悲しいものだな。
(行動:WIZ)
…死してなお潰えぬ闘志の相手に、愚直に刃突き立てても無意味とみる。
…ならばここは【エレメンタル・ファンタジア】を使う。
…呼び出すは【光属性の津波】、無論これ自体の威力は期待しない。
…だが目的はその体へのダメージじゃない、纏っている呪いを払う事。
…光や聖なるものを嫌う吸血鬼の呪いだ、浴びれば体の解呪につながる。
…ついでにしばらくこの一帯は光で浄化する故、更に呪いを浴びせられて狂暴化させなくしてやる。
蝶ヶ崎・羊
なんて残酷な呪いでしょう…治す方法があると良いのですが…
初めは【見切り】、【オーラ防御】で攻撃を回避しつつ【呪詛】の知識で治せる方法を探ります(その後の回避も同じく)
『ワタシ達は吸血鬼ではありません!吸血鬼は、貴女方が倒したではないですか!』
あれば試し、なければ戦闘に移ります
『せめて、貴方に安らぎのある最後を…』
鎌鼬の【属性攻撃】で【二回攻撃】し、隙を見つければヒアデス・グリモワールの【全力魔法】を放ちます
POWの攻撃が来ればC・Cで【武器受け】し、ジャッジメント・クルセイドで攻撃します
「さて、村人達は遠ざけたが……ここからが本番だな。」
こちらの事も吸血鬼と信じて襲い来る女騎士たちを見て、ルトルファスが呟く。
「……吸血鬼の仕業とは言え、悲しいものだな。」
「なんて残酷な呪いでしょう……。」
同じく女騎士たちを見つめ、表情を曇らせた蝶ヶ崎。
「よく言うだろ? 生きて帰るまでが戦場だ、と」
そんな二人と違い、やる気に満ちた顔をした護堂がいた。
「一人でも連れて帰ってやる、今回は外道殺すべしとは言わねぇ。」
「何か、考えが?」
闘志のオーラを纏った女騎士の拳を受け止め、蝶ヶ崎が問う。
「呪いを解けばいい、付け焼刃を試すようで悪いが……。」
「……時間をかければ、できるはずだ。」
護堂もルトルファスも、やり方は違えど考えは同じだった。
その様子に、蝶ヶ崎も自身のやるべきことを理解した。
「よし、ならばワタシは時間を稼ぎましょう。」
最初に殴ってきた女騎士を弾き飛ばしながら、配下を呼び出す護堂と精神を研ぎ澄ますルトルファスの前に立つ。
「……頼む。」
「吸血鬼め……!」
「ワタシ達は吸血鬼ではありません!」
元々力のある女騎士、そんな彼女らの拳や血に錆びた剣から放たれる刃の闘気。
対する蝶ヶ崎は身を躱しながら、避けきれない分を巨大な指揮棒で弾いていた。
「吸血鬼は、貴女方が倒したではないですか!」
「まだ貴様がいる!」
女騎士から憎しみのこもった眼で睨みつけられ、呪いの深さを思い知る。
蝶ヶ崎に避けられ続けていることに業を煮やし、雄たけびを上げた女騎士の目が赤く輝く。
「く、まだ強くなりますか!」
「我を忘れるのが難点だぜ。」
明らかに速度を上げて攻めてくる女騎士を見て、護堂も自身の勾玉から呼び出した白竜を自身に纏う。
風と雷と化した白竜に包まれて宙を舞い、
「そうなると、速い奴を狙うんだろ?……ついてこれるか?」
言葉を残して飛ぶ護堂を追い始める女騎士たち。
その一帯に風が巻きおこる。
「しばらく俺が気をひく!」
「任せましたよ!」
護堂を中心とした竜巻と化していく中、蝶ヶ崎も自身の魔導書を開いて風を起こし、女騎士を吸い込ませる。
そして、女騎士が集まる中に光が差し込んだ。
「……これで、変わるはずだ。」
ルトルファスの祈りに天が応え、辺りが光に満ちる。
「ぐ、ああああ!」
女騎士たちが、光に悶え苦しむ。
そして、黒い霧が彼女らの体から上がっていく。
「……光や聖なるものを嫌う吸血鬼の呪いだ、浴びれば体の解呪につながる。」
「く、おのれぇ!」
しかし、深く刻まれた呪いは簡単に解けなかった。
浄化の光を放つルトルファスへ刃の闘気を飛ばそうとするが、
「ぐ!」
「させませんよ。」
さらに別の光が彼女らを襲う。
蝶ヶ崎の指さした先に降り注ぐ光に照らされ、弾かれた彼女らの体が重なった時、竜巻に雷が走った。
「早く目ぇ醒ませや!」
破魔の力を込めた雷撃を放つ護堂。
雷光が収まると、身体を痺れさせながら黒い霧を上げる彼女らが倒れていた。
「……しばらく、この一帯は光で浄化する。……更に呪いを浴びせられて凶暴化できないだろう。」
気絶した彼女らにまだ息があることを確認し、ルトルファスが呟く。
「吸血鬼の思い通りになんてさせねえ。外道の残滓すら残してやるものかよ。」
独り言ちる護堂の目に、別の女騎士の一団が映っていた。
成功
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コノハ・タツガミ
アドリブ・連携、歓迎だよ
【WIZ】
まったく、吸血鬼と一緒にしてほしくは無いんだがね
【指定UC】を使って、ミズチの分霊を召喚するよ。
殺すのは後味が悪いからしたくはないけれど、凍らすぐらいならまあいいさね
【全力魔法・属性攻撃・誘導弾・2回攻撃】で分霊を飛ばして、敵の足止めと凍結を試みるよ。攻撃を喰らいそうになったら、【オーラ防御】でガードしつつ分霊を当てようかね
後で、癒してあげるから素直に今は凍っておきなね
護堂・結城
オブリビオン達に支配され、精鋭を出して倒せたと思ったらこの仕打ち
本当にこのダークセイヴァーは希望ってものに縁遠い
……だが、だからこそ俺達がいる
【POW】
「氷牙、お前の番だぞ」
氷牙を巨大な破魔弓に変化させて使用
【怪力】で【破魔】の鳴弦、挨拶がわりの邪気払いだ
「この世界自身に抗える希望がなくとも……俺達が、その希望って奴になってやる」
UC雪見九尾の獣皇咆哮を発動
大罪の尻尾、紫電双月、全てを風雷を纏わせながら複製
騎士集団へと直撃させないように射出して大地に突き立てる
大地に突き立った武器を目標に鳴弦自体にのせた【衝撃波】と複製武器から放つ【属性攻撃・衝撃波】で【破魔・2回攻撃・気絶攻撃】だ
ドゥルール・ブラッドティアーズ
【共闘可・POW】
思い出すわね……
半吸血鬼というだけで迫害された過去を
私は人間(あなた)達が大ッ嫌い。
お望み通り、吸血鬼の力で蹂躙してあげる
『血統覚醒』でヴァンパイア化。
爆発的に増大した戦闘力で 敵の攻撃を【見切り】
当てられても【オーラ防御】【激痛耐性】で耐え
キスやボディタッチによる【生命力吸収】で
死なない程度に弱らせていくわ。
寿命を削るリスクも軽減できて一石二鳥ね
最後は 弱らせた騎士達を
包帯の【ロープワーク】で縛って【属性攻撃】を流し込み
彼女達の呪いを浄化するわ
「そうよ、光属性よ! お馬鹿さぁん!!」
か、勘違いしないでよね!
彼女達の体で緊縛プレイしたかっただけで
人間に同情なんかしてないから!
「……貴様も、吸血鬼か!」
「まったく、吸血鬼と一緒にしてほしくは無いんだがね。」
女騎士の一団の前に立ったのは、黒い服に白く長い髪を垂らしたコノハ・タツガミ(放蕩亜神・f17939)。
ため息とともにでた言葉に合わせて髪飾りが淡く光り、ミズチがコノハの周りに現れた。
「殺すのは後味が悪いから、したくはないけれど。」
「ほざけ!」
そんなコノハの様子に激高した女騎士達。
錆びた剣を抜き、斬撃の衝撃波を放とうとした……が、そこへ一つの影が蹴りかかった。
蹴倒された女騎士の上に立つ、ツインテールの女の子。
「……思い出すわね。半吸血鬼というだけで、迫害された過去を。」
ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は顔を伏せながら呟く。
「私は人間(あなた)達が大ッ嫌い。お望み通り……」
その顔を上げた時、血のごとく輝く紅い目が女騎士達を見つめていた。
「吸血鬼の力で蹂躙してあげる!」
「吸血鬼め……!」
女騎士達は恨みの咆哮を上げ、その目や肌から血を滲み出させながらドゥルールへ殴りかかる。
吸血鬼の呪いで強化された女騎士達の攻撃を、吸血鬼の血を覚醒させたドゥルールは難なく躱し、その体を撫でてゆく。
「ふふふ……少しずつ、体力を奪ってあげるわ。」
手についた女騎士達の生命力と呪いの詰まった血を舐めあげ、その力を自分の物としながら、女騎士達の間を駆け抜けていった。
「……急な横入りだが、都合がいい。」
ドゥルールと女騎士達の乱闘を見ながら、コノハはミズチから魔術で操られた蚊の群体を生み出していく。
「凍らすぐらいなら、まあいいさね。」
「ああ、彼女らもすぐには死なないだろう。吸血鬼に抗った精鋭達だぜ?」
いつの間にか、すぐ横に立っていた護堂。
脇に控えた白い九尾の狐、氷牙の頭をなでながら、
「氷牙、お前の番だぞ。」
言葉をかけると、巨大な破魔弓となって護堂の手に収まる。
その弦を引き絞り、
「挨拶がわりの邪気払いだ、俺が動きを鈍らせる。」
「ああ、わかった。頼むよ。」
淡い光を放つ髪飾りに手を当て、ミズチを蚊の群体へ変えていくコノハ。
そして、ぎりぎりと引き絞る護堂の手に、大罪を司る尾が刀身へ姿を変えて収まる。
「この世界自身に抗える希望がなくとも……俺達が、その希望って奴になってやる!」
弦の音と共に、空へ放たれた。
「……ふふ、ご馳走様。」
「き、貴様!」
隙を見せた女騎士の唇から離れ、口元についた血を舐めながら次の相手へ動いたドゥルール。
降ってくる刃の気配に身を躱すと、赤刀がすぐ横に付き立った。
「本当に、このダークセイヴァーは希望ってものに縁遠い。」
指さすように手を上げた護堂が、その手を振り下ろす。
「……だが、だからこそ俺達がいる!」
「ぐああああ!」
「ひえ!?」
地に突き立った大罪の刃、そこから放たれる破邪の気に女騎士達は撃たれ、動きを止めていた。
ドゥルールもその中にいたが、破邪の気はその体を傷つけることなく通り過ぎていく。
「あー、びっくりした……。」
と、ふいに現れた気配に周囲を見渡すと、蚊の群体が女騎士達を取り囲んでいた。
「後で、癒してあげるから素直に今は凍っておきなね。」
「く、うぅ!」
蚊に喰われた女騎士は霜に覆われ、身体を凍らせて動かなくなっていた。
「ふぅ……これで大体終わりかい?」
蚊の群体を片付けたコノハが女騎士達を見渡すと、彼女たちの体に光の帯がまとわりついているのが目についた。
その先は、ドゥルールの握った右手へ……。
「おや、まさか?」
「そうよ、光属性よ! お馬鹿さぁん!!」
光の帯……よく見ると、それは女騎士達を拘束するように巻かれた包帯だった。
それを力を込めて引き絞ると、包帯が黒い血を女騎士達から吸い上げていく。
……辺りには、彼女らの安らかな寝息が聞こえていた。
「これはこれは……治療してしまうとは驚いた。」
少しの驚きと共に出たコノハの言葉に、ドゥルールはぷいと顔を背け、
「か、勘違いしないでよね! 彼女達の体で緊縛プレイしたかっただけで、人間に同情なんかしてないから!」
「はは、そういう事にしておこうぜ。」
女騎士達の様子を見ていた護堂も笑顔で立ちあがるが、一つの気配に表情を変える。
「……そういや、この子らを率いてた令嬢がいるんだっけな。」
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『伯爵令嬢騎士の躯』
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POW : 民を背負いし者
【ヴァンパイアに酷い仕打ちを受けた民の無念】【武運拙く敗れた部下の女騎士達の無念】【今度こそ仇敵吸血鬼を討ち果たすという決意】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
SPD : 死して尚衰えぬ技の冴え
【錆びて穢れた騎士剣による渾身の斬撃】が命中した対象を切断する。
WIZ : 吸血鬼滅殺瘴気焔弾
【錆びて穢れた騎士剣による斬撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【ヴァンパイアへの怨念が籠った瘴気焔弾】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
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「……我が精鋭を、よくも。」
女騎士達を見渡し、伯爵令嬢は猟兵達へ憎しみの目を向ける。
「一人になろうとも……刺し違えてでも、お前たちを!」
その瞳に映るのは、人ではなく吸血鬼。
……吸血鬼の呪いに曇らされた瞳に、人は映らない。
ルトルファス・ルーテルガイト
(※アドリブ、他PC連携・絡み歓迎)
…そうか、お前がこの騎士達の隊長か。
……穢れてもなお、最後まで戦おうという一片の高潔さ故か?
…だとすればその道、堂々と受けて立つのがせめてもの弔いだ。
(精霊剣を正面に構え、祈る仕草をして)
(WIZ)
…使うのは【精霊剣】、纏うはこの世界に僅かに集う【光精霊の加護】。
…放ってくる斬撃とその後に飛ばす瘴気焔弾は、「武器受け」+「オーラ防御」で防ぐ。
…勝機はおそらく一瞬、焦れて大振りになった所を、光の斬撃で穢れた心臓に突き立てて…浄化する。(属性攻撃)
…ああ、殺すではない…浄化だ。
…先だった騎士達の後を追って安らかに眠れる様に、その道を作るだけだ。
蝶ヶ崎・羊
『彼女も正気に戻してあげないとですね…こんな結末は辛すぎます。』
攻撃を【見切り】したりC・Cで【武器受け】したりして防ぎつつ光の【属性攻撃】を鎌鼬で【二回攻撃】します
仲間が攻撃を受けそうな場合は【かばう】
POWの攻撃が来れば【オーラ防御】を纏いながら接近
攻撃を受けようが近距離を保ち、【衝撃波】で隙を作りUCのジャッジメン・クルセイドを使用
『至近距離なら避けにくいでしょう?』
『こんな夢から覚めてください…もう終わったのです!!』
吸血鬼の呪いに蝕まれてなお、その血に穢れた騎士剣を構える様は、高貴な伯爵令嬢としての姿。
「……そうか、お前がこの騎士達の隊長か。」
精霊剣を持つルトファスも、その姿に改めて構え直す。
伯爵令嬢の、血を流す目をまっすぐに見返し、祈るようにつぶやく。
「穢れてもなお、最後まで戦おうという一片の高潔さ故か?……だとすればその道、堂々と受けて立つのがせめてもの弔いだ。」
「彼女も正気に戻してあげないとですね……こんな結末は辛すぎます。」
隣に立つ蝶ヶ崎も、巨大な指揮棒であるC・Cとハンドガンの鎌鼬を構える。
憐みのこもった視線を、呪いで曇った瞳へ向ける。
「使命を果たした後、領民から武器を向けられ、自身もその領民を手にかけ……そのようなことを、させる訳にはいきません。」
「ふん、よく喋る吸血鬼どもめ。」
ここまで、言い分を聞くかのように猟兵達を睨みつけていた伯爵令嬢。
手にした騎士剣についた、穢れた血……それが赤黒い炎となって燃え上がる。
「我が剣の錆びにしてくれよう……行くぞ!」
「っく、早!?」
一瞬で踏み込み、その騎士剣を突き出してきた。
蝶ヶ崎はなんとかC・Cで切っ先を逸らすが、伯爵令嬢はその勢いで騎士剣を横に薙ぐ。
「……腕がいいな。」
薄く光を纏う精霊剣で、横薙ぎの斬撃を受け止めるルトファス。
しかし、伯爵令嬢の騎士剣から赤黒い炎が斬撃に乗って襲い掛かる。
「だが、倒されるわけにはいかない。」
浴びせかけられた呪いとともに燃える炎を、ルトファスの身に纏う精霊がかき消した。
「ええ、ここであなたを止めさせてもらいます!」
「くっ!」
蝶ヶ崎の鎌鼬から発せられる光の弾丸を、騎士剣ではじく。
そのまま跳び退ろうとする伯爵令嬢に対し、さらに踏み込む蝶ヶ崎。
「至近距離なら避けにくいでしょう?」
「ぐ、うぅ!」
蝶ヶ崎の指さしたところに降り注ぐ光に、伯爵令嬢の身を覆う呪いが黒く漏れ出す。
相当な苦痛があるのか、顔を痛みにゆがめて騎士剣を振るう。
「おのれぇ!」
痛みに大振りになった伯爵令嬢の隙をつき、ルトルファスが懐に潜り込む。
「……そこだ。」
「が、ああああ!」
伯爵令嬢の胸に突き刺さる、ルトルファスの精霊剣。
このダークセイヴァーの地にはあまりいない、光の精霊を剣としたもの。
「……殺すため、ではありませんね?」
「ああ、殺すのではない……浄化だ。」
伯爵令嬢の胸元からは、血が出てはいない。
「ぐ……くぅ!」
しかし、突き刺さった剣を無理やり引き抜く伯爵令嬢。
引き抜いたところからは、呪いが黒い靄となって立ち上る。
「こんな夢から覚めてください……もう終わったのです!!」
「夢……? この痛みが夢だと言うか!」
蝶ヶ崎の言葉に対し、伯爵令嬢はまだ騎士剣を構え、戦う気を見せている。
「……まだ少し、かかりそうだな。」
だが、浄化するまで。
そう呟き、ルトルファスは伯爵令嬢と対峙する。
彼女の身を覆う呪いが、黒い靄となって抜けていくのがわかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ゼン・ランドー
孤軍奮闘するその精神はご立派ですが
熱意の向かう先が間違っているんですよねえ………
何やら身につまされる思いがありますし
さっぱりと引導を渡して差し上げましょう
さて、あの剣の一撃を食らうのは不味そうなのでまずは牽制
金天華廻で造花の雨を浴びせ、ユーベルコード解除。
花弁を【グレグレくん】に戻し同期起爆。
並行して【グレグレくん】【余燼】【韋駄天歩】から
必要パーツを花弁として寄せ集め
『投擲すると加速し、深く突き刺さって爆発する槍』という
一つの武器として改造した状態で紙幣花から戻す。
「続けて解除。―――繋げ・縫い止め爆ぜろ飛爆槍」
葬式代はサービスさせていただきます。何度めか解らないでしょうから。
シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK
【SPD】
最後の戦いには間に合いましたね。お手伝いさせていただきます。
「その魔を祓います!」
『破魔』の力を込めた光の『属性攻撃』の弾丸で戦います。
精霊石の銃に宿った光の精霊の力を借りて、味方の援護射撃を行いつつ、令嬢を狙撃します。
攻撃に対しては閃光の魔盾で受け止め、カウンターの零距離射撃で精霊石の銃から光の弾丸を撃ち込みます。
「闇よ、消え去れ!」
精霊石の銃からフェイントの射撃で足止めしつつ、【紺青の剣劇】で召喚したソードビットを令嬢の周囲に何重にも重なった五芒星を描くように突き立て、精霊石の銃を中心に合体させたライフルビットから、破魔の力を込めた光の弾丸を撃ち込みます。
護堂・結城
勝利の帰還にこぼす涙は喜びであるべきだ
待ってる民がいるだろ、さっさとお前も帰ってこい
…この身、外道を狩る者なれど
今一時だけ魔を払う光であらんと願う
【POW】
「民の無念も騎士の無念もあんたの決意も、間違った事に使うなら奪いとる」
「頭を垂れろ吸血鬼の残滓、死が貴様の名を呼んでいる」
【歌唱】にのせた【盗み攻撃・生命力吸収】で周囲の無念・決意の感情を食らって
UC雪見九尾の劫火剣乱を発動
「『予告する』あんたの呪い、いただくぜ」
身に纏った劫火の剣で【見切り・武器受け】しつつ【カウンター】にUC九尾天命で技能を強化
【怪力】任せに氷牙の巨大鎚を叩きつけて光の【衝撃波】による【属性・範囲攻撃】だ
ドゥルール・ブラッドティアーズ
【共闘可・WIZ】
刺し違えてでも吸血鬼を討つ?
思い上がるな人間。貴女の死は私が許さない。
その使命感という名の呪い、喰い尽くしてあげる!!
真の姿で背中に黒炎の翼。
【呪詛】を唱え、相手の動きを鈍らせて接近。
彼女の斬撃を【見切り】
『狂愛』で 37体に分裂して回避。
彼女の全身に纏わりつき【生命力吸収】で弱らせるわ
刺し違えてでも、の発言通り
自分ごと瘴気焔弾で攻撃してきても
【呪詛耐性】【火炎耐性】で大丈夫
包帯の【ロープワーク】【早業】で拘束し
騎士達と同様に、光の【属性攻撃】で浄化。
自害なんて許さないわ
し、心底憎んでいた吸血鬼に救われて
どんな顔するのか見たかったのと
貴女達の肌を堪能したかっただけなんだから!
「孤軍奮闘するその精神はご立派ですが、熱意の向かう先が間違っているんですよねえ……。」
荒い息をつきながら睨みつけてくる伯爵令嬢に、冷めた視線を向けるゼン・ランドー(SE・f05086)。
懐から武器を取り出しながら、
「何やら身につまされる思いがありますし、さっぱりと引導を渡して差し上げましょう。」
「と、すまねえが……殺すのだけは待ってくれねえか?」
その様子に、護堂は口を挟んだ。
「あれは呪いで目が曇らされてるだけだ。うまくやれば消せそうなんでね。」
「なるほどなるほど……ふふ、そういう事であれば手助けといきましょう。そもそも、彼女の葬儀代は回収できそうにありませんしね。」
早口で返すゼンに、そっと胸をなでおろす。
「悪いな……やはり、勝利の帰還にこぼす涙は喜びであるべきだ。」
伯爵令嬢の頬に、血の涙が流れている。
その憎しみを向ける様を見ながら、ゼンは武器を紙幣へと変え、周囲へ舞わせる。
「では牽制といきましょう!」
「く、こんなもの!」
伯爵令嬢の視界を覆う、紙幣で折られた造花。
赤黒い炎を纏った騎士剣が周囲を薙ぎ、燃えちぎれていく。
「そこです。」
パチンとゼンが指を鳴らすと、周囲の造花が葡萄の粒へ変わる。
「これは!?」
途端に伯爵令嬢の周囲で巻き起こる閃光と爆発。
爆薬である葡萄の粒に引火した結果である。
「吸血鬼どもめ……貴様らは、刺し違えてでも!」
地の底から響くような声が響くとともに、周囲の塵が晴れる。
「刺し違えてでも、吸血鬼を討つ?」
伯爵令嬢の目の前に立つのは、黒炎の翼を生やした黒い髪の少女。
その瞳は血のように赤く輝いていた……ドゥルールの中に流れる、吸血鬼の血の証明。
「思い上がるな人間、貴女の死は私が許さない。その使命感という名の呪い、喰い尽くしてあげる!!」
「貴様ぁ!」
叫びと共にドゥルールへ振り下ろされる騎士剣。
しかし、その体に届く前に光の弾丸に弾かれた。
「何とか間に合いましたね。」
純白に金の装飾がされた精霊石の銃を構え、油断なく伯爵令嬢を狙うシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)。
「その魔を祓います!」
「く、ああ!」
光の精霊の力を込めた弾丸に肩を貫かれ、黒い靄が噴き出す。
シンの弾丸は伯爵令嬢に傷を与えず、身体を流れる呪いが抜けていく。
呪いが抜ける苦痛に身悶えていると、
「ふふ……あなたの呪いはどんな味かしら?」
「な、この!」
ふらりと、無防備ともいえる様子で近づいてくるドゥルールを、燃える騎士剣で薙ぐ。
その切っ先が触れた瞬間、ドゥルールの体が分裂した。
複数の小さな分身体になり、伯爵令嬢の体にまとわりつく。
「もっと、楽しみましょう?」
「ぐ、あああああ!」
分身体に抜き出される赤黒い血は、呪いの残滓。
少しずつ確実に、伯爵令嬢にかけられた呪いが抜けていく。
「民の無念も騎士の無念もあんたの決意も、間違った事に使うなら奪いとる。」
歌うように紡がれる、護堂の言の葉。
それは周囲に漏れる伯爵令嬢の闘気を吸い、護堂の周囲に劫火の剣が生み出されていく。
「頭を垂れろ吸血鬼の残滓、死が貴様の名を呼んでいる。」
手にした氷河を光の大槌へと変える。
重いそれを軽々と構え、
「あんたの呪い、いただくぜ!」
「く、邪魔だ!」
その護堂に対峙しようと、伯爵令嬢は流れる血を燃やして、ドゥルールの分身体を振り払おうとする。
「馬鹿ね、自害なんて許さないわ。」
「む、むぐ!」
途端に、伯爵令嬢の体が光を放つ包帯に包まれる。
そこに飛来する、紙幣花で生み出された槍。
「繋げ、縫い止め爆ぜろ飛爆槍。」
ゼンの放つ槍が腕を深く貫き破裂、その勢いに伯爵令嬢はバランスを崩して倒れる。
周囲に突き立つ、シンの放ったソードビット。
「あああああ!」
「破魔の力を高める方陣、今のあなたには効くでしょう。」
ソードビットの光が繋がり、幾重にも重なる五芒星。
身悶える伯爵令嬢へ、精霊銃とライフルビットの合成銃を向け、
「闇よ、消え去れ!」
破魔の光で貫く。
周囲へ浮かぶ、黒い靄と化す呪い。
「あ……あぁ……。」
息も絶え絶えな伯爵令嬢の見上げる先には、光の大槌を振り上げた護堂の姿。
「これで、終わりだ!」
怪力で振り下ろされる、大槌。
それは伯爵令嬢のすぐ横の地面を叩き、破魔の力を持つ光の波動を放つ。
放たれた光に黒い靄がかき消され……光が消えたあとには、安らかに寝息を立てる伯爵令嬢が横たわっていた。
「起きたらいきなり殴りかかってきたりしませんよね? さすがにそれは殴られ損ですよ?」
「大丈夫なはず……ですが。」
横たわる伯爵令嬢を見ながら話すゼンとシン。
「う、うん……。」
「お、目が醒めたか。」
伯爵令嬢の目が開く。
その目に殺意がこもっていない事に安堵する護堂。
「あなた方は……私は、吸血鬼に。」
「もう大丈夫だぜ、俺たちが人に見えてるんだろ?」
にっこりと笑いかける護堂の様子につられて、伯爵令嬢に笑みが浮かぶ。
「ちなみに、一番甲斐甲斐しくあんたの介抱してたのがあいつだ。」
そう言って、少し離れたところに立つドゥルールを指さす。
「そうですか、ありがとうございます。」
「か、勘違いしないでよね!」
感謝の言葉にぷいっと背中を向け、
「し、心底憎んでいた吸血鬼に救われて、どんな顔するのか見たかったのと、貴女達の肌を堪能したかっただけなんだから!」
そう言い残して去っていった。
こうして、猟兵たちの活躍により、伯爵令嬢と女騎士達は無事に村へ戻ることができた。
村を襲う敵としてではなく、村を救った英雄として。
しばらくは平和に暮らすことができるだろう。
束の間であっても、そう思える様子を見届けた猟兵たちは、その場を後にしたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴